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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】熱交換器および冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20241129BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20241129BHJP
   F25B 39/00 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
F28F9/02 301D
F25B1/00 396B
F25B39/00 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023532946
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(86)【国際出願番号】 JP2021025605
(87)【国際公開番号】W WO2023281655
(87)【国際公開日】2023-01-12
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】石橋 晃
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/043768(WO,A1)
【文献】特開2001-050685(JP,A)
【文献】特開2018-119743(JP,A)
【文献】特開2014-137165(JP,A)
【文献】特開平10-009713(JP,A)
【文献】特開2002-228380(JP,A)
【文献】実開平07-012782(JP,U)
【文献】実開平08-338670(JP,U)
【文献】特開2007-212091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02
F25B 1/00
F25B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1伝熱管を有する第1伝熱部と、
複数の第2伝熱管を有する第2伝熱部と、
前記第1伝熱部の前記複数の第1伝熱管および前記第2伝熱部の前記複数の第2伝熱管を流れる非共沸混合冷媒とを備え、
前記第1伝熱部の前記複数の第1伝熱管および前記第2伝熱部の前記複数の第2伝熱管は一列に配置されており、
前記第1伝熱部および前記第2伝熱部は、前記非共沸混合冷媒が前記第1伝熱部から前記第2伝熱部に1回のみ折り返して流れるように構成されており、
前記第1伝熱部の前記複数の第1伝熱管の本数に対する前記第2伝熱部の前記複数の第2伝熱管の本数の割合は、共沸混合冷媒が用いられた場合に対して小さい、熱交換器。
【請求項2】
ヘッダーをさらに備え、
前記ヘッダーは、前記第1伝熱部の前記複数の第1伝熱管および前記第2伝熱部の前記複数の第2伝熱管の各々の両端にそれぞれ接続されている、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第1伝熱部の前記複数の第1伝熱管および前記第2伝熱部の前記複数の第2伝熱管の各々は、楕円管、円管および扁平多穴管の少なくともいずれかである、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
熱遮断機構をさらに備え、
前記熱遮断機構は、前記第1伝熱部と前記第2伝熱部との間に設けられている、請求項1~のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の前記熱交換器と、
前記熱交換器に流入する前記非共沸混合冷媒を圧縮するための圧縮機とを備えた、冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は熱交換器および冷凍サイクル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクル装置の熱交換器の性能向上手段として、伝熱管の多列化が提案されている。熱交換器は限られたスペースに実装されるため、多列化することで伝熱管の実装密度を向上させるとともに伝熱面積を拡大させることができる。例えば、特開2014-40983号公報(特許文献1)に記載された空気調和装置の室内ユニットの熱交換器は、多列化された伝熱管を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-40983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多列化された伝熱管を有する熱交換器に非共沸混合冷媒が用いられる場合、非共沸混合冷媒に温度分布が生じる影響により、空気流れに対して並行に冷媒が流れると熱交換ロスが生じる。また、多列化された伝熱管を有する熱交換器が室外熱交換器に適用され蒸発器として機能するときに非共沸混合冷媒が用いられる場合、非共沸混合冷媒に温度分布が生じる影響により、空気流れに対して並行に冷媒が流れると風上側の温度が低くなる影響で着霜が生じやすい。
【0005】
本開示は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、非共沸混合冷媒を用いつつ熱交換ロスを抑制することができ、かつ着霜を抑制することができる熱交換器および冷凍サイクル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の熱交換器は、複数の第1伝熱管を有する第1伝熱部と、複数の第2伝熱管を有する第2伝熱部と、第1伝熱部の複数の第1伝熱管および第2伝熱部の複数の第2伝熱管を流れる非共沸混合冷媒とを備えている。第1伝熱部の複数の第1伝熱管および第2伝熱部の複数の第2伝熱管は一列に配置されている。第1伝熱部および第2伝熱部は、非共沸混合冷媒が第1伝熱部から第2伝熱部に1回のみ折り返して流れるように構成されている。第1伝熱部の複数の第1伝熱管の本数に対する第2伝熱部の複数の第2伝熱管の本数の割合は、共沸混合冷媒が用いられた場合に対して小さい。
【発明の効果】
【0007】
本開示の熱交換器によれば、非共沸混合冷媒を用いつつ熱交換ロスを抑制することができ、かつ着霜を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の冷媒回路図である。
図2】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の室外機の内部構造を概略的に示す上面図である。
図3】実施の形態1に係る熱交換器を概略的に示す正面図である。
図4】実施の形態1に係る熱交換器の第1伝熱管および第2伝熱管を概略的に示す断面図である。
図5】実施の形態1に係る熱交換器の変形例1を概略的に示す断面図である。
図6】実施の形態1に係る熱交換器の変形例2を概略的に示す断面図である。
図7】実施の形態1に係る熱交換器の変形例3を概略的に示す正面図である。
図8】実施の形態1に係る熱交換器の変形例4を概略的に示す正面図である。
図9】実施の形態1に係る熱交換器の変形例5を概略的に示す正面図である。
図10】実施の形態2に係る熱交換器を概略的に示す正面図である。
図11】実施の形態2に係る熱交換器の変形例1のフィンを概略的に示す斜視図である。
図12】実施の形態2に係る熱交換器の変形例2を概略的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。なお、図中において、同一または相当する部分には同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0010】
実施の形態1.
図1を参照して、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の構成について説明する。実施の形態1では、冷凍サイクル装置100の一例として空気調和機について説明する。図1中実線矢印は、冷房運転時における冷媒の流れを示している。図1中破線矢印は、暖房運転時における冷媒の流れを示している。
【0011】
図1に示されるように、冷凍サイクル装置100は、圧縮機1と、四方弁2と、室外熱交換器3と、膨張弁4と、室内熱交換器5と、室外送風機6と、室内送風機7と、制御装置8とを備えている。実施の形態1に係る熱交換器HEは、室外熱交換器3に適用されている。冷凍サイクル装置100は、室外機101と、室外機101に接続された室内機102とを備えている。
【0012】
冷媒回路10は、圧縮機1、四方弁2、室外熱交換器3、膨張弁4および室内熱交換器5を含んでいる。圧縮機1、四方弁2、室外熱交換器3、膨張弁4および室内熱交換器5は、配管20によって接続されている。冷媒回路10は、冷媒を循環させるように構成されている。
【0013】
冷媒は、非共沸混合冷媒である。非共沸混合冷媒は、R32を含み、他の冷媒としてR1234yfを含んでいてもよい。非共沸混合冷媒は、他の冷媒としてR1123あるいはR1234zeを含んでいてもよい。また、非共沸混合冷媒は、3種類以上の混合冷媒であってもよい。
【0014】
圧縮機1、四方弁2、室外熱交換器3、膨張弁4、室外送風機6および制御装置8は、室外機101に収容されている。室内熱交換器5および室内送風機7は、室内機102に収容されている。室外機101と室内機102とは、ガス管21と液管22とにより接続されている。配管20の一部がガス管21および液管22を構成している。
【0015】
冷媒回路10は、冷房運転時には、圧縮機1、四方弁2、室外熱交換器3、膨張弁4、室内熱交換器5、四方弁2の順に冷媒が循環するように構成されている。また、冷媒回路10は、暖房運転時には、圧縮機1、四方弁2、室内熱交換器5、膨張弁4、室外熱交換器3、四方弁2の順に冷媒が循環するように構成されている。
【0016】
圧縮機1は、冷媒を圧縮するように構成されている。圧縮機1は、熱交換器HEに流入する非共沸混合冷媒を圧縮するためのものである。圧縮機1は、吸入した冷媒を圧縮して吐出するように構成されている。圧縮機1は、容量可変に構成されていてもよい。圧縮機1は、制御装置8からの指示に基づいて圧縮機1の回転数が調整されることにより容量が変化するように構成されていてもよい。
【0017】
四方弁2は、圧縮機1により圧縮された冷媒を室外熱交換器3または室内熱交換器5に流すように冷媒の流れを切替えるように構成されている。四方弁2は、第1ポートP1~第4ポートP4を有している。第1ポートP1は、圧縮機1の吐出側に接続されている。第2ポートP2は圧縮機1の吸入側に接続されている。第3ポートP3は、室外熱交換器3に接続されている。第4ポートP4は、室内熱交換器5に接続されている。四方弁2は、冷房運転時には圧縮機1から吐出された冷媒を室外熱交換器3に流すように構成されている。冷房運転時には、四方弁2において第1ポートP1に第3ポートP3が接続されているとともに第2ポートP2に第4ポートP4が接続されている。また、四方弁2は、暖房運転時には圧縮機1から吐出された冷媒を室内熱交換器5に流すように構成されている。暖房運転時には、四方弁2において第1ポートP1に第4ポートP4が接続されているとともに第2ポートP2に第3ポートP3が接続されている。
【0018】
室外熱交換器3は、室外熱交換器3の内部を流れる冷媒と室外熱交換器3の外部を流れる空気との間で熱交換を行うように構成されている。室外熱交換器3は、冷房運転時には冷媒を凝縮させる凝縮器として機能し、暖房運転時には冷媒を蒸発させる蒸発器として機能するように構成されている。
【0019】
膨張弁4は、凝縮器で凝縮された冷媒を膨張させることにより減圧させるように構成されている。膨張弁4は、冷房運転時には室外熱交換器3により凝縮された冷媒を減圧させ、暖房運転時には室内熱交換器5により凝縮された冷媒を減圧させるように構成されている。膨張弁4は、たとえば、電磁膨張弁である。
【0020】
室内熱交換器5は、室内熱交換器5の内部を流れる冷媒と室内熱交換器5の外部を流れる空気との間で熱交換を行うように構成されている。室内熱交換器5は、冷房運転時には冷媒を蒸発させる蒸発器として機能し、暖房運転時には冷媒を凝縮させる凝縮器として機能するように構成されている。
【0021】
室外送風機6は、室外熱交換器3に室外の空気を送風するように構成されている。つまり、室外送風機6は、室外熱交換器3に対して空気を供給するように構成されている。
【0022】
室内送風機7は、室内熱交換器5に室内の空気を送風するように構成されている。つまり、室内送風機7は、室内熱交換器5に対して空気を供給するように構成されている。
【0023】
制御装置8は、演算、指示等を行って冷凍サイクル装置100の各機器等を制御するように構成されている。制御装置8は、圧縮機1、四方弁2、膨張弁4、室外送風機6、室内送風機7などに電気的に接続されており、これらの動作を制御するように構成されている。
【0024】
図2を参照して、室外機101の構成について詳しく説明する。
室外機101は、圧縮機1、四方弁2、室外熱交換器3、膨張弁4、室外送風機6および制御装置8を有している。室外機101は、筐体101aおよびセパレーター101bを有している。筐体101aの内部はセパレーター101bによって機械室101cと送風室101dとに仕切られている。圧縮機1、四方弁2、膨張弁4および制御装置8は、機械室101cに配置されている。室外熱交換器3および室外送風機6は、送風室101dに配置されている。
【0025】
室外熱交換器3は、室外送風機6と向かい合うように配置されている。室外熱交換器3は、筐体101aの背面に沿って配置されている。室外熱交換器3は、筐体101aの幅方向に延在している。室外熱交換器3は、一列に構成されている。
【0026】
図3および図4を参照して、実施の形態1に係る熱交換器HEが適用された室外熱交換器3の構成について詳しく説明する。図3中実線矢印は、冷房運転時における冷媒の流れを示している。
【0027】
本実施の形態では、室外熱交換器3は、第1伝熱部31と、第2伝熱部32と、複数のフィン33と、ヘッダー34と、非共沸混合冷媒とを備えている。室外熱交換器3は、パラレルフロー型熱交換器である。本実施の形態では、第1伝熱部31は第2伝熱部32の上側に配置されている。つまり、第1伝熱部31は上段部を構成しており、第2伝熱部32は下段部を構成している。
【0028】
第1伝熱部31は、複数の第1伝熱管31aを有している。第1伝熱部31の複数の第1伝熱管31aは、直線状に延びるように構成されている。第2伝熱部32は、複数の第2伝熱管32aを有している。第2伝熱部32の複数の第2伝熱管32aは、直線状に延びるように構成されている。第1伝熱部31の複数の第1伝熱管31aおよび第2伝熱部32の複数の第2伝熱管32aは一列に配置されている。複数の第1伝熱管31aの各々は互いに重ねられている。複数の第2伝熱管32aの各々は互いに重ねされている。複数の第1伝熱管31aおよび複数の第2伝熱管32aの各々は互いに重ねられている。
【0029】
第1伝熱部31の複数の第1伝熱管31aおよび第2伝熱部32の複数の第2伝熱管32aの各々は、楕円管、円管および扁平多穴管の少なくともいずれかである。本実施の形態では、複数の第1伝熱管31aおよび複数の第2伝熱管32aの各々は、扁平管である。扁平管は、複数の第1伝熱管31aおよび複数の第2伝熱管32aの各々が互いに一列に並んだ方向に短軸を有し、複数の第1伝熱管31aおよび複数の第2伝熱管32aの各々が互いに一列に並んだ方向に直交する方向に長軸を有している。複数の第1伝熱管31aおよび複数の第2伝熱管32aの各々は1つの冷媒流路RPを有している。
【0030】
非共沸混合冷媒は、第1伝熱部31の複数の第1伝熱管31aおよび第2伝熱部32の複数の第2伝熱管32aを流れる。第1伝熱部31および第2伝熱部32は、非共沸混合冷媒が第1伝熱部31から第2伝熱部32に1回のみ折り返して流れるように構成されている。
【0031】
第1伝熱部31の複数の第1伝熱管31aの本数は、第2伝熱部32の複数の第2伝熱管32aの本数よりも少ない。第1伝熱部31の複数の第1伝熱管31aの本数に対する第2伝熱部32の複数の第2伝熱管32aの本数の割合は30%以下である。共沸混合冷媒が用いられた場合、第1伝熱部31の複数の第1伝熱管31aの本数に対する第2伝熱部32の複数の第2伝熱管32aの本数の割合は35%である。第1伝熱部31の複数の第1伝熱管31aの本数に対する第2伝熱部32の複数の第2伝熱管32aの本数の割合は、共沸混合冷媒が用いられた場合に対して小さい。
【0032】
本実施の形態では、複数のフィン33の各々は、コルゲートフィンである。複数のフィン33の各々は、複数の第1伝熱管31aの隣り合う第1伝熱管31aの各々の間に配置されている。複数のフィン33の各々は、複数の第1伝熱管31aの隣り合う第1伝熱管31aの各々に接している。複数のフィン33の各々は、複数の第2伝熱管32aの隣り合う第2伝熱管32aの各々の間に配置されている。複数のフィン33の各々は、複数の第2伝熱管32aの隣り合う第2伝熱管32aの各々に接している。
【0033】
ヘッダー34は、第1伝熱部31の複数の第1伝熱管31aおよび第2伝熱部32の複数の第2伝熱管32aの各々の両端にそれぞれ接続されている。ヘッダー34は、第1ヘッダー部34aと、第2ヘッダー部34bとを含んでいる。第1ヘッダー部34aは、第1伝熱部31の複数の第1伝熱管31aおよび第2伝熱部32の複数の第2伝熱管32aの各々の一端(第1端)に接続されている。第2ヘッダー部34bは、第1伝熱部31の複数の第1伝熱管31aおよび第2伝熱部32の複数の第2伝熱管32aの各々の他端(第2端)に接続されている。
【0034】
第1ヘッダー部34aは、冷媒入口および冷媒出口を有している。第1ヘッダー部34a内に仕切り部34cが設けられている。仕切り部34cは、第1伝熱部31と第2伝熱部32との境界に配置されている。このため、冷媒入口から第1ヘッダー部34aに流入した冷媒は、第1伝熱部31の複数の第1伝熱管31aを通って第2ヘッダー部34bに流れ、第2ヘッダー部34bで折り返して複数の第2伝熱管32aを通って第1ヘッダー部34aに流れる。第1ヘッダー部34aに流れた冷媒は、冷媒出口から流出する。このように、冷媒は、第1伝熱部31から第2伝熱部32に1回のみ折り返すように流れる。
【0035】
続いて、図1図3を参照して、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の動作について説明する。
【0036】
冷凍サイクル装置100は、冷房運転と暖房運転とを選択的に行うことが可能である。冷房運転時には、圧縮機1、四方弁2、室外熱交換器3、膨張弁4、室内熱交換器5、四方弁2の順に冷媒が冷媒回路10を循環する。冷房運転時には室外熱交換器3は、凝縮器として機能する。室外熱交換器3を流れる冷媒と室外送風機6によって送風される空気との間で熱交換が行われる。冷房運転時には室内熱交換器5は、蒸発器として機能する。室内熱交換器5を流れる冷媒と室内送風機7によって送風される空気との間で熱交換が行われる。
【0037】
圧縮機1から吐出された高圧ガス冷媒は、ガス流入管を経由して室外熱交換器3の第1ヘッダー部34aの冷媒入口に流入する。第1ヘッダー部34aに流入した高圧ガス冷媒は、第1伝熱部31の複数の第1伝熱管31aに分配され、乾き度0.1程度まで凝縮することにより気液二相冷媒となる。気液二相冷媒は、第2ヘッダー部34bで合流し、第2伝熱部32の複数の第2伝熱管32aに分配され、飽和液を超えて過冷却液冷媒となる。過冷却液冷媒は、第1ヘッダー部34aで合流し、第1ヘッダー部34aの冷媒出口から流出する。
【0038】
暖房運転には、圧縮機1、四方弁2、室内熱交換器5、膨張弁4、室外熱交換器3、四方弁2の順に冷媒が冷媒回路10を循環する。暖房運転時には室内熱交換器5は、凝縮器として機能する。室内熱交換器5を流れる冷媒と室内送風機7によって送風される空気との間で熱交換が行われる。暖房運転時には室外熱交換器3は、蒸発器として機能する。室外熱交換器3を流れる冷媒と室外送風機6によって送風される空気との間で熱交換が行われる。
【0039】
室内熱交換器5から膨張弁4に流入した過冷却液冷媒は、膨張弁4で減圧されることにより低乾き度の低圧気液二相冷媒となる。低圧気液二相冷媒は、室外熱交換器3の第1ヘッダー部34aの冷媒入口に流入する。第1ヘッダー部34aに流入した低圧気液二相冷媒は、第2伝熱部32の複数の第2伝熱管32aに分配され、蒸発する。低圧気液二相冷媒は、第2ヘッダー部34bで合流し、第1伝熱部31の複数の第1伝熱管31aに分配され、さらに蒸発気化することにより過熱蒸気冷媒となる。過熱蒸気冷媒は、第1ヘッダー部34aで合流し、第1ヘッダー部34aの冷媒出口から流出する。
【0040】
また、冷凍サイクル装置100は、除霜運転を選択的に行うことが可能であってもよい。除霜運転時には、冷房運転時と同じように冷媒が冷媒回路10を循環する。除霜運転時には室外熱交換器3は凝縮器として機能し、室内熱交換器5は蒸発器として機能する。
【0041】
続いて、実施の形態1に係る熱交換器HEが適用された室外熱交換器3の変形例について説明する。
【0042】
図5を参照して、実施の形態1に係る室外熱交換器3の変形例1では、複数の第1伝熱管31aおよび複数の第2伝熱管32aの各々は、円管である。
【0043】
図6を参照して、実施の形態1に係る室外熱交換器3の変形例2では、複数の第1伝熱管31aおよび複数の第2伝熱管32aの各々は、扁平多穴管である。扁平多穴管は、複数の冷媒流路RPを有している。複数の冷媒流路RPは、扁平多穴管の長軸方向に並んで配置されている。
【0044】
図7を参照して、実施の形態1に係る室外熱交換器3の変形例3では、室外熱交換器3は、複数の第1伝熱管31aおよび複数の第2伝熱管32aと、ヘッダー34と、複数のプレートフィン35とを有している。複数のプレートフィン35の各々は薄板状に構成されている。複数のプレートフィン35は互いに積層するように配置されている。複数の第1伝熱管31aおよび複数の第2伝熱管32aの各々は、複数のプレートフィン35を貫通している。室外熱交換器3は、フィンアンドチューブ式熱交換器である。
【0045】
図8を参照して、実施の形態1に係る室外熱交換器3の変形例4では、室外熱交換器3は、複数の第1伝熱管31aおよび複数の第2伝熱管32aと、ヘッダー34とを有している。この変形例4では、室外熱交換器3は、フィンを有していない。
【0046】
図9を参照して、実施の形態1に係る室外熱交換器3の変形例5では、室外熱交換器3は、複数の第1伝熱管31aおよび複数の第2伝熱管32aと、複数のフィン33と、ヘッダー34とを有している。
【0047】
複数の第1伝熱管31aおよび複数の第2伝熱管32aの各々は、鉛直方向(重力方向)に延在している。このため、複数の第1伝熱管31aおよび複数の第2伝熱管32aの各々の排水性が向上する。複数のフィン33の各々は、コルゲートフィンである。コルゲートフィンは、鉛直方向(重力方向)に延在している。このため、コルゲートフィンの排水性が向上する。ヘッダー34は、水平方向に延在している。このため、ヘッダー34での冷媒の均等分配が向上する。
【0048】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態に係る熱交換器HEによれば、第1伝熱部31の複数の第1伝熱管31aおよび第2伝熱部32の複数の第2伝熱管32aは一列に配置されている。このため、非共沸混合冷媒は、空気流れに対して並行に流れない。そのため、非共沸混合冷媒の温度勾配による熱交換ロスを抑制することができる。つまり、非共沸混合冷媒の温度勾配によって非共沸混合冷媒と空気との温度差が小さくなることによる熱交換ロスを抑制することができる。これにより、熱交換効率を向上させることができる。さらに、非共沸混合冷媒は、空気流れに対して並行に流れないため、熱交換器HEが室外熱交換器3に適用され蒸発器として機能するときに、風上側の温度が低くなることを抑制することができる。このため、着霜を抑制することができる。
【0049】
また、第1伝熱部31および第2伝熱部32は、非共沸混合冷媒が第1伝熱部31から第2伝熱部32に1回のみ折り返して流れるように構成されている。このため、非共沸混合冷媒の気液二相領域の温度差による冷媒間の熱交換ロスを最小化することができる。つまり、非共沸混合冷媒の気液二相領域の温度勾配によって折り返し毎に生じる冷媒間の熱交換ロスを最小化することができる。これにより、熱交換効率を向上させることができる。
【0050】
以上より、熱交換器HEに非共沸混合冷媒を用いつつ熱交換ロスを抑制することができる。また、熱交換器HEが室外熱交換器3に適用され蒸発器として機能するときに非共沸混合冷媒を用いつつ着霜を抑制することができる。
【0051】
本実施の形態に係る熱交換器HEによれば、第1伝熱部31の複数の第1伝熱管31aの本数に対する第2伝熱部32の複数の第2伝熱管32aの本数の割合は、共沸混合冷媒が用いられた場合に対して小さい。このため、非共沸混合冷媒のサブクール部の伝熱管の本数を共沸混合冷媒が用いられた場合のサブクール部の伝熱管の本数よりも少なくすることができる。これにより、熱交換効率を向上させることができる。
【0052】
冷房運転時に熱交換器HEが凝縮器として機能する場合、非共沸混合冷媒の温度勾配によって飽和液温度が共沸冷媒に対して低くなる影響により限界の過冷却度が必然的に小さくなる。このため、共沸混合冷媒が用いられる場合に対して、非共沸冷媒が過冷却液となる第2伝熱部32の第2伝熱管32aの本数を少なくし、気液二相域冷媒を凝縮させる第1伝熱部31の第1伝熱管31aの本数を増やすことで、熱交換効率を向上させることができる。
【0053】
暖房運転時に下段部である第2伝熱部32の第2伝熱管32aの本数が上段部である第1伝熱部31の第1伝熱管31aの本数よりも少ないため、上段部である第1伝熱部31に対して圧力損失を増大させることで冷媒温度を高くすることができる。これにより、根氷が生じ易い下段部である第2伝熱部32の最下部での着氷を抑制することができる。
【0054】
本実施の形態に係る熱交換器HEによれば、ヘッダー34は、第1伝熱部31の複数の第1伝熱管31aおよび第2伝熱部32の複数の第2伝熱管32aの各々の両端にそれぞれ接続されている。このため、熱交換器HEをパラレルフロー型熱交換器とすることができる。
【0055】
本実施の形態に係る熱交換器HEによれば、第1伝熱部31の複数の第1伝熱管31aおよび第2伝熱部32の複数の第2伝熱管32aの各々は、楕円管、円管および扁平多穴管の少なくともいずれかである。このため、生産の自由度を向上させることができる。
【0056】
本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100によれば、上記の熱交換器HEを備えている。このため、非共沸混合冷媒を用いつつ熱交換ロスを抑制することができ、かつ着霜を抑制することができる熱交換器HEを備えた冷凍サイクル装置100を提供することができる。
【0057】
実施の形態2.
実施の形態2に係る熱交換器HEは、特に説明しない限り、実施の形態1に係る熱交換器HEと同一の構成、動作および作用効果を有している。
【0058】
図10を参照して、実施の形態2に係る熱交換器HEは、熱遮断機構40をそなえている。熱遮断機構40は、第1伝熱部31と第2伝熱部32との間に設けられている。具体的には、熱遮断機構40は、第1伝熱部31の第1伝熱管31aと第2伝熱部32の第2伝熱管32aとの間に設けられている。熱遮断機構40は、仕切り板41である。仕切り板41は、第1伝熱管31aから第2伝熱管32aへの伝熱を遮断可能に構成されている。仕切り板41は、フィン33よりも低い熱伝導率を有している。
【0059】
図11を参照して、実施の形態2に係る熱交換器HEの変形例1のフィン33では、熱遮断機構40は、スリット42である。スリット42は、フィン33の山部と谷部との中間でフィン33を分離するように設けられている。なお、フィン33の山部は第1伝熱部31の第1伝熱管31aに固定されており、フィン33の谷部は第2伝熱部32の第2伝熱管32aに固定されている。
【0060】
図12を参照して、実施の形態2に係る熱交換器HEの変形例2では、熱遮断機構40は、隙間43である。隙間43には、フィン33は配置されていない。
【0061】
本実施の形態に係る熱交換器HEによれば、熱遮断機構40は、第1伝熱部31と第2伝熱部32との間に設けられている。このため、熱遮断機構40により第1伝熱部31と第2伝熱部32との間の伝熱を抑制することができる。これにより、非共沸混合冷媒の気液二相領域の温度勾配によって第1伝熱部31と第2伝熱部32との折り返しで生じる冷媒間の熱交換ロスを抑制することができる。
【0062】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0063】
1 圧縮機、2 四方弁、3 室外熱交換器、4 膨張弁、5 室内熱交換器、6 室外送風機、7 室内送風機、8 制御装置、10 冷媒回路、31 第1伝熱部、31a 第1伝熱管、32 第2伝熱部、32a 第2伝熱管、33 フィン、34 ヘッダー、34a 第1ヘッダー部、34b 第2ヘッダー部、40 熱遮断機構、100 冷凍サイクル装置、HE 熱交換器。
図1
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