(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】バッテリーモジュール、バッテリーパック及びそれを含む自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20241129BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20241129BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20241129BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/296
H01M50/249
(21)【出願番号】P 2023524437
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 KR2022013462
(87)【国際公開番号】W WO2023038435
(87)【国際公開日】2023-03-16
【審査請求日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0119358
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】サン-ウン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン-フン・イ
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-134090(JP,A)
【文献】特表2016-511512(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0091380(US,A1)
【文献】特開2016-051564(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113258182(CN,A)
【文献】特表2018-530877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20 - 50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルアセンブリーと、
前記セルアセンブリーを内部に収容するモジュールケースと、
前記モジュールケースに備えられ、前記セルアセンブリーから排出された火炎を遮断するように構成されたカバーを備えたコネクターと、を含
み、
前記カバーは、
前記モジュールケースの外面に結合する第1部分と、
前記モジュールケースの内面に結合する第2部分と、を含み、
前記第1部分と前記第2部分との間には、前記モジュールケースの一部が配置され、
前記第2部分の外面に耐熱コーティングが塗布されていることを特徴とする、バッテリーモジュール。
【請求項2】
セルアセンブリーと、
前記セルアセンブリーを内部に収容するモジュールケースと、
前記モジュールケースに備えられ、前記セルアセンブリーから排出された火炎を遮断するように構成されたカバーを備えたコネクターと、を含み、
前記カバーは、
前記モジュールケースの外面に結合する第1部分と、
前記モジュールケースの内面に結合する第2部分と、を含み、
前記第1部分と前記第2部分との間には、前記モジュールケースの一部が配置され、
前記第2部分は、
前記第1部分よりも耐熱性が大きい素材を含むことを特徴とする
、バッテリーモジュール。
【請求項3】
セルアセンブリーと、
前記セルアセンブリーを内部に収容するモジュールケースと、
前記モジュールケースに備えられ、前記セルアセンブリーから排出された火炎を遮断するように構成されたカバーを備えたコネクターと、を含み、
前記カバーは、
前記モジュールケースの外面に結合する第1部分と、
前記モジュールケースの内面に結合する第2部分と、を含み、
前記第1部分と前記第2部分との間には、前記モジュールケースの一部が配置され、
前記コネクターは、
前記第2部分において前記セルアセンブリーに対向する側面に備えられた熱遮断部材をさらに含むことを特徴とする
、バッテリーモジュール。
【請求項4】
前記第2部分は、
前記セルアセンブリーに対向する側面から突出して形成され、前記熱遮断部材の周縁を囲むように構成された突出部を含むことを特徴とする、請求項
3に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記コネクターは、
前記突出部から前記セルアセンブリー側へ折り曲げられて形成された折曲部をさらに含むことを特徴とする、請求項
4に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
セルアセンブリーと、
前記セルアセンブリーを内部に収容するモジュールケースと、
前記モジュールケースに備えられ、前記セルアセンブリーから排出された火炎を遮断するように構成されたカバーを備えたコネクターと、を含み、
前記カバーは、
前記モジュールケースの外面に結合する第1部分と、
前記モジュールケースの内面に結合する第2部分と、を含み、
前記第1部分と前記第2部分との間には、前記モジュールケースの一部が配置され、
前記コネクターは、
前記第1部分と前記モジュールケースとの間の隙間を密閉するように構成されたシーリング部をさらに含み、
前記シーリング部は、
前記第2部分よりも耐熱性が大きい素材を含むことを特徴とする
、バッテリーモジュール。
【請求項7】
前記シーリング部は、
前記モジュールケースに対向する前記第1部分の周縁を囲むように構成されたことを特徴とする、請求項
6に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記コネクターは、
前記モジュールケースを貫通して前記第1部分と前記第2部分との間を結合するように構成された結合部材をさらに含むことを特徴とする、請求項
1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記コネクターが備えられたモジュールケースの側面が下方へ傾斜するように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
請求項1から
9のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを少なくとも一つ以上含むことを特徴とする、バッテリーパック。
【請求項11】
請求項
10に記載のバッテリーパックを少なくとも一つ以上含むことを特徴とする、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモジュール、バッテリーパック及びそれを含む自動車に関し、より詳しくは、熱的イベントが発生した場合にも構造的安定性が確保可能に構成されたバッテリーモジュール、バッテリーパック及びそれを含む自動車に関する。
【0002】
本出願は、2021年9月7日出願の韓国特許出願第10-2021-0119358号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、ノートブックPC、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急増し、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれ、反復的な充放電の可能な高性能バッテリーについての研究が活発に進行しつつある。
【0004】
現在、商用化したバッテリーとしては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがある。このうち、リチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリー効果がほとんど起こらず、充放電が自由で、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は、主にリチウム系酸化物と炭素材を各々正極活物質と負極活物質として用いる。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質が各々塗布された正極板と負極板が、セパレータを挟んで配置された電極組立体と、電極組立体を電解液と共に封止して収納する外装材と、を備える。
【0006】
なお、リチウム二次電池は、電池ケースの形状によって、電極組立体が金属缶に内蔵されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されているパウチ型二次電池に分けられ得る。そして、缶型二次電池は、さらに金属缶の形態によって円筒型電池と角形電池に分けられ得る。
【0007】
ここで、パウチ型二次電池のパウチは、下部シートとこれを覆う上部シートとに大きく分けられ得る。この際、パウチには、正極、負極及びセパレータが積層されて巻き取られて形成された電極組立体が収納される。そして、前記電極組立体を収納した後、上部シートと下部シートとの周縁を熱溶着などによって封止する。また、各電極から引き出された電極タブが電極リードに結合し、前記電極リードには封止部と接触した部分に絶縁フィルムが付加され得る。
【0008】
このように、パウチ型二次電池は、多様な形態への構成が容易である。また、パウチ型二次電池は、より小さい体積と質量を以って同じ容量の二次電池を具現できるという長所がある。
【0009】
前記リチウム二次電池は、高電圧及び高電流を提供するように複数個のバッテリーセルを、そのもので、またはカートリッジなどに装着した状態で重畳または積層して密集構造にした後、これを電気的に接続させてバッテリーモジュールやバッテリーパックとして用いられている。
【0010】
このようなバッテリーパックの構成において、代表的に重要な問題の一つは、安全性が挙げられる。特に、バッテリーパックに含まれた複数のバッテリーモジュールのうちいずれか一つのバッテリーモジュールで熱的イベントが発生した場合、このようなイベントの他のバッテリーモジュールへの伝播(propagation)が抑制される必要がある。もし、バッテリーモジュール間の熱的伝播がまともに抑制されなければ、これはバッテリーパックに含まれた他のバッテリーモジュールの熱的イベントにつながり、バッテリーパックの発火や爆発など、より大きい問題を起こし得る。さらに、バッテリーパックで発生した発火や爆発は、人命及び財産上の被害を与え得る。そこで、バッテリーパックの場合、前述した熱的イベントを適切に制御可能な構成が求められる。
【0011】
特に、バッテリーモジュールには通常、バッテリーモジュールを構成する各々のバッテリーセルの電圧及びセルアセンブリーの温度などの情報を用いてバッテリーモジュールの充放電を制御するBMS(Battery Management System)のような制御装置が接続され得る。このような制御装置を接続するためには、バッテリーモジュールを構成する各々のバッテリーセルと電気的に接続され、また、セルアセンブリーの温度測定のための温度センサーと電気的に接続されるコネクターの設置が必要である。
【0012】
一方、従来のバッテリーモジュールの場合、熱的イベント発生時、前記コネクターをモジュールケースに結合する結合部から火炎が露出し、隣接するバッテリーモジュール間の熱的伝播が発生するという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、熱的イベントが発生した場合にも、構造的安定性が確保可能に構成されたバッテリーモジュール、バッテリーパック及びそれを含む自動車を提供することを目的とする。
【0014】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は、前述の課題に制限されず、言及していないさらに他の課題は、下記する発明の説明から当業者にとって明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一面によるバッテリーモジュールは、セルアセンブリーと、前記セルアセンブリーを内部に収容するモジュールケースと、前記モジュールケースに備えられ、前記セルアセンブリーから排出された火炎を遮断するように構成されたカバーを備えたコネクターと、を含む。
【0016】
望ましくは、前記カバーは、前記モジュールケースの外面に結合する第1部分と、前記モジュールケースの内面に結合する第2部分と、を含み、前記第1部分と前記第2部分との間には、前記モジュールケースの一部が配置され得る。
【0017】
望ましくは、前記第2部分は、前記第1部分よりも耐熱性が大きい素材を含み得る。
【0018】
望ましくは、前記コネクターは、前記第2部分において前記セルアセンブリーに対向する側面に備えられた熱遮断部材をさらに含み得る。
【0019】
望ましくは、前記第2部分は、前記セルアセンブリーに対向する側面から突出して形成され、前記熱遮断部材の周縁を囲むように構成された突出部を含み得る。
【0020】
望ましくは、前記コネクターは、前記突出部から前記セルアセンブリー側へ折り曲げられて形成された折曲部をさらに含み得る。
【0021】
望ましくは、前記コネクターは、前記第1部分と前記モジュールケースとの間の隙間を密閉するように構成されたシーリング部をさらに含み、前記シーリング部は、前記第2部分よりも耐熱性が大きい素材を含み得る。
【0022】
望ましくは、前記シーリング部は、前記モジュールケースに対向する前記第1部分の周縁を囲むように構成され得る。
【0023】
望ましくは、前記コネクターは、前記モジュールケースを貫通して前記第1部分と前記第2部分との間を結合するように構成された結合部材をさらに含み得る。
【0024】
望ましくは、前記コネクターが備えられたモジュールケースの側面は、下方へ傾斜するように構成され得る。
【0025】
なお、本発明の他面によるバッテリーパックは、前述したような本発明の一面によるバッテリーモジュールを少なくとも一つ以上含む。
【0026】
また、本発明のさらに他面による自動車は、前述したような本発明の一面によるバッテリーパックを少なくとも一つ以上含む。
【発明の効果】
【0027】
本発明の実施例によれば、コネクターのカバーは、耐熱性及び剛性が大きい材質を含み得る。これによって、一つのバッテリーモジュールで発生した火炎がモジュールケースの外部へ排出されることを最小化できる。これによって、隣接するバッテリーモジュール間の同時多発的な発火を抑制することができる。
【0028】
また、本発明の実施例によれば、セルアセンブリーから排出された火炎の遮断がモジュールケースの内側で最大限に行われることが可能である。
【0029】
また、本発明の実施例によれば、複数のバッテリーモジュール間の火炎の転移を最小化することで、複数のバッテリーモジュール間の同時多発的な発火を防止することができる。
【0030】
その他にも本発明の多様な実施例によって、他の追加的な効果が達成され得る。このような本発明の多様な効果については、各実施例で詳細に説明し、当業者が容易に理解可能な効果についてはその説明を省略する。
【0031】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施例によるバッテリーモジュールを示した図である。
【
図2】
図1のバッテリーモジュールに備えられたコネクターを示した図である。
【
図3】
図1のバッテリーモジュールに備えられたコネクターを示した図である。
【
図5】
図1のバッテリーモジュールの熱暴走時における状態を示した図である。
【
図6】
図1のバッテリーモジュールを含むバッテリーパックを示した図である。
【
図7】本発明の他の実施例によるバッテリーモジュールを示した図である。
【
図8】本発明の他の実施例によるバッテリーモジュールを示した図である。
【
図9】本発明のさらに他の実施例によるバッテリーモジュールを示した図である。
【
図10】本発明のさらに他の実施例によるバッテリーモジュールを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されねばならない。
【0034】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0035】
図1は、本発明の一実施例によるバッテリーモジュール10を示した図であり、
図2及び
図3は、
図1のバッテリーモジュール10に備えられたコネクター300を示した図であり、
図4は、
図1のA-A’方向による断面図である(詳しくは、
図4は、
図1のバッテリーモジュール10をA-A’線に沿ってXY平面に対して断面処理して示した図である。)。
【0036】
本発明の実施例において、図示されたX軸方向は、後述するバッテリーモジュール10の前後方向、Y軸方向は、X軸方向と水平面(XY平面)上に垂直なバッテリーモジュール10の左右方向、Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向のいずれに対しても垂直な上下方向を意味し得る。
【0037】
図1~
図4を参照すると、本発明の一実施例によるバッテリーモジュール10は、セルアセンブリー100、モジュールケース200及びコネクター300を含み得る。
【0038】
前記セルアセンブリー100は、少なくとも一つのバッテリーセルを含み得る。ここで、バッテリーセルは、二次電池を意味し得る。バッテリーセルは、パウチ型電池セル、円筒型電池セルまたは角形電池セルとして設けられ得る。一例で、バッテリーセルは、パウチ型電池セルであり得る。
【0039】
前記モジュールケース200は、セルアセンブリー100を内部に収容し得る。このために、モジュールケース200には、セルアセンブリー100を内部に収容するための内部収容空間が設けられ得る。このようなモジュールケース200は、耐熱性及び剛性が大きい材質を含み得る。
【0040】
前記コネクター300は、モジュールケース200に備えられ得る。また、コネクター300は、セルアセンブリー100から排出された火炎を遮断するように構成されたカバー310を含み得る。コネクター300は、セルアセンブリー100の電圧及び温度などの情報を用いてバッテリーモジュール10の充放電を制御するBMS(Battery Management System、図示せず)のような制御装置と接続され得る。このために、コネクター300は、セルアセンブリー100と電気的に接続され、セルアセンブリー100の温度測定のための温度センサー(図示せず)と電気的に接続され得る。
【0041】
通常のバッテリーモジュールにおいては、特定のバッテリーモジュールで熱暴走現象のようなイベントが発生し得る。この場合、特定のバッテリーモジュールの内部で高温及び高圧のベンティングガスが発生することがあり、このようなベンティングガスが酸素と接触すると、バッテリーパックの内部または外部で火炎が発生し得る。
【0042】
そして、バッテリーモジュールで発生した火炎は、特定のバッテリーモジュールと隣接する他のバッテリーモジュールへ転移される危険性が高く、これによって、複数のバッテリーモジュールの同時多発的な発火が発生し得る。一方、従来のバッテリーモジュールは、コネクターがモジュールケースに結合した部分で火炎が露出して、隣接するバッテリーモジュール間の熱伝播が発生するという問題点がある。
【0043】
本発明のバッテリーモジュール10は、前記カバー310を備えるコネクター300を備えることで、前述した問題点を解決することができる。コネクター300のカバー310は、耐熱性及び剛性が大きい材質を含むことで、一つのバッテリーモジュール10で発生した火炎がモジュールケース200の外部へ排出されることを最小化できる。これによって、隣接するバッテリーモジュール10間の同時多発的な発火が抑制可能になる。
【0044】
本発明のこのような実施構成によれば、複数のバッテリーモジュール10間の火炎の転移を最小化することで、複数のバッテリーモジュール10間の同時多発的な発火を防止することができる。
【0045】
以下、前述したコネクター300の詳細構造について説明する。
【0046】
図2~
図4をさらに参照すると、前記カバー310は、第1部分312及び第2部分314を含み得る。
【0047】
前記第1部分312は、モジュールケース200の外面に結合し得る。一例で、第1部分312は、液晶ポリマー(LCP:Liquid Crystal Polymer)素材を含み得る。このような液晶ポリマーの融点は、約280℃であり得る。
【0048】
前記第2部分314は、モジュールケース200の内面に結合し得る。一例として、第2部分314は、セラミックまたはアルミニウム素材を含み得る。また、第2部分314の外面には、耐熱コーティング(図示せず)が塗布され得る。このような耐熱コーティングの融点は、約1,300℃以上であり得る。
【0049】
また、第1部分312と第2部分314との間には、モジュールケース200の一部が配置され得る。即ち、コネクター300のカバー310は、モジュールケース200を挟んでモジュールケース200の外面と内面に結合した形態で構成され得る。
【0050】
本発明のこのような実施構成によれば、バッテリーモジュール10の熱暴走時、セルアセンブリー100から排出された火炎を一次的にモジュールケース200の内面に結合したカバー310の一部によって遮断し得る。そして、二次的に、モジュールケース200の内面によって火炎を遮断し得る。
【0051】
これによって、隣接するバッテリーモジュール10間の同時多発的な発火を効果的に抑制することができる。
【0052】
図5は、
図1のバッテリーモジュール10の熱暴走時の状態を示した図である。この際、
図5で後述する火炎は、参照符号「F」で表す。
【0053】
図2~
図5を参照すると、第2部分314は、第1部分312よりも耐熱性が大きい素材を含み得る。
【0054】
即ち、第2部分314は、比較的高温の環境でも損傷することなくその形態が維持され得る。これによって、第2部分314は、セルアセンブリー100から排出された火炎が接触しても溶融しにくい。また、第2部分314は、モジュールケース200を挟んで反対側に配置された第1部分312へ火炎が転移されることを最小化できる。
【0055】
これによって、セルアセンブリー100から排出された火炎の遮断がモジュールケース200の内側で最大限に行われることが可能である。
【0056】
図2~
図5を参照すると、前記コネクター300は、熱遮断部材320をさらに含み得る。
【0057】
前記熱遮断部材320は、第2部分314においてセルアセンブリー100に対向する側面に備えられ得る。一例として、熱遮断部材320は、シリコンセラミックポッティング(Silicon Ceramic Potting)素材を含み得る。即ち、熱遮断部材320は、火炎に対して耐性が大きい素材を含み得る。このような熱遮断部材320の融点は、約1,535℃以上であり得る。
【0058】
一方、このような熱遮断部材320は、セルアセンブリー100から排出された火炎と直接接触し得る。特に、熱遮断部材320は、セルアセンブリー100から排出された火炎が第1部分312へ転移されることを最小化し得る。
【0059】
このような実施構成によれば、モジュールケース200の内部で火炎の遮断が最大限に行われることが可能である。これによって、隣接するバッテリーモジュール10間の同時多発的な発火を最大限に抑制できる。
【0060】
図3~
図5を参照すると、第2部分314は、突出部314aを含み得る。
【0061】
前記突出部314aは、第2部分314においてセルアセンブリー100に対向する側面から突出して形成され得る。また、このような突出部314aは、熱遮断部材320の周縁を囲むように構成され得る。
【0062】
一方、セルアセンブリー100から排出された火炎は、突出部314aの内側面にぶつかり得る。これによって、突出部314aは、セルアセンブリー100から排出された火炎の流れを熱遮断部材320側へ誘導し得る。
【0063】
このような実施構成によれば、コネクター300のカバー310よりも耐熱性が優秀な熱遮断部材320側へ火炎の流れを誘導できるため、モジュールケース200の外部への火炎の排出をより確実に抑制可能である。
【0064】
図2~
図5をさらに参照すると、コネクター300は、シーリング部330をさらに含み得る。
【0065】
前記シーリング部330は、第1部分312とモジュールケース200との間の隙間を密閉するように構成され得る。一例で、シーリング部330は、カーボンシート (Carbon Sheet)素材を含み得る。このようなシーリング部330の融点は、約1,650℃以上であり得る。
【0066】
また、シーリング部330は、第1部分312の周縁に嵌められるように結合し得る。
【0067】
特に、シーリング部330は、第2部分314よりも耐熱性が大きい素材を含み得る。これによって、セルアセンブリー100から排出された火炎の外部への露出をより確実に防止可能である。
【0068】
また、このような実施構成によれば、高温の環境でも第1部分312とモジュールケース200との間の隙間からモジュールケース200の内部へ外気が流入することを防止できる。また、第1部分312とモジュールケース200との間の隙間からモジュールケース200の外部へ火炎が排出されることを防止できる。
【0069】
また、シーリング部330は、モジュールケース200に対向する第1部分312の周縁を囲むように構成され得る。具体的には、シーリング部330は、 第1部分312におけるモジュールケース200側の周縁を囲むように構成され、モジュールケース200の外面に面接触し得る。
【0070】
このような実施構成によれば、シーリング部330によるシーリング面積及び火炎遮断面積がより増加する。これによって、モジュールケース200の内部への外気流入及び隣接するバッテリーモジュール10間の同時多発的な発火をより確実に抑制することができる。
【0071】
一方、コネクター300は、少なくとも一つの端子340(terminal)をさらに含み得る。このような端子340は、カバー310に備えられ得る。一例で、端子340は銅(Cu)素材を含み得る。このような端子340の融点は、約1,083℃であり得る。
【0072】
また、端子340は、一端がカバー310の外側に露出し、前述した制御装置と接続され得る。また、端子340の他端は、セルアセンブリー100と電気的に接続され得る。一実施例で、端子340の他端は、別の連結ラインLによってセルアセンブリー100と電気的に接続され得る。但し、これに限定されず、端子340の他端がセルアセンブリー100に直接接続されることも可能である。
【0073】
図示していないが、モジュールケース200は、コネクター300が備えられた領域以外の部分にベントホールが備えられ得る。これによって、セルアセンブリー100の熱暴走時に発生したベンティングガスは、ベントホールからモジュールケース200の外部へ速かに排出される。
【0074】
図2~
図5をさらに参照すると、コネクター300は、結合部材Bをさらに含み得る。
【0075】
前記結合部材Bは、モジュールケース200を貫通して第1部分312と第2部分314との間を結合するように構成され得る。一例で、結合部材Bは、レンチボルトであり得るが、これに限定されない。
【0076】
このような実施構成によれば、第1部分312と第2部分314がモジュールケース200の外面と内面に各々密着し得る。これによって、火炎のモジュールケース200の外部への排出をさらに安定的に抑制できる。
【0077】
図6は、
図1のバッテリーモジュール10を含むバッテリーパック1を示した図である。
【0078】
図6を参照すると、本発明の一実施例によるバッテリーパック1は、前述したバッテリーモジュール10を少なくとも一つ以上含み得る。詳しくは図示していないが、バッテリーパック1は、バッテリーモジュール10の充放電を制御するための各種装置をさらに含み得る。一例で、バッテリーパック1は、BMS(Battery Management System)、電流センサー及びヒューズなどをさらに含み得る。
【0079】
前述したように、本発明のバッテリーモジュール10は、コネクター300とモジュールケース200との結合部分から火炎が外部に露出することが最小化できる。これによって、隣接するバッテリーモジュール10間の同時多発的な発火が抑制可能になる。
【0080】
まとめると、本発明の前述した実施構成によって、複数のバッテリーモジュール10が備えられたバッテリーパック1の発火要因を抑制して、バッテリーパック1の構造的な安定性を強化することができる。
【0081】
図7及び
図8は、本発明の他の実施例によるバッテリーモジュール12を示した図である。この際、
図8において、後述する火炎は、参照符号「F」で表す。
【0082】
本実施例によるバッテリーモジュール12は、前述した実施例の前記バッテリーモジュール10と類似であるので、前述した実施例と実質的に同一または類似な構成については重複する説明を省略し、以下、前述した実施例との相違点を中心にして説明する。
【0083】
図7及び
図8を参照すると、前記バッテリーモジュール12において、コネクター300は、折曲部Dをさらに含み得る。
【0084】
前記折曲部Dは、突出部314aからセルアセンブリー100側へ折り曲げられて形成され得る。具体的には、折曲部Dは、セルアセンブリー100側に向かって放射状で外側へ折り曲げられるように構成され得る。一例で、折曲部Dは、上下方向(Z軸方向)に一対で備えられ得るが、これに限定されない。
【0085】
このような折曲部Dは、セルアセンブリー100から排出された火炎の流れをさらに弱化させることができる。即ち、
図8に示したように、セルアセンブリー100から排出された火炎は、セルアセンブリー100と対向する折曲部Dの側面にぶつかり、熱遮断部材320側に向かい得る。この場合、モジュールケース200の外部への火炎の露出がより確実に遮断され得る。
【0086】
本実施例によるバッテリーモジュール12によれば、セルアセンブリー100から排出された火炎の流れを弱化させることができると共に、隣接するバッテリーモジュール12間の同時多発的な発火をさらに最小化することができる。
【0087】
図9及び
図10は、本発明のさらに他の実施例によるバッテリーモジュール14を示した図である。この際、
図10において、後述する火炎は、参照符号「F」表す。
【0088】
本実施例によるバッテリーモジュール14は、前述した実施例の前記バッテリーモジュール10と類似であるので、前述した実施例と実質的に同一または類似な構成については重複する説明を省略し、以下、前述した実施例との相違点を中心にして説明する。
【0089】
図9及び
図10を参照すると、前記バッテリーモジュール14において、コネクター300が備えられたモジュールケース200の側面は、下方へ傾斜するように構成され得る。
【0090】
これによって、コネクター300も、モジュールケース200に下方へ傾斜した形態で備えられ得る。
【0091】
即ち、本実施例によるバッテリーモジュール14によると、セルアセンブリー100から排出された火炎は、下方へ傾斜した形態で構成された第2カバー314と、熱遮断部材320などにぶつかるようになり、その流れが下方へ折り曲げられ得る。
【0092】
本実施例によるバッテリーモジュール14によれば、コネクター300の下方傾斜配置によって、セルアセンブリー100から排出された火炎の流れを弱化させることができるだけでなく、隣接するバッテリーモジュール14間の同時多発的な発火をさらに最小化することができる。
【0093】
一方、本発明によるバッテリーパック1は、電気自動車のような自動車に適用可能である。即ち、本発明による自動車は、本発明によるバッテリーパック1を少なくとも一つ以上含み得る。
【0094】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0095】
なお、本明細書において、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は相対的な位置を示し、説明の便宜のためのものであるだけで、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、当業者にとって自明である。
【符号の説明】
【0096】
1 バッテリーパック
10、12、14 バッテリーモジュール
100 セルアセンブリー
200 モジュールケース
300 コネクター
310 カバー
312 第1部分
314 第2部分
314a 突出部
320 熱遮断部材
330 シーリング部
340 端子