(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】エマルション粒子含有水性分散体
(51)【国際特許分類】
C08F 2/44 20060101AFI20241129BHJP
C08F 20/12 20060101ALI20241129BHJP
C08L 33/04 20060101ALI20241129BHJP
C08K 5/101 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
C08F2/44 B
C08F20/12
C08L33/04
C08K5/101
(21)【出願番号】P 2023137683
(22)【出願日】2023-08-28
(62)【分割の表示】P 2021537310の分割
【原出願日】2020-08-04
【審査請求日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】P 2019143697
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020007577
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】100141472
【氏名又は名称】赤松 善弘
(72)【発明者】
【氏名】今泉 洋平
(72)【発明者】
【氏名】坂元 芳峰
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-255194(JP,A)
【文献】国際公開第2004/074327(WO,A1)
【文献】特表2010-540762(JP,A)
【文献】特表2002-502893(JP,A)
【文献】特開2017-165873(JP,A)
【文献】特開2014-082149(JP,A)
【文献】特開2006-045452(JP,A)
【文献】特開2018-172678(JP,A)
【文献】特開平11-116850(JP,A)
【文献】特開2007-270017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00- 2/60
C08F 6/00-246/00
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマー含有成分を含むモノマーエマルション粒子を含有する水性分散体であって、前記モノマー含有成分が
(A)
n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれた少なくとも1種のモノマーX、
(B)ノニオン性乳化剤、
(C)炭素数が15以上である脂肪族有機酸および炭素数が
18以上である脂肪族有機酸アルキルエステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪族有機酸(アルキルエステル)および
(D)油溶性着色剤、油溶性紫外線吸収剤、油溶性光安定剤、油溶性架橋剤、油溶性酸化防止剤、油溶性香料、油溶性殺虫剤、油溶性清涼化剤および油溶性消臭剤からなる群より選ばれた少なくとも1種の親油性有効成分を含有し、
前記脂肪族有機酸(アルキルエステル)が、重合性不飽和二重結合を有するアルキルエステル部の炭素数が14以上である有機酸アルキルエステル、アルキルエステル部の炭素数が14以上である脂肪族有機酸アルキルエステルおよび炭素数が14以上のアルキル基を有する脂肪族有機酸アルキルエステルからなる群より選ばれた少なくとも1種であり、前記モノマーXにシクロヘキシル(メタ)アクリレートおよび/または2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが必須成分として用いられ、前記モノマー含有成分におけるモノマーXの含有率が10質量%以上80質量%以下であり、前記ノニオン性乳化剤のHLBが10以上15以下であり、前記モノマー含有成分における前記ノニオン性乳化剤の含有率が5質量%以上60質量%以下であり、前記モノマー含有成分における前記脂肪族有機酸(アルキルエステル)の含有率が1質量%以上35質量%以下であり、前記モノマー含有成分における前記親油性有効成分の含有率が0.03質量%以上40質量%以下であり、前記モノマーエマルション粒子の平均粒子径が10~200nmであるモノマーエマルション粒子含有水性分散体。
【請求項2】
ポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体であって、前記ポリマーエマルション粒子が、請求項
1に記載のモノマーエマルション粒子に含まれているモノマー含有成分を重合させてなり、前記ポリマーエマルション粒子の平均粒子径が10~200nmであるポリマーエマルション粒子含有水性分散体。
【請求項3】
表面に樹脂層を有するポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体であって、請求項
2に記載のポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させてなる樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体。
【請求項4】
モノマーXにおけるシクロヘキシル(メタ)アクリレートと2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートとの合計含有率が50~100質量%である請求項1に記載のポリマーエマルション粒子含有水性分散体。
【請求項5】
ポリマーエマルション粒子含有水性分散体が水性塗料用ポリマーエマルション粒子含有水性分散体である請求項1に記載のポリマーエマルション粒子含有水性分散体。
【請求項6】
モノマー含有成分を含むモノマーエマルション粒子を含有する水性分散体の製造方法であって、前記モノマー含有成分として
(A)アルキル基の炭素数が4~12であるアルキル(メタ)アクリレートおよびスチレン系モノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種のモノマーX、
(B)ノニオン性乳化剤、
(C)炭素数が15以上である脂肪族有機酸および炭素数が
18以上である脂肪族有機酸アルキルエステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪族有機酸(アルキルエステル)および
(D)油溶性着色剤、油溶性紫外線吸収剤、油溶性光安定剤、油溶性架橋剤、油溶性酸化防止剤、油溶性香料、油溶性殺虫剤、油溶性清涼化剤および油溶性消臭剤からなる群より選ばれた少なくとも1種の親油性有効成分を含有し、前記モノマーXにシクロヘキシル(メタ)アクリレートおよび/または2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが必須成分として用いられ、前記モノマー含有成分におけるモノマーXの含有率が10質量%以上80質量%以下であり、前記ノニオン性乳化剤のHLBが10以上15以下であり、前記モノマー含有成分における前記ノニオン性乳化剤の含有率が5質量%以上60質量%以下であり、前記モノマー含有成分における前記脂肪族有機酸(アルキルエステル)の含有率が1質量%以上35質量%以下であり、前記モノマー含有成分における前記親油性有効成分の含有率が0.03質量%以上40質量%以下であるモノマー含有成分を用い、当該モノマー含有成分と水性媒体とを混合し、得られた混合物を攪拌下で当該混合物の転相開始温度以上であって水性媒体の沸点未満の温度に加熱した後、前記混合物を当該混合物の転相開始温度よりも低い温度に冷却するモノマーエマルション粒子含有水性分散体の製造方法。
【請求項7】
モノマーXがn-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれた少なくとも1種のモノマーである請求項6に記載のモノマーエマルション粒子含有水性分散体の製造方法。
【請求項8】
モノマーXにおけるシクロヘキシル(メタ)アクリレートと2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートとの合計含有率が50~100質量%である請求項6に記載のモノマーエマルション粒子含有水性分散体の製造方法。
【請求項9】
ポリマーエマルション粒子含有水性分散体が水性塗料用ポリマーエマルション粒子含有水性分散体である請求項6に記載のポリマーエマルション粒子含有水性分散体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エマルション粒子含有水性分散体に関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば、塗料、コーティング剤などの用途に有用なモノマーエマルション粒子含有水性分散体およびその製造方法、ならびに当該モノマーエマルション粒子含有水性分散体のモノマーエマルション粒子に含まれているモノマー成分を重合させてなるポリマーエマルション粒子含有水性分散体に関する。
【背景技術】
【0002】
耐水性、耐候性および耐擦過性を有する画像を与える着色樹脂微粒子を製造する方法として、重合性不飽和モノマー、着色剤、乳化剤および重合開始剤を水性媒体中に高粘度塗料用混合機を用いて転相乳化させた後、前記重合性不飽和モノマーを重合させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、前記方法には、高粘度塗料用混合機を必要とするだけでなく、水性媒体における重合性不飽和モノマーの分散安定性に劣り、当該重合性不飽和モノマーと水性媒体とが短時間で分離するとともに、着色剤が短時間で沈降するため、重合性不飽和モノマー、着色剤、乳化剤および重合開始剤を水性媒体中に転相乳化させた後には、即座に当該重合性不飽和モノマーを重合させる必要がある。
【0004】
したがって、近年、着色剤などの有効成分およびモノマーを含有するモノマー成分の分散安定性に優れたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、着色剤などの有効成分およびモノマーを含有するモノマー含有成分(以下、モノマー成分という)の分散安定性に優れたモノマーエマルション粒子含有水性分散体およびその製造方法、ならびに当該モノマーエマルション粒子含有水性分散体のモノマーエマルション粒子に含まれているモノマー成分を重合させてなるポリマーエマルション粒子含有水性分散体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
(1)モノマー成分を含むモノマーエマルション粒子を含有する水性分散体であって、前記モノマー成分が(A)アルキル基の炭素数が4~12であるアルキル(メタ)アクリレートおよびスチレン系モノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種のモノマーX、(B)ノニオン性乳化剤、(C)炭素数が15以上である脂肪族有機酸(アルキルエステル)および(D)親油性有効成分を含有し、前記モノマーエマルション粒子の平均粒子径が10~200nmであるモノマーエマルション粒子含有水性分散体、
(2)モノマー成分を含むモノマーエマルション粒子を含有する水性分散体の製造方法であって、前記モノマー成分が(A)アルキル基の炭素数が4~12であるアルキル(メタ)アクリレートおよびスチレン系モノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種のモノマーX、(B)ノニオン性乳化剤、(C)炭素数が15以上である脂肪族有機酸(アルキルエステル)および(D)親油性有効成分を含有するモノマー成分と水性媒体とを混合し、得られた混合物を攪拌下で当該混合物の転相開始温度以上であって水性媒体の沸点未満の温度に加熱した後、前記混合物を当該混合物の転相開始温度よりも低い温度に冷却するモノマーエマルション粒子含有水性分散体の製造方法、
(3)ポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体であって、前記ポリマーエマルション粒子が、前記(1)に記載のモノマーエマルション粒子に含まれているモノマー成分を重合させてなり、前記ポリマーエマルション粒子の平均粒子径が10~200nmであるポリマーエマルション粒子含有水性分散体、および
(4)表面に樹脂層を有するポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体であって、前記(3)に記載のポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させてなる樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、着色剤などの有効成分およびモノマーを含有するモノマー成分の分散安定性に優れたモノマーエマルション粒子含有水性分散体およびその製造方法、ならびに当該モノマーエマルション粒子含有水性分散体のモノマーエマルション粒子に含まれているモノマー成分を重合させてなるポリマーエマルション粒子含有水性分散体が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のモノマーエマルション粒子含有水性分散体は、前記したように、モノマー成分を含むモノマーエマルション粒子を含有する水性分散体である。前記モノマー成分は、(A)アルキル基の炭素数が4~12であるアルキル(メタ)アクリレートおよびスチレン系モノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種のモノマーX、(B)ノニオン性乳化剤、(C)炭素数が15以上である脂肪族有機酸(アルキルエステル)および(D)親油性有効成分を含有する。前記モノマーエマルション粒子の平均粒子径は、10~200nmである。
【0010】
本発明のモノマーエマルション粒子含有水性分散体は、前記構成要件を有することから、着色剤などの有効成分およびモノマーを含有するモノマー成分の分散安定性、より具体的にはモノマーエマルション粒子含有水性分散体におけるモノマー成分を含むモノマーエマルション粒子の分散安定性(以下、「モノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性」という)に優れている。
【0011】
本発明のモノマーエマルション粒子含有水性分散体は、例えば、(A)アルキル基の炭素数が4~12であるアルキル(メタ)アクリレートおよびスチレン系モノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種のモノマーX、(B)ノニオン性乳化剤、(C)炭素数が15以上である脂肪族有機酸(アルキルエステル)および(D)親油性有効成分を含有するモノマー成分と水性媒体とを混合し、得られた混合物を攪拌下で当該混合物の転相開始温度以上であって水性媒体の沸点未満の温度に加熱した後、前記混合物を当該混合物の転相開始温度よりも低い温度に冷却することによって調製することができる。
【0012】
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」または「メタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリル」は、「アクリル」または「メタクリル」を意味する。「炭素数が15以上である脂肪族有機酸(アルキルエステル)」は、「炭素数が15以上である脂肪族有機酸および炭素数が15以上である脂肪族有機酸アルキルエステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物、より具体的には「炭素数が15以上である脂肪族有機酸および/または炭素数が15以上である脂肪族有機酸アルキルエステル」を意味する。
【0013】
〔(A)モノマーX〕
モノマーXは、アルキル基の炭素数が4~12であるアルキル(メタ)アクリレートおよびスチレン系モノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種のモノマーである。したがって、アルキル基の炭素数が4~12であるアルキル(メタ)アクリレートおよびスチレン系モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
【0014】
アルキル基の炭素数が4~12であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、本発明においては、前記アルキル(メタ)アクリレートは、脂環構造を有する(メタ)アクリレートを包含する概念のものである。
【0015】
前記アルキル(メタ)アクリレートのなかでは、モノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレン、tert-メチルスチレン、o-tert-ブチルスチレン、m-tert-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレンなどのアルキル基の炭素数が1~4であるアルキルキルスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、o-エトキシスチレン、m-エトキシスチレン、p-エトキシスチレン、o-tert-ブトキシスチレン、m-tert-ブトキシスチレン、p-tert-ブトキシスチレンなどのアルコキシ基の炭素数が1~4であるアルコキシスチレン、o-フルオロスチレン、m-フルオロスチレン、p-フルオロスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン、o-ブロモスチレン、m-ブロモスチレン、p-ブロモスチレンなどのハロゲン原子含有スチレン、o-アセトキシスチレン、m-アセトキシスチレン、p-アセトキシスチレンなどのアセトキシスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。スチレン系モノマーのなかでは、モノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、スチレンおよびアルキル基の炭素数が1~4であるアルキルキルスチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。
【0017】
スチレン系モノマーは、ベンゼン環にニトロ基、ニトリル基、アルコキシル基、アシル基、スルホン基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子などの置換基が存在していてもよい。
【0018】
以上のことから、モノマーXのなかでは、モノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートおよびスチレンからなる群より選ばれた少なくとも1種のモノマーが好ましく、微細粒子径を有するモノマーエマルション粒子を含有するモノマーエマルション粒子含有水性分散体を得る観点から、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれた少なくとも1種のモノマーがより好ましく、シクロヘキシル(メタ)アクリレートおよび/または2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが必須成分として用いられており、n-ブチル(メタ)アクリレートおよびイソブチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれた少なくとも1種のモノマーが任意で用いられていることがさらに好ましい。
【0019】
モノマーXにおけるシクロヘキシル(メタ)アクリレートと2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートとの合計含有率は、微細粒子径を有するモノマーエマルション粒子を含有するモノマーエマルション粒子含有水性分散体を得る観点から、好ましくは50~100質量%、より好ましくは60~100質量%である。また、モノマーXにおけるn-ブチル(メタ)アクリレートとイソブチル(メタ)アクリレートとの合計含有率は、微細粒子径を有するモノマーエマルション粒子を含有するモノマーエマルション粒子含有水性分散体を得る観点から、好ましくは0~50質量%、より好ましくは0~10質量%である。
【0020】
モノマー成分におけるモノマーXの含有率は、モノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、さらに一層好ましくは25質量%以上であり、モノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。また、モノマー成分におけるモノマーXの含有率は、モノマーエマルション粒子の微細化の観点から、45質量%以下であることが好ましい。したがって、モノマー成分におけるモノマーXの含有率は、好ましくは10~80質量%、より好ましくは15~70質量%、さらに好ましくは20~60質量%、さらに一層好ましくは25~60質量%である。
【0021】
〔(B)ノニオン性乳化剤〕
ノニオン性乳化剤のHLB(親水性-親油性バランス)は、モノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは8以上、より好ましくは9以上、さらに好ましくは10以上であり、モノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは17以下、より好ましくは16以下、さらに好ましくは15以下である。また、ノニオン性乳化剤のHLBは、微細粒子径を有するモノマーエマルション粒子を含有するモノマーエマルション粒子含有水性分散体を得る観点から、好ましくは14以下、より好ましくは13.5以下、さらに好ましくは13以下である。したがって、ノニオン性乳化剤のHLBは、好ましくは8~17、より好ましくは9~16、より一層好ましくは9~15、さらに好ましくは10~14、さらに一層好ましくは10~13.5、特に好ましくは10~13である。なお、ノニオン性乳化剤のHLBは、Griffin法に基づき、式:
[ノニオン性乳化剤のHLB]=20×[(親水部の分子量)/(乳化剤の分子量)]
によって求められた値である。
【0022】
ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエステル型ノニオン性乳化剤、エチレン-プロピレンブロックコポリマー型ノニオン性乳化剤、アルキルエーテル型ノニオン性乳化剤、フェノール型ノニオン性乳化剤、アミド型ノニオン性乳化剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの乳化剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
ノニオン性乳化剤は、商業的に容易に入手することができる。商業的に容易に入手することができるノニオン性乳化剤としては、例えば、花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420(HLB:12.6)、(株)日本触媒製、商品名:ソフタノール120(HLB:14.5)、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープER-10(HLB:12.1)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0024】
ノニオン性乳化剤のなかでは、モノマーエマルション粒子中にノニオン性乳化剤を取り込む観点から、反応性を有するノニオン性乳化剤を用いることが好ましい。反応性を有するノニオン性乳化剤は、商業的に容易に入手することができる。商業的に容易に入手することができる反応性を有するノニオン性乳化剤としては、例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープER-10(HLB:12.1)、花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420(HLB:12.6)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0025】
モノマー成分におけるノニオン性乳化剤の含有率は、モノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、さらに一層好ましくは10質量%以上であり、モノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下である。したがって、モノマー成分におけるノニオン性乳化剤の含有率は、好ましくは1~60質量%、より好ましくは3~60質量%、より一層好ましくは5~60質量%、さらに好ましくは10~60質量%、さらに一層好ましくは10~50質量%である。
【0026】
なお、ノニオン性乳化剤には、本発明の目的が阻害されない範囲内で、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤などの他の乳化剤が含まれていてもよい。
【0027】
〔(C)炭素数が15以上である脂肪族有機酸(アルキルエステル)〕
炭素数が15以上である脂肪族有機酸(アルキルエステル)は、化合物全体の炭素数が15以上である脂肪族有機酸または化合物全体の炭素数が15以上である脂肪族有機酸アルキルエステルを意味する。炭素数が15以上である脂肪族有機酸および炭素数が15以上である脂肪族有機酸アルキルエステルは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
【0028】
炭素数が15以上である脂肪族有機酸(アルキルエステル)の炭素数の下限値は、モノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、15以上、好ましくは18以上、より好ましくは22以上であり、その上限値は、特に限定されないが、原料の入手が容易であることから、好ましくは60以下、より好ましくは50以下、さらに好ましくは40以下である。したがって、前記脂肪族有機酸(アルキルエステル)の炭素数は、15以上、好ましくは15~60、より好ましくは15~50、さらに好ましくは18~40、さらに一層好ましくは22~40である。
【0029】
炭素数が15以上である脂肪族有機酸(アルキルエステル)は、重合性不飽和二重結合を有していてもよい。当該重合性不飽和二重結合を有する炭素数が15以上である脂肪族有機酸(アルキルエステル)は、重合性不飽和二重結合を有しているが、前記モノマーXには含まれない。
【0030】
炭素数が15以上である脂肪族有機酸(アルキルエステル)としては、例えば、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、2-デシルテトラデシル(メタ)アクリレートなどの重合性不飽和二重結合を有するアルキルエステル部の炭素数が14以上である有機酸アルキルエステル、2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸ステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリルなどのアルキルエステル部の炭素数が14以上である脂肪族有機酸アルキルエステル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸エチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸2-エチルヘキシルなどの炭素数14以上のアルキル基を有する脂肪族有機酸アルキルエステルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの脂肪族有機酸(アルキルエステル)は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。炭素数が15以上である脂肪族有機酸(アルキルエステル)のなかでは、モノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、アルキルエステル部の炭素数が14以上であり、重合性不飽和二重結合を有する有機酸アルキルエステルおよびエステル部の炭素数が14以上であり、重合性不飽和二重結合を有する脂肪族有機酸アルキルエステルが好ましい。
【0031】
モノマー成分における炭素数が15以上である脂肪族有機酸(アルキルエステル)の含有率は、モノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、モノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、さらに一層好ましくは35質量%以下である。したがって、モノマー成分における前記脂肪族有機酸(アルキルエステル)の含有率は、好ましくは1~50質量%、より好ましくは3~50質量%、より一層好ましくは5~50質量%、さらに好ましくは5~45質量%、さらに一層好ましくは5~40質量%、特に好ましくは5~35質量%である。
【0032】
〔他のモノマー〕
なお、本発明の目的が阻害されない範囲内で、(A)前記モノマーX、(B)前記ノニオン性乳化剤および(C)前記脂肪族有機酸(アルキルエステル)以外の他のモノマーが含まれていてもよい。前記他のモノマーとしては、単官能モノマーおよび多官能モノマーが挙げられる。
【0033】
単官能モノマーとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1~3であるアルキル(メタ)アクリレート、酸基含有モノマー、水酸基含有(メタ)アクリレート、ピペリジル基含有モノマー、オキソ基含有モノマー、フッ素原子含有モノマー、窒素原子含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、シラン基含有モノマー、カルボニル基含有モノマー、アジリジニル基含有モノマー、アラルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0034】
アルキル基の炭素数が1~3であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのモノマーのなかでは、以下で詳述する(D)親油性有効成分に対する溶解性に優れているものが好ましい。また、(D)親油性有効成分に対する(A)モノマーX、(B)ノニオン性乳化剤および(C)脂肪族有機酸(アルキルエステル)の溶解性が低い場合には、当該溶解性を向上させ、転相温度を制御する観点から、メチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0035】
酸基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル、ビニル安息香酸などのカルボキシル基含有脂肪族モノマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの酸基含有モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0036】
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのエステル部の炭素数が1~18の水酸基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの水酸基含有(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0037】
ピペリジル基含有モノマーとしては、例えば、4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイル-1-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-(メタ)アクリロイル-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-クロトノイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-クロトノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-(メタ)アクリロイル-4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-クロトノイル-4-クロトノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0038】
オキソ基含有モノマーとしては、例えば、エチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレートなどの(ジ)エチレングリコール(メトキシ)(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのオキソ基含有モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0039】
フッ素原子含有モノマーとしては、例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートなどのエステル部の炭素数が2~6のフッ素原子含有アルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのフッ素原子含有モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0040】
窒素原子含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-モノメチル(メタ)アクリルアミド、N-モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどのアクリルアミド化合物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの窒素原子含有(メタ)アクリレート化合物、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの窒素原子含有モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0041】
エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、α-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテルなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのエポキシ基含有モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0042】
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリプロポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアルコキシアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0043】
シラン基含有モノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2-スチリルエチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヒドロキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルヒドロキシシランなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのシラン基含有モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0044】
カルボニル基含有モノマーとしては、例えば、アクロレイン、ホウミルスチロール、ビニルエチルケトン、(メタ)アクリルオキシアルキルプロペナール、アセトニル(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートアセチルアセテート、ブタンジオール-1,4-(メタ)アクリレートアセチルアセテート、2-(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカルボニル基含有モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0045】
アジリジニル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸2-アジリジニルエチルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアジリジニル基含有モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0046】
アラルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、メチルベンジル(メタ)アクリレート、ナフチルメチル(メタ)アクリレートなどの炭素数が7~18のアラルキル基を有するアラルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアラルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0047】
多官能モノマーとしては、例えば、トリアリルシアヌレート(シアヌル酸トリアリル)、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミンなどの炭素数9~20のトリアリル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの炭素数1~10の多価アルコールのジ(メタ)アクリレート;エチレンオキシドの付加モル数が2~50のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシドの付加モル数が2~50のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの炭素数2~4のアルキレンオキシド基の付加モル数が2~50であるアルキルジ(メタ)アクリレート;エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノヒドロキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレートなどの炭素数1~10の多価アルコールのトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートなどの炭素数1~10の多価アルコールのテトラ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(モノヒドロキシ)ペンタ(メタ)アクリレートなどの炭素数1~10の多価アルコールのペンタ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの炭素数1~10の多価アルコールのヘキサ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2-(2’-ビニルオキシエトキシエチル)(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多官能モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0048】
〔(D)親油性有効成分〕
親油性有効成分は、所望の性質をモノマーエマルション粒子含有水性分散体に付与するための成分であって、油性成分に対して親油性または油溶性を有する成分である。
【0049】
本発明において、親油性有効成分は、固体の成分ではメチルメタクリレート1000gと当該固体の成分2g以上とを室温(23℃)で混合したときに当該固体の成分がメチルメタクリレートに溶解する成分、および液体の成分ではメチルメタクリレート1000gと当該液体の成分30g以上とを混合し、得られた混合物を室温(23℃)で12時間静置したときに分離しない成分を意味する。
【0050】
親油性有効成分のなかでは、当該有効成分が有する性質を十分に発現させる観点から、固体の成分では当該固体の成分がメチルメタクリレート1000gに対し、室温(23℃)で10g以上溶解するものが好ましく、20g以上溶解するものがより好ましく、50g以上溶解するものがさらに好ましい。
【0051】
また、親油性有効成分のなかでは、当該親油性有効成分の分散安定性を向上させる観点から、固体の成分では当該固体の成分が水1000gに対し、室温(23℃)で10g以上溶解しない成分が好ましい。
【0052】
親油性有効成分の種類は、モノマーエマルション粒子含有水性分散体の用途によって異なることから、当該用途に応じて適宜選択することが好ましい。親油性有効成分は、重合性を有する単量体であってもよい。
【0053】
親油性有効成分としては、例えば、油溶性フタロシアニン系近赤外吸収色素、油溶性アゾ系赤色染料、油溶性クロム錯塩染料、油溶性アントラキノン系染料などの油溶性染料などの油溶性着色剤、BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400、Tinuvin(登録商標)900、Tinuvin(登録商標)928、Tinuvin(登録商標)405、Tinuvin(登録商標)460、Tinuvin(登録商標)479、Tinuvin(登録商標)970;大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93、(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-F70、SHUANG BANG INDUSTRIAL CORP.社製、商品名:SB-UVA650などの油溶性紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87など〕などの油溶性光安定剤、油溶性架橋剤、油溶性酸化防止剤、油溶性香料、油溶性殺虫剤、油溶性消炎鎮痛剤、油溶性清涼化剤、油溶性消臭剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの親油性有効成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0054】
モノマー成分における親油性有効成分の含有率は、当該親油性有効成分の種類によって異なることから一概には決定することができないが、当該親油性有効成分が有する性質を十分に発現させる観点から、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、さらに一層好ましくは0.5質量%以上であり、モノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、さらに一層好ましくは25質量%以下である。したがって、モノマー成分における親油性有効成分の含有率は、好ましくは0.03~50質量%、より好ましくは0.1~50質量%、より一層好ましくは0.3~40質量%、さらに好ましくは0.5~30質量%、さらに一層好ましくは0.5~25質量%である。
【0055】
〔モノマーエマルション粒子含有水性分散体の調製〕
モノマーエマルション粒子含有水性分散体は、前記したように、モノマー成分と水性媒体とを混合し、得られた混合物を攪拌下で当該混合物の転相温度~水性媒体の沸点の温度に加熱した後、前記混合物を当該混合物の転相温度よりも低い温度に冷却することによって調製することができる。
【0056】
本発明のモノマーエマルション粒子含有水性分散体を調製する際には、まずモノマー成分と水性媒体とを混合する。
【0057】
水性媒体としては、例えば、水をはじめ、水と水溶性有機溶媒の混合溶媒が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどの低級アルコール;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールなどの多価アルコール;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。水性媒体における水の含有率は、モノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらに一層好ましくは80質量%以上であり、当該含有率の上限値は100質量%である。水性媒体のなかでは水が好ましい。
【0058】
モノマー成分と水性媒体との質量比(モノマー成分/水性媒体)は、モノマー成分と水性媒体と均一に分散させる観点から、好ましくは20/80~50/50、より好ましくは25/75~45/55、さらに好ましくは30/70~40/60である。
【0059】
モノマー成分と水性媒体とを混合する際の温度は、後述する転相温度などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、好ましくは5~45℃、より好ましくは5~40℃、さらに好ましくは5~35℃である。モノマー成分と水性媒体とを混合する際には、モノマー成分を水性媒体中で均一に分散させるために、攪拌下でモノマー成分を水性媒体に添加することが好ましい。水性媒体を攪拌させる手段として、従来使用されている高粘度塗料用混合機、高圧ホモジナイザーなどの特殊な装置を用いる必要がなく、例えば、攪拌棒、マグネチックスターラーなどの簡単な攪拌装置でモノマー成分を水性媒体中に均一に分散させることができる。
【0060】
次に、モノマー成分と水性媒体とを混合した後、得られた混合物を攪拌下で当該混合物の転相開始温度以上であって水性媒体の沸点未満の温度に加熱した後、撹拌下で転相開始温度よりも低い温度に冷却する。本発明では、当該操作が採られているので、モノマーXおよび親油性有効成分を含有するモノマー成分の分散安定性に優れたモノマーエマルション粒子含有水性分散体が得られる。
【0061】
なお、前記混合物の転相温度は、以下の実施例1に記載の方法に準じて測定したときの値である。本発明において、転相温度のうち、最も低い転相温度を転相開始温度とし、最も高い転相温度を転相終了温度とする。転相温度は特に限定されない。転相温度のうち転相開始温度は、モノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、35℃以上であることが好ましく、45℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましい。また、転相終了温度は、モノマーエマルションの安定性を向上させる観点から、98℃以下であることが好ましく、97℃以下であることがより好ましく、96℃以下であることがさらに好ましい。
【0062】
前記混合物を加熱する際の雰囲気は、特に限定されないが、空気中に含まれている酸素による影響を回避する観点から、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであることが好ましい。
【0063】
前記混合物の加熱温度(加熱したときの最高温度)の下限値は、モノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、前記混合物の転相開始温度以上の温度であるが、前記混合物の転相開始温度よりも0.5℃以上高い温度であることが好ましく、前記混合物の転相開始温度よりも1℃以上高い温度であることがより好ましい。また、前記混合物の加熱温度(加熱したときの最高温度)の下限値は、モノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、前記混合物の転相終了温度以上の温度であることが好ましく、前記混合物の転相終了温度の0.5℃以上であることがより好ましい。
【0064】
前記混合物の加熱温度(加熱したときの最高温度)の上限値は、通常、水性媒体の沸点未満の温度、好ましくは水性媒体の沸点の温度よりも3℃以上低い温度、より好ましくは水性媒体の沸点の温度よりも5℃以上低い温度である。
【0065】
次に、前記混合物の温度が当該混合物の転相開始温度以上であって水性媒体の沸点未満の温度に到達した後、前記混合物を当該混合物の転相温度以下の温度に冷却する。
【0066】
前記混合物の冷却手段には特に限定がない。前記混合物は、例えば、放冷することによって冷却してもよく、空冷によって冷却してもよい。前記混合物は、当該混合物の転相開始温度以下の温度にまで冷却する。前記混合物は、好ましくは当該混合物の転相開始温度よりも10℃以上低い温度、より好ましくは当該混合物の転相開始温度よりも20℃以上低い温度、さらに好ましくは当該混合物の転相開始温度よりも25℃以上低い温度、さらに一層好ましくは当該混合物の転相開始温度よりも30℃以上低い温度にまで冷却する。
【0067】
以上の操作により、本発明のモノマーエマルション粒子含有水性分散体が得られる。なお、本発明のモノマーエマルション粒子含有水性分散体におけるモノマー成分の含有率は、当該モノマーエマルション粒子含有水性分散体の用途などによって異なるので一概には決定することができない。したがって、本発明のモノマーエマルション粒子含有水性分散体におけるモノマー成分の含有率は、当該モノマーエマルション粒子含有水性分散体の用途などに応じて適宜調整することが好ましいが、その上限値は、通常、100質量%である。
【0068】
本発明のモノマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているモノマーエマルション粒子の平均粒子径は、通常、10~200nm、好ましくは10~150nmである。しかし、本発明のモノマーエマルション粒子含有水性分散体の製造方法によれば、平均粒子径が10~100nmである非常に小さいモノマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得ることができる。なお、モノマーエマルション粒子の平均粒子径は、以下の実施例1に記載の方法に基づいて測定されたときの値である。
【0069】
なお、本発明のモノマーエマルション粒子含有水性分散体では、モノマー成分がモノマーエマルション粒子に含有されているが、モノマー成分は、完全にモノマーエマルション粒子に含有されずに不可避的に水性分散体に存在することがある。したがって、本発明のモノマーエマルション粒子含有水性分散体には、本発明の目的が阻害されない範囲内でモノマー成分が懸濁または溶解していてもよい。
【0070】
なお、本発明のモノマーエマルション粒子含有水性分散体には、本発明の目的を阻害しない範囲で、例えば、添加剤などが含まれていてもよい。前記添加剤としては、例えば、顔料などの着色剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、抗酸化剤、重合禁止剤、充填剤、カップリング剤、防錆剤、抗菌剤、金属不活性化剤、湿潤剤、消泡剤、界面活性剤、補強剤、可塑剤、潤滑剤、防曇剤、防食剤、顔料分散剤、流動調整剤、過酸化物分解剤、鋳型脱色剤、蛍光性増白剤、有機防炎剤、無機防炎剤、滴下防止剤、溶融流改質剤、静電防止剤、防藻剤、防カビ剤、難燃剤、スリップ剤、金属キレート剤、アンチブロッキング剤、耐熱安定剤、加工安定剤、分散剤、増粘剤、レオロジーコントロール剤、発泡剤、老化防止剤、防腐剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、成膜助剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの添加剤の量は、当該添加剤の種類によって異なるので一概には決定することができないことから、当該添加剤の種類に応じて適宜決定することが好ましい。
【0071】
本発明のモノマーエマルション粒子含有水性分散体は、前記したように、モノマー成分を含有しているモノマーエマルション粒子の分散安定性に優れている。したがって、本発明のモノマーエマルション粒子含有水性分散体は、従来のようにモノマーと水性媒体とが短時間で分離したり、有効成分が短時間で沈降したりすることがないので、モノマー成分を水性媒体中に長時間にわたって安定して分散させることができる。
【0072】
〔ポリマーエマルション粒子含有水性分散体〕
ポリマーエマルション粒子含有水性分散体は、前記モノマーエマルション粒子含有水性分散体を用い、当該モノマーエマルション粒子に含まれているモノマー成分を重合させることによって調製することができる。モノマーエマルション粒子に含まれているモノマー成分は、通常、乳化重合によって重合させることができる。
【0073】
モノマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているモノマー成分を乳化重合させる方法としては、例えば、前記モノマーエマルション粒子含有水性分散体に乳化剤を溶解させ、得られた溶液に重合開始剤を添加する方法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法のみに限定されるものではない。
【0074】
乳化剤としては、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤、高分子乳化剤などが挙げられ、これらの乳化剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0075】
アニオン性乳化剤としては、例えば、アンモニウムドデシルサルフェート、ナトリウムドデシルサルフェートなどのアルキルサルフェート塩;アンモニウムドデシルスルホネート、ナトリウムドデシルスルホネート、ナトリウムアルキルジフェニルエーテルジスルホネートなどのアルキルスルホネート塩;アンモニウムドデシルベンゼンスルホネート、ナトリウムドデシルナフタレンスルホネートなどのアルキルアリールスルホネート塩;ポリオキシエチレンアルキルスルホネート塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;アリールスルホン酸-ホルマリン縮合物;アンモニウムラウリレート、ナトリウムステアリレートなどの脂肪酸塩;ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレートスルホネート塩、プロペニル-アルキルスルホコハク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルホネート塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンホスフォネート塩、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルホネート塩などのアリル基を有する硫酸エステルまたはその塩;アリルオキシメチルアルコキシエチルポリオキシエチレンの硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0076】
ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの縮合物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、エチレンオキサイドと脂肪族アミンとの縮合生成物、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0077】
カチオン性乳化剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライドなどのアルキルアンモニウム塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0078】
両性乳化剤としては、例えば、ベタインエステル型乳化剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0079】
高分子乳化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリヒドロキシエチルアクリレートなどのポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;これらのポリマーを構成するモノマーのうちの1種類以上を共重合成分とする共ポリマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0080】
また、前記乳化剤のなかでは、耐候性を向上させる観点から重合性基を有する乳化剤、すなわち、いわゆる反応性乳化剤が好ましく、環境保護の観点から非ノニルフェニル型の乳化剤が好ましい。
【0081】
反応性乳化剤としては、例えば、プロペニル-アルキルスルホコハク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルホネート塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンホスフォネート塩〔例えば、三洋化成工業(株)製、商品名:エレミノールRS-30など〕、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルスルホネート塩〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンBC-10、アクアロンHS-10など〕、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルホネート塩〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンKH-10など〕、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレンのスルホネート塩〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSE-10など〕、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-10、SR-30など〕、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化スルホネート塩〔例えば、日本乳化剤(株)製、商品名:アントックスMS-60など〕、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープER-20など〕、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンRN-20など〕、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープNE-10など)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0082】
乳化剤(不揮発分)の量は、前記モノマーエマルション粒子含有水性分散体100質量部あたり、重合安定性を向上させる観点から、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、耐候性を向上させる観点から、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下である。
【0083】
重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、4,4-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)などのアゾ化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、過酸化アンモニウムなどの過酸化物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0084】
重合開始剤の量は、前記モノマーエマルション粒子含有水性分散体100質量部あたり、重合速度を高め、未反応のモノマー成分の残存量を低減させる観点から、好ましくは0.03質量部以上、より好ましくは0.04質量部以上であり、耐候性を向上させる観点から、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。
【0085】
重合開始剤の添加方法は、特に限定されない。その添加方法としては、例えば、一括仕込み、分割仕込み、連続滴下などが挙げられる。
【0086】
なお、重合開始剤の分解を促進するために、例えば、亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤、硫酸第一鉄などの遷移金属塩などの重合開始剤の分解剤を反応系内に適量で添加してもよい。
【0087】
また、ポリマーの重量平均分子量を調整するために、連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、例えば、チオグリコール酸2-エチルヘキシル、tert-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトエタノール、α-メチルスチレン、α-メチルスチレンダイマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。モノマー成分100質量部あたりの連鎖移動剤の量は、ポリマーエマルション粒子に含まれているポリマーの重量平均分子量を調整する観点から、0.01~10質量部であることが好ましい。
【0088】
また、モノマー成分を乳化重合させるとき、耐候性を向上させる観点から、シランカップリング剤を適量で用いてもよい。シランカップリング剤としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基などの重合性不飽和結合を有するシランカップリング剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0089】
また、モノマー成分を乳化重合させる際には、必要により、キレート剤、造膜助剤、pH緩衝剤などの添加剤を反応系内に適量で添加してもよい。
【0090】
モノマー成分を乳化重合させる際の雰囲気は、特に限定されないが、重合開始剤の効率を高める観点から、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであることが好ましい。
【0091】
モノマー成分を乳化重合させる際の重合温度は、特に限定がないが、通常、好ましくは50~100℃、より好ましくは60~85℃である。重合温度は、一定であってもよく、重合反応の途中で変化させてもよい。
【0092】
モノマー成分の重合時間は、特に限定がなく、重合反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、通常、2~9時間程度である。
【0093】
以上のようにしてモノマー成分を乳化重合させることにより、本発明のポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得ることができる。
【0094】
本発明のポリマーエマルション粒子含有水性分散体におけるポリマーエマルション粒子の含有率は、当該ポリマーエマルション粒子含有水性分散体の用途などによって異なるので一概には決定することができない。したがって、本発明のポリマーエマルション粒子含有水性分散体におけるポリマーエマルション粒子の含有率は、当該ポリマーエマルション粒子含有水性分散体の用途などに応じて適宜調整することが好ましい。
【0095】
本発明のポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まるポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、当該ポリマーエマルション粒子含有水性分散体の原料として用いられるモノマーエマルション粒子の平均粒子径とほぼ同一であることから、モノマーエマルション粒子が有する平均粒子径が維持されている。
【0096】
本発明のポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まるポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、通常、10~200nm、好ましくは10~150nmである。本発明のモノマーエマルション粒子含有水性分散体の製造方法によれば、前記したように、平均粒子径が10~100nmである非常に小さい粒子径を有するモノマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得ることができることから、平均粒子径が10~100nmである非常に小さい粒子径を有するポリマーエマルション粒子を含有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得ることができる。なお、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、以下の実施例1に記載の方法に基づいて測定されたときの値である。
【0097】
〔表面に樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体〕
本発明の表面に樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体は、前記ポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させてなる樹脂層を有する。前記ポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層を形成させることにより、ポリマーエマルション粒子含有水性分散体の造膜性の向上を期待することができる。
【0098】
本発明の表面に樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体は、例えば、前記ポリマーエマルション粒子含有水性分散体に、重合開始剤および必要により水性媒体を添加した後、乳化剤および水を用いてあらかじめ樹脂層形成用モノマー成分を乳化させておいた成分を添加する方法、前記ポリマーエマルション粒子含有水性分散体に乳化剤を溶解させ、撹拌下で樹脂層形成用モノマー成分および重合開始剤を滴下させる方法、乳化剤および水を用いてあらかじめ樹脂層形成用モノマー成分を乳化させておいた成分を前記ポリマーエマルション粒子含有水性分散体に滴下させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法のみに限定されるものではない。なお、水性媒体の量は、得られるポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれる不揮発分量を考慮して適宜設定すればよい。
【0099】
前記樹脂層形成用モノマー成分は、前記ポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層を形成させるための成分である。
【0100】
前記樹脂層形成用モノマー成分としては、単官能モノマーおよび多官能モノマーが挙げられる。単官能モノマーおよび多官能モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
【0101】
単官能モノマーとしては、例えば、エチレン性不飽和二重結合含有モノマーが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0102】
エチレン性不飽和二重結合含有モノマーとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、酸基含有モノマー、水酸基含有(メタ)アクリレート、ピペリジル基含有モノマー、オキソ基含有モノマー、フッ素原子含有モノマー、窒素原子含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、シラン基含有モノマー、カルボニル基含有モノマー、アジリジニル基含有モノマー、スチレン系モノマー、アラルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのエチレン性不飽和二重結合含有モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0103】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニルメタクリレートなどのエステル部の炭素数が1~18のアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0104】
前記酸基含有モノマー、前記水酸基含有(メタ)アクリレート、前記ピペリジル基含有モノマー、前記オキソ基含有モノマー、前記フッ素原子含有モノマー、前記窒素原子含有モノマー、前記エポキシ基含有モノマー、前記アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、前記シラン基含有モノマー、前記カルボニル基含有モノマー、前記アジリジニル基含有モノマー、前記スチレン系モノマー、前記アラルキル(メタ)アクリレートおよび前記多官能モノマーとしては、前記モノマーXで例示したものが挙げられる。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0105】
また、前記樹脂層形成用モノマー成分には、エマルション粒子に紫外線安定性または紫外線吸収性を付与する観点から、本発明の目的が阻害されない範囲内で、紫外線安定性モノマーまたは紫外線吸収性モノマーを含有させることが好ましい。樹脂層に紫外線吸収性を付与することにより、造膜性および耐候性に優れたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得ることができる。
【0106】
紫外線安定性モノマーとしては、例えば、4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイル-1-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-(メタ)アクリロイル-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-クロトノイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-クロトノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-(メタ)アクリロイル-4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-クロトノイル-4-クロトノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの紫外線安定性モノマーのなかでは、4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンなどのピペリジル基含有(メタ)アクリレートが好ましい。
【0107】
紫外線吸収性モノマーとしては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性モノマー、ベンゾフェノン系紫外線吸収性モノマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0108】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性モノマーとしては、例えば、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニル]-5-tert-ブチル-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルアミノメチル-5’-tert-オクチルフェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルフェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチル-3’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]-5-シアノ-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]-5-tert-ブチル-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(β-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)-3’-tert-ブチルフェニル]-4-tert-ブチル-2H-ベンゾトリアゾールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0109】
ベンゾフェノン系紫外線吸収性モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシ-4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-[2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシ]プロポキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-[2-(メタ)アクリロイルオキシ]エトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-[3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ]ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-4-[2-(メタ)アクリロイルオキシ]ブトキシベンゾフェノンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0110】
前記樹脂層形成用モノマー成分における紫外線安定性モノマーの含有率は、紫外線安定性を向上させるとともにポリマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、1~5質量%であることが好ましい。また、前記樹脂層形成用モノマー成分における紫外線吸収性モノマーの含有率は、紫外線安定性を向上させるとともにポリマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、1~5質量%であることが好ましい。
【0111】
乳化剤としては、前記アニオン性乳化剤、前記ノニオン性乳化剤、前記カチオン性乳化剤、前記両性乳化剤、前記高分子乳化剤などが挙げられ、これらの乳化剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0112】
樹脂層形成用モノマー成分100質量部あたりの乳化剤の量は、重合安定性を向上させる観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上、さらに一層好ましくは3質量部以上であり、耐候性を向上させる観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下、さらに一層好ましくは4質量部以下である。
【0113】
重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、4,4-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)などのアゾ化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、過酸化アンモニウムなどの過酸化物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0114】
樹脂層形成用モノマー成分100質量部あたりの重合開始剤の量は、重合速度を高め、未反応モノマーの残存量を低減させる観点から、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、耐候性を向上させる観点から、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。
【0115】
重合開始剤の添加方法は、特に限定されない。その添加方法としては、例えば、一括仕込み、分割仕込み、連続滴下などが挙げられる。また、重合反応の終了時期を早める観点から、樹脂層形成用モノマー成分を反応系内に添加する終了前またはその終了後に、重合開始剤の一部を添加してもよい。
【0116】
なお、重合開始剤の分解を促進するために、例えば、亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤、硫酸第一鉄などの遷移金属塩などの重合開始剤の分解剤を反応系内に適量で添加してもよい。
【0117】
また、ポリマーの重量平均分子量を調整するために、前記連鎖移動剤を用いることができる。樹脂層形成用モノマー成分100質量部あたりの連鎖移動剤の量は、ポリマーエマルション粒子の重量平均分子量を調整する観点から、0.01~10質量部であることが好ましい。
【0118】
樹脂層形成用モノマー成分を乳化重合させるとき、ポリマーエマルション粒子の耐候性を向上させる観点から、シランカップリング剤を適量で用いてもよい。シランカップリング剤としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基などの重合性不飽和結合を有するシランカップリング剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0119】
前記樹脂層形成用モノマー成分を乳化重合させる際には、必要により、キレート剤、造膜助剤、pH緩衝剤などの添加剤を反応系内に添加してもよい。添加剤の量は、その種類によって異なるので一概には決定することができないが、通常、樹脂層形成用モノマー成分100質量部あたり、好ましくは0.01~5質量部程度、より好ましくは0.1~3質量部程度である。
【0120】
樹脂層形成用モノマー成分を乳化重合させる際の雰囲気は、特に限定されないが、重合開始剤の効率を高める観点から、窒素ガスなどの不活性ガスであることが好ましい。
【0121】
樹脂層形成用モノマー成分の重合温度は、特に限定がないが、通常、好ましくは50~100℃、より好ましくは60~85℃である。重合温度は、一定であってもよく、重合反応の途中で変化させてもよい。
【0122】
樹脂層形成用モノマー成分を乳化重合させる重合時間は、特に限定がなく、重合反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、通常、2~9時間程度である。
【0123】
以上のようにして樹脂層形成用モノマー成分を乳化重合させることにより、表面に樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得ることができる。表面に樹脂層を有するポリマーエマルション粒子に形成されている樹脂層の厚さは、当該表面に樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体の用途などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、2~50nm程度である。
【0124】
表面に樹脂層を有するポリマーエマルション粒子の内層と表面の樹脂層との質量比〔内層を構成するポリマー/表面の樹脂層を構成するポリマー〕は、通常、好ましくは5/95~80/20、より好ましくは10/90~75/25である。
【0125】
本発明のポリマーエマルション粒子含有水性分散体には、本発明の目的を阻害しない範囲で、例えば、添加剤などが含まれていてもよい。添加剤としては、前記したものを例示することができる。添加剤の量は、当該添加剤の種類によって異なるので一概には決定することができないことから、当該添加剤の種類に応じて適宜決定することが好ましい。
【0126】
なお、耐候性を向上させる観点から、添加剤として黒色顔料または黒色染料を用い、当該黒色顔料または当該黒色染料樹脂層に含有させることが好ましい。
【0127】
ポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は、生産性を向上させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上であり、取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。したがって、ポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は、好ましくは20~70質量%、より好ましくは25~60質量%である。
【0128】
なお、本明細書において、水性樹脂分散体における不揮発分量は、水性樹脂分散体1gを秤量し、熱風乾燥機で110℃の温度で1時間乾燥させ、得られた残渣を不揮発分とし、式:
〔水性樹脂分散体における不揮発分量(質量%)〕
=(〔残渣の質量〕÷〔水性樹脂分散体1g〕)×100
に基づいて求められた値を意味する。
【0129】
〔その他〕
本発明のポリマーエマルション粒子含有水性分散体および表面に樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体には、架橋剤を含有させることにより、架橋性を付与することができる。架橋剤としては、常温で架橋反応を開始するものであってもよく、熱により架橋反応を開始するものであってもよい。架橋剤としては、例えば、オキサゾリン基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、アミノプラスト樹脂などが挙げられる。これらの架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0130】
なお、本発明においては、前記した架橋剤以外にも、例えば、カルボジイミド化合物;ジルコニウム化合物、亜鉛化合物、チタニウム化合物、アルミニウム化合物などに代表される多価金属化合物などの架橋剤を本発明の目的が阻害されない範囲内で用いることができる。
【0131】
また、本発明のポリマーエマルション粒子含有水性分散体および表面に樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体には、本発明の目的が阻害されない範囲内で、例えば、成膜助剤、可塑剤、抑泡剤、顔料、増粘剤、艶消し剤、分散剤、湿潤剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、充填剤、レベリング剤、安定剤、顔料、染料、酸化防止剤などの添加剤が適量で含まれていてもよい。
【0132】
本発明のポリマーエマルション粒子含有水性分散体および表面に樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体は、いずれも、例えば、水性塗料に好適に用いることができる。水性塗料は、前記水性樹脂分散体を含有するものである。
【0133】
水性塗料は、水性樹脂分散体のみで構成されていてもよく、本発明の目的が阻害されない範囲内で、例えば、成膜助剤、可塑剤、抑泡剤、顔料、増粘剤、艶消し剤、分散剤、湿潤剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、充填剤、レベリング剤、安定剤、顔料、染料、酸化防止剤などの1種類または2種類以上を含有していてもよい。水性塗料としては、例えば、エナメル塗料、クリヤー塗料などが挙げられる。
【0134】
水性塗料は、それ単独で1層で塗工してもよく、2層以上に重ね塗りすることによって塗工してもよい。2層以上に重ね塗りすることによって塗工する場合、その一部の層のみが当該水性塗料によって形成されてもよく、全部の層が当該水性塗料で形成されてもよい。重ね塗りは、例えば、プライマー処理やシーラー処理などを施した被塗物に、第1層(例えば、下塗り層)用塗料を塗布して乾燥させた後、第2層(例えば、上塗り層)用塗料を上塗りし、乾燥させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法によって限定されるものではない。
【0135】
水性塗料を塗布する方法としては、例えば、刷毛、バーコーター、アプリケーター、エアスプレー、エアレススプレー、ロールコーター、フローコーターなどを用いた塗布方法が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0136】
水性塗料は、例えば、建築物の外壁、自動車の車体などに塗装する際に好適に使用することができるほか、窯業系建材などの無機質建材にも好適に使用することができる。窯業系建材としては、例えば、瓦、外壁材などが挙げられる。窯業系建材は、無機質硬化体の原料となる水硬性膠着材に無機充填剤、繊維質材料などを添加し、得られた混合物を成形し、得られた成形体を養生し、硬化させることによって得られる。建築物の外装を構成する無機質建材としては、例えば、フレキシブルボード、珪酸カルシウム板、石膏スラグパーライト板、木片セメント板、プレキャストコンクリート板、ALC板、石膏ボードなどが挙げられる。
【実施例】
【0137】
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0138】
なお、以下の実施例および比較例において、特に断りがない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
【0139】
以下の実施例および比較例において、各化合物の略号は、以下の化合物を意味する。
・MMA:メチルメタクリレート
・BMA:n-ブチルメタクリレート
・IBMA:イソブチルメタクリレート
・EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
・EHMA:2-エチルヘキシルメタクリレート
・CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
・St:スチレン
・LMA:ラウリルメタクリレート
・CTA:シアヌル酸トリアリル
・1,6HXA:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート
・KBM-503:メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
・SMA:ステアリルメタクリレート
・C22MA:ベヘニルメタクリレート
・C22A:ベヘニルアクリレート
・DTDMA:デシルテトラデシルメタクリレート
・EHC:2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル
・SS:ステアリン酸ステアリル
・CS-12:2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート
・HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
【0140】
実施例1
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水70部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10部、CHMA12.5部、EHC4.5部および紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕3部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を以下の方法に基づいて測定した。その結果、転相温度は75℃(下限の温度は転相開始温度、以下同様)~88℃(上限の温度は転相終点温度、以下同様)であった。
【0141】
〔転相温度の測定方法〕
2L(リットル)容の反応容器に撹拌装置および温度センサーを取り付け、前記混合物1000gを当該反応容器内に入れて撹拌した。
【0142】
前記反応容器をウォーターバスで昇温させながら当該反応容器内の混合物の温度が1℃上昇する毎に導電率計〔ユーテック(EUTECH)社製、商品名:ラコムテスターPC450〕で電気伝導率を測定した。
【0143】
昇温したときの温度毎に電気伝導率をプロットし、昇温とともに電気伝導率が継続して下がり始めたときの温度を転相開始温度とし、電気伝導率が1.00μS以下になったときの温度を転相終点温度とした。
【0144】
なお、導電率計の測定可能温度の上限を超えても電気伝導率が1.00μS以下にならなかった場合、撹拌下にて転相開始温度よりも高い温度に到達して3分間以上経過しても前記混合物の外観に変化が生じないときの温度を転相温度の終点とした。
【0145】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0146】
反応容器内の混合物の温度が90℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0147】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を以下の方法に基づいて調べた。その結果を表1に示す。
【0148】
(1)分散体安定性
モノマーエマルション粒子含有水性分散体を室温(約25℃)中で12時間静置した後のモノマーエマルション粒子の分散状態およびモノマーエマルション粒子含有水性分散体を室温(約25℃)中で14日間静置した後のモノマーエマルション粒子の分散状態をそれぞれ目視で観察し、以下の評価基準に基づいてモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性を評価した。
〔評価基準〕
○:モノマーエマルション粒子の沈殿およびモノマー成分と水性媒体との分離が認められない。
×:モノマーエマルション粒子の沈殿およびモノマー成分と水性媒体との分離の少なくともいずれかが認められる。
【0149】
(2)平均粒子径
動的光散乱法による粒子径測定装置である多検体ナノ粒子径測定システム〔大塚電子(株)製、商品名:nanoSAQRA〕を用いて、製造直後のモノマーエマルション粒子のキュムラント解析法により得られた平均粒子径(以下、単に平均粒子径という)および製造してから14日間静置した後のモノマーエマルション粒子の平均粒子径を測定した。
【0150】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.4部を添加し、窒素ガスを反応容器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が80℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0151】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液0.9部を添加し、80℃で6時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0152】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、62nmであった。
【0153】
実施例2
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水70部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10部、CHMA12部、SMA5部および紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕3部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は80~92℃であった。
【0154】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0155】
反応容器の内温が95℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0156】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0157】
実施例3
実施例2において、CHMAの量を9部に変更し、SMAの量を9部に変更し、紫外線吸収剤の量を2部に変更したこと以外は、実施例2と同様の操作を行なうことにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。なお、反応装置内に仕込まれた混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定したところ、当該転相温度は80~94℃であった。
【0158】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0159】
実施例4
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水67.2部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕9.6部、CHMA14.4部、EHC4.8部および紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕4部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は78~90℃であった。
【0160】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0161】
反応容器の内温が92℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0162】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0163】
実施例5
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水65部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕7.5部、CHMA17部、C22MA7.5部および紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕3部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は75~88℃であった。
【0164】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0165】
反応容器の内温が90℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0166】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0167】
実施例6
実施例5において、脱イオン水の量を60.0部に変更し、ノニオン性乳化剤の量を13.3部に変更し、CHMAの量を16.6部に変更し、C22MAの量を7.1部に変更したこと以外は、実施例5と同様の操作を行なうことにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。なお、反応装置内に仕込まれた混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定したところ、当該転相温度は75~88℃であった。
【0168】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0169】
実施例7
実施例5において、ノニオン性乳化剤の量を10部に変更し、CHMAの量を15部に変更し、C22MAの量を7部に変更したこと以外は、実施例5と同様の操作を行なうことにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。なお、反応装置内に仕込まれた混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定したところ、当該転相温度は75~88℃であった。
【0170】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0171】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.8部を添加し、窒素ガスを反応容器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が80℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0172】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液1.1部を添加し、80℃で6時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0173】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、74nmであった。
【0174】
実施例8
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水70部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕7.5部、CHMA13部、EHMA2.5部、EHC4部および紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕3部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は78~90℃であった。
【0175】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0176】
反応容器の内温が92℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0177】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0178】
実施例9
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水65部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10部、CHMA16.1部、EHC5.4部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕1.5部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕1.5部および式(I):
【0179】
【0180】
(式中、Rは、それぞれ、式:
【0181】
【0182】
で表わされる基を示す)
で表わされるフタロシアニン系近赤外吸収色素0.5部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は78~90℃であった。
【0183】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0184】
反応容器の内温が92℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0185】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0186】
実施例10
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水65部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10部、CHMA14.7部、C22MA6.8部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕1.4部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕1.4部および式(I)で表わされるフタロシアニン系近赤外吸収色素0.7部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は78~90℃であった。
【0187】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0188】
反応容器の内温が92℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0189】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0190】
実施例11
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水70部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10部、CHMA14.8部、EHC5部および式(I)で表わされるフタロシアニン系近赤外吸収色素0.2部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は75~88℃であった。
【0191】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0192】
反応容器の内温が92℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0193】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0194】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.4部を添加し、窒素ガスを反応容器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が80℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0195】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液0.9部を添加し、80℃で6時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0196】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、59nmであった。
【0197】
実施例12
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水67部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10部、CHMA14部、C22A6部および紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕3部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は78~90℃であった。
【0198】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0199】
反応容器の内温が92℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0200】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0201】
実施例13
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水70部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10部、CHMA12部、DTDMA5部および紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕3部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は78~90℃であった。
【0202】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0203】
反応容器の内温が92℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0204】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0205】
実施例14
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水70部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10部、CHMA13部、SS4部および紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕3部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は80~94℃であった。
【0206】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0207】
反応容器の内温が95℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0208】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0209】
実施例15
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水67部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10部、BMA3.99部、CHMA12部、EHC5部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕2部および赤色染料〔住化ケムテックス(株)製、商品名:Sumiplast Red HL2B〕0.01部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は75~88℃であった。
【0210】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0211】
反応容器の内温が90℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0212】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0213】
実施例16
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水70部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10部、IBMA4部、CHMA8部、EHC5部および紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕3部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は75~88℃であった。
【0214】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0215】
反応容器の内温が90℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0216】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0217】
実施例17
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水70部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10部、EHMA12部、EHC4部および紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕4部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は80~94℃であった。
【0218】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0219】
反応容器の内温が95℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0220】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0221】
実施例18
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水70部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10部、MMA3部、CHMA9部、EHC7部および紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕1部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は80~91℃であった。
【0222】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0223】
反応容器の内温が93℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0224】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0225】
実施例19
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水69部、ノニオン性乳化剤としてセカンダリーアルコールエトキシレート〔(株)日本触媒製、商品名:ソフタノール120、HLB:14.5〕9.9部、St9.9部、SMA9.9部および紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕1.3部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は50~56℃であった。
【0226】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0227】
反応容器の内温が57℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、氷水浴に漬け、撹拌下で内温が10℃以下となるまで冷却することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0228】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0229】
実施例20
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水70部、ノニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープER-10、HLB:12.1〕10部、CHMA15.5部、EHC1.5部および紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕3部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は52~63℃であった。
【0230】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0231】
反応容器の内温が65℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、氷水浴に漬けて攪拌下で冷却し、内温が10℃に到達した時点でアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.4部を添加し、10℃に冷却しながら20分間撹拌することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0232】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0233】
実施例21
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水70部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10.9部、MMA3.0部、CHMA7.0部、EHC4.1部および紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕8.0部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は84~89℃であった。
【0234】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0235】
反応容器の内温が90℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0236】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0237】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.6部を添加し、窒素ガスを反応容器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が80℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0238】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液1.0部を添加し、80℃で6時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0239】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、57nmであった。
【0240】
実施例22
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水70部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕12.3部、MMA3.5部、CHMA13.8部、EHC5.0部、油溶性紫外線吸収剤〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.8部および油溶性アゾ系赤色染料〔中央合成化学(株)製、商品名:Oil Color Red TR-71〕1.6部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は75~83℃であった。
【0241】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0242】
反応容器の内温が85℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0243】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0244】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液3.0部を添加し、窒素ガスを反応容器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が80℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0245】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液1.1部を添加し、80℃で6時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0246】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、47nmであった。
【0247】
実施例23
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水70部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕11.5部、MMA3.1部、EHA5.5部、CHMA5.8部、CTA2.0部、KBM-503を0.5部、EHC4.4部、油溶性紫外線吸収剤〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.7部および油溶性アゾ系赤色染料〔中央合成化学(株)製、商品名:Oil Color Red TR-71〕1.5部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は79~81℃であった。
【0248】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0249】
反応容器の内温が83℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0250】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0251】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.8部を添加し、窒素ガスを反応容器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が80℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0252】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液1.1部を添加し、80℃で6時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0253】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、42nmであった。
【0254】
実施例24
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水70部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕12.3部、MMA3.5部、CHMA13.8部、EHC5.0部、油溶性紫外線吸収剤〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.8部および油溶性クロム錯塩系赤色染料1.6部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は79~85℃であった。
【0255】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0256】
反応容器の内温が87℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0257】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0258】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液3.0部を添加し、窒素ガスを反応容器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が80℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0259】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液1.1部を添加し、80℃で6時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0260】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、50nmであった。
【0261】
実施例25
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水70部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕11.5部、MMA3.1部、EHA5.5部、CHMA5.8部、CTA2.0部、EHC4.4部、油溶性紫外線吸収剤〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.7部および油溶性クロム錯塩赤色染料1.5部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は79~81℃であった。
【0262】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0263】
反応容器の内温が83℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0264】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0265】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.8部を添加し、窒素ガスを反応容器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が80℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0266】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液1.1部を添加し、80℃で6時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0267】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、41nmであった。
【0268】
実施例26
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水70部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕12.3部、MMA3.5部、CHMA11.8部、EHC7.0部、油溶性紫外線吸収剤〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.8部および油溶性クロム錯塩赤色染料1.6部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は86~91℃であった。
【0269】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0270】
反応容器の内温が93℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0271】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0272】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液3.0部を添加し、窒素ガスを反応容器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が80℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0273】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液1.1部を添加し、80℃で6時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0274】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、48nmであった。
【0275】
実施例27
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水70部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10部、MMA1部、CHMA6.8部、EHC4.2部および紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕8部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は80~94℃であった。
【0276】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0277】
反応容器の内温が95℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0278】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0279】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.4部を添加し、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が80℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0280】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液0.9部を添加し、80℃で6時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0281】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、80nmであった。
【0282】
実施例28
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水67部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10.9部、MMA3.0部、CHMA7.0部、St0.4部、1,6HXA0.3部、EHC4.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕3.0部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕3.0部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.3部および油溶性クロム錯塩赤色染料1.0部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は76~83℃であった。
【0283】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0284】
反応容器の内温が86℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0285】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0286】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.6部を添加し、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が72℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0287】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液0.9部を添加し、内温72℃で1時間反応後内温80℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0288】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、51nmであった。
【0289】
実施例29
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水67部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10.8部、MMA3.0部、CHMA10.4部、1,6HXA0.6部、KBM-503を0.7部、EHC3.5部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕2.6部、油溶性アゾ系赤色染料1.3部および油溶性クロム錯塩系黒色染料〔オリヱント化学工業(株)製、商品名:VALIFAST BLACK3810〕0.1部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は75~79℃であった。
【0290】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0291】
反応容器の内温が83℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0292】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0293】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.6部を添加し、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が72℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0294】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液0.9部を添加し、内温72℃で1時間反応後、さらに内温80℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0295】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、53nmであった。
【0296】
実施例30
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水67部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10.8部、MMA3.0部、CHMA11.6部、1,6HXA0.3部、C22A1.1部、3.3部の量のCS-12、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕1.6部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.3部および油溶性クロム錯塩赤色染料1.0部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は67~84℃であった。
【0297】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0298】
反応容器の内温が86℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0299】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0300】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.6部を添加し、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が70℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0301】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液0.9部を添加し、内温70℃で1時間反応後内温80℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0302】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、41nmであった。
【0303】
実施例31
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水64部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10.8部、MMA3.0部、CHMA9.9部、St1.5部、1,6HXA0.3部、EHC4.2部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕2.0部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕2.0部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)970〕0.5部、油溶性紫外線吸収剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-F70〕0.4部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.3部および油溶性クロム錯塩赤色染料1.0部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は72~81℃であった。
【0304】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0305】
反応容器の内温が85℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0306】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0307】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.9部を添加し、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が72℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0308】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液1.0部を添加し、内温72℃で1時間反応後内温80℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0309】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、49nmであった。
【0310】
実施例32
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水67部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕9.5部、MMA3.0部、CHMA12.0部、St0.9部、1,6HXA0.3部、C22A1.1部、3.3部の量のCS-12、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕1.0部、油溶性紫外線吸収剤〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.3部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.3部、油溶性クロム錯塩赤色染料1.0部および油溶性クロム錯塩黒色染料〔オリヱント化学工業(株)製、商品名:VALIFAST BLACK3810〕0.3部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は82~88℃であった。
【0311】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0312】
反応容器の内温が85℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0313】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0314】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.9部を添加し、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が72℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0315】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液1.0部を添加し、内温72℃で1時間反応後内温80℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0316】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、56nmであった。
【0317】
実施例33
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水67部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10.8部、MMA1.0部、CHMA10.2部、St3.8部、1,6HXA0.3部、EHC4.5部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕1.5部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部および油溶性青色染料〔紀和化学工業(株)製、商品名:KP Plast Blue R〕0.5部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は73~82℃であった。
【0318】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0319】
反応容器の内温が85℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0320】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0321】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.6部を添加し、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が72℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0322】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液0.9部を添加し、内温72℃で1時間反応後内温80℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0323】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、53nmであった。
【0324】
実施例34
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水66部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕9.9部、MMA2.0部、CHMA10.2部、St3.8部、1,6HXA0.3部、C22A5.0部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕1.5部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、油溶性青色染料〔紀和化学工業(株)製、商品名:KP Plast Blue R〕0.5部および油溶性クロム錯塩黒色染料〔オリヱント化学工業(株)製、商品名:VALIFAST BLACK3810〕0.4部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は77~88℃であった。
【0325】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0326】
反応容器の内温が90℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0327】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0328】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.9部を添加し、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が72℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0329】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液1.0部を添加し、内温72℃で1時間反応後内温80℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0330】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、64nmであった。
【0331】
実施例35
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水66部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10.9部、MMA3.0部、CHMA9.0部、St0.4部、1,6HXA0.3部、EHC4.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕3.0部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)970〕1.0部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.3部および油溶性黄色染料〔(株)シラド化学製、Oil Yellow 5GS Extra〕1.0部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は74~83℃であった。
【0332】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0333】
反応容器の内温が87℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0334】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0335】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.6部を添加し、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が72℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0336】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液0.9部を添加し、内温72℃で1時間反応後内温80℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0337】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、49nmであった。
【0338】
実施例36
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水67部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10.8部、MMA2.8部、CHMA11.8部、1,6HXA0.3部、EHC4.4部および紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕1.0部、油溶性紫外線吸収剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-F70〕0.3部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.6部および油溶性クロム錯塩黒色染料〔オリヱント化学工業(株)製、商品名:VALIFAST BLACK3810〕1.0部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は82~91℃であった。
【0339】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0340】
反応容器の内温が92℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0341】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0342】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.6部を添加し、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が75℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0343】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液0.9部を添加し、内温75℃で1時間反応後内温80℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0344】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、57nmであった。
【0345】
実施例37
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水67部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10.0部、MMA2.9部、CHMA8.1部、St1.0部、1,6HXA0.3部、EHC4.4部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕2.5部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕0.5部、油溶性紫外線吸収剤(SHUANG BANG INDUSTRIAL CORP.社製、商品名:SB-UVA650)2.0部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕1.0部および油溶性クロム錯塩黒色染料〔オリヱント化学工業(株)製、商品名:VALIFAST BLACK3810〕0.3部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は86~91℃であった。
【0346】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0347】
反応容器の内温が92℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0348】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0349】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.6部を添加し、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が75℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0350】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液0.9部を添加し、内温75℃で1時間反応後内温80℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0351】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、55nmであった。
【0352】
実施例38
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水67部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10.4部、MMA2.9部、CHMA7.7部、St0.8部、1,6HXA0.3部、EHC4.4部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕2.0部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕2.0部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)970〕1.0部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕1.0部および油溶性クロム錯塩黒色染料〔オリヱント化学工業(株)製、商品名:VALIFAST BLACK3810〕0.5部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は80~88℃であった。
【0353】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0354】
反応容器の内温が90℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0355】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0356】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.6部を添加し、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が75℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0357】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液0.9部を添加し、内温75℃で1時間反応後内温80℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0358】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、50nmであった。
【0359】
比較例1
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水70部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕9部、CHMA9部、LMA9部および紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕3部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は80~92℃であった。
【0360】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0361】
反応容器の内温が94℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0362】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0363】
次に、前記得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体を12時間室温中で静置したところ、モノマーエマルション粒子と水性媒体とが分離していることが確認された。
【0364】
比較例2
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水70部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10部、CHMA17部および紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕3部を仕込み、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0365】
反応容器の内温が90℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が30℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得たが、内温が30℃となったときにはモノマーエマルション粒子と水性媒体とがすでに分離していた。このことから、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体は、分散安定性に顕著に劣ることがわかる。
【0366】
なお、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体を100℃まで昇温しても転相温度を確認することができなかった。
【0367】
比較例3
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水77部、アニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕1.8部、MMA20部、ヘキサデカン1部および式(I)で表わされるフタロシアニン系近赤外吸収色素0.2部を仕込み、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0368】
反応容器の内温が90℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が30℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得たが、内温が30℃となったときにはモノマーエマルション粒子と水性媒体とがすでに分離していた。このことから、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体は、分散安定性に顕著に劣ることがわかる。
【0369】
なお、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体を100℃まで昇温しても転相温度を確認することができなかった。
【0370】
【0371】
【0372】
表1および表2に示された結果から、各実施例によれば、高粘度塗料用混合機、高圧ホモジナイザーなどの装置を用いなくても、平均粒子径が小さいモノマーエマルション粒子が長期間にわたって安定して分散しているモノマーエマルション粒子含有水性分散体が得られることがわかる。
【0373】
また、実施例21~38において、前記モノマーエマルション粒子含有水性分散体を用いて得られたポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、その原料として用いられたモノマーエマルション粒子の平均粒子径とほぼ同一であることから、モノマーエマルション粒子が有する平均粒子径を維持することができることがわかる。
【0374】
実施例39
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例11で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体13.3部および脱イオン水26部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0375】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.28部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水16部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液5.76部、MMA14部、EHA12.6部、CHMA8部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.8部およびHEMA0.6部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0376】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に、反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却することにより、実施例11で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は41.8質量%であった。
【0377】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は104nmであった。
【0378】
実施例40
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例11で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体26.4部および脱イオン水44.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0379】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.43部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水5.8部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液3.76部、MMA8.5部、EHA4.8部、CHMA4.1部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.5部およびHEMA0.3部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0380】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に、反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却することにより、実施例11で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.7質量%であった。
【0381】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は75nmであった。
【0382】
実施例41
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例27で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体24部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0383】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.43部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水7.51部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液3.76部、MMA8.9部、EHA8部、CHMA5.1部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.5部およびHEMA0.4部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0384】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却することにより、実施例27で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は30.9質量%であった。
【0385】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は96nmであった。
【0386】
実施例42
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例1で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体24.0部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0387】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.43部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水7.51部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液3.76部、MMA8.9部、EHA8部、CHMA5.1部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.5部およびHEMA0.4部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0388】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却することにより、実施例1で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は30.9質量%であった。
【0389】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は87nmであった。
【0390】
実施例43
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例21で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体12.3部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0391】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.28部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水7.51部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液5.68部、MMA13.8部、EHA12.5部、CHMA7.9部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.6部およびHEMA0.8部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0392】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却することにより、実施例21で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は40.0質量%であった。
【0393】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は96nmであった。
【0394】
実施例44
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例27で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体12.3部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0395】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.28部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水7.51部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液5.68部、MMA13.8部、EHA12.5部、CHMA7.9部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.6部およびHEMA0.8部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0396】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却することにより、実施例21で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は39.7質量%であった。
【0397】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は118nmであった。
【0398】
実施例45
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例22で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体21.0部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0399】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.43部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水7.51部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液3.6部、MMA6.8部、EHA6.0部、CHMA3.8部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.2部およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0400】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却することにより、実施例22で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0401】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は60nmであった。
【0402】
実施例46
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例23で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体22.9部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0403】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.43部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水7.51部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液3.12部、MMA5.7部、EHA5.7部、CHMA3.8部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.2部およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕1.3部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0404】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却することにより、実施例23で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0405】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は62nmであった。
【0406】
実施例47
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例24で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体21.0部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0407】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.43部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水7.51部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液3.6部、MMA6.8部、EHA6.0部、CHMA3.8部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.2部およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0408】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却することにより、実施例24で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0409】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は72nmであった。
【0410】
実施例48
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例25で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体22.9部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0411】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.43部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水7.51部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液3.12部、MMA5.7部、EHA5.7部、CHMA3.8部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.2部およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕1.3部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0412】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却することにより、実施例25で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0413】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は61nmであった。
【0414】
実施例49
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例26で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体21.0部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0415】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.43部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水7.51部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液3.6部、MMA6.8部、EHA6.0部、CHMA3.8部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.2部およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0416】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却することにより、実施例26で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0417】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は63nmであった。
【0418】
実施例50
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例28で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体27.9部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0419】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.6部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水9.1部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.5部、MMA6.0部、EHA6.2部、CHMA3.7部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.6部およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0420】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、実施例28で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0421】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は68nmであった。
【0422】
実施例51
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例28で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体27.9部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0423】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.6部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水9.1部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.5部、MMA6.0部、EHA6.1部、CHMA3.7部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.6部、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部および油溶性クロム錯塩赤色染料0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0424】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、実施例28で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0425】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は70nmであった。
【0426】
実施例52
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例28で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体27.9部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0427】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.6部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水9.1部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.5部、MMA5.8部、EHA5.9部、CHMA3.7部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.6部、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕0.2部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)970〕0.2部および油溶性クロム錯塩黒色染料0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0428】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、実施例28で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0429】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は75nmであった。
【0430】
実施例53
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例29で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体27.9部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0431】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.6部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水9.1部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.5部、MMA6.0部、EHA6.1部、CHMA3.7部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.6部およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部および油溶性クロム錯塩黒色染料0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0432】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、実施例29で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0433】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は63nmであった。
【0434】
実施例54
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例31で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体41.1部および脱イオン水35.1部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0435】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水7.1部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液1.6部、MMA4.5部、EHA4.7部、CHMA2.8部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.6部、HEMA0.2部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.4部およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕0.2部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)970〕0.1部、油溶性紫外線吸収剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-F70〕0.1部、油溶性クロム錯塩赤色染料0.1部および油溶性クロム錯塩黒色染料0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0436】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、実施例31で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0437】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は55nmであった。
【0438】
実施例55
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例32で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体27.9部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0439】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.6部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水9.1部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.5部、MMA5.8部、EHA5.9部、CHMA3.7部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.6部、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕0.2部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)970〕0.1部および油溶性クロム錯塩黒色染料0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0440】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、実施例32で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0441】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は71nmであった。
【0442】
実施例56
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例33で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体30.6部および脱イオン水31.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0443】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.7部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水13.9部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.9部、MMA6.7部、EHA6.9部、CHMA4.1部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.6部およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕0.2部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)970〕0.2部および油溶性クロム錯塩黒色染料0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0444】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、実施例33で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は30.0質量%であった。
【0445】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は67nmであった。
【0446】
実施例57
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例34で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体30.6部および脱イオン水31.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0447】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.7部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水13.9部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.9部、MMA6.7部、EHA6.9部、CHMA4.1部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.6部およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕0.2部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)970〕0.2部および油溶性青色染料0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0448】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、実施例34で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は30.0質量%であった。
【0449】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は78nmであった。
【0450】
実施例58
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例36で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体27.9部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0451】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.6部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水9.1部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.5部、MMA5.8部、EHA5.9部、CHMA3.7部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.6部およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕0.2部および紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)970〕0.2部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0452】
滴下終了時から60分間経過後に25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、実施例36で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0453】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は70nmであった。
【0454】
実施例59
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例37で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体32.6部および脱イオン水28.0部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0455】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.8部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水13.2部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液3.0部、MMA7.3部、EHA7.5部、CHMA4.5部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.5部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.7部およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin400〕0.1部〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕0.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)970〕0.2部および油溶性クロム錯塩黒色染料0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0456】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、実施例37で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は32.0質量%であった。
【0457】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は69nmであった。
【0458】
実施例60
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に実施例38で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体32.6部および脱イオン水28.0部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0459】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.8部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水13.2部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液3.0部、MMA7.6部、EHA7.6部、CHMA4.7部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.5部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.8部およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕0.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕0.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)970〕0.1部および油溶性紫外線吸収剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-F70〕0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0460】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、実施例38で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は32.0質量%であった。
【0461】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は67nmであった。
【0462】
実験例1
実施例41で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例42で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例43で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体および実施例44で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用い、以下の耐候性の評価方法に基づいて耐候性を評価した。
【0463】
また、従来のポリマーエマルション粒子含有水性分散体としてアクリル樹脂エマルション〔(株)日本触媒製、商品名:ユーダブルEF-015〕100部と紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400DW〕4部とを混合することによって調製されたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用い、当該ポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用い、前記と同様にして耐候性を評価した。
【0464】
〔耐候性の評価方法1〕
アクリルポリマーエマルション粒子含有水性分散体〔(株)日本触媒製、商品名:アクリセットEF-005〕100部に対して2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS-12〕10部を添加した試料をサンプルとして用いた。前記サンプルを乾燥後の塗膜の厚さが60μmとなるようにアプリケーターで白色のアクリル樹脂板に塗布し、大気中で23℃にて乾燥させることにより、被膜を形成させた試験板を得た。前記で得られた試験板に各アクリルポリマーエマルション粒子含有水性分散体を乾燥後の塗膜の厚さが20μmとなるようにアプリケーターで上塗りし、大気中で23℃にて乾燥させることにより被膜を形成させて試験板を得た。前記で得られた試験板の被膜面の色差(L0、a0、b0)を色差計〔日本電色工業(株)製、商品名:分光式色差計SE-2000〕で測定した。
【0465】
次に、以下の紫外線照射条件で紫外線照射試験を1200時間行なった後、当該試験板の被膜面の色差(L1、a1、b1)を測定し、試験前後の色調変化(ΔE)を、式:
ΔE=[(L1-L0)2+(a1-a0)2+(b1-b0)2]1/2
に基づいて求めた。その結果、実施例41で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には、試験前後の色調変化(ΔE)が0.15であり、実施例42で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には、試験前後の色調変化(ΔE)が0.32であり、実施例43で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には、試験前後の色調変化(ΔE)が0.27であり、実施例44で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には、試験前後の色調変化(ΔE)が0.31であったのに対し、従来のポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には、試験前後の色調変化(ΔE)が0.84であった。このことから、各実施例で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体は、従来のポリマーエマルション粒子含有水性分散体と対比して、耐候性に優れていることが確認された。
【0466】
〔紫外線照条件〕
JIS A6909に準じた試験条件でスーパーキセノンウェザーメーター〔スガ試験機(株)製、品番:SX2D-75〕を用いて紫外線を照射した。
【0467】
実験例2
実施例45で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例46で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例47で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例48で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例49で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例50で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例51で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例52で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例53で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例54で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例55で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例56で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例57で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例58で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、および実施例60で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、以下のヘイズの測定方法に基づいてヘイズを測定した。
【0468】
各実施例で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体と対比するために、アクリル樹脂エマルション〔(株)日本触媒製、商品名:ユーダブルEF-015〕100部に油溶性アゾ系赤色染料〔中央合成化学(株)製、商品名:Oil Color Red TR-71〕1.35部または油溶性クロム錯塩赤色染料1.35部を添加することにより、ポリマーエマルション粒子含有水性分散体を調製した。しかし、いずれのポリマーエマルション粒子含有水性分散体でも染料が沈殿し、分散しなかった。
【0469】
また、アクリル樹脂エマルション〔(株)日本触媒製、商品名:ユーダブルEF-015〕100部に赤色顔料の水分散体〔山陽色素(株)製、商品名:EMACOL RED3303〕3.7部を混合することにより、従来のポリマーエマルション粒子含有水性分散体を調製した。前記で得られた従来のポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用い、前記と同様にしてヘイズを測定した。
【0470】
各ポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いてヘイズを測定した。その結果、ヘイズ値は、実施例45で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には2.1であり、実施例46で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には4.3であり、実施例47で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には2.3であり、実施例48で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には4.7であり、実施例49で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には2.2であった。また、ヘイズ値は、実施例50で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には0.4であり、実施例51で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には0.8であり、実施例52で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には1.2であり、実施例53で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には0.7であり、実施例54で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には0.9であり、実施例55で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には1.3であり、実施例56で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には0.6であり、実施例57で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には0.9であり、実施例58で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には1.2であり、実施例50で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体と実施例60で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には1.4であった。これに対して、従来のポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には、ヘイズ値は66.7であった。
【0471】
以上の結果から、各実施例で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体は、従来のポリマーエマルション粒子含有水性分散体よりも濁りの度合いが顕著に小さいことがわかる。
【0472】
〔ヘイズの測定方法〕
ガラス板に各アクリルポリマーエマルション粒子含有水性分散体を乾燥後の塗膜の厚さが60μmとなるようにアプリケーターで塗布し、80℃の乾燥機で2時間乾燥させることにより被膜を形成させて試験板を得た。
【0473】
なお、実施例60に関しては、ガラス板に実施例50のアクリルポリマーエマルション粒子含有水性分散体を乾燥後の塗膜の厚さが60μmとなるようにアプリケーターで塗布し、80℃の乾燥機で2時間乾燥させた後、その塗膜上に実施例60のアクリルポリマーエマルション粒子含有水性分散体を乾燥後の塗膜の厚さが60μmとなるようにアプリケーターで塗布し、80℃の乾燥機で2時間乾燥させて被膜を形成させ、複層塗膜の試験板を得た。
【0474】
前記で得られた試験板の被膜面のヘイズをASTM-D-1003-97-Cに規定の条件に準拠して分光測色計〔コニカミノルタ(株)製、品番:CM-3700A〕を用いて測定した。
【0475】
実験例3
実施例50で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例52で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例56で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体実施例、実施例57で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例58で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例60で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用い以下の耐候性の評価方法に基づいて耐候性を評価した。
【0476】
また、従来の溶剤系アクリル樹脂として〔(株)日本触媒製、商品名:ユーダブルS-5115〕100部に、油溶性クロム錯塩赤色染料1.3部をメチルエチルケトン20部に溶解させた溶液を添加することにより、赤色染料が溶解したアクリル樹脂溶液を得た。また、溶剤系アクリル樹脂として〔(株)日本触媒製、商品名:ユーダブルS-5115〕100部に、油溶性青色染料〔紀和化学工業(株)製、商品名:KP Plast Blue R〕0.5部をトルエン20部に溶解させ溶液を添加することにより、青色染料が溶解したアクリル樹脂溶液を得た。これらのアクリル樹脂溶液を用い、前記と同様にして耐候性を評価した。
【0477】
〔耐候性の評価方法2〕
アルミニウム板〔日本テストパネル(株)製、縦:150mm、横:70mm、厚さ:0.8mm〕に実施例52で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例57で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体または染料が溶解したアクリル樹脂溶液を乾燥後の塗膜の厚さが40μmとなるようにそれぞれアプリケーターで塗布し、80℃の乾燥機で2時間乾燥させた後、各塗膜上に紫外線カットコーティング剤〔(株)日本触媒製、商品名:ハルスハイブリッドUV-G101〕10部とトルエン6部と6-イソシアナトヘキシルカルバミド酸6-〔3-(6-イソシアナトヘキシル)-2,4-ジオキソ-1,3-ジアゼチジン-1-イル]ヘキシル2部とを混合し、混合を開始した時点から1時間以内に乾燥後の塗膜の厚さが40μmとなるようにそれぞれアプリケーターで塗布し、空気中で23℃にて24時間乾燥させて被膜を形成させ、試験板を得た。なお、赤色染料が溶解したアクリル樹脂溶液では、乾燥時に染料の凝集が確認された。
【0478】
また、実施例56で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体に関しては、アルミニウム板〔日本テストパネル(株)製、縦:150mm、横:70mm、厚さ:0.8mm〕に乾燥後の塗膜の厚さが40μmとなるようにアプリケーターで塗布し、80℃の乾燥機で2時間乾燥させることにより被膜を形成させた後、その塗膜上に実施例60のアクリルポリマーエマルション粒子含有水性分散体を乾燥後の塗膜の厚さが40μmとなるようにアプリケーターで塗布し、80℃の乾燥機で2時間乾燥させた後、その塗膜上に紫外線カットコーティング剤〔(株)日本触媒製、商品名:ハルスハイブリッドUV-G101〕10部とトルエン6部と6-イソシアナトヘキシルカルバミド酸6-[3-(6-イソシアナトヘキシル)-2,4-ジオキソ-1,3-ジアゼチジン-1-イル]ヘキシル2部との混合液を混合を開始した時点から1時間以内に乾燥後の塗膜の厚さが40μmとなるようにそれぞれアプリケーターで塗布し、大気中で23℃にて24時間乾燥させ、被膜を形成させて試験板を得た。
【0479】
前記で得られた試験板の被膜面の色差(L0、a0、b0)を色差計〔日本電色工業(株)製、商品名:分光式色差計SE-2000〕で測定した。
【0480】
次に、以下の紫外線照射条件で紫外線を504時間照射した後、当該試験板の被膜面の色差(L1、a1、b1)を測定し、紫外線の照射による色調変化(ΔE)を式:
ΔE=[(L1-L0)2+(a1-a0)2+(b1-b0)2]1/2
に基づいて求めた。
【0481】
その結果、実施例52で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には9.8であり、実施例57で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には8.8であり、実施例50で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体と実施例58で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には6.9であり、実施例56で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体と実施例60で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には7.2であった。これに対して、紫外線の照射による色調変化(ΔE)は、赤色染料が溶解したアクリル樹脂溶液を用いた場合には37.5であり、青色染料が溶解したアクリル樹脂溶液を用いた場合には29であった。
【0482】
以上の結果から、各実施例で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体は、従来のアクリル樹脂溶液を用いた場合と対比して、耐候性に優れていることが確認された。
【0483】
〔紫外線照条件〕
スガ試験機(株)製、商品名:メタリングウェザーメータM6Tを用い、以下の条件で紫外線を照射した。
サイクル:照射16時間、暗黒6時間
照射強度:0.50kWh
BPT温度:照射時63℃
相対湿度:照射時50%、暗黒時98%
【産業上の利用可能性】
【0484】
本発明のモノマーエマルション粒子含有水性分散体およびポリマーエマルション粒子含有水性分散体は、いずれも、例えば、塗料、コーティング、インク、粘着剤、接着剤、電子材料、化粧品、医薬、蓄熱材、繊維、土木などの用途に有用である。