(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】機能性コーヒー及び機能性コーヒーの製造方法
(51)【国際特許分類】
A23F 5/40 20060101AFI20241129BHJP
A23L 33/125 20160101ALI20241129BHJP
【FI】
A23F5/40
A23L33/125
(21)【出願番号】P 2024146736
(22)【出願日】2024-08-28
【審査請求日】2024-09-10
(31)【優先権主張番号】P 2023151538
(32)【優先日】2023-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年9月11日 以下のウェブサイトの掲載アドレスで公開した。 ・https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/?recordSeq=42305012110102
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510210759
【氏名又は名称】ジェイフロンティア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591119750
【氏名又は名称】岩瀬コスファ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504322596
【氏名又は名称】住岡食品株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】523356695
【氏名又は名称】セガフレード・ザネッティ・ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 篤弘
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-316478(JP,A)
【文献】特開2017-51131(JP,A)
【文献】特開2017-51132(JP,A)
【文献】特開2009-28019(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0316785(US,A1)
【文献】国際公開第2009/081937(WO,A1)
【文献】特開昭61-67443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F5/
A23L33/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラジル産コニロン種の第1インスタントコーヒー、及びベトナム産ロブスタ種の第2インスタントコーヒーが粉砕された結果得られる所定サイズの粉群からなる第1原料と、
乳化剤製剤が吸着されたイソマルトデキストリンが倍散し篩過された結果得られる第2原料と、
整腸の効能を少なくとも有する第1素材と、苦味の成分を少なくとも有する第2素材と、特定の風味の成分を少なくとも有する第3素材とを含む第3原料と、
の混合により得られる、
機能性コーヒー。
【請求項2】
前記第1原料において、前記第1インスタントコーヒー及び前記第2インスタントコーヒーの混合比率の設計値は、夫々17.733%である、
請求項1に記載の機能性コーヒー。
【請求項3】
前記第2原料において、前記乳化剤製剤の混合比率の設計値は1.0%であり、前記イソマルトデキストリンの混合比率の設計値は63.333%である、
請求項1に記載の機能性コーヒー。
【請求項4】
前記第1原料を構成する粉のメッシュサイズは、1.5mm相当のサイズである、
請求項1に記載の機能性コーヒー。
【請求項5】
前記第2原料を構成する粉のメッシュサイズは、20である、
請求項1に記載の機能性コーヒー。
【請求項6】
前記混合の時間は15分であり、
前記混合の排出時における粉のメッシュサイズは、16である、
請求項1に記載の機能性コーヒー。
【請求項7】
ブラジル産コニロン種の第1インスタントコーヒー、及びベトナム産ロブスタ種の第2インスタントコーヒーが粉砕された結果得られる所定サイズの粉群からなる第1原料と、
乳化剤製剤が吸着されたイソマルトデキストリンが倍散し篩過された結果得られる第2原料と、
整腸の効能を少なくとも有する第1素材と、苦味の成分を少なくとも有する第2素材と、特定の風味の成分を少なくとも有する第3素材とを含む第3原料と、
の混合のステップを少なくとも含む、
機能性コーヒーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性コーヒー及び機能性コーヒーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食物繊維を多く摂取させるためとして難消化性デキストリンを多量に配合したコーヒーが知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたコーヒーは、食物繊維を多く摂取させることを目的として難消化性デキストリンを多量に配合していることから、不足しがちな食物繊維を補えるコーヒー、即ち機能性コーヒーであるといえる。
しかしながら、食物繊維を多く摂取させることを目的とするだけの特許文献1の技術を含めた従来の技術では、風味、苦味、酸味のバランスの取れた美味しい、かつ、機能性をさらに高めたコーヒー(機能性コーヒー)を提供することができていないという状況である。
【0005】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、風味、苦味、酸味のバランスの取れた美味しい、かつ、機能性をさらに高めた機能性コーヒーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の機能性コーヒーは、
ブラジル産コニロン種の第1インスタントコーヒー、及びベトナム産ロブスタ種の第2インスタントコーヒーが粉砕された結果得られる所定サイズの粉群からなる第1原料と、
乳化剤製剤が吸着されたイソマルトデキストリンが倍散し篩過された結果得られる第2原料と、
整腸の効能を少なくとも有する第1素材と、苦味の成分を少なくとも有する第2素材と、特定の風味の成分を少なくとも有する第3素材とを含む第3原料と、
の混合により得られる。
【0007】
本発明の一態様の機能性コーヒーの製造方法は、本発明の一態様の機能性コーヒーに対応する方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、風味、苦味、酸味のバランスの取れた美味しい、かつ、機能性をさらに高めた機能性コーヒーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の機能性コーヒー及び機能性コーヒーの製造方法の一実施形態に係る製造工程の概要を示す図である。
【
図2】本発明の機能性コーヒー及び機能性コーヒーの製造方法の一実施形態に係る第1原料の選定について示す図である。
【
図3】本発明の機能性コーヒー及び機能性コーヒーの製造方法の一実施形態に係る第2原料の選定について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
まず、
図1を参照して、本発明の機能性コーヒー及び機能性コーヒーの製造方法の一実施形態に係る製造工程について説明する。
図1は、本発明の機能性コーヒー及び機能性コーヒーの製造方法の一実施形態に係る製造工程の概要を示す図である。
【0012】
本発明の機能性コーヒー1は、例えば
図1に示す製造工程を経て得られ、風味、苦味、酸味のバランスの取れた美味しい、かつ、機能性をさらに高めたものとなるように製造される。
即ち、高機能性コーヒーとなるように製造される。
【0013】
機能性コーヒー1に係る上述の製造工程は、
図1の上部に示す原料入荷の後の工程であり、この製造工程後は、
図1の下部に示す次工程へと進む。
具体的に、製造工程は、工程記号「まる」で示す秤量と、同じく工程記号「まる」で示す混合と、工程記号「ダイヤ」で示す工程検査と、同じく工程記号「ダイヤ」で示す細菌検査と、工程記号「まる」で示す梱包とを含んでいる。
【0014】
上述の製造工程のうち、本発明の特徴となる製造が含まれる混合について以下に説明する。
なお、秤量、工程検査、細菌検査、及び梱包については、一般的な工程であるとして説明を省略する。
以下の説明では、標準的仕込量を100kgとして説明するが、この100kgの仕込量は一例であり、特に限定されないものとする。
【0015】
混合の工程は、第1原料11と、第2原料12と、第3原料13とを混合機21を用いて所定時間混合し、不規則混合物の状態となる本発明の機能性コーヒー1を製造する工程である。
【0016】
第1原料11は、所定のインスタントコーヒーが粉砕された結果得られる所定サイズの粉である。
上述の所定のインスタントコーヒーとしては、風味、苦味、酸味のバランスの取れた美味しい機能性コーヒー1にするために、2つのインスタントコーヒーが採用されている。
具体的には、ブラジル産コニロン種100%の第1インスタントコーヒーと、ベトナム産ロブスタ種100%の第2インスタントコーヒーとが採用されている。
【0017】
なお、インスタントコーヒーとは、ここではフリーズドライコーヒーのことをいうものとする。
「フリーズドライ製法」の製品を採用した理由としては、香り立ちを優先するためである(乾燥工程を凍結による乾燥とすることにより、香味成分を残すことができるという利点がある)。
【0018】
なお、第1インスタントコーヒー(ブラジル産コニロン種100%のインスタントコーヒー)及び第2インスタントコーヒー(ベトナム産ロブスタ種100%のインスタントコーヒー)の選定に関しては、
図2を参照しながら後述する。
【0019】
第1インスタントコーヒー(ブラジル産コニロン種100%のインスタントコーヒー)及び第2インスタントコーヒー(ベトナム産ロブスタ種100%のインスタントコーヒー)は、粉砕前において夫々塊の状態となっているコーヒー原料である。
この塊の状態のコーヒー原料の夫々は、所定の粉砕機で粉砕を行うことにより、表面積が塊の状態の時よりも大きくなる。
【0020】
粉砕により表面積が大きくなった第1インスタントコーヒー(ブラジル産コニロン種100%のインスタントコーヒー)及び第2インスタントコーヒー(ベトナム産ロブスタ種100%のインスタントコーヒー)は、メッシュの目開き(開口径)が1.5mmの篩にかけられる(目開き(開口径)の数値は一例であるものとする(ここでは1インチ当たりの目開きの数ではない))。
【0021】
粉砕された後に篩にかけられて得られた粉状の第1インスタントコーヒー(ブラジル産コニロン種100%のインスタントコーヒー)及び第2インスタントコーヒー(ベトナム産ロブスタ種100%のインスタントコーヒー)は、本発明で言うところの第1原料11に相当する。
【0022】
第1インスタントコーヒー(ブラジル産コニロン種100%のインスタントコーヒー)は、混合粉末全体(機能性コーヒー1全体)に対して17.733%を占めるような割合(混合比率の設計値)のものになっている。
また、第2インスタントコーヒー(ベトナム産ロブスタ種100%のインスタントコーヒー)も、混合粉末全体(機能性コーヒー1全体)に対して17.733%を占めるような割合(混合比率の設計値)のものになっている。
【0023】
従って、以上のような第1インスタントコーヒー(ブラジル産コニロン種100%のインスタントコーヒー)及び第2インスタントコーヒー(ベトナム産ロブスタ種100%のインスタントコーヒー)の2つのインスタントコーヒーからなる第1原料11は、混合粉末全体(機能性コーヒー1全体)に対して35.466%を占めるような割合(混合比率の設計値)のものになっている。
第1原料11は、粉砕により表面積が上述の塊の時よりも大きくなっており、その結果、第2原料12に対する当該第1原料11及び第3原料13との付着をし易くすることができるようになっている。
【0024】
第2原料12は、乳化剤製剤が吸着されたイソマルトデキストリンが倍散し篩過された結果得られるものである。
なお、乳化剤製剤は液体であり、イソマルトデキストリンは粉末のものである。
【0025】
乳化剤製剤は、混合粉末全体(機能性コーヒー1全体)に対して1.0%を占めるような割合(混合比率の設計値)のものになっている。
乳化剤製剤は、水に分散させ易くすることを目的として採用されている。また、乳化剤製剤は、味と風味の向上に寄与させることも目的として採用されている。
乳化剤製剤としては、例えば大豆由来のものが挙げられる。
【0026】
イソマルトデキストリンは、水溶性食物繊維を摂取させるための原料であって、混合粉末全体(機能性コーヒー1全体)に対して63.333%を占めるような割合(混合比率の設計値)のものになっている。
なお、水溶性食物繊維としての原料をイソマルトデキストリンとした理由は、
図3を参照しながら後述する。
【0027】
第2原料12である乳化剤製剤が吸着されたイソマルトデキストリンの上述の篩過に関しては、メッシュサイズが20メッシュ(このサイズは1インチの長さの中に目が20個並んでいることを示す)となるような篩過が採用されている。
【0028】
第3原料13は、整腸の効能を少なくとも有する第1素材と、苦味の成分を少なくとも有する第2素材と、特定の風味の成分を少なくとも有する第3素材とを含んでいるものである。
第3原料13は、第2原料12の機能をサポートするようなサポート成分として位置づけられている(サポート成分であればよく、ここで挙げている3つの素材に限定されないものとする。例えば安定性向上の目的で植物油脂を第4原料としてもよい。なお、植物油脂は乳化香料としての作用(香りを引き立てる)が期待される。)。
【0029】
上述の第1素材の一例としては、有胞子性乳酸菌が挙げられる。
また、上述の第2素材は、上述の他、肌トラブル改善効果を少なくとも有するものが適している。一例としては、植物エキスが挙げられる。
また、上述の第3素材は、ビタミンをプレミックスした食品添加製剤(ビタミンプレミックス)としての素材が適している。なお、第3素材は、上述の特定の風味の成分にこだわらなくてもよいものとする。
【0030】
混合機21を用いての混合の工程における上述の所定時間は、例えば15分である。また、混合後の排出時における篩のメッシュサイズは、16メッシュ(このサイズは1インチの長さの中に目が16個並んでいることを示す)である。
混合の工程において、機能性コーヒー1は、機能性コーヒー1の粒が揃えられる。
以上のように、第1原料11と、第2原料12と、第3原料13とを混合し、そして、排出するような混合の工程を経ることにより、機能性コーヒー1の製造が完了する。
【0031】
なお、混合機21における粉体の混合(mixingあるいはblending)に関し補足説明をすると、一般的に、性質(物質)の異なった2種類あるいはそれ以上の複数の原料素材を乾燥(dry)状態下もしくはごくわずかの液が含まれる(pendular領域)状態下で、所定の比率で配合し一様均質化する操作の総称を指すものである。
【0032】
次に、
図2を参照して、第1原料11の選定について説明する。
図2は、本発明の機能性コーヒー及び機能性コーヒーの製造方法の一実施形態に係る第1原料の選定について示す図である。
【0033】
本発明では、第1インスタントコーヒー(ブラジル産コニロン種100%のインスタントコーヒー)及び第2インスタントコーヒー(ベトナム産ロブスタ種100%のインスタントコーヒー)が第1原料11として最終的に選定されている。
【0034】
選定にあたっては、先ず市場の嗜好性に合わせて「アラビカ種」をメインに試飲を開始した。
試飲を重ね、インスタントコーヒーを機能性食品へと再加工していく中で、コーヒーの酸味が、原材料ベースの状態よりも目立つ傾向が分かり、酸味が特徴的な「アラビカ種」以外が機能性コーヒー1に適していると判断した。
そのため上述の傾向を加味しながら最終的な味を想像していく中で、苦味が特徴の「ロブスタ種」をメインに考えつつ、テイストのバランスとして酸味を加えるために「コロン種」を配合することにした。
第1原料11は、第2原料12を含んだ状態、及び、第2原料12と第3原料13を含んだ状態でもバランスよく仕上がっている。
【0035】
以下、検証したインスタントコーヒー(加工方式:フリーズドライ)の一部を挙げることにする(ここで挙げる他にも検証しているが全部は省略する)。
図2の表中のA乃至Hは、検証したインスタントコーヒー(以下、検証コーヒーと略記する)A乃至Hを示している。
【0036】
検証コーヒーAは、ブラジル産アラビカ種80%のインスタントコーヒーと、ブラジル産ロブスタ種20%のインスタントコーヒーとを混合したものである。
また、検証コーヒーBは、ブラジル産アラビカ種40%のインスタントコーヒーと、ブラジル産ロブスタ種60%のインスタントコーヒーとを混合したものである。
また、検証コーヒーCは、コスタリカ産アラビカ種100%のインスタントコーヒーのみである。
【0037】
また、検証コーヒーDは、エチオピア産アラビカ種100%のインスタントコーヒーのみである。
また、検証コーヒーEは、タンザニア産アラビカ種100%のインスタントコーヒーのみである。
また、検証コーヒーFは、エクアドル産ロブスタ種65%のインスタントコーヒーと、エクアドル産アラビカ種35%のインスタントコーヒーとを混合したものである。
【0038】
また、検証コーヒーGは、ベトナム産ロブスタ種100%のインスタントコーヒーのみである。
また、検証コーヒーHは、ブラジル産コニロン種100%のインスタントコーヒーのみである。
【0039】
このような検証コーヒーA乃至Hの試飲を行うと、検証コーヒーA単独では、風味〇、コスト×で総合的に△という評価結果になった(ここでは4段階の官能評価としており、◎はとても良い、〇は良い、△は普通、×は悪い、を示す)。
また、検証コーヒーB単独では、風味△、コスト△で総合的に△という評価結果になった。
【0040】
また、検証コーヒーC単独では、風味〇、酸味△で総合的に×という評価結果になった。
また、検証コーヒーD単独では、風味△、酸味×で総合的に×という評価結果になった。
また、検証コーヒーE単独では、風味△、酸味×で総合的に×という評価結果になった。
【0041】
また、検証コーヒーF単独では、風味〇、苦味△、酸味△で総合的に△という評価結果になった。
また、検証コーヒーG単独では、風味△、苦味〇、酸味×で総合的に〇という評価結果になった。
また、検証コーヒーH単独では、風味〇、苦味△、酸味〇で総合的に〇という評価結果になった。
【0042】
組み合わせに関しての評価結果を以下に示す。
検証コーヒーFと検証コーヒーGでは、風味〇、苦味△、酸味△で総合的に△という評価結果になった。
また、検証コーヒーFと検証コーヒーHでは、風味〇、苦味△、酸味×で総合的に△という評価結果になった。
【0043】
また、検証コーヒーGと検証コーヒーHでは、風味〇、苦味〇、酸味〇で総合的に◎という評価結果になった。
最終的に、総合◎の評価結果の検証コーヒーGと検証コーヒーHの組み合わせが選定され、バランスとして検証コーヒーGと検証コーヒーHとの比率は、50:50に決定された。
【0044】
次に、
図3を参照して、第2原料12の選定について説明する。
図3は、本発明の機能性コーヒー及び機能性コーヒーの製造方法の一実施形態に係る第2原料の選定について示す図である。
【0045】
図3に示すように、第2原料12の候補となる原料は、イソマルトデキストリンと、当該イソマルトデキストリンとは異なる他の食物繊維と、参考のため、A原料及び乳酸菌の組み合わせと、B原料及び乳酸菌の組み合わせと、C原料及び乳酸菌の組み合わせとした。
また、評価項目は、風味(懸念)と、糖の吸収に関する機能と、お腹の脂肪に関する機能と、整腸に関する機能と、価格優位性とを挙げて、
図2と同様に4段階で評価した。即ち、◎(とても良い)、〇(良い)、△(普通)、×(悪い)、で評価した。
【0046】
イソマルトデキストリンは、風味が懸念なし、糖の吸収に関する機能が〇、お腹の脂肪に関する機能が×、整腸に関する機能が〇、価格優位性が◎という評価結果が得られた。
これに対し、イソマルトデキストリンとは異なる他の食物繊維は、風味が懸念なし、糖の吸収に関する機能が〇、お腹の脂肪に関する機能が×、整腸に関する機能が〇、価格優位性が〇という評価結果が得られた。
従って、イソマルトデキストリンと、当該イソマルトデキストリンとは異なる他の食物繊維とを比較すると、第2原料12としては、イソマルトデキストリンが好適である。
【0047】
参考までに、お腹の脂肪に関する機能を有する原料を評価したところ、A原料及び乳酸菌の組み合わせでは、お腹の脂肪に関する機能があるものの価格優位性の面でイソマルトデキストリンの方が良いことが分かった。
また、B原料及び乳酸菌の組み合わせと、C原料及び乳酸菌の組み合わせとでは、お腹の脂肪に関する機能があるものの価格優位性の面でイソマルトデキストリンの方が良いことが分かった(風味の懸念もある)。
【0048】
以上、
図1乃至
図3を参照して説明してきたように、機能性コーヒー1は、上述の製造工程及び原料の構成を有することから、風味、苦味、酸味のバランスの取れた美味しい、かつ、機能性をさらに高めたものとすることができる。
【0049】
機能性コーヒー1は、味の影響が少ない素材としてイソマルトデキストリンを選択することができる。
イソマルトデキストリンを選択することにより、機能性コーヒー1は、食事の脂肪の吸収を抑えることができる、中性脂肪の上昇を抑えることができる、食後血糖値の上昇を抑えることができる、食事の糖の吸収を抑えることができる、お腹の調子を整えることができる、及び、整腸作用により美容や満腹作用を期待することができるという効果を奏する。
【0050】
機能性コーヒー1は、「毎日おいしく飲めるテイスト」をコンセプトにすることができる。
また、機能性コーヒー1は、ブラジル産コーヒー豆をベースに、豊かでコクのある口当たりにフルーティーで華やかな酸味と香りを特徴とするコーヒーに仕上げることができる。
【0051】
機能性コーヒー1は、例えば食べる際に当該機能性コーヒー1を飲むだけで良く、簡単に機能性を享受することができる。
また、機能性コーヒー1は、食べることが大好きで、食事制限が苦手な方に、飲むだけで例えば太りやすい毎日とサヨナラすることができる。
また、機能性コーヒー1は、食事を美味しく、毎日の食生活の中で水溶性食物繊維であるイソマルトデキストリンを摂取することができる。
【0052】
機能性コーヒー1は、第2原料12により上述の通り水溶性食物繊維を摂取することができ、また、第3原料13(例えば有胞子性乳酸菌、植物エキス、ビタミンプレミックス)により例えばサポート成分もとることができる。第2原料12で便通が改善し肌に寄与することもできる。
【0053】
機能性コーヒー1は、例えば所謂ダイエットの悪循環をカットすることができる。
悪循環(1)太る、悪循環(2)当該太ることにより食事制限や間食をやめる、悪循環(3)食事制限や間食をやめることでストレスがたまる、悪循環(4)ストレスがたまることで便秘がちになる、悪循環(5)便秘がちになることでお肌柄の影響が出る、というダイエットの悪循環(1)乃至(5)をカットすることができる。
【0054】
上述の悪循環(2)は、イソマルトデキストリンの摂取で解消することができる。また、上述の悪循環(3)は、コーヒータイムとして機能性コーヒー1を飲めば解消することができる。また、上述の悪循環(4)は、イソマルトデキストリンの摂取で解消することができる。また、上述の悪循環(5)は、イソマルトデキストリンの摂取や、第3原料13により美肌へのサポートにより解消することができる。
以上のような悪循環(2)乃至(5)の解消により、結果、悪循環(1)の解消につなげることができる。
【0055】
機能性コーヒー1は、イソマルトデキストリンの摂取をすることができることから、便通改善作用、下痢軽減作用、免疫調整作用を期待することができる。
【0056】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものとみなす。
本発明の名称として「機能性コーヒー」を用いているが、「コーヒーパウダー含有加工食品」と読み替えてもよいものとする。
【0057】
以上をまとめると、本発明が適用される機能性コーヒーは、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される機能性コーヒー(例えば
図1の機能性コーヒー1等)は、
ブラジル産コニロン種の第1インスタントコーヒー、及びベトナム産ロブスタ種の第2インスタントコーヒーが粉砕された結果得られる所定サイズの粉群からなる第1原料(例えば
図1の第1原料11等)と、
乳化剤製剤が吸着されたイソマルトデキストリンが倍散し篩過された結果得られる第2原料(例えば
図1の第2原料12等)と、
整腸の効能を少なくとも有する第1素材(例えば
図1の第1素材としての有胞子性乳酸菌等)と、苦味の成分を少なくとも有する第2素材(例えば
図1の第2素材としての植物エキス等)と、特定の風味の成分を少なくとも有する第3素材(例えば
図1の第3素材としてのビタミンプレミックス等)とを含む第3原料(例えば
図1の第3原料13等)と、
の混合(例えば
図1の混合機21による混合等)により得られれば足りる。
【0058】
本発明によれば、風味、苦味、酸味のバランスの取れた美味しい、かつ、機能性をさらに高めた機能性コーヒーを提供することができる。
【0059】
また、本発明が適用される機能性コーヒー(例えば
図1の機能性コーヒー1等)によれば、
前記第1原料において、前記第1インスタントコーヒー及び前記第2インスタントコーヒーの混合比率の設計値は、夫々17.733%である、
ことが好ましい。
【0060】
また、本発明が適用される機能性コーヒー(例えば
図1の機能性コーヒー1等)によれば、
前記第2原料において、前記乳化剤製剤の混合比率の設計値は1.0%であり、前記イソマルトデキストリンの混合比率の設計値は63.333%である、
ことが好ましい。
【0061】
また、本発明が適用される機能性コーヒー(例えば
図1の機能性コーヒー1等)によれば、
前記第1原料を構成する粉のメッシュサイズは、1.5mm相当のサイズである、
ことが好ましい。
【0062】
また、本発明が適用される機能性コーヒー(例えば
図1の機能性コーヒー1等)によれば、
前記第2原料を構成する粉のメッシュサイズは、20である、
ことが好ましい。
【0063】
また、本発明が適用される機能性コーヒー(例えば
図1の機能性コーヒー1等)によれば、
前記混合の排出時における粉のメッシュサイズは、16である、
ことが好ましい。
【0064】
本発明が適用される機能性コーヒーの製造方法は、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される機能性コーヒーの製造方法(例えば
図1の機能性コーヒー1を製造する方法等)は、
ブラジル産コニロン種の第1インスタントコーヒー、及びベトナム産ロブスタ種の第2インスタントコーヒーが粉砕された結果得られる所定サイズの粉群からなる第1原料と、
乳化剤製剤が吸着されたイソマルトデキストリンが倍散し篩過された結果得られる第2原料と、
整腸の効能を少なくとも有する第1素材と、苦味の成分を少なくとも有する第2素材と、特定の風味の成分を少なくとも有する第3素材とを含む第3原料と、
の混合のステップ(例えば
図1の混合の工程等)を少なくとも含んでいれば足りる。
【0065】
本発明によれば、風味、苦味、酸味のバランスの取れた美味しい、かつ、機能性をさらに高めた機能性コーヒーの製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0066】
1・・・機能性コーヒー、11・・・第1原料、12・・・第2原料、13・・・第3原料、21・・・混合機
【要約】
【課題】風味、苦味、酸味のバランスの取れた美味しい、かつ、機能性をさらに高めた機能性コーヒーを提供すること。
【解決手段】機能性コーヒーは、第1原料と、第2原料と、第3原料との混合により得られる。第1原料は、ブラジル産コニロン種の第1インスタントコーヒー、及びベトナム産ロブスタ種の第2インスタントコーヒーが粉砕された結果得られる所定サイズの粉群からなる。第2原料は、乳化剤製剤が吸着されたイソマルトデキストリンが倍散し篩過された結果得られる。第3原料は、整腸の効能を少なくとも有する第1素材と、苦味の成分を少なくとも有する第2素材と、特定の風味の成分を少なくとも有する第3素材とを含む。
【選択図】
図1