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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】バルブ
(51)【国際特許分類】
   B01F 25/46 20220101AFI20241129BHJP
   F16K 31/122 20060101ALI20241129BHJP
   B01F 25/452 20220101ALI20241129BHJP
   B01F 101/21 20220101ALN20241129BHJP
   B01F 101/22 20220101ALN20241129BHJP
   B01F 101/14 20220101ALN20241129BHJP
   B01F 101/07 20220101ALN20241129BHJP
【FI】
B01F25/46
F16K31/122
B01F25/452
B01F101:21
B01F101:22
B01F101:14
B01F101:07
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023526064
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 IB2022056990
(87)【国際公開番号】W WO2023021349
(87)【国際公開日】2023-02-23
【審査請求日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】102021004243.3
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515165030
【氏名又は名称】ジーイーエー メカニカル イクイプメント イタリア エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】GEA MECHANICAL EQUIPMENT ITALIA S.P.A..
【住所又は居所原語表記】Via Angelo Maria da Erba Edoari, 29,I-43123 Parma,Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【弁理士】
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】ヤルシャウ,ミヒャエル
【審査官】瀧澤 佳世
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第01483742(US,A)
【文献】特開2016-073899(JP,A)
【文献】特表2011-514237(JP,A)
【文献】特表平06-506023(JP,A)
【文献】国際公開第2021/224048(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 25/46
F16K 31/122
B01F 25/452
B01F 101/21
B01F 101/22
B01F 101/14
B01F 101/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(1)と、
流体入口(5)および流体出口(6)を有するバルブ本体(2)であって、前記ハウジング(1)内に配置された第1のバルブ要素(3)および第2のバルブ要素(4)を備えるバルブ本体(2)と、を備え、
前記第1のバルブ要素(3)と前記第2のバルブ要素(4)との間にギャップ(14)が形成されているバルブであって、
前記第1のバルブ要素(3)は、前記流体出口(6)に向かって少なくとも部分的に先細になる内面を有するスリーブ(3)として適合されており、
前記第2のバルブ要素(4)は、前記ギャップ(14)を形成するように前記スリーブ(3)の前記内面と同一の傾斜を有する、前記スリーブ(3)に取り付けられた錐体(4)として適合されており、
前記錐体(4)が、前記流体入口(5)に通じる、中央の軸方向に延在するチャネル(7)を有し、
前記スリーブ(3)と前記ハウジング(1)の内面との間に、前記流体出口(6)に通じる環状空間(8)が形成されており、
前記スリーブ(3)は、前記環状空間(8)に向かって貫通孔(10)を有し、前記錐体(4)は、前記流体入口(5)に向かって貫通開口部(9)を有し、
前記スリーブ(3)および前記錐体(4)は、互いに対して軸方向に調整可能であるバルブにおいて、
前記流体出口(6)が、前記錐体(4)内の前記チャネル(7)と別個に且つ同軸に設けられていることによって特徴付けられたバルブ。
【請求項2】
前記貫通開口部(9)および前記貫通孔(10)が、前記バルブ本体(2)の軸方向にずらして配置されている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記貫通開口部(9)および前記貫通孔(10)が半径方向に位置合わせされている、請求項1または2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記錐体(4)に対して前記スリーブ(3)を軸方向に調整するための力制御または経路制御調整要素(12)をさらに備える、請求項1または2に記載のバルブ。
【請求項5】
前記環状空間(8)が、横断チャネル(11)を介して前記流体出口(6)と流体開放方式で連通している、請求項1または2に記載のバルブ。
【請求項6】
互いに面する側の前記貫通開口部(9)および/または前記貫通孔(10)は、断面がより広い周方向溝(13)に開口している、請求項1または2に記載のバルブ。
【請求項7】
前記貫通開口部(9)および/または前記貫通孔(10)が各々、互いに等距離に配置されている、請求項1または2に記載のバルブ。
【請求項8】
前記流体入口(9)および前記流体出口(10)が同軸または互いに角度を成して延びている、請求項1または2に記載のバルブ。
【請求項9】
前記スリーブ(3)の前記内面の傾斜角度(α)がセルフロックの角度よりも大きい、請求項1または2に記載のバルブ。
【請求項10】
前記第1のバルブ要素(3)がモノリシック部品であり、前記第2のバルブ要素(4)がモノリシック部品である、請求項1または2に記載のバルブ。
【請求項11】
前記第1のバルブ要素(3)と前記第2のバルブ要素(4)との間に配置された少なくとも1つの第1の高圧ガスケット(17)をさらに備える、請求項1または2に記載のバルブ。
【請求項12】
前記第1のバルブ要素(3)の第1の端部、前記ハウジング(1)および前記第2のバルブ要素(4)の間に得られる空間に配置されたスペーサリング(19)をさらに備える、請求項1または2に記載のバルブ。
【請求項13】
請求項1に記載のバルブの均質化バルブ、油圧遮断バルブ、油圧減圧バルブまたは油圧絞りバルブとしての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載のバルブに関する。
【0002】
そのようなバルブは、例えば、乳化および混合プロセスで、特に多相流体の流量が多い場合に使用される。この場合、エマルションとディスパージョンは、高圧ポンプを介して通常約50~500バールの範囲のプロセス依存圧力になり、均質化バルブとして知られるバルブ内の狭いギャップから押し出される。
【0003】
膨張が起こると、乱流およびせん断により、分散相の望ましい粉砕が達成される。目標は、粒子サイズ分布をできるだけ小さくし、エネルギーの使用をできるだけ少なくして、粒子サイズをできるだけ小さくすることである。
【背景技術】
【0004】
ギャップの高さは、プロセス流体の体積流量に依存し、必要な特性を達成するためにできるだけ小さいままにする必要がある。このため、いわゆるマルチギャップバルブがより大きな体積流量用に使用されており、マルチギャップバルブでは、総流量は、複数のバルブディスクによって形成される高さの小さい単一のギャップで並列に分割される。このタイプのバルブは、例えばEP0034675に開示されているように、40年以上にわたって知られている。
【0005】
そのようなマルチギャップバルブは、とりわけ、製薬および化粧品産業並びに食品産業、例えば乳製品またはフルーツジュースの処理で使用される。
【0006】
この目的に適したバルブは、とりわけ、US5749650A、WO01/03818A1およびWO01/03819A1に開示されている。これらの構造では、複数の環状バルブディスクが積み重ねられ、積み重なった2つのバルブディスクの間にギャップが形成されるように構成される。
【0007】
バルブが機能している間、流体の体積流量は、流体入口からバルブディスクの中央に流れ、ギャップを通って半径方向に流れ、半径方向に流れる単一の体積流量に分割される。次に、これらは方向を変えて再び一緒になり、第2のバルブを介して背圧まで膨張する。
【0008】
しかしながら、既知のバルブは、その構造に関しても、それらの動作に関しても、かなりのデメリットを抱えている。
【0009】
バルブディスクは各々、硬くて耐摩耗性があり、錆びない材料で作られている必要があり、材料調達や加工に高いコストを要する。
【0010】
さらに、これらのバルブは多数の単一部品からなり、その製造および組み立ては相応の労力によってのみ可能であり、当然ながら故障の可能性が高くなる。
【0011】
また、例えばUS5749650Aから知られているバルブでは、バルブディスクをセンタリングするためにばね要素が設けられていることから、高いコストが発生する。このことは、半径方向に相応に大きな設置空間を必要とし、寸法的に最適化された空間形状の要件に反するバルブの全体サイズにつながる。
【0012】
さらに、バルブの洗浄能力は、ばねに必要な設置空間によって制限され、このことは、例えば食品業界では、部品を分解せずにいわゆるCIP洗浄(CIP=Cleaning In Place)が必要であるため、使用上大きなデメリットとなる。
【0013】
バルブディスク間の所与の深さを有する各ギャップは、バルブディスクの製造において相応の多大な研削努力によってのみ導入できる。
【0014】
さらに、従来の設計のバルブを適合させると、ギャップの高さを所与の均質化圧力での体積流量と調整するときに問題が生じる。ギャップの高さは、接触面と流れが交差するバルブ面との間の、研磨によって組み込まれた固定距離によって決定される。
【0015】
流れが交差するギャップ領域の必要な合計は、所与のプロセス圧力で事前に決定される。ディスクの数が整数の場合、ほとんどの場合、正確な圧力を達成するために調整が必要である。これは、過剰な作動力によって上部ディスクを変形させることによって行われる。この問題は、動作中に、変動する、特に非常に変わった体積流量が発生する場合に特に強く現れる。その結果、ギャップの高さはもはや一定ではなく、むしろより小さくなる、またはたわみによって上部領域において完全に閉じられることさえある。
【0016】
ギャップの高さは製品の品質に影響を与えるので、ギャップごとに一定でなくなり、全体として均一な分布に悪影響を与える可能性があり、これは、プロセスの目的および品質要件に反する。
【0017】
これに関係なく、このバルブの機能上の信頼性は保証されない。バルブディスクの大きな加圧面のために、大きな作動力が必要とされ、その結果、プロセス関連の欠陥が、例えば流れ中の気泡、例えばプロセスの切り替えによる短い中断のために、生じると、大きな力の超過が発生するからである。この過剰な力は、特に流体入口に向かって上部バルブディスクに高い曲げ応力をもたらし、上部バルブディスクの破損につながる可能性がある。
【0018】
先行技術によるバルブの場合、作動力は、必要な大きな力を加えるために、主に力制御方式、すなわち油圧で生成される。そのために必要なエネルギー源は通常、バルブの設置の一部ではないので、対応するユニットを設置して動作させる必要があり、これも投資および運用コストの増加を要する。
【0019】
従来技術の解決策の別の問題は、プロセスの誤作動や高圧部品の亀裂につながる可能性のある圧力ピークに関連している。
【0020】
実際、一時的なゼロフロー条件は、均質化ギャップの完全な一時的な閉鎖を引き起こし得る。影響を受けたポンプシリンダが吐出から吸引ストロークに再び変わると、影響を受けていないシリンダが引き継ぎ、完全な流れが再び再スタートして閉じた均質化バルブに対して送り出される。
【0021】
これにより、公称圧力の2倍を超える圧力ピークが発生する。
【0022】
これに関連して、本発明の基礎となる技術的課題は、従来技術の上述の欠点を克服するバルブを提案することである。
【0023】
文献US 4,679,592 Aは、バルブのキャビテーションを低減するために使用されるバルブトリム設計を開示している。バルブおよびシートは軸方向に移動可能であり、その間に流れを制御するための環状部を形成する円錐台形の対向面を有する。シートは、外側円錐台形面と、内部ボアと連通する複数対のポートとを有する。これらのポートは、キャビテーションを低減するために、バルブのシートの内部チャンバ内で当該ポートからの流れが互いに衝突するように、整列されている。
【0024】
請求項1のプリアンブルによるバルブは、文献WO 92/16288 A1および文献US 1,483,742 Aから公知である。
【発明の概要】
【0025】
本発明の目的は、構造的により単純で、製造するのにより費用効果が高く、その機能的信頼性が改善されたバルブをさらに開発することである。
【0026】
本発明の別の目的は、従来技術よりもギャップのより正確な設定を達成するバルブを提案することである。
【0027】
本発明の別の目的は、特にゼロギャップの状況に起因する、高圧部品の誤動作および摩耗/亀裂を処理する可能性が低いバルブを提案することである。
【0028】
本発明の別の目的は、洗浄がより容易であり、特にCIPサイクルを受けるのに適したバルブを提案することである。
【0029】
記載された技術的課題および指定された目的は、以下を含むバルブによって実質的に達成される。すなわち、
ハウジングと、
流体入口および流体出口を有するバルブ本体であって、ハウジング内に配置された第1のバルブ要素および第2のバルブ要素を備えるバルブ本体と、備え、
第1のバルブ要素および第2のバルブ要素の間にギャップが形成されているバルブであって、
以下の特徴、すなわち、
第1のバルブ要素は、流体出口に向かって少なくとも部分的に先細になる内面を有するスリーブとして適合されており、
第2のバルブ要素は、ギャップを形成するようにスリーブの内面と同一の傾きを有する、スリーブに取り付けられた錐体として適合されており、
スリーブとハウジングの内面との間に、流体出口に通じる環状空間が形成されており、
スリーブは環状空間に向かって貫通孔を有し、錐体は流体入口に向かって貫通開口部を有し、
スリーブおよび錐体は、互いに対して軸方向に調整可能である、ことによって特徴付けられたバルブによって実質的に達成される。
【0030】
本発明の一態様によれば、貫通開口部および貫通孔は、バルブ本体の軸方向にずらして配置されている。
【0031】
一実施形態によれば、貫通開口部および貫通孔は半径方向に位置合わせされている。
【0032】
特に、錐体は、流体入口に通じる、中央の軸方向に延びるチャネルを有する。
【0033】
本発明の一態様によれば、流体出口は、錐体内のチャネルと別個に且つ同軸に設けられている。
【0034】
一実施形態によれば、バルブは、錐体に対してスリーブを軸方向に調整するための力制御または経路制御調整要素をさらに備える。
【0035】
本発明の一態様によれば、環状空間は、流体出口に開口する横断チャネルを有する。
【0036】
本発明の一態様によれば、互いに面する側の貫通開口部および/または貫通孔は、断面がより広い周方向溝に開口している。
【0037】
一実施形態によれば、貫通開口部および/または貫通孔は各々、互いに等距離に配置されている。
【0038】
一実施形態では、流体入口と流体出口は同軸に延びる。
【0039】
別の実施形態では、流体入口と流体出口は互いに角度を成している。
【0040】
一実施形態によれば、スリーブの内面の傾斜角度は、セルフロック(self-locking)の角度よりも大きい。
【0041】
好ましい実施形態によれば、第1のバルブ要素はモノリシック部品であり、第2のバルブ要素はモノリシック部品である。
【0042】
一実施形態によれば、バルブは、第1のバルブ要素と第2のバルブ要素との間に配置された少なくとも第1の高圧ガスケットをさらに備える。
【0043】
好ましくは、バルブは、第1のバルブ要素の第1の端部、ハウジングおよび第2のバルブ要素の間に得られる空間に配置されたスペーサリングをさらに備える。
【0044】
この新しいバルブは、数個の部品のみで機能的に製造できるという点で何よりもまず特徴付けられる。これにより、製造および組立ての点でも運用の点でも、従来技術よりも明らかな利点が得られる。これらは、とりわけ、運用コストの削減を伴うコスト削減された生産および故障の可能性の低減に起因する。
【0045】
複数対のバルブディスクを持つ引用された従来技術では、第1および第2のバルブ要素から形成された一対のバルブディスクの間にそれぞれ軸方向ギャップが存在する。本発明によれば、複数のギャップは、2つのバルブ要素のみ、すなわち、第1のバルブ要素としてのスリーブと、第2のバルブ要素としてその中に取り付けられた錐体とのみによって形成され、各々がバルブ本体を囲む流体出口に通じるハウジングとスリーブとの間に設けられた環状空間への通路を有する。
【0046】
錐体に面するスリーブの内面が流体出口に向かって先細になっており、錐体の外面が同一の傾斜に適合されていることは重要である。ギャップの高さ、すなわち、錐体の外面とスリーブの内面との間の距離は、調整可能であり、調整要素を介して実行できる錐体に対するスリーブの軸方向の相対調整によって、すべてのギャップについて同期的に同じにできる。
【0047】
流体が膨張すると、ギャップが隣接する周方向溝に出た後、それぞれ2つの対向するジェットが互いに出会い、これによってさらなる均質化効果が生まれる。
【0048】
必要な作動力も既知のバルブの場合よりも大幅に小さく、調整要素は力制御または経路制御された態様で高精度に作用できる。力制御駆動は油圧または空圧で行うことができ、経路制御駆動は細いねじ、差動ねじ、圧電アクチュエータなどを介して行うことができる。経路制御はシステムの剛性を高め、これは、例えば圧力脈動を補正するための高速制御タスクなど、短い応答時間を必要とする用途に有利である。
【0049】
制御信号に基づいて、すべてのギャップの現在のギャップの高さに関する定量的情報が利用可能であり、これは、制御および監視タスク、文書化および品質保証にとって重要な場合がある。
【0050】
本発明のさらなる利点は、比較的小さいサイズ、および機能中の低い油圧力に起因する。このことおよび必要な部品数が少ないことは、より高い動作圧力での動作を可能にする。
【0051】
コンパクトで剛性の高い設計とばね要素の欠如により、従来技術では、ばね質量システムが共振周波数で励起されたときに発生する高周波フローノイズとして現れる可能性がある振動に対する感受性も最小限に抑えられる。
【0052】
前述のように、新しいバルブを均質化バルブとして使用することに加えて、このバルブは油圧バルブ、例えば、水圧および油圧システム内の減圧バルブまたは2/2ウェイバルブとしても同一プロセスで使用できるので、プラントエンジニアリングにおける高度な標準化およびスペアパーツ管理の向上につながる。
【0053】
バルブを操作するために両方向に作用する調整要素を使用することも考えられる。これにより、流れの方向が逆のときに操作が可能であり、これはバルブのCIP洗浄の場合に特に有利である。
【0054】
本発明のさらなる有利な展開は、従属請求項に特徴付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して以下に説明される。
図1】本発明によるバルブを側断面図で示す。
図2図1のマークXによるバルブの拡大断面を示す。
図3図1のバルブの別の実施形態を入口側に焦点を当てて示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1には、回転対称のバルブ本体2が配置されたハウジング1を有するバルブが側断面図で示されている。
【0057】
このバルブ本体2は、スリーブ3として適合された第1のバルブ要素と、錐体4として設計された、スリーブ3に取り付けられた第2のバルブ要素であって、中央の軸方向に位置合わせされた、流体入口5と流体開放接続するチャネル7を備えた第2のバルブ要素とからなる。
【0058】
有利には、スリーブ3はモノリシック部品であり、錐体4はモノリシック部品である。
【0059】
ここでの「モノリシック」という表現は、部品が分解できない単一のブロックでできていることを意味する。
【0060】
バルブは、流体入口5および流体出口6を備える。
【0061】
流体出口6は、流体入口5と同軸に設けられ且つ空間的に分離されており、この例では、錐体4の円筒形の端部領域に組み込まれている。流体入口5および/または流体出口6を軸方向に位置合わせする代わりに、角度を付けて、特に直角に位置合わせすることもでき、その結果、バルブの柔軟で安価な設置が可能になる。
【0062】
本発明の一態様によれば、スリーブ3の内面は、流体出口6の方向にテーパ状に適合されており、一方、錐体4の外面は、スリーブ3の内面の経過に従って傾斜している。錐体4の長手方向軸に対する傾斜角度αは、セルフロックの角度よりも大きくなるように選択される。
【0063】
特に、スリーブ3は、錐体4の円筒状の端部領域に配置され、その内面はこの領域において同様に円筒状である。
【0064】
チャネル7から始まり、半径方向に向けられた貫通開口部9が錐体4の壁に設けられている。
【0065】
各貫通開口部9は、スリーブ3の内面に面する側の周方向溝13に開口している。
【0066】
一実施形態によれば、周方向溝13の幅は、貫通開口部9の直径よりも大きい。
【0067】
貫通孔10であって、それらの構造に関して同等である貫通孔10が、スリーブ3の壁に組み込まれている。
【0068】
本発明の一態様によれば、貫通孔10は、錐体4の貫通開口部9に対してバルブ本体2の軸方向にずれている。
【0069】
各貫通孔10は、錐体4に面する側の周方向溝13に開口している。
【0070】
一実施形態によれば、周方向溝13の幅は、貫通孔10の直径よりも大きい。
【0071】
好ましくは、貫通孔10および貫通開口部9の両方が各々、軸方向および周方向に同一距離に配置される。
【0072】
反対側、すなわちハウジング1の内面に向かって、貫通孔10は、ハウジング1の内面とスリーブ3との間に形成された環状空間8に開口している。
【0073】
特に、環状空間8は、横断チャネル11を介して流体出口6と流体開放方式で連通している。
【0074】
半径方向に位置合わせされた横断チャネル11は、スリーブ3および錐体4の円筒形の端部領域に配置される。
【0075】
流体出口6に関連付けられた錐体4の円筒形状の端部には、軸方向に往復運動するピストン16を備えた力制御調整要素12が配置されている。
【0076】
力制御調整要素12および軸方向に往復運動するピストン16のおかげで、スリーブ3と錐体4との間の軸方向の相対運動が可能であり、周方向ギャップ14の正確な高さを達成し、それを介して流体を押し出すことができる。流体の流れの方向は、図1に矢印によって示されている。
【0077】
本発明の一態様によれば、バルブは、スリーブ3と錐体4との間に配置された第1の高圧ガスケット17を備える。
【0078】
好ましくは、バルブはまた、スリーブ3と錐体4との間に配置された第2の高圧ガスケット18を備える。
【0079】
高圧ガスケット17、18は、スリーブ3と錐体4との間の、それぞれの円筒部分における高圧面をシールする。
【0080】
図3に示される本発明の一実施形態によれば、バルブはスペーサリング19を備える。
【0081】
特に、スペーサリング19は、スリーブ3の第1の端部、ハウジング1および錐体4の外面の間に得られる空間に配置される。
【0082】
スペーサリング19は、ハウジング1、スリーブ3の第1の端部および錐体4の外面に当接する。
【0083】
スペーサリング19は、追加の安全機能を提供し、「ゼロギャップ」の状況を防止する。
【0084】
図2の拡大図には、スリーブ3と錐体4の相互に面する傾斜面が周方向ギャップ14を形成する領域の詳細が示されている。それらの輪郭は、ナイフエッジ15として適合されている。周方向溝13内を反対方向に走る出口ジェットの衝撃効果は、矢印表示から見ることができる。
【0085】
流体は、圧力下で流体入口5を通って錐体3のチャネル7に供給され、貫通開口部9を通ってギャップ14に供給され、貫通孔10を通って環状空間8にさらに押し出され、そこから流体が横断チャネル11を通って流体出口6に案内される。
【0086】
請求項に係る発明による2つのバルブがまた、並列に配置されてもよい。
【0087】
したがって、2つ以上のバルブのモジュラシステムが考えられる。
【0088】
本発明によるバルブの特徴は、利点と同様に明らかである。
【0089】
特に、スリーブと錐体の2つのモノリシック部品を使用することにより、バルブは、特に多くの部品が不均一な液圧処理につながる個々の製造公差を持つマルチギャップの解決策に関して、従来技術よりもギャップのより正確な設定を実現する。
【0090】
さらに、スペーサリングは、「ゼロギャップ」の状況とそれに伴う衝撃負荷を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】
【文献】EP0034675
【文献】US5749650A
【文献】WO01/03818A1
【文献】WO01/03819A1
【文献】US 4,679,592 A
【文献】WO 92/16288 A1
【文献】US 1,483,742 A
図1
図2
図3