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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置
(51)【国際特許分類】
   A62B 7/10 20060101AFI20241129BHJP
   A61L 9/014 20060101ALI20241129BHJP
   A61L 9/18 20060101ALI20241129BHJP
   B01J 20/02 20060101ALN20241129BHJP
【FI】
A62B7/10
A61L9/014
A61L9/18
B01J20/02 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024073284
(22)【出願日】2024-04-28
【審査請求日】2024-05-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520263796
【氏名又は名称】いくつものかたち株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513276547
【氏名又は名称】木原 倫文
(74)【代理人】
【識別番号】100108545
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 元廣
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【弁理士】
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】木原 倫文
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-150558(JP,U)
【文献】特開2022-165004(JP,A)
【文献】特開2000-189499(JP,A)
【文献】登録実用新案第3227615(JP,U)
【文献】特開2021-062344(JP,A)
【文献】特表2021-532330(JP,A)
【文献】特開2001-346862(JP,A)
【文献】簡単に再生できる粒状吸着材で豚舎や堆肥化施設の空気をキレイに,日本,国立研究開発法人産業技術総合研究所,2019年01月23日,https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2019/pr20190123/pr20190123.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 18/02
A41D 13/11
A62B 7/00 - 7/14
A61L 2/08 - 2/10
F24F 8/00 - 8/99
B01J 20/00 - 20/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家畜の畜舎や家畜ふん尿の堆肥化施設等で作業する人が装着する呼吸気装置であって、そこで作業する人が、そこで発生するアンモニア臭の混じった空気を吸うことなく、快適に作業することができるように、アンモニア臭を脱臭する手段を備え、携帯可能にされた携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置が、
鼻と口を覆うマスクと、身体に装着して携帯可能にされた脱臭ユニットと、前記マスクと前記脱臭ユニットとを繋ぐ可撓性チューブとからなり、
前記脱臭ユニットは、前記アンモニア臭を脱臭する手段をなし、その内部に、上部に多数の通気用開口を有する仕切り壁が設けられて、その内部が、大小2つの室に空気連通状に仕切られており、
前記2つの室のうちの大きい方の室には、その内部に、アンモニア臭を脱臭する脱臭ペレットが収容され、その底部に、アンモニア臭を含んだ空気を吸い込むための未脱臭空気吸込み口が設けられ、
前記2つの室のうちの小さい方の室には、その内部に、前記脱臭ペレットにより脱臭された脱臭済み空気が一時貯留され、その側部に、前記脱臭済み空気を送り出すための脱臭済み空気送出口が設けられ、また、前記小さい方の室には、その内壁面に、可視光線もしくは紫外線に反応して脱臭効果を発揮する光触媒が塗布され、その内部に、前記光触媒に適した波長の光線を発する小型LEDランプが設置され、
前記脱臭ユニットの前記脱臭済み空気送出口と前記マスクの脱臭済み空気吸込み口とが、前記可撓性チューブにより連通状に連結された
ことを特徴とする携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置。
【請求項2】
前記脱臭ユニットの前記未脱臭空気吸込み口と前記脱臭済み空気送出口、前記マスクの前記脱臭済み空気吸込み口と空気排出口とには、それぞれ逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置。
【請求項3】
前記脱臭ユニットは、前記脱臭ペレットの取り出し、交換が可能な構造にされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置。
【請求項4】
前記脱臭ペレットは、再生可能な物質からなるものとされていることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置。
【請求項5】
家畜の畜舎や家畜ふん尿の堆肥化施設等で作業する人が装着する呼吸気装置であって、そこで作業する人が、そこで発生するアンモニア臭の混じった空気を吸うことなく、快適に作業することができるように、アンモニア臭を脱臭する手段を備え、携帯可能にされた携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置が、
鼻と口を覆うマスクと、身体に装着して携帯可能にされた脱臭ユニットと、前記マスクと前記脱臭ユニットとを繋ぐ可撓性チューブとからなり、
前記脱臭ユニットは、前記アンモニア臭を脱臭する手段をなし、その内部に、通気性のある第1の仕切り壁と、上部に多数の通気用開口を有する第2の仕切り壁とが設けられて、その内部が、3つの室に空気連通状に仕切られており、
前記3つの室のうちの一方の端にある第1の室には、その内壁面に、可視光線もしくは紫外線に反応して脱臭効果を発揮する光触媒が塗布され、その内部に、前記光触媒に適した波長の光線を発する小型LEDランプが設置され、その底部に、アンモニア臭を含んだ空気を吸い込むための未脱臭空気吸込み口が設けられ、
前記3つの室のうちの中央にある第2の室には、その内部に、アンモニア臭を脱臭する脱臭ペレットが収容され、
前記3つの室のうちの他方の端にある第3の室には、その内部に、前記脱臭ペレットにより脱臭された脱臭済み空気が一時貯留され、その側部に、前記脱臭済み空気を送り出すための脱臭済み空気送出口が設けられ、
前記脱臭ユニットの前記脱臭済み空気送出口と前記マスクの脱臭済み空気吸込み口とが、前記可撓性チューブにより連通状に連結された
ことを特徴とする携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置。
【請求項6】
前記脱臭ユニットの前記未脱臭空気吸込み口と前記脱臭済み空気送出口、前記マスクの前記脱臭済み空気吸込み口と空気排出口とには、それぞれ逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項に記載の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置。
【請求項7】
前記第1の室には、その内部に、さらに、脱臭効果のある光触媒を塗布した通気性のある多重フィルター又は脱臭効果のある光触媒を塗布した多重金属メッシュが設置されて、前記光触媒の接触面積が大きくなるようにされていることを特徴とする請求項又はに記載の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置。
【請求項8】
前記第1の仕切り壁は、活性炭フィルターを素材とする壁体からなるものとされていることを特徴とする請求項ないしのいずれかに記載の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置。
【請求項9】
前記脱臭ユニットは、前記脱臭ペレットの取り出し、交換が可能な構造にされていることを特徴とする請求項ないしのいずれかに記載の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置。
【請求項10】
前記脱臭ペレットは、再生可能な物質からなるものとされていることを特徴とする請求項ないしのいずれかに記載の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の発明は、携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置に関し、特に畜舎(鶏舎、豚舎、牛舎など)や家畜ふん尿の堆肥化施設等で作業する人が使用して好適な呼吸気装置であって、そこで作業する人が、そこで発生するアンモニア臭の混じった空気を吸うことなく、快適に作業することができるようにし、これにより、作業者の健康保持と作業効率の向上等を図るとともに、携帯可能にされた、携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本願の発明者は、最近、ある鶏舎での鳥インフルエンザ対策のために、ブロイラー用のウインドレスの鶏舎を訪問した。その時に、鶏舎内のアンモニアの臭いがきつくて、気分が悪くなった。このような環境下での作業は、大変なことであろうと思った。外国の研修生も働いていたが、働き手を確保するのも大変なようであった。研修生は、時給を時価相場より相当高くしても、集まらない状況にあるとのことであった。それに、海外の出身者には、現今の為替相場における円安も影響しているようであった。
そこで、本発明者は、アンモニア臭が無くなるだけでも、働き易くなり、人材も集まるようになり、作業効率も向上するのではないかと考えた。
【0003】
日本でも、アニマルウェルフェアやワンセルフの考え方が叫ばれるようになって久しい。畜産業者の側も、国が定める家畜の飼養管理指針を最低限の基準として、家畜の自然な正常行動の発現を図るべく、その飼養環境の改善に向けた取り組みが各地で精力的に続けられているが、未だその状況は、欧米の水準からは程遠く、今後は、行政・畜産業者・消費者が一体となった総合的な取り組みが強く求められている。
例えば、養鶏産業において、採卵鶏の飼養方式についてみると、世界的には禁止の方向に向かっているバタリーケージが、日本では、なお鶏舎棟数の92%ほどを占めているとのことである(非特許文献1)。また、鶏舎内のアンモニア臭についても、その現状は、前記のとおりであり、アニマルウェルフェアが求める「適切な飼育環境の提供」に沿ったものとは言い難い。
【0004】
このような日本におけるアニマルウェルフェアの現状において、せめて、畜舎(鶏舎、豚舎、牛舎など)の中で作業する者にとっては、快適に、健康を害されることなく、作業を実行できるようにすることが当座の重要な課題である。
中でも、畜舎内に充満するアンモニアについては、前記のような状況にあるので、その早急な解決が求められている。
【0005】
幸い、筑波にある国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、「産総研」と略称する場合がある。)は、2019年に、アンモニア臭を吸収して脱臭する効率の良いペレットを開発した。これによると、アンモニアの吸収率は、活性炭の10倍以上とのことである。また、その再生利用も可能であり、近年、標榜されるSDGsにも適っている(非特許文献2、特許文献1参照)。
【0006】
そこで、本発明者は、早速、これを使った装置を作りたいと思った。本発明者が先に創案し、特許を得た「携帯型呼吸気殺菌装置」(特許第6990494号)の「臭取り版」を作れば、安価に製造でき、この問題が解決できるのではないかと思われた。そして、鋭意工夫の結果、本願の発明に至ったものである。
今後の展望としては、このような装置の普及が刺激となって、畜舎の改善が進み、アニマルウェルフェアやワンヘルスへの道が開けて行くものと思われる。
【0007】
なお、アンモニアなどの悪臭を吸収するために、マスクを使用したものは種々存するが、これらは、いずれもマスクそれ自体の布地層に悪臭を吸収する機能を持たせたものであり(特許文献2、3参照)、その悪臭吸収量は、本願発明と比較して、制限的なものにならざるを得ないと考えられるとともに、再生利用が可能なものではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】枝廣順子著「アニマルウェルフェア 倫理的消費と食の安全」、第7頁、第55頁、岩波書店、2023年6月26日第2刷発行。
【文献】国立研究開発法人産業技術総合研究所ホームページ、「簡単に再生できる粒状吸着材で豚舎や堆肥化施設の空気をキレイに-水蒸気などを大量に含む実際の条件でもアンモニアを除去-」、2019年01月23日発表・掲載。
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第7300173号公報
【文献】特開2009-201634号公報
【文献】国際公開WO/2013-133195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願の発明は、従来のマスクを使用した携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置が有する前記のような問題点を解決して、家畜の畜舎(鶏舎、豚舎、牛舎など)や家畜ふん尿の堆肥化施設等で発生するアンモニア臭を脱臭して、綺麗になった空気を作業者が反芻呼吸するのに十分な脱臭能力を有し、脱臭効果に優れ、作業者の作業の快適性と健康保持、作業効率の向上を図ることができ、構造が簡単で、安全で、装置の製作費及び維持費が安価な、携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記のような課題は、本願の特許請求の範囲の各請求項に記載された次のような発明により解決される。
すなわち、その請求項1に記載された発明は、家畜の畜舎や家畜ふん尿の堆肥化施設等で作業する人が装着する呼吸気装置であって、そこで作業する人が、そこで発生するアンモニア臭の混じった空気を吸うことなく、快適に作業することができるように、アンモニア臭を脱臭する手段を備え、携帯可能にされた携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置が、鼻と口を覆うマスクと、身体に装着して携帯可能にされた脱臭ユニットと、前記マスクと前記脱臭ユニットとを繋ぐ可撓性チューブとからなり、前記脱臭ユニットは、前記アンモニア臭を脱臭する手段をなし、その内部に、上部に多数の通気用開口を有する仕切り壁が設けられて、その内部が、大小2つの室に空気連通状に仕切られており、前記2つの室のうちの大きい方の室には、その内部に、アンモニア臭を脱臭する脱臭ペレットが収容され、その底部に、アンモニア臭を含んだ空気を吸い込むための未脱臭空気吸込み口が設けられ、前記2つの室のうちの小さい方の室には、その内部に、前記脱臭ペレットにより脱臭された脱臭済み空気が一時貯留され、その側部に、前記脱臭済み空気を送り出すための脱臭済み空気送出口が設けられ、また、前記小さい方の室には、その内壁面に、可視光線もしくは紫外線に反応して脱臭効果を発揮する光触媒が塗布され、その内部に、前記光触媒に適した波長の光線を発する小型LEDランプが設置され、前記脱臭ユニットの前記脱臭済み空気送出口と前記マスクの脱臭済み空気吸込み口とが、前記可撓性チューブにより連通状に連結されたことを特徴とする携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置である。
【0012】
また、その請求項2に記載された発明は、前記脱臭ユニットの前記未脱臭空気吸込み口と前記脱臭済み空気送出口、前記マスクの前記脱臭済み空気吸込み口と空気排出口とには、それぞれ逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置である。
【0013】
また、その請求項3に記載された発明は、前記脱臭ユニットは、前記脱臭ペレットの取り出し、交換が可能な構造にされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置である。
【0014】
また、その請求項4に記載された発明は、前記脱臭ペレットは、再生可能な物質からなるものとされていることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置である。
【0015】
さらに、その請求項5に記載された発明は、家畜の畜舎や家畜ふん尿の堆肥化施設等で作業する人が装着する呼吸気装置であって、そこで作業する人が、そこで発生するアンモニア臭の混じった空気を吸うことなく、快適に作業することができるように、アンモニア臭を脱臭する手段を備え、携帯可能にされた携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置が、鼻と口を覆うマスクと、身体に装着して携帯可能にされた脱臭ユニットと、前記マスクと前記脱臭ユニットとを繋ぐ可撓性チューブとからなり、前記脱臭ユニットは、前記アンモニア臭を脱臭する手段をなし、その内部に、通気性のある第1の仕切り壁と、上部に多数の通気用開口を有する第2の仕切り壁とが設けられて、その内部が、3つの室に空気連通状に仕切られており、前記3つの室のうちの一方の端にある第1の室には、その内壁面に、可視光線もしくは紫外線に反応して脱臭効果を発揮する光触媒が塗布され、その内部に、前記光触媒に適した波長の光線を発する小型LEDランプが設置され、その底部に、アンモニア臭を含んだ空気を吸い込むための未脱臭空気吸込み口が設けられ、前記3つの室のうちの中央にある第2の室には、その内部に、アンモニア臭を脱臭する脱臭ペレットが収容され、前記3つの室のうちの他方の端にある第3の室には、その内部に、前記脱臭ペレットにより脱臭された脱臭済み空気が一時貯留され、その側部に、前記脱臭済み空気を送り出すための脱臭済み空気送出口が設けられ、前記脱臭ユニットの前記脱臭済み空気送出口と前記マスクの脱臭済み空気吸込み口とが、前記可撓性チューブにより連通状に連結されたことを特徴とする携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置である。
【0016】
また、その請求項6に記載された発明は、前記脱臭ユニットの前記未脱臭空気吸込み口と前記脱臭済み空気送出口、前記マスクの前記脱臭済み空気吸込み口と空気排出口とには、それぞれ逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項に記載の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置である。
【0017】
また、その請求項7に記載された発明は、前記第1の室には、その内部に、さらに、脱臭効果のある光触媒を塗布した通気性のある多重フィルター又は脱臭効果のある光触媒を塗布した多重金属メッシュが設置されて、前記光触媒の接触面積が大きくなるようにされていることを特徴とする請求項又はに記載の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置である。
【0018】
また、その請求項8に記載された発明は、前記第1の仕切り壁は、活性炭フィルターを素材とする壁体からなるものとされていることを特徴とする請求項ないしのいずれかに記載の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置である。
【0019】
また、その請求項9に記載された発明は、前記脱臭ユニットは、前記脱臭ペレットの取り出し、交換が可能な構造にされていることを特徴とする請求項ないしのいずれかに記載の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置である。
【0020】
また、その請求項10に記載された発明は、前記脱臭ペレットは、再生可能な物質からなるものとされていることを特徴とする請求項ないしのいずれかに記載の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置である。
【発明の効果】
【0021】
本願の発明は、前記のように構成されているので、次のような種々の効果を奏することができる。
本願の発明の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置は、鼻と口を覆うマスクと、身体に装着して携帯可能にされた脱臭ユニットと、前記マスクと前記脱臭ユニットとを繋ぐ可撓性チューブとからなり、前記脱臭ユニットは、アンモニア臭を脱臭する手段をなし、その内部に、上部に多数の通気用開口を有する仕切り壁が設けられて、その内部が、大小2つの室に空気連通状に仕切られており、大きい方の室には、その内部に、アンモニア臭を脱臭する脱臭ペレットが収容され、その底部に、アンモニア臭を含んだ空気を吸い込むための未脱臭空気吸込み口が設けられ、小さい方の室には、その内部に、前記脱臭ペレットにより脱臭された脱臭済み空気が一時貯留され、その側部に、脱臭済み空気を送り出すための脱臭済み空気送出口が設けられ、前記脱臭ユニットの前記脱臭済み空気送出口と前記マスクの脱臭済み空気吸込み口とが、前記可撓性チューブにより連通状に連結されているので、前記大きい方の室の内部には、アンモニア臭の脱臭効率の高い脱臭ペレットを必要量収容することができ、家畜の畜舎(鶏舎、豚舎、牛舎など)や家畜ふん尿の堆肥化施設等で発生するアンモニア臭の混じった空気を、作業者の呼吸量に必要な分、少なくとも健康に安全なレベルまで完全に脱臭して、そこで作業する人が、アンモニア臭の混じった空気を吸うことなく、快適に作業することができるようになり、健康を害される虞もなくなる。さらに、これらにより、作業効率も向上する。加えて、装置全体がコンパクトにまとまり、構造が簡単で、製作費も安価である。
【0022】
また、前記小さい方の室の内部には、脱臭ペレットにより脱臭された脱臭済み空気が一時貯留されるので、脱臭ユニットの脱臭済み空気送出口と可撓性チューブとマスクの脱臭済み空気吸込み口とを通して空気を吸う作業者は、吸込む呼吸分の空気をここに確保しておくことができるようになり、これにより、呼吸が楽になり、医療用マスクのような吸入負荷がかからず、呼吸のストレスも軽減することができる。
【0023】
また、脱臭ユニットの未脱臭空気吸込み口と脱臭済み空気送出口、マスクの脱臭済み空気吸込み口と空気(呼気)排出口とには、それぞれ逆止弁が設けられるので、これらの口部から、畜舎など施設内に充満するアンモニア臭の混じった空気中のアンモニア臭が、脱臭ユニットの内部やマスクの内部に拡散して侵入して来る虞がなくなり、作業者の作業の快適性と健康保持、作業効率の向上といった効果が更に向上する。
【0024】
また、前記小さい方の室の内部には、その内壁面に、可視光線もしくは紫外線に反応して脱臭効果を発揮する光触媒が塗布され、その内部に、前記光触媒に適した波長の光線を発する小型LEDランプが設置されても良く、このようにすれば、これらの光触媒が発揮する脱臭効果により、脱臭ペレットによる脱臭効果が補完されて、更に高められるので、作業者の作業の快適性と健康保持、作業効率の向上といった効果が更に向上する。
【0025】
また、前記脱臭ユニットは、前記脱臭ペレットの取り出し、交換が可能な構造にされるので、脱臭ペレットの脱臭効果が消耗した時には、脱臭ユニットから脱臭ペレットを取り出して、脱臭ペレットを水洗いして脱臭機能を再生させたり、新規の脱臭ペレットと交換したりすることができ、使い勝手が良くなり、作業効率が更に向上する。
また、このように、本発明で使用される脱臭ペレットは、再生可能な物質からなるものとされるので、装置の維持費を安価に済ませることができる。
【0026】
さらに、本願の発明の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置は、鼻と口を覆うマスクと、身体に装着して携帯可能にされた脱臭ユニットと、前記マスクと前記脱臭ユニットとを繋ぐ可撓性チューブとからなり、前記脱臭ユニットは、アンモニア臭を脱臭する手段をなし、その内部に、通気性のある第1の仕切り壁と、上部に多数の通気用開口を有する第2の仕切り壁とが設けられて、その内部が、3つの室に空気連通状に仕切られており、前記3つの室のうちの一方の端にある第1の室には、その内壁面に、可視光線もしくは紫外線に反応して脱臭効果を発揮する光触媒が塗布され、その内部に、前記光触媒に適した波長の光線を発する小型LEDランプが設置され、その底部に、アンモニア臭を含んだ空気を吸い込むための未脱臭空気吸込み口が設けられ、前記3つの室のうちの中央にある第2の室には、その内部に、アンモニア臭を脱臭する脱臭ペレットが収容され、前記3つの室のうちの他方の端にある第3の室には、その内部に、前記脱臭ペレットにより脱臭された脱臭済み空気が一時貯留され、その側部に、前記脱臭済み空気を送り出すための脱臭済み空気送出口が設けられ、前記脱臭ユニットの前記脱臭済み空気送出口と前記マスクの脱臭済み空気吸込み口とが、前記可撓性チューブにより連通状に連結されているので、前記未脱臭空気吸込み口から前記第1の室に吸い込まれた未脱臭空気は、前記第1の室の内壁面に塗布された光触媒が前記小型LEDランプの発する光に反応して発揮する脱臭効果により、第1回目の脱臭が行われて、これにより、前記第2の室に収容された脱臭ペレットによる第2回目の脱臭の効果を補完することができ、全体として、脱臭効果が更に高められて、作業者の作業の快適性と健康保持、作業効率の向上といった効果が更に向上する。
【0027】
また、前記第1の室の内部には、さらに、脱臭効果のある光触媒を塗布した通気性のある多重フィルターや多重金属メッシを設置して、光触媒の全接触面積が大きくなるようにしても良く、このようにすれば、前記第1回目の脱臭効果が更に向上して、脱臭ペレットによる第2回目の脱臭効果を更に良く補完することができる。
【0028】
また、前記光触媒は、前記小型LEDランプが発する光と反応して脱臭効果を発揮する際に、活性酸素(オゾン)を発生する。そこで、マスクの直近で活性酸素反応があると、作業者は、活性酸素を吸い込んでしまうことになるが、有害な活性酸素が確実に無害の活性酸素になるためには、数秒の時間が必要になるところ、マスクと脱臭ユニットとは、これらを繋ぐ可撓性チューブの長さ分だけ離されており、作業者が活性酸素を吸い込むのに時間が掛かるようにされているので、この問題が解決されている。
加えて、この活性酸素反応は、前記第1の室の内部において発生するものであるから、作業者からは一番遠い側の室で発生することになり、この点からも、作業者が、活性酸素を吸い込んでしまうようなことがないようにするのに都合が良い。
【0029】
また、前記第1の仕切り壁が、活性炭フィルターからなるものとされており、この活性炭フィルターが、この有害な活性酸素を吸着するので、この点からも、作業者が活性酸素を吸い込んでしまうようなことがなくなり、作業者の安全を更に向上させることができる。
【0030】
このように、本発明の装置では、前記光触媒が、前記小型LEDランプが発する光と反応して脱臭効果を発揮する際に発生する活性酸素(オゾン)に対して、各種の安全対策が施されており、安全性の高い装置となっている。
また、マスク自体も、構造が簡単になり、嵩張らなくて軽量になることにより、作業もし易くなっている。
【0031】
また、前記第3の室の内部には、前記第2の室に収容された脱臭ペレットによる第2回目の脱臭を終えた脱臭済み空気が一時貯留されるので、作業者は、吸込む呼吸分の空気をここに確保しておくことができるようになり、これにより、呼吸が楽になり、医療用マスクのような吸入負荷がかからず、呼吸のストレスも軽減することができる。
【0032】
その他、脱臭ユニットの未脱臭空気吸込み口と脱臭済み空気送出口、マスクの脱臭済み空気吸込み口と空気排出口との各口部への逆止弁の設置、脱臭ペレットの取り出し・交換が可能な脱臭ユニットの構造、脱臭ペレットの再生可能の点につき、前記のとおりの効果を奏することができる。
【0033】
(まとめ)
総じて、本願の発明の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置は、前記のように構成されているので、家畜の畜舎(鶏舎、豚舎、牛舎など)や家畜ふん尿の堆肥化施設等で発生するアンモニア臭を脱臭して、綺麗になった空気を作業者が反芻呼吸するのに十分な脱臭能力を有し、脱臭効果に優れ、作業者の作業の快適性と健康保持、作業効率の向上を図ることができ、構造が簡単で、安全で、装置の製作費及び維持費が安価な、この種装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本願の発明の第1の実施例の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置の模式的な全体斜視図であって、その脱臭ユニットの部分については、内部を透視して見る図である。
図2】同携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置の脱臭ユニットの透視拡大斜視図であって、その内部に小型LEDランプが設置された例を示す図である。
図3a】同脱臭ユニットの容器の蓋を被せた状態での斜視図である。
図3b】同脱臭ユニットの容器の蓋を外した状態での平面図である。
図3c】同脱臭ユニットの容器の蓋を外した状態での斜視図である。
図4】本願の発明の第2の実施例の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置の脱臭ユニットの透視斜視図である。
図5】本願の発明の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置を作業者が装着した状態を示す正面図である。
図6】同右側面図である。
図7】同背面図である。
図8】同背面斜め上から見た要部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(実施例1)
次に、本願の発明の第1の実施例(実施例1)の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置を、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
本実施例1の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置は、家畜の畜舎(鶏舎、豚舎、牛舎など)や家畜ふん尿の堆肥化施設等で作業する人が身体に装着して使用するのに好適な装置であって、作業者が、そこで発生するアンモニア臭の混じった空気を吸うことなく、快適に作業することができ、健康を損なうこともなく、作業効率も向上するように工夫された、携帯型のアンモニア臭脱臭呼吸気装置である。
なお、以下においては、畜舎は、特に鶏舎である場合を例に採って説明する。
【0036】
(携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置の全体構造と作動のあらまし)
先ず、本実施例1の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置の全体構造と、その作動のあらましについて、説明する。
本実施例1の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置1は、図1に示されるように、あらまし、鼻と口を覆うマスク2と、身体の腰部に装着して携帯可能にされた脱臭ユニット3と、これらマスク2と脱臭ユニット3とを繋ぐ可撓性チューブ4とからなっている。
【0037】
脱臭ユニット3は、アンモニア臭を脱臭する手段をなしていて、鶏舎内で発生するアンモニア臭を含んだ空気は、先ず、この脱臭ユニット3の内部に取り込まれ、ここでアンモニア臭が脱臭されて、綺麗な空気となって、可撓性チューブ4の内部を通り、マスク2の内部に吸い込まれる。マスク2には、脱臭済み空気の吸込み口5と、吐出空気(呼気)の排出口6とが備えられており、それぞれの口部には、逆止弁(不図示)が設けられていて、作業者は、脱臭済みの綺麗な空気を反芻呼吸することができる。
なお、これらの逆止弁は、鶏舎内に充満するアンモニア臭の混じった空気中のアンモニア臭が、これらの口部を通って、マスク2の内部や可撓性チューブ4の内部に拡散して侵入して来るのも防いでいる。
【0038】
(脱臭ユニット、その容器の詳細構造)
脱臭ユニット3は、図1及び図2に示されるように、その平面視形状が作業者の腰部の輪郭形状に沿うように、わずかに湾曲された容器形状をなしていて、その容器10の内部に、上部に多数の通気用開口17を有する仕切り壁11が設けられて、これにより、その内部が、大小2つの室12、13に空気連通状に仕切られている。
【0039】
そして、2つの室のうちの大きい方の室12には、その内部に、アンモニア臭を吸着して空気を脱臭するために用いられる脱臭ペレット18が収容され、その底部に、アンモニア臭を含んだ鶏舎内の空気を吸い込むための未脱臭空気吸込み口14が設けられている。
【0040】
また、2つの室のうちの小さい方の室13には、その内部に、脱臭ペレット18により脱臭された脱臭済み空気が一時貯留されるようになっており、その側部に、脱臭済み空気を送り出すための脱臭済み空気送出口15が設けられている。この脱臭済み空気送出口15は、可撓性チューブ4により、前記したマスク2の脱臭済み空気吸込み口5に内部連通状に連結される。
【0041】
これら未脱臭空気吸込み口14と脱臭済み空気送出口15とには、それらの各口部に、逆止弁7が設けられていて、 マスク2の場合と同様に、鶏舎内に充満するアンモニア臭の混じった空気中のアンモニア臭が、これらの口部を通って、脱臭ユニット3の内部や可撓性チューブ4の内部に拡散して侵入して来るのを防いでいる。
【0042】
容器10は、図3a~図3cに示されるように、容器本体10aと、その上方開口を塞ぐ蓋10bとから成っており、装置の通常使用時には、容器本体10aは、蓋10bにより蓋をされて、堅く密閉されている。しかし、内部に収容された脱臭ペレット18を交換したり、再生利用のために、取り出して水洗いするような場合には、容易に蓋10bを取り外すことができるように、開閉が可能な構造とされている。
【0043】
なお、蓋10bの湾曲した内面側には、適宜間隔を置いて、一対のベルトホルダー16、16が、蓋本体と一体に設けられていて、これらのベルトホルダー16、16をズボンに通されたベルトなどに係止することにより、脱臭ユニット3を身体の腰部に装着して携帯できるようになっている。
このようにして、脱臭ユニット3を身体の腰部に装着することにより、アンモニア臭脱臭呼吸気装置1の全体を身体に携帯可能に装着した状態が、図5図8に示されている。図8は、図7の要部の拡大斜視図である。
【0044】
(脱臭ペレット)
脱臭ペレット18としては、産総研の開発になる粒状吸着剤物質(非特許文献2、特許文献1参照)が好適に使用される。これは、顔料としても知られるプルシアンブルーの誘導体粉末を粒状化して、取り扱い易くしたアンモニア吸着材物質であって、市販の吸着材を超える高いアンモニア吸着性能を示すとされる。1例として、活性炭の10倍以上の吸着性能を示すとのことである。
しかも、この脱臭ペレット18によれば、アンモニアを吸着して空気を脱臭した後に、脱臭ペレット18を薄い酸性水で洗浄することにより、吸着したアンモニアを分離して、再度、脱臭ペレット18として使うことができ、多数回の再生が可能である。
【0045】
本実施例1においては、このような物質からなるアンモニア吸着材の粒体(3~5mm)を脱臭ペレット18の単位粒体として、これを多数脱臭ユニット3の大きい方の室12の内部に充填、収容している。
【0046】
なお、本実施例1の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置1においては、図2に示されているように、脱臭ユニット3の小さい方の室13の内部には、その内壁面に、可視光線もしくは紫外線に反応して脱臭効果を発揮する光触媒を塗布し、その内部に、前記光触媒に適した波長の光線を発する小型LEDランプ19を設置するように変形されても良く、このようにすれば、これらの光触媒が発揮する脱臭効果により、脱臭ペレット18による脱臭効果が補完されて更に高められるので、作業者の作業の快適性と健康保持、作業効率の向上といった効果が更に向上する。
【0047】
(実施例1の効果)
本実施例1の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置1は、前記のように構成されているので、次のような効果を奏することができる。
脱臭ユニット3の大きい方の室12の内部には、アンモニア臭の脱臭効率の高い脱臭ペレット18を必要量収容することができ、鶏舎で発生するアンモニア臭の混じった空気を、作業者の呼吸量に必要な分、少なくとも健康に安全なレベルまで完全に脱臭して、そこで作業する人が、アンモニア臭の混じった空気を吸うことなく、快適に作業することができるようになり、健康を害される虞もなくなる。さらに、これにより、作業効率も向上する。
加えて、装置全体がコンパクトにまとまり、構造が簡単で、製作費も安価である。
【0048】
また、脱臭ユニット3の小さい方の室13の内部には、脱臭ペレット18により脱臭された脱臭済み空気が一時貯留されるので、脱臭ユニット3の脱臭済み空気送出口15と可撓性チューブ4とマスク2の脱臭済み空気吸込み口5とを通して空気を吸う作業者は、吸込む呼吸分の空気をここに確保しておくことができるようになり、これにより、呼吸が楽になり、医療用マスクのような吸入負荷がかからず、呼吸のストレスも軽減することができる。
【0049】
また、脱臭ユニット3の未脱臭空気吸込み口14と脱臭済み空気送出口15、マスク2の脱臭済み空気吸込み口5と空気(呼気)排出口6とには、それぞれ逆止弁7が設けられているので、これらの口部から、鶏舎内に充満するアンモニア臭の混じった空気中のアンモニア臭が脱臭ユニット3の内部やマスク2の内部に拡散して侵入して来る虞がなくなり、作業者の作業の快適性と健康保持、作業効率の向上といった効果が更に向上する。
【0050】
なお、脱臭ユニット3の小さい方の室13の内部には、その内壁面に、可視光線もしくは紫外線に反応して脱臭効果を発揮する光触媒が塗布され、その内部に、前記光触媒に適した波長の光線を発する小型LEDランプ19が設置される場合には、これらの光触媒が発揮する脱臭効果により、脱臭ペレット18による脱臭効果が補完されて更に高められるので、作業者の作業の快適性と健康保持、作業効率の向上といった効果が更に向上する。
【0051】
また、脱臭ユニット3は、脱臭ペレット18の取り出し、交換が可能な構造にされているので、脱臭ペレット18の脱臭効果が消耗した時には、脱臭ユニット3から脱臭ペレット18を取り出して、水洗いして脱臭機能を再生させたり、新規の脱臭ペレット18と交換したりすることができ、使い勝手が良くなり、作業効率が更に向上する。
また、このように、脱臭ペレット18は、再生可能な物質からなるものとされているので、装置の維持費を安価に済ませることができる。
【0052】
(実施例2)
次に、本願の発明の第2の実施例(実施例2)の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置を、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
本実施例2の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置は、実施例1のそれと比較すると、脱臭ユニット3の構造のみが異なっている。そこで、以下においては、この脱臭ユニット3を中心にして、図4を参照しつつ、詳細に説明する。
なお、図4において、実施例1の脱臭ユニット3と対応する部分には同じ符号を付している。
【0053】
(脱臭ユニット、その容器の詳細構造)
本実施例2の脱臭ユニット3は、図4に示されるように、その平面視形状が作業者の腰部の輪郭形状に沿うように、わずかに湾曲された容器形状をなしていて、その容器10の内部に、活性炭フィルターを素材とする壁体からなり、通気性のある第1の仕切り壁20と、上部に多数の通気用開口22を有する第2の仕切り壁21とが設けられて、その内部が、3つの室23、24、25に空気連通状に仕切られている。
【0054】
そして、これら3つの室のうちの一方の端にある第1の室23には、その内壁面に、可視光線もしくは紫外線に反応して脱臭効果を発揮する光触媒が塗布され、その内部に、前記光触媒に適した波長の光線を発する小型LEDランプ19が設置されている。また、その底部に、アンモニア臭を含んだ空気を吸い込むための未脱臭空気吸込み口14が設けられている。
【0055】
また、これら3つの室のうちの中央にある第2の室24には、その内部に、アンモニア臭を吸着して脱臭するために用いられる脱臭ペレット18が収容されている。
この脱臭ペレット18としては、実施例1で使用された吸着剤物質と同じ物質が使用される。
【0056】
さらに、これら3つの室のうちの他方の端にある第3の室25には、その内部に、第1の室23の内壁面に塗布された光触媒による脱臭作用と、第2の室24の内部に収容された脱臭ペレット18による脱臭作用との二重の脱臭作用により脱臭された脱臭済み空気が、一時貯留されるようになっており、その側部に、該脱臭済み空気を送り出すための脱臭済み空気送出口15が設けられている。
この脱臭済み空気送出口15は、可撓性チューブ4により、マスク2の脱臭済み空気吸込み口5に内部連通状に連結される。この点は、実施例1の場合と同様である。
【0057】
また、脱臭ユニット3の前記未脱臭空気吸込み口14と、前記脱臭済み空気送出口15とには、それらの各口部に、逆止弁7が設けられていて、鶏舎内に充満するアンモニア臭の混じった空気中のアンモニア臭が、これらの口部を通って、脱臭ユニット3の内部や可撓性チューブ4の内部に拡散して侵入して来るのを防いでいる。この点も、実施例1の場合と同様である。
【0058】
なお、前記第1の室23の内部には、さらに、脱臭効果のある光触媒を塗布した通気性のある多重フィルターや多重金属メッシを設置して、光触媒の全接触面積が大きくなるようにしても良く、このようにすれば、前記第1回目の脱臭効果が更に向上して、脱臭ペレット18による第2回目の脱臭効果を更に良く補完することができる。
【0059】
(実施例2の効果)
本実施例2の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置は、前記のように構成されているので、次のような効果を奏することができる。
未脱臭空気吸込み口14から第1の室23に吸い込まれた未脱臭空気は、第1の室23の内壁面に塗布された光触媒が小型LEDランプ19の発する光に反応して発揮する脱臭効果により、第1回目の脱臭が行われて、これにより、第2の室24に収容された脱臭ペレット18による第2回目の脱臭の効果を補完することができ、全体として、脱臭効果が更に高められて、作業者の作業の快適性と健康保持、作業効率の向上といった効果が更に向上する。
【0060】
なお、前記第1の室23の内部には、さらに、脱臭効果のある光触媒を塗布した通気性のある多重フィルターや多重金属メッシを設置して、光触媒の全接触面積が大きくなるようにされる場合には、前記第1回目の脱臭効果が更に向上して、脱臭ペレット18による第2回目の脱臭効果を更に良く補完することができる。
【0061】
また、前記光触媒は、前記小型LEDランプ19が発する光と反応して脱臭効果を発揮する際に、活性酸素(オゾン)を発生する。そこで、マスク2の直近で活性酸素反応があると、作業者は、活性酸素を吸い込んでしまうことになるが、有害な活性酸素が確実に無害の活性酸素になるためには、数秒の時間が必要になるところ、マスク2と脱臭ユニット3とは、これらを繋ぐ可撓性チューブ4の長さ分だけ離されており、作業者が活性酸素を吸い込むのに時間が掛かるようにされているので、この問題が解決されている。
加えて、この活性酸素反応は、前記第1の室23の内部において発生するものであるから、作業者からは一番遠い側の室23で発生することになり、この点からも、作業者が、活性酸素を吸い込んでしまうようなことがないようにするのに都合が良い。
【0062】
また、前記第1の仕切り壁20が、活性炭フィルターからなるものとされており、この活性炭フィルターが、この有害な活性酸素を吸着するので、この点からも、作業者が活性酸素を吸い込んでしまうようなことがなくなり、作業者の安全を更に向上させることができる。
【0063】
このように、本実施例2の携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置においては、光触媒が、小型LEDランプ19が発する光と反応して脱臭効果を発揮する際に発生する活性酸素(オゾン)に対して、各種の安全対策が施されており、安全性の高い装置となっている。
また、マスク2自体も、構造が簡単になり、嵩張らなくて軽量になることにより、作業もし易くなっている。
【0064】
また、前記第3の室25の内部には、前記第2の室24に収容された脱臭ペレット18による第2回目の脱臭を終えた脱臭済み空気が一時貯留されるので、作業者は、実施例1の場合と同様、吸込む呼吸分の空気をここに確保しておくことができるようになり、これにより、呼吸が楽になり、医療用マスクのような吸入負荷がかからず、呼吸のストレスも軽減することができる。
【0065】
その他、各口部への逆止弁7の設置、脱臭ペレット18の取り出し・交換が可能な脱臭ユニット3の構造、脱臭ペレット18の再生可能の点につき、実施例1と同様の効果を奏することができる。
【0066】
本願の発明は、以上の実施例に限定されず、アンモニアが発生して問題となる各種施設において広く使用が可能であり、また、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置、2…マスク、3…脱臭ユニット、4…可撓性チューブ、5…脱臭済み空気吸込み口、6…吐出空気(呼気)排出口、7…逆止弁、10…容器、10a…容器本体、10b…蓋、11…仕切り壁、12…大きい方の室、13…小さい方の室、14…未脱臭空気吸込み口、15…脱臭済み空気送出口、16…ベルトホルダー、17…通気用開口、18…脱臭ペレット、19…小型LEDランプ、20…第1の仕切り壁、21…第2の仕切り壁、22…通気用開口、23…第1の室、24…第2の室、25…第3の室。
【要約】      (修正有)
【課題】家畜の畜舎や家畜ふん尿の堆肥化施設等で発生するアンモニア臭を脱臭して、そこで作業する作業者の作業の快適性と健康保持、作業効率の向上を図り、構造が簡単で、安全で、製作費及び維持費が安価な携帯型アンモニア臭脱臭呼吸気装置を提供する。
【解決手段】マスク2と、脱臭ユニット3と、これらを繋ぐ可撓性チューブ4とからなる。脱臭ユニット3の内部には、通気用開口17を有する仕切り壁11が設けられ、その内部が大小2つの室に仕切られて、大きい方の室12の内部に、アンモニア臭を脱臭する脱臭ペレット18が収容され、その底部に、未脱臭空気吸込み口14が設けられる。小さい方の室13の内部には、脱臭された脱臭済み空気が一時貯留され、その側部に、脱臭済み空気送出口15が設けられる。未脱臭空気吸込み口14と脱臭済み空気送出口15、マスク2の脱臭済み空気吸込み口5と空気排出口6とには、それぞれ逆止弁7が設けられる。
【選択図】図1
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
図7
図8