(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】入力デバイス
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0346 20130101AFI20241129BHJP
A63F 13/24 20140101ALI20241129BHJP
【FI】
G06F3/0346 424
A63F13/24
(21)【出願番号】P 2023549205
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(86)【国際出願番号】 JP2021034653
(87)【国際公開番号】W WO2023047473
(87)【国際公開日】2023-03-30
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 正穂
(72)【発明者】
【氏名】奥山 功
(72)【発明者】
【氏名】只野 勝久
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 健
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3132531(JP,U)
【文献】特開2019-032850(JP,A)
【文献】特表2021-505997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/033-3/039
A63F 13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが指で操作する操作部材が配置されている操作部と、
前記操作部の下方に位置し、上下方向で伸びているグリップと、
前記グリップに対して左方又は右方に位置しているストラップと
、
ユーザがロック位置とアンロック位置との間で動かすことのできるロック操作部材と
を有し、
左右方向で前記グリップを見たときに、前記ストラップの位置は、上下方向と前後方向の
双方において動かすことができ、且つ
前記ストラップは前記グリップに対して回転が可能であ
り、
前記ロック操作部材が前記ロック位置にあるとき、前記上下方向における前記ストラップの動き、前記前後方向における前記ストラップの動き、及び前記ストラップの回転が規制される
入力デバイス。
【請求項2】
ユーザが指で操作する操作部材が配置されている操作部と、
前記操作部の下方に位置し、上下方向で伸びているグリップと、
前記グリップに対して左方又は右方に位置しているストラップと
、
前記グリップに取り付けられているベースと、
位置調整機構と
を有し、
前記ストラップは上端と下端とを有し、
前記ストラップの前記上端と前記下端は前記ベースに取り付けられ、
前記位置調整機構は前記グリップに対する前記ベースの相対位置の変更を許容し、
左右方向で前記グリップを見たときに、前記ストラップの位置は、上下方向と前後方向のうち少なくとも一方の方向において動かすことができ、且つ
前記ストラップは前記グリップに対して回転が可能である
入力デバイス。
【請求項3】
前記ストラップの位置は、前記上下方向と前記前後方向の双方において、動かすことができる
請求項
2に記載の入力デバイス。
【請求項4】
前記ストラップは上端と下端とを有し、
前記ストラップの回転によって、前記上端の位置と前記下端の位置のそれぞれが前記グリップに対して動く
請求項1
又は2に記載の入力デバイス。
【請求項5】
前記ベースは、上下方向と前後方向のうちの前記少なくとも一方の方向において動かすことができ、且つ、
前記グリップに対して回転が可能である
請求項
2に記載の入力デバイス。
【請求項6】
前記位置調整機構は、前記グリップによって案内されて前記グリップに沿って動くことのできる可動部材を有し、
前記ベースは前記可動部材に連結されている
請求項
2に記載の入力デバイス。
【請求項7】
前記位置調整機構は支持軸を有し、
前記ベースは前記支持軸を中心として回転可能である
請求項
2に記載の入力デバイス。
【請求項8】
前記位置調整機構は、前記支持軸を中心として回転可能な第1リンクと、前記支持軸を中心として回転可能な第2リンクとを有し、
前記第1リンクと前記第2リンクは、前記支持軸を挟んで互いに反対側に位置している第1ベース連結部と第2ベース連結部とをそれぞれ有し、
前記ベースは前記第1ベース連結部と前記第2ベース連結部とに連結されている
請求項
7に記載の入力デバイス。
【請求項9】
前記位置調整機構は、前記グリップによって案内されて前記グリップに沿って動くことのできる可動部材を有し、
前記支持軸は前記可動部材に取り付けられている
請求項
8に記載の入力デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザが握って操作する入力デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが手で握るグリップと、グリップの上部に配置されたボタンとを有している棒状の入力デバイスが、例えばゲーム機の操作で利用されている(例えば、下記特許文献1)。ユーザはグリップを握った状態で、親指や人指し指でボタンを操作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
グリップとユーザの手との装着安定性を向上するため、グリップに取り付けられたストラップでユーザの手をグリップに固定することが検討されている。ユーザの手をグリップに固定することができれば、例えば、入力デバイスを握っている手を広げるという動きに基づいて、ゲームを制御することが可能となる。例えば、ヘッドマウントディスプレイを通してユーザに提供されるVR空間内で、オブジェクト(例えば、ボール)を投げるという動作を実現することが可能となる。しかしながら、指の長さや手のサイズに適した位置でユーザの手が固定されていないと、操作ボタンの位置と指の位置とが適合せず、入力デバイスの操作性が害される可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示で提案する入力デバイスの一例は、ユーザが指で操作する操作部材が配置されている操作部と、前記操作部の下方に位置し、上下方向で伸びているグリップと、前記グリップに対して左方又は右方に位置しているストラップとを有している。左右方向で前記グリップを見たときに、前記ストラップの位置は、上下方向と前後方向のうち少なくとも一方の方向において動かすことができ、且つ、回転が可能である。
【0006】
この入力デバイスによると、指の長さや手のサイズに適した位置でユーザの手を固定でき、指の位置を操作ボタンの位置に適合できる。
【0007】
なお、この入力デバイスにおいて、ストラップは、1方向(例えば、上下方向、前後方向、又は上下方向と前後方向の双方に傾斜した方向)にだけ動かすことができてもよいし、2方向(例えば、上下方向と前後方向)に動かすことができてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示で提案する入力デバイスの例を示す正面図である。
【
図4】位置調整機構を構成するリンクの斜視図である。リンクの、可動プレートに向いた面を示している。
【
図6A】位置調整機構の断面図である。その切断面は
図5の(a)にあるVI-VI線で示される面である。この図において、ロック操作部材はアンロック位置に配置されている。
【
図7】ロック操作部材がロック位置にある状態での位置調整機構の断面図である。
【
図8A】グリップの側面図であり、位置調整機構が示されている。この図では、位置調整機構を構成するリンクは省略されている。
【
図8B】
図8Aで示すVIII(b)-VIII(b)線で示す断面図である。
【
図9A】ベースが前後方向で動いた場合における位置調整機構の動きを示す図である。
【
図9B】ベースが傾斜した場合における位置調整機構の動きを示す図である。
【
図10】ロック機構の動きを説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下において、本開示で提案する入力デバイスについて説明する。本明細書では、本開示で提案する入力デバイスの一例として、ゲーム機の操作に利用される入力デバイス100について説明する。なお、本開示で提案する入力デバイスは、ゲーム機とは異なる情報処理装置の操作に利用される入力デバイス(例えば、シミュレーション装置の操作に利用される入力デバイスや、車両や船舶、航空機の操作に利用される入力デバイスなど)であってもよい。
【0010】
本明細書では、
図1のZ1及びZ2で示す方向をそれぞれ上方及び下方と称し、上下方向とはグリップ30の延伸方向である。また、
図1のX1及びX2で示す方向をそれぞれ右方及び左方と称し、
図2においてY1及びY2で示す方向をそれぞれ前方及び後方と称する。これらの方向は、入力デバイス100の要素(部品や、部材、部分)の相対的な位置関係を説明するために使用されており、入力デバイス100の使用時の姿勢を特定するものではない。
【0011】
[全体構成]
図1で示すように、入力デバイス100は、その上部に、操作部10を有している。操作部10には、ユーザが指で操作するための複数の操作部材が配置されている。具体的には、押しボタン11・12・13・14と操作スティック15とが複数の操作部材として操作部10に配置されている。(以降の説明において、操作ボタン11~14、及び操作スティック15を区別しないときには、これらを操作部材11~15と称する。)操作部材11~15は、操作部10の前面10aに設けられている。入力デバイス100は、操作部材11~15の操作に応じた信号を、無線或いは有線で、ゲーム装置に送信する。操作部材の種類や数は、ここで説明する例に限られない。例えば、入力デバイス100は、操作スティック15に替えて、或いは、操作スティック15とともに、十字キーを有してもよい。他の例では、入力デバイス100が有する操作部材の数は1つだけでもよい。
【0012】
図1で示すように、入力デバイス100は、発光部2を有してもよい。発光部2は、例えば、ボール状であり、入力デバイス100の最上部に配置される。ゲーム機は、ゲーム機に接続されているカメラを通して発光部2の位置及びサイズを追跡し、得られた情報に基づいてゲームに係る情報処理を実行する。例えば、1又は複数の発光部が入力デバイスの筐体の内部に埋め込まれた状態で配置されていてもよい。また、入力デバイス100は発光部2を有していなくてもよい。
【0013】
[グリップとストラップ]
図1で示すように、入力デバイス100は、操作部10の下方に位置し、上下方向で伸びているグリップ30を有している。ユーザはグリップ30を握りながら、指(具体的には、親指)で操作部材11~15を操作する。グリップ30にもボタン16が設けられてもよい。ボタン16は、例えば中指や薬指で操作できる。グリップ30は例えば棒状であるが、手で握ることができる形状であれば、どのような形状でもよい。
【0014】
図1で示すように、グリップ30の右方にストラップ40が配置されている。ユーザはストラップ40とグリップ30との間に右手を入れて、グリップ30を握る。グリップ30はストラップ40によってユーザの手に固定される。その結果、ユーザは、入力デバイス100の使用中に、グリップ30を握っている手を広げることができる。手のこの動きによって、例えば、ゲーム装置が提供するVR空間内において、ユーザがオブジェクト(例えば、ボール)を投げるという動作が実現できる。
【0015】
図2で示すように、ストラップ40は、上部ストラップ40Uと下部ストラップ40Lとを有している。上部ストラップ40Uの端部に固定具41が取り付けられており、この固定具41によって上部ストラップ40Uと下部ストラップ40Lとが連結されたり、連結が解除可能となっている。固定具41はストラップ40の長さが調整可能となるように構成されてもよい。
【0016】
図2で示すように、入力デバイス100は、グリップ30に沿って配置されるベース42を有している。ストラップ40の上端と下端はベース42に取り付けられる。ストラップ40とベース42の全体は手を入れる環を構成している。
【0017】
ストラップ40の構造は、図で示す例に限られない。例えば、ストラップ40は上部ストラップ40Uと下部ストラップ40Lとに分かれていなくてもよい。この場合、ストラップ40の下端又は上端が、ベース42に脱着可能であってもよい。また、入力デバイス100は左手用であってもよい。すなわち、ストラップ40とベース42はグリップ30の左方に位置してもよい。また、ストラップ40の太さも特に限定されない。
【0018】
[ストラップの動き]
入力デバイス100では、ベース42とグリップ30との相対位置が変更できる。ストラップ40の上端と下端の双方がベース42に取り付けられているので、ベース42の位置を動かすことによって、ストラップ40全体の位置が調整できる。
【0019】
図5の(a)で示すように、ベース42の位置は、グリップ30の側面視において、上下方向(矢印D1の方向)と、前後方向(矢印D2の方向)とに動かすことができる。すなわち、ベース42は上下方向と前後方向とにおいて平行移動できる。また、
図5の(b)で示すように、ベース42は、左右方向に沿った中心線Axを中心として回転させることができる。この時、ストラップ40の上端はグリップ30に対して前方(又は後方)に移動し、反対に、ストラップ40の下端はグリップ30に対して後方(又は前方)に移動する。この構造により、指の長さや手のサイズに適した位置でユーザの手を固定でき、そのため指の位置を操作部材11~15の位置に最適化できる。なお、入力デバイス100では、
図5の(c)で示すように、ベース42を前後方向で傾斜させた状態で、ベース42の位置を上下方向で調整することも可能となっている。
【0020】
ベース42の動きは
図5で示す例に限られず、例えば、ベース42の平行移動は、前後方向と上下方向のうちの一方の方向にだけ許容されてもよいし、前後方向と上下方向とに傾斜した1方向においてのみ許容されてもよい。また、
図5の(b)において中心線Axは、ベース42の上端と下端との間に位置しており、ベース42の回転により、ベース42の上端と下端のそれぞれがグリップ30に対して相対的に動く。しかしながら、ベース42は、上端の位置が固定された状態で回転し、下端の位置が前後方向に動いたり、或いは、下端の位置が固定された状態で回転し、上端の位置が前後方向に動いてもよい。
【0021】
[位置調整機構]
以下において、
図5で示すベース42の動きを実現する機構について説明する。
図3で示すように、入力デバイス100はベース42の位置を調整するための位置調整機構Pmを有している。位置調整機構Pmは、可動プレート51、リンク53U・53L、リンクガイド52、及び支持軸54を有している。また、位置調整機構Pmは、ベース42の位置を固定するためのロック機構Lを有している。ロック機構Lは、ロック操作レバー61、中間レバー62、及びロックスライダー63を有している。
【0022】
図6A及び
図6Bで示すように、可動プレート51は、グリップ30の外形を構成するグリップ壁31の内側に配置されている。可動プレート51はグリップ壁31に沿って動くことができる。入力デバイス100の例において、可動プレート51は上下方向(
図6AにおいてZ1-Z2で示す方向)で動くことができる。ベース42は可動プレート51と連結されている。詳細には、ベース42は支持軸54を介して可動プレート51と連結されている。ベース42は可動プレート51とともに上下方向で動く。
【0023】
図6A及び
図6Bで示すように、リンクガイド52はグリップ壁31の内側に配置され、可動プレート51に取り付けられている。グリップ壁31にはガイド開口31a(
図3参照)が形成されている。リンクガイド52には被ガイド部52aが形成されている。被ガイド部52aはガイド開口31aの内側に嵌まる凸部であり、可動プレート51とリンクガイド52の動きはガイド開口31aの縁(前縁31eと後縁31f、
図3参照)によって上下方向に案内される。ガイド開口31aの前後方向での幅は被ガイド部52aの前後方向での幅に対応しており、可動プレート51とリンクガイド52の動きは上下方向だけに許容され、前後方向では規制される。可動プレート51とリンクガイド52の可動範囲は、ガイド開口31aの上縁と下縁とによって規定される。
【0024】
可動プレート51とリンクガイド52を案内する構造は、入力デバイス100の例に限られない。例えば、リンクガイド52に凹部が形成され、この凹部の内側に嵌まる凸部をガイド部としてグリップ壁31は有してもよい。また、可動プレート51とリンクガイド52は一体的に形成されていてもよい。さらに他の例において、可動プレート51がグリップ壁31によって案内される方向は、上下方向に限られない。可動プレート51は、例えば、上下方向と前後方向とに対して傾斜した方向に案内されてもよい。
【0025】
図8A及び
図8Bで示すように、可動プレート51の前縁と後縁とに、ギア歯状の被ストッパ51aが形成されている。一方、グリップ壁31の内面に、上下方向で伸びているギア歯状のストッパ31bが形成されている。可動プレート51はグリップ壁31の内面から離れている非係合位置(
図6B参照)と、グリップ壁31の内面に押しつけられている係合位置(
図7参照)とに動くことができる。可動プレート51が非係合位置にあるとき、被ストッパ51aはストッパ31bから離れているので、可動プレート51とリンクガイド52とベース42の移動が許容される。一方、可動プレート51が係合位置にあるとき、被ストッパ51aはストッパ31bと噛み合うので、グリップ30に対する可動プレート51とリンクガイド52とベース42の移動が規制される。可動プレート51の係合位置と非係合位置での移動はロック機構Lの操作によりなされる。ロック機構Lについては後において詳説する。
【0026】
図6Bで示すように、支持軸54はその軸線が左右方向に向くように配置されている。支持軸54の端部は可動プレート51に螺子で固定されており、可動プレート51とともに上下方向で動く。リンク53U・53Lの基部に形成された孔に支持軸54が嵌められており、リンク53U・53Lは支持軸54を中心にして回転可能である。リンク53U・53Lは、支持軸54から上方と下方とにそれぞれ伸びている。リンク53U・53Lは、支持軸54から離れた位置に、連結部53a・53bをそれぞれ有している。連結部53a・53bにベース42が連結されている。詳細には、連結部53a・53bは、ベース42に形成されている孔42a・42bにそれぞれ嵌められ、ワッシャ59及び螺子58によって、連結部53a・53bとベース42の、支持軸54の軸方向での分離が規制されている。リンク53U・53Lは、その端部に、被ガイド部53cを有している。リンクガイド52には、支持軸54を中心とする円弧状のガイドスリット52bが形成され、リンク53U・53Lの被ガイド部53cはガイドスリット52aに引っかかっている。被ガイド部53cは、ガイドスリット52aに引っかかった状態で支持軸54を中心にして動くことができる。
【0027】
ベース42には、支持軸54が嵌まる長孔42e(
図3参照)が形成されている。長孔42eは前後方向で細長い孔である。長孔42eは、支持軸54とベース42の前後方向での相対位置の変化を許容し、上下方向での相対位置の変化を規制する。したがって、支持軸54とベース42と可動プレート51は一緒に上下動する。ベース42には、リンク53U・53Lの連結部53a・53bが嵌まる長孔42a・42b(
図3参照)が形成されている。長孔42bは上下方向で細長い孔である。長孔42a・42bは、連結部53a・53bとベース42との上下方向での相対位置の変化を許容し、前後方向での相対位置の変化を規制する。
【0028】
このように、ベース42は、支持軸54を中心にして回転可能なリンク53U・53Lの連結部53a・53bに連結されている。連結部53a・53bは支持軸54を挟んで互いに反対側に位置している。この構造により、支持軸54を中心としたベース42の回転と、ベース42の平行移動とが許容される。
【0029】
入力デバイス100の例においては、2つの連結部53a・53bは支持軸54を挟んで上下方向において互いに反対側に位置している。そのため、
図9Aで示すように、リンク53U・53Lの双方が前方に回転することによって、ベース42の前方への平行移動が許容される。反対に、リンク53U・53Lの双方が後方に回転することによって、ベース42の後方への平行移動が許容される。また、
図9Bで示すように、リンク53Uが前方(又は後方)に回転し、リンク53Lが後方(又は前方)に回転することによって、左右方向に向いた軸線(支持軸54の軸線Ax)を中心として回転できる。リンク53U・53Lの回転によるベース42の可動範囲は、例えば、リンクガイド52に形成されているガイドスリット52aの長さで規定できる。
【0030】
上述したように、支持軸54は可動プレート51に取り付けられており、リンク53U・53Lは支持軸54に連結されている。そのため、支持軸54とリンク53U・53Lは、可動プレート51とリンクガイド52とともに上下動する。したがって、
図5の(c)で示すように、ベース42は上下方向に移動し且つ前方又は後方に傾斜したり、上下方向に移動し且つ前方又は後方に平行移動できる。
【0031】
なお、ベース42の回転中心は、必ずしも支持軸54の軸線Axと一致しない。例えば、
図9Aで示すようにベース42が前方に移動して、その後に
図9Bで示すように回転する場合、ベース42の回転中心はリンク53Uの連結部53aの中心となる。リンク53U・53Lの配置は、入力デバイス100の例に限られない。例えば、ベース42の初期状態(可動範囲の中間位置にある状態)で、リンク53Uは支持軸54から斜め前方に伸び、リンク53Lは支持軸54から斜め後方に伸びていてもよい。
【0032】
可動プレート51に、ギア歯状のストッパ51c(
図3参照)が形成されている。ストッパ51cは支持軸54を中心とする環状である。また、リンク53U・53Lには、ギア歯状の被ストッパ53e・53f(
図4参照)が形成されている。被ストッパ53e・53fは、ストッパ51cと向き合っている(
図6B参照)。上述したように、可動プレート51は非係合位置(
図6B参照)と係合位置(
図7参照)とに動くことができる。可動プレート51が非係合位置にあるとき、ストッパ51cは被ストッパ53e・53fから離れているので、ベース42の回転と前後方向での移動が許容される。一方、可動プレート51が係合位置にあるとき、ストッパ51cは被ストッパ53e・53fと噛み合うので、ベース42の回転と前後方向での移動が規制される。このように、ロック機構Lは、リンク53U・53Lの動きをロックすることによって、ベース42の動きを規制する。
【0033】
[ロック機構]
位置調整機構Pmは、ロック操作レバー61、中間レバー62、及びロックスライダー63によって構成されるロック機構Lを有している(
図3参照)。ロック機構Lは、係合位置と非係合位置との間で可動プレート51を動かす。入力デバイス100の例において、ロック機構Lは、グリップ壁31の外側に向けて支持軸54を引くことによって、可動プレート51を非係合位置(
図6A及び
図6B)から係合位置(
図7参照)に移動する。反対に、ロック機構Lは、グリップ壁31の内側に向けて支持軸54を押すことによって、可動プレート51を係合位置から非係合位置に移動する。
【0034】
図10A及び
図10Bは、ロック機構Lを表す模式図である。
図10Aにおいて可動プレート51は非係合位置にあり、
図10Bにおいて可動プレート51は係合位置に配置されている。
【0035】
ロック操作レバー61の一端は、ベース42によって回転可能に支持されている支点42cを中心として回転可能である。中間レバー62の一端は、支点42cから離れた位置で、ロック操作レバー61に連結されている。中間レバー62の他端は支持軸54に連結軸64を介して連結されている。ベース42は、中間レバー62の両端の間に位置し中間レバー62を支持する支点42dを有している。
【0036】
ロック操作レバー61は、アンロック位置(
図10の(a)、
図6A及び
図6B)とロック位置(
図10の(b)、
図7)との間で動くことができる。ロック操作レバー61がアンロック位置にあるとき、ロック操作レバー61が立っており、グリップ壁31から左方に離れている。このとき、可動プレート51は非係合位置にあり、グリップ壁31の内面から離れている。したがって、可動プレート51の被ストッパ51a(
図8B)はグリップ壁31のストッパ31bと噛み合っておらず、可動プレート51のストッパ51c(
図6B)は、リンク53U・53Lの被ストッパ53e・53fと噛み合っていない(
図10の(a))。ロック操作レバー61がロック位置にあるとき、ロック操作レバー61はグリップ壁31に近づき、グリップ壁31に沿って配置されている。このとき、支持軸54は、ロック操作レバー61によって中間レバー62を介してグリップ壁31の外側に引き出され、可動プレート51は係合位置に配置される。その結果、可動プレート51の被ストッパ51cはグリップ壁31のストッパ31bと噛み合い、可動プレート51のストッパ51cは、リンク53U・53Lの被ストッパ53e・53fと噛み合う(
図10の(b))。
【0037】
このように、ロック操作レバー61がアンロック位置からロック位置に移動することで、上下方向におけるベース42の動き(すなわち、ストラップ40の動き)、前後方向におけるベース42の動き、及びベース42の回転が全て規制される。このため、ストラップ40の位置調整作業の作業性を向上できる。特にロック操作レバー61はグリップ30の側面に沿って配置され、ストラップ40とグリップ30との間に位置している。このため、ユーザがグリップ30とストラップ40との間に手を入れて、グリップ30を握ると、ロック操作レバー61は、ユーザの他の操作を要することなく、アンロック位置からロック位置に移動する。
【0038】
ロックスライダー63はグリップ30の側面に沿ってスライド可能である。
図7で示すように、ロックスライダー63は、ロック操作レバー61がロック位置にあるときに、ロック操作レバー61に引っ掛かり、その位置をロック位置に保持する。ロックスライダー63は、ロック操作レバー61に係合する係合部(爪)63aを有している。ロックスライダー63が上方にスライドすると、
図6Aで示すように、ロック操作レバー61とロックスライダー63との係合が解消され、ロック操作レバー61はアンロック位置に戻る。ロック操作レバー61とベース42との間には、ロック操作レバー61をアンロック位置に付勢する弾性部材(例えば、ばね57)が配置されている。
【0039】
[変形例]
なお、本開示で提案する入力デバイスは、上述した入力デバイス100の構造に限られない。
【0040】
例えば、入力デバイス100はベース42を有していなくてもよい。この場合、ストラップ40の上端と下端とがグリップ30に連結されてもよい。そして、ストラップ40の上端と下端が上下方向や前後方向に移動可能となるように、グリップ30に連結されてよい。
【0041】
他の例として、ベース42は上下方向又は前後方向のうちの一方の方向にだけ移動可能であってもよい。この場合、位置調整機構Pmはリンク53U・53Lを有していなくてもよい。ベース42は支持軸54によって回転可能となるように支持されてもよい。