(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】光演算装置および光演算装置におけるマッハツェンダー干渉計の調整方法
(51)【国際特許分類】
G02F 3/00 20060101AFI20241129BHJP
G06E 3/00 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
G02F3/00
G06E3/00
(21)【出願番号】P 2024535178
(86)(22)【出願日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2024005639
【審査請求日】2024-06-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白尾 瑞基
【審査官】林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0354938(US,A1)
【文献】国際公開第2014/155642(WO,A1)
【文献】SAFAEE, S. M. R. et al.,"Mitigating phase error accumulation in programming MZI-based optical processors",2023 INTERNATIONAL CONFERENCE ON PHOTONICS IN SWITCHING AND COMPUTING (PSC),2023年11月02日,pp.1-3
【文献】MOWER, J. et al.,"An integrated programmable quantum photonic processor for linear optics",2014 CONFERENCE ON LASERS AND ELECTRO-OPTICS (CLEO)- LASER SCIENCE TO PHOTONIC APPLICATIONS,2014年06月08日,pp.1-2
【文献】ALEXIEV, C. et al.,"Calibration rectangular interferometer meshes with external photodetectors",OSA CONTINUUM,2021年11月08日,Vol. 4, No.11,pp.2892-2904
【文献】MOJAVER, K. (H.) R. et al.,"A modified mesh with individually monitored interferometers for fast programmable optical processor,2023 OPTICAL FIBER COMMUNICATIONS CONFERENCE AND EXHIBITION (OFC),2023年03月05日,pp. 1-3
【文献】S. Pai et al.,"Parallel Programming of an Arbitrary Feedforward Photonic Network",IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics,2020年09月,Vol. 26, No. 5,pp. 6100813-1- 6100813-13
【文献】K. H. R. Mojaver et al.,"Novel Approaches to Calibration and Programming of MZI-Based Optical Processors: Overcoming Challenges and Enhancing Performance",2023 IEEE Photonics Society Summer Topicals Meeting Series (SUM),2023年,pp. 1-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
G02F 1/21-3/00
G06E 3/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1列目に配置されるマッハツェンダー干渉計の数をN(Nは2以上の自然数)とすると、行数が2N+1であり、列数が2Nである複数行複数列のマトリクスにおいて、奇数列に配置されるマッハツェンダー干渉計は偶数行に配置され、偶数列に配置されるマッハツェンダー干渉計は奇数行に配置さ
れて構成される多段MZIアレイと、
1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計それぞれに対応して配置され、それぞれが1行目に配置される
対応するマッハツェンダー干渉計の第1の出力ポートに接続される
複数のモニタ用光検知器と、
を備える光演算装置。
【請求項2】
1列目に配置されるマッハツェンダー干渉計の数をN(Nは2以上の自然数)とすると、行数が2N+1であり、列数が2Nである複数行複数列のマトリクスにおいて、奇数列に配置されるマッハツェンダー干渉計は偶数行に配置され、偶数列に配置されるマッハツェンダー干渉計は奇数行に配置されて構成される多段MZIアレイと、
1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計すべてに対して共通に配置され
、1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計の第1の出力ポートに接続されるモニタ用光検知器と、
を備える光演算装置。
【請求項3】
前記多段MZIアレイにおい
て、1行目2列目のマッハツェンダー干渉計のインデックスを0とし、1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計のインデックスを列の順に1ずつ増やし、1行目N列目のマッハツェンダー干渉計の後に2行目1列目のマッハツェンダー干渉計とし、2行目に配置されるマッハツェンダー干渉計のインデックスを列の順に1ずつ増やし、同様にして2N+1行目N列目のマッハツェンダー干渉計までインデックスを[N×(2N+1)-1]まで順に付される請求項1
または請求項2に記載の光演算装置。
【請求項4】
最下行に配置されるマッハツェンダー干渉計の第2の出力ポートに接続される第2のモニタ用光検知器を備える請求項1または請求項2に記載の光演算装置。
【請求項5】
1列目に配置されるマッハツェンダー干渉計の数をN(Nは2以上の自然数)とすると、行数が2N+1であり、列数が2Nである複数行複数列のマトリクスにおいて、奇数列に配置されるマッハツェンダー干渉計は偶数行に配置され、偶数列に配置されるマッハツェンダー干渉計は奇数行に配置されて構成される多段MZIアレイと、
1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計の第1の出力ポートに接続される第1のモニタ用光検知器と、
最下行に配置されるマッハツェンダー干渉計それぞれに対応して配置さ
れ、それぞれが最下行に配置される対応するマッハツェンダー干渉計の第2の出力ポートに接続される複数の第2のモニタ用光検知器と、
を備える光演算装置。
【請求項6】
前記
第1のモニタ用光検知器は、1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計それぞれに対応して配置される
請求項5に記載の光演算装置。
【請求項7】
1列目に配置されるマッハツェンダー干渉計の数をN(Nは2以上の自然数)とすると、行数が2N+1であり、列数が2Nである複数行複数列のマトリクスにおいて、奇数列に配置されるマッハツェンダー干渉計は偶数行に配置され、偶数列に配置されるマッハツェンダー干渉計は奇数行に配置されて構成される多段MZIアレイと、
1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計の第1の出力ポートに接続される第1のモニタ用光検知器と、
最下行に配置されるマッハツェンダー干渉計すべてに対して共通に配置され
、最下行に配置されるマッハツェンダー干渉計の第2の出力ポートに接続される第2のモニタ用光検知器と、
を備える光演算装置。
【請求項8】
前記
第1のモニタ用光検知器は、1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計すべてに対して共通に配置される
請求項7に記載の光演算装置。
【請求項9】
前記多段MZIアレイにおい
て、1行目2列目のマッハツェンダー干渉計のインデックスを0とし、1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計のインデックスを列の順に1ずつ増やし、1行目N列目のマッハツェンダー干渉計の後に2行目1列目のマッハツェンダー干渉計とし、2行目に配置されるマッハツェンダー干渉計のインデックスを列の順に1ずつ増やし、同様にして2N+1行目N列目のマッハツェンダー干渉計までインデックスを[N×(2N+1)-1]まで順に付される請求項
5から請求項8のいずれか1項に記載の光演算装置。
【請求項10】
1列目に配置されるマッハツェンダー干渉計の数をN(Nは2以上の自然数)とすると、行数が2N+1であり、列数が2Nである複数行複数列のマトリクスにおいて、奇数列に配置されるマッハツェンダー干渉計は偶数行に配置され、偶数列に配置されるマッハツェンダー干渉計は奇数行に配置さ
れて構成される多段MZIアレイと、1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計の第1の出力ポートに接続されるモニタ用光検知器とを備える光演算装置におけるマッハツェンダー干渉計の調整方法であって、
分岐比ばらつきを補償する調整対象となるマッハツェンダー干渉計に対し、調整対象となるマッハツェンダー干渉計を光が通過する光導波経路における前列に配置されるマッハツェンダー干渉計はスルー状態とされ、当該光導波経路における後列に配置されるマッハツェンダー干渉計はクロス状態とされ、調査対象となるマッハツェンダー干渉計における分岐比ばらつきを補償する調整が行
われ、
調整対象となる1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計は自身の第1の入力ポートに光信号が入力され、自身の第1の出力ポートに接続される前記モニタ用光検知器に光信号が出力されて調整が行われ、
調整対象となる2行目以降に配置されるマッハツェンダー干渉計は調査済のマッハツェンダー干渉計のみを光導波路経路とされて調整が行われる、
光演算装置におけるマッハツェンダー干渉計の調整方法。
【請求項11】
前記モニタ用光検知器は1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計それぞれに対応して配置され、
1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計の調整は、配置される列数の小さい順に、自身の第1の入力ポートに光信号が入力され、自身の第1の出力ポートに接続される自身に対応するモニタ用光検知器に光信号が出力されて調整が行われる、
請求項1
0に記載の光演算装置におけるマッハツェンダー干渉計の調整方法。
【請求項12】
前記モニタ用光検知器は1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計すべてに対して共通に配置され、
1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計の調整は、配置される列数の大きい順に、自身の第1の入力ポートに光信号が入力され、自身の第1の出力ポートに接続される共通のモニタ用光検知器に光信号が出力されて調整が行われる、
請求項1
0に記載の光演算装置におけるマッハツェンダー干渉計の調整方法。
【請求項13】
1列目に配置されるマッハツェンダー干渉計の数をN(Nは2以上の自然数)とすると、行数が2N+1であり、列数が2Nである複数行複数列のマトリクスにおいて、奇数列に配置されるマッハツェンダー干渉計は偶数行に配置され、偶数列に配置されるマッハツェンダー干渉計は奇数行に配置さ
れて構成される多段MZIアレイと、1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計の第1の出力ポートに接続される第1のモニタ用光検知器と、最下行に配置されるマッハツェンダー干渉計の第2の出力ポートに接続される第2のモニタ用光検知器とを備える光演算装置におけるマッハツェンダー干渉計の調整方法であって、
分岐比ばらつきを補償する調整対象となる1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計は自身の第1の入力ポートに光信号が入力され、自身の第1の出力ポートに接続される前記第1のモニタ用光検知器に光信号が出力されて調整が行われ、同時に、分岐比ばらつきを補償する調整対象となる最下行に配置されるマッハツェンダー干渉計は自身の第2の入力ポートに光信号が入力され、自身の第2の出力ポートに接続される前記第2のモニタ用光検知器に光信号が出力されて調整が行われ、
複数行を前半部と後半部の2つに分割し、前半部の2行目から前半部の最下行まで順に、また、最下行から1つ前の行から後半部の最上行まで順に、行毎に前半部の行に配置されるマッハツェンダー干渉計と後半部の行に配置されるマッハツェンダー干渉計を同時に分岐比ばらつきを補償する調整が行われ、各行に配置されるマッハツェンダー干渉計は調査済のマッハツェンダー干渉計のみを光導波路経路とされて調整が行われる、
光演算装置におけるマッハツェンダー干渉計の調整方法。
【請求項14】
前記第1のモニタ用光検知器は1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計それぞれに対応して配置され、
前記第2のモニタ用光検知器は最下行に配置されるマッハツェンダー干渉計それぞれに対応して配置され、
1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計の調整は、配置される列数の小さい順に、自身の第1の入力ポートに光信号が入力され、自身の第1の出力ポートに接続される自身に対応する第1のモニタ用光検知器に光信号が出力されて調整が行われ、
最下行に配置されるマッハツェンダー干渉計の調整は、配置される列数の小さい順に、自身の第1の入力ポートに光信号が入力され、自身の
第2の出力ポートに接続される自身に対応する第2のモニタ用光検知器に光信号が出力されて調整が行われる、
請求項13に記載の光演算装置におけるマッハツェンダー干渉計の調整方法。
【請求項15】
前記第1のモニタ用光検知器は1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計すべてに対して共通に配置され、
前記第2のモニタ用光検知器は最下行に配置されるマッハツェンダー干渉計すべてに対して共通に配置され、
1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計の調整は、配置される列数の大きい順に、自身の第1の入力ポートに光信号が入力され、自身の第1の出力ポートに接続される共通の第1のモニタ用光検知器に光信号が出力されて調整が行われ、
最下行に配置されるマッハツェンダー干渉計の調整は、配置される列数の大きい順に、自身の第1の入力ポートに光信号が入力され、自身の
第2の出力ポートに接続される共通の第2のモニタ用光検知器に光信号が出力されて調整が行われる、
請求項13に記載の光演算装置におけるマッハツェンダー干渉計の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多段のマッハツェンダー干渉計(MZI:Mach-Zehnder interferometer、以下MZIという)が長方形に配置構成される多段MZIアレイを有する光演算装置および光演算装置におけるMZIの調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光導波路を進行する光の干渉を用いた線形演算を行うアナログコンピューティング技術を用いた光演算回路において、マルチポート干渉計メッシュとして、三角配置の構成であるReck型メッシュに対してコンパクトで光損失が少ない長方形の配置構成であるClements型メッシュが非特許文献1に示されている。
非特許文献1に示されたClements型メッシュは、N個の入力とN個の出力検出器およびM列のMZIを有する。
奇数列に配置されるMZIはN/2個であり、偶数列に配置されるMZIは(N/2-1)個である。
【0003】
また、非特許文献1に示されたClements型メッシュにおける各MZIに対する製造ばらつきによる位相誤差を補償するための校正は、最初にメッシュ内の最も長い対角線に沿って最下行のMZIから順に最上行のMZIに向かって行い、次に、対角線に対して最下行のMZIを除き最下行の一つ上の行のMZIを結ぶ線に沿って順に最上行のMZIに向かって行い、同様にして、最終列のMZIを結ぶ線に沿って最上行のMZIを行い、同様にして下の奇数行に対して順に行う。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Christopher Alexiev et al. “Calibrating rectangular interferometer meshes with external photodetectors” OSA Continuum vol.4,N0.11/15 Nov.2021.P.P.2892-2904
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に示されたClements型メッシュは、以上のように構成されているので、全てのMZIに対しての校正時間が長くなってしまう。
また、非特許文献1に示されたClements型メッシュは、複数連結された最後尾のMZIから構成を行うため、初期条件によっては検出される光強度が非常に弱くなり、構成が困難である。
しかも、非特許文献1に示されたClements型メッシュは、光が入力される入力ノードから光が出力される出力ノードまでの光の導波経路に校正されていないMZIが必ず存在するため、出力ノードにおける光の検出精度が落ちる。
【0006】
本開示は上記課題を解決するものであり、多段のMZIが長方形に配置構成される多段MZIアレイを有する光演算装置において、多段MZIアレイにおけるMZIの調整が短い時間で行える光演算装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る光演算装置は、1列目に配置されるマッハツェンダー干渉計の数をN(Nは2以上の自然数)とすると、行数が2N+1であり、列数が2Nである複数行複数列のマトリクスにおいて、奇数列に配置されるマッハツェンダー干渉計は偶数行に配置され、偶数列に配置されるマッハツェンダー干渉計は奇数行に配置され、マッハツェンダー干渉計が長方形に配置構成される多段MZIアレイと、1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計それぞれに対応して配置され、それぞれが1行目に配置される対応するマッハツェンダー干渉計の第1の出力ポートに接続されるモニタ用光検知器とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、光演算装置における長方形に配置構成される多段MZIアレイにおけるMZIの調整が短い時間で行える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る光演算装置における構成を概念的に示す概略図である。
【
図2】実施の形態1に係る光演算装置におけるMZIの構成を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る光演算装置におけるMZIの構成を示す図である。
【
図4】実施の形態1に係る光演算装置におけるMZIの構成を示す図である。
【
図5】実施の形態1に係る光演算装置におけるMZIの調整方法における手順を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態1に係る光演算装置において、調整対象であるMZI
33に対する調整のための光の導波経路を示す概略図である。
【
図7】実施の形態2に係る光演算装置における構成を概念的に示す概略図である。
【
図8】実施の形態2に係る光演算装置におけるMZIの調整方法における手順を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態2に係る光演算装置において、調整対象であるMZI
9およびMZI
25に対する調整のための光の導波経路を示す概略図である。
【
図10】実施の形態3に係る光演算装置における構成を概念的に示す概略図である。
【
図11】実施の形態4に係る光演算装置における構成を概念的に示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
実施の形態1に係る光演算装置を
図1から
図6を用いて説明する。
実施の形態1に係る光演算装置は、光導波路を進行する光の干渉を用いた線形演算を行うアナログコンピューティング技術を用いた光演算回路を備えた光演算装置である。
光演算回路は、基板の表面に形成された長方形の配置構成であるClements型の多段MZIアレイにより構成される。
【0011】
実施の形態1に係る光演算装置は、多段MZIアレイ1と複数のモニタ用光検知器MPDを備える。
多段MZIアレイ1は入力ノードに入力された光信号をユニタリ変換して出力ノードに出力する集積型光ユニタリ変換器である。
【0012】
多段MZIアレイ1は、複数行複数列のマトリクスにおいて、奇数列に配置されるマッハツェンダー干渉計(以下、MZIという)は偶数行に配置され、偶数列に配置されるMZIは奇数行に配置され、MZIが長方形に配置構成される。
各MZIは第1の入力ポートPort1と第2の入力ポートPort2と第1の出力ポートPort3と第2の出力ポートPort4を有する。
複数のモニタ用光検知器MPDはそれぞれ1行目に配置される対応したMZIの第1の出力ポートに接続されるフォトダイオードである。
【0013】
多段MZIアレイ1は、実施の形態1では、1列目に配置されるMZI、つまり入力段のMZIの数をN(Nは2以上の自然数)とすると、行数が2N+1であり、列数、つまり段数が2Nである。
各行に配置されるMZIの数はNである。
なお、段数は2Nより少なくてもよい。
【0014】
MZIに対するインデックスを次のように付す。
すなわち、1行目2列目のMZIのインデックスを0とし、1行目に配置されるMZIのインデックスを列の順に1ずつ増やし、1行目N列目のMZIの後に2行目1列目のMZIとし、2行目に配置されるMZIのインデックスを列の順に1ずつ増やし、同様にして2N+1行目N列目のMZIまでインデックスを[N×(2N+1)-1]まで順に付される。
各行において、配置されるMZIのインデックスは列数が小さいと小さい番号である。
以下の説明において、各MZIを特定して示す場合はMZIiとして説明する。iは0から[N×(2N+1)-1]までのインデックス番号である。
【0015】
また、以下の説明において、
図1に示すように、入力段に4個のMZIが配置され、入力ノードの数が8、出力ノードの数が8である、4×4のClements型の多段MZIアレイを例にとって説明する。
図1において、四角枠で囲まれた0~35の数字はMZIを示すとともにMZIのインデックス番号を示している。
図1に示した多段MZIアレイ1において、Nは4であり、行数は9(2N+1)、列数が8(2N)、入力段が1列目、出力段が最終列である8列目である。
【0016】
1行目にインデックスが0~4のMZIが、2行目にインデックスが5~7のMZIが、3行目にインデックスが8~11のMZIが、4行目にインデックスが12~15のMZIが、5行目にインデックスが16~19のMZIが、6行目にインデックスが20~23のMZIが、7行目にインデックスが24~27のMZIが、8行目にインデックスが28~31のMZIが、9行目にインデックスが32~35のMZIが、配置される。
【0017】
各行に配置されるMZIの数は4(N)である。
したがって、入力ノードから出力ノードに至る全ての経路において、同じ数のMZIを光信号が伝搬される。
その結果、多段MZIアレイにおいて、各経路の導波路損失が一定になるため、経路の対称性がよい。
【0018】
入力段に配置されたMZIの第1の入力ポートPort1と第2の入力ポートPort2はそれぞれ2行目に配置されたMZI4から、4行目に配置されたMZI12、6行目に配置されたMZI20、8行目に配置されたMZI26へ順に入力ノードx0~x7に接続される。
入力ノードx0~x7に光信号を出力する発光ダイオードである発光素子(図示せず)が接続される。
【0019】
最終段である8列目に配置されたMZIの内、1行目に配置されたMZI3の第2の出力ポートPort4は出力ノードy0に接続される。
最終段に配置されたMZIの内、最下行である9行目に配置されたMZI35の第1の出力ポートPort3は出力ノードy7に接続される。
最終段に配置されたMZIの内、1行目と9行目の間である3行目に配置されたMZI11、5行目に配置されたMZI19、7行目に配置されたMZI27の第1の出力ポートPort3と第2の出力ポートPort4は順に出力ノードy1~y6に接続される。
出力ノードy0~y7に光信号を入力されるフォトディテクタである光検出器(図示せず)が接続される。
【0020】
1行目に配置されたMZI0、MZI1、MZI2、MZI3それぞれにおいて、第1の入力ポートPort1が対応するモニタ用入力ノードp0~p3に接続され、第2の入力ポートPort2が2行目における隣接の前列に配置されたMZI4~MZI7の第1の出力ポートPort3に光導波路により接続され、第1の出力ポートPort3が対応するモニタ用光検知器MPD0~MPD3に接続される。
【0021】
入力段および出力段と1行目と最下行のMZIを除くMZIiそれぞれにおいて、第1の入力ポートPort1が隣接の前行における隣接の前列に配置されたMZIの第2の出力ポートPort4に、第2の入力ポートPort2が隣接の後行における隣接の前列に配置されたMZIの第1の出力ポートPort3に、それぞれ光導波路により接続される。
【0022】
最下行である9行目に配置されたMZI32、MZI33、MZI34、MZI35それぞれにおいて、第1の入力ポートPort1が8行目における隣接の前列に配置されたMZI28~MZI31の第2の出力ポートPort4に光導波路により接続され、第2の入力ポートPort2が対応するモニタ用入力ノードp4からp7に接続される。
【0023】
MZI
0からMZI
35それぞれは、分岐比の製造ばらつき(分岐比ばらつき)等を調整により補償可能な構成である
図2から
図4に示すいずれかのMZIである。
図2に示すMZIは、第1の入力ポートPort1と第1の出力ポートPort3を結ぶ第1の光導波路と、第2の入力ポートPort2と第2の出力ポートPort4を結ぶ第2の光導波路とを備え、θ位相シフタを有する。
【0024】
図3に示すMZIは、第1の入力ポートPort1と第1の出力ポートPort3を結ぶ第1の光導波路と、第2の入力ポートPort2と第2の出力ポートPort4を結ぶ第2の光導波路とを備え、φ位相シフタおよびθ位相シフタを有する。
図4に示すMZIは、第1の入力ポートPort1と第1の出力ポートPort3を結ぶ第1の光導波路と、第2の入力ポートPort2と第2の出力ポートPort4を結ぶ第2の光導波路とを備え、φ位相シフタ、θ位相シフタ、およびψ位相シフタを有する。
【0025】
図2から
図4に示すMZIは、第1の入力ポートPort1への入力光が第1の出力ポートPort3に出力され、第2の入力ポートPort2への入力光が第2の出力ポートPort4に出力されるスルー状態(Through state)と、第1の入力ポートPort1への入力光が第2の出力ポートPort4に出力され、第2の入力ポートPort2への入力光が第1の出力ポートPort3に出力されるクロス状態(Cross state)の2つの状態を取り得る。
【0026】
図2から
図4に示すMZIは半導体プロセスを用いて作製され、第1の光導波路および第2の光導波路はシリコンフォトニクスと呼ばれる単結晶シリコンをコア材料とした光導波路により形成される。
なお、光導波路を形成するコア材料とした単結晶シリコンの代わりに窒化シリコン(SiN)、アルミナ、または石英等を用いてもよい。
【0027】
モニタ用光検知器MPD0~MPD3はそれぞれpin構造を有するフォトダイオードを適用し、材料としてシリコンフォトニクスの製造工程と相性の良いゲルマニウムを用いたフォトダイオードである。
なお、ゲルマニウムを用いたフォトダイオードの代わりにInGaAs等の化合物半導体を異種材料接合により集積化して形成したフォトダイオードであってもよい。
【0028】
次に、実施の形態1に係る光演算装置におけるMZIの調整方法について説明する。
すなわち、MZIiの分岐比ばらつきを補償するため、位相調整領域の最適化をMZIiごとに行うMZIの調整方法の手順を説明する。
【0029】
実施の形態1に係る光演算装置におけるMZIの調整方法は、位相誤差を補償する調整対象となるMZIiに対し、調整対象MZIiを通過する光導波経路における調整対象MZIiの前列に配置されるMZIはスルー状態とされ、光導波経路における後列に配置されるMZIはクロス状態とされ、調整対象MZIiにおける分岐比ばらつきを補償する調整が行われる
【0030】
実施の形態1に係る光演算装置におけるMZIの調整方法は、調整対象となる1行目に配置されるMZIiは自身の第1の入力ポートPort1に光信号が入力され、自身の第1の出力ポートPort3に接続されるモニタ用光検知器MPDkに光信号が出力されて調整が行われ、調整対象となる2行目以降に配置されるMZIiは調査済のMZIiのみを光導波路経路とされて調整が行われる。
実施の形態1に係る光演算装置におけるMZIの調整方法は、インデックス0のMZIからインデックス[N×(2N+1)-1]のMZIまでインデックス順に行われる。
【0031】
以下、実施の形態1に係る光演算装置におけるMZIの調整方法の具体的な手順を、Nを4とした例について
図5及び
図6を用いて説明する。
ステップST1において、1行目に配置されたMZI
0~MZI
3について、インデックス順に調整対象として調整する。
すなわち、MZI
0~MZI
3それぞれに対し、インデックス順に対応するモニタ用入力ノードp
0~p
3に光を入力し、対応するモニタ用光検知器MPD
0~MPD
3によりモニタしてMZI
0~MZI
3それぞれの分岐比ばらつきを補償する調整を行う。調整後、MZI
0~MZI
3それぞれをスルー状態にする。
【0032】
調整のための光導波路経路を以下に示す。
調整対象MZI0に対してモニタ用入力ノードp0とし、光検知器をMPD0としたp0→MZI0→MPD0の光導波路経路により調整が行われる。
以下の説明において説明が煩雑になるので、符号による光導波路経路を示す。
調整対象MZI1に対してp1→MZI1→MPD1。
調整対象MZI2に対してp2→MZI2→MPD2。
調整対象MZI3に対してp3→MZI3→MPD3。
ステップST1において、1行目に配置されたMZI0~MZI3は調整が完了し、特性が既知となる。
【0033】
ステップST2において、2行目に配置されたMZI4~MZI7について、インデックス順に調整対象として調整する。
この時、入力ノードx0から入力段のMZI4の第1の入力ポートPort1に光が入力される。
また、調整対象を通過する光導波経路における前列に配置されるMZIはスルー状態にされ、後列に配置されるMZIはクロス状態にされる。
【0034】
以下に示す光導波路経路において、MZIiの状態をMZIiの後にスルー状態を[T]、クロス状態を[C]として示す。
調整対象MZI4に対してx0→MZI4→MZI0[C]→MPD0。MZI4は調整後スルー状態にされ、MZI0もスルー状態にされる。
調整対象MZI5に対してx0→MZI4[T]→MZI0[T]→MZI5→MZI1[C]→MPD1。MZI5は調整後スルー状態にされ、MZI1もスルー状態にされる。
【0035】
調整対象MZI6に対してx0→MZI4[T]→MZI0[T]→MZI5[T]→MZI1[T]→MZI6→MZI2[C]→MPD2。MZI6は調整後スルー状態にされ、MZI2も調整後スルー状態にされる。
調整対象MZI7に対してx0→MZI4[T]→MZI0[T]→MZI5[T]→MZI1[T]→MZI6[T]→MZI2[T]→MZI7→MZI3[C]→MPD3。MZI7は調整後スルー状態にされ、MZI3もスルー状態にされる。
【0036】
要するに、2行目に配置されたMZI4~MZI7はそれぞれ入力ノードx0から光が入力され、モニタ用光検知器MPD0~MPD3それぞれによりモニタされる。
2行目に配置されたMZI4~MZI7の調整において、入力ノードx0から入力光が入力されるまで、および調整対象から出力された光がモニタ用光検知器MPD0~MPD3それぞれに至るまで特性が既知で調整済みのMZIを通過するため、調整対象のMZIの特性のみをモニタ用光検知器MPD0~MPD3それぞれにより精度よく抽出することができる。
【0037】
また、スルー状態かクロス状態かの状態が不明のMZIを通過しないため、調整用導波路経路を導波する光(導波路損失で失われるパワーを除く)をすべてモニタ用光検知器MPD0~MPD3それぞれで検出でき、調整における光強度を最大化できる。これにより、信号対ノイズ比を最大化でき、高精度な調整を行うことができる。
【0038】
ステップST3において、3行目に配置されたMZI8~MZI11について、インデックス順に調整対象として調整する。
この時、入力ノードx1から入力段のMZI4の第2の入力ポートPort2に光が入力される。
また、調整対象を調整毎に、調整対象を通過する光導波経路における前列に配置されるMZIはスルー状態にされ、後列に配置されるMZIはクロス状態にされる。
【0039】
調整対象MZI8に対してx1→MZI4[T]→MZI8→MZI5[C]→MZI1[C]→MPD1。
調整対象MZI9に対してx1→MZI4[T]→MZI8[T]→MZI5[T]→MZI9→MZI6[C]→MZI2[C]→MPD2。
【0040】
調整対象MZI10に対してx1→MZI4[T]→MZI8[T]→MZI5[T]→MZI9[T]→MZI6[T]→MZI10→MZI7[C]→MZI3[C]→MPD3。
調整対象MZI11に対してx1→MZI4[T]→MZI8[T]→MZI5[T]→MZI9[T]→MZI6[T]→MZI10[T]→MZI7[T]→MZI11→y1。
調整対象MZI11は出力ノードy1に接続される光検出器によりモニタされる。
以下の説明において、調整のための光導波路経路において示した出力ノードは、出力ノードに接続される光検出器を含めたものとする。
【0041】
要するに、3行目に配置されたMZI8~MZI11はそれぞれ入力ノードx1から光が入力され、モニタ用光検知器MPD1~MPD3、出力ノードy1に接続される光検出器それぞれによりモニタされる。
3行目に配置されたMZI8~MZI11の調整において、特性が既知で調整済みのMZIを通過するため、調整対象のMZIの特性のみをより精度よく抽出することができる。
また、スルー状態かクロス状態かの状態が不明のMZIを通過しないため、調整用導波路経路を導波する光をすべて検出でき、調整における光強度を最大化できる。これにより、信号対ノイズ比を最大化でき、高精度な調整を行うことができる。
【0042】
ステップST4において、4行目に配置されたMZI12~MZI15について、インデックス順に調整対象として調整する。
この時、入力ノードx2から入力段のMZI12の第1の入力ポートPort1に光が入力される。
また、調整対象を調整毎に、調整対象を通過する光導波経路における前列に配置されるMZIはスルー状態にされ、後列に配置されるMZIはクロス状態にされる。
【0043】
調整対象MZI12に対してx2→MZI12→MZI8[C]→MZI5[C]→MZI1[C]→MPD1。
調整対象MZI13に対してx2→MZI12[T]→MZI8[T]→MZI13→MZI9[C]→MZI6[C]→MZI2[C]→MPD2。
【0044】
調整対象MZI14に対してx2→MZI12[T]→MZI8[T]→MZI13[T]→MZI9[T]→MZI14→MZI10[C]→MZI7[C]→MZI3[C]→MPD3。
調整対象MZI15に対してx2→MZI12[T]→MZI8[T]→MZI13[T]→MZI9[T]→MZI14[T]→MZI10[T]→MZI15→MZI11[C]→y1。
【0045】
要するに、4行目に配置されたMZI12~MZI15はそれぞれ入力ノードx2から光が入力され、モニタ用光検知器MPD1~MPD3、出力ノードy1に接続される光検出器それぞれによりモニタされる。
4行目に配置されたMZI12~MZI15の調整において、特性が既知で調整済みのMZIを通過するため、調整対象のMZIの特性のみをより精度よく抽出することができる。
また、スルー状態かクロス状態かの状態が不明のMZIを通過しないため、調整用導波路経路を導波する光をすべて検出でき、調整における光強度を最大化できる。これにより、信号対ノイズ比を最大化でき、高精度な調整を行うことができる。
【0046】
ステップST5において、5行目に配置されたMZI16~MZI19について、インデックス順に調整対象として調整する。
この時、入力ノードx3から入力段のMZI12の第2の入力ポートPort2に光が入力される。
また、調整対象を調整毎に、調整対象を通過する光導波経路における前列に配置されるMZIはスルー状態にされ、後列に配置されるMZIはクロス状態にされる。
【0047】
調整対象MZI16に対してx3→MZI12[T]→MZI16→MZI13[C]→MZI9[C]→MZI6[C]→MZI2[C]→MPD2
調整対象MZI17に対してx3→MZI12[T]→MZI16[T]→MZI13[T]→MZI17→MZI14[C]→MZI10[C]→MZI7[C]→MZI3[C]→MPD3。
【0048】
調整対象MZI18に対してx3→MZI12[T]→MZI16[T]→MZI13[T]→MZI17[T]→MZI14[T]→MZI18→MZI15[C]→MZI11[C]→y1。
調整対象MZI19に対してx3→MZI12[T]→MZI16[T]→MZI13[T]→MZI17[T]→MZI14[T]→MZI18[T]→MZI15[T]→MZI19→y3。
【0049】
要するに、5行目に配置されたMZI16~MZI19はそれぞれ入力ノードx3から光が入力され、モニタ用光検知器MPD2、MPD3、出力ノードy1、y3に接続される光検出器それぞれによりモニタされる。
5行目に配置されたMZI16~MZI19の調整において、特性が既知で調整済みのMZIを通過するため、調整対象のMZIの特性のみをより精度よく抽出することができる。
また、スルー状態かクロス状態かの状態が不明のMZIを通過しないため、調整用導波路経路を導波する光をすべて検出でき、調整における光強度を最大化できる。これにより、信号対ノイズ比を最大化でき、高精度な調整を行うことができる。
【0050】
ステップST6において、6行目に配置されたMZI20~MZI23について、インデックス順に調整対象として調整する。
この時、入力ノードx4から入力段のMZI20の第1の入力ポートPort1に光が入力される。
また、調整対象を調整毎に、調整対象を通過する光導波経路における前列に配置されるMZIはスルー状態にされ、後列に配置されるMZIはクロス状態にされる。
【0051】
調整対象MZI20に対してx4→MZI20→MZI16[C]→MZI13[C]→MZI9[C]→MZI6[C]→MZI2[C]→MPD2。
調整対象MZI21に対してx4→MZI20[T]→MZI16[T]→MZI21→MZI17[C]→MZI14[C]→MZI10[C]→MZI7[C]→MZI3[C]→MPD3。
【0052】
調整対象MZI22に対してx4→MZI20[T]→MZI16[T]→MZI21[T]→MZI17[T]→MZI22→MZI18[C]→MZI15[C]→MZI11[C]→y1。
調整対象MZI23に対してx4→MZI20[T]→MZI16[T]→MZI21[T]→MZI17[T]→MZI22[T]→MZI18[T]→MZI23→MZI19→y3。
【0053】
要するに、6行目に配置されたMZI20~MZI23はそれぞれ入力ノードx4から光が入力され、モニタ用光検知器MPD2、MPD3、出力ノードy1、y3に接続される光検出器それぞれによりモニタされる。
6行目に配置されたMZI20~MZI23の調整において、特性が既知で調整済みのMZIを通過するため、調整対象のMZIの特性のみをより精度よく抽出することができる。
また、スルー状態かクロス状態かの状態が不明のMZIを通過しないため、調整用導波路経路を導波する光をすべて検出でき、調整における光強度を最大化できる。これにより、信号対ノイズ比を最大化でき、高精度な調整を行うことができる。
【0054】
ステップST7において、7行目に配置されたMZI24~MZI27について、インデックス順に調整対象として調整する。
この時、入力ノードx5から入力段のMZI20の第2の入力ポートPort2に光が入力される。
また、調整対象を調整毎に、調整対象を通過する光導波経路における前列に配置されるMZIはスルー状態にされ、後列に配置されるMZIはクロス状態にされる。
【0055】
調整対象MZI24に対してx5→MZI20[T]→MZI24→MZI21[C]→MZI17[C]→MZI14[C]→MZI10[C]→MZI7[C]→MZI3[C]→MPD3。
調整対象MZI25に対してx5→MZI20[T]→MZI24[T]→MZI21[T]→MZI25→MZI22[C]→MZI18[C]→MZI15[C]→MZI11[C]→y1。
【0056】
調整対象MZI26に対してx5→MZI20[T]→MZI24[T]→MZI21[T]→MZI25[T]→MZI22[T]→MZI26→MZI23[C]→MZI19[C]→y3。
調整対象MZI27に対してx5→MZI20[T]→MZI24[T]→MZI21[T]→MZI25[T]→MZI22[T]→MZI26[T]→MZI23[T]→MZI27→y5。
【0057】
要するに、7行目に配置されたMZI24~MZI27はそれぞれ入力ノードx5から光が入力され、モニタ用光検知器MPD3、出力ノードy1、y3、y5に接続される光検出器それぞれによりモニタされる。
7行目に配置されたMZI24~MZI27の調整において、特性が既知で調整済みのMZIを通過するため、調整対象のMZIの特性のみをより精度よく抽出することができる。
また、スルー状態かクロス状態かの状態が不明のMZIを通過しないため、調整用導波路経路を導波する光をすべて検出でき、調整における光強度を最大化できる。これにより、信号対ノイズ比を最大化でき、高精度な調整を行うことができる。
【0058】
ステップST8において、8行目に配置されたMZI28~MZI31について、インデックス順に調整対象として調整する。
この時、入力ノードx6から入力段のMZI28の第1の入力ポートPort1に光が入力される。
また、調整対象を調整毎に、調整対象を通過する光導波経路における前列に配置されるMZIはスルー状態にされ、後列に配置されるMZIはクロス状態にされる。
【0059】
調整対象MZI28に対してx6→MZI28→MZI24[C]→MZI21[C]→MZI17[C]→MZI14[C]→MZI10[C]→MZI7[C]→MZI3[C]→MPD3。
調整対象MZI29に対してx6→MZI28[T]→MZI24[T]→MZI29→MZI25[C]→MZI22[C]→MZI18[C]→MZI15[C]→MZI11[C]→y1。
【0060】
調整対象MZI30に対してx6→MZI28[T]→MZI24[T]→MZI29[T]→MZI25[T]→MZI30→MZI26[C]→MZI23[C]→MZI19[C]→y3。
調整対象MZI31に対してx6→MZI28[T]→MZI24[T]→MZI29[T]→MZI25[T]→MZI30[T]→MZI26[T]→MZI31→MZI27[C]→y5。
【0061】
要するに、8行目に配置されたMZI28~MZI31はそれぞれ入力ノードx6から光が入力され、モニタ用光検知器MPD3、出力ノードy1、y3、y5に接続される光検出器それぞれによりモニタされる。
8行目に配置されたMZI28~MZI31の調整において、特性が既知で調整済みのMZIを通過するため、調整対象のMZIの特性のみをより精度よく抽出することができる。
また、スルー状態かクロス状態かの状態が不明のMZIを通過しないため、調整用導波路経路を導波する光をすべて検出でき、調整における光強度を最大化できる。これにより、信号対ノイズ比を最大化でき、高精度な調整を行うことができる。
【0062】
ステップST9において、9行目に配置されたMZI32~MZI35について、インデックス順に調整対象として調整する。
この時、入力ノードx7から入力段のMZI28の第2の入力ポートPort2に光が入力される。
また、調整対象を調整毎に、調整対象を通過する光導波経路における前列に配置されるMZIはスルー状態にされ、後列に配置されるMZIはクロス状態にされる。
【0063】
調整対象MZI
32に対してx
7→MZI
28[T]→MZI
32→MZI
29[C]→MZI
25[C]→MZI
22[C]→MZI
18[C]→MZI
15[C]→MZI
11[C]→y
1。
調整対象MZI
33に対してx
7→MZI
28[T]→MZI
32[T]→MZI
29[T]→MZI
33→MZI
30[C]→MZI
26[C]→MZI
23[C]→MZI
19[C]→y
3。
図6に調整対象MZI
33に対する調整のための光導波路経路を太線により示す。
【0064】
調整対象MZI34に対してx7→MZI28[T]→MZI32[T]→MZI29[T]→MZI33[T]→MZI30[T]→MZI34→MZI31[C]→MZI27[C]→y5。
調整対象MZI35に対してx7→MZI28[T]→MZI32[T]→MZI29[T]→MZI33[T]→MZI30[T]→MZI34[T]→MZI31[T]→MZI35→y7。
【0065】
要するに、9行目に配置されたMZI32~MZI35にはそれぞれ入力ノードx5から光が入力され、出力ノードy1、y3、y5、y7に接続される光検出器それぞれによりモニタされる。
9行目に配置されたMZI32~MZI35の調整において、特性が既知で調整済みのMZIを通過するため、調整対象のMZIの特性のみをより精度よく抽出することができる。
また、スルー状態かクロス状態かの状態が不明のMZIを通過しないため、調整用導波路経路を導波する光をすべて検出でき、調整における光強度を最大化できる。これにより、信号対ノイズ比を最大化でき、高精度な調整を行うことができる。
【0066】
なお、調整対象のMZIiに対して調整する光導波経路の一例を示したが、要するに、1行目に配置されるMZIiは直接モニタ用光検知器MPDkによりモニタして調整し、2行目以降に配置されるMZIiを調整対象にする場合は、調整対象のMZIiを調整用の光が通過する光導波路経路に、スルー状態かクロス状態かの状態を明確にした調整済のMZIのみにした調整にすればよい。
また、2行目以降に配置されるMZIiを調整対象にする場合は、2行目から順に行毎にMZIiのインデックス順に調整し、調整対象のMZIiを調整用の光が通過する光導波路経路に調整済のMZIのみにした調整にすればよい。
【0067】
実施の形態1に係る光演算装置は、複数行複数列のマトリクスにおいて、奇数列に配置されるMZIは偶数行に配置され、偶数列に配置されMZIは奇数行に配置され、MZIが長方形に配置構成される多段MZIアレイ1と、1行目に配置されるMZIの第1の出力ポートに接続されるモニタ用光検知器MPDkを備えたので、MPDkを構成するMZIすべての調整を短時間でできる。
【0068】
また、モニタ用光検知器MPDkによりモニタする調整対象のMZIiに対し、調整対象MZIiに光が通過する光導波路経路に存在する調整済のMZIの数を少なく、光導波路経路における損失を低減できる。
その結果、モニタする光強度を大きく、例えば最大化でき、信号対ノイズ比を最大化でき、精度の高いMZIの調整ができる。
【0069】
しかも、実施の形態1に係る光演算装置は、1行目に配置されるMZIiは直接モニタ用光検知器MPDkによりモニタして調整でき、2行目以降に配置されるMZIiの調整に対し、調整対象のMZIiを調整用の光が通過する光導波路経路に特性が既知で調整済のMZIが存在し、未調整のMZIが存在せずに調整できるため、調整対象のMZIiの特性のみを精度よく抽出することができ、精度の高いMZIの調整ができる。
【0070】
さらに、実施の形態1に係る光演算装置は、調整対象のMZIiを調整用の光が通過する光導波路経路にスルー状態かクロス状態かの状態が不明のMZIが存在せずに調整できるため、調整対象のMZIiを調整用の光が通過する光導波路経路を伝搬する光を効率よくモニタ用光検知器MPDkまたは出力ノードに接続される光検知器により検出できるため、モニタする光強度を大きく、例えば最大化でき、信号対ノイズ比を最大化でき、精度の高いMZIの調整ができる。
【0071】
実施の形態2.
実施の形態2に係る光演算装置を
図7から
図9を用いて説明する。
実施の形態2に係る光演算装置は、実施の形態1に係る光演算装置に対し、さらに、最下行に配置されるMZI
iの第2の出力ポートPort4に接続される第2のモニタ用光検知器MPDを備える点が相違し、その他の点については同じである。
したがって、相違点を中心に以下に説明する。
なお、以下の説明において、1行目に配置されるMZIの第1の出力ポートに接続されるモニタ用光検知器MPDを第1のモニタ用光検知器という。
図7から
図9中、
図1から
図6に付された符号と同一符号は同一または相当部分を示す。
【0072】
最下行である9行目に配置されたMZI32、MZI33、MZI34、MZI35それぞれにおいて、第1の入力ポートPort1が8行目における隣接の前列に配置されたMZI28~MZI31の第2の出力ポートPort4に光導波路により接続され、第2の入力ポートPort2が対応するモニタ用入力ノードp4からp7に接続され、第2の出力ポートPort4が対応する第2のモニタ用光検知器MPD4~MPD7に接続される。
【0073】
第2のモニタ用光検知器MPD4~MPD7はそれぞれpin構造を有するフォトダイオードを適用し、材料としてシリコンフォトニクスの製造工程と相性の良いゲルマニウムを用いたフォトダイオードである。
なお、ゲルマニウムを用いたフォトダイオードの代わりにInGaAs等の化合物半導体を異種材料接合により集積化して形成したフォトダイオードであってもよい。
【0074】
次に、実施の形態2に係る光演算装置におけるMZIの調整方法について説明する。
多段MZIアレイ1における複数行(2N+1)を前半部(N+1)と後半部(N)の2つに分割し、1行目から前半部の最下行(N+1)まで順に、また、最下行(2N+1)から後半部の最上行(N+2)まで順に、行毎に前半部の行に配置されるMZIと後半部の行に配置されるMZIを同時に分岐比ばらつきを補償する調整が行われ、各行に配置されるMZIは調査済のMZIのみを光導波路経路とされて調整が行われる
【0075】
多段MZIアレイ1における前半部のMZIに対してインデックス0のMZIからインデックス[N×(N+1)-1]のMZIまでインデックス順に調整が行われ、後半部のMZIに対してインデックス[N×(2N+1)-1]のMZIからインデックス[N×(N+1)]のMZIまでインデックス順に調整が行われる。
【0076】
以下、実施の形態2に係る光演算装置におけるMZIの調整方法の具体的な手順を、Nを4とした例について
図8及び
図9を用いて説明する。
多段MZIアレイ1の前半部における1行目に配置されたMZI
0~MZI
3の調整と後半部における9行目に配置されたMZI
32~MZI
35の調整を同時並行で調整する。
前半部における2行目に配置されたMZI
4~MZI
7の調整と後半部における8行目に配置されたMZI
28~MZI
31の調整を同時並行で調整する。
【0077】
前半部における3行目に配置されたMZI8~MZI11の調整と後半部における7行目に配置されたMZI24~MZI27の調整を同時並行で調整する。
前半部における4行目に配置されたMZI12~MZI15の調整と後半部における6行目に配置されたMZI20~MZI23の調整を同時並行で調整する。
【0078】
5行目に配置されたMZI16~MZI19を調整する。
多段MZIアレイ1における前半部のMZI0~MZI19の調整については、実施の形態1に係る光演算装置におけるMZIの調整方法に示したMZI0~MZI19と同様に、ステップST1からステップST5により行なわれるので、説明を省略する。
【0079】
ステップST1において、1行目に配置されたMZI0~MZI3に対応して同時に、9行目に配置されたMZI32~MZI35について、インデックス順に調整対象として調整する。
調整対象MZI32に対してp4→MZI32→MPD4。
調整対象MZI33に対してp5→MZI33→MPD5。
調整対象MZI34に対してp6→MZI34→MPD6。
調整対象MZI35に対してp7→MZI35→MPD7。
ステップST1において、9行目に配置されたMZI32~MZI35は調整が完了し、特性が既知となる。
【0080】
ステップST2において、2行目に配置されたMZI4~MZI7に対応して同時に、8行目に配置されたMZI28~MZI31について、インデックス順に調整対象として調整する。
この時、入力ノードx7から入力段のMZI28の第2の入力ポートPort2に光が入力される。
また、調整対象を調整毎に、調整対象を通過する光導波経路における前列に配置されるMZIはスルー状態にされ、後列に配置されるMZIはクロス状態にされる。
【0081】
調整対象MZI28に対してx7→MZI28→MZI32[C]→MPD4。MZI28は調整後スルー状態にされ、MZI32もスルー状態にされる。
調整対象MZI29に対してx7→MZI28[T]→MZI29→MZI32[T]→MZI33[C]→MPD5。MZI29は調整後スルー状態にされ、MZI33もスルー状態にされる。
【0082】
調整対象MZI30に対してx7→MZI28[T]→MZI32[T]→MZI29[T]→MZI33[T]→MZI30→MZI34[C]→MPD6。MZI30は調整後スルー状態にされ、MZI34も調整後スルー状態にされる。
調整対象MZI31に対してx7→MZI28[T]→MZI32[T]→MZI29[T]→MZI33[T]→MZI30[T]→MZI34[T]→MZI31→MZI35[C]→MPD7。
【0083】
要するに、8行目に配置されたMZI28~MZI31はそれぞれ入力ノードx7から光が入力され、第2のモニタ用光検知器MPD4~MPD7に接続される光検出器それぞれによりモニタされる。
8行目に配置されたMZI28~MZI31の調整において、特性が既知で調整済みのMZIを通過するため、調整対象のMZIの特性のみをより精度よく抽出することができる。
また、スルー状態かクロス状態かの状態が不明のMZIを通過しないため、調整用導波路経路を導波する光をすべて検出でき、調整における光強度を最大化できる。これにより、信号対ノイズ比を最大化でき、高精度な調整を行うことができる。
【0084】
ステップST3において、3行目に配置されたMZI8~MZI11に対応して同時に、7行目に配置されたMZI24~MZI27について、インデックス順に調整対象として調整する。
この時、入力ノードx6から入力段のMZI28の第1の入力ポートPort1に光が入力される。
また、調整対象を調整毎に、調整対象を通過する光導波経路における前列に配置されるMZIはスルー状態にされ、後列に配置されるMZIはクロス状態にされる。
【0085】
調整対象MZI
24に対してx
6→MZI
28[T]→MZI
24→MZI
29[C]→MZI
33[C]→MPD
5。
調整対象MZI
25に対してx
6→MZI
28[T]→MZI
24[T]→MZI
29[T]→MZI
25→MZI
30[C]→MZI
34[C]→MPD
6。
図9に、ステップST3において調整対象MZI
9および調整対象MZI
33に対する調整のための光導波路経路を太線により示す。
【0086】
調整対象MZI26に対してx6→MZI28[T]→MZI24[T]→MZI29[T]→MZI25[T]→MZI30[T]→MZI26→MZI31[C]→MZI35[C]→MPD7。
調整対象MZI27に対してx6→MZI28[T]→MZI24[T]→MZI29[T]→MZI25[T]→MZI30[T]→MZI26[T]→MZI31[T]→MZI27→y6。
【0087】
要するに、7行目に配置されたMZI24~MZI27はそれぞれ入力ノードx6から光が入力され、第2のモニタ用光検知器MPD5~MPD7、出力ノードy6に接続される光検出器それぞれによりモニタされる。
7行目に配置されたMZI24~MZI27の調整において、特性が既知で調整済みのMZIを通過するため、調整対象のMZIの特性のみをより精度よく抽出することができる。
また、スルー状態かクロス状態かの状態が不明のMZIを通過しないため、調整用導波路経路を導波する光をすべて検出でき、調整における光強度を最大化できる。これにより、信号対ノイズ比を最大化でき、高精度な調整を行うことができる。
【0088】
ステップST4において、4行目に配置されたMZI12~MZI15に対応して同時に、6行目に配置されたMZI20~MZI23について、インデックス順に調整対象として調整する。
この時、入力ノードx5から入力段のMZI20の第2の入力ポートPort2に光が入力される。
また、調整対象を調整毎に、調整対象を通過する光導波経路における前列に配置されるMZIはスルー状態にされ、後列に配置されるMZIはクロス状態にされる。
【0089】
調整対象MZI20に対してx5→MZI20→MZI24[C]→MZI29[C]→MZI33[C]→MPD5。
調整対象MZI21に対してx5→MZI20[T]→MZI24[T]→MZI21→MZI25[C]→MZI30[C]→MZI34[C]→MPD6。
【0090】
調整対象MZI22に対してx5→MZI20[T]→MZI24[T]→MZI21[T]→MZI25[T]→MZI22→MZI26[C]→MZI31[C]→MZI35[C]→MPD7。
調整対象MZI23に対してx5→MZI20[T]→MZI24[T]→MZI21[T]→MZI25[T]→MZI22[T]→MZI26[T]→MZI23→MZI27[C]→y6。
【0091】
要するに、6行目に配置されたMZI20~MZI23はそれぞれ入力ノードx4から光が入力され、モニタ用光検知器MPD5~MPD7、出力ノードy6に接続される光検出器それぞれによりモニタされる。
6行目に配置されたMZI20~MZI23の調整において、特性が既知で調整済みのMZIを通過するため、調整対象のMZIの特性のみをより精度よく抽出することができる。
【0092】
また、スルー状態かクロス状態かの状態が不明のMZIを通過しないため、調整用導波路経路を導波する光をすべて検出でき、調整における光強度を最大化できる。これにより、信号対ノイズ比を最大化でき、高精度な調整を行うことができる。
なお、5行目に配置されたMZI16~MZI19を便宜上前半部としたが、後半部とし手もよく、また、前半部と声反布施麻間の中間部としてもよい。
【0093】
実施の形態2に係る光演算装置は、実施の形態1に係る光演算装置と同様の効果は有する他、多段MZIアレイ1において前半部のMZIと後半部のMZIを行ごとに同士並行して調整できるため、より短時間で調整を終了することができる。
【0094】
実施の形態3.
実施の形態3に係る光演算装置を
図10を用いて説明する。
実施の形態3に係る光演算装置は、実施の形態1に係る光演算装置が1行目に配置されるMZI
0~MZI
3それぞれに対応してモニタ用光検知器MPD
0~MPD
3が配置されるのに対し、1行目に配置されるMZI
0~MZI
3すべてに対して共通に1個に集約して集約型のMPD
Iを配置される点が相違し、その他の点については同じである。
したがって、相違点を中心に以下に説明する。
図10中、
図1から
図6に付された符号と同一符号は同一または相当部分を示す。
【0095】
モニタ用光検知器MPDIは1行目に配置されたMZI0、MZI1、MZI2、MZI3それぞれの第1の出力ポートPort3がそれぞれに接続される第0の入力端から第3の入力端の4つの入力端を有する集約型のフォトダイオードである。
集約型のフォトダイオードはMZI0、MZI1、MZI2、MZI3それぞれの第1の出力ポートPort3に一端が接続される導波路の他端が接続される光吸収層を有するpin構造のフォトダイオードである。
【0096】
実施の形態3に係る光演算装置におけるMZIの調整方法の具体的な手順は、実施の形態1に係る光演算装置におけるMZIの調整方法の具体的な手順と実質同じであり、ステップST1からステップST9において、モニタ用光検知器MPD01~MPD3それぞれによりモニタするところを、モニタ用光検知器MPDIによりモニタする点が相違するだけである。
【0097】
ただし、ステップST1において、実施の形態1では1行目に配置されたMZI0~MZI3についての調整順をインデックス順に行っているが、インデックスの逆の順に行う。
すなわち、ステップST1において、MZI0~MZI3それぞれに対し、インデックスの逆の順に対応するモニタ用入力ノードp0~p3に光を入力し、モニタ用光検知器MPDIによりモニタしてMZI0~MZI3それぞれの分岐比ばらつきを補償する調整を行う。調整後、MZI0~MZI3それぞれをスルー状態にする。
【0098】
要するに、調整対象MZI3に対して入力ノードp3とし、光検知器をMPDIとしたp3→MZI3→MPDIの光導波路経路により調整が行われる。MZI3は調整後スルー状態にされる。
以下順に次のように光導波路経路を形成し、調整する。
調整対象MZI2に対してp2→MZI2→MPDI。
調整対象MZI1に対してp1→MZI1→MPDI。
調整対象MZI0に対してp0→MZI0→MPDI。
ステップST1において、1行目に配置されたMZI0~MZI3は調整が完了し、特性が既知となる。
【0099】
行数が2N+1であり、列数が2Nである多段MZIアレイ1において、1行目に配置されたMZIの調整順はインデックスの逆の順、N-1、N-2、・・・、1、0の順、つまり、MZIN-1、MZIN-2、・・・、MZI1、MZI0の順になる。
ステップST2からステップST9は実施の形態1と同じである。
【0100】
実施の形態3に係る光演算装置は、実施の形態1に係る光演算装置と同様の効果は有する他、モニタ用光検知器MPDIとして集約したので、回路素子数を削減でき、歩留まりおよび製造コストの改善が図れる。
【0101】
実施の形態4.
実施の形態4に係る光演算装置を
図11を用いて説明する。
実施の形態2に係る光演算装置は1行目に配置されるMZI
0~MZI
3それぞれに対応して第1のモニタ用光検知器MPD
0~MPD
3が配置され、最下行である9行目に配置されるMZI
32~MZI
35それぞれに対応して第2のモニタ用光検知器MPD
4~MPD
7が配置される。
【0102】
これに対し、実施の形態4に係る光演算装置は、1行目に配置されるMZI0~MZI3すべてに対して共通に1個に集約して集約型の第1のモニタ用光検知器MPDIが配置され、9行目に配置されるMZI32~MZI35すべてに対応して共通に1個に集約して集約型の第2のモニタ用光検知器MPDIIが配置される。
【0103】
実施の形態4に係る光演算装置は、実施の形態2に係る光演算装置に対して、第1のモニタ用光検知器MPD
Iおよび第2のモニタ用光検知器MPD
IIが配置される点が相違し、その他の点については同じである。
したがって、相違点を中心に以下に説明する。
図10中、
図1から
図6に付された符号と同一符号は同一または相当部分を示す。
【0104】
第1のモニタ用光検知器MPDIは1行目に配置されたMZI0、MZI1、MZI2、MZI3それぞれの第1の出力ポートPort3がそれぞれに接続される第0の入力端から第3の入力端の4つの入力端を有する集約型のフォトダイオードである。
集約型のフォトダイオードはMZI0、MZI1、MZI2、MZI3それぞれの第1の出力ポートPort3に一端が接続される導波路の他端が接続される光吸収層を有するpin構造のフォトダイオードである。
【0105】
第2のモニタ用光検知器MPDIIは9行目に配置されたMZI32、MZI33、MZI34、MZI35それぞれの第1の出力ポートPort3がそれぞれに接続される第0の入力端から第3の入力端の4つの入力端を有する集約型のフォトダイオードである。
集約型のフォトダイオードはMZI32、MZI33、MZI34、MZI35それぞれの第1の出力ポートPort3に一端が接続される導波路の他端が接続される光吸収層を有するpin構造のフォトダイオードである。
【0106】
実施の形態3に係る光演算装置におけるMZIの調整方法の具体的な手順は、実施の形態2に係る光演算装置におけるMZIの調整方法の具体的な手順と実質同じであり、ステップST1からステップST5において、第1群のモニタ用光検知器MPD0~MPD3それぞれによりモニタするところを、第1のモニタ用光検知器MPDIによりモニタし、第2群のモニタ用光検知器MPD04~MPD7それぞれによりモニタするところを、第2のモニタ用光検知器MPDIIによりモニタする点が相違するだけである。
【0107】
ただし、ステップST1において、実施の形態1では1行目に配置されたMZI0~MZI3についての調整順をインデックス順に、9行目に配置されるMZI32~MZI35についての調整順をインデックス順に行っているが、1行目および9行目それぞれにおいてインデックスの逆の順に行う。
【0108】
すなわち、ステップST1において、MZI0~MZI3それぞれに対し、インデックスの逆の順に対応するモニタ用入力ノードp0~p3に光を入力し、モニタ用光検知器MPDIによりモニタしてMZI0~MZI3それぞれの分岐比ばらつきを補償する調整を行ない、同時に、MZI32~MZI35それぞれに対し、インデックスの逆の順に対応するモニタ用入力ノードp4~p7に光を入力し、モニタ用光検知器MPDIIによりモニタしてMZI32~MZI35それぞれの分岐比ばらつきを補償する調整を行なう。
調整後、MZI0~MZI3およびMZI32~MZI35それぞれをスルー状態にする。
【0109】
要するに、調整対象MZI3に対してモニタ用入力ノードp3とし、光検知器をMPDIとしたp3→MZI3→MPDIの光導波路経路により調整が行われる。
同時に、調整対象MZI35に対してモニタ用入力ノードp7とし、光検知器をMPDIIとしたp7→MZI35→MPDIIの光導波路経路により調整が行われる。
MZI3およびMZI35は調整後スルー状態にされる。
【0110】
以下順に次のように光導波路経路を形成し、調整する。
調整対象MZI2に対してp2→MZI2→MPDIとし、調整対象MZI34に対してp6→MZI34→MPDIIとする。
調整対象MZI1に対してp1→MZI1→MPDIとし、調整対象MZI33に対してp5→MZI33→MPDIIとする。
【0111】
調整対象MZI0に対してp0→MZI0→MPDIとし、調整対象MZI32に対してp4→MZI32→MPDIIとする。
ステップST1において、1行目に配置されたMZI0~MZI3および9行目に配置されるMZI32~MZI35は調整が完了し、特性が既知となる。
【0112】
行数が2N+1であり、列数が2Nである多段MZIアレイ1において、1行目に配置されたMZIの調整順はインデックスの逆の順、N-1、N-2、・・・、1、0の順、つまり、MZIN-1、MZIN-2、・・・、MZI1、MZI0の順になる。
また、最下行である(2N+1)行目に配置されたMZIの調整順はインデックスの逆の順である列数の大きい順、(2N+1)N-1、(2N+1)N-2、・・・,(2N+1)N-Nの順、つまり、MZI(2N+1)N-1、MZI(2N+1)N-2、・・・、MZI(2N+1)N-Nの順になる。
ステップST2からステップST5は実施の形態2と同じである。
【0113】
実施の形態4に係る光演算装置は、実施の形態2に係る光演算装置と同様の効果は有する他、第1のモニタ用光検知器MPDIおよび第2のモニタ用光検知器MPDIIとして集約したので、回路素子数を削減でき、歩留まりおよび製造コストの改善が図れる。
【0114】
なお、実施の形態4において、1行目に配置されるMZI0~MZI3すべてに対して共通に1個に集約して配置される集約型の第1のモニタ用光検知器MPDIに替えて、実施の形態2に係る光演算装置に示したように、1行目に配置されるMZI0~MZI3それぞれに対応して第1のモニタ用光検知器MPD0~MPD3が配置されるものでもよい。
すなわち、1行目に配置されるMZI0~MZI3それぞれに対応して第1のモニタ用光検知器MPD0~MPD3が配置され、9行目に配置されるMZI32~MZI35すべてに対応して共通に1個に集約して集約型の第2のモニタ用光検知器MPDIIが配置される構成にしてもよい。
【0115】
また、実施の形態4において、9行目に配置されるMZI32~MZI35すべてに対応して共通に1個に集約して配置される集約型の第2のモニタ用光検知器MPDIIに替えて、実施の形態2に係る光演算装置に示したように、9行目に配置されるMZI32~MZI35それぞれに対応して第2のモニタ用光検知器MPD4~MPD7が配置されるものでもよい。
【0116】
すなわち、1行目に配置されるMZI0~MZI3すべてに対して共通に1個に集約して集約型の第1のモニタ用光検知器MPDIが配置され、9行目に配置されるMZI32~MZI35それぞれに対応して第2のモニタ用光検知器MPD4~MPD7が配置される構成にしてもよい。
【0117】
なお、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本開示に係る光演算装置は、機械学習および量子コンピューティングなどのアナログコンピューティング技術を用いたアプリケーションに適用される。
【符号の説明】
【0119】
1 多段MZIアレイ、MZI0からMZI35 マッハツェンダー干渉計、MPD0~MPD3、MPDI (第1の)モニタ用光検知器、MPD4~MPD7、MPDII 第2のモニタ用光検知器、x0~x7 入力ノード、y0~y7 出力ノード。
【要約】
光演算装置は、複数行複数列のマトリクスにおいて、奇数列に配置されるマッハツェンダー干渉計(MZI)は偶数行に配置され、偶数列に配置されるマッハツェンダー干渉計は奇数行に配置され、マッハツェンダー干渉計(MZI)が長方形に配置構成される多段MZIアレイ(1)と、1行目に配置されるマッハツェンダー干渉計(MZI)の第1の出力ポートPor3に接続されるモニタ用光検知器(MPD)と、を備える。