(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】キャタピラートラックでの使用に適切なローラーチェーンリンクアセンブリ用のリンクユニット
(51)【国際特許分類】
B62D 55/21 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
B62D55/21 A
B62D55/21 Z
(21)【出願番号】P 2023541244
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(86)【国際出願番号】 MY2020050201
(87)【国際公開番号】W WO2022060214
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】PI2020004776
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MY
(73)【特許権者】
【識別番号】523093077
【氏名又は名称】イーアイケー エンジニアリング エスディーエヌ ビーエイチディー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】テェウ,キム ブーン
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0001770(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0086265(US,A1)
【文献】米国特許第02911840(US,A)
【文献】米国特許第04968104(US,A)
【文献】特表2015-525703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャタピラートラックのローラーチェーンリンクアセンブリ用のリンクユニット(101)であって、前記
リンクユニット(101)は、
本体、及び前記本体の各々の軸端のそれぞれでサイドバー部(112)を保持する座部(103)を有する、ブッシング(102)と、
前記ブッシング(102)に対して回転するために前記ブッシング(102)に搭載された外側ローラー(105)と、
前記外側ローラー(105)の内面と前記ブッシング(102)の外面との間に配置された摩擦を減らすための手段(106)と、
前記ブッシング(102)の前記本体の各軸端に配置されたシール部材(104)と、を含み、
前記外側ローラー(105)の前記内面には、前記
リンクユニット(101)の軸長に沿って潤滑剤を運ぶために、前記外側ローラー(105)の内部に設けられた潤滑剤を運ぶための手段(108)があり、前記
潤滑剤を運ぶための手段(108)によって、前記外側ローラー(105)の前記内面と前記摩擦
を減らすための手段(106)の前記外面との間に潤滑層を形成し、
前記潤滑
剤を運ぶための手段
(108)は、前記摩擦を減らすための手段(106)を収容するために、前記外側ローラー(105)の前記内面の略中心に位置付けられた環状溝の形態であり、前記潤滑剤を運ぶための手段(108)は、前記摩擦を減らすための手段(106)の反対側と係合する延在壁の対(110)を含み、それにより、前記摩擦を減らすための手段(106)は前記
環状溝により適所に保持され、さらに、前記延在壁(110)により、前記摩擦を減らすための手段(106)及び前記シール部材(104)が分離され、前記摩擦を減らすための手段(106)と前記シール部材(104)との間に、ギャップが形成され、
前記摩擦
を減らすための手段(106)は、単列として形成され、前記軸長に沿って軸方向に及び前記外側ローラー(105)の前記内面の周りで半径方向に配置されている複数の内側ローラー(107)を備えることを特徴とする、リンクユニット(101)。
【請求項2】
前記複数の内側ローラー(107)のそれぞれは、前記ブッシング(102)の前記外面と接触しながら、前記外側ローラー(105)に対応する軸を中心に独立して回るように構成される、請求項1に記載のリンクユニット(101)。
【請求項3】
前記潤滑剤を運ぶための手段(108)は、前記外側ローラー(105)の前記内面に沿って軸方向に延在する連続スパイラル状溝またはらせん状溝を含む、請求項1または2に記載のリンクユニット(101)。
【請求項4】
前記潤滑剤を運ぶための手段(108)は、前記外側ローラー(105)の前記内面に沿って軸方向に延在する滑面を含む、請求項1または2に記載のリンクユニット(101)。
【請求項5】
前記シール部材(104)は、前記
リンクユニット(101)からの潤滑剤の放出及び前記
リンクユニット(101)への異物の進入を最小にするために、前記ブッシング(102)の前記本体の各軸端に配置されるように構成される、請求項1に記載のリンクユニット(101)。
【請求項6】
前記シール部材(104)は環状シールである、請求項5に記載のリンクユニット。
【請求項7】
前記外側ローラー(105)は各々の軸端のそれぞれに内部凹部(109)を有する、請求項1に記載のリンクユニット(101)。
【請求項8】
前記外側ローラー(105)は前記ブッシング(102)が外側ローラー(105)の内部で回転可能に軸支される中空部を有する、請求項7に記載のリンクユニット(101)。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載のリンクユニット(101)を有するキャタピラートラックに適切なローラーチェーンリンクアセンブリ(111)。
【請求項10】
請求項9に記載のローラーチェーンリンクアセンブリ(111)を有するキャタピラートラック(301)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリンクユニットに関する。具体的には、本発明は、キャタピラートラックでの使用に適切なローラーチェーンリンクアセンブリに組み立てられるリンクユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
溝掘り機、アーススクラップ車両、及び掘削機等のトラック型機械で使用されるいくつかのリンクアセンブリは、横方向に配置されたピンによって相互接続される複数のリンクを含む平行トラックチェーンの対を含む。多くの場合、これらの機械は摩耗環境に関わり、したがって、ブッシング及びピンを潤滑状態に維持することによって、同時に、摩耗材がブッシング面またはピン面に入ることを防止することによって、チェーンブッシングを保護及び防護することが望ましくなっている。実際には、ブッシングが、設けられたローラーの中空部に配置されることにより、ブッシングは、中空部内でローラーに対して回転し得る。ローラーチェーンがトラック型機械での使用に適応するため、ほこり、水、または同等物の環境への露出は避けられない。したがって、シール機構は、一般的に、チェーンリンクプレートと、ブッシングが配置されたローラーとの間に設けられ、ローラーと、ローラーを回転可能に支持するブッシングとの間に異物の侵入または進入を防止し、さらに、好ましくは、ローラーとブッシングとの間でシールされたグリースまたは油の漏れを防止する。
【0003】
図3は、ローラーチェーンリンクアセンブリにおける従来型ローラー及びブッシングユニット201の斜視図を示す。ローラー202には両方の軸端に外部フランジ203が提供され、ブッシング205はローラー202の中空部に効果的に配置される。従来、潤滑剤は、ローラー202の内面204とブッシング205の外面との間の空間またはギャップに提供され、潤滑層が形成され得る。開口207を有するチェーンリンクプレート206は、ブッシングユニット201の軸端に配置され、接続ピンは、チェーンリンクプレートの開口及びローラー及びブッシングユニットを通って動作可能に延在する状態になることによって、ローラーチェーンリンクアセンブリが実現することに留意されたい。ローラーチェーンリンクアセンブリ用の前述の従来型ローラー及びブッシングユニットでは、シール機構は、設置中、必要に応じて、ローラーとリンクプレートとの間に提供され得る。本質的に、上記の該ローラー及びブッシングユニットの従来の構成は、そのローラーの回転性能に関して十分ではない。シール機構は、一般的に、ローラーまたはリンクプレートと密接に接触するように構成される環状シールから成るが、単なる密接な接触では、適所におけるシール機構の固定が確実ではない。ローラーと密接に接触していないため、シール性能が比較的十分ではない場合、潤滑油はローラーの端面とシール機構との間のいずれかの空間またはギャップから漏れる可能性がある。例えば、シール機構は、トラック型機械の摩耗動作中及び過酷な動作中にある場所から簡単に滑り落ち得、それによって、空間またはギャップに漏れが発生した状態のままになる。さらに、不要なほこり、水、または同等物等の異物が空間またはギャップを通って入り、潤滑油と混合して固まるような問題が生じる可能性がある。それによって、ローラー及びブッシングの損耗及び引裂が生じ、結果的に、損耗によってローラーの回転の故障が生じる。従来、ローラーの内面は実質的に滑らかであるが、ローラー内に潤滑油を保持するためのチャネルが不足している。そのような状況では、過度の潤滑油と、ローラー及びブッシングユニットとの間で直面する圧力は、ローラーとブッシングとの間の潤滑層から油の漏れを強制的に誘発する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、具体的には、ローラーとブッシングとの間の摩擦接触を減らすことが可能である機構を有するトラック型機械に適切なローラーチェーンリンクアセンブリ用のローラー及びブッシングユニットを提供する必要があり、それによって、過酷な状況での使用中のローラー及びブッシングユニットの実現可能性が高まる。本発明はそのような解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、キャタピラートラック型機械で使用されるのに適切なローラーチェーンリンクアセンブリ用のリンクユニットを提供することである。有利に、リンクユニットは、ブッシングがローラーの中空部に軸支されるとき、ローラーの内面及びブッシングの外面に効果的に配置された摩擦を減らすための手段を有するローラーから成る。
【0006】
本発明の別の態様は、キャタピラートラック型機械で使用されるのに適切なローラーチェーンリンクアセンブリ用のリンクユニットを提供することである。基本的に、前述のリンクユニットの対が、サイドバー部の対の反対端のそれぞれに接続されることによって、ローラーチェーンジョイントが実現する。有利に、ローラーチェーンリンクアセンブリは、前述のリンクユニットから引き継がれた追加の特徴により、過酷な環境及び摩耗環境に耐性がある。
【0007】
さらに別の態様では、本発明は、前述のようなリンクユニットから成る前述のローラーチェーンリンクアセンブリを利用するトラック型機械に適切なキャタピラートラックに関する。
【0008】
前述の目的の少なくとも1つは、全体的または部分的に満され、本発明の実施形態は、キャタピラートラックのローラーチェーンリンクアセンブリ用のリンクユニットを説明し、ユニットは、本体、及び本体の各々の軸端のそれぞれにサイドバー部を保持する座部を有するブッシングと、ブッシングに対して回転するためにブッシングに搭載された外側ローラーと、外側ローラーの内面とブッシングの外面との間に配置された摩擦を減らすための手段と、ブッシングの本体の各軸端に配置されたシール部材と、を含み、外側ローラーの内面には、ユニットの軸長に沿って潤滑剤を運ぶために、外側ローラーの内部に設けられた潤滑剤を運ぶための手段があり、その手段によって、外側ローラーの内面と摩擦低減手段の外面との間に潤滑層を形成し、潤滑剤を運ぶための手段は、外側ローラーの内面の略中心に位置付けられた環状溝の形態であり、摩擦を減らすための手段の反対側と係合する延在壁の対を有し、それにより、摩擦を減らすための手段は溝により適所に保持され、さらに、延在壁により、摩擦を減らすための手段及びシール部材が分離され、摩擦を減らすための手段とシール部材との間に、ギャップが形成され、摩擦低減手段は、単列として形成され、軸長に沿って軸方向に及び外側ローラーの内面の周りで半径方向に配置されている複数の内側ローラーを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の別の好ましい実施形態では、複数の内側ローラーのそれぞれは、ブッシングの外面と接触しながら、外側ローラーに対応する軸を中心に独立して回るように構成されることが開示されている。
【0010】
好ましくは、潤滑剤を運ぶための手段は、外側ローラーの内面に沿って軸方向に延在する連続スパイラル状溝またはらせん状溝を含む。
【0011】
好ましくは、潤滑剤を運ぶための手段は、外側ローラーの内面に沿って軸方向に延在する滑面を含む。
【0012】
より好ましくは、シール部材は、ユニットからの潤滑剤の放出及びユニットへの異物の進入を最小にするために、ブッシングの本体の各軸端に配置されるように構成される。
【0013】
さらにより好ましくは、シール部材は環状シールである。
【0014】
外側ローラーは、各々の軸端のそれぞれで外部凹部を有することが好ましい。
【0015】
また、外側ローラーはブッシングが外側ローラーの内部で回転可能に軸支される中空部を有することが好ましい。
【0016】
本発明の好ましい実施形態は、また、キャタピラートラックに適切なローラーチェーンリンクアセンブリを説明し、アセンブリは、各側部が反対端を有するサイドバー部の対、リンクユニットの対を含み、各ユニットは軸端を有し、本体、及び本体の各々の軸端のそれぞれでシール部材を保持する座部を有する、ブッシングと、ブッシングに対して回転するためにブッシングに搭載された外側ローラーと、チェーンジョイントを形成するようにサイドバー部の反対端をリンクユニットの軸端に接続するための手段と、を備え、外側ローラーは、ユニットの軸長に沿って潤滑剤を運ぶために、外側ローラーの内部に設けられた手段を有する内面を有し、その手段によって、外側ローラーの内面とブッシングの外面との間に潤滑層を形成し、アセンブリは、さらに、外側ローラーの内面とブッシングの外面との間に配置された摩擦を減らすための手段を備えることを特徴とする。具体的には、摩擦低減手段は、軸長に沿って軸方向に及び外側ローラーの内面の周りで半径方向に配置されている複数の内側ローラーを備える。
【0017】
本発明の別の好ましい実施形態は、キャタピラートラックを説明し、キャタピラートラックは、複数のローラーチェーンリンクアセンブリと、離間して、本体、及び本体に設けられた2つ以上の支持フレームとを有する複数の細長ビームと、を備え、各支持フレームはローラーチェーンリンクアセンブリのそれぞれを支持し、それによって、各細長ビームが各々のローラーチェーンリンクアセンブリによって隣接する細長ビームに枢動可能に蝶着されることによって、エンドレスチェーントラックを形成し、ローラーチェーンリンクアセンブリは、各側部が反対端を有するサイドバー部の対、リンクユニットの対を含み、各ユニットは軸端を有し、本体、及び本体の各々の軸端のそれぞれでシール部材を保持する座部を有する、ブッシングと、ブッシングに対して回転するためにブッシングに搭載された外側ローラーと、チェーンジョイントを形成するようにサイドバー部の反対端をリンクユニットの軸端に接続するための手段と、を備え、外側ローラーは、ユニットの軸長に沿って潤滑剤を運ぶために、外側ローラーの内部に設けられた手段を有する内面を有し、その手段によって、ローラーの内面とブッシングの外面との間に潤滑層を形成し、アセンブリは、さらに、外側ローラーの内面とブッシングの外面との間に配置された摩擦を減らすための手段を備えることを特徴とする。具体的には、摩擦低減手段は、軸長に沿って軸方向に及び外側ローラーの内面の周りで半径方向に配置されている複数の内側ローラーを備える。
【0018】
当業者は、本発明が目的を実施し、言及される目的ならびに利点、及びそれに内在する目的を達成するのに十分に適応することを容易に認識する。本明細書に説明される実施形態は、本発明の範囲で限定するものとして意図されない。
【0019】
本発明の理解を容易にする目的のために、本発明の検証から得られた好ましい実施形態が、付随の図面に示され、以下の説明に関連して検討するとき、本発明、その構成ならびに動作、及びその多くの利点は、容易に理解及び認識される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による、リンクユニットの斜視図を示す。
【
図2】本発明による、リンクユニットの断面図を示す。
【
図3】ローラーチェーンリンクアセンブリで使用される従来型ローラー及びブッシングユニットを示す。
【
図4】本発明による、リンクユニットを具体化するキャタピラートラックのローラーチェーンリンクアセンブリの好ましい実施形態を示す。
【
図5】本発明による、キャタピラートラックを使用する例示的なトラック型機械を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明は、本発明の好ましい実施形態に従って及び付随の説明ならびに図面を参照することによって説明されるものとする。しかしながら、その説明を本発明の好ましい実施形態に限定することは、単に本発明の考察を容易にすることを理解されたい。また、添付の請求項の範囲から逸脱することなく、当業者が様々な修正を考案し得ることが想起される。
【0022】
ここで、本発明は、図面を参照して、さらに詳細に説明される。
【0023】
図1は、キャタピラートラック型機械で使用されるローラーチェーンリンクに組み立てられるのに適切な例示的なリンクユニット101を示す。例として、キャタピラートラック型機械は、限定ではないが、ローダー、掘削機、トラクター、タンク、水陸両用車両、またはキャタピラートラック型けん引デバイスを有するいずれかの他の可動機械を含み得る。リンクユニット101は、本質的に、反対の軸端、内径を有する内面、及び外径を有する外面を伴う管状体を有するブッシング102を備える。座部103は、ブッシング102の各軸端に設けられている。座部103の環状寸法は、ブッシング102の管状体よりも直径方向で小さくなり得ることに留意されたい。代替として、座部103の環状寸法は、また、ブッシング102の管状体と同じ寸法であり得る。けれども、ブッシング102の座部103と管状体との環状寸法の差により、リンクユニット101の構成及び単なる可能性がある例証が制限されない。
【0024】
したがって、リンクユニット101は、さらに、外側ローラー105を備える。好ましくは、外側ローラー105は軸端を伴う管状体を有する。
図1に例示されるように、ローラー105は、ローラー105に沿って延在する中空部を有し、本体は、内径を有する内面及び外径を有する外面を伴う。したがって、外側ローラー105は、好ましくは、外側ローラー105の中空部内で同軸に軸支されるブッシング102に対して回転するために、ブッシング102に搭載される。厳密な斜視図では、例えば、ローラー105はブッシング102の保護要素として機能し、したがって、外側ローラー105がシームレスに構築されることが好ましく、これにより、通常のローラーチェーンリンクユニットに使用されるローラーと比較して、浸炭焼入れによって、または当技術分野で既知のいずれかの他の適切な金属硬化技術によって機械的強度が向上し得る。また、表面硬度を向上させることによって、リンクユニット101の外側ローラー105の摩耗抵抗を増強することによって、外側ローラー105が過酷な環境及び摩耗環境に抵抗できるようになるのが望ましい。
【0025】
リンクユニット101の断面図を示す
図2に見られるように、具体的には、外側ローラー105の内面とブッシング102の外面との間に配置される摩擦を減らすための手段106を収容するように構成及び確保された環状隙間ゾーンが存在する。
図1に例示されるように、摩擦低減手段106は、好ましくは、
単列として形成され、軸長に沿って軸方向に及び外側ローラー105の内面の周りで半径方向に配置されている複数の内側ローラー107を備える。本質的に、内側ローラー107は、中空部内に収容されるように、外側ローラー105の中空部よりも直径方向で小さい。前述のような浸炭焼入れ、またはいずれかの他の適切な金属硬化技術の方法によって、内側ローラー107の機械的強度が向上することを認識されたい。そのように、摩擦低減手段106の内側ローラー107は、外側ローラー105の内面とブッシング102の外面との間の摩擦接触を減らすために設けられている。言い換えれば、内側ローラー107は、外側ローラー105の内面とブッシング102の外面との間の障害物として機能し、リンクユニット101の損耗及び引裂の損傷を防止することによって、外側ローラー105の内面とブッシング102の外面との間の摩擦接触がなくなる。したがって、本発明の好ましい実施形態では、複数の内側ローラー107のそれぞれは、ブッシング102の外面と接触しながら、外側ローラー105に対応する軸を中心に独立して回るように構成される。
【0026】
従来、
図3に示されるように、潤滑剤は、従来型ローラー及びブッシングユニット201において、ローラー202の内面204とブッシング205の外面との間の空間またはギャップに提供され、潤滑層が形成され得る。ローラー202とブッシング205との間で直面する圧力により、従来型ローラー及びブッシングユニット201から潤滑剤の漏れまたは放出が生じ得るため、潤滑層は効果的に保持されない場合がある。リンクユニット101からの潤滑剤の漏れまたは放出の防止を確実にするために、本発明のリンクユニット101に使用される外側ローラー105の内面には、油、グリース、または同等物等の潤滑剤を運ぶためにローラー105の内部に設けられた潤滑剤を運ぶための手段108があり、手段108によって、リンクユニット101の内部で十分な潤滑層が形成される。具体的には、潤滑層は、外側ローラー105の内面と摩擦低減手段106の外面との間に形成される。
【0027】
好ましくは、潤滑剤を運ぶための手段108は、外側ローラー105の内面に沿って軸方向に延在する連続スパイラル状溝またはらせん状溝を含む。有利に、連続スパイラル状溝またはらせん状溝を特徴とする潤滑剤を運ぶための手段108は、溝に潤滑剤を保持するためのチャネルを効果的に形成でき、その結果、リンクユニット101の潤滑性能が向上する。本質的に、潤滑剤を運ぶための手段108は、リンクユニット101のメンテナンス及び修復を頻繁に行う必要がなくなるように、溝内の潤滑剤の実質的に永久的な保持または封じ込めを可能にする。さらに、そのような連続スパイラル状構成またはらせん状構成の潤滑剤を運ぶための手段108は、リンクユニット101からの過度の潤滑剤の損失または漏れをごくわずかにすることができる。
【0028】
別の好ましい実施形態では、潤滑剤を運ぶための手段108は、外側ローラー105の内面に沿って軸方向に延在する滑面を含み得る。外側ローラー105の内面のそのような滑面構成は、リンクユニット101がより過酷な環境に曝される場合に有利になり得、これにより、例えば、外側ローラー105の内面の溝付き面構成による頻繁な衝撃によって、ブッシング102の外面の損耗及び引裂が生じるような過酷な環境に曝される場合に有利になる。ローラー105の内面の滑面構成の例示的な説明図は、
図1で視認できる。さらなる利点として、潤滑剤運搬手段108からの潤滑剤は、摩擦低減手段106の内側ローラー107を通って流れ送られ得ることが挙げられる。このように、かなりの潤滑層がリンクユニット101の全体にわたって延在し得る。
【0029】
本発明の実施形態によると、外側ローラー105は、好ましくは、外側ローラー105の本体の各々の軸端のそれぞれに設けられた内部凹部109を有する。前述のように、リンクユニット101のブッシング102は、ブッシング102の本体の各軸端に設けられた座部103を有する。例えば、外側ローラー105の内部凹部109の寸法は、ブッシング102の座部103よりも直径方向で大きくなり得る。本質的に、シール部材104は、ローラー105の内面とブッシング102の外面との間に形成された環状隙間ゾーンをシールするためのブッシング102の本体の各々の軸端のそれぞれに設けられている。
【0030】
シール部材104はブッシング102の本体の各軸端に配置されるように構成されることを認識されたい。例として、シール部材104をブッシング102の本体の軸端に設置し、次に、外側ローラー105の中空部内に同軸にさらに軸支されると、シール部材104は、外側ローラー105の内部凹部109に適合してまたはぴったりと係合し得る。結果として、連動構造は、シール部材104のシール性能を向上させるように形成され得る。
【0031】
図2に示されるような1つの特定の例では、潤滑剤を運ぶための手段108は、好ましくは、外側ローラー105の内面の略中心に位置付けられた環状溝の形態であり、溝は外側ローラー105の内面に沿って軸方向に延在する。溝は、さらに、シール部材104を保持する内部凹部109の間に挟装される。好ましくは、溝は摩擦を減らすための手段106の反対側と係合する延在壁の対110を有し、それにより、摩擦を減らすための手段106は溝により適所に保持される。有利に、また、溝の延在壁の対110により、摩擦を減らすための手段106及びシール部材104が分離され、シール部材104と摩擦を減らすための手段106との間でギャップがある状態のままになる。
【0032】
本発明の実施形態によると、シール部材104は好ましくは環状シールである。例えば、シール部材104は、柔軟な弾力性があるエラストマー材料から作られ得る。実際には、ローラー105の内部凹部109に係合しながらブッシング102の本体の各軸端におけるシール部材104の位置決めにより、ブッシング102が、内側ローラー107によってローラー105の中空部の中心と同軸に位置付けられるように適所に保持されるような技術的な利点がもたらされる。有利に、シール部材104の弾力性及び弾性により、許容できない外力を効果的に吸収できることによって、リンクユニット101に対する衝撃が減る。したがって、この状態では、外力または衝撃がリンクユニット101に直接かからなく、外側ローラー105の内面と摩擦低減手段106との間の環状隙間ゾーンは、ブッシング102の外面と接触しながら、円周方向に均一に維持される。結果として、環状隙間ゾーンに塗布された潤滑剤が、外側ローラー105の内面に配置された、潤滑剤を運ぶための手段108の内部で移動及び送られることによって、全体的に効果的な潤滑層を形成する。本発明の特定の利点について、シール部材104は、リンクユニット101からの潤滑剤の放出、及びリンクユニット101へのほこり、水、または同等物等の異物の進入を効果的に最小にすることが挙げられる。代替案として、シール部材104は、実質的に剛体であり、ブッシング102の本体の軸端に固定されるように構成され得、それによって、当接要素として働くように適応できる。
【0033】
図1に例示されるように、本発明の好ましい実施形態は、また、キャタピラートラックを使用されるのに適切なローラーチェーンリンクアセンブリ111を説明する。基本的に、ローラーチェーンリンクアセンブリ111は、前述のように、サイドバー部112の対及びリンクユニット101の対を含む。
図1に見られるように、サイドバー部112は反対に整合して配置され、好ましくは、リンクユニット101は、サイドバー部112の対の間に挟装される。サイドバー部112のそれぞれは反対端を有する一体型要素であり、それによって、各反対端が開口113に配置される。例として、2つのリンクユニット101は、サイドバー部112の対によって支持され、またはそれに固定され、その状態では、リンクユニット101のそれぞれは、サイドバー部112の対の一方によって支持され、サイドバー部112の開口113を通って延在し、また、その状態では、ブッシング102の座部103は、各々、サイドバー部112の開口113を越えて突出する。代替として、ブッシング102の座部103は、サイドバー部112の開口113に適合してまたはぴったりと固定されるように構成され得る。再度
図1を参照すると、ブッシング102に着座するようなシール部材104は、ローラーチェーンリンクアセンブリ111の組み立てを補助し、それにより、シール部材104の辺縁部109は、ブッシング102の座部103がサイドバー部112の開口113を通って突出する状態になるとき、シール部材104とサイドバー部112の周囲面との間の密接な接触を防止するためにギャップを形成するように構成され得る。したがって、ブッシング102及びサイドバー部112がローラーチェーンリンクアセンブリ111の過酷な運動及び摩耗運動の間に相互に直面する場合、ギャップは損耗及び引裂の状況を防止するためのものである。さらなる利点として、シール部材104が柔軟な弾力性及び柔軟性があるエラストマー材料から作られていることにより、ローラーチェーンリンクアセンブリ111に対する外力及び衝撃を吸収及び減少できる。
【0034】
好ましい実施形態によると、サイドバー部112をリンクユニット101と接続するための手段114は、好ましくは、ローラーチェーンリンクアセンブリ111を実現するために設けられている。例として、反対端を有する接続手段114の対はリンクユニット101の対を通って延在し、接続手段114の反対端が、リンクユニット101の軸端に隣接するブッシング102の各々の端に収容されることによって、ローラーチェーンリンクアセンブリ111が実現する。例えば、接続手段114は、
図1に例示されるような管状バーであり得る。
【0035】
本発明の別の好ましい実施形態では、また、キャタピラートラック型機械のいずれかで使用されるのに適切な例示的なキャタピラートラック301が設けられている。
図4で推察されるように、キャタピラートラック301は、2つ以上のローラーチェーンリンクアセンブリ111を細長ビーム302に離間して配置するために、本体を有する細長ビーム302を提供することによって構築される。本発明に関連して、細長ビーム302は、キャタピラートラック301のけん引要素を形成する。好ましくは、細長ビーム302の本体には、2つ以上の支持フレーム303が固定して設けられている。例えば、支持フレーム303は、その反対端のそれぞれに穴304を有するように構成され得、ローラーチェーンリンクアセンブリ111の一方の反対端は、接続手段114が支持フレーム303の穴304を通って延在することによって、ブッシング102及びローラーチェーンリンクアセンブリ111と接続され得る。本質的に、好ましくは、支持フレーム303によって支持されたローラーチェーンリンクアセンブリ111が取り付けられた隣接する細長ビーム302が設けられ、ローラーチェーンリンクアセンブリ111のそれぞれの各々の端のそれぞれは、接続手段114により細長ビーム302に設けられた反対側にあるローラーチェーンリンクアセンブリ111に枢動可能に蝶着され、それによって、キャタピラートラックのエンドレスチェーントラック305が形成される。キャタピラートラック301を使用する例示的な水陸両用車両401が
図5に示される。
【0036】
本発明の開示は、添付の特許請求の範囲含まれる内容と、前述の説明の内容とを含む。本発明は具体的にある程度の好ましい形態で説明されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい形態の開示は単なる例としてなされたことと、構成の詳細及び部品の組み合わせならびに配置のいくつかの変更が使われ得ることとが理解される。