(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】センサシートおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20241129BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20241129BHJP
B32B 7/025 20190101ALI20241129BHJP
【FI】
G06F3/041 640
G06F3/041 490
G06F3/041 660
G06F3/044 122
B32B7/025
(21)【出願番号】P 2023103043
(22)【出願日】2023-06-23
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】浅川 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】宮島 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】北村 幸治
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-229036(JP,A)
【文献】特開2017-74099(JP,A)
【文献】特表2011-508424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
G06F 3/01
A61B 5/24
B32B 7/025
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明エラストマーからなる基材と、
前記基材の少なくとも一方の主面上に配置された透明導電層と、
前記透明導電層の周縁の少なくとも一部を覆うように、前記透明導電層上に配置された補助電極層と、
前記透明導電層上および前記補助電極層上に配置され、前記基材の平面視にて、前記透明導電層および前記補助電極層を覆う第1の透明絶縁層と、
前記基材における、前記透明導電層が配置された面とは反対側の面に配置された接着層と、を備え、
前記基材の少なくとも一方の主面の算術平均粗さ(Ra)は、0.5μm以上1.5μm以下であり、
前記透明導電層は、PEDOT-PSSを含有する導電インクによって形成され、
前記透明導電層の厚さは、前記基材の少なくとも一方の主面の十点平均粗さ(Rz)よりも大きく、かつ1μm以下であり、
前記基材と前記透明導電層の屈折率差は、0.2以下であり、
前記補助電極層は、非透明金属ペーストインクによって形成された、センサシート。
【請求項2】
前記基材と前記透明導電層の間に配置され、前記基材の平面視にて、前記透明導電層を覆う第2の透明絶縁層をさらに備え、
前記第2の透明絶縁層の厚さは、前記基材の少なくとも一方の主面の十点平均粗さ(Rz)よりも大きい、請求項1に記載のセンサシート。
【請求項3】
前記基材と前記接着層の間に配置され、前記基材の平面視にて、前記透明導電層および前記補助電極層を覆う第3の透明絶縁層をさらに備え、
前記第3の透明絶縁層の厚さは、前記基材の少なくとも一方の主面の十点平均粗さ(Rz)よりも大きい、請求項1に記載のセンサシート。
【請求項4】
前記第3の透明絶縁層と前記接着層の間に配置された意匠層をさらに備える、請求項3に記載のセンサシート。
【請求項5】
透明エラストマーからなる基材の少なくとも一方の主面に、メッシュスクリーン印刷またはメタル版印刷により、PEDOT-PSSを含有する導電インクによって透明導電層を形成する透明導電層形成工程と、
前記透明導電層の周縁の少なくとも一部を覆うように、前記透明導電層上に、非透明金属ペーストインクによって補助電極層を形成する補助電極層形成工程と、
前記透明導電層上および前記補助電極層上に、第1の透明絶縁材料によって、前記基材の平面視にて、前記透明導電層および前記補助電極層を覆う第1の透明絶縁層を形成する第1の透明絶縁層形成工程と、
前記基材における、前記透明導電層が配置された面とは反対側の面に、接着剤によって接着層を形成する接着層形成工程と、を備え、
前記透明導電層形成工程にて、メッシュスクリーン印刷で用いられるスクリーン印刷版のメッシュ数は80以上600以下であり、
前記透明導電層形成工程にて、メタル版印刷で用いられるメタル印刷版の板厚は5μm以下であり、
前記透明導電層形成工程にて、前記導電インクの印刷後に、前記スクリーン印刷版または前記メタル版印刷を、前記基材から剥がす版離れを行う、センサシートの製造方法。
【請求項6】
前記透明導電層形成工程の前に、さらに、前記基材と前記透明導電層の間に、前記基材の平面視にて、前記透明導電層を覆う第2の透明絶縁層を形成する第2の透明絶縁層形成工程を備える、請求項5に記載のセンサシートの製造方法。
【請求項7】
前記接着層形成工程の前に、さらに、前記基材における、前記透明導電層が配置された面とは反対側の面に、前記基材の平面視にて、前記透明導電層および前記補助電極層を覆う第3の透明絶縁層を形成する第3の透明絶縁層形成工程を備える、請求項5に記載のセンサシートの製造方法。
【請求項8】
前記接着層形成工程の前に、さらに、前記第3の透明絶縁層と前記接着層の間に意匠層を形成する意匠層形成工程を備える、請求項7に記載のセンサシートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサシートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(PET)等の透明基材上に、スクリーン印刷工法により、透明導電材料または非透明導電材料からなる細線メッシュ構造の電極を形成したセンサやヒータが知られている(例えば、特許文献1-4参照)。
【0003】
一方、高い意匠性を求めた筐体や、生体の表面またはロボットの表面等の三次元曲面構造に追随するセンサまたはヒータモジュールが求められている。しかしながら、これまでの技術を適用しただけでは、センサまたはヒータモジュールの基材の剛直性に起因する柔軟性に限界があり、センサまたはヒータモジュールは三次元曲面構造に十分に追随することができなかった。
【0004】
ポリエチレンテレフタレート(PET)等からなる透明基材上に、透明導電材料または非透明導電材料からなる細線メッシュ構造の電極を、スクリーン印刷工法により形成したセンサやヒータが知られている(例えば、特許文献1~4参照)。一方、高い意匠性を求めた筐体や、生体、ロボット表面等の三次元曲面構造に追随する、センサモジュールやヒータモジュール(以下、センサモジュールやヒータモジュールを「モジュール」と総称することもある。)が求められている。しかしながら、前記モジュールに従来の技術を適用すると、前記モジュールを構成する基材の剛直性に起因する柔軟性の限界があった。
【0005】
モジュールに柔軟性を付与するために、基材に透明エラストマーを用いた場合、以下の課題があった。
基材と電極に用いられる導電材料との硬度や伸縮性の違いから、モジュールは、応力負荷時に界面密着性が低下する。
スクリーン印刷時に、基材が版に密着して、版離れ機構が目的の通りに機能しないため、基材に対する印刷性が低下し、成膜品質が不良となる。
【0006】
電極に伸縮耐性を与えるための構造や、電極の製造方法も知られているが、層構成や工程が煩雑で透明性が低下する問題がある。また、電極に求められる性能が曲面追従性程度であり、数十%以上の繰り返し伸縮までは不要な場合には過剰品質であった(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-093253号公報
【文献】特開2016-157510号公報
【文献】特開2016-126913号公報
【文献】特開2022-074709号公報
【文献】特開2021-109371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、三次元曲面構造への追随性に優れるセンサシートおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]透明エラストマーからなる基材と、
前記基材の少なくとも一方の主面上に配置された透明導電層と、
前記透明導電層の周縁の少なくとも一部を覆うように、前記透明導電層上に配置された補助電極層と、
前記透明導電層上および前記補助電極層上に配置され、前記基材の平面視にて、前記透明導電層および前記補助電極層を覆う第1の透明絶縁層と、
前記基材における、前記透明導電層が配置された面とは反対側の面に配置された接着層と、を備え、
前記基材の少なくとも一方の主面の算術平均粗さ(Ra)は、0.5μm以上1.5μm以下であり、
前記透明導電層は、PEDOT-PSSを含有する導電インクによって形成され、
前記透明導電層の厚さは、前記基材の少なくとも一方の主面の十点平均粗さ(Rz)よりも大きく、かつ1μm以下であり、
前記基材と前記透明導電層の屈折率差は、0.2以下であり、
前記補助電極層は、非透明金属ペーストインクによって形成された、センサシート。
[2]前記基材と前記透明導電層の間に配置され、前記基材の平面視にて、前記透明導電層を覆う第2の透明絶縁層をさらに備え、
前記第2の透明絶縁層の厚さは、前記基材の少なくとも一方の主面の十点平均粗さ(Rz)よりも大きい、[1]に記載のセンサシート。
[3]前記基材と前記接着層の間に配置され、前記基材の平面視にて、前記透明導電層および前記補助電極層を覆う第3の透明絶縁層をさらに備え、
前記第3の透明絶縁層の厚さは、前記基材の少なくとも一方の主面の十点平均粗さ(Rz)よりも大きい、[1]または[2]に記載のセンサシート。
[4]前記第3の透明絶縁層と前記接着層の間に配置された意匠層をさらに備える、[3]に記載のセンサシート。
[5]透明エラストマーからなる基材の少なくとも一方の主面に、メッシュスクリーン印刷またはメタル版印刷により、PEDOT-PSSを含有する導電インクによって透明導電層を形成する透明導電層形成工程と、
前記透明導電層の周縁の少なくとも一部を覆うように、前記透明導電層上に、非透明金属ペーストインクによって補助電極層を形成する補助電極層形成工程と、
前記透明導電層上および前記補助電極層上に、第1の透明絶縁材料によって、前記基材の平面視にて、前記透明導電層および前記補助電極層を覆う第1の透明絶縁層を形成する第1の透明絶縁層形成工程と、
前記基材における、前記透明導電層が配置された面とは反対側の面に、接着剤によって接着層を形成する接着層形成工程と、を備え、
前記透明導電層形成工程にて、メッシュスクリーン印刷で用いられるスクリーン印刷版のメッシュ数は80以上600以下であり、
前記透明導電層形成工程にて、メタル版印刷で用いられるメタル印刷版の板厚は5μm以下であり、
前記透明導電層形成工程にて、前記導電インクの印刷後に、前記スクリーン印刷版または前記メタル版印刷を、前記基材から剥がす版離れを行う、センサシートの製造方法。
[6]前記透明導電層形成工程の前に、さらに、前記基材と前記透明導電層の間に、前記基材の平面視にて、前記透明導電層を覆う第2の透明絶縁層を形成する第2の透明絶縁層形成工程を備える、[5]に記載のセンサシートの製造方法。
[7]前記接着層形成工程の前に、さらに、前記基材における、前記透明導電層が配置された面とは反対側の面に、前記基材の平面視にて、前記透明導電層および前記補助電極層を覆う第3の透明絶縁層を形成する第3の透明絶縁層形成工程を備える、[5]または[6]に記載のセンサシートの製造方法。
[8]前記接着層形成工程の前に、さらに、前記第3の透明絶縁層と前記接着層の間に意匠層を形成する意匠層形成工程を備える、[7]に記載のセンサシートの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、三次元曲面構造への追随性に優れるセンサシートおよびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係るセンサシートの第1の実施形態を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA-A線に沿う断面図、(c)は裏面図である。
【
図2】本発明に係るセンサシートの第2の実施形態を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB-B線に沿う断面図、(c)は裏面図である。
【
図3】本発明に係るセンサシートの第3の実施形態を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC-C線に沿う断面図、(c)は裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るセンサシートの実施の形態を挙げ、
図1~
図3を参照しながら詳述する。
なお、以下の説明で用いる各図面は、その特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、寸法比率等は実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0013】
<センサシート>
本発明のセンサシートは、透明エラストマーからなる基材と、基材の少なくとも一方の主面上に配置された透明導電層と、透明導電層の周縁の少なくとも一部を覆うように、透明導電層上に配置された補助電極層と、透明導電層上および補助電極層上に配置され、基材の平面視にて、透明導電層および補助電極層を覆う第1の透明絶縁層と、基材における、透明導電層が配置された面とは反対側の面に配置された接着層と、を備える。
以下、本発明のセンサシートの第1~第3の実施形態について、順次、詳細に説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係るセンサシートの第1の実施形態を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA-A線に沿う断面図、(c)は裏面図である。
図1に示すように、本実施形態のセンサシート1は、基材11と、透明導電層12と、補助電極層13と、第1の透明絶縁層14と、接着層15と、を備えている。
図1に示す例では、基材11が、平面視にて凸字状をなしている。基材11は、平面視にて長方形状をなす基部11Aと、基部11Aの短辺の中央部から基部11Aの長辺方向に延びる、平面視にて長方形状をなす突部11Bとを有する。
透明導電層12が、基材11の一方の主面11a上に配置されている。また、透明導電層12は、基材11の平面視にて、長方形状をなしている。
【0015】
補助電極層13は、透明導電層12の周縁の一部を覆うように、透明導電層12上および基材11の一方の主面11a上に配置されている。これにより、補助電極層13は、透明導電層12と電気的に接続している。補助電極層13は、互いに離間して配置された2つの補助電極層13Aと補助電極層13Bから構成される。補助電極層13Aと補助電極層13Bは、透明導電層12の周縁の一部を覆う部分(以下、「接続部」と言う。)13a、13bがそれぞれ、基材11の平面視にて、正方形状をなしている。補助電極層13Aの接続部13aと、補助電極層13Bの接続部13bとはそれぞれ、長方形状の透明導電層12のほぼ対角上に配置されている。補助電極層13Aは、基材11の周縁に沿って、接続部13aから突部11Bに延びる導電部13cを有する。補助電極層13Bは、基材11の周縁に沿って、接続部13bから突部11Bに延びる導電部13dを有する。導電部13cと導電部13dは、突部11B上にて、互いに離間し、かつ平行に配置されている。
【0016】
第1の透明絶縁層14は、透明導電層12上および補助電極層13上に配置されている。第1の透明絶縁層14は、基材11の平面視にて、透明導電層12および補助電極層13を覆っている。また、第1の透明絶縁層14は、基材11の一方の主面11aにおいて、透明導電層12および補助電極層13が配置されていない領域には、配置されていない。
【0017】
接着層15は、基材11における、透明導電層12が配置された面とは反対側の面(他方の主面)11bに配置されている。
接着層15は、平面視にて、基材11とほぼ同一の形状をなしている。すなわち、接着層15は、平面視にて凸字状をなしている。接着層15は、平面視にて長方形状をなす基部15Aと、基部15Aの短辺の中央部から基部15Aの長辺方向に延びる、平面視にて長方形状をなす突部15Bとを有する。
【0018】
基材11は、センサシート1の強度や形状を維持するための基材として機能する。
基材11としては、例えば、透明エラストマーからなるフィルム等を用いることができる。
ここで、「透明」とは、JIS K7136に従って測定した光線透過率が50%以上であることを意味する。
【0019】
透明エラストマーとしては、特に限定されず、例えば、シリコーン等を例示できる。
また、透明エラストマーは、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0020】
基材11の一方の主面11aの算術平均粗さ(Ra)は、0.5μm以上1.5μm以下であり、0.7μm以上1.2μm以下であることが好ましく、0.8μm以上1.0μm以下であることがより好ましい。基材11の一方の主面11aの算術平均粗さ(Ra)が上記範囲の下限値以上であれば、基材11の一方の主面11aの微小な凹凸に、透明導電層12を形成するPEDOT-PSSを含有する導電インクが入り込むことにより、アンカー効果で基材11の一方の主面11aに対する透明導電層12の密着性が向上する。基材11の一方の主面11aの算術平均粗さ(Ra)が上記範囲の上限値以下であれば、基材11の一方の主面11aの微小な凹凸に、透明導電層12を形成するPEDOT-PSSを含有する導電インクが入り込むことにより、基材11の一方の主面11aにおける透明導電層12が形成された部分おいて、選択的に光透過率やヘイズ値が向上する。
【0021】
基材11の一方の主面11aの算術平均粗さ(Ra)は、JIS B0601に従って測定された値である。
【0022】
基材11の厚さは、特に限定されないが、例えば、平均厚さで75μm以上150μm以下であることが好ましく、100μm以上125μm以下であることがより好ましい。基材11の平均厚さが上記範囲の下限値以上であれば、耐久性が向上する。また、基材11の平均厚さが上記範囲の上限値以下であれば、柔軟性および光透過性が向上する。なお、本明細書で説明する基材11の平均厚さは、基材11の任意の10箇所について測定した厚さの平均値である。
【0023】
透明導電層12は、JIS K7361に従って測定した光線透過率が50%以上である電極を意味する。
透明導電層12は、基材11の一方の主面11aに導電ペーストを印刷することによって形成できる。
導電ペーストに含まれる導電物質は、導電性高分子である。導電性高分子としてはポリチオフェン系導電性ポリマーが好ましく、透明性・導電性・耐熱性を高める観点からPEDOT-PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン-ポリスチレンスルホン酸)がより好ましい。また、導電ペーストは、導電物質として、インジウムドープ酸化錫(ITO)等)、導電性ナノワイヤー(銀ナノワイヤー、金ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等)、金属粒子(銀粒子、銅粒子、金粒子等)、導電性金属酸化物粒子(ITO粒子等)、カーボン(カーボンブラック、グラファイト等)等を含んでいてもよい。導電性ペーストには、これらの導電性物質同士を結着させる公知のバインダー樹脂が含まれていることが好ましい。
【0024】
透明導電層12の厚さは、基材11の一方の主面11aの十点平均粗さ(Rz)よりも大きく、かつ1μm以下であり、0.5μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.6μm以上0.9μm以下であることがより好ましい。透明導電層12の厚さが上記範囲の下限値以上であれば、タッチ感度および耐久性が向上するというメリットがある。また、透明導電層12の厚さが上記範囲の上限値以下であれば、光透過性および柔軟性が向上するというメリットがある。なお、本明細書で説明する透明導電層12の厚さは、透明導電層12の任意の10箇所について測定した厚さの平均値である。
【0025】
基材11の一方の主面11aの十点平均粗さ(Rz)は、JIS B0601に従って測定された値である。
【0026】
基材11と透明導電層12の屈折率差は、0.2以下であり、0.15以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましい。基材11と透明導電層12の屈折率差が前記上限値以下であれば、光透過性および視認性が向上するというメリットがある。
【0027】
基材11と透明導電層12の屈折率は、JIS R 3106に従って測定された値である。
【0028】
補助電極層13は、透明導電層12上および基材11の一方の主面11a上に非透明金属ペーストインクを印刷することによって形成できる。
非透明金属ペーストインクに含まれる導電物質は、導電性ナノワイヤー(銀ナノワイヤー、金ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等)、金属粒子(銀粒子、銅粒子、金粒子等)、導電性金属酸化物粒子(ITO粒子等)、カーボン(カーボンブラック、グラファイト等)等を例示できる。また、導電ペーストに含まれる導電物質は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0029】
補助電極層13の厚さは、特に限定されないが、例えば、平均厚さで1μm以上20μm以下であることが好ましく、8μm以上15μm以下であることがより好ましい。補助電極層13の平均厚さが上記範囲の下限値以上であれば、タッチ感度が向上する。また、補助電極層13の平均厚さが上記範囲の上限値以下であれば、折り曲げ耐久性が向上する。なお、本明細書で説明する補助電極層13の平均厚さは、補助電極層13の任意の10箇所について測定した厚さの平均値である。
【0030】
第1の透明絶縁層14は、基材11における透明導電層12および補助電極層13が配置された一方の主面11aに、透明導電層12および補助電極層13を埋め込むように覆うものである。
ここで、「透明」とは、JIS K7136に従って測定した光線透過率が50%以上であることを意味する。
【0031】
第1の透明絶縁層14を構成する材料(第1の透明絶縁材料)としては、特に限定されず、透明導電層12および補助電極層13を保護できるものであればよく、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂等を例示できる。また、第1の透明絶縁層14に含まれる樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0032】
第1の透明絶縁層14の形状及び寸法は、特に限定されず、透明導電層12および補助電極層13の形状等に応じて適宜決定することができる。
第1の透明絶縁層14の厚は、平均厚さで10μm以上30μm以下であることが好ましく、15μm以上25μm以下であることがより好ましい。第1の透明絶縁層14の平均厚さが上記範囲の下限値以上であれば、充分な強度が得られ、透明導電層12および補助電極層13が基材11から剥離するのを抑制する効果や、透明導電層12および補助電極層13の保護効果が得られやすい。第1の透明絶縁層14の平均厚さが上記範囲の上限値以下であれば、センサシート1を容易に薄型化できる。なお、本明細書で説明する第1の透明絶縁層14の平均厚さとは、第1の透明絶縁層14における透明導電層12および補助電極層13を覆う部分の任意の10箇所について測定した厚さの平均値である。
【0033】
接着層15は、センサシートを被接着物に接着するためのものある。
接着層15を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、異方導電接着剤を例示できる。
【0034】
接着層15の厚さは、特に限定されないが、例えば、平均厚さで30μm以上60μm以下であることが好ましく、40μm以上50μm以下であることがより好ましい。接着層15の平均厚さが上記範囲の下限値以上であれば、強固な接着力が得られる。また、接着層15の平均厚さが上記範囲の上限値以下であれば、柔軟性が向上する。なお、本明細書で説明する接着層15の平均厚さは、接着層15の任意の10箇所について測定した厚さの平均値である。
【0035】
本実施形態のセンサシート1は、基材11の一方の主面11aの算術平均粗さ(Ra)が0.5μm以上1.5μm以下であり、基材11の一方の主面11a上に透明導電層12が配置されている。これにより、基材11の一方の主面11aの微小な凹凸に、透明導電層12を形成するPEDOT-PSSを含有する導電インクが入り込むことにより、アンカー効果で前記一方の主面11aに対する透明導電層12の密着性が向上する。その結果として、本実施形態のセンサシート1は、三次元曲面構造への追随性に優れたものとなる。また、基材11の一方の主面11aの微小な凹凸に、透明導電層12を形成するPEDOT-PSSを含有する導電インクが入り込むことにより、基材11の一方の主面11aにおける透明導電層12が形成された部分おいて、選択的に光透過率やヘイズ値が向上する。
【0036】
本実施形態のセンサシート1によれば、第1の透明絶縁層14が、透明導電層12上および補助電極層13上に配置され、基材11の平面視にて、透明導電層12および補助電極層13を覆うため、透明導電層12および補助電極層13がそれぞれの端部からの剥離することを抑制できる。また、スクリーン印刷版またはメタル版印刷への透明導電層12の貼り付きが抑制され、印刷性が向上する。
【0037】
以下に、本実施形態のセンサシート1を製造する方法の一例について説明する。
図1に例示するセンサシート1を製造する方法としては、特に限定されず、例えば、下記の工程(a)~(d)を含む方法を例示できる。
工程(a):透明導電層形成工程:基材11の少なくとも一方の主面11aに、メッシュスクリーン印刷またはメタル版印刷により、PEDOT-PSSを含有する導電インクによって透明導電層12を形成する。
工程(b):補助電極層形成工程:透明導電層12の周縁の少なくとも一部を覆うように、透明導電層12上および基材11の一方の主面11a上に、非透明金属ペーストインクによって補助電極層13を形成する。
工程(c):第1の透明絶縁層形成工程:透明導電層12上および補助電極層13上に、第1の透明絶縁材料によって、基材11の平面視にて、透明導電層12および補助電極層13を覆う第1の透明絶縁層14を形成する。
工程(d):接着層形成工程:基材11における、透明導電層12が配置された面とは反対側の面(他方の主面)11bに、接着剤によって接着層15を形成する。
【0038】
工程(a)において、メッシュスクリーン印刷で用いられるスクリーン印刷版のメッシュ数は、80以上600以下であり、120以上500以下であることが好ましく、200以上400以下であることがより好ましい。前記メッシュ数が前記下限値以上であれば、基材11の一方の主面11aの微小な凹凸に、透明導電層12を形成するPEDOT-PSSを含有する導電インクが入り込むことにより、アンカー効果で前記一方の主面11aに対する透明導電層12の密着性が向上する。前記メッシュ数が前記上限値以下であれば、基材11の一方の主面11aの微小な凹凸に、透明導電層12を形成するPEDOT-PSSを含有する導電インクが入り込むことにより、基材11の一方の主面11aにおける透明導電層12が形成された部分おいて、選択的に光透過率やヘイズ値が向上する。
ここで、メッシュ数とは、1インチ当たりの糸の本数を意味する。通常、80メッシュ、100メッシュという具合に数えられる。
【0039】
工程(a)において、メタル版印刷で用いられるメタル印刷版の板厚は5μm以下である。前記メタル印刷版の板厚が前記上限値以下であれば、基材11の一方の主面11aの微小な凹凸に、透明導電層12を形成するPEDOT-PSSを含有する導電インクが入り込むことにより、基材11の一方の主面11aにおける透明導電層12が形成された部分おいて、選択的に光透過率やヘイズ値が向上する。
【0040】
工程(a)において、導電インクの印刷後に、スクリーン印刷版またはメタル版印刷を、基材から剥がす版離れを行う。
【0041】
工程(b)において、透明導電層12上および基材11の一方の主面11a上への非透明金属ペーストインクの印刷方法は、特に限定されず、例えば、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、インクジェット印刷等の従来公知の方法を何ら制限無く採用することができる。これらの方法の中でも、電気抵抗を低く抑制し、かつ、製造コストを削減する観点から、スクリーン印刷法を用いて透明導電層12上および基材11の一方の主面11a上に非透明金属ペーストインクを印刷し、補助電極層13を形成することが好ましい。
【0042】
工程(c)において、透明導電層12上および補助電極層13上に第1の透明絶縁層14を形成するための印刷方法は、特に限定されず、例えば、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、インクジェット印刷等の従来公知の方法を何ら制限無く採用することができる。これらの方法の中でも、製造コストを削減する観点から、スクリーン印刷法を用いて透明導電層12上および補助電極層13上に第1の透明絶縁材料を印刷し、第1の透明絶縁層14を形成することが好ましい。
【0043】
工程(d)において、基材11の他方の主面11bに接着層15を形成するための印刷方法は、特に限定されず、例えば、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、インクジェット印刷等の従来公知の方法を何ら制限無く採用することができる。これらの方法の中でも、製造コストを削減する観点から、スクリーン印刷法を用いて基材11の他方の主面11bに異方導電接着剤を印刷し、接着層15を形成することが好ましい。
【0044】
本実施形態のセンサシート1の製造方法によれば、工程(a)において、メッシュ数が80以上325以下のスクリーン印刷版を用いることにより、基材11の一方の主面11aの微小な凹凸に、透明導電層12を形成するPEDOT-PSSを含有する導電インクが入り込むことにより、アンカー効果で前記一方の主面11aに対する透明導電層12の密着性が向上する。また、基材11の一方の主面11aの微小な凹凸に、透明導電層12を形成するPEDOT-PSSを含有する導電インクが入り込むことにより、基材11の一方の主面11aにおける透明導電層12が形成された部分おいて、選択的に光透過率やヘイズ値が向上する。
【0045】
本実施形態のセンサシート1の製造方法によれば、工程(a)において、板厚が5μm以下のメタル印刷版を用いることにより、基材11の一方の主面11aの微小な凹凸に、透明導電層12を形成するPEDOT-PSSを含有する導電インクが入り込むことにより、アンカー効果で前記一方の主面11aに対する透明導電層12の密着性が向上する。また、基材11の一方の主面11aの微小な凹凸に、透明導電層12を形成するPEDOT-PSSを含有する導電インクが入り込むことにより、基材11の一方の主面11aにおける透明導電層12が形成された部分おいて、選択的に光透過率やヘイズ値が向上する。
【0046】
本実施形態のセンサシート1の製造方法によれば、工程(a)において、導電インクの印刷後に、スクリーン印刷版またはメタル版印刷を、基材から剥がす版離れを行うことにより、スクリーン版またはメタル版印刷への透明導電層12の貼り付きが抑制され、印刷性が向上する。
【0047】
[第2の実施形態]
図2は、本発明に係るセンサシートの第2の実施形態を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB-B線に沿う断面図、(c)は裏面図である。
図2において、
図1に示す構成と同一の構成には同一符号を付して、説明を省略する。
図2に示すように、本実施形態のセンサシート100は、基材11と、透明導電層12と、補助電極層13と、第1の透明絶縁層14と、接着層15と、第2の透明絶縁層16と、を備えている。
図2に示す例では、
図1に示す第1の実施形態のセンサシート1に加えて、基材11と透明導電層12の間に配置され、基材11の平面視にて、透明導電層12を覆う第2の透明絶縁層16をさらに備える。
【0048】
第2の透明絶縁層16は、基材11の一方の主面11aに配置されている。
第2の透明絶縁層16は、平面視にて、基材11とほぼ同一の形状をなしている。
【0049】
第2の透明絶縁層16の厚さは、基材11の少なくとも一方の主面11aの十点平均粗さ(Rz)よりも大きく、10μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましい。第2の透明絶縁層16の厚さが上記範囲の下限値以上であれば、耐久性がの向上する。また、第2の透明絶縁層16の厚さが上記範囲の上限値以下であれば、光透過性および柔軟性が向上する。なお、本明細書で説明する第2の透明絶縁層16の厚さは、第2の透明絶縁層16の任意の10箇所について測定した厚さの平均値である。
【0050】
本実施形態のセンサシート100は、第1の実施形態のセンサシート1に加えて、基材11と透明導電層12の間に、透明導電層12を覆う第2の透明絶縁層16をさらに備える。これにより、基材11の一方の主面11aの微小な凹凸に、第2の透明絶縁層16の一方の主面が入り込むことによって、基材11と第2の透明絶縁層16の密着性が向上する。第2の透明絶縁層16の他方の主面にはPEDOT-PSSを有する透明導電層12が形成されているので、結果として、基材11と透明導電層12の密着性を向上させることができる。また、濡れ性向上のメカニズムにより、透明導電層12の導電性を高め導電経路の信頼性を向上させることができる。
【0051】
以下に、本実施形態のセンサシート100を製造する方法の一例について説明する。
図2に例示するセンサシート100を製造する方法としては、特に限定されず、例えば、第1の実施形態のセンサシート1を製造する方法で説明した工程(a)~(d)に加え、さらに、以下に示す工程(e)とを備えた方法を採用できる。
【0052】
工程(e):第2の透明絶縁層形成工程:工程(a)の前に、基材11と透明導電層12の間、すなわち、基材11の一方の主面11aに、基材11の平面視にて、透明導電層12を覆う第2の透明絶縁層16を形成する。
【0053】
工程(e)において、基材11の一方の主面11aに第2の透明絶縁層16を形成するための印刷方法は、特に限定されず、例えば、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、インクジェット印刷等の従来公知の方法を何ら制限無く採用することができる。これらの方法の中でも、製造コストを削減する観点から、スクリーン印刷法を用いて基材11の一方の主面11aに第2の透明絶縁材料を印刷し、第2の透明絶縁層16を形成することが好ましい。第2の透明絶縁材料としては、第1の透明絶縁材料と同様のものが用いられる。
【0054】
本実施形態のセンサシート100の製造方法によれば、工程(e)において、基材11の一方の主面11aに第2の透明絶縁層16を形成することにより、基材11の一方の主面11aの微小な凹凸に、透明導電層12を形成するPEDOT-PSSを含有する導電インクが入り込むことによって低下した膜厚/導電経路を向上させることができる。
【0055】
[第3の実施形態]
図3は、本発明に係るセンサシートの第3の実施形態を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC-C線に沿う断面図、(c)は裏面図である。
図3において、
図1に示す構成と同一の構成には同一符号を付して、説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態のセンサシート200は、基材11と、透明導電層12と、補助電極層13と、第1の透明絶縁層14と、接着層15と、第3の透明絶縁層17と、意匠層18と、を備えている。
図3に示す例では、
図1に示す第1の実施形態のセンサシート1に加えて、基材11と接着層15の間に配置され、基材11の平面視にて、透明導電層12および補助電極層13を覆う第3の透明絶縁層17をさらに備える。また、
図3に示す例では、
図1に示す第1の実施形態のセンサシート1に加えて、第3の透明絶縁層17と接着層15の間に配置された意匠層18をさらに備える。
【0056】
第3の透明絶縁層17は、基材11の他方の主面11bに配置されている。
第3の透明絶縁層17は、平面視にて、基材11とほぼ同一の形状をなしている。
【0057】
第3の透明絶縁層17の厚さは、基材11の少なくとも一方の主面11aの十点平均粗さ(Rz)よりも大きく、10μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましい。第3の透明絶縁層17の厚さが上記範囲の下限値以上であれば、耐久性が向上する。また、第3の透明絶縁層17の厚さが上記範囲の上限値以下であれば、光透過性および柔軟性が向上する。なお、本明細書で説明する第3の透明絶縁層17の厚さは、第3の透明絶縁層17の任意の10箇所について測定した厚さの平均値である。
【0058】
基材11の他方の主面11bの算術平均粗さ(Ra)は、0.5μm以上1.5μm以下であり、0.7μm以上1.2μm以下であることが好ましく、0.8μm以上1.0μm以下であることがより好ましい。基材11の他方の主面11bの算術平均粗さ(Ra)が上記範囲の下限値以上であれば、基材11の他方の主面11bの微小な凹凸に、第3の透明絶縁層17を形成する第3の絶縁材料が入り込むことにより、アンカー効果で基材11の他方の主面11bに対する第3の透明絶縁層17の密着性が向上する。基材11の他方の主面11bの算術平均粗さ(Ra)が上記範囲の上限値以下であれば、基材11の他方の主面11bの微小な凹凸に、第3の透明絶縁層17を形成する第3の絶縁材料が入り込むことにより、基材11の他方の主面11bにおける第3の透明絶縁層17が形成された部分おいて、選択的に光透過率やヘイズ値が向上する。
【0059】
基材11の他方の主面11bの算術平均粗さ(Ra)は、JIS B0601に従って測定された値である。
【0060】
意匠層18は、第3の透明絶縁層17における基材11とは反対側の面17aに、装飾、文字、図形、記号、絵柄、これらの組み合わせ、あるいはこれらと色彩との組み合わせによる任意の装飾が施された層である。意匠層18は、例えば、第3の透明絶縁層17における基材11とは反対側の面17a上に印刷を施すことにより形成できる。
【0061】
本実施形態のセンサシート200は、第1の実施形態のセンサシート1に加えて、基材11と接着層15の間に、透明導電層12および補助電極層13を覆う第3の透明絶縁層17をさらに備える。これにより、第3の透明絶縁層17を形成する第3の絶縁材料が基材11の伸縮を抑制し、基材11の一方の主面11aにおける透明導電層12が形成された部分おいて、選択的に剛性が向上する。また、印刷ステージや作業テーブルへの貼り付きが抑制され、搬送キャリアが不要となり作業性、寸法安定性が向上する。
【0062】
以下に、本実施形態のセンサシート200を製造する方法の一例について説明する。
図3に例示するセンサシート200を製造する方法としては、特に限定されず、例えば、第1の実施形態のセンサシート1を製造する方法で説明した工程(a)~(d)に加え、さらに、以下に示す工程(f)と、工程(g)とを備えた方法を採用できる。
【0063】
工程(f):第3の透明絶縁層形成工程:工程(d)の前に、基材11における、透明導電層12が配置された面とは反対側の面(他方の面)11bに、基材11の平面視にて、透明導電層12および補助電極層13を覆う第3の透明絶縁層17を形成する。
工程(g):意匠層形成工程:工程(d)の前に、第3の透明絶縁層17と接着層15の間に意匠層18を形成する。
【0064】
工程(f)において、基材11の他方の主面11bに第3の透明絶縁層17を形成するための印刷方法は、特に限定されず、例えば、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、インクジェット印刷等の従来公知の方法を何ら制限無く採用することができる。これらの方法の中でも、製造コストを削減する観点から、スクリーン印刷法を用いて基材11の他方の主面11bに第3の透明絶縁材料を印刷し、第3の透明絶縁層17を形成することが好ましい。第3の透明絶縁材料としては、第1の透明絶縁材料と同様のものが用いられる。
【0065】
工程(g)において、第3の透明絶縁層17と接着層15の間、すなわち、第3の透明絶縁層17における基材11とは反対側の面17aに意匠層を形成するための印刷方法は、特に限定されず、例えば、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、インクジェット印刷等の従来公知の方法を何ら制限無く採用することができる。これらの方法の中でも、製造コストを削減する観点から、スクリーン印刷法を用いて第3の透明絶縁層17における基材11とは反対側の面17aに印刷インクを印刷し、意匠層を形成することが好ましい。
【0066】
本実施形態のセンサシート200の製造方法によれば、工程(f)において、基材11の他方の主面11bに第3の透明絶縁層17を形成することにより、第3の透明絶縁層17を形成する第3の絶縁材料が基材11の伸縮を抑制し、基材11の一方の主面11aにおける透明導電層12が形成された部分おいて、選択的に剛性が向上する。また、印刷ステージや作業テーブルへの貼り付きが抑制され、搬送キャリアが不要となり作業性、寸法安定性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明のセンサシートは、三次元曲面構造への追随性に優れるものなので、例えば、車載用等の様々な分野の電子機器において好適である。
【符号の説明】
【0068】
1,100,200 センサシート
11 基材
12 透明導電層
13 補助電極層
14 第1の透明絶縁層
15 接着層
16 第2の透明絶縁層
17 第3の透明絶縁層
18 意匠層
【要約】
【課題】三次元曲面構造への追随性に優れるセンサシート及びその製造方法の提供。
【解決手段】基材11と、その少なくとも一方の主面11a上に配置された透明導電層12と、透明導電層12の周縁の少なくとも一部を覆う補助電極層13と、透明導電層12上及び補助電極層13上に配置され透明導電層12及び補助電極層13を覆う第1の透明絶縁層14と、基材11の他方の面11bに配置された接着層15とを備え、基材11の少なくとも一方の主面11aの算術平均粗さ(Ra)は0.5μm以上1.5μm以下、透明導電層12はPEDOT-PSSを含有する導電インクによって形成され、透明導電層12の厚さは基材11の少なくとも一方の主面11aの十点平均粗さ(Rz)よりも大きく1μm以下、基材11と透明導電層12の屈折率差は0.2以下、補助電極層13は非透明金属ペーストインクによって形成されたセンサシート1。
【選択図】
図1