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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】半導体装置の作製方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20241129BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
H01L29/78 616L
H01L29/78 618B
H01L29/78 616V
H01L29/78 627F
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2023066243
(22)【出願日】2023-04-14
(62)【分割の表示】P 2022154531の分割
【原出願日】2010-12-13
(65)【公開番号】P2023080298
(43)【公開日】2023-06-08
【審査請求日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2009288428
(32)【優先日】2009-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】肥塚 純一
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-040343(JP,A)
【文献】特表2009-528670(JP,A)
【文献】特開2007-250983(JP,A)
【文献】特開2007-220818(JP,A)
【文献】特開2007-103918(JP,A)
【文献】国際公開第2009/142289(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物半導体層を有する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体層にタングステン、モリブデン、コバルト、亜鉛、シリコンのいずれか一又は複数から選択された元素を添加することにより、前記酸化物半導体層に酸素欠陥を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項2】
酸化物半導体層を有する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体層にタングステン、モリブデン、コバルト、亜鉛、シリコン、ボロンのいずれか一又は複数から選択された元素と、水素又は窒素と、を添加することにより、前記酸化物半導体層に酸素欠陥を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項3】
酸化物半導体層を有する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体層にタングステン、モリブデン、コバルト、亜鉛、シリコンのいずれか一又は複数から選択された元素の水素化物、フッ化物又は塩化物を添加することにより、前記酸化物半導体層に酸素欠陥を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項4】
酸化物半導体層を有する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体層にタングステン、モリブデン、アルミニウム、コバルト、亜鉛、インジウム、シリコン、ボロンのいずれか一又は複数から選択された元素の水素化物、フッ化物又は塩化物と、水素又は窒素と、を添加することにより、前記酸化物半導体層に酸素欠陥を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項5】
酸化物半導体層を有する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体層にタングステン、モリブデン、コバルト、亜鉛、シリコンのいずれか一又は複数から選択された元素の水素化物のイオン、フッ化物のイオン又は塩化物のイオンを添加することにより、前記酸化物半導体層に酸素欠陥を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項6】
酸化物半導体層を有する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体層にタングステン、モリブデン、アルミニウム、コバルト、亜鉛、インジウム、シリコン、ボロンのいずれか一又は複数から選択された元素の水素化物のイオン、フッ化物のイオン又は塩化物のイオンと、水素又は窒素と、を添加することにより、前記酸化物半導体層に酸素欠陥を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項7】
インジウムを含む酸化物半導体層を有する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体層にタングステン、モリブデン、コバルト、亜鉛、シリコンのいずれか一又は複数から選択された元素を添加することにより、前記酸化物半導体層に酸素欠陥を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項8】
インジウムを含む酸化物半導体層を有する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体層にタングステン、モリブデン、コバルト、亜鉛、シリコン、ボロンのいずれか一又は複数から選択された元素と、水素又は窒素と、を添加することにより、前記酸化物半導体層に酸素欠陥を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項9】
インジウムを含む酸化物半導体層を有する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体層にタングステン、モリブデン、コバルト、亜鉛、シリコンのいずれか一又は複数から選択された元素の水素化物、フッ化物又は塩化物を添加することにより、前記酸化物半導体層に酸素欠陥を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項10】
インジウムを含む酸化物半導体層を有する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体層にタングステン、モリブデン、アルミニウム、コバルト、亜鉛、インジウム、シリコン、ボロンのいずれか一又は複数から選択された元素の水素化物、フッ化物又は塩化物と、水素又は窒素と、を添加することにより、前記酸化物半導体層に酸素欠陥を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項11】
インジウムを含む酸化物半導体層を有する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体層にタングステン、モリブデン、コバルト、亜鉛、シリコンのいずれか一又は複数から選択された元素の水素化物のイオン、フッ化物のイオン又は塩化物のイオンを添加することにより、前記酸化物半導体層に酸素欠陥を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項12】
インジウムを含む酸化物半導体層を有する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体層にタングステン、モリブデン、アルミニウム、コバルト、亜鉛、インジウム、シリコン、ボロンのいずれか一又は複数から選択された元素の水素化物のイオン、フッ化物のイオン又は塩化物のイオンと、水素又は窒素と、を添加することにより、前記酸化物半導体層に酸素欠陥を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか一において、
前記添加を、前記酸化物半導体層上の絶縁層を介して行う半導体装置の作製方法。
【請求項14】
酸化物半導体層を有する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体層に前記酸化物半導体層上の絶縁層を介して酸素欠陥誘起因子を添加することにより、前記酸化物半導体層に酸素欠陥を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項15】
酸化物半導体層を有する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体層に前記酸化物半導体層上の絶縁層を介して酸素欠陥誘起因子と、水素又は窒素と、を添加することにより、前記酸化物半導体層に酸素欠陥を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項16】
請求項14又は請求項15において、
前記酸素欠陥誘起因子は、タングステン、モリブデン、アルミニウム、コバルト、亜鉛、インジウム、シリコン、ボロンのいずれか一又は複数から選択された元素である半導体装置の作製方法。
【請求項17】
酸化物半導体層を有する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体層にタングステン、モリブデン、アルミニウム、コバルト、亜鉛、インジウム、シリコン、ボロンのいずれか一又は複数から選択された元素の水素化物、フッ化物又は塩化物を前記酸化物半導体層上の絶縁層を介して添加することにより、前記酸化物半導体層に酸素欠陥を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項18】
酸化物半導体層を有する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体層にタングステン、モリブデン、アルミニウム、コバルト、亜鉛、インジウム、シリコン、ボロンのいずれか一又は複数から選択された元素の水素化物のイオン、フッ化物のイオン又は塩化物のイオンを前記酸化物半導体層上の絶縁層を介して添加することにより、前記酸化物半導体層に酸素欠陥を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項19】
インジウムを含む酸化物半導体層を有する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体層に前記酸化物半導体層上の絶縁層を介して酸素欠陥誘起因子を添加することにより、前記酸化物半導体層に酸素欠陥を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項20】
インジウムを含む酸化物半導体層を有する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体層に前記酸化物半導体層上の絶縁層を介して酸素欠陥誘起因子と、水素又は窒素と、を添加することにより、前記酸化物半導体層に酸素欠陥を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項21】
請求項19又は請求項20において、
前記酸素欠陥誘起因子は、タングステン、モリブデン、アルミニウム、コバルト、亜鉛、インジウム、シリコン、ボロンのいずれか一又は複数から選択された元素である半導体装置の作製方法。
【請求項22】
インジウムを含む酸化物半導体層を有する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体層にタングステン、モリブデン、アルミニウム、コバルト、亜鉛、インジウム、シリコン、ボロンのいずれか一又は複数から選択された元素の水素化物、フッ化物又は塩化物を前記酸化物半導体層上の絶縁層を介して添加することにより、前記酸化物半導体層に酸素欠陥を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項23】
インジウムを含む酸化物半導体層を有する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体層にタングステン、モリブデン、アルミニウム、コバルト、亜鉛、インジウム、シリコン、ボロンのいずれか一又は複数から選択された元素の水素化物のイオン、フッ化物のイオン又は塩化物のイオンを前記酸化物半導体層上の絶縁層を介して添加することにより、前記酸化物半導体層に酸素欠陥を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項24】
請求項1乃至請求項23のいずれか一において、
前記酸化物半導体層は、インジウムと、亜鉛を含む半導体装置の作製方法。
【請求項25】
請求項1乃至請求項23のいずれか一において、
前記酸化物半導体層は、インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を含む半導体装置の作製方法。
【請求項26】
請求項1乃至請求項25のいずれか一において、
前記添加を、ドーピング法又はイオン注入法によって行う半導体装置の作製方法。
【請求項27】
請求項1乃至請求項26のいずれか一において、
前記添加を、前記酸化物半導体層の一部の領域に選択的に行う半導体装置の作製方法。
【請求項28】
請求項1乃至請求項27のいずれか一において、
前記添加を、前記酸化物半導体層に対して平面視における濃度分布を設けるように行う半導体装置の作製方法。
【請求項29】
請求項1乃至請求項28のいずれか一において、
前記添加を、前記酸化物半導体層に対して膜厚方向に濃度分布を設けるように行う半導体装置の作製方法。
【請求項30】
請求項1乃至請求項29のいずれか一において、
前記添加を、複数回行う半導体装置の作製方法。
【請求項31】
請求項1乃至請求項30のいずれか一において、
前記添加の後に、前記酸化物半導体層に200℃以上600℃以下の熱処理を行う半導体装置の作製方法。
【請求項32】
請求項1乃至請求項31のいずれか一において、
前記酸化物半導体層に400℃以上750℃以下の熱処理を行い、
前記400℃以上750℃以下の熱処理後に、前記酸化物半導体層上に絶縁層を形成し、
前記絶縁層を形成した後に、前記添加を行う半導体装置の作製方法。
【請求項33】
請求項1乃至請求項32のいずれか一において、
前記添加の後に、前記酸化物半導体層をフォトリソグラフィ工程によりエッチング加工する半導体装置の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
酸化物半導体を用いる半導体装置及びその作製方法に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置
全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜を用いて薄膜トランジスタ(TFT)を
構成する技術が注目されている。薄膜トランジスタや電気光学装置のような電子デバイス
に広く応用されている。薄膜トランジスタに適用可能な半導体薄膜としてシリコン系半導
体材料が公知であるが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。
【0004】
酸化物半導体を用いたトランジスタとしては、より高機能な半導体装置への応用のために
、より高い電気特性が求められている。酸化物半導体を用いたトランジスタにおいて、均
一性及び高速動作を目的として、ソース電極及びドレイン電極に含まれている水素又は重
水素を酸化物半導体層に拡散させ、酸化物半導体層中のソース電極及びドレイン電極に接
する領域における抵抗を低抵抗化する技術などが報告されている(例えば、特許文献1参
照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-72025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
酸化物半導体を用いたトランジスタのオン特性が向上すると、半導体装置において高速応
答、高速駆動が可能になり、より高機能な半導体装置が実現できる。
【0007】
そこで、本発明の一形態は、高いオン特性を有する酸化物半導体を用いたトランジスタを
提供することを課題の一とする。
【0008】
また、本発明の一形態は、高速応答及び高速駆動の可能なトランジスタを有する高機能の
半導体装置を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
酸化物半導体層を有するトランジスタにおいて、酸化物半導体層に酸素欠陥誘起因子を導
入(添加)し、ソース領域及びドレイン領域を選択的に低抵抗化する。酸化物半導体層に
酸素欠陥誘起因子を導入することによって、酸化物半導体層にドナーとして機能する酸素
欠陥を効果的に形成することができる。従って、酸素欠陥誘起因子は酸化物半導体にとっ
てドナー因子ともいえ、ドナー因子によって酸化物半導体層は低抵抗化される。
【0010】
導入する酸素欠陥誘起因子としては、チタン(Ti)、タングステン(W)、モリブデン
(Mo)、アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、インジウム(In
)、シリコン(Si)、ボロン(B)のいずれか一または複数から選択された元素である
ことが好ましい。さらに、上記酸素欠陥誘起因子の他に水素、又は窒素も加えてもよい。
なお、酸素欠陥誘起因子としては、酸素親和性の高い金属元素を用いるとより好ましい。
その際には、上記酸素欠陥誘起因子の単体のイオンあるいは水素化物やフッ化物、塩化物
のイオンを用いると好ましい。
【0011】
本明細書における酸化物半導体層への酸素欠陥誘起因子の導入は、成膜された酸化物半導
体層へ選択的にイオン注入法やドーピング法を用いて行う。また、酸素欠陥誘起因子の導
入処理後加熱処理を行ってもよい。
【0012】
本明細書で開示する発明の構成の一形態は、絶縁表面を有する基板上に、チャネル形成領
域、酸素欠陥誘起因子を含むソース領域及びドレイン領域が設けられた酸化物半導体層と
、酸化物半導体層上にゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上にチャネル形成領域と重なるゲー
ト電極層と、ゲート絶縁層、酸化物半導体層、及びゲート電極層を覆う絶縁層と、絶縁層
上にソース領域に電気的に接続するソース電極層及びドレイン領域に電気的に接続するド
レイン電極層とを有する半導体装置である。
【0013】
本明細書で開示する発明の構成の他の一形態は、絶縁表面を有する基板上に、チャネル形
成領域、酸素欠陥誘起因子を含む第1の領域、及び酸素欠陥誘起因子を含む第2の領域が
設けられた酸化物半導体層と、酸化物半導体層上にゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上にチ
ャネル形成領域と重なるゲート電極層と、ゲート絶縁層、酸化物半導体層、及びゲート電
極層を覆う絶縁層と、絶縁層上にソース領域に電気的に接続するソース電極層及びドレイ
ン領域に電気的に接続するドレイン電極層とを有し、第1の領域はソース領域及びドレイ
ン領域であり、第2の領域はチャネル形成領域と第1の領域との間に設けられ、かつ第1
の領域より抵抗が高い半導体装置である。
【0014】
本明細書で開示する発明の構成の他の一形態は、絶縁表面を有する基板上に酸化物半導体
層を形成し、酸化物半導体層上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上にゲート電極層
を形成し、酸化物半導体層に酸素欠陥誘起因子導入処理を行い、選択的に酸素欠陥を形成
することで酸化物半導体層にチャネル形成領域と、ソース領域と、ドレイン領域とを形成
し、ゲート絶縁層、酸化物半導体層、及びゲート電極層を覆う絶縁層を形成し、絶縁層上
に、ソース領域と電気的に接続するソース電極層と、ドレイン領域に電気的に接続するド
レイン電極層を形成する半導体装置の作製方法である。
【0015】
本明細書で開示する発明の構成の他の一形態は、絶縁表面を有する基板上に酸化物半導体
層を形成し、酸化物半導体層上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上にゲート電極層
を形成し、ゲート絶縁層、酸化物半導体層、及びゲート電極層を覆う絶縁層を形成し、酸
化物半導体層に酸素欠陥誘起因子導入処理を行い、選択的に酸素欠陥を形成することで、
ソース領域及びドレイン領域として機能する第1の領域、第1の領域より高抵抗な第2の
領域、及びチャネル形成領域を形成し、絶縁層上に、ソース領域と電気的に接続するソー
ス電極層と、ドレイン領域に電気的に接続するドレイン電極層を形成する半導体装置の作
製方法である。
【0016】
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順又は積層順を
示すものではない。また、本明細書において発明を特定するための事項として固有の名称
を示すものではない。
【発明の効果】
【0017】
酸化物半導体層に酸素欠陥誘起因子を導入することによって、酸化物半導体層にドナーと
して機能する酸素欠陥を効果的に形成することができる。
【0018】
酸素欠陥誘起因子の導入により低抵抗化されたソース領域及びドレイン領域を有すること
で、酸化物半導体層を有するトランジスタにおいては、酸化物半導体層と電極層とのコン
タクト抵抗が低減できるため、オン特性が向上する。よって、電気特性が高いトランジス
タとすることが可能となる。
【0019】
電気特性が高いトランジスタは、高速応答及び高速駆動が可能なため、該トランジスタを
有することで高機能な半導体装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】半導体装置、及び半導体装置の作製方法の一形態を説明する図。
図2】半導体装置、及び半導体装置の作製方法の一形態を説明する図。
図3】半導体装置、及び半導体装置の作製方法の一形態を説明する図。
図4】半導体装置、及び半導体装置の作製方法の一形態を説明する図。
図5】半導体装置の一形態を説明する図。
図6】電子機器を示す図。
図7】計算による酸素欠陥誘起因子の導入深さと濃度の関係を示す図。
図8】計算による状態密度を示す図。
図9】計算による構造を示す図。
図10】計算による原子の状態密度を示す図。
図11】半導体装置、及び半導体装置の作製方法の一形態を説明する図。
図12】半導体装置、及び半導体装置の作製方法の一形態を説明する図。
図13】半導体装置、及び半導体装置の作製方法の一形態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は
以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれ
ば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈さ
れるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
本実施の形態では、半導体装置及び半導体装置の作製方法の一形態を、図1を用いて説明
する。本実施の形態では、半導体装置の一例としてトランジスタを示す。
【0023】
図1(A)乃至図1(D)にトランジスタ及びトランジスタの作製方法の一例を示す。
【0024】
図1(D)に示すトランジスタ410は、トップゲート構造の薄膜トランジスタの一つで
あり、プレーナ型薄膜トランジスタともいう。
【0025】
トランジスタ410は、絶縁表面を有する基板400上に、絶縁層407と、チャネル形
成領域413、酸素欠陥誘起因子を含むソース領域414a、及び酸素欠陥誘起因子を含
むドレイン領域414bが設けられている酸化物半導体層403と、ゲート絶縁層402
と、ゲート電極層401と、を有する。
【0026】
酸化物半導体層403、ゲート絶縁層402、及びゲート電極層401を覆い、絶縁層4
09及び絶縁層411が積層されており、絶縁層409及び絶縁層411を介して、ソー
ス領域414a、及びドレイン領域414bにそれぞれソース電極層405a、ドレイン
電極層405bが電気的に接続して設けられている。
【0027】
ソース領域414a、及びドレイン領域414bは、酸素欠陥誘起因子の導入によってド
ナーが形成された低抵抗化領域である。
【0028】
以下、図1(A)乃至(D)を用い、基板400上にトランジスタ410を作製する工程
を説明する。
【0029】
絶縁表面を有する基板400に使用することができる基板に大きな制限はないが、少なく
とも、後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。
【0030】
例えば、基板として、ガラス基板を用いる場合、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪
み点が730℃以上のものを用いると良い。ガラス基板には、例えば、アルミノシリケー
トガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料が用
いられている。なお、実用的な耐熱ガラスである、酸化ホウ素(B2O3)より酸化バリ
ウム(BaO)を多く含むガラス基板を用いてもよい。
【0031】
なお、上記のガラス基板に代えて、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などの絶
縁体でなる基板を用いても良い。他にも、結晶化ガラスなどを用いることができる。また
、プラスチック基板等も適宜用いることができる。
【0032】
下地膜となる絶縁層407を基板400上に形成する。絶縁層407は、基板400から
の不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化シリコン層、酸化シリコン層、窒化酸化
シリコン層、酸化窒化シリコン層、窒化アルミニウム層、酸化アルミニウム層、窒化酸化
アルミニウム層、又は酸化窒化アルミニウム層から選ばれた一又は複数の膜による積層構
造により形成することができる。絶縁層407の形成方法としては、プラズマCVD法又
はスパッタリング法等を用いることができる。例えば、絶縁層407として、酸化シリコ
ン層をスパッタリング法で形成することができる。
【0033】
絶縁層407上に酸化物半導体膜を形成する。
【0034】
酸化物半導体膜に用いる酸化物半導体としては、四元系金属の酸化物であるIn-Sn-
Ga-Zn-O系や、三元系金属の酸化物であるIn-Ga-Zn-O系、In-Sn-
Zn-O系、In-Al-Zn-O系、Sn-Ga-Zn-O系、Al-Ga-Zn-O
系、Sn-Al-Zn-O系や、二元系金属の酸化物であるIn-Zn-O系、Sn-Z
n-O系、Al-Zn-O系、Zn-Mg-O系、Sn-Mg-O系、In-Mg-O系
や、In-O系、Sn-O系、Zn-O系などを用いることができる。ここで、例えば、
In-Ga-Zn-O系酸化物半導体とは、少なくともInとGaとZnを含む酸化物で
あり、その組成比に特に制限はない。また、InとGaとZn以外の元素を含んでもよい
。また、上記酸化物半導体膜にSiO2を含んでもよい。
【0035】
また、酸化物半導体膜は、化学式InMO3(ZnO)m(m>0)で表記される酸化物
半導体を用いることができる。ここで、Mは、Ga、Al、MnおよびCoから選ばれた
一または複数の金属元素を示す。例えばMとして、Ga、Ga及びAl、Ga及びMn、
またはGa及びCoなどがある。
【0036】
酸化物半導体膜はスパッタリング法によって形成することができる。本実施の形態では、
In-Ga-Zn-O系酸化物ターゲットを用いてスパッタリング法により酸化物半導体
膜を成膜し、島状に加工して酸化物半導体層420を形成する(図1(A)参照)。
【0037】
酸化物半導体層420上にゲート絶縁層402を形成する。ゲート絶縁層402は、プラ
ズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化
窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、窒化アルミニウム層、酸化
窒化アルミニウム層、窒化酸化アルミニウム層、又は酸化ハフニウム層を単層又は積層し
て形成することができる。例えば、スパッタリング法を用いて膜厚100nmの酸化シリ
コン層を形成し、ゲート絶縁層402とすればよい。
【0038】
ゲート絶縁層402は、酸化物半導体層420側から酸化シリコン層と窒化シリコン層を
積層した構造とすることもできる。例えば、第1のゲート絶縁層としてスパッタリング法
により膜厚5nm以上300nm以下の酸化シリコン層(SiOx(x>0))を形成し
、第1のゲート絶縁層上に第2のゲート絶縁層として膜厚50nm以上200nm以下の
窒化シリコン層(SiNy(y>0))を積層してもよい。ゲート絶縁層402の膜厚は
、薄膜トランジスタに要求される特性によって適宜設定すればよく30nm乃至400n
m程度でもよい。
【0039】
ゲート絶縁層402上にゲート電極層401を形成する(図1(B)参照)。ゲート電極
層401の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウ
ム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料またはこれらを主成分とする合金材料を用
いて、単層でまたは積層して形成することができる。
【0040】
例えば、ゲート電極層401の2層の積層構造としては、アルミニウム層上にモリブデン
層が積層された2層の積層構造、または銅層上にモリブデン層を積層した2層構造、また
は銅層上に窒化チタン層若しくは窒化タンタルを積層した2層構造、窒化チタン層とモリ
ブデン層とを積層した2層構造とすることが好ましい。3層の積層構造としては、タング
ステン層または窒化タングステン層と、アルミニウムとシリコンの合金またはアルミニウ
ムとチタンの合金と、窒化チタン層またはチタン層とを積層した構造とすることが好まし
い。なお、透光性を有する導電膜を用いてゲート電極層を形成することもできる。透光性
を有する導電膜としては、透光性導電性酸化物等をその例に挙げることができる。
【0041】
次に、酸化物半導体層420に酸素欠陥誘起因子421を導入し、ソース領域414a、
ドレイン領域414b、チャネル形成領域413を含む酸化物半導体層403を形成する
図1(C)参照)。例えば、ソース領域414a、ドレイン領域414bに含まれる酸
素欠陥誘起因子421の濃度は、1×1019atoms/cm3以上1×1021at
oms/cm3以下とすればよい。
【0042】
酸素欠陥誘起因子421の導入処理の後に加熱処理(例えば200℃以上600℃以下)
を行っても良い。
【0043】
本明細書において、酸素欠陥誘起因子の濃度とは、酸化物半導体層の成膜後、導入処理に
よって導入された酸素欠陥誘起因子の濃度であり、成膜時など導入処理以外の工程で含ま
れた酸素欠陥誘起因子と同じ元素は考慮しないものとする。
【0044】
酸素欠陥誘起因子421としては、チタン(Ti)、タングステン(W)、モリブデン(
Mo)、アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)
、シリコン(Si)、ボロン(B)のいずれか一または複数から選択された元素を用いる
ことができる。さらに、上記酸素欠陥誘起因子に加えて、水素、又は\及び窒素を用いて
もよい。
【0045】
酸化物半導体層420に、選択的に酸素欠陥誘起因子421を導入することによって、該
導入領域において酸素欠陥を効果的に誘起する。酸素欠陥はドナーとして機能するため、
選択的に低抵抗化したソース領域414a及びドレイン領域414bを有する酸化物半導
体層403を形成することができる。
【0046】
本実施の形態では、酸素欠陥誘起因子421の導入処理において、ゲート電極層401を
マスクとして用いる。よって、酸化物半導体層403において、自己整合的に、ゲート電
極層401と重なる領域は、酸素欠陥誘起因子421が導入されずチャネル形成領域41
3となり、一方ゲート電極層401と重ならない領域には、酸素欠陥誘起因子421が導
入されソース領域414a、ドレイン領域414bが形成される。また、酸化物半導体層
420の少なくともチャネル形成領域上を覆うマスクを別途設けて、酸素欠陥誘起因子4
21の導入処理を行ってもよい。該マスクとしては、フォトリソグラフィ工程によるレジ
ストマスクを用いればよい。
【0047】
酸化物半導体層中に酸素欠陥を形成することによる低抵抗化の効果を計算機を用いた計算
結果に基づいて検証した。酸化物半導体層として、In-Ga-Zn-O系の酸化物半導
体材料を用いる場合について計算を行っている。なお、計算において、In-Ga-Zn
-O系の酸化物半導体材料の組成はIn:Ga:Zn:O=1:1:1:4とした。
【0048】
まず、古典MD(分子動力学)計算を用いたmelt-quench法により、In-G
a-Zn-O系酸化物半導体の非晶質構造を用意した。ここでは、総原子数が84個、密
度が5.9g/cm3の構造について計算を行っている。金属-酸素間および酸素-酸素
間についてはBorn-Mayer-Huggins型のポテンシャルを、金属-金属間
についてはLennard-Jones型のポテンシャルを用い、NVTアンサンブルで
計算を行った。計算プログラムとしては、Materials Explorerを用い
た。
【0049】
その後、上記古典MD計算により得られた構造に対して、密度汎関数理論(DFT)に基
づく平面波-擬ポテンシャル法を用いた第一原理計算(量子MD計算)により、構造を最
適化し、状態密度を求めた。また、任意の酸素原子を一つ取り除いた構造に対しても構造
最適化を行い、状態密度を計算した。計算プログラムとしてはCASTEPを、交換相関
汎関数としてはGGA-PBEを用いた。
【0050】
図8に、上記計算結果により得られた構造の状態密度を示す。図8(A)は、酸素欠陥の
ない構造の状態密度であり、図8(B)は、酸素欠陥がある構造の状態密度である。ここ
で、0(eV)はフェルミ準位に対応するエネルギーを表している。図8(A)および図
8(B)より、酸素欠陥がない構造では、フェルミ準位は価電子帯の上端に存在するのに
対して、酸素欠陥がある構造では、フェルミ準位は伝導帯中に存在することが分かる。酸
素欠陥がある構造ではフェルミ準位が伝導帯中に存在するため、伝導に寄与する電子数が
増加し、抵抗が低い(導電率の高い)構造が得られる。
【0051】
よって、酸化物半導体層に、選択的に酸素欠陥誘起因子を導入し酸素欠陥を効果的に誘起
することによって、酸化物半導体層に低抵抗化したソース領域及びドレイン領域を形成す
ることができる。
【0052】
なお、酸素欠陥誘起因子421としては、酸素親和性の高い金属元素を用いるとより好ま
しい。酸素親和性の高い金属元素としては、例えば、チタン、アルミニウム、マンガン、
マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウムなどが挙げられる。また、銅などを用いても良
い。
【0053】
次に、酸素親和性の高い金属元素を酸素欠陥誘起因子として用いる場合の効果について、
計算機を用いた計算結果に基づいて説明する。ここでは、酸素親和性の高い金属元素とし
てチタンを用い、酸化物半導体層として、In-Ga-Zn-O系の酸化物半導体材料を
用いる場合について計算を行っているが、開示する発明の一態様はこれに限定されない。
なお、計算において、In-Ga-Zn-O系の酸化物半導体材料の組成はIn:Ga:
Zn:O=1:1:1:4とした。
【0054】
酸素親和性の高い金属元素を導入することにより、非晶質状態の酸化物半導体から酸素親
和性の高い金属元素へと酸素が移動する様子を確認した。
【0055】
酸化物半導体として、In-Ga-Zn-O系酸化物半導体にチタン(Ti)を含ませた
構造の電子状態について計算を行った。計算モデル及び計算条件を以下に示す。
【0056】
計算に用いたTiを含むIn-Ga-Zn-O系酸化物半導体の構造を図9に示す。この
構造は、第一原理分子動力学計算により作製した化学量論的組成のIn-Ga-Zn-O
系酸化物半導体にTiを含ませた構造である。黒丸が金属原子、白丸が酸素原子を表す。
大きな黒丸がTiである。原子数は、図9のTiを含むIn-Ga-Zn-O系酸化物半
導体構造において、In、Ga、Znがそれぞれ12個、Oが48個、Tiが1個である
【0057】
Tiを含むIn-Ga-Zn-O系酸化物半導体構造の密度は、非晶質In-Ga-Zn
-O系酸化物半導体の実験値5.9g/cm3に固定した。この構造に対して、下記計算
条件で計算を行った。第一原理計算はaccelrys社製の第一原理計算ソフトCAS
TEPを用いた。
【0058】
図9のTiを含むIn-Ga-Zn-O系酸化物半導体構造は、温度3000Kより、1
500K、300Kと温度を降温させながら、粒子数(N)、体積(V)、温度(T)が
一定の条件(NVTアンサンブル)で、時間刻み幅1fsec、ステップ数は各温度で2
000step、電子のカットオフエネルギー260eV、逆格子のメッシュ(k点)を
1×1×1にして計算し、その最終構造に対して、さらに電子のカットオフエネルギー4
20eV、逆格子のメッシュ(k点)を2×2×2にして構造最適化計算を行い、エネル
ギーの低い安定構造としたものである。
【0059】
図9に示すように、チタンは酸素と結合している。
【0060】
図9のTiを含むIn-Ga-Zn-O系酸化物半導体構造に対して、電子のカットオフ
エネルギー420eV、逆格子のメッシュ(k点)が3×3×3の条件で、電子の状態密
度を計算した。
【0061】
図10(A)にIn-Ga-Zn-O系酸化物半導体構造における全体の状態密度、図1
0(B)にTiを含むIn-Ga-Zn-O系酸化物半導体構造のTiの部分状態密度を
示す。図10(A)(B)において、横軸はエネルギー、縦軸は状態密度を表す。横軸の
エネルギーの原点は電子の最大占有準位のエネルギーを表す。図10(B)に示すように
、In-Ga-Zn-O系酸化物半導体にTiを添加すると伝導帯下端に電子が入ること
がわかる。
【0062】
上記の結果から、TiがIn-Ga-Zn-O系酸化物半導体中に導入されると、それら
と酸素が結合する事により、化学量論比からずれる。それによって、酸素が欠乏状態とな
る。非晶質In-Ga-Zn-O系酸化物半導体では、酸素欠損は電子ドナーとなるので
、結果として電子が過剰の状態になる。よって、酸素と結合しやすいTiを導入した場合
には酸素欠陥を引き起こし、キャリアが発生する。
【0063】
このように、酸化物半導体層に酸素親和性の高い金属元素を導入することにより、その導
入領域において、酸化物半導体層から金属元素へと酸素原子が移動し、酸素欠陥がより効
果的に増加することが確認できる。結果、ドナーとして機能する酸素欠陥の増加により、
導入領域はより効率的に低抵抗化する。
【0064】
酸素欠陥誘起因子の導入により低抵抗化されたソース領域及びドレイン領域を有すること
で、酸化物半導体を有するトランジスタにおいては、酸化物半導体層と電極層とのコンタ
クト抵抗が低減できるため、オン特性(例えば、オン電流や電界効果移動度)が向上する
。よって、電気特性が高いトランジスタとすることが可能となる。
【0065】
酸化物半導体層420への酸素欠陥誘起因子421の導入処理は、成膜された酸化物半導
体層420へ選択的にイオン注入法やドーピング法を用いて行う。本実施の形態では酸素
欠陥誘起因子421としてチタンを用いて、イオン注入法により酸化物半導体層420へ
導入する。イオン注入法としては、四塩化チタン(TiCl4)液化ガスを用いる方法や
、固体ソースを蒸気化する方法等がある。
【0066】
なお、酸素欠陥誘起因子導入処理において、導入条件(加速エネルギー、酸素欠陥誘起因
子の照射量(注入量又はドーズ量))によっては、マスク(本実施の形態ではゲート電極
層401)と重なる領域であっても、酸化物半導体層の一部に酸素欠陥誘起因子が含まれ
ることがある。よって、酸素欠陥誘起因子を導入する領域は、導入条件やマスクの膜厚や
大きさを適宜設定することによって制御することができる。
【0067】
例えば、酸化物半導体層への酸素欠陥誘起因子の導入処理における、導入条件についてT
RIM(Transport of Ion in Matter)と呼ばれるソフトを
用いて計算を行った。TRIMはモンテカルロ法によってイオン注入過程の計算を行うた
めのソフトである。計算に用いたモデルは、絶縁層407として酸化シリコン膜、酸化物
半導体層420として非晶質のIn-Ga-Zn-O膜(組成:InGaZnO4、密度
6.2g/cm3、膜厚50nm)、ゲート絶縁層402として酸化シリコン膜(密度2
.2g/cm3、膜厚100nm)の積層であり、酸化物半導体層420に、ゲート絶縁
層402を通過して酸素欠陥誘起因子421を導入した。酸素欠陥誘起因子421として
はチタンイオン(Ti+)を用い、ドーズ量1×1015cm-2でイオン注入法により
導入した。また加速エネルギーは100keV、150keV、200keVの3条件に
おいて計算した。
【0068】
計算による酸素欠陥誘起因子の導入深さと濃度の関係を図7に示す。図7において横軸は
酸化物半導体層420表面からの酸素欠陥誘起因子の導入深さ(nm)、縦軸は導入され
た酸素欠陥誘起因子の濃度(atoms/cm3)である。図7に示すように加速エネル
ギーは100keV、150keV、200keVの3条件ともに、酸化物半導体層42
0中に酸素欠陥誘起因子であるチタンイオンが1×1020atoms/cm3程度導入
されていることが確認できる。
【0069】
従って、上記計算モデルにおいて酸化物半導体層に濃度1×1019atoms/cm3
以上1×1021atoms/cm3以下のソース領域及びドレイン領域を形成するため
のチタンイオンの導入条件は、ドーズ量1×1014cm-2以上1×1016cm-2
以下、加速エネルギー100keV以上200keV以下とすればよい。
【0070】
酸化物半導体層403のチャネル形成領域413にも酸素欠陥誘起因子を導入してもよい
。この場合は、ゲート電極層401の形成前に酸化物半導体層420に酸素欠陥誘起因子
の導入処理を行う。酸素欠陥誘起因子の導入処理は酸化物半導体膜を島状に加工する前に
行ってもよい。チャネル形成領域413にも酸素欠陥誘起因子を導入し、酸素欠陥をドナ
ーとして低抵抗化(例えばn--型化)させることで、トランジスタの電気特性をより制
御することができる。
【0071】
酸素欠陥誘起因子の導入処理の後に加熱処理(例えば200℃以上600℃以下)を行っ
ても良い。
【0072】
チャネル形成領域413に含まれる酸素欠陥誘起因子の濃度は、ソース領域414a及び
ドレイン領域414bより低濃度とする。本実施の形態のようにソース領域414a及び
ドレイン領域414bに含まれる酸素欠陥誘起因子の濃度が1×1019atoms/c
m3以上1×1021atoms/cm3以下であれば、例えば、チャネル形成領域41
3の濃度は1×1014atoms/cm3未満とすればよい。
【0073】
次いで、酸化物半導体層403、ゲート絶縁層402、ゲート電極層401を覆う絶縁層
409と絶縁層411を積層する。
【0074】
絶縁層409と絶縁層411としては、酸化絶縁層、又は窒化絶縁層などの無機絶縁膜を
好適に用いることができる。また、絶縁層409、絶縁層411の作製方法としては、プ
ラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いればよい。
【0075】
絶縁層409は、代表的には酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜
、または酸化窒化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。
【0076】
絶縁層411は、窒化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化シリコン膜、窒化酸化
アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。
【0077】
また、絶縁層411上にトランジスタ起因の表面凹凸を低減するために平坦化絶縁膜を形
成してもよい。平坦化絶縁膜としては、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポ
リアミド、エポキシ等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機
材料の他に、低誘電率材料(low-k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス
)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成
される絶縁膜を複数積層させることで、平坦化絶縁膜を形成してもよい。平坦化絶縁膜の
形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタリング法、SOG法、スピンコ
ート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフ
セット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター
等を用いることができる。
【0078】
絶縁層409と絶縁層411にソース領域414a、ドレイン領域414bに達する開口
(コンタクトホール)を形成する。開口に導電膜を成膜し、エッチングにより加工してソ
ース領域414a、ドレイン領域414bと接し、電気的に接続するソース電極層405
a、ドレイン電極層405bを形成する(図1(D)参照)。以上の工程でトランジスタ
410を作製することができる。
【0079】
ソース電極層405a、ドレイン電極層405bに用いる導電膜としては、例えば、Al
、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wからから選ばれた元素、または上述した元素を成分
とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等を用いることができる。また、Al
、Cuなどの金属層の下側又は上側の一方または双方にCr、Ta、Ti、Mo、Wなど
の高融点金属層を積層させた構成としても良い。また、Si、Ti、Ta、W、Mo、C
r、Nd、Sc、YなどAl膜に生ずるヒロックやウィスカーの発生を防止する元素が添
加されているAl材料を用いることで耐熱性を向上させることが可能となる。また、窒化
チタンなどの上記金属の導電性窒化物材料を用いてもよい。また、導電膜の作製方法とし
ては、蒸着法又はスパッタリング法等を用いればよい。
【0080】
また、ソース電極層405a、ドレイン電極層405bは、単層構造でも、2層以上の積
層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム
膜上にチタン膜を積層する2層構造、Ti膜と、そのTi膜上に重ねてアルミニウム膜を
積層し、さらにその上にTi膜を成膜する3層構造などが挙げられる。
【0081】
また、ソース電極層405a、ドレイン電極層405b(これと同じ層で形成される配線
層を含む)となる導電膜としては導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸
化物としては酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO
)、酸化インジウム酸化スズ合金(In2O3―SnO2、ITOと略記する)、酸化イ
ンジウム酸化亜鉛合金(In2O3―ZnO)または前記金属酸化物材料にシリコン若し
くは酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0082】
以上のように、酸素欠陥誘起因子の導入により低抵抗化されたソース領域414a及びド
レイン領域414bを有する酸化物半導体を有するトランジスタ410は、酸化物半導体
層403とソース電極層405a、ドレイン電極層405bとのコンタクト抵抗が低減で
きるため、オン特性が向上する。よって、電気特性が高いトランジスタとすることが可能
となる。
【0083】
電気特性が高いトランジスタは、高速応答及び高速駆動が可能なため、該トランジスタを
有することで高機能な半導体装置とすることができる。
【0084】
(実施の形態2)
本実施の形態では、半導体装置及び半導体装置の作製方法の一形態を図2及び図3を用い
て説明する。本実施の形態では、半導体装置の一例としてトランジスタを示す。実施の形
態1に示すトランジスタにおいて、チャネル形成領域とソース領域又はドレイン領域の間
に、ソース領域及びドレイン領域より低濃度の酸素欠陥誘起因子を含む領域を有する構造
である。よって、上記実施の形態と同一部分又は同様な機能を有する部分、及び工程は、
上記実施の形態と同様に行うことができ、繰り返しの説明は省略する。また同じ箇所の詳
細な説明は省略する。
【0085】
図2(A)乃至図2(D)及び図3(A)乃至図3(D)にトランジスタ及びトランジス
タの作製方法の一例を示す。
【0086】
図2(D)に示すトランジスタ440は、トップゲート構造の薄膜トランジスタの一つで
あり、プレーナ型薄膜トランジスタともいう。
【0087】
トランジスタ440は、絶縁表面を有する基板400上に、絶縁層407、チャネル形成
領域413、低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域415a、415b、酸素欠陥誘起因子を
含むソース領域414a、酸素欠陥誘起因子を含むドレイン領域414bが設けられてい
る酸化物半導体層433、ゲート絶縁層402、及びゲート電極層401を有する。
【0088】
酸化物半導体層433、ゲート絶縁層402、及びゲート電極層401を覆い、絶縁層4
09及び絶縁層411が積層されており、絶縁層409及び絶縁層411を介して、ソー
ス領域414a、及びドレイン領域414bにそれぞれソース電極層405a、ドレイン
電極層405bが電気的に接続して設けられている。
【0089】
低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域415a、415b、ソース領域414a及びドレイン
領域414bは、酸素欠陥誘起因子を含む領域であり、低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域
415a、415bより酸素欠陥誘起因子の濃度が高いソース領域414a、及びドレイ
ン領域414bは高濃度酸素欠陥誘起因子含有領域であるともいえる。よって、本明細書
においては、高濃度酸素欠陥誘起因子含有領域であるソース領域414a及びドレイン領
域414bを第1の領域、一方低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域415a、415bを第
2の領域ともいう。
【0090】
低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域415a、415b、ソース領域414a、及びドレイ
ン領域414bは、酸素欠陥誘起因子によってドナーが形成された低抵抗化領域である。
低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域415a、415bは、高濃度酸素欠陥誘起因子含有領
域であるソース領域414a、及びドレイン領域414bより含有する酸素欠陥誘起因子
の濃度が低いため、ソース領域及びドレイン領域よりも抵抗が高い。
【0091】
従って、トランジスタ440の酸化物半導体層433において、チャネル形成領域413
、低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域415a及び415b、ソース領域414a及びドレ
イン領域414bの順に抵抗が低くなっている。
【0092】
以下、図2(A)乃至図2(D)を用い、基板400上にトランジスタ440を作製する
工程を説明する。
【0093】
実施の形態1の図1(B)に示すように絶縁層407が設けられた基板400上に島状の
酸化物半導体層420、ゲート絶縁層402、ゲート電極層401が形成されている(図
2(A)参照)。
【0094】
酸化物半導体層420のチャネル形成領域に相当する領域(ゲート電極層401と重なる
領域)にも酸素欠陥誘起因子の導入処理を行い、酸素欠陥誘起因子を含ませてもよい。こ
の場合は、ゲート電極層401の形成前に酸化物半導体層420に酸素欠陥誘起因子の導
入処理を行う。酸素欠陥誘起因子の導入処理は酸化物半導体膜を島状に加工する前に行っ
てもよい。チャネル形成領域にも酸素欠陥誘起因子を導入し、酸素欠陥をドナーとして低
抵抗化(例えばn--型化)させることで、トランジスタの電気特性をより制御すること
ができる。
【0095】
酸素欠陥誘起因子の導入処理の後に加熱処理(例えば200℃以上600℃以下)を行っ
ても良い。
【0096】
次いで、酸化物半導体層420、ゲート絶縁層402、ゲート電極層401を覆う絶縁層
409を形成する(図2(B)参照)。
【0097】
次に、酸化物半導体層420に酸素欠陥誘起因子434を導入し、低濃度酸素欠陥誘起因
子含有領域415a、415b、ソース領域414a、ドレイン領域414b、チャネル
形成領域413を含む酸化物半導体層433を形成する(図2(C)参照)。例えば、ソ
ース領域414a、ドレイン領域414bに含まれる酸素欠陥誘起因子434の濃度は、
1×1019atoms/cm3以上1×1021atoms/cm3以下とすればよい
。低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域415a、415bはソース領域414a、ドレイン
領域414bより低い濃度とすればよく、例えば、低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域41
5a、415bに含まれる酸素欠陥誘起因子434の濃度は、1×1018atoms/
cm3程度とすればよい。
【0098】
酸素欠陥誘起因子434の導入処理の後に加熱処理(例えば200℃以上600℃以下)
を行っても良い。
【0099】
酸素欠陥誘起因子434としては、チタン(Ti)、タングステン(W)、モリブデン(
Mo)、アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)
、シリコン(Si)、ボロン(B)のいずれか一または複数から選択された元素を用いる
ことができる。さらに、上記酸素欠陥誘起因子に加えて、水素、又は\及び窒素を用いて
もよい。なお、酸素欠陥誘起因子434としては、酸素親和性の高い金属元素を用いると
より好ましい。
【0100】
酸化物半導体層420に、選択的に酸素欠陥誘起因子434を導入することによって、該
導入領域において酸素欠陥を効果的に誘起する。酸素欠陥はドナーとして機能するため、
選択的に低抵抗化した低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域415a、415b、ソース領域
414a及びドレイン領域414bを有する酸化物半導体層433を形成することができ
る。
【0101】
さらに、酸素欠陥誘起因子の導入領域に濃度分布を設け、高抵抗なチャネル形成領域と低
抵抗なソース領域又はドレイン領域の間に、ソース領域及びドレイン領域より高抵抗で、
かつチャネル形成領域より低抵抗な低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域415a、415b
を有することによって、酸化物半導体層433は導電性を段階的に変化させた構造となる
。従って電界集中を抑制でき局所的な高電界の印加を防ぐため、トランジスタの耐圧が向
上し、半導体装置に高い信頼性を付与することができる。
【0102】
本実施の形態では、酸素欠陥誘起因子434の導入処理において、ゲート電極層401を
マスクとして用いる。よって、酸化物半導体層433において、自己整合的に、ゲート電
極層401と重なる領域は、酸素欠陥誘起因子434が導入されずチャネル形成領域41
3となり、一方ゲート電極層401と重ならない領域には、酸素欠陥誘起因子434が導
入されソース領域414a、ドレイン領域414bが形成される。また、ゲート電極層4
01の側面に設けられた絶縁層409もマスクとなるので、ゲート電極層401及び側面
に設けられた絶縁層409と重なる酸化物半導体層420への導入は阻害される。但し、
ゲート電極層401の側面に設けられた絶縁層409と重なる酸化物半導体層420の領
域(チャネル形成領域413と、ソース領域414a又はドレイン領域414bの間)に
はソース領域又はドレイン領域へ導入された酸素欠陥誘起因子434の回り込みによって
酸素欠陥誘起因子434が導入されるので、低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域415a、
415bとなる。
【0103】
酸化物半導体層420への酸素欠陥誘起因子434の導入は、成膜された酸化物半導体層
420へ選択的にイオン注入法やドーピング法を用いて行う。
【0104】
なお、酸素欠陥誘起因子導入処理において、導入条件(加速エネルギー、酸素欠陥誘起因
子の照射量(注入量又はドーズ量))によっては、マスク(本実施の形態ではゲート電極
層401)と重なる領域であっても、酸化物半導体層の一部に酸素欠陥誘起因子が含まれ
ることがある。よって、酸素欠陥誘起因子を導入する領域は、導入条件やマスクの膜厚や
大きさを適宜設定することによって制御することができる。
【0105】
本実施の形態のように、絶縁層409を透過して、ソース領域414a、ドレイン領域4
14bに導入された酸素欠陥誘起因子434の回り込みによって低濃度酸素欠陥誘起因子
含有領域415a、415bを形成する場合は、絶縁層409の膜厚及び加速エネルギー
の調節によって低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域415a、415bのチャネル長方向の
幅(例えば、20nm以上1μm以下、代表的には20nm以上200nm以下)を決定
することができる。
【0106】
図2では一度の酸素欠陥誘起因子導入処理によって、低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域4
15a、415b、ソース領域414a、及びドレイン領域414bを自己整合的に形成
する例を示したが、複数回の酸素欠陥誘起因子導入処理を行ってもよい。図3に2回の酸
素欠陥誘起因子導入処理を行う例を示す。
【0107】
図2(A)と同様に絶縁層407が設けられた基板400上に島状の酸化物半導体層42
0、ゲート絶縁層402、ゲート電極層401が形成されている(図3(A)参照)。
【0108】
次に、酸化物半導体層420にゲート電極層401をマスクとして酸素欠陥誘起因子43
0を選択的に導入し、チャネル形成領域413、酸素欠陥誘起因子含有領域431a、4
31bを形成する(図3(B)参照)。例えば、酸素欠陥誘起因子含有領域431a、4
31bに含まれる酸素欠陥誘起因子430の濃度は、1×1018atoms/cm3程
度とすればよい。
【0109】
次いで、チャネル形成領域413、酸素欠陥誘起因子含有領域431a、431bを含む
酸化物半導体層、ゲート絶縁層402、ゲート電極層401を覆う絶縁層409を形成す
る。
【0110】
次に、酸化物半導体層の酸素欠陥誘起因子含有領域431a、431bに酸素欠陥誘起因
子432を導入し、低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域415a、415b、ソース領域4
14a、ドレイン領域414b、チャネル形成領域413を含む酸化物半導体層433を
形成する(図3(C)参照)。例えば、ソース領域414a、ドレイン領域414bに含
まれる酸素欠陥誘起因子432の濃度は、1×1019atoms/cm3以上1×10
21atoms/cm3以下とすればよい。
【0111】
酸素欠陥誘起因子432の導入処理の後に加熱処理(例えば200℃以上600℃以下)
を行っても良い。
【0112】
また、ゲート電極層401の側面に設けられた絶縁層409もマスクとなるので、ゲート
電極層401及び側面に設けられた絶縁層409と重なる酸化物半導体層420への酸素
欠陥誘起因子432の導入は阻害され、低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域415a、41
5bとなる。
【0113】
酸素欠陥誘起因子430、432としては、酸素欠陥誘起因子434と同様な材料を用い
ることができる。
【0114】
なお、チャネル形成領域413に酸素欠陥誘起因子の導入処理を行う場合は、チャネル形
成領域413に含まれる酸素欠陥誘起因子の濃度を、低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域4
15a、415b、ソース領域414a及びドレイン領域414bより低濃度とする。本
実施の形態のようにソース領域414a及びドレイン領域414bに含まれる酸素欠陥誘
起因子の濃度が1×1019atoms/cm3以上1×1021atoms/cm3以
下、低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域415a、415bに含まれる酸素欠陥誘起因子の
濃度が、1×1018atoms/cm3程度であれば、例えば、チャネル形成領域41
3の濃度は1×1014atoms/cm3未満とすればよい。
【0115】
図3(C)の導入処理を終えた後に、絶縁層409上に絶縁層411を形成する。絶縁層
409と絶縁層411にソース領域414a、ドレイン領域414bに達する開口(コン
タクトホール)を形成する。開口に導電膜を成膜し、エッチングにより加工してソース領
域414a、ドレイン領域414bと接し、電気的に接続するソース電極層405a、ド
レイン電極層405bを形成する(図3(D)参照)。以上の工程でトランジスタ440
を作製することができる。
【0116】
以上のように、酸素欠陥誘起因子の導入により低抵抗化された低濃度酸素欠陥誘起因子含
有領域415a、415b、高濃度酸素欠陥誘起因子含有領域であるソース領域414a
及びドレイン領域414bを有する酸化物半導体層433を有するトランジスタ440は
、酸化物半導体層433とソース電極層405a、ドレイン電極層405bとのコンタク
ト抵抗が低減できるため、オン特性(例えば、オン電流や電界効果移動度)が向上する。
よって、電気特性が高いトランジスタとすることが可能となる。
【0117】
電気特性が高いトランジスタは、高速応答及び高速駆動が可能なため、該トランジスタを
有することで高機能な半導体装置とすることができる。
【0118】
さらに、導電性を段階的に変化させた酸化物半導体層を有することで、トランジスタの電
界集中を抑制でき局所的な高電界の印加を防げるため、トランジスタの耐圧が向上し、半
導体装置に高い信頼性を付与することができる。
【0119】
(実施の形態3)
本実施の形態では、半導体装置及び半導体装置の作製方法の他の一形態を図11を用いて
説明する。本実施の形態では、半導体装置の一例としてトランジスタを示す。実施の形態
1又は実施の形態2に示すトランジスタと、ソース電極層及びドレイン電極層の形成工程
及び構造が異なる例である。よって、上記実施の形態と同一部分又は同様な機能を有する
部分、及び工程は、上記実施の形態と同様に行うことができ、繰り返しの説明は省略する
。また同じ箇所の詳細な説明は省略する。
【0120】
実施の形態1及び実施の形態2では、ソース電極層及びドレイン電極層は酸化物半導体層
上に設けられた絶縁層上に形成され、酸化物半導体層との電気的接続は、該絶縁層にコン
タクトホールを形成して行う例を示した。本実施の形態では、絶縁層を介さずに酸化物半
導体層上に直接接してソース電極層及びドレイン電極層を形成する。
【0121】
図11(A)乃至図11(D)にトランジスタ及びトランジスタの作製方法の一例を示す
【0122】
図11(D)に示すトランジスタ510は、トップゲート構造の薄膜トランジスタの一つ
である。
【0123】
トランジスタ510は、絶縁表面を有する基板500上に、絶縁層507、チャネル形成
領域513、酸素欠陥誘起因子非導入領域511a、511b、酸素欠陥誘起因子を含む
ソース領域512a、酸素欠陥誘起因子を含むドレイン領域512bが設けられている酸
化物半導体層503、第1のソース電極層555a、第1のドレイン電極層555b、第
2のソース電極層545a、第2のドレイン電極層545b、ゲート絶縁層502、及び
ゲート電極層501を有する。
【0124】
ソース領域512a、ドレイン領域512bは、酸化物半導体層503において、ゲート
電極層501、第1のソース電極層555a、第1のドレイン電極層555b、第2のソ
ース電極層545a、又は第2のドレイン電極層545bに覆われていない領域と、第1
のソース電極層555a、第1のドレイン電極層555b、第2のソース電極層545a
、又は第2のドレイン電極層545bに覆われている、酸化物半導体層503の表層部と
に形成されている。ソース領域512a、及びドレイン領域512bは、酸素欠陥誘起因
子521によってドナーが形成された低抵抗化領域である。
【0125】
一方、酸化物半導体層503において、第1のソース電極層555a、又は第1のドレイ
ン電極層555bと重なり、かつ絶縁層507との界面付近に設けられた酸素欠陥誘起因
子非導入領域511a、511bには酸素欠陥誘起因子521は含まれていない。
【0126】
なお、酸化物半導体層503のチャネル形成領域513にも酸素欠陥誘起因子521を導
入してもよい。この場合は、ゲート電極層501の形成前に酸化物半導体層520に酸素
欠陥誘起因子521の導入処理を行う。酸素欠陥誘起因子521の導入処理は酸化物半導
体膜を島状に加工する前に行ってもよい。チャネル形成領域513にも酸素欠陥誘起因子
521を導入する場合、酸化物半導体層503全体に酸素欠陥誘起因子521が導入され
るため、酸素欠陥誘起因子非導入領域511a、511bにも、チャネル形成領域と同濃
度の酸素欠陥誘起因子521が含まれることとなる。
【0127】
チャネル形成領域513にも酸素欠陥誘起因子521を導入し、酸素欠陥をドナーとして
低抵抗化(例えばn--型化)させることで、トランジスタの電気特性をより制御するこ
とができる。
【0128】
酸素欠陥誘起因子521の導入処理の後に加熱処理(例えば200℃以上600℃以下)
を行っても良い。
【0129】
チャネル形成領域513に含まれる酸素欠陥誘起因子の濃度は、ソース領域512a及び
ドレイン領域512bより低濃度とする。本実施の形態のようにソース領域512a及び
ドレイン領域512bに含まれる酸素欠陥誘起因子の濃度が1×1019atoms/c
m3以上1×1021atoms/cm3以下であれば、例えば、チャネル形成領域51
3の濃度は1×1014atoms/cm3未満とすればよい。
【0130】
以下、図11(A)乃至図11(D)を用い、基板500上にトランジスタ510を作製
する工程を説明する。
【0131】
絶縁層507が設けられた基板500上に島状の酸化物半導体層520が設けられ、酸化
物半導体層520の一方の端部と接して、第1のソース電極層555a及び第2のソース
電極層545aの積層が形成され、酸化物半導体層520の他方の端部と接して、第1の
ドレイン電極層555b及び第2のドレイン電極層545bの積層が形成されている。
【0132】
酸化物半導体層520と接する第1のソース電極層555a、及び第1のドレイン電極層
555bとしては、金属窒化層を用い、第2のソース電極層545a、及び第2のドレイ
ン電極層545bとしては金属層を用いることが好ましい。本実施の形態では、第1のソ
ース電極層555a、第1のドレイン電極層555bとして窒化チタン膜を用い、第2の
ソース電極層545a、及び第2のドレイン電極層545bとしてはチタン膜を用いる。
【0133】
第1のソース電極層555a、第1のドレイン電極層555b、第2のソース電極層54
5a、及び第2のドレイン電極層545bは膜厚の薄い導電膜である。
【0134】
酸化物半導体層520、第1のソース電極層555a、第1のドレイン電極層555b、
第2のソース電極層545a、及び第2のドレイン電極層545b上にゲート絶縁層50
2を形成し、ゲート絶縁層502上にゲート電極層501を形成する(図11(B)参照
)。
【0135】
次に、酸化物半導体層520に酸素欠陥誘起因子521を導入し、ソース領域512a、
ドレイン領域512b、チャネル形成領域513、酸素欠陥誘起因子非導入領域511a
、511bを含む酸化物半導体層503を形成する(図11(C)参照)。例えば、ソー
ス領域512a、ドレイン領域512bに含まれる酸素欠陥誘起因子521の濃度は、1
×1019atoms/cm3以上1×1021atoms/cm3以下とすればよい。
【0136】
酸素欠陥誘起因子521の導入処理の後に加熱処理(例えば200℃以上600℃以下)
を行っても良い。
【0137】
酸素欠陥誘起因子521としては、チタン(Ti)、タングステン(W)、モリブデン(
Mo)、アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)
、シリコン(Si)、ボロン(B)のいずれか一または複数から選択された元素を用いる
ことができる。さらに、上記酸素欠陥誘起因子521に加えて、水素、又は\及び窒素を
用いてもよい。なお、酸素欠陥誘起因子521としては、酸素親和性の高い金属元素を用
いるとより好ましい。
【0138】
酸化物半導体層520に、選択的に酸素欠陥誘起因子521を導入することによって、該
導入領域において酸素欠陥を効果的に誘起する。酸素欠陥はドナーとして機能するため、
選択的に低抵抗化したソース領域512a及びドレイン領域512bを有する酸化物半導
体層503を形成することができる。
【0139】
本実施の形態では、酸化物半導体層520への酸素欠陥誘起因子521の導入処理は、ゲ
ート電極層501をマスクとして用い、ゲート絶縁層502及び第1のソース電極層55
5a、第1のドレイン電極層555b、第2のソース電極層545a、及び第2のドレイ
ン電極層545bを通過して行う。
【0140】
ゲート電極層501と重なる領域は、酸素欠陥誘起因子521が導入されずチャネル形成
領域513となる。
【0141】
第1のソース電極層555a、第1のドレイン電極層555b、第2のソース電極層54
5a、及び第2のドレイン電極層545bを膜厚の薄い導電膜とし、導入条件を制御する
ことで、酸素欠陥誘起因子521を第1のソース電極層555a、第1のドレイン電極層
555b、第2のソース電極層545a、及び第2のドレイン電極層545bを通過して
酸化物半導体層520との界面付近に導入することができる。従って図11(C)に示す
ように酸化物半導体層503と、第1のソース電極層555a、又は第1のドレイン電極
層555bとの界面付近にも酸素欠陥誘起因子521の含有領域であるソース領域512
a、ドレイン領域512bを形成することができる。従って、酸化物半導体層503と、
第1のソース電極層555a、又は第1のドレイン電極層555bとは、低抵抗なソース
領域512a、又はドレイン領域512bとを介して接続することができる。
【0142】
一方、第1のソース電極層555a、又は第1のドレイン電極層555bと重なる酸化物
半導体層503において、絶縁層507との界面付近には酸素欠陥誘起因子521が導入
されない領域である酸素欠陥誘起因子非導入領域511a、511bが形成される。酸素
欠陥誘起因子非導入領域511a、511b及びチャネル形成領域513には導入処理に
よる酸素欠陥誘起因子は含まれていない。
【0143】
以上の工程で、トランジスタ510を作製することができる。
【0144】
酸素欠陥誘起因子521の導入により低抵抗化されたソース領域512a及びドレイン領
域512bを有することで、酸化物半導体層503を有するトランジスタ510において
は、酸化物半導体層503と第1のソース電極層555a、第1のドレイン電極層555
bとのコンタクト抵抗が低減できるため、オン特性(例えば、オン電流や電界効果移動度
)が向上する。よって、電気特性が高いトランジスタとすることが可能となる。
【0145】
電気特性が高いトランジスタは、高速応答及び高速駆動が可能なため、該トランジスタを
有することで高機能な半導体装置とすることができる。
【0146】
また、実施の形態2のように、チャネル形成領域とソース領域又はドレイン領域の間に、
ソース領域及びドレイン領域より低濃度の酸素欠陥誘起因子を含む領域を有する構造とし
てもよい。
【0147】
導電性を段階的に変化させた酸化物半導体層を有することで、トランジスタの電界集中を
抑制でき局所的な高電界の印加を防げるため、トランジスタの耐圧が向上し、半導体装置
に高い信頼性を付与することができる。
【0148】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0149】
(実施の形態4)
本実施の形態は、酸化物半導体層を含むトランジスタ、及び作製方法の一例を図12及び
図13を用いて詳細に説明する。上記実施の形態と同一部分又は同様な機能を有する部分
、及び工程は、上記実施の形態と同様に行うことができ、繰り返しの説明は省略する。ま
た同じ箇所の詳細な説明は省略する。
【0150】
図12及び図13にトランジスタの断面構造の一例を示す。図12及び図13に示すトラ
ンジスタ640、650は、図11に示すトランジスタ510と同様なトップゲート構造
の薄膜トランジスタである。
【0151】
本実施の形態の酸化物半導体層は、酸素欠陥誘起因子の導入処理前に、n型不純物である
水素を酸化物半導体層から除去し、酸化物半導体層の主成分以外の不純物が極力含まれな
いように高純度化することにより真性(i型)とし、又は真性型としている。すなわち、
水素や水等の不純物を極力除去することにより、高純度化された真性(i型)半導体又は
それに近づけている。
【0152】
また、上記高純度化された酸化物半導体層中にはキャリアが極めて少なく(ゼロに近い)
、キャリア濃度は1×1014/cm3未満、好ましくは1×1012/cm3未満、さ
らに好ましくは1×1011/cm3未満である。
【0153】
酸化物半導体層中にキャリアが極めて少ないため、オフ電流を低くすることができる。オ
フ電流は低ければ低いほど好ましい。
【0154】
具体的には、上述の酸化物半導体層を具備するトランジスタは、チャネル幅1μmあたり
のオフ電流を1×104zA/μm(1×10-17A/μm)以下にすること、さらに
は1×103zA/μm(1×10-18A/μm)以下にすることが可能である。
【0155】
なお、トランジスタのオフ電流の流れ難さをオフ抵抗率として表すことができる。オフ抵
抗率とは、トランジスタがオフのときのチャネル形成領域の抵抗率であり、オフ抵抗率は
オフ電流から算出することができる。
【0156】
本実施の形態の酸化物半導体層を具備するトランジスタのオフ抵抗率は1×109Ω・m
以上が好ましく、さらには1×1010Ω・m以上がより好ましい。
【0157】
また、上述の酸化物半導体層を具備するトランジスタ640、650はオン電流の温度依
存性がほとんど見られず、オフ電流も非常に小さいままである。
【0158】
以下、図12(A)乃至図12(E)を用い、絶縁表面を有する基板600上にトランジ
スタ640を作製する工程を説明する。
【0159】
基板600は、実施の形態1に示した基板400と同様な基板を用いることができる。本
実施の形態では基板600としてガラス基板を用いる。
【0160】
基板600上に下地膜となる絶縁層607を形成する。酸化物半導体層620と接する絶
縁層607は、酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層、酸化アルミニウム層、または酸化
窒化アルミニウム層などの酸化物絶縁層を用いると好ましい。絶縁層607の形成方法と
しては、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いることができるが、絶縁層60
7中に水素が含まれるのを抑制するために、スパッタリング法で絶縁層607を成膜する
ことが好ましい。
【0161】
本実施の形態では、絶縁層607として、スパッタリング法により酸化シリコン層を形成
する。基板600を処理室へ搬送し、水素及び水分が除去された高純度酸素を含むスパッ
タガスを導入しシリコン半導体のターゲットを用いて、基板600に絶縁層607として
、酸化シリコン層を成膜する。また基板600は室温でもよいし、加熱されていてもよい
【0162】
例えば、石英(好ましくは合成石英)を用い、基板温度108℃、基板とターゲットの間
との距離(T-S間距離)を60mm、圧力0.4Pa、高周波電源1.5kW、酸素及
びアルゴン(酸素流量25sccm:アルゴン流量25sccm=1:1)雰囲気下でR
Fスパッタリング法により酸化シリコン膜を成膜する。膜厚は100nmとする。なお、
石英(好ましくは合成石英)に代えてシリコンターゲットを酸化シリコン膜を成膜するた
めのターゲットとして用いることができる。なお、スパッタガスとして酸素又は、酸素及
びアルゴンの混合ガスを用いて行う。
【0163】
この場合において、処理室内の残留水分を除去しつつ絶縁層607を成膜することが好ま
しい。絶縁層607に水素、水酸基又は水分が含まれないようにするためである。
【0164】
処理室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。
例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが
好ましい。また、排気手段としては、ターボポンプにコールドトラップを加えたものであ
ってもよい。クライオポンプを用いて排気した処理室は、例えば、水素原子や、水(H2
O)など水素原子を含む化合物等が排気されるため、当該処理室で成膜し絶縁層607に
含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0165】
また、絶縁層607は積層構造でもよく、例えば、基板600側から窒化シリコン層、窒
化酸化シリコン層、窒化アルミニウム層、又は窒化酸化アルミニウムなどの窒化物絶縁層
と、上記酸化物絶縁層との積層構造としてもよい。
【0166】
例えば、酸化シリコン層と基板との間に水素及び水分が除去された高純度窒素を含むスパ
ッタガスを導入しシリコンターゲットを用いて窒化シリコン層を成膜する。この場合にお
いても、酸化シリコン層と同様に、処理室内の残留水分を除去しつつ窒化シリコン層を成
膜することが好ましい。窒化シリコン層を形成する場合も、成膜時に基板を加熱してもよ
い。
【0167】
絶縁層607として窒化シリコン層と酸化シリコン層とを積層する場合、窒化シリコン層
と酸化シリコン層を同じ処理室において、共通のシリコンターゲットを用いて成膜するこ
とができる。先に窒素を含むスパッタガスを導入して、処理室内に装着されたシリコンタ
ーゲットを用いて窒化シリコン層を形成し、次にスパッタガスを酸素を含むガスに切り替
えて同じシリコンターゲットを用いて酸化シリコン層を成膜する。窒化シリコン層と酸化
シリコン層とを大気に曝露せずに連続して形成することができるため、窒化シリコン層表
面に水素や水分などの不純物が吸着することを防止することができる。
【0168】
次いで、絶縁層607上に、膜厚2nm以上200nm以下、好ましくは5nm以上30
nm以下の酸化物半導体膜を形成する。
【0169】
なお、酸化物半導体膜をスパッタリング法により成膜する前に、アルゴンガスを導入して
プラズマを発生させる逆スパッタを行い、絶縁層607の表面に付着している粉状物質(
パーティクル、ごみともいう)を除去することが好ましい。逆スパッタとは、ターゲット
側に電圧を印加せずに、アルゴン雰囲気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基
板近傍にプラズマを形成して表面を改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて
窒素、ヘリウム、酸素などを用いてもよい。
【0170】
酸化物半導体膜として用いる酸化物半導体は、四元系金属の酸化物であるIn-Sn-G
a-Zn-O系や、三元系金属の酸化物であるIn-Ga-Zn-O系、In-Sn-Z
n-O系、In-Al-Zn-O系、Sn-Ga-Zn-O系、Al-Ga-Zn-O系
、Sn-Al-Zn-O系や、二元系金属の酸化物であるIn-Zn-O系、Sn-Zn
-O系、Al-Zn-O系、Zn-Mg-O系、Sn-Mg-O系、In-Mg-O系や
、In-O系、Sn-O系、Zn-O系などを用いることができる。また、上記酸化物半
導体膜にSiO2を含んでもよい。本実施の形態では、酸化物半導体膜としてIn-Ga
-Zn-O系酸化物ターゲットを用いてスパッタリング法により成膜する。また、酸化物
半導体膜は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガス(代表
的にはアルゴン)及び酸素雰囲気下においてスパッタリング法により形成することができ
る。
【0171】
酸化物半導体膜をスパッタリング法で作製するためのターゲットとしては、例えば、組成
比として、In2O3:Ga2O3:ZnO=1:1:1[mol数比](すなわち、I
n:Ga:Zn=1:1:0.5[atom比])を用いることができる。また、他にも
、In:Ga:Zn=1:1:1[atom比]、又はIn:Ga:Zn=1:1:2[
atom比]の組成比を有するターゲットを用いてもよい。酸化物ターゲットの充填率は
90%以上100%以下、好ましくは95%以上99.9%以下である。充填率の高い酸
化物ターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体膜は緻密な膜となる。
【0172】
酸化物半導体膜を、成膜する際に用いるスパッタガスは水素、水、水酸基又は水素化物な
どの不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
【0173】
減圧状態に保持された処理室内に基板を保持し、基板温度を100℃以上600℃以下好
ましくは200℃以上400℃以下とする。基板を加熱しながら成膜することにより、成
膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物濃度を低減することができる。また、スパッタリ
ングによる損傷が軽減される。そして、処理室内の残留水分を除去しつつ水素及び水分が
除去されたスパッタガスを導入し、上記ターゲットを用いて基板600上に酸化物半導体
膜を成膜する。処理室内の残留水分を除去するためには、クライオポンプなどの吸着型の
真空ポンプを用いることが好ましい。クライオポンプを用いて排気した処理室は、例えば
、水素、水(H2O)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物
も)等が排気されるため、当該処理室で成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物の濃度
を低減できる。
【0174】
成膜条件の一例としては、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.6Pa
、直流(DC)電源0.5kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下の条件が適用さ
れる。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、成膜時に発生する粉状物質(パーティ
クル、ごみともいう)が軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。なお、適用す
る酸化物半導体材料により適切な厚みは異なり、材料に応じて適宜厚みを選択すればよい
【0175】
次いで、酸化物半導体膜をフォトリソグラフィ工程により島状の酸化物半導体層620に
加工する。また、島状の酸化物半導体層620を形成するためのレジストマスクをインク
ジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマ
スクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0176】
なお、ここでの酸化物半導体膜のエッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチン
グでもよく、両方を用いてもよい。
【0177】
ドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、塩素を含むガス(塩素系ガス、例え
ば塩素(Cl2)、三塩化硼素(BCl3)、四塩化珪素(SiCl4)、四塩化炭素(
CCl4)など)が好ましい。
【0178】
また、フッ素を含むガス(フッ素系ガス、例えば四弗化炭素(CF4)、六弗化硫黄(S
F6)、三弗化窒素(NF3)、トリフルオロメタン(CHF3)など)、臭化水素(H
Br)、酸素(O2)、これらのガスにヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガ
スを添加したガス、などを用いることができる。
【0179】
ドライエッチング法としては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etch
ing)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導
結合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。所望の加工形状にエッチングでき
るように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加さ
れる電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節する。
【0180】
ウェットエッチングに用いるエッチング液としては、燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液、ア
ンモニア過水(31重量%過酸化水素水:28重量%アンモニア水:水=5:2:2)な
どを用いることができる。また、ITO07N(関東化学社製)を用いてもよい。
【0181】
また、ウェットエッチング後のエッチング液はエッチングされた材料とともに洗浄によっ
て除去される。その除去された材料を含むエッチング液の廃液を精製し、含まれる材料を
再利用してもよい。当該エッチング後の廃液から酸化物半導体層に含まれるインジウム等
の材料を回収して再利用することにより、資源を有効活用し低コスト化することができる
【0182】
所望の加工形状にエッチングできるように、材料に合わせてエッチング条件(エッチング
液、エッチング時間、温度等)を適宜調節する。
【0183】
次いで、酸化物半導体層620に第1の加熱処理を行う。この第1の加熱処理によって酸
化物半導体層620の脱水化または脱水素化を行うことができる。第1の加熱処理の温度
は、400℃以上750℃以下、又は400℃以上基板の歪み点未満とする。
【0184】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱
輻射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、GRTA(Gas
Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid
Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal An
neal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライ
ドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧
水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置
である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。気体には、ア
ルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活
性気体が用いられる。
【0185】
例えば、第1の加熱処理として、650℃以上700℃以下の高温に加熱した不活性ガス
中に基板を移動させて入れ、数分間加熱した後、基板を移動させて高温に加熱した不活性
ガス中から出すGRTAを行ってもよい。GRTAを用いると短時間での高温加熱処理が
可能となる。
【0186】
なお、第1の加熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス
に、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する窒素、
またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上
、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ま
しくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0187】
また、脱水化または脱水素化の加熱処理として酸化物半導体層を加熱し、同じ炉に高純度
の酸素ガス、高純度のN2Oガス、又は超乾燥エア(露点が-40℃以下、好ましくは-
60℃以下)を導入して冷却を行ってもよい。酸素ガスまたはN2Oガスに、水、水素な
どが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する酸素ガスまたはN2O
ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)
以上、(即ち酸素ガスまたはN2Oガス中の不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.
1ppm以下)とすることが好ましい。脱水化または脱水素化処理による不純物の排除工
程によって同時に減少してしまった酸化物半導体を構成する主成分材料である酸素を供給
することによって、酸化物半導体層620を高純度化及び電気的にi型(真性)化する。
【0188】
本実施の形態では、加熱処理装置の一つである電気炉に基板600を導入し、酸化物半導
体層に対して窒素雰囲気下450℃において1時間の加熱処理を行った後、大気に触れる
ことなく、酸化物半導体層への水や水素の再混入を防ぎ、酸化物半導体層620を得る。
このように、窒素、または希ガス等の不活性ガス雰囲気下で脱水化または脱水素化のため
の加熱処理を行った場合、酸素欠損により加熱処理後の酸化物半導体層620はn型化し
て低抵抗化する。
【0189】
また、酸化物半導体層620は、第1の加熱処理の条件、または酸化物半導体層の材料に
よっては、結晶化し、微結晶膜または多結晶膜となる場合もある。また、第1の加熱処理
の条件、または酸化物半導体膜の材料によっては、結晶成分を含まない非晶質の酸化物半
導体膜となる場合もある。また、非晶質の酸化物半導体の中に微結晶部が混在する酸化物
半導体膜となる場合もある。
【0190】
また、第1の加熱処理は、島状の酸化物半導体層620に加工する前の酸化物半導体膜に
行うこともできる。その場合には、第1の加熱処理後に、加熱装置から基板を取り出し、
フォトリソグラフィ工程を行う。
【0191】
本実施の形態で示す酸化物半導体層620を用いて、チャネル形成領域とソース領域又は
ドレイン領域の間に、ソース領域及びドレイン領域より低濃度の酸素欠陥誘起因子を含む
領域を有するトランジスタ640、650を図12(A)乃至図12(E)及び図13
A)乃至図13(C)を用いて説明する。
【0192】
絶縁表面を有する絶縁層607が設けられた基板600上に、酸化物半導体層620が形
成されている(図12(A)参照)。
【0193】
酸化物半導体層620の一方の端部と接して、第1のソース電極層625a及び第2のソ
ース電極層635aの積層を形成し、酸化物半導体層620の他方の端部と接して、第1
のドレイン電極層625b及び第2のドレイン電極層635bの積層を形成する。
【0194】
酸化物半導体層620と接する第1のソース電極層625a、第1のドレイン電極層62
5bとしては、金属窒化層を用い、第2のソース電極層635a、及び第2のドレイン電
極層635bとしては金属層を用いることが好ましい。本実施の形態では、第1のソース
電極層625a、第1のドレイン電極層625bとして窒化チタン膜を用い、第2のソー
ス電極層635a、及び第2のドレイン電極層635bとしてはアルミニウム膜とチタン
膜との積層を用いる。
【0195】
酸化物半導体層620、第1のソース電極層625a、第1のドレイン電極層625b、
第2のソース電極層635a、及び第2のドレイン電極層635b上にゲート絶縁層60
2を形成する。
【0196】
ゲート絶縁層602は、少なくとも1nm以上の膜厚とし、スパッタリング法など、ゲー
ト絶縁層602に水、水素等の不純物を混入させない方法を適宜用いて形成することがで
きる。
【0197】
本実施の形態では、ゲート絶縁層602として膜厚100nmの酸化シリコン膜をスパッ
タリング法を用いて成膜する。成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく
、本実施の形態では100℃とする。酸化シリコン膜のスパッタリング法による成膜は、
希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または希ガス(代表的にはアル
ゴン)及び酸素雰囲気下において行うことができる。また、ターゲットとして酸化シリコ
ンターゲットまたはシリコンターゲットを用いることができる。例えば、シリコンターゲ
ットを用いて、酸素、及び窒素雰囲気下でスパッタリング法により酸化シリコンを形成す
ることができる。酸化物半導体層620に接して形成するゲート絶縁層602は、水分や
、水素イオンや、水酸基などの不純物を含まず、これらが外部から侵入することをブロッ
クする無機絶縁膜を用い、代表的には酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミ
ニウム膜、または酸化窒化アルミニウム膜などを用いる。
【0198】
この場合において、処理室内の残留水分を除去しつつゲート絶縁層602を成膜すること
が好ましい。酸化物半導体層620及びゲート絶縁層602に水素、水酸基又は水分が含
まれないようにするためである。
【0199】
処理室内の残留水分を除去するためには、クライオポンプなどの吸着型の真空ポンプを用
いることが好ましい。クライオポンプを用いて排気した処理室は、例えば、水素や、水(
H2O)など水素原子を含む化合物等が排気されるため、当該処理室で成膜したゲート絶
縁層602に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0200】
次いで、不活性ガス雰囲気下、または酸素ガス雰囲気下で第2の加熱処理(例えば200
℃以上400℃以下、好ましくは250℃以上350℃以下)を行う。例えば、窒素雰囲
気下で250℃、1時間の第2の加熱処理を行う。第2の加熱処理を行うと、酸化物半導
体層の一部(少なくともチャネル形成領域を含む)がゲート絶縁層602と接した状態で
加熱される。
【0201】
以上の工程を経ることによって、成膜後の酸化物半導体層に対して脱水化または脱水素化
のための加熱処理を行って水素、水分、水酸基又は水素化物(水素化合物ともいう)など
の不純物を酸化物半導体層より意図的に排除し、かつ不純物の排除工程によって同時に減
少してしまう酸化物半導体を構成する主成分材料である酸素を供給することができる。よ
って、少なくともチャネル形成領域を含む酸化物半導体層の一部の領域は高純度化及び電
気的にi型(真性)化する。
【0202】
本実施の形態では、酸化物半導体層620において、直接ゲート絶縁層602と接しない
第1のソース電極層625a、又は第1のドレイン電極層625bと重なる領域は、上記
第2の加熱処理によって酸素が供給されないので、n型の低抵抗領域のままである。
【0203】
ゲート絶縁層602上にゲート電極層601を形成する(図12(B)参照)。
【0204】
なお、酸化物半導体層620のチャネル形成領域に相当する領域(ゲート電極層601と
重なる領域)にも酸素欠陥誘起因子の導入処理を行い、酸素欠陥誘起因子を含ませてもよ
い。この場合は、ゲート電極層601の形成前に酸化物半導体層620に酸素欠陥誘起因
子の導入処理を行う。酸素欠陥誘起因子の導入処理は酸化物半導体膜を島状に加工する前
に行ってもよい。チャネル形成領域にも酸素欠陥誘起因子を導入し、酸素欠陥をドナーと
して低抵抗化(例えばn--型化)させることで、トランジスタの電気特性をより制御す
ることができる。
【0205】
酸素欠陥誘起因子の導入処理の後に加熱処理(例えば200℃以上600℃以下)を行っ
ても良い。第1の加熱処理前に酸素欠陥誘起因子の導入処理を行えば、該加熱処理は第1
の加熱処理と兼ねることができ好ましい。例えば、酸素欠陥誘起因子の導入処理及び窒素
雰囲気下200℃以上600℃以下で加熱処理を行うことで、真性化した酸化物半導体層
を低抵抗化(n型化)することができる。
【0206】
本実施の形態の酸化物半導体層620は、高純度化された酸化物半導体層であるため、酸
素欠陥誘起因子の導入による効果が顕著に現れる。よって、含まれる酸素欠陥誘起因子が
微量であってもトランジスタの電気特性を効果的に制御することができる。
【0207】
次に、酸化物半導体層620にゲート電極層601、第1のソース電極層625a、第1
のドレイン電極層625b、第2のソース電極層635a、及び第2のドレイン電極層6
35bをマスクとして酸素欠陥誘起因子630を選択的に導入し、チャネル形成領域61
3、酸素欠陥誘起因子含有領域631a、631b、酸素欠陥誘起因子非導入領域611
a、611bを形成する(図12(C)参照)。例えば、酸素欠陥誘起因子含有領域63
1a、631bに含まれる酸素欠陥誘起因子630の濃度は、1×1018atoms/
cm3程度とすればよい。
【0208】
酸化物半導体層620に、選択的に酸素欠陥誘起因子630を導入することによって、該
導入領域において酸素欠陥を効果的に誘起する。酸素欠陥はドナーとして機能するため、
選択的に低抵抗化した酸素欠陥誘起因子含有領域631a、631bを有する酸化物半導
体層を形成することができる。
【0209】
ゲート電極層601と重なる領域は、酸素欠陥誘起因子630が導入されずチャネル形成
領域613となる。
【0210】
酸素欠陥誘起因子非導入領域611a、611bには、酸素欠陥誘起因子630は導入さ
れないが、上記窒素、または希ガス等の不活性ガス雰囲気下で脱水化または脱水素化のた
めの第1の加熱処理によってn型化しているため、n型の低抵抗領域である。従って、酸
化物半導体層と、第1のソース電極層625a、又は第1のドレイン電極層625bとは
、n型の低抵抗領域を介して接続することができる。
【0211】
次いで、チャネル形成領域613、酸素欠陥誘起因子含有領域631a、631b、酸素
欠陥誘起因子非導入領域611a、611bを含む酸化物半導体層、第1のソース電極層
625a、第1のドレイン電極層625b、第2のソース電極層635a、第2のドレイ
ン電極層635b、ゲート絶縁層602、ゲート電極層601を覆う絶縁層609を形成
する。
【0212】
次に、酸化物半導体層の酸素欠陥誘起因子含有領域631a、631bに酸素欠陥誘起因
子632を導入し、低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域615a、615b、ソース領域6
14a、ドレイン領域614b、チャネル形成領域613、酸素欠陥誘起因子非導入領域
611a、611bを含む酸化物半導体層633を形成する(図12(D)参照)。例え
ば、ソース領域614a、ドレイン領域614bに含まれる酸素欠陥誘起因子632の濃
度は、1×1019atoms/cm3以上1×1021atoms/cm3以下とすれ
ばよい。
【0213】
また、ゲート電極層601の側面に設けられた絶縁層609もマスクとなるので、ゲート
電極層601及び側面に設けられた絶縁層609と重なる酸化物半導体層620への酸素
欠陥誘起因子632の導入は阻害され、低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域615a、61
5bとなる。特に、本実施の形態では、ゲート電極層601の膜厚が厚いため、酸化物半
導体層620への酸素欠陥誘起因子632の導入はより阻害される。
【0214】
なお、チャネル形成領域613に酸素欠陥誘起因子の導入処理を行う場合は、チャネル形
成領域613に含まれる酸素欠陥誘起因子の濃度を、低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域6
15a、615b、ソース領域614a及びドレイン領域614bより低濃度とする。本
実施の形態のようにソース領域614a及びドレイン領域614bに含まれる酸素欠陥誘
起因子の濃度が1×1019atoms/cm3以上1×1021atoms/cm3以
下、低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域615a、615bに含まれる酸素欠陥誘起因子の
濃度が、1×1018atoms/cm3程度であれば、例えば、チャネル形成領域61
3の濃度は1×1014atoms/cm3未満とすればよい。
【0215】
以上の工程でトランジスタ640を作製することができる(図12(E)参照)。
【0216】
図13(C)に示すトランジスタ650は、ゲート絶縁層がゲート電極層601と重なる
領域以外は除去されており、島状のゲート絶縁層604である。よって、絶縁層609は
酸化物半導体層633の低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域615a、615b、ソース領
域614a、ドレイン領域614b、第1のソース電極層625a、第1のドレイン電極
層625b、第2のソース電極層635a、第2のドレイン電極層635b、及びゲート
電極層601と接して設けられている。
【0217】
トランジスタ640と同様に、図12(C)の工程まで行った後、ゲート電極層601を
マスクとして、ゲート絶縁層をエッチングし、島状のゲート絶縁層604を形成する(図
13(A)参照)。
【0218】
なお、ゲート絶縁層のエッチングは酸素欠陥誘起因子含有領域631a、631bを形成
する酸素欠陥誘起因子の導入処理前に行ってもよい。この場合、酸素欠陥誘起因子は露出
された酸化物半導体層620に直接導入されることとなる。
【0219】
次いで、チャネル形成領域613、酸素欠陥誘起因子含有領域631a、631b、酸素
欠陥誘起因子非導入領域611a、611bを含む酸化物半導体層、第1のソース電極層
625a、第1のドレイン電極層625b、第2のソース電極層635a、第2のドレイ
ン電極層635b、ゲート絶縁層604、ゲート電極層601を覆う絶縁層609を形成
する。図13においては酸化物半導体層633における酸素欠陥誘起因子含有領域631
a、631b上のゲート絶縁層は除去されているので、絶縁層609は露出された酸素欠
陥誘起因子含有領域631a、631bと接して形成される。
【0220】
次に、酸化物半導体層の酸素欠陥誘起因子含有領域631a、631bに酸素欠陥誘起因
子636を導入し、低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域615a、615b、ソース領域6
14a、ドレイン領域614b、チャネル形成領域613、酸素欠陥誘起因子非導入領域
611a、611bを含む酸化物半導体層633を形成する(図13(B)参照)。例え
ば、ソース領域614a、ドレイン領域614bに含まれる酸素欠陥誘起因子636の濃
度は、1×1019atoms/cm3以上1×1021atoms/cm3以下とすれ
ばよい。
【0221】
また、ゲート電極層601の側面に設けられた絶縁層609もマスクとなるので、ゲート
電極層601及び側面に設けられた絶縁層609と重なる酸化物半導体層620への酸素
欠陥誘起因子636の導入は阻害され、低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域615a、61
5bとなる。特に、本実施の形態では、ゲート電極層601の膜厚が厚く、さらにゲート
絶縁層604も形成されているため、酸化物半導体層620への酸素欠陥誘起因子636
の導入はより阻害される。
【0222】
以上の工程でトランジスタ650を作製することができる。
【0223】
酸素欠陥誘起因子630、632、636としては、チタン(Ti)、タングステン(W
)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、イ
ンジウム(In)、シリコン(Si)、ボロン(B)のいずれか一または複数から選択さ
れた元素を用いることができる。さらに、上記酸素欠陥誘起因子に加えて、水素、又は\
及び窒素を用いてもよい。なお、酸素欠陥誘起因子630、632、636としては、酸
素親和性の高い金属元素を用いるとより好ましい。
【0224】
以上のように、酸素欠陥誘起因子の導入により低抵抗化された低濃度酸素欠陥誘起因子含
有領域615a、615b、高濃度酸素欠陥誘起因子含有領域であるソース領域614a
及びドレイン領域614bを有する酸化物半導体層633を有するトランジスタ640、
650は、酸化物半導体層633と第1のソース電極層625a、第1のドレイン電極層
625bとのコンタクト抵抗が低減できるため、オン特性(例えば、オン電流や電界効果
移動度)が向上する。よって、電気特性が高いトランジスタとすることが可能となる。
【0225】
電気特性が高いトランジスタは、高速応答及び高速駆動が可能なため、該トランジスタを
有することで高機能な半導体装置とすることができる。
【0226】
さらに、導電性を段階的に変化させた酸化物半導体層を有することで、トランジスタの電
界集中を抑制でき局所的な高電界の印加を防げるため、トランジスタの耐圧が向上し、半
導体装置に高い信頼性を付与することができる。
【0227】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0228】
(実施の形態5)
半導体装置及び半導体装置の作製方法を図4を用いて説明する。なお、実施の形態1また
は実施の形態2と同一部分または同様な機能を有する部分、及び工程は、実施の形態1ま
たは実施の形態2と同様に行うことができ、繰り返しの説明は省略する。
【0229】
まず、基板400上に、絶縁層407を形成する。そして、絶縁層407上に第1の酸化
物半導体層を成膜し、第1の加熱処理によって少なくとも第1の酸化物半導体層の表面を
含む領域を結晶化させて、第1の酸化物半導体層450aを形成する(図4(A)参照)
【0230】
絶縁層407上に形成される第1の酸化物半導体層450aは、三元系金属の酸化物であ
り、化学式InMXZnYOZ(Y=0.5~5)で表現される酸化物半導体材料を用い
ても良い。ここで、Mは、ガリウム(Ga)やアルミニウム(Al)やボロン(B)など
の13族元素から選択される一または複数種類の元素を表す。なお、Zn、及びOの含有
量は任意であり、Mの含有量がゼロ(即ち、X=0)の場合を含む。一方、InおよびZ
nの含有量はゼロではない。すなわち、上述の表記には、In-Ga-Zn-OやIn-
Zn-Oなどが含まれる。
【0231】
また、第1の酸化物半導体層450aとして他にも四元系金属の酸化物であるIn-Sn
-Ga-Zn-O系や、三元系金属の酸化物であるIn-Sn-Zn-O系、Sn-Ga
-Zn-O系、Al-Ga-Zn-O系、Sn-Al-Zn-O系や、二元系金属の酸化
物であるSn-Zn-O系、Al-Zn-O系、Zn-Mg-O系、Sn-Mg-O系、
In-Mg-O系や、In-O系、Sn-O系、Zn-O系などを用いることもできる。
【0232】
本実施の形態では、第1の酸化物半導体層450aを、In-Ga-Zn-O系の酸化物
半導体ターゲットを用いて、スパッタリング法により形成することとする。
【0233】
酸化物半導体ターゲット中の酸化物半導体の相対密度は80%以上、好ましくは95%以
上、さらに好ましくは99.9%以上とする。相対密度の高い酸化物半導体ターゲットを
用いることにより、緻密な第1の酸化物半導体層450aが形成される。また、本実施の
形態では、後に加熱処理を行い第1の酸化物半導体層450aを意図的に結晶化させるた
め、結晶化が生じやすい酸化物半導体ターゲットを用いることが好ましい。
【0234】
第1の酸化物半導体層450aの形成雰囲気は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気、
酸素雰囲気、または、希ガス(代表的にはアルゴン)と酸素との混合雰囲気とするのが好
適である。具体的には、例えば、水素、水、水酸基、水素化物などの不純物が除去された
高純度ガス雰囲気を用いるのが好適である。
【0235】
第1の酸化物半導体層450aの形成の際には、例えば、減圧状態に保持された処理室内
に基板を保持し、基板温度を200℃以上600℃以下にする。そして、処理室内の残留
水分を除去しつつ水素および水が除去されたスパッタガスを導入し、金属酸化物をターゲ
ットとして第1の酸化物半導体層450aを形成する。基板を熱しながら第1の酸化物半
導体層450aを形成することにより、第1の酸化物半導体層450aに含まれる不純物
を低減することができる。また、スパッタリングによる損傷が軽減される。第1の酸化物
半導体層450aの成膜を行う前、または成膜中、または成膜後に、スパッタ装置に残存
している水分などを除去することが好ましい。処理室内の残留水分を除去するためには、
クライオポンプなどの吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。クライオポンプを用
いて排気した処理室は、水素や水などが除去されているため、第1の酸化物半導体層45
0aの不純物濃度を低減できる。
【0236】
なお、第1の酸化物半導体層450aの成膜を行う前、スパッタ装置に残存している水分
などを除去するためにプリヒート処理を行うと良い。プリヒート処理としては成膜チャン
バー内を減圧下で200℃以上600℃以下に加熱する方法や、加熱しながら窒素や不活
性ガスの導入と排気を繰り返す方法等がある。プリヒート処理を終えたら、基板またはス
パッタ装置を冷却した後、大気にふれることなく酸化物半導体層の成膜を行う。この場合
のターゲット冷却液は、水ではなく油脂等を用いるとよい。加熱せずに窒素の導入と排気
を繰り返しても一定の効果が得られるが、加熱しながら行うとなお良い。
【0237】
第1の酸化物半導体層450aの形成条件としては、例えば、基板とターゲットの間との
距離が170mm、圧力が0.4Pa、直流(DC)電力が0.5kW、雰囲気が酸素雰
囲気、といった条件を適用することができる。なお、パルス直流(DC)電源を用いると
、ごみ(成膜時に形成される粉状もしくはフレーク状の物質)が軽減でき、膜厚分布も均
一となるため好ましい。第1の酸化物半導体層450aの厚さは、3nm以上15nm以
下とするのが好ましく、本実施の形態では一例として5nmとする。ただし、適用する酸
化物半導体材料や用途などにより適切な厚さは異なるから、その厚さは、用いる材料や用
途などに応じて選択すればよい。
【0238】
第1の加熱処理の温度は、450℃以上850℃以下、好ましくは550℃以上750℃
以下とする。また、加熱時間は1分以上24時間以下とする。本実施の形態では、第1の
加熱処理として、窒素雰囲気下で700℃、1時間の熱処理を行い、脱水化または脱水素
化が行われた後、雰囲気を切り替えて酸素雰囲気にすることで第1の酸化物半導体層45
0a内部に酸素を供給する。また、この第1の加熱処理により、第1の酸化物半導体層4
50a中の水(水酸基を含む)や水素などを除去することができる。
【0239】
なお、第1の加熱処理においては、窒素、酸素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の
希ガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する
窒素、酸素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.99
99%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1pp
m以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。また、H2Oが20pp
m以下の超乾燥空気中で、さらに好ましくは、H2Oが1ppm以下の超乾燥空気中で、
第1の加熱処理を行っても良い。このような第1の加熱処理によって第1の酸化物半導体
層450a中の水(水酸基を含む)や水素などを除去することができる。
【0240】
第1の加熱処理によって少なくとも表面を含む領域に結晶領域(非単結晶領域)を有する
第1の酸化物半導体層450aを形成する。表面を含む領域に形成される結晶領域は、表
面から内部に向かって結晶成長することで形成される。当該結晶領域は、平均厚さが2n
m以上10nm以下の板状結晶である。また、当該結晶領域は、該表面に対して略垂直な
方向にc軸が配向する結晶を有する領域である。ここで、略垂直とは、垂直方向から-1
0°以内または垂直方向から+10°以内の状態を言うものとする。
【0241】
なお、第1の加熱処理に用いる加熱処理装置は特に限られず、抵抗発熱体などの発熱体か
らの熱伝導または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置などを用いることができる。
【0242】
次に、少なくとも表面を含む領域に結晶領域を有する第1の酸化物半導体層450a上に
、第2の酸化物半導体層454を形成する(図4(B)参照)。
【0243】
第2の酸化物半導体層454は、第1の酸化物半導体層450aと同様に、四元系金属の
酸化物であるIn-Sn-Ga-Zn-O系や、三元系金属の酸化物であるIn-Ga-
Zn-O系、In-Sn-Zn-O系、In-Al-Zn-O系、Sn-Ga-Zn-O
系、Al-Ga-Zn-O系、Sn-Al-Zn-O系や、二元系金属の酸化物であるI
n-Zn-O系、Sn-Zn-O系、Al-Zn-O系、Zn-Mg-O系、Sn-Mg
-O系、In-Mg-O系や、In-O系、Sn-O系、Zn-O系などの酸化物半導体
を用いて形成することができる。
【0244】
なお、第2の酸化物半導体層454は、第1の酸化物半導体層450aと同一主成分の材
料を用いること、あるいは同一の結晶構造かつ近接した格子定数(ミスマッチが1%以下
)を有することが好ましい。または異なる主成分の材料を用いて形成しても良い。
【0245】
同一主成分の材料を用いる場合、後に行われる第2の酸化物半導体層454の結晶化にお
いて、第1の酸化物半導体層450aの結晶領域を種として結晶成長を行いやすくなる。
また、実質的な膜厚を増加させることができるため、パワーデバイスなどの用途には好適
である。さらに、同一主成分材料である場合には、密着性などの界面物性や電気的特性も
良好である。
【0246】
本実施の形態では、第2の酸化物半導体層454を、In-Ga-Zn-O系の酸化物半
導体ターゲットを用いて、スパッタリング法により成膜する。第2の酸化物半導体層45
4のスパッタリング法による成膜は、上述した第1の酸化物半導体層450aのスパッタ
リング法による成膜と同様に行えばよい。ただし、第2の酸化物半導体層454の厚さは
、第1の酸化物半導体層450aの厚さより厚くすることが好ましい。また、第1の酸化
物半導体層450aと第2の酸化物半導体層454の厚さの和が3nm以上50nm以下
となるように、第2の酸化物半導体層454を形成することが好ましい。なお、適用する
酸化物半導体材料や用途などにより適切な厚さは異なるから、その厚さは、用いる材料や
用途などに応じて選択すればよい。
【0247】
次に、第2の酸化物半導体層454に第2の加熱処理を行い、第1の酸化物半導体層45
0aの結晶領域を種として結晶成長させて、第2の酸化物半導体層450bを形成する(
図4(C)参照)。
【0248】
第2の加熱処理の温度は、450℃以上850℃以下、好ましくは600℃以上700℃
以下とする。第2の加熱処理の加熱時間は1分以上400時間以下とし、好ましくは5時
間以上20時間以下とし、代表的には10時間とする。
【0249】
なお、第2の加熱処理においても、窒素、酸素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の
希ガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する
窒素、酸素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N以上、好まし
くは7N以上、とすることが好ましい。また、H2Oが20ppm以下の超乾燥空気中で
、さらに好ましくは、H2Oが1ppm以下の超乾燥空気中で、第2の加熱処理を行って
も良い。このような第2の加熱処理によって第2の酸化物半導体層450b中の水(水酸
基を含む)や水素などを除去することができる。よって不純物を低減して高純度化し、i
型化または実質的にi型化された第1の酸化物半導体層450a及び第2の酸化物半導体
層450bを形成できる。
【0250】
また、第2の加熱処理の昇温時には炉の内部を窒素雰囲気とし、冷却時には炉の内部を酸
素雰囲気として雰囲気を切り替えてもよく、窒素雰囲気で結晶化(この工程は脱水化また
は脱水素化も兼ねる)が行われた後、雰囲気を切り替えて酸素雰囲気にすることで第2の
酸化物半導体層450b内部に酸素を供給することができる。
【0251】
このように、第2の加熱処理を行うことにより、第2の酸化物半導体層454と第1の酸
化物半導体層450aの界面に形成された結晶領域から第2の酸化物半導体層454全体
を結晶化させ、第2の酸化物半導体層450bを形成することができる。また、第2の加
熱処理によって、さらに高い配向性を有する結晶層からなる第1の酸化物半導体層450
aとすることができる。
【0252】
例えば、In-Ga-Zn-O系の酸化物半導体材料を第2の酸化物半導体層450bに
用いる場合、InGaO3(ZnO)m(m>0、ただしmは自然数に限らない)で表さ
れる結晶や、In2Ga2ZnO7(In:Ga:Zn:O=2:2:1:7)で表され
る結晶などを含み得る。このような結晶は、第2の加熱処理によって、そのc軸が、第1
の酸化物半導体層450a及び第2の酸化物半導体層450bの表面と略垂直な方向をと
るように配向する。
【0253】
ここで、上述の結晶は、In、Ga、Znのいずれかを含有し、a軸(a-axis)お
よびb軸(b-axis)に平行なレイヤーの積層構造として捉えることができる。具体
的には、上述の結晶は、Inを含有するレイヤーと、Inを含有しないレイヤー(Gaま
たはZnを含有するレイヤー)が、c軸方向に積層された構造を有する。
【0254】
In-Ga-Zn-O系の酸化物半導体結晶では、Inを含有するレイヤーの、a軸およ
びb軸に平行な方向に関する導電性は良好である。これは、In-Ga-Zn-O系の酸
化物半導体結晶では電気伝導が主としてInによって制御されること、および、一のIn
の5s軌道が、隣接するInの5s軌道と重なりを有することにより、キャリアパスが形
成されることによる。
【0255】
また、第1の酸化物半導体層450aが絶縁層407との界面に非晶質領域を有するよう
な構造の場合、第2の加熱処理を行うことにより、第1の酸化物半導体層450aの表面
に形成されている結晶領域から第1の酸化物半導体層の下面に向かって結晶成長が行われ
、該非晶質領域が結晶化される場合もある。なお、絶縁層407を構成する材料や、熱処
理の条件などによっては、該非晶質領域が残存する場合もある。
【0256】
第1の酸化物半導体層450aと第2の酸化物半導体層454とに同一主成分の酸化物半
導体材料を用いる場合、図4(C)に示すように、第1の酸化物半導体層450aを結晶
成長の種として、第2の酸化物半導体層454の表面に向かって上方に結晶成長し、第2
の酸化物半導体層450bが形成され、第1の酸化物半導体層450aと、第2の酸化物
半導体層450bとが、同一結晶構造を有する。そのため、図4(C)では点線で示した
が、第1の酸化物半導体層450aと第2の酸化物半導体層450bの境界が判別できな
くなり、第1の酸化物半導体層450aと第2の酸化物半導体層450bを同一の層と見
なせることもある。
【0257】
なお、第2の加熱処理に用いる加熱処理装置も第1の加熱処理と同様の条件で用いること
ができる。
【0258】
次に、マスクを用いたエッチングなどの方法によって第1の酸化物半導体層450a及び
第2の酸化物半導体層450bを島状に加工し、島状の酸化物半導体層450を形成する
図4(D)参照)。
【0259】
形成した島状の酸化物半導体層450を用いて、実施の形態1乃至3で示した作製方法と
組み合わせて、本発明の一態様にかかるトランジスタを形成することができる。
【0260】
本実施の形態で示すように、酸化物半導体層を2回に分けて成膜し、2回に分けて加熱処
理を行うことで、下地部材の材料が、酸化物、窒化物、金属など材料を問わず、膜厚の厚
い結晶領域(非単結晶領域)、即ち、膜表面に垂直にc軸配向した結晶領域を得ることが
できる。なお、一般的なシリコン半導体を用いる場合には、イオン注入後は結晶構造が崩
れて、抵抗率が著しく高くなるため、加熱処理によって結晶性を回復させる必要があった
。本実施の形態においても、酸素欠陥誘起因子がイオン注入された部分の酸化物半導体は
結晶構造が崩れ、アモルファス状態となる。しかしながら、酸化物半導体においては、ア
モルファス状態であっても、キャリアが十分にあれば必要な導電性は得られるため、イオ
ン注入後のアニールは不要である。
【0261】
このような、結晶領域を有する酸化物半導体層を用いたトランジスタは、高い電界効果移
動度等の高いオン特性を実現することができる。また、オフ電流が低いトランジスタを実
現することができる。
【0262】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
【0263】
(実施の形態6)
上記実施の形態1乃至5で一例を示したトランジスタを画素部、さらには駆動回路に用い
て、表示機能を有する半導体装置(表示装置ともいう)を作製することができる。また、
トランジスタを駆動回路の一部または全体を、画素部と同じ基板上に一体形成し、システ
ムオンパネルを形成することができる。
【0264】
実施の形態1乃至5で一例を示したトランジスタを用いて様々な表示素子を有する表示装
置を提供することができる。表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう)、発光
素子(発光表示素子ともいう)を用いることができる。発光素子は、電流または電圧によ
って輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Electr
o Luminescence)、有機EL等が含まれる。また、電子インクなど、電気
的作用によりコントラストが変化する表示媒体も適用することができる。
【0265】
図5(A)において、第1の基板4001上に設けられた画素部4002を囲むようにし
て、シール材4005が設けられ、第2の基板4006によって封止されている。図5
A)においては、第1の基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域と
は異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜で形成され
た走査線駆動回路4004、信号線駆動回路4003が実装されている。また別途形成さ
れた信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004または画素部4002に与えら
れる各種信号及び電位は、FPC(Flexible printed circuit
)4018a、4018bから供給されている。
【0266】
図5(B)及び図5(C)において、第1の基板4001上に設けられた画素部4002
と、走査線駆動回路4004とを囲むようにして、シール材4005が設けられている。
また画素部4002と、走査線駆動回路4004の上に第2の基板4006が設けられて
いる。よって画素部4002と、走査線駆動回路4004とは、第1の基板4001とシ
ール材4005と第2の基板4006とによって、表示素子と共に封止されている。図5
(B)及び図5(C)においては、第1の基板4001上のシール材4005によって囲
まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半
導体膜で形成された信号線駆動回路4003が実装されている。図5(B)及び図5(C
)においては、別途形成された信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004また
は画素部4002に与えられる各種信号及び電位は、FPC4018から供給されている
【0267】
また図5(B)及び図5(C)においては、信号線駆動回路4003を別途形成し、第1
の基板4001に実装している例を示しているが、この構成に限定されない。走査線駆動
回路を別途形成して実装しても良いし、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一
部のみを別途形成して実装しても良い。
【0268】
なお、別途形成した駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG(Ch
ip On Glass)方法、ワイヤボンディング方法、或いはTAB(Tape A
utomated Bonding)方法などを用いることができる。図5(A)は、C
OG方法により信号線駆動回路4003、走査線駆動回路4004を実装する例であり、
図5(B)は、COG方法により信号線駆動回路4003を実装する例であり、図5(C
)は、TAB方法により信号線駆動回路4003を実装する例である。
【0269】
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラ
を含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。
【0270】
なお、本明細書中における表示装置とは、画像表示デバイス、表示デバイス、もしくは光
源(照明装置含む)を指す。また、コネクター、例えばFPCもしくはTABテープもし
くはTCPが取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が
設けられたモジュール、または表示素子にCOG方式によりIC(集積回路)が直接実装
されたモジュールも全て表示装置に含むものとする。
【0271】
また第1の基板4001上に設けられた画素部4002及び走査線駆動回路4004は、
トランジスタを複数有しており、該トランジスタとして、実施の形態1乃至5で一例を示
したトランジスタを適用することができる。
【0272】
表示素子として、液晶素子を用いる場合、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液
晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いる。これらの液晶材料は
、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチッ
ク相、等方相等を示す。
【0273】
また、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つで
あり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直
前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善
するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を用いて液晶層に用いる。
ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が1msec以下と短
く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜
を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こ
される静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減す
ることができる。よって液晶表示装置の生産性を向上させることが可能となる。酸化物半
導体層を用いるトランジスタは、静電気の影響によりトランジスタの電気的な特性が著し
く変動して設計範囲を逸脱する恐れがある。よって酸化物半導体層を用いるトランジスタ
を有する液晶表示装置にブルー相の液晶材料を用いることはより効果的である。
【0274】
また、液晶材料の固有抵抗は、1×109Ω・cm以上であり、好ましくは1×1011
Ω・cm以上であり、さらに好ましくは1×1012Ω・cm以上である。なお、本明細
書における固有抵抗の値は、20℃で測定した値とする。
【0275】
液晶表示装置に設けられる保持容量の大きさは、画素部に配置されるトランジスタのリー
ク電流等を考慮して、所定の期間電荷を保持できるように設定される。保持容量の大きさ
は、トランジスタのオフ電流等を考慮して設定すればよい。実施の形態4及び実施の形態
5に示す高純度の酸化物半導体層を有するトランジスタを用いることにより、各画素にお
ける液晶容量に対して1/3以下、好ましくは1/5以下の容量の大きさを有する保持容
量を設ければ充分である。
【0276】
液晶表示装置には、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In-P
lane-Switching)モード、FFS(Fringe Field Swit
ching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned
Micro-cell)モード、OCB(Optical Compensated B
irefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liqui
d Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liq
uid Crystal)モードなどを用いる。
【0277】
また、ノーマリーブラック型の液晶表示装置、例えば垂直配向(VA)モードを採用した
透過型の液晶表示装置としてもよい。垂直配向モードとしては、いくつか挙げられるが、
例えば、MVA(Multi-Domain Vertical Alignment)
モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード
、ASVモードなどを用いることができる。
【0278】
また、VA型の液晶表示装置にも適用することができる。VA型の液晶表示装置とは、液
晶表示パネルの液晶分子の配列を制御する方式の一種である。VA型の液晶表示装置は、
電圧が印加されていないときにパネル面に対して液晶分子が垂直方向を向く方式である。
また、画素(ピクセル)をいくつかの領域(サブピクセル)に分け、それぞれ別の方向に
分子を倒すよう工夫されているマルチドメイン化あるいはマルチドメイン設計といわれる
方法を用いることができる。
【0279】
また、表示装置において、ブラックマトリクス(遮光層)、偏光部材、位相差部材、反射
防止部材などの光学部材(光学基板)などは適宜設ける。例えば、偏光基板及び位相差基
板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライト、サイドライトなどを用
いてもよい。
【0280】
また、画素部における表示方式は、プログレッシブ方式やインターレース方式等を用いる
ことができる。また、カラー表示する際に画素で制御する色要素としては、RGB(Rは
赤、Gは緑、Bは青を表す)の三色に限定されない。例えば、RGBW(Wは白を表す)
、又はRGBに、イエロー、シアン、マゼンタ等を一色以上追加したものがある。なお、
色要素のドット毎にその表示領域の大きさが異なっていてもよい。ただし、本発明はカラ
ー表示の表示装置に限定されるものではなく、モノクロ表示の表示装置に適用することも
できる。
【0281】
また、表示装置に含まれる表示素子として、エレクトロルミネッセンスを利用する発光素
子を適用することができる。エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子は、発光材料
が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機E
L素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0282】
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子および正孔
がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャ
リア(電子および正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成
し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このよう
な発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0283】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分
類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有
するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー-ア
クセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み、
さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利
用する局在型発光である。
【0284】
また、表示装置として、電子インクを駆動させる電子ペーパーを提供することも可能であ
る。電子ペーパーは、電気泳動表示装置(電気泳動ディスプレイ)とも呼ばれており、紙
と同じ読みやすさ、他の表示装置に比べ低消費電力、薄くて軽い形状とすることが可能と
いう利点を有している。
【0285】
電気泳動表示装置は、様々な形態が考えられ得るが、プラスの電荷を有する第1の粒子と
、マイナスの電荷を有する第2の粒子とを含むマイクロカプセルが溶媒または溶質に複数
分散されたものであり、マイクロカプセルに電界を印加することによって、マイクロカプ
セル中の粒子を互いに反対方向に移動させて一方側に集合した粒子の色のみを表示するも
のである。なお、第1の粒子または第2の粒子は染料を含み、電界がない場合において移
動しないものである。また、第1の粒子の色と第2の粒子の色は異なるもの(無色を含む
)とする。
【0286】
このように、電気泳動表示装置は、誘電定数の高い物質が高い電界領域に移動する、いわ
ゆる誘電泳動的効果を利用したディスプレイである。
【0287】
上記マイクロカプセルを溶媒中に分散させたものが電子インクと呼ばれるものであり、こ
の電子インクはガラス、プラスチック、布、紙などの表面に印刷することができる。また
、カラーフィルタや色素を有する粒子を用いることによってカラー表示も可能である。
【0288】
なお、マイクロカプセル中の第1の粒子および第2の粒子は、導電体材料、絶縁体材料、
半導体材料、磁性材料、液晶材料、強誘電性材料、エレクトロルミネセント材料、エレク
トロクロミック材料、磁気泳動材料から選ばれた一種の材料、またはこれらの複合材料を
用いればよい。
【0289】
また、電子ペーパーとして、ツイストボール表示方式を用いる表示装置も適用することが
できる。ツイストボール表示方式とは、白と黒に塗り分けられた球形粒子を表示素子に用
いる電極層である第1の電極層及び第2の電極層の間に配置し、第1の電極層及び第2の
電極層に電位差を生じさせての球形粒子の向きを制御することにより、表示を行う方法で
ある。
【0290】
以上に一例を示す表示装置に、実施の形態1乃至5で示したトランジスタを適用すること
で、様々な機能を有する表示装置を提供することができる。
【0291】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0292】
(実施の形態7)
本明細書に開示する半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用すること
ができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン
受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメ
ラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型
ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられ
る。
【0293】
図6(A)は、実施の形態1乃至6のいずれかで示した半導体装置を少なくとも一部品と
して実装して作製したノート型のパーソナルコンピュータであり、本体3001、筐体3
002、表示部3003、キーボード3004などによって構成されている。
【0294】
図6(B)は、実施の形態1乃至6のいずれかで示した半導体装置を少なくとも一部品と
して実装して作製した携帯情報端末(PDA)であり、本体3021には表示部3023
と、外部インターフェイス3025と、操作ボタン3024等が設けられている。また操
作用の付属品としてスタイラス3022がある。
【0295】
また、実施の形態1乃至6のいずれかで示した半導体装置は、電子ペーパーとして適用す
ることができる。図6(C)は該電子ペーパーを一部品として実装して作製した電子書籍
である。図6(C)は、電子書籍の一例を示している。例えば、電子書籍2700は、筐
体2701および筐体2703の2つの筐体で構成されている。筐体2701および筐体
2703は、軸部2711により一体とされており、該軸部2711を軸として開閉動作
を行うことができる。このような構成により、紙の書籍のような動作を行うことが可能と
なる。
【0296】
筐体2701には表示部2705が組み込まれ、筐体2703には表示部2707が組み
込まれている。表示部2705および表示部2707は、続き画面を表示する構成として
もよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とするこ
とで、例えば右側の表示部(図6(C)では表示部2705)に文章を表示し、左側の表
示部(図6(C)では表示部2707)に画像を表示することができる。
【0297】
また、図6(C)では、筐体2701に操作部などを備えた例を示している。例えば、筐
体2701において、電源2721、操作キー2723、スピーカー2725などを備え
ている。操作キー2723により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面
にキーボードやポインティングデバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の裏
面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子など)、記録媒体挿入部などを
備える構成としてもよい。さらに、電子書籍2700は、電子辞書としての機能を持たせ
た構成としてもよい。
【0298】
また、電子書籍2700は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、
電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすること
も可能である。
【0299】
図6(D)は、実施の形態1乃至6のいずれかで示した半導体装置を少なくとも一部品と
して実装して作製した携帯電話であり、筐体2800及び筐体2801の二つの筐体で構
成されている。筐体2801には、表示パネル2802、スピーカー2803、マイクロ
フォン2804、ポインティングデバイス2806、カメラ用レンズ2807、外部接続
端子2808などを備えている。また、筐体2800には、携帯型情報端末の充電を行う
太陽電池セル2810、外部メモリスロット2811などを備えている。また、アンテナ
は筐体2801内部に内蔵されている。
【0300】
また、表示パネル2802はタッチパネルを備えており、図6(D)には映像表示されて
いる複数の操作キー2805を点線で示している。なお、太陽電池セル2810で出力さ
れる電圧を各回路に必要な電圧に昇圧するための昇圧回路も実装している。
【0301】
表示パネル2802は、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。また、表示パネル
2802と同一面上にカメラ用レンズ2807を備えているため、テレビ電話が可能であ
る。スピーカー2803及びマイクロフォン2804は音声通話に限らず、テレビ電話、
録音、再生などが可能である。さらに、筐体2800と筐体2801は、スライドし、図
6(D)のように展開している状態から重なり合った状態とすることができ、携帯に適し
た小型化が可能である。
【0302】
外部接続端子2808はACアダプタ及びUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能
であり、充電及びパーソナルコンピュータなどとのデータ通信が可能である。また、外部
メモリスロット2811に記録媒体を挿入し、より大量のデータ保存及び移動に対応でき
る。
【0303】
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能などを備えたものであっても
よい。
【0304】
図6(E)は実施の形態1乃至6のいずれかで示した半導体装置を少なくとも一部品とし
て実装して作製したデジタルビデオカメラであり、本体3051、表示部(A)3057
、接眼部3053、操作スイッチ3054、表示部(B)3055、バッテリー3056
などによって構成されている。
【0305】
図6(F)は、実施の形態1乃至6のいずれかで示した半導体装置を少なくとも一部品と
して実装したテレビジョン装置9600の一例を示している。テレビジョン装置9600
は、筐体9601に表示部9603が組み込まれている。表示部9603により、映像を
表示することが可能である。また、ここでは、スタンド9605により筐体9601を支
持した構成を示している。
【0306】
テレビジョン装置9600の操作は、筐体9601が備える操作スイッチや、別体のリモ
コン操作機により行うことができる。また、リモコン操作機に、当該リモコン操作機から
出力する情報を表示する表示部を設ける構成としてもよい。
【0307】
なお、テレビジョン装置9600は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機に
より一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線に
よる通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向
(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0308】
本実施の形態は、実施の形態1乃至6と自由に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0309】
400 基板
401 ゲート電極層
402 ゲート絶縁層
403 酸化物半導体層
405a ソース電極層
405b ドレイン電極層
407 絶縁層
409 絶縁層
410 トランジスタ
411 絶縁層
413 チャネル形成領域
414a ソース領域
414b ドレイン領域
415a 低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域
415b 低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域
420 酸化物半導体層
421 酸素欠陥誘起因子
430 酸素欠陥誘起因子
431a 酸素欠陥誘起因子含有領域
431b 酸素欠陥誘起因子含有領域
432 酸素欠陥誘起因子
433 酸化物半導体層
434 酸素欠陥誘起因子
440 トランジスタ
450 酸化物半導体層
450a 第1の酸化物半導体層
450b 第2の酸化物半導体層
454 第2の酸化物半導体層
500 基板
501 ゲート電極層
502 ゲート絶縁層
503 酸化物半導体層
507 絶縁層
510 トランジスタ
511a 酸素欠陥誘起因子非導入領域
511b 酸素欠陥誘起因子非導入領域
512a ソース領域
512b ドレイン領域
513 チャネル形成領域
520 酸化物半導体層
521 酸素欠陥誘起因子
545a 第2のソース電極層
545b 第2のドレイン電極層
555a 第1のソース電極層
555b 第1のドレイン電極層
600 基板
601 ゲート電極層
602 ゲート絶縁層
604 ゲート絶縁層
607 絶縁層
609 絶縁層
611a 酸素欠陥誘起因子非導入領域
611b 酸素欠陥誘起因子非導入領域
613 チャネル形成領域
614a ソース領域
614b ドレイン領域
615a 低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域
615b 低濃度酸素欠陥誘起因子含有領域
620 酸化物半導体層
625a 第1のソース電極層
625b 第1のドレイン電極層
630 酸素欠陥誘起因子
631a 酸素欠陥誘起因子含有領域
631b 酸素欠陥誘起因子含有領域
632 酸素欠陥誘起因子
633 酸化物半導体層
635a 第2のソース電極層
635b 第2のドレイン電極層
636 酸素欠陥誘起因子
640 トランジスタ
650 トランジスタ
2700 電子書籍
2701 筐体
2703 筐体
2705 表示部
2707 表示部
2711 軸部
2721 電源
2723 操作キー
2725 スピーカー
2800 筐体
2801 筐体
2802 表示パネル
2803 スピーカー
2804 マイクロフォン
2805 操作キー
2806 ポインティングデバイス
2807 カメラ用レンズ
2808 外部接続端子
2810 太陽電池セル
2811 外部メモリスロット
3001 本体
3002 筐体
3003 表示部
3004 キーボード
3021 本体
3022 スタイラス
3023 表示部
3024 操作ボタン
3025 外部インターフェイス
3051 本体
3053 接眼部
3054 操作スイッチ
3055 表示部(B)
3056 バッテリー
3057 表示部(A)
4001 第1の基板
4002 画素部
4003 信号線駆動回路
4004 走査線駆動回路
4005 シール材
4006 第2の基板
4018 FPC
4018a FPC
4018b FPC
9600 テレビジョン装置
9601 筐体
9603 表示部
9605 スタンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13