(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】羽根車、遠心送風機、および室内機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/28 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
F04D29/28 C
(21)【出願番号】P 2023573776
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2022001269
(87)【国際公開番号】W WO2023135775
(87)【国際公開日】2023-07-20
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】大石 圭介
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-239567(JP,A)
【文献】特開2016-84743(JP,A)
【文献】特開2021-14795(JP,A)
【文献】国際公開第2015/104837(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸回りに回転可能な羽根車であって、
基部と、
前記基部に対して前記回転軸の軸方向のうち第1側に位置するシュラウド部と、
前記基部と前記シュラウド部との前記軸方向の間に位置し、前記羽根車の回転方向に間隔を空けて配置された複数の羽根部と、
を備え、
前記シュラウド部は、
シュラウド本体部と、
前記シュラウド本体部から前記第1側に突出し、前記軸方向のうち前記第1側と逆側の第2側に開口する複数の突出収容部と、
を有し、
前記複数の羽根部のそれぞれは、
羽根本体部と、
前記羽根本体部から前記第1側に突出する突出部と、
を有し、
前記軸方向に見て前記羽根本体部が延びる延伸方向における前記羽根本体部の一端部は、前記延伸方向における前記羽根本体部の他端部よりも、前記回転軸を中心とする径方向の内側に位置し、
前記複数の羽根部における前記突出部は、前記複数の突出収容部内にそれぞれ収容され、
前記複数の突出収容部のそれぞれは、
第1収容部と、
前記第1収容部の前記延伸方向の端部に繋がる第2収容部と、
を有し、
前記突出部は、
前記第1収容部内に収容され、前記シュラウド部に固定された第1凸部と、
前記第1凸部の前記延伸方向の端部に繋がり、前記第2収容部内に収容された第2凸部と、
を有し、
前記第1凸部は、前記第1収容部の内面のうち前記第1側に位置する面に接触して固定され、
前記第2凸部は、前記第2収容部の内面のうち前記第1側に位置する面と隙間を介して対向して
おり、
前記第2凸部の前記延伸方向の端部のうち前記第1凸部と繋がる側と逆側の端部は、前記羽根本体部の前記延伸方向の端部と段差なく繋がっている、羽根車。
【請求項2】
前記複数の突出収容部のそれぞれは、前記第2収容部として、前記第1収容部の前記延伸方向の両端部のうち前記径方向の内側に位置する端部に繋がる内側収容部を有し、
前記突出部は、前記第2凸部として、前記第1凸部の前記延伸方向の両端部のうち前記径方向の内側に位置する端部に繋がる内側凸部を有し、
前記内側凸部は、前記内側収容部内に収容されている、請求項1に記載の羽根車。
【請求項3】
前記延伸方向における前記羽根本体部の一端部は、前記延伸方向における前記羽根本体部の他端部よりも、前記径方向の内側、かつ、前記回転方向の前方側に位置し、
前記シュラウド部は、前記シュラウド本体部から前記第1側に突出する被覆部を有し、
前記被覆部の前記第1側の端部は、前記内側収容部の前記第1側の端部よりも前記第1側に位置し、
前記被覆部は、前記内側収容部の前記径方向の外側から前記回転方向の前方側に、前記径方向の内側に湾曲しつつ延びて、前記内側収容部を前記回転方向の前方側から覆っている、請求項2に記載の羽根車。
【請求項4】
前記被覆部は、前記内側収容部の前記径方向の外側に繋がっている、請求項3に記載の羽根車。
【請求項5】
前記突出収容部は、前記第2収容部として、前記第1収容部の前記延伸方向の両端部のうち前記径方向の外側に位置する端部に繋がる外側収容部を有し、
前記突出部は、前記第2凸部として、前記第1凸部の前記延伸方向の両端部のうち前記径方向の外側に位置する端部に繋がる外側凸部を有し、
前記外側凸部は、前記外側収容部内に収容されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の羽根車。
【請求項6】
前記第2収容部の前記第1側の端部は、前記第1収容部のうち最も前記第1側に位置する部分よりも前記第2側に位置し、
前記第2凸部の前記第1側の端部は、前記第1凸部のうち最も前記第1側に位置する部分よりも前記第2側に位置する、請求項1から5のいずれか一項に記載の羽根車。
【請求項7】
前記第2凸部の全体は、前記第2収容部の内面から離れて配置されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の羽根車。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか一項に記載の羽根車と、
前記羽根車を前記回転軸回りに回転させる駆動部と、
を備える、遠心送風機。
【請求項9】
空気調和機の室内機であって、
請求項
8に記載の遠心送風機と、
前記遠心送風機によって空気が送られる熱交換器と、
を備える、室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、羽根車、遠心送風機、および室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心送風機の羽根車が知られている。例えば、特許文献1には、中空羽根の端部が嵌合される嵌合凹部が形成された側板を備える羽根車が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような羽根車においては、中空羽根の端部を嵌合凹部の内面に確実に接触させて中空羽根を側板に固定するために、中空羽根のうち嵌合凹部の内面と接触する部分以外の部分と側板との間には隙間が設けられている。当該隙間を介して、中空羽根の正圧側から中空羽根の負圧側へと空気の流れが生じ、羽根車による送風効率が低下する問題があった。
【0005】
本開示は、上記の事情に鑑みて、送風効率が低下することを抑制できる構造を有する羽根車、そのような羽根車を備える遠心送風機、およびそのような遠心送風機を備える室内機を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る羽根車の一つの態様は、回転軸回りに回転可能な羽根車であって、基部と、前記基部に対して前記回転軸の軸方向のうち第1側に位置するシュラウド部と、前記基部と前記シュラウド部との前記軸方向の間に位置し、前記羽根車の回転方向に間隔を空けて配置された複数の羽根部と、を備え、前記シュラウド部は、シュラウド本体部と、前記シュラウド本体部から前記第1側に突出し、前記軸方向のうち前記第1側と逆側の第2側に開口する複数の突出収容部と、を有し、前記複数の羽根部のそれぞれは、羽根本体部と、前記羽根本体部から前記第1側に突出する突出部と、を有し、前記軸方向に見て前記羽根本体部が延びる延伸方向における前記羽根本体部の一端部は、前記延伸方向における前記羽根本体部の他端部よりも、前記回転軸を中心とする径方向の内側に位置し、前記複数の羽根部における前記突出部は、前記複数の突出収容部内にそれぞれ収容され、前記複数の突出収容部のそれぞれは、第1収容部と、前記第1収容部の前記延伸方向の端部に繋がる第2収容部と、を有し、前記突出部は、前記第1収容部内に収容され、前記シュラウド部に固定された第1凸部と、前記第1凸部の前記延伸方向の端部に繋がり、前記第2収容部内に収容された第2凸部と、を有し、前記第1凸部は、前記第1収容部の内面のうち前記第1側に位置する面に接触して固定され、前記第2凸部は、前記第2収容部の内面のうち前記第1側に位置する面と隙間を介して対向しており、前記第2凸部の前記延伸方向の端部のうち前記第1凸部と繋がる側と逆側の端部は、前記羽根本体部の前記延伸方向の端部と段差なく繋がっている。
【0007】
本開示に係る遠心送風機の一つの態様は、上記の羽根車と、前記羽根車を前記回転軸回りに回転させる駆動部と、を備える。
【0008】
本開示に係る室内機の一つの態様は、空気調和機の室内機であって、上記の遠心送風機と、前記遠心送風機によって空気が送られる熱交換器と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、遠心送風機において、羽根車による送風効率が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1における空気調和機の概略構成を示す模式図である。
【
図2】実施の形態1における室内機を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態1における室内機を示す断面図である。
【
図4】実施の形態1における羽根車を示す斜視図である。
【
図5】実施の形態1における羽根車を下側から見た図である。
【
図6】実施の形態1における突出収容部と突出部とを示す断面図であって、
図5におけるVI-VI断面図である。
【
図7】実施の形態1における突出収容部を示す斜視図である。
【
図8】実施の形態1における羽根部を示す斜視図である。
【
図9】実施の形態1における羽根車の一部を示す断面図であって、
図5におけるIX-IX断面図である。
【
図10】実施の形態1における羽根車の一部を示す断面図であって、
図5におけるX-X断面図である。
【
図11】実施の形態2における羽根車の一部を示す斜視図である。
【
図12】実施の形態2における羽根車の一部を下側から見た図である。
【
図13】実施の形態3における羽根車の一部を示す斜視図である。
【
図14】実施の形態3における羽根車の一部を示す断面図である。
【
図15】実施の形態3における羽根部の一部を示す斜視図である。
【
図16】実施の形態4における羽根車の一部を示す斜視図である。
【
図17】比較例の羽根車の一部を示す断面図である。
【
図18】比較例の羽根車の一部を示す断面図であって、
図17におけるXVIII-XVIII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、本開示の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数などを、実際の構造における縮尺および数などと異ならせる場合がある。
【0012】
また、図面には、適宜、Z軸を示している。Z軸は、鉛直方向を示している。鉛直方向ZのうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)は上側であり、鉛直方向ZのうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)は下側である。なお、以下の実施の形態において、鉛直方向Zは、後述する回転軸Rの軸方向に相当する。下側は回転軸Rの軸方向のうち“第1側”に相当し、上側は回転軸Rの軸方向のうち第1側と逆側の“第2側”に相当する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における空気調和機100の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、空気調和機100は、室内機10と、室外機20と、循環経路部30と、を備える。室内機10は、室内に配置されている。室外機20は、屋外に配置されている。室内機10と室外機20とは、冷媒33が循環する循環経路部30によって互いに接続されている。室内機10および室外機20は、空気との間で熱交換を行う熱交換ユニットである。
【0014】
空気調和機100は、循環経路部30内を流れる冷媒33と室内機10が配置された室内の空気との間で熱交換を行うことによって、室内の空気の温度を調整可能である。冷媒33としては、例えば、地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)が低いフッ素系冷媒、または炭化水素系冷媒などが挙げられる。
【0015】
室外機20は、圧縮機21と、熱交換器23と、流量調整弁24と、送風機25と、四方弁22と、を有する。圧縮機21と熱交換器23と流量調整弁24と四方弁22とは、循環経路部30によって接続されている。
【0016】
四方弁22は、循環経路部30のうち圧縮機21の吐出側に繋がる部分に設けられている。四方弁22は、循環経路部30の一部の経路を切り替えることで、循環経路部30内を流れる冷媒33の向きを反転させることができる。四方弁22によって繋がれる経路が
図1の四方弁22に実線で示す経路である場合、冷媒33は、循環経路部30内を
図1に実線の矢印で示す向きに流れる。一方、四方弁22によって繋がれる経路が
図1の四方弁22に破線で示す経路である場合、冷媒33は、循環経路部30内を
図1に破線の矢印で示す向きに流れる。
【0017】
室内機10は、筐体11と、熱交換器14と、遠心送風機40と、を備える。室内機10は、室内機10が配置された室内の空気を冷やす冷房運転と、室内機10が配置された室内の空気を暖める暖房運転とが可能である。
【0018】
室内機10が冷房運転される場合、循環経路部30内を流れる冷媒33は、
図1に実線の矢印で示す向きに流れる。つまり、室内機10が冷房運転される場合、循環経路部30内を流れる冷媒33は、圧縮機21、室外機20の熱交換器23、流量調整弁24、および室内機10の熱交換器14をこの順に通って圧縮機21に戻るように循環する。冷房運転において、室外機20内の熱交換器23は凝縮器として機能し、室内機10内の熱交換器14は蒸発器として機能する。
【0019】
一方、室内機10が暖房運転される場合、循環経路部30内を流れる冷媒33は、
図1に破線で示す向きに流れる。つまり、室内機10が暖房運転される場合、循環経路部30内を流れる冷媒33は、圧縮機21、室内機10の熱交換器14、流量調整弁24、および室外機20の熱交換器23をこの順に通って圧縮機21に戻るように循環する。暖房運転において、室外機20内の熱交換器23は蒸発器として機能し、室内機10内の熱交換器14は凝縮器として機能する。
【0020】
次に、実施の形態1の室内機10について、さらに詳細に説明する。
図2は、室内機10を示す斜視図である。
図3は、室内機10を示す断面図である。
図2および
図3に示すように、実施の形態1において室内機10は、天井に埋め込まれて設置される天井埋め込み型の室内機である。
図3に示すように、筐体11は、熱交換器14および遠心送風機40を内部に収容している。筐体11は、熱交換器14および遠心送風機40を内部に収容する筐体本体部12と、筐体本体部12の下方に取り付けられた化粧パネル13と、を有する。筐体本体部12は、室内機10が設置される室内における天井に埋め込まれて設置される。化粧パネル13は、室内機10が設置される室内に露出している。
【0021】
熱交換器14は、筐体本体部12の内部に収容されている。熱交換器14には、遠心送風機40によって空気が送られる。熱交換器14は、遠心送風機40を囲む枠状である。熱交換器14は、後述する排気口60bと対向して配置されている。
【0022】
室内機10は、吸込口10aと、吹出口10bと、を有する。吸込口10aおよび吹出口10bは、化粧パネル13の下面に開口している。
図2に示すように、吸込口10aは、鉛直方向Zに見て、室内機10の中央部に位置する。吹出口10bは、複数設けられている。複数の吹出口10bは、鉛直方向Zに見て、吸込口10aを囲んで配置されている。吹出口10bは、4つ設けられている。
【0023】
遠心送風機40は、熱交換器14に空気を送る送風機である。遠心送風機40が駆動することによって、室内機10内を空気が流れる。
図3においては、矢印AFによって、遠心送風機40が駆動することによって生じる空気の流れを示している。
図3に矢印AFで示すように、遠心送風機40が駆動すると、吸込口10aから室内機10の内部に空気が吸い込まれる。吸込口10aから室内機10の内部に吸い込まれた室内の空気は、熱交換器14を通過して4つの吹出口10bから室内に吹き出される。
【0024】
遠心送風機40は、筐体本体部12の天板部12aの下面に固定されている。遠心送風機40は、駆動部50と、羽根車60と、を備える。駆動部50は、羽根車60を回転軸R回りに回転させる。図に適宜示す回転軸Rは、鉛直方向Zに延びる仮想軸である。つまり、回転軸Rの軸方向は、鉛直方向Zである。回転軸Rは、鉛直方向Zに見て、室内機10の中心を通っている。
【0025】
以下の説明においては、特に断りの無い限り、回転軸Rを中心とする径方向を単に“径方向”と呼び、回転軸R回りの周方向を“回転方向”と呼ぶ。回転方向は、図において、適宜、矢印θで示している。羽根車60は、矢印θが向く向きに回転する。回転方向のうち矢印θの向く側(+θ側)が“前方側”であり、回転方向のうち矢印θの向く側と逆側(-θ側)が“後方側”である。回転方向の前方側(+θ側)は、下側から見て、回転軸Rを中心として反時計回りに進む側である。回転方向の後方側(-θ側)は、下側から見て、回転軸Rを中心として時計回りに進む側である。
【0026】
実施の形態1において駆動部50は、モータである。駆動部50は、天板部12aの下面に固定された駆動部本体51と、駆動部本体51の内部から駆動部本体51よりも下側に突出する回転シャフト52と、を有する。回転シャフト52は、駆動部50におけるロータの一部である。回転シャフト52は、回転軸R回りに回転可能である。なお、駆動部50は、羽根車60を回転軸R回りに回転させることができるならば、どのような構成であってもよい。
【0027】
羽根車60は、回転軸R回りに回転可能である。羽根車60は、例えば、樹脂製である。羽根車60は、駆動部50の回転シャフト52のうち駆動部本体51よりも下側に突出した部分に連結部材53を介して固定されている。連結部材53は、回転軸Rを中心とする円筒状の部材である。連結部材53は、回転シャフト52の外周面に固定されている。
図4は、羽根車60を示す斜視図である。
図5は、羽根車60を下側から見た図である。
図3から
図5に示すように、羽根車60は、基部61と、シュラウド部62と、複数の羽根部63と、を備える。
【0028】
基部61は、連結部材53を介して回転シャフト52に固定されている。
図4に示すように、基部61は、円環板部61aと、膨出部61bと、複数のガイド部61fと、を有する。円環板部61aは、回転軸Rを中心とする円環板状である。膨出部61bは、円環板部61aの径方向内縁部から下側に突出している。膨出部61bは、回転軸Rを中心とする筒状である。
図3に示すように、膨出部61bの内部には、駆動部本体51が位置する。膨出部61bは、周壁部61cと、底板部61dと、筒状部61eと、を有する。
【0029】
周壁部61cは、上側に開口し、回転軸Rを中心とする円筒状である。周壁部61cの内径および周壁部61cの外径は、下側に向かうに従って小さくなっている。底板部61dは、周壁部61cの下端部に繋がっている。底板部61dは、回転軸Rを中心とする円環板状である。筒状部61eは、底板部61dの径方向内縁部から下側に突出している。筒状部61eは、下側に開口し、回転軸Rを中心とする円筒状である。筒状部61eの内周面には連結部材53が固定されている。筒状部61eは、連結部材53を介して回転シャフト52と固定されている。
【0030】
図4に示すように、複数のガイド部61fは、円環板部61aの下面に形成されている。複数のガイド部61fは、鉛直方向Zに見て、径方向に対して回転方向に斜めに傾く向きに延び、径方向外側に開口する細長の略U字形状である。複数のガイド部61fは、径方向内側に向かうに従って回転方向の前方側(+θ側)に位置する。複数のガイド部61fは、回転方向の一周に亘って互いに間隔を空けて配置されている。実施の形態1においてガイド部61fは、7つ設けられている。複数のガイド部61f同士の間隔は、等間隔であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0031】
シュラウド部62は、基部61における円環板部61aの下側に離れて位置する。つまり、シュラウド部62は、基部61に対して回転軸Rの軸方向のうち下側(第1側)に位置する。シュラウド部62は、回転軸Rを中心とする円環状である。シュラウド部62の径方向内縁部は、膨出部61bよりも径方向外側に位置する。シュラウド部62は、回転軸Rを中心とし、鉛直方向Zの両側に開口する円筒状である。シュラウド部62の内径およびシュラウド部62の外径は、下側に向かうに従って小さくなっている。シュラウド部62は、シュラウド本体部62aと、複数の突出収容部64と、を有する。
【0032】
シュラウド本体部62aは、回転軸Rを中心とし、鉛直方向Zの両側に開口する円筒状である。シュラウド本体部62aの内径およびシュラウド本体部62aの外径は、下側に向かうに従って小さくなっている。
図3に示すように、回転方向と直交する断面において、シュラウド本体部62aの形状は、径方向内側かつ斜め上側に凸となる円弧状である。
【0033】
シュラウド本体部62aの径方向内縁部は、シュラウド本体部62aの下端部である。シュラウド本体部62aの径方向内縁部は、下側に開口する吸気口60aである。吸気口60aは、室内機10の吸込口10aの上側に離れて配置されている。
【0034】
シュラウド本体部62aの径方向外縁部は、シュラウド本体部62aの上端部である。
図4に示すように、シュラウド本体部62aの径方向外縁部と円環板部61aの径方向外縁部との鉛直方向Zの間の空間が、複数の羽根部63によって回転方向に仕切られることによって、径方向外側に開口する複数の排気口60bが形成されている。複数の排気口60bは、回転方向の一周に亘って互いに間隔を空けて配置されている。実施の形態1において排気口60bは、7つ設けられている。
図3に示すように、各排気口60bの径方向外側には、熱交換器14が対向して配置されている。複数の排気口60b同士の間隔は、等間隔であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0035】
駆動部50によって羽根車60が回転軸R回りに回転させられると、吸込口10aから室内機10内に吸い込まれた空気が、吸気口60aから羽根車60内に流入する。羽根車60内に流入した空気は、複数の排気口60bから径方向外側に排出される。複数の排気口60bから排出された空気は、熱交換器14を通り、複数の吹出口10bから室内へと吹き出される。
【0036】
図6は、突出収容部64と後述する突出部66とを示す断面図であって、
図5におけるVI-VI断面図である。
図7は、突出収容部64を示す斜視図である。
図6および
図7に示すように、複数の突出収容部64は、シュラウド本体部62aから下側に突出している。
図6に示すように、複数の突出収容部64は、中空である。複数の突出収容部64は、上側に開口している。
図5に示すように、複数の突出収容部64のそれぞれは、鉛直方向Zに見て、径方向に対して回転方向に傾いて延びている。各突出収容部64における径方向の内端部は、各突出収容部64における径方向の外端部よりも回転方向の前方側(+θ側)に位置する。各突出収容部64は、鉛直方向Zに見て、径方向内側に向かうに従って回転方向の前方側に位置する向きに斜めに直線状に延びている。
【0037】
鉛直方向Zに見て各突出収容部64が延びる方向は、鉛直方向Zに見て後述する羽根本体部65が延びる延伸方向である。以下の説明においては、鉛直方向Zに見て後述する羽根本体部65が延びる方向を“延伸方向”と呼ぶ。延伸方向において径方向内側となる側を延伸方向内側と呼び、延伸方向において径方向外側となる側を延伸方向外側と呼ぶ。延伸方向内側は、径方向内側かつ回転方向の前方側(+θ側)となる側である。延伸方向外側は、径方向外側かつ回転方向の後方側(-θ側)となる側である。例えば、
図6における左側は延伸方向内側であり、
図6における右側は延伸方向外側である。
【0038】
図6および
図7に示すように、複数の突出収容部64のそれぞれは、第1収容部64aを有する。第1収容部64aは、突出収容部64が延びる方向に延びる略直方体箱状である。第1収容部64aは、外側部64cと、内側部64dと、を有する。外側部64cは、第1収容部64aのうち延伸方向外側の部分である。内側部64dは、第1収容部64aのうち延伸方向内側の部分である。外側部64cの延伸方向外端部は、第1収容部64aの延伸方向外端部である。内側部64dの延伸方向内端部は、第1収容部64aの延伸方向内端部である。外側部64cは、内側部64dよりも径方向外側に位置する。内側部64dは、外側部64cの延伸方向内端部に繋がっている。
【0039】
外側部64cの下端部は、内側部64dの下端部よりも上側に位置する。外側部64cは、内側部64dに対して上側に窪んだ位置に配置されている。このように外側部64cを上側に窪ませることで、シュラウド部62の径方向外側部分の下側に配置される他の部品に、突出収容部64が干渉することを抑制できる。
図6に示すように、外側部64cの延伸方向外側の側壁部64eは、シュラウド本体部62aから鉛直方向Zに延びている。外側部64cと内側部64dとの間の段差壁部64gは、鉛直方向Zに対して、突出収容部64が延びる延伸方向に傾いている。段差壁部64gは、下側に向かうに従って延伸方向内側に位置する。
【0040】
複数の突出収容部64のそれぞれは、内側収容部64bを有する。内側収容部64bは、第1収容部64aの延伸方向の端部に繋がる第2収容部である。内側収容部64bは、第1収容部64aの延伸方向内側の端部に繋がっている。より詳細には、内側収容部64bは、内側部64dの延伸方向内端部に繋がっている。このように、実施の形態1において、複数の突出収容部64のそれぞれは、第2収容部として、第1収容部64aの延伸方向の両端部のうち径方向の内側に位置する端部に繋がる内側収容部64bを有する。内側収容部64bの延伸方向内端部は、突出収容部64の延伸方向内端部である。内側収容部64bは、上側に開口する箱状である。内側収容部64bの内部は、第1収容部64aの内部に繋がっている。
【0041】
内側収容部64bの下側の端部は、第1収容部64aのうち最も下側に位置する部分よりも上側に位置する。実施の形態1において第1収容部64aのうち最も下側に位置する部分とは、内側部64dの下端部である。内側収容部64bの下端部は、内側部64dの延伸方向内端部における下端部よりも上側に窪んでいる。内側収容部64bと第1収容部64aとの間の段差壁部64hは、鉛直方向Zに延びている。
【0042】
図5および
図7に示すように、内側収容部64bは、鉛直方向Zに見て、略三角形状である。
図6に示すように、内側収容部64bの延伸方向内側の側壁部64fは、鉛直方向Zに対して、延伸方向に傾いている。側壁部64fは、下側に向かうに従って延伸方向外側に位置する。側壁部64fは、後述する内側凸部66bに沿って延びている。
【0043】
図4に示すように、複数の羽根部63は、基部61とシュラウド部62との鉛直方向Zの間に位置する。より詳細には、複数の羽根部63は、円環板部61aとシュラウド部62との鉛直方向Zの間に位置する。複数の羽根部63は、基部61とシュラウド部62とを接続している。複数の羽根部63は、羽根車60の回転方向に間隔を空けて配置されている。複数の羽根部63は、回転方向の一周に亘って互いに間隔を空けて配置されている。実施の形態1において羽根部63は、7つ設けられている。複数の羽根部63同士の間隔は、等間隔であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0044】
図8は、羽根部63を示す斜視図である。
図8に示すように、羽根部63は、第1羽根部材63aと第2羽根部材63bとが、延伸方向および鉛直方向Zの両方と直交する方向に組み合わされて構成されている。第1羽根部材63aは、径方向外側に開口する扁平な箱状の部材である。第2羽根部材63bは、第1羽根部材63aの径方向外側の開口を塞ぐ板状の部材である。第1羽根部材63aと第2羽根部材63bとは、例えば、超音波溶着によって互いに固定されている。
図9は、羽根車60の一部を示す断面図であって、
図5におけるIX-IX断面図である。
図9に示すように、第1羽根部材63aと第2羽根部材63bとの間には、隙間が設けられている。実施の形態1において複数の羽根部63は、中空の羽根部である。なお、
図9においては、羽根車60が回転した際の空気の流れを矢印AFで示している。
【0045】
第1羽根部材63aは、羽根部63の面のうち径方向内側を向く面を構成している。実施の形態1において羽根部63の面のうち径方向内側を向く面は、負圧面63mである。
図4に示すように、負圧面63mは、径方向内側かつ回転方向の後方側(-θ側)を向いている。第2羽根部材63bは、第1羽根部材63aの径方向外側に位置する。第2羽根部材63bは、羽根部63の面のうち径方向外側を向く面の一部を構成している。実施の形態1において羽根部63の面のうち径方向外側を向く面は、正圧面63pである。正圧面63pは、径方向外側かつ回転方向の前方側(+θ側)を向いている。
【0046】
複数の羽根部63のそれぞれは、羽根本体部65を有する。羽根本体部65は、鉛直方向Zに見て、径方向に対して回転方向に傾く向きに斜めに延びている。羽根本体部65は、鉛直方向Zに見て、径方向内側に向かうに従って回転方向の前方側(+θ側)に位置する。上述したように、鉛直方向Zに見て羽根本体部65が延びる方向は、延伸方向である。
【0047】
延伸方向における羽根本体部65の一端部は、延伸方向における羽根本体部65の他端部よりも、回転軸Rを中心とする径方向の内側、かつ、回転方向の前方側(+θ側)に位置する。実施の形態1において羽根本体部65の延伸方向の一端部は、羽根本体部65における径方向内側の端部であり、羽根本体部65における回転方向の前方側(+θ側)の端部である。実施の形態1において羽根本体部65の延伸方向の他端部は、羽根本体部65における径方向外側の端部であり、羽根本体部65における回転方向の後方側(-θ側)の端部である。
【0048】
羽根本体部65は、基部61の円環板部61aとシュラウド本体部62aとの鉛直方向Zの間に位置する。
図9に示すように、羽根本体部65の上端部は、円環板部61aの下面に接触し、円環板部61aの下面に固定されている。羽根本体部65の上端部は、例えば、レーザ溶着によって円環板部61aの下面に固定されている。羽根本体部65の上端部は、ガイド部61fの内側に位置する。羽根本体部65の上端部における側面は、ガイド部61fの内側面から離れて配置されている。羽根本体部65の上端部は、ガイド部61fと接触していない。
【0049】
図8に示すように、複数の羽根部63のそれぞれは、羽根本体部65から下側に突出する突出部66を有する。突出部66は、延伸方向に延びている。より詳細には、突出部66は、鉛直方向Zに見て、羽根本体部65の下端部65aが延びる方向に延びている。突出部66が延びる方向は、突出収容部64が延びる方向と同じである。
図6に示すように、複数の羽根部63における突出部66は、複数の突出収容部64内にそれぞれ収容されている。
【0050】
突出部66は、第1凸部66aを有する。第1凸部66aは、第1収容部64a内に収容されている。第1凸部66aは、延伸方向に延びる略直方体状である。第1凸部66aは、中空である。第1凸部66aは、第1収容部64aの内面のうち下側に位置する面に接触して固定されている。これにより、第1凸部66aは、シュラウド部62に固定されている。第1収容部64aの内面のうち下側に位置する面は、上側を向く面である。第1凸部66aの下面は、例えば、レーザ溶着によって、第1収容部64aの内面のうち下側に位置する面と固定されている。実施の形態1において、第1凸部66aのうち第1収容部64aに固定された部分は、第1羽根部材63aの一部である。なお、第1凸部66aのうち第1収容部64aに固定された部分は、第2羽根部材63bの一部であってもよい。
【0051】
第1凸部66aは、第1収容部64aの外側部64c内に収容される外側部66cと、第1収容部64aの内側部64d内に収容される内側部66dと、を有する。外側部66cは、第1凸部66aのうち延伸方向外側の部分である。内側部66dは、第1凸部66aのうち延伸方向内側の部分である。内側部66dは、外側部66cの延伸方向内端部に繋がっている。外側部66cの延伸方向外端部は、第1凸部66aの延伸方向外端部である。内側部66dの延伸方向内端部は、第1凸部66aの延伸方向内端部である。
図8に示すように、外側部66cの延伸方向外端部は、羽根本体部65の下端部65aにおける延伸方向外端部よりも延伸方向内側に離れて位置する。
【0052】
図6に示すように、外側部66cの下端部は、第1収容部64aにおける外側部64cの内面のうち下側に位置する面に接触して固定されている。外側部66cの下端部は、内側部66dの下端部よりも上側に位置する。内側部66dの下端部は、第1収容部64aにおける内側部64dの内面のうち下側に位置する面に接触して固定されている。
【0053】
外側部66cの延伸方向外側の側壁部66eは、羽根本体部65の下端部65aから鉛直方向Zの下側に延びている。側壁部66eは、突出収容部64における側壁部64eの延伸方向内側に配置されている。側壁部66eは、側壁部64eと隙間を介して対向している。側壁部66eは、側壁部64eと接触していない。
【0054】
外側部66cと内側部66dとの間の段差壁部66gは、鉛直方向Zに延びている。段差壁部66gは、突出収容部64の段差壁部64gの延伸方向内側に配置されている。段差壁部66gは、段差壁部64gと隙間を介して対向している。段差壁部66gは、段差壁部64gと接触していない。
【0055】
内側部66dの延伸方向内側の側壁部66hは、羽根本体部65の下端部65aから鉛直方向Zの下側に延びている。側壁部66hの下端部は、突出収容部64の段差壁部64hの延伸方向外側に配置されている。側壁部66hは、段差壁部64hと隙間を介して対向している。側壁部66hは、段差壁部64hと接触していない。
【0056】
複数の突出部66のそれぞれは、内側凸部66bを有する。内側凸部66bは、第1凸部66aの延伸方向の端部に繋がる第2凸部である。
図8に示すように、内側凸部66bは、第1凸部66aの延伸方向の内端部に繋がっている。より詳細には、内側凸部66bは、内側部66dの延伸方向内端部、すなわち側壁部66hに繋がっている。このように、実施の形態1において、複数の突出部66のそれぞれは、第2凸部として、第1凸部66aの延伸方向の両端部のうち径方向の内側に位置する端部に繋がる内側凸部66bを有する。内側凸部66bの延伸方向内端部は、突出部66の延伸方向内端部である。
【0057】
内側凸部66bは、羽根本体部65の下端部65aのうち第1凸部66aよりも延伸方向内側に位置する内端部分65bの下面における外縁部から下側に突出している。実施の形態1において内側凸部66bおよび内端部分65bは、第1羽根部材63aの一部である。なお、内側凸部66bおよび内端部分65bは、第2羽根部材63bの一部であってもよい。内側凸部66bは、内端部分65bの下面における外縁部のうち、回転方向の前方側(+θ側)の縁部と径方向内側の縁部とから下側に突出している。内側凸部66bは、鉛直方向Zに見て、第1凸部66aの側壁部66hにおける径方向内側の縁部から、延伸方向内側に、径方向外側に湾曲しつつ延びる形状である。
【0058】
内側凸部66bの下側の端部は、第1凸部66aのうち最も下側に位置する部分よりも上側に位置する。実施の形態1において第1凸部66aのうち最も下側に位置する部分は、内側部66dの下端部である。内側凸部66bの下側の端部は、外側部66cの下端部よりも下側に位置する。
【0059】
内側凸部66bの延伸方向の端部のうち第1凸部66aと繋がる側と逆側の端部、すなわち延伸方向内側の端部は、羽根本体部65の延伸方向内側の端部と段差なく繋がっている。内側凸部66bの延伸方向内側の面は、羽根本体部65の延伸方向内側の面と滑らかに繋がっている。内側凸部66bの径方向内側の面は、羽根本体部65の負圧面63mと滑らかに繋がっている。
【0060】
図6に示すように、内側凸部66bは、内側収容部64b内に収容されている。内側凸部66bは、内側収容部64bの内面のうち下側に位置する面と隙間を介して対向している。内側凸部66bの下端部は、内側収容部64bの内面のうち下側に位置する面から上側に離れて配置されている。内側凸部66bは、内側収容部64bにおける側壁部64fの延伸方向外側に位置する。内側凸部66bは、側壁部64fと隙間を介して対向している。内側凸部66bと側壁部64fとの隙間は、内側凸部66bの下端部と内側収容部64bの内面のうち下側に位置する面との隙間よりも小さい。内側凸部66bの全体は、内側収容部64bの内面から離れて配置されている。内側凸部66bは、内側収容部64bの内面と接触していない。
【0061】
図10は、羽根車60の一部を示す断面図であって、
図5におけるX-X断面図である。
図10においては、羽根車60が回転した際の空気の流れを矢印AFで示している。
図10に示すように、羽根本体部65の内端部分65bとシュラウド部62との間には、隙間G1が設けられている。隙間G1は、正圧面63pが面する正圧側の空間と負圧面63mが面する負圧側の空間とに繋がっている。隙間G1は、内側凸部66bと内側収容部64bの内面との隙間、内側収容部64bの内部空間、および内端部分65bとシュラウド本体部62aとの隙間を含む。隙間G1は、内側収容部64b内に内側凸部66bが挿入されていることで、鉛直方向Zに入り組んだラビリンス形状となっている。
【0062】
図17は、比較例の羽根車560の一部を示す断面図である。
図18は、比較例の羽根車560の一部を示す断面図であって、
図17におけるXVIII-XVIII断面図である。
図18においては、羽根車560が回転した際の空気の流れを矢印AFで示している。
図17および
図18に示すように、比較例の羽根車560のシュラウド部562は、突出収容部564が内側収容部64bを有しない点を除いて、実施の形態1の羽根車60のシュラウド部62と同様である。比較例の羽根車560の羽根部563は、突出部566が内側凸部66bを有しない点を除いて、実施の形態1の羽根車60の羽根部63と同様である。
【0063】
比較例の羽根車560においては、羽根本体部65の内端部分65bとシュラウド本体部62aの内面との間に隙間G2が設けられる。
図18に示すように、隙間G2は、シュラウド本体部62aの内面に沿って径方向に延びている。隙間G2は、径方向両側に開口し、正圧面63pが面する正圧側の空間と負圧面63mが面する負圧側の空間とを繋いでいる。そのため、比較例の羽根車560では、
図18に矢印AFで示すように、隙間G2を通って、正圧面63pが面する正圧側の空間から負圧面63mが面する負圧側の空間へと空気が流れる場合がある。これにより、羽根車560による送風効率が低下する問題がある。
【0064】
これに対して、実施の形態1によれば、シュラウド部62における複数の突出収容部64のそれぞれは、第1収容部64aと、第1収容部64aの延伸方向の端部に繋がる内側収容部64bと、を有する。羽根部63における突出部66は、第1収容部64a内に収容され、シュラウド部62に固定された第1凸部66aと、第1凸部66aの延伸方向の端部に繋がり、内側収容部64b内に収容された内側凸部66bと、を有する。第1凸部66aは、第1収容部64aの内面のうち下側に位置する面に接触して固定されている。内側凸部66bは、内側収容部64bの内面のうち下側に位置する面と隙間を介して対向している。このように、内側収容部64bと内側収容部64b内に収容される内側凸部66bとが設けられていることで、羽根本体部65の内端部分65bとシュラウド本体部62aとの隙間G1を上述したように入り組んだ形状の隙間とすることができる。そのため、隙間G1を空気が通りにくくできる。これにより、正圧面63pが面する正圧側の空間から負圧面63mが面する負圧側の空間へと隙間G1を介して空気が流れることを抑制できる。したがって、遠心送風機40において、羽根車60による送風効率が低下することを抑制できる。また、内側凸部66bが内側収容部64bの内面のうち下側に位置する面に接触しないため、第1凸部66aを、第1収容部64aの内面のうち下側に位置する面に好適に接触させることができる。
【0065】
また、実施の形態1によれば、複数の突出収容部64のそれぞれは、第2収容部として、第1収容部64aの延伸方向の両端部のうち径方向の内側に位置する端部に繋がる内側収容部64bを有する。突出部66は、第2凸部として、第1凸部66aの延伸方向の両端部のうち径方向の内側に位置する端部に繋がる内側凸部66bを有する。内側凸部66bは、内側収容部64b内に収容されている。そのため、第1凸部66aの延伸方向内側において空気が正圧側から負圧側へと流れることを抑制できる。羽根部63のうち延伸方向内側の部分は、吸気口60aから吸い込まれた空気をかき分ける部分であるため、特に正圧側において空気の圧力が高くなりやすい。そのため、第1凸部66aの延伸方向内側において空気が正圧側から負圧側へと流れることを抑制できることで、羽根車60による送風効率が低下することを好適に抑制できる。
【0066】
また、実施の形態1によれば、内側収容部64bの下側の端部は、第1収容部64aのうち最も下側に位置する部分よりも上側に位置する。内側凸部66bの下側の端部は、第1凸部66aのうち最も下側に位置する部分よりも上側に位置する。そのため、内側収容部64bおよび内側凸部66bを設けても、内側収容部64bが第1収容部64aよりも下側に出っ張ることがない。これにより、羽根車60が回転する際に内側収容部64bが空気の抵抗となることを抑制できる。また、例えば、第1凸部66aと第1収容部64aとをレーザ溶着する場合、ガラス板などを第1収容部64aに下側から押し当てて第1凸部66aの下面と第1収容部64aの内面のうち下側に位置する面とを密着させる場合がある。このような場合、内側収容部64bが第1収容部64aよりも下側に出っ張らないことで、ガラス板などを第1収容部64aに対して好適に押し当てることができる。したがって、第1凸部66aと第1収容部64aとを好適にレーザ溶着によって固定できる。
【0067】
また、実施の形態1によれば、内側凸部66bの全体は、内側収容部64bの内面から離れて配置されている。つまり、内側凸部66bは、内側収容部64bの内面に接触していない。そのため、羽根部63に微小な振動が生じた際に、振動する内側凸部66bが内側収容部64bの内面に接触することを抑制できる。これにより、羽根車60が回転する際に騒音が生じることを抑制できる。実施の形態1では、羽根部63のうちレーザ溶着によって固定される部分以外の部分は、シュラウド部62に接触していない。そのため、羽根部63のうち振動する部分がシュラウド部62に接触することをより好適に抑制でき、羽根車60が回転する際に騒音が生じることをより好適に抑制できる。
【0068】
また、実施の形態1によれば、内側凸部66bの延伸方向の端部のうち第1凸部66aと繋がる側と逆側の端部は、羽根本体部65の延伸方向の端部と段差なく繋がっている。そのため、内側凸部66bと羽根本体部65との間に段差が生じず、当該段差とシュラウド本体部62aとの間の隙間も生じない。これにより、そのような段差とシュラウド本体部62aとの間の隙間を介して空気が正圧側から負圧側へと流れることがない。したがって、羽根車60による送風効率が低下することをより好適に抑制できる。
【0069】
実施の形態2.
図11は、実施の形態2における羽根車260の一部を示す斜視図である。
図12は、実施の形態2における羽根車260の一部を下側から見た図である。なお、以下の説明において、上述した実施の形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付すなどにより、説明を省略する場合がある。
【0070】
図11および
図12に示すように、羽根車260のシュラウド部262は、シュラウド本体部62aから下側に突出する被覆部267を有する。被覆部267は、内側収容部64bの径方向の外側から回転方向の前方側(+θ側)に、径方向の内側に湾曲しつつ延びて、内側収容部64bを回転方向の前方側から覆っている。被覆部267における回転方向の後方側(-θ側)の端部は、第1収容部64aの延伸方向内端部における径方向外端部に繋がっている。
【0071】
図11に示すように、被覆部267の下側の端部は、内側収容部64bの下側の端部よりも下側に位置する。被覆部267の下側の端部は、第1収容部64aにおける内側部64dの下側の端部と鉛直方向Zにおいて同じ位置に配置されている。
図12に示すように、被覆部267は、内側収容部64bの径方向の外側に繋がっている。被覆部267の一部は、内側収容部64bの径方向外側の壁部を構成している。被覆部267の上側の端部は、シュラウド本体部62aの外面に沿って、径方向内側に向かうに従って下側に位置する。被覆部267の鉛直方向Zの寸法は、径方向内側に向かうに従って小さくなっている。
【0072】
シュラウド部262のその他の構成は、実施の形態1におけるシュラウド部62のその他の構成と同様である。羽根車260のその他の構成は、実施の形態1における羽根車260のその他の構成と同様である。
【0073】
実施の形態2によれば、シュラウド部262は、シュラウド本体部62aから下側に突出する被覆部267を有する。被覆部267の下側の端部は、内側収容部64bの下側の端部よりも下側に位置する。被覆部267は、内側収容部64bの径方向の外側から回転方向の前方側(+θ側)に、径方向の内側に湾曲しつつ延びて、内側収容部64bを回転方向の前方側から覆っている。そのため、羽根車260が回転する際に、回転方向の前方側からの空気を被覆部267によって受け流すことができ、内側収容部64bに対して回転方向の前方側から空気が衝突することを抑制できる。これにより、羽根車260が回転する際に騒音が生じることを抑制できる。
【0074】
また、実施の形態2によれば、被覆部267は、内側収容部64bの径方向の外側に繋がっている。そのため、被覆部267を内側収容部64bから離して作る場合に比べて、被覆部267を内側収容部64bとまとめて作りやすい。これにより、被覆部267を作りやすくできる。
【0075】
実施の形態3.
図13は、実施の形態3における羽根車360の一部を示す斜視図である。
図14は、実施の形態3における羽根車360の一部を示す断面図である。
図15は、実施の形態3における羽根部363の一部を示す斜視図である。なお、以下の説明において、上述した実施の形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付すなどにより、説明を省略する場合がある。
【0076】
図13および
図14に示すように、実施の形態3のシュラウド部362における突出収容部364は、第2収容部として、第1収容部64aの延伸方向の両端部のうち径方向の外側に位置する端部に繋がる外側収容部364iを有する。外側収容部364iは、外側部64cの延伸方向外側の端部に繋がっている。外側収容部364iは、延伸方向に延び、上側に開口する略直方体箱状である。外側収容部364iの下側の端部は、第1収容部64aの外側部64cにおける下側の端部よりも上側に位置する。シュラウド部362のその他の構成は、実施の形態1におけるシュラウド部62のその他の構成と同様である。
【0077】
図14および
図15に示すように、実施の形態3の羽根部363における突出部366は、第2凸部として、第1凸部66aの延伸方向の両端部のうち径方向の外側に位置する端部に繋がる外側凸部366iを有する。外側凸部366iは、外側部66cの延伸方向外側の端部に繋がっている。外側凸部366iは、延伸方向に延びる略直方体状である。実施の形態3において外側凸部366iは、中実の部分である。
【0078】
図14に示すように、外側凸部366iは、外側収容部364i内に収容されている。外側凸部366iの下側の端部は、第1凸部66aの外側部66cにおける下側の端部よりも上側に位置する。外側凸部366iは、外側収容部364iの内面のうち下側に位置する面と隙間を介して対向している。羽根部363のその他の構成は、実施の形態1における羽根部63のその他の構成と同様である。羽根車360のその他の構成は、実施の形態1における羽根車60のその他の構成と同様である。
【0079】
実施の形態3によれば、突出収容部364は、第2収容部として、第1収容部64aの延伸方向の両端部のうち径方向の外側に位置する端部に繋がる外側収容部364iを有する。突出部366は、第2凸部として、第1凸部66aの延伸方向の両端部のうち径方向の外側に位置する端部に繋がる外側凸部366iを有する。外側凸部366iは、外側収容部364i内に収容されている。そのため、第1凸部66aの延伸方向外側において空気が正圧側から負圧側へと流れることを抑制できる。これにより、羽根車360による送風効率が低下することをより好適に抑制できる。
【0080】
実施の形態4.
図16は、実施の形態4における羽根車460の一部を示す斜視図である。なお、以下の説明において、上述した実施の形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付すなどにより、説明を省略する場合がある。
【0081】
図16に示すように、実施の形態4における羽根車460のシュラウド部462は、上述した実施の形態3のシュラウド部362に対して、実施の形態2における被覆部267を設けた構成である。図示は省略するが、実施の形態4における羽根部は、実施の形態3における羽根部363と同様である。これにより、実施の形態4によれば、実施の形態2および実施の形態3において述べた各効果を得られる。羽根車460のその他の構成は、実施の形態1における羽根車60のその他の構成と同様である。
【0082】
以上に本開示における実施の形態について説明したが、本開示は上述した各実施の形態の構成のみに限定されず、以下の構成および方法を採用することもできる。
【0083】
シュラウド部における突出収容部は、第2収容部として、内側収容部と外側収容部との少なくとも一方を有していればよい。つまり、シュラウド部における突出収容部は、第2収容部として、外側収容部のみを有してもよい。例えば、上述した実施の形態3および実施の形態4において、内側収容部64bが設けられていなくてもよい。第2収容部の突出高さは、特に限定されない。第2収容部の第1側(下側)の端部は、第1収容部のうち最も第1側に位置する部分と軸方向(鉛直方向Z)において同じ位置、または第1収容部のうち最も第1側に位置する部分よりも第1側に位置してもよい。第2収容部は、第2凸部を収容できるならばどのような形状であってもよい。
【0084】
突出収容部の第1収容部は、第1凸部を収容できるならばどのような形状であってもよい。上述した各実施の形態において第1収容部64aは、突出高さが互いに異なる外側部64cと内側部64dとを有する構成としたが、これに限られない。第1収容部は、突出高さが互いに異なる部分を有しなくてもよいし、突出高さが互いに異なる部分を3つ以上有してもよい。
【0085】
羽根部における突出部は、第2凸部として、内側凸部と外側凸部との少なくとも一方を有していればよい。つまり、羽根部における突出部は、第2凸部として、外側凸部のみを有してもよい。例えば、上述した実施の形態3および実施の形態4において、内側凸部66bが設けられていなくてもよい。第2凸部の突出高さは、特に限定されない。第2凸部の第1側(下側)の端部は、第1凸部のうち最も第1側に位置する部分と軸方向(鉛直方向Z)において同じ位置、または第1凸部のうち最も第1側に位置する部分よりも第1側に位置してもよい。第2凸部は、どのような形状であってもよい。例えば、上述した各実施の形態における内側凸部66bの形状が、実施の形態3における外側凸部366iと同様の形状であってもよい。第2凸部は、第2収容部の内面のうち第1側に位置する面と隙間を介して対向しているならば、第2収容部の内面に接触する部分を有してもよい。
【0086】
突出部の第1凸部は、第1収容部に対して固定されるならば、どのような形状であってもよい。上述した各実施の形態において第1凸部66aは、突出高さが互いに異なる外側部66cと内側部66dとを有する構成としたが、これに限られない。第1凸部は、突出高さが互いに異なる部分を有しなくてもよいし、突出高さが互いに異なる部分を3つ以上有してもよい。第1凸部のうち第1収容部に固定される部分以外の部分が、第1収容部の内面に接触してもよい。第1凸部は、レーザ溶着以外の方法によって、シュラウド部に固定されてもよい。
【0087】
シュラウド部の被覆部は、内側収容部と繋がっていなくてもよいし、第1収容部と繋がっていなくてもよい。羽根部の数およびシュラウド部の突出収容部の数は、特に限定されない。羽根本体部の形状は、特に限定されない。羽根本体部は、軸方向(鉛直方向Z)に見て、どのように延びていてもよい。羽根部を構成する第1羽根部材と第2羽根部材との配置関係は、上述した実施の形態における配置関係と反対の配置関係となっていてもよい。つまり、第2羽根部材が負圧側に面していてもよい。各羽根部は、一体成形された中実の羽根部であってもよい。本開示の羽根車における回転軸の軸方向は、特に限定されず、鉛直方向以外の方向に延びていてもよい。本開示の羽根車は、どのような送風機に搭載されてもよい。本開示の遠心送風機は、どのような機器に搭載されてもよい。
【0088】
以上、本明細書において説明した各構成および各方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0089】
10…室内機、14…熱交換器、40…遠心送風機、50…駆動部、60,260,360,460,560…羽根車、61…基部、62,262,362,462,562…シュラウド部、62a…シュラウド本体部、63,363,563…羽根部、64,364,564…突出収容部、64a…第1収容部、64b…内側収容部(第2収容部)、65…羽根本体部、66,366,566…突出部、66a…第1凸部、66b…内側凸部(第2凸部)、100…空気調和機、267…被覆部、364i…外側収容部、366i…外側凸部、R…回転軸、Z…鉛直方向(軸方向)