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特許7595766エンボス加工真空バッグフィルム、エンボス加工真空バッグフィルムを含む真空バギングシステム、および該真空バギングシステムを使用する複合部品の製作方法
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  • 特許-エンボス加工真空バッグフィルム、エンボス加工真空バッグフィルムを含む真空バギングシステム、および該真空バギングシステムを使用する複合部品の製作方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】エンボス加工真空バッグフィルム、エンボス加工真空バッグフィルムを含む真空バギングシステム、および該真空バギングシステムを使用する複合部品の製作方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/12 20060101AFI20241129BHJP
   B29C 70/44 20060101ALI20241129BHJP
   B29C 70/54 20060101ALI20241129BHJP
   B29C 43/32 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
B29C43/12
B29C70/44
B29C70/54
B29C43/32
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023528689
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 US2021058568
(87)【国際公開番号】W WO2022103727
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】17/098,153
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523176901
【氏名又は名称】エアテック インターナショナル,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー エル.ダルグレン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ エー.ラン
(72)【発明者】
【氏名】ザカリー アイ.スケルトン
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05129813(US,A)
【文献】中国特許出願公開第105856590(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0086916(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/12
B29C 70/44
B29C 70/54
B29C 43/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合部品を硬化させる工程の間に真空バギングシステムにおいて使用するための多層エンボス加工真空バッグフィルムであって、前記多層エンボス加工真空バッグフィルムが、
低透過性を有する上側フィルムと、
前記上側フィルムに結合した下側フィルムであって、前記複合部品から自己剥離するように構成された、下側フィルムと、を含んでおり、
前記上側フィルムおよび前記下側フィルムは、各々、隆起パターンであって、規則的で繰り返される配置を有し、下部風路を画定する隆起パターンを有し、前記隆起パターンは、製作されている前記複合部品から見て外側に突出し、かつ、製作されている前記複合部品に向かって下方に突出しており、
前記上側フィルムはポリアミドフィルムを含んでおり、かつ前記下側フィルムはポリオレフィンまたはフルオロポリマーのフィルムを含んでおり、かつ、
前記上側フィルムと前記下側フィルムは一体的である、多層エンボス加工真空バッグフィルム。
【請求項2】
前記上側フィルムおよび前記下側フィルムが共押出しである、請求項に記載の多層エンボス加工真空バッグフィルム。
【請求項3】
前記上側フィルムと前記下側フィルムが共に積層している、請求項に記載の多層エンボス加工真空バッグフィルム。
【請求項4】
複合部品を硬化させる工程の間に使用するための真空バギングシステムであって、前記真空バギングシステムが、
多層エンボス加工真空バッグフィルムであって、前記多層エンボス加工真空バッグフィルムは、
低透過性を有する上側フィルムと、
前記上側フィルムに結合した下側フィルムであって、前記複合部品から自己剥離するように構成された、下側フィルムと、を含んでおり、前記上側フィルムおよび前記下側フィルムは、各々、規則的で繰り返される配置を有し、下部風路を画定する隆起パターンを有し、前記隆起パターンは、製作されている前記複合部品から見て外側に突出し、かつ、製作されている前記複合部品に向かって下方に突出している、多層エンボス加工真空バッグフィルムと、
前記多層エンボス加工真空バッグフィルムを金型に封止するように構成されたテープシーラントと、
前記多層エンボス加工真空バッグフィルムと前記金型の間の内部空間に連通したバルブと、
前記バルブに結合したホースと、
を含み、
前記真空バギングシステムがブリーザーファブリックを含まず、かつ、
前記真空バギングシステムが前記多層エンボス加工真空バッグフィルムとは別個の剥離フィルムを含まず、
前記上側フィルムはポリアミドフィルムを含んでおり、かつ前記下側フィルムはポリオレフィンまたはフルオロポリマーのフィルムを含んでおり、かつ、
前記上側フィルムと前記下側フィルムは一体的である、真空バギングシステム。
【請求項5】
複合部品を製作する方法であって、
未硬化複合部品の繊維状材料を金型に充填することと、
前記複合部品を形成するための前記未硬化複合部品を硬化することであって、前記未硬化複合部品を硬化することが、真空バギングシステム内前記未硬化複合部品を配置すること、ならびにオーブンまたはオートクレーブ内前記真空バギングシステムおよび前記未硬化複合部品を配置することを含み、かつ、
前記真空バギングシステム内前記未硬化複合部品を配置することは、
多層エンボス加工真空バッグフィルムを用いて繊維状材料を被覆することであって、前記多層エンボス加工真空バッグフィルムが、
低透過性を有する上側フィルムと、
前記上側フィルムに結合した下側フィルムであって、前記複合部品から自己剥離するように構成された、下側フィルムと、を含んでおり、前記上側フィルムおよび前記下側フィルムは、各々、規則的で繰り返される配置を有し、下部風路を画定する隆起パターンを有し、前記隆起パターンは、製作されている前記複合部品から見て外側に突出し、かつ、製作されている前記複合部品に向かって下方に突出しており、前記上側フィルムはポリアミドフィルムを含んでおり、かつ前記下側フィルムはポリオレフィンまたはフルオロポリマーのフィルムを含んでおり、かつ、前記上側フィルムと前記下側フィルムは一体的である、多層エンボス加工真空バッグフィルムを用い繊維状材料を被覆することと、
前記多層エンボス加工真空バッグフィルム前記金型に封止することと、
前記真空バギングシステムの真空ポンプを使用し、前記多層エンボス加工真空バッグフィルムと前記金型の間の内部空間から排気することであって、空気が前記内部空間からの前記排気することの間に前記多層エンボス加工真空バッグフィルムによって画定された前記下部風路を通って流れ、かつ、
前記真空バギングシステムがブリーザーファブリックを含まず、かつ、
前記真空バギングシステムが前記多層エンボス加工真空バッグフィルムとは別個の剥離フィルムを含まない排気することと、
を含む、前記未硬化複合部品を硬化することと、
を含む、方法。
【請求項6】
前記複合部品を前記真空バギングシステムから除去することをさらに含み、前記多層エンボス加工真空バッグフィルムが前記複合部品から自己剥離する、請求項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、概略的には、複合部品を製作する間に真空バギング(真空袋詰め、vacuum bagging)工程で使用するためのエンボス加工真空バッグフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
高度な複合部品は、典型的には、ポリマーマトリックス(すなわち、レジン)に接着された繊維状材料の層を含む。複合部品の製作は、典型的には、金型上に繊維をレイアップすることを含む。レイアップ工程は、プリプレグファブリック(すなわち、マトリックス材料に事前に含浸された繊維状材料)を手動でレイアップすることにより実施されることがあり、または自動テープレイアップ(ATL)または自動繊維配置(AFP)工程を使用して自動的に実行されてもよい。片面金型を利用するとき、従来の製作技術においては、繊維層を金型に押し付け、層間に閉じ込められた空気を除去し、複合部品が所望の積層特性(たとえば、強度、重量、および剛性)を示すような所望の繊維対レジン比を達成するために、真空バギングシステムを利用してきた。
【0003】
従来の真空バギングシステムは、典型的には、複合部品の中に圧密化されるための層上のピールプライ、該ピールプライ上の剥離フィルム、該剥離フィルム上のブリーザー/ブリーダーファブリック、およびシーラントテープでその縁に沿って金型に封止された、ブリーザー/ブリーダーファブリック上の真空バッグフィルムを含む。ピールプライは、幾つかの例においては省略されることがある。従来の真空バギングシステムはまた、真空バッグフィルムと金型の間の内部空間から空気を引くように構成された、真空バッグのポートに接続された真空ポンプをも含んでいる。ブリーザー/ブリーダーファブリックは、内部空間から引かれた空気の排出経路を備えるように構成された、比較的厚い不織物である。ブリーザー/ブリーダーファブリックは、真空バッグフィルムによって圧縮された繊維層から滲出した余剰レジンを吸収するように構成されてもいる。剥離フィルムは、硬化後、製作した複合部品からバギング材料を除去できるようにすべく備えられる。
【0004】
レジンの硬化は、オーブン内で、真空バッグの圧力のみで行うことができる。あるいは、繊維層の高度な圧密化を達成すべく、レジンをオートクレーブ内の高温高圧下で硬化させることもある。硬化は触媒を用いて行われることもあり、その際には高温が適用されることもあれば適用されないこともある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの複数の層を有する従来のバギングシステムは、複合材料の製作に関連した、製造コスト、サイクル時間、および廃棄物を増加させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、複合部品を硬化させる工程の間に真空バギングシステムにおいて使用するためのエンボス加工真空バッグフィルムの様々な実施形態に関する。一実施形態においては、エンボス加工真空バッグフィルムは、下部風路を画定する隆起パターンを含む。該エンボス加工真空バッグフィルムは、低透過性を有する単層であり、複合部品から自己剥離するように構成されていることもある。該単層エンボス加工真空バッグフィルムは、ポリアミド、ポリオレフィン、フルオロポリマー、それらの組み合わせ、およびそれらのアロイを含み得る。該エンボス加工真空バッグフィルムの内側表面の少なくとも一部分上に、剥離コーティングが施されてもよい。あるいは、エンボス加工真空バッグフィルムが、(低透過性を有する)上層、および上層に結合した(複合部品から自己剥離するように構成された)下層を含む多層フィルムであってもよい。該上層はポリアミドフィルムであることがあり、該下層がポリオレフィンまたはフルオロポリマーの材料を含むことがある。該上層および下層が共押出しであることもあり、または積層していることもある。
【0007】
本開示はまた、複合部品を硬化させる工程の間に使用するための真空バギングシステムの様々な実施形態にも関する。一実施形態においては、真空バギングシステムは、下部風路を画定する隆起パターンを含むエンボス加工真空バッグフィルム、エンボス加工真空バッグを金型に封止するように構成されたテープシーラント、エンボス加工真空バッグフィルムと金型の間の内部空間に連通したバルブ、およびバルブに結合したホースを含む。該エンボス加工真空バッグフィルムは、低透過性を有する単層であり、複合部品から自己剥離するように構成されていることもある。該単層エンボス加工真空バッグフィルムは、ポリアミド、ポリオレフィン、フルオロポリマー、それらの組み合わせ、およびそれらのアロイを含み得る。該エンボス加工真空バッグフィルムの内側表面の少なくとも一部分上には、剥離コーティングが施され得る。あるいは、エンボス加工真空バッグフィルムが、(低透過性を有する)上層、および上層に結合した(複合部品から自己剥離するように構成された)下層を含む多層フィルムであってもよい。該上層はポリアミドフィルムであることがあり、該下層がポリオレフィンまたはフルオロポリマーの材料を含むことがある。幾つかの実施形態においては、エンボス加工真空バッグフィルムの材料(たとえば、エンボス加工真空バッグフィルムが多層構造を有する場合には下層の材料、またはエンボス加工真空バッグフィルムが単層である場合にはエンボス加工真空バッグフィルム全体の材料)は、硬化した複合部品から自己剥離するように構成されており、したがって、該エンボス加工真空バッグフィルムは、従来の真空バギングシステムに含まれている別個の剥離フィルムの必要性を否定する。加えて、幾つかの実施形態においては、下部風路を画定する隆起パターンが、従来の真空バギングシステムに含まれているブリーザーファブリックの必要性を否定する。したがって、一実施形態においては、真空バギングシステムは、エンボス加工真空バッグフィルムとは別個のブリーザーファブリックまたは剥離フィルムを含まず、このことが、真空バギングシステムを単純化し、リーン生産方式の原則を満たし、かつ、サイクル時間、製造コスト、および廃棄物を削減するのである。
【0008】
本開示はまた、複合部品を製作する様々な方法をも記載する。一実施形態においては、方法には、未硬化複合部品の繊維状材料を金型に充填すること、および未硬化複合部品を硬化させて複合部品を形成することが含まれる。未硬化複合部品の硬化は、未硬化複合部品を真空バギングシステム内に配置すること、ならびに真空バギングシステムおよび未硬化複合部品をオーブンまたはオートクレーブの中に配置することを含む。未硬化複合部品を真空バギングシステム内に配置することは、エンボス加工真空バッグフィルムで繊維状材料を被覆し、該エンボス加工真空バッグフィルムを金型に封止することを含む。該エンボス加工真空バッグフィルムは、下部風路を画定する隆起パターンを含んでいる。該方法はまた、真空バギングシステムの真空ポンプを利用して、真空バッグフィルムと金型との間の内部空間から排気することを含む。内部空間から排気するタスクの間、空気はエンボス加工真空バッグフィルムによって画定された下部風路を通って流れる。加えて、複合部品を硬化させるタスクの間に利用される真空バギングシステムは、エンボス加工真空バッグフィルムとは別個のブリーザーファブリックおよび剥離フィルムを含まず、このことが、真空バギングシステムを単純化し、リーン生産方式の原則を満たし、かつ、サイクル時間、製造コスト、および廃棄物を削減するのである。
【0009】
該方法はまた、真空バギングシステムから複合部品を除去することを含む。エンボス加工真空バッグフィルムは、真空バギングシステムから複合部品を除去するタスクの間に複合部品から自己剥離するように構成される。
【0010】
本概要は、発明を実施するための形態において以下でさらに記述される、本開示の実施形態の選択された特徴および概念を紹介するために提供されている。本概要は、請求される主題の重要または必須の特徴を同定することを意図しておらず、また、請求される主題の範囲の限定に使用されることも意図していない。記述された1つ以上の特徴は、使用可能なエンボス加工真空バッグフィルム、真空バギングシステム、または複合部品を製作する方法を提供すべく、記載された1つ以上の他の特徴と組み合わせられ得る。
【0011】
本開示の実施形態の特徴および有利な点が、以下の図面と併せて考えられるとき、以下の発明を実施するための形態を参照することによってより明らかになる。図面において、同じ参照符号が、同じ特徴および構成要素を参照するために、図面全体を通して使用される。図は、必ずしも縮尺に合わせて描かれているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の一実施形態による、自己剥離エンボス加工真空バッグフィルムを含む真空バギングシステムの横断面図である。
【0013】
図2図2は、本開示の一実施形態による、複合部品を製作する方法のタスクを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、エンボス加工真空バッグフィルムの様々な実施形態、複合部品を硬化させる際に使用するためのエンボス加工真空バッグフィルムを含む真空バギングシステム、および複合部品を硬化させるタスクの間にエンボス加工真空バッグフィルムを含む真空バギングシステムを使用して複合部品を製作する様々な方法を記載する。該エンボス加工真空バッグフィルムは、真空封止作業間の真空バッグの内部の空気除去を容易にするように構成された下部風路を画定する隆起パターンを含み、このことが、製作された複合部品における欠陥形成を軽減する。したがって、幾つかの実施形態において、エンボス加工真空バッグフィルムが、従来の真空バギングシステムに含まれるブリーザーファブリックの必要性を否定する。加えて、幾つかの実施形態において、エンボス加工真空バッグフィルムは、低透過性の外側層および自己剥離ポリマーの内側層を備えた多層構造を含む。該エンボス加工真空バッグフィルムの多層構造は、従来のバッグ封止システムに典型的に含まれている別個の剥離フィルムの必要性を否定する(すなわち、多層エンボス加工真空バッグフィルムは、従来の真空バギングシステムに含まれる剥離フィルムおよび真空バッグフィルムの両方の機能を果たすように構成される)。他の実施形態において、エンボス加工真空バッグフィルムは、たとえば、従来の真空バギングシステムに含まれる剥離フィルムおよび真空バッグフィルムの両方の機能を果たすように構成された、ブレンドポリマーまたはコポリマーから形成された単層構造(すなわち、単一(モノリシック)層)を有することがある。該エンボス加工真空バッグフィルムの内側表面の少なくとも一部分上には、剥離コーティングが施され得る。したがって、幾つかの実施形態においては、該エンボス加工真空バッグフィルムの構造が、従来の真空バギングシステムに通常含まれるブリーザーファブリックおよび別個の剥離フィルムの必要性を否定し、このことが、真空バギングシステムおよび真空バギングシステムで真空封止する方法を簡素化し、リーン生産方式の原則を満たし、かつ、サイクル時間、製造コスト、および廃棄物を削減するのである。
【0015】
図1は、金型300の金型表面301上で複合部品200を製作する際に使用する、本開示の一実施形態による真空バギングシステム100を示す。図示された実施形態においては、金型表面301は平坦(たとえば、平面状)であるが、1つ以上の実施形態においては、金型表面301は複合部品200の所望の形状に応じた任意の形状を有することがある。たとえば、1つ以上の実施形態において、金型表面301は、単曲率または複曲率を有することがある。
【0016】
製作されている複合部品200は、ポリマーマトリックス202(たとえば、レジン材料)に接着し、積層スタック内に配置された繊維状材料201(たとえば、繊維または繊維状材料の層またはプライ)を含む。適当な繊維状材料は、カーボン、繊維ガラス、アラミド、および石英を含むが、これらに限定はされない。適当なマトリックス材料は、エポキシ、ポリエステル、ビニルエステル、ビスマレイミド(BMI)、および/またはベンゾオキサジンを含むが、これらに限定はされない。繊維状材料201は、金型300の金型表面301に手動で置かれ得るプリプレグファブリックの形態、または金型300の金型表面301に機械を用いて自動的に置かれ得るテープまたはトウの形態で、マトリックス材料202に事前に含浸されることがある。複合部品200を製作する工程の間、繊維状材料201は、複合部品200が金型300の金型表面301の形状を達成し、かつ、複合部品200が所望の繊維対マトリックス比および複合部品200の所望の積層特性(たとえば、強度、重量、および/または剛性)を有するように、共に加圧される。
【0017】
図示された実施形態においては、真空バギングシステム100は、エンボス加工真空バッグフィルム101、エンボス加工真空バッグフィルム101の1つ以上の開口部またはポート103に取り付けられた1つ以上の真空バルブ102、1つ以上の真空バルブ102に接続した1つ以上の真空ホース104、1つ以上の真空ホース104に接続した真空ポンプ105、および金型300にエンボス加工真空バッグフィルム101を封止するシーラント106(たとえば、真空シーラントテープ)を含む。図示された実施形態においては、1つ以上の真空ポート103および1つ以上の真空バルブ102が、エンボス加工真空バッグフィルム101に備えられているが、1つ以上の実施形態においては、1つ以上の真空ポート103と1つ以上の真空バルブ102が、金型300に備えられることもある。真空バギングシステム100が単一のエンボス加工真空バッグフィルム101を含むこともあれば、真空バギングシステム100が、2つ以上のエンボス加工真空バッグフィルム101であって、それらの端部が互いに重なり合いつつシーラントテープで封止された2つ以上のエンボス加工真空バッグフィルム101を含むこともある(たとえば、真空バギングシステム100は、単一のエンボス加工真空バッグフィルム101、または重なり合うシーラントテープ接合部を有する複数のエンボス加工真空バッグフィルム101を含むことがある)。エンボス加工真空バッグフィルム101は、製作されている複合部品200の上側表面を被覆し、エンボス加工真空バッグフィルム101、シーラント106、および金型300と共に、製作されている複合部品200が収容される内部チャンバ107を画定する。1つ以上の真空ホース104および1つ以上の真空バルブ102は、内部チャンバ107に流体連通しており、かつ、内部チャンバ107から空気を引くように構成されている。加えて、図示された実施形態においては、真空バギングシステム100は、ブリーザーファブリックまたは別個の剥離フィルムを含まない(たとえば、エンボス加工真空バッグフィルム101は、従来の真空バギングシステムに含まれるブリーザーファブリックおよび別個の剥離フィルムの必要性を否定する)。ブリーザーファブリックおよび剥離フィルムの排除が、真空バギングシステム100を単純化し、リーン生産方式の原則を満たし、かつ、サイクル時間、製造コスト、および廃棄物を削減するのである。
【0018】
図示された実施形態においては、エンボス加工真空バッグフィルム101は、外側層108(すなわち、製作する複合部品200から見て外方を向く層108)および内側層109(すなわち、製作する複合部品200に対向する層109)を少なくとも含む多層構造を有している。真空バギングシステム100を使用して未硬化複合部品200を硬化させるタスクの間、エンボス加工真空バッグフィルム101の内側層109の内側表面は、未硬化複合部品200の上側表面に接触している。1つ以上の実施形態において、外側層108が内側層109と直接接触していることがある。1つ以上の実施形態において、エンボス加工真空バッグフィルム101は、外側層108と内側層109の間に1つ以上の中間層を含んでいることがある。エンボス加工真空バッグフィルム101の外側層108は、高圧オートクレーブ環境において高い真空完全性を有する非常に低い透過性を有し、かつ、シーラント106が効果的に付着することができるという任意の材料から構成されるのがよい。一実施形態において、外側層108は、ポリアミドフィルム(たとえば、脂肪族または半芳香族ポリアミドをベースにした合成ポリマーのファミリーから選択されたフィルム)であり得る。エンボス加工真空バッグフィルム101の外側層108に適当なポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミド4,6、それらの(ポリアミドの割合が異なる)組み合わせ、またはそれらの(ポリアミドの割合が異なる)アロイを含み得る(たとえば、エンボス加工真空バッグフィルム101の外側層108はブレンドポリマーを含み得る)。加えて、1つ以上の実施形態においては、エンボス加工真空バッグフィルム101の外側層108の(複数の)ポリアミドが、1つ以上の着色剤および/または添加剤と組み合わせられることがある。エンボス加工真空バッグフィルム101の内側層109であって、未硬化複合部品200の上側表面に接触するように構成される内側層109は、任意の適当な材料から、または、エンボス加工真空バッグフィルム101が、真空バギングシステム100を用いて製作された後で複合部品200から自己剥離するように構成されるような材料から、形成されるのがよい。たとえば、1つ以上の実施形態において、内側層109は、ポリオレフィンおよび/またはフルオロポリマー材料などの任意の適当なポリマーから形成されることがある。エンボス加工真空バッグフィルム101の内側層109に適当なポリオレフィンは、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはそれらの組み合わせまたはアロイを含む。エンボス加工真空バッグフィルム101の内側層109のために適当なフルオロポリマーは、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシアルカン)、FEP(テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体)、またはこれらの組み合わせまたはアロイを含む。加えて、1つ以上の実施形態において、エンボス加工真空バッグフィルム101の内側層109のポリオレフィンおよび/またはフルオロポリマーは、1つ以上の着色剤および/または添加剤と組み合わせられることがある。一般的には、ポリアミドは幾つかのレジンからは剥離し得るがほとんどのレジンに対しては接着し、そして、ポリオレフィンまたはフルオロポリマーの構造は、シーラントテープ106にはやはり接着するが、ほとんどのレジンからは剥離するというものである。したがって、1つ以上の実施形態において、エンボス加工真空バッグフィルム101の内側層109の1つ以上の材料は、複合部品200の材料(たとえば、繊維201および/またはマトリックス202の材料)に応じて選択されるのがよい。エンボス加工真空バッグフィルム101は、共押出しまたは積層(たとえば、外側層108と内側層109を共押出しして多層構造を形成する、または個別である外側層108と内側層109を共に積層して多層構造を形成する)のような、任意の適当な方法によって製作され得る。
【0019】
1つ以上の実施形態において、エンボス加工真空バッグフィルム101が、複数の層から形成されないことがある(たとえば、エンボス加工真空バッグフィルム101が、単一(モノリシック)層であることがある)。単層エンボス加工真空バッグフィルム101は、上述の多層エンボス加工真空バッグフィルム101と同じまたは実質的に同じ特徴または特性を有し得る(たとえば、単層エンボス加工真空バッグフィルム101は、高圧オートクレーブ環境において高い真空完全性を備えるための非常に低い透過性、および真空バギングシステム100を使用して製作された後で複合部品200から自己剥離する構成の両方を有し得る)。1つ以上の実施形態において、単層エンボス加工真空バッグフィルム101は、ポリアミド、たとえば、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミド4,6、それらの(ポリアミドの割合が異なる)組み合わせ、またはそれらの(ポリアミドの割合が異なる)アロイを含むことがある。したがって、1つ以上の実施形態において、単層エンボス加工真空バッグフィルム101は、ブレンドポリマーを含むことがある。単層エンボス加工真空バッグフィルム101の(複数の)ポリアミドは、剥離特性および/または温度耐性といった、単層エンボス加工真空バッグフィルム101の他の所望の特性を達成するために、他のポリマーと組み合わされてもよい。たとえば、1つ以上の実施形態において、(複数の)ポリアミドは、1つ以上のポリオレフィン(たとえば、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、および/またはポリエチレン)および/または1つ以上のフルオロポリマー(たとえば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシアルカン)、FEP(テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体)、またはそれらの組み合わせまたはアロイ)と組み合わせられることがある。ポリエチレンは剥離特性を低温で有し、したがってポリメチルペンテンおよびポリプロピレンが、硬化工程間の高温を扱うために使用されることがある。加えて、1つ以上の実施形態において、単層エンボス加工真空バッグフィルム101の(複数の)ポリアミドが、1つ以上の着色剤および/または添加剤と組み合わせられることがある。1つ以上の実施形態において、単層エンボス加工真空バッグフィルム101が、1つ以上のポリオレフィン(たとえば、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、および/またはポリエチレン)および/または1つ以上のフルオロポリマー(たとえば、PTFE、PFA、FEP、ETFE、またはそれらの組み合わせまたはアロイ)を含み、ポリアミドは含まないということがある。加えて、1つ以上の実施形態において、複合部品200に対向する単層エンボス加工真空バッグフィルム101の内側表面110の少なくとも一部分上に、剥離コーティングがあることがある。該剥離コーティングは、複合部品200から剥離するように構成された任意の適当な(複数の)材料から形成されることができ、剥離コーティングの(複数の)材料は、少なくとも部分的には、複合部品200のマトリックス材料202の組成に応じて選択されるのがよい。
【0020】
図示された実施形態においては、エンボス加工真空バッグフィルム101はまた、製作されている複合部品200から見て外側(たとえば、上方)に突出し、かつ、製作されている複合部品200に向かって下方に突出している隆起パターン111をも含む。エンボス加工真空バッグフィルム101の隆起パターン111は、下部風路112を画定する。エンボス加工真空バッグフィルム101が複合部品200を形成するタスクの間に繊維状材料201のプライ上に置かれているとき、該下部風路112は、エンボス加工真空バッグフィルム101と製作されている複合部品200(たとえば、繊維状材料201のプライ)の間の内部空間107内に画定される。1つ以上の実施形態において、隆起パターン111は、規則的で繰り返される配置、または不規則な配置(たとえば、ランダムな配置)で形成され得る。したがって、1つ以上の実施形態において、下部風路112がエンボス加工真空バッグフィルム101にわたって一様であることもあれば、または下部風路112のサイズおよび/または形状が、エンボス加工真空バッグフィルム101にわたって変化していることもある。バルブ102、ホース104、および真空ポンプ105を用いて内部チャンバ107から空気を引く工程の間、エンボス加工真空バッグフィルム101に画定された下部風路112は、内部チャンバ107内の空気の除去を容易にするように構成されている。たとえば、1つ以上の実施形態において、下部風路112は、エンボス加工真空バッグフィルム101内のポケットであって、その内部に閉じ込められた空気は排出されることができないというポケットの形成を軽減するように構成される(たとえば、内部チャンバ107から空気を除去する工程の間に、エンボス加工真空バッグフィルム101内にポケットまたは泡/波紋が形成された場合、エンボス加工真空バッグフィルム101の隆起パターン111によって画定された下部風路112が、ポケットまたは泡の中に閉じ込められた空気を除去する機会を与える)。1つ以上の実施形態において、エンボス加工真空バッグフィルム101の隆起パターン111によって画定される下部風路112は、内部チャンバ107内の空気および/または揮発性材料の完全または実質的に完全な除去を可能にする。内部チャンバ107からの空気および/または揮発性材料の完全または実質的に完全な除去は、製作された複合部品200における欠陥形成を回避するために重要である。
【0021】
図2は、本開示の一実施形態による、上記の真空バギングシステム100を利用して複合部品を製作する方法400のタスクを示すフローチャートである。図示された実施形態においては、方法400は、複合部品の所望の形状(たとえば、平面状、単曲率、または複曲率)を有する金型(たとえば、図1に示された金型300)の金型表面上に繊維状材料(たとえば、繊維プライ)およびマトリックス材料(たとえば、レジン)を充填または配置するタスク405を含む。金型上に繊維状材料およびマトリックス材料を充填するタスク405は、当技術分野において公知または以下で展開される任意の適切な方法で実行され得る。一実施形態において、繊維状材料のプライは、マトリックス材料に事前に含浸してプリプレグファブリックの形態であることがあり、タスク405は、プリプレグファブリックを金型上に手動で配置する(すなわち、金型上で繊維層の手動レイアップを実施する)ことを含むことがある。1つ以上の実施形態においては、タスク405は、機械を利用して金型上にテープまたはトウ(たとえば、カーボン繊維糸)を自動的に配置することを含み得る(たとえば、タスク405が、自動テープレイアップ(ATL)または自動繊維配置(AFP)工程を含むことがある)。繊維状材料のプライおよびマトリックス材料を配置するタスク405に続いて、プライは金型上の積層スタックに配置される。
【0022】
図示された実施形態においては、方法400はまた、タスク405で金型上にレイアップされた繊維状材料中のマトリックス材料(たとえば、レジン)を硬化させるタスク410をも含む。1つ以上の実施形態において、マトリックス材料を硬化させるタスク410は、図1に示された真空バギングシステム100の内部に未硬化複合部品(たとえば、レジンに接着した繊維状材料)を配置することを含む。したがって、図示された実施形態において、マトリックス材料を硬化させるタスク410は、タスク405で置かれた(マトリックス材料に接着している)繊維状材料を、エンボス加工真空バッグフィルム101の1つ以上の開口またはポート103に接続した1つ以上のバルブ102およびホース104を有するエンボス加工真空バッグフィルム101で被覆すること、および、たとえば図1に示されたように、シーラント106(たとえば真空シールテープ)を用いてエンボス加工真空バッグフィルム101を金型に封止することを含む。一実施形態においては、タスク410は、繊維性材料を単一のエンボス加工真空バッグフィルム101で被覆することを含み得る。1つ以上の実施形態においては、タスク410が、シーラントテープで共に封止された2つ以上のエンボス加工真空バッグフィルム101で繊維状材料を被覆することを含むことがある。1つ以上の実施形態においては、真空バギングシステム100を利用して複合部品を硬化させるタスク410が、繊維状材料上にブリーザー層または別個の剥離フィルムを配置することを含まないこともあり得る(たとえば、タスク410で置かれたエンボス加工真空バッグフィルム101は、従来の真空バギング工程において利用されるブリーザーファブリックおよび別個の剥離フィルムの使用の必要性を否定する)。ブリーザーファブリックおよび剥離フィルムの排除が、複合部品を製作する方法400を単純化し、リーン生産方式の原則を満たし、かつ、サイクル時間、製造コスト、および廃棄物を削減するのである。
【0023】
1つ以上の実施形態において、レジンを硬化させるタスク410は、レジンに事前に混合された触媒または硬化添加剤によって開始されることがあり、そして硬化が室温下で起こることがある。1つ以上の実施形態においては、マトリックス材料を硬化させるタスク410は、真空バギングシステム100(およびその中の未硬化複合部品)を、高温を発生させるオーブンまたは高温高圧を発生させるオートクレーブ内に配置すること、および、1つ以上のホース104に接続された真空ポンプ105を作動させ、繊維状材料が位置している真空バッグフィルム101の内部チャンバ107から空気を引くことを含む。レジンを硬化させるタスク410の間に真空バギングシステム100の真空ポンプ105を作動させることで、複合部品を金型上の所定の位置に保持し、さらに繊維状材料を圧密化し、レジンを必要な場所に収容し、かつ、マトリックスが硬化する際に発生するレジンからの放出ガスを引くのである。オートクレーブ内で複合部品を硬化させることで、複合部品の圧縮度が、レジンがオーブン内または室温下で硬化された複合部品と比較して高くなる場合がある。
【0024】
上で記述したように、エンボス加工真空バッグフィルム101は、エンボス加工真空バッグフィルム101と形成されている複合部品との間に下部風路112を画定する隆起パターン111を含んでいる。複合材料を硬化させるタスク410であって、未硬化の複合部品を真空バギングシステム100内に配置すること、および真空ポンプ105を作動させることを含む複合部品を硬化させるタスク410の間には、空気および/またはレジンからガス放出中に発生した揮発性材料は、下部風路112を通って流れ、内部チャンバ107から除去される。たとえば、1つ以上の実施形態において、下部風路112は、閉じ込められた空気および/または揮発性物質を除去することができないエンボス加工真空バッグフィルム101内のポケットの形成を緩和するように構成される(たとえば、複合部品を硬化させるタスク415の間に、エンボス加工真空バッグフィルム101内にポケットまたは泡/波紋が形成された場合、エンボス加工真空バッグフィルム101の隆起パターン109によって画定された下部風路112が、これらのポケットまたは泡内に閉じ込められた空気および/または揮発性物質を除去する機会を与える)。1つ以上の実施形態においては、エンボス加工真空バッグフィルム101の隆起パターン109によって画定される下部風路112は、複合部品を硬化させるタスク415の間の、内部チャンバ107内の空気および/または揮発性材料の完全または実質的に完全な除去を可能にする。内部チャンバ107からの空気および/または揮発性材料の完全または実質的に完全な除去は、製作された複合部品における欠陥形成を軽減する。
【0025】
図示された実施形態においては、方法400はまた、真空バギングシステム100の内部チャンバ107から硬化した複合部品を除去するタスク415をも含む。上で記述したように、多層エンボス加工真空バッグフィルム101の内側層109、または単層エンボス加工真空バッグフィルム101の内側表面であって、複合部品の上側表面に接触する内側表面は、硬化した混合部品が真空バギングシステム100を使用して製作された後に、エンボス加工真空バッグフィルム101が硬化した複合部品から自己剥離するように構成された任意の適当な材料(たとえば、ポリオレフィンまたはフルオロポリマーのようなポリマー)から形成され得るのであって、このことがタスク415における複合部品の除去を容易化する。エンボス加工真空バッグフィルム101が単層を含む1つ以上の実施形態においては、エンボス加工真空バッグフィルム101全体が、硬化した複合部品から剥離するように構成された材料で形成されてもよい(たとえば、エンボス加工真空バッグフィルム101全体が、ポリオレフィンまたはフルオロポリマーのようなポリマーで形成されてよい)。
【0026】
本発明が、特にその実施形態を参照しながら詳細に記述されてきた一方、本明細書に記述された実施形態は、網羅的であること、または本発明の範囲を開示された正確な形態に限定することを意図してはいない。本発明が関連する当業者および技術者であれば、本発明の原理、精神、および範囲から有意に逸脱することなく、記載された構造、製造方法、および適用方法における変更および改変が実施できることを理解するであろう。
【0027】
加えて、本明細書で使用される「実質的に」、「約」、および同様の用語は、程度を示す用語としてではなく、近似を示す用語として使用されており、測定値または計算値の固有の偏差を説明することを意図している。これは当業者には当然認識されるであろう。さらに、本明細書で使用されたように、構成要素が他層または構造「上に(on)ある」と述べられるとき、それは該他層または該構造上に直接存在することもあれば、またはそれらの間に(複数の)介在層および/または(複数の)介在構造が存在することもある。
【0028】
上述したタスクは、記述された順序、または任意の他の適切な順序で実行され得る。加えて、上述した方法は、記述されたタスクに限定されない。あるいは、各実施形態について、上述したタスクの1つ以上が欠如していることがあり、および/または追加のタスクが実施されることもある。
また、本開示には、以下の態様が含まれる。
〔態様1〕
複合部品を硬化させる工程の間に真空バギングシステムにおいて使用するためのエンボス加工真空バッグフィルムであって、前記エンボス加工真空バッグフィルムが下部風路を画定する隆起パターンを含む、エンボス加工真空バッグフィルム。
〔態様2〕
前記エンボス加工真空バッグフィルムが単層である、態様1記載のエンボス加工真空バッグフィルム。
〔態様3〕
前記単層が、低透過性を有し、前記複合部品から自己剥離するように構成された、態様2記載のエンボス加工真空バッグフィルム。
〔態様4〕
前記単層が、ポリアミド、ポリオレフィン、フルオロポリマー、それらの組み合わせ、およびそれらのアロイから成る群から選択された材料を含む、態様3記載のエンボス加工真空バッグフィルム。
〔態様5〕
前記エンボス加工真空バッグフィルムの内側表面の少なくとも一部分上に剥離コーティングをさらに含む、態様1ないし4のいずれか1つに記載のエンボス加工真空バッグフィルム。
〔態様6〕
前記エンボス加工真空バッグフィルムが、多層フィルムであって、
低透過性を有する上層と、
前記上層に結合した下層であって、前記複合部品から自己剥離するように構成された下層と、
を含む多層フィルムである、態様1記載のエンボス加工真空バッグフィルム。
〔態様7〕
前記上層がポリアミドフィルムを含み、かつ、前記下層がポリオレフィンまたはフルオロポリマーを含む、態様6記載のエンボス加工真空バッグフィルム。
〔態様8〕
前記上層および前記下層が共押出しである、態様6または7に記載のエンボス加工真空バッグフィルム。
〔態様9〕
前記上層と前記下層が共に積層している、態様6または7に記載のエンボス加工真空バッグフィルム。
〔態様10〕
複合部品を硬化させる工程の間に使用するための真空バギングシステムであって、前記真空バギングシステムが、
下部風路を画定する隆起パターンを含むエンボス加工真空バッグフィルムと、
前記エンボス加工真空バッグフィルムを金型に封止するように構成されたテープシーラントと、
前記エンボス加工真空バッグフィルムと前記金型の間の内部空間に連通したバルブと、
前記バルブに結合したホースと、
を含み、
前記真空バギングシステムがブリーザーファブリックを含まず、かつ、
前記真空バギングシステムが前記エンボス加工真空バッグフィルムとは別個の剥離フィルムを含まない、真空バギングシステム。
〔態様11〕
前記エンボス加工真空バッグフィルムが単層である、態様10記載の真空バギングシステム。
〔態様12〕
前記単層が低透過性を有し、前記複合部品から自己剥離するように構成された、態様11記載の真空バギングシステム。
〔態様13〕
前記単層が、ポリアミド、ポリオレフィン、フルオロポリマー、それらの組み合わせ、およびそれらのアロイからなる群から選択された材料を含む、態様12記載の真空バギングシステム。
〔態様14〕
前記エンボス加工真空バッグフィルムの内側表面の少なくとも一部分上に剥離コーティングをさらに含む、態様11ないし13のいずれか1つに記載の真空バギングシステム。
〔態様15〕
前記エンボス加工真空バッグフィルムが、
低透過性を有する上層と、
前記上層に結合された下層であって、前記複合部品から自己剥離するように構成された下層と、
を含む、態様10記載の真空バギングシステム。
〔態様16〕
前記上層がポリアミドフィルムを含み、かつ、前記下層がポリオレフィンまたはフルオロポリマーから成る、態様15記載の真空バギングシステム。
〔態様17〕
複合部品を製作する方法であって、
未硬化複合部品の繊維状材料を金型に充填することと、
前記複合部品を形成するための前記未硬化複合部品の硬化であって、前記未硬化複合部品の前記硬化が、真空バギングシステム内への前記未硬化複合部品の配置、ならびにオーブンまたはオートクレーブ内への前記真空バギングシステムおよび前記未硬化複合部品の配置を含み、かつ、
前記前記真空バギングシステム内への前記未硬化複合部品の前記配置は、
下部風路を画定する隆起パターンを含むエンボス加工真空バッグフィルムを用いた繊維状材料の被覆と、
前記エンボス加工真空バッグフィルムの前記金型への封止と、
前記真空バギングシステムの真空ポンプを使用した、前記エンボス加工真空バッグフィルムと前記金型の間の内部空間からの排気であって、空気が前記内部空間からの前記排気の間に前記エンボス加工真空バッグフィルムによって画定された前記下部風路を通って流れ、かつ、
前記真空バギングシステムがブリーザーファブリックを含まず、かつ、
前記真空バギングシステムが前記エンボス加工真空バッグフィルムとは別個の剥離フィルムを含まない排気と、
を含む、前記未硬化複合部品の硬化と、
を含む、方法。
〔態様18〕
前記複合部品を前記真空バギングシステムから除去することをさらに含み、前記エンボス加工真空バッグフィルムが前記複合部品から自己剥離する、態様17記載の方法。
図1
図2