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特許7595769自動車投光器の少なくとも2つの光学関連の構成ユニットを調整するための調整装置
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  • 特許-自動車投光器の少なくとも2つの光学関連の構成ユニットを調整するための調整装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】自動車投光器の少なくとも2つの光学関連の構成ユニットを調整するための調整装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/076 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
B60Q1/076
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023530827
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2021081353
(87)【国際公開番号】W WO2022122293
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】20213376.5
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】シュタインケルナー、ヨハン
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02803528(EP,A1)
【文献】特開平6-219208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/076
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車投光器の少なくとも2つの光学関連の構成ユニットを調整するための調整装置であって、前記調整装置は、以下の構成を含み、即ち、
- 少なくとも1つの光学関連の構成ユニットを支持するようにそれぞれ構成されている少なくとも2つの支持フレーム(100、200)を含み、
- 少なくとも2つの前記支持フレーム(100、200)が、自動車内の前記調整装置の正確な取り付け位置で見て、それぞれ水平軸線(H1、H2)及び垂直軸線(V1、V2)の周りに旋回可能に支承されている組立構成部材(300)を含み、
- 少なくとも2つの前記支持フレーム(100、200)をそれらの前記水平軸線(H1、H2)の周りで同時に旋回させるための垂直方向旋回装置(400)を含み、但し前記垂直方向旋回装置(400)は、そのために第1連結要素(410)と、第1摺動軸線(A1)に沿って直線的に位置調整可能な第1調整アーム(421)を備えた第1駆動装置(420)とを含み、前記第1連結要素(410)は、少なくとも2つの前記支持フレーム(100、200)と関節式で接続されており、また前記第1駆動装置(420)の前記第1調整アーム(421)は、前記第1連結要素(410)に係合し、前記第1摺動軸線(A1)の方向に駆動し、それにより前記第1摺動軸線(A1)の方向における前記第1連結要素(410)の位置調整では、少なくとも2つの前記支持フレーム(100、200)が、同時にそれらのそれぞれの前記水平軸線(H1、H2)の周りで同じ方向に旋回可能であり、
- 少なくとも2つの前記支持フレーム(100、200)をそれらの前記垂直軸線(V1、V2)の周りで同時に旋回させるための水平方向旋回装置(500)を含み、但し前記水平方向旋回装置(500)は、そのために第2連結要素(510)と、第2摺動軸線(A2)に沿って直線的に位置調整可能な第2調整アーム(521)を備えた第2駆動装置(520)とを含み、前記第2連結要素(510)は、少なくとも2つの前記支持フレーム(100、200)と関節式で接続されており、また前記第2駆動装置(520)の前記第2調整アーム(521)は、前記第2連結要素(510)に係合し、前記第2摺動軸線(A2)の方向に駆動し、それにより前記第2摺動軸線(A2)の方向における前記第2連結要素(510)の位置調整では、少なくとも2つの前記支持フレーム(100、200)が、同時にそれらのそれぞれの前記垂直軸線(V1、V2)の周りで同じ方向に旋回可能である構成であり、
各前記支持フレーム(100、200)は、位置調整三角形(D1、D2)を有し、前記位置調整三角形(D1、D2)は、それぞれ、定点支承部(110a、210a)と、第1調整点支承部(110b、210b)と、第2調整点支承部(110c、210c)とにより構成されており、これらの前記支持フレーム(100、200)は、それぞれの前記定点支承部(110a、210a)を用いて関節式で前記組立構成部材(300)に配設されており、また前記第1連結要素(410)は、それぞれの前記第1調整点支承部(110b、210b)に係合し、前記第2連結要素(510)は、それぞれの前記第2調整点支承部(110c、210c)に係合し、また各前記支持フレーム(100、200)の前記位置調整三角形(D1、D2)は、これらの前記支持フレーム(100、200)の基本位置において水平面内に配置されており、また前記垂直方向旋回装置(400)及び/又は前記水平方向旋回装置(500)により前記基本位置からこれらの前記支持フレーム(100、200)が旋回されるときには、これらの前記支持フレーム(100、200)の前記位置調整三角形(D1、D2)は、引き続き互いに平行な面内に位置
前記第1連結要素(410)及び/又は前記第2連結要素(510)は、スライド式で案内されて前記組立構成部材(300)に配設されていること、
を特徴とする調整装置。
【請求項2】
前記第1摺動軸線(A1)は、前記基本位置において、前記支持フレーム(100、200)の前記位置調整三角形(D1、D2)のそれぞれの前記水平面に対して直角方向に配置されており、また前記第2摺動軸線(A2)は、前記第1摺動軸線(A1)に対して直角方向に配置されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の調整装置。
【請求項3】
前記定点支承部(110a、210a)は、ボールジョイントとして構成されていること、
を特徴とする、請求項1又は2に記載の調整装置。
【請求項4】
前記第1摺動軸線(A1)は、前記調整装置(10)の取り付け位置において、垂直方向に向かう軸線であること、
を特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項5】
前記第2摺動軸線(A2)は、前記調整装置(10)の取り付け位置において、水平方向に位置する軸線であること、
を特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項6】
前記組立構成部材(300)は、自動車投光器ハウジングとして構成されていること、
を特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項7】
前記第1連結要素(410)及び前記第2連結要素(510)は、剛体として構成されていること、
を特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項8】
少なくとも2つの前記支持フレーム(100、200)は、同一構造で構成されていること、
を特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項9】
少なくとも2つの前記支持フレーム(100、200)の前記位置調整三角形(D1、D2)は、前記基本位置において、異なる水平面内に配置されていること、
を特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項10】
前記第1駆動装置(420)及び前記第2駆動装置(520)は、調整モータとして構成されていること、
を特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項11】
前記調整装置(10)は、のみの支持フレーム(100、200)を含んでいること、
を特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の調整装置(10)を少なくとも1つ備えた照射装置であって、前記照射装置は、それぞれ1つの物体重心を有するライトモジュールを含み、また1つの支持フレーム(100、200)には、それぞれ1つのライトモジュールが配設されており、各前記ライトモジュールの前記物体重心は、前記照射装置の取り付け位置において、対応の前記支持フレーム(100、200)のそれぞれの定点支承部(110a、210a)上に配置されていること、
を特徴とする照射装置。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の調整装置(10)を少なくとも1つ備えた又は請求項12に記載の照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車投光器の少なくとも2つの光学関連の構成ユニットを調整するための調整装置に関し、該調整装置は、以下の構成を含み、即ち、
- 少なくとも1つの光学関連の構成ユニット、例えばライトモジュールを支持するようにそれぞれ構成されている少なくとも2つの支持フレームを含み、
- 少なくとも2つの支持フレームがそれぞれ水平軸線及び垂直軸線の周りに旋回可能に支承されている組立構成部材を含み、
- 少なくとも2つの支持フレームをそれらの水平軸線の周りで同時に旋回させるための垂直方向旋回装置を含み、但し垂直方向旋回装置は、そのために第1連結要素と、第1摺動軸線に沿って直線的に位置調整可能な調整アームを備えた第1駆動装置とを含み、この際、第1連結要素は、少なくとも2つの支持フレームと関節式で接続されており、またこの際、第1駆動装置の調整アームは、第1連結要素に係合し、第1摺動軸線の方向に駆動し、それにより第1摺動軸線の方向における第1連結要素の位置調整では、少なくとも2つの支持フレームが、同時にそれらのそれぞれの水平軸線の周りで同じ方向に旋回可能であり、
- 少なくとも2つの支持フレームをそれらの垂直軸線の周りで同時に旋回させるための水平方向旋回装置を含み、但し水平方向旋回装置は、そのために第2連結要素と、第2摺動軸線に沿って直線的に位置調整可能な調整アームを備えた第2駆動装置とを含み、この際、第2連結要素は、少なくとも2つの支持フレームと関節式で接続されており、またこの際、第2駆動装置の調整アームは、第2連結要素に係合し、第2摺動軸線の方向に駆動し、それにより第2摺動軸線の方向における第2連結要素の位置調整では、少なくとも2つの支持フレームが、同時にそれらのそれぞれの垂直軸線の周りで同じ方向に旋回可能である。
【0002】
更に本発明は、本発明による調整装置を少なくとも1つ備えた照射装置に関し、この際、該照射装置は、それぞれ1つの物体重心を有するライトモジュールを含み、またこの際、1つの支持フレームには、それぞれ1つのライトモジュールが配設されており、この際、各ライトモジュールの物体重心は、照射装置の取り付け位置において、対応の支持フレームのそれぞれの定点支承部上に配置されている。
【0003】
更に本発明は、本発明による調整装置を少なくとも1つ備えた又は本発明による照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器(例えば自動車前照灯)に関する。
【背景技術】
【0004】
調整システムは、従来技術から既知であり、自動車投光器では、配光の垂直方向の向き(例えば照射範囲レギュレーション)又は水平方向の向き(基本設定又は例えばコーナリングライト)を調整するために頻繁に使用される。
【0005】
自動車投光器を用いて生成される光像を法律に準拠して調整するためには、投光器の1つ又は複数の光学関連の構成ユニットが、とりわけ高さ方向及び/又は横方向で調整可能であることが必要である。そのような光学関連の構成ユニットは、例えば、少なくとも1つの光源と、少なくとも1つのリフレクタと、少なくとも1つのレンズなどから成るライトモジュールであるが、対応して位置調整されるリフレクタやレンズなどのような個々の構成部材であってもよい。
【0006】
この際、少なくとも1つの光学関連の構成ユニットは、多くの場合は、例えば投光器内で水平方向の軸線及び/又は垂直方向の軸線の周りに旋回可能に支承されている。例えば1つ又は複数のライトモジュールは、1つの支持フレームに支承され、また支持フレームは、上述のように1つ又は2つの軸線の周りに旋回可能に支承されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許出願公開第2803528号
【文献】米国特許出願公開第2019/100129号
【文献】国際公開第2016/201466号
【文献】欧州特許出願公開第3127746号
【文献】欧州特許出願公開第2995500号
【文献】欧州特許出願公開第2796320号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
調整システムは、一方では、関連の構成部材の信頼できる位置調整を可能にすべきであり、他方では、そのような調整システムのスペース要求は、自動車投光器のコンセプトの制限をできるだけ少なくするために最小限に抑えられるべきである。
【0009】
例えば、光源、リフレクタ、及び/又はレンズのような、自動車投光器の光学関連の構成ユニットを調整するための調整装置は、投光器により生成される光像を規定の要件に適合させることを可能にする。そしてこのことは、例えば自動車内への投光器の取り付け過程後に確定される目標設定値からのずれが後から調整装置の使用により補償され得ることを可能にする。
【0010】
調整装置の典型的な役割は、投光器の照射範囲を適合することにあり、この際、この技術分野は、特に「照射範囲レギュレーション(Leuchtweitenregulierung)」(端的にLWRと呼ばれる)との表現で知られるようになった。
【0011】
位置調整のためには、普通は少なくとも1つの駆動装置が設けられており、この際、駆動装置は、通常は手動で操作可能である。例えば駆動装置は、回転ホイールないし調整ねじを含み、その回転運動が、適切な機構を介し、投光器ハウジング内の対応のスライド軌道部内に摺動可能に案内されたスライド要素の直線運動に変換される。光学関連の構成ユニットの位置調整点、例えば構成ユニットが取り付けられている支持フレームの位置調整点は、スライド要素に支承されており、それによりスライド要素の摺動時には、構成ユニットないし支持フレームが旋回される。
【0012】
本発明の課題は、改善された調整装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題は、以下の構成により解決され、即ち、各支持フレームは、位置調整三角形を有し、位置調整三角形は、それぞれ、定点支承部と、第1調整点支承部と、第2調整点支承部とにより構成されており、この際、これらの支持フレームは、それぞれの定点支承部を用いて関節式で組立構成部材に配設されており、またこの際、第1連結要素は、第1調整点支承部に係合し、第2連結要素は、第2調整点支承部に係合し、またこの際、各支持フレームの位置調整三角形は、これらの支持フレームの基本位置において水平面内に配置されており、またこの際、垂直方向旋回装置及び/又は水平方向旋回装置により基本位置からこれらの支持フレームが旋回されるときには、これらの支持フレームの位置調整三角形は、引き続き互いに平行な面内に位置することにより解決される。
即ち本発明の第1の視点により、
自動車投光器の少なくとも2つの光学関連の構成ユニットを調整するための調整装置であって、前記調整装置は、以下の構成を含み、即ち、
- 少なくとも1つの光学関連の構成ユニットを支持するようにそれぞれ構成されている少なくとも2つの支持フレームを含み、
- 少なくとも2つの前記支持フレームがそれぞれ水平軸線及び垂直軸線の周りに旋回可能に支承されている組立構成部材を含み、
- 少なくとも2つの前記支持フレームをそれらの前記水平軸線の周りで同時に旋回させるための垂直方向旋回装置を含み、但し前記垂直方向旋回装置は、そのために第1連結要素と、第1摺動軸線に沿って直線的に位置調整可能な第1調整アームを備えた第1駆動装置とを含み、前記第1連結要素は、少なくとも2つの前記支持フレームと関節式で接続されており、また前記第1駆動装置の前記第1調整アームは、前記第1連結要素に係合し、前記第1摺動軸線の方向に駆動し、それにより前記第1摺動軸線の方向における前記第1連結要素の位置調整では、少なくとも2つの前記支持フレームが、同時にそれらのそれぞれの前記水平軸線の周りで同じ方向に旋回可能であり、
- 少なくとも2つの前記支持フレームをそれらの前記垂直軸線の周りで同時に旋回させるための水平方向旋回装置を含み、但し前記水平方向旋回装置は、そのために第2連結要素と、第2摺動軸線に沿って直線的に位置調整可能な第2調整アームを備えた第2駆動装置とを含み、前記第2連結要素は、少なくとも2つの前記支持フレームと関節式で接続されており、また前記第2駆動装置の前記第2調整アームは、前記第2連結要素に係合し、前記第2摺動軸線の方向に駆動し、それにより前記第2摺動軸線の方向における前記第2連結要素の位置調整では、少なくとも2つの前記支持フレームが、同時にそれらのそれぞれの前記垂直軸線の周りで同じ方向に旋回可能である構成であり、
各前記支持フレームは、位置調整三角形を有し、前記位置調整三角形は、それぞれ、定点支承部と、第1調整点支承部と、第2調整点支承部とにより構成されており、これらの前記支持フレームは、それぞれの前記定点支承部を用いて関節式で前記組立構成部材に配設されており、また前記第1連結要素は、それぞれの前記第1調整点支承部に係合し、前記第2連結要素は、それぞれの前記第2調整点支承部に係合し、また各前記支持フレームの前記位置調整三角形は、これらの前記支持フレームの基本位置において水平面内に配置されており、また前記垂直方向旋回装置及び/又は前記水平方向旋回装置により前記基本位置からこれらの前記支持フレームが旋回されるときには、これらの前記支持フレームの前記位置調整三角形は、引き続き互いに平行な面内に位置すること、
を特徴とする調整装置が提供される。
より詳しくは、前記第1の視点において、
自動車投光器の少なくとも2つの光学関連の構成ユニットを調整するための調整装置であって、前記調整装置は、以下の構成を含み、即ち、
- 少なくとも1つの光学関連の構成ユニットを支持するようにそれぞれ構成されている少なくとも2つの支持フレームを含み、
- 少なくとも2つの前記支持フレームが、自動車内の前記調整装置の正確な取り付け位置で見て、それぞれ水平軸線及び垂直軸線の周りに旋回可能に支承されている組立構成部材を含み、
- 少なくとも2つの前記支持フレームをそれらの前記水平軸線の周りで同時に旋回させるための垂直方向旋回装置を含み、但し前記垂直方向旋回装置は、そのために第1連結要素と、第1摺動軸線に沿って直線的に位置調整可能な第1調整アームを備えた第1駆動装置とを含み、前記第1連結要素は、少なくとも2つの前記支持フレームと関節式で接続されており、また前記第1駆動装置の前記第1調整アームは、前記第1連結要素に係合し、前記第1摺動軸線の方向に駆動し、それにより前記第1摺動軸線の方向における前記第1連結要素の位置調整では、少なくとも2つの前記支持フレームが、同時にそれらのそれぞれの前記水平軸線の周りで同じ方向に旋回可能であり、
- 少なくとも2つの前記支持フレームをそれらの前記垂直軸線の周りで同時に旋回させるための水平方向旋回装置を含み、但し前記水平方向旋回装置は、そのために第2連結要素と、第2摺動軸線に沿って直線的に位置調整可能な第2調整アームを備えた第2駆動装置とを含み、前記第2連結要素は、少なくとも2つの前記支持フレームと関節式で接続されており、また前記第2駆動装置の前記第2調整アームは、前記第2連結要素に係合し、前記第2摺動軸線の方向に駆動し、それにより前記第2摺動軸線の方向における前記第2連結要素の位置調整では、少なくとも2つの前記支持フレームが、同時にそれらのそれぞれの前記垂直軸線の周りで同じ方向に旋回可能である構成であり、
各前記支持フレームは、位置調整三角形を有し、前記位置調整三角形は、それぞれ、定点支承部と、第1調整点支承部と、第2調整点支承部とにより構成されており、これらの前記支持フレームは、それぞれの前記定点支承部を用いて関節式で前記組立構成部材に配設されており、また前記第1連結要素は、それぞれの前記第1調整点支承部に係合し、前記第2連結要素は、それぞれの前記第2調整点支承部に係合し、また各前記支持フレームの前記位置調整三角形は、これらの前記支持フレームの基本位置において水平面内に配置されており、また前記垂直方向旋回装置及び/又は前記水平方向旋回装置により前記基本位置からこれらの前記支持フレームが旋回されるときには、これらの前記支持フレームの前記位置調整三角形は、引き続き互いに平行な面内に位置し、
前記第1連結要素及び/又は前記第2連結要素は、スライド式で案内されて前記組立構成部材に配設されていること、
を特徴とする。
更に本発明の第2の視点により、
前記調整装置を少なくとも1つ備えた照射装置であって、前記照射装置は、それぞれ1つの物体重心を有するライトモジュールを含み、また1つの支持フレームには、それぞれ1つのライトモジュールが配設されており、各前記ライトモジュールの前記物体重心は、前記照射装置の取り付け位置において、対応の前記支持フレームのそれぞれの定点支承部上に配置されていること、
を特徴とする照射装置が提供される。
更に本発明の第3の視点により、
前記調整装置を少なくとも1つ備えた又は前記照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器が提供される。
尚、本願の特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)
自動車投光器の少なくとも2つの光学関連の構成ユニットを調整するための調整装置であって、前記調整装置は、以下の構成を含み、即ち、
- 少なくとも1つの光学関連の構成ユニット、例えばライトモジュールを支持するようにそれぞれ構成されている少なくとも2つの支持フレームを含み、
- 少なくとも2つの前記支持フレームがそれぞれ水平軸線及び垂直軸線の周りに旋回可能に支承されている組立構成部材を含み、
- 少なくとも2つの前記支持フレームをそれらの前記水平軸線の周りで同時に旋回させるための垂直方向旋回装置を含み、但し前記垂直方向旋回装置は、そのために第1連結要素と、第1摺動軸線に沿って直線的に位置調整可能な調整アームを備えた第1駆動装置とを含み、前記第1連結要素は、少なくとも2つの前記支持フレームと関節式で接続されており、また前記第1駆動装置の前記調整アームは、前記第1連結要素に係合し、前記第1摺動軸線の方向に駆動し、それにより前記第1摺動軸線の方向における前記第1連結要素の位置調整では、少なくとも2つの前記支持フレームが、同時にそれらのそれぞれの前記水平軸線の周りで同じ方向に旋回可能であり、
- 少なくとも2つの前記支持フレームをそれらの前記垂直軸線の周りで同時に旋回させるための水平方向旋回装置を含み、但し前記水平方向旋回装置は、そのために第2連結要素と、第2摺動軸線に沿って直線的に位置調整可能な調整アームを備えた第2駆動装置とを含み、前記第2連結要素は、少なくとも2つの前記支持フレームと関節式で接続されており、また前記第2駆動装置の前記調整アームは、前記第2連結要素に係合し、前記第2摺動軸線の方向に駆動し、それにより前記第2摺動軸線の方向における前記第2連結要素の位置調整では、少なくとも2つの前記支持フレームが、同時にそれらのそれぞれの前記垂直軸線の周りで同じ方向に旋回可能である構成であり、
各前記支持フレームは、位置調整三角形を有し、前記位置調整三角形は、それぞれ、定点支承部と、第1調整点支承部と、第2調整点支承部とにより構成されており、これらの前記支持フレームは、それぞれの前記定点支承部を用いて関節式で前記組立構成部材に配設されており、また前記第1連結要素は、前記第1調整点支承部に係合し、前記第2連結要素は、前記第2調整点支承部に係合し、また各前記支持フレームの前記位置調整三角形は、これらの前記支持フレームの基本位置において水平面内に配置されており、また前記垂直方向旋回装置及び/又は前記水平方向旋回装置により前記基本位置からこれらの前記支持フレームが旋回されるときには、これらの前記支持フレームの前記位置調整三角形は、引き続き互いに平行な面内に位置すること。
(形態2)
前記第1摺動軸線は、前記基本位置において、前記支持フレームの前記位置調整三角形のそれぞれの前記水平面に対して直角方向に配置されており、また前記第2摺動軸線は、前記第1摺動軸線に対して直角方向に配置されていること、が好ましい。
(形態3)
前記定点支承部は、ボールジョイントとして構成されていること、が好ましい。
(形態4)
前記第1連結要素及び/又は前記第2連結要素は、スライド式で案内されて前記組立構成部材に配設されていること、が好ましい。
(形態5)
前記第1摺動軸線は、前記調整装置の取り付け位置において、垂直方向に向かう軸線であること、が好ましい。
(形態6)
前記第2摺動軸線は、前記調整装置の取り付け位置において、水平方向に位置する軸線であること、が好ましい。
(形態7)
前記組立構成部材は、自動車投光器ハウジングとして構成されていること、が好ましい。
(形態8)
前記第1連結要素及び前記第2連結要素は、剛体として構成されていること、が好ましい。
(形態9)
少なくとも2つの前記支持フレームは、同一構造で構成されていること、が好ましい。
(形態10)
少なくとも2つの前記支持フレームの前記位置調整三角形は、前記基本位置において、異なる水平面内に配置されていること、が好ましい。
(形態11)
前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置は、調整モータとして構成されていること、が好ましい。
(形態12)
前記調整装置は、正に2つの支持フレームを含んでいること、が好ましい。
(形態13)
形態1~12のいずれか1つに記載の調整装置を少なくとも1つ備えた照射装置であって、前記照射装置は、それぞれ1つの物体重心を有するライトモジュールを含み、また1つの支持フレームには、それぞれ1つのライトモジュールが配設されており、各前記ライトモジュールの前記物体重心は、前記照射装置の取り付け位置において、対応の前記支持フレームのそれぞれの定点支承部上に配置されていること。
(形態14)
形態1~12のいずれか1つに記載の調整装置を少なくとも1つ備えた又は形態13に記載の照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器。
【0015】
本発明により、今まで知られていた解決策に比べ、構成空間要求を減らすことができ、ないしより可変性をもって構成することができる。このことは、特に最新の投光器において利点であり、その理由は、車両デザインの観点、周囲の技術と機能の観点、並びに投光器内の追加的な技術の観点から要求がますます高まっていることにより、現存の構成空間が常により良く利用されなくてはならないためである。
【0016】
尚、「水平」、「水平面」、「垂直」、「直角」、「上方」、「下方」のような概念は、自動車投光器が自動車内の取り付け位置にあり、該自動車投光器内に正確にないし規定どおりに取り付けられた調整装置ないし照射装置に関することを述べておく。
【0017】
また、支持フレームの垂直軸線は、これらの支持フレームの基本位置において及び調整装置の取り付け位置において垂直方向に配置されており、この際、それぞれの水平軸線の周りにこれらの支持フレームが位置調整ないし旋回されるときには、これらの支持フレームの垂直軸線は、もはや正確に垂直方向に向かうのではなく、その向きを変えているが、この関連では引き続きこれらの支持フレームの垂直軸線と表現されることを述べておく。更にこれらの垂直軸線は、それぞれ、これらの支持フレーム自体の位置調整に依存せず、対応の支持フレームの位置調整三角形に対して常に直角方向にあることを述べておく。
【0018】
第1摺動軸線は、基本位置において、支持フレームの位置調整三角形のそれぞれの水平面に対して直角方向に配置されており、またこの際、第2摺動軸線は、第1摺動軸線に対して直角方向に配置されていることができる。
【0019】
少なくとも2つの支持フレームは、それぞれ1つの定点支承部を用いて組立構成部材に支承されていることができ、この際、定点支承部は、ボールジョイントとして構成されている。
【0020】
第1連結要素及び/又は第2連結要素は、スライド式で案内されて組立構成部材に配設されていることができる。
【0021】
第1摺動軸線は、垂直方向に向かう軸線であることができる。
【0022】
第2摺動軸線は、水平方向に位置する軸線であることができる。
【0023】
組立構成部材は、自動車投光器ハウジングとして構成されていることができる。
【0024】
第1連結要素及び第2連結要素は、剛体として構成されていることができる。
【0025】
少なくとも2つの支持フレームは、同一構造で構成されていることができる。
【0026】
少なくとも2つの支持フレームの位置調整三角形は、異なる水平面内に配置されていることができる。
【0027】
第1駆動装置及び第2駆動装置は、調整モータ(サーボモータ)として構成されていることができる。
【0028】
調整装置は、正に2つの支持フレームを含んでいることができる。
【0029】
前記課題は、同様に、本発明による調整装置を少なくとも1つ備えた照射装置により解決され、この際、照射装置は、それぞれ1つの物体重心を有するライトモジュールを含み、またこの際、1つの支持フレームには、それぞれ1つのライトモジュールが配設されており、この際、各ライトモジュールの物体重心は、照射装置の取り付け位置において、対応の支持フレームのそれぞれの定点支承部上に配置されている。
【0030】
それにより支持フレームは、その自重に基づき、システム内に遊びがないようにないし調整装置のそれぞれの「アクチュエータ」が予め負荷されているように、定点支承部上ないし調整装置上に載置されている。それによりシステム内の許容誤差チェーン(許容誤差の連なり)を減少ないし低減させることができ、従って調整装置は、全体的により正確であり、ないし少なくとも1つの光学関連の構成ユニットは、より精密に調節可能である。
【0031】
前記課題は、同様に、本発明による調整装置を少なくとも1つ備えた又は本発明による照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器により解決される。
【0032】
以下、例示の図面に基づき本発明を更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】例示の一調整装置を斜め上方から見た斜視図を示す図である。
図2図1の例示の調整装置を斜め下方から見た斜視図を示す図である。
【実施例
【0034】
図1は、自動車投光器の少なくとも2つの光学関連の構成ユニットを調整するための例示の一調整装置10を示しており、調整装置10は、少なくとも1つの光学関連の構成ユニット、例えばライトモジュールを支持するようにそれぞれ構成されている実質的に同一構造の2つの支持フレーム100、200を含んでいる。光学関連の構成ユニットないしライトモジュールは、一目瞭然性のために図面には記入されていない。
【0035】
更に調整装置10は、2つの支持フレーム100、200がそれぞれ水平軸線H1、H2及び垂直軸線V1、V2の周りに旋回可能に支承されている組立構成部材300を含んでいる。
【0036】
それに加え、調整装置10は、2つの支持フレーム100、200をそれらの水平軸線H1、H2の周りで同時に(垂直方向ないし上下方向で)旋回させるための垂直方向旋回装置400を含み、この際、垂直方向旋回装置400は、そのために第1連結要素410と、第1摺動軸線A1に沿って直線的に位置調整可能な調整アーム421を備え且つ調整モータ(サーボモータ)として構成された第1駆動装置420とを含んでいる。垂直方向旋回装置400は、図2の調整装置10の背面図でより良く見ることができる。
【0037】
この際、第1連結要素410は、2つの支持フレーム100、200と関節式で接続されており、またこの際、第1駆動装置420の調整アーム421は、第1連結要素410に係合し、第1摺動軸線A1の方向に駆動し、それにより第1摺動軸線A1の方向における第1連結要素410の位置調整では、2つの支持フレーム100、200が、同時にそれらのそれぞれの水平軸線H1、H2の周りで同じ方向に旋回可能である。
【0038】
更に調整装置10は、2つの支持フレーム100、200をそれらの垂直軸線V1、V2の周りで同時に(水平方向ないし左右方向で)旋回させるための水平方向旋回装置500を含み、この際、水平方向旋回装置500は、そのために第2連結要素510と、第2摺動軸線A2に沿って直線的に位置調整可能な調整アーム521を備え且つ調整モータ(サーボモータ)として構成された第2駆動装置520とを含んでいる。
【0039】
この際、第2連結要素510は、2つの支持フレーム100、200と関節式で接続されており、またこの際、第2駆動装置520の調整アーム521は、第2連結要素510に係合し、第2摺動軸線A2の方向に駆動し、それにより第2摺動軸線A2の方向における第2連結要素510の位置調整では、2つの支持フレーム100、200が、同時にそれらのそれぞれの垂直軸線V1、V2の周りで同じ方向に旋回可能である。
【0040】
第1連結要素410と第2連結要素510は、両方とも剛体として構成されており、それにより対応の調整アーム421、521の運動は、直接的にこれらの連結要素410、510により変換されることを述べておく。更にこれらの連結要素410、510は、スライド式で案内されて組立構成部材300に配設されている。
【0041】
それに加え、各支持フレーム100、200は、位置調整三角形D1、D2を有し、位置調整三角形D1、D2は、それぞれ、定点支承部110a、210aと、第1調整点支承部110b、210bと、第2調整点支承部110c、210cとにより構成されており、この際、これらの支持フレーム100、200は、それぞれの定点支承部110a、210aを用いて関節式で組立構成部材300に配設されている。定点支承部110a、210a、並びに第1調整点支承部110b、210b及び第2調整点支承部110c、210cは、それぞれ、組立構成部材300、並びに対応の連結要素410、510とともにボールジョイントとして構成されている。
【0042】
第1連結要素410は、第1調整点支承部110b、210bに係合し、第2連結要素510は、第2調整点支承部110c、210cに係合し、この際、各支持フレーム100、200の位置調整三角形D1、D2は、これらの支持フレーム100、200の基本位置において水平面内に配置されており、この際、これらの位置調整三角形D1、D2は、図1で見てとれるように、異なる水平面内に位置している。
【0043】
垂直方向旋回装置400及び/又は水平方向旋回装置500により基本位置からこれらの支持フレーム100、200が旋回されるときには、これらの支持フレーム100、200の位置調整三角形D1、D2は、引き続き互いに平行な面内に位置する。
【0044】
更に図示の例において、垂直方向旋回装置400の第1摺動軸線A1は、基本位置において、支持フレーム100、200の位置調整三角形D1、D2のそれぞれの水平面に対して直角方向に配置されており、この際、水平方向旋回装置500の第2摺動軸線A2は、これらの支持フレーム100、200の旋回ないし位置調整に依存せず、第1摺動軸線A1に対して直角方向に配置されている。
【0045】
この際、第1摺動軸線A1は、調整装置10の規定どおりの取り付け位置において、垂直方向に向かう軸線であり、第2摺動軸線A2は、調整装置10の規定どおりの取り付け位置において、水平方向に位置する軸線である。
【0046】
冒頭で既述したように、支持フレーム100、200上には、光学関連の構成部材、例えばライトモジュールが配設されているが、これらは、図面には記入されていない。この際、これらのライトモジュールは、それぞれ1つの物体重心を有し、この際、1つの支持フレーム100、200上には、それぞれ1つのライトモジュールが配設されており、またこの際、各ライトモジュールの物体重心は、調整装置10の取り付け位置において、対応の支持フレーム100、200のそれぞれの定点支承部110a、210a上に配置されている。
【符号の説明】
【0047】
10 調整装置
100、200 支持フレーム
110a、210a 定点支承部
110b、210b 第1調整点支承部
110c、210c 第2調整点支承部
300 組立構成部材
400 垂直方向旋回装置
410 第1連結要素
420 第1駆動装置
421 調整アーム(調整要素)
500 水平方向旋回装置
510 第2連結要素
520 第2駆動装置
521 調整アーム(調整要素)
H1、H2 水平軸線
V1、V2 垂直軸線
A1 第1摺動軸線
A2 第2摺動軸線
D1、D2 位置調整三角形
図1
図2