(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】KRas G12Cの阻害剤及びそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20241129BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20241129BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241129BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241129BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241129BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241129BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
C07D471/04 116
C07D471/04 CSP
A61K31/519
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
A61P43/00 105
A61K45/00
A61K31/7068
(21)【出願番号】P 2023171856
(22)【出願日】2023-10-03
(62)【分割の表示】P 2022153381の分割
【原出願日】2018-09-07
【審査請求日】2023-10-31
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・アラン・ランマン
(72)【発明者】
【氏名】ション・ブッカー
(72)【発明者】
【氏名】クリフォード・グッドマン
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・ビー・リード
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ディー・ロー
(72)【発明者】
【氏名】フイ-リン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ニン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】アナ・エレナ・ミナッチ
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・ブルツ
(72)【発明者】
【氏名】ビクター・ジェイ・シー
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-532656(JP,A)
【文献】国際公開第2017/087528(WO,A1)
【文献】特表2016-538345(JP,A)
【文献】特表2020-504738(JP,A)
【文献】国際公開第2016/168540(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
C12N
C07K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、
Aは、独立して、N又はCHであり;
Wは、独立して、N又はCHであり;
A及びWの一方又は両方は、Nであり;
R
1及びR
2は、独立して、ハロ、-C
1~C
8アルキル、-C
2~C
8アルケニル、-C
2~C
8アルキニル、-OCF
3、-NO
2、-CN、-NC、-OH、アルコキシ、アミノ、-CO
2H、-CO
2C
1~C
8アルキル、-OCOC
1~C
8アルキル、-C
3~C
10シクロアルキル、-C
3~C
10ヘテロシクロアル、-C
5~C
10アリール又は-C
5~C
10ヘテロアリールであり;
R
3は、1つ又は2つのR
5置換基によって置換されたフェニルであり;
R
5は、独立して、1つ以上のハロ、-OH又はNH
2から選択され;
R
4は、ハロである)
の構造を有する化合物又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、前記その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくは前記そのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【請求項2】
式(Ia)
【化2】
の構造を有する、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
Aは、Nである、請求項1又は2に記載の化合物又は塩。
【請求項4】
Wは、Nである、請求項1又は2に記載の化合物又は塩。
【請求項5】
Aは、Nであり、且つWは、Nである、請求項1又は2に記載の化合物又は塩。
【請求項6】
R
1及びR
2は、独立して、-C
1~C
8アルキル又は-C
3~C
10シクロアルキルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又は塩。
【請求項7】
R
1及びR
2は、独立して、イソプロピル又はシクロプロピルある、請求項6に記載の化合物又は塩。
【請求項8】
R
3は、
【化3】
である、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物又は塩。
【請求項9】
R
3は、
【化4】
である、請求項8に記載の化合物又は塩。
【請求項10】
R
4は、Clである、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物又は塩。
【請求項11】
R
4は、Fである、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物又は塩。
【請求項12】
【化5】
である、請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
【化6】
である、請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項15】
がん治療に使用するための請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記がんは、非小細胞肺がん、小腸がん、虫垂がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、膵臓がん、皮膚がん、胃がん、鼻腔がん又は胆管がんである、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記がんは、非小細胞肺がんである、請求項
16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記がんは、結腸直腸がんである、請求項
16に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記がんは、膵臓がんである、請求項
16に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記がんは、KRAS G12C変異を有する、請求項
15~
19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
がん治療のための医薬の製造のための、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項22】
前記がんは、非小細胞肺がん、小腸がん、虫垂がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、膵臓がん、皮膚がん、胃がん、鼻腔がん又は胆管がんである、請求項
21に記載の使用。
【請求項23】
前記がんは、非小細胞肺がんである、請求項
22に記載の使用。
【請求項24】
前記がんは、結腸直腸がんである、請求項
22に記載の使用。
【請求項25】
前記がんは、膵臓がんである、請求項
22に記載の使用。
【請求項26】
前記がんは、KRAS G12C変異を有する、請求項
21~
25のいずれか一項に記載の使用。
【請求項27】
KRAS G12C変異を有するがんの治療に使用するための、化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含有する医薬組成物であって、前記化合物は、
【化7】
又はその薬学的に許容される塩であり、且つ前記がんは、非小細胞肺がん、結腸直腸がん、又は膵臓がんである、医薬組成物。
【請求項28】
前記がんは、非小細胞肺がんである、請求項
27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記がんは、結腸直腸がんである、請求項
27に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記がんは、膵臓がんである、請求項
27に記載の医薬組成物。
【請求項31】
KRAS G12C変異を有するがんの治療に使用するための、化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含有する医薬組成物であって、前記化合物は、
【化8】
であり、且つ前記がんは、非小細胞肺がん、結腸直腸がん、又は膵臓がんである、医薬組成物。
【請求項32】
前記がんは、非小細胞肺がんである、請求項
31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記がんは、結腸直腸がんである、請求項
31に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記がんは、膵臓がんである、請求項
31に記載の医薬組成物。
【請求項35】
KRAS G12C変異を有するがん治療のための医薬の製造のための化合物の使用であって、前記化合物は、
【化9】
又はその薬学的に許容される塩であり、且つ前記がんは、非小細胞肺がん、結腸直腸がん、又は膵臓がんである、使用。
【請求項36】
前記がんは、非小細胞肺がんである、請求項
35に記載の使用。
【請求項37】
前記がんは、結腸直腸がんである、請求項
35に記載の使用。
【請求項38】
前記がんは、膵臓がんである、請求項
35に記載の使用。
【請求項39】
KRAS G12C変異を有するがん治療のための医薬の製造のための化合物の使用であって、前記化合物は、
【化10】
であり、且つ前記がんは、非小細胞肺がん、結腸直腸がん、又は膵臓がんである、使用。
【請求項40】
前記がんは、非小細胞肺がんである、請求項
39に記載の使用。
【請求項41】
前記がんは、結腸直腸がんである、請求項
39に記載の使用。
【請求項42】
前記がんは、膵臓がんである、請求項
39に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電子フォーマットの配列表と共に出願されている。配列表は、2018年9月7日に作成されたA-2202-US-NP_SeqList_090618_ST25.txtという名称のファイルとして提供され、サイズが15.13kbである。電子フォーマットの配列表における情報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、KRAS G12C変異体の阻害剤として作用できる化合物及びKRAS G12C変異体の阻害剤である化合物を含む組成物に関する。化合物及び組成物は、KRAS G12C変異体を不活性化し、且つ様々な疾患状態を治療するために使用され得る。そのような化合物が使用され得る1つの分野の例は、腫瘍状態の治療におけるものである。
【背景技術】
【0003】
KRAS遺伝子変異は、膵臓がん、肺腺がん、大腸がん、胆のうがん、甲状腺がん及び胆管がんにおいて一般的である。KRAS変異は、NSCLC患者の約25%でも観察され、いくつかの研究は、KRAS変異がNSCLC患者の負の予後因子であることを示している。最近、V-Ki-ras2 Kirstenラット肉腫ウイルスのがん遺伝子相同体(KRAS)変異は、大腸がんにおける上皮成長因子受容体(EGFR)標的療法に対する耐性を付与することが見出されており、したがって、KRASの変異状態は、TKI療法の処方前に重要な情報を提供することができる。総合すると、膵臓がん、肺腺がん又は大腸がんを有する患者、特にKRAS変異を特徴とするこのようながんを有すると診断された患者及び化学療法後に進行した患者を含む患者のための新しい医学的治療の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様では、一実施形態は、式(I)
【化1】
(式中、
Aは、独立して、N又はCHであり;
Wは、独立して、N又はCHであり;
A及びWの一方又は両方は、Nであり;
R
1及びR
2は、独立して、分岐状又は直鎖状C
1~6アルキルであり;
R
3は、1つ又は2つのR
5置換基によって置換されたフェニルであり;
R
5は、独立して、1つ以上のハロ、-OH又はNH
2から選択され;
R
4は、ハロである)
の構造を有する化合物又はその立体異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩を含む。本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、式(Ia)
【化2】
の構造を有する、実施形態1の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0005】
Aは、Nである、実施形態1又は2の化合物。
【0006】
Aは、CHである、実施形態1又は2の化合物。
【0007】
Wは、Nである、実施形態1又は2の化合物。
【0008】
Wは、CHである、実施形態1又は2の化合物。
【0009】
R1は、CH3である、実施形態1~6のいずれか1つの化合物。
【0010】
R1は、CH(CH3)2である、実施形態1~6のいずれか1つの化合物。
【0011】
R2は、CH3である、実施形態1~8のいずれか1つの化合物。
【0012】
R2は、CH(CH3)2である、実施形態1~8のいずれか1つの化合物。
【0013】
R5は、ハロである、実施形態1~10のいずれか1つの化合物。
【0014】
R5は、Fである、実施形態11の化合物。
【0015】
R5は、-OHである、実施形態1~10のいずれか1つの化合物。
【0016】
R5は、-NH2である、実施形態1~10のいずれか1つの化合物。
【0017】
R
3は、
【化3】
である、実施形態1~10のいずれか1つの化合物。
【0018】
R
3は、
【化4】
である、実施形態15の化合物。
【0019】
R
3は、
【化5】
である、実施形態15の化合物。
【0020】
R
3は、
【化6】
である、実施形態15の化合物。
【0021】
R4は、ハロである、実施形態1~18のいずれか1つの化合物。
【0022】
R4は、Clである、実施形態19の化合物。
【0023】
R4は、Fである、実施形態19の化合物。
【0024】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、式(II)
【化7】
(式中、
Aは、独立して、N又はCHであり;
Wは、独立して、N又はCHであり;
A及びWの一方又は両方は、Nであり;
R
1及びR
2は、独立して、分岐状又は直鎖状C
1~6アルキルであり;
R
3は、1つ又は2つのR
5置換基によって置換されたフェニルであり;
R
5は、独立して、1つ以上のハロ、-OH又はNH
2から選択され;及び
R
4は、ハロである)
の構造を有する化合物又は又はその立体異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩を含む。
【0025】
式(IIa)
【化8】
の構造を有する、実施形態22の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0026】
Aは、Nである、実施形態22又は23の化合物。
【0027】
Aは、CHである、実施形態22又は23の化合物。
【0028】
Wは、Nである、実施形態22又は23の化合物。
【0029】
Wは、CHである、実施形態22又は23の化合物。
【0030】
R1は、CH3である、実施形態22~27のいずれか1つの化合物。
【0031】
R1は、CH(CH3)2である、実施形態22~27のいずれか1つの化合物。
【0032】
R2は、CH3である、実施形態22~29のいずれか1つの化合物。
【0033】
R2は、CH(CH3)2である、実施形態22~29のいずれか1つの化合物。
【0034】
R5は、ハロである、実施形態22~31のいずれか1つの化合物。
【0035】
R5は、Fである、実施形態32の化合物。
【0036】
R5は、-OHである、実施形態22~31のいずれか1つの化合物。
【0037】
R5は、-NH2である、実施形態22~31のいずれか1つの化合物。
【0038】
R
3は、
【化9】
である、実施形態22~31のいずれか1つの化合物。
【0039】
R
3は、
【化10】
である、実施形態36の化合物。
【0040】
R
3は、
【化11】
である、実施形態36の化合物。
【0041】
R
3は、
【化12】
である、実施形態36の化合物。
【0042】
R4は、ハロである、実施形態22~39のいずれか1つの化合物。
【0043】
R4は、Clである、実施形態40の化合物。
【0044】
R4は、Fである、実施形態40の化合物。
【0045】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
から選択される構造を有する化合物又はその立体異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩を含む。
【0046】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、
【化17】
【化18】
【化19】
から選択される構造を有する化合物を含む。
【0047】
薬学的に許容される塩の形態における、実施形態44の化合物。
【0048】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、実施形態1~45のいずれか1つの化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を含む。
【0049】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化20】
を有する化合物を含む。
【0050】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化21】
を有する化合物を含む。
【0051】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化22】
を有する化合物を含む。
【0052】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化23】
を有する化合物を含む。
【0053】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化24】
を有する化合物を含む。
【0054】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化25】
を有する化合物を含む。
【0055】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化26】
を有する化合物を含む。
【0056】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化27】
を有する化合物を含む。
【0057】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化28】
を有する化合物を含む。
【0058】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化29】
を有する化合物を含む。
【0059】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化30】
を有する化合物を含む。
【0060】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化31】
を有する化合物を含む。
【0061】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化32】
を有する化合物を含む。
【0062】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化33】
を有する化合物を含む。
【0063】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化34】
を有する化合物を含む。
【0064】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化35】
を有する化合物を含む。
【0065】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化36】
を有する化合物を含む。
【0066】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化37】
を有する化合物を含む。
【0067】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化38】
を有する化合物を含む。
【0068】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化39】
を有する化合物を含む。
【0069】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化40】
を有する化合物を含む。
【0070】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化41】
を有する化合物を含む。
【0071】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化42】
を有する化合物を含む。
【0072】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、構造
【化43】
を有する化合物を含む。
【0073】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、薬学的に許容される塩の形態における、実施例47~70のいずれか1つの化合物を含む。
【0074】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、実施形態1~45及び47~71のいずれか1つの化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を含む。
【0075】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、細胞中でKRAS G12Cを阻害する方法であって、細胞を、実施形態1~45及び47~71のいずれか1つの化合物又は実施形態46若しくは72の組成物と接触させることを含む方法を含む。
【0076】
本発明の別の態様では、本発明の別の実施形態は、対象におけるがんを治療する方法であって、治療有効量の、実施形態1~45及び47~71のいずれか1つの化合物又は実施形態46若しくは72の組成物を対象に投与することを含む方法を含む。
【0077】
がんは、肺がん、膵臓がん又は大腸がんである、実施形態74の方法。
【0078】
式I、Ia、II及びIIaの化合物の多数の他の実施形態が本明細書に記載される。
【0079】
少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、担体若しくは希釈剤及び実施形態のいずれか1つに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、その互変異性体、互変異性体の薬学的に許容される塩、前述のいずれかの立体異性体又はその混合物を含む医薬組成物も提供される。
【0080】
本明細書に開示される化合物は、薬学的に許容される塩の形態であり得る。提供される化合物は、本明細書に開示される化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬製剤に製剤化することができる。
【0081】
細胞中でKRAS G12Cを阻害する方法であって、細胞を、本明細書に開示される化合物又は組成物と接触させることを含む方法も提供される。さらに、対象におけるがんを治療する方法であって、治療有効量の、本明細書に開示される化合物又は組成物を対象に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、がんは、肺がん、膵臓がん又は大腸がんである。
【0082】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲から当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0083】
定義
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
本発明の説明に関連して(特に特許請求の範囲に関連して)、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」及び類似の指示対象の使用は、別段の指示がない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書中に別段の指示がない限り、その範囲内に入るそれぞれの別個の値に個別に言及する簡潔な方法としての役割を果たすことを意図しているに過ぎず、それぞれの個別の値は、あたかも個別に本明細書に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書で提供されるあらゆる例又は例示的表現(例えば、「など」)の使用は、本発明をよりよく説明することを意図し、別段の主張がない限り、本発明の範囲に対する限定ではない。本明細書のいかなる表現も、特許請求されていない要素を本発明の実施に不可欠のものとして示していると解釈されるべきではない。
【0088】
本明細書で使用する場合、用語「アルキル」は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル及び2-エチルブチルを含むが、これらに限定されない直鎖状及び分枝状C1~C8炭化水素基を指す。Cm~nという用語は、アルキル基が「m」~「n」個の炭素原子を有することを意味する。「アルキレン」という用語は、置換基を有するアルキル基を指す。アルキル(例えば、メチル)基又はアルキレン(例えば、-CH2-)基は、例えば、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノ、アルキルアミノ、-C1~8アルキル、-C2~8アルケニル、-C2~8アルキニル、-NC、アミノ、-CO2H、-CO2C1~C8アルキル、-OCOC1~C8アルキル、-C3~C10シクロアルキル、-C3~C10ヘテロシクロアルキル、-C5~C10アリール及び-C5~C10ヘテロアリールから独立して選択されるうちの1つ以上、典型的には1~3つで置換され得る。用語「ハロアルキル」は、特に、アルキル基の水素の少なくとも1個、例えば1~6個又は全てがハロ原子で置換されているアルキル基を指す。
【0089】
用語「アルケニル」及び「アルキニル」は、それぞれ二重結合又は三重結合をさらに含むアルキル基を表す。
【0090】
本明細書で使用する場合、用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを指す。用語「アルコキシ」は、-ORとして定義され、ここで、Rは、アルキルである。
【0091】
本明細書で使用する場合、用語「アミノ」又は「アミン」は、-NR2基を互換的に指し、ここで、各Rは、例えば、H又は置換基である。いくつかの実施形態では、アミノ基は、さらに置換されて、アンモニウムイオン、例えばNR3+を形成する。アンモニウム部分は、特に「アミノ」又は「アミン」の定義に含まれる。置換基は、例えば、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミド又はカルボキシラートであり得る。R基は、例えば、ハロ、シアノ、アルケニル、アルキニル、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、尿素、カルボニル、カルボキシラート、アミン及びアミドから選択される1つ以上、例えば1~4つの基でさらに置換され得る。「アミド(amide)」又は「アミド(amido)」基は、アミン又はアミノ基に類似の基を互換的に指すが、-C(O)、例えば-C(O)NR2をさらに含む。いくつかの考えられるアミノ又はアミド基(いくつかは、任意選択のアルキレン基、例えばアルキレン-アミノ又はアルキレン-アミドを伴う)としては、-CH2NH2、-CH(CH3)NH2、-CH(CH3)2NH2、-CH2CH2NH2、-CH2CH2N(CH3)2、-CH2NHCH3、-C(O)NHCH3、-C(O)N(CH3)2、-CH2C(O)NHフェニル、-CH2NHC(O)CH3、-CH2NHCH2CH2OH、-CH2NHCH2CO2H及び-CH2NH(CH3)CH2CO2CH3が挙げられる。
【0092】
集合的に、抗体は、免疫グロブリンとして知られる血漿タンパク質のファミリーを形成し、免疫グロブリンドメインから構成される。(Janeway et al.,Immunobiology:The Immune System in Health and Disease,4th ed.,Elsevier Science Ltd./Garland Publishing,1999。本明細書で使用する場合、用語「抗体」は、重鎖及び軽鎖を含み、且つ可変領域及び定常領域を含む、従来の免疫グロブリン型を有するタンパク質を指す。例えば、抗体は、2つの同一のポリペプチド鎖の対である「Y型」構造であり、各対が1つの「軽鎖」(典型的に約25kDaの分子量を有する)及び1つの「重鎖」(典型的に約50~70kDaの分子量を有する)を有する、IgGであり得る。抗体は、可変領域及び定常領域を有する。IgG型において、可変領域は、一般に、約100~110又はそれを超えるアミノ酸であり、3つの相補性決定領域(CDR)を含み、主に抗原認識に関与し、異なる抗原に結合する他の抗体と実質的に異なる。定常領域は、抗体が免疫系の細胞及び分子を動員するのを可能にする。可変領域は、軽鎖及び重鎖のそれぞれのN末端領域からなる一方、定常領域は、重鎖及び軽鎖のそれぞれのC末端部分からなる。(Janeway et al.,“Structure of the Antibody Molecule and the Immunoglobulin Genes”,Immunobiology:The Immune System in Health and Disease,4th ed.Elsevier Science Ltd./Garland Publishing,(1999))。
【0093】
抗体のCDRの一般構造及び特性は、当技術分野において記載されている。簡潔に述べれば、抗体スキャフォールド中、CDRは、重鎖及び軽鎖可変領域のフレームワーク内に埋め込まれ、大部分は、抗原結合及び抗原認識に関与する領域を構成する。可変領域は、通常、フレームワーク領域(Kabat et al.,1991によりフレームワーク領域1~4、FR1、FR2、FR及びFR4と命名される;上掲のChothia and Lesk,1987も参照されたい)内に少なくとも3つの重鎖又は軽鎖CDRを含む(Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Public Health Service N.I.H.,Bethesda,Md.;Chothia and Lesk,1987,J.Mol.Biol.196:901-917;Chothia et al.,1989,Nature 342:877-883も参照されたい)。
【0094】
抗体は、当技術分野において知られる任意の定常領域を含み得る。ヒト軽鎖は、カッパ軽鎖及びラムダ軽鎖に分類される。重鎖は、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ又はイプシロンに分類され、それぞれIgM、IgD、IgG、IgA及びIgEとして抗体のアイソタイプを定義する。IgGは、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含むが、これらに限定されない複数のサブクラスを有する。IgMは、IgM1及びIgM2を含むが、これらに限定されないサブクラスを有する。本開示の実施形態は、抗体のそのようなクラス又はアイソタイプを全て含む。軽鎖定常領域は、例えば、カッパ型又はラムダ型軽鎖定常領域、例えばヒトカッパ型又はラムダ型軽鎖定常領域であり得る。重鎖定常領域は、例えば、アルファ型、デルタ型、イプシロン型、ガンマ型又はミュー型重鎖定常領域、例えばヒトアルファ型、デルタ型、イプシロン型、ガンマ型又はミュー型重鎖定常領域であり得る。したがって、例示的な実施形態では、抗体は、アイソタイプIgA、IgD、IgE、IgG又はIgMの抗体であり、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4のいずれか1つを含む。
【0095】
抗体は、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、哺乳動物、例えばマウス、ウサギ、ヤギ、ウマ、ニワトリ、ハムスター、ヒトなどによって産生される天然に存在する抗体に実質的に類似する配列を含む。この点に関して、抗体は、哺乳動物抗体、例えばマウス抗体、ウサギ抗体、ヤギ抗体、ウマ抗体、ニワトリ抗体、ハムスター抗体、ヒト抗体などとみなされ得る。特定の態様において、抗体は、ヒト抗体である。特定の態様において、抗体は、キメラ抗体又はヒト化抗体である。用語「キメラ抗体」は、2つ以上の異なる抗体に由来するドメインを含有する抗体を指す。キメラ抗体は、例えば、1つの種に由来する定常ドメイン及び第2の種に由来する可変ドメインを含有することができるか、又はより一般的には、少なくとも2つの種に由来する一続きのアミノ酸配列を含有することができる。キメラ抗体は、同じ種内の2つ以上の異なる抗体のドメインも含有することができる。用語「ヒト化」は、抗体に関して使用される場合、元の供給源の抗体よりも真のヒト抗体に類似した構造及び免疫機能を有するように操作された、非ヒト供給源に由来するCDR領域を少なくとも有する抗体を指す。例えば、ヒト化は、マウス抗体などの非ヒト抗体に由来するCDRをヒト抗体に移植することを伴い得る。ヒト化は、非ヒト配列がヒト配列により類似するようにアミノ酸置換を選択することも伴い得る。
【0096】
抗体は、例えば、パパイン及びペプシンなどの酵素によって断片に切断され得る。パパインは、2つのFab断片及び1つのFc断片を生成するように抗体を切断する。ペプシンは、F(ab’)2断片及びpFc’断片を生成するように抗体を切断する。本明細書で使用する場合、用語「抗原結合抗体断片は、抗体の抗原に結合することができ、且つ「抗原結合断片」又は「抗原結合部分」としても知られる抗体分子の一部を指す。例示的な場合において、抗原結合抗体断片は、Fab断片又はF(ab’)2断片である。
【0097】
抗体の構造は、少なくとも約12~150kDaの分子量範囲に及び、且つ単量体(n=1)から二量体(n=2)、三量体(n=3)、四量体(n=4)まで、また場合によりさらに高次の価数(n)範囲を有する広範な代替形態を創出するために利用されており、このような代替形態は、本明細書では「抗体タンパク質生成物」と称される。抗体タンパク質生成物としては、完全な抗体構造に基づくもの及び完全な抗原結合能力を保持する抗体断片を模倣するもの、例えばscFv、Fab及びVHH/VH(後述)が挙げられる。完全な抗原結合部位を保持する最小の抗原結合抗体断片は、全体が可変(V)領域からなるFv断片である。分子の安定化のために可溶性であり柔軟性のあるアミノ酸ペプチドリンカーを使用してV領域を連結してscFv(可変性一本鎖断片)にするか、又は定常(C)ドメインをV領域に付加してFab断片[抗原結合断片]を生成する。scFv断片及びFab断片は、両方とも宿主細胞、例えば原核生物の宿主細胞で容易に産生され得る。他の抗体タンパク質生成物としては、ジスルフィド結合により安定化されたscFv(ds-scFv)、一本鎖Fab(scFab)並びにダイアボディ、トリアボディ及びテトラボディのような二量体及び多量体抗体の形態又はオリゴマー形成ドメインに連結されたscFvからなる異なる形態を含むミニボディ(miniAb)が挙げられる。最小の断片は、ラクダ化重鎖AbのVHH/VH及び単一ドメインAb(sdAb)である。新規抗体フォーマットを創出するために最も頻繁に使用される構成要素は、一本鎖可変(V)ドメイン抗体断片(scFv)であり、この断片は、約15アミノ酸残基のペプチドリンカーによって連結された重鎖及び軽鎖に由来するVドメイン(VH及びVLドメイン)を含む。ペプチボディ又はペプチドFc融合体は、さらに別の抗体タンパク質生成物である。ペプチボディの構造は、Fcドメインに移植された生物学的に活性なペプチドからなる。ペプチボディは、当技術分野において十分に記載されている。例えば、Shimamoto et al.,mAbs 4(5):586-591(2012)を参照されたい。
【0098】
他の抗体タンパク質生成物としては、一本鎖抗体(SCA);ダイアボディ;トリアボディ;テトラボディ;二重特異性抗体又は三重特異性抗体などが挙げられる。二重特異性抗体は、5つの主要なクラス:BsIgG、付加IgG、BsAb断片、二重特異性融合タンパク質及びBsAbコンジュゲートに分けることができる。例えば、Spiess et al.,Molecular Immunology 67(2)Part A:97-106(2015)を参照されたい。
【0099】
本明細書で使用する場合、用語「アリール」は、C6~14の単環式若しくは多環式芳香族基、好ましくはC6~10の単環式若しくは二環式芳香族基又はC10~14多環式芳香族基を指す。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、ビフェニル及びテルフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。アリールは、1つの環が芳香族であり、他の環が飽和、部分不飽和又は芳香族、例えばジヒドロナフチル、インデニル、インダニル若しくはテトラヒドロナフチル(テトラリニル)である、C10~14の二環式及び三環式の炭素環も指す。別段の指示がない限り、アリール基は、置換されない場合があるか、又は例えばハロ、-C1~8アルキル、-C2~8アルケニル、-C2~8アルキニル、-CF3、-OCF3、-NO2、-CN、-NC、-OH、アルコキシ、アミノ、-CO2H、-CO2C1~C8アルキル、-OCOC1~C8アルキル、-C3~C10シクロアルキル、-C3~C10ヘテロシクロアルキル、-C5~C10アリール及び-C5~C10ヘテロアリールから独立して選択される1つ以上、特に1~4つの基で置換される場合がある。
【0100】
本明細書で使用する場合、用語「シクロアルキル」は、多環式環が縮合するか、架橋するか、又はスピロであり得る、単環式又は多環式の非芳香族炭素環を指す。炭素環は、3~10個の炭素環原子を有することができる。考えられる炭素環としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル及びシクロノニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロシクロアルキル」は、単環式又は多環式の(例えば、二環式の)、飽和又は部分不飽和の、合計で3個以上(例えば、3~12個、4~10個、4~8個又は5~7個)の原子を含有し、そのうちの1~5個(例えば、1、2、3、4又は5個)の原子が窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される環系を意味する。ヘテロシクロアルキル基の非限定的な例としては、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ジヒドロピロリル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロピリジニル、オキサシクロヘプチル、ジオキサシクロヘプチル、チアシクロヘプチル及びジアザシクロヘプチルが挙げられる。
【0102】
別段の指示がない限り、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル基は、置換されない場合があるか、又は1つ以上、特に1~4つの基で置換される場合がある。いくつかの考えられる置換基としては、ハロ、-C1~8アルキル、-C2~8アルケニル、-C2~8アルキニル、-OCF3、-NO2、-CN、-NC、-OH、アルコキシ、アミノ、-CO2H、-CO2C1~C8アルキル、-OCOC1~C8アルキル、-C3~C10シクロアルキル、-C3~C10ヘテロシクロアル、-C5~C10アリール及び-C5~C10ヘテロアリールが挙げられる。
【0103】
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロアリール」は、1~3個の芳香環を含有し、芳香環中において、窒素、酸素及び硫黄から選択される1~4個(例えば、1、2、3又は4個)のヘテロ原子を含有する単環式又は多環式の環系(例えば、二環式)を指す。特定の実施形態では、ヘテロアリール基は、5~20個、5~15個、5~10個又は5~7個の原子を有する。ヘテロアリールは、1つの環が芳香族であり、他の環が飽和、部分不飽和又は芳香族である、C10~14の二環式及び三環式の環も指す。ヘテロアリール基の例としては、フラニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、テトラゾリル、トリアジニル、トリアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フロピリジル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、インドリジニル、インドリル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソベンゾチエニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサゾロピリジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピリドピリジル、ピロロピリジル、キノリニル、キノキサリニル、キアゾリニル、チアジアゾロピリミジル及びチエノピリジルが挙げられるが、これらに限定されない。別段の指示がない限り、ヘテロアリール基は、置換されない場合があるか、又は1つ以上、特に1~4つ又は1つ若しくは2つの置換基で置換される場合がある。考えられる置換基としては、ハロ、-C1~8アルキル、-C2~8アルケニル、-C2~8アルキニル、-OCF3、-NO2、-CN、-NC、-OH、アルコキシ、アミノ、-CO2H、-CO2C1~C8アルキル、-OCOC1~C8アルキル、-C3~C10シクロアルキル、-C3~C10ヘテロシクロアル、-C5~C10アリール及び-C5~C10ヘテロアリールが挙げられる。
【0104】
本明細書で使用する場合、Bocという用語は、構造
【化44】
を指す。
【0105】
本明細書で使用する場合、Cbzという用語は、構造
【化45】
を指す。
【0106】
本開示の化合物
本明細書で提供されるのは、以下でより詳細に議論する、式I、Ia、II及びIIaの1つの構造を有するKRAS阻害剤である。
【0107】
本明細書で開示される化合物は、本明細書で開示される化合物の1つ以上の原子が、同じ原子番号を有するが、通常、天然に見出される原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置換された、全ての薬学的に許容される同位体標識化合物を含む。開示される化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、それぞれ2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I及び125Iなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体が挙げられる。これらの放射性標識化合物は、例えば、作用部位若しくは作用様式又は薬理学的に重要な作用部位に対する結合親和性を特徴付けることにより、化合物の有効性の決定又は測定を促進するのに有用であろう。本開示の特定の同位体標識化合物、例えば放射性同位体を組み込んだものは、薬物及び/又は基質組織分布の研究に有用である。放射性同位体のトリチウム、すなわち3H及び炭素-14、すなわち14Cは、取り込みの容易さ及び検知の迅速な手段の観点から、この目的ために特に有用である。
【0108】
重水素、すなわち2Hなどのより重い同位体による置換は、より大きい代謝安定性、例えばインビボ半減期の増大又は必要用量の減少から生じる特定の治療上の利点をもたらし得、したがっていくつかの状況で好ましい。
【0109】
11C、18F、15O及び13Nなどの陽電子放出同位体による置換は、基質の受容体占有率を調べるための陽電子放出断層撮像法(PET)研究において有用であり得る。構造(I)の同位体標識化合物は、一般に、当業者に知られる従来技術により、又は以前に使用された非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、下記の調製及び実施例に記載されているものと類似の方法により調製することができる。
【0110】
本明細書で開示される同位体標識化合物は、一般に、当業者に知られる従来技術により、又は以前に使用された非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、付帯の実施例及びスキームに記載されているものと類似の方法により調製することができる。
【0111】
本明細書で開示されるとおりのある種の化合物は、光学異性体及び配座異性体(又はコンフォマー)を含む立体異性体(すなわち原子の空間的配置のみが異なる異性体)として存在し得る。本明細書で開示される化合物は、両方が純粋な個々の立体異性体調製物及びそれぞれの濃縮調製物、並びに両方がそのような立体異性体のラセミ混合物、並びに当業者に知られる方法に従って分離され得る個々のジアステレオマー及びエナンチオマーの全ての立体異性体を含む。さらに、本明細書に開示される化合物は、それらの化合物の全ての互変異性形態を含む。
【0112】
本明細書で開示されるある種の化合物は、分子の他の部分との立体相互作用の結果として、分子中の単結合の周りの回転が妨げられるか又は非常に遅くされる場合に生じる、配座立体異性体であるアトロプ異性体として存在し得る。本明細書で開示される化合物は、両方が純粋な個々のアトロプ異性体調製物、それぞれの濃縮調製物又はそれぞれの非特異的混合物として全てのアトロプ異性体を含む。単結合の周りの回転障壁が十分に高く、且つ立体配座間の相互変換が十分に遅い場合、異性体種の分離及び単離が可能であり得る。異性体種の分離及び単離は、よく知られ且つ一般に認められている記号「M」又は「P」によって適切に示される。
【0113】
別の実施形態では、これらの化合物は、本願の化合物を作製するプロセスにおいて中間体として使用され得る。
【0114】
別の実施形態では、これらの化合物は、薬学的に許容される塩の形態、また薬学的に許容される賦形剤を含む医薬製剤であり得る。
【0115】
具体的に考えられる化合物としては、表1に列挙されるものが挙げられる。
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
開示される化合物の合成
本明細書に開示される化合物は、いくつかの特定の方法を介して合成することができる。特定の合成経路及び下記の包括的スキームの概要を示す実施例は、溶媒、濃度、試薬、保護基、合成工程の順序、時間、温度などが十分に当業者の技術及び判断の範囲内で必要に応じて変更できることを容易に理解する、通常の能力を有する合成化学者に指針を提供することが意図されている。
【0121】
適切な保護基及び脱保護試薬は、例えば、Greene’s Protective Groups in Organic Synthesisで論じられているように当業者に知られている。
【0122】
考えられるハロゲン化剤としては、任意選択により、触媒(例えば、鉄又はアルミニウム)の存在下における塩素、臭素、N-クロロスクシンイミド及びN-ブロモスクシンイミドが挙げられるが、これらに限定されない。通常の能力を有する合成化学者は、他のハロゲン化剤及び触媒が使用できることを容易に理解するであろう。
【0123】
考えられるアミド化剤としては、N、N’-ジイソプロピルカルボジイミド、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N、N、N’、N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、塩化チオニル、クロロギ酸イソブチル、シアノホスホン酸ジエチル、カルボニルジイミダゾール及びポリホスホン酸無水物が挙げられるが、これらに限定されない。通常の能力を有する合成化学者は、他のアミド化剤が使用できることを容易に理解するであろう。
【0124】
考えられる硫化剤としては、硫黄、五硫化リン及びローソン試薬が挙げられるが、これらに限定されない。通常の能力を有する合成化学者は、他の硫化剤が使用できることを容易に理解するであろう。
【0125】
考えられる酸化剤としては、過酸化水素、ヨードベンゼンジアセテート、t-ブチルヒドロペルオキシド、N-ブロモスクシンイミド及びペルオキソ二硫酸アンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。通常の能力を有する合成化学者は、他の酸化剤が使用できることを容易に理解するであろう。
【0126】
考えられる活性化剤としては、亜硝酸ナトリウム及び亜硝酸t-ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。通常の能力を有する合成化学者は、他の活性化剤が使用できることを容易に理解するであろう。
【0127】
考えられるクロスカップリング反応としては、鈴木カップリング、根岸カップリング、檜山カップリング、熊田カップリング及びスティルカップリングが挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
医薬組成物、投与及び投与経路
また、本明細書では、例えば、希釈剤又は担体などの薬学的に許容される賦形剤と共に、本明細書に開示される化合物を含む医薬組成物も提供する。本発明での使用に好適な化合物及び医薬組成物としては、化合物がその意図された目的を達成するのに有効な量で投与できるものが挙げられる。化合物の投与は、以下により詳細に記載される。
【0129】
好適な医薬製剤は、投与経路及び所望の投与量に応じて当業者によって決定することができる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,1435-712(18th ed.,Mack Publishing Co,Easton,Pennsylvania,1990)を参照されたい。製剤は、投与された薬剤の物理的状態、安定性、インビボ放出速度及びインビボ排出速度に影響を及ぼし得る。投与経路に依存して、体重、体表面積又は器官サイズに応じて好適な用量が算出され得る。適切な治療用量を決定するために必要である、計算のさらなる微調整は、特に、本明細書に開示される投与量情報及びアッセイ並びに動物又はヒトの臨床試験で得られた薬物動態データに照らして、必要以上の実験を行わずに当業者によって機械的に行われる。
【0130】
語句「薬学的に許容される」又は「薬理学的に許容される」は、動物又はヒトに投与される場合の有害なアレルギー性の又は他の不利な反応をもたらさない分子実体及び組成物を指す。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される賦形剤」は、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤などを含む。薬学的に活性な物質に対するこのような賦形剤の使用は、当技術分野で知られている。任意の従来の媒体又は薬剤が治療用組成物と適合しない場合を除いて、治療用組成物中でのその使用が検討される。補助的な活性成分も組成物に組み込むことができる。例示的な実施形態では、製剤は、コーンシロップ固形分、高オレインベニバナ油、ココナッツ油、大豆油、L-ロイシン、第三リン酸カルシウム、L-チロシン、L-プロリン、L-リシンアセテート、DATEM(乳化剤)、L-グルタミン、L-バリン、第二リン酸カリウム、L-イソロイシン、L-アルギニン、L-アラニン、グリシン、L-アスパラギン一水和物、L-セリン、クエン酸カリウム、L-トレオニン、クエン酸ナトリウム、塩化マグネシウム、L-ヒスチジン、L-メチオニン、アスコルビン酸、炭酸カルシウム、L-グルタミン酸、L-シスチン二塩酸塩、L-トリプトファン、L-アスパラギン酸、塩化コリン、タウリン、m-イノシトール、硫酸第一鉄、パルミチン酸アスコルビル、硫酸亜鉛、L-カルニチン、アルファ-トコフェリルアセテート、塩化ナトリウム、ナイアシンアミド、混合トコフェロール、パントテン酸カルシウム、硫酸銅、チアミン塩化物塩酸塩、パルミチン酸ビタミンA、硫酸マンガン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、葉酸、ベータ-カロテン、ヨウ化カリウム、フィロキノン、ビオチン、セレン酸ナトリウム、塩化クロム、モリブデン酸ナトリウム、ビタミンD3及びシアノコバラミンを含み得る。
【0131】
化合物は、薬学的に許容される塩として医薬組成物中に存在することができる。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」は、例えば、塩基付加塩及び酸付加塩を含む。
【0132】
薬学的に許容される塩基付加塩は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属又は有機アミンなどの金属又はアミンと共に形成され得る。化合物の薬学的に許容される塩はまた、薬学的に許容される陽イオンと共に調製され得る。好適な薬学的に許容される陽イオンは、当業者によく知られており、アルカリ、アルカリ土類、アンモニウム及び第四級アンモニウム陽イオンを含む。炭酸塩又は炭酸水素塩も可能である。陽イオンとして使用される金属の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウム、カルシウム又は鉄などである。好適なアミンの例としては、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン及びプロカインが挙げられる。
【0133】
薬学的に許容される酸付加塩としては、無機酸又は有機酸の塩が挙げられる。好適な酸塩の例には、塩酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、サリチル酸塩、硝酸塩、リン酸塩が含まれる。他の好適な薬学的に許容される塩は、当業者によく知られており、例えばギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸若しくはマンデル酸、塩酸、臭酸、硫酸又はリン酸;有機カルボン酸、スルホン酸、スルホ酸若しくはホスホ酸又はN-置換スルファミン酸、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、グルコン酸、グルカル酸、グルクロン酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、2-フェノキシ安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、エンボニン酸、ニコチン酸又はイソニコチン酸との;及び天然のタンパク質の合成に関与する20個のアルファアミノ酸、例えばグルタミン酸又はアスパラギン酸などのアミノ酸との、及びまたフェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン1,2-ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-メチルベンゼンスルホン酸、ナフタレン2-スルホン酸、ナフタレン1,5-ジスルホン酸、2-若しくは3-ホスホグリセリン酸、グルコース6-リン酸、N-シクロヘキシルスルファミン酸(シクラメートの形成を伴う)との又はアスコルビン酸などの他の酸有機化合物との塩が挙げられる。
【0134】
本明細書に開示される化合物を含有する医薬組成物は、従来法において、例えば従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、粉末化、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥プロセスによって製造することができる。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。
【0135】
経口投与のために、好適な組成物は、本明細書に開示される化合物と、当技術分野でよく知られる担体などの薬学的に許容される賦形剤とを組み合わせることによって容易に製剤化することができる。そのような賦形剤及び担体は、治療される患者の経口摂取のために、本発明の化合物が錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして製剤化されることを可能にする。経口使用のための医薬調製物は、本明細書に開示される化合物を固体賦形剤と共に添加する工程、任意選択により、得られた混合物を粉砕する工程、錠剤又は糖衣錠コアを得るために、必要に応じて好適な補助剤を加えた後、顆粒混合物を処理する工程により得ることができる。好適な賦形剤としては、例えば、充填剤及びセルロース調製物が挙げられる。必要に応じて崩壊剤を加えることができる。薬学的に許容される成分は、様々なタイプの製剤についてよく知られており、例えばバインダー(例えば、天然又は合成ポリマー)、潤滑剤、界面活性剤、甘味料及び香味剤、コーティング材、保存料、染料、増粘剤、アジュバント、抗菌剤、抗酸化剤及び様々な製剤タイプのための担体であり得る。
【0136】
治療有効量の、本明細書に開示される化合物が経口投与される場合、組成物は、典型的には、固体(例えば、錠剤、カプセル、丸剤、粉末若しくはトローチ)又は液体製剤(例えば、水性懸濁液、溶液、エリキシル若しくはシロップ)の形態である。
【0137】
錠剤形態で投与される場合、組成物は、ゼラチン若しくはアジュバントなどの機能性固体及び/又は機能性固体担体をさらに含有することができる。錠剤、カプセル及び粉末は、約1~約95%の化合物、好ましくは約15~約90%の化合物を含有することができる。
【0138】
液体又は懸濁形態で投与される場合、水、石油又は動物若しくは植物起源の油などの機能性液体及び/又は機能性液体担体を加えることができる。組成物の液体形態は、生理食塩水溶液、糖アルコール溶液、デキストロース若しくは他の糖類溶液又はグリコールをさらに含むことができる。液体又は懸濁形態で投与する場合、組成物は、約0.5~約90重量%の本明細書に開示される化合物、好ましくは約1~約50%の本明細書に開示される化合物を含有することができる。考えられる一実施形態では、液体担体は、非水性又は実質的に非水性である。液体形態での投与では、組成物は、投与の直前に溶解又は懸濁する迅速溶解性固体製剤として供給され得る。
【0139】
治療有効量の、本明細書に開示される化合物を静脈、皮膚又は皮下注射によって投与する場合、組成物は、パイロジェンフリーの非経口的に許容される水溶液の形態である。pH、等張性、安定性などを十分に考慮した、このような非経口的に許容される溶液の調製は、当技術分野の技術の範囲内である。静脈、皮膚又は皮下注射用の好ましい組成物は、典型的には、本明細書に開示される化合物に加えて等張ビヒクルを含有する。そのような組成物は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と好適に混合された水中における、遊離塩基又は薬理学的に許容される塩の溶液として投与するために調製され得る。グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びそれらの混合物並びに油中で分散液を調製することもできる。保存及び使用の通常の条件下において、微生物の増殖を防止するために、これらの調製物は、任意選択により保存料を含有することができる。
【0140】
注射可能な組成物は、無菌の注射可能な溶液、懸濁液又は分散液を即座に調製するための、無菌の水溶液、懸濁液又は分散液及び無菌の粉末を含むことができる。全ての実施形態において、この形態は、無菌でなければならず、且つ容易な注射針通過性が存在する程度の流体でなければならない。それは、製造及び貯蔵条件下で安定でなければならず、任意選択により保存料を含めることにより、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対抗しなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物及び植物油を含有する溶媒又は分散媒であり得る。考えられる一実施形態では、担体は、非水性又は実質的に非水性である。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用、分散液の実施形態の場合に必要とされる粒径の維持及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物作用の予防は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらすことができる。多くの実施形態において、等張化剤、例えば糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延する作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの組成物中での使用によってもたらすことができる。
【0141】
無菌の注射溶液は、上で列記した種々の必要な他の成分と共に、必要量の活性化合物を適当な溶媒に組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製される。一般的に、分散液は、基本の分散媒体及び上で列挙した成分からの所望の他の成分を含有する無菌のビヒクルに、滅菌された様々な活性成分を組み込むことによって調製される。無菌の注射溶液の調製のための無菌粉末の実施形態では、好ましい調製方法は、予め滅菌濾過されたその溶液から活性成分と任意の追加の所望の成分の粉末を生じさせる真空乾燥及びフリーズドライの手法である。
【0142】
徐放性又は持続放出性製剤は、消化管内の体液と接触している活性化合物の制御された放出を行い、且つ血漿中の活性化合物に関して実質的に一定且つ有効なレベルを提供するためにも調製され得る。例えば、放出は、溶解、拡散及びイオン交換の1つ以上によって制御することができる。さらに、徐放性アプローチは、消化管内の可飽和経路又は制限経路を介した吸収を増強し得る。例えば、化合物は、この目的のために、生分解性ポリマー、水溶性ポリマー又は両方の混合物と、任意選択により好適な界面活性剤とのポリマーマトリックスに埋め込まれ得る。埋め込みとは、これに関連して、ポリマーのマトリックス中に微粒子を組み込むことを意味することができる。制御放出製剤は、既知の分散又はエマルジョンコーティング技術を介する分散微粒子又は乳化微小液滴のカプセル化によっても得られる。
【0143】
吸入による投与では、本発明の化合物は、好適な噴射剤を使用して、加圧パック又はネブライザーからのエアロゾルスプレー提供の形態で都合よく送達される。加圧エアロゾルの実施形態では、投薬単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定することができる。吸入器又は注入器で使用するための例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジは、化合物と、ラクトース又はデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末混合物を含有するように製剤化することができる。
【0144】
本明細書で開示される化合物は、注射による(例えば、ボーラス注射又は連続注入による)非経口投与のために製剤化することができる。注射用製剤は、保存料を添加した単位剤形(例えば、アンプル又は多用量容器)で提供することができる。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルジョンなどの形態をとることができ、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤などの製剤化剤を含有することができる。
【0145】
非経口投与のための医薬製剤には、水溶性形態の化合物水溶液が含まれる。さらに、化合物の懸濁液は、適切な油性注射懸濁液として調製することができる。好適な親油性溶媒又はビヒクルとしては、脂肪油又は合成脂肪酸エステルが挙げられる。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させる物質を含有することができる。任意選択により、懸濁液は、化合物の溶解度を増加させ、高度に濃縮された溶液の調製を可能にする好適な安定剤又は薬剤も含有し得る。代わりに、本発明の組成物は、使用前に好適なビヒクル(例えば、無菌のパイロジェンフリー水)で構成するための粉末形態であり得る。
【0146】
本明細書で開示される化合物は、坐薬又は停留浣腸(例えば、従来の坐薬基剤を含有する)などの直腸用組成物中に製剤化することもできる。先述した製剤に加えて、化合物は、デポ剤として製剤化することもできる。このような長時間作用の製剤は、注入(例えば、皮下又は筋肉内)によって又は筋肉内注射によって投与することができる。したがって、例えば、化合物は、好適なポリマー若しくは疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)又はイオン交換樹脂で製剤化することができ、或いは難溶性誘導体、例えば難溶性の塩として製剤化することができる。
【0147】
特に、本明細書に開示される化合物は、デンプン若しくはラクトースなどの賦形剤を含有する錠剤の形態において、又は単独で若しくは賦形剤との混合物のカプセル若しくはオビュール剤において、又は香味剤若しくは着色剤を含有するエリキシル剤若しくは懸濁液の形態において経口、口腔内又は舌下投与され得る。そのような液体調製物は、懸濁剤などの薬学的に許容される添加剤を用いて調製することができる。化合物は、非経口的に、例えば静脈内、筋肉内、皮下又は冠動脈内に注射することもできる。非経口投与のために、化合物は、溶液を血液と等張にするために、他の物質、例えば塩又はマンニトール若しくはグルコースなどの糖アルコールを含有することができる無菌水溶液の形態で最もよく使用される。
【0148】
獣医学的使用のために、本明細書に開示される化合物は、通常の獣医学的な実践に従い、適切に許容される製剤として投与される。獣医は、特定の動物に最も適切な投与計画及び投与経路を容易に決定することができる。
【0149】
いくつかの実施形態では、KRAS関連障害の治療において、本明細書に開示される化合物を単独で、又はそのような疾患の治療のために従来使用される別の薬剤若しくは介入と組み合わせて使用する、そのような治療に必要な全ての成分をキットにパッケージ化することができる。具体的には、本発明は、本明細書に開示される化合物、並びに前記薬剤の送達可能な形態を調製するための緩衝液及び他の成分を含む薬剤、並びに/又はそのような薬剤を送達するための器具、並びに/又は本明細書に開示される化合物との併用療法で使用される任意の薬剤、並びに/又は薬剤と共にパッケージ化された疾患の治療のための説明書のパッケージ化されたセットを含む、疾患の治療介入で使用するキットを提供する。説明書は、印刷された紙又はコンピュータ可読の磁気若しくは光学媒体などの任意の有形媒体に固定されるか、又はインターネットを介してアクセス可能なワールドワイドウェブのページなどのリモートコンピュータのデータソースを参照する説明書であり得る。
【0150】
「治療有効量」は、治療される対象の現存する症状を治療するか、進行を防止するか、又は軽減するのに有効な量を意味する。有効量の決定は、特に本明細書で提供される詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。一般に、「治療有効用量」は、所望の効果をもたらす化合物の量を指す。例えば、好ましい一実施形態では、治療有効量の、本明細書に開示される化合物は、対照と比較してKRAS活性を少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%又は少なくとも90%減少させる。
【0151】
投与する化合物の量は、治療される対象、対象の年齢、健康、性別及び体重、同時治療の種類(存在する場合)、疾患の重症度、所望の効果の性質、治療の様式及び頻度並びに処方する医師の判断に依存し得る。投与の頻度は、動脈の酸素圧力に対する薬力学的効果にも依存し得る。しかしながら、最も好ましい投与量は、必要以上の実験を行うことなく、当業者によって理解及び決定できるような量を個々の対象に合わせて調整することができる。これは、通常、標準用量の調節(例えば、患者が軽量体重である場合の用量の低減)を含む。
【0152】
個々の必要性は、変化するが、化合物の有効量の最適範囲の決定は、当技術分野の技術の範囲内である。本明細書において特定される状態及び障害の治療的又は予防的治療におけるヒトへの投与では、例えば、本発明の化合物の典型的な投与量は、約0.05mg/kg/日~約50mg/kg/日、例えば少なくとも0.05mg/kg、少なくとも0.08mg/kg、少なくとも0.1mg/kg、少なくとも0.2mg/kg、少なくとも0.3mg/kg、少なくとも0.4mg/kg又は少なくとも0.5mg/kg、且つ好ましくは50mg/kg以下、40mg/kg以下、30mg/kg以下、20mg/kg以下又は10mg/kg以下であり得、それらは、例えば、約2.5mg/日(0.5mg/kg×5kg)~約5000mg/日(50mg/kg×100kg)であり得る。例えば、化合物の投与量は、約0.1mg/kg/日~約50mg/kg/日、約0.05mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.05mg/kg/日~約5mg/kg/日、約0.05mg/kg/日~約3mg/kg/日、約0.07mg/kg/日~約3mg/kg/日、約0.09mg/kg/日~約3mg/kg/日、約0.05mg/kg/日~約0.1mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約1mg/kg/日、約1mg/kg/日~約10mg/kg/日、約1mg/kg/日~約5mg/kg/日、約1mg/kg/日~約3mg/kg/日、約3mg/日~約500mg/日、約5mg/日~約250mg/日、約10mg/日~約100mg/日、約3mg/日~約10mg/日又は約100mg/日~約250mg/日であり得る。このような用量は、単回用量で投与され得るか又は複数回用量に分割され得る。
【0153】
KRAS G12C阻害剤の使用方法
本開示は、RAS媒介性細胞シグナル伝達を阻害する方法であって、細胞を、有効量の、本明細書に開示される1つ以上の化合物と接触させることを含む方法を提供する。RAS媒介性シグナル伝達の阻害は、当技術分野で知られる広範囲の種々の方法によって評価し、実証することができる。非限定的な例として、(a)RASのGTPase活性の減少;(b)GTP結合親和性の減少又はGDP結合親和性の増加;(c)GTPのKoffの増加又はGDPのKoffの減少;(d)pMEK、pERK又はpAKTレベルの減少など、RAS経路下流のシグナル伝達分子のレベルの減少;及び/又は(e)Rafを含むが、これに限定されない下流のシグナル伝達分子へのRAS複合体の結合の減少を示すことが挙げられる。上記の1つ以上を決定するために、キット及び市販のアッセイを利用することができる。
【0154】
本開示は、G12C KRAS、HRAS又はNRAS変異(例えば、がん)によって引き起こされた状態を含むが、これらに限定されない疾患状態を治療するために本開示の化合物又は医薬組成物を使用する方法も提供する。
【0155】
いくつかの実施形態では、がんを治療する方法が提供され、この方法は、本明細書に開示される化合物を含む前述の医薬組成物のいずれかの有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんは、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの変異によって媒介される。様々な実施形態において、がんは、膵臓がん、大腸がん又は肺がんである。いくつかの実施形態では、がんは、胆のうがん、甲状腺がん及び胆管がんである。
【0156】
いくつかの実施形態では、本開示は、障害の治療を、それを必要とする対象において行う方法を提供し、前記方法は、対象がKRAS、HRAS又はNRAS G12C変異を有するかどうかを決定することと、対象がKRAS、HRAS又はNRAS G12C変異を有すると決定される場合、治療有効量の、本明細書に開示される少なくとも1つの化合物又はその薬学的に許容されるその塩を対象に投与することとを含む。
【0157】
開示される化合物は、足場非依存性の細胞増殖を阻害し、したがって腫瘍の転移を阻害する可能性を有する。したがって、別の実施形態では、本開示は、腫瘍転移を阻害するための方法を提供し、この方法は、有効量の、本明細書に開示される化合物を投与することを含む。
【0158】
KRAS、HRAS又はNRAS G12C変異は、血液悪性腫瘍(例えば、血液、骨髄及び/又はリンパ節を冒すがん)でも同定されている。したがって、特定の実施形態は、血液悪性腫瘍の治療を必要とする患者への開示される化合物の投与(例えば、医薬組成物の形態において)に関する。そのような悪性腫瘍としては、白血病及びリンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本開示の化合物は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性単球性白血病(AMoL)及び/又は他の白血病などの疾患の治療に使用することができる。他の実施形態では、化合物は、ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫の全てのサブタイプなどのリンパ腫の治療に有用である。様々な実施形態において、化合物は、多発性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫及びワルデンストレームマクログロブリン血症などの形質細胞悪性腫瘍の治療に有用である。
【0159】
腫瘍又はがんがG12C KRAS、HRAS又はNRAS変異を含むかどうかの決定は、KRAS、HRAS又はNRASタンパク質をコードするヌクレオチド配列を評価することにより、KRAS、HRAS又はNRASタンパク質のアミノ酸配列を評価することにより、又は推定KRAS、HRAS又はNRAS変異タンパク質の特徴を評価することにより行うことができる。野生型のヒトKRAS、HRAS又はNRASの配列は、当技術分野で知られている(例えば、アクセッション番号NP203524)。
【0160】
KRAS、HRAS又はNRASヌクレオチド配列中の変異を検出する方法は、当業者に知られている。これらの方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応-制限断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応-一本鎖高次構造多型(PCR-SSCP)アッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、PCR配列決定、変異対立遺伝子特異的PCR増幅(MASA)アッセイ、直接配列決定、プライマー伸長反応、電気泳動、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、TaqManアッセイ、SNPジェノタイピングアッセイ、高分解能溶融アッセイ及びマイクロアレイ分析が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、サンプルは、リアルタイムPCRにより、G12C KRAS、HRAS又はNRAS変異について評価される。リアルタイムPCRでは、KRAS、HRAS又はNRAS G12C変異に特異的な蛍光プローブが使用される。変異が存在する場合、プローブが結合し、蛍光が検出される。いくつかの実施形態では、KRAS、HRAS又はNRAS G12C変異は、KRAS、HRAS又はNRAS遺伝子中の特定の領域(例えば、エクソン2及び/又はエクソン3)の直接配列決定法を使用して同定される。この手法は、配列決定される領域における全ての可能性がある変異を同定する。
【0161】
KRAS、HRAS又はNRASタンパク質中の変異を検出する方法は、当業者に知られている。これらの方法としては、変異タンパク質に特異的な結合剤(例えば、抗体)を用いるKRAS、HRAS又はNRAS変異体の検出、タンパク質電気泳動及びウェスタンブロッティング並びに直接のペプチド配列決定が挙げられるが、これらに限定されない。
【0162】
腫瘍又はがんがG12C KRAS、HRAS又はNRAS変異を含むかどうかを決定する方法は、種々のサンプルを使用することができる。いくつかの実施形態では、サンプルは、腫瘍又はがんを有する対象から採取される。いくつかの実施形態では、サンプルは、新鮮な腫瘍/がんサンプルである。いくつかの実施形態では、サンプルは、凍結した腫瘍/がんサンプルである。いくつかの実施形態では、サンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋サンプルである。いくつかの実施形態では、サンプルは、血中循環腫瘍細胞(CTC)サンプルである。いくつかの実施形態では、サンプルは、細胞溶解物に処理される。いくつかの実施形態では、サンプルは、DNA又はRNAに処理される。
【0163】
本開示は、哺乳動物の過剰増殖性障害を治療する方法であって、治療有効量の、本明細書に開示される化合物又はその薬学的に許容される塩を前記哺乳動物に投与することを含む方法にも関する。いくつかの実施形態では、前記方法は、急性骨髄性白血病、青年期のがん、小児副腎皮質がん、AIDS関連がん(例えば、リンパ腫及びカポジ肉腫)、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、非定形奇形腫、基底細胞がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、脳幹グリオーマ、脳腫瘍、乳がん、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、非定型奇形腫、胚芽腫、胚細胞腫瘍、原発性リンパ腫、子宮頸がん、小児がん、脊索腫、心臓腫瘍、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性疾患、結腸がん、大腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、肝外非浸潤性乳管がん(DCIS)、胚芽腫、CNSがん、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、鼻腔神経芽細胞、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、眼がん、骨線維性組織球腫、胆のうがん、胃がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、ヘアリー細胞白血病、頭頸部がん、心臓腫瘍、肝臓がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼内黒色腫、島細胞腫、膵神経内分泌腫瘍、腎臓がん、喉頭がん、口唇がん及び口腔がん、肝臓がん、上皮内小葉がん(LCIS)、肺がん、リンパ腫、原発不明転移性扁平上皮性頸部がん、中線管がん、口腔がん、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、多発性骨髄腫、メルケル細胞がん、悪性中皮腫、骨の悪性線維性組織球腫及び骨肉腫、鼻腔及び副鼻腔がん、鼻咽腔がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、口腔がん、口唇及び口腔がん、口腔咽頭がん、卵巣がん、膵臓がん、乳頭腫症、傍神経節腫、副鼻腔及び鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、前立腺がん、直腸がん、移行細胞がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、皮膚がん、胃がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部組織肉腫、T細胞リンパ腫、精巣がん、咽喉がん、胸腺腫及び胸腺がん、甲状腺がん、腎盂及び尿管の移行細胞がん、絨毛性腫瘍、小児の異常がん、尿道がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん又はウイルス誘発がんなどのがんに罹患した対象の治療に関する。いくつかの実施形態では、前記方法は、皮膚の良性過形成(例えば、乾癬)、再狭窄又は前立腺(例えば、良性前立腺肥大(BPH))などの非がん性過剰増殖性障害の治療に関する。
【0164】
いくつかの実施形態では、治療法は、肺がんを治療することに関し、この方法は、有効量の上記の化合物(又はそれを含む医薬組成物)のいずれかを、それを必要とする対象に投与することを含む。特定の実施形態では、肺がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば腺がん、扁平上皮細胞肺がん又は大細胞肺がんである。いくつかの実施形態では、肺がんは、小細胞肺がんである。開示される化合物によって治療可能な他の肺がんには、腺管腫瘍、カルチノイド腫瘍及び未分化がん腫が含まれるが、これらに限定されない。
【0165】
本開示は、タンパク質を、有効量の本開示の化合物と接触させることにより、G12C変異体KRAS、HRAS又はNRASタンパク質の活性を調節する方法をさらに提供する。調節により、タンパク質の活性を阻害するか又は活性化させることができる。いくつかの実施形態では、本開示は、G12C変異体KRAS、HRAS又はNRASタンパク質を有効量の本開示の化合物と溶液中で接触させることにより、タンパク質の活性を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、目的のタンパク質を発現する細胞、組織又は器官を接触させることにより、G12C変異体KRAS、HRAS又はNRASタンパク質の活性を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、有効量の本開示の化合物を対象に投与することにより、限定されないが、げっ歯類及び哺乳類(例えば、ヒト)を含む対象の体内でタンパク質の活性を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態では、調節のパーセントは、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%を超える。いくつかの実施形態では、阻害のパーセントは、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%を超える。
【0166】
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞中でKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害する方法であって、前記細胞を、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの前記細胞中での活性を阻害するのに十分な量の本開示の化合物と接触させることによる方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、組織内でKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害する方法であって、前記組織を、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの前記組織内での活性を阻害するのに十分な量の本開示の化合物と接触させることによる方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、器官内でKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害する方法であって、前記器官を、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの前記器官内での活性を阻害するのに十分な量の本開示の化合物と接触させることによる方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、動物体内でKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害する方法であって、前記動物を、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの前記動物体内での活性を阻害するのに十分な量の本開示の化合物と接触させることによる方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、哺乳動物の体内でKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害する方法であって、前記哺乳動物を、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの前記哺乳動物体内での活性を阻害するのに十分な量の本開示の化合物と接触させることによる方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、ヒトの体内でKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害する方法であって、前記ヒトを、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの前記ヒト体内での活性を阻害するのに十分な量の本開示の化合物と接触させることによる方法を提供する。本開示は、そのような治療を必要とする対象の体内において、KRAS、HRAS又はNRAS G12C活性によって媒介される疾患を治療する方法を提供する。
【0167】
併用療法:
本開示は、他の経路若しくは同じ経路の他の成分を調節することが知られている薬剤又はさらに標的酵素の重複するセットが本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて使用される、併用療法の方法も提供する。一態様では、そのような治療は、相乗的又は相加的な治療効果を提供するために、本開示の1つ以上の化合物と、化学療法剤、治療抗体及び放射線治療との組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0168】
現在、多くの化学療法剤が当技術分野で知られており、本開示の化合物と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態では、化学療法剤は、分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、挿入抗生物質、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答調節剤、抗ホルモン剤、血管形成阻害剤及び抗アンドロゲン剤からなる群から選択される。非限定的な例は、化学療法剤、細胞毒性剤及び非ペプチド小分子(例えば、Gleevec(登録商標)(イマチニブメシレート)、Kyprolis(登録商標)(カーフィルゾミブ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、Casodex(ビカルタミド)、Iressa(登録商標)(ゲフィチニブ)及びアドリアマイシン並びに化学療法剤のホストである。化学療法剤の非限定的な例としては、チオテパ及びシクロスホスファミド(CYTOXANTM(商標))などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンなどのアルキルスルホネート;ベンゾドーパ、カルボクオン、メツレドーパ及びウレドーパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド及びトリメチロロメラミンを含むエチレンイミン及びメチルアメルアミン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロルエタミン、酸化メクロルエタミン塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロソウレア;アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、Casodex(商標)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗薬;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸アナログ;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリンアナログ;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクシウリジンなどのピリミジンアナログ、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎;フロリン酸などの葉酸補充薬;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルニチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えばパクリタキセル及びドセタキセル;レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン;上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体が挙げられる。
【0169】
また、好適な化学療法細胞コンディショナーとして含まれるのは、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するために作用する、例えばタモキシフェン、(Nolvadex(商標))、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストン及びトレミフェン(フェアストン)を含む抗エストロゲンなどの抗ホルモン剤;並びにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ルプロリド及びゴセレリンなどの抗アンドロゲン;並びにクロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチンなどのプラチナアナログ;ビンブラスチン;プラチナ;エトポサイド(VP-16);イホスファミド;ミトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;カンプトテシン-11(CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)である。
【0170】
必要に応じて、本開示の化合物又は医薬組成物は、Herceptin(登録商標)、Avastin(登録商標)、Erbitux(登録商標)、Rituxan(登録商標)、Taxol(登録商標)、Arimidex(登録商標)、Taxotere(登録商標)、ABVD、AVICINE、アバゴボマブ、アクリジンカルボキサミド、アデカツマブ、17-N-アリールアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン、アルファラジン、アルボシジブ、3-アミノピリジン-2-カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン、アモナフィド、アントラセンジオン、アモナフォド、アントラセンジオン、抗CD22免疫毒素、抗腫瘍、抗腫瘍性ハーブ、アパジクオン、アチプリモド、アザチオプリン、ベロテカン、ベンダムスチン、BIBW 2992、ビリコダール、ブロスタリシン、ブリオスタチン、ブチオニンスルホキシミン、CBV(化学療法)、カリクリン、細胞サイクル非特異的抗腫瘍剤、ジクロロ酢酸、ジスコーダーモリド、エルサミトルシン、エノシタビン、エポチロン、エリブリン、エベロリムス、エクセアテカン、エクシスリンド、フェルギノール、フォロデシン、フォスフェスロール、ICE化学療法レジメン、IT-101、イメクソン、イミキモド、インドロカルバゾール、イロフルヴェン、ラニキダル、ラロタキセル、レナリドミド、ルカントン、ルトテカン、マフォスファミド、ミトゾロミデ、ナフォクシジン、ネダプラチン、オラパリブ、オルタタキセル、PAC-1、ポーパウ、ピクサントロン、プロテアソーム阻害剤、レベッカマイシン、レシキモド、ルビテカン、SN-38、サリノスポラミドA、サパチタビン、スタンフォードV、スワインソニン、タラポルフィン、タリキダール、テガフル-ウラシル、テモダール、テセタキセル、トリプラチン・テトラ硝酸塩、トリス(2-クロロエチル)アミントロキサシタビン、ウラムスティン、ヴァディメザン、ヴィンフルニン、ZD6126又はゾスキダルなどの一般的に処方される抗がん薬と組み合わせて使用することができる。
【0171】
本開示は、哺乳動物の異常な細胞成長を阻害するために又は過剰増殖性障害を治療するために、放射線療法と組み合わせて、本明細書で提供する化合物又は医薬組成物を使用する方法にさらに関する。放射線療法を施すための手法は、当技術分野で知られており、これらの手法は、本明細書に記載の併用療法で使用することができる。この併用療法における本開示の化合物の投与は、本明細に記載のように決定することができる。
【0172】
放射線療法は、外部ビーム療法、内部放射線療法、インプラント放射線、定位放射線手術、全身放射線療法、放射線療法及び永続的又は一時的な組織内小線源治療を含むが、これらに限定されない、いくつかの方法の1つ又は方法の組合せによって施すことができる。「小線源療法」という用語は、本明細書で使用される場合、腫瘍又は他の増殖性組織疾患部位又はその付近で体内に挿入された、空間的に閉じ込められた放射性物質によって送達される放射線療法を指す。この用語は、放射性同位元素(例えば、At-211、I-131、I-125、Y-90、Re-186、Re-188、Sm153、Bi-212、P-32及びLuの放射性同位元素)への曝露を含むことが意図されているが、これらに限定されない。本開示の細胞コンディショナーとして使用するための好適な放射線源は、固体及び液体の両方を含む。非限定的な例として、放射線源は、固体源としてのI-125、I-131、Yb-169、Ir-192、固体源としてのI-125などの放射性核種又は光子、ベータ粒子、ガンマ線若しくは他の治療線を放出する他の放射性核種であり得る。放射性物質は、放射性核種の任意の溶液、例えばI-125若しくはI-131の溶液から作製される流体であり得るか、又は放射性流体は、Au-198、Y-90などの固体放射性核種の微小粒子を含む好適な流体のスラリーを使用して製造され得る。さらに、放射性核種は、ゲル又は放射性のマイクロスフィアとして具体化することができる。
【0173】
本開示の化合物又は医薬組成物は、抗血管形成剤、シグナル伝達阻害剤、抗増殖剤、解糖阻止剤又はオートファジー阻害剤から選択される1つ以上の物質の一定量と組み合わせて使用することができる。MMP-2(マトリックス-メタロプロテイナーゼ2)阻害剤、MMP-9(マトリックス-メタロプロテイナーゼ9)阻害剤及びCOX-11(シクロオキシゲナーゼ11)阻害剤などの抗血管形成剤は、本明細書に記載の開示化合物及び医薬組成物と共に使用することができる。
【0174】
抗血管形成剤には、例えば、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD001)、ソラフェニブ、スニチニブ及びベバシズマブが含まれる。有用なCOX-II阻害剤の例として、アレコキシブ、バルデコキシブ及びロフェコキシブが挙げられる。有用なマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の例は、国際公開第96/33172号パンフレット、国際公開第96/27583号パンフレット、欧州特許第0818442号明細書、欧州特許第1004578号明細書、国際公開第98/07697号パンフレット、国際公開第98/03516号パンフレット、国際公開第98/34918号パンフレット、国際公開第98/34915号パンフレット、国際公開第98/33768号パンフレット、国際公開第98/30566号パンフレット、欧州特許第606046号明細書、欧州特許第931788号明細書、国際公開第90/05719号パンフレット、国際公開第99/52910号パンフレット、国際公開第99/52889号パンフレット、国際公開第99/29667号パンフレット、国際公開第1999007675号パンフレット、欧州特許第1786785号明細書、欧州特許第1181017号明細書、米国特許出願公開第20090012085号明細書、米国特許第5863949号明細書、米国特許第5861510号明細書及び欧州特許第0780386号明細書に記載され、これらの全てが参照により全体として本明細書に組み込まれる。好ましいMMP-2及びMMP-9阻害剤は、MMP-1を阻害する活性を殆ど又は全く有していないものである。より好ましくは、他のマトリックスメタロプロテイナーゼ(すなわちMAP-1、MMP-3、MMP-4、MMP-5、MMP-6、MMP7、MMP-8、MMP-10、MMP-11、MMP-12及びMMP-13)に対してMMP-2及び/又はAMP-9を選択的に阻害するものである。本開示で有用なMMP阻害剤のいくつかの特定の例は、AG-3340、RO32-3555及びRS13-0830である。
【0175】
本発明の化合物は、アセマンナン、アクラルビシン、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アルトレタミン、アミホスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、ANCER、アンセスチン、ARGLABIN、亜ヒ酸、BAM002(Novelos)、ベキサロテン、ビカルタミド、ブロクスリジン、カペシタビン、セルモロイキン、セトロレリクス、クラドリビン、クロトリマゾール、シタラビンオクホスファート、DA3030(Dong-A)、ダクリズマブ、デニロイキンジフチトクス、デスロレリン、デクスラゾキサン、ジラゼップ、ドセタキセル、ドコサノール、ドキセルカルシフェロール、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ブロモクリプチン、カルムスチン、シタラビン、フルオロウラシル、HITジクロフェナク、インターフェロンアルファ、ダウノルビシン、ドキソルビシン、トレチノイン、エデルフォシン、エドレコロマブ、エフォルニチン、エミテフル、エピルビシン、エポエチンベータ、エトポシドリン酸塩、エキセメスタン、エクシスリンド、ファドロゾール、フィルグラスチム、フィナステリド、フドラビンリン酸塩、フォルメスタン、フォテムスチン、硝酸ガリウム、ゲムシタビン、ゲムツズマブゾガミシン、ジメラシル/オテラシル/テガフルの組み合わせ、グリコピン、ゴセレリン、ヘプタプラチン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト胎児アルファフェトプロテイン、イバンドロン酸、イダルビシン、(イミキモド、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ、ナチュラル、インターフェロンアルファ-2、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファ-N1、インターフェロンアルファ-n3、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンアルファ、ナチュラル、インターフェロンベータ、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、インターフェロンガンマ、天然インターフェロンガンマ-1a、天然インターフェロンガンマ-1b、インターロイキン-1ベータ、イオベングアン、イリノテカン、イルソグラジン、ランレオチド、LC9018(ヤクルト)、レフルノミド、レノグラスティム、レンチナン硫酸塩、レトロゾール、ロイコサイトアルファインターフェロン、リュープロレリン、レバミソール+フルオロウラシル、リアロゾール、ロバプラチン、ロニダミン、ロバスタチン、マソプロコール、メラソプロール、メトクロプラミド、ミフェプリストン、ミルテフォシン、ミリモスチム、ミスマッチ二本鎖RNA、ミトグアゾン、ミトラクトール、ミトキサントロン、モルグラモスティム、ナファレリン、ナロキソン+ペンタゾシン、ナルトグラスティム、ネダプラチン、ニルタミド、ノスカピン、新規赤血球生成促進タンパク質、NSC 631570オクトレオチド、オプレルベキン、オサテロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロン酸、ペガスパーガゼ、ペグインターフェロンアルファ-2b、ペントサンポリサルフェートナトリウム、ペントスタチン、ピシバニル、ピラルビシン、ウサギアンチチモサイトポリクローナル抗体、ポリエチレングリコールインターフェロンアルファ-2a、ポルフィマーナトリウム、ラロキシフェン、ラルチトレキセド、ラスブリエンボディメント、レニウムRe 186エチドロネート、RIIレチナミド、リツキシマブ、ロムルチド、サマリウム(153 Sm)レキシドロナム、サルグラモチム、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソネルミン、ストロンチウム-89塩化物、スラミン、タソネルミン、タザロテン、テガフル、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、サリドマイド、チマルファシン、チロトロピンアルファ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ-ヨウ素131、トラスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トリロスタン、トリメトレキサート、トリプトレリン、腫瘍壊死因子アルファ、ナチュラル、ウベニメックス膀胱がんワクチン、丸山ワクチン、黒色腫ライセートワクチン、バルビシン、ベルテポルフィン、ビノレルビン、VIRULIZIN、ジノスタチンスティマラマー又はゾレドロン酸;アバレリクス;AE941(Aeterna)、アンバムスチン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、bcl-2(Genta)、APC8015(Dendreon)、セツキシマブ、デシタビン、デクスアミノグルテチミド、ジアジコン、EL532(Elan)、EM800(Endorecherche)、エニルウラシル、エタニダゾール、フェンレチニド、フィルグラスチムSD01(Amgen)、フルベストラント、ガロシタビン、ガストリン17イムノゲン、HLA-B7遺伝子治療(Vical)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒスタミン二塩酸塩、イブリツモマブチウキセタン、イロマスタット、IM862(Cytran)、インターロイキン2、イプロキシフェン、LDI200(Milkhaus)、レリジスチム、リンツズマブ、CA125MAb(Biomira)、がんMAb(日本薬品開発株式会社)、HER-2及びFc MAb(Medarex)、イディオティピック105AD7MAb(CRC Technology)、イディオティピックCEA MAb(Trilex)、LYM-1-ヨウ素131MAb(Techniclone)、多型性上皮ムチンイットリウム90MAb(Antisoma)、マリマスタット、メノガリル、ミツモマブ、モテキサフィンガドリニウム、MX6(Galderma)、ネララビン、ノラトレキセド、P30タンパク質、ペグビソマント、ペメトレキセド、ポルフィロマイシン、プリノマスタット、RL 0903(Shire)、ルビテカン、サトラプラチン、フェニル酢酸ナトリウム、スパルホス酸、SRL 172(SR Pharma)、SU 5416(SUGEN)、TA 077(Tanabe)、テトラチオモリブデート、タリブラスチン、トロンボポエチン、スズエチルエチオプルプリン、チラパザミン、がんワクチン(Biomira)、メラノーマワクチン(New York University)、メラノーマワクチン(Sloan Kettering Institute)、メラノーマ腫瘍崩壊物ワクチン(New York Medical College)、ウイルス性メラノーマ細胞溶菌液ワクチン(Royal Newcastle Hospital)又はバルスポダールなどの他の抗がん薬との併用療法でも使用され得る。
【0176】
本発明の化合物は、VEGFR阻害剤と共にさらに使用され得る。以下の特許及び特許出願に記載の他の化合物は、併用療法において使用することができる:米国特許第6,258,812号明細書、米国特許出願公開第2003/0105091号明細書、国際公開第01/37820号パンフレット、米国特許第6,235,764号明細書、国際公開第01/32651号パンフレット、米国特許第6,630,500号明細書、同第6,515,004号明細書、同第6,713,485号明細書、同第5,521,184号明細書、同第5,770,599号明細書、同第5,747,498号明細書、国際公開第02/68406号パンフレット、同第02/66470号パンフレット、同第02/55501号パンフレット、同第04/05279号パンフレット、同第04/07481号パンフレット、同第04/07458号パンフレット、同第04/09784号パンフレット、同第02/59110号パンフレット、同第99/45009号パンフレット、同第00/59509号パンフレット、同第99/61422号パンフレット、米国特許第5,990,141号明細書、国際公開第00/12089号パンフレット及び同第00/02871号パンフレット。
【0177】
いくつかの実施形態では、併用は、少なくとも1つの抗血管形成剤と組み合わせた本発明の組成物を含む。薬剤は、インビトロで合成により調製された化学組成物、抗体、抗原結合領域、放射性核種並びにそれらの組合せ及び抱合体を含むが、これらに限定されない。薬剤は、アゴニスト、アンタゴニスト、アロステリック調節因子、毒素であり得るか、又はより一般的には、その標的を阻害又は刺激(例えば、受容体若しくは酵素の活性化又は阻害)するように作用し得、それにより細胞死を促進するか又は細胞増殖を停止し得る。
【0178】
例示的な抗血管形成剤には、ERBITUX(商標)(IMC-C225)、KDR(キナーゼドメイン受容体)阻害剤(例えば、キナーゼドメイン受容体に特異的に結合する抗体及び抗原結合領域)、AVASTIN(商標)又はVEGF-TRAP(商標)などの抗VEGF剤(例えば、VEGF又は可溶性VEGF受容体若しくはそのリガンド結合領域に特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)及び抗VEGF受容体薬(例えば、それに特異的に結合する、抗体又は抗原結合領域)、Vectibix(パニツムマブ)、IRESSA(商標)(ゲフィチニブ)、TARCEVA(商標)(エルロチニブ)などのEGFR阻害剤(例えば、それに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)、抗Ang1及び抗Ang2剤(例えば、それらに又はそれらの受容体、例えばTie2/Tek)及び抗Tie2キナーゼ阻害剤(例えば、それに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)が含まれる。本発明の医薬組成物は、特異的に結合し、増殖因子の活性を阻害する1種以上の薬剤(例えば、抗体、抗原結合領域又は可溶性受容体)、例えば受容体「c-met」に特異的に結合する肝細胞増殖因子(HGF、分散因子としても知られる)のアンタゴニスト及び抗体又は抗原結合領域などを含むこともできる。
【0179】
他の抗血管形成剤には、Campath、IL-8、B-FGF、Tekアンタゴニスト(Cerettiら、米国特許出願公開第2003/0162712号明細書;米国特許第6,413,932号明細書)、抗TWEAK剤(例えば、特異的に結合する抗体又は抗原結合領域又は可溶性TWEAK受容体アンタゴニスト;Wiley、米国特許第6,727,225号明細書を参照されたい)、インテグリンのそのリガンドへの結合に拮抗するADAMジスインテグリンドメイン(Fanslowら、米国特許出願公開第2002/0042368号明細書)、特異的に結合する抗eph受容体及び/若しくは抗エフリン抗体又は抗原結合領域(米国特許第5,981,245号明細書;同第5,728,813号明細書;同第5,969,110号明細書;同第6,596,852号明細書;同第6,232,447号明細書;同第6,057,124号明細書及びそれらの特許ファミリーのメンバー)、及び抗PDGF-BBアンタゴニスト(例えば、特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)並びにPDGF-BBリガンドに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域及びPDGFRキナーゼ阻害剤(例えば、それに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)が含まれる。
【0180】
さらなる抗血管形成/抗腫瘍剤には、以下のものが含まれる:SD-7784(Pfizer、USA);シレンギチド.(Merck KGaA、Germany、EPO 770622);ペガプタニブ八ナトリウム、(Gilead Sciences、USA);アルファスタチン(Alphastatin)、(BioActa、UK);M-PGA、(Celgene、USA、米国特許第5712291号明細書);イロマスタット、(Arriva、USA、米国特許第5892112号明細書);エマキサニブ(emaxanib)、(Pfizer、USA、米国特許第5792783号明細書);バタラニブ、(Novartis、Switzerland);2-メトキシエストラジオール、(EntreMed、USA);TLC ELL-12、(Elan、Ireland);酢酸アネコルタブ、(Alcon、USA);アルファ-D148 Mab、(Amgen、USA);CEP-7055、(Cephalon、USA);抗Vn Mab、(Crucell、Netherlands)DAC:抗血管新生剤、(ConjuChem、Canada);アンギオシジン(Angiocidin)、(InKine Pharmaceutical、USA);KM-2550、(Kyowa Hakko、日本);SU-0879、(Pfizer、USA);CGP-79787、(Novartis、Switzerland、欧州特許第970070号明細書);ARGENT technology、(Ariad、USA);YIGSR-Stealth、(Johnson&Johnson、USA);フィブリノゲンE断片、(BioActa、UK);血管新生阻害薬、(Trigen、UK);TBC-1635、(Encysive Pharmaceuticals、USA);SC-236、(Pfizer、USA);ABT-567、(Abbott、USA);メタスタチン、(EntreMed、USA);血管新生阻害薬、(Tripep、Sweden);マスピン、(そーせいグループ株式会社、日本);2-メトキシエストラジオール、(Oncology Sciences Corporation、USA);ER-68203-00、(IVAX、USA);ベネフィン、(Lane Labs、USA);Tz-93、(株式会社ツムラ、日本);TAN-1120、(武田薬品工業株式会社、日本);FR-111142、(藤沢薬品工業株式会社、日本、JP02233610);血小板因子4、(RepliGen、USA、欧州特許第407122号明細書);血管内皮増殖因子アンタゴニスト、(Borean、Denmark);ベバシズマブ(pINN)、(Genentech、USA);血管新生阻害薬、(SUGEN、USA);XL 784、(Exelixis、USA);XL 647、(Exelixis、USA);MAb、アルファ5ベータ3インテグリン、第2世代、(Applied Molecular Evolution、USA及びMedImmune、USA);遺伝子療法、網膜症、(Oxford BioMedica、UK);エンザスタウリン塩酸塩(USAN)、(Lilly、USA);CEP 7055、(Cephalon、USA及びSanofi-Synthelabo、France);BC1、(Genoa Institute of Cancer Research、Italy);血管新生阻害薬、(Alchemia、Australia);VEGFアンタゴニスト、(Regeneron、USA);rBPI 21及びBPI由来抗血管新生剤、(XOMA、USA);PI 88、(Progen、Australia);シレンギチド(pINN)、(Merck KGaA、German;Munich Technical University、Germany、Scripps Clinic and Research Foundation、USA);セツキシマブ(INN)、(Aventis、France);AVE 8062、(味の素株式会社、日本);AS 1404、(Cancer Research Laboratory、New Zealand);SG 292、(Telios、USA);エンドスタチン、(Boston Childrens Hospital、USA);ATN 161、(Attenuon、USA);アンジオスタチン、(Boston Childrens Hospital、USA);2-メトキシエストラジオール、(Boston Childrens Hospital、USA);ZD 6474、(AstraZeneca、UK);ZD 6126、(Angiogene Pharmaceuticals、UK);PPI 2458、(Praecis、USA);AZD 9935、(AstraZeneca、UK);AZD 2171、(AstraZeneca、UK);バタラニブ(pINN)、(Novartis、Switzerland及びSchering AG、Germany);組織因子経路阻害剤、(EntreMed、USA);ペガプタニブ(Pinn)、(Gilead Sciences、USA);キサントリゾール、(Yonsei University、South Korea);遺伝子に基づくワクチン、VEGF-2、(Scripps Clinic and Research Foundation、USA);SPV5.2、(Supratek、Canada);SDX 103、(University of California at San Diego、USA);PX 478、(ProlX、USA);メタスタチン、(EntreMed、USA);トロポニンI、(Harvard University、USA);SU 6668、(SUGEN、USA);OXI 4503、(OXiGENE、USA);o-グアニジン、(Dimensional Pharmaceuticals、USA);モツポラミンC、(British Columbia University、Canada);CDP 791、(Celltech Group、UK);アチプリモド(pINN)、(GlaxoSmithKline、UK);E 7820、(エーザイ株式会社、日本);CYC 381、(Harvard University、USA);AE 941、(Aeterna、Canada);ワクチン、血管新生、(EntreMed、USA);ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化剤阻害薬、(Dendreon、USA);オグルファニド(pINN)、(Melmotte、USA);HIF-1アルファ阻害薬、(Xenova、UK);CEP 5214、(Cephalon、USA);BAY RES 2622、(Bayer、Germany);アンギオシジン(Angiocidin)、(InKine、USA);A6、(Angstrom、USA);KR 31372、(Korea Research Institute of Chemical Technology、South Korea);GW 2286、(GlaxoSmithKline、UK);EHT 0101、(ExonHit、France);CP 868596、(Pfizer、USA);CP 564959、(OSI、USA);CP 547632、(Pfizer、USA);786034、(GlaxoSmithKline、UK);KRN 633(麒麟麦酒株式会社、日本);薬物送達系、眼内、2-メトキシエストラジオール、(EntreMed、USA);アンジネックス、(Maastricht University、Netherlands及びMinnesota University、USA);ABT 510、(Abbott、USA);AAL 993、(Novartis、Switzerland);VEGI、(ProteomTech、USA);腫瘍壊死因子-アルファ阻害薬、(National Institute on Aging、USA);SU 11248、(Pfizer、USA及びSUGEN USA);ABT 518、(Abbott、USA);YH16、(Yantai Rongchang、China);S-3APG 、(Boston Childrens Hospital、USA及びEntreMed、USA);MAb、KDR、(ImClone Systems、USA);MAb、アルファ5ベータ1、(Protein Design、USA);KDRキナーゼ阻害薬、(Celltech Group、UK及びJohnson&Johnson、USA);GFB 116、(South Florida University、USA及びYale University、USA);CS 706、(Sankyo、日本);コンブレタスタチンA4プロドラッグ、(Arizona State University、USA);コンドロイチナーゼAC、(IBEX、Canada);BAY RES 2690、(Bayer、Germany);AGM 1470、(Harvard University、USA、武田薬品工業株式会社、日本及びTAP、USA);AG 13925、(Agouron、USA);テトラチオモリブデン酸塩、(University of Michigan、USA);GCS 100、(Wayne State University、USA)CV 247、(Ivy Medical、UK);CKD 732、(Chong Kun Dang、South Korea);MAb、血管内皮増殖因子、(Xenova、UK);イルソグラジン(INN)、(日本新薬株式会社、日本);RG 13577、(Aventis、France);WX 360、(Wilex、Germany);スクアラミン(pINN)、(Genaera、USA);RPI 4610、(Sirna、USA);がん療法、(Marinova、Australia);ヘパラナーゼ阻害薬、(InSight、Israel);KL 3106、(Kolon、South Korea);ホノキオール、(Emory University、USA);ZK CDK、(Schering AG、Germany);ZK Angio、(Schering AG、Germany);ZK 229561、(Novartis、Switzerland及びSchering AG、Germany);XMP 300、(XOMA、USA);VGA 1102、(Taisho、日本);VEGF受容体調節剤、(Pharmacopeia、USA);VE-カドヘリン-2アンタゴニスト、(ImClone Systems、USA);バソスタチン、(National Institutes of Health、USA);ワクチン、Flk-1、(ImClone Systems、USA);TZ 93、(株式会社ツムラ、日本);タムスタチン、(Beth Israel Hospital、USA);切断可溶性FLT1(血管内皮増殖因子受容体1)、(Merck&Co、USA);Tie-2リガンド、(Regeneron、USA);及びトロンボスポンジン1阻害薬、(Allegheny Health、Education and Research Foundation、USA)。
【0181】
オートファジー阻害剤としては、クロロキン、3-メチルアデニン、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil(商標))、バフィロマイシンA1、5-アミノ-4イミダゾールカルボキサミドリボシド(AICAR)、オカダ酸、2A型又は1型のタンパク質ホスファターゼを阻害するオートファジー抑制藻類毒素、cAMPのアナログ並びにアデノシン、LY204002、N6-メルカプトプリンリボシド及びビンブラスチンなどのcAMPレベルを上昇させる薬物が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、ATG5(オートファジーに関与する)を含むが、これに限定されない、タンパク質の発現を阻害するアンチセンス又はsiRNAも使用され得る。
【0182】
がんの治療で使用でき、本発明の1つ以上の化合物と組み合わせて使用できる、さらなる薬学的に活性な化合物/薬剤としては、エポエチンアルファ;ダルベポエチンアルファ;パニツムマブ;ペグフィルグラスチム;パリフェルミン;フィルグラスチム;デノスマブ;アンセスチム;AMG 102;AMG 386;AMG 479;AMG 655;AMG 745;AMG 951;及びAMG 706又はこれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0183】
特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、化学療法剤と併用して投与される。好適な化学療法剤は、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビンオレルビン)などの天然産物、パクリタキセル、エピジポドフィロトキシン(例えば、エトポシド及びテニポシド)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン及びイダルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、マイトマイシン、酵素(例えば、L-アスパラギンを全身的に代謝し、自らのアスパラギンを合成する能力を有さない細胞を取り除くL-アスパラギナーゼ)、抗血小板剤、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド及びアナログ、メルファラン並びにクロラムブシル)などの抗増殖性/抗有糸分裂性アルキル化剤、エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、CDK阻害剤(例えば、セリシクリブ、UCN-01、P1446A-05、PD-0332991、ジナシクリブ、P27-00、AT-7519、RGB286638及びSCH727965)、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU)及びアナログ並びにストレプトゾシン)、トラゼン-ダカルバジン(DTIC)、葉酸アナログ(例えば、メトトレキサート)などの抗増殖性/抗有糸分裂性代謝拮抗剤、ピリミジンアナログ(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン及びシタラビン)、プリンアナログ及び関連阻害剤(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン及び2-クロロデオキシアデノシン)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、エキセメスタン及びレトロゾール)及び白金配位錯体(例えば、シスプラチン及びカルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトタン、アミノグルテチミド、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤(例えば、トリコスタチン、酪酸ナトリウム、アピシダン、スベロイルアニリドヒドロキサム酸アピシダン、ボリノスタット、LBH 589、ロミデプシン、ACY-1215及びパノビノスタット)、mTor阻害剤(例えば、テムシロリムス、エベロリムス、リダホロリムス及びシロリムス)、KSP(Eg5)阻害剤(例えば、Array 520)、DNA結合剤(例えば、ザリプシス)PI3Kデルタ阻害剤(例えば、GS-1101及びTGR-1202)、PI3Kデルタ及びガンマ阻害剤(例えば、CAL-130)、マルチキナーゼ阻害剤(例えば、TG02及びソラフェニブ)、ホルモン(例えば、エストロゲン)及び黄体ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト(例えば、ゴセレリン、ロイプロリド及びトリプトレリン)などのホルモンアゴニスト、BAFF中和抗体(例えば、LY2127399)、IKK阻害剤、p38MAPK阻害剤、抗IL-6(例えば、CNTO328)、テロメラーゼ阻害剤(例えば、GRN163L)、オーロラキナーゼ阻害剤(例えば、MLN8237)、細胞表面モノクローナル抗体(例えば、抗CD38(HUMAX-CD38)、抗CS1(例えば、エロツズマブ)、HSP90阻害剤(例えば、17AAG及びKOS 953)、P13K/Akt阻害剤(例えば、ペリフォシン)、Akt阻害剤(例えば、GSK-2141795)、PKC阻害薬(例えば、エンザスタウリン)、FTI(例えば、Zarnestra(商標))、抗CD138(例えば、BT062)、Torc1/2特異的キナーゼ阻害剤(例えば、INK128)、キナーゼ阻害剤(例えば、GS-1101)、ER/UPR標的剤(例えば、MKC-3946)、cFMS阻害剤(例えば、ARRY-382)、JAK1/2阻害剤(例えば、CYT387)、PARP阻害剤(例えば、オラパリブ及びベリパリブ(ABT-888))及びBCL-2アンタゴニストを含み得る。他の化学療法剤としては、メクロレタミン、カンプトテシン、イホスファミド、タモキシフェン、ラロキシフェン、ゲムシタビン、ナベルビン、ソラフェニブ又は上記の任意のアナログ若しくは誘導変異体が挙げられ得る。
【0184】
本発明の化合物は、当業者によく知られている放射線療法、ホルモン療法、手術及び免疫療法と組み合わせても使用され得る。
【0185】
特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、ステロイドと併用して投与される。好適なステロイドは、21-アセトキシプレグノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニソン、クロベタゾール、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコート、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、フォルモコルタル、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ハロメタゾン、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノールエタボネート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フロ酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25-ジエチルアミノアセテート、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトル、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド並びにそれらの塩及び/又は誘導体を含み得るが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本発明の化合物は、悪心を治療する追加の薬学的に活性な薬剤と組み合わせても使用され得る。悪心の治療に使用することができる薬剤の例としては、ドロナビノール;グラニセトロン;メトクロプラミド;オンダンセトロン;及びプロクロルペラジン;又はそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0186】
本発明の化合物は、RAS-RAF-ERK又はPI3K-AKT-TORシグナル伝達経路を中断させるか又は阻害する追加の薬学的に活性な化合物と組み合わせても使用され得る。他のそのような組合せにおいて、追加の薬学的に活性な化合物は、PD-1及びPD-L1アンタゴニストである。本開示の化合物又は医薬組成物は、EGFR阻害剤、MEK阻害剤、PI3K阻害剤、AKT阻害剤、TOR阻害剤、Mcl-1阻害剤、BCL-2阻害剤、SHP2阻害剤、プロテアソーム阻害剤並びにモノクローナル抗体、免疫調節イミド(IMiD)、抗PD-1、抗PDL-1、抗CTLA4、抗LAG1及び抗OX40剤を含む免疫療法、GITRアゴニスト、CAR-T細胞並びにBiTEから選択されるある量の1つ以上の物質と組み合わせても使用され得る。
【0187】
EGFR阻害剤としては、小分子アンタゴニスト、抗体阻害剤又は特異的アンチセンスヌクレオチド若しくはsiRNAが挙げられるが、これらに限定されない。EGFRの有用な抗体阻害剤としては、セツキシマブ(Erbitux)、パニツマブ(Vectibix)、ザルツムマブ、ニモツズマブ及びマツズマブが挙げられる。EGFRの小分子アンタゴニストとしては、ゲフィチニブ、エルロチニブ(Tarceva)及び最近ではラパチニブ(TykerB)が挙げられる。例えば、Yan L、et.al.,Pharmacogenetics and Pharmacogenomics In Oncology Therapeutic Antibody Development,BioTechniques 2005;39(4):565-8及びPaez J G、et.al.,EGFR Mutations In Lung Cancer Correlation With Clinical Response To Gefitinib Therapy,Science 2004;304(5676):1497-500を参照されたい。
【0188】
小分子EGFR阻害剤の非限定的な例としては、以下の特許公報に記載されているEGFR阻害剤及び前記EGFR阻害剤の薬学的に許容される全ての塩及び溶媒和物のいずれかが挙げられる:1992年12月30日に公開された欧州特許出願公開第520722号明細書;1993年10月20日に公開された欧州特許出願公開第566226号明細書;1996年10月31日に公開された国際公開第96/33980号パンフレット;1998年5月5日に発行された米国特許第5,747,498号明細書;1996年10月3日に公開された国際公開第96/30347号パンフレット;1997年8月6日に公開された欧州特許出願公開第787772号明細書;1997年8月21日に公開された国際公開第97/30034号パンフレット;1997年8月21日に公開された国際公開第97/30044号パンフレット;1997年10月23日に公開された国際公開第97/38994号パンフレット;1997年12月31日に公開された国際公開第97/49688号パンフレット;1998年4月22日に公開された欧州特許出願公開第837063号明細書;1998年1月22日に公開された国際公開第98/02434号パンフレット;1997年10月23日に公開された国際公開第97/38983号パンフレット;1995年7月27日に公開された国際公開第95/19774号パンフレット;1995年7月27日に公開された国際公開第95/19970号パンフレット;1997年4月17日に公開された国際公開第97/13771号パンフレット;1998年1月22日に公開された国際公開第98/02437号パンフレット;1998年1月22日に公開された国際公開第98/02438号パンフレット;1997年9月12日に公開された国際公開第97/32881号パンフレット;1998年1月29日に公開された独国特許出願DE19629652号明細書;1998年8月6日に公開された国際公開第98/33798号パンフレット;1997年9月12日に公開された国際公開第97/32880号パンフレット;1997年9月12日に公開された国際公開第97/32880号パンフレット;1995年11月15日に公開された欧州特許出願公開第682027号明細書;197年1月23日に公開された国際公開第97/02266号パンフレット;1997年7月31日に公開された国際公開第97/27199号パンフレット;1998年2月26日に公開された国際公開第98/07726号パンフレット;1997年9月25日に公開された国際公開第97/34895号パンフレット;1996年10月10日に公開された国際公開第96/31510’号パンフレット;1998年4月9日に公開された国際公開第98/14449号パンフレット;1998年4月9日に公開された国際公開第98/14450号パンフレット;1998年4月9日に公開された国際公開第98/14451号パンフレット;1995年4月13日に公開された国際公開第95/09847号パンフレット;1997年5月29日に公開された国際公開第97/19065号パンフレット;1998年4月30日に公開された国際公開第98/17662号パンフレット;1998年8月4日に発行された米国特許第5,789,427号明細書;1997年7月22日に発行された米国特許第5,650,415号明細書;1997年8月12日に発行された米国特許第5,656,643号明細書;1999年7月15日に公開された国際公開第99/35146号パンフレット;1999年7月15日に公開された国際公開第99/35132;1999年2月18日に公開された国際公開第99/07701及び1992年11月26日に公開された国際公開第92/20642。小分子EGFR阻害剤のさらなる非限定的な例には、Traxler,P.,1998,Exp.Opin.Ther.Patents 8(12):1599-1625に記載のいずれかのEGFR阻害剤が含まれる。
【0189】
抗体ベースのEGFR阻害剤には、その天然リガンドにより、EGFR活性化を部分的又は完全に遮断することができる任意の抗EGFR抗体又は抗体断片が含まれる。抗体ベースのEGFR阻害剤の非限定的な例には、Modjtahedi,H.,et al.,1993,Br.J.Cancer 67:247-253;Teramoto,T.,et al.,1996,Cancer 77:639-645;Goldstein et al.,1995,Clin.Cancer Res.1:1311-1318;Huang、S.M.,et al.,1999,Cancer Res.15:59(8):1935-40;及びYang、X.,et al.,1999,Cancer Res.59:1236-1243に記載されているものが含まれる。したがって、EGFR阻害剤は、モノクローナル抗体Mab E7.6.3(Yang、1999、前出)若しくはMab C225(ATCCアクセッション番号HB-8508)又はその結合特異性を有する抗体若しくは抗体フラグメントであり得る。
【0190】
MEK阻害剤には、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、ARRY-142886、ARRY-438162及びPD-325901が含まれるが、これらに限定されない。
【0191】
PI3K阻害剤には、ワートマニン、国際公開第06/044453号パンフレットに記載の17-ヒドロキシワートマニンアナログ、4-[2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-[[4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル]メチル]チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-イル]モルホリン(GDC 0941としても知られ、国際公開第09/036,082号パンフレット及び国際公開第09/055,730号パンフレットに記載がある)、2-メチル-2-[4-[3-メチル-2-オキソ-8-(キノリン-3-イル)-2,3-ジヒドロイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]フェニル]プロピオニトリル(BEZ 235又はNVP-BEZ 235としても知られ、国際公開第06/122806号パンフレットに記載がある)、(S)-1-(4-((2-(2-アミノピリミジン-5-イル)-7-メチル-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-2-ヒドロキシプロパン-1-オン(国際公開第2008/070740号パンフレットに記載がある)、LY294002(Axon Medchemから入手可能である2-(4-モルホリニル)-8-フェニル-4H-1-ベンゾピラン-4-オン)、PI 103ヒドロクロリド(Axon Medchemから入手可能である3-[4-(4-モルホリニルピリド-[3’,2’:4,5]フロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル]フェノールヒドロクロリド)、PIK 75(Axon Medchemから入手可能であるN’-[(1E)-(6-ブロモイイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル)メチレン]-N,2-ジメチル-5-ニトロベンゼンスルホノ-ヒドラジドハイドロクロリド)、PIK 90(Axon Medchemから入手可能であるN-(7,8-ジメトキシ-2,3-ジヒドロ-イミダゾ[1,2-c]キナゾリン-5-イル)-ニコチンアミド)、GDC-0941ビスメシレート(Axon Medchemから入手可能である2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-(4-メタンスルホニル-ピペラジン-1-イルメチル)-4-モルホリン-4-イル-チエノ[3,2-d]ピリミジンビスメシレート)、AS-252424(Axon Medchemから入手可能である5-[1-[5-(4-フルオロ-2-ヒドロキシ-フェニル)-フラン-2-イル]-メト-(Z)-イリデン]-チアゾリジン-2,4-ジオン)及びTGX-221(Axon Medchemから入手可能である7-メチル-2-(4-モルホリニル)-9-[1-(フェニルアミノ)エチル]-4H-ピリド-[1,2-a]ピリミジン-4-オン)、XL-765及びXL-147が含まれるが、これらに限定されない。他のPI3K阻害剤には、デメトキシビリジン、ペリフォシン、CAL101、PX-866、BEZ235、SF1126、INK1117、IPI-145、BKM120、XL147、XL765、パロミド529、GSK1059615、ZSTK474、PWT33597、IC87114、TG100-115、CAL263、PI-103、GNE-477、CUDC-907及びAEZS-136が含まれる。
【0192】
AKT阻害剤としては、Akt-1-1(Akt1を阻害する)(Barnett et al.(2005)Biochem.J.,385(Pt.2)、399-408);Akt-1-1,2(Ak1及び2を阻害する)(Barnett et al.(2005)Biochem.J.385(Pt.2)、399-408);API-59CJ-Ome(例えば、Jin et al.(2004)Br.J.Cancer 91,1808-12);1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジニル化合物(例えば、国際公開第05011700号パンフレット);インドール-3-カルビノール及びその誘導体(例えば、米国特許第6,656,963号明細書;Sarkar and Li(2004)J Nutr.134(12 Suppl)、3493S-3498S);ペリフォシン(例えば、Aktの膜局在を妨げる;Dasmahapatra et al.(2004)Clin.Cancer Res.10(15)、5242-52,2004);ホスファチジルイノシトールエーテル脂質アナログ(例えば、Gills and Dennis(2004)Expert.Opin.Investig.Drugs 13,787-97);及びトリシリビン(TCN若しくはAPI-2又はNCI識別子:NSC 154020;Yang et al.(2004)Cancer Res.64,4394-9)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0193】
TOR阻害剤には、AP-23573、CCI-779、エベロリムス、RAD-001、ラパマイシン、テムシロリムス、ATP競合型TORC1/TORC2阻害剤(PI-103、PP242、PP30及びトリン1を含む)を含む阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。FKBP12エンハンサーにおける他のTOR阻害剤;以下のものを含むラパマイシン及びその誘導体:CCI-779(テムシロリムス)、RAD001(エベロリムス;国際公開第9409010号パンフレット)及びAP23573;ラパログ、例えば国際公開第98/02441号パンフレット及び国際公開第01/14387号パンフレットで開示されているもの、例えばAP23573、AP23464又はAP23841;40-(2-ヒドロキシエチル)ラパマイシン、40-[3-ヒドロキシ(ヒドロキシメチル)メチルプロパノエート]-ラパマイシン(CC1779とも呼ばれる)、40-エピ-(テトラゾリト)-ラパマイシン(ABT578とも呼ばれる)、32-デオキソラパマイシン、16-ペンチニルオキシ-32(S)-ジヒドロラパニシン及び国際公開第05005434号パンフレットで開示されている他の誘導体;米国特許第5,258,389号明細書、国際公開第94/090101号パンフレット、国際公開第92/05179号パンフレット、米国特許第5,118,677号明細書、米国特許第5,118,678号明細書、米国特許第5,100,883号明細書、米国特許第5,151,413号明細書、米国特許第5,120,842号明細書、国際公開第93/111130号パンフレット、国際公開第94/02136号パンフレット、国際公開第94/02485号パンフレット、国際公開第95/14023号パンフレット、国際公開第94/02136号パンフレット、国際公開第95/16691号パンフレット、国際公開第96/41807号パンフレット、国際公開第96/41807号パンフレット及び米国特許第5,256,790号明細書で開示されている誘導体;リン含有ラパマイシン誘導体(例えば、国際公開第05016252号パンフレット);4H-1-ベンゾピラン-4-オン誘導体(例えば、米国仮特許出願第60/528,340号明細書)。
【0194】
MCl-1阻害剤としては、AMG-176、MIK665及びS63845が挙げられるが、これらに限定されない。骨髄細胞白血病-1(MCL-1)タンパク質は、B細胞リンパ腫-2(BCL-2)タンパク質ファミリーの重要な抗アポトーシスメンバーの1つである。MCL-1の過剰発現は、腫瘍進行及び従来の化学療法だけでなく、ABT-263などのBCL-2阻害剤を含む標的化療法に対する耐性と密接に関連している。
【0195】
SHP阻害剤としては、SHP099が挙げられるが、これに限定されない。
【0196】
プロテアソーム阻害剤としては、カイプロリス(登録商標)(カルフィルゾミブ)、ベルケイド(登録商標)(ボルテゾミブ)及びオプロゾミブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0197】
免疫療法としては、抗PD-1剤、抗PDL-1剤、抗CTLA-4剤、抗LAG1剤及び抗OX40剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0198】
モノクローナル抗体としては、ダラザレックス(登録商標)(ダラツムマブ)、ハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ)、アバスチン(登録商標)(ベバシズマブ)、リツキサン(登録商標)(リツキシマブ)、ルセンティス(登録商標)(ラニビズマブ)及びアイリーア(登録商標)(アフリベルセプト)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0199】
免疫調節剤(IMiD)は、イミド基を含有する免疫調節性薬物(免疫応答を調整する薬物)のクラスである。IMiDクラスは、サリドマイド及びそのアナログ(レナリドミド、ポマリドミド及びアプレミラスト)を含む。
【0200】
例示的な抗PD-1抗体及びそれらの使用方法は、Goldberg et al.,Blood 110(1):186-192(2007)、Thompson et al.,Clin.Cancer Res.13(6):1757-1761(2007)及びKorman et al.,国際出願第PCT/JP2006/309606号明細書(国際公開第2006/121168A1号パンフレット)に記載され、これらのそれぞれは、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。以下のものが含まれる:Yervoy(商標)(イピリムマブ)又はトレメリムマブ(CTLA-4に対する)、ガリキシマブ(B7.1に対する)、BMS-936558(PD-1に対する)、MK-3475(PD-1に対する)、AMP224(B7DCに対する)、BMS-936559(B7-H1に対する)、MPDL3280A(B7-H1に対する)、MEDI-570(ICOSに対する)、AMG557(B7H2に対する)、MGA271(B7H3に対する)、IMP321(LAG-3に対する)、BMS-663513(CD137に対する)、PF-05082566(CD137に対する)、CDX-1127(CD27に対する)、抗OX40(Providence Health Services)、huMAbOX40L(OX40Lに対する)、アタシセプト(TACIに対する)、CP-870893(CD40に対する)、ルカツムマブ(CD40に)、デカツズマブ(CD40に対する)、ムロモナブ-CD3(CD3に対する)、イピルムマブ(CTLA-4に対する)。免疫療法は、遺伝子操作されたT細胞(例えば、CAR-T細胞)及び二重特異性抗体(例えば、BiTE)も含む。
【0201】
特定の実施形態では、本発明の化合物は、抗PD-1抗体と組み合わせて使用される。特定の実施形態では、抗PD-1抗体(又はその抗原結合抗体断片)は、配列番号1~6(HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3の順で表す)の1、2、3、4、5又は6つ全てのCDRアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、抗PD-1抗体(又はその抗原結合抗体断片)は、配列番号1~6の6つ全てのCDRアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、抗PD-1抗体(又はその抗原結合抗体断片)は、(a)配列番号7における重鎖可変領域アミノ酸配列又は1つ若しくは2つのみのアミノ酸が異なるか又は少なくとも若しくは約70%の配列同一性を有するその変異体配列、又は(b)配列番号8における軽鎖可変領域アミノ酸配列又は1つ若しくは2つのみのアミノ酸が異なるか又は少なくとも若しくは約70%の配列同一性を有するその変異体配列を含む。例示的な実施形態では、抗PD-1抗体(又はその抗原結合抗体断片)は、配列番号7における重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8における軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。他の実施形態では、抗PD-1抗体(又はその抗原結合抗体断片)は、(a)配列番号9の重鎖アミノ酸配列又は1つ若しくは2つのみのアミノ酸が異なるか又は少なくとも若しくは約70%の配列同一性を有するその変異体配列;又は(b)配列番号10の軽鎖アミノ酸配列又は1つ若しくは2つのみのアミノ酸が異なるか又は少なくとも若しくは約70%の配列同一性を有するその変異体配列を含む。例示的な実施形態では、抗PD-1抗体(又はその抗原結合抗体断片)は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
【0202】
本開示は、抗PD-1抗体(又はその抗原結合部分)をコードする核酸配列をさらに提供する。例示的な態様では、抗体は、配列番号11~16(HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3の順で表す)の核酸によってコードされる1、2、3、4、5又は6つ全てのCDRを含む。別の例示的な態様では、抗体は、配列番号11~16の核酸によってコードされる6つ全てのCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体(又はその抗原結合部分)は、(a)配列番号17又は1、2、3、4、5若しくは6つのみの核酸が異なるか又は少なくとも若しくは約70%、85%、90%若しくは95%の配列同一性を有するその変異体配列によってコードされる重鎖可変領域、又は(b)配列番号18又は1、2、3、4、5若しくは6つのみの核酸が異なるか又は少なくとも若しくは約70%、85%、90%若しくは95%の配列同一性を有するその変異体配列によってコードされる軽鎖可変領域を含む。例示的な実施形態では、抗PD-1抗体(又はその抗原結合部分)は、配列番号17によってコードされる重鎖可変領域及び配列番号18によってコードされる軽鎖可変領域を含む。他の実施形態では、抗PD-1抗体(又はその抗原結合部分)は、(a)配列番号19又は1、2、3、4、5若しくは6つのみの核酸が異なるか又は少なくとも若しくは約70%、85%、90%若しくは95%の配列同一性を有するその変異体配列によってコードされる重鎖、又は(b)配列番号20又は1、2、3、4、5若しくは6つのみの核酸が異なるか又は少なくとも若しくは約70%、85%、90%若しくは95%の配列同一性を有するその変異体配列によってコードされる軽鎖を含む。例示的な実施形態では、抗PD-1抗体(又はその抗原結合部分)は、配列番号19によってコードされる重鎖及び配列番号20によってコードされる軽鎖を含む。
【0203】
GITRアゴニストとしては、米国特許第6,111,090box.c号明細書、欧州特許第090505B1号明細書、米国特許第8,586,023号明細書、国際公開第2010/003118号パンフレット及び同第2011/090754号パンフレットに記載があるGITR融合タンパク質などのGITR融合タンパク質及び抗GITR抗体(例えば、二価抗GITR抗体)又は例えば米国特許第7,025,962号明細書、欧州特許第1947183B1号明細書、米国特許第7,812,135号明細書、米国特許第8,388,967号明細書、米国特許第8,591,886号明細書、欧州特許第1866339号明細書、国際公開第2011/028683号パンフレット、国際公開第2013/039954号パンフレット、国際公開第2005/007190号パンフレット、国際公開第2007/133822号パンフレット、国際公開第2005/055808号パンフレット、国際公開第99/40196号パンフレット、国際公開第2001/03720号パンフレット、国際公開第99/20758号パンフレット、国際公開第2006/083289号パンフレット国際公開第2005/115451号パンフレット、米国特許第7,618,632号明細書、及び国際公開第2011/051726号パンフレットに記載がある抗GITR抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0204】
本明細書に記載される化合物は、治療される状態に応じて、本明細書で開示される薬剤又は他の好適な薬剤と組み合わせて使用され得る。したがって、いくつかの実施形態では、本開示の1つ以上の化合物は、上記の他の薬剤と同時投与されることになる。併用療法で使用される場合、本明細書に記載の化合物は、第2の薬剤と同時に又は別々に投与される。この併用投与は、同じ投与形態の2つの薬剤の同時投与、別々の投与形態の同時投与及び別々の投与を含み得る。すなわち、本明細書に記載される化合物及び上記薬剤のいずれかを同じ投与形態で一緒に製剤化し、同時投与することができる。代わりに、本開示の化合物及び上記の薬剤のいずれかを同時に投与することができ、ここで、両方の薬剤は、別々の製剤中に存在している。別の代替では、本開示の化合物に引き続いて、上記の薬剤のいずれかを投与し得るか又はそれとは逆の順序で投与し得る。別々の投与プロトコルのいくつかの実施形態では、本開示の化合物及び上記の任意の薬剤は、数分の間隔、又は数時間の間隔、又は数日の間隔で投与される。
【0205】
本発明の1つの態様として、別々に投与され得る薬学的に活性な化合物の組合せにより、疾患/状態を治療することが検討されているため、本発明は、別々の医薬組成物をキットの形態に組み合わせることにさらに関する。キットは、2つの別々の医薬組成物:本発明の化合物及び第2の医薬化合物を含む。キットは、分割されたボトル又は分割された金属箔の袋など、別々の組成物を収容するための容器を含む。容器の別の例としては、注射器、箱及びバッグが挙げられる。いくつかの実施形態では、キットは、別々の成分の使用のための説明書を含む。キット形態は、別々の成分が好ましくは異なる投与形態(例えば、経口及び非経口)で投与される場合、異なる投与間隔で投与される場合又は組合せの個々の成分の用量設定が処方する医療専門家により所望される場合に特に有利である。
【実施例】
【0206】
実施例1 4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン、5 4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン、6 4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及び13(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンの絶対配置は、共結晶化に基づいて割り当てられた。中間体C及びGの絶対配置は、実施例1、5、6及び13などのこれらの中間体から調製された分子の共結晶化に基づいて割り当てられた。
【0207】
実施例1
4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化46】
【0208】
工程1:2,5,6-トリクロロニコチンアミド(中間体A)。1,1’-カルボニルジイミダゾール(40g、247mmol)をTHF(400mL)中の2,5,6-トリクロロニコチン酸(50.7g、224mmol、Combi-Blocks、San Diego、CA)に少量ずつ加え、添加の間ガス放出が止まるようにした。得られた混合物を5分間撹拌し、続いて家庭用真空装置で脱気し、窒素でフラッシングした。得られた混合物を50℃に60分間加熱し、続いてトルエン(100mL)で希釈し、最初の体積の半分に濃縮した。得られた混合物を0℃に冷却し、水酸化アンモニウム(60mL、437mmol)をシリンジでゆっくりと加えた。反応物を室温で10分間撹拌し、EtOAc(200mL)で希釈し、水(3×100mL)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を9:1ヘプタン/EtOAc(300mL)中で懸濁させ、濾過した。濾過された固体を回収し、残留している母液を部分的に蒸発させて最初の体積の半分にし、0℃に冷却し、濾過した。濾過された固体の2つの収集物を合わせて、2,5,6-トリクロロニコチンアミドを得た。
【0209】
工程2:2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-アミン(中間体B)。TFH(4mL)中の3-アミノ-2-ブロモ-4-ピコリン(360mg、1.9mmol、Combi-Blocks、San Diego、CA)のスラリーにDCMとの[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)錯体(Sigma-Aldrich、St.Loius、MO)(79mg、0.10mmol)を加えた。得られたスラリーをアルゴンで2分間脱気し、続いて2-プロピル亜鉛ブロミド(THF中0.5M溶液、5.40mL、2.7mmol、Sigma-Aldrich、St.Loius、MO)を加えた。得られた溶液を60℃で17時間加熱し、続いて加熱を止め、反応物を室温まで冷却させた。反応混合物を水(10mL)及び1N NaOH溶液(20mL)でクエンチし、続いてEtOAcで抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~15% MeOH/DCM)により精製して、2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-アミンを得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 7.66(d,J=4.6Hz,1H),6.78(d,J=4.8Hz,1H),4.72(br s,2H),3.14-3.25(m,1H),2.08(s,3H),1.14(d,J=6.8Hz,6H).m/z(ESI,陽イオン):151.1(M+H)+.
【0210】
工程3:2,5,6-トリクロロ-N-((2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)カルバモイル)ニコチンアミド。THF(46mL)中の2,5,6-トリクロロニコチンアミド(中間体A、3.10g、13.8mmol)の-78℃スラリーに塩化オキサリル(DCM中2M溶液、7.4mL、14.7mmol)をシリンジでゆっくりと加えた。得られたスラリーを60℃で3.5時間加熱し、続いて加熱を止め、反応物を-78℃に冷却した。トリエチルアミン(6.0mL、42.6mmol)に続いて2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-アミン(中間体B、2.12g、14.1mmol)の溶液をカニューレで加えた。得られたスラリーを室温まで温め、1時間撹拌し、続いて水(120mL)とEtOAc(175mL)との間で分配した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を9:1ヘプタン/EtOAc中で懸濁させ、濾過した。濾過した固体を回収して、2,5,6-トリクロロ-N-((2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)カルバモイル)ニコチンアミドを得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 11.31(s,1H),9.54(s,1H),8.66(s,1H),8.34(d,J=4.8Hz,1H),7.16(d,J=5.0Hz,1H),3.24-3.33(m,1H),2.22(s,3H),1.17(d,J=6.6Hz,6H).m/z(ESI,陽イオン):400.9(M+H)+.
【0211】
工程4:(M)-6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(中間体C)。THF(55mL)中の2,5,6-トリクロロ-N-((2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)カルバモイル)ニコチンアミド(4.71g、11.7mmol)の氷冷溶液にKHMDS(THF中1M溶液、23.5mL、23.5mmol)をシリンジでゆっくりと加えた。10分後、氷浴を取り外し、得られた溶液を室温でさらに30分間撹拌した。反応物を飽和塩化アンモニウム水溶液(125mL)でクエンチし、EtOAc(250mL)で抽出した。有機層を塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~11% MeOH/DCM)により精製して、アトロプ異性体の混合物として6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンを得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 12.27(br s,1H),8.59(s,1H),8.52(d,J=5.0Hz,1H),7.28(d,J=5.0Hz,1H),2.82-2.92(m,1H),2.04(s,3H),1.08(d,J=6.6Hz,3H),1.01(d,J=6.8Hz,3H).m/z(ESI,陽イオン):365.0(M+H)+.
【0212】
6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンアトロプ異性体(55.1g)の混合物をSFC(AD、250×50mm、5μm、50% MeOH/CO2、180g/分、102bar)により精製して、2つのピークを得た:ピーク1((P)-6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン、22.1g、>99% ee)及びピーク2((M)-6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン、23.2g、>99% ee)。
【0213】
工程5:(M)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(中間体D)。1,4-ジオキサン(57mL)/水(1.7mL)中の(M)-6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(中間体C、4.40g、12.1mmol)、(2-フルオロフェニル)ボロン酸(2.53g、18.1mmol;Combi-Blocks、San Diego、CA)、KOAc(9.46g、96mmol)及び(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(0.882g、1.21mmol)の混合物を窒素で曝気し、続いて90℃で2時間撹拌した。追加の(2-フルオロフェニル)ボロン酸(0.5g)を加え、反応混合物をさらに15分間撹拌した。反応混合物をEtOAc(200mL)で希釈し、分液漏斗に加え、水(2×100mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物をシリカに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル、0~100% EtOAc/ヘプタン)により精製して、黄白色フォームとして(M)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンを得た(4.03g、9.49mmol、収率79%)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.91(br s,1H)8.60(s,1H)8.50-8.55(m,1H)7.37-7.46(m,1H)7.06-7.17(m,4H)2.81(spt,J=6.7Hz,1H)2.10(s,3H)1.24(br d,J=6.8Hz,3H)1.09(br d,J=6.6Hz,3H).19F NMR(377MHz,CDCl3)δ -112.87(s,1F).m/z(ESI,陽イオン):424.9(M+H)+.
【0214】
工程6:(2R,5S,M)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル。アセトニトリル(6mL)中の(M)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(中間体D、1.08g、2.54mmol)、三塩化ホスホリル(0.284mL、3.05mmol)及びDIPEA(1.33mL、7.63mmol)の溶液を80℃で30分間撹拌した。反応混合物をヒートブロックから取り出し、(2R,5S)-1-Boc-2,5-ジメチルピペラジン(0.545g、2.54mmol;AstaTech Inc.、Bristol、PA)及びDIPEA(1.328mL、7.63mmol)を加えた。反応混合物を室温で15分間撹拌した。反応混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、分液漏斗に加え、飽和NaHCO3水溶液(2×75mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物をシリカに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~70% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、淡黄色固体として(2R,5S,M)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルを得た(861mg、1.39mmol、収率55%)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.45-8.52(m,1H)8.11(s,1H)7.41(br d,J=5.4Hz,1H)7.04-7.21(m,4H)4.90-5.06(m,1H)4.34-4.69(m,1H)4.03-4.20(m,1H)3.78-4.01(m,2H)3.46-3.65(m,1H)2.63-2.80(m,1H)2.03(br s,3H)1.52(s,9H)1.25-1.31(m,6H)1.23(br d,J=7.0Hz,3H)1.08(br d,J=6.6Hz,3H).19F NMR(377MHz,CDCl3)δ -112.51(br s,1F).m/z(ESI,陽イオン):621.0(M+H)+.
【0215】
工程7:4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。2,2,2-トリフルオロ酢酸(11mL、140mmol)中の(2R,5S,M)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(0.861g、1.39mmol)の溶液を室温で15分間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮した。DCM(7mL)中の得られた油、DIPEA(0.724mL、4.16mmol)及び塩化アクリロイル(DCM中0.5M、2.77mL、1.39mmol)の溶液を室温で15分間撹拌した。反応混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、分液漏斗に加え、飽和NaHCO3水溶液(2×75mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物をシリカに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、淡黄色固体として4-((2S,5R.M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(562mg、4.93mmol、収率77%)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.44-8.53(m,1H)8.11(s,1H)7.41(br d,J=6.2Hz,1H)7.04-7.22(m,4H)6.52-6.71(m,1H)6.40(br t,J=15.2Hz,1H)5.75-5.84(m,1H)5.02-5.21(m,1H)4.29-4.53(m,1H)3.46-4.09(m,4H)2.63-2.75(m,1H)2.03(br s,3H)1.39-1.49(m,3H)1.24-1.36(m,3H)1.23(br d,J=5.0Hz,3H)1.08(br d,J=6.2Hz,3H).19F NMR(377MHz,CDCl3)δ -112.52(s,1F),-112.48(s,1F).m/z(ESI,陽イオン):574.8(M+H)+.
【0216】
実施例2
4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化47】
【0217】
工程1:4-(6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸(2R,5S,M)-tert-ブチル。250mLの丸底フラスコを、アセトニトリル(91mL)中の(M)-6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(中間体C、6.65g、18.2mmol)及びDIPEA(4.8mL、27.3mmol)に続いて亜リン酸オキシクロリド(2.6mL、27.3mmol)で充填した。得られた混合物を80℃で30分間撹拌し、続いて真空中で濃縮して、茶色固体として(M)-4,6,7-トリクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た。粗製の茶色固体をさらに精製することなく次の工程において使用した。m/z(ESI,陽):383.0(M+H)+.
【0218】
DMF(50mL)中の(M)-4,6,7-トリクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及びDIPEA(4.8mL、27.3mmol)の混合物に(2R,5S)-1-Boc-2,5-ジメチルピペラジン(4.29g、20.03mmol、AstaTech Inc.、Bristol、PA)を加え、混合物を室温で15分間撹拌した。混合物を氷水(80mL)に加え、15分間撹拌した。得られた沈殿物を濾過により回収し、水で洗浄し、乾燥させて、黄色固体として(2R,5S,M)-4-(6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルを得た(4.70g、8.37mmol、収率46.0%)。濾液をEtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥させた。溶液を濾過し、真空中で濃縮して、黄色固体としてさらなる標題の化合物を得た(5.51g、9.81mmol、収率53.9%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.59(br d,J=4.8Hz,1H),8.54(s,1H),7.40(br d,J=2.7Hz,1H),4.87(br s,1H),4.23-4.44(m,1H),4.01-4.09(m,1H),3.95(br s,1H),3.73(br dd,J=13.7,2.5Hz,1H),3.46-3.65(m,1H),2.67-2.76(m,1H),2.04(s,3H),1.45-1.57(m,9H),1.36(d,J=6.6Hz,3H),1.08-1.18(m,9H).m/z(ESI,陽):561.2(M+H)+.
【0219】
工程2:4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体E)。DCM(20mL)中の(2R,5S,M)-4-(6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(5.51g、9.81mmol)の溶液にトリフルオロ酢酸(10mL、134mmol)を室温で加え、混合物を1時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を真空中で濃縮して、(M)-6,7-ジクロロ-4-((2S,5R)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た。m/z(ESI,陽):461.2(M+H)+.
【0220】
DCM(20mL)中の上記の(M)-6,7-ジクロロ-4-((2S,5R)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及びN,N’-ジイソプロピルエチルアミン(8.6mL、49.1mmol)に塩化アクリロイル(0.8mL、9.81mmol)を0℃で加え、混合物を1時間撹拌した。反応混合物をDCM(50mL)で希釈し、飽和塩化アンモニウム溶液(50mL)で洗浄した。その水溶液に飽和塩化ナトリウム(25mL)を加え、混合物をDCM(50mL×2)で抽出した。有機抽出物を合わせ、MgSO4で乾燥させた。溶液を濾過し、真空中で濃縮して、茶色油を得た。粗製の茶色油をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~10% MeOH/DCM)により精製して、淡黄色フォームとして(M)-4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(4.66g、9.04mmol、収率92%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.46-8.54(m,2H),7.30(d,J=5.0Hz,1H),6.82(ddd,J=16.5,14.0,10.5Hz,1H),6.18(dd,J=16.7,2.2Hz,1H),5.74(dt,J=10.4,2.7Hz,1H),4.78-4.91(m,1H),4.39-4.75(m,1H),3.97-4.16(m,1H),3.94(br s,1H),3.83(br d,J=3.9Hz,1H),3.49(br dd,J=13.9,3.7Hz,1H),2.59-2.70(m,1H),1.97(s,3H),1.25-1.32(m,3H),1.09-1.20(m,3H),1.05(dd,J=11.4,6.6Hz,6H).m/z(ESI,陽):515.2(M+H)+.
【0221】
工程3:4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。50mLの丸底フラスコに4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体E、188mg、0.37mmol)、(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ボロン酸(114mg、0.73mmol、Combi-Blocks、San Diego、CA)、ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(27mg、0.04mmol)、KOAc(179mg、1.82mmol)及び1,4-ジオキサン(4.0mL)を2滴の水と共に加えた。反応混合物を90℃で18時間撹拌した。得られた混合物を真空中で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~10% EtOAc(10%MeOHを含む)/ヘプタン)により精製して、黄色固体として4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(16mg、0.03mmol、収率7.4%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 10.10(br d,J=17.6Hz,1H),8.44(br s,1H),8.38(d,J=4.8Hz,1H),7.10-7.31(m,2H),6.78-6.96(m,1H),6.59-6.75(m,2H),6.20(dd,J=16.7,2.0Hz,1H),5.68-5.84(m,1H),4.78-4.88(m,1H),4.50(br d,J=1.7Hz,1H),4.08-4.29(m,2H),3.86(br d,J=9.1Hz,2H),2.61-2.80(m,1H),1.91(br s,3H),1.35(br d,J=6.4Hz,3H),1.18-1.30(m,3H),1.07(d,J=6.8Hz,3H),0.95(br d,J=6.4Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -115.82(br d,J=266.2Hz,1F).m/z(ESI,陽):591.2(M+H)+.
【0222】
実施例3
4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-クロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化48】
【0223】
1,4-ジオキサン(20mL)/水(10mL)中の4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体E、3.07g、5.96mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.34g、0.30mmol)、(2-アミノ-6-フルオロフェニル)ボロン酸ピナコールエステル(1.55g、6.55mmol、CombiPhos、Trenton、NJ)及び炭酸ナトリウム、無水、粉末(3.16g、29.8mmol)の混合物を90℃で40分間撹拌した。得られた混合物に水(25mL)を加え、混合物をEtOAc(2×50mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、MgSO4で乾燥させた。溶液を濾過し、真空中で濃縮して、黄色固体として粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~10% EtOAc(10%MeOHを含む)/ヘプタン)により精製して、黄色固体として4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-クロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(1.83g、3.09mmol、収率52.0%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.43(s,1H),8.39(d,J=4.8Hz,1H),7.19(d,J=4.8Hz,1H),7.00-7.11(m,1H),6.82(br dd,J=16.6,10.6Hz,1H),6.45(d,J=8.3Hz,1H),6.27-6.35(m,1H),6.19(dd,J=16.6,2.3Hz,1H),5.76(ddd,J=10.1,5.5,2.2Hz,1H),5.07-5.19(m,2H),4.45-4.90(m,2H),3.47-4.24(m,4H),2.60-2.88(m,1H),1.85-1.99(m,3H),1.30-1.39(m,3H),1.16-1.29(m,3H),1.03-1.11(m,3H),0.87-1.03(m,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -116.01--115.34(m,1F).m/z(ESI,陽):590.2(M+H)+.
【0224】
実施例4
4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化49】
【0225】
工程1:2,6-ジクロロ-5-フルオロニコチンアミド(中間体F)。DCM(48mL)中の2,6-ジクロロ-5-フルオロ-ニコチン酸(4.0g、19.1mmol、AstaTech Inc.、Bristol、PA)の混合物に、塩化オキサリル(DCM中2M溶液、11.9mL、23.8mmol)に続いて触媒量のDMF(0.05mL)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、続いて真空中で濃縮した。残渣を1,4-ジオキサン(48mL)中で溶解させ、0℃に冷却した。水酸化アンモニウム溶液(28~30% NH3主成分、3.6mL、28.6mmol)をシリンジでゆっくりと加えた。得られた混合物を0℃で30分間撹拌し、続いて濃縮した。残渣をEtOAc/ヘプタンの1:1混合物で希釈し、5分間撹拌し、続いて濾過した。濾過された固体を捨て、残留している母液を部分的に濃縮して最初の体積の半分にし、濾過した。濾過された固体をヘプタンで洗浄し、減圧オーブン(45℃)中で一晩乾燥させて、2,6-ジクロロ-5-フルオロニコチンアミドを得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.23(d,J=7.9Hz,1H)8.09(br s,1H)7.93(br s,1H).m/z(ESI,陽イオン):210.9(M+H)+.
【0226】
工程2:2,6-ジクロロ-5-フルオロ-N-((2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)カルバモイル)ニコチンアミド。THF(20mL)中の2,6-ジクロロ-5-フルオロニコチンアミド(中間体F、5.0g、23.9mmol)の氷冷スラリーに塩化オキサリル(DCM中2M溶液、14.4mL、28.8mmol)をシリンジでゆっくりと加えた。得られた混合物を75℃で1時間加熱し、続いて加熱を止め、反応物を濃縮して最初の体積の半分にした。0℃に冷却した後、THF(20mL)を加え、その後、THF(10mL)中の2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-アミン(中間体B、3.59g、23.92mmol)の溶液をカニューレで滴下して加えた。得られた混合物を0℃で1時間撹拌し、続いて反応物を塩水と飽和塩化アンモニウム水溶液の1:1混合物でクエンチした。混合物をEtOAcで抽出し、合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮して、2,6-ジクロロ-5-フルオロ-N-((2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)カルバモイル)ニコチンアミドを得た。この材料をさらに精製することなくその後の工程において使用した。m/z(ESI,陽イオン):385.1(M+H)+.
【0227】
工程3:(M)-7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(中間体G)。THF(40mL)中の2,6-ジクロロ-5-フルオロ-N-((2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)カルバモイル)ニコチンアミド(9.2g、24.0mmol)の氷冷溶液にKHMDS(THF中1M溶液、50.2mL、50.2mmol)をシリンジでゆっくりと加えた。氷浴を取り外し、得られた混合物を室温で40分間撹拌した。反応物を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~50% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、アトロプ異性体の混合物として7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンを得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 12.27(br s,1H),8.48-8.55(m,2H),7.29(d,J=4.8Hz,1H),2.87(quin,J=6.6Hz,1H),1.99-2.06(m,3H),1.09(d,J=6.6Hz,3H),1.01(d,J=6.6Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ:-126.90(s,1F).m/z(ESI,陽イオン):349.1(M+H)+.
【0228】
7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンアトロプ異性体(648g)の混合物をSFC(AD、150×50mm、5μm、50%MeOH/CO2、180g/分、102bar)により精製して、2つのピークを得た:ピーク1(P-7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン、230.6g、>99% ee)及びピーク2((M)-7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン、227.8g、97.1% ee)。
【0229】
工程4:4-(7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸(2R,5S,M)-tert-ブチル(中間体H)。トルエン(54.5mL)中の(M)-7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(中間体G、4.75g、13.62mmol)の溶液に、DIPEA(4.76mL、27.2mmol)に続いて亜リン酸オキシクロリド(2.54mL、27.2mmol)を加えた。反応物を50℃に50分間加熱した。反応物を真空中で濃縮して、茶色固体として(M)-4,7-ジクロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得て、これを次の工程において直接的に使用した。m/z(ESI,陽):367.0(M+H)+.
【0230】
粗製の(M)-4,7-ジクロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンに、DMF(113mL)に続いて(2R,5S)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(2.92g、13.62mmol、AstaTech Inc.、Bristol、PA)を加えた。溶液にDIPEA(11.9mL、68.1mmol)を撹拌しながら滴下して加えた。5分間撹拌した後、反応物を水及びEtOAcで希釈した。有機層を1M LiCl及び塩水で希釈し、続いてMgSO4で乾燥させた。この材料をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~80% EtOAc:EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、黄橙色固体として(2R,5S,M)-4-(7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルを得た(6.85g、12.57mmol、収率92%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.49(d,J=4.77Hz,1H)8.39(d,J=8.50Hz,1H)7.26(d,J=4.98Hz,1H)4.80(br s,1H)4.18-4.38(m,1H)3.99(br d,J=14.72Hz,1H)3.78-3.90(m,1H)3.64-3.73(m,1H)3.45-3.61(m,1H)2.60(dt,J=13.37,6.58Hz,1H)1.95(s,3H)1.45(s,9H)1.29(br d,J=6.63Hz,3H)1.11(br d,J=6.01Hz,3H)1.06(d,J=6.84Hz,3H)1.03(d,J=6.63Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -128.25(s,1F).m/z(ESI,陽):545.2(M+H)+.
【0231】
工程5:4-(6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸(2R,5S,M)-tert-ブチル。テフロン(登録商標)スクリューキャップを備えたドラムバイアルをKOAc(0.330g、3.36mmol)で充填した。バイアルを密閉し、窒素により排気/再充填した。ジオキサン(4.26mL)中の(2R,5S,M)-4-(7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(中間体H、0.366g、0.671mmol)の溶液を加えた後、水(0.2mL)を加えた。反応物を90℃に2分間加熱した。ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.049g、0.067mmol、Strem Chemicals、Newburyport、MA)及び(2-フルオロフェニル)ボロン酸(0.188g、1.343mmol、Combi-Blocks、San Diego、CA)を加え、反応物を90℃で3時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、水及びEtOAcで希釈した。有機相を塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:0~60% EtOAc:EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、黄色固体として(2R,5S,M)-4-(6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルを得た(0.336g、0.555mmol、収率83%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.44(d,J=4.98Hz,1H)8.32(d,J=9.54Hz,1H)7.51-7.60(m,1H)7.26-7.38(m,3H)7.22(d,J=4.98Hz,1H)4.84(br s,1H)4.25-4.42(m,1H)4.12(br d,J=13.89Hz,1H)3.83(br d,J=12.44Hz,1H)3.65-3.75(m,1H)3.46-3.63(m,1H)2.70(dt,J=13.48,6.74Hz,1H)1.95(s,3H)1.46(s,9H)1.33(d,J=6.63Hz,3H)1.16-1.20(m,3H)1.08(d,J=6.84Hz,3H)0.98(d,J=6.63Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -113.72(m,1F)-129.04(m,1F).m/z(ESI,陽):605.2(M+H)+.
【0232】
工程6:4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。DCM(11.1mL)中の(2R,5S,M)-4-(6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(0.335g、0.554mmol)の溶液にトリフルオロ酢酸(1.65mL、22.2mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮して、粗製の4-((2S,5R,M)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得て、これをさらに精製することなく使用した。
【0233】
粗製の4-((2S,5R,M)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンをDCM(15mL)中で溶解させた。DIPEA(0.484mL、2.77mmol)を加えた後、塩化アクリロイル(DCM中1.1M溶液、0.453mL、0.499mmol)を加えた。反応混合物を5分間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮した。粗製の材料をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:20~80% EtOAc:EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.184g、0.329mmol、収率59.5%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.44(d,J=4.98Hz,1H)8.33-8.39(m,1H)7.52-7.60(m,1H)7.25-7.39(m,3H)7.23(d,J=4.77Hz,1H)6.77-6.93(m,1H)6.14-6.26(m,1H)5.71-5.81(m,1H)4.11-4.97(m,4H)3.48-3.93(m,2H)2.71(td,J=6.27,3.63Hz,1H)1.95(s,3H)1.32(br t,J=7.26Hz,3H)1.17-1.28(m,3H)1.08(d,J=6.63Hz,3H)0.98(br d,J=6.63Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -113.88--113.54(m,1F)-129.19--128.86(m,1F).m/z(ESI,陽):559.2(M+H)+.
【0234】
実施例5
4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化50】
【0235】
工程1:4-(6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸(2R,5S,M)-tert-ブチル。テフロン(登録商標)スクリューキャップを備えたドラムバイアルをKOAc(0.315g、3.21mmol)で充填した。バイアルに蓋をかぶせ、窒素により排気/再充填した。ジオキサン(4.08mL)中の(2R,5S,M)-4-(7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(中間体H、0.35g、0.642mmol)の溶液を加えた後、水(0.2mL)を加えた。反応混合物を90℃に2分間加熱した。ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.047g、0.064mmol、Strem Chemicals、Newburyport、MA)及び(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ボロン酸(0.200g、1.28mmol、Wuxi)を加え、反応物を90℃で3時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、水及びEtOAcで希釈した。有機相を塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~60% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、黄色固体として(2R,5S,M)-4-(6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルを得た(0.375g、0.604mmol、収率94%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 10.19(br s,1H)8.39(d,J=4.77Hz,1H)8.26(d,J=8.91Hz,1H)7.24-7.32(m,1H)7.19(d,J=4.77Hz,1H)6.74(d,J=8.50Hz,1H)6.69(t,J=8.81Hz,1H)4.76-4.88(m,1H)4.26-4.44(m,1H)4.15(br d,J=14.30Hz,1H)3.76-3.84(m,1H)3.71(m,1H)3.41-3.66(m,1H)2.69(quin,J=6.63Hz,1H)1.91(s,3H)1.46(s,9H)1.34(d,J=6.43Hz,3H)1.19(m,3H)1.07(d,J=6.43Hz,3H)0.95(d,J=6.84Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -115.55(m,1F)-128.46(br s,1F).m/z(ESI,陽):621.2(M+H)+.
【0236】
工程2:4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。DCM(12.1mL)中の(2R,5S,M)-4-(6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(0.375g、0.604mmol)の溶液にトリフルオロ酢酸(1.80mL、24.2mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮して、粗製の4-((2S,5R,M)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得て、これをさらに精製することなく使用した。
【0237】
粗製の4-((2S,5R,M)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンをDCM(15mL)中に溶解させ、0℃に冷却した。N,N’-ジイソプロピルエチルアミン(0.528mL、3.02mmol)を加えた後、塩化アクリロイル(DCM中1.1M溶液、0.549mL、0.604mmol)を滴下して加えた。反応混合物を5分間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮して、粗製の材料をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~80% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製した。得られた生成物は、少量のビス-アシル化(ピペラジン窒素に加えてフェノールのヒドロキシ基のアシル化)された不純物を含有した。その材料をTHF(3mL)及び1N NaOH(0.6mL)で処理した。反応混合物を15分間撹拌した。反応物を飽和塩化アンモニウムでクエンチし、混合物を水及びEtOAcで希釈した。有機相を分離し、水相を追加のEtOAcで抽出した。有機相を合わせ、塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮して、4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.17g、0.296mmol、収率49.0%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 10.20(br s,1H)8.39(br d,J=4.35Hz,1H)8.26-8.32(m,1H)7.24-7.33(m,1H)7.19(br d,J=4.15Hz,1H)6.78-6.94(m,1H)6.65-6.77(m,2H)6.16-6.25(m,1H)5.73-5.82(m,1H)4.10-4.94(m,4H)3.45-3.93(m,2H)2.65-2.75(m,1H)1.91(s,3H)1.33(br t,J=6.01Hz,3H)1.19-1.30(m,3H)1.07(br d,J=6.63Hz,3H)0.95(br d,J=5.80Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -115.59--115.51(m,1F)-128.49--128.38(m,1F).m/z(ESI,陽):575.2(M+H)+.
【0238】
実施例6
4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化51】
【0239】
工程1:4-(7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸(2R,5S,M)-tert-ブチル。テフロン(登録商標)スクリューキャップを備えたドラムバイアルを炭酸カリウム(0.152mL、2.52mmol)、(2-アミノ-6-フルオロフェニル)ボロン酸ピナコールエステル(0.132mL、0.555mmol、CombiPhos、Trenton、NJ)、(2R,5S,M)-4-(7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(中間体H、0.275g、0.505mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.058g、0.050mmol、Strem Chemicals、Newburyport、MA)で充填した。バイアルに蓋をかぶせ、窒素により排気/再充填した。1,4-ジオキサン(1.68mL)を加えた後、水(0.841mL)を加えた。反応混合物を事前に加熱された90℃の油浴中において16時間撹拌した。反応混合物を水及びEtOAcで希釈した。相を混合し、有機層を分離した。水相を追加のEtOAcで抽出し、合わせた有機相を塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:20~100% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、黄色/橙色固体として(2R,5S,M)-4-(7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルを得た(0.3g、0.484mmol、収率96%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.44(d,J=4.98Hz,1H)8.27(d,J=9.54Hz,1H)7.23(d,J=4.98Hz,1H)7.07-7.14(m,1H)6.49(d,J=8.29Hz,1H)6.34-6.41(m,1H)5.37(s,2H)4.81(br s,1H)4.25-4.44(m,1H)4.13(br d,J=13.89Hz,1H)3.77-3.86(m,1H)3.72(br d,J=13.89Hz,1H)3.48-3.64(m,1H)2.66-2.79(m,1H)1.94(s,3H)1.46(s,8H)1.43-1.49(m,1H)1.34(d,J=6.43Hz,3H)1.20(br dd,J=6.84,2.90Hz,3H)1.07(d,J=6.63Hz,3H)0.96(d,J=6.63Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -114.23(br d,J=28.61Hz,1F)-127.15(br d,J=28.61Hz,1F).m/z(ESI,陽):620.3(M+H)+.
【0240】
工程2:4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。DCM(9.68mL)中の(2R,5S,M)-4-(7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(0.3g、0.484mmol)の溶液にトリフルオロ酢酸(1.44mL、19.4mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮して、粗製の(M)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-4-((2S,5R)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得て、これをさらに精製することなく使用した。
【0241】
粗製の(M)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-4-((2S,5R)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンにDCM(10mL)を加えた。溶液を-20℃に冷却した。DIPEA(0.423mL、2.42mmol)を加えた後、塩化アクリロイル(DCM中1.1M溶液、0.396mL、0.436mmol)を滴下して加えた。反応混合物を5分間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~80% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製した。得られた黄色固体をEtOAc中で溶解させ、1:1飽和NaHCO3:水及び塩水で順次洗浄し、続いてMgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮して、4-((2S,5R,M)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.184g、0.321mmol、収率66.3%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.44(d,J=4.77Hz,1H)8.27-8.32(m,1H)7.21-7.24(m,1H)7.07-7.14(m,1H)6.78-6.92(m,1H)6.48(d,J=8.29Hz,1H)6.34-6.41(m,1H)6.20(dd,J=16.59,2.28Hz,1H)5.73-5.79(m,1H)5.37(s,2H)4.12-4.91(m,4H)3.47-3.89(m,2H)2.66-2.78(m,1H)1.94(s,3H)1.33(t,J=6.53Hz,3H)1.18-1.29(m,3H)1.07(d,J=6.63Hz,3H)0.96(d,J=6.63Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -114.36--114.15(m,1F)-127.28--127.04(m,1F).m/z(ESI,陽):573.6(M+H)+.
【0242】
実施例7
4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化52】
【0243】
工程1:4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-アミン。THF(18mL)中の4,6-ジクロロ-5-アミノピリミジン(3.00g、18.29mmol、Combi-Blocks Inc.、San Diego、CA)の溶液を、アルゴンを混合物に5分間バブリングすることによって脱気した。2-プロピル亜鉛ブロミド(THF中0.5M溶液、91.0mL、45.5mmol、Sigma-Aldrich、St.Loius、MO)をシリンジで加えた後、XantPhos Pd G3(434mg、0.46mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を加えた。得られた混合物を室温で16時間撹拌し、続いてセライトのパッドに通して濾過した。濾過ケークをEtOAcですすぎ、濾液を回収し、真空中で濃縮して、4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-アミンを得た(3.45g)。この材料をさらに精製することなくその後の工程において使用した。m/z(ESI,陽イオン):180.2(M+H)+.
【0244】
工程2:2,5,6-トリクロロ-N-((4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)カルバモイル)ニコチンアミド。1,2-ジクロロエタン(49mL)中の2,5,6-トリクロロニコチンアミド(中間体A、3.30g、14.6mmol)の溶液を塩化オキサリル(DCM中2M溶液、11.0mL、22.0mmol)で処理した。混合物を80℃で45分間加熱し、続いて加熱を止め、反応物を真空中で濃縮した。残渣をアセトニトリル(49mL)中で溶解させ、-10℃に冷却し、アセトニトリル(5mL)中の4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-アミン(3.15g、17.6mmol)の溶液をカニューレで加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、続いて真空中で濃縮した。残渣を温かい10:1 ヘプタン/EtOAc(110mL)中で懸濁させ、濾過した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~40% EtOAc/ヘプタン)により精製して、2,5,6-トリクロロ-N-((4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)カルバモイル)ニコチンアミドを得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 11.30-11.46(m,1H),9.66(br s,1H),8.95-9.01(m,1H),8.65-8.72(m,1H),3.26(s,2H),1.17(d,J=6.6Hz,12H).m/z(ESI,陽イオン):430.0(M+H)+.
【0245】
工程3:6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(中間体J)。THF(49mL)中の2,5,6-トリクロロ-N-((4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)カルバモイル)ニコチンアミド(2.10g、4.9mmol)の-20℃溶液にKHMDS(THF中1M溶液、12.2mL、12.2mmol)を加えた。氷浴を取り外し、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)でクエンチし、塩水で希釈し、3:1 EtOAc/MeOHで抽出した。層を分離し、水層を追加のEtOAcで抽出した。合わせた有機層を無水MgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をヘプタン/EtOAc中で懸濁させ、濾過した。濾液を濃縮して、6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンを得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 12.33(s,1H),9.18(s,1H),8.61(s,1H),2.90-3.02(m,2H),1.10(d,J=6.6Hz,6H),0.99(d,J=6.6Hz,6H).m/z(ESI,陽イオン):394.1(M+H)+.
【0246】
工程4:4-(6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸(2R,5S)-tert-ブチル(中間体K)。150mLの丸底フラスコにアセトニトリル(5.07mL)中の6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(中間体J、0.400g、1.01mmol)及びN,N’-ジイソプロピルエチルアミン(0.230mL、1.32mmol)を加えた。次に、亜リン酸オキシクロリド(0.113mL、1.22mmol)を反応混合物にゆっくりと加えた。フラスコを空冷式冷却器に装着し、続いて不活性(N2)雰囲気下に30分間置きながら混合物を撹拌し、80℃で加熱した。この時点で反応を止め、混合物を熱浴から取り出し、室温まで冷却させた。反応混合物を0℃に冷却した。DIPEA(0.5mL)を混合物にゆっくりと加えた。次に、アセトニトリル(5mL)中の(2R,5S)-1-Boc-2,5-ジメチルピペラジン(0.435g、2.03mmol)の混合物を反応混合物にゆっくりと加えた。氷浴を取り外し、全体の混合物を10分間かけてゆっくりと室温まで温めた。反応混合物を真空中で濃縮した。粗製の材料をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~50% EtOAc/ヘプタン)により精製して、淡黄色固体として(2R,5S)-tert-ブチル-4-(6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボキシラートを得た(0.402g、0.681mmol、収率67.1%)。m/z(ESI,陽イオン):590.2(M+H)+.
【0247】
工程5:4-(6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸(2R,5S)-tert-ブチル。100mLの丸底フラスコに1,4-ジオキサン(2.12mL)中の(2R,5S)-4-(6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(中間体K、0.250g、0.423mmol)及びKOAc(0.125g、1.27mmol)を加えた。反応混合物を、N2を混合物に5分間バブリングすることによって脱気した。次に、(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(0.031g、0.042mmol)に続いて2-フルロオロフェニルボロン酸(0.118g、0.847mmol)及び水(0.3mL)を反応混合物に加えた。混合物を90℃で15分間撹拌し、加熱した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液及びEtOAcで希釈した。層を分離し、水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物をMg2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗製の材料をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100% EtOAc/ヘプタン)により精製して、淡黄色固体として(2R,5S)-tert-ブチル-4-(6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボキシラートを得た(0.245g、0.377mmol、収率89%)。m/z(ESI,陽イオン):650.3(M+H)+.
【0248】
工程6:4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。100mLの丸底フラスコにDCM(3.61mL)中の(2R,5S)-4-(6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(0.235g、0.361mmol)及びトリフルオロ酢酸(0.269mL、3.61mmol)を加えた。反応混合物を不活性(N2)雰囲気下に置きながら38℃で2.5時間撹拌し、加熱した。反応混合物を真空中で濃縮して、粗製の6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-((2S,5R)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得て、これをさらに精製することなく合成の次の工程に直接的に取り入れた。
【0249】
6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-((2S,5R)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンをジクロロメタン(3.61mL)中で溶解させ、混合物を0℃に冷却した。DIPEA(0.758mL、4.34mmol)を反応混合物に加え、混合物を2分間撹拌した。塩化アクリロイル(0.029mL、0.361mmol)を混合物に滴下して加えた。混合物をEtOAc及び飽和NaHCO3水溶液で希釈し、層を分離した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗製の材料をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~5% MeOH/DCM)により精製して、白色固体として4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.110g、0.182mmol、収率50.4%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 9.07(s,1H)8.50(d,J=4.98Hz,1H)7.49-7.56(m,1H)7.26-7.35(m,2H)7.20(t,J=6.91Hz,1H)6.78-6.91(m,1H)6.20(br d,J=17.21Hz,1H)5.73-5.79(m,1H)4.89(br s,1H)4.79(br s,1H)4.14-4.28(m,1H)4.08(br d,J=5.18Hz,1H)3.88(br t,J=13.58Hz,2H)3.16-3.28(m,2H)2.66-2.80(m,2H)1.32-1.39(m,3H)1.19-1.22(m,1H)1.09(dd,J=6.63,2.70Hz,6H)0.95(br d,J=6.43Hz,6H).m/z(ESI,陽イオン):604.4(M+H)+.
【0250】
実施例8
4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化53】
【0251】
工程1:トリフルオロホウ酸(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)カリウム(中間体L)。水(75mL)中のフッ化カリウム(44.7g、770mmol)の溶液をアセトニトリル(750mL)中の(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ボロン酸(30g、192mmol、Combi-Blocks、San Diego、CA)の懸濁液に加えた。混合物を2分間撹拌し、続いてTHF(375mL)中のL-(+)-酒石酸(72.2g、481mmol)の溶液を添加漏斗により10分間かけて加えた。混合物を機械式撹拌機により1時間激しく撹拌し、得られた懸濁液を濾過し、濾過された固体を少量のTHFで洗浄した。固体を捨て、濾液を、固体が溶液から沈殿し始めるまで部分的に濃縮した。次に、混合物を-20℃に冷却し、16時間撹拌した。反応物をゆっくりと温め、2-プロパノール(20mL)を加えた。得られた懸濁液を濾過し、濾過された固体を2-プロパノールで洗浄した。濾液を、懸濁液が形成されるまで再び部分的に濃縮し、続いて-20℃に冷却し、さらに20分間撹拌した。得られた懸濁液を2-プロパノールで希釈し、濾過し、濾過された固体を2-プロパノールで洗浄した。固体の2つのバッチを合わせて、トリフルオロホウ酸2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)カリウムを得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.07(q,J=14.7Hz,1H)6.93(q,J=7.5Hz,1H)6.30-6.38(m,2H).
【0252】
工程2:4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体M)。100mLの丸底フラスコに1,2-ジクロロエタン(4.06mL)中の(2R,5S)-4-(6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(中間体K、0.479g、0.811mmol)及びトリフルオロ酢酸(1.21mL、16.2mmol)を加えた。反応混合物を不活性(N2)雰囲気下に置きながら70℃で1時間撹拌し、加熱した。反応混合物を真空中で濃縮して、粗製の6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-((2S,5R)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得て、これをさらに精製することなく合成の次の工程に直接的に取り入れた。
【0253】
6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-((2S,5R)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンをDCM(4mL)で希釈し、続いて反応混合物を0℃に冷却した。DIPEA(1.70mL、9.73mmol)を反応混合物に加え、混合物を2分間撹拌した。塩化アクリロイル(0.066mL、0.811mmol)を反応混合物に滴下して加えた。混合物をDCM及び飽和NaHCO3水溶液で希釈し、続いて層を分離した。水層をDCMで抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗製の材料をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100% EtOAc/ヘプタン、続いて0~5% MeOH/DCMの勾配を用いる)により精製して、黄褐色固体として4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.397g、0.729mmol、収率90%)。m/z(ESI,陽イオン):544.1(M+H)+.
【0254】
工程3:4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。100mLの丸底フラスコに1,4-ジオキサン(1.40mL)中の4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体M、0.152g、0.279mmol)及びKOAc(0.082g、0.837mmol)を加えた。反応混合物を、アルゴンを混合物に5分間バブリングすることによって脱気した。次に、(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(0.020g、0.028mmol)を混合物に加えた。混合物を90℃で10分間撹拌し、加熱した。次に、1,4-ジオキサン(1mL)中のトリフルオロ(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ホウ酸カリウム(中間体L、0.183g、0.837mmol)の混合物を反応混合物にゆっくりと加えた後、水(0.8mL)を加えた。反応混合物を90℃で1時間撹拌し、加熱した。粗製の材料をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~5% MeOH/DCM)により精製して、黄白色固体として4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.115g、0.185mmol、収率66.4%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 10.12(br d,J=13.27Hz,1H)9.05(s,1H)8.48(br s,1H)7.20-7.28(m,1H)6.84(td,J=17.52,10.57Hz,1H)6.64-6.75(m,2H)6.20(dd,J=16.69,2.18Hz,1H)5.73-5.80(m,1H)4.75-4.98(m,2H)4.14-4.30(m,1H)3.80-3.95(m,2H)3.39-3.54(m,1H)2.56-2.78(m,2H)1.19-1.39(m,6H)1.03-1.15(m,6H)0.95(br s,6H).m/z(ESI,陽イオン):620.0(M+H)+.
【0255】
実施例9
4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化54】
【0256】
4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。100mLの丸底フラスコに1,4-ジオキサン(2.11mL)中の4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体M、0.230g、0.422mmol)及びKOAc(0.124g、1.27mmol)を加えた。反応混合物を、アルゴンを混合物に5分間バブリングすることによって脱気した。次に、(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(0.031g、0.042mmol)を混合物に加えた。混合物を90℃で10分間撹拌し、加熱した。次に、1,4-ジオキサン(1mL)中の(2-アミノ-6-フルオロフェニル)ボロン酸ピナコールエステル(0.200g、0.845mmol、CombiPhos、Trenton、NJ)の混合物を反応混合物にゆっくりと加えた後、水を6滴加えた。全体の反応混合物を90℃で1時間撹拌し、加熱した。粗製の材料をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~5% MeOH/DCM)により精製して、黄色固体として4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.155g、0.250mmol、収率59.3%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 9.05(s,1H)8.45-8.49(m,1H)7.00-7.09(m,1H)6.78-6.91(m,1H)6.44(d,J=8.29Hz,1H)6.31(q,J=9.12Hz,1H)6.19(dd,J=16.59,2.07Hz,1H)5.72-5.79(m,1H)5.11(br d,J=11.40Hz,2H)4.72-4.95(m,2H)4.09-4.24(m,1H)3.82-4.01(m,2H)3.44-3.61(m,1H)2.78-2.94(m,1H)2.53-2.68(m,1H)1.17-1.37(m,6H)1.07(s,6H)0.87-1.03(m,6H).m/z(ESI,陽イオン):619.2(M+H)+.
【0257】
実施例10
4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化55】
【0258】
工程1:2,6-ジクロロ-N-((4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)カルバモイル)-5-フルオロニコチンアミド。250mLの丸底フラスコにTHF(71.0mL)中の2,6-ジクロロ-5-フルオロニコチンアミド(中間体F、4.45g、21.3mmol)及び塩化オキサリル(16.0mL、31.9mmol)を加えた。フラスコを空冷式冷却器に装着し、混合物を80℃で1時間撹拌し、加熱した。反応混合物を真空中で濃縮して、(2,6-ジクロロ-5-フルオロニコチノイル)カルバミッククロリドを得て、これをさらに精製することなく合成の次の工程に取り入れた。
【0259】
250mLの丸底フラスコにテトラヒドロフラン(71.0mL)中のイソシアン酸(2,6-ジクロロ-5-フルオロニコチノイル)カルバモイル(前の工程からの粗製の材料)を加えた。次に、THF(10mL)中の4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-アミン(4.01g、22.4mmol)の溶液を反応混合物に滴下して加えた。混合物を室温で1.5時間不活性(N2)雰囲気下において撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮した。粗製の材料をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~40% EtOAc/ヘプタン)により精製して、淡黄色固体として2,6-ジクロロ-N-((4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)カルバモイル)-5-フルオロニコチンアミドを得た(7.74g、18.7mmol、収率88%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 11.41(br s,1H)9.66(br s,1H)8.99(s,1H)8.54(br d,J=7.88Hz,1H)3.20-3.28(m,2H)1.17(d,J=6.84Hz,12H).m/z(ESI,陽イオン):414.0(M+H)+.
【0260】
工程2:7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(中間体N)。250mLの丸底フラスコにTHF(48.3mL)中の2,6-ジクロロ-N-((4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)カルバモイル)-5-フルオロニコチンアミド(4.00g、9.66mmol)を加えた。反応混合物を湿式の氷/水浴中において0℃に冷却した。次に、THF(12.1mL、12.1mmol)中のカリウムビス(トリメチルシリル)アミド、1M溶液を反応混合物に添加漏斗で5分間かけて滴下して加えた。氷浴を取り外し、反応混合物を不活性(N2)雰囲気下で1時間撹拌しながらゆっくりと室温まで温めた。さらなるKHMDS(0.5当量;6mL)を、出発材料の大部分が消費されるまで反応混合物に滴下して加えた。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)でクエンチし、続いて混合物をEtOAc-MeOH(3:1)及び塩水溶液で希釈した。層を分離し、水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、黄褐色固体として7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンを得た(2.58g、6.84mmol、収率70.9%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 12.03-12.52(m,1H)8.97-9.23(m,1H)8.25-8.58(m,1H)2.80(dt,J=13.22,6.56Hz,2H)0.96(d,J=6.63Hz,6H)0.85(d,J=6.63Hz,6H).m/z(ESI,陽イオン):378.0(M+H)+.
【0261】
工程3:4-(7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸(2R,5S)-tert-ブチル(中間体O)。100mLの丸底フラスコにアセトニトリル(7.94mL)中の7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(中間体N、0.300g、0.794mmol)及びDIPEA(0.180mL、1.03mmol)を加えた。次に、亜リン酸オキシクロリド(0.089mL、0.953mmol)を反応混合物にゆっくりと加えた。フラスコを空冷式冷却器に装着し、不活性(N2)雰囲気下に45分間置きながら混合物を撹拌し、80℃で加熱した。反応混合物を熱浴から取り出し、室温まで冷却させた。反応混合物を0℃に冷却した。次に、DIPEA(0.5mL)を反応混合物にゆっくりと加えた。次に、アセトニトリル(1mL)中の(2R,5S)-1-Boc-2,5-ジメチルピペラジン(0.213g、0.993mmol)の混合物を反応混合物にゆっくりと加えた。氷浴を取り外し、全体の混合物を1時間かけて室温までゆっくりと温めた。混合物をEtOAcで希釈し、層を分離した。水層をEtOAc及び塩水で抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗製の材料をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100% EtOAc/ヘプタン)により精製して、黄褐色固体として(2R,5S)-4-(7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルを得た(0.247g、0.430mmol、収率54.2%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 9.15(s,1H)8.39(d,J=8.29Hz,1H)5.14(t,J=5.81Hz,1H)4.49(d,J=5.80Hz,3H)4.06(br d,J=13.89Hz,1H)3.66(br s,1H)2.66-2.72(m,2H)1.44(s,9H)1.31(d,J=6.63Hz,3H)1.10-1.14(m,3H)1.09(s,6H)0.98-1.04(m,6H).m/z(ESI,陽イオン):574.2(M+H)+.
【0262】
工程4:4-(1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸(2R,5S)-tert-ブチル。100mLの丸底フラスコに1,4-ジオキサン(2.54mL)中の(2R,5S)-4-(7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(中間体O、0.225g、0.392mmol)及びKOAc(0.115g、1.18mmol)を加えた。反応混合物を、N2を混合物に5分間バブリングすることによって脱気した。次に、(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(0.029g、0.039mmol)に続いて2-フルロオロフェニルボロン酸(0.066g、0.470mmol)及び水(0.1mL)を反応混合物に加えた。混合物を80℃で45分間撹拌し、加熱した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液及びEtOAcで希釈した。層を分離し、水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗製の材料をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100% EtOAc/ヘプタン)により精製して、黄褐色固体として(2R,5S)-4-(1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルを得た(0.225g、0.355mmol、収率91%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 9.09(s,1H)8.34(d,J=9.54Hz,1H)7.55(br d,J=7.46Hz,1H)7.22-7.25(m,3H)4.85(br s,1H)4.27-4.40(m,1H)4.16(br d,J=14.10Hz,1H)3.71(br d,J=13.48Hz,2H)3.46-3.61(m,1H)2.68-2.77(m,2H)1.45(s,9H)1.34(d,J=6.63Hz,3H)1.18(br d,J=6.22Hz,3H)1.09(s,6H)0.94(d,J=6.63Hz,6H).m/z(ESI,陽イオン):634.4(M+H)+.
【0263】
工程5:4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。100mLの丸底フラスコにDCM(3.37mL)中の(2R,5S)-4-(1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(0.225g、0.355mmol)及びトリフルオロ酢酸(0.265mL、3.55mmol)を加えた。反応混合物を不活性(N2)雰囲気下に置きながら38℃で2.5時間撹拌し、加熱した。反応混合物を真空中で濃縮して、1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-((2S,5R)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た。この材料をさらに精製することなく合成の次の工程に直接的に取り入れた。
【0264】
粗製の1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-((2S,5R)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンをジクロロメタン(3.37mL)で希釈し、0℃に冷却した。次に、N,N’-ジイソプロピルエチルアミン(0.744mL、4.26mmol)を反応混合物に加え、混合物を2分間撹拌した。塩化アクリロイル(0.029mL、0.355mmol)を反応混合物に滴下して加え、これを不活性(N2)雰囲気下で30分間撹拌した。混合物をDCM及び飽和NaHCO3水溶液で希釈し、続いて層を分離した。水層をDCMで抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗製の材料をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~5% MeOH/DCM)により精製して、黄褐色固体として4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.070g、0.119mmol、収率33.5%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 9.03(s,1H)8.30(dd,J=9.43,4.87Hz,1H)7.48(q,J=6.98Hz,1H)7.16-7.30(m,3H)6.71-6.84(m,1H)6.12(br d,J=17.00Hz,1H)5.69(br d,J=10.16Hz,1H)4.67-4.89(m,2H)4.06-4.19(m,1H)3.74-3.85(m,2H)2.65(dq,J=12.75,6.39Hz,2H)1.27(t,J=5.91Hz,3H)1.19(br d,J=6.63Hz,2H)1.12(d,J=6.63Hz,2H)1.02(dd,J=6.63,1.87Hz,6H)0.87(d,J=6.63Hz,6H).m/z(ESI,陽イオン):588.2(M+H)+.
【0265】
実施例11
4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化56】
【0266】
工程1:4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体P)。100mLの丸底フラスコにDCM(3.37mL)中の(2R,5S)-4-(7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(中間体O、0.590g、1.03mmol)及びトリフルオロ酢酸(1.53mL、20.5mmol)を加えた。反応混合物を不活性(N2)雰囲気下に置きながら38℃で16時間撹拌し、加熱した。反応混合物を真空中で濃縮して、7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-((2S,5R)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た。この材料をさらに精製することなく合成の次の工程に直接的に取り入れた。
【0267】
粗製の7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-((2S,5R)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンをDCM(3.37mL)で希釈し、反応混合物を0℃に冷却した。DIPEA(2.15mL、12.3mmol)を反応混合物に加え、混合物を2分間撹拌した。塩化アクリロイル(0.084mL、1.03mmol)を反応混合物に滴下して加えた。混合物をDCM及び飽和NaHCO3水溶液で希釈し、層を分離した。水層をDCMで抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗製の材料をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100% EtOAc/ヘプタン、続いて0~5% MeOH/DCMの勾配を用いる)により精製して、黄褐色固体として4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.472g、0.894mmol、収率87%)。m/z(ESI,陽イオン):528.1(M+H)+.
【0268】
工程2:4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。100mLの丸底フラスコに1,4-ジオキサン(2.0mL)中の4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体P、0.210g、0.398mmol)及びKOAc(0.117g、1.19mmol)を加えた。反応混合物を、アルゴンを混合物に5分間バブリングすることによって脱気した。(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(0.029g、0.040mmol)を混合物に加えた。混合物を90℃で10分間撹拌し、加熱した。次に、1,4-ジオキサン(1mL)中のトリフルオロ(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ホウ酸カリウム(中間体L、0.173g、0.795mmol)を反応混合物にゆっくりと加えた後、水(0.8mL)を加えた。反応混合物を90℃で1時間撹拌し、加熱した。粗製の材料をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~5% MeOH/DCM)により精製して、淡黄色固体として4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.180g、0.298mmol、収率75.0%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 10.20(s,1H)9.05(s,1H)8.32(dd,J=8.91,4.15Hz,1H)7.22-7.30(m,1H)6.65-6.90(m,3H)6.18(dd,J=16.59,2.07Hz,1H)5.72-5.78(m,1H)4.73-4.96(m,2H)4.13-4.22(m,1H)3.85(br s,2H)3.41-3.56(m,1H)2.62-2.74(m,2H)1.19-1.36(m,6H)1.08(dd,J=6.63,1.45Hz,6H)0.93(br d,J=5.39Hz,6H).m/z(ESI,陽イオン):604.1(M+H)+.
【0269】
実施例12
4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化57】
【0270】
4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。100mLの丸底フラスコに1,4-ジオキサン(2.37mL)中の4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体P、0.250g、0.473mmol)及びKOAc(0.139g、1.420mmol)を加えた。反応混合物を、アルゴンを混合物に5分間バブリングすることによって脱気した。次に、(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(0.035g、0.047mmol)を混合物に加えた。混合物を90℃で10分間撹拌し、加熱した。次に、1,4-ジオキサン(1mL)中の(2-アミノ-6-フルオロフェニル)ボロン酸ピナコールエステル(0.224g、0.947mmol、CombiPhos、Trenton、NJ)の混合物を反応混合物にゆっくりと加えた後、水を6滴加えた。全体の反応混合物を90℃で1時間撹拌し、加熱した。粗製の材料をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~5% MeOH/DCM)により精製して、黄色固体として4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.138g、0.229mmol、収率48.4%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 9.09(s,1H)8.35(br d,J=9.33Hz,1H)7.07-7.14(m,1H)6.78-6.92(m,1H)6.48(d,J=8.47Hz,1H)6.36(t,J=9.12Hz,1H)6.20(dd,J=16.69,2.18Hz,1H)5.73-5.80(m,1H)5.31(s,2H)4.76-4.94(m,2H)4.15-4.22(m,1H)3.82-3.91(m,2H)3.45-3.57(m,1H)2.67-2.79(m,2H)1.30-1.37(m,3H)1.18-1.29(m,3H)1.05-1.09(m,6H)0.95(br d,J=6.63Hz,6H).m/z(ESI,陽イオン):603.2(M+H)+.
【0271】
実施例13
(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化58】
【0272】
工程1:(M)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル。アセトニトリル(0.8mL)中の(M)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(中間体D、0.143g、0.337mmol)、三塩化ホスホリル(0.038mL、0.40mmol)及びDIPEA(0.176mL、1.01mmol)の溶液を80℃で30分間撹拌した。反応混合物をヒートブロックから取り出し、cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(0.072g、0.337mmol;Enamine、Monmouth Jct.、NJ)及びDIPEA(0.176mL、1.01mmol)を加えた。反応混合物を室温で15分間撹拌した。反応混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、分液漏斗に加え、飽和NaHCO3水溶液(2×75mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物をシリカに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~70% EtOAc/EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、琥珀色油として(M)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルを得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.45-8.52(m,1H)8.34(s,1H)7.41(br d,J=6.6Hz,1H)7.04-7.20(m,4H)4.45(br s,2H)4.31(br d,J=13.3Hz,2H)3.54(br d,J=13.3Hz,2H)2.74(dt,J=13.1,6.5Hz,1H)2.04(s,3H)1.53(s,9H)1.25-1.32(m,6H)1.23(br d,J=6.8Hz,3H)1.06(br d,J=6.6Hz,3H).19F NMR(377MHz,CDCl3)δ -112.61(s,1F).m/z(ESI,陽イオン):621.0(M+H)+.
【0273】
工程2:(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。トリフルオロ酢酸(2.6mL、34mmol)中の(M)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(0.209g、0.336mmol)の溶液を室温で15分間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮して、油として粗製の(M)-6-クロロ-4-(cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た。
【0274】
DCM(1.7mL)中の粗製の(M)-6-クロロ-4-(cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン、DIPEA(0.176mL、1.01mmol)及び塩化アクリロイル(DCM中0.5M、0.673mL、0.336mmol)の溶液を室温で15分間撹拌した。反応混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、分液漏斗に加え、飽和NaHCO3水溶液(2×75mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物をシリカに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100% EtOAc/EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、黄白色の蝋状固体として(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(85mg、0.15mmol、収率44%)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.49(br s,1H)8.33(br s,1H)7.42(br d,J=3.3Hz,1H)7.03-7.21(m,4H)6.58-6.72(m,1H)6.44(br d,J=15.8Hz,1H)5.81(br d,J=9.1Hz,1H)4.73(br s,2H)4.35(br d,J=13.1Hz,2H)3.62(br d,J=11.8Hz,2H)2.64-2.79(m,1H)2.04(br s,3H)1.58(br s,6H)1.19-1.25(m,3H)1.02-1.09(m,3H).19F NMR(377MHz,CDCl3)δ -112.58(s,1F).m/z(ESI,陽イオン):574.8(M+H)+.
【0275】
実施例14
(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化59】
【0276】
工程1:(M)-4-(6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル。亜リン酸オキシクロリド(0.37mL、3.92mmol)をアセトニトリル(3.27mL)中の(M)-6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(1.17g、3.20mmol、中間体C)及びDIPEA(0.74mL、4.25mmol)の溶液に滴下して加えた。混合物を80℃に1時間加熱し、続いて0℃に冷却した。DIPEA(1.71mL、9.80mmol)及びcis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸t-ブチル(0.70g、3.27mmol、Enamine、San Diego、CA)を加えた。この混合物を室温まで温め、1時間撹拌し、続いて飽和NaHCO3の冷溶液に注ぎ、10分間激しく撹拌した。混合物をEtOAcと塩水との間で分配し、層を分離し、水層をEtOAcで逆抽出し、合わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗製の材料をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~40% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、白色固体として(M)-4-(6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルを得た(1.65g、2.94mmol、収率90%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.58-8.47(m,2H),7.26(m,1H),4.23(m,4H),3.58(m,2H),2.66-2.61(m,1H),1.94(s,3H),1.44(s,9H),1.32-1.27(m,6H),1.08-0.97(m,6H).m/z(ESI,陽イオン):561.0(M+H)+.
【0277】
工程2:(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体Q)。バイアルに(M)-4-(6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(1.65g、2.94mmol)、ジクロロメタン(14.7mL)及びトリフルオロ酢酸(4.4mL、58.8mmol)を充填した。混合物を室温で1時間撹拌し、EtOAcと/NaHCO3との間で分配し、NaHCO3で洗浄し、塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮して、粗製の(M)-6,7-ジクロロ-4-(cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た。
【0278】
(M)-6,7-ジクロロ-4-(cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンの残渣をDCM(14.7mL)中で再溶解させた後、塩化アクリロイル(2.80mL、3.09mmol)を滴下して加えた。反応物を室温で30分間撹拌し、EtOAcと飽和NaHCO3との間で分配し、飽和NaHCO3で洗浄し、塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:30~100% tOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、白色固体として(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得て(1.18g、収率78%)、これをさらに精製することなく使用した。m/z(ESI,陽イオン):515.0(M+H)+.
【0279】
工程3:(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。バイアルに(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体Q、0.30g、0.57mmol)、トリフルオロ(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ホウ酸カリウム(0.15g、0.69mmol、中間体L)、ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.04g、0.06mmol)及びKOAc(0.28g、2.86mmol)を充填した。フラスコをN2により排気及び再充填した後、1,4-ジオキサン(2.30mL)及び水(0.57mL)を加えた。混合物を90℃で18時間撹拌し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液30~100% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して0.26gの粗製の材料を得て、これをさらに分取SFC(溶離液20%MeOH)を用いて精製して、黄色固体として(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.12g、収率34.3%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 10.13(br s,1H),8.51(s,1H),8.38(d,J=5.0Hz,1H),7.27-7.14(m,2H),6.81(dd,J=10.6,16.6Hz,1H),6.74-6.62(m,2H),6.20(dd,J=2.4,16.7Hz,1H),5.79-5.71(m,1H),4.58(br s,2H),4.32(br t,J=15.7Hz,2H),3.63(m,2H),2.76-2.68(m,1H),1.91(m,3H),1.41(m,6H),1.07(d,J=6.8Hz,3H),0.92(br d,J=6.6Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -113.91(s,1F).m/z(ESI,陽イオン):591.0(M+H)+.
【0280】
実施例15
(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-クロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化60】
【0281】
(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-クロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。バイアルに(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体Q、0.30g、0.57mmol)、(2-アミノ-6-フルオロフェニル)ボロン酸ピナコールエステル(0.15g、0.63mmol、CombiPhos、Trenton、NJ)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.07g、0.06mmol)及びKOAc(0.28g、2.86mmol)を充填した。フラスコをN2により排気及び再充填した後、1,4-ジオキサン(2.30mL)及び水(0.57mL)を加えた。混合物を90℃で18時間撹拌し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:30~100% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して粗製の材料を得て、これを、さらに分取SFC(溶離液15%MeOH)を用いて精製して、黄色固体として(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-クロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.17g、収率49%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.50(s,1H),8.39(d,J=5.0Hz,1H),7.19(d,J=4.8Hz,1H),7.09-7.02(m,1H),6.81(dd,J=10.5,16.5Hz,1H),6.44(m 1H),6.31(t,J=8.9Hz,1H),6.20(dd,J=2.2,16.5Hz,1H),5.77-5.73(m,1H),5.11(br s,2H),4.60(m,2H),4.37-4.24(m,2H),3.64(m,2H),2.91-2.68(m,1H),1.99(s,3H),1.39-1.41(m 6H),1.11-1.02(m,3H),0.88(d,J=6.6Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -115.73(s,1F).m/z(ESI,陽イオン):591.0(M+H)+.
【0282】
実施例16
(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化61】
【0283】
工程1:(M)-4-(7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル。亜リン酸オキシクロリド(0.34mL、3.63mmol)をアセトニトリル(3.02mL)中の(M)-7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(中間体G、1.03g、2.96mmol)及びヒューニッヒ塩基(0.69mL、3.93mmol)の溶液に滴下して加えた。混合物を80℃に1時間加熱し、続いて0℃に冷却した。DIPEA(1.58mL、9.07mmol)及びcis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸t-ブチル(0.64g、3.62mmol、Enamine、San Diego、CA)を加えた。この混合物を室温まで温め、1時間撹拌し、続いて飽和NaHCO3の冷溶液に注ぎ、10分間激しく撹拌した。混合物をEtOAcと塩水との間で分配し、層を分離し、水層をEtOAcで逆抽出し、合わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗製の材料をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~40% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、白色固体として(M)-4-(7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルを得た(1.38g、収率84%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.48(d,J=4.8Hz,1H),8.40(d,J=8.5Hz,1H),7.26(d,J=4.8Hz,1H),4.32-4.16(m,4H),3.66-3.55(m,2H),2.65-2.56(m,1H),1.94(s,3H),1.44(s,9H),1.29(dd,J=3.1,6.6Hz,6H),1.14-0.95(m,6H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -128.10(s,1F); m/z(ESI,陽イオン):545.2(M+H)+.
【0284】
工程2:(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体R)。バイアルに(M)-4-(7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(1.38g、2.53mmol)、DCM(12.7mL)及びトリフルオロ酢酸(3.77mL、50.6mmol)を充填した。混合物を室温で1時間撹拌し、EtOAcとNaHCO3との間で分配し、NaHCO3で洗浄し、塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮して、粗残渣として(M)-7-クロロ-4-(cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た。
【0285】
(M)-7-クロロ-4-(cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンの残渣をジクロロメタン(12.7mL)中で再溶解させ、塩化アクリロイル(2.42mL、2.66mmol)を滴下して加えた。反応物を室温で30分間撹拌し、EtOAc/NaHCO3の間で分配し、NaHCO3で洗浄し、塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:30~100% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、白色固体として(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得て(0.88g、1.77mmol、収率70.0%)、これをさらに精製することなく使用した。m/z(ESI,陽イオン):499.0(M+H)+.
【0286】
工程3:(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。バイアルに(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体R、0.30g、0.59mmol)、(2-フルオロフェニル)ボロン酸(0.10g、0.71mmol)、ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.04g、0.06mmol)及びKOAc(0.29g、2.96mmol)を充填した。フラスコをN2により排気及び再充填した後、1,4-ジオキサン(2.37mL)及び水(0.59mL)を加えた。混合物を90℃で2時間撹拌し、続いて室温に冷却し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:30~100% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、橙色固体として(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.20g、収率63%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.43(d,J=5.0Hz,1H),8.39(d,J=9.7Hz,1H),7.60-7.45(m,1H),7.37-7.21(m,4H),6.80(dd,J=10.6,16.6Hz,1H),6.19(dd,J=2.4,16.7Hz,1H),5.77-5.73(m,1H),4.57(br s,2H),4.33(m,2H),3.73-3.65(m,2H),2.75-2.68(m,1H),1.97-1.90(m,3H),1.39(t,J=6.5Hz,6H),1.07(d,J=6.6Hz,3H),0.95(d,J=6.8Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -113.83(d,J=32Hz,1F),-128.96(d,J=32Hz,1F).m/z(ESI,陽イオン):559.0(M+H)+.
【0287】
実施例17
(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化62】
【0288】
(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。バイアルに(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体R、0.30g、0.59mmol)、トリフルオロ(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ホウ酸カリウム(0.15g、0.69mmol、中間体L)、ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.04g、0.06mmol)及びKOAc(0.28g、2.86mmol)を充填した。フラスコをN2により排気及び再充填した後、1,4-ジオキサン(2.30mL)及び水(0.57mL)を加えた。混合物を90℃で18時間撹拌し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:30~100% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、橙色固体として(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.21g、0.37mmol)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 10.20(br s,1H),8.39(d,J=5.0Hz,1H),8.33(d,J=9.1Hz,1H),7.31-7.23(m,1H),7.19(d,J=4.8Hz,1H),6.84-6.66(m,3H),6.19(dd,J=2.5,16.6Hz,1H),5.77-5.73(m,1H),4.56(br s,2H),4.42-4.21(m,2H),3.66(ddd,J=3.8,4.0,13.3Hz,2H),2.74-2.68(m,1H),1.99-1.88(m,3H),1.41-1.39(m,6H),1.09-1.03(m,3H),0.92(d,J=6.6Hz,3H).19F NMR(377MHz,DMSO-d6)δ ppm -115.68(s,1F),-128.36(s,1F).m/z(ESI,陽イオン):575.2(M+H)+.
【0289】
実施例18
(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化63】
【0290】
(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。バイアルに(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体R、0.3g、0.59mmol)、炭酸カリウム(178mg、2.96mmol)、(2-アミノ-6-フルオロフェニル)ボロン酸ピナコールエステル(0.15g、0.65mmol、CombiPhos、Trenton、NJ)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(68mg、0.06mmol)及び1,4-ジオキサン(2.0mmol)を充填した。混合物をN2で脱気し、水(1.0mL)を加え、混合物を90℃で2時間撹拌し、続いて室温に冷却し、SiO2に直接吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:30~100% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、橙色固体として(M)-4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.30g、収率88%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.44(d,J=4.8Hz,1H),8.34(d,J=9.5Hz,1H),7.22(d,J=4.8Hz,1H),7.14-7.07(m,1H),6.81(dd,J=10.4,16.6Hz,1H),6.48(d,J=8.3Hz,1H),6.37(t,J=8.8Hz,1H),6.19(dd,J=2.4,16.7Hz,1H),5.78-5.72(m,1H),4.57(br s,2H),4.33(m,2H),4.27(m,2H),3.73-3.64(m,2H),2.77-2.68(m,1H),1.99-1.90(m,3H),1.39(br d,J=14.1Hz,3H),1.40(br d,J=13.9Hz,3H),1.06(d,J=6.6Hz,3H),0.94(d,J=6.8Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -114.27(d,J=32Hz,1F),-126.96(d,J=32Hz,1F).m/z(ESI,陽イオン)574.1(M+H)+.
【0291】
実施例19
4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化64】
【0292】
工程1:4-(6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(中間体S)。100mLの丸底フラスコにアセトニトリル(3.80mL)中の6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(中間体J、0.300g、0.761mmol)及びDIPEA(0.173mL、0.989mmol)を加えた。次に、亜リン酸オキシクロリド(0.085mL、0.913mmol)を反応混合物にゆっくりと加えた。フラスコを空冷式冷却器に装着し、不活性(N2)雰囲気下に30分間置きながら混合物を撹拌し、80℃で加熱した。反応混合物を熱浴から取り出し、室温まで冷却させた。反応混合物を0℃に冷却した。DIPEA(0.5mL)を混合物にゆっくりと加えた。MeCN(5mL)中のcis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸t-ブチル(0.204g、0.951mmol)の混合物を反応混合物にゆっくりと加えた。氷浴を取り外し、全体の混合物を10分間かけてゆっくりと室温まで温めた。反応混合物を真空中で濃縮した。粗製の材料をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~50% EtOAc/ヘプタン)により精製して、黄褐色固体として4-(6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルを得た(0.233g、0.395mmol、収率51.9%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 9.15(s,1H)8.55(s,1H)4.21-4.30(m,4H)3.61(br dd,J=13.58,4.46Hz,2H)2.70(quin,J=6.63Hz,2H)1.45(s,9H)1.30(d,J=6.63Hz,6H)1.09(d,J=6.63Hz,6H)1.01(d,J=6.63Hz,6H).m/z(ESI,陽イオン):590.1(M+H)+.
【0293】
工程2:4-(6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル。100mLの丸底フラスコに1,4-ジオキサン(2.54mL)中の4-(6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(中間体S、0.225g、0.381mmol)及びKOAc(0.112g、1.143mmol)を加え、反応混合物を、N2を混合物に5分間バブリングすることによって脱気した。(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(0.028g、0.038mmol)の後に2-フルオロフェニルボロン酸(0.064g、0.457mmol)及び水(0.1mL)を反応混合物に加えた。混合物を80℃で45分間撹拌し、加熱した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液及びEtOAcで希釈した。層を分離し、水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗製の材料をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100% EtOAc/ヘプタン)により精製して、淡黄色固体として4-(6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルを得た(0.219g、0.337mmol、収率88%)。m/z(ESI,陽イオン):650.2(M+H)+.
【0294】
工程3:4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。100mLの丸底フラスコにDCM(3.37mL)中の4-(6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(0.219g、0.337mmol)及びトリフルオロ酢酸(0.251mL、3.37mmol)を加えた。反応混合物を不活性(N2)雰囲気下に置きながら38℃で2.5時間撹拌し、加熱した。反応混合物を真空中で濃縮して、粗製の6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-(cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た。この材料をさらに精製することなく合成の次の工程に直接的に取り入れた。
【0295】
粗製の6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-(cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンをジクロロメタン(3.37mL)で希釈し、続いて反応混合物を0℃に冷却した。DIPEA(0.706mL、4.04mmol)を反応混合物に加え、混合物を2分間撹拌した。塩化アクリロイル(0.027mL、0.337mmol)を反応混合物に滴下して加え、混合物を30分間撹拌した。混合物をDCM及び飽和NaHCO3水溶液で希釈し、続いて層を分離した。水層をDCMで抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗製の材料をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~5% MeOH/DCM)により精製して、淡黄色固体として4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.080g、0.132mmol、収率39.3%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.99(s,1H)8.50(s,1H)7.42-7.48(m,1H)7.19-7.27(m,2H)7.11(t,J=7.07Hz,1H)6.74(dd,J=16.59,10.57Hz,1H)6.13(dd,J=16.59,2.28Hz,1H)5.68(dd,J=10.37,2.28Hz,1H)4.52(br s,2H)4.27(br d,J=13.68Hz,2H)3.62(dd,J=13.68,4.56Hz,2H)2.61-2.72(m,2H)1.34(br d,J=6.63Hz,6H)1.02(d,J=6.84Hz,6H)0.86(d,J=6.63Hz,6H).m/z(ESI,陽イオン):604.0(M+H)+.
【0296】
実施例20
4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化65】
【0297】
工程1:4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体T)。バイアルに4-(6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(中間体S、0.76g、1.28mmol)、DCM(6.4mL)及びトリフルオロ酢酸(1.91mL、25.6mmol)を充填した。混合物を室温で1時間撹拌し、EtOAcと/NaHCO3との間で分配し、NaHCO3で洗浄し、塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮して、粗残渣として6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-(cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た。
【0298】
6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-(cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンの残渣をジクロロメタン(6.4mL)中で再溶解させた後、塩化アクリロイル(1.74mL、1.92mmol)を滴下して加えた。反応物を室温で30分間撹拌し、EtOAcとNaHCO3との間で分配し、NaHCO3で洗浄し、塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:30~100% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、白色固体として(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.51g、収率73%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 9.16(s,1H),8.58(s,1H),6.79(dd,J=10.6,16.6Hz,1H),6.19(dd,J=2.4,16.7Hz,1H),5.74(dd,J=2.8,10.1Hz,1H),4.55(br s,2H),4.30(br d,J=13.3Hz,2H),3.69(dd,J=4.9,13.6Hz,2H),2.75-2.68(m,2H),1.35(d,J=6.8Hz,6H),1.09(d,J=6.6Hz,6H),1.01(d,J=6.6Hz,6H).m/z(ESI,陽イオン)544.0(M+H)+.
【0299】
工程2:4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。バイアルに4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体T、0.26g、0.47mmol)、トリフルオロ(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ホウ酸カリウム(0.12g、0.56mmol、中間体L)、ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.03g、0.05mmol)及びKOAc(0.23g、2.34mmol)を充填した。フラスコをN2により排気及び再充填した後、1,4-ジオキサン(1.8mL)及び水(0.47mL)を加えた。混合物を90℃で18時間撹拌し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:30~60% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、黄色固体として4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.13g、収率44.8%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 10.13(br s,1H),9.04(s,1H),8.54(s,1H),7.27-7.19(m,1H),6.81(dd,J=10.6,16.6Hz,1H),6.73-6.63(m,2H),6.20(dd,J=2.4,16.7Hz,1H),5.78-5.72(m,1H),4.58(br s,2H),4.34(br d,J=13.7Hz,2H),3.66(dd,J=4.6,13.7Hz,2H),2.75-2.68(m,2H),1.42(br d,J=6.6Hz,6H),1.08(d,J=6.6Hz,6H),0.97-0.90(m,6H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -116.05(s,1F).m/z(ESI,陽イオン)620.0(M+H)+.
【0300】
実施例21
4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化66】
【0301】
4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。バイアルに4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体T、0.26g、0.47mmol)、炭酸カリウム(0.14g、2.31mmol)、(2-アミノ-6-フルオロフェニル)ボロン酸ピナコールエステル(0.12g、0.52mmol、Enamine、San Diego、CA)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(54mg、0.05mmol)及び1,4-ジオキサン(1.6mL)を充填した。混合物をN2で脱気し、水(0.7mL)を加え、混合物を90℃で2時間撹拌し、続いて室温に冷却し、SiO2に直接吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:30~60% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、黄色固体として4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.045g、0.073mmol、収率15.5%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 9.05(s,1H),8.53(s,1H),7.11-6.97(m,1H),6.82(dd,J=10.5,16.7Hz,1H),6.44(d,J=8.4Hz,1H),6.31(t,J=9.0Hz,1H),6.20(dd,J=2.4,16.7Hz,1H),5.78-5.73(m,1H),5.09(br s,2H),4.60(br s,2H),4.32(br d,J=13.3Hz,2H),3.68(ddd,J=4.8,8.8,13.6Hz,2H),2.92-2.81(m,1H),2.66-2.61(m,1H),1.47-1.35(m,6H),1.12-0.93(m,12H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -116.31(s,1F).m/z(ESI,陽イオン)619.6(M+H)+.
【0302】
実施例22
4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化67】
【0303】
工程1:1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン。100mLの丸底フラスコに1,4-ジオキサン(5.56mL)中の7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(中間体N、0.420g、1.11mmol)及びKOAc(0.327mL、3.34mmol)を加えた。反応混合物を、(N2)ガスを混合物に5分間バブリングすることによって脱気した。次に、(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(0.081g、0.111mmol)を反応混合物に加えた。混合物を95℃で10分間撹拌し、加熱した。2-フルオロフェニルボロン酸(0.187g、1.33mmol)及び水(0.1mL)を反応混合物に加えた。全体の混合物を95℃で16時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液及びEtOAcで希釈した。層を分離し、水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗製の材料をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100% EtOAc/ヘプタン)により精製して、淡黄色固体として1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンを得た(0.235g、0.537mmol、収率48.3%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 12.27(br s,1H)9.12(s,1H)8.46(d,J=8.50Hz,1H)7.48-7.57(m,1H)7.20-7.36(m,3H)2.88-3.08(m,2H)1.10(d,J=6.63Hz,6H)0.94(d,J=6.63Hz,6H).m/z(ESI,陽イオン):438.1(M+H)+.
【0304】
工程2:4-(1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル。100mLの丸底フラスコにアセトニトリル(1.20mL)中の1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(0.105g、0.240mmol)及びDIPEA(0.054mL、0.312mmol)を加えた。次に、亜リン酸オキシクロリド(0.027mL、0.288mmol)を反応混合物にゆっくりと加えた。フラスコを空冷式冷却器に装着し、次に不活性(N2)雰囲気下に30分間置きながら混合物を撹拌し、80℃で加熱した。反応混合物を熱浴から取り出し、室温まで冷却させた。反応混合物を0℃に冷却した。次に、DIPEA(0.5mL)を混合物にゆっくりと加えた。次に、アセトニトリル(1mL)中の2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸(2R,6S)-tert-ブチル(0.064mL、0.300mmol)の混合物を反応混合物にゆっくりと加えた。氷浴を取り外し、全体の混合物を10分間かけてゆっくりと室温まで温めた。反応混合物を真空中で濃縮した。粗製の材料をシリカゲルのプラグに吸着させ、クロマトグラフィー(溶離液:0~70% EtOAc/ヘプタン)により精製して、淡黄色固体として4-(1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルを得た(0.105g、0.166mmol、収率69.0%)。m/z(ESI,陽イオン):634.3(M+H)+.
【0305】
工程3:4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。100mLの丸底フラスコにDCM(1.97mL)中の4-(1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(0.100g、0.158mmol)及びトリフルオロ酢酸(0.118mL、1.58mmol)を加えた。反応混合物を不活性(N2)雰囲気下に2.5時間置きながら38℃で撹拌し、加熱した。反応混合物を真空中で濃縮して、粗残渣として1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-(cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た。この材料をさらに精製することなく合成の次の工程に直接的に取り入れた。
【0306】
1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-(cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンの残渣をジクロロメタン(1.97mL)で希釈し、反応混合物を0℃に冷却した。次に、DIPEA(0.331mL、1.89mmol)を反応混合物に加え、それを2分間撹拌した。塩化アクリロイル(0.013mL、0.158mmol)を反応混合物に滴下して加えた。反応混合物を30分間撹拌した。混合物をDCM及び飽和NaHCO3水溶液で希釈し、続いて層を分離した。水層をDCMで抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗製の材料をシリカゲルのプラグに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~4% MeOH/DCM)により精製して、黄白色固体として4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.080g、0.136mmol、収率86%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 9.10(s,1H)8.43(d,J=9.74Hz,1H)7.56(q,J=7.05Hz,1H)7.23-7.38(m,3H)6.81(dd,J=16.48,10.47Hz,1H)6.20(dd,J=16.69,1.97Hz,1H)5.73-5.79(m,1H)4.57(br s,2H)4.30-4.40(m,2H)3.73(dd,J=13.58,4.66Hz,2H)2.54-2.79(m,2H)1.41(br d,J=6.63Hz,6H)1.10(d,J=6.63Hz,6H)0.94(d,J=6.63Hz,6H).m/z(ESI,陽イオン):588.2(M+H)+.
【0307】
実施例23
4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化68】
【0308】
工程1:4-(7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル。亜リン酸オキシクロリド(0.34mL、3.63mmol)をアセトニトリル(1.3mL)中の7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(中間体N、0.5g、1.32mmol)及びDIPEA(0.69mL、3.93mmol)の溶液に滴下して加えた。混合物を80℃に1時間加熱し、続いて0℃に冷却した。DIPEA(1.58mL、9.07mmol)及びcis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸t-ブチル(0.30g、1.39mmol、Enamine、San Diego、CA)を加えた。混合物を室温まで温め、1時間撹拌し、続いて飽和NaHCO3の冷溶液に注ぎ、10分間激しく撹拌した。混合物をEtOAcと塩水との間で分配し、層を分離し、水層をEtOAcで逆抽出し、合わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗製の材料をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~40% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、白色固体として4-(7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルを得た(0.59g、収率78%)、これをさらに精製することなく使用した。m/z(ESI,陽イオン)574.0(M+H)+.
【0309】
工程2:4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体U)。バイアルに4-(7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-cis-2,6-ジメチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(0.59g、1.03mmol)、DCM(5.2mL)及びトリフルオロ酢酸(1.53mL、20.5mmol)を充填した。混合物を室温で1時間撹拌し、EtOAcとNaHCO3との間で分配した。有機層をNaHCO3で洗浄し、塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮して、粗残渣として7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-(cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た。
【0310】
7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-(cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンの残渣をジクロロメタン(5.2mL)中で再溶解させ、塩化アクリロイル(2.42mL、2.66mmol)を滴下して加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌し、EtOAcとNaHCO3との間で分配した。有機層をNaHCO3で洗浄し、塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:30~100% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、白色固体として4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.44g、収率82%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 9.16(s,1H),8.46(d,J=8.5Hz,1H),6.79(dd,J=10.6,16.6Hz,1H),6.18(dd,J=2.4,16.7Hz,1H),5.78-5.72(m,1H),4.54(br s,2H),4.30(dd,J=2.5,13.7Hz,2H),3.71(dd,J=4.8,13.7Hz,2H),2.73-2.65(m,2H),1.34(d,J=6.6Hz,6H),1.09(d,J=6.6Hz,6H),1.00(d,J=6.6Hz,6H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -127.69(s,1F).m/z(ESI,陽イオン)528.0(M+H)+.
【0311】
工程3:4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。バイアルに4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体U、0.22g、0.42mmol)、トリフルオロ(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ホウ酸カリウム(0.11g、0.51mmol、中間体L)、ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.03g、0.04mmol)及びKOAc(0.21g、2.10mmol)を充填した。フラスコをN2により排気及び再充填した後、1,4-ジオキサン(1.7mL)及び水(0.4mL)を加えた。混合物を90℃で2時間撹拌し、続いて室温に冷却し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:30~60% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、黄色固体として4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.13g、収率49%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 10.21(br s,1H),9.05(s,1H),8.36(d,J=9.3Hz,1H),7.30-7.23(m,1H),6.84-6.65(m,3H),6.19(dd,J=2.4,16.7Hz,1H),5.78-5.72(m,1H),4.56(br s,2H),4.33(dd,J=2.4,13.6Hz,2H),3.69(dd,J=4.7,13.6Hz,2H),2.74-2.64(m,2H),1.41(d,J=6.8Hz,6H),1.08(d,J=6.6Hz,6H),0.93(d,J=6.6Hz,6H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -115.89(s,1F),-128.23(s,1F).m/z(ESI,陽イオン)604.1(M+H)+.
【0312】
実施例24
4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化69】
【0313】
4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。バイアルに4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(中間体U、0.22g、0.42mmol)、炭酸カリウム(0.29g、2.10mmol)、(2-アミノ-6-フルオロフェニル)ボロン酸ピナコールエステル(0.11g、0.46mmol、CombiPhos、Trenton、NJ)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(49mg、0.042mmol)、水(0.7mL)及び1,4-ジオキサン(1.4mL)を充填した。混合物を窒素で脱気し、90℃で2時間撹拌し、続いて室温に冷却し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:30~60% EtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製して、黄色固体として4-(4-アクリロイル-cis-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た(0.10g、収率40%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 9.09(s,1H),8.37(d,J=9.5Hz,1H),7.13-7.06(m,1H),6.81(dd,J=10.6,16.8Hz,1H),6.47(d,J=8.3Hz,1H),6.36(t,J=9.1Hz,1H),6.20(dd,J=2.5,16.6Hz,1H),5.78-5.73(m,1H),5.29(s,2H),4.58(m,2H),4.34-4.30(m,2H),3.71(dd,J=4.8,13.7Hz,2H),2.78-2.68(m,2H),1.41(d,J=6.6Hz,6H),1.08(d,J=6.6Hz,6H),0.94(d,J=6.6Hz,6H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -115.21(d,J=22.5Hz,1F),-127.18(d,J=22.5Hz,1F).m/z(ESI,陽イオン)603.6(M+H)+.
【0314】
表2:化合物の生化学的活性及び細胞活性
表2における化合物に関して、以下のアッセイ条件を利用した:ヌクレオチド対交換アッセイ:G12C及びC118Aアミノ酸置換並びにN末端Hisタグの両方を含有する、精製GDP結合KRASタンパク質(aa 1-169)を、化合物用量反応滴定を用いてアッセイ緩衝液(25mM HEPES pH7.4、10mM MgCl2及び0.01%Triton X-100)中で5分間プレインキュベートした。化合物のプレインキュベーションに続いて、精製SOSタンパク質(aa 564-1049)及びGTP(Roche 10106399001)をアッセイウェルに加え、さらに30分間インキュベートした。SOS媒介性ヌクレオチド交換の阻害の程度を決定するために、精製GSTタグ付きcRAF(aa 1-149)、ニッケルキレートAlphaLISAアクセプタービーズ(PerkinElmer AL108R)及びAlphaScreenグルタチオンドナービーズ(PerkinElmer 6765302)をアッセイウェルに加え、5分間インキュベートした。次に、AlphaScreen(登録商標)技術を使用して、アッセイプレートをPerkinElmer EnVision Multilabel Readerで読み取り、4パラメータロジスティックモデルを使用してデータを分析し、IC50値を計算した。
【0315】
Phospho-ERK1/2 MSDアッセイ:10%ウシ胎児血清(ThermoFisher Scientific 16000044)及び1×ペニシリン-ストレプトマイシン-グルタミン(ThermoFisher Scientific 10378016)を含有するRPMI 1640培地(ThermoFisher Scientific 11875093)中で、MIA PaCa-2(ATCC(登録商標)CRL-1420(商標))及びA549(ATCC(登録商標)CCL-185(商標))細胞を培養した。化合物処理の16時間前にMIA PaCa-2又はA549細胞を25,000細胞/ウェルの密度で96ウェル細胞培養プレートに播種し、37℃、5%CO2でインキュベートした。化合物用量-反応滴定を増殖培地で希釈し、細胞培養プレートの適当なウェルに加え、続いて37℃、5%CO2で2時間インキュベートした。化合物処理後、10ng/mLのEGF(Roche 11376454001)で細胞を10分間刺激し、氷冷ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(Ca2+又はMg2+不含)(ThermoFisher Scientific 14190144)で洗浄し、続いてプロテアーゼ阻害剤(Roche 4693132001)及びホスファターゼ阻害剤(Roche 4906837001)を含有するRIPA緩衝液(50mM Tris-HCl pH 7.5、1% Igepal、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、150mM NaCl及び0.5%ドデシル硫酸ナトリウム)中に溶解した。化合物処理溶解物中のERK1/2のリン酸化を、Phospho-ERK1/2 Whole Cell Lysateキット(Meso Scale Discovery K151DWD)を使用し、製造業者の手順書に従ってアッセイした。アッセイプレートをMeso Scale Discovery Sector Imager 6000で読み取り、4パラメータロジスティックモデルを使用してデータを分析し、IC50値を計算した。
【0316】
下の表2における「--」は、アッセイが行われなかったことを意味する。
【0317】
【0318】
【0319】
本発明は、好ましい実施形態に関連して説明されている。しかしながら、本発明は、開示される実施形態に限定されないことを理解すべきである。本明細書における本発明の実施形態の説明が与えられれば、当業者により様々な修正形態がなされ得ることが理解される。そのような修正形態は、以下の特許請求の範囲に包含される。
【配列表】