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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】認識システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 1/06 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
A63F1/06 Z
A63F1/06 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023060609
(22)【出願日】2023-04-04
(62)【分割の表示】P 2019553778の分割
【原出願日】2018-10-25
(65)【公開番号】P2023085429
(43)【公開日】2023-06-20
【審査請求日】2023-05-08
(31)【優先権主張番号】P 2017219634
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230120651
【弁護士】
【氏名又は名称】山口 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
【審査官】酒井 保
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0160608(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0161987(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0062491(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技テーブルを有する遊技場におけるチップの認識システムであって、
前記遊技テーブル上に積み重ねられたチップの状態をカメラにより画像として記録するゲーム記録装置と、
チップ判定装置と、を備え、
前記チップ判定装置は、
前記記録されたチップの状態の画像を画像分析して、プレーヤが賭けたチップの枚数および種類を判定する機能と、
チップの所定の状態の画像の特徴を記憶し、判定時に前記ゲーム記録装置から得た画像が前記所定の状態の画像であるか否かを判断する機能と、
前記ゲーム記録装置から得た画像が前記所定の状態の画像であると判断された時に判定不明としてその旨を判定結果として出力表示する機能と、を備えた、チップの認識システム。
【請求項2】
請求項1に記載のチップの認識システムであって、
前記チップ判定装置は、人工知能装置を含み、前記人工知能装置は、前記チップ判定装置において判定に誤りがあった場合の過去の判定に用いられた複数の画像を教師データとして学習し、
前記チップ判定装置は、前記学習の結果として判定結果に誤りがあった画像を基にして判定の正確性を自己判定し、判定に疑いがあるものを判定不明としてその旨を判定結果として出力表示する機能を更に備えた、チップの認識システム。
【請求項3】
請求項2に記載のチップの認識システムであって、
前記チップ判定装置は、自ら判定不明とした場合に、前記ゲーム記録装置の画像を分析して、前記判定不明の判断となる原因が、前記遊技テーブル上に積み重ねられたチップの重なり状態にあるか又はチップの一部もしくは一枚全体が他のチップで隠れた状態にあるかの何れが原因となったかを、判定して記憶する機能を更に備えた、チップの認識システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のチップの認識システムであって、
当該ゲームの記録が前記チップ判定装置により後で分析可能となるように、前記ゲーム記録装置は、カメラから取得した画像にインデックスもしくは時刻を付与するか、もしくはチップの積層状態を特定するタグを付与して記録する、チップの認識システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のチップの認識システムであって、
前記チップ判定装置は、第2の人工知能装置を含み、前記第2の人工知能装置は、前記チップ判定装置において判定が正しかった場合の過去の判定に用いられた複数の画像およびチップの情報を教師データとして学習する、チップの認識システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のチップの認識システムであって、
前記チップ判定装置は、自ら判定不明とした場合に、前記カメラとは別のカメラによって記録された画像を画像分析してプレーヤが賭けたチップの枚数および種類を判定する、
チップの認識システム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のチップの認識システムであって、
前記チップ判定装置は、垂直方向に一定の間隔以上チップを認識せずに次のチップを認識した場合に、前記所定の状態の画像であると判断し、判定不明としてその旨を判定結果として出力表示する、チップの認識システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のチップの認識システムであって、
前記チップ判定装置は、チップの高さから判定したチップの枚数と、前記チップの状態の画像を画像分析して判定した枚数とを比較し、異なる場合に、前記所定の状態の画像であると判断し、判定不明としてその旨を判定結果として出力表示する、チップの認識システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認識システムに関し、特にチップの認識システムに関する。
【背景技術】
【0002】
バカラゲームなどのゲームでは、客(プレーヤ)がテーブル上に複数のチップを積み重ねることによって賭けが行われる。そのため、積み重ねられたチップを正確に認識する必要がある。なお、国際公開第2008/120749号には、ゲームに用いられるチップの一例が開示されている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、複数の種類を有する対象物を精度よく認識できる認識システムを提供することにある。
【0004】
第1の態様に係るチップの認識システムは、
遊技テーブルを有する遊技場におけるチップの認識システムであって、
前記遊技テーブル上に積み重ねられたチップの状態をカメラにより画像として記録するゲーム記録装置と、
前記記録されたチップの状態の画像を画像分析して、プレーヤが賭けたチップの枚数および種類を判定するチップ判定装置と、
を備え、
前記チップ判定装置は、チップの所定の状態の画像の特徴を記憶し、判定時に前記ゲーム記録装置から得た画像が前記所定の状態の画像であると判断した時に判定不明としてその旨を判定結果として出力表示する機能を更に備える。
【0005】
このような態様によれば、チップ判定装置が、たとえばチップの読み取りの正確性が低くなるような画像を所定の状態の画像として記憶しており、判定時に、ゲーム記録装置から得た画像が、このような所定の状態の画像であると判断した時に、無理やり答えを出すのではなく、判定不明としてその旨を出力表示する。これにより、チップの枚数および種類の判定結果から、チップの読み取りの正確性が低くなるような画像について無理やり答えを出した場合の判定結果(すなわち間違えている可能性が高い判定結果)を除くことができる。すなわち、正確に読み取ることができる画像のみからチップの枚数および種類を判定することができるようになり、結果的に、チップを精度よく認識することが可能となる。
【0006】
第2の態様に係るチップの認識システムは、第1の態様に係るチップの認識システムであって、
前記チップ判定装置は、人工知能装置を含み、前記人工知能装置は、前記チップ判定装置において判定に誤りがあった場合の過去の判定に用いられた複数の画像を教師データとして学習し、
前記チップ判定装置は、前記学習の結果として判定結果に誤りがあった画像を基にして判定の正確性を自己判定し、判定に疑いがあるものを判定不明としてその旨を判定結果として出力表示する機能を更に備える。
【0007】
このような態様によれば、チップ判定装置の人工知能装置が、判定に誤りがあった場合の過去の(誤った)判定に用いられた複数の画像を教師データとして学習を行うことで、判定の正確性を自己判定する際に、自己判定の精度を高めることができる。これにより、正確に読み取ることができる画像を誤って判定不明として出力表示してしまう事態を少なくできる。
【0008】
第3の態様に係るチップの認識システムは、第2の態様に係るチップの認識システムであって、
前記チップ判定装置は、自ら判定不明とした場合に、前記ゲーム記録装置の画像を分析して、前記判定不明の判断となる原因が、前記遊技テーブル上に積み重ねられたチップの重なり状態にあるか又はチップの一部もしくは一枚全体が他のチップで隠れた状態にあるかの何れが原因となったかを、判定して記憶する機能を更に備える。
【0009】
このような態様によれば、チップ判定装置に記憶された判定結果から、判定不明の判断となった原因をディーラーが容易に確認することができる。これにより、ディーラーが、別のチップの陰にならない位置にチップを置きなおしたり、ギザギザに積まれたチップをきれいに積みなおしたりして(チップをディーラーが触ることをプレーヤが嫌がる場合にはディーラーがプレーヤに注意を促してもよい)、判定不明の原因を迅速に解消することができる。
【0010】
第4の態様に係るチップの認識システムは、第1ないし3のいずれかの態様に係るチップの認識システムであって、
当該ゲームの記録が前記チップ判定装置により後で分析可能となるように、前記ゲーム記録装置は、カメラから取得した画像にインデックスもしくは時刻を付与するか、もしくはチップの積層状態を特定するタグを付与して記録する。
【0011】
このような態様によれば、チップ判定装置は、画像に付与されたインデックスや時刻やタグを利用することで、ゲーム記録装置の記録内容から、分析対象とすべきチップの状態の画像を容易に特定することができ、特定に要する時間を短縮できる。
【0012】
第5の態様に係るチップの認識システムは、第1ないし4のいずれかの態様に係るチップの認識システムであって、
前記チップ判定装置は、第2の人工知能装置を含み、前記第2の人工知能装置は、前記チップ判定装置において判定が正しかった場合の過去の判定に用いられた複数の画像およびチップの情報を教師データとして学習する。
【0013】
このような態様によれば、チップ判定装置の第2の人工知能装置が、チップ判定装置において判定が正しかった場合の過去の(正しい)判定に用いられた複数の画像およびチップの情報を教師データとして学習を行うことで、チップの枚数および種類を判定する際の判定精度を高めることができる。
【0014】
第6の態様に係るチップの認識システムは、第1ないし5のいずれかの態様に係るチップの認識システムであって、
前記チップ判定装置は、自ら判定不明とした場合に、前記カメラとは別のカメラによって記録された画像を画像分析してプレーヤが賭けたチップの枚数および種類を判定する。
【0015】
第7の態様に係るチップの認識システムは、第1ないし6のいずれかの態様に係るチップの認識システムであって、
前記チップ判定装置は、垂直方向に一定の間隔以上チップを認識せずに次のチップを認識した場合に、前記所定の状態の画像であると判断し、判定不明としてその旨を判定結果として出力表示する。
【0016】
第8の態様に係るチップの認識システムは、第1ないし7のいずれかの態様に係るチップの認識システムであって、
前記チップ判定装置は、チップの高さから判定したチップの枚数と、前記チップの状態の画像を画像分析して判定した枚数とを比較し、異なる場合に、前記所定の状態の画像であると判断し、判定不明としてその旨を判定結果として出力表示する。
【0017】
第9の態様に係る認識システムは、
判定対象物が、複数の種類を有しており対象物を種類毎に判別して種類毎の個数を判定する認識システムであって、
前記対象物の状態をカメラにより画像として記録する記録装置と、
前記記録された対象物の画像を画像分析して、対象物の種類毎の個数を判定する人工知能装置を含む判定装置と、
を備え、
前記判定装置は、過去の判定結果を教師データとして学習しており、判定における正確性を自己判定する機能を備え、前記正確性のレベルが一定以下の場合に判定結果に疑いがあるものとして自己判定し、判定不明としてその旨を判定結果として出力表示する機能を更に備える。
【0018】
このような態様によれば、判定装置が、過去の判定結果を教師データとして学習しており、新たな画像については、まずは、判定における正確性を自己判定し、その正確性のレベルが一定以下の場合には、無理やり答えを出すのではなく、判定不明としてその旨を出力表示する。これにより、対象物の種類毎の個数の判定結果から、判定における正確性が低くなるような画像について無理やり答えを出した場合の判定結果(すなわち間違えている可能性が高い判定結果)を除くことができる。すなわち、正確に読み取ることができる画像のみから対象物の種類毎の個数を判定することができるようになり、結果的に、対象物を精度よく認識することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、一実施の形態に係るチップの認識システムを備えた遊技場を模式的に示す図である。
図2図2は、バカラゲームの進行を説明するための図である。
図3図3は、一実施の形態に係るチップの認識システムの概略構成を示すブロック図である。
図4図4は、一実施の形態に係るチップの認識方法を説明するためのフローチャートである。
図5図5は、あるチップの陰に別のチップが隠れている場合を説明するための図である。
図6図6は、チップの積み方がギザギザの場合を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。
【0021】
以下に説明する実施の形態では、対象物を種類毎に判別して種類毎の個数を判定する認識システムの一例として、遊技テーブルを有する遊技場におけるチップの認識システムについて説明するが、判定対象物は複数の種類を有するものであれば、チップに限定されるものでないことは言うまでもない。
【0022】
まず、図1および図2を参照し、遊技テーブル4を有する遊技場において行われるゲームについて説明する。本実施の形態では、遊技テーブル4がバカラテーブルであり、バカラゲームが行われる例を説明するが、他の遊技場あるいは他のゲームにも本発明は適用可能である。
【0023】
図1は、一実施の形態に係るチップの認識システム10を備えた遊技場を模式的に示す図である。図1に示すように、遊技場には、略半円状の遊技テーブル4と、遊技テーブル4の円弧側に沿ってディーラーDと向かい合うように並べられた複数の椅子201とが配置されている。椅子201の数は任意であり、図1に示す例では、6つの椅子201が並べられている。また、椅子201のそれぞれに対応して、遊技テーブル4上にベットエリアBAが設けられている。すなわち、図示された例では、6個のベットエリアBAが円弧状に並んで設けられている。
【0024】
図1に示すように、椅子201のそれぞれに客(プレーヤ)Cが着席する。客(プレーヤ)Cは、バカラゲームの勝敗結果として、プレーヤ(PLAYER)とバンカー(BANKER)のどちらが勝利するか、または引き分け(TIE)となるかを、着席した椅子201の目の前に設けられたベットエリアBAにチップWを積み重ねて配置することにより賭ける(以下、これを「ベット」とする)。
【0025】
ベットするチップWは、1種類のみであってもよいし、複数種類であってもよい。また、ベットするチップWの枚数は、客(プレーヤ)Cが任意に決定してよい。本実施の形態によるチップの認識システム10は、この積み重ねて配置されたチップWの枚数および種類を認識するものである。
【0026】
ディーラーDは、客(プレーヤ)Cによるベットを終了させるため、タイミングを計り“No More Bet(ベットの受付終了)”とコールし、手を横方向に動かすなどを行う。次いで、ディーラーDは、カードシュータ装置Sからカードを1枚ずつ遊技テーブル4に引き出す。図2に示すように、1枚目のカードはプレーヤ(PLAYER)、2枚目のカードはバンカー(BANKER)、3枚目のカードはプレーヤ(PLAYER)、4枚目のカードはバンカー(BANKER)の手となる(以下、1~4枚目のカードの引き出しを、「ディーリング」とする)。
【0027】
なお、カードはカードシュータ装置Sからすべて裏面が上向きの状態で引き出される。そのため、引き出されたカードのランク(数)やスート(ハート・ダイヤ・スペード・クラブ)は、ディーラーDからも客(プレーヤ)Cからも把握することはできない。
【0028】
4枚目のカードが引き出された後、プレーヤ(PLAYER)にベットをした客(プレーヤ)C(PLAYERにベットをした客が複数いる場合は一番高額のベットをした客C、PLAYERにベットをした客がいない場合はディーラーD)は、裏面が上向きになっている1枚目と3枚目のカードを表面に返す。同様に、バンカー(BANKER)にベットをした客(プレーヤ)C(BANKERにベットをした客が複数いる場合は一番高額のベットをした客C、BANKERにベットをした客がいない場合はディーラーD)は、2枚目と4枚目のカードを表面に返す(一般に、この裏面のカードを表面に返すことを、「スクイーズ」と呼ぶ)。
【0029】
そして、この1~4枚目のカードのランク(数)と、バカラゲームの詳細なルールに基づき、ディーラーDにより5枚目のカード、さらに6枚目のカードが引き出され、これらは各々プレーヤ(PLAYER)またはバンカー(BANKER)の手となる。同じくプレーヤ(PALYER)の手となるカードをプレーヤ(PLAYER)にベットをした客(プレーヤ)Cがスクイーズし、バンカー(BANKER)の手となるカードをバンカー(BANKER)にベットをした客(プレーヤ)がスクイーズする。
【0030】
1~4枚目のカードが引き出された後、5枚目、6枚目のカードをスクイーズして勝敗結果が判明するまでの時間は、客(プレーヤ)Cにとって醍醐味となる時間である。
【0031】
さらに、カードのランク(数)によっては1~4枚目までで勝敗が決まることもあり、また5枚目、さらには6枚目でようやく勝敗が決まることもある。ディーラーDは、スクイーズされたカードのランク(数)に基づき、勝敗が決まったことや勝敗結果を把握し、カードシュータ装置Sにおける勝敗結果表示ボタンを押して、勝敗結果を客(プレーヤ)Cに知らせるためにモニタに表示させるなどの作業を行う。
【0032】
また同時に、カードシュータ装置Sが有する勝敗判定部により、ゲームの勝敗結果が判定される。勝敗が決まっているにもかかわらず、ディーラーDが勝敗結果の表示を行わずにさらにカードを引こうとした場合はエラーとなる。カードシュータ装置Sは前記エラーを検知し、エラー信号が出力される。最後に、ディーラーDは、勝敗結果が表示されている間、客(プレーヤ)Cによる賭けたチップの精算を行い、勝った客(プレーヤ)Cへの支払い、および負けた客(プレーヤ)Cの賭けたチップの回収を行う。精算が完了した後、勝敗結果の表示を終了し、次のゲームのベットを開始する。
【0033】
なお、上記のバカラゲームの流れは、一般のカジノで広く行われているものであり、カードシュータ装置Sは、カードをディーラーDの手により引き出す構造をとりつつ、引き出されるカードを読み取るように構成され、さらに結果表示ボタンや結果表示部を有し、勝敗判定や勝敗結果の表示を行う機能を備えた、既存のカードシュータ装置である。一般のカジノフロアにおいて、複数台並べられている遊技テーブル4ごとにカードシュータ装置Sやモニタなどが配置され、各遊技テーブル4またはその下のキャビネットに、使用するカードがパッケージまたはセット単位で、さらにはカートン単位で供給され、運用されている。
【0034】
本実施の形態に係るチップの認識システム10は、客(プレーヤ)CがベットエリアBAに積み重ねて配置したチップWを認識するシステムに関し、より詳しくは、チップWの枚数および/または種類を認識するシステムに関する。
【0035】
図1に示すように、本実施の形態では、ベットエリアBAに積み重ねて配置されたチップWの状態を撮像する監視カメラ212が、遊技テーブル4の外側に設けられている。また、各チップWにはRFIDが設けられおり、ディーラーDが管理するチップトレイ23には、チップトレイ23内のチップWのRFIDを読み取るRFID読取装置22が設けられている。
【0036】
本実施の形態に係るチップの認識システム10は、監視カメラ212およびRFID読取装置22に対してそれぞれ通信可能に接続されている。
【0037】
図3は、本実施の形態に係るチップの認識システム10の概略構成を示すブロック図である。図3に示すように、チップの認識システム10は、ゲーム記録装置11と、チップ判定装置12と、判定正否判断装置14とを有している。なお、チップの認識システム10の少なくとも一部は、コンピュータにより実現されている。
【0038】
ゲーム記録装置11は、たとえばハードディスク等の固定型データストレージを含んでいる。ゲーム記録装置11は、遊技テーブル4上に積み重ねられたチップWの状態を、カメラ212により撮像された画像として記録する。なお、画像は、動画像であってもよいし、連続した静止画像であってもよい。
【0039】
ゲーム記録装置11は、後述するチップ判定装置12によりゲームの記録が後で分析可能となるように、カメラ212から取得した画像にインデックスもしくは時刻を付与するか、もしくはチップWの回収シーンあるいは支払シーンを特定するタグを付与して記録してもよい。
【0040】
チップ判定装置12は、ゲーム記録装置11に記録されたチップWの状態の画像を画像分析して、客(プレーヤ)Cが賭けたチップWの枚数および種類を判定する。チップ判定装置12は、たとえば深層学習(ディープラーニング)技術などにより画像認識を行う人工知能装置を含んでいてもよい。
【0041】
ところで、客(プレーヤ)Cが賭けたチップW1~W6が複数の山に分けて積まれている場合(図5参照)や、チップW1~W6の積み方が乱雑でギザギザの場合(図6参照)には、カメラ212からチップW1~W6全体を見ることができないため、チップW1~W6の読み取りの正確性が低くなる可能性がある。
【0042】
より詳しくは、図5にて符号(A)を付して示すカメラ212のように、カメラ212の高さを上げると、チップW1~W6が手前側の山と奥側の山に分けて積まれていても、奥側の山のチップW1~W4が手前側の山のチップW5、W6の陰に隠れにくくなるが、図6にて符号(A)を付して示すカメラ212のように、チップW1~W6の積み方が乱雑でギザギザの場合には、あるチップW1がその上の別のチップW2の陰に隠れたり、あるチップW3がその上の別のチップW4、W5の陰に隠れたりして、チップW1~W6全体を読み取ることが難しくなる。
【0043】
逆に、図6にて符号(B)を付して示すカメラ212のように、カメラ212の高さを下げると、チップW1~W6の積み方が乱雑でギザギザであっても、チップW1~W6全体を読み取りやすいが、図5にて符号(B)を付して示すカメラ212のように、チップW1~W6が手前側の山と奥側の山に分けて積まれている場合には、奥側の山のチップW1、W2が手前側の山のチップW5、W6の陰に隠れやすくなり、チップW1~W6全体を読み取ることが難しくなる。
【0044】
また、チップW1~W6の積み方に問題がなくても、カメラ212にハレーション(外光が入って画像が白くなってしまう現象)が起こった場合にも、画像のコントラストが低下するため、チップW1~W6の読み取りの正解率が低くなる。
【0045】
従来の人工知能装置は、このような読み取りの正確性が低くなるような画像についても、無理やり(間違えている可能性が高い)答えを出してしまい、答えが間違っているために、客(プレーヤ)Cが賭けたチップと、チップトレイのチップとのマッチングが合わなくなる。人工知能装置の読み間違いによってマッチングが合わない場合に、いちいちゲームを止めてしまうと、効率が悪くなってしまう。
【0046】
このような点を考慮して、本実施の形態におけるチップ判定装置12は、積み重ねられたチップWの種類および枚数を判定する人工知能装置(チップ情報判定用の人工知能装置12a)に加えて、正解率が低い(間違えやすい)画像のパターンを認識する人工知能装置(画像パターン認識用の人工知能装置12b)をさらに含んでいる。
【0047】
チップ情報判定用の人工知能装置12aは、ゲーム記録装置11に記録されたチップWの状態の画像を画像分析して、客(プレーヤ)Cが賭けたチップWの枚数および種類を判定する。チップ情報判定用の人工知能装置12aは、客(プレーヤ)Cが賭けたチップWのベットエリアBA上における位置をさらに判定してもよい。
【0048】
チップ情報判定用の人工知能装置12aは、ゲーム記録装置11に記録されたチップWの状態の画像を画像分析して、各ゲームの精算前のチップトレイ23におけるチップWの枚数および種類を判定してもよい。
【0049】
図3に示すように、チップ判定装置12は、判定結果を出力装置15に出力する。出力装置15は、チップ判定装置12の判定結果を、文字情報として遊技テーブル4上のモニタに出力してもよいし、音声情報としてディーラーDのヘッドセットなどに出力してもよい。
【0050】
また、画像パターン認識用の人工知能装置12bは、チップWの所定の状態の画像の特徴を記憶しており、ゲーム記録装置11から得た画像が当該所定の状態の画像であるか否かを判断する。ここで、「チップWの所定の状態の画像」とは、当該画像を画像分析してチップの枚数および種類を判定した場合に、判定の正確性のレベルが一定以下となる可能性があり、すなわち判定に疑いがある画像である。具体的には、たとえば、複数の山に分けて積まれているチップW1~W6を低い位置にあるカメラ212により撮像して記憶された画像(図5にて符号(B)を付して示すカメラ212参照)や、乱雑でギザギザに積まれたチップW1~W6を高い位置にあるカメラ212により撮像して記憶された画像(図6にて符号(A)を付して示すカメラ212参照)、ハレーションが起こった画像などである。
【0051】
チップ判定装置12は、ゲーム記録装置11から得た画像が、画像パターン認識用の人工知能装置12bにより所定の状態の画像であると判断された時、すなわち判定の正確性のレベルが一定以下となると自己判定された時に、判定不明としてその旨を判定結果として出力装置15に出力する。
【0052】
また、チップ判定装置12は、自ら判定不明とした場合に、ゲーム記録装置11から得た画像を画像分析して、判定不明の判断となる原因が、(1)遊技テーブル上に積み重ねられたチップの重なり状態にあるか、又は(2)チップWの一部もしくは一枚全体が他のチップで隠れた状態にあるか、の何れが原因となったかを、判断して記憶する機能を更に備えていてもよい。
【0053】
図5および図6を参照し、チップ判定装置12は、符号(A)を付して示すカメラ212または符号(B)を付して示すカメラ212から得た画像が所定の状態の画像であり判定不能と判断した場合には、符号(C)を付して示す別のカメラ212で撮像した画像を利用してチップWの読取を行ってもよい。異なる向きまたは異なる位置のカメラによって他の角度から見ることでより客観的に、チップWを見ることができる。特に判定不明の判断となる原因が、図5のようにチップWの一部もしくは一枚全体が他のチップで隠れた状態にある場合には、符号(C)を付して示す反対側のカメラ212を用いることによってチップが他のチップに隠れなくなる。さらに、チップ判定装置12は、各カメラ212で撮像した画像を利用した、チップWの読取結果をそれぞれ出力してもよい。その場合に、チップ判定装置12は、それぞれの読取結果の判定の正確性を合わせて出力してもよいし、最も読取枚数が多い結果が、正しく認識している可能性が高いとみなしてもよい。
【0054】
チップ判定装置12は、チップWをカウントする際に、チップWのかたまりの中で、垂直方向に一定の間隔以上チップを認識せずに次のチップWを認識した場合に、判定不能としてもよい。すなわち、垂直方向に一定の間隔以上チップを認識できずに次のチップWを認識した場合は、途中のチップが隠れて見えていない可能性が高い。
【0055】
チップ判定装置12は、チップWの高さ等から判定したチップWの枚数と、チップWの種類および枚数を判定した際の結果とを比較し、枚数の判定結果が異なる場合に、判定不能であるという判定結果を出力する構成であってもよい。枚数は、特定の点(一番上のチップの輪郭の中心等)をチップの形状から決定し、三角測量などの手法で判定してもよい。
【0056】
判定正否判断装置14は、チップ判定装置12の判定結果の正否を判断する装置である。判定正否判断装置14は、客(プレーヤ)Cによる賭けたチップの精算が終わったとき、すなわち勝った客(プレーヤ)Cへの支払い、および負けた客(プレーヤ)Cが賭けたチップW(負けチップ)の回収がすべて終わったときに、チップトレイ23におけるチップWの現実の総額V0を把握する。
【0057】
本実施の形態では、判定正否判断装置14は、チップトレイ23内のチップWのRFIDの情報をRFID読取装置22から取得し、取得したRFIDの情報に基づいて、各ゲームの精算後のチップトレイ23におけるチップWの種類および枚数を判定し、その現実の総額V0を把握する。
【0058】
また、判定正否判断装置14は、チップ判定装置12から判定結果としてのチップWの枚数および種類の情報を取得し、取得したチップWの情報に基づいて、勝った客(プレーヤ)Cが賭けたチップW(勝ちチップ)の総額(すなわち当該ゲームにおけるチップトレイ23の減額分)V2と、負けた客(プレーヤ)Cが賭けたチップWの総額(すなわち当該ゲームにおけるチップトレイ23の増額分)V3とを算出する。そして、判定正否判断装置14は、各ゲームの精算前のチップトレイ23におけるチップWの総額V1から、当該ゲームにおけるチップトレイ23の減額分V2を減算し、さらに当該ゲームにおけるチップトレイ23の増額分V3を加算して、当該チップトレイ23におけるチップのあるべき総額V4(=V1-V2+V3)を計算する。
【0059】
判定正否判断装置14は、当該チップトレイ23におけるチップWのあるべき総額V4と当該チップトレイ23におけるチップWの現実の総額V0とを比較し、あるべき総額V4と現実の総額V0との間に相違があったときに(V4≠V0)、チップ判定装置12の判定結果に誤りがあったと判断する。他方、判定正否判断装置14は、あるべき総額V4と現実の総額V0とが一致しているときに(V4=V0)、チップ判定装置12の判定結果が正しいと判断する。
【0060】
チップ判定装置12は、判定正否判断装置14からチップ判定装置12の判定結果の正否を取得する。判定正否判断装置14によりチップ判定装置12の判定結果が正しいと判断された場合には、チップ情報判定用の人工知能装置12aは、判定が正しかった場合の当該過去の(正しい)判定に用いられた画像および(正しい)判定結果としてのチップWの枚数及び種類の情報を、教師データとして学習する。このような学習を繰り返し行うことで、チップ情報判定用の人工知能装置12aは、チップWの枚数および種類の判定精度を高めることができる。
【0061】
他方、判定正否判断装置14によりチップ判定装置12の判定結果に誤りがあったと判断された場合には、画像パターン認識用の人工知能装置12bは、判定に誤りがあった場合の当該過去の(誤った)判定に用いられた画像を、「所定の状態の画像」の教師データとして学習する。所定の状態の画像(あるチップが他のチップの陰に隠れている画像、ギザギザに積まれているチップの画像、ハレーションが起こった画像など)を人が選別して、画像パターン認識用の人工知能装置12bに学習させてもよい。所定の状態の画像(あるチップが他のチップの陰に隠れている画像、ギザギザに積まれているチップの画像、ハレーションが起こった画像など)を人または人工知能が意図的に作成し、画像パターン認識用の人工知能装置12bに学習させてもよい。このような学習を繰り返し行うことで、画像パターン認識用の人工知能装置12bは、判定の正確性が一定のレベル以下となる可能性がある画像を精度よく抽出することが可能となり、すなわち判定の正確性を自己判定する際に自己判定の精度を高めることができる。
【0062】
次に、図4を参照して、本実施の形態に係るチップの認識システム10の動作(チップの認識方法)の一例を説明する。
【0063】
図4に示すように、まず、客(プレーヤ)Cにより遊技テーブル4のベットエリアBAにチップWを積み重ねて配置される(チップWがベットされる)と、ゲーム記録装置11が、積み重ねられたチップWの状態をカメラ212により画像として撮像して記録する(ステップS31)。
【0064】
次に、チップ判定装置12が、ゲーム記録装置11に記録された画像を取得する。なお、チップ判定装置12により取得される画像は、ゲーム記録装置11により画像に付与されたインデックス、時刻、またはチップWの回収シーンあるいは支払シーンを特定するタグに基づいて選択されたものであってもよい。
【0065】
チップ判定装置12において、画像パターン認識用の人工知能装置12bは、ゲーム記録装置11から得た画像が所定の状態の画像であるか否かを判断する(ステップS32)。より詳しくは、画像パターン認識用の人工知能装置12bは、上述したように、チップ判定装置12において判定に誤りがあった場合の過去の判定に用いられた複数の画像を教師データとして学習しており、当該学習の結果として判定結果に誤りがあった画像を基にして、チップWの判定の正確性について自己判定を行い、判定の正確性が一定のレベル以下となるか否かを判断する。
【0066】
画像パターン認識用の人工知能装置12bによりゲーム記録装置11から得た画像が所定の状態の画像であると判断された場合には(ステップS33:YES)、チップ判定装置12は、判定不明としてその旨を判定結果として出力装置15に出力する(ステップS40)。チップ判定装置12の判定結果は、出力装置15により、文字情報として遊技テーブル4上のモニタに出力されてもよいし、音声情報としてディーラーDのヘッドセットなどに出力されてもよい。
【0067】
他方、画像パターン認識用の人工知能装置12bによりゲーム記録装置11から得た画像が所定の状態の画像ではないと判断された場合には(ステップS33:NO)、チップ情報判定用の人工知能装置12aは、ゲーム記録装置11に記録されたチップWの状態の画像を画像分析して、客(プレーヤ)Cが賭けたチップWの枚数および種類を判定する(ステップS34)。
【0068】
なお、ステップS34において、チップ判定装置12は、ゲーム記録装置11に記録されたチップWの状態の画像を画像分析して、客(プレーヤ)Cが賭けたチップWの枚数および種類に加えて、客(プレーヤ)Cが賭けたチップWのベットエリアBA上における位置を判定してもよいし、各ゲームの精算前のチップトレイ23におけるチップWの枚数および種類を判定してもよい。
【0069】
チップ判定装置12により判定されたチップWの枚数および種類の情報は、出力装置15に出力される(ステップS35)。チップ判定装置12の判定結果は、出力装置15により、文字情報として遊技テーブル4上のモニタに出力されてもよいし、音声情報としてディーラーDのヘッドセットなどに出力されてもよい。
【0070】
チップ判定装置12により判定されたチップWの枚数および種類の情報は、また、判定正否判断装置14に入力される。判定正否判断装置14は、チップ判定装置12の判定結果の正否を判断する(ステップS36)。
【0071】
判定正否判断装置14によりチップ判定装置12の判定結果が正しいと判断された場合には(ステップS37:YES)、チップ判定装置12の(正しい)判定に用いられた画像、および(正しい)判定結果としてのチップWの枚数および種類の情報が、教師データとしてチップ情報判定用の人工知能装置12aに入力され、チップ情報判定用の人工知能装置12aが学習を行う(ステップS38)。
【0072】
他方、判定正否判断装置14によりチップ判定装置12の判定結果が誤りであったと判断された場合には(ステップS37:NO)、チップ判定装置12の(誤った)判定に用いられた画像が、「所定の状態の画像」の教師データとして画像パターン認識用の人工知能装置12bに入力され、画像パターン認識用の人工知能装置12bが学習を行う(ステップS39)。
【0073】
人工知能は、判定結果に誤りがある場合には大きく間違える(自信満々に間違った答えを出す)ので、間違えやすい画像のパターンを人工知能で学習することで、間違えやすい画像のパターンを認識できるようにすることができる。
【0074】
以上のように、本実施の形態によれば、チップ判定装置12が、チップWの読み取りの正確性が低くなるような画像を所定の状態の画像として記憶しており、判定時に、ゲーム記録装置11から得た画像が、このような所定の状態の画像であると判断した時に、無理やり答えを出すのではなく、判定不明としてその旨を出力表示する。これにより、チップWの枚数および種類の判定結果から、チップWの読み取りの正確性が低くなるような画像について無理やり答えを出した場合の判定結果(すなわち間違えている可能性が高い判定結果)を除くことができる。すなわち、正確に読み取ることができる画像のみからチップWの枚数および種類を判定することができるようになり、結果的に、チップWを精度よく認識することが可能となる。
【0075】
すなわち、たとえばチップ判定装置12により1000個の画像を判定したときの正解率99.9%であって、間違えた0.1%の場合の10個の画像のうち、9個の画像では陰になっているチップがあったりチップの積み方がギザギザであることが原因で正解率が低いのであれば、分母からそのような場合を除いてしまうことで、正解率をもう一段階を上げることができる。
【0076】
また、本実施の形態によれば、画像パターン認識用の人工知能装置12bが、判定に誤りがあった場合の過去の(誤った)判定に用いられた複数の画像を教師データとして学習を行うことで、判定の正確性を自己判定する際に、自己判定の精度を高めることができる。これにより、本来正確に読み取ることができる画像を誤って判定不明として出力表示してしまう、という事態を少なくできる。
【0077】
また、本実施の形態によれば、チップ判定装置12は、自ら判定不明とした場合に、判定不明の判断となる原因が、(1)遊技テーブル4上に積み重ねられたチップWの重なり状態にあるか、又は(2)チップWの一部もしくは一枚全体が他のチップWで隠れた状態にあるか、の何れが原因となったかを、判定して記憶するため、判定不明の判断となった原因をディーラーDが容易に確認することができる。これにより、ディーラーDが、別のチップWの陰にならない位置にチップWを置きなおしたり、ギザギザに積まれたチップWをきれいに積みなおしたりして(チップWをディーラーDが触ることを客(プレーヤ)Cが嫌がる場合にはディーラーDが客(プレーヤ)Cに注意を促してもよい)、判定不明の原因を迅速に解消することができる。
【0078】
また、本実施の形態によれば、ゲーム記録装置11が、カメラ212から取得した画像にインデックスもしくは時刻を付与するか、もしくはチップWの積層状態を特定するタグを付与して記録するため、チップ判定装置12が、画像に付与されたインデックスや時刻やタグを利用することで、ゲーム記録装置11の記録内容から、分析対象とすべきチップWの状態の画像を容易に特定することができ、特定に要する時間を短縮することができる。
【0079】
また、本実施の形態によれば、チップ情報判定用の人工知能装置12aが、チップ判定装置12において判定が正しかった場合の過去の(正しい)判定に用いられた複数の画像および(正しい)判定結果としてのチップWの情報を教師データとして学習を行うことで、チップWの枚数および種類を判定する際の判定精度を高めることができる。
【0080】
なお、上述した実施の形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の様々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6