(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】行動支援システム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20241129BHJP
G06Q 50/22 20240101ALI20241129BHJP
【FI】
G16H20/00
G06Q50/22
(21)【出願番号】P 2023064776
(22)【出願日】2023-04-12
(62)【分割の表示】P 2022575720の分割
【原出願日】2021-07-21
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 旭洋
(72)【発明者】
【氏名】岡垣 覚
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 勝重
(72)【発明者】
【氏名】森本 智英
(72)【発明者】
【氏名】桑田 宗晴
(72)【発明者】
【氏名】小島 邦子
【審査官】原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/116290(WO,A1)
【文献】特開2015-138532(JP,A)
【文献】特開2016-159096(JP,A)
【文献】特開2014-211749(JP,A)
【文献】中岡 黎 外,at2pic: 食事と描画の相互作用を用いて健康的な食生活を促すナッジシステム,インタラクション2021論文集 [online],日本,情報処理学会,2021年03月01日,pp. 93-102
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの活動を支援する行動支援システムであって、
ユーザの状態を検知する検知装置と、
映像の表示又は照明を行う投射装置と、
前記検知装置が検知した結果に基づいて、支援対象とされる前記活動に対応して定められた行動項目に関連する映像の表示又は照明を行うように、前記投射装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記行動項目が食事である場合、前記検知装置が検知した結果から食事ペースを分析し、
前記食事ペースに合わせて照明の色又は明るさを変化させるように、前記投射装置を制御
し、
ユーザの前記食事ペースが閾値よりも速い場合、照明の照度及び色温度が揺らぐように、前記投射装置を制御する
行動支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザの行動を支援する行動支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康の維持及び増進が益々望まれている。そこで、運動又は睡眠等の日常生活における特定の活動をユーザに促すことで、健康の維持及び増進を実現するための種々の方法が開示されている。特許文献1には、ユーザの身体に装着されるセンサによって検知された生体情報と、ユーザの行動に関連する情報とを利用して、ユーザに運動を促すためのメッセージを通知することで、ユーザの行動の管理及び支援を行うシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された行動管理支援システムは、ユーザに対して直接的な指示内容を伴うメッセージを通知するため、ユーザによっては義務感及びそれによるストレスを感じてしまうことがある。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ユーザに自発的な活動を促すことができる行動支援システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る行動支援システムは、ユーザの活動を支援する行動支援システムであって、ユーザの状態を検知する検知装置と、映像の表示又は照明を行う投射装置と、検知装置が検知した結果に基づいて、支援対象とされる活動に対応して定められた行動項目に関連する映像の表示又は照明を行うように、投射装置を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、行動項目が食事である場合、検知装置が検知した結果から食事ペースを分析し、食事ペースに合わせて照明の色又は明るさを変化させるように、投射装置を制御し、ユーザの食事ペースが閾値よりも速い場合、照明の照度及び色温度が揺らぐように、投射装置を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の行動支援システムは、検知装置が検知した結果に基づいて、行動項目が食事である場合に映像の表示又は照明を行う。このため、ユーザに対して特定の活動を行うことを直接的に指示することなく、間接的に促すことができる。したがって、ユーザに自発的な活動を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る行動支援システム1を示す概略構成図である。
【
図2】実施の形態1に係る行動支援システム1を説明するための図である。
【
図3】実施の形態1に係る行動支援システム1を説明するための図である。
【
図4】実施の形態1に係る行動支援システム1を説明するための図である。
【
図5】実施の形態1に係る制御装置13の動作を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態1に係る行動支援システム1を説明するための図である。
【
図7】実施の形態1に係る行動支援システム1を説明するための図である。
【
図8】実施の形態1に係る行動支援システム1を説明するための図である。
【
図9】実施の形態2に係る行動支援システム1Aを示す機能ブロック図である。
【
図10】実施の形態2に係る制御装置13の動作を示すフローチャートである。
【
図11】実施の形態3に係る行動支援システム1Bを示す機能ブロック図である。
【
図12】実施の形態3に係る第2出力部51を説明するための図である。
【
図13】実施の形態3に係るプロジェクタ12aにより表示される評価映像G5を示す図である。
【
図14】実施の形態3に係るプロジェクタ12aにより表示される評価映像G6を示す図である。
【
図15】実施の形態3に係るプロジェクタ12aにより表示される評価映像G7を示す図である。
【
図16】実施の形態3に係るプロジェクタ12aにより表示される評価映像G8を示す図である。
【
図17】実施の形態3に係る制御装置13の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
実施の形態1の行動支援システム1について、図面を用いて説明する。行動支援システム1は、例えば、高齢者向け施設等に設置されている。この場合、施設に滞在する高齢者が行動支援システム1のユーザに相当する。行動支援システム1は、ユーザが、行動項目として定められた活動を行うことを支援するものである。行動項目は、施設に滞在するユーザが日常生活の中で行う活動を項目として分類したものであり、例えば、散歩、体操、階段昇降、食事、会話、趣味、入浴、起床、及び就寝である。つまり、行動項目は、支援対象とされる活動に対応して定められている。行動支援システム1は、施設の態様等に応じて、ユーザが少なくとも1つの行動項目として定められた活動を行うことを支援する。
【0010】
図1は、実施の形態1に係る行動支援システム1を示す概略構成図である。
図1に示すように、行動支援システム1は、検知装置11、投射装置12及び制御装置13を有する。制御装置13は、検知装置11及び投射装置12と有線又は無線によって通信可能に接続されている。
【0011】
検知装置11は、ユーザの存在又は動作等の状態を検知する装置を総称したものである。検知装置11としては、ビーコン、動体検知装置、赤外線センサ、音声センサ及び睡眠センサ等、種々のものが採用される。検知装置11は、行動項目として定められた活動に応じて、施設内の複数の箇所に設置される。具体的に何れの機器が検知装置11として採用され、何れの場所に取り付けられるかは、行動項目の種別及びそれぞれの行動項目の態様に基づいて決定される。具体的な機器の詳細については、行動項目ごとに後述する。
【0012】
投射装置12は、映像又は光の投射、つまり映像の表示又は照明を行う装置を総称したものである。投射装置12としては、プロジェクタ、ディスプレイ、及び照明機器等、種々のものが採用される。投射装置12は、行動項目として定められた活動に応じて、施設内の複数の箇所に取り付けられる。具体的に何れの機器が投射装置12として採用され、何れの場所に取り付けられるかは、行動項目の種別及びそれぞれの行動項目の態様に基づいて決定される。具体的な機器の詳細については、行動項目ごとに検知装置11の説明と併せて後述する。
【0013】
制御装置13は、例えば、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、又はプロセッサともいう)を有するサーバ装置である。制御装置13は、施設内の一室又は施設外に設置されている。制御装置13は、検知装置11及び投射装置12を集中的に管理及び制御する。詳しくは、制御装置13は、検知装置11が検知した結果に基づいて、行動項目に関連する映像の表示又は照明を行うように、投射装置12を制御する。また、制御装置13は、ユーザが行動項目として定められた活動を行っている際に、検知装置11が検知した結果に基づいて、投射装置12を制御する。換言すると、ユーザが行っている動作に応じて、具体的な映像の内容又は照明方法を変化させる。なお、ここでは、照明方法とは、調光及び調色の設定内容、並びに照明の向き等によって定まる照明の態様を意味するものである。
【0014】
制御装置13は、制御部及び記憶部22を有する。制御部の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、記憶部22に格納される。
【0015】
制御部は、種別決定部31、分析部32、及び第1出力部33を有する。種別決定部31は、検知装置11の検知結果に基づいて、ユーザが行おうとしている行動項目の種別を決定する。つまり、種別決定部31は、検知装置11の検知結果に基づいて、ユーザの活動が、予め設定された複数の行動項目のうち、どの行動項目に対応するかを判別する。なお、行動項目が1つのみ定められている場合、ユーザの活動が当該行動項目に対応するものであるかを判別する。分析部32は、行動項目が決定された上で、検知装置11の検知結果を分析し、ユーザの動作及び周囲の環境等を測定する。ユーザの動作及び周囲の環境等の分析方法は、周知の映像分析方法によるため、説明は省略する。第1出力部33は、分析部32の測定結果に基づいて、投射装置12に表示させる映像データ又は照明制御信号を生成し、投射装置12に出力する。なお、映像データは、具体的な映像の内容を定める出力用のデータである。また、制御部の具体的な動作については、それぞれの行動項目の態様に基づいて決定される。具体的な制御部の動作の説明については、行動項目ごとに検知装置11及び投射装置12の説明と併せて後述する。
【0016】
記憶部22は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリである。記憶部22には、検知装置11及び投射装置12の機器の種類及び設置位置等の行動支援システム1の設置時に定まる情報が記憶されている。また、記憶部22には、検知装置11から受信したユーザの動作及び周囲の環境等の検知結果、並びに検知装置11及び投射装置12の動作状態等の行動支援システム1の稼働時に通信される情報が累積的に記憶されている。また、記憶部22には、ユーザを識別するユーザIDに、ユーザの身体特徴、及びユーザ又は管理者が支援を行うように設定した行動項目の種別等が対応して記憶されたユーザテーブル等が記憶されている。記憶部22に記憶されている情報のうち、各行動項目に特有のものについては、行動項目ごとに検知装置11、投射装置12、及び制御部の動作の説明と併せて後述する。
【0017】
管理端末14は、制御装置13と有線又は無線によって通信可能に接続されている。管理端末14は、例えば、施設内の管理室等に設置された汎用的なPC(Personal Computer)、又は施設の管理人等が所持するスマートフォン若しくはCPUを備えた専用の端末である。管理端末14は、利用者が制御装置13を介して、行動取得装置及び投射装置12を管理又は制御するために用いる。例えば、管理人等は、管理端末14を介して、検知装置11の検知結果によらずに、ユーザテーブルに記憶された行動項目を指定することができる。また、管理人等は、行動項目の指定をスケジュール化するように設定してもよい。
【0018】
(行動項目ごとの制御)
以下では、具体的な行動項目に対応した行動支援システム1の態様について説明する。先ずは、行動支援システム1による支援の対象とされている行動項目の種別に散歩が含まれる場合について、行動支援システム1の詳細を説明する。
図2は、実施の形態1に係る行動支援システム1を説明するための図である。
図2に示すように、行動支援システム1は、支援対象の行動項目に散歩が含まれる場合、制御装置13、ビーコンタグ11a、受信機11b、動体検知装置11c、プロジェクタ12a及び照明装置12bを有している。制御装置13と、受信機11b、動体検知装置11c、プロジェクタ12a、及び照明装置12bは、例えば、Web又は専用の通信網を介して、通信可能に接続されている。行動支援システム1は、支援対象の行動項目に散歩が含まれる場合、散歩を快適に感じさせて、散歩に対するモチベーションの向上を行うこと、及び歩行の補助を行うことを目的としている。
【0019】
ビーコンタグ11aは、ユーザ(
図2では人P1)が身に着けている。ビーコンタグ11aは、受信機11bに対してBluetooth(登録商標)等の無線信号を送信するものである。ビーコンタグ11aから受信機11bに送られる信号には、ビーコンタグ11aを身に着けているユーザを識別するID情報が含まれている。
【0020】
受信機11bは、施設の廊下Cの天井等に取り付けられている。廊下Cは、ユーザが散歩を行う場合の散歩場所として事前にユーザテーブルに設定された施設内の場所の例である。受信機11bは、ビーコンタグ11aから受信したID情報によって特定されるユーザが検知範囲に存在していることを検知する。受信機11bは、ユーザが検知範囲に存在していること、及び、検知されているユーザのID情報が含まれる検知信号を制御装置13に送信する。受信機11bは、ユーザが検知範囲に存在していることを検知している間、検知信号を一定の周期で制御装置13に送信する。受信機11bは、ビーコンタグ11aと共に動作する検知装置11の一例である。
【0021】
動体検知装置11cは、廊下Cにおいてユーザである動体を検知している間は、映像を録画し、制御装置13に録画映像を送信するものである。具体的には、例えば、動体検知装置11cは、廊下Cを一定時間撮影した場合の情報量が増加した場合等に動体を検知し、録画を開始して、録画映像を制御装置13に送信するものである。また、例えば、動体検知装置11cを赤外線センサ及びビデオカメラからなる構成として、赤外線を放射する熱源を感知した場合に、廊下Cにおいてユーザである動体を検知したとして、録画映像を制御装置13に送信するようにしてもよい。動体検知装置11cは、検知装置11の一例である。
【0022】
記憶部22には、後述する風景の映像、及び歩行経路の映像等のような、投影される映像データを生成するための情報が記憶されている。
【0023】
制御装置13の種別決定部31は、決定条件が満たされた場合、支援を開始する行動項目が散歩であることを決定する。決定条件は、例えば、次の2つの条件である。1つ目の条件は、廊下Cに設置された受信機11bから、支援対象に散歩を設定しているユーザの検知信号を受信したことである。2つ目の条件は、動体検知装置11cから録画映像を受信したことである。なお、これらの条件はAND条件でもよいし、OR条件でもよい(以下、他の行動項目についても同様)。
【0024】
また、種別決定部31は、決定条件を満たした後に、完了条件が満たされた場合、散歩の支援を完了する。完了条件は、例えば、廊下Cに設置された受信機11bから、支援対象に散歩を設定しているユーザの検知信号の受信がない状態で、予め定められた時間が経過することである。
【0025】
分析部32は、行動項目が決定された上で、動体検知装置11cから受信した録画映像に基づいて、ユーザの身体部位及び動作を連続的に分析する。具体的な身体部位としては、足元の位置である。また、具体的なユーザの動作としては、歩行姿勢、歩行速度、及び歩幅等である。歩幅は、足位置の測位を行って算出してもよい。歩幅は、ユーザの身長に対して、0.45~0.50の値を乗じることで算出するようにしてもよい。
【0026】
制御装置13の第1出力部33は、分析部32の測定結果に基づいて、映像データを生成し、プロジェクタ12aに出力するものである。映像データは、表示される映像に対応した出力用のデータである。プロジェクタ12aは、第1出力部33から出力された映像データを壁面又は床面等に映像Gとして表示する。プロジェクタ12aは、投射装置12の一例であり、廊下Cの壁又は天井等に取り付けられている。
【0027】
制御装置13の第1出力部33は、分析部32の測定結果に基づいて、照明制御信号を生成し、照明装置12bに出力するものである。照明制御信号は、照明装置12bに動作させる照明方法を示す情報が含まれた信号である。照明装置12bは、照明制御信号を受信すると、照明制御信号によって示された照明方法を行う。照明装置12bは、投射装置12の一例である。照明装置12bは、例えば、LED(Light Emitting Diode)を利用したスポットライトであり、廊下Cの壁又は天井等に取り付けられている。
【0028】
第1出力部33は、次の4種類のうち少なくとも1種類以上の映像の表示又は照明を行うように、プロジェクタ12a又は照明装置12bに映像データ又は照明制御信号を出力する。何れの種類の表示内容を表示するかは、ユーザ又は管理者によって事前に決められている。
【0029】
1種類目としては、第1出力部33は、プロジェクタ12aによって、ハイキング等を行っている際の風景映像の表示を行う。風景映像は、例えば、所定の長さの映像であって、風景が歩行に合わせて変化していく様子が記録されたものである。第1出力部33は、記憶部22に記憶された風景映像を利用者の歩行動作に応じて変化させてプロジェクタ12aに表示させる。具体的には、ユーザが歩行をすると、歩幅の分だけ前方に進んだことをユーザが体感できるように、風景映像を歩幅に対応した分だけ、コマ送りして再生する。これにより、ユーザに散歩を快適に感じさせて、散歩に対するモチベーションの向上を行うことができる。
【0030】
2種類目としては、第1出力部33は、プロジェクタ12aによって、歩行経路を表示する。
図3は、実施の形態1に係る行動支援システム1を説明するための図である。
図4は、実施の形態1に係る行動支援システム1を説明するための図である。
図3及び
図4は、行動項目が散歩である場合を示している。
図4は、実施の形態1に係る行動支援システム1において、行動項目が散歩である場合を説明するための図である。
図3に示すように、第1出力部33は、ユーザの姿勢及び足位置に基づいて、人P1の前方側の歩行経路Tを表示させる。歩行経路は、廊下C上の経路であって、プロジェクタ12aの設置方向に合わせて事前に設定されている。また、
図4に示すように、第1出力部33は、ユーザの姿勢及び足位置に基づいて、人P1の前方側の歩行経路Tのみを出力するように、ユーザが既に歩行を終えた歩行経路を映像データから削除する。これにより、ユーザの歩行の補助を行うことができる。
【0031】
3種類目としては、第1出力部33は、照明装置12bによって、歩行マークを表示する。歩行マークは、次に踏み出す足の置くべき位置を示す。
図2では、歩行マークを、歩行マークL1として示している。第1出力部33は、足位置、歩行速度、及び歩幅等に応じて、歩行マークを表示させる。具体的に、左足が前にある場合は、右足が前に動くよりも早く、右足の歩行マークを表示する。同様に、右足が前にある場合は、左足が前に動くよりも早く、左足の歩行マークを表示する。歩行マークを表示させるタイミングは、例えば、一方の足の歩行マークが他方の足が接地した直後である。歩行マークの表示位置は、例えば、前述した歩行経路において、対象の足の歩幅の距離にある位置である。これにより、ユーザの歩行の補助を行うことができる。なお、歩行速度を考慮して、右足と左足の歩行マークをそれぞれシームレスに移動しても良い。一例として、左足が着地した直後に右足の先端から歩幅までの間、円形パターン又は足跡のパターンを、パターンの形状を維持したまま左右それぞれの歩行経路上に、歩行速度で移動させるようにしてもよい。このようにしても、ユーザが適切な歩行速度で歩行する補助を行うことができる。また、照明装置12bの出射側に特定の図形のパターンを形成した遮光シートを設置する等して、歩行マークを、例えば、特定の記号又は足跡等の特定の形状にしてもよい。
【0032】
4種類目としては、第1出力部33は、照明装置12bによって、視線マークを表示する。視線マークは、ユーザの視線を誘導するマークである。
図2では、視線マークを、視線マークL2として示している。第1出力部33は、ユーザの姿勢及び足位置に基づいて、足元より遠方に視線マークを表示させる。視線マークは、円形等の形状であって、ユーザの注意を引くように、明るく表示させるとよい。また、第1出力部33は、視線マークの表示位置を、利用者の歩行に追従させる。これにより、ユーザの視線を足元より遠方に誘導することができ、歩行姿勢の改善を促すことができる。
【0033】
なお、プロジェクタ12aの代わりにディスプレイを用いて行うようにしてもよい。また、歩行経路の表示は、照明装置12bを用いて行うようにしてもよい。照明装置12bを用いて、歩行経路の表示を行う場合、例えば、廊下Cに照明装置12bを点在させて、前方の歩行経路に対応する位置のみに対応させて点灯を行うようにすればよい。また、歩行マーク、及び視線マークの表示は、プロジェクタ12aを用いて行うようにしてもよい。この場合、例えば、歩行マークを足跡の形状にしてもよい。
【0034】
また、
図2では、天井を有する廊下Cを例示しているが、天井又は壁の一部がない開放的な空間であってもよい。受信機11b、動体検知装置11c、プロジェクタ12a、及び照明装置12bは、機能が発揮できれば、管理者等の任意の位置に取り付けることができる。
【0035】
図5は、実施の形態1に係る制御装置13の動作を示すフローチャートである。
図5を用いて、制御装置13の動作を説明する。先ず、種別決定部31は、決定条件を満たすか否かを判定する(S1)。決定条件が満たされていない場合(S1:NO)、決定条件が満たされるまで、制御装置13は待機する。決定条件が満たされた場合(S1:YES)、種別決定部31は、支援を開始する行動項目として散歩を決定する(S2)。
【0036】
次に、分析部32は、動体検知装置11cから受信した録画映像を分析し、ユーザの身体部位及び動作を測定する(S3)。続いて、第1出力部33は、分析部32の測定結果に基づいて、映像データ又は照明制御信号を生成し(S4)、投射装置12に映像の表示又は照明を行わせる(S5)。
【0037】
そして、種別決定部31は、完了条件を満たすか否かを判定する(S6)。完了条件が満たされていない場合(S6:NO)、完了条件が満たされるまで、制御装置13はS3~S5の制御を継続する。完了条件が満たされた場合(S6:YES)、制御装置13は、行動項目として散歩が行われている場合の制御を完了する。
【0038】
このように、行動支援システム1は、検知装置11が検知した結果に基づいて、散歩を快適に感じさせて、散歩に対するモチベーションの向上を行うこと、及び歩行の補助を行うことができる。
【0039】
また、特に、映像の内容及び照明方法がユーザの散歩に合わせて変化することから、映像の内容及び照明方法が自身の動作と連動する感覚をユーザに体験させ、自発的な活動をより強くユーザに促すことができる。
【0040】
行動支援システム1による支援の対象とされている行動項目の種別に階段昇降が含まれる場合について、行動支援システム1の詳細を説明する。行動支援システム1は、制御装置13、ビーコンタグ11a、受信機11b、動体検知装置11c、プロジェクタ12a、及び照明装置12bを有している。支援対象の行動項目の種別に階段昇降が含まれる場合、行動支援システム1は、階段昇降に対するモチベーションの向上を行うこと、及び階段昇降の補助を行うことを目的としている。
【0041】
行動支援システム1の有するそれぞれの機器自体は、階段昇降を支援する場合の行動支援システム1の各機器と同様であるため、説明を省略する。ただし、受信機11b、動体検知装置11c、プロジェクタ12a、及び照明装置12bは、例えば、施設内の階段付近の壁又は天井等に取り付けられている。階段は、ユーザによって階段昇降を行う場所として事前に設定されている場所の例である。なお、踏み台昇降を階段昇降に相当する活動とみなして、踏み台昇降を行う場所を階段昇降が行われる場所として設定されていてもよい。
【0042】
制御装置13の種別決定部31は、決定条件が満たされた場合、支援を開始する行動項目が階段昇降であることを決定する。決定条件は、例えば、次の2つの条件である。1つ目の条件は、階段付近に設置された受信機11bから、支援対象に階段昇降を設定しているユーザの検知信号を受信したことである。2つ目の条件は、動体検知装置11cから録画映像を受信したことである。
【0043】
また、種別決定部31は、決定条件を満たした後に、完了条件が満たされた場合、階段昇降の支援を完了する。完了条件は、例えば、階段付近に設置された受信機11bから、支援対象に階段昇降を設定しているユーザの検知信号の受信がない状態で、予め定められた時間が経過することである。
【0044】
分析部32は、行動項目が決定された上で、動体検知装置11cから受信した映像の分析を連続的に行い、ユーザの身体部位及び動作を連続的に測定する。具体的な身体部位としては、足元である。また、具体的なユーザの動作としては、昇降姿勢、及び昇降速度等を測定する。
【0045】
第1出力部33は、分析部32の測定結果に基づいて、映像データを生成し、プロジェクタ12aに出力する。また、制御装置13の第1出力部33は、分析部32の測定結果に基づいて、照明制御信号を生成し、照明装置12bに出力する。第1出力部33は、次の2種類のうち少なくとも何れかの映像の表示又は照明を行うように、プロジェクタ12a又は照明装置12bに映像データ又は照明制御信号を出力する。
【0046】
1種類目としては、第1出力部33は、例えば、登山を行っている際の風景映像をプロジェクタ12aに表示させる。風景映像は、例えば、所定の長さの動画であって、風景が徐々に変化していく様子が記録されたものである。これにより、階段昇降に対するモチベーションの向上を行うことができる。
【0047】
2種類目としては、第1出力部33は、ユーザの足元を明るくする照明を、ユーザの階段昇降に追従して行う。これにより、ユーザの階段昇降の補助を行うことができる。
【0048】
制御装置13の動作は、散歩を支援対象とした場合の処理と同等であるため、説明を省略する。以上のように、行動支援システム1は、検知装置11が検知した結果に基づいて、階段昇降を快適に感じさせて、階段昇降に対するモチベーションの向上を行うこと、及び歩行の補助を行うことができる。
【0049】
また、特に、映像の内容及び照明方法がユーザの階段昇降に合わせて変化することから、自身の動作と連動する感覚をユーザに体験させ、自発的な活動をより強くユーザに促すことができる。
【0050】
行動支援システム1による支援の対象とされている行動項目の種別に体操が含まれる場合について、行動支援システム1の詳細を説明する。制御装置13、ビーコンタグ11a、受信機11b、動体検知装置11c、プロジェクタ12a、及び照明装置12bを有している。支援対象の行動項目の種別に体操が含まれる場合、行動支援システム1は、体操に対するモチベーションの向上を行うこと、及び体操の補助を行うことを目的としている。
【0051】
行動支援システム1の有するそれぞれの機器自体は、散歩を支援する場合の行動支援システム1の各機器と同様であるため、説明を省略する。ただし、受信機11b、動体検知装置11c、プロジェクタ12a、及び照明装置12bは、例えば、施設内のホール等の壁又は天井等に取り付けられている。ホールは、ユーザによって体操を行う場所として事前に設定されている場所の例である。
【0052】
制御装置13の種別決定部31は、決定条件が満たされた場合、支援を開始する行動項目が体操であることを決定する。決定条件は、例えば、次の2つの条件である。1つ目の条件は、ホールに設置された受信機11bから、支援対象に体操を設定しているユーザの検知信号を受信したことである。2つ目の条件は、ホールに設置された動体検知装置11cから録画映像を受信したことである。
【0053】
また、種別決定部31は、決定条件を満たした後に、完了条件が満たされた場合、体操の支援を完了する。完了条件は、例えば、ホールに設置された受信機11bから、支援対象に体操を設定しているユーザの検知信号の受信がない状態で、予め定められた時間が経過することである。
【0054】
分析部32は、行動項目が決定された上で、動体検知装置11cから受信した映像の分析を連続的に行い、ユーザの身体部位及び動作を連続的に測定する。
【0055】
第1出力部33は、分析部32の測定結果に基づいて、映像データを生成し、プロジェクタ12aに出力する。また、制御装置13の第1出力部33は、分析部32の測定結果に基づいて、照明制御信号を生成し、照明装置12bに出力する。第1出力部33は、次の2種類のうち少なくとも何れかの映像の表示又は照明を行うように、プロジェクタ12a又は照明装置12bに映像データ又は照明制御信号を出力する。
【0056】
1種類目としては、第1出力部33は、例えば、体操を行っている人物等の映像をプロジェクタ12aに表示させる。この映像は、例えば、所定の長さの動画であって、人がラジオ体操などの一連の流れが記録されたものである。これにより、体操を行うことに対する抵抗感を減らし、体操に対するモチベーションの向上を行うことができる。
【0057】
2種類目としては、第1出力部33は、体操のテンポに合わせて照明の色又は明るさ等を変化させる。これにより、ユーザの体操の補助を行うことができる。
【0058】
また、第1出力部33は、分析部32の分析結果が、ユーザの動作が体操に相当する動作ではないことを示す場合、体操を行う素振りがないと判断し、映像の表示又は照明を停止させる。
【0059】
制御装置13の動作は、散歩を支援対象とした場合の処理と同等であるため、説明を省略する。以上のように、行動支援システム1は、検知装置11が検知した結果に基づいて、体操を行うことに対する抵抗感を減らし、体操に対するモチベーションの向上を行うこと、及び体操の補助を行うことができる。
【0060】
行動支援システム1による支援の対象とされている行動項目の種別に食事が含まれる場合について、行動支援システム1の詳細を説明する。
図6は、実施の形態1に係る行動支援システム1を説明するための図である。
図6に示すように、行動支援システム1は、制御装置13、ビーコンタグ11a、受信機11b、動体検知装置11c、及び照明装置12bを有している。支援対象の行動項目の種別に食事が含まれる場合、行動支援システム1は、食事に対するモチベーションの向上を行うこと、及び食事の補助を行うことを目的としている。
【0061】
行動支援システム1の有するそれぞれの機器自体は、支援対象の行動項目に散歩が含まれる場合の行動支援システム1の各機器と同様であるため、説明を省略する。ただし、受信機11b、動体検知装置11c、及び照明装置12bは、例えば、施設内の部屋R1の壁又は天井等に取り付けられている。部屋R1は、例えば、食堂等、食事を行う場所として事前に設定されている場所の例である。
【0062】
制御装置13の種別決定部31は、決定条件が満たされた場合、支援を開始する行動項目が食事であることを決定する。決定条件は、例えば、次の2つの条件である。1つ目の条件は、部屋R1に設置された受信機11bから、支援対象に食事を設定しているユーザの検知信号を受信したことである。2つ目の条件は、部屋R1に設置された動体検知装置11cから録画映像を受信したことである。
【0063】
また、種別決定部31は、決定条件を満たした後に、完了条件が満たされた場合、食事の支援を完了する。完了条件は、例えば、部屋R1に設置された受信機11bから、支援対象に食事を設定しているユーザの検知信号の受信がない状態で、予め定められた時間が経過することである。
【0064】
分析部32は、行動項目が決定された上で、動体検知装置11cから受信した録画映像の分析を連続的に行い、ユーザの咀嚼回数、食事ペース又はユーザの前に配膳されているメニュー等を分析する。
【0065】
また、制御装置13の第1出力部33は、分析部32の分析結果に基づいて、照明制御信号を生成し、照明装置12bに出力する。第1出力部33は、次の3種類のうち、少なくとも何れかの照明を行うように、照明制御信号を照明装置12bに出力する。なお、制御装置13は、食べ残し状況を分析し、ユーザと紐づけてデータを蓄積することで、個人の嗜好や健康状態を把握しても良い。
【0066】
1種類目としては、第1出力部33は、テーブルに暖色の光の照明を行わせる。これにより、食事を行う場を快適にして、食事に対するモチベーションの向上を行うことができる。
【0067】
2種類目としては、第1出力部33は、特定の料理に対して、スポットライトを照射する。
図6では、例えば、人P2の前に配膳されている食事Fから特定の料理に対して、スポットライトL3を照射している。特定の料理は、例えば、野菜である。支援を開始してから、野菜を最初に照らすことで、食事の始めに野菜を食べることを促して、血糖値の上昇を抑制することができる。また、特定の料理は、食べ残している量が多い料理であってもよい。
【0068】
3種類目としては、第1出力部33は、食事ペースに合わせて、照明の色又は明るさ等を変化させる。具体的には、例えば、第1出力部33は、食事ペースが速すぎる場合は、照明の照度及び色温度が緩やかに揺らぐようにする。これにより、食事ペースを落とすように、ユーザに促すことができる。
【0069】
制御装置13の動作は、散歩を支援対象とした場合の処理と同等であるため、説明を省略する。以上のように、行動支援システム1は、検知装置11が検知した結果に基づいて、食事に対するモチベーションの向上を行うこと、及び食事の補助を行うことができる。
【0070】
行動支援システム1による支援の対象とされている行動項目の種別に会話が含まれる場合について、行動支援システム1の詳細を説明する。
図7は、実施の形態1に係る行動支援システム1を説明するための図である。
図7に示すように、行動支援システム1は、制御装置13、ビーコンタグ11a、受信機11b、動体検知装置11c、プロジェクタ12a、及び音声センサ11dを有している。支援対象の行動項目の種別に会話が含まれる場合、行動支援システム1は、会話に対するモチベーションの向上を行うことを目的としている。
【0071】
制御装置13、ビーコンタグ11a、受信機11b、動体検知装置11c、プロジェクタ12aは、散歩を支援する場合の行動支援システム1の各機器と同様であるため、説明を省略する。ただし、受信機11b、動体検知装置11c、及び照明装置12bは、例えば、施設内の部屋R2の壁又は天井等に取り付けられている。部屋R2は、会話を行う場所として事前に設定されている場所の例である。音声センサ11dは、例えばマイクロフォンであり、部屋R2のテーブル等に取り付けられている。
【0072】
制御装置13の種別決定部31は、決定条件が満たされた場合、支援を開始する行動項目が会話であることを決定する。決定条件は、例えば、次の2つの条件である。1つ目の条件は、部屋R2に設置された受信機11bから、支援対象に会話を設定しているユーザの検知信号を受信したことである。2つ目の条件は、部屋R2に設置された動体検知装置11cから録画映像を受信したことである。
【0073】
また、種別決定部31は、決定条件を満たした後に、完了条件が満たされた場合、会話の支援を完了する。完了条件は、例えば、部屋R2に設置された受信機11bから、支援対象に会話を設定しているユーザの検知信号の受信がない状態で、予め定められた時間が経過することである。
【0074】
分析部32は、行動項目が決定された上で、動体検知装置11cから受信した映像の分析を連続的に行い、ユーザの動作を連続的に測定する。具体的には、ユーザの動作は、ユーザの表情、及び会話内容を測定する。また、分析部32は、音声センサの音声を分析して、会話に含まれるキーワード等を抽出する。また、分析部32は、記憶部22に記憶された映像から、抽出したキーワードから連想される事柄に該当するものを抽出する。つまり、分析部32は、ユーザの会話内容を拡張するような映像を抽出する。
【0075】
制御装置13の第1出力部33は、分析部32の測定結果に基づいて、分析部32が抽出した映像を映像データとして生成し、プロジェクタ12aに出力する。
図7では、人P3に対して、映像G2を表示し、人P4に対して、映像G3を表示している。
【0076】
制御装置13の動作は、散歩を支援対象とした場合の処理と同等であるため、説明を省略する。以上のように、行動支援システム1は、検知装置11が検知した結果に基づいて、会話を行うことに対する抵抗感を減らし、会話に対するモチベーションの向上を行うこと、及び会話の補助を行うことができる。
【0077】
行動支援システム1による支援の対象とされている行動項目の種別に趣味が含まれる場合について、行動支援システム1の詳細を説明する。
図8は、実施の形態1に係る行動支援システム1を説明するための図である。
図8に示すように、行動支援システム1は、制御装置13、ビーコンタグ11a、受信機11b、動体検知装置11c、プロジェクタ12a、及び照明装置12bを有している。支援対象の行動項目に趣味が含まれる場合、行動支援システム1は、趣味に対するモチベーションの向上を行うこと、及び趣味を行っている際にユーザをリラックスさせることを目的としている。
【0078】
行動支援システム1の有するそれぞれの機器自体は、行動項目が散歩である場合と同様であるため、説明を省略する。ただし、受信機11b、動体検知装置11c、プロジェクタ12a、及び照明装置12bは、例えば、施設内の部屋R3の壁又は天井等に取り付けられている。部屋R3は、居室等、ユーザによって趣味を行う場所として事前に設定されている場所の例である。
【0079】
制御装置13の種別決定部31は、決定条件が満たされた場合、行動項目が趣味であることを決定する。決定条件は、例えば、部屋R3に設置された動体検知装置11cから受信した映像を分析し、動体検知装置11cから受信した映像にユーザが趣味として指定した活動を行っていることを判断することである。趣味としては、例えば、手芸、読書、麻雀、及び習字等であり、ユーザテーブルに記憶されている。
【0080】
また、種別決定部31は、決定条件を満たした後に、完了条件が満たされた場合、趣味の支援を完了する。完了条件は、例えば、部屋R3に設置された動体検知装置11cから受信した映像を分析し、予め定められた時間、動体検知装置11cから受信した映像にユーザが趣味として指定した活動を行っていないことを判断することである。
【0081】
分析部32は、行動項目が決定された上で、動体検知装置11cから受信した映像の分析を連続的に行い、ユーザの動作を連続的に測定する。分析部32は、ユーザの活動時間等を測定する。
【0082】
第1出力部33は、分析部32の測定結果に基づいて、映像データを生成し、プロジェクタ12aに出力する。また、第1出力部33は、分析部32の測定結果に基づいて、照明制御信号を生成し、照明装置12bに出力する。第1出力部33は、次の3種類のうち、少なくとも何れか1つの映像の表示又は照明を行うように、映像データ又は照明制御信号をプロジェクタ12a又は照明装置12bに出力する。
【0083】
1種類目としては、第1出力部33は、趣味として指定された事柄に関連する映像を表示させる。例えば、趣味として手芸が指定されていれば、編み物の編み方、又は完成品の映像を示す。これにより、趣味に対するモチベーションの向上を行うことができる。
図8では、人P5に対して、G4が表示されている。
【0084】
2種類目としては、第1出力部33は、ユーザの活動時間が予め定められた時間よりも長くなった場合、風景の映像、又は趣味との関連性が低い映像等を表示させ、ユーザに休憩を促す。これにより、ユーザが趣味に過度に集中し、かえって疲れてしまうことを抑制することができる。
【0085】
3種類目としては、第1出力部33は、ユーザの手元を明るく照らすように照明を行わせる。これにより、ユーザが手芸等の手元作業を行う場合は、手元作業を快適に感じさせて、趣味に対するモチベーションの向上を行うことができる。
【0086】
制御装置13の動作は、散歩を支援対象とした場合の処理と同等であるため、説明を省略する。以上のように、行動支援システム1は、検知装置11が検知した結果に基づいて、趣味に対するモチベーションの向上を行うこと、及び趣味の補助を行うことができる。
【0087】
行動支援システム1による支援の対象とされている行動項目の種別に入浴が含まれる場合について、行動支援システム1の詳細を説明する。行動支援システム1は、制御装置13、ビーコンタグ11a、受信機11b、及びプロジェクタ12aを有している。支援対象の行動項目に入浴が含まれる場合、行動支援システム1は、入浴に対するモチベーションの向上を行うこと、及び入浴の補助を行うことを目的としている。
【0088】
行動支援システム1の有するそれぞれの機器自体は、散歩を支援する場合の行動支援システム1の各機器と同様であるため、説明を省略する。ただし、受信機11bは、浴室の脱衣場等に取り付けられている。また、プロジェクタ12aは、浴室近くの廊下の壁又は天井等、及び浴室内の壁又は天井等に取り付けられている。
【0089】
制御装置13の種別決定部31は、決定条件が満たされた場合、支援を開始する行動項目が入浴であることを決定する。決定条件は、例えば、予め設定された入浴予定の時間帯になることである。
【0090】
また、種別決定部31は、決定条件を満たした後に、完了条件が満たされた場合、入浴の支援を完了する。完了条件は、例えば、次の2つの条件の何れか一方を満たすことである。1つ目の条件は、予め設定された入浴予定の時間帯を経過することである。2つ目の条件は、ユーザの入浴が完了したことが行動種別決定に通信されることである。ユーザの入力の完了は、例えば、制御装置13と通信可能なスマートフォン等の端末装置等によって入力されればよい。
【0091】
分析部32は、行動項目が決定された上で、浴室の脱衣場に設定された受信機11bから、支援対象に入浴を設定しているユーザの検知信号を受信することで、ユーザが浴室の脱衣場又は浴室にいることを判断する。
【0092】
第1出力部33は、分析部32の処理結果に基づいて、映像データを生成し、プロジェクタ12aに出力する。第1出力部33は、次の2種類のうち、少なくとも何れかの映像の表示を行うように、映像データをプロジェクタ12aに出力する。
【0093】
1種類目としては、第1出力部33は、浴室近くの廊下に設けられたプロジェクタ12aに、浴室までの経路を示す矢印等を表示させる。これにより、ユーザを浴室にスムーズに導くことができる。
【0094】
2種類目として、ユーザが浴室の脱衣場にいる場合に、例えば、浴室の天井、又は壁面に森林又は海等の映像を表示する。これにより、ユーザに対して、開放感を与えることで、入浴を快適に感じさせ、入浴に対するモチベーションの向上を行うことができる。
【0095】
制御装置13の動作は、散歩を支援対象とした場合の処理と同等であるため、説明を省略する。以上のように、行動支援システム1は、検知装置11が検知した結果に基づいて、入浴に対するモチベーションの向上を行うこと、及び入浴の補助を行うことができる。
【0096】
行動支援システム1による支援の対象とされている行動項目の種別に起床が含まれる場合について、行動支援システム1の詳細を説明する。行動支援システム1は、制御装置13、プロジェクタ12a、照明装置12b、及び睡眠センサ(図示せず)を有している。支援対象の行動項目に起床が含まれる場合、行動支援システム1は、起床の補助を行うことを目的としている。
【0097】
制御装置13、プロジェクタ12a、及び照明装置12bは、散歩を支援する場合の行動支援システム1の各機器と同様であるため、説明を省略する。ただし、プロジェクタ12a、及び照明装置12bは、例えば、施設内の寝室等の壁又は天井等に取り付けられている。睡眠センサは、例えば、ユーザが就寝するベッド又は布団等に敷かれたマットタイプのセンサである。睡眠センサは、マットにかかる圧力に応じた電気信号を出力するものである。
【0098】
制御装置13の種別決定部31は、決定条件が満たされた場合、支援を開始する行動項目が起床であることを決定する。決定条件は、例えば、予め設定された起床予定の時間帯になることである。
【0099】
また、種別決定部31は、決定条件を満たした後に、完了条件が満たされた場合、起床の支援を完了する。完了条件は、例えば、予め設定された起床予定の時間帯を経過することである。
【0100】
分析部32は、行動項目が決定された上で、睡眠センサから受信した結果の分析を連続的に行い、ユーザの眠りの深さを時間的に分析する。
【0101】
第1出力部33は、次の2種類のうち、少なくとも何れかの映像の表示又は照明を行うように、映像データ又は照明制御信号を生成し、プロジェクタ12a又は照明装置12bに出力する。
【0102】
1種類目としては、第1出力部33は、ユーザの眠りが浅くなったタイミングで、寝室に設けられたプロジェクタ12aに、周囲の人間が起床している様子を模した映像を表示させる。
【0103】
2種類目としては、第1出力部33は、ユーザの眠りが浅くなったタイミングで、例えば、500Lux以上の照度(ベッドあるいは布団上)、かつ4000Kより色温度が高くなるように、調光及び調色された照明を寝室全体に行わせる。
【0104】
なお、照明装置12bが窓側に設置され、寝床方向に光が照射されるようにするとよい。これにより、太陽の光が寝室に差し込むようにユーザに感じさせ、曇又は雨の日でも心地よく目覚めさせることができる。また、照明装置12bにスポットライトを用いることで、平行光に近い光を寝床に照射してもよい。
【0105】
制御装置13の動作は、散歩を支援対象とした場合の処理と同等であるため、説明を省略する。以上のように、行動支援システム1は、検知装置11が検知した結果に基づいて、起床の補助を行うことができる。
【0106】
行動支援システム1による支援の対象とされている行動項目の種別に就寝が含まれる場合について、行動支援システム1の詳細を説明する。行動支援システム1は、制御装置13、プロジェクタ12a、照明装置12b、及び睡眠センサを有している。支援対象の行動項目に就寝が含まれる場合、行動支援システム1は、就寝の補助を行うことを目的としている。
【0107】
制御装置13、プロジェクタ12a、及び睡眠センサの機器自体、及び設置場所は、起床を支援する場合の行動支援システム1の各機器と同様であるため、説明を省略する。
【0108】
制御装置13の種別決定部31は、決定条件が満たされた場合、支援を開始する行動項目が就寝であることを決定する。決定条件は、例えば、予め設定された就寝予定の時間帯になることである。
【0109】
また、種別決定部31は、決定条件を満たした後に、完了条件が満たされた場合、就寝の支援を完了する。完了条件は、例えば、予め設定された就寝予定の時間帯を経過することである。
【0110】
分析部32は、行動項目が決定された上で、睡眠センサから受信した結果の分析を連続的に行い、ユーザが寝床に横たわったタイミング及び眠りの深さを分析する。
【0111】
第1出力部33は、次の2種類のうち、少なくとも何れかの映像の表示又は照明を行うように、映像データ又は照明制御信号を生成し、プロジェクタ12a又は照明装置12bに出力する。
【0112】
1種類目としては、第1出力部33は、ユーザが寝床に横たわったタイミングで、寝室に設けられたプロジェクタ12aに、寝室の壁面に月等の夜を連想させる映像を表示させる。また、第1出力部33は、分析部32の分析結果から、ユーザが入眠したことが判断されると、映像の表示を終了させる。
【0113】
2種類目としては、第1出力部33は、ユーザが寝床に横たわったタイミングで、寝室に設けられた照明装置12bに、例えば、10Lux以下の月明かり程度の照明を行わせる。また、第1出力部33は、分析部32の分析結果から、ユーザが入眠したことが判断されると、映像の表示を終了させる。
【0114】
制御装置13の動作は、散歩を支援対象とした場合の処理と同等であるため、説明を省略する。以上のように、行動支援システム1は、検知装置11が検知した結果に基づいて、就寝の補助を行うことができる。
【0115】
以上説明したように、実施の形態1によれば、検知装置11が検知した結果に基づいて、行動項目に関連する映像の表示又は照明を行う。このため、ユーザに対して特定の活動を行うことを直接的に指示することなく、間接的に促すことができる。したがって、ユーザに自発的な活動を促すことができる。
【0116】
実施の形態2.
図9は、実施の形態2に係る行動支援システム1Aを示す機能ブロック図である。
図9に示すように、実施の形態2の制御装置13は、第1出力部33及び投射装置12を有しておらず、評価部41、加算部42及び通信部43を有する点で実施の形態1と相違する。実施の形態2では、実施の形態1と同一の部分は同一の符合を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0117】
実施の形態2の行動支援システム1Aは、実施の形態1とは異なり映像の表示又は照明を行わない。実施の形態2の行動支援システム1Aは、散歩、階段昇降、又は体操等のような身体の運動を主目的とする行動項目の活動を行ったユーザに社会貢献ポイントを付与するものである。制御装置13は、保有する社会貢献ポイントとの交換によって、植林、発展途上国の学校建設、又はワクチン接種等の社会課題の解決につながる活動を行う外部のシステムと通信可能に接続されている。つまり、ユーザは、自身の活動によって貯めた社会貢献ポイントによって、社会貢献活動に寄与することができる。
【0118】
制御装置13の記憶部22には、ユーザを識別するIDと、保有する社会貢献ポイントが記憶されたポイントテーブルが記憶されている。
【0119】
制御装置13の評価部41は、行動項目が散歩、階段昇降、又は体操であって、これらの行動項目が完了した後に、運動姿勢及び運動量を評価する。例えば、散歩の場合であれば、運動姿勢は、測定された歩行姿勢、歩行速度、及び歩幅から総合的に評価されればよい。また、運動量は、例えば、分析部32の測定時間、即ち決定条件が満たされてから完了条件が満たされるまでの時間と、歩行速度の平均とを乗じることで算出された歩行距離を運動量とすればよい。評価基準には、種々のものが採用される。例えば、ユーザの動作の検知結果の履歴に基づいて、改善が見られた場合に、高い数値の評価を与え、改善が見られなかった場合に、低い数値の評価を与えるようにしてもよい。また、同程度の年齢、性別又は体格等を有する人の歩行姿勢、歩行速度、及び歩幅等の測定結果をもとに予め定められた基準をどの程度満たしているかによって段階的に高中低等の評価を与えるようにしてもよい。
【0120】
加算部42は、評価結果の高低に応じて異なる値の社会貢献ポイントをポイントテーブルに加算する。例えば、運動姿勢及び運動量の評価が高ければ、より高い値の社会貢献ポイントをポイントテーブルに加算する。
【0121】
なお、行動項目が散歩である場合を主に説明を行ったが、階段昇降、及び体操についても、運動姿勢及び運動量を算出し、評価するようにしてもよい。例えば、行動項目が階段昇降である場合、運動姿勢は、昇降姿勢及び昇降速度から算出されればよく、運動量は、昇降ステップ数等を用いればよい。また、行動項目が体操であれば、体操を行った時間、及び表示した体操のメニューから運動量のみを算出してもよい。
【0122】
制御装置13の通信部43は、ポイントテーブルに記憶されたユーザが保有するポイントを減算すると共に、外部システムSに対してポイントの交換を申請する情報を送信する。外部システムSがポイントの交換を実行することで、利用者は、社会貢献活動を実現することができる。
【0123】
図10は、実施の形態2に係る制御装置13の動作を示すフローチャートである。
図10を用いて、制御装置13の動作を説明する。S1~S3までの処理は、実施の形態1で説明した処理と同様であるため、説明を省略する。ユーザの動作等の分析及び測定が行われる(S3)と、種別決定部31は、完了条件を満たすか否かを判定する(S11)。完了条件が満たされていない場合(S11:NO)、完了条件が満たされるまで、分析部32はユーザの動作等の分析及び測定を継続する。完了条件が満たされた場合(S11:YES)、評価部41は、ユーザの運動量及び運動姿勢を算出し、評価を行う(S12)。そして、評価部41が行った評価結果に基づいて、ポイントテーブルに社会貢献ポイントを加算する(S13)。
【0124】
実施の形態2によれば、検知装置11が検知した結果に基づいて、社会貢献ポイントを付与する。このため、ユーザに対して特定の活動を行うことを直接的に指示することなく、間接的に促すことができる。したがって、ユーザに自発的な活動を促すことができる。
【0125】
実施の形態3.
図11は、実施の形態3に係る行動支援システム1Bを示す機能ブロック図である。
図11に示すように、実施の形態3は、制御装置13が、実施の形態1の構成に加えて、実施の形態2で説明した評価部41、加算部42及び通信部43、並びに実施の形態1及び実施の形態2が有していない第2出力部51を有する。実施の形態3では、実施の形態1及び実施の形態2と同一の部分は同一の符合を付して説明を省略し、実施の形態1及び実施の形態2との相違点を中心に説明する。
【0126】
実施の形態3の行動支援システム1Bは、実施の形態1で説明したように、映像の表示又は照明を行う。加えて、実施の形態2で説明したように、散歩、階段昇降、又は体操等のような身体の運動を主目的とする行動項目の活動を行ったユーザに社会貢献ポイントを付与するものである。更に、実施の形態3の行動支援システム1Bは、付与された社会貢献ポイントに関する情報を映像によって表示する。以下では、例えば、行動項目が散歩である場合を例にして説明する。
【0127】
上述したように、実施の形態3の制御装置13の種別決定部31、分析部32、及び第1出力部33は、実施の形態1の種別決定部31、分析部32、及び第1出力部33と同様である。同じく、実施の形態3の制御装置13の評価部41、及び加算部42も、実施の形態2の評価部41、及び加算部42と同様である。
【0128】
制御装置13の第2出力部51は、完了条件が満たされた場合、評価映像データを生成し、投射装置12に出力することで、評価映像を表示させる。なお、評価映像データは、具体的な評価映像の内容を定める出力用のデータである。評価映像は、評価部41の評価結果を内容に含む映像である。
【0129】
図12は、実施の形態3に係る第2出力部51を説明するための図である。
図12では、人P6が運動姿勢の評価結果が高い場合を示し、人P7が運動姿勢の評価結果が低い場合を示している。
図13は、実施の形態3に係るプロジェクタ12aにより表示される評価映像G5を示す図である。
図13には、人P6が散歩を完了した後にプロジェクタ12aによって壁面等に表示される評価映像が示されている。
図13の破線M1で示すように、第2出力部51は、評価部41の評価結果に基づいて、今回の活動によって付与された社会貢献ポイントを表示させる。また、破線M2で示すように、第2出力部51は、ポイントテーブルに記憶されたユーザが保有する社会貢献ポイントを参照して、累計の社会貢献ポイントを表示させる。また、破線M3で示すように、第2出力部51は、通信部43を介して外部システムSと通信することで、予めユーザが設定した使途に必要な社会貢献ポイントを表示する。また、破線M4で示すように、予め記憶部22に記憶されたコメントのリストから運動姿勢及び運動量の評価に応じたコメントを参照することで、改善点等についてのコメントを表示させる。また、第2出力部51は、破線Ic1で示すように、予め記憶に記憶された記号データのリストから、運動姿勢又は運動量の評価に応じた記号データを参照し、評価を示す記号を表示する。人P6は、運動姿勢の評価が高かったため、「晴れ」の記号が表示される。評価結果のランクが高い評価から「晴れ」、「曇り」、「雨」等の記号が用いられる。
【0130】
図14は、実施の形態3に係るプロジェクタ12aにより表示される評価映像G6を示す図である。
図14には、人P7が散歩を完了した後にプロジェクタ12aによって壁面等に表示される評価映像が示されている。
図14で示す評価映像にも、破線M5で示すように、今回の活動によって獲得された社会貢献ポイントが示されている。また、破線M6で示すように、累計の社会貢献ポイントが表示されている。また、破線M7で示すように、予めユーザが設定した使途に必要な社会貢献ポイントが表示されている。また破線M8で示すように、改善点についてのコメントが表示されている。人P7は、運動姿勢の評価結果が低かったため、今回の活動によって獲得された社会貢献ポイントが人P6よりも低く、破線Ic2で示すように、評価結果が中程度のため、「曇り」の記号が表示される。
【0131】
また、次のような評価映像を追加又は代替して表示させてもよい。
図15は、実施の形態3に係るプロジェクタ12aにより表示される評価映像G7を示す図である。
図15は、ユーザが社会貢献ポイントの使途として、例えば「植林及び自然保護」を選択していた場合、森の木が増え、育つ様子を映像で表示する。また、評価映像G7には、破線E1で囲まれた領域で示すように、今回の活動によって付与された社会貢献ポイントに相当する、植林可能な木の量を表示する。これにより、今回の活動によって付与された社会貢献ポイントによってどの程度の社会貢献を行うことができるのかをユーザに視覚的に認識させることができる。
【0132】
図16は、実施の形態3に係るプロジェクタ12aにより表示される評価映像G8を示す図である。
図16に示すように、ユーザが社会貢献ポイントの使途として、例えば「人道支援」を選択していた場合、世界の子供たちが笑顔になっていくことを表現した映像を表示する。また、評価映像G8には、破線E2で囲まれた領域で示すように、今回の活動によって付与された社会貢献ポイントに相当する、学校の一部分を表示する。これにより、今回の活動によって付与された社会貢献ポイントによってどの程度の社会貢献を行うことができるのかをユーザに視覚的に認識させることができる。
【0133】
また、その他にも、社会貢献ポイントの使途として選択された内容に合わせて様々な種類の映像が用いられる。例えば「海洋保全」が社会貢献ポイントの使途として選択された場合は海がきれいになっていく様子の映像を表示し、例えば「動物保護」が社会貢献ポイントの使途として選択された場合は動物が増え、元気になる様子の映像を投影する。
【0134】
図17は、実施の形態3に係る制御装置13の動作を示すフローチャートである。
図17を用いて、制御装置13の動作を説明する。S1~S6までの処理は、実施の形態1で説明した処理と同様であるため、説明を省略する。完了条件が満たされた場合(S6:YES)、評価部41は、ユーザの運動量及び運動姿勢に基づいて評価を行う(S21)。加算部42は、評価部41の評価結果に基づいて、社会貢献ポイントをポイントテーブルに加算する(S22)。次に、第2出力部51は、評価映像データを生成し(S23)、映像の表示を行わせる(S24)。そして、制御装置13は、行動項目として散歩が行われている場合の動作を完了する。
【0135】
実施の形態3によれば、検知装置11が検知した結果に基づいて、社会貢献ポイントを付与し、貢献の度合を映像で表示する。このため、ユーザに対して特定の活動を行うことを直接的に指示することなく、間接的に促すことができる。したがって、ユーザに自発的な活動を促すことができる。
【0136】
また、映像を表示させることによって、高齢者向けの施設のユーザである高齢者にとっても、感覚的に情報を伝えることができる。
【0137】
以上が本開示の行動支援システム1、1A及び1Bの説明であるが、開示内容の趣旨の範囲内で種々の変形を行うことができる。例えば、実施の形態1及び3で説明した第1出力部33で出力される映像データ、及び第2出力部51で出力される評価映像データの色調を補正するようにしてもよい。例えば、表示される映像の青色の明るさをより明るくし、黄色の明るさをより暗くするようにしてもよい。これにより、加齢によって青色が見え難くなったユーザであっても、映像の臨場感を感じることができる。
【0138】
また、実施の形態1及び3において、ユーザが体操を行う場合、第1出力部33は、映像に含まれる人物の手、足等の端部又は関節部を明るくして強調するように、映像データを補正してもよい。更に、ユーザが身体の運動を主目的とする行動項目の活動を行う場合、第1出力部33は、ユーザの身体の手、足等の端部又は関節部を照明装置12bによって明るくしてもよいし、映像を表示することで強調するようにしてもよい。これにより、ユーザと、ユーザの周囲の人又は物との衝突を回避しやすくすることができる。
【0139】
また、実施の形態1及び3において、ユーザの視線が動くように、第1出力部33は、ランダムな位置に照明を行なったり、図形がランダムに移動する映像を行ったりしてもよい。映像は、例えば、円形等の図形を表示するものであり、床面又は壁面等に表示される。概して、加齢によって、視野が狭くなったユーザは、壁、又は床等に設置された物にぶつかったり、つまずいたりする等、歩行が困難になることがある。映像又は照明によってランダムな種類を表示させることで、ユーザの視線を誘導させ、視野の改善を行うことができる。これにより、ユーザの歩行機能の維持及び増進につながる。
【0140】
また、実施の形態1及び3において、会話又は趣味等の行動項目の活動を行う場合、ユーザにゆかりのある映像を表示するようにしてもよい。これにより、ユーザの物忘れの抑制を図ることができる。映像の出力するためのデータは、例えば、施設に入居する際等に、ユーザ本人又は家族等から写真又はハードディスク等の記憶媒体の提供を受けることで、記憶部22のユーザテーブルにユーザIDと紐づけて記憶しておくとよい。
【0141】
また、実施の形態1及び3において、就寝の行動項目の活動を行う場合、一日の活動のダイジェストを表示するようにしてもよい。これにより、ユーザの物忘れの抑制又は短期記憶の強化を図ることができる。ダイジェストの出力するためのデータは、ユーザが行動項目として定められた活動を行う際に、撮影された映像であってもよし、会話又は趣味等の行動項目の活動を行った場合は、その際に表示された映像を表示することとしてもよい。
【0142】
また、実施の形態1及び3において、ユーザに近づく人物が現れた場合、その人物がいる方向を照明によって照らすようにしてもよい。更に、ユーザと、壁又は床等に設置された物との距離が予め定められた距離より小さくなった場合、壁又は床等に設置された物を照明によって照らすようにしてもよい。これにより、ユーザに対して、人又は物との衝突をしないように注意喚起を行うことができる。また、特に、ユーザに近づく人物がいる方向を照明によって照らす場合は、ユーザに話をかけようとしていることが考えられることから、呼びかけられる可能性があることをユーザに知らせることができる。
【0143】
また、実施の形態1及び3において、ユーザに近づく人物が現れた場合、照明装置12bによって光を照射する場合、照射する光をユーザごとの好みの色などにしてもよい。
【0144】
なお、これまでに説明した変形例で示された投射装置12の制御は、ユーザが行動項目として定めた活動を行っている際に行われてもよいし、行動項目として定めた活動を行っていない際に独立して行われてもよい。
【0145】
また、実施の形態3において、評価映像を表示させる際に、外部システムSにアクセスして、累計の社会貢献ポイントに最も近い社会貢献活動に関連する映像を表示しても良い。
【0146】
実施の形態1~3において、制御装置13は、サーバ装置である場合を例に説明したが、制御装置13は、例えば管理端末14の機能として実現されてもよい。また、投射装置12、又は検知装置11の機能として実現されてもよい。
【0147】
また、実施の形態1で説明した行動項目は、一例であり、9項目に限定される必要はない。例えば、会話を親族との会話、及び友人との会話、趣味を、手芸、読書、麻雀、及び習字のように、行動項目を更に分類しても良い。更に、運動の行動項目を設けて、運動に属する行動項目として、散歩、体操、ダンス、及び階段昇降等を分類しても良い。
【0148】
また、実施の形態2及び3で説明した社会貢献ポイントではなく、社会貢献以外を使途にできるポイントを用いるようにしてもよい。この場合も、ユーザの活動とポイントの付与とを結びつけることで、ユーザの活動のモチベーションを促進することができる。
【0149】
また、実施の形態3において、第1出力部33は、評価部41の評価に基づいて、歩行マーク又は視線マークを青色又は緑色で表示させてもよい。第1出力部33は、歩行姿勢の評価が低い場合、歩行マーク又は視線マークを黄色又は赤色で表示させてもよい。これにより、ユーザの歩行姿勢の改善の効果を高めることができる。
【0150】
また、実施の形態1で説明した投射装置12及び検知装置11は一例に過ぎない。例えば、支援映像又は評価映像を表示する場所が床面、壁面、又は天井等の空間以外であった場合は、投射装置12としてプロジェクタ12aの代わりにディスプレイを用いて行うようにしてもよい。また、投射装置12として、VR機器を用いてもよい。これにより、映像に臨場感を出すことができる。また、検知装置11として、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)を利用してもよい。これにより、例えば、ユーザの足位置の測位等をより高精度に行うことができる。また、各実施の形態でビーコンタグ11aによって、ユーザを特定できることとした。しかしながら、Wifi等の他の屋内測位技術を用いても良い。また、動体検知装置11cの録画映像から、ユーザの身体特徴を分析することで、ユーザを特定できれば、ビーコンタグ11a及び受信機11bの設置又は利用を省略してもよい。
【符号の説明】
【0151】
1 行動支援システム、1A 行動支援システム、1B 行動支援システム、11 検知装置、11a ビーコンタグ、11b 受信機、11c 動体検知装置、11d 音声センサ、12 投射装置、12a プロジェクタ、12b 照明装置、13 制御装置、14 管理端末 21 制御部、22 記憶部、31 種別決定部、32 分析部、33 第1出力部、41 評価部、42 加算部、43 通信部、51 第2出力部。