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特許7595741飛翔体対処システム、監視地上センター、対処地上センター、通信ルート探索装置、飛翔経路予測装置及び対処アセット選択装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】飛翔体対処システム、監視地上センター、対処地上センター、通信ルート探索装置、飛翔経路予測装置及び対処アセット選択装置
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/10 20060101AFI20241129BHJP
   B64G 3/00 20060101ALI20241129BHJP
   B64G 1/66 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
B64G1/10 600
B64G3/00
B64G1/66 B
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2023500885
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 JP2022006104
(87)【国際公開番号】W WO2022176892
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2021024771
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】迎 久幸
【審査官】近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/261481(WO,A1)
【文献】特開2008-137439(JP,A)
【文献】特開2008-126876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/10
B64G 3/00
B64G 1/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視装置と通信装置を備える複数の監視衛星と、前記複数の監視衛星に、指令コマンドを送信する監視地上センターとを備える監視システムと、
通信装置を備える複数の通信衛星と、前記複数の通信衛星の一群である通信衛星群に、指令コマンドを送信する通信地上センターとを備える通信システムと、
陸上と、海上と、空中との少なくともいずれかに位置して、飛翔体に対処する対処アセットを備える対処システムと、
を備え、
前記監視システムは、
前記飛翔体を監視して生成した飛翔体情報を、前記通信システムを経由して前記対処システムに伝送し、
前記監視地上センターは、
前記飛翔体情報を送信する予定の監視衛星のIDと、
前記飛翔体情報の送信予定時刻を示す送信予定時刻情報と、
前記送信予定時刻における前記IDを持つ前記監視衛星の位置を示す位置情報と、
前記飛翔体情報を受信する予定の別の監視衛星のIDと、
前記飛翔体情報を受信する受信予定時刻を示す受信予定時刻情報と、
前記受信予定時刻における前記別の監視衛星の位置を示す位置情報と、
を含む通知情報を、前記通信地上センターに送信し、
前記通信地上センターは、
前記飛翔体情報の通信ルートを探索する通信ルート探索装置を備え、
通信ルート探索装置は、
前記監視地上センターから送信された前記通知情報に基づいて指令コマンドを生成し、前記通信システムの有する前記通信衛星群に向けて、生成した前記指令コマンドを送信する飛翔体対処システム。
【請求項2】
前記複数の監視衛星のうち1以上の監視衛星は、
赤外線監視装置を備え、
前記赤外線監視装置を備える監視衛星は、
前記赤外線監視装置に、前記飛翔体の発射時プルームと、温度上昇して飛翔する前記飛翔体とを高温対象として検知させるとともに、前記赤外線監視装置が前記高温対象を検知した検知時刻と、前記赤外線監視装置を備える前記監視衛星の位置を示す位置情報と前記飛翔体の位置を示す位置情報との少なくともいずれかの位置情報とを含む情報を、前記飛翔体情報として送信する請求項1に記載の飛翔体対処システム。
【請求項3】
前記通信システムの備える通信衛星同士は、
前記通信装置でクロスリンクして通信網を形成し、
前記通信地上センターは、情報を伝送する最短ルートの通信経路を、前記通信ルート探索装置を用いて探索し、探索された前記通信経路となる前記通信衛星に前記指令コマンドとして情報伝送指令を送信する、請求項1または請求項2に記載の飛翔体対処システム。
【請求項4】
前記監視地上センターは、
前記監視システムの有する監視衛星Aが前記飛翔体の発射探知をした後に、前記監視衛星Aの送信した発射探知情報を、前記通信衛星を介して取得するともに、前記発射探知情報に基づいて、
前記通信地上センターに対して、
前記監視衛星AのIDと、
前記発射探知の発射探知時刻を示す時刻情報と、
前記監視衛星Aの位置を示す位置情報と、
を含む情報を、前記飛翔体についての送信側情報として、かつ、前記通知情報として伝達し、前記対処システムの位置を示す位置情報を、前記飛翔体についての受信側情報として、かつ、前記通知情報として伝達し、
前記通信地上センターは、
前記対処システムに対して、前記飛翔体の前記発射探知時刻と、
前記飛翔体と前記監視衛星Aとの少なくともいずれかの位置を示す位置座標と
を含む情報を、センター側飛翔体情報として伝送する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の飛翔体対処システム。
【請求項5】
前記通信地上センターは、
前記通信ルート探索装置により、監視衛星Aが飛翔体情報を発した位置座標から前記対処システムの位置座標までの前記通信衛星群の形成する通信網の最短ルートの探索を実施して、前記最短ルートの通信経路にある前記通信衛星群に前記指令コマンドとして情報伝送指令を送信するとともに、前記対処システムに対して、前記飛翔体の発射探知時刻と、前記監視衛星Aの位置を示す位置情報と前記飛翔体の発射地点位置を示す位置情報との少なくともいずれかの位置情報とを含む情報を、飛翔体情報として伝送する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の飛翔体対処システム。
【請求項6】
前記監視地上センターは、
前記通信地上センターに対して、
監視衛星AのIDと、
前記飛翔体の発射探知時刻と、
前記発射探知時刻における前記監視衛星Aの位置を示す位置情報とを
監視センター側飛翔体情報の送信側情報として、かつ、前記通知情報として伝達し、
前記監視衛星Aの周辺を飛翔する監視衛星群のIDと、
監視衛星群に含まれる監視衛星である後継衛星が前記送信側情報を受信予定の時刻と、
前記後継衛星が前記送信側情報を受信予定の位置を示す位置情報を、
前記監視センター側飛翔体情報の受信側情報として、かつ、前記通知情報として伝達し、
飛翔体発射後に前記監視衛星Aの周辺を飛翔する前記監視衛星群に対して、前記通信システムを経由して前記監視センター側飛翔体情報を送信し、
前記監視地上センターは、
監視衛星Bが高温対象を検知した後に、前記通信地上センターに対して、
前記監視衛星BのIDと、
前記監視衛星Bが前記高温対象を検知した検知時刻と、
前記検知時刻における前記監視衛星Bの位置を示す位置情報とを、
監視センター側飛翔体情報の送信側情報として、かつ、前記通知情報として伝達し、前記対処システムの位置情報を監視センター側飛翔体情報の受信側情報として、かつ、前記通知情報として伝達し、
前記通信地上センターは、
前記通信ルート探索装置により、前記監視衛星Bの前記位置情報の示す位置から、前記対処システムの位置までの前記通信衛星群による通信網の最短ルートの探索を実施して、前記最短ルートの通信経路にある通信衛星群に前記指令コマンドとして情報伝送指令を送信し、
前記対処システムに対して、
高温対象の検知時刻と、
前記検知時刻における前記監視衛星Bの位置を示す位置座標と、
前記監視衛星Bの検知に基づく輝度情報とを、
通信センター側飛翔体情報として伝送する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の飛翔体対処システム。
【請求項7】
前記監視地上センターは、
前記通信地上センターに対して、
前記監視衛星BのIDと、
前記監視衛星Bによる前記高温対象の検知時刻と、
前記検知時刻における前記監視衛星Bの位置を示す位置情報とを、
監視センター側飛翔体情報の送信側情報として、かつ、前記通知情報として伝達し、
前記監視衛星Bの周辺を飛翔する監視衛星群のIDと、
前記監視衛星群に含まれる監視衛星である後継衛星が前記送信側情報を受信予定の時刻と、
前記後継衛星が前記送信側情報を受信予定の位置を示す位置情報とを、
監視センター側飛翔体情報の受信側情報として、かつ、前記通知情報として伝達し、
前記通信地上センターは、
前記監視衛星Bの近傍を飛翔する監視衛星群に対して、
前記通信システムを経由して前記監視センター側飛翔体情報を送信し、
前記監視地上センターは、
監視衛星Cが高温対象を検知した場合に、前記通信地上センターに対して、
前記監視衛星CのIDと、
前記監視衛星Cによる前記高温対象の検知時刻と、
前記検知時刻における前記監視衛星Cの位置を示す位置情報とを、
監視センター側飛翔体情報の送信側情報として、かつ、前記通知情報として伝達し、
前記対処システムの位置を示す位置情報を、監視センター側飛翔体情報の受信側情報として、かつ、前記通知情報として伝達し、
前記通信地上センターは、
前記通信ルート探索装置により、前記監視衛星Cの位置座標から対処システムの位置座標までの通信網の最短ルートの探索を実施して、前記最短ルートの通信経路にある通信衛星群に前記指令コマンドとして情報伝送指令を送信し、
前記対処システムに対して、
前記監視衛星による前記高温対象の検知時刻と、
前記検知時刻における前記監視衛星Cの位置を示す位置座標と、
前記監視衛星Cの検知に基づく輝度情報とを、
通信センター側飛翔体情報として伝送する請求項6に記載の飛翔体対処システム。
【請求項8】
前記監視地上センターは、
通信地上センターに対して、
監視衛星NのIDと、
前記監視衛星Nによる前記高温対象の検知時刻と、
前記検知時刻における前記監視衛星Nの位置を示す位置情報とを、
監視センター側飛翔体情報の送信側情報として、かつ、前記通知情報として伝達し、
前記監視衛星Nの周辺を飛翔する監視衛星群のIDと、
前記監視衛星群に含まれる監視衛星である後継衛星が前記送信側情報を受信予定の時刻と、
前記後継衛星が前記送信側情報を受信予定の位置を示す位置情報とを、
監視センター側飛翔体情報の受信側情報として、かつ、前記通知情報として伝達し、
前記通信地上センターは、
前記監視衛星Nの近傍を飛翔する監視衛星群に対して、
前記通信システムの前記通信衛星を経由して、前記監視センター側飛翔体情報を送信し、前記監視地上センターは、
監視装置N+1が高温対象を検知した場合に、前記通信地上センターに対して、監視衛星N+1のIDと、
前記監視衛星N+1による前記高温対象の検知時刻と、
前記検知時刻における前記監視衛星N+1の位置を示す位置情報とを、
監視センター側飛翔体情報の送信側情報として、かつ、前記通知情報として伝達し、
前記対処システムの位置を示す位置情報を、監視センター側飛翔体情報の受信側情報として、かつ、前記通知情報として伝達し、
通信地上センターは、
前記通信ルート探索装置により、前記監視衛星N+1の位置座標から前記対処システムの位置座標までの通信網の最短ルートを探索を実施して、前記最短ルートの通信経路にある通信衛星群に前記指令コマンドとして情報伝送指令を送信し、
前記対処システムに対して、
前記監視衛星N+1による前記高温対象の検知時刻と、
前記検知時刻における前記監視衛星N+1の位置を示す位置座標と
前記監視衛星N+1の検知に基づく輝度情報とを、
通信センター側飛翔体情報として伝送する請求項7に記載の飛翔体対処システム。
【請求項9】
前記対処システムは、
複数の対処アセットと、対処地上センターとを備え、
前記対処地上センターは、
飛翔経路予測装置を備え、
前記飛翔経路予測装置は、
飛翔体情報の時系列位置情報の推移に基づき、将来の時刻と位置情報とを含む飛翔経路予測情報を生成する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の飛翔体対処システム。
【請求項10】
前記対処地上センターは、
対処アセットを選択する対処アセット選択装置を備え、
前記対処アセット選択装置は、
各対処アセットと通信回線で接続されており、
前記対処アセット選択装置は、
前記飛翔経路予測装置の生成した前記飛翔経路予測情報に基づき、飛翔体に対処するべき対処アセットを選択して、選択した前記対処アセットに、対処行動を指令する指令信号を送信する請求項9に記載の飛翔体対処システム。
【請求項11】
前記対処システムは、
飛翔経路予測装置を有する対処地上センターを備え、
前記飛翔経路予測装置は、
飛翔体情報の時系列位置情報の推移に基づき、将来の時刻と位置情報とを含む飛翔経路予測情報を生成するとともに、前記監視衛星Aが発射探知情報を送信した後に、前記監視衛星Bと、前記監視衛星Cと、前記監視衛星Nと、前記監視衛星N+1とのいずれかの監視衛星が前記高温対象を検知した場合に、前記高温対象を検知した前記監視衛星の位置座標により、飛翔体の移動方向を予測して、飛翔経路予測情報を生成する請求項8に記載の飛翔体対処システム。
【請求項12】
前記複数の対処アセットのそれぞれは、
位置座標が異なり、
前記対処アセット選択装置は、
前記複数の対処アセットの中から、飛翔経路予測装置の生成した飛翔経路予測情報の近傍に位置する対処アセットを選択して、
前記対処地上センターは、
選択された前記対処アセットに、飛翔体情報と対処行動指令とを伝送する、
請求項10に記載の飛翔体対処システム。
【請求項13】
前記対処システムは、
位置座標の異なる複数の対処地上センターを備え、
前記監視地上センターは、
前記通信地上センターに対して、
監視衛星AのIDと、
前記監視衛星Aが飛翔体の発射を探知した探知時刻と、
前記探知時刻における前記監視衛星Aの位置を示す位置情報とを、
監視センター側飛翔体情報の送信側情報として、かつ、前記通知情報として伝達し、
全ての前記対処地上センターのIDと、
前記対処地上センターが前記監視センター側飛翔体情報を受信するべき受信予定時刻と、前記対処地上センターの位置を示す位置情報とを、
監視センター側飛翔体情報の受信側情報として、かつ、前記通知情報として伝達し、
前記通信地上センターは、
前記監視衛星Aが発射探知した飛翔体情報を、全ての前記対処地上センターに伝送する請求項4に記載の飛翔体対処システム。
【請求項14】
前記監視地上センターは、
前記通信地上センターに対して、
前記飛翔経路予測装置の生成した前記飛翔経路予測情報の近傍に位置する前記対処地上センターのIDと、
前記対処地上センターが飛翔体情報を受信するべき受信時刻と、
前記対処地上センターの位置を示す位置情報とを、
監視センター側飛翔体情報の受信側情報として、かつ、前記通知情報として伝達し、
前記通信地上センターは、
前記対処地上センターに対して飛翔体情報を伝送する、請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の飛翔体対処システム。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の飛翔体対処システムの備える監視地上センター。
【請求項16】
請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の飛翔体対処システムの備える対処地上センター。
【請求項17】
請求項1に記載の飛翔体対処システムの備える通信ルート探索装置であって、
通信開始時刻と位置座標、及び飛翔体情報を伝送する伝送先の相手の位置座標を入力条件として、
飛翔体情報を伝送する衛星IDを数珠繋ぎにした最適ルートを探索し、一連の衛星IDと当該衛星が次の衛星に飛翔体情報を伝送する予報時刻を列挙したリストと、当該通信衛星群に通信指令を与える前記指令コマンドであるコマンドを生成物とするとともに、
通信衛星飛翔位置の計画軌道に対する実軌道の予測誤差、
特定位置座標を通過する予測時刻誤差、
情報伝送に起因する遅延、
予測誤差及び遅延時間に伴う衛星移動距離、
衛星移動に伴う近傍通過衛星の相対位置変化
をルート探索の解析対象に含めて、最短時間で飛翔体情報を伝送する最適ルートを探索する
通信ルート探索装置。
【請求項18】
請求項6に記載の飛翔体対処システムの備える通信ルート探索装置であって、
前記飛翔体対処システムは、通信ルート探索装置を備え、
監視衛星の発射探知信号を通信開始指令として、
発射探知信号を発した監視衛星の位置座標、飛翔体発射を探知した位置座標、及び監視衛星の視野変更範囲を入力条件として、
飛翔体情報を伝送する衛星IDを数珠繋ぎにした最適ルートを探索し、一連の衛星IDと当該衛星が次の衛星に飛翔体情報を伝送する予報時刻を列挙したリストと、当該通信衛星群に通信指令を与える前記指令コマンドであるコマンドを生成物とするとともに、
視野変更を含めて飛翔体発射地点近傍を監視可能な近傍通過監視衛星IDを探索して、飛翔体情報伝送時刻と監視衛星ID、及び監視衛星IDに飛翔体情報を伝送するまでの最適ルート探索を実施する通信ルート探索装置。
【請求項19】
請求項7または請求項8に記載の飛翔体対処システムの備える通信ルート探索装置であって、
監視衛星の発射探知信号を通信開始指令として、
発射探知信号を発した監視衛星の位置座標、飛翔体発射を探知した位置座標、監視衛星の視野変更範囲、及び過去に飛翔体情報を伝送した近傍通過監視衛星の中で、高温検知信号を発した監視衛星の位置座標、高温物体を検知した位置座標、及び監視衛星の視野変更範囲を入力条件として、
飛翔体情報を伝送する衛星IDを数珠繋ぎにした最適ルートを探索し、一連の衛星IDと当該衛星が次の衛星に飛翔体情報を伝送する予報時刻を列挙したリストと、当該通信衛星群に通信指令を与える前記指令コマンドであるコマンドを生成物とするとともに、
視野変更を含めて高温物体検知位置の近傍を監視可能な近傍通過監視衛星IDを探索して、飛翔体情報伝送時刻と監視衛星ID、及び監視衛星IDに飛翔体情報を伝送するまでの最適ルート探索を実施する通信ルート探索装置。
【請求項20】
複数の監視装置を具備する監視衛星が有意な高温対象を検出した場合に、
前記通信地上センターを備える前記通信システムを経由して対処地上センターに検知した時刻情報と監視衛星IDと監視装置IDと監視データを飛翔体情報として伝送し、
対処地上センターの具備する飛翔経路予測装置が、
飛翔体情報における検知時刻における当該IDの監視衛星の位置情報と、進行方向と、当該IDの監視装置の視線方向を導出し、
監視データから高温対象輝度を抽出して高温物体を指向する視線ベクトルを導出する請求項1に記載の飛翔体対処システム。
【請求項21】
前記飛翔経路予測装置が、
複数監視衛星の飛翔体情報から導出した高温物体の視線ベクトルを地球固定座標系において時系列順に並べ、空間三角測量の原理により飛翔体の時間推移毎の位置座標を予測する請求項20に記載の飛翔体対処システム。
【請求項22】
前記飛翔経路予測装置は、
時間推移毎の飛翔体位置座標の予測結果を、繰り返して導出して時間推移に応じた位置座標の変化を可視化し、経路予測した飛翔体が複数の異なる飛翔体を含むことを判定する請求項21に記載の飛翔体対処システム。
【請求項23】
請求項9,10,11,12,14のいずれか1項に記載の飛翔体対処システムの備える飛翔経路予測装置。
【請求項24】
請求項10または請求項12に記載の飛翔体対処システムの備える対処アセット選択装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飛翔体対処システム、監視地上センター、対処地上センター、通信ルート探索装置、飛翔経路予測装置及び対処アセット選択装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、超音速で滑空する飛翔体の登場により、飛翔体の打上げ検知、飛行経路追跡、あるいは着地位置の予測といった衛星による監視が期待されている。
滑空段階の飛翔体を検知して追跡する手段として、飛翔体が大気圏に侵入する時の大気摩擦による温度上昇を赤外線で検知することが有望視されている。また、滑空段階の飛翔体を赤外線で検知する手段は、低軌道周回衛星群から監視することが有望と考えられている。
【0003】
特許文献1は、低軌道を周回する少ない衛星機数で地球全球面内における特定緯度の地域を網羅的に監視するための監視衛星について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-137439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
低軌道からの監視では、静止軌道からの監視と比較して、人工衛星から飛翔体までの距離が近距離となる。そのため、赤外線による検知性能を高めること-が可能となる。LEO衛星により常時監視および通信回線維持のためには膨大な数の衛星が必要となり、さらに地球固定座標系に対してほぼ固定して見える静止衛星とは異なり、LEO衛星は時々刻々飛翔位置が移動するため、赤外監視装置を具備した監視装置と、通信衛星群の構成およびデータ伝送方法が課題となる。
【0006】
本開示は、監視装置を具備した監視衛星群を有する監視システムと通信衛星群により通信網を形成する衛星情報伝送システムとを利用して飛翔体発射を探知して対処システムに飛翔体情報を準リアルタイムで伝送する、飛翔体対処システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る飛翔体対処システムは、
監視装置と通信装置を備える複数の監視衛星と、前記複数の監視衛星に、指令コマンドを送信する監視地上センターとを備える監視システムと、
通信装置を備える複数の通信衛星と、前記複数の通信衛星の一群である通信衛星群に、指令コマンドを送信する通信地上センターとを備える通信システムと、
陸上と、海上と、空中との少なくともいずれかに位置して、飛翔体に対処する対処アセットを備える対処システムと、
を備え、
前記監視システムは、
前記飛翔体を監視して生成した飛翔体情報を、前記通信システムを経由して前記対処システムに伝送し、
前記監視地上センターは、
前記飛翔体情報を送信する予定の監視衛星のIDと、
前記飛翔体情報の送信予定時刻を示す送信予定時刻情報と、
前記送信予定時刻における前記IDを持つ前記監視衛星の位置を示す位置情報と、
前記飛翔体情報を受信する予定の別の監視衛星のIDと、
前記飛翔体情報を受信する受信予定時刻を示す受信予定時刻情報と、
前記受信予定時刻における前記別の監視衛星の位置を示す位置情報と、
を含む通知情報を、前記通信地上センターに送信し、
前記通信地上センターは、
前記飛翔体情報の通信ルートを探索する通信ルート探索装置を備え、
通信ルート探索装置は、
前記監視地上センターから送信された前記通知情報に基づいて指令コマンドを生成し、前記通信システムの有する前記通信衛星群に向けて、生成した前記指令コマンドを送信する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る飛翔体対処システムによれば、対処システムに飛翔体情報を準リアルタイムで伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1の図で、飛翔体対処システム1000の構成例を示す図。
図2】実施の形態1の図で、衛星コンステレーション形成システム600の構成例を示す図。
図3】実施の形態1の図で、衛星コンステレーション形成システム600の衛星620の構成の一例を示す図。
図4】実施の形態1の図で、衛星コンステレーション形成システム600の衛星620の構成の一例を示す別の図。
図5】実施の形態1の図で、極域以外で交差する複数の軌道面を有する衛星コンステレーション610の例を示す図。
図6】実施の形態1の図で、監視地上センター311から通信地上センター321に送信される情報を示す図。
図7】実施の形態1の図で、監視地上センター311から通信地上センター321に送信される情報を示す図。
図8】実施の形態1の図で、監視地上センター311から通信地上センター321に送信される情報を示す図。
図9】実施の形態1の図で、監視地上センター311から通信地上センター321に送信される情報を示す図。
図10】実施の形態1の図で、監視地上センター311から通信地上センター321に送信される情報を示す図。
図11】実施の形態1の図で、対処システム330の飛翔経路予測装置490を示す図。
図12】実施の形態1の図で、対処システム330が複数の対処アセットを持つ図。
図13】実施の形態1の図で、監視地上センター311から通信地上センター321に送信される情報を示す図。
図14】実施の形態1の図で、監視地上センター311から通信地上センター321に送信される情報を示す図。
図15】実施の形態1の図で、通信ルート探索装置470の処理を示す図。
図16】実施の形態1の図で、通信ルート探索装置470の処理を示す図。
図17】実施の形態1の図で、通信ルート探索装置470の処理を示す図。
図18】実施の形態1の図で、飛翔経路予測装置490の処理を示す図。
図19】実施の形態1の図で、飛翔経路予測装置490の処理を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態の説明および図面において、同じ要素および対応する要素には同じ符号を付している。同じ符号が付された要素の説明は、適宜に省略または簡略化する。以下の実施の形態では、「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」または「サーキットリ」に適宜読み替えてもよい。
【0011】
実施の形態1.
図1は、飛翔体対処システム1000の構成例を示す。飛翔体対処システム1000は、監視システム310と、通信システム320と、対処システム330を備える。監視システム310は、監視装置と通信装置を具備する複数の監視衛星100を有する。通信システム320は、通信装置を具備する複数の通信衛星200を有する。対処システム330は、飛翔体520に対処する陸海空の対処アセット332を具備する。
【0012】
飛翔体対処システム1000は、監視システム310が飛翔体520を監視して生成した飛翔体情報を、通信システム320を経由して、対処システム330に伝送する。
【0013】
また、監視システム310は、赤外線監視装置を具備する複数の監視衛星100を有する。監視システム310は、飛翔体520の発射時プルームと、温度上昇して飛翔する飛翔体520とを、高温対象として検知する。そして、監視システム310は、飛翔体520に関する時刻情報と位置情報とを飛翔体情報として送信する。具体的には、監視衛星100は、赤外線監視装置により、飛翔体520の発射時プルームと、温度上昇して飛翔する飛翔体520とを、高温対象として検知する。そして、監視システム310は、飛翔体520に関する時刻情報と位置情報とを含む飛翔体情報を、通信システム320を経由して、対処システム330に伝送する。
【0014】
<飛翔体対処システム1000>
飛翔体対処システム1000は、監視装置と通信装置を具備する複数の監視衛星100と、監視衛星群に指令コマンドを送信する監視地上センター311により構成される監視システム310と、通信装置を具備する複数の通信衛星200と、通信衛星群に指令コマンドを送信する通信地上センター321を有する通信システム320と、飛翔体520に対処する陸海空の対処アセット32を具備する対処システム330とを備える。飛翔体対処システム1000では、監視システム310が飛翔体520を監視して生成した飛翔体情報を、通信システム320を経由して、対処システム330に伝送する。
図6は、監視地上センター311から通信地上センター321に送信される情報を示す。図6を参照する。
監視地上センター311は、
(1)飛翔体情報を送信する予定の監視衛星のID、
(2)飛翔体情報の送信予定時刻を示す送信予定時刻を示す送信予定時刻情報、
(3)送信予定時刻における上記(1)のIDを持つ監視衛星の位置を示す位置情報、
(4)飛翔体情報を受信する予定の監視衛星のID、
(5)飛翔体情報を受信する予定時刻を示す受信予定時刻情報、
(6)受信予定時刻での「別の監視衛星」の位置を示す位置情報、
(7)対処アセット332の位置情報、
を含む通知情報を、通信地上センター321に送信する。
図6に示すように、通信地上センター321は、衛星情報の通信ルートを探索する通信ルート探索装置470を具備している。通信地上センター321は、通信ルート探索装置470を用いることで、監視地上センター311から送信された上記の(1)~(7)を含む通知情報に基づいて指令コマンドを生成し、通信システム320の有する通信衛星群に、生成した指令コマンドを送信する。
【0015】
図2から図4を用いて衛星コンステレーション610を形成する衛星コンステレーション形成システム600における衛星620と地上設備700の例について説明する。衛星コンステレーション形成システム600は、単に衛星コンステレーションと呼ばれることがある。
【0016】
図2は、衛星コンステレーション形成システム600の構成例である。衛星コンステレーション形成システム600は、コンピュータを備える。図2では、1つのコンピュータの構成を示しているが、実際には、衛星コンステレーション610を構成する複数の衛星の各衛星620、および、衛星620と通信する地上設備700の各々にコンピュータが備えられる。そして、複数の衛星の各衛星620、および、衛星620と通信する地上設備700の各々に備えられたコンピュータが連携して、衛星コンステレーション形成システム600の機能を実現する。以下において、衛星コンステレーション形成システム600の機能を実現するコンピュータの構成の一例について説明する。
【0017】
衛星コンステレーション形成システム600は、衛星620と地上設備700を備える。衛星620は、地上設備700の通信装置950と通信する通信装置622を備える。図2では、衛星620が備える構成のうち通信装置622を図示している。
【0018】
衛星コンステレーション形成システム600は、プロセッサ910を備えるとともに、メモリ921、補助記憶装置922、入力インタフェース930、出力インタフェース940、および通信装置950といった他のハードウェアを備える。プロセッサ910は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0019】
衛星コンステレーション形成システム600は、機能要素として、衛星コンステレーション形成部911を備える。衛星コンステレーション形成部911の機能は、ハードウェアあるいはソフトウェアにより実現される。衛星コンステレーション形成部911は、衛星620と通信しながら衛星コンステレーション610の形成を制御する。
【0020】
図3は、衛星コンステレーション形成システム600の衛星620の構成の一例である。衛星620は、衛星制御装置621と通信装置622と推進装置623と姿勢制御装置624と電源装置625とを備える。その他、各種の機能を実現する構成要素を備えていてもよいが、図3では、衛星制御装置621と通信装置622と推進装置623と姿勢制御装置624と電源装置625について説明する。図3の衛星620は、通信装置622を具備する通信衛星200の例である。
【0021】
衛星制御装置621は、推進装置623と姿勢制御装置624とを制御するコンピュータであり、処理回路を備える。具体的には、衛星制御装置621は、地上設備700から送信される各種コマンドにしたがって、推進装置623と姿勢制御装置624とを制御する。
通信装置622は、地上設備700と通信する装置である。あるいは、通信装置622は、同一軌道面の前後の衛星620、あるいは、隣接する軌道面の衛星620と通信する装置である。具体的には、通信装置622は、自衛星に関する各種データを地上設備700あるいは他の衛星620へ送信する。また、通信装置622は、地上設備700から送信される各種コマンドを受信する。推進装置623、衛星620に推進力を与える装置であり、衛星620の速度を変化させる。姿勢制御装置624は、衛星620の姿勢と衛星620の角速度と視線方向(Line Of Sight)といった姿勢要素を制御するための装置である。姿勢制御装置624は、各姿勢要素を所望の方向に変化させる。もしくは、姿勢制御装置624は、各姿勢要素を所望の方向に維持する。姿勢制御装置624は、姿勢センサとアクチュエータとコントローラとを備える。姿勢センサは、ジャイロス
コープ、地球センサ、太陽センサ、スター・トラッカ、スラスタおよび磁気センサといった装置である。アクチュエータは、姿勢制御スラスタ、モーメンタムホイール、リアクションホイールおよびコントロール・モーメント・ジャイロといった装置である。コントローラは、姿勢センサの計測データまたは地上設備700からの各種コマンドにしたがって、アクチュエータを制御する。電源装置625は、太陽電池、バッテリおよび電力制御装置といった機器を備え、衛星620に搭載される各機器に電力を供給する。
【0022】
衛星制御装置621に備わる処理回路について説明する。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいし、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。処理回路において、一部の機能が専用のハードウェアで実現されて、残りの機能がソフトウェアまたはファームウェアで実現されてもよい。つまり、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせで実現することができる。専用のハードウェアは、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGAまたはこれらの組み合わせである。ASICは、Application Specific Integrated
Circuitの略称である。FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。
【0023】
図4は、衛星コンステレーション形成システム600の衛星620の構成の別例である。図4の衛星620では、図3の構成に加え、監視装置626を備える。監視装置626は、物体を監視する装置である。具体的には、監視装置626は、宇宙物体、飛翔体、あるいは陸海空の移動体といった物体を監視あるいは観測するための装置である。監視装置36は、観測装置ともいう。例えば、監視装置626は、飛翔体が大気圏に侵入する時の大気摩擦による温度上昇を赤外線で検知する赤外線監視装置である。監視装置626は、飛翔体の発射時のプルームないし飛翔体本体の温度を検知する。あるいは、監視装置626は、光波ないし電波の情報収集装置でもよい。監視装置626は、物体を光学系で検知する装置でもよい。監視装置626は、観測衛星の軌道高度と異なる高度を飛翔する物体を光学系で撮影する。具体的には、監視装置626は可視光学センサであってもよい。図4の衛星620は、監視装置626と通信装置622を具備する監視衛星100の例である。監視衛星100は、複数の監視装置626を備えていてもよい。また、監視衛星100は、複数種類の監視装置を備えていてもよい。
【0024】
<衛星コンステレーションの形成方法>
衛星コンステレーション形成システム600が形成する衛星コンステレーション610を説明する。衛星コンステレーション610は地上設備700が衛星620を制御することによって形成される。
【0025】
図5は、衛星コンステレーション610の一例として、極域以外で交差する複数の軌道面を有する衛星コンステレーション610の例を示す図である。監視システム310および通信システム320は、衛星コンステレーション610として形成される。図5の衛星コンステレーション610では、軌道は傾斜軌道である。
【0026】
監視システム310は赤外線監視装置を具備する複数の監視衛星100を有する、複数の監視衛星100は、赤外線監視装置に、図1に示す飛翔体520の発射時プルームと、温度上昇して飛翔する飛翔体520とを、高温対象として検知させるとともに、赤外線監視装置が高温対象を検知した検知時刻と、赤外線監視装置を備える監視衛星100の位置を示す位置情報と飛翔体の位置を示す位置情報との少なくともいずれかの位置情報とを含む情報を、飛翔体情報として送信する。
【0027】
通信システム320の具備する複数の通信衛星00は、搭載する通信装置で、クロスリンクして通信網を形成する。図6に示したように、通信地上センター321は、通信ルート探索装置470により、情報伝送をする最短ルートの通信経路を探索をして、探索された通信経路を構成する通信衛星200に情報伝送指令を送信する。
【0028】
図7は、監視地上センター311から通信地上センター321に送信される情報を示す図である。図7を参照する。監視地上センター311は、監視システム310の有する監視衛星Aが飛翔体520の発射探知をした後に、監視衛星Aの送信した発射探知情報を、通信衛星200を介して取得する。
また、監視地上センター311は、前記発射探知情報に基づいて、通信地上センター321に対して、
(1)監視衛星AのID、
(2)発射探知の発射探知時刻を示す発射探知時刻、
(3)監視衛星Aの位置を示す位置情報
を含む情報を、飛翔体情報の送信側情報として伝達する。
通信地上センター321は、対処地上センター331に対して、飛翔体520の発射探知時刻と、前記飛翔体と前記監視衛星Aとの少なくともいずれかの位置を示す位置情報とを含む情報を、通信センター側飛翔体情報として伝送する。
【0029】
図7を参照する。通信地上センター321が、通信ルート探索装置470を使用することにより、監視衛星Aが飛翔体情報を発した位置座標から対処アセット332の位置座標までの通信衛星群の形成する通信網の最短ルートの探索を実施して、最短ルートの通信経路にある通信衛星群に情報伝送指令を送信し、対処地上センター331に対して、飛翔体の発射探知時刻と、監視衛星Aの位置を示す位置情報と飛翔体の発射地点位置を示す位置情報との少なくともいずれかの位置情報とを含む情報を、飛翔体情報として伝送する。
【0030】
図8は、監視地上センター311から通信地上センター321に送信される情報を示す図である。
図8を参照する。監視地上センター311が、通信地上センター321に対して
(1)監視衛星AのIDと、
(2)飛翔体の発射探知時刻、
(3)発射探知時刻における監視衛星Aの位置を示す位置情報、
を監視センター側飛翔体情報の送信側情報として伝達し、
(4)監視衛星Aの周辺を飛翔する監視衛星群のIDと、
(5)監視衛星群に含まれる監視衛星である後継衛星が送信側情報を受信予定の時刻、
(6)後継衛星が送信側情報を受信予定の位置を示す位置情報を、
監視センター側飛翔体情報の受信側情報として伝達する。監視地上センター311は、飛翔体発射後に監視衛星Aの周辺を飛翔する監視衛星群に対して、通信システム320を経由して飛翔体情報を送信する。監視地上センター311は、監視装置衛星B(周辺衛星)が高温対象を検知した後に、監視地上センター311に対して、
(1)監視衛星BのID、
(2)監視衛星Bが高温対象を検知した検知時刻、
(3)この検知時刻における監視衛星Bの位置を示す位置情報、
を監視センター側飛翔体情報の送信側情報として伝達し、
(4)対処アセット332の位置情報を監視センター側飛翔体情報の受信側情報として伝達する。通信地上センター321が、通信ルート探索装置470により、監視衛星Bの位置情報の示す位置座標から、対処システム330の位置座標までの通信衛星群による通信網の最短ルートの探索を実施して、最短ルートの通信経路にある通信衛星群に情報伝送指令を送信する。通信地上センター321は、対処地上センター331に対して、
(1)高温対象の検知時刻、
(2)検知時刻における監視衛星Bの位置を示す位置座標、
(3)監視衛星Bの検知に基づく輝度情報、
を通信センター側飛翔体情報として伝送する。
【0031】
図9は、監視地上センター311から通信地上センター321に送信される情報を示す図である。
図9を参照する。監視地上センター311が通信地上センター321に対して、
(1)監視衛星BのID、
(2)監視衛星Bによる高温対象の検知時刻、
(3)検知時刻における監視衛星Bの位置を示す位置情報、
を監視センター側飛翔体情報の送信側情報として伝達し、
(4)監視衛星Bの周辺を飛翔する監視衛星群のID、
(5)監視衛星群に含まれる監視衛星である後継衛星が送信側情報を受信予定の時刻と
(6)後継衛星が送信側情報を受信予定の位置を示す位置情報、
を監視センター側飛翔体情報の受信側情報として伝達する。
通信地上センター321が、監視衛星Bの近傍を飛翔する監視衛星群に対して、通信システム320の通信衛星を経由して監視センター側飛翔体情報を送信する。監視衛星Cが高温対象を検知した場合に、監視地上センター311は、通信地上センター321に対して、
(1)監視衛星CのID、
(2)監視衛星Cによる高温対象の検知時刻、
(3)検知時刻における監視衛星Cの位置を示す位置情報、
を監視センター側飛翔体情報の送信側情報として伝達し、
(4)対処アセット332の位置を示す位置情報、
を監視センター側飛翔体情報の受信側情報として伝達する。
通信地上センター321が、通信ルート探索装置470により、監視衛星Cの位置座標から対処アセット332の位置座標までの通信網の最短ルートの探索を実施して、最短ルートの通信経路にある通信衛星群に情報伝送指令を送信し、
対処システムに対して、監視衛星による高温対象の検知時刻と、検知時刻における監視衛星Cの位置を示す位置座標と、監視衛星Cの検知に基づく輝度情報を飛翔体情報として伝送する。
【0032】
図10は、監視地上センター311から通信地上センター321に送信される情報を示す図ある。図10を参照する。監視地上センター311が、通信地上センター321に対して、
(1)監視衛星NのID、
(2)監視衛星Nによる高温対象の検知時刻、
(3)検知時刻における監視衛星Nの位置を示す位置情報、
を監視センター側飛翔体情報の送信側情報として伝達し、
(4)監視衛星Nの周辺を飛翔する衛星群のID、
(5)監視衛星群に含まれる監視衛星である後継衛星が送信側情報を受信予定の時刻、
(6)後継衛星が送信側情報を受信予定の位置を示す位置情報、
を監視センター側飛翔体情報の受信側情報として伝達する。
通信地上センター321が、監視衛星Nの近傍を飛翔する監視衛星群に対して、前記衛星情報伝送システムの通信衛星を経由して監視センター側飛翔体情報を送信する。
監視地上センター311は、監視装置N+1が高温対象を検知した場合に、通信地上センター321に対して、
(1)監視衛星N+1のID
(2)監視衛星N+1による高温対象の検知時刻、
(3)検知時刻における監視衛星N+1の位置を示す位置情報、
を飛翔体情報の送信側情報として伝達し、
(4)対処アセット332の位置情報、
を監視センター側飛翔体情報の受信側情報として伝達する。
通信地上センター321は、通信ルート探索装置470により、監視衛星N+1の位置座標から対処アセット332の位置座標までの通信網の最短ルート探索を実施して、最短ルートの通信経路にある通信衛星群に情報伝送指令を送信し、対処地上センター331に対して、
(1)監視衛星N+1による高温対象の検知時刻、
(2)検知時刻における監視衛星N+1の位置を示す位置座標、
(3)監視衛星N+1の検知に基づく輝度情報、
を通信センター側飛翔体情報として伝送する。
【0033】
図11は、対処システム330の飛翔経路予測装置490を示す図である。図11を参照する。対処システム330は、複数の対処アセット332と、対処地上センター331を備えている。対処地上センター331は飛翔経路予測装置490を具備している飛翔経路予測装置490は、飛翔体情報の時系列位置情報の推移に基づき、将来の時刻と位置情報により構成される飛翔経路予測情報を生成する。
【0034】
図12は、対処システム330が複数の対処アセットを持つ図である。図12を参照する。対処システム330は、複数の対処アセット332と、対処地上センター331を備えている。対処地上センター331が対処アセット選択装置333を具備する。対処アセット選択装置333は対処アセット332と通信回線334で接続されている。対処アセット選択装置333は飛翔経路予測装置490の生成した飛行経路予測情報に基づき、飛翔体が通過するないし到達すると予測される位置座標の近傍にある対処アセット332を選択して、対処行動の指令信号を送信する。
【0035】
なお、対処システム330の飛翔経路予測装置490が、監視衛星Aが発射探知情報を送信した後に高温対象を検知した監視衛星Bないし監視衛星Cないし監視衛星Nないし監視衛星N+1の位置座標により飛翔体の移動方向を予測して、飛翔経路予測情報を生成する構成でもよい。
【0036】
図12を参照する。対処アセット選択装置333が、位置座標の異なる複数の対処アセット332の中から、飛翔経路予測装置490の生成した飛行経路予測情報の近傍に位置する対処アセット332を選択する。対処地上センター331が対処アセット332に対して飛翔体情報と対処行動指令を伝送する。
【0037】
図13は、監視地上センター311から通信地上センター321に送信される情報を示す図である。図13を参照する。対処システム330は、位置座標の異なる複数の対処地上センター331を有する。監視地上センター311は、通信地上センター321に対して、
(1)監視衛星AのID、
(2)監視衛星Aが飛翔体の発射を探知した探知時刻、
(3)探知時刻における監視衛星Aの位置を示す位置情報、
を飛翔体情報の送信側情報として伝達し、
(4)全ての対処アセット332のID、
(5)対処地上センター331が監視センター側飛翔体情報を受信するべき時刻、
(6)対処地上センター331の位置を示す位置情報、
を、監視センター側飛翔体情報の受信側情報として伝達する。通信地上センター321は、監視衛星Aが発射探知した飛翔体情報をすべての対処地上センター331に伝送する。
【0038】
図14は、監視地上センター311から通信地上センター321に送信される情報を示す図である。図14を参照する。監視地上センター311が通信地上センター321に対して、
(1)飛翔経路予測装置490の生成した飛翔経路予測情報の近傍に位置する対処地上センター331のID、
(2)対処地上センター331が飛翔体情報を受信するべき受信時刻、
(3)対処地上センターの位置を示す位置情報
を飛翔体情報の受信側情報として伝達する。通信地上センター321が、対処地上センター331に対して飛翔体情報を伝送する。
【0039】
図15は、通信地上センター321の有する通信ルート探索装置470を示す。
図15を参照する。
通信ルート探索装置470は、
(1)通開始時刻、
(2)位置座標、
及び
(3)飛翔体情報を伝送する伝送先の相手の位置座標、
を入力条件とする。通信ルート探索装置470は、
飛翔体情報を伝送する衛星IDを数珠繋ぎにした最適ルートを探索し、一連の衛星IDと当該衛星が次の衛星に飛翔体情報を伝送する予報時刻を列挙したリストと、当該通信衛星群に通信指令を与えるコマンドを生成物とする。
通信ルート探索装置470は、
(1)通信衛星飛翔位置の計画軌道に対する実軌道の予測誤差、
(2)特定位置座標を通過する予測時刻誤差、
(3)情報伝送に起因する遅延、
(4)予測誤差及び遅延時間に伴う衛星移動距離、
(5)衛星移動に伴う近傍通過衛星の相対位置変化、
をルート探索の解析対象に含めて、最短時間で飛翔体情報を伝送する最適ルートを探索する。
【0040】
図16は、通信地上センター321の有する通信ルート探索装置470を示す。
図16を参照する。通信ルート探索装置470は、監視衛星の発射探知信号を通信開始指令として、
(1)発射探知信号を発した監視衛星の位置座標、
(2)飛翔体発射を探知した位置座標、
(3)及び監視衛星の視野変更範囲を入力条件とする。
通信ルート探索装置470は、飛翔体情報を伝送する衛星IDを数珠繋ぎにした最適ルートを探索し、一連の衛星IDと当該衛星が次の衛星に飛翔体情報を伝送する予報時刻を列挙したリストと、当該通信衛星群に通信指令を与えるコマンドを生成物とする。
通信ルート探索装置470は、視野変更を含めて飛翔体発射地点近傍を監視可能な近傍通過監視衛星IDを探索して、飛翔体情報伝送時刻と監視衛星ID、及び当該監視IDに飛翔体情報を伝送するまでの最適ルート探索を実施する。
【0041】
図17は、通信地上センター321の有する通信ルート探索装置470を示す。図17を参照する。通信ルート探索装置470は、監視衛星の発射探知信号を通信開始指令として、
(1)発射探知信号を発した監視衛星の位置座標、
(2)飛翔体発射を探知した位置座標、
(3)監視衛星の視野変更範囲、
(4)及び過去に飛翔体情報を伝送した近傍通過監視衛星の中で、高温検知信号を発した監視衛星の位置座標、
(5)高温物体を検知した位置座標、
(6)監視衛星の視野変更範囲を入力条件とする。
通信ルート探索装置470は、飛翔体情報を伝送する衛星IDを数珠繋ぎにした最適ルートを探索し、一連の衛星IDと当該衛星が次の衛星に飛翔体情報を伝送する予報時刻を列挙したリストと、当該通信衛星群に通信指令を与えるコマンドを生成物とする。通信ルート探索装置470は、視野変更を含めて高温物体検知位置の近傍を監視可能な近傍通過監視衛星IDを探索して、飛翔体情報伝送時刻と監視衛星ID、及び当該監視IDに飛翔体情報を伝送するまでの最適ルート探索を実施する。
【0042】
図18は、飛翔経路予測装置490の処理を示す。図18を参照する。監視システム310における、複数の監視装置を具備する監視衛星100は、有意な高温対象を検出した場合に、通信システム320を経由して対処地上センター331に検知した時刻情報と監視衛星IDと監視装置IDと監視データを飛翔体情報として伝送する。対処地上センター331の具備する飛翔経路予測装置490が飛翔体情報における検知時刻における当該IDの監視衛星の位置情報と、進行方向と、当該IDの監視装置の視線方向を導出し、監視データから高温対象輝度を抽出して高温物体を指向する視線ベクトルを導出する。
【0043】
図19は、飛翔経路予測装置490の処理を示す。図19を参照する。対処地上センター331の具備する飛翔経路予測装置490が、複数監視衛星の飛翔体情報から導出した高温物体の視線ベクトルを地球固定座標系において時系列順に並べ、空間三角測量の原理により飛翔体の時間推移毎の位置座標を予測する。
【0044】
なお、複数の飛翔体が短時間のインターバルで発射された場合に、複数の監視衛星から取得した飛翔体情報を統合して飛翔経路予測装置で経路予測した飛翔体が複数の異なる飛翔体であることを判定する構成でもよい。
【0045】
近傍の発射点から複数の飛翔体が短時間のインターバルで発射された場合に、飛翔体の数を誤認すると、対処しきれないリスクとなるため、短時間の間に発射された飛翔体の数を正確に把握する必要がある。飛翔経路予測装置490が予測した、時間推移毎の飛翔体の位置座標を可視化すると、複数の飛翔体の飛翔経路が異なる場合には、飛翔位置情報が分散するので、異なる飛翔体であることが判定可能である。また仮に複数の飛翔体が同一経路を飛翔していても、取得情報の時間推移に応じた位置座標のオフセットが顕在化するために、異なる飛翔体であることが判定可能である。
【0046】
***実施の形態1の効果***
実施の形態1の飛翔体対処システム1000によれば、対処システムに飛翔体情報を準リアルタイムで伝送することができる。
【符号の説明】
【0047】
90 軌道面、100 監視衛星、200 通信衛星、310 監視システム、311 監視地上センター、320 通信システム、321 通信地上センター、330 対処システム、331 対処地上センター、332 対処アセット、333 対処アセット選択装置、334 通信回線、410 通信衛星事業装置、430 衛星コンステレーション事業装置、450 軌道情報管理装置、470 通信ルート探索装置、490 飛翔経路予測装置、510 地球、520 飛翔体、600 衛星コンステレーション形成システム、610 衛星コンステレーション、620 衛星、621 衛星制御装置、622 通信装置、623 推進装置、624 姿勢制御装置、625 電源装置、626 監視装置、700 地上設備、910 プロセッサ、911 衛星コンステレーション形成部、921 メモリ、922 補助記憶装置、930 入力インタフェース、940 出力インタフェース、950 通信装置、1000 飛翔体対処システム。
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