(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】ホイールローダ
(51)【国際特許分類】
E02F 3/43 20060101AFI20241129BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20241129BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
E02F3/43 P
E02F9/22 E
E02F9/20 N
(21)【出願番号】P 2023565049
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 JP2022044184
(87)【国際公開番号】W WO2023100930
(87)【国際公開日】2023-06-08
【審査請求日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2021195418
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堤 芳明
(72)【発明者】
【氏名】森木 秀一
(72)【発明者】
【氏名】井村 進也
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/204123(WO,A1)
【文献】特開2020-051131(JP,A)
【文献】国際公開第2016/006716(WO,A1)
【文献】特開平05-139544(JP,A)
【文献】特開昭62-185928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/43
E02F 9/22
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の前部に取り付けられて前記車体に対し上下方向に回動するリフトアームと、
前記リフトアームの先端部に取り付けられて、前記リフトアームに対して上方向に回動して前記車体側に後傾するチルト動作により作業対象物を掘削するバケットと、
前記リフトアームを駆動するリフトアームシリンダと、
前記バケットを駆動するバケットシリンダと、
前記リフトアームシリンダを制御するリフトアーム用電磁制御弁と、
前記バケットシリンダを制御するバケット用電磁制御弁と、
前記リフトアーム用電磁制御弁および前記バケット用電磁制御弁をそれぞれ制御するコントローラと、を備えたホイールローダにおいて、
前記リフトアームシリンダのボトム圧を検出する圧力センサと、
前記バケットの姿勢を検出するバケット姿勢センサと、を有し、
前記コントローラは、
前記圧力センサで検出されたボトム圧が、前記リフトアームが動作していない状態かつ前記バケットが前記作業対象物に接触した状態の前記リフトアームシリンダのボトム圧に相当する第1圧力閾値に達した場合に、前記リフトアームの上昇動作に係る指令信号を前記リフトアーム用電磁制御弁に対して出力し、
前記バケット姿勢センサで検出された前記バケットの姿勢が、
掘削された前記作業対象物を1回の前記バケットのチルト動作で前記バケットの奥側に積載することが可能な所定の姿勢よりも前傾した姿勢である場合には、前記バケットが前記所定の姿勢となるまで、前記リフトアームの上昇動作に係る指令信号を前記リフトアーム用電磁制御弁に対して継続して出力すると共に、前記バケットのチルト動作に係る指令信号を前記バケット用電磁制御弁に対して出力し、
前記バケット姿勢センサで検出された前記バケットの姿勢が、前記所定の姿勢に達した場合には、前記バケットのフルチルト動作に係る指令信号を前記バケット用電磁制御弁に対して出力する
ことを特徴とするホイールローダ。
【請求項2】
請求項1に記載のホイールローダにおいて、
前記リフトアームの姿勢を検出するリフトアーム姿勢センサを有し、
前記コントローラは、
前記リフトアーム姿勢センサで検出された前記リフトアームの姿勢に基づく前記リフトアームの上昇量が所定の上昇量閾値以上となる、または、前記圧力センサで検出された前記リフトアームシリンダのボトム圧が前記第1圧力閾値よりも大きい第2圧力閾値以上となる開始条件を満たす場合、前記バケット用電磁制御弁に対する前記バケットのチルト動作に係る指令信号の出力を開始し、
前記バケット姿勢センサで検出された前記バケットの姿勢に基づく前記バケットの後傾量が所定の後傾量閾値以上となる停止条件を満たす場合、前記バケット用電磁制御弁に対する前記バケットのチルト動作に係る指令信号の出力を停止し、
前記バケットが前記所定の姿勢となるまでの間、前記開始条件と前記停止条件とに基づいて、前記バケット用電磁制御弁に対する前記バケットのチルト動作に係る指令信号の出力の開始と停止とを繰り返す
ことを特徴とするホイールローダ。
【請求項3】
請求項2に記載のホイールローダにおいて、
前記車体の加速度を検出する加速度センサを有し、
前記コントローラは、
前記加速度センサで検出される前記車体の加速度が最小値から増加へ転じたときに前記リフトアーム姿勢センサで検出された前記リフトアームの姿勢を基準姿勢として記憶し、
記憶された前記基準姿勢に基づいて前記リフトアームの上昇量を判定する
ことを特徴とするホイールローダ。
【請求項4】
請求項1に記載のホイールローダにおいて、
前記車体に搭載されたエンジンと、前記エンジンから伝達されるトルクを増幅させるトルクコンバータと、を含むトルクコンバータ式の走行駆動装置を備え、
前記コントローラは、
前記トルクコンバータの出力トルクと、前記トルクコンバータの回転数と、前記車体の車重と、前記車体の加速度と、に基づいて、加速していない状態の前記車体に外部から付与される付与力を算出し、
算出された付与力が前記作業対象物に前記バケットが接触したときに前記車体に対して前記作業対象物から付与される付与力に相当する付与力閾値に達すると共に、前記圧力センサで検出されたボトム圧が前記第1圧力閾値に達した場合に、前記リフトアームの上昇動作に係る指令信号を前記リフトアーム用電磁制御弁に対して出力する
ことを特徴とするホイールローダ。
【請求項5】
請求項1に記載のホイールローダにおいて、
前記車体の前後進を切り替えるための前後進切換装置を有し、
前記コントローラは、
前記リフトアームの上昇動作に係る指令信号を前記リフトアーム用電磁制御弁に対して出力している状態で、前記前後進切換装置から後進に係る信号または停止に係る信号を取得した場合には、前記バケットのフルチルト動作に係る指令信号を前記バケット用電磁制御弁に対して出力する
ことを特徴とするホイールローダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動掘削制御システムが搭載されたホイールローダに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、作業効率を向上させるなどの目的で、作業装置の動作をコントローラが制御することにより掘削作業を行うホイールローダが登場している。コントローラは、ホイールローダが掘削作業を開始する状態であることを判定し、オペレータが操作装置を操作する代わりに、リフトアームの上げ操作に係る指令信号やバケットの起こし操作(チルト操作またはクラウド操作ともいう)に係る指令信号を作業装置の駆動回路に出力して作業装置を動作させる。
【0003】
例えば、特許文献1には、バケットのチルト動作速度、バケットシリンダの駆動量、および予め設定された時間に基づいてコントローラが指令信号を生成し、コントローラ内で生成された指令信号にしたがってバケットのチルト動作が開始および終了するホイールローダが開示されている。このホイールローダでは、事前に想定されたバケット動作量の軌跡で掘削を行うことを可能としている。
【0004】
また、特許文献2に記載されたホイールローダでは、コントローラは、リフトアームシリンダのボトム圧および車速に基づいて自動でバケットのチルト動作(自動チルト動作)を開始させ、バケットが自動チルト動作を開始した時点におけるリフトアームシリンダのボトム圧からの上昇量に基づいてバケットの自動チルト動作を終了させる。したがって、このホイールローダは、牽引力の大きさに基づいて作業装置を制御することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2006/0245896号明細書
【文献】国際公開第2015/004809号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ホイールローダの作業対象物としての地山は、土砂や鉱物などの構成要素の性状によって、斜面と水平面とのなす角度である安息角が異なってくるが、特許文献1に記載のホイールローダの場合、掘削作業の開始から終了まで事前に想定された軌跡でバケットが動作することになるため、安息角の大きさによっては十分な量の荷をバケット内に掬い入れることができない可能性がある。例えば、安息角が大きい場合には、バケットの角度が水平状態または水平状態よりも手前(車体の側)に若干チルト動作された状態の方が、掘削作業において地山(土砂や鉱物など)から受ける反力が大きくなり過ぎず、作業装置を上方に上げながら車体を前進させることができるため、バケットを地山に対して深くまで差し込んで多くの量の荷をバケット内に取り込むことができる。他方、安息角が小さい場合には、バケットの角度が水平状態または水平状態よりも前方(車体から離れる方向)に若干ダンプ動作された状態の方が、掘削作業において地山(土砂や鉱物など)から受ける反力が大きくなり過ぎず、作業装置を上方に上げながら車体を前進させることができるため、バケットを地山に対して深くまで差し込んで多くの量の荷をバケット内に取り込むことができる。また、同じ大きさの安息角の地山を掘削する場合であっても、作業装置の初期姿勢が異なると動作軌跡も異なるため、この場合においても、十分な量の荷をバケット内に掬い入れることができないことがある。
【0007】
他方、特許文献2に記載のホイールローダでは、コントローラは、リフトアームシリンダのボトム圧に基づいて掘削作業の開始および終了を判定しており、地山の安息角の大きさに応じてバケットの動作軌跡が変化するため、特許文献1に記載のホイールローダとは異なり、安息角の大きさが異なる地山に対しても十分な量の荷をバケット内に掬い入れることが可能である。
【0008】
ホイールローダは、バケット内に荷を掬い入れる際には、前進に係る駆動力に対する地山からの反力を利用して荷をバケットの奥側に移動させる。したがって、掘削作業の終了より前の段階では、バケットの姿勢が大きく後傾していないことが望ましい。しかしながら、特許文献2に記載のホイールローダの場合、コントローラはリフトアームシリンダのボトム圧に基づいて掘削作業の終了を判定しているため、例えば、掘削開始前の車速の大きさや地山の硬さによっては、掘削作業の最終段階より前の段階において、リフトアームシリンダのボトム圧が終了時の圧力に近い値まで上昇してしまい、バケットが大きく後傾した姿勢(フルチルトに近い姿勢)に変化してしまうことがある。この場合、掘削作業の最終段階のバケット動作で荷をバケットの奥側まで十分に移動させることができず、バケットの爪先側(開口付近)に荷が積載されて、掘削作業後の運搬作業時にバケットから荷がこぼれ落ちてしまう可能性がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、作業対象物の大きさや性状、掘削開始前の動作内容によらず、バケット内に荷を十分に積載することが可能なホイールローダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、車体の前部に取り付けられて前記車体に対し上下方向に回動するリフトアームと、前記リフトアームの先端部に取り付けられて、前記リフトアームに対して上方向に回動して前記車体側に後傾するチルト動作により作業対象物を掘削するバケットと、前記リフトアームを駆動するリフトアームシリンダと、前記バケットを駆動するバケットシリンダと、前記リフトアームシリンダを制御するリフトアーム用電磁制御弁と、前記バケットシリンダを制御するバケット用電磁制御弁と、前記リフトアーム用電磁制御弁および前記バケット用電磁制御弁をそれぞれ制御するコントローラと、を備えたホイールローダにおいて、前記リフトアームシリンダのボトム圧を検出する圧力センサと、前記バケットの姿勢を検出するバケット姿勢センサと、を有し、前記コントローラは、前記圧力センサで検出されたボトム圧が、前記リフトアームが動作していない状態かつ前記バケットが前記作業対象物に接触した状態の前記リフトアームシリンダのボトム圧に相当する第1圧力閾値に達した場合に、前記リフトアームの上昇動作に係る指令信号を前記リフトアーム用電磁制御弁に対して出力し、前記バケット姿勢センサで検出された前記バケットの姿勢が、掘削された前記作業対象物を1回の前記バケットのチルト動作で前記バケットの奥側に積載することが可能な所定の姿勢よりも前傾した姿勢である場合には、前記バケットが前記所定の姿勢となるまで、前記リフトアームの上昇動作に係る指令信号を前記リフトアーム用電磁制御弁に対して継続して出力すると共に、前記バケットのチルト動作に係る指令信号を前記バケット用電磁制御弁に対して出力し、前記バケット姿勢センサで検出された前記バケットの姿勢が、前記所定の姿勢に達した場合には、前記バケットのフルチルト動作に係る指令信号を前記バケット用電磁制御弁に対して出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、作業対象物の大きさや性状、掘削開始前の動作内容によらず、バケット内に荷を十分に積載することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係るホイールローダの一構成例を示す外観側面図である。
【
図2】
図1に示すホイールローダを前方左側から見た斜視図である。
【
図3A】ホイールローダの掘削作業において、バケットを地山に突入させた様子を説明する図である。
【
図3B】ホイールローダの掘削作業において、バケットをチルト動作させている様子を説明する図である。
【
図3C】ホイールローダの掘削作業において、リフトアームを上昇させた様子を説明する図である。
【
図4】ホイールローダの駆動装置の一構成例を示すシステム構成図である。
【
図5】掘削支援用コントローラが有する機能を示す機能ブロック図である。
【
図6】掘削作業の開始時におけるホイールローダの加速度の時間変化を示すグラフである。
【
図7】掘削支援用コントローラで実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図7に示すフローチャートの続きを示すフローXである。
【
図9】
図8に示すフローチャートの続きを示すフローYである。
【
図10】掘削支援用コントローラが
図7~
図9に示す処理を実行する場合における作業装置の初期姿勢を模式的に示す図である。
【
図11】
図8に示すステップS616においてYESに進んだ場合における作業装置の姿勢を模式的に示す図である。
【
図12】
図8に示すステップS620においてYESに進んだ場合における作業装置の姿勢を模式的に示す図である。
【
図13】
図8に示すステップS625においてYESに進んだ場合における作業装置の姿勢を模式的に示す図である。
【
図14】
図9に示すステップS629においてYESに進んだ場合における作業装置の姿勢を模式的に示す図である。
【
図15】
図9に示すステップS633においてYESに進んだ場合における作業装置の姿勢を模式的に示す図である。
【
図16】
図9に示すステップS637においてYESに進んだ場合における作業装置の姿勢を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(ホイールローダ1の全体構成)
まず、本発明の実施形態に係るホイールローダ1の全体構成について、
図1および
図2を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係るホイールローダ1の一構成例を示す外観側面図である。
図2は、
図1に示すホイールローダ1を前方左側から見た斜視図である。
【0015】
ホイールローダ1は、車体が中心付近で中折れすることにより操舵されるアーティキュレート式の作業車両であって、車体の前部となる前フレーム1Aと車体の後部となる後フレーム1Bとが、センタジョイント10によって左右方向に回動自在に連結されており、前フレーム1Aが後フレーム1Bに対して左右方向に屈曲する。なお、以下の説明において、車体の左右方向のうち、前進方向に対する左側の方向を「左方向」とし、前進方向に対する右側の方向を「右方向」とする。
【0016】
車体には4つの車輪11が設けられており、2つの車輪11が前輪11Aとして前フレーム1Aの左右両側に、残り2つの車輪11が後輪11Bとして後フレーム1Bの左右両側に、それぞれ設けられている。
図1では、4つの車輪11のうち、左側に設けられた前輪11Aおよび後輪11Bのみが示されている。また、
図2では、4つの車輪11のうち、左右の前輪11Aおよび左側の後輪11Bのみが示されている。なお、車体に設けられる複数の車輪11の具体的な数については、特に制限はない。
【0017】
前フレーム1Aの前部には、土砂や鉱物といった作業対象物を掘削してダンプトラックやホッパーなどの積込み先へ積み込む荷役作業を行うための油圧駆動式の作業装置2が取り付けられている。
【0018】
後フレーム1Bには、オペレータが搭乗する運転室12と、ホイールローダ1の駆動に必要な各機器を内部に収容する機械室13と、車体が傾倒しないように作業装置2とのバランスを保つためのカウンタウェイト14と、が設けられている。後フレーム1Bにおいて、運転室12は前部に、カウンタウェイト14は後部に、機械室13は運転室12とカウンタウェイト14との間に、それぞれ配置されている。
【0019】
作業装置2は、前フレーム1Aに上下方向に回動可能に取り付けられたリフトアーム21と、リフトアーム21を駆動する油圧シリンダとしての2つのリフトアームシリンダ22L,22R(
図4参照)と、リフトアーム21の先端部に上下方向に回動可能に取り付けられたバケット23と、バケット23を駆動する油圧シリンダとしてのバケットシリンダ24と、リフトアーム21に回動可能に連結されてバケット23とバケットシリンダ24とのリンク機構を構成するベルクランク25と、を有している。
【0020】
なお、2つのリフトアームシリンダ22L,22Rは車体の左右方向に所定の間隔を空けて並んで配置されているが、
図1では左側に設けられた前輪11Aに隠れる位置に配置されているため不図示であり、
図2では左側のリフトアームシリンダ22Lのみが示されている。
【0021】
リフトアーム21は、2つのリフトアームシリンダ22L,22Rの各ロッド220が伸びることにより前フレーム1Aに対して上方向に回動し、2つのリフトアームシリンダ22L,22Rの各ロッド220が縮むことにより前フレーム1Aに対して下方向に回動する。リフトアーム21の基端部(前フレーム1Aとの取り付け部)には、ホイールローダ1の接地面(4つの車輪11が接触している地面)とリフトアーム21とがなす角度であるリフトアーム角度αを検出するリフトアーム角度センサ31が取り付けられている。なお、リフトアーム角度センサ31は、リフトアーム21の姿勢を検出するリフトアーム姿勢センサの一態様である。
【0022】
バケット23は、バケットシリンダ24のロッド240が伸びることによりリフトアーム21に対して上方向に回動して前フレーム1A側に後傾し(チルト動作)、バケットシリンダ24のロッド240が縮むことによりリフトアーム21に対して下方向に回動する(ダンプ動作)。これにより、バケット23は、土砂や鉱物などの作業対象物を掬って排出(放土)することができる。
【0023】
ホイールローダ1の接地面とバケット23の底面とがなす角度であるバケット角度βは、リフトアーム角度αと、前フレーム1Aに対するベルクランク25の傾斜角度であるベルクランク角度γと、に基づいて算出することが可能である。したがって、リフトアーム角度αを検出するリフトアーム角度センサ31と、ベルクランク25に取り付けられてベルクランク角度γを検出するベルクランク角度センサ32とは、バケット23の姿勢を検出するバケット姿勢センサに相当する。なお、バケット姿勢センサは、必ずしも角度センサである必要はなく、例えばバケット23の位置を検出する位置センサなどであってもよい。
【0024】
バケット23は、例えばブレードなどの各種アタッチメントに交換することが可能であり、ホイールローダ1は、バケット23を用いた荷役作業の他に、除雪作業や押土作業(ドージング作業)などの各種作業を行うことも可能である。
【0025】
(掘削作業について)
次に、ホイールローダ1の掘削作業について、
図3A~Cを参照して説明する。
【0026】
図3A~Cは、ホイールローダ1の掘削作業について説明する説明図であり、
図3Aはバケット23を地山Qに突入させた様子、
図3Bはバケット23をチルト動作させている様子、
図3Cはリフトアーム21を上昇させた様子をそれぞれ示している。
【0027】
掘削作業では、まず、ホイールローダ1は、作業対象物である地山Qに向かってフルアクセルの状態で前進し、バケット23を地山Qに突入させる(
図3Aに示す状態)。次に、オペレータがリフトアーム21の上げ操作およびバケット23のチルト操作を行うことにより、ホイールローダ1は地山Qを構成する土砂や鉱物などを掬い上げる(
図3Bに示す状態)。そして、オペレータがリフトアーム21の上げ操作を継続して行うことにより、掬い上げた荷が積まれた状態のバケット23がさらに上方に持ち上がる(
図3Cに示す状態)。
【0028】
なお、土砂や鉱物などの荷を掬い上げてバケット23内に積み込む際(
図3Bに示す状態)において、地山Qを構成する構成要素の性状などによっては、オペレータによる1回のバケット23のチルト操作で、荷をバケット23の奥側まで積み込むことができない場合がある。このような場合には、オペレータは、バケット23のチルト操作を複数回に亘って行うことがある。
【0029】
バケット23のチルト操作が複数回に亘って行われる場合、初期の段階(例えば、1回目および2回目)では、ホイールローダ1が出力する前進の走行駆動力に対する地山Qからの反力で荷をバケット23の奥側に移動させるため、バケット23の姿勢が運転室12側に向かって大きく後傾していないことが望ましい。他方、バケット23のチルト操作の最終回では、バケット23を運転室12側に向けて大きく後傾させることによって、荷に後方への慣性を与えてバケット23の奥側に移動させることが望ましい。
【0030】
このホイールローダ1では、オペレータによる手動操作によって作業装置2を動作させて掘削作業を行うことの他、後述する掘削支援用コントローラ5(
図4および
図5参照)による作業装置2の自動制御を用いて掘削作業を行うことも可能である。
【0031】
(ホイールローダ1の駆動装置400)
次に、ホイールローダ1の駆動装置400について、
図4を参照して説明する。
【0032】
図4は、ホイールローダ1の駆動装置400の一構成例を示すシステム構成図である。
【0033】
ホイールローダ1の駆動装置400は、車体を走行させるための走行駆動装置401と、走行中の車体に対してブレーキ力を付与するためのブレーキ駆動装置402と、ステアリングを切るためのステアリング駆動装置403と、作業装置2を動作させるための作業駆動装置404と、を含んで構成される。
【0034】
これら走行駆動装置401、ブレーキ駆動装置402、ステアリング駆動装置403、および作業駆動装置404の駆動源となるエンジン40は、エンジンコントローラ40Aによって回転数が制御されている。エンジンコントローラ40Aは、アクセルペダル121の踏込量に基づいた目標エンジン回転数に係る制御信号をエンジン40に対して出力する。アクセルペダル121の踏込量は、アクセルペダル121に取り付けられたアクセルペダル踏込量センサ33で検出される。
【0035】
走行駆動装置401は、本実施形態ではトルクコンバータ式が用いられており、エンジン40の出力軸に連結されてエンジン40から伝達されるトルクを増幅させるトルクコンバータ41と、トルクコンバータ41の出力軸に連結されたトランスミッション42と、を有する。トルクコンバータ41の出力軸はトランスミッション42を介してドライブシャフト15に接続されており、エンジン40から出力された駆動力がトルクコンバータ41、トランスミッション42、およびドライブシャフト15を介して4つの車輪11に伝達される。
【0036】
トルクコンバータ41は、出力回転数に対して入力回転数(エンジン40の出力軸の回転数)が大きいほどトランスミッション42に伝達される駆動力が増大する構造を有している。したがって、アクセルペダル121の踏込量を増やしてエンジン40の回転数を上げると、トルクコンバータ41が出力する駆動力は大きくなる。トルクコンバータ41には、トルクコンバータ41の出力トルクTrを検出するトルクセンサ34と、トルクコンバータの出力回転数Rを検出する回転数センサ35と、が設けられている。
【0037】
トランスミッション42は、トランスミッションコントローラ42Aから出力される制御信号にしたがって、トルクコンバータ41の出力軸とドライブシャフト15との接続を遮断して4つの車輪11の駆動力を落としたり、ドライブシャフト15の回転方向を反転させて4つの車輪11の駆動力の方向を切り換えたりする。トランスミッションコントローラ42Aには、車体の前後進を切り換えるための前後進切換装置としての前後進切換スイッチ122から出力された切換信号およびブレーキペダル踏込量センサ36で検出されたブレーキペダル123の踏込量SBが入力される。
【0038】
例えば、トランスミッションコントローラ42Aは、前後進切換スイッチ122から出力された切換信号が停止に係るニュートラル信号であって、かつ、ブレーキペダル踏込量センサ36で検出された踏込量が所定の踏込量以上であった場合、トルクコンバータ41の出力軸とドライブシャフト15との接続を遮断する制御信号をトランスミッション42に対して出力する。
【0039】
トランスミッション42の出力側には、ドライブシャフト15の回転数を検出することで車速を検出する車速センサ37が設けられている。なお、この車速センサ37は、車速に基づいて加速度を検出することも可能である。すなわち、車速センサ37は、ホイールローダ1の加速度を検出する加速度センサの一態様である。
【0040】
ブレーキ駆動装置402は、エンジン40の出力軸に連結されたブレーキポンプ43と、ブレーキポンプ43から吐出された圧油を蓄圧するアキュムレータ44と、4つの車輪11のブレーキ力を制御するブレーキ制御回路45と、を有する。ブレーキ制御回路45では、ブレーキペダル踏込量センサ36で検出されたブレーキペダル123の踏込量に基づいて、4つの車輪11のブレーキ力を制御するための制御圧が調整されている。
【0041】
ステアリング駆動装置403は、ロッド100が伸縮することにより左右方向にステアリングを切る左右のステアリングシリンダ10L,10Rと、エンジン40の出力軸に連結されて左右のステアリングシリンダ10L,10Rに圧油を供給するメインポンプ46と、ステアリングホイール126の操作量および操作方向に基づいて左右のステアリングシリンダ10L,10Rを制御するステアリング制御回路47と、を有する。
【0042】
ステアリング制御回路47は、メインポンプ46から吐出されて左右のステアリングシリンダ10L,10Rのそれぞれに供給される圧油の流れ(方向および流量)を制御するステアリング用方向制御弁と、ステアリングホイール126から出力された操舵信号に基づいてステアリング用方向制御弁を制御するステアリング用電磁制御弁と、を含んで構成される。ステアリング用電磁制御弁は、ステアリング用方向制御弁を制御することで、左右のステアリングシリンダ10L,10Rを制御する。
【0043】
例えば、オペレータがステアリングホイール126を右回転させた場合、ステアリング制御回路47は、ステアリングホイール126から出力された右回転の操舵信号に基づいて、メインポンプ46の吐出側と左のステアリングシリンダ10Lのボトム室とを接続すると共に、メインポンプ46の吐出側と右のステアリングシリンダ10Rのロッド室とを接続する。
【0044】
これにより、メインポンプ46から吐出された圧油が左のステアリングシリンダ10Lのボトム室および右のステアリングシリンダ10Rのロッド室のそれぞれに流入するため、左のステアリングシリンダ10Lのロッド100が伸長すると共に右のステアリングシリンダ10Rのロッド100が収縮してホイールローダ1が右折する。
【0045】
他方、オペレータがステアリングホイール126を左回転させた場合、ステアリング制御回路47は、ステアリングホイール126から出力された左回転の操舵信号に基づいて、メインポンプ46の吐出側と左のステアリングシリンダ10Lのロッド室とを接続すると共に、メインポンプ46の吐出側と右のステアリングシリンダ10Rのボトム室とを接続する。
【0046】
これにより、メインポンプ46から吐出された圧油が左のステアリングシリンダ10Lのロッド室および右のステアリングシリンダ10Rのボトム室のそれぞれに流入するため、左のステアリングシリンダ10Lのロッド100が収縮すると共に右のステアリングシリンダ10Rのロッド100が伸長してホイールローダ1が左折する。
【0047】
作業駆動装置404は、2つのリフトアームシリンダ22L,22Rと、バケットシリンダ24と、2つのリフトアームシリンダ22L,22Rおよびバケットシリンダ24に圧油を供給するメインポンプ46と、リフトアーム操作レバー124およびバケット操作レバー125の操作量および操作方向に基づいてメインポンプ46から2つのリフトアームシリンダ22L,22Rおよびバケットシリンダ24のそれぞれに供給される圧油の流れを制御する作業装置制御回路48と、を有する。
【0048】
メインポンプ46から吐出される圧油の流量は、エンジン40の出力軸の回転数が大きいほど増加するため、アクセルペダル121の踏込量を増大させてエンジン40の出力軸の回転数を上げることにより、2つのリフトアームシリンダ22L,22Rの各ロッド220およびバケットシリンダ24のロッド240の伸縮速度は速くなる。なお、
図4では、ステアリング駆動装置403と作業駆動装置404とにおいてメインポンプ46を共用しているが、必ずしも同じ油圧ポンプを使用する必要はなく、ステアリング駆動装置403および作業駆動装置404のそれぞれにおいて個別の油圧ポンプが備わっていてもよい。
【0049】
作業装置制御回路48は、メインポンプ46から吐出されて2つのリフトアームシリンダ22L,22Rのそれぞれに供給される圧油の流れを制御するリフトアーム用方向制御弁と、リフトアーム操作レバー124から出力されたリフトアーム操作信号に基づいてリフトアーム用方向制御弁を制御するリフトアーム用電磁制御弁481(
図5参照)と、メインポンプ46から吐出されてバケットシリンダ24に供給される圧油の流れを制御するバケット用方向制御弁と、バケット操作レバー125から出力されたバケット操作信号に基づいてバケット用方向制御弁を制御するバケット用電磁制御弁482(
図5参照)と、を含んで構成される。
【0050】
リフトアーム用電磁制御弁481は、リフトアーム用方向制御弁を制御することで、2つのリフトアームシリンダ22L,22Rを制御する。同様に、バケット用電磁制御弁482は、バケット用方向制御弁を制御することで、バケットシリンダ24を制御する。
【0051】
例えば、オペレータがリフトアーム21を上昇させるようにリフトアーム操作レバー124を操作した場合、作業装置制御回路48は、リフトアーム操作レバー124から出力されたリフトアーム上げ操作信号に基づいて、メインポンプ46と2つのリフトアームシリンダ22L,22Rの各ボトム室22Bとを接続する。
【0052】
これにより、メインポンプ46から吐出された圧油は2つのリフトアームシリンダ22L,22Rの各ボトム室22Bに流入するため、各ロッド220が伸長してリフトアーム21が上方向に動作する。
【0053】
また、例えば、オペレータがバケット23をチルト動作させるようにバケット操作レバー125を操作した場合、作業装置制御回路48は、バケット操作レバー125から出力されたチルト操作信号に基づいて、メインポンプ46とバケットシリンダ24のボトム室24Bとを接続する。
【0054】
これにより、メインポンプ46から吐出された圧油はバケットシリンダ24のボトム室24Bに流入するため、ロッド240が伸長してバケット23がチルト動作(起こし動作)する。
【0055】
2つのリフトアームシリンダ22L,22Rのうち一方のリフトアームシリンダ22Lには、ロッド室22Aの内圧であるロッド圧PLrを検出するリフトアーム用ロッド圧センサ38Aおよびボトム室22Bの内圧であるボトム圧PLbを検出するリフトアーム用ボトム圧センサ38Bがそれぞれ取り付けられている。なお、
図4では、リフトアーム用ロッド圧センサ38Aおよびリフトアーム用ボトム圧センサ38Bは、左側のリフトアームシリンダ22Lに取り付けられているが、右側のリフトアームシリンダ22Rに取り付けられていてもよい。
【0056】
同様に、バケットシリンダ24には、ロッド室24Aの内圧であるロッド圧PBrを検出するバケット用ロッド圧センサ39Aおよびボトム室24Bの内圧であるボトム圧PBbを検出するバケット用ボトム圧センサ39Bがそれぞれ取り付けられている。
【0057】
ホイールローダ1では、掘削支援用コントローラ5により作業装置制御回路48(リフトアーム用電磁制御弁481およびバケット用電磁制御弁482)を制御することで、オペレータによるリフトアーム操作レバー124およびバケット操作レバー125の操作がなくとも、作業装置2を自動で動作させて掘削作業を行うことが可能となっている。掘削支援用コントローラ5による作業装置2の掘削支援制御システムは、運転室12内に設けられた掘削支援開始スイッチ49をオペレータがON操作することにより起動する。
【0058】
(掘削支援用コントローラ5の構成)
次に、掘削支援用コントローラ5の構成について、
図5および
図6を参照して説明する。なお、以下の説明では、掘削支援用コントローラ5を単に「コントローラ5」とする。
【0059】
図5は、コントローラ5が有する機能を示す機能ブロック図である。
【0060】
コントローラ5は、CPU、RAM、ROM、HDD、入力I/F、および出力I/Fがバスを介して互いに接続されて構成される。そして、掘削支援開始スイッチ49や前後進切換スイッチ122などの各種の操作装置、およびリフトアーム角度センサ31、ベルクランク角度センサ32、アクセルペダル踏込量センサ33、トルクセンサ34、回転数センサ35、ブレーキペダル踏込量センサ36、車速センサ37、リフトアーム用ロッド圧センサ38A、リフトアーム用ボトム圧センサ38B、バケット用ロッド圧センサ39A、およびバケット用ボトム圧センサ39Bといった各種のセンサが入力I/Fに接続され、リフトアーム用電磁制御弁481およびバケット用電磁制御弁482(作業装置制御回路48)が出力I/Fに接続されている。
【0061】
このようなハードウェア構成において、ROMやHDD若しくは光学ディスクなどの記録媒体に格納された制御プログラム(ソフトウェア)をCPUが読み出してRAM上に展開し、展開された制御プログラムを実行することにより、制御プログラムとハードウェアとが協働して、コントローラ5の機能を実現する。
【0062】
なお、本実施形態では、コントローラ5の構成をソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより説明しているが、これに限らず、ホイールローダ1の側で実行される制御プログラムの機能を実現する集積回路を用いて構成してもよい。
【0063】
コントローラ5は、データ取得部51と、判定部52と、指令信号出力部53と、処理段階カウント部54と、記憶部55と、を含む。
【0064】
データ取得部51は、掘削支援開始スイッチ49から出力されたON信号、リフトアーム用ロッド圧センサ38Aで検出されたロッド圧PLr、リフトアーム用ボトム圧センサ38Bで検出されたボトム圧PLb、バケット用ロッド圧センサ39Aで検出されたロッド圧PBr、バケット用ボトム圧センサ39Bで検出されたボトム圧PBb、前後進切換スイッチ122から出力された切換信号、車速センサ37で検出された車速V、リフトアーム角度センサ31で検出されたリフトアーム角度α、ベルクランク角度センサ32で検出されたベルクランク角度γ、アクセルペダル踏込量センサ33で検出されたアクセルペダル踏込量SA、ブレーキペダル踏込量センサ36で検出されたブレーキペダル踏込量SB、トルクセンサ34で検出されたトルクコンバータ41の出力トルクTr、および回転数センサ35で検出されたトルクコンバータ41の出力回転数Rに関するデータをそれぞれ取得する。
【0065】
判定部52は、起動判定部521と、掘削準備判定部522と、停止要求判定部523と、掘削開始判定部524と、進行方向判定部525と、バケット姿勢判定部526と、リフトアーム姿勢判定部527と、減速度判定部528と、を含む。
【0066】
起動判定部521は、掘削支援制御システムが起動されているか否かを判定する。具体的には、起動判定部521は、データ取得部51において掘削支援開始スイッチ49からのON信号が取得された場合に、掘削支援制御システムが起動されたと判定する。
【0067】
掘削準備判定部522は、掘削準備条件を満たすか否かを判定する。ここで、「掘削準備条件」とは、作業装置2が後述の掘削姿勢であって、オペレータが掘削作業を行う意思があり、かつ、バケット23内が空荷の状態であることである。
【0068】
具体的には、掘削準備判定部522は、データ取得部51において取得されたリフトアーム角度αおよびベルクランク角度γに基づいて算出されたバケット角度βがホイールローダ1の接地面から所定の角度閾値βth以内である場合に(0<β≦βth)、作業装置2が掘削姿勢であると判定する。なお、「所定の角度閾値βth」は、例えば10°であって、バケット23が地山Qに突入可能な範囲の角度に設定されている。なお、掘削姿勢におけるバケット角度βの範囲は、0よりも大きい範囲に設定されているが、これに限られず、地山の安息角などに応じた範囲に適宜設定することが可能であり、例えば、車体との接地面よりも下方にダンプ動作されたマイナスの角度の状態よりも大きい範囲(例えば、-10°<β≦βth)に設定してもよい。
【0069】
また、掘削準備判定部522は、データ取得部51において取得されたアクセルペダル踏込量SAが所定の踏込量閾値SAth以上である場合に(SA≧SAth)、オペレータが掘削作業を行う意思があると判定する。なお、「所定の踏込量閾値SAth」は、ホイールローダ1が走行可能な最低限のアクセルペダル踏込量に相当する値に設定されている。
【0070】
そして、掘削準備判定部522は、データ取得部51において取得されたリフトアームシリンダ22L,22Rのボトム圧PLbが所定のボトム圧閾値PLbthよりも小さい場合に(PLb<PLbth)、バケット23内が空荷の状態であると判定する。なお、「所定のボトム圧閾値PLbth」とは、バケット23内に最低限の荷がある状態においてリフトアームシリンダ22L,22Rにかかるボトム圧に設定されている。
【0071】
停止要求判定部523は、掘削支援制御システムによる掘削支援制御の停止が要求されたか否かを判定する。具体的には、停止要求判定部523は、データ取得部51において取得されたブレーキペダル踏込量SBに基づいて、ブレーキペダル123の操作があったか否かを判定し、ブレーキペダル123の操作あった場合には、掘削支援制御の停止が要求されたと判定する。
【0072】
掘削開始判定部524は、掘削開始条件を満たすか否か、すなわちバケット23が地山Qに接触したか否かを判定する。ここで、「掘削開始条件」とは、2つのリフトアームシリンダ22L,22Rに掛かる圧力PLとバケットシリンダ24に掛かる圧力PBとが上昇し、車速Vが掘削作業時の速度であって、かつ、ホイールローダ1が地山Qから力を受けていることである。
【0073】
具体的には、掘削開始判定部524は、2つのリフトアームシリンダ22L,22Rに掛かる圧力PLとバケットシリンダ24に掛かる圧力PBとの合計値P(=PL+PB)が所定の第1圧力閾値Pthよりも大きい場合に(P>Pth)、2つのリフトアームシリンダ22L,22Rに掛かる圧力PLとバケットシリンダ24に掛かる圧力PBとが上昇したと判定する。
【0074】
なお、「第1圧力閾値Pth」は、作業装置2が動作しておらず、かつ、作業装置2が接触などによって外部から力を受けていない状態において、2つのリフトアームシリンダ22L,22Rに掛かる圧力PLとバケットシリンダ24に掛かる圧力PBとの合計値に相当する値に設定されている。
【0075】
掘削開始判定部524は、2つのリフトアームシリンダ22L,22Rに掛かる圧力PLに相当する力と、バケットシリンダ24に掛かる圧力PBに相当する力と、をそれぞれ取得し、取得した力の合計値が第1圧力閾値Pthに相当する力の閾値よりも大きい場合に、2つのリフトアームシリンダ22L,22Rに掛かる圧力PLとバケットシリンダ24に掛かる圧力PBとが上昇したと判定しても良い。
【0076】
ここで、2つのリフトアームシリンダ22L,22Rに掛かる力は、データ取得部51において取得されたリフトアームシリンダ22Lのボトム圧PLbとボトム室22Bの断面積との積から、リフトアームシリンダ22Lのロッド圧PLrとロッド室22Aの断面積との積を減算し、算出された減算値を2倍することにより求めることができる。
【0077】
同様に、バケットシリンダ24に掛かる力は、データ取得部51において取得されたバケットシリンダ24のボトム圧PBbとボトム室24Bの断面積との積から、バケットシリンダ24のロッド圧PBrとロッド室24Aの断面積との積を減算することにより求められる。
【0078】
本実施形態では、2つのリフトアームシリンダ22L,22Rに掛かる圧力PLおよびバケットシリンダ24に掛かる圧力PBの上昇を掘削開始条件の1つとしているが、必ずしも2つのリフトアームシリンダ22L,22Rに掛かる圧力PLおよびバケットシリンダ24に掛かる圧力PBの両方の上昇を条件とする必要はなく、少なくともリフトアームシリンダ22L,22Rのボトム圧PLbの上昇のみを条件とすればよい。したがって、「第1圧力閾値Pth」は、少なくとも、リフトアーム21が動作していない状態かつバケット23が地山Qに接触した状態のリフトアームシリンダ22L,22Rのボトム圧に相当する値に設定されていればよい。
【0079】
ただし、2つのリフトアームシリンダ22L,22Rに掛かる圧力PLおよびバケットシリンダ24に掛かる圧力PBの両方の上昇を条件とすることで、リフトアームシリンダ22のボトム圧PLbの上昇のみを条件とした場合と比べて誤判定が抑制されて掘削開始の判定精度を向上させることが可能となる。
【0080】
本実施形態では、2つのリフトアームシリンダ22L,22Rに掛かる圧力PLおよびバケットシリンダ24に掛かる圧力PBとして、データ取得部51において取得されたリフトアームシリンダ22L,22Rのボトム圧PLbおよびバケットシリンダ24のボトム圧PBbを用いたが、リフトアームシリンダ22L,22Rのロッド圧PLrおよびバケットシリンダ24のロッド圧PBrを用いても良い。この場合には、掘削開始条件の一つは、2つのリフトアームシリンダ22L,22Rに掛かる圧力とバケットシリンダ24に掛かる圧力とが「下降する」こととなる。
【0081】
また、掘削開始判定部524は、データ取得部51において取得された車速Vが所定の速度閾値Vth以下である場合に(V≦Vth)、車速Vが掘削作業時の速度であると判定する。なお、「所定の速度閾値Vth」は、例えば12km/hであって、掘削作業時において頻繁に用いられる速度に設定されている。
【0082】
そして、掘削開始判定部524は、エンジン40の出力に対して車体が加速していない状態で車体に対して外部から付与されている付与力Fが所定の付与力閾値Fth以上である場合に(F≧Fth)、ホイールローダ1が地山Qから力を受けている、すなわちバケット23が地山Qに接触していると判定する。なお、「所定の付与力閾値Fth」は、リフトアーム21が動作していない状態でバケット23が地山Qに接触したときに車体に対して地山Qから付与されている力に相当する値である。
【0083】
ここで、付与力Fは、データ取得部51において取得されたトルクコンバータ41の出力トルクTrとトルクコンバータ41の出力回転数Rとの積(Tr×R)から、記憶部55に記憶されている車重Wとデータ取得部51において取得された車速Vに基づいて算出された加速度VAとの積(W×VA)を減算することにより求められる。
【0084】
進行方向判定部525は、データ取得部51において取得された前後進切換スイッチ122からの切換信号に基づいて、ホイールローダ1の進行方向(前進、後進、または停止)を判定する。
【0085】
バケット姿勢判定部526は、データ取得部51において取得されたリフトアーム角度αおよびベルクランク角度γに基づいて算出されたバケット角度βに基づいて、バケット23がどのような姿勢になっているか判定する。なお、バケット姿勢判定部526は、必ずしもバケット角度βに基づいてバケット23の姿勢を判定する必要はなく、例えば、バケットシリンダ24の位置やバケット23の動作量の出力時間などに基づいてバケット23の姿勢を判定してもよい。
【0086】
具体的には、バケット姿勢判定部526は、算出されたバケット角度βが、第1角度閾値β1以上であるか否か、第2角度閾値β2以上であるか否か、および第3角度閾値β3以上であるか否かを、それぞれ判定する。
【0087】
ここで、「第1角度閾値β1」は、掘削作業の開始初期の状態において車体の駆動力で荷をバケット23の奥側に移動させやすい角度であって、例えば10°に設定されている。なお、エンジン40の回転数が高い場合などバケット23の動作速度に影響する出力が大きい場合にはバケット23の応答が遅れやすいため、第1角度閾値β1を10°よりも小さい角度(例えば8°)としておくことが望ましい。
【0088】
「第2角度閾値β2」は、掘削作業の開始初期の状態からリフトアーム21の上昇動作およびバケット23のチルト動作が行われて、バケット角度βが若干大きくなった状態であり、この状態から行う次のリフトアーム21の上昇動作およびバケット23のチルト動作が作業装置2における最終動作となるため、これら最終動作で荷をバケット23の奥側に積載する(バケット23内の荷に十分な慣性を与える)ことを可能とする角度であって、例えば20°に設定されている。最終動作でのバケット23のチルト動作では、バケット23が限界までチルトして運転室12側に向かって最も後傾した最後傾状態(最終姿勢)、すなわちフルチルト状態となるため、最終動作でのバケット23のチルト動作はフルチルト動作に該当する。
【0089】
なお、バケット23のフルチルト動作におけるバケット23の動作量や動作速度が比較的大きい値に設定されている場合には、少ない動作量でバケット23内の荷に十分な慣性を与えることが可能であるため、第2角度閾値β2は、例えば50°などの大きい角度に設定してもよい。あるいは、これまでのバケット23の動作量に対する動作速度に応じて第2角度閾値β2を設定してもよい。
【0090】
「第3角度閾値β3」は、あと1回のバケット23のチルト動作のみで荷をバケット23の奥側に積載する(バケット23内の荷に十分な慣性を与える)ことを可能とする角度であって、例えば20°~50°の間の角度に設定されている。すなわち、「あと1回のバケット23のチルト動作」は、フルチルト動作に該当する。したがって、「第3角度閾値β3」は、この状態からバケット23をフルチルト状態にするまでのフルチルト動作の動作量が十分確保された角度に設定されていることが望ましい。なお、この第3角度閾値β3は、前述の第2角度閾値β2と同じ場合や、第2角度閾値β2に対して後述するステップS633(
図9参照)で変化すると想定されるバケット角度βの変化量を加えた値とする場合もあり得る。
【0091】
バケット姿勢判定部526は、算出されたバケット角度βが第3角度閾値β3以上である場合には(β≧β3)、バケット23の姿勢が、あと1回のチルト動作(フルチルト動作)でバケット23の奥側に荷を積載可能とする最終姿勢であると判定する。
【0092】
ここで、「第1角度閾値β1」、「第2角度閾値β2」、および「第3角度閾値β3」はいずれも、バケット23における「所定の後傾量閾値」の一態様である。
【0093】
リフトアーム姿勢判定部527は、後述するリフトアーム21の基準角度αsからのリフトアーム21の上昇角度αr(
図10参照;以下、単に「リフトアーム上昇角度αr」とする)が第1上昇角度閾値αr1(例えば5°)以上であるか否か、または、データ取得部51において取得されたリフトアームシリンダ22Lのボトム圧PLbが所定の上限圧力Prlim以上であるか否かを判定する。
【0094】
また、リフトアーム姿勢判定部527は、リフトアーム21の基準角度αsからのリフトアーム上昇角度αrが第2上昇角度閾値αr2(例えば10°)以上であるか否か、または、データ取得部51において取得されたリフトアームシリンダ22Lのボトム圧PLbが所定の上限圧力Prlim以上であるか否かを判定する。
【0095】
また、リフトアーム姿勢判定部527は、リフトアーム21の基準角度αsからのリフトアーム上昇角度αrが第3上昇角度閾値αr3(例えば15°)以上であるか否か、または、データ取得部51において取得されたリフトアームシリンダ22Lのボトム圧PLbが所定の上限圧力Prlim以上であるか否かを判定する。
【0096】
ここで、「第1上昇角度閾値αr1」、「第2上昇角度閾値αr2」、および「第3上昇角度閾値αr3」はいずれも、リフトアーム21における「所定の上昇量閾値」の一態様である。
【0097】
「所定の上限圧力Prlim」は、第1圧力閾値Pthよりも大きい第2圧力閾値に相当し、作業装置制御回路48における油圧管路の圧力が限界になることにより解放される圧力として設定された設定リリーフ圧よりも少し小さい値に設定しておくことが望ましい。
【0098】
なお、本実施形態では、リフトアーム姿勢判定部527は、リフトアーム21の基準角度αs(基準姿勢)からのリフトアーム21の上昇角度αr(上昇量)を用いてリフトアーム21の姿勢(状態)を判定しているが、これに限らず、例えば、ホイールローダ1の接地面とリフトアーム21の先端部における底面(作業装置2の底面)とがなす角度やホイールローダ1の接地面からリフトアーム21の先端部(バケットピン)までの鉛直高さを用いて予め設定したリフトアーム21の姿勢により、リフトアーム21の状態を判定してもよい。
【0099】
減速度判定部528は、減速度条件を満たすか否か、具体的には、バケット23が地山Qに突入して車体が地山Qからの反力を受けて十分に減速したか否かを判定する。ここで、「減速度条件」について、
図6を参照して説明する。
【0100】
図6は、掘削作業の開始時におけるホイールローダ1の加速度の時間変化を示すグラフである。
【0101】
掘削作業を行う場合、ホイールローダ1は、例えば10km/h程度の車速で地山Qに向かって前進走行し、地山Qに近づいてくると2km/h以下の車速となるように徐々に減速する。この場合、
図6における3.0秒~3.8秒あたりに示すように、車速の微分値のうちの正の値である加速度は、マイナス方向に減少していく。換言すれば、車速の微分値のうちの負の値である減速度(マイナスの加速度)は上昇していく。
【0102】
そして、バケット23が地山Qに接触(突入)すると、その直後に加速度が最小値から増加へ転じる。すなわち、バケット23が地山Qに接触して車体が地山Qから反力を受けると減速度が最大値を取り、その直後に減速度は減少へと転じる。減速度判定部528は、このような車速および減速度の関係に基づいて、バケット23が地山Qに突入して車体が地山Qからの反力を受けて十分に減速したか否かを判定することができる。
【0103】
したがって、「減速度条件」は、車速Vが地山Qにバケット23を突入させる直前の車速以下であって、かつ、減速度が最大値から減少へ転じた(加速度が最小値から増加へ転じた)ことである。例えば、減速度判定部528は、データ取得部51において取得された車速Vが2km/h以下であって、かつ、車速Vが2km/h以下になったときの減速度の最大値から0.6倍の減速度Ath(
図6のグラフにおける▲印)以上に転じたか否かを判定する。
【0104】
そして、掘削支援用コントローラ5は、減速度判定部528において減速度条件を満たすと判定されたときにデータ取得部51において取得されたリフトアーム角度αをリフトアーム基準角度αsとして記憶部55に記録する。すなわち、減速度判定部528において減速度条件を満たすと判定されたときの作業装置2の姿勢(状態)が基準となる。
【0105】
指令信号出力部53は、掘削開始判定部524における判定結果およびリフトアーム姿勢判定部527における判定結果に応じて、リフトアーム21の上昇動作に係る指令信号としての上昇指令信号をリフトアーム用電磁制御弁481に対して出力する。
【0106】
また、指令信号出力部53は、バケット姿勢判定部526の判定結果およびリフトアーム姿勢判定部527の判定結果に応じて、バケット23のチルト動作(フルチルト動作を含む)に係る指令信号としてチルト指令信号の出力あるいは出力停止をバケット用電磁制御弁482に対して行う。
【0107】
処理段階カウント部54は、掘削開始判定部524において掘削開始条件を満たすと判定された場合に、掘削支援制御の処理段階を「1」に設定する。また、処理段階カウント部54は、減速度判定部528において減速度条件を満たすと判定されてリフトアーム基準角度αsが記憶部55記録されると、掘削支援制御の段階処理を「2」に設定する。
【0108】
そして、処理段階カウント部54は、指令信号出力部53がバケット用電磁制御弁482に対してチルト指令信号を出力した場合、および指令信号出力部53がバケット用電磁制御弁482に対するチルト指令信号の出力を停止した場合にそれぞれ、処理段階3~7を順番に設定していく。
【0109】
記憶部55は、メモリであって、所定の角度閾値βth、第1角度閾値β1、第2角度閾値β2、第3角度閾値β3、リフトアーム基準角度αs、第1上昇角度閾値αr1、第2上昇角度閾値αr2、第3上昇角度閾値αr3、所定の踏込量閾値SAth、所定のボトム圧閾値PLbth、所定の第1圧力閾値Pth、所定の速度閾値Vth、および所定の上限圧力Prlimがそれぞれ記憶されている。
【0110】
(掘削支援用コントローラ5における処理)
次に、掘削支援用コントローラ5内で実行される具体的な処理の流れについて、
図7~16を参照して説明する。
【0111】
図7は、掘削支援用コントローラ5で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図8は、
図7に示すフローチャートの続きを示すフローXである。
図9は、
図8に示すフローチャートの続きを示すフローYである。
図10~16は、
図7~9に示すフローチャートを掘削支援用コントローラ5が実行する場合における作業装置2の姿勢変化を示した状態説明図である。具体的には、
図10は、掘削支援用コントローラ5が
図7~
図9に示す処理を実行する場合における作業装置の初期姿勢を模式的に示す図である。
図11は、
図8に示すステップS616においてYESに進んだ場合における作業装置2の姿勢を模式的に示す図である。
図12は、
図8に示すステップS620においてYESに進んだ場合における作業装置2の姿勢を模式的に示す図である。
図13は、
図8に示すステップS625においてYESに進んだ場合における作業装置2の姿勢を模式的に示す図である。
図14は、
図9に示すステップS629においてYESに進んだ場合における作業装置2の姿勢を模式的に示す図である。
図15は、
図9に示すステップS633においてYESに進んだ場合における作業装置2の姿勢を模式的に示す図である。
図16は、
図9に示すステップS637においてYESに進んだ場合における作業装置2の姿勢を模式的に示す図である。
【0112】
図7に示すように、掘削支援用コントローラ5では、まず、起動判定部521が、掘削支援制御システムが起動されたか否かを判定する(ステップS601)。ステップS601では、具体的には、起動判定部521は、データ取得部51において掘削支援開始スイッチからのON信号が取得されたか否かを判定する。このとき、作業装置2は、
図10に示すような初期姿勢となっている。
【0113】
ステップS601において掘削支援制御システムが起動されたと判定された場合(ステップS601/YES)、掘削準備判定部522は、掘削準備条件を満たすか否かを判定する(ステップS602)。
【0114】
一方、ステップS601において掘削支援制御システムが起動されていないと判定された場合(ステップS601/NO)、すなわちデータ取得部51において掘削支援開始スイッチからのON信号が取得されていない場合には、データ取得部51において掘削支援開始スイッチからのON信号が取得されて掘削支援制御システムが起動するまで次のステップS602へ進まない。
【0115】
ステップS602では、掘削準備判定部522は、データ取得部51において取得されたリフトアーム角度αおよびベルクランク角度γに基づいて算出されたバケット角度βがホイールローダ1の接地面から所定の角度閾値βth以内であるか否か(作業装置2が掘削姿勢であるか否か)、データ取得部51において取得されたアクセルペダル踏込量SAが所定の踏込量閾値SAth以上であるか否か(オペレータが掘削作業を行う意思があるか否か)、およびデータ取得部51において取得されたリフトアームシリンダ22L,22Rのボトム圧PLbが所定のボトム圧閾値PLbthよりも小さいか否か(バケット23内が空荷の状態であるか否か)について、それぞれ判定する。
【0116】
ステップS602において掘削準備条件を満たす(0<β≦βth、SA≧SAth、およびPLb<PLbth)と判定された場合(ステップS602/YES)、停止要求判定部523は、データ取得部51において取得されたブレーキペダル踏込量SBに基づいて、掘削支援制御の停止の要求があったか否かを判定する(ステップS603)。
【0117】
一方、ステップS602において掘削準備条件を満たさない(β>βth、SA<SAth、またはPLb≧PLbth)と判定された場合(ステップS602/NO)、掘削準備条件を満たすまで次のステップS603へ進まない。
【0118】
ステップS603においてブレーキペダル123の操作はなく掘削支援制御の停止の要求はされていないと判定された場合には(ステップS603/YES)、掘削開始判定部524は、掘削開始条件を満たすか否かを判定する(ステップS604)。
【0119】
一方、ステップS603においてブレーキペダル123の操作があって掘削支援制御の停止が要求されたと判定された場合には(ステップS603/NO)、ステップS601に戻って処理を繰り返す。
【0120】
ステップS604では、掘削開始判定部524は、2つのリフトアームシリンダ22L,22Rに掛かる圧力PLとバケットシリンダ24に掛かる圧力PBとの合計値Pが所定の第1圧力閾値Pthよりも大きいか否か、データ取得部51において取得された車速Vが所定の速度閾値Vth以下であるか否か、車体に対する外部からの付与力Fが所定の付与力閾値Fth以上であるか否かについて、それぞれ判定する。
【0121】
ステップS604において掘削開始条件を満たす(P>Pth、V≦Vth、およびF≧Fth)と判定された場合(ステップS604/YES)、処理段階カウント部54は、掘削支援制御の処理段階1を設定する(ステップS605)。続いて、指令信号出力部53は、リフトアーム用電磁制御弁481に対して上昇指令信号を出力する(ステップS606)。これにより、リフトアーム21が上昇動作を開始する。
【0122】
リフトアーム21が上昇動作を開始すると、バケット23も地面から離れて上昇し、バケット角度βも大きくなっていくことから、バケット23内に入り始めた荷の重力によってバケット23は地面の方向(下方向)へ押し下げられる。これにより、リフトアームシリンダ22L,22Rも地面の方向(下方向)へ押し下げられるため、特に、前輪11Aが地面と接触する力が増大し、車輪11のスリップを防ぐことができる。
【0123】
なお、バケット23が地山Qに接触した後は、時間の経過と共に作業装置2がより深く地山Qの内部へと進むので、リフトアーム21の上げ動作量も時間の経過と共に増加させて、よりスリップを防止することができるように調整してもよい。一方で、作業装置2が地山Qの内部に十分深く進む前にリフトアーム21の上昇動作を行ってしまうことを防ぐために、リフトアーム角度αの変化速度に反比例させるようにリフトアーム21の上げ動作量を減少させてもよい。
【0124】
次に、停止要求判定部523は、データ取得部51において取得されたブレーキペダル踏込量SBに基づいて、掘削支援制御の停止の要求があったか否かを再度判定する(ステップS607)。
【0125】
ステップS607においてブレーキペダル123の操作がなく掘削支援制御の停止の要求がないと判定された場合には(ステップS607/YES)、進行方向判定部525は、データ取得部51において取得された切換信号に基づいて、ホイールローダ1が前進走行をしているか否かを判定する(ステップS608)。
【0126】
一方、ステップS607においてブレーキペダル123の操作があって掘削支援制御の停止が要求されたと判定された場合には(ステップS607/NO)、
図9に示すステップS638に進んで、指令信号出力部53は、リフトアーム用電磁制御弁481に対する上昇指令信号の出力およびバケット用電磁制御弁482に対するチルト指令信号の出力をそれぞれ停止する(ステップS638)。これにより、作業装置2の動作が停止する。
【0127】
なお、
図7~9に示す掘削支援用コントローラ5のフローを初めて回す場合、ステップS607より前の処理では、リフトアーム用電磁制御弁481に対して上昇指令信号を出力しているのみであるため、ステップS638ではリフトアーム用電磁制御弁481に対する上昇指令信号の出力の停止のみが行われる。
【0128】
ステップS608においてホイールローダ1が前進走行中であると判定された場合(ステップS608/YES)、バケット姿勢判定部526は、データ取得部51において取得されたバケット角度βが第3角度閾値β3よりも小さいか否かを判定する(ステップS609)。
【0129】
一方、ステップS608においてホイールローダ1が前進走行中ではない、すなわちホイールローダ1が後進走行中あるいは停止中であると判定された場合(ステップS608/NO)、
図9に示すステップS634に進んで、指令信号出力部53は、バケット用電磁制御弁482に対してフルチルト指令信号を出力する(ステップS634)。
【0130】
すなわち、掘削支援用コントローラ5は、掘削支援制御中にデータ取得部51において後進に係る切換信号または停止に係る切換信号が取得された場合には、バケット23の姿勢にかかわらず、バケット23がフルチルト状態となるように制御する。
【0131】
ステップS609においてバケット角度βが第3角度閾値β3よりも小さい(β<β3)と判定された場合(ステップS609/YES)、処理段階カウント部54は、掘削支援制御の処理段階が「1」であるか否かを判定する(ステップS610)。
【0132】
一方、ステップS609においてバケット角度βが第3角度閾値β3以上である(β≧β3)と判定された場合には(ステップS609/NO)、
図9に示すステップS634に進んで、指令信号出力部53は、バケット用電磁制御弁482に対してフルチルト指令信号を出力する(ステップS634)。すなわち、ステップS609では、バケット23が最終姿勢となっているか否かを判定しており、ステップS609においてバケット23が最終姿勢であると判定された場合には、バケット23がフルチルト状態となるように制御する。
【0133】
ステップS610において掘削支援制御の処理段階が「1」であると判定された場合には(ステップS610/YES)、減速度判定部528は、減速度条件を満たすか否かを判定する(ステップS611)。
【0134】
一方、ステップS610において掘削支援制御の処理段階が「1」でないと判定された場合には(ステップS610/NO)、
図8に示すステップS615に進んで、処理段階カウント部54は、掘削支援制御の処理段階が「2」であるか否かを判定する(ステップS615)。
【0135】
ステップS611では、減速度判定部528は、データ取得部51において取得された車速Vが地山Qにバケット23を突入させる直前の車速以下であって、かつ、車速Vに基づく加速度が最小値から増加へ転じたか否か、すなわち減速度が最大値から減少へ転じたか否かを判定する。
【0136】
ステップS611において減速度条件を満たすと判定された場合(ステップS611/YES)、掘削支援用コントローラ5は、その時にデータ取得部51において取得されたリフトアーム角度αをリフトアーム基準角度αsとして記憶部55に記録する(ステップS612)。続いて、処理段階カウント部54は、掘削支援制御の処理段階2を設定する(ステップS613)。
【0137】
一方、ステップS611において減速度条件を満たしていないと判定された場合には(ステップS611/NO)、バケット23が地山Qに十分に突入できていないといえるため、指令信号出力部53は、リフトアーム用電磁制御弁481に対して継続して上昇指令信号を出力し(ステップS614)、その後、ステップS607に戻って処理を繰り返す。
【0138】
図8に示すように、処理段階カウント部54において処理段階2が設定されている場合には(ステップS615/YES)、リフトアーム姿勢判定部527は、リフトアーム上昇角度αrが第1上昇角度閾値αr1以上またはリフトアームシリンダ22のボトム圧PLbが所定の上限圧力Prlim以上であるか否かを判定する(ステップS616)。なお、処理段階カウント部54において処理段階2が設定されていない場合には(ステップS615/NO)、ステップS619に進んで、処理段階3が設定されているか否かを判定する。
【0139】
ステップS616において、
図11に示すようにリフトアーム上昇角度αrが第1上昇角度閾値αr1以上(αr≧αr1)またはリフトアームシリンダ22のボトム圧PLbが所定の上限圧力Prlim以上である(PLb≧Prlim)と判定された場合(ステップS616/YES)、指令信号出力部53は、バケット用電磁制御弁482に対してチルト指令信号を出力する(ステップS617)。続いて、処理段階カウント部54は、掘削支援制御の処理段階3を設定する(ステップS618)。
【0140】
一方、ステップS616において、リフトアーム上昇角度αrが第1上昇角度閾値αr1未満(αr<αr1)かつリフトアームシリンダ22のボトム圧PLbが所定の上限圧力Prlim未満である(PLb<Prlim)と判定された場合には(ステップS616/NO)、ステップS614に戻って処理を繰り返す。
【0141】
次に、処理段階カウント部54において処理段階3が設定されている場合には(ステップS619/YES)、バケット角度βが第1角度閾値β1以上であるか否かを判定する(ステップS620)。なお、処理段階カウント部54において処理段階3が設定されていない場合には(ステップS619/NO)、ステップS622に進んで処理段階4が設定されているか否かを判定する(ステップS624)。
【0142】
ステップS620において、
図12に示すようにバケット角度βが第1角度閾値β1以上である(β≧β1)と判定された場合(ステップS620/YES)、指令信号出力部53は、バケット用電磁制御弁482に対するチルト指令信号の出力を停止する(ステップS621)。続いて、処理段階カウント部54は、掘削支援制御の処理段階4を設定する(ステップS622)。
【0143】
一方、ステップS620において、バケット角度βが第1角度閾値β1未満である(β<β1)と判定された場合(ステップS620/NO)、すなわちバケット23の姿勢が最終姿勢よりも前傾した姿勢であると判定された場合、指令信号出力部53は、バケット用電磁制御弁482に対して継続してチルト指令信号を出力し(ステップS623)、その後、ステップS607に戻って処理を繰り返す。なお、このとき、指令信号出力部53は、リフトアーム用電磁制御弁481に対しても継続して上昇指令信号を出力している。
【0144】
処理段階カウント部54において処理段階4が設定されている場合(ステップS624/YES)、リフトアーム姿勢判定部527は、リフトアーム上昇角度αrが第2上昇角度閾値αr2以上またはリフトアームシリンダ22のボトム圧PLbが所定の上限圧力Prlim以上であるか否かを判定する(ステップS625)。
【0145】
なお、処理段階カウント部54において処理段階4が設定されていない場合には(ステップS624/NO)、
図9に示すステップS628に進んで、処理段階5が設定されているか否かを判定する。
【0146】
ステップS625において、
図13に示すようにリフトアーム上昇角度αrが第2上昇角度閾値αr2以上(αr≧αr2)またはリフトアームシリンダ22のボトム圧PLbが所定の上限圧力Prlim以上である(PLb≧Prlim)と判定された場合(ステップS625/YES)、指令信号出力部53は、バケット用電磁制御弁482に対して再びバケット用電磁制御弁482に対してチルト指令信号を出力する(ステップS626)。続いて、処理段階カウント部54は、掘削支援制御の処理段階5を設定する(ステップS627)。
【0147】
一方、ステップS625において、リフトアーム上昇角度αrが第2上昇角度閾値αr2未満(αr<αr2)かつリフトアームシリンダ22のボトム圧PLbが所定の上限圧力Prlim未満である(PLb<Prlim)と判定された場合には(ステップS625/NO)、ステップS614に戻って処理を繰り返す。
【0148】
図9に示すように、処理段階カウント部54において処理段階5が設定されている場合には(ステップS628/YES)、バケット角度βが第2角度閾値β2以上であるか否かを判定する(ステップS629)。なお、処理段階カウント部54において処理段階5が設定されていない場合には(ステップS628/NO)、ステップS632に進んで、処理段階6が設定されているか否かを判定する。
【0149】
ステップS629において、
図14に示すようにバケット角度βが第2角度閾値β2以上である(β≧β2)と判定された場合(ステップS629/YES)、指令信号出力部53は、バケット用電磁制御弁482に対するチルト指令信号の出力を停止する(ステップS630)。続いて、処理段階カウント部54は、掘削支援制御の処理段階6を設定する(ステップS631)。
【0150】
一方、ステップS629において、バケット角度βが第2角度閾値β2未満である(β<β2)と判定された場合には(ステップS629/NO)、ステップS623に戻って処理を繰り返す。
【0151】
次に、処理段階カウント部54において処理段階6が設定されている場合には(ステップS632/YES)、リフトアーム姿勢判定部527は、リフトアーム上昇角度αrが第3上昇角度閾値αr3以上またはリフトアームシリンダ22のボトム圧PLbが所定の上限圧力Prlim以上であるか否かを判定する(ステップS633)。なお、処理段階カウント部54において処理段階6が設定されていない場合には(ステップS632/NO)、ステップS636に進んで、処理段階7が設定されているか否かを判定する。
【0152】
ステップS633において、
図15に示すようにリフトアーム上昇角度αrが第3上昇角度閾値αr3以上(αr≧αr3)またはリフトアームシリンダ22のボトム圧PLbが所定の上限圧力Prlim以上である(PLb≧Prlim)と判定された場合(ステップS633/YES)、指令信号出力部53は、バケット用電磁制御弁482に対してフルチルト指令信号を出力する(ステップS634)。続いて、処理段階カウント部54において処理段階7を設定する(ステップS635)。
【0153】
一方、ステップS633において、リフトアーム上昇角度αrが第3上昇角度閾値αr3未満(αr<αr3)かつリフトアームシリンダ22のボトム圧PLbが所定の上限圧力Prlim未満である(PLb<Prlim)と判定された場合には(ステップS633/YES)、ステップS614に戻って処理を繰り返す。
【0154】
次に、処理段階カウント部54において処理段階7が設定されている場合には(ステップS636/YES)、バケット姿勢判定部526は、データ取得部51において取得されたリフトアーム角度αおよびベルクランク角度γに基づいて算出されたバケット角度βから、バケット23がフルチルト状態であるか否かを判定する(ステップS637)。
【0155】
なお、処理段階カウント部54において処理段階7が設定されていない場合には(ステップS636/NO)、ステップS638に進んで、指令信号出力部53は、バケット用電磁制御弁482に対するチルト指令信号の出力およびリフトアーム用電磁制御弁481に対する上昇指令信号の出力をそれぞれ停止する。
【0156】
ステップS637において、
図16に示すようにバケット23がフルチルト状態であると判定された場合(ステップS637/YES)、指令信号出力部53は、バケット用電磁制御弁482に対するチルト指令信号の出力およびリフトアーム用電磁制御弁481に対する上昇指令信号の出力を、それぞれ停止して(ステップS638)、掘削支援制御の処理が終わる。
【0157】
一方、ステップS637において、バケット23がフルチルト状態でないと判定された場合には(ステップS637/NO)、ステップS623に戻って処理を繰り返す。
【0158】
このように、掘削支援用コントローラ5では、リフトアーム21の上昇角度αrが所定の上昇角度閾値(第1上昇角度閾値αr1、第2上昇角度閾値αr2、または第3上昇角度閾値αr3)以上である、または、リフトアームシリンダ22のボトム圧PLbが上限圧力Prlim以上である「開始条件」を満たす場合に、バケット用電磁制御弁482に対するチルト指令信号の出力を「開始」する。また、バケット23のバケット角度βが所定の角度閾値(第1角度閾値β1または第2角度閾値β2)以上となる「停止条件」を満たす場合に、バケット用電磁制御弁482に対するチルト指令信号の出力を「停止」する。
【0159】
そして、バケット23が所定の姿勢(上述の「最終姿勢」に相当)となるまでの間、これら開始条件と停止条件とに基づいて、バケット用電磁制御弁482に対するチルト指令信号の開始と停止とを繰り返す。換言すれば、バケット角度βが予め設定された目標角度となるように、開始条件の判定結果および停止条件の判定結果に応じたリフトアーム21およびバケット23の動作制御を行う。これにより、ホイールローダ1では、作業対象物としての地山Qの大きさや性状、掘削開始前のホイールローダ1の動作内容によらず、バケット23内に荷を十分に積載することが可能となっている。
【0160】
具体的には、ステップS620およびステップS629の段階ではバケット角度βが第1角度閾値β1および第2角度閾値β2でそれぞれ保持され、必要以上にバケット23を起こし過ぎてしまうことがないため、バケット23の底面に荷が押し当てられてその力で荷をバケット23内に格納させることができると共に、最後のフルチルト動作にてバケット23が十分に動作する余地を残すことが可能となっている。そして、最後のフルチルト動作にてバケット23の開口(前方)寄りにあった荷に慣性を与えてバケット23の奥側に移動させることで、掘削作業後の運搬作業時にバケット23から荷がこぼれ落ちてしまうことを抑制して作業効率を向上させることができる。
【0161】
また、ステップS609において、バケット角度βが第3角度閾値β3に達している場合、すなわち、バケット23の姿勢が最終姿勢となっている場合には、掘削支援用コントローラ5は、それ以上バケット23をチルト動作させず、バケット用電磁制御弁482に対してフルチルト指令信号を出力してバケット23をフルチルト動作させるため、バケット23内の荷に十分な慣性を与えてバケット23の奥側に移動させることができる。
【0162】
また、本実施形態では、ステップS604において、エンジン40の出力に対して車体が加速していない状態で車体に対して外部から付与される付与力Fが所定の付与力閾値Fth以上であるか否かを判定することにより、ホイールローダ1が地山Qから力を受けている、すなわちバケット23が地山Qに接触(突入)しているか否かを判定している。これにより、ホイールローダ1が掘削作業を開始することを精度よく判定することができ、例えば地面を均すドージング作業との誤判定を抑制することが可能である。
【0163】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明は上記した実施形態や変形例に限定されるものではなく、様々な他の変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態および変形例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、本実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、本実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。またさらに、本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0164】
例えば、上記実施形態では、3回のチルト動作でバケット23をフルチルト状態としていたが、これに限らず、1回のチルト動作でバケット23をフルチルト状態とする場合や4回以上のチルト動作でバケット23をフルチルト状態とする場合であっても本発明を適用することができる。
【0165】
また、上記実施形態では、走行駆動装置401は、トルクコンバータ式であったが、これに限らず、HST式であってもよい。
【符号の説明】
【0166】
1:ホイールローダ
5:掘削支援用コントローラ(コントローラ)
21:リフトアーム
22:リフトアームシリンダ
23:バケット
24:バケットシリンダ
31:リフトアーム角度センサ(リフトアーム姿勢センサ・バケット姿勢センサ)
32:ベルクランク角度センサ(バケット姿勢センサ)
38B:リフトアーム用ボトム圧センサ(圧力センサ)
40:エンジン
41:トルクコンバータ
100:地山(作業対象物)
122:前後進切換スイッチ(前後進切換装置)
401:走行駆動装置
481:リフトアーム用電磁制御弁
482:バケット用電磁制御弁