(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】レアアースを含むY型分子篩、その製造方法、および当該分子篩を含む接触分解触媒
(51)【国際特許分類】
C01B 39/24 20060101AFI20241129BHJP
B01J 29/08 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
C01B39/24
B01J29/08 M
(21)【出願番号】P 2022501264
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(86)【国際出願番号】 CN2020101048
(87)【国際公開番号】W WO2021004502
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-04-11
(31)【優先権主張番号】201910612784.6
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910612785.0
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010126355.0
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010126354.6
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】509059424
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司石油化工科学研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】王成強
(72)【発明者】
【氏名】羅一斌
(72)【発明者】
【氏名】鄭金玉
(72)【発明者】
【氏名】舒興田
【審査官】廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-540629(JP,A)
【文献】特表2015-533637(JP,A)
【文献】米国特許第04234457(US,A)
【文献】中国特許出願公開第1789127(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20ー39/54
B01J 21/00-38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レアアースを含むY型分子篩であって、2~3nmおよび3~4nmの少なくとも2種類のメソポアの細孔径分布を有し、
前記
Y型分子篩のメソポアの体積は0.03cc/gよりも大きく、および/または、
前記
Y型分子篩のX線回折パターンにおける2θ=12.3±0.1°のピークの強度I
2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I
1の比は、≧4.0である、
Y型分子篩。
【請求項2】
前記Y型分子篩のメソポアの体積は0.031cc/g~0.057cc/gである、請求項1に記載のY型分子篩。
【請求項3】
前記X線回折パターンにおける2θ=12.3±0.1°のピークの強度I
2
に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I
1
の比は、4.5~6.0である、
請求項1又は2に記載のY型分子篩。
【請求項4】
前記X線回折パターンにおける2θ=12.3±0.1°のピークの強度I
2
に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I
1
の比は、≧4.8である、
請求項1又は2に記載のY型分子篩。
【請求項5】
前記X線回折パターンにおける2θ=12.3±0.1°のピークの強度I
2
に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I
1
の比は、4.9~7.0である、
請求項1又は2に記載のY型分子篩。
【請求項6】
前記
Y型分子篩のBJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は≧0.05で
ある、
請求項1
又は2に記載の
Y型分子篩。
【請求項7】
前記Y型分子篩のBJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は≧0.1である、
請求項1又は2に記載のY型分子篩。
【請求項8】
前記Y型分子篩のBJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.1~0.4である、
請求項1又は2に記載のY型分子篩。
【請求項9】
レアアースの含有量は、レアアース酸化物として2~18重量%であり
、単位格子定数は2.440~2.470nmであり、結晶化度は30~60%である、
請求項1または2に記載の
Y型分子篩。
【請求項10】
レアアースの含有量は、レアアース酸化物として8~15重量%であり、単位格子定数は2.440~2.470nmであり、結晶化度は30~60%である、
請求項1または2に記載のY型分子篩。
【請求項11】
前記
Y型分子篩のBJH細孔径分布曲線において、10~30nmのメソポアの細孔径分布を有し、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.1よりも大きく
、
全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.2よりも大き
い、
請求項1
または2に記載の
Y型分子篩。
【請求項12】
全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.12よりも大きく、
全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.22よりも大きい、
請求項11に記載のY型分子篩。
【請求項13】
全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.15よりも大きく、
全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.25よりも大きい、
請求項11に記載のY型分子篩。
【請求項14】
全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.18~0.26であり、
全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.27~0.32である、
請求項11に記載のY型分子篩。
【請求項15】
請求項1~
14のいずれか1項に記載のレアアースを含むY型分子篩の製造方法であって、
前記レアアースを含むY型分子篩は、外部から圧力が加わり、外部から酸性物質またはアルカリ性物質を含む水溶液が添加される環境で、レアアースを含むNaY型分子篩を水熱焼成処理する工程によって得られるか;または、前記レアアースを含むY型分子篩は、レアアースを含むNaY型分子篩を酸性物質またはアルカリ性物質と接触させて、酸性物質またはアルカリ性物質を含むレアアースを含むNaY型分子篩を得た後、外部から圧力が加わり、外部から水が添加される環境で水熱焼成処理を行う工程によって得られ、前記環境は、ゲージ圧が0.01~1.0MPaであり
、1~100%の水蒸気を
含む、
方法。
【請求項16】
前記環境は、ゲージ圧が0.1~0.8MPaであり、30%~100%の水蒸気を含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記環境は、ゲージ圧が0.3~0.6MPaであり、60%~100%の水蒸気を含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記レアアースを含むNaY型分子篩は、NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理を行う工程Aを経て得られる、
請求項
15に記載の方法。
【請求項19】
前記レアアースを含むNaY型分子篩は、以下の工程(1)および(2)によって得られる:
(1)NaY型分子篩とアンモニウム塩とを部分的にアンモニウム交換して10~80%のナトリウムイオンを除去し、濾過、水洗、および乾燥して、NH
4NaY型分子篩を得る工程;
(2)工程(1)で得た前記NH
4NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理を行い、濾過、水洗、および乾燥して、前記レアアースを含むNaY型分子篩を得る工程;
請求項
15に記載の方法。
【請求項20】
前記レアアース塩溶液は、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムイオンのうち1つ以上を含む塩化物水溶液である、
請求項
18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記アンモニウム塩は、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウム、またはそれらの任意の混合物から選ばれる、
請求項
18又は19に記載の方法。
【請求項22】
工程Aまたは工程(2)は、pH=3.0~5.0、水/分子篩の重量比が5~30、室温~100℃の交換温度で行われ、任意に、交換時間は少なくとも0.3時間である、
請求項
18又は19に記載の方法。
【請求項23】
前記環境は、ゲージ圧が0.1~0.8MPaであり
、30~100%の水蒸気を
含む、
請求項
15~
19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記環境は、ゲージ圧が0.3~0.6MPaであり、60~100%の水蒸気を含む、
請求項15~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記水熱焼成処理の工程は、300~800
℃で行われる、
請求項
15~
19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記水熱焼成処理の工程は、400~600℃で行われる、
請求項15~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
水を有する前記環境は、酸性物質またはアルカリ性物質を含む水溶液を有する環境であり、前記酸性物質は、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、塩酸、硫酸、硝酸およびそれらの任意の混合物から選ばれ、前記アルカリ性物質は、アンモニア水、アンモニア水および塩化アンモニウムの緩衝溶液、水酸化ナトリウム、メタアルミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムまたはそれらの任意の混合物のうち1以上を含む、
請求項
15~
19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記酸性物質またはアルカリ性物質を含む水溶液の質量濃度は、0.1~20%である、
請求項
15~
19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
接触分解触媒であって、前記接触分解触媒は、20~60重量%の請求項1~
14のいずれか1項に記載のレアアースを含むY型分子篩、10~30重量%の無機酸化物バインダ、および30~50重量%の天然鉱物を含む、
接触分解触媒。
【請求項30】
前記天然鉱物は、カオリン、ハロサイト、モンモリロナイト、ダイアトマイト、アタパルジャイト、セピオライト、ケラマイト、ハイドロタルサイト、ベントナイトおよびレクトライトから選ばれる少なくとも1つであり、前記無機酸化物バインダは、シリカゾル、アルミナゾル、解膠化擬似ベーマイト、シリカアルミナゾルおよびリン含有アルミナゾルから選ばれる少なくとも1つである、
請求項
29に記載の接触分解触媒。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、レアアースを含むY型分子篩、その製造方法、および当該分子篩を含む接触分解触媒に関する。
【0002】
〔背景技術〕
現在の製油所において、接触分解は最重要な生産技術であり、重油および残油をガソリン、ディーゼルおよび軽油ガス成分に転化するために接触分解装置を用いる。
【0003】
工業において、接触分解装置は反応および高温での触媒再生の両方の部分を含むことが必須であるため、触媒について触媒活性および選択性等の要素を考慮する必要がある。他の種類の分子篩と比較すると、Y型分子篩は接触分解によく用いられる。接触分解触媒の活性成分としての、接触分解触媒における主な役割は、ガソリン類の分子生成物を生産することである。
【0004】
レアアース交換のレアアースY型分子篩は、接触分解触媒の高活性成分である。
【0005】
レアアースY型分子篩におけるレアアースイオンは、スーパーケージからソーダライトケージへと移動し、酸素ブリッジを含む多核カチオン構造を形成する。これによって、高温水熱環境下での分子篩の酸中心の安定性が向上し、分子篩触媒の接触分解活性および活性安定性が向上し、これによって触媒の重油転化活性および選択性が向上する。
【0006】
NaY型分子篩とレアアース塩の水溶液との間でイオン交換を行う際、直径約0.79nmの水和レアアースイオンがY型分子篩の6員環の窓口(直径約0.26nm)を通ってソーダライトケージに入ることは、困難である。
【0007】
このため、レアアースY型分子篩の製造工程において、レアアースイオンがソーダライトケージに入り6角柱内に入れるように、焼成を通じてレアアースイオンの周囲を囲む水和層を除去することが必要である。同時に、これらのケージ内のナトリウムイオンも焼成工程を通じてスーパーケージに移動する。要するに、焼成の結果は、固体イオン間での結晶内交換を加速させ、水溶液における分子篩と他のカチオン、例えばNH4
+およびRE3+、との交換のための条件を作り、分子篩のNa+含有量を低減させた(USP3402996)。
【0008】
レアアースイオンの移動を如何に促進して(ソーダライトケージ内の)固定可能なカチオン位置のレアアースイオンの占有率を向上させるかは、レアアースY型分子篩の性能に直接関係し、かつレアアースY型分子篩を活性成分とした触媒の活性安定性にも影響する。
【0009】
工業において、レアアースイオンのソーダライトケージへの移動を促進するため、高温焼成または高温水熱焼成法が通常用いられるが、高すぎる焼成温度は、工業用焼成炉の材質に対する要求が厳しい他、適切な位置に固定されたレアアースイオンがスーパーケージに戻る傾向がある(Zerolites,6(4),235,1986)。
【0010】
工業的焼成技術の現状:NaYとRE3+との交換後に得たレアアースNaY(酸化ナトリウム含有量4.5~6.0%)分子篩濾過ケーキは、高温焼成(550~580℃)により固体イオン交換を行い、その後、水溶液交換してナトリウムを除去する。
【0011】
現在の主な課題は、現在の固体状態のイオン交換度をさらに向上させることである。
【0012】
このため、限定された焼成温度で如何により多くのレアアースイオンをソーダライトケージ位置に移動させて分子篩の安定性を向上させるかは、工業において解決すべき技術的課題になっている。
【0013】
CN1026225には、レアアースY型分子篩の製造方法が記載されており、当該方法において、NaY型分子篩とRE3+とを水溶液において1回イオン交換した後に、450~600℃、100%の水蒸気流の中で1~3時間焼成する。
【0014】
CN103508467Aには、レアアースY型分子篩およびその製造方法が記載されており、当該方法において、NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはアンモニウム塩およびレアアース塩溶液の混合溶液との接触処理を行い、濾過、水洗、乾燥を経て、焼成処理を行い、レアアースNaY型分子篩を得る。その後、レアアースNaY型分子篩を、水と強く混合および撹拌してアンモニウム塩溶液に接触させ、レアアース塩溶液と混合した後、アルカリ液体でスラリーのpH値を調整して、レアアース沈殿を行う。または、レアアースNaY型分子篩を水と激しく混合および撹拌し、アンモニウム塩およびレアアース塩溶液の混合溶液と接触させ、アルカリ液体でスラリーのpH値を調整してレアアース沈殿を行い、濾過、乾燥後に第2回の焼成処理を行い、レアアースY型分子篩を得る。
【0015】
当該方法では、2回の交換工程および2回の焼成工程を経て、かつレアアースを沈殿させる工程が必要である。
【0016】
従来技術において、焼成技術の限界により、限定された焼成温度でのレアアースY型分子篩において、レアアースイオンがソーダライトケージ位置に移動する過程で、一部のレアアースイオンが依然としてスーパーケージに残り、ソーダライトケージに移動できない。この場合、レアアースY型分子篩の水熱安定性が限定され、ひいては接触分解触媒における重油接触分解転化能力に影響する。
【0017】
〔発明の概要〕
本発明の発明者らは、大量の試験を経て、予想外にも下記のことを見出した:加圧方式の水熱焼成により、独特なメソポア特性を有する、レアアースを含むY型分子篩を得ることができる。当該レアアースを含むY型分子篩は、より高い活性安定性および水熱安定性を有する。これに基づき、本発明は形成される。
【0018】
本発明は、レアアースを含むY型分子篩を提供する。当該分子篩は、2~3nmおよび3~4nmの少なくとも2種類のメソポアの細孔径分布を有する。例えば、当該分子篩は、少なくとも、それぞれ、2~3nm、3~4nmおよび10~30nmの3種類のメソポアの細孔径分布を有する。
【0019】
本発明は、接触分解触媒も提供する。当該接触分解触媒は、上記レアアースを含むY型分子篩、ならびに無機酸化物バインダおよび/または天然鉱物を含む。
【0020】
本発明は、レアアースを含むY型分子篩の製造方法を提供する。当該方法は、外部から圧力が加わり、外部から水が添加される環境で、レアアースを含むNaY型分子篩を水熱焼成処理する工程を含む。上記環境は、ゲージ圧が0.01~1.0MPaであり、1~100%の水蒸気を含み、水熱焼成処理は、300~800℃、好ましくは400~600℃で行われる。前記レアアースを含むNaY型分子篩は、NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理を行う工程を経て得られる。
【0021】
本発明は、レアアースを含むY型分子篩の製造方法を提供する。当該方法は、以下の工程を含む:(1)NaY型分子篩とアンモニウム塩とを部分的にアンモニウム交換して10~80%のナトリウムイオンを除去し、濾過、水洗、乾燥して、NH4NaY型分子篩を得る工程;(2)工程(1)で得たNH4NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理を行い、濾過、水洗、乾燥して、レアアースを含むNaY型分子篩を得る工程;(3)外部から圧力が加わり、外部から酸性物質またはアルカリ性物質を含む水溶液が添加される環境で、工程(2)で得たレアアースを含むNaY型分子篩を水熱焼成処理するか、または、工程(2)で得たレアアースを含むNaY型分子篩を酸性物質またはアルカリ性物質と接触させて、酸性物質またはアルカリ性物質を含むレアアースを含むNaY型分子篩を得た後、外部から圧力が加わり、外部から水が添加される環境で水熱焼成処理を行う工程;上記環境は、ゲージ圧が0.01~1MPaであり、1~100%の水蒸気を含み、水熱焼成処理は、300~800℃、好ましくは400~600℃で行われる。
【0022】
本発明が提供するレアアースを含むY型分子篩は、より高い水熱構造安定性およびより高い接触分解活性安定性を有し、コークス選択性が低下しており、重油触媒の分野で広く応用される可能性がある。
【0023】
本発明が提供する前記レアアースを含むY型分子篩の製造方法は、レアアースイオンのスーパーケージからソーダライトケージへの移動を促進することができ、特有の細孔径分布特性を形成することができる。当該方法は簡便であり、操作が容易であり、Y型分子篩のメソポアが顕著に増加する。当該方法は、一定程度の分子篩のメソポアを形成することができ、アクセシビリティを改善することができ、活性中心の利用率を向上させることができる。当該方法は、分子篩結晶の細孔を拡大させる、低コストで排出物が少ない新規な方法である。
【0024】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、BJHモデル計算に基づいて算出した、PAY-1の細孔径分布曲線である。
【0025】
図2は、PAY-1のX線回折(XRD)スペクトルである。
【0026】
図3は、BJHモデル計算に基づいて算出した、DAY-1の細孔径分布曲線である。
【0027】
図4は、BJHモデル計算に基づいて算出した、PDY-1の細孔径分布曲線である。
【0028】
図5は、BJHモデル計算に基づいて算出した、DDY-1の細孔径分布曲線である。
【0029】
図6は、BJHモデル計算に基づいて算出した、PBY-1(曲線a)、DBY-1.1(b曲線)およびPCY-1(A曲線)の細孔径分布曲線を示す。
【0030】
図7は、PBY-1(曲線c)、DBY-1.1(d曲線)およびPCY-1(C曲線)の吸脱着曲線を示す。
【0031】
〔発明を実施するための形態〕
(レアアースを含むY型分子篩)
本発明は、レアアースを含むY型分子篩を提供する。当該分子篩は、2~3nmおよび3~4nmの少なくとも2種類のメソポアの細孔径分布を有する。例えば、当該分子篩は、少なくとも、それぞれ、2~3nm、3~4nmおよび10~30nmの3種類のメソポアの細孔径分布を有する。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、BJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は≧0.05であり、例えば≧0.1、または0.1~0.4である。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、本発明のレアアースを含むY型分子篩は、少なくとも、2~3nm、3~4nm、10~30nmのメソポアの細孔径分布を有することによって特徴づけられる。BJH細孔径分布のグラフにおいて、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.1よりも大きく、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.2よりも大きい。例えば、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.12よりも大きく、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.22よりも大きい。または、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.15よりも大きく、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.25よりも大きい。または、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.18~0.26であり、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.27~0.32である。または、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.12よりも大きく、好ましくは0.15よりも大きく、より好ましくは0.18~0.26であり、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.22よりも大きく、好ましくは0.25よりも大きく、より好ましくは0.27~0.32である。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、本発明のレアアースを含むY型分子篩は、少なくとも、2~3nm、3~4nm、10~30nmの3種類のメソポアの細孔径分布を有することによって特徴づけられる。BJH細孔径分布のグラフにおいて、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.1よりも大きく、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.2よりも大きい。例えば、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.12よりも大きく、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.22よりも大きい。または、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.15よりも大きく、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.25よりも大きい。または、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.18~0.26であり、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.27~0.32である。3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は≧0.05であり、例えば≧0.1、または0.1~0.4である。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、本発明のレアアースを含むY型分子篩のレアアースの含有量は、レアアース酸化物として1~20重量%、例えば2~18重量%、または8~15重量%であり、単位格子定数は2.440~2.470nmであり、結晶化度は30~60%である。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、本発明のレアアースを含むY型分子篩のメソポアの体積は0.03cc/gよりも大きく、例えば0.031cc/gよりも大きく、または0.031cc/g~0.037cc/g、または0.031cc/g~0.057cc/gである。メソポアとは、細孔径2~50nmの細孔を指す。
【0037】
レアアースを含むY型分子篩のX線回折パターンにおいて、2θ=11.8±0.1°のピークは、ソーダライトケージ中のレアアースの分布状況を表わすために用いることができ、I1はそのピーク強度を示す。2θ=12.3±0.1°のピークはスーパーケージ中のレアアースの分布状況を表わすために用いることができ、I2はそのピーク強度を示す。I2に対するI1の比は、レアアースイオンのスーパーケージからソーダライトケージへの移動の度合いを示し、比が高ければ移動の度合いが良く、逆であれば良くない。
【0038】
通常の常圧水蒸気で焼成して得られたレアアースを含むY型分子篩を用いる場合、X線回折パターンにおける2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、通常<4である。
【0039】
本発明のレアアースを含むY型分子篩において、X線回折パターンにおける2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、>4.0、≧4.0、>4.3、≧4.8、≧4.9であってもよく、例えば4.5~6.0であり、例えば4.8~6.0、または4.8~7.0である。
【0040】
(触媒)
本発明は、接触分解触媒も提供する。当該接触分解触媒は、上記レアアースを含むY型分子篩、ならびに無機酸化物バインダおよび/または天然鉱物を含む。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、接触分解触媒は、乾燥重量基準で、20~60重量%のレアアースを含むY型分子篩、10~30重量%の無機酸化物バインダ、および30~50重量%の天然鉱物を含む。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、上記レアアースを含むY型分子篩は、主要な接触分解活性成分である。
【0043】
無機酸化物バインダおよび天然鉱物は、いずれも当技術分野で慣用的に使用されるものである。
【0044】
本発明の接触分解触媒において、前記天然鉱物は、カオリン、ハロサイト、モンモリロナイト、ダイアトマイト、アタパルジャイト、セピオライト、ケラマイト、ハイドロタルサイト、ベントナイトおよびレクトライトから選ばれる少なくとも1つを含む。前記無機酸化物バインダまたはその前駆体は、シリカゾル、アルミナゾル、解膠化擬似ベーマイト、シリカアルミナゾルおよびリン含有アルミナゾルから選ばれる少なくとも1つを含む。
【0045】
本発明の接触分解触媒の製造方法は、以下の工程を含む:レアアースを含むY型分子篩、天然鉱物および無機酸化物バインダを含む、接触分解触媒を製造するための原料と水とを混合して、強く撹拌し、噴霧乾燥し、乾燥重量基準で、前記触媒は、20~60重量%のレアアースを含むY型分子篩、10~30重量%の無機酸化物バインダ、および30~50重量%の天然鉱物を含む。
【0046】
(レアアースを含むY型分子篩の製造方法)
本発明のレアアースを含むY型分子篩の第1の製造方法は、外部から圧力が加わり、外部から水が添加される環境で、レアアースを含むNaY型分子篩を水熱焼成処理する工程を含む。上記環境は、ゲージ圧が0.01~1MPaであり、1~100%の水蒸気を含み、水熱焼成処理は、300~800℃、好ましくは400~600℃で行われる。
【0047】
本発明の方法において、前記レアアースを含むNaY型分子篩は、NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理を行う工程Aを経て得られる。
【0048】
工程Aにおいて、前記レアアース塩溶液は、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムイオンのうち1つ以上を含む塩化物水溶液である。前記アンモニウム塩は、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウム、またはそれらの任意の混合物から選ばれる。
【0049】
本発明の方法において、工程Aは、好ましくはpH=3.0~5.0、水/分子篩の重量比が5~30、室温~100℃の交換温度で行われる。
【0050】
工程Aにおける接触処理の後、工程Aは、通常の濾過、水洗、および乾燥を含み、その目的は、例えば塩素イオンを除去し、続く焼成工程での設備の腐蝕を防止することであり、部分的な脱ナトリウム作用をも行う。
【0051】
本発明の方法において、前記水熱焼成処理は、外部から圧力が加わり、外部から水が添加される環境で行われる。
【0052】
上記環境は、外部から圧力を加え、外部から水を添加することによって得られ、好ましくはゲージ圧が0.1~0.8MPaであり、より好ましくはゲージ圧が0.3~0.6MPaであり、好ましくは前記環境が30~100%の水蒸気を含み、より好ましくは環境が60~100%の水蒸気を含む。
【0053】
前記外部から圧力を加えるとは、水熱焼成処理中の原料に外部から一定の圧力を加えることを指し、例えば、外部から不活性ガスを導入して一定の背圧を維持することによって行われる。
【0054】
外部から添加する前記水の量は、前記環境が1~100%の水蒸気を含むことに準ずる。
【0055】
本発明の方法は、水熱焼成処理後に、アンモニウム交換を行う工程を含んでもよい。
【0056】
前記アンモニウム交換は、室温~100℃の条件で少なくとも0.3時間行われる。分子篩の乾燥重量基準で、レアアースNaY型分子篩とアンモニウム塩と水との重量比率は、1:(0.05~0.5):(5~30)である。
【0057】
本発明のレアアースを含むY型分子篩の第2の製造方法は、以下の工程を含むことを特徴とする:
(1)NaY型分子篩とアンモニウム塩とを部分的にアンモニウム交換して10~80%のナトリウムイオンを除去し、濾過、水洗、および乾燥して、NH4NaY型分子篩を得る工程; (2)工程(1)で得たNH4NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理を行い、濾過、水洗、乾燥して、レアアースを含むNaY型分子篩を得る工程;
(3)外部から圧力が加わり、外部から水が添加される環境で、工程(2)で得たレアアースを含むNaY型分子篩を水熱焼成処理する工程。上記環境は、ゲージ圧が0.01~1MPaであり、1~100%の水蒸気を含み、水熱焼成処理は、300~800℃、好ましくは400~600℃で行われる。
【0058】
本発明の製造方法において、前記工程(1)および工程(2)におけるアンモニウム塩は、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウム、またはそれらの任意の混合物から選ばれる。
【0059】
本発明の製造方法において、前記工程(1)では、NaY型分子篩とアンモニウム塩とを部分的にアンモニウム交換する。その目的は、10~80%、好ましくは20~60%のナトリウムイオンを除去することである。
【0060】
当該工程は、例えば、NaY型分子篩とアンモニウム塩溶液との交換を、室温~100℃のNaY型分子篩交換温度で少なくとも0.3時間行うことを含むことができ、分子篩に対する水の重量比は5~30であり、分子篩に対するアンモニウム塩の重量比は0.01~3である。
【0061】
本発明の製造方法において、前記工程(2)では、前記レアアース塩溶液は、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムイオンのうち1つ以上を含む塩化物水溶液である。
【0062】
本発明の製造方法において、前記工程(2)において、NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理は、NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはアンモニウム塩およびレアアース塩溶液の混合溶液とを、スラリーのpH=3.0~5.0、水/分子篩の重量比が5~30、および室温~100℃の交換温度で、少なくとも0.3時間交換することを含む。
【0063】
工程(2)における接触処理の後、工程(2)は、通常の濾過、水洗、および乾燥をも含み、その目的は、例えば塩素イオンを除去し、続く焼成工程での設備の腐蝕を防止することであり、部分的な脱ナトリウム作用をも行う。
【0064】
本発明の製造方法において、工程(3)の水熱焼成処理は、外部から圧力が加わり、外部から水が添加される環境で行われる。
【0065】
上記環境は、外部から圧力を加え、外部から水を添加することによって得られ、好ましくはゲージ圧が0.1~0.8MPaであり、より好ましくはゲージ圧が0.3~0.6MPaであり、好ましくは環境が30~100%の水蒸気を含み、より好ましくは環境が60~100%の水蒸気を含む。
【0066】
前記外部から圧力を加えるとは、水熱焼成処理中の原料に外部から一定の圧力を加えることを指し、例えば、外部から不活性ガスを導入して一定の背圧を維持することによって行われる。
【0067】
外部から添加する前記水の量は、前記環境が1~100%の水蒸気を含むことに準ずる。
【0068】
本発明の製造方法は、工程(3)の後に、アンモニウム交換を行う工程(4)を含んでもよい。
【0069】
工程(4)のアンモニウム交換は、室温~100℃の条件で少なくとも0.3時間行われる。分子篩の乾燥重量基準で、レアアースNaY型分子篩とアンモニウム塩と水との重量比率は、1:(0.05~0.5):(5~30)である。
【0070】
本発明の上記製造方法によって、独特な細孔径分布の特徴を有する本発明のレアアースを含むY型分子篩を製造し、当該分子篩は少なくとも2~3nm、3~4nmおよび10~30nmのメソポアの細孔径分布を有する。全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.1よりも大きく、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.2よりも大きい。
【0071】
本発明のレアアースを含むY型分子篩の第3の製造方法は、以下の工程を含む:外部から圧力が加わり、外部から酸性物質またはアルカリ性物質を含む水溶液が添加される環境で、レアアースを含むNaY型分子篩を水熱焼成処理する工程、および生成物を回収する工程。上記環境は、ゲージ圧が0.01~1MPaであり、1~100%の水蒸気を含む。
【0072】
本発明の製造方法において、前記レアアースを含むNaY型分子篩は、好ましくはNaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理、次いで濾過、水洗、および乾燥を経て得られる。
【0073】
前記レアアース塩溶液は、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムイオンのうち1つ以上を含む塩化物水溶液である。
【0074】
前記アンモニウム塩は、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウム、またはそれらの任意の混合物から選ばれる。
【0075】
前記NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理は、NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液とを、スラリーのpH=3.0~5.0、水/分子篩の重量比が5~30、室温~100℃の交換温度で、少なくとも0.3時間交換することを含む。
【0076】
本発明の方法において、水熱焼成処理は、外部から圧力が加わり、外部から水が添加される環境で行われる。
【0077】
上記環境は、外部から圧力を加え、外部から水を添加することによって得られ、好ましくはゲージ圧が0.1~0.8MPaであり、より好ましくはゲージ圧が0.3~0.6MPaであり、好ましくは上記環境が30~100%の水蒸気を含み、より好ましくは上記環境が60~100%の水蒸気を含む。
【0078】
前記外部から圧力を加えるとは、水熱焼成処理中の原料に外部から一定の圧力を加えることを指し、例えば、外部から不活性ガスを導入して一定の背圧を維持することによって行われる。
【0079】
外部から添加する前記水の量は、前記環境が1~100%の水蒸気を含むことに準ずる。
【0080】
本発明の方法は、後でアンモニウム交換を行う工程を含んでもよい。
【0081】
アンモニウム交換は、室温~100℃の条件で少なくとも0.3時間行われる。分子篩の乾燥重量基準で、レアアースNaY型分子篩とアンモニウム塩と水との重量比率は、1:(0.05~0.5):(5~30)である。
【0082】
レアアースを含むNaY型分子篩は、ゲージ圧が0.01~0.1MPaであり、1~100%の水蒸気を含む環境、かつ酸性物質またはアルカリ性物質を含む環境で焼成処理される。焼成処理は、好ましくは300~800℃、0.1~0.8MPa、30~100%の水蒸気の環境で少なくとも0.1時間焼成し、より好ましくは400~600℃、0.3~0.6MPa、60~100%の水蒸気の環境で1~3時間焼成する。
【0083】
前記酸性物質は、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、塩酸、硫酸、硝酸、またはそれらの任意の混合物を含む。酸性物質は、好ましくは炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウムから選ばれるか、またはそれらの任意の混合物を含む。前記アルカリ性物質は、アンモニア水、アンモニア水および塩化アンモニウムの緩衝溶液、水酸化ナトリウム、メタアルミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムから選ばれるか、またはそれらの任意の混合物のうち1以上を含む。前記アルカリ性物質は、好ましくはアンモニア水、またはアンモニア水および塩化アンモニウムの緩衝溶液を含む。
【0084】
本発明の製造方法は、生成物であるレアアースNaY型分子篩を、アンモニウム塩水溶液交換処理し、濾過、水洗、および乾燥を経てレアアースを含むY型分子篩を得ることをさらに含んでもよい。
【0085】
交換処理は、室温~100℃の条件で少なくとも0.3時間行われる。分子篩の乾燥重量基準で、レアアースY型分子篩とアンモニウム塩と水との重量比率は、1:(0.05~0.5):(5~30)である。
【0086】
本発明のレアアースを含むY型分子篩の第4の製造方法は、以下の工程を含む:レアアースを含むNaY型分子篩を酸性物質またはアルカリ性物質と接触させて、酸性物質またはアルカリ性物質を含むレアアースを含むNaY型分子篩を得て、外部から圧力が加わり、外部から水が添加される環境で当該レアアースを含むNaY型分子篩を水熱焼成処理する工程。上記環境は、ゲージ圧が0.01~1.0MPaであり、1~100%の水蒸気を含む。
【0087】
本発明の製造方法において、前記レアアースを含むNaY型分子篩は、好ましくはNaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理を行い、濾過、水洗、および乾燥を経る工程Aによって得られる。
【0088】
工程Aにおける前記レアアース塩溶液は、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムイオンのうち1つ以上を含む塩化物水溶液である。
【0089】
工程Aにおける前記アンモニウム塩は、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウム、またはそれらの任意の混合物から選ばれる。
【0090】
工程AにおけるNaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理は通常、NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはアンモニウム塩およびレアアース塩溶液の混合溶液とを、スラリーのpH=3.0~5.0、水/分子篩の重量比が5~30、室温~100℃の交換温度で、少なくとも0.3時間交換することを含む。
【0091】
本発明の製造方法において、酸性物質またはアルカリ性物質を利用して、レアアースを含むNaY型分子篩を改質する。前記酸性物質は、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、塩酸、硫酸、硝酸、またはそれらの任意の混合物を含む。前記アルカリ性物質は、アンモニア水、アンモニア水および塩化アンモニウムの緩衝溶液、水酸化ナトリウム、メタアルミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、またはそれらの任意の混合物のうち1以上を含む。酸性物質またはアルカリ性物質との接触は、含浸または充填などの慣用的な様式でもよい。
【0092】
本発明の製造方法において、前記水熱焼成処理は、外部から圧力が加わり、外部から水が添加される環境で行われる。
【0093】
上記環境は、外部から圧力を加え、外部から水を添加することによって得られ、好ましくはゲージ圧が0.1~0.8MPaであり、より好ましくはゲージ圧が0.3~0.6MPaであり、好ましくは上記環境が30~100%の水蒸気を含み、より好ましくは上記環境が60~100%の水蒸気を含む。
【0094】
前記外部から圧力を加えるとは、水熱焼成処理中の原料に外部から一定の圧力を加えることを指し、例えば、外部から不活性ガスを導入して一定の背圧を維持することによって行われる。
【0095】
外部から添加する前記水の量は、前記環境が1~100%の水蒸気を含むことに準ずる。
【0096】
前記水熱焼成処理は、300~800℃、好ましくは400~600℃で行われる。焼成時間は、少なくとも0.1時間、好ましくは0.5~3時間である。
【0097】
本発明のレアアースを含むY型分子篩の第5の製造方法は、以下の工程を含む:
(1)NaY型分子篩とアンモニウム塩とを部分的にアンモニウム交換して10~80%のナトリウムイオンを除去し、濾過、水洗、および乾燥して、NH4NaY型分子篩を得る工程;
(2)工程(1)で得たNH4NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理を行い、濾過、水洗、および乾燥して、レアアースを含むNaY型分子篩を得る工程;
(3)外部から圧力が加わり、外部から酸性物質またはアルカリ性物質を含む水溶液が添加される環境で、工程(2)で得たレアアースを含むNaY型分子篩を水熱焼成処理するか、または、工程(2)で得たレアアースを含むNaY型分子篩を酸性物質またはアルカリ性物質と接触させて、酸性物質またはアルカリ性物質を含むレアアースを含むNaY型分子篩を得た後、外部から圧力が加わり、外部から水が添加される環境で水熱焼成処理を行う工程;上記環境は、ゲージ圧が0.01~1.0MPa(例えば0.1~0.8MPaまたは0.3~0.6MPa)であり、1~100%(例えば30~100%または60~100%)の水蒸気を含み、水熱焼成処理は、300~800℃、好ましくは400~600℃で行われる。
【0098】
本発明の製造方法において、前記工程(1)および工程(2)におけるアンモニウム塩は、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウム、またはそれらの任意の混合物から選ばれる。
【0099】
本発明の製造方法において、前記工程(1)では、NaY型分子篩とアンモニウム塩とを部分的にアンモニウム交換する目的は、10~80%、好ましくは20~60%のナトリウムイオンを除去することである。
【0100】
当該工程は、例えば、NaY型分子篩とアンモニウム塩溶液との交換は、室温~100℃の交換温度で少なくとも0.3時間行うことを含むことができ、分子篩に対する水の重量比は5~30であり、分子篩に対するアンモニウム塩の重量比は0.01~3である。
【0101】
本発明の製造方法において、前記工程(2)では、前記レアアース塩溶液は、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムイオンのうち1つ以上を含む塩化物水溶液である。
【0102】
本発明の製造方法において、前記工程(2)において、NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理は、NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはアンモニウム塩およびレアアース塩溶液の混合溶液とを、スラリーのpH=3.0~5.0、水/分子篩の重量比が5~30、室温~100℃の交換温度で、少なくとも0.3時間交換することを含む。
【0103】
工程(2)における接触処理の後、前記工程(2)は、通常の濾過、水洗、および乾燥をも含み、その目的は、例えば塩素イオンを除去し、続く焼成工程での設備の腐蝕を防止することであり、部分的な脱ナトリウム作用をも行う。
【0104】
本発明の製造方法において、工程(3)の水熱焼成処理は、外部から圧力が加わり、外部から水が添加される環境で行われる。
【0105】
前記酸性物質は、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、塩酸、硫酸、硝酸、またはそれらの任意の混合物を含み得るが、これらに限定されない。酸性物質は、好ましくは炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、およびそれらの任意の混合物を含み得る。前記アルカリ性物質は、アンモニア水、アンモニア水および塩化アンモニウムの緩衝溶液、水酸化ナトリウム、メタアルミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、またはそれらの任意の混合物を含み得るが、これらに限定されない。前記アルカリ性物質は、好ましくはアンモニア水、またはアンモニア水および塩化アンモニウムの緩衝溶液を含み得る。
【0106】
上記環境は、外部から圧力を加え、外部から水を添加することによって得られ、好ましくはゲージ圧が0.1~0.8MPaであり、より好ましくはゲージ圧が0.3~0.6MPaであり、好ましくは上記環境は30~100%の水蒸気を含み、より好ましくは上記環境は60~100%の水蒸気を含む。
【0107】
前記外部から圧力を加えるとは、水熱焼成処理中の原料に外部から一定の圧力を加えることを指し、例えば、外部から不活性ガスを導入して一定の背圧を維持することによって行われる。
【0108】
外部から添加する、酸性物質またはアルカリ性物質を含む水溶液における水の量は、前記環境が1~100%の水蒸気を含むことに準ずる。
【0109】
本発明の製造方法において、工程(3)の後に、アンモニウム交換を行う工程(4)を含んでもよい。
【0110】
工程(4)のアンモニウム交換は、室温~100℃の条件で少なくとも0.3時間行われる。分子篩の乾燥重量基準で、レアアースNaY型分子篩とアンモニウム塩と水との重量比率は、1:(0.05~0.5):(5~30)である。
【0111】
本発明の上記製造方法によって、独特な細孔径分布の特徴を有する本発明のレアアースを含むY型分子篩を製造し、当該分子篩は少なくとも2~3nm、3~4nmおよび10~30nmのメソポアの細孔径分布を有する。全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.1よりも大きく、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.2よりも大きい。さらに、BJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は≧0.05であり、例えば≧0.1、または0.1~0.4であった。
【0112】
本発明によって提供されるレアアースを含むY型分子篩の製造方法において、焼成は1回だけで含まれてもよく、好ましくは、焼成は1回だけ含まれる。
【0113】
本発明はまた、以下の技術案を提供する:
A1.レアアースを含むY型分子篩であって、2~3nmおよび3~4nmの少なくとも2種類のメソポアの細孔径分布を有する、分子篩。
【0114】
A2.技術案A1に記載の分子篩であって、BJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は≧0.05であり、好ましくは≧0.1であり、より好ましくは0.1~0.4である、分子篩。
【0115】
A3.技術案A1に記載の分子篩であって、レアアースの含有量は、レアアース酸化物として2~18重量%であり、好ましくは8~15重量%であり、単位格子定数は2.440~2.470nmであり、結晶化度は30~60%である、分子篩。
【0116】
A4.技術案A1に記載の分子篩であって、X線回折パターンにおける2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、≧4.0であり、好ましくは4.5~6.0である、分子篩。
【0117】
A5.技術案A1~4のいずれか1つに記載のレアアースを含むY型分子篩の製造方法であって、当該方法は、外部から圧力が加わり、外部から水が添加される環境で、レアアースを含むNaY型分子篩を水熱焼成処理する工程を含むことを特徴とする。上記環境は、ゲージ圧が0.01~1.0MPaであり、1~100%の水蒸気を含む、方法。
【0118】
A6.技術案A5に記載の方法であって、レアアースを含むNaY型分子篩は、NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理を行う工程Aを経て得られる、方法。
【0119】
A7.技術案A6に記載の方法であって、前記レアアース塩溶液は、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムイオンのうち1つ以上を含む塩化物水溶液である、方法。
【0120】
A8.技術案A6に記載の方法であって、前記アンモニウム塩は、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウム、またはそれらの任意の混合物から選ばれる、方法。
【0121】
A9.技術案A6に記載の方法であって、工程Aは、pH=3.0~5.0、水/分子篩の重量比が5~30、室温~100℃の交換温度で行われる、方法。
【0122】
A10.技術案A5に記載の方法であって、上記環境は、好ましくはゲージ圧が0.1~0.8MPaであり、より好ましくは0.3~0.6MPaであり、30~100%の水蒸気を含み、好ましくは60~100%の水蒸気を含む、方法。
【0123】
A11.技術案A5に記載の方法であって、前記水熱焼成処理の工程は、300~800℃、好ましくは400~600℃で行われる、方法。
【0124】
B1.レアアースを含むY型分子篩であって、2~3nm、3~4nmおよび10~30nmのメソポアの細孔径分布を少なくとも有し、BJH細孔径分布のグラフにおいて、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.1よりも大きく、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.2よりも大きい、分子篩。
【0125】
B2.技術案B1に記載の分子篩であって、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.12よりも大きく、好ましくは0.15よりも大きく、より好ましくは0.18~0.26であり、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.22よりも大きく、好ましくは0.25よりも大きく、より好ましくは0.27~0.32である、分子篩。
【0126】
B3.技術案B1に記載の分子篩であって、レアアースの含有量は、レアアース酸化物として2~18重量%であり、好ましくは8~15重量%であり、単位格子定数は2.440~2.470nmであり、結晶化度は30~60%である、分子篩。
【0127】
B4.技術案B1に記載の分子篩であって、X線回折パターンにおける2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、4.0よりも大きく、好ましくは4.3よりも大きく、より好ましくは4.8~6.0である、分子篩。
【0128】
B5.レアアースを含むY型分子篩の製造方法であって、下記の工程を含む:
(1)NaY型分子篩とアンモニウム塩とを部分的にアンモニウム交換して10~80%のナトリウムイオンを除去し、濾過、水洗、および乾燥して、NH4NaY型分子篩を得る工程;
(2)工程(1)で得たNH4NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理を行い、濾過、水洗、および乾燥して、レアアースを含むNaY型分子篩を得る工程;
(3)外部から圧力が加わり、外部から水が添加される環境で、工程(2)で得たレアアースを含むNaY型分子篩を水熱焼成処理する工程であって、上記環境は、ゲージ圧が0.01~1.0MPaであり、1~100%の水蒸気を含む、工程;
方法。
【0129】
B6.技術案B5に記載の方法であって、工程(1)および工程(2)において、アンモニウム塩は、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウム、またはそれらの任意の混合物から選ばれる、方法。
【0130】
B7.技術案B5に記載の方法であって、工程(2)において、レアアース塩溶液は、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムイオンのうち1つ以上を含む塩化物水溶液である、方法。
【0131】
B8.技術案B5に記載の方法であって、工程(2)において、NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液とを、スラリーのpH=3.0~5.0、水/分子篩の重量比が5~30、室温~100℃の交換温度で、少なくとも0.3時間交換する、方法。
【0132】
B9.技術案B5に記載の方法であって、工程(3)の前記環境は、ゲージ圧が0.1~0.8MPaであり、より好ましくは0.3~0.6MPaであり、前記環境が30~100%の水蒸気を含み、好ましくは前記環境が60~100%の水蒸気を含む、方法。
【0133】
B10.技術案B5に記載の方法であって、工程(3)の前記水熱焼成は、300~800℃、好ましくは400~600℃で行われる、方法。
【0134】
C1.レアアースを含むY型分子篩の製造方法であって、下記の工程を含む:外部から圧力が加わり、外部から酸性物質またはアルカリ性物質を含む水溶液が添加される環境で、レアアースを含むNaY型分子篩を水熱焼成処理する工程;および生成物を回収する工程、上記環境は、ゲージ圧が0.01~1.0MPaであり、1~100%の水蒸気を含む;方法。
【0135】
C2.技術案C1に記載の方法であって、前記レアアースを含むNaY型分子篩は、NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理を行い、濾過、水洗、および乾燥して得られる、方法。
【0136】
C3.技術案C2に記載の方法であって、前記レアアース塩溶液は、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムイオンのうち1つ以上を含む塩化物水溶液である、方法。
【0137】
C4.技術案C2に記載の方法であって、前記アンモニウム塩は、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウム、またはそれらの任意の混合物から選ばれる、方法。
【0138】
C5.技術案C2に記載の方法であって、前記NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理は、NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはアンモニウム塩およびレアアース塩溶液の混合溶液とを、スラリーのpH=3.0~5.0、水/分子篩の重量比が5~30、室温~100℃の交換温度で、少なくとも0.3時間交換することを含む、方法。
【0139】
C6.技術案C1または2に記載の方法であって、前記酸性物質は、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、塩酸、硫酸、硝酸、またはそれらの任意の混合物を含む、方法。
【0140】
C7.技術案C1に記載の方法であって、前記アルカリ性物質は、アンモニア水、アンモニア水および塩化アンモニウムの緩衝溶液、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、またはそれらの任意の混合物のうち1以上を含む、方法。
【0141】
C8.技術案C1に記載の方法であって、上記環境は、好ましくはゲージ圧が0.1~0.8MPaであり、より好ましくは0.3~0.6MPaであり、水熱焼成処理温度は300~800℃、好ましくは400~600℃である、方法。
【0142】
C9.技術案C1に記載の方法であって、上記環境は、30~100%の水蒸気を含み、好ましくは60~100%の水蒸気を含む、方法。
【0143】
C10.技術案C1~9のいずれか1つに記載の方法によって得られた、レアアースを含むY型分子篩。
【0144】
C11.技術案C10に記載の分子篩であって、2~3nmおよび3~4nmの少なくとも2種類のメソポアの細孔径分布を有し、そのメソポアの体積は0.03cc/gよりも大きい、分子篩。
【0145】
C12.技術案C10に記載の分子篩であって、前記メソポアの体積は0.031cc/g~0.037cc/gである、分子篩。
【0146】
C13.技術案C10に記載の分子篩であって、X線回折パターンにおける2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、≧4.0であり、好ましくは4.5~6.0である、分子篩。
【0147】
C14.技術案C10に記載の分子篩であって、レアアースの含有量は、レアアース酸化物として2~18重量%であり、好ましくは8~15重量%であり、単位格子定数は2.440~2.470nmであり、結晶化度は30~60%である、分子篩。
【0148】
D1.Y型分子篩の改質方法であって、下記の工程を含む:レアアースを含むNaY型分子篩とアルカリ性物質とを接触させて、アルカリ性物質を含むレアアースを含むNaY型分子篩を得た後、外部から圧力が加わり、外部から水が添加される環境で水熱焼成処理を行う工程であって、上記環境は、ゲージ圧が0.01~1.0MPaであり、1~100%の水蒸気を含む、工程;
方法。
【0149】
D2.技術案D1に記載の方法であって、前記レアアースを含むNaY型分子篩は、NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理を行い、濾過、水洗、および乾燥を経る工程Aによって得られる、方法。
【0150】
D3.技術案D2に記載の方法であって、工程Aにおいて、前記レアアース塩溶液は、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムイオンのうち1つ以上を含む塩化物水溶液である、方法。
【0151】
D4.技術案D2に記載の方法であって、工程Aにおいて、前記アンモニウム塩は、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウム、またはそれらの任意の混合物から選ばれる、方法。
【0152】
D5.技術案D2に記載の方法であって、工程Aは、pH=3.0~5.0、水/分子篩の重量比が5~30、室温~100℃の交換温度で行われる、方法。
【0153】
D6.技術案D1に記載の方法であって、前記アルカリ性物質は、アンモニア水、アンモニア水および塩化アンモニウムの緩衝溶液、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、およびそれらの任意の混合物から選ばれる、方法。
【0154】
D7.技術案D1に記載の方法であって、上記環境は、ゲージ圧が0.1~0.8MPaであり、好ましくは0.3~0.6MPaであり、水熱焼成処理温度は300~800℃、好ましくは400~600℃である、方法。
【0155】
D8.技術案D1またはD7に記載の方法であって、上記環境は、30~100%の水蒸気を含み、好ましくは60~100%の水蒸気を含む、方法。
【0156】
D9.技術案D1~D8のいずれか1つに記載の方法によって得られた、レアアースを含むY型分子篩。
【0157】
D10.技術案D9に記載の分子篩であって、2~3nmおよび3~4nmの少なくとも2種類のメソポアの細孔径分布を有し、そのメソポアの体積は0.031cc/gよりも大きい、分子篩。
【0158】
D11.技術案D9に記載の分子篩であって、前記メソポアの体積は0.031cc/g~0.057cc/gである、分子篩。
【0159】
D12.技術案D9に記載の分子篩であって、X線回折パターンにおける2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、≧4.0であり、好ましくは4.5~6.0である、分子篩。
【0160】
D13.技術案D9に記載の分子篩であって、レアアースの含有量は、レアアース酸化物として2~18重量%であり、好ましくは8~15重量%であり、単位格子定数は2.440~2.470nmであり、結晶化度は30~60%である、分子篩。
【0161】
E1.接触分解触媒であって、無機酸化物バインダ、天然鉱物、およびレアアースを含むY型分子篩を含み、前記レアアースを含むY型分子篩は、2~3nmおよび3~4nmの少なくとも2種類のメソポアの細孔径分布を有することを特徴とする、触媒。
【0162】
E2.技術案E1に記載の触媒であって、当該触媒は、乾燥重量基準で、10~30重量%の無機酸化物バインダ、30~50重量%の天然鉱物、および20~60重量%のレアアースを含むY型分子篩を含む、触媒。
【0163】
E3.技術案E1に記載の触媒であって、前記レアアースを含むY型分子篩は、BJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は≧0.05であり、好ましくは≧0.1であり、より好ましくは0.1~0.4である、触媒。
【0164】
E4.技術案E1に記載の触媒であって、前記レアアースを含むY型分子篩のレアアースの含有量は、レアアース酸化物として1~20重量%であり、好ましくは8~15重量%であり、単位格子定数は2.440~2.470nmであり、結晶化度は30~60%である、触媒。
【0165】
E5.技術案E1に記載の触媒であって、前記レアアースを含むY型分子篩は、X線回折パターンにおける2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、≧4.0であり、好ましくは4.5~6.0である、触媒。
【0166】
E6.技術案E1~E5のいずれか1つに記載の触媒であって、前記レアアースを含むY型分子篩は、外部から圧力が加わり、外部から水が添加される環境で、レアアースを含むNaY型分子篩を水熱焼成処理することを含む工程から得られ、上記環境は、ゲージ圧が0.01~1.0MPaであり、1~100%の水蒸気を含む、触媒。
【0167】
E7.技術案E6に記載の触媒であって、前記レアアースを含むNaY型分子篩は、NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理を行う工程Aから得られ、好ましくは、工程Aは、pH=3.0~5.0、水/分子篩の重量比が5~30、室温~100℃の交換温度で行われる、触媒。
【0168】
E8.技術案E7に記載の触媒であって、前記レアアース塩溶液は、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムイオンのうち1つ以上を含む塩化物水溶液であり、前記アンモニウム塩は、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウム、またはそれらの任意の混合物から選ばれる、触媒。
【0169】
E9.技術案E6に記載の触媒であって、上記環境は、好ましくはゲージ圧が0.1~0.8MPaであり、より好ましくは0.3~0.6MPaであり、30~100%の水蒸気を含み、好ましくは60~100%の水蒸気を含み、水熱焼成処理の工程は、300~800℃、好ましくは400~600℃で行われる、触媒。
【0170】
E10.技術案E1に記載の触媒であって、前記天然鉱物は、カオリン、ハロサイト、モンモリロナイト、ダイアトマイト、アタパルジャイト、セピオライト、ケラマイト、ハイドロタルサイト、ベントナイトおよびレクトライトから選ばれる少なくとも1つであり、前記無機酸化物バインダは、シリカゾル、アルミナゾル、解膠化擬似ベーマイト、シリカアルミナゾルおよびリン含有アルミナゾルから選ばれる少なくとも1つである、触媒。
【0171】
F1.レアアースを含むY型分子篩を含む接触分解触媒であって、レアアースを含むY型分子篩、無機酸化物バインダおよび天然鉱物を含み、前記レアアースを含むY型分子篩は、2~3nmおよび3~4nmのメソポアの細孔径分布を少なくとも有し、BJH細孔径分布のグラフにおいて、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.1よりも大きく、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.2よりも大きい、触媒。
【0172】
F2.技術案F1に記載の触媒であって、当該触媒の乾燥重量基準で、20~60重量%のレアアースを含むY型分子篩、10~30重量%の無機酸化物バインダ、および30~50重量%の天然鉱物を含む、触媒。
【0173】
F3.技術案F1に記載の触媒であって、前記レアアースを含むY型分子篩は、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.12よりも大きく、好ましくは0.15よりも大きく、より好ましくは0.18~0.26であり、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.22よりも大きく、好ましくは0.25よりも大きく、より好ましくは0.27~0.32である、触媒。
【0174】
F4.技術案F1に記載の触媒であって、前記レアアースを含むY型分子篩は、レアアースの含有量が、レアアース酸化物として1~20重量%であり、好ましくは8~15重量%であり、単位格子定数は2.440~2.470nmであり、結晶化度は30~60%である、触媒。
【0175】
F5.技術案F1に記載の触媒であって、前記レアアースを含むY型分子篩は、X線回折パターンにおける2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、4.0よりも大きく、好ましくは4.3よりも大きく、より好ましくは4.8~6.0である、触媒。
【0176】
F6.技術案F1に記載の触媒であって、前記レアアースを含むY型分子篩は、以下の工程を含む方法によって得られる:
(1)NaY型分子篩とアンモニウム塩とを部分的にアンモニウム交換して10~80%のナトリウムイオンを除去し、濾過、水洗、および乾燥して、NH4NaY型分子篩を得る工程;
(2)工程(1)で得たNH4NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理を行い、濾過、水洗、および乾燥して、レアアースを含むNaY型分子篩を得る工程;
(3)外部から圧力が加わり、外部から水が添加される環境で、工程(2)で得たレアアースを含むNaY型分子篩を水熱焼成処理する工程。上記環境は、ゲージ圧が0.01~1.0MPaであり、1~100%の水蒸気を含む;
触媒。
【0177】
F7.技術案F6に記載の触媒であって、前記工程(1)および工程(2)におけるアンモニウム塩は、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウム、またはそれらの任意の混合物から選ばれる;工程(2)におけるレアアース塩溶液は、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムイオンのうち1つ以上を含む塩化物水溶液である、触媒。
【0178】
F8.技術案F6に記載の触媒であって、工程(2)における前記接触処理は、スラリーのpH=3.0~5.0、水/分子篩の重量比が5~30、室温~100℃の交換温度で、少なくとも0.3時間交換することである、触媒。
【0179】
F9.技術案F6に記載の触媒であって、工程(3)の前記環境は、ゲージ圧が0.1~0.8MPaであり、より好ましくは0.3~0.6MPaであり、30~100%の水蒸気を含み、好ましくは60~100%の水蒸気を含み、工程(3)の前記水熱焼成処理は、300~800℃、好ましくは400~600℃で行われる、触媒。
【0180】
F10.技術案F1に記載の触媒であって、前記天然鉱物は、カオリン、ハロサイト、モンモリロナイト、ダイアトマイト、アタパルジャイト、セピオライト、ケラマイト、ハイドロタルサイト、ベントナイトおよびレクトライトから選ばれる少なくとも1つであり;前記無機酸化物バインダは、シリカゾル、アルミナゾル、解膠化擬似ベーマイト、シリカアルミナゾルおよびリン含有アルミナゾルから選ばれる少なくとも1つである、触媒。
【0181】
G1.分解触媒であって、レアアースを含むY型分子篩、無機酸化物バインダおよび天然鉱物を含み、前記レアアースを含むY型分子篩は、2~3nmおよび3~4nmの少なくとも2種類のメソポアの細孔径分布を有し、そのメソポアの体積は0.03cc/gよりも大きいことを特徴とする、分解触媒。
【0182】
G2.技術案G1に記載の分解触媒であって、当該分解触媒の乾燥重量基準で、20~60重量%のレアアースを含むY型分子篩、10~30重量%の無機酸化物バインダ、および30~50重量%の天然鉱物を含む、分解触媒。
【0183】
G3.技術案G1に記載の分解触媒であって、前記メソポアの体積は0.031cc/gよりも大きい、分解触媒。
【0184】
G4.技術案G1に記載の分解触媒であって、前記メソポアの体積は0.031cc/g~0.057cc/gである、分解触媒。
【0185】
G5.技術案G1に記載の分解触媒であって、前記レアアースを含むY型分子篩は、X線回折パターンにおける2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、≧4.0であり、好ましくは4.5~6.0である、分解触媒。
【0186】
G6.技術案G1に記載の分解触媒であって、前記レアアースを含むY型分子篩は、外部から圧力が加わり、外部から酸性物質またはアルカリ性物質を含む水溶液が添加される環境で、レアアースを含むNaY型分子篩を水熱焼成処理する工程1によって得られるか;または、前記レアアースを含むY型分子篩は、レアアースを含むNaY型分子篩をアルカリ性物質と接触させて、アルカリ性物質を含むレアアースを含むNaY型分子篩を得た後、外部から圧力が加わり、外部から水が添加される環境で水熱焼成処理を行う工程2によって得られ、上記環境は、ゲージ圧が0.01~1MPaであり、1~100%の水蒸気を含む、分解触媒。
【0187】
G7.技術案G6に記載の分解触媒であって、前記レアアースを含むNaY型分子篩は、NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理を行い、濾過、水洗、および乾燥を経て得られる、分解触媒。
【0188】
G8.技術案G6に記載の分解触媒であって、前記レアアース塩溶液は、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムイオンのうち1つ以上を含む塩化物水溶液であり、前記アンモニウム塩は、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウム、またはそれらの任意の混合物から選ばれる、分解触媒。
【0189】
G9.技術案G6に記載の分解触媒であって、前記酸性物質は、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、塩酸、硫酸、硝酸、およびそれらの任意の混合物から選ばれる、分解触媒。
【0190】
G10.技術案G6に記載の分解触媒であって、前記アルカリ性物質は、アンモニア水、アンモニア水および塩化アンモニウムの緩衝溶液、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、およびそれらの任意の混合物のうち1以上を含む、分解触媒。
【0191】
G11.技術案G6に記載の分解触媒であって、上記環境は、好ましくはゲージ圧が0.1~0.8MPaであり、より好ましくは0.3~0.6MPaであり、水熱焼成処理温度は、300~800℃、好ましくは400~600℃である、分解触媒。
【0192】
G12.技術案G6に記載の分解触媒であって、上記環境は、30~100%の水蒸気を含み、好ましくは60~100%の水蒸気を含む、分解触媒。
【0193】
G13.技術案G1に記載の分解触媒であって、前記無機酸化物バインダは、シリカゾル、アルミナゾル、解膠化擬似ベーマイト、シリカアルミナゾルおよびリン含有アルミナゾルから選ばれる少なくとも1つであり、前記天然鉱物は、カオリン、ハロサイト、モンモリロナイト、ダイアトマイト、アタパルジャイト、セピオライト、ケラマイト、ハイドロタルサイト、ベントナイトおよびレクトライトから選ばれる少なくとも1つである、分解触媒。
【0194】
H1.レアアースを含むY型分子篩であって、2~3nmおよび3~4nmの少なくとも2種類のメソポアの細孔径分布を有し、前記分子篩のメソポアの体積は0.03cc/gよりも大きく、および/または、前記分子篩のX線回折パターンにおける2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、≧4.0である、分子篩。
【0195】
H2.技術案H1に記載の分子篩であって、当該分子篩のBJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は≧0.05であり、好ましくは≧0.1であり、より好ましくは0.1~0.4である、分子篩。
【0196】
H3.前記技術案のいずれか1つに記載の分子篩であって、レアアースの含有量は、レアアース酸化物として2~18重量%であり、好ましくは8~15重量%であり、単位格子定数は2.440~2.470nmであり、結晶化度は30~60%である、分子篩。
【0197】
H4.前記技術案のいずれか1つに記載の分子篩であって、X線回折パターンにおける2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、≧4.0であり、好ましくは4.5~6.0であり、例えば≧4.8であり、または4.9~7.0である、分子篩。
【0198】
H5.前記技術案のいずれか1つに記載の分子篩であって、当該分子篩のBJH細孔径分布曲線において、10~30nmのメソポアの細孔径分布を有し、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.1よりも大きく、例えば0.12よりも大きく、0.15よりも大きく、より好ましくは0.18~0.26である。全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.2よりも大きく、例えば0.22よりも大きく、0.25よりも大きく、より好ましくは0.27~0.32である、分子篩。
【0199】
H6.前記技術案のいずれか1つに記載の分子篩であって、前記メソポアの体積は0.031cc/g~0.057cc/gである、分子篩。
【0200】
H7.技術案H1~H6のいずれか1つに記載のレアアースを含むY型分子篩の製造方法であって、前記レアアースを含むY型分子篩は、外部から圧力が加わり、外部から酸性物質またはアルカリ性物質を含む水溶液が添加される環境で、レアアースを含むNaY型分子篩を水熱焼成処理する工程によって得られるか;または、前記レアアースを含むY型分子篩は、レアアースを含むNaY型分子篩を酸性物質またはアルカリ性物質と接触させて、酸性物質またはアルカリ性物質を含むレアアースを含むNaY型分子篩を得た後、外部から圧力が加わり、外部から水が添加される環境で水熱焼成処理を行う工程によって得られ、上記環境は、ゲージ圧が0.01~1.0MPaであり、例えば0.1~0.8MPaであり、好ましくは0.3~0.6MPaであり、1~100%の水蒸気を含み、例えば30~100%の水蒸気を含み、好ましくは60~100%の水蒸気を含む、方法。
【0201】
H8.技術案H7に記載の方法であって、前記レアアースを含むNaY型分子篩は、NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理を行う工程Aを経て得られる、方法。
【0202】
H9.技術案H7に記載の方法であって、レアアースを含むNaY型分子篩は、以下の工程(1)および(2)によって得られる:
(1)NaY型分子篩とアンモニウム塩とを部分的にアンモニウム交換して10~80%のナトリウムイオンを除去し、濾過、水洗、および乾燥して、NH4NaY型分子篩を得る工程;
(2)工程(1)で得たNH4NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理を行い、濾過、水洗、および乾燥して、レアアースを含むNaY型分子篩を得る工程;
方法。
【0203】
H10.技術案H7~H9のいずれか1つに記載の方法であって、前記レアアース塩溶液は、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムイオンのうち1つ以上を含む塩化物水溶液である、方法。
【0204】
H11.技術案H7~H10のいずれか1つに記載の方法であって、前記アンモニウム塩は、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウム、またはそれらの任意の混合物から選ばれる、方法。
【0205】
H12.技術案H7~H11のいずれか1つに記載の方法であって、工程Aまたは工程(2)は、pH=3.0~5.0、水/分子篩の重量比が5~30、室温~100℃の交換温度で行われ、任意に、交換時間は少なくとも0.3時間である、方法。
【0206】
H13.技術案H7~H12のいずれか1つに記載の方法であって、上記環境は、ゲージ圧が0.1~0.8MPaであり、より好ましくは0.3~0.6MPaであり、30~100%の水蒸気を含み、好ましくは60~100%の水蒸気を含む、方法。
【0207】
H14.技術案H7~H13のいずれか1つに記載の方法であって、前記水熱焼成処理の工程は、300~800℃、好ましくは400~600℃で行われる、方法。
【0208】
H15.技術案H7~H14のいずれか1つに記載の方法であって、水を有する前記環境は、酸性物質またはアルカリ性物質を含む水溶液を有する環境であり、前記酸性物質は、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、塩酸、硫酸、硝酸、およびそれらの任意の混合物から選ばれ、前記アルカリ性物質は、アンモニア水、アンモニア水および塩化アンモニウムの緩衝溶液、水酸化ナトリウム、メタアルミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、またはそれらの任意の混合物のうち1以上を含む、方法。
【0209】
H16.技術案H7~H15のいずれか1つに記載の方法であって、前記酸性物質またはアルカリ性物質を含む水溶液の質量濃度は、0.1~20%である、方法。
【0210】
H17.接触分解触媒であって、前記接触分解触媒は、20~60重量%の前記技術案1~6のいずれか1つに記載のレアアースを含むY型分子篩、10~30重量%の無機酸化物バインダ、および30~50重量%の天然鉱物を含む、接触分解触媒。
【0211】
H18.技術案H17に記載の接触分解触媒であって、前記天然鉱物は、カオリン、ハロサイト、モンモリロナイト、ダイアトマイト、アタパルジャイト、セピオライト、ケラマイト、ハイドロタルサイト、ベントナイトおよびレクトライトから選ばれる少なくとも1つであり、前記無機酸化物バインダは、シリカゾル、アルミナゾル、解膠化擬似ベーマイト、シリカアルミナゾルおよびリン含有アルミナゾルから選ばれる少なくとも1つである、接触分解触媒。
【0212】
M1.レアアースを含むY型分子篩であって、2~3nmおよび3~4nmの少なくとも2種類のメソポアの細孔径分布を有する、分子篩。
【0213】
M2.技術案M1に記載の分子篩であって、BJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する、2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は≧0.05であり、好ましくは≧0.1であり、より好ましくは0.1~0.4である、分子篩。
【0214】
M3.前記技術案にいずれか1つに記載の分子篩であって、レアアースの含有量は、レアアース酸化物として2~18重量%であり、好ましくは8~15重量%であり、単位格子定数は2.440~2.470nmであり、結晶化度は30~60%である、分子篩。
【0215】
M4.前記技術案にいずれか1つに記載の分子篩であって、X線回折パターンにおける2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、≧4.0であり、好ましくは4.5~6.0であり、例えば≧4.8であり、または4.9~7.0である、分子篩。
【0216】
M5.前記技術案のいずれか1つに記載の分子篩であって、当該分子篩のBJH細孔径分布曲線において、10~30nmのメソポアの細孔径分布を有し、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.1よりも大きく、例えば0.12よりも大きく、0.15よりも大きく、より好ましくは0.18~0.26である。全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.2よりも大きく、例えば0.22よりも大きく、0.25よりも大きく、より好ましくは0.27~0.32である、分子篩。
【0217】
M6.前記技術案のいずれか1つに記載の分子篩であって、当該分子篩のメソポアの体積は0.03cc/gよりも大きく、例えば0.031cc/g~0.037cc/gまたは0.031cc/g~0.057cc/gである、分子篩。
【0218】
M7.技術案M1~M6のいずれか1つに記載のレアアースを含むY型分子篩の製造方法であって、外部から圧力が加わり、外部から水が添加される環境で、レアアースを含むNaY型分子篩を水熱焼成処理する工程を含み、前記環境は、ゲージ圧が0.01~1.0MPaであり、例えば0.1~0.8MPaであり、好ましくは0.3~0.6MPaであり、1~100%の水蒸気を含み、例えば30~100%の水蒸気を含み、好ましくは60~100%の水蒸気を含む、方法。
【0219】
M8.技術案M7に記載の方法であって、前記レアアースを含むNaY型分子篩は、NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理を行う工程Aを経て得られる、方法。
【0220】
M9.技術案M7に記載の方法であって、レアアースを含むNaY型分子篩は、以下の工程(1)および(2)によって得られる:
(1)NaY型分子篩とアンモニウム塩とを部分的にアンモニウム交換して10~80%のナトリウムイオンを除去し、濾過、水洗、および乾燥して、NH4NaY型分子篩を得る工程;
(2)工程(1)で得たNH4NaY型分子篩と、レアアース塩溶液、またはレアアース塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触処理を行い、濾過、水洗、および乾燥して、レアアースを含むNaY型分子篩を得る工程;
方法。
【0221】
M10.技術案M7~M9のいずれか1つに記載の方法であって、水を有する前記環境は、純水を有する環境、または、酸性物質もしくはアルカリ性物質を含む水溶液を有する環境である、方法。
【0222】
M11.技術案M7~M10のいずれか1つに記載の方法であって、前記レアアース塩溶液は、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムイオンのうち1つ以上を含む塩化物水溶液であり;前記アンモニウム塩は、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウム、またはそれらの任意の混合物から選ばれる、方法。
【0223】
M12.技術案M7~M11のいずれか1つに記載の方法であって、工程Aまたは工程(2)は、pH=3.0~5.0、水/分子篩の重量比が5~30、室温~100℃の交換温度で行われ、任意に、交換時間は少なくとも0.3時間である、方法。
【0224】
M13.技術案M7~M12のいずれか1つに記載の方法であって、上記環境は、ゲージ圧が好ましくは0.1~0.8MPaであり、より好ましくは0.3~0.6MPaであり、30~100%の水蒸気を含み、好ましくは60~100%の水蒸気を含む、方法。
【0225】
M14.技術案M7~M13のいずれか1つに記載の方法であって、前記水熱焼成処理の工程は、300~800℃、好ましくは400~600℃で行われる、方法。
【0226】
M15.技術案M7~M14のいずれか1つに記載の方法であって、水を有する前記環境は、酸性物質またはアルカリ性物質を含む水溶液を有する環境であり、前記酸性物質は、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、塩酸、硫酸、硝酸、およびそれらの任意の混合物から選ばれ、前記アルカリ性物質は、アンモニア水、アンモニア水および塩化アンモニウムの緩衝溶液、水酸化ナトリウム、メタアルミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、またはそれらの任意の混合物のうち1以上を含む、方法。
【0227】
M16.技術案M7~M15のいずれか1つに記載の方法であって、前記酸性物質またはアルカリ性物質を含む水溶液の質量濃度は、0.1~20%である、方法。
【0228】
M17.接触分解触媒であって、前記接触分解触媒は、20~60重量%の前記技術案M1~M6のいずれか1つに記載のレアアースを含むY型分子篩、10~30重量%の無機酸化物バインダ、および30~50重量%の天然鉱物を含む、接触分解触媒。
【0229】
M18.技術案M17に記載の接触分解触媒であって、前記天然鉱物は、カオリン、ハロサイト、モンモリロナイト、ダイアトマイト、アタパルジャイト、セピオライト、ケラマイト、ハイドロタルサイト、ベントナイトおよびレクトライトから選ばれる少なくとも1つであり、前記無機酸化物バインダは、シリカゾル、アルミナゾル、解膠化擬似ベーマイト、シリカアルミナゾルおよびリン含有アルミナゾルから選ばれる少なくとも1つである、接触分解触媒。
【0230】
本発明が提供する前記レアアースを含むY型分子篩の製造方法は、レアアースイオンのスーパーケージからソーダライトケージへの移動を促進することができ、特有の細孔径分布特性を形成することができる。前記方法は簡便であり、操作が容易であり、Y型分子篩のメソポアが顕著に増加する。前記方法は、一定程度の分子篩のメソポアを形成することができ、アクセシビリティを改善することができ、活性中心の利用率が向上させることができる。当該方法は、分子篩結晶の細孔を拡大させる、低コストで排出物が少ない新規な方法である。
【0231】
後述する実施例に示すように、本発明が提供するレアアースを含むY型分子篩の製造方法は、独特な細孔径分布特徴を有し、すなわち2~3nmおよび3~4nmの少なくとも2種類のメソポアのナノ細孔径分布を有するレアアースを含むY型分子篩を提供できる。そのメソポアの体積は0.03cc/gよりも大きく、例えば0.031cc/g~0.037cc/gであり、ひいては0.057cc/gに達る。より大きな面積を有するヒステリシスループが提供され得、そのレアアースの含有量は、レアアース酸化物基準で8~15重量%であり、単位格子定数は2.440~2.470nmであり、結晶化度は30~60%である。
【0232】
本発明が提供するレアアースを含むY型分子篩は、より高い水熱構造安定性およびより高い接触分解活性安定性を有し、コークス選択性が低下しており、重油触媒の分野で広く応用される可能性がある。
【0233】
〔実施例〕
以下、実施例を通じて本発明をさらに説明するが、本発明の内容は、これに限定されるものではない。
【0234】
実施例および比較例それぞれにおいて、本発明のレアアースを含むY型分子篩生成物の単位格子定数および結晶化度はX線回折(XRD)によって決定し、生成物の化学組成のXRF分析は理学電機株式会社(日本)3013型X線蛍光分光計によって行い、生成物のBJH細孔径分布曲線は低温窒素吸脱着法によって測定した。
【0235】
(実施例A1)
実施例A1は、本発明のレアアースを含むY型分子篩の製造を説明するものである。当該レアアースを含むY型分子篩は、接触分解触媒の製造に用いることができる。
【0236】
100gのNaY型分子篩(中国石化触媒公司長嶺分公司、焼成減74.1重%、結晶化度89.3%、以下同様)および1800gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、濃度357gのRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液20mLおよび2gの固体塩化アンモニウムを添加した。得られた混合物を、均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.5に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0237】
濾過、水洗、および乾燥した後、外部から圧力を加え、水を添加し、次いで500℃、ゲージ圧0.3MPa、100%水蒸気の環境で2.0時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩のサンプルを得た。これをPAY-1と記す。
【0238】
PAY-1の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は10.1重量%であった。
【0239】
図1は、BJHモデル計算から得られた、PAY-1の細孔径分布曲線である。
【0240】
細孔径分布曲線からわかるように、少なくとも2種類のメソポアの細孔径分布が存在し、それぞれ2~3nmおよび3~4nmの位置にある。両者のピーク面積の比は0.15である。
【0241】
図2は、PAY-1のXRDパターンである。
図2は、PAY-1分子篩が純相のFAU結晶構造を有し、雑結晶が形成されていないことを示す。
【0242】
XRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、5.6であった。
【0243】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0244】
(比較例A1)
比較例A1は、大気圧でのでの水熱焼成によって得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。。
【0245】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧0MPa)であることを除いて、工程は実施例A1と同一であった。
【0246】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDAY-1と記す。
【0247】
DAY-1の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は10.1重量%であった。
【0248】
図3は、BJHモデル計算に基づいて算出した、DAY-1の細孔径分布曲線である。
【0249】
細孔径分布曲線からわかるように、主に1種類のメソポアの細孔径分布が存在し、すなわち3~4nmの位置に1種類のメソポアの細孔径分布が存在するが、2~3nmの位置には他のメソポアの細孔径分布が存在しなかった。
【0250】
このため、BJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であった。
【0251】
DAY-1のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0252】
XRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、3.4であった。
【0253】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0254】
(実施例A2)
実施例A2は、本発明のレアアースを含むY型分子篩の製造を説明するものである。当該レアアースを含むY型分子篩は、接触分解触媒の製造に用いることができる。
【0255】
100gのNaY型分子篩および1000gの脱イオン水を強く混合して撹拌し、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液16mLおよび8gの固体塩化アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を60℃まで上昇させ、希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.0に調整し、恒温で1.5時間撹拌した。
【0256】
濾過、水洗、および乾燥した後、外部から圧力を加え、水を添加し、次いで430℃、ゲージ圧0.8MPa、50%水蒸気の環境で0.5時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPAY-2と記す。
【0257】
PAY-2の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は8.2重量%であった。
【0258】
PAY-2のBJH細孔径分布曲線およびXRDパターンは、それぞれPAY-1のBJH細孔径分布曲線およびXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0259】
BJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.3であった。
【0260】
XRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、4.3であった。
【0261】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0262】
(比較例A2)
比較例A2は、大気圧でのでの水熱焼成によって得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0263】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例A2と同一であった。
【0264】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDAY-2と記す。
【0265】
DAY-2の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は8.2重量%であった。
【0266】
DAY-2のBJH細孔径分布曲線およびXRDパターンは、それぞれDAY-1のBJH細孔径分布曲線およびPAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0267】
BJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であった。
【0268】
XRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、2.8であった。
【0269】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0270】
(実施例A3)
実施例A3は、本発明のレアアースを含むY型分子篩の製造を説明するものである。当該レアアースを含むY型分子篩は、接触分解触媒の製造に用いることができる。
【0271】
100gのNaY型分子篩および2200gの脱イオン水を強く混合して撹拌し、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液24mLを添加した。得られた混合物を均一に撹拌した後、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を3.5まで調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0272】
濾過、水洗、および乾燥した後、外部から圧力を加え、水を添加し、次いで520℃、ゲージ圧0.4MPa、100%水蒸気の環境で1.5時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPAY-3と記す。
【0273】
PAY-3の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は11.4重量%であった。
【0274】
PAY-3のBJH細孔径分布曲線およびXRDパターンは、それぞれPAY-1のBJH細孔径分布曲線およびXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0275】
BJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.25であった。
【0276】
XRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、5.2であった。
【0277】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0278】
(比較例A3)
比較例A3は、大気圧でのでの水熱焼成によって得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0279】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例A3と同一であった。
【0280】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDAY-3と記す。
【0281】
DAY-3の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は11.4重量%であった。
【0282】
DAY-3のBJH細孔径分布曲線およびXRDパターンは、それぞれDAY-1のBJH細孔径分布曲線およびPAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0283】
BJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であった。
【0284】
XRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、3.7であった。
【0285】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0286】
(実施例A4)
実施例A4は、本発明のレアアースを含むY型分子篩の製造を説明するものである。当該レアアースを含むY型分子篩は、接触分解触媒の製造に用いることができる。
【0287】
100gのNaY型分子篩および2800gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、濃度357gのRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液28mLを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を80℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を3.8に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0288】
濾過、水洗、および乾燥した後、外部から圧力を加え、水を添加し、次いで580℃、ゲージ圧0.5MPa、100%水蒸気の環境で2.0時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩のサンプルを得た。これをPAY-4と記す。
【0289】
PAY-4の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は12.6重量%であった。
【0290】
PAY-4のBJH細孔径分布曲線およびXRDパターンは、それぞれPAY-1のBJH細孔径分布曲線およびXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0291】
BJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.22であった。
【0292】
XRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、4.9であった。
【0293】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0294】
(比較例A4)
比較例A4は、大気圧でのでの水熱焼成によって得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0295】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例A4と同一であった。
【0296】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDAY-4と記す。
【0297】
DAY-4の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は12.6重量%であった。
【0298】
DAY-4のBJH細孔径分布曲線およびXRDパターンは、それぞれDAY-1のBJH細孔径分布曲線およびPAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0299】
BJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であった。
【0300】
XRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、3.9であった。
【0301】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0302】
(実施例A5)
実施例A5は、本発明のレアアースを含むY型分子篩の製造を説明するものである。当該レアアースを含むY型分子篩は、接触分解触媒の製造に用いることができる。
【0303】
100gのNaY型分子篩および2000gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、濃度357gのRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液32mLを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.0に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0304】
濾過、水洗、および乾燥した後、外部から圧力を加え、水を添加し、次いで550℃、ゲージ圧0.4MPa、100%水蒸気の環境で1.5時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPAY-5と記す。
【0305】
PAY-5の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は13.4重量%であった。
【0306】
PAY-5のBJH細孔径分布曲線およびXRDパターンは、それぞれPAY-1のBJH細孔径分布曲線およびXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0307】
BJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.23であった。
【0308】
XRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、5.1であった。
【0309】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0310】
(比較例A5)
比較例A5は、大気圧での水熱焼成によって得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0311】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例A5と同一であった。
【0312】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDAY-5と記す。
【0313】
DAY-5の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は13.4重量%であった。
【0314】
DAY-5のBJH細孔径分布曲線およびXRDパターンは、それぞれDAY-1のBJH細孔径分布曲線およびPAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0315】
BJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であった。
【0316】
XRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、4.3であった。
【0317】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0318】
(実施例A6)
実施例A6は、本発明のレアアースを含むY型分子篩の製造を説明するものである。当該レアアースを含むY型分子篩は、接触分解触媒の製造に用いることができる。
【0319】
100gのNaY型分子篩および1800gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液20mLおよび2gの固体塩化アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.5に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0320】
濾過、水洗、および乾燥した後、外部から圧力を加え、水を添加し、次いで430℃、ゲージ圧0.6MPa、100%水蒸気の環境で2.0時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPAY-6と記す。
【0321】
PAY-6の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は10.0重量%であった。
【0322】
PAY-6のBJH細孔径分布曲線およびXRDパターンは、それぞれPAY-1のBJH細孔径分布曲線およびXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0323】
BJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.20であった。
【0324】
XRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、4.7であった。
【0325】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0326】
(比較例A6)
比較例A6は、大気圧での水熱焼成によって得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0327】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例A6と同一であった。
【0328】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDAY-6と記す。
【0329】
DAY-6の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は10.0重量%であった。
【0330】
DAY-6のBJH細孔径分布曲線およびXRDパターンは、それぞれDAY-1のBJH細孔径分布曲線およびPAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0331】
BJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であった。
【0332】
XRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、2.7であった。
【0333】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0334】
(実施例A7)
実施例A7は、本発明のレアアースを含むY型分子篩の製造を説明するものである。当該レアアースを含むY型分子篩は、接触分解触媒の製造に用いることができる。
【0335】
100gのNaY型分子篩および1800gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液20mLおよび2gの固体塩化アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.5に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0336】
濾過、水洗、および乾燥した後、外部から圧力を加え、水を添加し、次いで400℃、ゲージ圧0.8MPa、100%水蒸気の環境で2.0時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPAY-7と記す。
【0337】
PAY-7の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は9.8重量%であった。
【0338】
PAY-7のBJH細孔径分布曲線およびXRDパターンは、それぞれPAY-1のBJH細孔径分布曲線およびXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0339】
BJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.11であった。
【0340】
XRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、4.1であった。
【0341】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0342】
(比較例A7)
比較例A7は、大気圧での水熱焼成によって得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0343】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧0MPa)であることを除いて、工程は実施例A3と同一であった。
【0344】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDAY-7と記す。
【0345】
DAY-7の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は9.8重量%であった。
【0346】
DAY-7のBJH細孔径分布曲線およびXRDパターンは、それぞれDAY-1のBJH細孔径分布曲線およびPAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0347】
BJH細孔径分布曲線において、3~4nmの細孔径分布のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であった。
【0348】
XRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、3.2であった。
【0349】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0350】
(試験例A1)
試験例A1は、本発明のレアアースを含むY型分子篩サンプルの水熱安定性試験の状況を説明するものである。
【0351】
実施例A1~実施例A7のレアアースを含むY型分子篩サンプルPAY-1~PAY-7、比較例D1~比較例D7の比較サンプルDAY-1~DAY-7をそれぞれ塩化アンモニウム溶液と混合および交換し、Na2O%を0.3重量%未満に低減し、濾過、乾燥して、新鮮サンプルを得た。
【0352】
新鮮サンプルを800℃、100%水蒸気の環境で17時間、水熱熟成処理して熟成サンプルを得た。
【0353】
新鮮サンプルの単位格子および結晶化度のデータ、ならびに熟成サンプルの単位格子および結晶化度データは、下記の表に示した。
【0354】
【0355】
本発明が採用したレアアースを含むY型分子篩は、800℃、100%水蒸気の環境で17時間、水熱熟成処理された後も依然として高い結晶化度を有した。結晶化度は、比較サンプルよりも高いことが明らかである。大気圧での水蒸気焼成と比較すると、加圧水蒸気条件下で処理した後のレアアースを含むY型分子篩は、より高い水熱安定性を有しており、水熱安定性は明らかに向上した。
【0356】
(実施例D1)
実施例D1は、本発明のレアアースを含むY型分子篩の製造を説明するものである。当該レアアースを含むY型分子篩は、接触分解触媒の製造に用いることができる。
【0357】
100gのNaY型分子篩および1800gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、10gの固体塩化アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させ、恒温で2.0時間撹拌した。濾過、水洗、および乾燥した後、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液20mLおよび2gの固体塩化アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.5に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0358】
濾過、水洗、および乾燥した後、外部から圧力を加え、水を添加し、次いで500℃、ゲージ圧0.3MPa、100%水蒸気の環境で2.0時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPDY-1と記す。
【0359】
PDY-1の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は10.1重量%であった。
【0360】
図4は、BJHモデル計算に基づいて算出した、PDY-1の細孔径分布曲線である。少なくとも3種類のメソポアの細孔径分布が存在し、それぞれ2~3nm、3~4nmおよび10~30nmの位置に3種類の顕著なメソポア分布が存在する。
【0361】
PDY-1について、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.25であり、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.3であった。
【0362】
PDY-1のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0363】
PDY-1について、XRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、5.8であった。
【0364】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0365】
(比較例D1)
比較例D1は、部分的なアンモニウム交換および大気圧での水熱焼成によって得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0366】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例D1と同一であった。
【0367】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDDY-1と記す。
【0368】
DDY-1の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は10.1重量%であった。
【0369】
図5は、BJHモデル計算に基づいて算出した、DDY-1の細孔径分布曲線である。
【0370】
細孔径分布曲線からわかるように、主に1種類のメソポアの細孔径分布が存在し、すなわち3~4nmの位置に1種類のメソポアの細孔径分布が存在するが、2~3nmおよび10~30nmの位置には他のメソポアの細孔径分布が存在しなかった。
【0371】
DDY-1について、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であり、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であった。
【0372】
DDY-1のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0373】
DDY-1について、XRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、3.5であった。
【0374】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0375】
(実施例D2)
実施例D2は、本発明のレアアースを含むY型分子篩の製造を説明するものである。当該レアアースを含むY型分子篩は、接触分解触媒の製造に用いることができる。
【0376】
100gのNaY型分子篩および1000gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、5gの固体硫酸アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を80℃まで上昇させ、恒温で2.0時間撹拌した。濾過、水洗、および乾燥した後、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液16mLおよび8gの固体塩化アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を60℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.0に調整し、恒温で1.5時間撹拌した。
【0377】
濾過、水洗、および乾燥した後、外部から圧力を加え、水を添加し、次いで430℃、ゲージ圧0.8MPa、50%水蒸気の環境で0.5時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPDY-2と記す。
【0378】
PDY-2の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は8.2重量%であった。
【0379】
PDY-2のBJH細孔径分布曲線は、PDY-1のBJH細孔径分布曲線と相似する特徴を有した。
【0380】
PDY-2について、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.12であり、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.25であった。
【0381】
PDY-2のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0382】
PDY-2について、XRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、4.4であった。
【0383】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0384】
(比較例D2)
比較例D2は、部分的なアンモニウム交換および大気圧での焼成によって得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0385】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例D2と同一であった。
【0386】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDDY-2と記す。
【0387】
DDY-2の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は8.2重量%であった。
【0388】
DDY-2のBJH細孔径分布曲線は、DDY-1のBJH細孔径分布曲線と相似する特徴を有した。
【0389】
DDY-2について、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であり、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であった。
【0390】
DDY-2のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0391】
DDY-2について、XRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、3.2であった。
【0392】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0393】
(実施例D3)
実施例D3は、本発明のレアアースを含むY型分子篩の製造を説明するものである。当該レアアースを含むY型分子篩は、接触分解触媒の製造に用いることができる。
【0394】
100gのNaY型分子篩および2200gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、20gの固体硫酸アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を80℃まで上昇させ、恒温で1.5時間撹拌した。濾過、水洗、および乾燥した後、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液24mLを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を3.5に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0395】
濾過、水洗、および乾燥した後、外部から圧力を加え、水を添加し、次いで520℃、ゲージ圧0.4MPa、100%水蒸気の環境で1.5時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPDY-3と記す。
【0396】
PDY-3の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は11.4重量%であった。
【0397】
PDY-3のBJH細孔径分布曲線は、PDY-1のBJH細孔径分布曲線と相似する特徴を有した。
【0398】
PDY-3について、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.23であり、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.25であった。
【0399】
PDY-3のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0400】
PDY-3について、XRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、5.4であった。
【0401】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0402】
(比較例D3)
比較例D3は、部分的なアンモニウム交換および大気圧での焼成によって得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0403】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例D3と同一であった。
【0404】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDDY-3と記す。
【0405】
DDY-3の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は11.4重量%であった。
【0406】
DDY-3のBJH細孔径分布曲線は、DDY-1のBJH細孔径分布曲線と相似する特徴を有した。
【0407】
DDY-3について、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であり、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であった。
【0408】
DDY-3のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0409】
DDY-3のXRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、4.1であった。
【0410】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0411】
(実施例D4)
実施例D4は、本発明のレアアースを含むY型分子篩の製造を説明するものである。当該レアアースを含むY型分子篩は、接触分解触媒の製造に用いることができる。
【0412】
100gのNaY型分子篩および2800gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、50gの固体塩化アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を60℃まで上昇させ、恒温で2時間撹拌した。濾過、水洗、および乾燥した後、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液28mLを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を80℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を3.8に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0413】
濾過、水洗、および乾燥した後、外部から圧力を加え、水を添加し、次いで580℃、ゲージ圧0.5MPa、100%水蒸気の環境で2.0時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPDY-4と記す。
【0414】
PDY-4の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は12.6重量%であった。
【0415】
PDY-4のBJH細孔径分布曲線は、PDY-1のBJH細孔径分布曲線と相似する特徴を有した。
【0416】
PDY-4について、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.23であり、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.21であった。
【0417】
PDY-4のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0418】
PDY-4のXRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、5.2であった。
【0419】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0420】
(比較例D4)
比較例D4は、部分的なアンモニウム交換および大気圧での焼成によって得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0421】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例D4と同一であった。
【0422】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDDY-4と記す。
【0423】
DDY-4の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は12.6重量%であった。
【0424】
DDY-4のBJH細孔径分布曲線は、DDY-1のBJH細孔径分布曲線と相似する特徴を有した。
【0425】
DDY-4について、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であり、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であった。
【0426】
DDY-4のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0427】
DDY-4のXRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、4.2であった。
【0428】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0429】
(実施例D5)
実施例D5は、本発明のレアアースを含むY型分子篩の製造を説明するものである。当該レアアースを含むY型分子篩は、接触分解触媒の製造に用いることができる。
【0430】
100gのNaY型分子篩および2000gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、200gの固体塩化アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し後、温度を60℃まで上昇させ、恒温で1時間撹拌した。濾過、水洗、および乾燥した後、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液32mLを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.0に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0431】
濾過、水洗、および乾燥した後、外部から圧力を加え、水を添加し、次いで550℃、ゲージ圧0.4MPa、100%水蒸気の環境で1.5時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPDY-5と記す。
【0432】
PDY-5の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は13.4重量%であった。
【0433】
PDY-5のBJH細孔径分布曲線は、PDY-1のBJH細孔径分布曲線と相似する特徴を有した。
【0434】
PDY-5について、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.24であり、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.29であった。
【0435】
PDY-5のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0436】
PDY-5のXRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、5.5であった。
【0437】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0438】
(比較例D5)
比較例D5は、部分的なアンモニウム交換および大気圧での焼成によって得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0439】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例D5と同一であった。
【0440】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDDY-5と記す。
【0441】
DDY-5の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は13.4重量%であった。
【0442】
DDY-5のBJH細孔径分布曲線は、DDY-1のBJH細孔径分布曲線と相似する特徴を有した。
【0443】
DDY-5について、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であり、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であった。
【0444】
DDY-5のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0445】
DDY-5のXRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、4.4であった。
【0446】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0447】
(実施例D6)
実施例D6は、本発明のレアアースを含むY型分子篩の製造を説明するものである。当該レアアースを含むY型分子篩は、接触分解触媒の製造に用いることができる。
【0448】
100gのNaY型分子篩および1800gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、50gの固体硫酸アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させ、恒温で2.0時間撹拌した。濾過、水洗、および乾燥した後、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液20mLおよび2gの固体硫酸アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.5に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0449】
濾過、水洗、および乾燥した後、外部から圧力を加え、水を添加し、次いで430℃、ゲージ圧0.6MPa、100%水蒸気の環境で2.0時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPDY-6と記す。
【0450】
PDY-6の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は10.0重量%であった。
【0451】
PDY-6のBJH細孔径分布曲線は、PDY-1のBJH細孔径分布曲線と相似する特徴を有した。
【0452】
PDY-6について、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.18であり、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.22であった。
【0453】
PDY-6のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0454】
PDY-6のXRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、4.9であった。
【0455】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0456】
(比較例D6)
比較例D6は、部分的なアンモニウム交換および大気圧での焼成によって得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0457】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例D6と同一であった。
【0458】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDDY-6と記す。
【0459】
DDY-6の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は10.0重量%であった。
【0460】
DDY-6のBJH細孔径分布曲線は、DDY-1のBJH細孔径分布曲線と相似する特徴を有した。
【0461】
DDY-6について、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であり、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であった。
【0462】
DDY-6のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0463】
DDY-6のXRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、2.8であった。
【0464】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0465】
(実施例D7)
実施例D7は、本発明のレアアースを含むY型分子篩の製造を説明するものである。当該レアアースを含むY型分子篩は、接触分解触媒の製造に用いることができる。
【0466】
100gのNaY型分子篩および1800gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、20gの固体硫酸アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を80℃まで上昇させ、恒温で2.0時間撹拌した。濾過、水洗、および乾燥した後、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液20mLおよび2gの固体硫酸アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.5に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0467】
濾過、水洗、および乾燥した後、外部から圧力を加え、水を添加し、次いで400℃、ゲージ圧0.8MPa、100%水蒸気の環境で2.0時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPDY-7と記す。
【0468】
PDY-7の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は9.8重量%であった。
【0469】
PDY-7のBJH細孔径分布曲線は、PDY-1のBJH細孔径分布曲線と相似する特徴を有した。
【0470】
PDY-7について、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.13であり、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.21であった。
【0471】
PDY-7のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0472】
PDY-7のXRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、4.4であった。
【0473】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0474】
(比較例D7)
比較例D7は、部分的なアンモニウム交換および大気圧での焼成によって得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0475】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例D7と同一であった。
【0476】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDDY-7と記す。
【0477】
DDY-7の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は9.8重量%であった。
【0478】
DDY-7のBJH細孔径分布曲線は、DDY-1のBJH細孔径分布曲線と相似する特徴を有した。
【0479】
DDY-7について、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であり、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0であった。
【0480】
DDY-7のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0481】
DDY-7のXRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、3.4であった。
【0482】
単位格子および結晶化度のデータは、下記の表に示した。
【0483】
(試験例D1)
試験例D1は、本発明のレアアースを含むY型分子篩サンプルの水熱安定性試験の状況を説明するものである。
【0484】
実施例D1~実施例D7のレアアースを含むY型分子篩サンプルPDY-1~PDY-7、比較例D1~比較例D7の比較サンプルDDY-1~DDY-7を、それぞれ塩化アンモニウム溶液と混合および交換し、Na2O%を0.3重量%未満に低減し、濾過および乾燥して、新鮮サンプルを得た。
【0485】
新鮮サンプルを800℃、100%水蒸気の環境で17時間、水熱熟成処理して熟成サンプルを得た。
【0486】
新鮮サンプルの単位格子および結晶化度のデータ、ならびに熟成サンプルの単位格子および結晶化度データは、下記の表に示した。
【0487】
【0488】
表からわかるように、レアアースを含むY型分子篩サンプルPDY-1~PDY-7は、800℃、100%水蒸気の環境で17時間、水熱熟成処理された後も依然として高い結晶化度を有した。サンプルPDY-1~PDY-7それぞれの結晶化度は、比較サンプルよりも高いことが明らかである。大気圧での水熱焼成と比較すると、本発明の環境条件下で水熱処理によって得られたレアアースを含むY型分子篩は、より高い水熱安定性を有しており、水熱安定性は明らかに向上した。
【0489】
(実施例B1)
実施例B1は、第3の方法によって得られたレアアースを含むY型分子篩を説明するものである。
【0490】
100gのNaY型分子篩および1800gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液20mLおよび2gの固体塩化アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.5に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0491】
濾過、水洗、および乾燥した後、外部から圧力を加え、7gのアンモニア水を添加し、次いで500℃、ゲージ圧0.3MPa、100%水蒸気の環境で2.0時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPBY-1と記す。
【0492】
PBY-1の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は10.1重量%であった。
【0493】
図6における曲線aは、BJHモデル計算に基づいて算出した、PBY-1の細孔径分布曲線である。曲線aからわかるように、少なくとも2種類のメソポアの細孔径分布が存在し、2~3nmの位置に1種類のメソポアの細孔径分布が存在し、3~4nmの位置にもう1種類のメソポアの細孔径分布が存在する。
【0494】
図7における曲線cは、サンプルPBY-1の吸脱着曲線である。曲線cからわかるように、面積が大きいヒステリシスループが存在しており、これは、サンプルPBY-1が豊富なメソポア構造を有することを示す。
【0495】
PBY-1のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。このことは、PBY-1分子篩が純相のFAU結晶構造を有し、不純な結晶が形成されていないことを示している。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0496】
(比較例B1.1)
比較例B1.1は、アンモニア水を添加せずに、大気圧での水熱焼成によって得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0497】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であり、アンモニア水を添加しないことを除いて、工程は実施例B1と同一であった。
【0498】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDBY-1.1と記す。
【0499】
DBY-1.1の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は10.1重量%であった。
【0500】
図6におけるb曲線は、BJHモデル計算に基づいて算出した、比較サンプルDBY-1.1の細孔径分布曲線である。主に1種類のメソポアの細孔径分布が存在し、すなわち3~4nmの位置に1種類のメソポアの細孔径分布が存在するが、2~3nmの位置には他のメソポアの細孔径分布が存在しなかった。
【0501】
図7におけるd曲線は、比較サンプルDBY-1.1の吸脱着曲線である。ヒステリシスループの面積が小さく、このことは、メソポアの体積が比較的小さいことを示す。
【0502】
DBY-1.1のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0503】
(比較例B1.2)
比較例B1.2は、アンモニア水を添加して大気圧での水熱焼成によって得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0504】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例B1と同一であった。
【0505】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDBY-1.2と記す。
【0506】
DBY-1.2の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は10.1重量%であった。
【0507】
BJHモデル計算に基づいて算出した、DBY-1.2の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のb曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のd曲線と同一であった。
【0508】
DBY-1.2のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0509】
(実施例C1)
実施例C1は、第4の方法によって得られたレアアースを含むY型分子篩を説明するものである。
【0510】
100gのNaY型分子篩および1800gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液20mLおよび2gの固体塩化アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.5に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0511】
濾過、水洗および乾燥した後、含浸によって7gのアンモニア水を充填し、乾燥した後、次いで500℃、ゲージ圧0.3MPa、100%水蒸気の環境で2.0時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPCY-1と記す。
【0512】
PCY-1の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は10.1重量%であった。
【0513】
図6におけるA曲線は、BJHモデル計算に基づいて算出した、サンプルPCY-1の細孔径分布曲線である。A曲線からわかるように、少なくとも2種類のメソポアの細孔径分布が存在し、それぞれ2~3nmおよび3~4nmの位置にある。
【0514】
図7におけるC曲線は、サンプルPCY-1の吸脱着曲線である。C曲線からわかるように、サンプルPCY-1の吸脱着曲線には、面積が大きいヒステリシスループが存在しており、これは、サンプルPCY-1が豊富なメソポア構造を有することを示す。
【0515】
サンプルPCY-1のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。このことから、PCY-1分子篩が純相のFAU結晶構造を有し、不純な結晶が形成されていないことが明らかである。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0516】
(比較例C1)
比較例C1は、含浸によってアンモニア水を充填し、大気圧で水熱焼成することによって得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0517】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例C1と同一であった。
【0518】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDCY-1と記す。
【0519】
DCY-1の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は10.1重量%であった。
【0520】
BJHモデル計算に基づいて算出した、DCY-1の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のb曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のd曲線と同一であった。
【0521】
DCY-1のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0522】
(実施例B2)
実施例B2は、第3の方法によって得られたレアアースを含むY型分子篩を説明するものである。
【0523】
100gのNaY型分子篩および1000gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液16mLおよび8gの固体塩化アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を60℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.0に調整し、恒温で1.5時間撹拌した。
【0524】
濾過、水洗、および乾燥した後、外部から圧力を加え、10gの塩化アンモニウムを含む塩化アンモニウムの水溶液を添加し、次いで430℃、ゲージ圧0.8MPa、100%水蒸気の環境で0.5時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPBY-2と記す。
【0525】
PBY-2の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は8.2重量%であった。
【0526】
BJHモデル計算に基づいて算出した、PBY-2の細孔径分布曲線の特徴は、
図6の曲線aと同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7の曲線cと同一であった。
【0527】
PBY-2のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0528】
(比較例B2.1)
比較例B2.1は、塩化アンモニウムを添加せずに大気圧での水熱焼成によって得られた、レアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0529】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であり、塩化アンモニウムを添加しないことを除いて、工程は実施例B2と同一であった。
【0530】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDBY-2.1と記す。
【0531】
DBY-2.1の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は8.2重量%であった。
【0532】
BJHモデル計算に基づいて算出した、DBY-2.1の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のb曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のd曲線と同一であった。
【0533】
DBY-2.1のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0534】
(比較例B2.2)
比較例B2.2は、塩化アンモニウムを添加して大気圧での水熱焼成によって得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0535】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例B2と同一であった。
【0536】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDBY-2.2と記す。
【0537】
DBY-2.2の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は8.2重量%であった。
【0538】
BJHモデル計算に基づいて算出した、DBY-2.2の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のb曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のd曲線と同一であった。
【0539】
DBY-2.2のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0540】
(実施例C2)
実施例C2は、第4の方法によって得られたレアアースを含むY型分子篩を説明するものである。
【0541】
100gのNaY型分子篩および1000gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液16mLおよび8gの固体塩化アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を60℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.0に調整し、恒温で1.5時間撹拌した。
【0542】
濾過、水洗、および乾燥した後、含浸によって7gの塩化アンモニウムを充填し、乾燥した後、次いで430℃、ゲージ圧0.8MPa、100%水蒸気の環境で0.5時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPCY-2と記す。
【0543】
PCY-2の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は8.2重量%であった。
【0544】
BJHモデル計算に基づいて算出した、PCY-2の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のA曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のC曲線と同一であった。
【0545】
PCY-2のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0546】
(比較例C2)
比較例C2は、含浸によって塩化アンモウムを充填し、大気圧での水熱焼成を行うことによって得られた、レアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0547】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例C2と同一であった。
【0548】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDCY-2と記す。
【0549】
DCY-2の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は8.2重量%であった。
【0550】
BJHモデル計算に基づいて算出した、DCY-2の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のb曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のd曲線と同一であった。
【0551】
DCY-2のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0552】
(実施例B3)
実施例B3は、第3の方法によって得られたレアアースを含むY型分子篩を説明するものである。
【0553】
100gのNaY型分子篩および2200gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液24mLを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を3.5に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0554】
濾過、水洗、および乾燥した後、6重量%の重炭酸アンモニウムを含む水溶液を添加し、次いで520℃、ゲージ圧0.4MPa、100%水蒸気の環境で1.5時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩のサンプルを得た。これをPBY-3と記す。
【0555】
PBY-3の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は11.4重量%であった。
【0556】
BJHモデル計算に基づいて算出した、PBY-3の細孔径分布曲線の特徴は、
図6の曲線aと同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7の曲線cと同一であった。
【0557】
PBY-3のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0558】
(比較例B3.1)
比較例B3.1は、重炭酸アンモニウムを添加せずに大気圧での水熱焼成を行うことによって得られた、レアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0559】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であり、重炭酸アンモニウムを添加しないことを除いて、工程は実施例B3と同一であった。
【0560】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDBY-3.1と記す。
【0561】
DBY-3.1の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は11.4重量%であった。
【0562】
BJHモデル計算に基づいて算出した、DBY-3.1の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のb曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のd曲線と同一であった。
【0563】
DBY-3.1のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0564】
(比較例B3.2)
比較例B3.2は、重炭酸アンモニウムを添加せず、大気圧での水熱焼成を行うことによって得られた、レアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0565】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例B3と同一であった。
【0566】
得られたレアアースを含むY型分子篩をDBY-3.2と記す。
【0567】
DBY-3.2の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は11.4重量%であった。
【0568】
BJHモデル計算に基づいて算出した、DBY-3.2の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のb曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のd曲線と同一であった。
【0569】
DBY-3.2のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0570】
(実施例C3)
実施例C3は、第4の方法によって得られたレアアースを含むY型分子篩を説明するものである。
【0571】
100gのNaY型分子篩および2200gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液24mLを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を3.5に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0572】
濾過、水洗、および乾燥した後、含浸によって12gの重炭酸アンモニウムを充填し、乾燥した後、次いで520℃、ゲージ圧0.4MPa、100%水蒸気の環境で1.5時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPCY-3と記す。
【0573】
PCY-3の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は11.4重量%であった。
【0574】
BJHモデル計算に基づいて算出した、PCY-3の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のA曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のC曲線と同一であった。
【0575】
PCY-3のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0576】
(比較例C3)
比較例C3は、含浸によって重炭酸アンモウムを充填して、大気圧での水熱焼成を行うことによって得られた、レアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0577】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例C3と同一であった。
【0578】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDCY-3と記す。
【0579】
DCY-3の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は11.4重量%であった。
【0580】
BJHモデル計算に基づいて算出した、DCY-3の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のb曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のd曲線と同一であった。
【0581】
DCY-3のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0582】
(実施例B4)
実施例B4は、第3の方法によって得られたレアアースを含むY型分子篩を説明するものである。
【0583】
100gのNaY型分子篩および2800gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液28mLを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を80℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を3.8に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0584】
濾過、水洗、および乾燥した後、9重量%の炭酸ナトリウムを含む水溶液を添加し、次いで580℃、ゲージ圧0.5MPa、100%水蒸気の環境で2.0時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩のサンプルを得た。これをPBY-4と記す。
【0585】
PBY-4の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は12.6重量%であった。
【0586】
BJHモデル計算に基づいて算出した、PBY-4の細孔径分布曲線の特徴は、
図6の曲線aと同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7の曲線cと同一であった。
【0587】
PBY-4のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0588】
(比較例B4.1)
比較例B4.1は、炭酸ナトリウムを添加せずに、大気圧での水熱焼成を行うことによって得られた、レアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0589】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であり、炭酸ナトリウムを添加しないことを除いて、工程は実施例B4と同一であった。
【0590】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDBY-4.1と記す。
【0591】
DBY-4.1の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は12.6重量%であった。
【0592】
BJHモデル計算に基づいて算出した、DBY-4.1の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のb曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のd曲線と同一であった。
【0593】
DBY-4.1のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0594】
(比較例B4.2)
比較例B4.2は、炭酸ナトリウムを添加して大気圧での水熱焼成を行うことによって得られた、レアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0595】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例B4と同一であった。
【0596】
得られたレアアースを含むY型分子篩をDBY-4.2と記す。
【0597】
DBY-4.2の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は12.6重量%であった。
【0598】
BJHモデル計算に基づいて算出した、DBY-4.2の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のb曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のd曲線と同一であった。
【0599】
DBY-4.2のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0600】
(実施例C4)
実施例C4は、第4の方法によって得られたレアアースを含むY型分子篩を説明するものである。
【0601】
100gのNaY型分子篩および2800gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液28mLを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を80℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を3.8に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0602】
濾過、水洗、および乾燥した後、含浸によって9gの炭酸ナトリウムを充填し、乾燥した後、次いで580℃、ゲージ圧0.5MPa、100%水蒸気の環境で2.0時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPCY-4と記す。
【0603】
PCY-4の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は12.6重量%であった。
【0604】
BJHモデル計算に基づいて算出した、PCY-4の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のA曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のC曲線と同一であった。
【0605】
PCY-4のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0606】
(比較例C4)
比較例C4は、含浸によって炭酸ナトリウムを充填して、大気圧での水熱焼成を行うことによって得られた、レアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0607】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例C4と同一であった。
【0608】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDCY-4と記す。
【0609】
DCY-4の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は12.6重量%であった。
【0610】
BJHモデル計算に基づいて算出した、DCY-4の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のb曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のd曲線と同一であった。
【0611】
DCY-4のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0612】
(実施例B5)
実施例B5は、第3の方法によって得られたレアアースを含むY型分子篩を説明するものである。
【0613】
100gのNaY型分子篩および2000gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液32mLを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.0に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0614】
濾過、水洗、および乾燥した後、10gの塩化アンモニウムを含む塩化アンモニウムとアンモニア水との緩衝溶液を添加し、次いで550℃、ゲージ圧0.4MPa、100%水蒸気の環境で1.5時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩のサンプルを得た。これをPBY-5-1と記す。
【0615】
PBY-5の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は13.4重量%であった。
【0616】
BJHモデル計算に基づいて算出した、PBY-5の細孔径分布曲線の特徴は、
図6の曲線aと同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7の曲線cと同一であった。
【0617】
PBY-5のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0618】
(比較例B5.1)
比較例B5.1は、塩化アンモニウムとアンモニア水との緩衝溶液を添加せずに、大気圧での水熱焼成を行うことによって得られた、レアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0619】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であり、塩化アンモニウムとアンモニア水との緩衝溶液を添加しないことを除いて、工程は実施例B5と同一であった。
【0620】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDBY-5.1と記す。
【0621】
DBY-5.1の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は13.4重量%であった。
【0622】
BJHモデル計算に基づいて算出した、DBY-5.1の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のb曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のd曲線と同一であった。
【0623】
DBY-5.1のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0624】
(比較例B5.2)
比較例B5.2は、塩化アンモニウムとアンモニア水との緩衝溶液を添加せず、大気圧での水熱焼成を行うことによって得られた、レアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0625】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例B5と同一であった。
【0626】
得られたレアアースを含むY型分子篩をDBY-5.2と記す。
【0627】
DBY-5.2の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は13.4重量%であった。
【0628】
BJHモデル計算に基づいて算出した、DBY-5.2の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のb曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のd曲線と同一であった。
【0629】
DBY-5.2のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0630】
(実施例C5)
実施例C5は、第4の方法によって得られたレアアースを含むY型分子篩を説明するものである。
【0631】
100gのNaY型分子篩および2000gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液32mLを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.0に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0632】
濾過、水洗、および乾燥した後、含浸によって塩化アンモニウムとアンモニア水との緩衝溶液10gを充填し、乾燥した後、次いで550℃、ゲージ圧0.4MPa、100%水蒸気の環境で1.5時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPCY-5と記す。
【0633】
PCY-5の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は13.4重量%であった。
【0634】
BJHモデル計算に基づいて算出した、PCY-5の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のA曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のC曲線と同一であった。
【0635】
PCY-5のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0636】
(比較例C5)
比較例C5は、含浸によって塩化アンモニウムとアンモニア水との緩衝溶液を充填して、大気圧での水熱焼成を行うことによって得られた、レアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0637】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例C5と同一であった。
【0638】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDCY-5と記す。
【0639】
DCY-5の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は13.4重量%であった。
【0640】
BJHモデル計算に基づいて算出した、DCY-5の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のb曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のd曲線と同一であった。
【0641】
DCY-5のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0642】
(実施例B6)
実施例B6は、第3の方法によって得られたレアアースを含むY型分子篩を説明するものである。
【0643】
100gのNaY型分子篩および1800gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液20mLおよび2gの固体塩化アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.5に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0644】
濾過、水洗、および乾燥した後、塩酸水溶液(6重量%)を添加し、次いで430℃、ゲージ圧0.6MPa、100%水蒸気の環境で2.0時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩のサンプルを得た。これをPBY-6と記す。
【0645】
PBY-6の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は10.0重量%であった。
【0646】
BJHモデル計算に基づいて算出した、PBY-6の細孔径分布曲線の特徴は、
図6の曲線aと同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7の曲線cと同一であった。
【0647】
PBY-6のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0648】
(比較例B6.1)
比較例B6.1は、塩酸を添加せずに、大気圧での水熱焼成を行うことによって得られた、レアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0649】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であり、塩酸を添加しないことを除いて、工程は実施例B6と同一であった。
【0650】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDBY-6.1と記す。
【0651】
DBY-6.1の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は10.0重量%であった。
【0652】
BJHモデル計算に基づいて算出した、DBY-6.1の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のb曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のd曲線と同一であった。
【0653】
DBY-6.1のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0654】
(比較例B6.2)
比較例B6.2は、塩酸を添加して、大気圧での水熱焼成を行うことによって得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0655】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例B6と同一であった。
【0656】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDBY-6.2と記す。
【0657】
DBY-6.2の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は10.0重量%であった。
【0658】
BJHモデル計算に基づいて算出した、DBY-6.2の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のb曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のd曲線と同一であった。
【0659】
DBY-6.2のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0660】
(実施例C6)
実施例C6は、第4の方法によって得られたレアアースを含むY型分子篩を説明するものである。
【0661】
100gのNaY型分子篩および1800gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液20mLおよび2gの固体塩化アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌した後、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.5に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0662】
濾過、水洗、および乾燥した後、含浸によって2gの塩酸溶液を充填し、乾燥した後、次いで430℃、ゲージ圧0.6MPa、100%水蒸気の環境で2.0時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPCY-6と記す。
【0663】
PCY-6の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は10.0重量%であった。
【0664】
BJHモデル計算に基づいて算出した、PCY-6の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のA曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のC曲線と同一であった。
【0665】
PCY-6のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0666】
(比較例C6)
比較例C6は、含浸によって塩酸を充填して、大気圧での水熱焼成を行うことによって得られた、レアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0667】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例C6と同一であった。
【0668】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDCY-6と記す。
【0669】
DCY-6の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は10.0重量%であった。
【0670】
BJHモデル計算に基づいて算出した、DCY-6の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のb曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のd曲線と同一であった。
【0671】
DCY-6のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0672】
(実施例B7)
実施例B7は、第3の方法によって得られたレアアースを含むY型分子篩を説明するものである。
【0673】
100gのNaY型分子篩および1800gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液20mLおよび2gの固体塩化アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.5に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0674】
濾過、水洗、および乾燥した後、水酸化ナトリウム水溶液(6重量%)を添加し、次いで400℃、ゲージ圧0.8MPa、100%水蒸気の環境で2.0時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩のサンプルを得た。これをPBY-7と記す。
【0675】
PBY-7の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は9.8重量%であった。
【0676】
BJHモデル計算に基づいて算出した、PBY-7の細孔径分布曲線の特徴は、
図6の曲線aと同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7の曲線cと同一であった。
【0677】
PBY-7のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0678】
(比較例B7.1)
比較例B7.1は、固体水酸化ナトリウムを添加せずに、大気圧での水熱焼成を行うことによって得られた、レアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0679】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であり、固体水酸化ナトリウムを添加しないことを除いて、工程は実施例B7と同一であった。
【0680】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDBY-7.1と記す。
【0681】
DBY-7.1の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は9.8重量%であった。
【0682】
BJHモデル計算に基づいて算出した、DBY-7.1の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のb曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のd曲線と同一であった。
【0683】
DBY-7.1のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0684】
(比較例B7.2)
比較例B7.2は、固体水酸化ナトリウムを添加して、大気圧での水熱焼成を行うことによって得られた、レアアースを含むY型分子篩の比較サンプルである。
【0685】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例B7と同一であった。
【0686】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDBY-7.2と記す。
【0687】
DBY-7.2の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は11.4重量%であった。
【0688】
BJHモデル計算に基づいて算出した、DBY-7.2の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のb曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のd曲線と同一であった。
【0689】
DBY-7.2のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0690】
(実施例C7)
実施例C7は、第4の方法によって得られたレアアースを含むY型分子篩を説明するものである。
【0691】
100gのNaY型分子篩および1800gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液20mLおよび2gの固体塩化アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌した後、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.5に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0692】
濾過、水洗、および乾燥した後、含浸によって3gの固体水酸化ナトリウムを充填し、乾燥した後、次いで400℃、ゲージ圧0.8MPa、100%水蒸気の環境で2.0時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩サンプルを得た。これをPCY-7と記す。
【0693】
PCY-7の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は9.8重量%であった。
【0694】
BJHモデル計算に基づいて算出した、PCY-7の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のA曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のC曲線と同一であった。
【0695】
PCY-7のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0696】
(比較例C7)
比較例C7は、含浸によって水酸化ナトリウムを充填して、大気圧での水熱焼成を行うことによって得られた、レアアースを含むY型分子篩の比較サンプルを説明するものである。
【0697】
焼成条件が大気圧(ゲージ圧:0MPa)であることを除いて、工程は実施例C7と同一であった。
【0698】
得られたレアアースを含むY型分子篩の比較サンプルをDCY-7と記す。
【0699】
DCY-7の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は9.8重量%であった。
【0700】
BJHモデル計算に基づいて算出した、DCY-7の細孔径分布曲線の特徴は、
図6のb曲線と同一であり、吸脱着曲線の特徴は、
図7のd曲線と同一であった。
【0701】
DCY-7のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。XRD特性パラメータおよび細孔パラメータは、下記の表に示した。
【0702】
【0703】
表のデータからわかるように、本発明の製造方法によって得られたレアアースを含むY型分子篩のメソポア面積およびメソポアの体積はいずれも、比較例で製造したサンプルのそれよりも有意に高かった。結晶化度は、環境を調整した加圧水熱焼成を採用することによって、Y型分子篩のメソポアの豊富度を有意に増加させることができ、一定程度の分子篩のメソポアを形成することができることを示した。
【0704】
(実施例E)
実施例Eは、本発明のレアアースを含むY型分子篩の製造を説明するものである。当該レアアースを含むY型分子篩は、接触分解触媒の製造に用いることができる。
【0705】
100gのNaY型分子篩および1800gの脱イオン水を強く混合および撹拌し、10gの固体塩化アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させ、恒温で2.0時間撹拌した。濾過、水洗および乾燥した後、濃度357gRE2O3/Lの塩化レアアース塩溶液20mLおよび2gの固体塩化アンモニウムを添加した。得られた混合物を均一に撹拌し、温度を70℃まで上昇させた。希塩酸を用いてスラリーのpH値を4.5に調整し、恒温で1.0時間撹拌した。
【0706】
濾過、水洗、および乾燥した後、外部から圧力を加え、7gのアンモニア水を添加し、次いで500℃、ゲージ圧0.3MPa、100%水蒸気の環境で2.0時間、加圧水熱焼成処理を行い、レアアースを含むY型分子篩のサンプルを得た。これをPEY-1と記す。
【0707】
PEY-1の化学組成において、レアアース酸化物の含有量は10.1重量%であった。
【0708】
BJHモデル計算に基づいて算出した、PEY-1の細孔径分布曲線には、少なくとも3種類のメソポアの細孔径分布が存在し、それぞれ2~3nm、3~4nmおよび10~30nmの位置に3種類の顕著なメソポアの細孔径分布が存在した。
【0709】
PEY-1について、全細孔のピーク面積に対する2~3nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.25であり、全細孔のピーク面積に対する10~30nmの細孔径分布のピーク面積の比は0.3であった。
【0710】
PEY-1のXRDパターンは、PAY-1のXRDパターンと相似する特徴を有した。
【0711】
PEY-1のXRDパターンに示すように、2θ=12.3±0.1°のピークの強度I2に対する、2θ=11.8±0.1°のピークの強度I1の比は、6.3であった。
【0712】
以下の実施例は、本発明が提供する接触分解触媒を説明するものである。
【0713】
用いられた原材料の特性は、以下の通りである:
カオリン(蘇州中国カオリン公司、固体含有量75重量%)
アルミナゾル(斉魯触媒分公司、アルミナ含有量21.5重量%)
解膠化擬似ベーマイト(固体含有量10重量%)
【0714】
触媒性能試験にはWu-混合トリプルオイルを用いた。その主な特性は、以下の通りである。
【0715】
【0716】
(実施例A8~実施例A14)
擬似ベーマイトおよび脱イオン水を強く混合および撹拌し、得られたスラリーに36重量%の塩酸を添加して、解膠させた。酸とアルミニウムとの比(ドライベースの擬似ベーマイトに対する、36重量%の塩酸の重量比)は0.20であった。混合物の温度を65℃まで上昇させて1時間酸化させ、ドライベースのカオリンのスラリーおよびアルミナゾルをそれぞれ添加し、混合物を20分撹拌した後、ドライベースの、レアアースを含むY型分子篩サンプルPAY-1~PAY-7をそれぞれ添加し、30分撹拌して、固体含有量30重量%のスラリーを得、噴霧乾燥させて、マイクロスフェア触媒を製造した。
【0717】
その後、マイクロスフェア触媒を500℃で1時間焼成した後、酸化ナトリウムの含有量が0.30重量%未満になるまで、60℃の塩化アンモニウム水溶液で水洗(塩化アンモニウム:マイクロスフェア触媒:水=0.2:1:10)した。次いで、脱イオン水で複数回の水洗および濾過を行い、120℃の恒温オーブンに載置して、12時間乾燥させた。得られた触媒をそれぞれAC-1~AC-7と記す。ドライベースの触媒の具体的な配合比は、下記の表に示した。
【0718】
(比較例A8~比較例A14)
実施例A8のレアアースを含むY型分子篩を、それぞれ比較例A1~比較例A7で製造したレアアースを含むY型分子篩比較サンプルDAY-1~DAY-7に置き換えたことを除いて、実施例A8と同一の工程で触媒を製造した。得られた比較触媒をそれぞれDAC-1~DAC7と記す。比較触媒の具体的な配合比は、下記の表に示した。
【0719】
【0720】
(試験例A2)
試験例A2は、本発明の接触分解触媒の技術的な効果を説明するものである。
【0721】
上記触媒サンプルAC-1~AC-7、および比較触媒サンプルDAC-1~DAC-7を、800℃、100%水蒸気の環境で17時間、水熱熟成処理に供した後、重油微量活性評価を行った。
【0722】
重油微量活性評価条件:触媒充填量5g、原料油はWu-混合トリプルオイル、給油量は1.384g、反応温度は500℃、再生温度は600℃であった。
【0723】
評価結果は、下記の表に示した。本発明の接触分解触媒は、優れた重油転化能力および高いガソリン収率を有する。
【0724】
【0725】
(実施例D8~実施例D14)
擬似ベーマイトおよび脱イオン水を強く混合および撹拌し、得られたスラリーに36重量%の塩酸を添加して、解膠させた。酸とアルミニウムとの比(ドライベースの擬似ベーマイトに対する、36重量%の塩酸の重量比)は0.20であった。混合物の温度を65℃まで上昇させて1時間酸化させ、ドライベースのカオリンのスラリーおよびアルミナゾルをそれぞれ添加し、混合物を20分撹拌した後、ドライベースのレアアースを含むY型分子篩サンプルPDY-1~PDY-7をそれぞれ添加し、30分撹拌して、固体含有量30重量%のスラリーを得、噴霧乾燥させて、マイクロスフェア触媒を製造した。
【0726】
その後、マイクロスフェア触媒を500℃で1時間焼成した後、酸化ナトリウムの含有量が0.30重量%未満になるまで、60℃の塩化アンモニウム水溶液で水洗(塩化アンモニウム:マイクロスフェア触媒:水=0.2:1:10)した。次いで、脱イオン水で複数回の水洗および濾過を行い、120℃の恒温オーブンに載置して、12時間乾燥させた。得られた触媒をそれぞれDC-1~DC-7と記す。ドライベースの触媒の具体的な配合比は、下記の表に示した。
【0727】
(比較例D8~比較例D14)
実施例D8のレアアースを含むY型分子篩を、それぞれ比較例D1~比較例D7で製造したレアアースを含むY型分子篩比較サンプルDDY-1~DDY-7に置き換えたことを除いて、実施例D8と同一の工程で触媒を製造した。得られた比較触媒をそれぞれDDC-1~DDC7と記す。ドライベースの触媒の具体的な配合比は、下記の表に示した。
【0728】
【0729】
(試験例D2)
試験例D2は、本発明の接触分解触媒の技術的な効果を説明するものである。
【0730】
上記触媒サンプルDC-1~DC-7、および比較触媒サンプルDDC-1~DDC-7を、800℃、100%水蒸気の環境で17時間、水熱熟成処理に供した後、重油微量活性評価を行った。
【0731】
重油微量活性評価条件:触媒充填量5g、原料油はWu-混合トリプルオイル、給油量は1.384g、反応温度は500℃、再生温度は600℃であった。
【0732】
評価結果は、下記の表に示した。本発明の接触分解触媒は、優れた重油転化能力および高いガソリン収率を有する。
【0733】
【0734】
(実施例B8および実施例C8)
実施例B8および実施例C8は、本発明の分解触媒の製造を説明するものである。
【0735】
擬似ベーマイトおよび脱イオン水を強く混合および撹拌し、得られたスラリーに36重量%の塩酸を添加して、解膠させた。酸とアルミニウムとの比(ドライベースの擬似ベーマイトに対する、36重量%の塩酸の重量比)は0.20であった。混合物の温度を65℃まで上昇させて1時間酸化させ、ドライベースのカオリンのスラリーおよびアルミナゾルをそれぞれ添加し、混合物を20分撹拌した後、ドライベースのレアアースを含むY型分子篩サンプル(実施例B1、実施例C1)をそれぞれ添加し、30分撹拌して、固体含有量30重量%のスラリーを得、噴霧乾燥させて、マイクロスフェア触媒を製造した。
【0736】
その後、マイクロスフェア触媒を500℃で1時間焼成した後、酸化ナトリウム含有量が0.30重量%未満になるまで、60℃の塩化アンモニウム水溶液で水洗(塩化アンモニウム:マイクロスフェア触媒:水=0.2:1:10)した。次いで、脱イオン水で複数回の水洗および濾過を行い、120℃の恒温オーブンに載置して、12時間乾燥させた。得られた触媒をそれぞれBC-1およびCC-1と記す。ドライベースの触媒の具体的な配合比は、下記の表に示した。
【0737】
(比較例B8.1、比較例B8.2、比較例C8)
実施例B1のレアアースを含むY型分子篩を、それぞれ比較例B1.1、比較例B1.2、および比較例C1で製造したレアアースを含むY型分子篩比較サンプルDBY-1.1、DBY-1.2、DCY-1に置き換えたことを除いて、実施例B8と同一の工程で触媒を製造した。得られた比較触媒をそれぞれDBC-1.1、DBC-1.2、DCC-1と記す。ドライベースの比較触媒の具体的な配合比は、下記の表に示した。
【0738】
(試験)
分解触媒BC-1、CC-1、比較分解触媒DBC-1.1、DBC-1.2、およびDCC-1それぞれを、800℃、100%水蒸気の環境で17時間、水熱熟成処理に供した後、重油微量活性評価を行った。
【0739】
重油微量活性評価条件:触媒充填量5g、原料油はWu-混合トリプルオイル、給油量は1.384g、反応温度は500℃、再生温度は600℃であった。
【0740】
評価結果は、下記の表に示した。
【0741】
(実施例B9および実施例C9)
実施例B9および実施例C9は、本発明の分解触媒の製造を説明するものである。
【0742】
擬似ベーマイトおよび脱イオン水を強く混合および撹拌し、得られたスラリーに36重量%の塩酸を添加して、解膠させた。酸とアルミニウムとの比(ドライベースの擬似ベーマイトに対する、36重量%の塩酸の重量比)は0.20であった。混合物の温度を65℃まで上昇させて1時間酸化させ、ドライベースのカオリンのスラリーおよびアルミナゾルをそれぞれ添加し、混合物を20分撹拌した後、ドライベースのレアアースを含むY型分子篩サンプル(実施例B2、実施例C2)をそれぞれ添加し、30分撹拌して、固体含有量30重量%のスラリーを得、噴霧乾燥させて、マイクロスフェア触媒を製造した。
【0743】
その後、マイクロスフェア触媒を500℃で1時間焼成した後、酸化ナトリウム含有量が0.30重量%未満になるまで、60℃の塩化アンモニウム水溶液で水洗(塩化アンモニウム:マイクロスフェア触媒:水=0.2:1:10)した。次いで、脱イオン水で複数回の水洗および濾過を行い、120℃の恒温オーブンに載置して、12時間乾燥させた。得られた触媒をそれぞれBC-2およびCC-2と記す。ドライベースの触媒の具体的な配合比は、下記の表に示した。
【0744】
(比較例B9.1、比較例B9.2、比較例C9)
実施例B2のレアアースを含むY型分子篩を、それぞれ比較例B2.1、比較例B2.2、および比較例C2で製造したレアアースを含むY型分子篩比較サンプルDBY-2.1、DBY-2.2、DCY-2に置き換えたことを除いて、実施例B9と同一の工程で触媒を製造した。得られた比較触媒をそれぞれDBC-2.1、DBC-2.2、DCC-2と記す。ドライベースの比較触媒の具体的な配合比は、下記の表に示した。
【0745】
(試験)
分解触媒BC-2、CC-2、比較分解触媒DBC-2.1、DBC-2.2、およびDCC-2それぞれを、800℃、100%水蒸気の環境で17時間、水熱熟成処理に供した後、重油微量活性評価を行った。
【0746】
重油微量活性評価条件:触媒量5g、原料油はWu-混合トリプルオイル、給油量は1.384g、反応温度は500℃、再生温度は600℃であった。
【0747】
評価結果は、下記の表に示した。
【0748】
(実施例B10および実施例C10)
実施例B10および実施例C10は、本発明の分解触媒の製造を説明するものである。
【0749】
擬似ベーマイトおよび脱イオン水を強く混合および撹拌し、得られたスラリーに36重量%の塩酸を添加して、解膠させた。酸とアルミニウムとの比(ドライベースの擬似ベーマイトに対する、36重量%の塩酸の重量比)は0.20であった。混合物の温度を65℃まで上昇させて1時間酸化させ、ドライベースのカオリンのスラリーおよびアルミナゾルをそれぞれ添加し、20分撹拌した後、ドライベースのレアアースを含むY型分子篩サンプル(実施例B3、実施例C3)をそれぞれ添加し、30分撹拌して、固体含有量30重量%のスラリーを得、噴霧乾燥させて、マイクロスフェア触媒を製造した。
【0750】
その後、マイクロスフェア触媒を500℃で1時間焼成した後、酸化ナトリウムの含有量が0.30重量%未満になるまで、60℃の塩化アンモニウム水溶液で水洗(塩化アンモニウム:マイクロスフェア触媒:水=0.2:1:10)した。次いで、脱イオン水で複数回の水洗および濾過を行い、120℃の恒温オーブンに載置して、12時間乾燥させた。得られた触媒をそれぞれBC-3およびCC-3と記す。ドライベースの触媒の具体的な配合比は、下記の表に示した。
【0751】
(比較例B10.1、比較例B10.2、比較例C10)
実施例B3のレアアースを含むY型分子篩を、それぞれ比較例B3.1、比較例B3.2、および比較例C3で製造したレアアースを含むY型分子篩比較サンプルDBY-3.1、DBY-3.2、DCY-3に置き換えたことを除いて、実施例B10と同一の工程で触媒を製造した。得られた比較触媒をそれぞれDBC-3.1、DBC-3.2、DCC-3と記す。ドライベースの比較触媒の具体的な配合比は、下記の表に示した。
【0752】
(試験)
分解触媒BC-3、CC-3、比較分解触媒DBC-3.1、DBC-3.2、およびDCC-3それぞれを、800℃、100%水蒸気の環境で17時間、水熱熟成処理に供した後、重油微量活性評価を行った。
【0753】
重油微量活性評価条件:触媒充填量5g、原料油はWu-混合トリプルオイル、給油量は1.384g、反応温度は500℃、再生温度は600℃であった。
【0754】
評価結果は、下記の表に示した。
【0755】
(実施例B11および実施例C11)
実施例B11および実施例C11は、本発明の分解触媒の製造を説明するものである。
【0756】
擬似ベーマイトおよび脱イオン水を強く混合および撹拌し、得られたスラリーに36重量%の塩酸を添加して、解膠させた。酸とアルミニウムとの比(ドライベースの擬似ベーマイトに対する、36重量%の塩酸の重量比)は0.20であった。混合物の温度を65℃まで上昇させて1時間酸化させ、ドライベースのカオリンのスラリーおよびアルミナゾルをそれぞれ添加し、混合物を20分撹拌した後、ドライベースのレアアースを含むY型分子篩サンプル(実施例B4、実施例C4)をそれぞれ添加し、30分撹拌して、固体含有量30重量%のスラリーを得、噴霧乾燥させて、マイクロスフェア触媒を製造した。
【0757】
その後、マイクロスフェア触媒を500℃で1時間焼成した後、酸化ナトリウム含有量が0.30重量%未満になるまで、60℃の塩化アンモニウム水溶液で水洗(塩化アンモニウム:マイクロスフェア触媒:水=0.2:1:10)した。次いで、脱イオン水で複数回の水洗および濾過を行い、120℃の恒温オーブンに載置して、12時間乾燥させた。得られた触媒をそれぞれBC-4およびCC-4と記す。ドライベースの触媒の具体的な配合比は、下記の表に示した。
【0758】
(比較例B11.1、比較例B11.2、比較例C11)
実施例B4のレアアースを含むY型分子篩を、それぞれ比較例B4.1、比較例B4.2、比較例C4で製造したレアアースを含むY型分子篩比較サンプルDBY-4.1、DBY-4.2、DCY-4に置き換えたことを除いて、実施例B11と同一の工程で触媒を製造した。得られた比較触媒をそれぞれDBC-4.1、DBC-4.2、DCC-4と記す。ドライベースの比較触媒の具体的な配合比は、下記の表に示した。
【0759】
(試験)
分解触媒BC-4、CC-4、比較分解触媒DBC-4.1、DBC-4.2、およびDCC-4それぞれを、800℃、100%水蒸気の環境で17時間、水熱熟成処理に供した後、重油微量活性評価を行った。
【0760】
重油微量活性評価条件:触媒充填量5g、原料油はWu-混合トリプルオイル、給油量は1.384g、反応温度は500℃、再生温度は600℃であった。
【0761】
評価結果は、下記の表に示した。
【0762】
(実施例B12および実施例C12)
実施例B12および実施例C12は、本発明の分解触媒の製造を説明するものである。
【0763】
擬似ベーマイトおよび脱イオン水を強く混合および撹拌し、得られたスラリーに36重量%の塩酸を添加して、解膠させた。酸とアルミニウムとの比(ドライベースの擬似ベーマイトに対する、36重量%の塩酸の重量比)は0.20であった。混合物の温度を65℃まで上昇させて1時間酸化させ、ドライベースのカオリンのスラリーおよびアルミナゾルをそれぞれ添加し、混合物を20分撹拌した後、ドライベースのレアアースを含むY型分子篩サンプル(実施例B5、実施例C5)をそれぞれ添加し、30分撹拌して、固体含有量30重量%のスラリーを得、噴霧乾燥させて、マイクロスフェア触媒を製造した。
【0764】
その後、マイクロスフェア触媒を500℃で1時間焼成した後、酸化ナトリウム含有量が0.30重量%未満になるまで、60℃の塩化アンモニウム水溶液で水洗(塩化アンモニウム:マイクロスフェア触媒:水=0.2:1:10)した。次いで、脱イオン水で複数回の水洗および濾過を行い、120℃の恒温オーブンに載置して、12時間乾燥させた。得られた触媒をそれぞれBC-5およびCC-5と記す。ドライベースの触媒の具体的な配合比は、下記の表に示した。
【0765】
(比較例B12.1、比較例B12.2、比較例C12)
実施例B5のレアアースを含むY型分子篩を、それぞれ比較例B5.1、比較例B5.2、および比較例C5で製造したレアアースを含むY型分子篩比較サンプルDBY-5.1、DBY-5.2、DCY-5に置き換えたことを除いて、実施例B12と同一の工程で触媒を製造した。得られた比較触媒をそれぞれDBC-5.1、DBC-5.2、DCC-5と記す。ドライベースの比較触媒の具体的な配合比は、下記の表に示した。
【0766】
(試験)
分解触媒BC-5、CC-5、比較分解触媒DBC-5.1、DBC-5.2、およびDCC-5それぞれを、800℃、100%水蒸気の環境で17時間、水熱熟成処理に供した後、重油微量活性評価を行った。
【0767】
重油微量活性評価条件:触媒充填量5g、原料油はWu-混合トリプルオイル、給油量は1.384g、反応温度は500℃、再生温度は600℃であった。
【0768】
評価結果は、下記の表に示した。
【0769】
(実施例B13および実施例C13)
実施例B13および実施例C13は、本発明の分解触媒の製造を説明するものである。
【0770】
擬似ベーマイトおよび脱イオン水を強く混合および撹拌し、得られたスラリーに36重量%の塩酸を添加して、解膠させた。酸とアルミニウムとの比(ドライベースの擬似ベーマイトに対する、36重量%の塩酸の重量比)は0.20であった。混合物の温度を65℃まで上昇させて1時間酸化させ、ドライベースのカオリンのスラリーおよびアルミナゾルをそれぞれ添加し、混合物を20分撹拌した後、ドライベースのレアアースを含むY型分子篩サンプル(実施例B6、実施例C6)をそれぞれ添加し、30分撹拌して、固体含有量30重量%のスラリーを得、噴霧乾燥させて、マイクロスフェア触媒を製造した。
【0771】
その後、マイクロスフェア触媒を500℃で1時間焼成した後、酸化ナトリウム含有量が0.30重量%未満になるまで、60℃の塩化アンモニウム水溶液で水洗(塩化アンモニウム:マイクロスフェア触媒:水=0.2:1:10)した。次いで、脱イオン水で複数回の水洗および濾過を行い、120℃の恒温オーブンに載置して、12時間乾燥させた。得られた触媒をそれぞれBC-6およびCC-6と記す。ドライベースの触媒の具体的な配合比は、下記の表に示した。
【0772】
(比較例B13.1、比較例B13.2、比較例C13)
実施例B6のレアアースを含むY型分子篩を、それぞれ比較例B6.1、比較例B6.2、および比較例C6で製造したレアアースを含むY型分子篩比較サンプルDBY-6.1、DBY-6.2、DCY-6に置き換えたことを除いて、実施例B13と同一の工程で触媒を製造した。得られた比較触媒をそれぞれDBC-6.1、DBC-6.2、DCC-6と記す。ドライベースの比較触媒の具体的な配合比は、下記の表に示した。
【0773】
(試験)
分解触媒BC-6、CC-6、比較分解触媒DBC-6.1、DBC-6.2、およびDCC-6それぞれを、800℃、100%水蒸気の環境で17時間、水熱熟成処理に供した後、重油微量活性評価を行った。
【0774】
重油微量活性評価条件:触媒充填量5g、原料油はWu-混合トリプルオイル、給油量は1.384g、反応温度は500℃、再生温度は600℃であった。
【0775】
評価結果は、下記の表に示した。
【0776】
(実施例B14および実施例C14)
実施例B14および実施例C14は、本発明の分解触媒の製造を説明するものである。
【0777】
擬似ベーマイトおよび脱イオン水を強く混合および撹拌し、得られたスラリーに36重量%の塩酸を添加して、解膠させた。酸とアルミニウムとの比(ドライベースの擬似ベーマイトに対する、36重量%の塩酸の重量比)は0.20であった。混合物の温度を65℃まで上昇させて1時間酸化させ、ドライベースのカオリンのスラリーおよびアルミナゾルをそれぞれ添加し、混合物を20分撹拌した後、ドライベースのレアアースを含むY型分子篩サンプル(実施例B7、実施例C7)をそれぞれ添加し、30分撹拌して、固体含有量30重量%のスラリーを得、噴霧乾燥させて、マイクロスフェア触媒を製造した。
【0778】
その後、マイクロスフェア触媒を500℃で1時間焼成した後、酸化ナトリウム含有量が0.30重量%未満になるまで、60℃の塩化アンモニウム水溶液で水洗(塩化アンモニウム:マイクロスフェア触媒:水=0.2:1:10)した。次いで、脱イオン水で複数回の水洗および濾過を行い、120℃の恒温オーブンに載置して、12時間乾燥させた。得られた触媒をそれぞれBC-7およびCC-7と記す。ドライベースの触媒の具体的な配合比は、下記の表に示した。
【0779】
(比較例B14.1、比較例B14.2、比較例C14)
実施例B7のレアアースを含むY型分子篩を、それぞれ比較例B7.1、比較例B7.2、および比較例C7で製造したレアアースを含むY型分子篩比較サンプルDBY-7.1、DBY-7.2、DCY-7に置き換えたことを除いて、実施例B14と同一の工程で触媒を製造した。得られた比較触媒をそれぞれDBC-7.1、DBC-7.2、DCC-7と記す。ドライベースの比較触媒の具体的な配合比は、下記の表に示した。
【0780】
(試験)
分解触媒BC-7、CC-7、比較分解触媒DBC-7.1、DBC-7.2、およびDCC-7それぞれを、800℃、100%水蒸気の環境で17時間、水熱熟成処理に供した後、重油微量活性評価を行った。
【0781】
重油微量活性評価条件:触媒充填量5g、原料油はWu-混合トリプルオイル、給油量は1.384g、反応温度は500℃、再生温度は600℃であった。
【0782】
評価結果は、下記の表に示した。
【0783】
表からわかるように、本発明によって製造された触媒は、優れた重油転化能力および高いガソリン収率を有する。例えば、DBC-1.1と比較すると、本発明のBC-1サンプルは、800℃、100%水蒸気の環境で17時間、水熱熟成処理された後、優れた重油分解活性を有し、転化率は6.22%向上し、ガソリン収率は5.15%向上し、コークス/転化率は0.01低下した。
【0784】
【図面の簡単な説明】
【0785】
【
図1】
図1は、BJHモデル計算に基づいて算出した、PAY-1の細孔径分布曲線である。
【
図2】
図2は、PAY-1のX線回折(XRD)スペクトルである。
【
図3】
図3は、BJHモデル計算に基づいて算出した、DAY-1の細孔径分布曲線である。
【
図4】
図4は、BJHモデル計算に基づいて算出した、PDY-1の細孔径分布曲線である。
【
図5】
図5は、BJHモデル計算に基づいて算出した、DDY-1の細孔径分布曲線である。
【
図6】
図6は、BJHモデル計算に基づいて算出した、PBY-1(曲線a)、DBY-1.1(b曲線)およびPCY-1(A曲線)の細孔径分布曲線を示す。
【
図7】
図7は、PBY-1(曲線c)、DBY-1.1(d曲線)およびPCY-1(C曲線)の吸脱着曲線を示す。