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特許7595814画像表示装置、画像表示方法および画像表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】画像表示装置、画像表示方法および画像表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/10 20060101AFI20241129BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20241129BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20241129BHJP
   H04N 5/70 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
G09G5/10 B
G09G5/00 520A
G09G5/00 520V
G09G5/00 550C
H04N5/66 A
H04N5/70 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024532996
(86)(22)【出願日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 JP2023041856
【審査請求日】2024-06-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391010116
【氏名又は名称】EIZO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】村田 和哉
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/162555(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/104631(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/188813(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/051612(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0352310(US,A1)
【文献】特開2015-106194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00 - 5/42
H04N 5/66
H04N 5/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輝度取得部と階調特性取得部と表示部とを備える画像表示装置であって、
前記輝度取得部は、第1タイミングにおいて、前記画像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値を予測することによって当該出力輝度値としての第1輝度値を取得し、
前記階調特性取得部は、輝度の絶対値により規定され、PQカーブ規格を満たす階調特性に準拠する階調特性として、前記表示部が表示する画像の入力階調値と、前記第1輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて前記表示部が出力すべき出力輝度値との対応関係を示し、前記第1輝度値よりも大きい輝度値に対応する入力階調値を除き、前記第1輝度値以下の輝度値に対応する入力階調値においてPQカーブを再現するための第1階調特性を取得し、
前記表示部は、前記第1階調特性を用いて画像を表示し、
前記輝度取得部は、前記第1タイミングより後の第2タイミングにおいて、前記画像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値であって、前記第1タイミングから経時変化した出力輝度値を予測することによって当該出力輝度値としての第2輝度値を取得し、
前記階調特性取得部は、輝度の絶対値により規定され、PQカーブ規格を満たす階調特性に準拠する階調特性として、前記表示部が表示する画像の入力階調値と、前記第2輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて前記表示部が出力すべき出力輝度値との対応関係を示し、前記第2輝度値よりも大きい輝度値に対応する入力階調値を除き、前記第2輝度値以下の輝度値に対応する入力階調値においてPQカーブを再現するための第2階調特性を取得し、
前記表示部は、前記第2階調特性を用いて画像を表示する、
画像表示装置。
【請求項2】
請求項に記載の画像表示装置であって、
前記輝度取得部は、前記第1および第2タイミングと異なる第3タイミングにおいて、前記画像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値を実測することによって当該出力輝度値としての第3輝度値を取得し、
前記階調特性取得部は、輝度の絶対値により規定され、PQカーブ規格を満たす階調特性に準拠する階調特性として、前記表示部が表示する画像の入力階調値と、前記第3輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて前記表示部が出力すべき出力輝度値との対応関係を示し、前記第3輝度値よりも大きい輝度値に対応する入力階調値を除き、前記第3輝度値以下の輝度値に対応する入力階調値においてPQカーブを再現するための第3階調特性を取得し、
前記表示部は、前記第3階調特性を用いて画像を表示する、
画像表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像表示装置であって、
前記輝度取得部は、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性を用いて画像が表示される場合、輝度の相対値により規定される階調特性に準拠する階調特性を用いて画像が表示される場合と同等以上の頻度で、前記出力輝度値を取得する、
画像表示装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の画像表示装置であって、
前記輝度取得部は、前記表示部による画像の表示時間が長くなるにつれて、前記出力輝度値の取得頻度を低下させる、
画像表示装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の画像表示装置であって、
前記表示部は、自発光型の表示装置である、
画像表示装置。
【請求項6】
輝度取得ステップと階調特性取得ステップと表示ステップとを有する画像表示方法であって、
前記輝度取得ステップでは、第1タイミングにおいて、像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値を予測することによって当該出力輝度値としての第1輝度値を取得し、
前記階調特性取得ステップでは、輝度の絶対値により規定され、PQカーブ規格を満たす階調特性に準拠する階調特性として、前記表示ステップで表示する画像の入力階調値と、前記第1輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて前記表示ステップで出力すべき出力輝度値との対応関係を示し、前記第1輝度値よりも大きい輝度値に対応する入力階調値を除き、前記第1輝度値以下の輝度値に対応する入力階調値においてPQカーブを再現するための第1階調特性を取得し、
前記表示ステップでは、前記第1階調特性を用いて画像を表示し、
前記輝度取得ステップでは、前記第1タイミングより後の第2タイミングにおいて、前記画像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値であって、前記第1タイミングから経時変化した出力輝度値を予測することによって当該出力輝度値としての第2輝度値を取得し、
前記階調特性取得ステップでは、輝度の絶対値により規定され、PQカーブ規格を満たす階調特性に準拠する階調特性として、前記表示ステップで表示する画像の入力階調値と、前記第2輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて前記表示ステップで出力すべき出力輝度値との対応関係を示し、前記第2輝度値よりも大きい輝度値に対応する入力階調値を除き、前記第2輝度値以下の輝度値に対応する入力階調値においてPQカーブを再現するための第2階調特性を取得し、
前記表示ステップでは、前記第2階調特性を用いて画像を表示する、
画像表示方法。
【請求項7】
輝度取得部と階調特性取得部と表示部とを備える画像表示装置であって、
前記輝度取得部は、第1タイミングにおいて、前記画像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値を予測することによって当該出力輝度値としての第1輝度値を取得し、
前記階調特性取得部は、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性として、前記表示部が表示する画像の入力階調値と、前記第1輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて前記表示部が出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第1階調特性を取得し、
前記表示部は、前記第1タイミングと、前記第1タイミングから所定時間経過した第2タイミングとの間において、前記第1階調特性を用いて画像を表示し、
前記輝度取得部は、前記2タイミングにおいて、前記画像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値であって、前記第1タイミングから経時変化した出力輝度値を予測することによって当該出力輝度値としての第2輝度値を取得し、
前記階調特性取得部は、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性として、前記表示部が表示する画像の入力階調値と、前記第2輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて前記表示部が出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第2階調特性を取得し、
前記表示部は、前記第2タイミングと、前記第2タイミングから所定時間経過したタイミングであって、前記輝度取得部が前記画像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値を予測または実測するタイミングとの間において、前記第2階調特性を用いて画像を表示し、
前記輝度取得部は、前記第1および第2タイミングと異なる第3タイミングにおいて、前記画像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値を実測することによって当該出力輝度値としての第3輝度値を取得し、
前記階調特性取得部は、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性として、前記表示部が表示する画像の入力階調値と、前記第3輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて前記表示部が出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第3階調特性を取得し、
前記表示部は、前記第3タイミングと、前記第3タイミングから所定時間経過したタイミングであって、前記輝度取得部が前記画像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値を予測または実測するタイミングとの間において、前記第3階調特性を用いて画像を表示する、
画像表示装置。
【請求項8】
輝度取得ステップと階調特性取得ステップと表示ステップとを有する画像表示方法であって、
前記輝度取得ステップでは、第1タイミングにおいて、像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値を予測することによって当該出力輝度値としての第1輝度値を取得し、
前記階調特性取得ステップでは、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性として、前記表示ステップで表示する画像の入力階調値と、前記第1輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて前記表示ステップで出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第1階調特性を取得し、
前記表示ステップでは、前記第1タイミングと、前記第1タイミングから所定時間経過した第2タイミングとの間において、前記第1階調特性を用いて画像を表示し、
前記輝度取得ステップでは、前記第1タイミングより後の第2タイミングにおいて、前記画像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値であって、前記第1タイミングから経時変化した出力輝度値を予測することによって当該出力輝度値としての第2輝度値を取得し、
前記階調特性取得ステップでは、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性として、前記表示ステップで表示する画像の入力階調値と、前記第2輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて前記表示ステップで出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第2階調特性を取得し、
前記表示ステップでは、前記第2タイミングと、前記第2タイミングから所定時間経過したタイミングであって、前記輝度取得ステップにおいて前記画像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値を予測または実測するタイミングとの間において、前記第2階調特性を用いて画像を表示し、
前記輝度取得ステップでは、前記第1および第2タイミングと異なる第3タイミングにおいて、前記画像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値を実測することによって当該出力輝度値としての第3輝度値を取得し、
前記階調特性取得ステップでは、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性として、前記表示ステップで表示する画像の入力階調値と、前記第3輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて前記表示ステップで出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第3階調特性を取得し、
前記表示ステップでは、前記第3タイミングと、前記第3タイミングから所定時間経過したタイミングであって、前記輝度取得ステップにおいて前記画像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値を予測または実測するタイミングとの間において、前記第3階調特性を用いて画像を表示する、
画像表示方法。
【請求項9】
プロセッサに、請求項6または請求項8に記載の前記画像表示方法を実行させる、画像表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、画像表示方法および画像表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のダイナミックレンジ(人間の目が知覚できる明るさの範囲)よりも広いダイナミックレンジで画像を表示可能な表示装置が登場している。従来の表示装置で表現可能なダイナミックレンジはSDR(Standard Dynamic Range)と呼ばれ、従来の表示装置よりも表現可能なダイナミックレンジが広いものはHDR(High Dynamic Range)と呼ばれる。例えば、特許文献1には、ダイナミックレンジが広いHDR画像と、ダイナミックレンジが狭いSDR画像とを比較表示する技術が開示されている。
【0003】
HDR画像を正しく表示するためには、単純に輝度を上げるだけではなく、人間の視覚特性に合わせた「色」と「階調」を表現することが重要である。この色と階調を左右するものに、入出力装置それぞれが持つ入出力特性「ガンマ(EOTF:Electro Optical Transfer Function)」がある。HDRの国際規格「ITU-R BT.2100」では、用途に合わせた2つのガンマカーブ(PQ方式およびHLG方式)が制定されている。
【0004】
PQ(Perceptual Quantization)方式は、人間の視覚特性に合わせたガンマで、再現性が重視される映画やWeb配信コンテンツの制作に適している。一方、HLG(Hybrid Log Gamma)方式は、従来のSDRテレビでも違和感なく表示できることを重視するため、テレビ放送やライブ中継に適している。
【0005】
PQ方式の場合、ピーク輝度(最大の明るさ)は10000cd/mと規定されており、表示装置で再現可能な輝度までは常に同じガンマカーブ(PQカーブ)を描くため、表示装置のピーク輝度までの階調領域においては、PQカーブを正確に再現したHDR画像を表示することができる。一方、HLG方式の場合、ピーク輝度は表示装置の最大輝度と一致する。つまり、表示装置側の最大輝度に依存してガンマカーブが変化するため、従来のSDRテレビに表示した場合でも大きく画崩れすることなく、HDR画像を表示することができる。
【0006】
ところで、近年、ディスプレイ分野の技術開発が進んでおり、有機発光ダイオード(OLED)等の自発光素子を光源とし、表示品位の高い表示装置が提案されている。しかし、自発光素子の寿命は短く、自発光素子を光源として用いる表示装置では、例えば、自発光素子の発光時間(具体的には、自発光素子に流れる電流(負荷電流)、および、電流が流れる時間の累積量)の増加に応じてピーク輝度が低下し、表示画像の各入力階調値に対応する表示装置の出力輝度値も相対的に低下してしまう。そのため、PQ方式に準拠した階調特性、すなわち表示装置のピーク輝度までの階調領域において常に同じガンマカーブを描くことが求められる階調特性で、HDR画像を表示することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-181762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、所望の階調特性に準拠した階調特性で画像を表示することが可能な画像表示装置、画像表示方法および画像表示プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、以下の構成の画像表示装置が提供される。
[1]輝度取得部と階調特性取得部と表示部とを備える画像表示装置であって、前記輝度取得部は、第1タイミングにおいて、前記画像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値を予測することによって当該出力輝度値としての第1輝度値を取得し、前記階調特性取得部は、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性として、前記表示部が表示する画像の入力階調値と、前記第1輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて前記表示部が出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第1階調特性を取得し、前記表示部は、前記第1階調特性を用いて画像を表示し、前記輝度取得部は、前記第1タイミングより後の第2タイミングにおいて、前記画像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値であって、前記第1タイミングから経時変化した出力輝度値を予測することによって当該出力輝度値としての第2輝度値を取得し、前記階調特性取得部は、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性として、前記表示部が表示する画像の入力階調値と、前記第2輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて前記表示部が出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第2階調特性を取得し、前記表示部は、前記第2階調特性を用いて画像を表示する、画像表示装置。
【0010】
本発明によれば、第2タイミングにおいて、第1タイミングから経時変化した第2輝度値が取得され、第1階調特性に代えて、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性として、表示部が表示する画像の入力階調値と、第2輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて表示部が出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第2階調特性を用いて画像が表示されるので、第1タイミングより後の第2タイミングにおいても、所望の階調特性に準拠した階調特性で画像を表示することができる。
【0011】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
[2][1]に記載の画像表示装置であって、前記輝度の絶対値により規定される階調特性は、PQカーブ規格を満たす階調特性である、画像表示装置。
[3][1]に記載の画像表示装置であって、前記輝度の絶対値により規定される階調特性は、DICOM規格のグレースケール標準表示関数(GSDF)を満たす階調特性である、画像表示装置。
[4][1]~[3]の何れかに記載の画像表示装置であって、前記輝度取得部は、前記第1および第2タイミングと異なる第3タイミングにおいて、前記画像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値を実測することによって当該出力輝度値としての第3輝度値を取得し、前記階調特性取得部は、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性として、前記表示部が表示する画像の入力階調値と、前記第3輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて前記表示部が出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第3階調特性を取得し、前記表示部は、前記第3階調特性を用いて画像を表示する、画像表示装置。
[5][1]~[4]の何れかに記載の画像表示装置であって、前記輝度取得部は、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性を用いて画像が表示される場合、輝度の相対値により規定される階調特性に準拠する階調特性を用いて画像が表示される場合と同等以上の頻度で、前記出力輝度値を取得する、画像表示装置。
[6][1]~[5]の何れかに記載の画像表示装置であって、前記輝度取得部は、前記表示部による画像の表示時間が長くなるにつれて、前記出力輝度値の取得頻度を低下させる、画像表示装置。
[7][1]~[6]の何れかに記載の画像表示装置であって、前記表示部は、自発光型である、画像表示装置。
[8]輝度取得ステップと階調特性取得ステップと表示ステップとを有する画像表示方法であって、前記輝度取得ステップでは、第1タイミングにおいて、前記画像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値を予測することによって当該出力輝度値としての第1輝度値を取得し、前記階調特性取得ステップでは、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性として、前記表示ステップで表示する画像の入力階調値と、前記第1輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて前記表示ステップで出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第1階調特性を取得し、前記表示ステップでは、前記第1階調特性を用いて画像を表示し、前記輝度取得ステップでは、前記第1タイミングより後の第2タイミングにおいて、前記画像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値であって、前記第1タイミングから経時変化した出力輝度値を予測することによって当該出力輝度値としての第2輝度値を取得し、前記階調特性取得ステップでは、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性として、前記表示ステップで表示する画像の入力階調値と、前記第2輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて前記表示ステップで出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第2階調特性を取得し、前記表示ステップでは、前記第2階調特性を用いて画像を表示する、画像表示方法。
[9]プロセッサに、[8]に記載の前記画像表示方法を実行させる、画像表示プログラム。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所望の階調特性を用いて画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る画像表示装置10の機能構成を示すブロック図である。
図2】PQカーブの例を示す図である。
図3図3Aは、表示部3の出力輝度値(ピーク輝度値)が300である場合における表示部3の階調特性曲線の例を示す図である。図3Bは、表示部3の出力輝度値が1000である場合における表示部3の階調特性曲線の例を示す図である。図3Cは、表示部3の出力輝度値が4000である場合における表示部3の階調特性曲線の例を示す図である。
図4】自発光素子の劣化特性曲線の例を示す図である。
図5図5Aは、第1輝度値が300である場合における第1階調特性を示す階調特性曲線25の例を示す図である。図5Bは、第1輝度値が1000である場合における第1階調特性を示す階調特性曲線26の例を示す図である。
図6図6Aは、第1輝度値が4000である場合における第1階調特性を示す階調特性曲線27の例を示す図である。図6Bは、第1輝度値が10000である場合における第1階調特性を示す階調特性曲線28の例を示す図である。
図7】画像表示装置10が行う画像表示処理の一例を示すフローチャートである。
図8図8Aは、第1輝度値が1000である場合における第1階調特性を示す階調特性曲線33の例を示す図である。図8Bは、第2輝度値が800である場合における第2階調特性を示す階調特性曲線34の例を示す図である。
図9図9は、表示部3の第1輝度値が1000である場合における表示部3の階調特性曲線36、および、表示部3の第2輝度値が800である場合における表示部3の階調特性曲線37の例を示す図である。
図10】輝度取得部5による出力輝度値の予測タイミングおよび実測タイミングの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る画像表示装置10の機能構成を示すブロック図である。図1に示すように、画像表示装置10は、例えばRGBの3色によるカラー画像表示装置であり、その構成として画像取得部1、表示制御部2、表示部3、輝度取得部5、階調特性取得部8、記憶部9および操作受付部11を備える。
【0016】
画像表示装置10の各構成要素は、ソフトウェアによって実現してもよく、ハードウェアによって実現してもよい。ソフトウェアによって実現する場合、CPUがコンピュータプログラムを実行することによって各種機能を実現することができる。プログラムは、内蔵の記憶部に格納してもよく、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体に格納してもよい。また、外部の記憶部に格納されたプログラムを読み出し、いわゆるクラウドコンピューティングにより実現してもよい。ハードウェアによって実現する場合、ASIC、FPGA、またはDRP(Dynamically Reconfigurable Processor)などの種々の回路によって実現することができる。本実施形態においては、様々な情報やこれを包含する概念を取り扱うが、これらは、0または1で構成される2進数のビット集合体として信号値の高低によって表され、上記のソフトウェアまたはハードウェアの態様によって通信や演算が実行され得るものである。
【0017】
画像表示装置10は、従来のダイナミックレンジ(人間の目が知覚できる明るさの範囲)よりも広いダイナミックレンジで画像を表示可能な表示装置である。従来の表示装置で表現可能なダイナミックレンジはSDR(Standard Dynamic Range)と呼ばれ、従来の表示装置よりも表現可能なダイナミックレンジが広いものはHDR(High Dynamic Range)と呼ばれる。
【0018】
HDRの画像(以下、「HDR画像」と称する)を正しく表示するためには、単純に輝度を上げるだけではなく、人間の視覚特性に合わせた「色」と「階調」を表現することが重要である。この色と階調を左右するものに、入出力装置それぞれが持つ入出力特性「ガンマ(EOTF:Electro Optical Transfer Function)」がある。HDRの国際規格「ITU-R BT.2100」では、用途に合わせた2つのガンマカーブ(PQ方式およびHLG方式)が制定されている。
【0019】
PQ(Perceptual Quantization)方式は、人間の視覚特性に合わせたガンマで、再現性が重視される映画やWeb配信コンテンツの制作に適している。一方、HLG(Hybrid Log Gamma)方式は、従来のSDRテレビでも違和感なく表示できることを重視するため、テレビ放送やライブ中継に適している。
【0020】
PQ方式の場合、ピーク輝度(最大の明るさ)が10000cd/mと規定されるとともにHDR画像の輝度値が絶対値で扱われており(表示装置によらず一定)、表示部3で再現可能な輝度までは常に同じガンマカーブ(PQカーブ)を描くため、表示部3のピーク輝度までの階調領域においては、PQカーブを正確に再現したHDR画像を表示することができる。
【0021】
図2は、PQカーブ20の例を示す図である。図2に示すように、PQカーブ20は、所定の階調範囲(階調値:0~1023)において最大10000cd/mまでの輝度が絶対値で規定されている固定のカーブである。
【0022】
図3Aは、表示部3のピーク輝度値が300である場合における表示部3の階調特性曲線22の例を示す図である。図3Bは、表示部3のピーク輝度値が1000である場合における表示部3の階調特性曲線23の例を示す図である。図3Cは、表示部3のピーク輝度値が4000である場合における表示部3の階調特性曲線24の例を示す図である。図3A,3B,3Cにおいて、符号21で示される曲線は、所定の階調範囲(階調値:0~1023)において最大10000cd/mまでの輝度が絶対値で規定されているPQカーブである。なお、表示部3のピーク輝度値は、画像表示装置10の最大出力階調値における出力輝度値である。例えば、ピーク輝度値は、画像上の特定領域(例えば、矩形領域)を最大出力階調値で表示する場合に画像表示装置10が出力可能な出力輝度値である。
【0023】
図3Aの階調特性曲線22に示すように、PQ方式の場合、表示部3で再現可能な輝度までは常に同じガンマカーブ(PQカーブ)を描くため、表示部3のピーク輝度値(300)までの階調領域においては、PQカーブ21を正確に再現したHDR画像を表示部3で表示することができる。同様に、図3Bの階調特性曲線23に示すように、表示部3のピーク輝度値(1000)までの階調領域においては、PQカーブ21を正確に再現したHDR画像を表示部3で表示することができる。また、図3Cの階調特性曲線24に示すように、表示部3のピーク輝度値(4000)までの階調領域においては、PQカーブ21を正確に再現したHDR画像を表示部3で表示することができる。
【0024】
一方、HLG方式の場合、HDR画像の輝度値が相対値で扱われており(表示装置によって変動)、ピーク輝度値は表示装置の最大輝度値と一致する。つまり、表示装置側の最大輝度値に依存してガンマカーブが変化するため、従来のSDR画像表示装置(例えば、テレビ)に表示した場合でも大きく画崩れすることなく、HDR画像を表示することができる。
【0025】
以下、画像表示装置10の機能構成について説明する。
【0026】
画像取得部1は、入力装置(図示せず)からHDR画像データ(入力画像データ)を取得し、取得したHDR画像データに対して所定の画像処理を実行して表示画像データを生成し、生成した表示画像データを表示制御部2に対して出力する。なお、入力装置は、例えば、パーソナル・コンピュータ等の情報処理装置であり、HDR画像データを含む画像データ等の各種データを出力可能に構成されている。
【0027】
表示制御部2は、画像取得部1から出力された表示画像データを表示部3に対して出力するとともに表示部3を制御し、表示画像データに対応する画像を表示部3に表示させる。
【0028】
表示部3は、基板上に配列された複数の画素を含む表示パネルと、光センサ4とを含み、表示制御部2の制御を受けて、表示制御部2から出力された表示画像データに対応する画像を表示する。表示部3が表示する画像には、静止画および動画が含まれる。本実施形態では、複数の画素の各画素は、有機発光ダイオード(OLED)等の自発光素子を含む。すなわち、表示部3は、バックライトが不要な自発光型の表示装置(例えば、OLEDディスプレイ、MicroLEDディスプレイ)である。
【0029】
光センサ4は、表示部3が最大の出力階調値(画像表示装置10の最大出力階調値)で画像を表示する際に表示部3が出力可能な出力輝度値(ピーク輝度値)を測定(実測)し、測定結果を輝度実測部7(輝度取得部5)に出力する。光センサ4は、表示部3の筐体の表示パネルを囲む枠状部分などに設けられる。例えば光センサ4は、アクチュエータまたはモータ等の動作に応じて、筐体内から表示パネルの表示面上へ出入動作するように構成し、輝度実測部7が出力輝度値を測定する際に光センサ4を表示面上に移動させて測定を行う構成とすることができる。
【0030】
また、光センサ4は、信号線などを介して表示部3に取り外し可能に接続される構成とし、出力輝度値を測定する際にユーザが光センサ4を表示パネルの表示面上に装着し、信号線などを表示部3に接続する構成であっても良い。なお、本実施形態において光センサ4は、表示部3の表示特性値として出力輝度値の測定を行う構成とするが、これに限るものではなく、例えば色度等のその他の表示特性値を測定する構成であっても良い。
【0031】
なお、光センサ4は表示パネルの表示面上に設けることが理想的であるが、表示面以外の表示パネルの近傍等に光センサ4を設け、光センサ4の測定輝度から表示パネルの表示面での出力輝度値を推定しても良い。また、表示パネルの表示面での出力輝度値を、表示パネルの駆動量から推定しても良い。
【0032】
輝度取得部5は、輝度予測部6と輝度実測部7とを備え、表示部3が最大の出力階調値で画像(HDR画像)を表示する際に表示部3が出力可能な出力輝度値を取得する。なお、表示部3が出力可能な出力輝度値は各種の要因(例えば、経時)によって変化し得る値であり、輝度取得部5は、出力輝度値の変化に応じて、当該出力輝度を取得する。
【0033】
輝度予測部6は、第1タイミングにおいて、表示部3が最大の出力階調値で画像(HDR画像)を表示する際に表示部3が出力可能な出力輝度値を予測することによって当該出力輝度値としての第1輝度値を取得する。これにより、輝度予測部6は、光センサ4を用いることなく簡易に、第1輝度値を取得することができる。そして、輝度予測部6は、取得した第1輝度値を階調特性取得部8に出力する。なお、輝度予測部6は、第1タイミングにおいて、出力輝度値を中心とした輝度範囲を予測しても良い。この場合、輝度予測部6は、予測した輝度範囲に含まれる輝度値を例えば平均化した平均輝度値を第1輝度値として取得する。
【0034】
また、輝度予測部6は、第1タイミングより後の第2タイミングにおいて、表示部3が最大の出力階調値で画像(HDR画像)を表示する際に表示部3が出力可能であり、第1タイミングから経時変化した出力輝度値を予測することによって当該出力輝度値としての第2輝度値を取得する。第2タイミングは、例えば第1タイミングから所定時間経過したタイミングである。これにより、輝度予測部6は、光センサ4を用いることなく簡易に、第2輝度値を取得することができる。そして、輝度予測部6は、取得した第2輝度値を階調特性取得部8に出力する。なお、第1タイミングから経時変化した出力輝度値とは、第1タイミングから上昇、下降または維持された出力輝度値を含む。また、輝度予測部6は、第2タイミングにおいて、出力輝度値を中心とした輝度範囲を予測しても良い。この場合、輝度予測部6は、予測した輝度範囲に含まれる輝度値を例えば平均化した平均輝度値を第2輝度値として取得する。
【0035】
本実施形態では、輝度予測部6は、表示パネルの画素として使用される自発光素子の発光時間(具体的には、自発光素子に流れる電流(負荷電流)、および、電流が流れる時間の累積量)の増加に応じて画像表示装置10の最大出力階調値における出力輝度値(ピーク輝度値)が低下するという劣化特性に基づいて、表示部3が最大の出力階調値で画像を表示する際に表示部3が出力可能な出力輝度値を予測する。
【0036】
図4は、自発光素子の劣化特性曲線30の例を示す図である。図4に示すように、劣化特性曲線30は、自発光素子の発光時間(図4中の横軸)と、表示部3が最大の出力階調値で画像を表示する際に表示部3が出力可能な出力輝度値(図4中の縦軸)とを対応付けた曲線であり、自発光素子の発光時間が大きくなるにつれて、画像表示装置10の最大出力階調値における出力輝度値が劣化(低下)していくことを示している。ここで、出力輝度値は正規化されており、出力輝度値の最大値が1であり、出力輝度値の最小値が0である。自発光素子の発光時間が小さい場合(例えば、範囲31で示す)、自発光素子の発光時間が大きい場合(例えば、範囲32で示す)と比べて、出力輝度値の劣化速度が早いことがわかる。
【0037】
なお、自発光素子の発光時間、具体的には自発光素子に流れる電流(負荷電流)、および、電流が流れる時間の累積量は、自発光素子毎に異なり、ひいては出力輝度値は自発光素子毎に算出される。例えば、OLEDディスプレイ(自発光型の表示装置)では、表示領域毎に出力輝度値の劣化(低下)態様が異なるものの、一般的に、表示領域毎に出力輝度値の劣化態様が異ならないように焼付き補正が行われている。そのため、表示画面の一部の表示領域について自発光素子の発光時間を算出することによって、算出した発光時間に対応する出力輝度値を表示画面全域の出力輝度値として求めることができる。
【0038】
輝度実測部7は、第1および第2タイミング(予測タイミング)と異なる第3タイミングにおいて、表示部3が最大の出力階調値で画像(HDR画像)を表示する際に表示部3が出力可能な出力輝度値を実測することによって当該出力輝度値としての第3輝度値を取得する。本実施形態では、輝度実測部7は、第3タイミングにおいて光センサ4から出力された測定結果を入力することによって第3輝度値を取得する。これにより、輝度実測部7は、画像表示装置10の最大出力階調値における出力輝度値を予測する場合と比べて、自身で予測演算処理を行うことなく簡易に、かつ、精度良く、第3輝度値を取得することができる。そして、輝度実測部7は、取得した第3輝度値を階調特性取得部8に出力する。なお、輝度実測部7は、第1および第2タイミング(予測タイミング)より後の第3タイミングにおいて、表示部3が最大の出力階調値で画像(HDR画像)を表示する際に表示部3が出力可能であり、予測タイミングから経時変化した出力輝度値を実測することによって当該出力輝度値としての第3輝度値を取得しても良い。
【0039】
また、輝度実測部7は、第1および第2タイミング(予測タイミング)と異なり、かつ、第3タイミングより後の第4タイミングにおいて、表示部3が最大の出力階調値で画像(HDR画像)を表示する際に表示部3が出力可能であり、第3タイミングから経時変化した出力輝度値を実測することによって当該出力輝度値としての第4輝度値を取得する。第4タイミングは、例えば第3タイミングから所定時間経過したタイミングである。本実施形態では、輝度実測部7は、第4タイミングにおいて光センサ4から出力された測定結果を入力することによって第4輝度値を取得する。これにより、輝度実測部7は、出力輝度値を予測する場合と比べて、自身で予測演算処理を行うことなく簡易に、かつ、精度良く、第4輝度値を取得することができる。そして、輝度実測部7は、取得した第3輝度値を階調特性取得部8に出力する。
【0040】
階調特性取得部8は、輝度予測部6から出力された第1輝度値に基づいて、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する第1階調特性を取得する。例えば、階調特性取得部8は、記憶部9を参照し、第1階調特性の拠り所となる階調特性情報(LUT:Look Up Table)に基づいて、当該第1階調特性を取得する。そして、階調特性取得部8は、取得した第1階調特性を示す第1階調特性情報を表示制御部2に出力する。本実施形態では、輝度の絶対値により規定される階調特性は、PQカーブ規格を満たす階調特性である。なお、階調特性取得部8は、輝度予測部6から出力された第1輝度値に基づいて、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する第1階調特性を算出することによって当該第1階調特性を取得しても良い。
【0041】
第1階調特性は、表示部3が表示する画像の入力階調値と、輝度予測部6から出力された第1輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて表示部3が出力すべき出力輝度値との対応関係を示し、第1輝度値までの階調領域においてはPQカーブを再現するための階調特性である。
【0042】
図5Aは、第1輝度値(以下の第2輝度値、第3輝度値、第4輝度値も同様)が300である場合における第1階調特性(以下の第2階調特性、第3階調特性、第4階調特性も同様)の拠り所となる階調特性情報(LUT)の例を示す図である。ここで、表示部3が出力すべき出力階調値(曲線25で示される)は正規化されており、出力階調値の最大値(最大出力階調値)が1であり、出力階調値の最小値が0である。出力階調が例えば8bitである場合、最大出力階調値は255である。
【0043】
図5Bは、第1輝度値(以下の第2輝度値、第3輝度値、第4輝度値も同様)が1000である場合における第1階調特性(以下の第2階調特性、第3階調特性、第4階調特性も同様)の拠り所となる階調特性情報(LUT)の例を示す図である。ここで、表示部3が出力すべき出力階調値(曲線26で示される)は正規化されており、出力階調値の最大値(最大出力階調値)が1であり、出力階調値の最小値が0である。出力階調が例えば8bitである場合、最大出力階調値は255である。
【0044】
図6Aは、第1輝度値(以下の第2輝度値、第3輝度値、第4輝度値も同様)が4000である場合における第1階調特性(以下の第2階調特性、第3階調特性、第4階調特性も同様)の拠り所となる階調特性情報(LUT)の例を示す図である。ここで、表示部3が出力すべき出力階調値(曲線27で示される)は正規化されており、出力階調値の最大値(最大出力階調値)が1であり、出力階調値の最小値が0である。出力階調が例えば8bitである場合、最大出力階調値は255である。
【0045】
図6Bは、第1輝度値(以下の第2輝度値、第3輝度値、第4輝度値も同様)が10000である場合における第1階調特性(以下の第2階調特性、第3階調特性、第4階調特性も同様)の拠り所となる階調特性情報(LUT)の例を示す図である。ここで、表示部3が出力すべき出力階調値(曲線28で示される)は正規化されており、出力階調値の最大値(最大出力階調値)が1であり、出力階調値の最小値が0である。出力階調が例えば8bitである場合、最大出力階調値は255である。
【0046】
なお、輝度の絶対値により規定される階調特性は、PQカーブ規格を満たす階調特性の代わりに、DICOM規格のグレースケール標準表示関数(GSDF)を満たす階調特性であっても良い。この場合、表示部3が表示する画像の入力階調値は、JND(Just-Noticeable Difference)である。
【0047】
表示制御部2は、階調特性取得部8から第1階調特性情報が出力された場合、画像取得部1から出力された表示画像データを表示部3に対して出力するとともに表示部3を制御し、当該第1階調特性情報により示される第1階調特性を用いて、表示画像データに対応する画像を表示部3に表示させる。
【0048】
また、階調特性取得部8は、輝度予測部6から出力された第2輝度値に基づいて、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する第2階調特性を取得する。例えば、階調特性取得部8は、記憶部9を参照し、第2階調特性の拠り所となる階調特性情報(LUT)に基づいて、当該第2階調特性を取得する。そして、階調特性取得部8は、取得した第2階調特性を示す第2階調特性情報を表示制御部2に出力する。なお、階調特性取得部8は、輝度予測部6から出力された第2輝度値に基づいて、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する第2階調特性を算出することによって当該第2階調特性を取得しても良い。
【0049】
第2階調特性は、表示部3が表示する画像の入力階調値と、輝度予測部6から出力された第2輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて表示部3が出力すべき出力輝度値との対応関係を示し、第2輝度値までの階調領域においてはPQカーブを再現するための階調特性である。
【0050】
表示制御部2は、階調特性取得部8から第2階調特性情報が出力された場合、画像取得部1から出力された表示画像データを表示部3に対して出力するとともに表示部3を制御し、当該第2階調特性情報により示される第2階調特性を用いて、表示画像データに対応する画像を表示部3に表示させる。
【0051】
また、階調特性取得部8は、輝度実測部7から出力された第3輝度値に基づいて、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する第3階調特性を取得する。例えば、階調特性取得部8は、記憶部9を参照し、第3階調特性の拠り所となる階調特性情報(LUT)に基づいて、当該第3階調特性を取得する。そして、階調特性取得部8は、取得した第3階調特性を示す第3階調特性情報を表示制御部2に出力する。なお、階調特性取得部8は、輝度予測部6から出力された第3輝度値に基づいて、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する第3階調特性を算出することによって当該第3階調特性を取得しても良い。
【0052】
第3階調特性は、表示部3が表示する画像の入力階調値と、輝度実測部7から出力された第3輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて表示部3が出力すべき出力輝度値との対応関係を示し、第3輝度値までの階調領域においてはPQカーブを再現するための階調特性である。
【0053】
表示制御部2は、階調特性取得部8から第3階調特性情報が出力された場合、画像取得部1から出力された表示画像データを表示部3に対して出力するとともに表示部3を制御し、当該第3階調特性情報により示される第3階調特性を用いて、表示画像データに対応する画像を表示部3に表示させる。
【0054】
また、階調特性取得部8は、輝度実測部7から出力された第4輝度値に基づいて、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する第4階調特性を取得する。例えば、階調特性取得部8は、記憶部9を参照し、第4階調特性の拠り所となる階調特性情報(LUT)に基づいて、当該第4階調特性を取得する。そして、階調特性取得部8は、取得した第4階調特性を示す第4階調特性情報を表示制御部2に出力する。なお、階調特性取得部8は、輝度予測部6から出力された第4輝度値に基づいて、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する第4階調特性を算出することによって当該第4階調特性を取得しても良い。
【0055】
第4階調特性は、表示部3が表示する画像の入力階調値と、輝度実測部7から出力された第4輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて表示部3が出力すべき出力輝度値との対応関係を示し、第4輝度値までの階調領域においてはPQカーブを再現するための階調特性である。
【0056】
表示制御部2は、階調特性取得部8から第4階調特性情報が出力された場合、画像取得部1から出力された表示画像データを表示部3に対して出力するとともに表示部3を制御し、当該第4階調特性情報により示される第4階調特性を用いて、表示画像データに対応する画像を表示部3に表示させる。
【0057】
記憶部9は、表示部3が備える表示パネルに含まれる複数の画素の各画素(自発光素子)の劣化特性を示す劣化特性情報を記憶する。また、記憶部9は、輝度予測部6および輝度実測部7から出力され得る複数の輝度値(上述の第1輝度値、第2輝度値、第3輝度値、第4輝度値)の各々について、表示部3が表示する画像の入力階調値と、当該入力階調値に応じて表示部3が出力すべき出力階調値との対応関係を示す階調特性情報を記憶する。
【0058】
記憶部9の一部は、例えば、RAM(Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成されており、各種プログラムに基づく処理の実行時のワークエリア等として用いられる。また、記憶部9の一部は、例えば、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリまたはHDD(Hard Disk Drive)であり、各種データおよび各種処理に利用されるプログラム等を保存する。記憶部9は、各種情報および処理結果等を記録しておくための1以上のテーブル等を含むデータベースを保持することが可能である。
【0059】
操作受付部11は、例えばキーボードおよびマウス等で構成され、ユーザによる各種操作の入力を受け付ける。本実施形態では、操作受付部11は、表示画像データに対応する画像をPQ方式またはHLG方式で表示部3に表示させるための設定操作を受け付ける。そして、操作受付部11は、受け付けた設定操作の内容(PQ方式またはHLG方式)を示す設定操作情報を表示制御部2に出力する。
【0060】
表示制御部2は、操作受付部11から出力された設定操作情報において設定操作の内容としてPQ方式が示されている場合、画像取得部1から出力された表示画像データを表示部3に対して出力するとともに表示部3を制御し、表示画像データに対応する画像をPQ方式で表示部3に表示させる。また、表示制御部2は、操作受付部11から出力された設定操作情報において設定操作の内容としてHLG方式が示されている場合、画像取得部1から出力された表示画像データを表示部3に対して出力するとともに表示部3を制御し、表示画像データに対応する画像をHLG方式で表示部3に表示させる。
【0061】
図7は、本実施形態において、画像表示装置10が行う画像表示処理(本発明の「画像表示方法」に対応)の一例を示すフローチャートである。
【0062】
まず、輝度取得部5は、表示部3が最大の出力階調値で画像(HDR画像)を表示する際に表示部3が出力可能な出力輝度値を予測する予測タイミング(上述の第1タイミングまたは第2タイミング)であるか否かについて判定する(ステップS100)。
【0063】
判定の結果、予測タイミングである場合(ステップS100、YES)、輝度予測部6は、表示部3が最大の出力階調値で画像を表示する際に表示部3が出力可能な出力輝度値を予測することによって当該出力輝度値(上述の第1輝度値または第2輝度値)を取得する(ステップS110)。そして、輝度予測部6は、取得した出力輝度値を階調特性取得部8に出力する。
【0064】
次に、階調特性取得部8は、輝度予測部6から出力された出力輝度値に基づいて、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性(上述の第1階調特性または第2階調特性)を取得する(ステップS120)。そして、階調特性取得部8は、取得した階調特性を示す階調特性情報(上述の第1階調特性情報または第2階調特性情報)を表示制御部2に出力する。
【0065】
最後に、表示制御部2は、画像取得部1から出力された表示画像データを表示部3に対して出力するとともに表示部3を制御し、階調特性取得部8から出力された階調特性情報により示される階調特性を用いて、表示画像データに対応する画像を表示部3に表示させる(ステップS130)。ステップS130の処理が完了することによって、画像表示装置10は図7に示す画像表示処理を終了する。
【0066】
ステップS100の判定処理に戻って、予測タイミングでない場合(ステップS100、NO)、輝度取得部5は、表示部3が最大の出力階調値で画像を表示する際に表示部3が出力可能な出力輝度値を実測する実測タイミング(上述の第3タイミングまたは第4タイミング)であるか否かについて判定する(ステップS140)。判定の結果、実測タイミングでない場合(ステップS140、NO)、画像表示装置10は図7に示す画像表示処理を終了する。
【0067】
一方、実測タイミングである場合(ステップS140、YES)、輝度実測部7は、表示部3が最大の出力階調値で画像を表示する際に表示部3が出力可能な出力輝度値を実測することによって当該出力輝度値(上述の第3輝度値または第4輝度値)を取得する(ステップS150)。そして、輝度実測部7は、取得した出力輝度値を階調特性取得部8に出力する。
【0068】
次に、階調特性取得部8は、輝度実測部7から出力された出力輝度値に基づいて、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性(上述の第3階調特性または第4階調特性)を取得する(ステップS160)。そして、階調特性取得部8は、取得した階調特性を示す階調特性情報(上述の第3階調特性情報または第4階調特性情報)を表示制御部2に出力する。
【0069】
最後に、表示制御部2は、画像取得部1から出力された表示画像データを表示部3に対して出力するとともに表示部3を制御し、階調特性取得部8から出力された階調特性情報により示される階調特性を用いて、表示画像データに対応する画像を表示部3に表示させる(ステップS170)。ステップS170の処理が完了することによって、画像表示装置10は図7に示す画像表示処理を終了する。
【0070】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、画像表示装置10は、輝度取得部5と階調特性取得部8と表示部3とを備える。輝度取得部5は、第1タイミングにおいて、画像表示装置10の最大出力階調値における出力輝度値を予測することによって当該出力輝度値としての第1輝度値を取得する。階調特性取得部8は、輝度の絶対値により規定される階調特性(PQカーブ規格)に準拠する階調特性として、表示部3が表示する画像の入力階調値と、第1輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて表示部3が出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第1階調特性を取得する。表示部3は、第1階調特性を用いて画像を表示する。
【0071】
また、輝度取得部5は、第1タイミングより後の第2タイミングにおいて、画像表示装置10の最大出力階調値における出力輝度値であって、第1タイミングから経時変化した出力輝度値を予測することによって当該出力輝度値としての第2輝度値を取得する。階調特性取得部8は、輝度の絶対値により規定される階調特性(PQカーブ規格)に準拠する階調特性として、表示部3が表示する画像の入力階調値と、第2輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて表示部3が出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第2階調特性を取得する。表示部3は、第2階調特性を用いて画像を表示する。
【0072】
このように構成した本実施形態によれば、第2タイミングにおいて、第1タイミングから経時変化した第2輝度値が取得され、第1階調特性に代えて、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性として、表示部3が表示する画像の入力階調値と、第2輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて表示部3が出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第2階調特性を用いて画像が表示される。そのため、第1タイミングより後の第2タイミングにおいても、PQ方式に準拠した階調特性、すなわち画像表示装置10の最大出力階調値における出力輝度値(ピーク輝度値)までの階調領域において常に同じガンマカーブを描くことが求められる階調特性で、HDR画像を表示することができ、ひいては所望の階調特性に準拠した階調特性で画像を表示することができる。
【0073】
例えば、第1タイミングにおいて第1輝度値(例えば、1000)が取得され、第2タイミングにおいて、第1タイミングから経時変化した第2輝度値(例えば、800)が取得された場合、第1輝度値に基づく第1階調特性に代えて、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性として、表示部3が表示する画像の入力階調値と、第2輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて表示部3が出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第2階調特性を用いて画像が表示される。そのため、第1タイミングより後の第2タイミングにおいても、PQ方式に準拠した階調特性、すなわち画像表示装置10の最大出力階調値における出力輝度値(ピーク輝度値、例えば800)までの階調領域において常に同じガンマカーブを描くことが求められる階調特性で、HDR画像を表示することができる。
【0074】
図8Aは、第1輝度値が1000である場合における第1階調特性の拠り所となる階調特性情報(LUT)の例を示す図である。ここで、表示部3が出力すべき出力階調値(曲線33で示される)は正規化されており、出力階調値の最大値(最大出力階調値)が1であり、出力階調値の最小値が0である。図8Bは、第2輝度値が800である場合における第2階調特性の拠り所となる階調特性情報(LUT)の例を示す図である。ここで、表示部3が出力すべき出力階調値(曲線34で示される)は正規化されており、出力階調値の最大値(最大出力階調値)が1であり、出力階調値の最小値が0である。
【0075】
図9は、画像表示装置10の最大出力階調値における第1輝度値が1000である場合における表示部3の階調特性曲線36、および、画像表示装置10の最大出力階調値における第2輝度値が800である場合における表示部3の階調特性曲線37の例を示す図である。図9において、符号35で示される曲線は、所定の階調範囲(階調値:0~1023)において最大10000cd/mまでの輝度が絶対値で規定されているPQカーブである。図9の階調特性曲線36,37に示すように、画像表示装置10の最大出力階調値における第2輝度値が800である場合、画像表示装置10の最大出力階調値における第1輝度値が1000である場合と比べて、PQカーブ35を正確に再現したHDR画像を表示部3で表示することが可能な階調領域が小さくなる。
【0076】
また、本実施形態では、輝度取得部5は、第1および第2タイミングと異なる第3タイミングにおいて、画像表示装置10の最大出力階調値における出力輝度値を実測することによって当該出力輝度値としての第3輝度値を取得する。階調特性取得部8は、輝度の絶対値により規定される階調特性(PQカーブ規格)に準拠する階調特性として、表示部3が表示する画像の入力階調値と、第3輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて表示部3が出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第3階調特性を取得する。表示部3は、第3階調特性を用いて画像を表示する。
【0077】
また、輝度取得部5は、第1および第2タイミングと異なり、かつ、第3タイミングより後の第4タイミングにおいて、画像表示装置10の最大出力階調値における出力輝度値であって、第3タイミングから経時変化した出力輝度値を実測することによって当該出力輝度値としての第4輝度値を取得する。階調特性取得部8は、輝度の絶対値により規定される階調特性(PQカーブ規格)に準拠する階調特性として、表示部3が表示する画像の入力階調値と、第4輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて表示部3が出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第4階調特性を取得する。表示部3は、第4階調特性を用いて画像を表示する。
【0078】
このように構成した本実施形態によれば、第4タイミングにおいて、第3タイミングから経時変化した第4輝度値が取得され、第3階調特性に代えて、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性として、表示部3が表示する画像の入力階調値と、第4輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて表示部3が出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第4階調特性を用いて画像が表示される。そのため、第3タイミングより後の第4タイミングにおいても、PQ方式に準拠した階調特性、すなわち画像表示装置10の最大出力階調値における出力輝度値(ピーク輝度値)までの階調領域において常に同じガンマカーブを描くことが求められる階調特性で、HDR画像を表示することができ、ひいては所望の階調特性に準拠した階調特性で画像を表示することができる。
【0079】
なお、上記実施形態では、輝度取得部5は、画像表示装置10の最大出力階調値における出力輝度値について予測および実測の両方を行う例について説明したが、予測および実測を行うタイミングは任意に設定しても良い。例えば、輝度取得部5は、画像表示装置10の最大出力階調値における出力輝度値について実測よりも予測を密に行っても良い。図10は、輝度取得部5による出力輝度値の予測タイミングおよび実測タイミングの一例を示す図である。図10に示すように、時間T1,T2,T4,T5,T7においては、輝度取得部5による出力輝度値の予測を行っており、時間T3,T6においては、輝度取得部5による出力輝度値の実測を行っている。つまり、図10に示す例では、輝度取得部5による出力輝度値の予測を2回行った後に、輝度取得部5による出力輝度値の実測を1回行っている。
【0080】
また、上記実施形態において、輝度取得部5は、画像表示装置10の最大出力階調値における出力輝度値について予測および実測の両方を行うのではなく、表示部3が出力可能な出力輝度値について予測および実測の何れかのみを行っても良い。
【0081】
また、上記実施形態において、輝度取得部5は、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性を用いて表示部3に画像が表示される場合、輝度の相対値により規定される階調特性(例えば、HLGカーブ規格)に準拠する階調特性を用いて画像が表示部3に表示される場合と同等以上の頻度で、出力輝度値を取得しても良い。輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性を用いて画像が表示される場合、輝度の相対値により規定される階調特性に準拠する階調特性を用いて画像が表示される場合と比べて、画像表示装置10の最大出力階調値における出力輝度値の低下に起因して表示部3が画像を表示する際に用いる階調特性を切り替える必要性が大きくなるからである。
【0082】
また、上記実施形態において、輝度取得部5は、表示部3による画像の表示時間が長くなる(すなわち、自発光素子の劣化速度が遅くなる)につれて、画像表示装置10の最大出力階調値における出力輝度値の取得頻度を低下させても良い。これは、自発光素子の劣化速度が遅くなるにつれて、画像表示装置10の最大出力階調値における出力輝度値の低下に起因して表示部3が画像を表示する際に用いる階調特性を切り替える必要性が小さくなるからである。
【0083】
また、上記実施形態では、表示部3は、バックライトが不要である自発光型の表示装置である例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、表示部3は、バックライトが必要な表示装置(例えば、液晶表示装置)であっても良い。
【0084】
以上、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
1:画像取得部、2:表示制御部、3:表示部、4:光センサ、5:輝度取得部、6:輝度予測部、7:輝度実測部、8:階調特性取得部、9:記憶部、10:画像表示装置、11:操作受付部、20,21,35:PQカーブ、22,23,24,36,37:階調特性曲線、25,26,27,28,33,34:曲線、30:劣化特性曲線、31,32:範囲
【要約】
所望の階調特性に準拠した階調特性で画像を表示することが可能な画像表示装置、画像表示方法および画像表示プログラムを提供する。画像表示装置は、輝度取得部と階調特性取得部と表示部とを備える。輝度取得部は、第1タイミングにおいて、画像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値を予測することによって当該出力輝度値としての第1輝度値を取得する。階調特性取得部は、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性として、表示部が表示する画像の入力階調値と、第1輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて表示部が出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第1階調特性を取得する。表示部は、第1階調特性を用いて画像を表示する。輝度取得部は、第1タイミングより後の第2タイミングにおいて、画像表示装置の最大出力階調値における出力輝度値であって、第1タイミングから経時変化した出力輝度値を予測することによって当該出力輝度値としての第2輝度値を取得する。階調特性取得部は、輝度の絶対値により規定される階調特性に準拠する階調特性として、表示部が表示する画像の入力階調値と、第2輝度値に基づいて、当該入力階調値に応じて表示部が出力すべき出力輝度値との対応関係を示す第2階調特性を取得する。表示部は、第2階調特性を用いて画像を表示する。
図1
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図10