IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イーライ リリー アンド カンパニーの特許一覧

特許7595746ヒト及びマウスINSL5を標的とする化合物及び方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】ヒト及びマウスINSL5を標的とする化合物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/26 20060101AFI20241129BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20241129BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241129BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20241129BHJP
   G01N 33/531 20060101ALI20241129BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
C07K16/26 ZNA
C12N15/13
C12N5/10
C12P21/08
G01N33/531 A
G01N33/53 B
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023507607
(86)(22)【出願日】2021-08-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 US2021044304
(87)【国際公開番号】W WO2022031674
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】63/060,701
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルディーノ,ペトラ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,シウ-チウン
【審査官】坂崎 恵美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/157774(WO,A1)
【文献】特表2010-537965(JP,A)
【文献】ImmunotagTM INSL5 polyclonal antibody,2018年,URL: https://www.gbiosciences.com/ITN0234,[2024年4月30日検索]
【文献】EMBO Molecular Medicine,2020年07月12日,vol.12 No.9,page e12050
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 16/00-16/46
C12N 15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含むINSL5に結合する抗体であって、前記VHが、重鎖相補性決定領域(HCDR)であるHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域(LCDR)であるLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
前記HCDR1が、TASGFSLSSYDMG(配列番号10)を含み、
前記HCDR2が、TISAGGYTY(配列番号11)を含み、
前記HCDR3が、ARERWNYDRSGGAGAGYFDL(配列番号12)を含み、
前記LCDR1が、QASQSITSSYLS(配列番号14)を含み、
前記LCDR2が、YPAANLAS(配列番号15)を含み、ならびに
前記LCDR3が、LYGYFSSSIDFA(配列番号16)を含む、抗体。
【請求項2】
前記VHが、配列番号9を含み、前記VLが、配列番号13を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体が、配列番号5を含む重鎖(HC)と、配列番号7を含む軽鎖(LC)とを含む、請求項1又は2に記載の抗体。
【請求項4】
前記抗体が、配列番号5のアミノ酸2~446を含む重鎖(HC)と、配列番号7を含む軽鎖(LC)とを含む、請求項1又は2に記載の抗体。
【請求項5】
前記抗体が、配列番号5からなるHCと、配列番号7からなるLCとを含む、請求項1又は2に記載の抗体。
【請求項6】
ヒトINSL5に結合する、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項7】
前記抗体が、ヒトINSL5のA鎖(配列番号1)及びB鎖(配列番号2)に結合する、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項8】
マウスINSL5に結合する、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項9】
前記抗体が、マウスINSL5のA鎖(配列番号3)及びB鎖(配列番号4)に結合する、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項10】
配列番号5及び配列番号7をコードする配列を含む、核酸。
【請求項11】
請求項10に記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項12】
配列番号5をコードする核酸配列を含む第1のベクターと、配列番号7をコードする核酸配列を含む第2のベクターとを含む、組成物。
【請求項13】
(a)配列番号5をコードする核酸配列を含む第1のベクター、及び配列番号7をコードする核酸配列を含む第2のベクター、又は
(b)配列番号5をコードする第1の核酸配列と、配列番号7をコードする第2の核酸配列とを含むベクターを含む、細胞。
【請求項14】
前記細胞が、哺乳動物細胞である、請求項13に記載の細胞。
【請求項15】
抗体を産生する方法であって、請求項13又は14に記載の細胞を、抗体が発現される条件下で培養し、次いで発現された抗体を培養培地から回収することを含む、方法。
【請求項16】
請求項13又は14に記載の細胞を、抗体が発現される条件下で培養し、次いで発現された抗体を培養培地から回収することによって産生された、抗体。
【請求項17】
試料中のINSL5を検出する方法であって、前記試料を請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体と接触させるステップと、前記接触させるステップによって生成されるシグナルを検出するステップとを含む、方法。
【請求項18】
試料中のINSL5を定量化する方法であって、前記試料を請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体と接触させるステップと、前記接触させるステップによって生成されたシグナルを検出するステップとを含む、方法。
【請求項19】
対照標準を前記抗体と接触させるステップと、前記対照標準を接触させる前記ステップによって提供されたシグナルを検出するステップとを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記試料を第2の抗体と接触させるステップを更に含み、前記抗体又は前記第2の抗体のうちの1つが、検出可能な標識を含み、前記接触させるステップが、前記抗体、前記第2の抗体、及びINSL5を含む複合体の形成に際して前記検出可能な標識によって提供されるシグナルを検出することを含む、請求項1719のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬の分野に関する。より具体的には、本発明は、ヒト及びマウスインスリン様ペプチド-5(INSL5)に対する抗体又はその断片を含む化合物、診断法及び方法に関する。本発明の化合物及び方法は、腫瘍学、生殖、及び代謝疾患、例えば、糖尿病及び肥満の分野において、それらに関する診断を含めて有用であると期待されている。
【背景技術】
【0002】
消化管ホルモンINSL5は、ペプチドのリラキシン/インスリン様ファミリーに属する。他のINSLファミリーメンバーと同様に、INSL5は、2つのジスルフィド結合で結合されたB鎖及びA鎖で構成される。INSL5は様々な組織で発現しているが、それは、主に、遠位腸、特に、結腸及び直腸におけるL細胞と呼ばれる特殊な腸内分泌細胞(EEC)から他のホルモンと共分泌される。これらの細胞は、腸の運動性、ホルモン分泌、グルコース恒常性、食欲などの代謝及び生理学的プロセスを調節する。INSL5は、受容体RXFR4/GPCR142/GPR100のリガンドであり、その受容体-リガンド相互作用により、細胞内cAMPレベルの阻害がもたらされる。INSL5は、食欲促進(食欲刺激)ホルモンと考えられており、その分泌は、カロリー制限によって上昇するが、INSL5-RXFP4活性化シグナル伝達経路の生物学的結果は、ほとんどとらえどころのないままである。
【0003】
INSL5を研究するためには、INSL5についての高信頼性及び高感度のアッセイが必要である。INSL5は、代謝機能障害、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、結腸直腸がん(CRC)、不妊症を有する患者、及びこれらの疾患の前臨床モデルにおいて研究されている。しかしながら、これらの効果を更に研究するために、ヒト及びマウスのINSL5に結合する抗体を提供する必要性が残されたままである。特に、ヒト及びマウスの両方のINSL5に高い親和性を有するINSL5抗体の必要性が残されたままである。現在利用可能なアッセイには、感度、再現性、性能、及び/又は定量的な問題点がある。したがって、ヒト又はマウスの試料を試験する追加の方法が必要である。
【発明の概要】
【0004】
本開示の特定の実施形態では、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含むINSL5に結合する抗体が提供され、VHは、重鎖相補性決定領域(HCDR)であるHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLは、軽鎖相補性決定領域(LCDR)であるLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCDR1は、TASGFSLSSYDMG(配列番号10)を含み、HCDR2は、TISAGGYTY(配列番号11)を含み、HCDR3は、ARERWNYDRSGGAGAGYFDL(配列番号12)を含み、LCDR1は、QASQSITSSYLS(配列番号14)を含み、LCDR2は、YPAANLAS(配列番号15)を含み、LCDR3は、LYGYFSSSIDFA(配列番号16)を含む。
【0005】
いくつかの実施形態によれば、本開示の抗体は、配列番号9を含むVH及び配列番号13を含むVLを含む。いくつかの実施形態によれば、本開示の抗体は、配列番号5を含む重鎖(HC)及び配列番号7を含む軽鎖(LC)を含む。いくつかの実施形態によれば、本開示の抗体は、配列番号5のアミノ酸2~446を含む重鎖(HC)、及び配列番号7を含む軽鎖(LC)を含む。いくつかの実施形態によれば、本開示の抗体は、配列番号5からなるHC及び配列番号7からなるLCを含む。
【0006】
いくつかの実施形態によれば、本開示は、配列番号5若しくは配列番号7、又はそれらの両方をコードする配列を含む核酸を提供する。いくつかの実施形態によれば、1つ以上のベクターは、配列番号5若しくは配列番号7、又はそれらの両方をコードする1つ以上の核酸を含む。いくつかの実施形態によれば、本開示は、配列番号5をコードする核酸配列を含む第1のベクターと、配列番号7をコードする核酸配列を含む第2のベクターとを含む、組成物を提供する。他の実施形態によれば、本開示は、配列番号5及び配列番号7をコードする核酸を含むベクターを含む組成物を提供する。別の実施形態では、本開示は、配列番号5若しくは配列番号7、又はその両方をコードする1つ以上の核酸を含む1つ以上のベクターを含む細胞を提供する。いくつかの実施形態によれば、本開示は、配列番号5をコードする核酸配列を含む第1のベクターと、配列番号7をコードする核酸配列を含む第2のベクターとを含む、細胞を提供する。他の実施形態によれば、本開示は、配列番号5をコードする核酸及び配列番号7をコードする第2の核酸配列を含むベクターを含む細胞を提供する。更なる実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。
【0007】
本開示の特定の実施形態では、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含むINSL5に結合する抗体が提供され、VHは、重鎖相補性決定領域(HCDR)であるHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLは、軽鎖相補性決定領域(LCDR)であるLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCDR1は、TVSGIDLTTYAMG(配列番号22)を含み、HCDR2は、IIGGGGRTY(配列番号23)を含み、HCDR3は、VRGGDFFDL(配列番号24)を含み、LCDR1は、QASEDISKYLS(配列番号26)を含み、LCDR2は、YYVSNLEF(配列番号27)を含み、LCDR3は、HQGYTGVNVENV(配列番号28)を含む。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、本開示の抗体は、配列番号21を含むVH及び配列番号25を含むVLを含む。更なる実施形態では、本開示の抗体は、配列番号17を含む重鎖(HC)及び配列番号19を含む軽鎖(LC)を含む。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、配列番号17のアミノ酸2~435を含む重鎖(HC)、及び配列番号19を含む軽鎖(LC)を含む。いくつかの実施形態によれば、本開示の抗体は、配列番号17からなるHC及び配列番号19からなるLCを含む。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、本開示は、配列番号17若しくは配列番号19、又はそれらの両方をコードする配列を含む核酸を提供する。いくつかの実施形態によれば、1つ以上のベクターは、配列番号17若しくは配列番号19、又はそれらの両方をコードする1つ以上の核酸を含む。いくつかの実施形態によれば、本開示は、配列番号17をコードする核酸配列を含む第1のベクターと、配列番号19をコードする核酸配列を含む第2のベクターとを含む、組成物を提供する。いくつかの実施形態によれば、本開示は、配列番号17及び配列番号19をコードする核酸を含むベクターを含む組成物を提供する。別の実施形態では、本開示は、配列番号17若しくは配列番号19、又はその両方をコードする1つ以上の核酸を含む1つ以上のベクターを含む細胞を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号17をコードする核酸配列を含む第1のベクターと、配列番号19をコードする核酸配列を含む第2のベクターとを含む、細胞を提供する。他の実施形態によれば、本開示は、配列番号17をコードする核酸及び配列番号19をコードする第2の核酸配列を含むベクターを含む細胞を提供する。更なる実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、本開示の抗体は、ヒトINSL5に結合する。いくつかの実施形態によれば、本開示の抗体は、ヒトINSL5のA鎖(配列番号1)及びB鎖(配列番号2)に結合する。いくつかの実施形態によれば、本開示の抗体は、マウスINSL5に結合する。いくつかの実施形態によれば、本開示の抗体は、マウスINSL5のA鎖(配列番号3)及びB鎖(配列番号4)に結合する。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、抗体が発現される条件下で細胞を培養し、次いで発現された抗体を培養培地から回収することを含む、抗体を産生する方法を提供する。いくつかの実施形態によれば、本発明は、抗体が発現される条件下で細胞を培養し、次いで発現された抗体を培養培地から回収することによって産生される抗体を産生する方法を提供する。
【0012】
本開示の更なる実施形態によれば、患者試料におけるヒト又はマウスINSL5を検出する方法が提供される。このような方法は、試料を、ヒト又はマウスINSL5に特異的に結合する本開示の抗体と接触させるステップと、当該接触させるステップによってシグナルを検出するステップとを含む。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、試料中のヒト又はマウスINSL5を定量化する方法が提供される。このような方法は、当該試料を、INSL5に特異的に結合させる本開示の抗体と接触させるステップと、当該接触させるステップによってシグナルを検出するステップとを含む。いくつかの実施形態では、このような方法は、対照標準を抗体と当該接触させるステップと、対照標準を接触させるステップによって提供されたシグナルを検出するステップとを更に含む。
【0014】
本開示の方法のいくつかの実施形態によれば、このような方法は、試料におけるINSL5を定量化するステップを更に含む。このような実施形態では、INSL5を定量化するステップは、参照標準と比較した場合に試料中のINSL5を定量化することを含む。
【0015】
本開示の方法のいくつかの実施形態によれば、試料は、血液、血漿、血清、又は脳脊髄液(CSF)のうちの1つである。
【0016】
本開示の方法のいくつかの実施形態によれば、方法は、試料を、ヒト又はマウスINSL5に特異的に結合する抗体及び第2の抗体と接触させるステップを更に含み、当該第2の抗体がまた、ヒト又はマウスINSL5に結合する。いくつかのこのような方法では、抗体又は第2の抗体のうちの1つは、検出可能な標識を含み、当該検出するステップは、抗体、第2の抗体及びヒト又はマウスINSL5を含む複合体の形成に際して検出可能な標識によって提供されたシグナルを検出することを含む。いくつかのこのような実施形態によれば、抗体及び第2の抗体のうちの1つは、基材上に固定化されている。本開示の方法のいくつかの実施形態では、試料を抗体と接触させるステップ及び試料を第2の抗体と接触させるステップは同時に起こる。いくつかのより特定の実施形態によれば、第2の抗体は、本明細書に開示されるヒト又はマウスINSL5に特異的に結合する本開示の抗体を含む。
【0017】
本開示の方法のいくつかの実施形態によれば、方法は、試料を、INSL5に特異的に結合する抗体及び第2の抗体と接触させるステップを更に含み、当該第2の抗体がまた、INSL5に特異的に結合する。いくつかのこのような方法では、抗体又は第2の抗体のうちの1つは、検出可能な標識を含み、当該検出するステップは、抗体、第2の抗体及びINSL5を含む複合体の形成に際して検出可能な標識によって提供されたシグナルを検出することを含む。いくつかのこのような実施形態によれば、抗体及び第2の抗体のうちの1つは、基材上に固定化されている。他の実施形態では、第2の抗体は、INSL5の異なるエピトープに結合する。本開示の方法のいくつかの実施形態では、試料を抗体と接触させるステップ及び患者試料を第2の抗体と接触させるステップは同時に起こる。任意のこのような実施形態では、抗体若しくは第2の抗体、又はそれらの両方は、本明細書に開示されるINSL5に結合する抗体である。
【0018】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、抗原に結合する免疫グロブリン分子を指す。抗体の実施形態には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体が含まれる。抗体は、任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA)、及び任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)であってもよい。
【0019】
本開示の例示的な抗体は、4つのポリペプチド鎖:鎖間ジスルフィド結合を介して架橋される2つの重鎖(HC)及び2つの軽鎖(LC)から構成された、免疫グロブリンG(IgG)型抗体である。4つのポリペプチド鎖の各々のアミノ末端部分は、抗原認識に主に関与する約100~125個以上のアミノ酸の可変領域を含む。4つのポリペプチド鎖の各々のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能に主に関与する定常領域を含有する。各重鎖は、重鎖可変領域(BH)及び重鎖定常領域から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)及び軽鎖定常領域から構成される。IgGアイソタイプは、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4)に更に分割され得る。
【0020】
VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存されている領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、超可変領域に更に細分され得る。CDRはタンパク質の表面上に露出しており、抗原結合特異性のための抗体の重要な領域である。各VH及びVLは、3つのCDR及び4つのFRから構成されており、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序でアミノ末端からカルボキシ末端へと配置される。本明細書では、重鎖のうちの3つのCDRを、「HCDR1、HCDR2、及びHCDR3」と称し、軽鎖の3つのCDRを、「LCDR1、LCDR2、及びLCDR3」と称する。CDRは、抗体との特定の相互作用を形成する残基の大半を含有する。アミノ酸残基のCDRへの割り当ては、Kabat(Kabat et.al,“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))、Chothia(Chothia et.al.,“Canonical structures for the hypervariable regions of immunoglobulins”,Journal of Molecular Biology,196,901-917(1987)、Al-Lazikani et.al.、“Standard Conformations for the canonical structures of immunoglobulins”,Journal of Molecular Biology,273,927-948(1997)),North(North et.al,“A New Clustering of Antibody CDR Loop Conformations”,Journal of Molecular Biology,406,228-256(2011))、又はIMGT(www.imgt.orgで利用可能な国際的なImMunoGeneTicsデータベース、Lefranc et al.,Nucleic Acids Res.1999;27:209-212を参照されたい)に記載されているものを含む、周知のスキームに従って行われ得る。本発明の抗体のLCVR及びHCVR領域内のCDRドメインへのアミノ酸の割り当ては、Northに基づいている。LCは、本開示のいくつかの実施形態によれば、カッパ又はラムダとして分類され、これらは各々、当該技術分野で既知の特定の定常領域によって特徴付けられる。HCは、本開示のいくつかの実施形態によれば、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、又はイプシロンとして分類され、それぞれ、抗体のアイソタイプをIgG、IgM、IgA、IgD、又はIgEとして定義する。いくつかの実施形態によれば、抗体はIgG HCを含み、これは、サブクラス、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4に更に分割され得る。各HCのカルボキシ末端部分は、エフェクター機能を主に担う定常領域を定義する。特定の実施形態では、本発明の抗体は、エフェクター機能を低減する、各HCの定常領域内の1つ以上の修飾を有する。
【0021】
本発明の抗体は、モノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は、単一のコピー又はクローン(例えば、任意の真核生物、原核生物、若しくはファージクローンを含む)に由来する抗体であり、それが産生される方法ではない。モノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ技術、組換え技術、ファージディスプレイ技術、合成技術、例えばCDR移植、又はこのような技術又は当該技術分野で既知の他の技術の組み合わせにより産生することができる。
【0022】
抗体を産生及び精製する方法は当該技術分野で周知であり、例えば、Harlow and Lane(1988),Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,chapters 5-8 and 15,ISBN 0-87969-314-2で見出すことができる。例えば、マウス又はウサギを、ヒト又はマウスINSL5で免疫化してもよく、得られた抗体を回収、精製することができ、アミノ酸配列を、当該技術分野で周知の従来の方法を使用して決定することができる。同様に、ヒト又はマウスINSL5との相互作用について数千のFab断片をスクリーニングし、得られた相互作用を回収、精製することができ、アミノ酸配列を、当該技術分野で周知の従来の方法を使用して決定することができ、初期のリード抗体を構築することができる。
【0023】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又は抗体をコードする核酸は、単離された形態で提供される。本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、細胞環境において見出される他の高分子種を含まないか、又は実質的に含まない、タンパク質、ペプチド、又は核酸を指す。
【0024】
本明細書で使用される「結合する」という用語は、別段の定めがない限り、当該分野において既知である一般的な方法によって決定される2つのタンパク質又は分子の近接をもたらす、別のタンパク質若しくは分子との化学結合又は引力相互作用を形成するタンパク質又は分子の能力を意味する。
【0025】
ヒト又はマウスのINSL5に結合する本開示の抗INSL5抗体を使用して、アフィニティークロマトグラフィー、免疫沈降、免疫組織化学又はELISAベースのアッセイなどの技術によって、ヒト又はマウスINSL5のアイソフォームを単離及び/又は検出することができる。このようなアッセイを使用して、臨床試験手順の一部として、例えば、血清、血漿、血液又はCSFにおけるポリペプチドレベルをモニターする、例えば、所与の治療レジメンの有効性を決定する、診断、予後、又は治療のために、INSL5の存在量及び/又はパターンを検出及び/又は評価することができる。当該技術分野において理解されるように、本発明の抗体は、その検出を容易にするために、検出可能な物質又は標識に結合され得る。検出可能な物質又は標識の例には、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、化学発光物質及び放射性物質が含まれる。好適な酵素の例には、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、又はアセチルコリンエステラーゼが含まれ、好適な補欠分子族複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンが含まれ、好適な蛍光物質の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトナジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド又はフィコエリスリンが含まれ、発光物質の例には、ルミノールが含まれ、生物発光物質の例には、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、ルテニウム及びエクオリンが含まれ、好適な放射性物質の例には、125I、131I、35S又はHが含まれる。本発明の抗体はまた、薬理ゲノム分析においても有用であり得る。このような実施形態は、特定の若しくは修飾された治療手法から利益を得ることができる個体を特定するために、及び/又は現在の治療レジメンの有効性をモニターするために使用され得る。
【0026】
本明細書で使用される場合、「対照標準」は、本発明の方法において試料から得られた結果を比較するために使用され得る試料を指す。対照標準は、細胞、血液、血漿、CSF、組織又は培地中にスパイクされた既知のタンパク質の濃度であり得る。対照標準における濃度レベルは、INSL5の絶対量若しくは相対量、量の範囲、又は最小量、平均量、及び/若しくは中央値量であり得る。対照標準はまた、INSL5のベースラインとして作用し得、それに対して患者試料が比較される。対照標準には、同一患者からの濃度値、又はINSL5の既知の正常な参照が含まれ得る。更に、いくつかの実施形態では、対照標準は、INSL5濃度を標準曲線の形で表し得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、「捕捉抗体」という用語は、INSL5に結合する抗体を指す。このような実施形態では、捕捉抗体は、捕捉抗体-INSL5複合体を残りの試料から分離することができるように、INSL5に結合し、INSL5を捕捉することができ、例えば、好適な条件下で試料中のINSL5に特異的に結合することができる。いくつかの実施形態では、捕捉抗体は、INSL5に特異的に結合する抗体であり得、INSL5に特異的に結合する抗体は、二次(又は検出)抗体として使用される。更なる実施形態では、捕捉抗体は、本明細書で提供される抗体である。更なる実施形態では、捕捉抗体は、それぞれ配列番号10~12に対応するHCDR及び配列番号14~16に対応するLCDRを有する抗体である。更なる実施形態では、捕捉抗体は、それぞれ配列番号22~24に対応するHCDR及び配列番号26~28に対応するLCDRを有する抗体である。いくつかの実施形態では、捕捉抗体は、固定化されている。いくつかの実施形態では、検出抗体は、検出可能な標識で標識されている。いくつかの実施形態では、二次(又は検出)抗体は、本明細書で提供される抗体である。更なる実施形態では、二次(又は検出)抗体は、それぞれ配列番号10~12に対応するHCDR及び配列番号14~16に対応するLCDRを有する抗体である。更なる実施形態において、二次(又は検出)抗体は、それぞれ配列番号22~24に対応するHCDR及び配列番号26~28に対応するLCDRを有する抗体である。
【0028】
いくつかの実施形態では、捕捉抗体は、「サンドイッチ」イムノアッセイで固定化され、捕捉抗体又は一次抗体は、ヒト又はマウスINSL5に特異的に結合する。いくつかのこのような実施形態では、捕捉抗体は、ヒト又はマウスINSL5に特異的に結合する本発明の抗体である。更なる実施形態では、捕捉抗体は、配列番号10~12に対応するHCDR及び配列番号14~16に対応するLCDRを有する抗体である。更なる実施形態では、捕捉抗体は、配列番号22~24に対応するHCDR及び配列番号26~28に対応するLCDRを有する抗体である。このようなサンドイッチイムノアッセイでは、「検出(又は二次)抗体」がまた利用される。いくつかの実施形態によれば、検出又は第2の抗体は、捕捉抗体に特異的に結合することができ、検出可能な標識で標識され得る。いくつかの実施形態では、二次抗体の検出は、捕捉又は一次抗体によって、既に結合又は捕捉されているヒト又はマウスINSL5に特異的に結合する。いくつかのこのような実施形態では、二次抗体は、ヒト又はマウスINSL5に特異的に結合する本発明の抗体である。いくつかの実施形態では、二次(又は検出)抗体は、本明細書で提供される抗体である。更なる実施形態では、二次(又は検出)抗体は、配列番号10~12に対応するHCDR及び配列番号14~16に対応するLCDRを有する抗体である。更なる実施形態では、二次(又は検出)抗体は、配列番号22~24に対応するHCDR及び配列番号26~28に対応するLCDRを有する抗体である。
【0029】
本明細書で使用される場合、「検出可能な標識」は、ヒト又はマウスINSL5のA鎖及びB鎖に特異的に結合する本発明の抗体間の複合体の形成を検出するために使用され得る部分、組成物又は技術である。いくつかの実施形態によれば、検出可能な標識は、抗体(場合によって、捕捉又は検出のいずれか)に直接的又は間接的にコンジュゲートされ得る。検出可能な標識の例示的な実施形態には、ビオチン、放射性同位体、フルオロフォア又は他の蛍光部分、及び酵素部分が含まれる。
【0030】
このような抗体の抗原結合断片には、例えば、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、及び単鎖Fv断片が含まれる。
【0031】
「フレームワーク領域」又は「フレームワーク配列」は、フレームワーク領域1~4のうちのいずれか1つを指す。本発明に包含されるヒト化抗体及びその抗原結合断片は、フレームワーク領域1~4のうちのいずれか1つ以上がヒト化される、すなわち、個々のヒト化される領域1~4の可能な組み合わせのいずれかが存在する、分子を含む。例えば、これには、フレームワーク領域1及びフレームワーク領域2、フレームワーク領域1及びフレームワーク領域3、フレームワーク領域1、2、及び3などがヒト化される分子が含まれる。ヒト化されるフレームワークは、既知のヒト生殖系列フレームワーク配列に対して少なくとも約80%の配列同一性を有するものである。ヒトフレームワークの生殖系列配列は、ImMunoGeneTics(IMGT)から、又はMarie-Paule Lefranc及びGerard LefrancのThe 20 Immunoglobulin FactsBook(Academic Press,2001,ISBN 012441351)から入手することができる。例えば、生殖系列軽鎖フレームワークは、A11、A17、A18、A19、A20、A27、A30、L1、L11、L12、L2、L5、L15、L6、L8、O12、O2、及びO8からなる群から選択することができ、生殖系列重鎖フレームワーク領域は、VH2-5、VH2-26、VH2-70、VH3-20、25 VH3-72、VH1-46、VH3-9、VH3-66、VH3-74、VH4-31、VHI-18、VHI-69、VI-13-7、VH3-11、VH3-15、VH3-21、VH3-23、VH3-30、VH3-48、VH4-39、VH4-59、及びVH5-51からなる群から選択することができる。
【0032】
タンパク質「INSL5」(インスリン様ペプチド-5としても知られる)は、Insl5遺伝子によってコードされる消化管ホルモンを指す。INSL5は、ヒト及びマウスにおける遠位結腸の腸内分泌細胞で産生されたペプチドである。
【0033】
以下のアッセイの結果は、例示された本発明のモノクローナル抗体及びその抗原結合断片がINSL5に結合及び/又は中和することを示しており、したがって、糖尿病及び肥満を含むがこれらに限定されない代謝性疾患におけるINSL5の役割を研究するために、サンドイッチELISAアッセイを含むがこれに限定されない診断アッセイに使用され得る。
【0034】
INSL5の存在又はレベルを検出する診断アッセイなどの診断に使用するための抗体が、本明細書に開示される。
【実施例
【0035】
以下の非限定的な実施例は、限定ではなく例示の目的で提供される。
【0036】
実施例1:抗体Iの組換え発現
抗体Iは、配列番号5の重鎖アミノ酸配列及び配列番号7の軽鎖アミノ酸配列を有する抗体である。
【0037】
抗体Iは、CHO-K1細胞誘導体(Lonza Biologics Inc.)を使用して哺乳動物細胞発現系で生成される。配列番号5及び配列番号7をコードするcDNA配列は、GS含有発現プラスミド骨格(pEE12.4ベースのプラスミド、Lonza Biologics Inc.)にサブクローニングされる。cDNA配列を、シグナルペプチド配列METDTLLLWVLLLWVPGSTG(配列番号29)のコード配列をフレーム中に融合させて、組織培養培地への抗体の分泌を増強させる。両方のcDNA配列発現を、ウイルス性CMVプロモーターにより駆動させる。
【0038】
一過性トランスフェクションを介して抗体を生成する場合、PEIベースの方法を使用して、CHO-K1細胞を、同一の化学量論比の組換え発現プラスミドでトランスフェクトする。簡単に説明すると、密度4×10細胞/mLの適切な体積のCHO-K1懸濁細胞を振盪フラスコに移し、PEI及び組換えプラスミドDNAの両方を細胞に加える。細胞を、浮遊培養液中32℃で6日間インキュベートする。インキュベーション期間の終了時に、細胞を低速遠心分離によって除去し、抗体を馴化培地から精製する。
【0039】
CHO-K1細胞から培地に分泌された抗体は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーに続いてサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)及び/又はイオン交換クロマトグラフィーによって精製する。具体的には、採取した培地からの抗体を、Mab Selectタンパク質A樹脂(GE)上で捕捉する。次いで、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4)又はトリス含有緩衝液などの泳動用緩衝液で樹脂を簡単に洗浄して、非特異的に結合した物質を除去する。タンパク質を、10mMクエン酸pH3などの低pH溶液で樹脂から溶出させる。抗体を含有する画分を低pHでプールし、可能性のあるウイルスを不活化することができる。pH8.0の0.1Mトリスなどの塩基を加えることによって、pHを中性化することができる。抗体は、イソクラティック溶離を用いてPBS pH7.4でSuperdex200(GE Healthcare)に濃縮プロテインAプールをロードすることにより、SECによって更に精製する。抗体を、Poros 50 HS(ThermoFisher)などの樹脂を使用するイオン交換クロマトグラフィーステップによって更に精製することができる。その場合、15カラム容量以上で20mMのNaOAc中pH5.0で0~500mMのNaCl勾配を使用して、抗体をカラムから溶出させる。精製された抗体は、pH7.4のPBSに緩衝液交換し、例えば、遠心フィルターユニット(Amicon Ultra 50K遠心フィルターユニットなど)を使用することによって、又は再生セルロース膜(Millipore)におけるタンジェンシャルフロー限外濾過によって濃縮し得る。
【0040】
したがって、抗体は、この様式で、又は当業者によって容易に決定される類似の様式で調製する。
【0041】
実施例2:抗体IIの組換え発現
抗体IIは、(配列番号17)の重鎖アミノ酸配列及び(配列番号19)の軽鎖アミノ酸配列を有する抗体である。
【0042】
ここでは、配列番号17及び配列番号19をコードするcDNA配列を発現プラスミド中で使用することを除いて、配列番号17及び配列番号19を、実施例1について説明したように本質的に生成する。
【0043】
インビトロ機能
実施例3:SPRを介したヒト及びマウスINSL5への抗体結合
実施例1及び2の抗体のヒト及びマウスINSL5へのインビトロ結合は、25℃及び37℃での表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定する。特に、実施例1及び2の抗体の親和性を、以下の表1及び2に要約する。
【0044】
実施例1及び2の抗体のヒト及びマウスINSL5への結合は、Biacore8K(GE Healthcare)装置で実施する。1xHBS-EP+(10mM HEPES pH7.6、150mM NaCl、3mM EDTA、0.05%ポリソルベート20)(Teknova)を泳動用緩衝液として使用する。シリーズSセンサーチップCM5(GE Healthcare)へのプロテインA(Calbiochem番号539202-5mg)の固定化を、メーカーの説明書(Amine Coupling Kit BR-1000-50)に従って、25℃で行う。簡単に説明すると、センサーチップ表面(フローセル1及び2)上のカルボキシル基は、75mg/mLのEDC及び11.5mg/mLのNHSを含む混合液70μLを10μL/分で注入することによって活性化する。50μg/mLのプロテインAの溶液は、10μlの5mg/mLストック溶液を1mLの10mM酢酸ナトリウムpH4.5中に希釈することによって調製する。この溶液70μLを、活性化されたチップ表面(フローセル1及び2、チャネル1~8)上に10μL/分で7分間注入する。次いで、表面(フローセル1及び2)上の過剰量の反応基は、70μLの1M ETA HCl-NaOH pH8.5を10μL/分で注入することによって非アクティブ化させる。チップは、10mMのグリシン-HCl pH1.5を30μL/分での15秒間の注入6回によって調整する。
【0045】
ヒトINSL5(Phoenix Pharmaceuticalsカタログ番号035-70A)及びマウスINSL5(Phoenix Pharmaceuticals 035-40)は、それぞれ、DMSOで0.5(99μM)又は1mg/mL(195μM)に再構成する。ペプチドの2倍希釈シリーズは、20、10、5、2.5、1.25、0.625、0.313、0.156、及び0nMの濃度で1xHBS-EP+緩衝液中で調製する。実施例1、2の抗体、又は陰性対照を、それらを1×HBS-EP+緩衝液中で1μg/mLに希釈することによって調製する。
【0046】
実験は、25℃及び37℃で実施し、1xHBS-EP+緩衝液を注入する5回のスタートアップサイクルで開始する。次いで、各サイクルにおいて、抗体は、10μL/分で20秒間、チャネル1~8のフローセル2上で捕捉させる。次に、180μLのそれぞれのINSL5ペプチド試料を、フローセル1及び2全体に60μL/分で180秒間個別に注入し、次いで、60μL/分の流速で1200秒間解離させる。表面を、10mMグリシン-HCl pH1.5(BR-1003-54)の15秒パルスを30μL/分で2回注入することによって再生する。60μL/分の流速で60秒間の安定化期間後に、次のサイクルを開始する。
【0047】
得られたセンサーグラムは、Biacore 8K Evaluation Softwareを使用して解析する。1:1結合カイネティクスモデルフィッティングを使用して、結合カイネティクスパラメーター結合速度(ka)、結合カイネティクスパラメーター解離速度(kd)、及び平衡解離定数(K)を算出する。
【表1】
【0048】
抗体Iの場合、25℃でのKは、ヒトINSL5に対して41pM、マウスINSL5に対して4.6pMと決定する。抗体IIの場合、25℃でのKは、ヒトINSL5に対して21pM、マウスINSL5に対して6.1pMとして決定する。
【表2】
【0049】
抗体Iの場合、37℃でのKは、ヒトINSL5に対して110pM、マウスINSL5に対して6.7pMとして決定する。抗体IIの場合、37℃でのKは、ヒトINSL5に対して81pM、マウスINSL5に対して14pMと決定する。
【0050】
実施例4:INSL5活性のインビトロ中和は、cAMP産生を増加させる
抗体I及び抗体IIによるヒト及びマウスのINSL5活性のインビトロ中和は、cAMP動的2アッセイ(Cisbioカタログ番号62AM4PEJ)で決定する。このキットは、細胞内のcAMP蓄積を測定するHTRF技術に基づいている。一定濃度のフォルスコリンで刺激された細胞は、cAMP産生を増加させる。一定濃度のヒト及び/又はマウスINSL5を細胞に導入することにより、RXFP4受容体に結合することによってcAMP産生を阻害する。抗体I及び抗体IIは、RXFP4受容体に結合する前に、ヒト及びマウスINSL5に結合してその影響を中和する。抗体I及び抗体IIの抗体連続希釈データから導き出されたEC50値は、以下の表3に要約されており、抗体の濃度が増加するにつれてcAMP産生が増加することを示している。細胞プレートの調製:マウスRXFP4 CHO-K1細胞(DiscoveRx Part番号93-0929E2)及びヒトCHO RXFP4細胞(DiscoveRx 93-0701E2)を、37℃のウォーターバス内で急速に解凍し、(37℃のウォーターバス内で)予熱されたCell Plating Reagent2(DiscoveRx93-0563Rシリーズ)500μLで再構成する。細胞を上下にピペッティングすることによって混合し、次いで、(37℃のウォーターバス内で)予熱された11.5mLのCell Plating Reagent2に加える。細胞を、白色全面積プレート(Corning-Costar3917)にウェル当たり100μLで8,000細胞/ウェルで播種する。プレートを37℃で48時間インキュベートし、細胞をプレートに付着させる。48時間後に、増殖培地を吸引し、40μLのCell Assay Buffer[HBSS(Hyclone SH30028.03)、20mMのHEPES(Hyclone SH30237.01)、1%のFBS(Gibco 10438-026)、1mMのIBMX(Sigma15879、DMSO中に希釈)]を各ウェルに加える。17μMのフォルスコリン(Sigma Aldrich-CAS番号F3917(DMSO中10mM))を含有する30μLの化合物アッセイ緩衝液(HBSS+20mM HEPES+1%FBS)を各ウェル中に希釈する。
【0051】
試料(抗体-INSL5ペプチド混合物)の調製:ヒトINSL5ペプチド(Phoenix Pharmaceuticals、カタログ番号035-70)又はマウスINSL5ペプチド(Phoenix Pharmaceuticals、カタログ番号035-40)が、Cell Plating Reagent2中にそれぞれのIC80濃度で調製する。次いで、10μLのそれぞれのINSL5ペプチド(アッセイにおける最終濃度の16倍、すなわち、マウスINSL5について144nM及びヒトINSL5について1280nM)を、実施例1又は2の抗体10μLの連続希釈(160nMで開始)と混合する(最終的な抗体開始濃度は10nMである)。試料は、PCRプレート(Fisherbrandカタログ番号14230244)中で穏やかに振盪しながら室温で2時間インキュベートする。
【0052】
細胞アッセイの実施:10μLの抗体-INSL5ペプチド混合物を、アッセイプレート(細胞を含有する)中70μLの緩衝液混合物に加え、適度に振盪しながら室温で1時間インキュベートする。インキュベーション中に、cAMP検出試薬を調製する。500μLのcAMP-d2及びAnti-cAMP-Cryptateストック試薬溶液(cAMP動的2 100,000テストキットカタログ番号62AM4PEJ)を、各々9.5mLのConjugate/Lysis Buffer中で希釈する。1時間のインキュベーション後に、40μLのcAMP-d2検出試薬を、細胞アッセイプレートの各ウェルに加える。次いで、直ちに、Anti-cAMP-Cryptate検出試薬40μLを、細胞アッセイプレートに加える。プレートを、アルミニウムシールを用いて室温で1時間インキュベートする。次いで、プレートをPerkin Elmer Envisionで読み取り、機械の665nm/620nm比から結果を算出する。
【0053】
データの統計分析:データを、Perkin Elmer EnvisionリーダーからGraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア(GraphPad Software,LLC、La Jolla,CA)にインポートする。EC50値は、可変勾配-4パラメータ用量応答曲線解析によって生成する。SEMは、独立した実験間のEC50標準偏差(n)を独立した実験の平方根で除算することによって算出する。
【表3】
【0054】
抗体Iの場合、EC50は、ヒトINSL5に対して4.35nM及びマウスINSL5に対して0.84nMとして決定する。抗体IIの場合、EC50は、ヒトINSL5に対して1.27nM及びマウスINSL5に対して0.45pMとして決定する。
【0055】
実施例5:TDFによる熱安定性
抗体I及び抗体IIの熱安定性は、熱変性蛍光定量法(TDF)によって決定する。特に、実施例1及び2の抗体のFc及びFabドメインの融解温度(T)について、表4に報告する。
【0056】
熱蛍光アッセイを、SYPRO Orange色素(5000×濃縮物、Invitrogen S6651)を使用して、LightCycler 480II PCR機械で行う。励起フィルター及び発光フィルターを、それぞれ465nm及び580nmに設定し、温度を、25℃から95℃まで1℃/秒の速度で連続的に上昇させる。最終アッセイ条件は、PBS pH7.4(Corning 21-040-CV)中に0.2mg/mLの実施例1又は2及び10×SYPRO Orange色素を含む。
【0057】
実験は、実施例1又は2を0.4mg/mLに希釈し、PBS pH7.4中の20×SYPRO Orange色素と等量で混合して、試料(BE05746-005)当たり30μLの最終容量に到達させることによって行う。混合物は、384マルチウェルアッセイプレート(Roche04-729-749-001)中に三つ組の6μLのアリコートとして分注する。実施例1及び2のT値は、Thermal Shift Analysis Software(Roche)を使用して、一次微分法によって決定される。この解析ソフトウェアは、生の蛍光データを平滑化し、Tは、温度に対する蛍光の上昇勾配が最大になる温度(変曲点)を決定することによって収集する。平均T値及びSDは、各三つ組のセットについて算出する。
【表4】
【0058】
抗体Iの場合、Tmは、Fcドメインについて76.1℃及びFabドメインについて87.9℃として決定する。抗体IIの場合、Tm値は、Fcドメインについて76.4℃及びFabドメインについて82.5℃として決定する。
【0059】
実施例6:INSL5検出アッセイ
抗体I及び抗体IIは、サンドイッチELISAによるヒト及びマウスINSL5濃度を検出及び定量化するために使用する。特に、このアッセイの検出範囲は、以下の表5に要約されているように、検出下限についての30pg/mLと検出上限についての100,000pg/mLとの間で近似する。
【0060】
MSD SulfoTag(NHS Ester150nmole、カタログ番号R91AN-1)による抗体Iの標識化:MSD Sulfo-Tag粉末を、3nmol/μμLの濃度について、元のバイアル内に50μLの氷冷のMilli Q水で再懸濁させる。標識チャレンジ比12を使用して、2.7μLの試薬を、1mg/mLの抗体100μLに加える。溶液をよく混合し、混合物を、室温で2時間振盪させながら遮光する。インキュベーションの終わりに向かって、Zeba Spin Desaltingカラム(Thermo Scientificカタログ番号87766)を準備する。全ての樹脂が均一な混合物になるまで、カラムを反転させる。カラムの底のバルブを開け、1500×gでの1分間の遠心分離によって液体を排出する。カラムを、1分間の1500×gスピンを使用して、500μlの1×PBSで3回洗浄する。2時間のインキュベーション後に、抗体標識反応溶液を、カラム樹脂中に滴下する。カラムを、エッペンドルフチューブに入れて、1500xgで2分間スピンさせた後に、標識抗体を収集する。標識抗体は、暗所において4℃で保存する。
【0061】
サンドイッチELISAアッセイの場合、1日目に、抗体Iを1xPBS(Gibco Life Technologiesカタログ番号14190-144)中で4μg/mLに希釈する。この溶液35μL/ウェルを、MesoScale Discovery(MSD)プレート(カタログ番号L15XA-3)に適用する。プレートは、ウェルを均一にコーティングするようにタップする。プレートを密封し、室温で一晩インキュベートする。2日目に、プレートを、0.05%のTween20を有する1×PBS(20×PBS Tween20 Thermo Scientificカタログ番号28352)で、自動プレートウォッシャー(Biotek ELx405)を使用して3回洗浄する。プレートを、ペーパータオル上でタップして乾かす。100μLのSuperblock緩衝液(Superblock(T20)Thermo Scientificカタログ番号37536)を各ウェルに加え、室温で2時間適度に振盪させる。上記のように、プレートを、3回洗浄し、タップして乾かす。25μLのSuperblock緩衝液を、プレートの全てのウェルに加える。次いで、500ng/mLのヒトINSL5(DMSO中に作製されたPhoenix Pharmaceuticalsカタログ番号035-70)又はマウスINSL5(DMSO中に作製されたPhoenix Pharmaceuticalsカタログ番号035-40)のどちらかで開始する25μLの4倍連続希釈物(Superblock(T20)中に作製された)を、プレートにおけるそれぞれのウェルに加える。プレートを、密封し、室温で2時間適度に振盪する。上記のように、プレートを、3回洗浄し、タップして乾かす。実施例2のMSD Sulfotag標識抗体を、1×PBS/Tween 0.05%中の0.2×Superblock(T20)緩衝液中に1μg/mL(すなわち、約1000倍)に希釈する。この溶液25μLを、プレートの各ウェルに加え、室温で1時間インキュベートする。上記のように、プレートを、3回洗浄し、タップして乾かす。1XMSD読み取り緩衝液(MSD Read Buffer(4X)カタログ番号R92TC-2)150μLを各ウェルに加えて、MSD Sectorプレートリーダーで読み取る。シグナルは電気化学発光(Electrochemiluminscence)単位(ECLU)で測定する。
【0062】
データの統計分析:データを、Mesoscale Discovery SectorリーダーからMicrosoft Excel及びGraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア(GraphPad Software,LLC、La Jolla,CA)にインポートして、正確なINSL5検出のための近似直線範囲を決定する。検出範囲は、ヒト及びマウスINSL5の両方について30pg/mL~100,000pg/mLで近似する。
【表5】
【0063】
アミノ酸及びヌクレオチド配列
配列番号1:ヒトINSL5 A鎖
QDLQTLCCTDGCSMTDLSALC
配列番号2:ヒトINSL5 B鎖
KESVRLCGLEYIRTVIYICASSRW
配列番号3:マウスINSL5 A鎖
RDLQALCCREGCSMKELSTLC
配列番号4:マウスINSL5 B鎖
RQTVKLCGLDYVRTVIYICASSRW
配列番号5:抗体のHC
SVEESGGRLVTPGTPLTLTCTASGFSLSSYDMGWVRQTPGEGLEWVGTISAGGYTYYAHWAKGRFTISKSSTTVDLKMTSLTTEDTATYFCARERWNYDRSGGAGAGYFDLWGPGTLVTVSSGQPKAPSVFPLAPCCGDTPSSTVTLGCLVKGYLPEPVTVTWNSGTLTNGVRTFPSVRQSSGLYSLSSVVSVTSSSQPVTCNVAHPATNTKVDKTVAPSTCSKPTCPPPELLGGPSVFIFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQDDPEVQFTWYINNEQVRTARPPLREQQFNSTIRVVSTLPITHQDWLRGKEFKCKVHNKALPAPIEKTISKARGQPLEPKVYTMGPPREELSSRSVSLTCMINGFYPSDISVEWEKNGKAEDNYKTTPAVLDSDGSYFLYNKLSVPTSEWQRGDVFTCSVMHEALHNHYTQKSISRSPGK
配列番号6:抗体IのHC DNA
CAGTCGGTGGAGGAGTCCGGGGGTCGCCTGGTCACGCCTGGGACACCCCTGACACTCACCTGCACAGCCTCTGGATTCTCCCTCAGTAGCTACGACATGGGCTGGGTCCGCCAGACTCCAGGGGAGGGGCTGGAATGGGTCGGAACCATTAGTGCTGGTGGTTACACGTACTACGCGCACTGGGCGAAAGGCCGATTCACCATCTCCAAATCCTCGACCACGGTGGATCTGAAAATGACCAGTCTGACGACCGAGGACACGGCCACCTATTTCTGTGCCAGAGAAAGATGGAATTACGATAGGTCTGGTGGTGCTGGTGCTGGCTACTTTGACTTGTGGGGCCCAGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGGGCAACCTAAGGCTCCATCAGTCTTTCCCCTCGCACCTTGCTGTGGTGACACGCCCTCATCCACGGTAACACTGGGCTGTCTTGTCAAAGGATACCTTCCGGAGCCAGTCACAGTAACGTGGAACTCGGGAACATTGACAAACGGCGTAAGAACGTTTCCGTCGGTACGTCAAAGTTCAGGCCTCTACTCGCTCAGCTCCGTAGTATCGGTGACCTCATCCAGCCAGCCGGTGACTTGCAACGTGGCGCATCCCGCGACCAACACAAAAGTGGATAAGACCGTTGCACCCTCAACTTGCTCCAAGCCCACGTGTCCCCCACCAGAGCTGCTCGGTGGGCCCTCGGTCTTTATCTTCCCTCCGAAACCCAAAGACACATTGATGATCTCTCGCACGCCGGAAGTCACGTGCGTGGTCGTGGACGTCAGCCAAGATGACCCGGAAGTGCAATTCACCTGGTATATCAATAACGAACAGGTCAGAACGGCTCGGCCTCCTTTGCGAGAACAACAGTTCAATTCCACTATCAGGGTTGTATCAACACTTCCCATCACACACCAAGATTGGCTTAGGGGAAAGGAGTTTAAGTGTAAAGTGCACAATAAGGCTTTGCCAGCGCCTATTGAGAAAACCATTTCCAAAGCCCGTGGGCAACCGCTTGAACCCAAAGTCTATACAATGGGGCCACCCAGAGAGGAACTGTCGAGCCGCTCCGTGTCACTGACTTGTATGATCAATGGGTTCTATCCGTCGGACATTTCGGTGGAATGGGAGAAGAATGGAAAAGCAGAGGATAACTACAAAACTACGCCAGCCGTGTTGGACTCTGACGGGTCATACTTTCTGTACAATAAGCTCTCTGTCCCCACGTCGGAATGGCAGAGGGGAGATGTGTTTACTTGCTCGGTGATGCATGAGGCGCTCCATAATCACTATACCCAGAAAAGCATCAGTCGAAGCCCTGGGAAA
配列番号7:抗体IのLC
ADVVMTQTASPVSAAVGGTVTINCQASQSITSSYLSWYQQKPGQPPKLLIYPAANLASGVPSRFKGSGSGTQFTLTISGVQCDDAATYYCLYGYFSSSIDFAFGGGTEVVVRGDPVAPTVLIFPPAADQVATGTVTIVCVANKYFPDVTVTWEVDGTTQTTGIENSKTPQNSADCTYNLSSTLTLTSTQYNSHKEYTCKVTQGTTSVVQSFNRGDC
配列番号8:抗体IのLC DNA
GCCGATGTCGTGATGACCCAGACTGCATCCCCCGTGTCTGCAGCTGTGGGAGGCACAGTCACCATCAATTGCCAGGCCAGTCAGAGTATTACTAGTAGCTACTTATCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGCAGCCTCCCAAGCTCCTGATCTATCCTGCAGCCAATCTGGCATCTGGAGTCCCATCGCGGTTCAAAGGCAGTGGATCTGGGACACAGTTCACTCTCACCATCAGCGGCGTGCAGTGTGACGATGCTGCCACTTACTACTGTCTATACGGTTATTTTAGTTCTAGTATTGATTTTGCTTTCGGCGGAGGGACCGAGGTGGTGGTCAGAGGTGATCCAGTTGCACCTACTGTCCTCATCTTCCCACCAGCTGCTGATCAAGTCGCAACAGGTACTGTGACGATCGTGTGTGTCGCGAACAAATACTTTCCCGACGTGACCGTGACGTGGGAAGTCGACGGAACAACCCAGACGACCGGGATCGAAAACTCAAAGACCCCGCAAAACTCGGCCGATTGCACATACAATTTGTCCTCTACGCTTACACTCACGTCGACGCAGTACAATAGTCACAAGGAGTATACATGCAAAGTTACTCAAGGAACTACGAGCGTGGTCCAGTCATTCAATAGAGGGGATTGT
配列番号9:抗体IのVH
QSVEESGGRLVTPGTPLTLTCTASGFSLSSYDMGWVRQTPGEGLEWVGTISAGGYTYYAHWAKGRFTISKSSTTVDLKMTSLTTEDTATYFCARERWNYDRSGGAGAGYFDLWGPGTLVTVSS
配列番号10:抗体IのHCDR1
TASGFSLSSYDMG
配列番号11:抗体IのHCDR2
TISAGGYTY
配列番号12:抗体IのHCDR3
ARERWNYDRSGGAGAGYFDL
配列番号13:抗体IのVL
ADVVMTQTASPVSAAVGGTVTINCQASQSITSSYLSWYQQKPGQPPKLLIYPAANLASGVPSRFKGSGSGTQFTLTISGVQCDDAATYYCLYGYFSSSIDFAFGGGTEVVVR
配列番号14:抗体IのLCDR1
QASQSITSSYLS
配列番号15:抗体IのLCDR2
YPAANLAS
配列番号16:抗体IのLCDR3
LYGYFSSSIDFA
配列番号17:抗体IIのHC
QSVEESGGGLVTPGGSLTLTCTVSGIDLTTYAMGWVRQAPGEGLEWIGIIGGGGRTYYAAWAKGRFTISKTSTTVDLRITSPATEDTATYFCVRGGDFFDLWGPGTLVTVSSGQPKAPSVFPLAPCCGDTPSSTVTLGCLVKGYLPEPVTVTWNSGTLTNGVRTFPSVRQSSGLYSLSSVVSVTSSSQPVTCNVAHPATNTKVDKTVAPSTCSKPTCPPPELLGGPSVFIFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQDDPEVQFTWYINNEQVRTARPPLREQQFNSTIRVVSTLPITHQDWLRGKEFKCKVHNKALPAPIEKTISKARGQPLEPKVYTMGPPREELSSRSVSLTCMINGFYPSDISVEWEKNGKAEDNYKTTPAVLDSDGSYFLYNKLSVPTSEWQRGDVFTCSVMHEALHNHYTQKSISRSPGK
配列番号18:抗体IIのHC DNA
CAGTCGGTGGAGGAGTCCGGAGGAGGCCTGGTAACGCCTGGAGGATCCCTGACACTCACCTGCACAGTCTCTGGAATCGACCTCACTACCTATGCAATGGGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGGAGGGGCTGGAATGGATCGGAATTATTGGTGGTGGTGGTCGAACATACTACGCGGCCTGGGCGAAAGGCCGCTTCACCATCTCCAAAACCTCGACCACGGTGGATCTGAGAATCACCAGTCCGGCAACCGAGGACACGGCCACCTATTTCTGTGTCAGAGGAGGAGACTTCTTTGACTTGTGGGGCCCAGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGGGCAACCTAAGGCTCCATCAGTCTTTCCCCTCGCACCTTGCTGTGGTGACACGCCCTCATCCACGGTAACACTGGGCTGTCTTGTCAAAGGATACCTTCCGGAGCCAGTCACAGTAACGTGGAACTCGGGAACATTGACAAACGGCGTAAGAACGTTTCCGTCGGTACGTCAAAGTTCAGGCCTCTACTCGCTCAGCTCCGTAGTATCGGTGACCTCATCCAGCCAGCCGGTGACTTGCAACGTGGCGCATCCCGCGACCAACACAAAAGTGGATAAGACCGTTGCACCCTCAACTTGCTCCAAGCCCACGTGTCCCCCACCAGAGCTGCTCGGTGGGCCCTCGGTCTTTATCTTCCCTCCGAAACCCAAAGACACATTGATGATCTCTCGCACGCCGGAAGTCACGTGCGTGGTCGTGGACGTCAGCCAAGATGACCCGGAAGTGCAATTCACCTGGTATATCAATAACGAACAGGTCAGAACGGCTCGGCCTCCTTTGCGAGAACAACAGTTCAATTCCACTATCAGGGTTGTATCAACACTTCCCATCACACACCAAGATTGGCTTAGGGGAAAGGAGTTTAAGTGTAAAGTGCACAATAAGGCTTTGCCAGCGCCTATTGAGAAAACCATTTCCAAAGCCCGTGGGCAACCGCTTGAACCCAAAGTCTATACAATGGGGCCACCCAGAGAGGAACTGTCGAGCCGCTCCGTGTCACTGACTTGTATGATCAATGGGTTCTATCCGTCGGACATTTCGGTGGAATGGGAGAAGAATGGAAAAGCAGAGGATAACTACAAAACTACGCCAGCCGTGTTGGACTCTGACGGGTCATACTTTCTGTACAATAAGCTCTCTGTCCCCACGTCGGAATGGCAGAGGGGAGATGTGTTTACTTGCTCGGTGATGCATGAGGCGCTCCATAATCACTATACCCAGAAAAGCATCAGTCGAAGCCCTGGGAAA
配列番号19:抗体IIのLC
AQVLTQTPASVSAAVGGTVTIKCQASEDISKYLSWYQQKPGQRPKLLIYYVSNLEFGVPSRFKGSGSGTEYTLTISDLECDDAATYYCHQGYTGVNVENVFGGGTEVVVRGDPVAPTVLIFPPAADQVATGTVTIVCVANKYFPDVTVTWEVDGTTQTTGIENSKTPQNSADCTYNLSSTLTLTSTQYNSHKEYTCKVTQGTTSVVQSFNRGDC
配列番号20:抗体IIのLC DNA
GCTCAAGTGCTGACCCAGACTCCAGCCTCCGTGTCTGCAGCTGTGGGAGGCACAGTCACCATCAAGTGCCAGGCCAGTGAGGATATTAGCAAGTACTTATCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGCAGCGCCCCAAACTCCTGATCTATTATGTATCCAATCTGGAATTTGGGGTCCCATCGCGGTTCAAAGGCAGTGGATCTGGGACAGAGTACACTCTCACCATCAGCGACCTGGAGTGTGACGATGCTGCCACTTACTACTGTCACCAGGGTTATACCGGTGTTAATGTTGAAAATGTTTTCGGCGGAGGGACCGAGGTGGTGGTCAGAGGTGATCCAGTTGCACCTACTGTCCTCATCTTCCCACCAGCTGCTGATCAAGTCGCAACAGGTACTGTGACGATCGTGTGTGTCGCGAACAAATACTTTCCCGACGTGACCGTGACGTGGGAAGTCGACGGAACAACCCAGACGACCGGGATCGAAAACTCAAAGACCCCGCAAAACTCGGCCGATTGCACATACAATTTGTCCTCTACGCTTACACTCACGTCGACGCAGTACAATAGTCACAAGGAGTATACATGCAAAGTTACTCAAGGAACTACGAGCGTGGTCCAGTCATTCAATAGAGGGGATTGT
配列番号21:抗体IIのVH
QSVEESGGGLVTPGGSLTLTCTVSGIDLTTYAMGWVRQAPGEGLEWIGIIGGGGRTYYAAWAKGRFTISKTSTTVDLRITSPATEDTATYFCVRGGDFFDLWGPGTLVTVSS
配列番号22:抗体IIのHCDR1
TVSGIDLTTYAMG
配列番号23:抗体IIのHCDR2
IIGGGGRTY
配列番号24:抗体IIのHCDR3
VRGGDFFDL
配列番号25:抗体IIのVL
AQVLTQTPASVSAAVGGTVTIKCQASEDISKYLSWYQQKPGQRPKLLIYYVSNLEFGVPSRFKGSGSGTEYTLTISDLECDDAATYYCHQGYTGVNVENVFGGGTEVVVR
配列番号26:抗体IIのLCDR1
QASEDISKYLS
配列番号27:抗体IIのLCDR2
YYVSNLEF
配列番号28:抗体IIのLCDR3
HQGYTGVNVENV
配列番号29:シグナルペプチド
METDTLLLWVLLLWVPGSTG

【配列表】
0007595746000001.app