(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】フォトニック・チップの一次元辺縁部のための2列フェルール・リボン用インターレース・ブーツ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/24 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
G02B6/24
(21)【出願番号】P 2022521121
(86)(22)【出願日】2020-09-22
(86)【国際出願番号】 IB2020058832
(87)【国際公開番号】W WO2021074717
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-02-24
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】ジャンタ-ポルジンスキー、バーニム アレクサンダー
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-056055(JP,A)
【文献】特開平06-059161(JP,A)
【文献】米国特許第06491445(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00- 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直に重ねた2つの列の複数の光ファイバで構成されたアレイ用のインターレース・ブーツであって、
前記
垂直に重ねた2つの列の複数の光ファイバで構成されたアレイが挿入されるように適合されている第1の端部、および前記第1の端部の反対側の第2の端部を有する本体であって、前記第2の端部は開口部を備え、前記本体は前記第1の端部と前記第2の端部の間で前記第1の端部から前記第2の端部に向かう第1の
垂直方向にテーパしている一対の壁面を内側に有し、前記一対の壁面が内側に空所を形成している、前記本体と、
前記本体内の前記一対の壁面の一方だけに配設されている案内構造であって、前記案内構造は1つまたは複数のチャネルを備え、各チャネルは単一光ファイバを受けるように適合されており、各チャネルは第1の端部および第2の端部を有し、前記第2の端部は前記第1の端部に対して前記第1の
垂直方向と直交する第2の
水平方向にずらされている、前記案内構造と、
を備える、インターレース・ブーツ。
【請求項2】
各チャネルは第1の部分と第2の部分とを備える、請求項1に記載のインターレース・ブーツ。
【請求項3】
各チャネルの前記ずれは前記第1の部分において生じ前記第2の部分においては生じない、請求項2に記載のインターレース・ブーツ。
【請求項4】
各チャネルの前記ずれは前記第1の部分および前記第2の部分において生じる、請求項2に記載のインターレース・ブーツ。
【請求項5】
各チャネルがテーパしている、請求項2に記載のインターレース・ブーツ。
【請求項6】
各チャネルのテーパは前記第2の部分において生じ前記第1の部分においては生じない、請求項5に記載のインターレース・ブーツ。
【請求項7】
前記案内構造は光ファイバを第1のピッチで受け、前記光ファイバを前記第1のピッチと比べてより大きいかまたはより小さい第2のピッチで交互配置するように適合されている、請求項1に記載のインターレース・ブーツ。
【請求項8】
前記
垂直に重ねた2つの列の複数の光ファイバで構成されたアレイは複数列複数終端(MT)フェルールから終端する、請求項1に記載のインターレース・ブーツ。
【請求項9】
前記案内構造は2列フェルールの一方の列から光ファイバを受けるように適合されている、請求項1に記載のインターレース・ブーツ。
【請求項10】
前記案内構造は1つまたは複数の上側チャネルあるいは1つまたは複数の下側チャネルを備える、請求項9に記載のインターレース・ブーツ。
【請求項11】
垂直に重ねた2列フェルールから出て来る光ファイバのアレイをインターレースするための方法であって、
前記光ファイバのアレイをインターレース・ブーツの第1の端部に挿入することであって、前記光ファイバのアレイはファイバの第1の列およびファイバの第2の列を備え、前記インターレース・ブーツは、
垂直に重ねた2列フェルール・リボンが挿入されるように適合されている前記第1の端部、および前記第1の端部の反対側の第2の端部を有する本体であり、前記第2の端部は開口部を備え、前記本体は前記第1の端部と前記第2の端部の間で前記第1の端部から前記第2の端部に向かう第1の
垂直方向にテーパしている一対の壁面を内側に有し、前記一対の壁面が内側に空所を形成している、前記本体、ならびに、
前記本体内の前記一対の壁面の一方だけに配設されている案内構造であり、前記案内構造は1つまたは複数のチャネルを備え、各チャネルは単一光ファイバを受けるように適合されており、各チャネルは第1の端部および第2の端部を有し、前記第2の端部は前記第1の端部に対して前記第1の
垂直方向と直交する第2の
水平方向にずらされている、前記案内構造を備える、
前記挿入することと、
前記光ファイバを前記案内構造を通して繰り出すために、前記インターレース・ブーツを前記フェルールに向かって押すことと、を含み、
前記ファイバの第1の列は前記案内構造によって前記ファイバの第2の列から物理的にずらされこれとインターレースされる、
方法。
【請求項12】
前記インターレース・ブーツを前記
垂直に重ねた2列フェルールに連結することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記案内構造は、前記案内構造内のどのファイバの最大の曲がりも許容ファイバ曲げ半径以内となるように構成されている、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
複数本の光ファイバからのファイバ先端部を切断することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記ファイバ先端部を切断することはレーザまたは機械的切断を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数本の光ファイバは、前記複数本の光ファイバの各々が前記インターレース・ブーツから同じ長さだけ突出するように切断される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
垂直に重ねた2つの列のリボンからの光ファイバのアレイをインターレースするための方法であって、
光ファイバを第1の
垂直方向にインターレース・コーム内へと挿入して繰り出すことであり、前記光ファイバのアレイは、ファイバの第1の列およびファイバの第2の列を備え、前記インターレース・コームは、前記第1の
垂直方向にテーパしている一対の壁面を内側に有し、前記一対の壁面が内側に空所を形成していて、前記一対の壁面の一方だけに配設された、1つまたは複数のチャネルを備える案内構造であって、各チャネルは単一光ファイバを受けるように適合されており、各チャネルは第1の端部および第2の端部を有し、前記第2の端部は前記第1の端部に対して前記第1の
垂直方向と直交する第2の
水平方向にずらされている、前記案内構造を備える、前記繰り出すことと、
前記光ファイバが前記案内構造に押し通されるように前記インターレース・コームを移動させることであり、ファイバの前記第1の列は、前記案内構造の中を移動することによってファイバの前記第2の列から物理的にずらされこれとインターレースされる、前記移動させることと、
第1の端部および前記第1の端部の反対側の第2の端部を有する本体を備えるインターレース・ブーツの前記第1の端部に前記光ファイバを挿入することであり、前記第2の端部は開口部を備え、前記本体は前記第1の端部と前記第2の端部の間で外形が前記第1の
垂直方向にテーパしている、前記挿入することと、
前記インターレース・コームを取り外すことと、
を含む、方法。
【請求項18】
垂直に重ねた2つの列のリボン・フェルールとの接触が行われるまで、前記光ファイバを覆うように前記インターレース・ブーツを移動させることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記インターレース・ブーツは、接着剤を使用して前記フェルールに糊着される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
複数本の光ファイバが、前記複数本の光ファイバの各々が前記インターレース・ブーツから同じ長さだけ突出するように切断される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、光ファイバ・コネクタにおけるリボンおよび複数終端(multi-termination)(MT)フェルールの使用に関する。より詳細には、本発明は、フォトニック・チップの一次元(1D)辺縁部(beach front)のための、フェルールからの2列ファイバ・アレイ用の撚り合わすようなインターレースするインターレース・ブーツ(interlacing boot)に関する。
【0002】
光ファイバ・アレイまたは光ファイバ・リボン(本明細書では便宜上単に「リボン」と呼ぶ場合がある)は、互いに平行に配設されたいくつかの個別の光ファイバを備えている。個別の各光ファイバはガラス・コアとガラス・クラッディングとを含み、これらはいずれも、色コード化可能なポリマー・コーティング内で保護されている。これら個別の光ファイバがポリマー製のリボン母材に複数本含浸されて光ファイバ・リボンが形成される。光ファイバ・リボンは典型的には、2ファイバ・リボン、4ファイバ・リボン、8ファイバ・リボン、12ファイバ・リボン、および16ファイバ・リボンとして供給される。光ファイバのアレイは互いに平行に設置された複数の光ファイバを含むことができ、様々なタイプのファイバを順番におよび混合で含み得る。
【0003】
光ファイバ・コネクタは典型的にはフェルールを使用し、その中で光ファイバが終端され固定される。複数終端(MT)フェルールは光ファイバ用途で一般に使用されるそのようなフェルールの1つであり、光ファイバ・リボンまたは光ファイバ・アレイがこのフェルール・コネクタ内で終端される。MTフェルールは異なる様々な数の光ファイバおよび光ファイバ・リボンに対応できるためユビキタスである。例えば、MT24フェルールは最大24本の光ファイバに対応でき、MT8フェルールは8本のファイバにしか対応していない。通常光ファイバは1、2、または4列のアレイとして重ねられ、例としてMT24フェルールの場合、12ファイバ2列またはこれと等価な2ファイバ縦12列のレイアウトとなる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、光ファイバ用のインターレース・ブーツを対象とする。インターレース・ブーツの非限定的な例は、ファイバ・アレイの複数の列を有するフェルールが挿入されるように適合されている第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部と、を有する本体を含む。第2の端部は開口部を含む。本体は第1の端部と第2の端部の間で第1の方向にテーパしている。インターレース・ブーツは本体内に配設されている案内構造を更に含む。案内構造は1つまたは複数のチャネルを含み、各チャネルは単一光ファイバを受けるように適合される。各チャネルは第1の端部と第2の端部とを含み、第2の端部は第1の端部に対して第1の方向と直交する第2の方向にずらされる。
【0005】
本発明の実施形態は、2列ファイバ・アレイからの光ファイバを自動的に交互配置する(interleave)ためのインターレース・ブーツを使用するための方法を対象とする。方法の非限定的な例は、光ファイバをインターレース・ブーツの第1の端部に第1の方向に挿入することを含む。インターレース・ブーツは1つまたは複数のチャネルを有する案内構造を含み得る。各チャネルは単一光ファイバを受けるように適合され得る。各チャネルは第1の端部と第2の端部とを含むことができ、第2の端部を第1の端部に対して第1の方向と直交する第2の方向にずらすことができる。インターレース・ブーツをアレイに沿ってまたは複数列フェルールに向かって押して、案内構造を通して光ファイバを繰り出すことができる。ファイバの第1の列は、案内構造によってファイバの第2の列から物理的にずらされ、これとインターレースされ得る。
【0006】
本発明の実施形態は、複数のリボンからの光ファイバを自動的に交互配置するためのインターレース・ブーツを使用するための方法を対象とする。方法の非限定的な例は、光ファイバをインターレース・コーム(interlacing comb)内へと第1の方向に繰り出すことを含む。光ファイバはファイバの第1の列とファイバの第2の列とを含む。インターレース・コームは1つまたは複数のチャネルを有する案内構造を含む。各チャネルは単一光ファイバを受けるように適合される。各チャネルは第1の端部と第2の端部とを含み、第2の端部は第1の端部に対して第1の方向と直交する第2の方向にずらされる。方法は、光ファイバが案内構造に押し通されるように、光ファイバをインターレース・コームの中で移動させることを含む。ファイバの第1の列は、案内構造によってファイバの第2の列から物理的にずらされ、これとインターレースされる。方法は、光ファイバをインターレース・ブーツの第1の端部に挿入することと、インターレース・コームを取り外すことと、を含む。
【0007】
本発明の技術によって追加の技術的特徴および利益が実現される。本発明の実施形態および態様は本明細書において詳細に記載され、特許請求される主題の一部と見なされる。よりよく理解するために、詳細な説明および図面を参照されたい。
【0008】
本明細書に記載する排他的権利の詳細は、本明細書の終結部に置かれた特許請求の範囲において具体的に指摘され、明確に特許請求される。本発明の実施形態の前述のおよび他の特徴および利点は、以下の添付の図面と併せて解釈される続く詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の1つまたは複数の実施形態に係る、インターレース・ブーツへの挿入前および挿入後の2列フェルールの等角図である。
【
図2A】本発明の1つまたは複数の実施形態に係る、
図1に示す2列フェルールおよびインターレース・ブーツの上面図である。
【
図2B】本発明の1つまたは複数の実施形態に係る、
図1に示す2列フェルールおよびインターレース・ブーツの断面図である。
【
図3A】本発明の1つまたは複数の実施形態に係る、光ファイバがインターレース・ブーツの中を途中まで案内された後の、
図1に示す2列フェルールおよびインターレース・ブーツの上面図である。
【
図3B】本発明の1つまたは複数の実施形態に係る、光ファイバがインターレース・ブーツの中を途中まで案内された後の、
図1に示す2列フェルールおよびインターレース・ブーツの断面図である。
【
図4A】本発明の1つまたは複数の実施形態に係る、光ファイバがインターレース・ブーツの第1の部分の中を案内された後の、
図1に示す2列フェルールおよびインターレース・ブーツの上面図である。
【
図4B】本発明の1つまたは複数の実施形態に係る、光ファイバがインターレース・ブーツの第1の部分の中を案内された後の、
図1に示す2列フェルールおよびインターレース・ブーツの断面図である。
【
図5A】本発明の1つまたは複数の実施形態に係る、光ファイバがインターレース・ブーツの中を案内されて通過した後の、
図1に示す2列フェルールおよびインターレース・ブーツの上面図である。
【
図5B】本発明の1つまたは複数の実施形態に係る、光ファイバがインターレース・ブーツの中を案内されて通過した後の、
図1に示す2列フェルールおよびインターレース・ブーツの断面図である。
【
図6A】本発明の1つまたは複数の実施形態に係る、インターレース・ブーツを光ファイバ・リボンに2列フェルールの基部まで押し被せた後の、
図1に示す2列フェルールおよびインターレース・ブーツの上面図である。
【
図6B】本発明の1つまたは複数の実施形態に係る、インターレース・ブーツを光ファイバ・リボンに2列フェルールの基部まで押し被せた後の、
図1に示す2列フェルールおよびインターレース・ブーツの断面図である。
【
図7】本発明の1つまたは複数の実施形態に係る、臨時インターレース・コームへの挿入中の2列フェルールの断面図である。
【
図8】本発明の1つまたは複数の実施形態に係る方法を説明するフロー図である。
【
図9】本発明の1つまたは複数の実施形態に係る方法を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に描かれている図式は例示的なものである。本明細書に記載する図式またはそこに記載されている工程には、本発明の範囲から逸脱することなく多くの変形が存在し得る。例えば、それらの動作を異なる順序で実行することができるか、または、動作を追加、削除、もしくは修正することができる。
【0011】
記載されている本発明の実施形態の添付の図および以下の詳細な説明では、図に示されている様々な要素には、2または3桁の参照符号が付されている。僅かな例外はあるが、各参照符号の最も左の数字は、その要素が最初に示されている図に対応している。
【0012】
本発明の例示の実施形態が特定のフェルールのアーキテクチャ例と関連させて記載されているが(例えば、24ファイバ・フェルールに対する2×12リボン)、本発明の実施形態は本明細書に記載する特定のフェルールのアーキテクチャに限定されないことが前もって理解される。むしろ、本発明の実施形態は、任意の恣意的な数の光ファイバ(偶数本または奇数本のファイバ、多数のファイバ、少数のファイバ、高NAファイバまたはPM維持ファイバなどのファイバのタイプの様々な混合、等)を有する、任意のリボン構成(2列、3列、N列、等)と一緒に実施することが可能である。
【0013】
ここで本発明の態様により特定的に関連する技術の概要に目を向けると、光ファイバ・コネクタは、より多数の光通信チャネルを提供するためのより多数の光ファイバに対処するように設計されている。例えば、光ファイバ・コネクタを2本、8本、または12本の個別の光ファイバで終端させることは非常に一般的であるが、いくつかの用途では、同様のコネクタを24本、32本、48本、または更にそれ以上の光ファイバで終端することがより望ましい。
【0014】
本明細書で使用する場合、「個別の光ファイバ」とは、ガラス・クラッディングで包囲したガラス・コアを有し、これをポリマー・コーティングで包囲したものである。すなわち、個別の光ファイバは、複数本の単一光ファイバをまとめて保持するどのようなポリマー母材も含まない点で、光ファイバ・リボンとは異なる。本明細書で使用する場合、用語「露出した光ファイバ」は、リボンからポリマー母材およびポリマー・コーティングが除去されており、この結果ガラス・クラッディングが露出していることを意味する。
【0015】
光ファイバ・コネクタは典型的にはフェルールを使用し、その中で1つまたは複数の光ファイバ・リボン中の個別のファイバが終端され固定される。複数の光ファイバ・リボンおよびそれらの関連する個別のファイバがフェルール内に手作業で敷設される場合、その工程には非常に時間がかかる場合があるが、その理由の一部は、光ファイバ・リボンの性状が比較的小さくかつかなり繊細であるからである。手作業での敷設は関与する寸法が小さいことを考慮すると特に困難であり、例えば、典型的な8ファイバ・リボンはおおよそ幅2mm、厚さ0.32mmしかなく、その中の個別の各被覆光ファイバは直径が250マイクロメートルしかない。このことは、軸の整列を必要とする用途、例えば、フェルール内部でPMをクロックする(clock)ためにPMファイバの横軸を回転によって整列させる必要のある場合に、より一層あてはまる。
【0016】
案内フェルールなどのフェルール内に複数のリボンを敷設するための一般的な方法のいくつかでは、v溝またはリボン化(ribbonization)ツールを使用して1回に1つのリボンが敷設される。24ファイバ、複数のリボンのMT24フェルールは例えば、フェルール内側にv溝の階段状の列を有して設計されており、各v溝列がリボンを案内するようにおよび収容するように機能する。本明細書で使用する場合、「v溝」とは全体にv字形状の断面プロファイルを有する溝を指し(歯と呼ぶ場合もある)、典型的にはファイバ密度を高めるようにMTフェルールに隣接して配置される。通常は、v溝が最も長いところで最も下のリボンを最初に敷設するが、このことは、案内v溝によって画定されるチャネル内でリボンのファイバを整列させ、次いでファイバを接続されたファイバ穴の中に押し込むことによって行われる。次いで、第1の列よりも僅かに短いv溝の第2の列内に、第2のリボンを敷設する。ほとんどのフェルールは頂部に開口部があるため、敷設を行う者はリボンがv溝の各列に入るのを目で見ることができる。v溝によって単一のフェルール内に複数のリボンを敷設することが可能になるが、インターレースするのは困難であり、これは通常は手作業で行われる。敷設中、ファイバは1本ずつ適切な場所に設置される(またはリボンごとに設置されるが、その場合リボンの横方向のずれのために曲げに大きな距離を必要とする)。そのような工程は非常に時間がかかる場合があり、また歩留まりが低くなる可能性がある。
【0017】
入来する複数のファイバを組み直してリボンにするリボン化ツールもまた、特にファイバ密度が高い場合には、インターレースを行うのは容易ではない。リボン化ツールを使用するとき、(例えば、MTまたは扇形ブロックから)複数のファイバがリボン化ツールの所定の位置内に1本ずつ挿入される。手作業でインターレースが確保されると、重ねたファイバをリボン化ツールを使用して1D構成へと整列し直すことができる。
【0018】
結果的に、v溝およびリボン化ツールのいずれも最終的には1Dファイバ構成を提供できるものの、いずれの手法も完全な自動化には十分には適していない。その理由は、いずれもファイバのインターレース前またはインターレース中に、手作業での介入および慎重なファイバ確認を必要とするからである。欠陥または光ファイバの位置のずれを持ち込むことなく恣意的なファイバ密度でのインターレースに自動的に対処できるフェルール組立体を提供することが、非常に有利であろう。
【0019】
ここで本発明の態様の概要に目を向けると、本発明の1つまたは複数の実施形態は、挿入中にファイバを自動的にインターレースする2列フェルール・リボン用の新しいインターレース・ブーツを提供することによって、従来技術の上記した欠点に対処する。この新しいインターレース・ブーツは、光ファイバが挿入中に案内構造のチャネル内を移動する際にこれらのファイバ同士を物理的にずらしてインターレースする、1つまたは複数の案内構造を包含する。
【0020】
ファイバの挿入の方向に真っ直ぐに互いに平行に延びる従来のv溝とは異なり、本発明の案内構造は、挿入の経路に対して恣意的なずれの角度を有して構築されているチャネルを含み得る。光ファイバが案内構造のチャネルに入るにつれて、光ファイバはチャネルの中を案内され、チャネルのずれの角度だけ物理的に偏向されることになる。チャネルは、各ファイバが異なるチャネルに入り、各ファイバがチャネルの長さに沿った任意の地点で任意の所望のレベルのずれを達成するように、構築され得る。
【0021】
(恣意的に定義でき、例えばファイバの応力レベルおよび所与の用途に関する容認可能な曲げ半径に基づき得る、ある地点において)十分なずれが達成された後で、各ファイバが自動的に物理的に交互配置されるように、インターレース・ブーツ自体または案内構造のチャネルあるいはその両方をテーパさせることができる。手短に言えば、光ファイバはチャネルに入り、チャネルの経路を介して強制的にずれを生じる。その後ファイバは、インターレース・ブーツのテーパによって(または案内チャネルのテーパまたは両方によって)、他のファイバと交互配置された位置に押し込まれる。このインターレース・ブーツは物理的に自動的に光ファイバ同士をずらしてインターレースする機構を提供するので、高ファイバ・カウント用途、例えばシリコン・フォトニクス光学接続において必要な高ファイバ密度の単一列接続に非常に適しており、同時に依然として標準的な市販のMTコンポーネントとの互換性も有する。また更に、チャネルのカスタム化可能な性質によって、最終ファイバ・ピッチの恣意的な変更が可能になる。いくつかの用途では、最終ファイバ・ピッチを、いずれかのファイバの列の初期ピッチよりも大きくまたは小さくすることができる。例えば、ファイバの2つの列を組み合わせるとき、最終ピッチは元のピッチの2倍(例えば、上側列を下側列内に交互配置する)、または元のピッチの2倍超(例えば、隣り合うファイバ間のピッチが小さくなるように両方の列を交互配置する)、または元のピッチの2倍未満(例えば、チャネルをずらすことによって交互配置された隣り合うファイバ間のピッチを大きくすることができる)になり得る。
【0022】
ここで本発明の態様のより詳細な説明に目を向けると、
図1には、本発明の1つまたは複数の実施形態に係る、インターレース・ブーツ102への挿入の前(上の図)および後(下の組合せ後の図)の、2列フェルール100の等角図が描かれている。
図1に示すように、2列フェルール100は、垂直に重ねた光ファイバ104の2つの列(ファイバの2Dアレイとも呼ばれる)を含む。説明を容易にするために2×4構成の合計8本のファイバを有するものとして示されているが、2列フェルール100は、特別なカスタム・メイドの複数列フェルールの場合、または工業規格に合わせて製造されたMT複数列フェルールの場合のように、垂直に重ねた光ファイバを任意の数だけ含み得ることが理解される。例として、2列フェルール100は、12本2列の構成で配置された24本の光ファイバを含み得る。
【0023】
インターレース・ブーツ102への挿入中、インターレース・ブーツ102の本体内に構築されたチャネル(
図2Aを参照)を介して、光ファイバ104の向きが物理的にずらされる。光ファイバ104はその後または同時にあるいはその両方で、インターレース・ブーツ102のチャネルまたは本体のテーパ(
図2Bを参照)を介して交互配置される。挿入後、光ファイバ104は、2倍のファイバ密度を有するファイバの単一の列(ファイバの1Dアレイ)としてインターレース・ブーツ102から出る。
【0024】
図2A~
図6Bには、本発明の1つまたは複数の実施形態に係る、インターレース・ブーツへの2列フェルール・リボンの連続的な挿入が描かれている。
図2Aには、
図1に示す2列フェルール100およびインターレース・ブーツ102の上面図が描かれている。
図2Bには、
図1に示す2列フェルール100およびインターレース・ブーツ102の断面図が描かれている。
【0025】
図2Aに示すように、2列フェルール100は光ファイバ・リボン200のアレイを含み得る。光ファイバ・リボン200の端部部分をポリマー材料から除去するかまたは剥ぎ取って、単一光ファイバ202のアレイを露出させることができる。
図2Aに示す上から見下ろした図では見えないが(上側列ファイバが邪魔をしているため)、
図2Bでは、光ファイバ202のアレイがファイバの垂直に重ねた2つの列を含むことが容易に見て取れる。
【0026】
図2Aに更に示すように、光ファイバ202をインターレース・ブーツ102の開口部に挿入することができる。インターレース・ブーツ102は、案内構造206によって画定される1つまたは複数のチャネル204を含み得る。本発明のいくつかの実施形態では、チャネル204は、光ファイバ202の単一のファイバだけが特定のチャネル内に嵌合できるように構築される。
【0027】
チャネル204を挿入の軸線から急峻にまたは少しずつずらすことができる。示されている状態では、チャネル204は第1の部分「A」内で少しずつずらされて、第2の部分「B」内で達成される最終的なずれの段階に至っている。本発明の他の実施形態では、チャネルの全長に沿ってずれが生じる(すなわち「B」が小さいかまたは存在しない)。説明を容易にするために部分「A」および「B」の単一の例が示されているが、所与の用途の必要に応じて、いかなる恣意的な距離にわたっても所与の全体的なずれが達成されるように、「A」と「B」の間の長さの比を恣意的に設定できることが理解される。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態では、案内構造206は、2列フェルール100の単一の列からのファイバだけがチャネルに入る(示されている状態では、上側ファイバだけがチャネルに入る)ように構築される。この様式では、チャネル内でファイバの列のうちの一方(所望に応じて上側列または下側列)だけがずらされることになる。他の実施形態では、案内構造206は、ファイバの列の両方がチャネルに入るように構築される(説明を容易にするために図示していない)。この様式では、チャネル内でファイバの列の両方がずらされる。本発明のいくつかの実施形態では、上側列は第1の方向にずらされ、一方で下側列は第2の方向にずらされる。インターレース・ブーツ102の複雑さは上がるが、両方の列を同時にずらすことを可能にすることによって、全体的なずれの距離を小さく(所望であれば半分に)することができ、またアレイを相応にずらすことによって、カスタム化された特定の最終ファイバ・ピッチも実現できる。
【0029】
図2Bに示すように、光ファイバ202が単一の列(1Dアレイ)に押し込まれるように、インターレース・ブーツ102をテーパさせることができる。テーパはインターレース・ブーツ102の(図示するような)全体にわたって、または一部だけにわたって生じ得る。本発明のいくつかの実施形態では、インターレース・ブーツ102は、ずらされた後で(すなわち、
図2Aに示す部分「A」よりも後ろで)テーパが生じるように構築される。本発明のいくつかの実施形態では、インターレース・ブーツ102は、ずれの全部ではなく一部が生じた(すなわち、
図2Aに示す部分「A」内のある程度の距離の)後で、テーパが生じるように構築される。このテーパ距離が生じる場所は、インターレース前にファイバの十分なずれが保証されるように調整することができ、例えば、ファイバの2つの列の間の垂直距離および隣り合うファイバ間のピッチに基づき得る。
【0030】
図3Aには、光ファイバ202がチャネル204に沿ってインターレース・ブーツ102の部分「A」の中を途中まで案内されたときの、
図1に示す2列フェルール100およびインターレース・ブーツ102の上面図が描かれている。
図3Bには、光ファイバ202がチャネル204に沿ってインターレース・ブーツ102の部分「A」の中を途中まで案内されたときの、
図1に示す2列フェルール100およびインターレース・ブーツ102の断面図が描かれている。
【0031】
図3Bに示すように、上側列ファイバだけが案内構造206に入り、その結果(下側列ファイバに対する)上側列ファイバの部分的なずれが生じる。
図3Bに更に示すように、下側列ファイバはインターレース・ブーツ102に入り、テーパした側壁に当たるまで案内構造206の下を(この構造を迂回しながら)引き続き進む。本発明のいくつかの実施形態では、下側列ファイバは案内構造206を迂回しないが、代わりに案内構造206の第2の部分(図示せず)に入る。このようにして、上側および下側の両方のファイバをずらし、既に検討したような交互配置された新しい送り出しピッチに合わせて設置することができる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態では、ファイバが部分的にまたは完全にずらされた後で、テーパが生じ得る。
図3Aおよび
図3Bに示すように、上側列ファイバは、ファイバがインターレース・ブーツ102のテーパした側壁(
図3Bに描かれている「テーパ」セクション)に当たるときまでに、部分的にずらされている。ただし、光ファイバ202をずらす前、ずらしている間の任意の時点、またはずらした後で、インターレース・ブーツ102の側壁の構造を調整することによって、テーパを生じさせることのできることが理解される。
【0033】
図4Aには、光ファイバ202がチャネル204に沿ってインターレース・ブーツ102の部分「A」の中を案内されて通過し部分「B」に入ったときの、
図1に示す2列フェルール100およびインターレース・ブーツ102の上面図が描かれている。
図4Bには、光ファイバ202がチャネル204に沿ってインターレース・ブーツ102の部分「A」の中を案内されて通過し部分「B」に入ったときの、
図1に示す2列フェルール100およびインターレース・ブーツ102の断面図が描かれている。
【0034】
図4Aに示す状態では、インターレース・ブーツ102は十分な挿入を受けて光ファイバ202を覆っており、この結果上側列ファイバが下側列ファイバから完全にずれている。言い換えれば、光ファイバ202はインターレース・ブーツ102の部分「B」に入っている。
図4Bに更に示すように、光ファイバ202はインターレース・ブーツ102のテーパした側壁に当たっている。この結果、光ファイバ202は互いに向けて垂直方向(ファイバの2つの列が垂直に重ねられている方向)に押しやられている。
図4Aと
図4Bを比較することで認識されるように、光ファイバ202のテーパは、上側列が下側列から少なくとも部分的にずらされた後で生じる。この様式では、上側列ファイバと下側列ファイバの間の衝突(およびしたがって損傷)が回避される。
【0035】
図5Aには、光ファイバ202がインターレース・ブーツ102のチャネル204の中を案内されて通過したときの、
図1に示す2列フェルール100およびインターレース・ブーツ102の上面図が描かれている。
図5Bには、光ファイバ202がインターレース・ブーツ102のチャネル204の中を案内されて通過したときの、
図1に示す2列フェルール100およびインターレース・ブーツ102の断面図が描かれている。
【0036】
図5Aに示す状態では、インターレース・ブーツ102は十分な挿入を受けて光ファイバ202を覆っており、この結果光ファイバ202の端部部分がインターレース・ブーツ102の外に出ている。この時点で、光ファイバ202はずらされ交互配置されて、ファイバの単一の列(ファイバの1Dアレイ)となっている。本発明のいくつかの実施形態では、インターレース・ブーツ102から光ファイバ202の端部部分の各々が延びる長さは(ファイバ長さ、案内構造206の経路設計、等の違いに起因して)変化する。
【0037】
図6Aには、インターレース・ブーツ102を光ファイバ・リボン200に2列フェルール100の基部まで押し被せた後の、
図1に示す2列フェルール100およびインターレース・ブーツ102の上面図が描かれている。
図6Bには、インターレース・ブーツ102を光ファイバ・リボン200に2列フェルール100の基部まで押し被せた後の、
図1に示す2列フェルール100およびインターレース・ブーツ102の断面図が描かれている。
【0038】
図6Aに示す状態では、インターレース・ブーツ102は十分な挿入を受けて光ファイバ202を覆っており、この結果光ファイバ・リボン200が完全に覆われている。本発明のいくつかの実施形態では、全てのファイバが同じはみ出し先端部長さを有することを保証するために、光ファイバ202の露出した端部部分が切断される(既に検討したように、ファイバによってずれているものもあればそうでないものもあることなど、様々な要因に起因して、一部のファイバはインターレース・ブーツ102からはみ出るファイバ先端端部がより短いかまたはより長い場合がある-ずれたファイバは一般に、より短いファイバ先端端部を有することになる)。レーザまたは機械的切断によってなど、任意の好適なプロセスを用いて、光ファイバ202を清浄化および切断することができる。切断は、位置再調整の過程で損傷した光ファイバ202の端部部分を除去するためにも有用である。本発明のいくつかの実施形態では、インターレース・ブーツ102は次いで、ファイバの曲げを確保するべく2列フェルール100に固定される。本発明のいくつかの実施形態では、インターレース・ブーツ102は2列フェルール100に接着剤で糊着されるが、インターレース・ブーツ102を2列フェルール100にまたはファイバ・アレイに接着するための他の技術が、本発明の企図する範囲内にある。本発明のいくつかの実施形態では、インターレース・ブーツ102は、2列フェルール100にラッチングするためのラッチ(図示せず)を含む。本発明の他の実施形態では、インターレース・ブーツは複数ファイバ・アレイ(図示せず)に直接的に固定される。この様式では、インターレース・ブーツはフェルールを有さない用途においてさえも使用され得る。
【0039】
図7には、本発明の1つまたは複数の実施形態に係る、臨時インターレース・コーム700への挿入中の2列フェルール100の断面図が描かれている。
図7に示すように、本明細書で既に検討した案内構造206をインターレース・ブーツ102に限定する必要はない。本発明のいくつかの実施形態では、案内構造206は代わりに臨時インターレース・コーム700内に収容される。
【0040】
光ファイバ202は、インターレース・ブーツ102に関して既に記載したものと同様の様式で、インターレース・コーム700を使用してずらされインターレースされる。例えば、光ファイバ202をインターレース・コーム700内で案内構造206を通して繰り出して、光ファイバ202を物理的にずらして交互配置することができる。
【0041】
有利には、光ファイバ202が交互配置されてファイバの単一の列になった後で、光ファイバ202が覆われるようにブーツ702に挿入を行うことができ、インターレース・コーム700は取り外すことができる。次いで、本明細書において
図6Aおよび
図6Bに関して既に検討したものと同様の様式で、ブーツ702を2列フェルール100に固定することができ、光ファイバ202を切断することができる。
【0042】
案内構造206を臨時インターレース・コーム700内に設置することによって、案内構造206を必要な回数だけ再利用することが可能になる。当然ながら、ブーツ702に加えてインターレース・コーム700を形成することでのコストの増加とのトレードオフとなる。手短に言えば、臨時インターレース・ブーツは、同じピッチの多くのフェルールを有する(したがって同じ案内構造206が各フェルールにとって有効である)ファイバ配線などの、繰り返し可能な用途に非常に適している。
【0043】
図8には、本発明の1つまたは複数の実施形態に係る、フェルール内で光ファイバのアレイを交互配置するための方法を説明するフロー
図800が描かれている。ブロック802に示されているように、光ファイバはインターレース・ブーツの第1の端部に挿入される。本発明のいくつかの実施形態では、光ファイバはファイバの第1の列とファイバの第2の列とを含む。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態では、インターレース・ブーツは、フェルール・リボンが挿入されるように適合されている第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部と、を有する本体を含む。第2の端部は開口部を含み得る。本発明のいくつかの実施形態では、本体は第1の端部と第2の端部の間で第1の方向にテーパしている。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態では、案内構造は本体内に配設される。案内構造は1つまたは複数のチャネルを含むことができ、各チャネルは単一光ファイバを受けるように適合され得る。本発明のいくつかの実施形態では、各チャネルは第1の端部と第2の端部とを含み、第2の端部は第1の端部に対して第1の方向と直交する第2の方向にずらされている。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態では、案内構造は2列フェルールの第1の列だけから光ファイバを受けるように適合されている。本発明のいくつかの実施形態では、案内構造は、2列フェルールの第2の列が案内構造を迂回するように適合されている。本発明のいくつかの実施形態では、案内構造は2列フェルールの両方の列から光ファイバを受けるように適合されている。本発明のいくつかの実施形態では、案内構造は、1つまたは複数の上側チャネルと1つまたは複数の下側チャネルとを備える。本発明のいくつかの実施形態では、案内構造は、ずらされている間のファイバの最大の曲がりが、所与の用途に関する許容ファイバ曲げ半径以内となることを保証するように適合されている。本発明のいくつかの実施形態では、許容ファイバ曲げ半径は、所与の用途またはファイバのタイプに基づいて事前に決定される。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態では、案内構造の各チャネルは、第1の部分と第2の部分とを含む。本発明のいくつかの実施形態では、各チャネルのずれは第1の部分において生じ、第2の部分においては生じない。本発明のいくつかの実施形態では、各チャネルのずれは第1の部分および第2の部分において生じる。本発明のいくつかの実施形態では、各チャネルのずれの大部分は第1の部分において生じる(全体的なずれの僅かな部分が第2の部分において生じる)。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態では、各チャネルはテーパしている。本発明のいくつかの実施形態では、各チャネルのテーパは第2の部分において生じ、第1の部分においては生じない。
【0049】
ブロック804において、インターレース・ブーツがフェルールに向かって押されて、光ファイバが案内構造を通して繰り出される。本発明のいくつかの実施形態では、ファイバの第1の列は案内構造によってファイバの第2の列から物理的にずらされこれとインターレースされる。有利なことには、(公差およびファイバ・アレイの導入時のピッチのばらつきの点で)初期のずれが完全ではなくても、ファイバが円筒形であるというまさにその性質は、それらをテーパさせると各ファイバが接触によって相互作用して、交互配置を生むずれが完成することを意味する。
【0050】
方法は、インターレース・ブーツをフェルールに連結することを更に含み得る。本発明のいくつかの実施形態では、インターレース・ブーツは接着剤を使用してフェルールに糊着される。本発明のいくつかの実施形態では、インターレース・ブーツは、インターレース・ブーツにまたはフェルールに組み込まれたラッチを使用して、フェルールにラッチされる。本発明のいくつかの実施形態では、光ファイバは、光ファイバを案内構造を通して繰り出した後で清浄化および切断される(そうしなければ、それらがインターレース・ブーツから様々な距離で突出する可能性があるため)。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態では、1本または複数本の光ファイバからのファイバ先端部が切断される。本発明のいくつかの実施形態では、ファイバ先端部を切断することは、レーザまたは機械的切断を含む。本発明のいくつかの実施形態では、1本または複数本の光ファイバが、1本または複数本の光ファイバの各々がインターレース・ブーツから同じ長さだけ突出するように切断される。
【0052】
図9には、本発明の1つまたは複数の実施形態に係る、フェルール内に光ファイバのアレイを交互配置するための方法を説明するフロー
図900が描かれている。ブロック902に示されているように、光ファイバは第1の方向にインターレース・コーム内へと繰り出される。本発明のいくつかの実施形態では、光ファイバはファイバの第1の列とファイバの第2の列とを含む。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態では、インターレース・コームは案内構造を含む。本発明のいくつかの実施形態では、案内構造は1つまたは複数のチャネルを含み、各チャネルは1本の単一光ファイバを受けるように適合されている。本発明のいくつかの実施形態では、各チャネルは第1の端部と第2の端部とを含み、第2の端部は第1の端部に対して第1の方向と直交する第2の方向にずらされている。
【0054】
ブロック904において、光ファイバは、光ファイバが案内構造に押し通されるように、インターレース・コームの中を移動(案内)される。本発明のいくつかの実施形態では、ファイバの第1の列は案内構造によってファイバの第2の列から物理的にずらされ、これとインターレースされる。光ファイバは、ファイバをインターレース・コーム内へと物理的に移動させることによって、ファイバを覆うようにインターレース・コームを移動させることによって、またはファイバとコームの対向する移動の組合せによって、案内構造の中を案内され得る。本発明のいくつかの実施形態では、インターレース・コームを複数の移動する部分(図示せず)へと分割し、各々を上側列および下側列ファイバ・アレイの周囲に挿入することができる。その場合、インターレース・ブーツの挿入前にそれら様々な部品を移動させてファイバ・アレイを所与のずれおよびピッチに合わせて連続的に変位させることによって、ファイバ・アレイの上側列と下側列をずらすことができる。
【0055】
ブロック906において、光ファイバはインターレース・ブーツに挿入される。インターレース・ブーツは、フェルール・リボンが挿入されるように適合されている第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部と、を有する本体を含み得る。第2の端部は開口部を含み得る。本発明のいくつかの実施形態では、本体は第1の端部と第2の端部の間で第1の方向にテーパしている。ブロック908において、インターレース・コームが取り外される。
【0056】
方法は、フェルールとの接触が行われるまで、光ファイバを覆うようにインターレース・ブーツを移動させることを更に含み得る。この様式では、光ファイバはインターレース・ブーツに押し通され、そこから出る。本発明のいくつかの実施形態では、インターレース・ブーツは接着剤を使用してフェルールに糊着される。本発明のいくつかの実施形態では、1本または複数本の光ファイバが、光ファイバの各々がインターレース・ブーツから同じ長さだけ突出するように切断される。
【0057】
本明細書では本発明の様々な実施形態が関連する図面を参照して記載される。本発明の範囲から逸脱することなく代替の実施形態を考案することができる。以下の説明においておよび図面において、要素間の様々な接続および位置関係(例えば、上(over)、下(below)、隣(adjacent)、等)が設定されるが、本明細書に記載する位置関係の多くは向きに依存せず、向きが変更されても記載されている機能性は維持されることを、当業者は認識するであろう。これらの接続または位置関係あるいはその両方は、そうではないと明記されていない限りは直接的または間接的であり得、本発明はこの点に関して限定的となることを意図していない。同様に、用語「連結された」およびその変形は、2つの要素間に連絡経路を有することを記述しており、それらの間に介在する要素/接続を有さない要素間の直接的接続は示唆していない。これらの変形は全て本明細書の一部と見なされる。したがって、エンティティの連結は直接的連結または間接的連結のいずれかを指すことができ、エンティティ間の位置関係は直接的または間接的な位置関係であり得る。間接的位置関係の例として、本明細書で層「B」を覆って層「A」を形成することに言及する場合は、層「A」および層「B」の関連する特性および機能性が中間層によって実質的に変化しない範囲で、層「A」と層「B」の間に1つまたは複数の中間層(例えば層「C」)がある状況を含む。
【0058】
以下の定義および略語は、特許請求の範囲および明細書を解釈するために使用されるものである。本明細書で使用する場合、用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「包含する(contains)」、もしくは「包含している(containing)」、またはこれらの任意の他の変形は、非排他的な包含を含むことを意図する。例えば、列挙された要素を含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は必ずしもそれらの要素だけに限定されず、明示的に列挙されていないかまたはそのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、もしくは装置に固有である他の要素を含むことができる。
【0059】
更に、用語「例示的な」は、本明細書では「例、事例、または例示として機能する」という意味で使用される。本明細書で「例示的」であるとして記載されるいかなる実施形態または設計も、必ずしも他の実施形態または設計に比べて好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。用語「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」は、1以上の任意の整数、すなわち1、2、3、4、等を含むものと理解される。用語「複数」は、2以上の任意の整数、すなわち2、3、4、5、等を含むものと理解される。用語「接続」は、間接的「接続」と直接的「接続」とを含み得る。
【0060】
明細書中の「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示の実施形態」等への言及は、その記載される実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得ることを示唆しているが、全ての実施形態がその特定の特徴、構造、または特性を含んでいる場合も、またはそうでない場合もある。また更に、そのような句は必ずしも同じ実施形態を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、または特性をある実施形態との関連において記載するが、明示的に記載されているか否かに関わらず、そのような特徴、構造、または特性を他の実施形態との関連において変更することが当業者の知見の範囲内にあることは論を待たない。
【0061】
以降の説明の目的として、用語「上側(upper)」、「下側(lower)」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、およびこれらの派生語は、記載される構造および方法と、図面の図における向きで関係しているものとする。用語「上にある(overlying)」、「上に(atop)」、「上に(on top)」、「~の上に位置する(positioned on)」、または「~の上に位置する(positioned atop)」は、第1の要素、例えば第1の構造が、第2の要素、例えば第2の構造の上に存在することを意味し、この場合第1の要素と第2の要素の間に、接合面構造などの介在する要素が存在し得る。用語「直接的接触」は、第1の要素、例えば第1の構造と、第2の要素、例えば第2の構造とが、それら2つの要素の接合面にどのような中間の導通層、絶縁層、または半導体層も用いずに接続されていることを意味する。
【0062】
図に示されるようなある要素または特徴と別の要素または特徴の関係を説明する記述を容易にするために、本明細書では空間に関連する用語、例えば「下に(beneath)」、「下に(below)」、「下側(lower)」、「上に(above)」、「上側(upper)」などが使用される。これら空間的関係を表す用語は、図に描かれている配置のほかに、使用または動作中のデバイスの様々な配置を包含することを意図していることが理解されよう。例えば、図中のそのデバイスを上下逆にした場合、他の要素または特徴の「下(below)」または「下(beneath)」として記述される要素はその結果、他の要素または特徴の「上(above)」に配置されることになる。このように、用語「下(below)」は、上(above)および下(below)の両方の配置を包含し得る。デバイスはそれ以外で(例えば90度回転させてまたは他の配置で)配置することができ、本明細書で使用する空間的関係を表す記述語は、それに応じて解釈されるべきである。
【0063】
用語「約(about)」、「実質的に」、「約(approximately)」、およびこれらの変形は、本願の出願時点で利用可能な機器を利用した特定の量の測定と関連付けられる誤差の程度を含むことを意図している。例えば、「約(about)」は、所与の値の±8%、または5%、または2%の範囲を含み得る。
【0064】
図中のフローチャートおよびブロック図には、本発明の様々な実施形態に係る製造方法または動作方法あるいはその両方の、可能な実装形態が説明されている。フロー図には、方法の様々な機能/動作がブロックによって表されている。いくつかの代替的実装形態において、ブロック内に記された機能は、図に記されたものとは異なる順序で行われ得る。例えば連続して示される2つのブロックは、実際は実質的に並行して実行され得、またはこれらのブロックは時には関わる機能に応じて、逆の順序で実行され得る。
【0065】
本発明の様々な実施形態の説明は例示の目的で提示されているが、網羅的であることまたは記載されている実施形態に限定されることは意図していない。当業者には、記載されている実施形態の範囲から逸脱することなく、多くの修正および変形が明らかであろう。本明細書で用いられる専門用語は、実施形態の原理、実際の応用、もしくは市場に見られる技術に対する技術改善を最もよく説明するように、または、他の当業者が本明細書に記載する実施形態を理解するのを可能にするように選ばれた。
【0066】
本明細書に記載する本発明の好ましい実施形態では、複数のリボンからの光ファイバのアレイをインターレースするための方法であって、光ファイバを第1の方向にインターレース・コーム内へと繰り出すことであって、光ファイバはファイバの第1の列およびファイバの第2の列を備え、インターレース・コームは、1つまたは複数のチャネルを備える案内構造であって、各チャネルは単一光ファイバを受けるように適合されており、各チャネルは第1の端部および第2の端部を有し、第2の端部は第1の端部に対して第1の方向と直交する第2の方向にずらされている、案内構造を備える、繰り出すことと、光ファイバが案内構造に押し通されるようにインターレース・コームを移動させることであって、ファイバの第1の列は、案内構造の中を移動することによってファイバの第2の列から物理的にずらされこれとインターレースされる、移動させることと、第1の端部および第1の端部の反対側の第2の端部を有する本体を備えるインターレース・ブーツの第1の端部に光ファイバを挿入することであって、第2の端部は開口部を備え、本体は第1の端部と第2の端部の間で第1の方向にテーパしている、挿入することと、インターレース・コームを取り外すことと、を含む方法が提供される。方法は、複数のリボン・フェルールとの接触が行われるまで、光ファイバを覆うようにインターレース・ブーツを移動させることを更に含んでもよい。インターレース・ブーツは接着剤を使用してフェルールに糊着されてもよい。1つまたは複数の光ファイバを、光ファイバの各々がインターレース・ブーツから同じ長さだけ突出するように切断してもよい。