(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】駆動制御装置
(51)【国際特許分類】
B60L 50/13 20190101AFI20241129BHJP
B60L 13/00 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
B60L50/13
B60L13/00 D
(21)【出願番号】P 2024554027
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 JP2022041078
(87)【国際公開番号】W WO2024095423
(87)【国際公開日】2024-05-10
【審査請求日】2024-10-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 稜
【審査官】柳幸 憲子
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-70742(JP,A)
【文献】特開2013-223264(JP,A)
【文献】国際公開第2019/073822(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/027396(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0314687(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00-3/12,7/00-13/00,15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の内燃機関を動力源とする鉄道車両の駆動を制御する駆動制御装置であって、
前記内燃機関ごとに設けられて該内燃機関に駆動されることで交流電力を発電する発電機ごとに設けられ、交流電力と直流電力との双方向変換が可能な複数のコンバータと、
前記コンバータごとに設けられ、前記コンバータに接続される一次端子と交流電力の供給を受けて動作する負荷装置に接続される二次端子とを有し、直流電力と交流電力との双方向変換が可能な複数の第1インバータと、
前記コンバータごとに設けられ、前記コンバータと前記第1インバータの前記一次端子とに接続され、該コンバータまたは該第1インバータが出力する直流電力で充電されて前記内燃機関を始動するための電力を蓄電する複数の蓄電装置と、を備え、
前記複数の第1インバータの前記二次端子は互いに接続され、
前記複数の内燃機関の始動時に、前記コンバータはそれぞれ、直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を前記発電機に供給し、
前記複数の内燃機関の一部のみが始動しているときに、始動していない前記内燃機関に前記発電機および前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータは、始動している前記内燃機関に駆動されている前記発電機に前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータから交流電力の供給を受け、供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を前記コンバータおよび前記蓄電装置の少なくともいずれかに供給する、
駆動制御装置。
【請求項2】
前記複数の第1インバータの内、いずれかの前記第1インバータの前記二次端子と他の前記第1インバータの前記二次端子とを、電気的に接続し、または電気的に切り離す少なくとも1つのインバータ用接触器と、
前記インバータ用接触器を投入または開放する第1接触器制御部と、をさらに備える、 請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項3】
前記第1接触器制御部は、前記複数の内燃機関の始動時に、前記インバータ用接触器のそれぞれを投入する、
請求項2に記載の駆動制御装置。
【請求項4】
前記第1接触器制御部は、前記複数の内燃機関の一部のみが始動しているときに、少なくとも1つの前記インバータ用接触器を投入することで、始動していない前記内燃機関に前記発電機および前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータの前記二次端子と始動している前記内燃機関に駆動されている前記発電機に前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータの前記二次端子とを電気的に接続する、
請求項2に記載の駆動制御装置。
【請求項5】
前記複数の内燃機関の一部のみが始動しているときに、前記第1接触器制御部によって前記インバータ用接触器が投入されると、始動していない前記内燃機関に前記発電機および前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータは、始動している前記内燃機関に駆動されている前記発電機に前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータから交流電力の供給を受け、供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を前記一次端子に接続されている前記蓄電装置に供給し、前記蓄電装置は前記第1インバータから供給される直流電力で充電される、
請求項4に記載の駆動制御装置。
【請求項6】
前記複数の内燃機関の一部のみが始動しているときに、前記第1接触器制御部によって前記インバータ用接触器が投入されると、始動していない前記内燃機関に前記発電機および前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータは、始動している前記内燃機関に駆動される前記発電機に前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータから交流電力の供給を受け、供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を前記一次端子に接続されている前記コンバータに供給し、前記コンバータは、前記第1インバータから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を接続されている前記発電機に供給する、
請求項4に記載の駆動制御装置。
【請求項7】
前記蓄電装置ごとに設けられ、前記蓄電装置を前記コンバータと前記第1インバータの前記一次端子とに電気的に接続し、または前記蓄電装置を前記コンバータと前記第1インバータの前記一次端子から電気的に切り離す複数の蓄電装置用接触器と、
前記蓄電装置用接触器を投入または開放する第2接触器制御部と、をさらに備え、
前記第2接触器制御部は、前記複数の内燃機関の始動時に、前記蓄電装置用接触器のそれぞれを投入し、前記内燃機関が始動し、始動している前記内燃機関に駆動されている前記発電機に接続されている前記コンバータから直流電力の供給を受けて前記蓄電装置が充電されると、充電された前記蓄電装置に接続されている前記蓄電装置用接触器を開放する、
請求項4から6のいずれか1項に記載の駆動制御装置。
【請求項8】
前記第2接触器制御部は、前記複数の内燃機関の始動時に、前記蓄電装置用接触器のそれぞれを投入した後に、前記蓄電装置から前記コンバータに供給される直流電力の電圧が、前記内燃機関の始動に必要な電圧である始動電圧未満であれば、該蓄電装置に接続されている前記蓄電装置用接触器を開放する、
請求項7に記載の駆動制御装置。
【請求項9】
前記第1インバータはそれぞれ、他の第1インバータから供給される交流電力を整流することで直流電力に変換し、変換した直流電力を前記コンバータおよび前記蓄電装置の少なくともいずれかに供給する整流回路を有する、
請求項1から
6のいずれか1項に記載の駆動制御装置。
【請求項10】
前記コンバータごとに設けられ、前記コンバータと前記第1インバータの前記一次端子とに接続され、接続されている前記コンバータまたは前記第1インバータから供給される直流電力を降圧して前記蓄電装置に供給する複数の降圧回路をさらに備え、
前記内燃機関が始動すると、前記コンバータは、始動した前記内燃機関に駆動されている前記発電機が出力する交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を前記第1インバータに供給し、変換した直流電力を、前記降圧回路を介して前記蓄電装置に供給する、
請求項1から
6のいずれか1項に記載の駆動制御装置。
【請求項11】
前記複数の内燃機関の一部のみが始動しているときに、始動していない前記内燃機関に前記発電機および前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータは、始動している前記内燃機関に駆動されている前記発電機に前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータから交流電力の供給を受け、供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を、前記降圧回路を介して前記蓄電装置に供給する、
請求項10に記載の駆動制御装置。
【請求項12】
前記コンバータおよび前記第1インバータを制御する電力変換制御部をさらに備え、
前記複数の内燃機関の一部のみが始動しているときに、
前記電力変換制御部が、始動している前記内燃機関に駆動される前記発電機から交流電力の供給を受ける前記コンバータを制御することで、該コンバータは、供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を前記第1インバータに供給し、
前記電力変換制御部は、該第1インバータを制御することで、該第1インバータは、供給される直流電力を交流電力に変換し、前記負荷装置に供給するための交流電力に変換し、変換した交流電力を前記負荷装置および始動していない前記内燃機関に前記発電機および前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータの二次側に供給する、
請求項1から
6のいずれか1項に記載の駆動制御装置。
【請求項13】
前記コンバータごとに設けられ、前記コンバータから直流電力が供給されると、供給された該直流電力を主電動機に供給するための交流電力に変換し、変換した交流電力を前記主電動機に供給する複数の第2インバータをさらに備え、
前記電力変換制御部は、前記コンバータ、前記第1インバータおよび前記第2インバータを制御し、
前記複数の内燃機関の一部のみが始動しているときに、
前記電力変換制御部は、前記第2インバータを停止させたままで、前記第1インバータを制御する、
請求項12に記載の駆動制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両には、内燃機関を動力源とするものがある。この種の鉄道車両の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示される鉄道車両は、エンジンと、エンジンに駆動されて交流電力を発電する発電機と、発電機が発生させる交流電力を直流電力に変換し、出力するコンバータと、コンバータが出力する直流電力を交流電力に変換し、出力するインバータと、インバータから交流電力の供給を受けて回転する電動機と、コンバータおよびインバータを制御する駆動制御装置と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エンジンを始動するためには、発電機に電力を供給し、発電機を電動機として動作させ、電動機として動作する発電機からエンジンに回転力を伝達する必要がある。発電機に電力を供給するために、エンジンの始動時に必要な電力を蓄電可能な蓄電装置が設けられる。蓄電装置から供給される直流電力をコンバータが交流電力に変換し、変換した交流電力を発電機に供給することで、発電機が電動機として動作し、回転する。発電機の回転によって、エンジンが始動する。
【0005】
エンジンの停止時に、例えば保守作業時の誤操作によって、蓄電装置が他の電子機器に電気的に接続され、蓄電装置が放電してしまうことがある。この結果、次に鉄道車両が運行を開始する際に、エンジンを始動することができなくなる。このとき、蓄電装置から供給される電力でエンジンを始動するためには、蓄電装置を鉄道車両から取り外して、地上の充電設備によって、エンジンを始動させることが可能な程度に蓄電装置を充電し、再度鉄道車両に取り付けるという煩雑な作業が必要となる。
【0006】
本開示は上述の事情に鑑みてなされたものであり、蓄電装置の充電が容易な駆動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の駆動制御装置は、複数の内燃機関を動力源とする鉄道車両の駆動を制御する駆動制御装置であって、交流電力と直流電力との双方向変換が可能な複数のコンバータと、直流電力と交流電力との双方向変換が可能な複数の第1インバータと、複数の蓄電装置と、を備える。コンバータは、内燃機関ごとに設けられて該内燃機関に駆動されることで交流電力を発電する発電機ごとに設けられる。第1インバータは、コンバータごとに設けられ、コンバータに接続される一次端子と交流電力の供給を受けて動作する負荷装置に接続される二次端子とを有する。蓄電装置は、コンバータごとに設けられ、コンバータと第1インバータの一次端子とに接続され、該コンバータまたは該第1インバータが出力する直流電力で充電されて内燃機関を始動するための電力を蓄電する。複数の第1インバータの二次端子は互いに接続される。複数の内燃機関の始動時に、コンバータはそれぞれ、直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を発電機に供給する。複数の内燃機関の一部のみが始動しているときに、始動していない内燃機関に発電機およびコンバータを介して接続されている第1インバータは、始動している内燃機関に駆動されている発電機にコンバータを介して接続されている第1インバータから交流電力の供給を受け、供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力をコンバータおよび蓄電装置の少なくともいずれかに供給する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の駆動制御装置において、複数の内燃機関の一部のみが始動しているときに、始動していない内燃機関に発電機およびコンバータを介して接続されている第1インバータは、始動している内燃機関に発電機およびコンバータを介して接続されている第1インバータから供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力をコンバータおよび蓄電装置の少なくともいずれかに供給する。蓄電装置に第1インバータから直流電力が供給されると、蓄電装置を充電することが可能となり、コンバータが、充電された蓄電装置から供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を発電機に供給することで、内燃機関を始動することが可能となる。コンバータに第1インバータから直流電力が供給されると、コンバータが、第1インバータから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を発電機に供給することで、内燃機関を始動することが可能となる。始動した該内燃機関に駆動される発電機によって発電される交流電力が、コンバータで直流電力に変換され、蓄電装置に供給されると、蓄電装置を充電することが可能となる。このように、本開示の駆動制御装置によれば、蓄電装置を鉄道車両から取り外して充電設備による充電を行う必要がなく、蓄電装置の充電が容易な駆動制御装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る駆動制御装置の構成を示すブロック図
【
図2】実施の形態1に係る第1インバータの構成を示すブロック図
【
図3】実施の形態1に係る制御部の構成を示すブロック図
【
図4】実施の形態1に係る制御部のハードウェア構成を示すブロック図
【
図5】各蓄電装置が充電されているときに実施の形態1に係る駆動制御装置が行う内燃機関の始動および蓄電装置の充電の動作の一例を示すタイミングチャート
【
図6】一部の蓄電装置が放電した状態で実施の形態1に係る駆動制御装置が行う内燃機関の始動および蓄電装置の充電の動作の一例を示すタイミングチャート
【
図7】実施の形態1に係る駆動制御装置における電流の流れの一例を示す図
【
図8】一部の充電装置が放電した状態で実施の形態2に係る駆動制御装置が行う内燃機関の始動および蓄電装置の充電の動作の一例を示すタイミングチャート
【
図9】実施の形態2に係る駆動制御装置における電流の流れの一例を示す図
【
図10】実施の形態に係る駆動制御装置の第1変形例の構成を示すブロック図
【
図11】一部の蓄電装置が放電した状態で実施の形態に係る駆動制御装置が行う内燃機関の始動および蓄電装置の充電の動作の他の一例を示すタイミングチャート
【
図12】実施の形態に係る駆動制御装置の第2変形例の構成を示すブロック図
【
図13】実施の形態に係る駆動制御装置の第2変形例における電流の流れの一例を示す図
【
図14】実施の形態に係る駆動制御装置の第2変形例における電流の流れの他の一例を示す図
【
図15】実施の形態に係る制御部のハードウェア構成の変形例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態に係る駆動制御装置について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0011】
(実施の形態1)
複数の内燃機関を動力源とする鉄道車両を例にして、鉄道車両の駆動を制御する駆動制御装置について説明する。複数の車両100a,100bで編成される鉄道車両を駆動する鉄道車両用駆動装置100を
図1に示す。
【0012】
鉄道車両用駆動装置100は、動力源である内燃機関91a,91bと、内燃機関91a,91bに駆動されることで交流電力を発電する発電機92a,92bと、発電機92a,92bで発電された電力を主電動機93a,93bに供給することで鉄道車両の駆動を制御する駆動制御装置1と、を備える。鉄道車両用駆動装置100は、駆動制御装置1から交流電力の供給を受けて回転することで鉄道車両の推進力を発生させる主電動機93a,93bと、駆動制御装置1から電力の供給を受けて動作する負荷装置94a,94bと、を備える。
【0013】
駆動制御装置1は、発電機92aから供給される交流電力を、主電動機93aおよび負荷装置94aのそれぞれに適した交流電力に変換し、変換した交流電力を主電動機93aおよび負荷装置94aに供給する主変換装置1aと、発電機92bから供給される交流電力を、主電動機93bおよび負荷装置94bのそれぞれに適した交流電力に変換し、変換した交流電力を主電動機93bおよび負荷装置94bに供給する主変換装置1bと、を有する。
【0014】
内燃機関91a、発電機92a、主変換装置1a、主電動機93a、および負荷装置94aは、車両100aに搭載される。内燃機関91b、発電機92b、主変換装置1b、主電動機93b、および負荷装置94bは、車両100bに搭載される。
【0015】
内燃機関91a,91bは、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン等である。内燃機関91a,91bの出力軸はそれぞれ、発電機92a,92bのシャフトに固定されている。これにより、鉄道車両の運行開始時には、発電機92a,92bを電動機として動作させて回転させることで、内燃機関91a,91bを始動することが可能となる。内燃機関91a,91bの始動後には、内燃機関91a,91bの回転にともなって、発電機92a,92bが回転し、交流電力を発電する。内燃機関91a,91bの回転数は、図示しない内燃機関制御部によって制御される。
【0016】
内燃機関制御部は、運転台に設けられた始動スイッチの操作に応じて変化する始動指令信号、運転台に設けられた主幹制御器の操作に応じて変化する運転指令信号、および図示しない速度センサが測定する内燃機関91a,91bの回転数を取得する。内燃機関制御部は、始動指令信号、運転指令信号、および内燃機関91a,91bの回転数の測定値に基づいて目標回転数を決定し、目標回転数に内燃機関91a,91bの回転数を近づける制御を行う。
【0017】
発電機92a,92bはそれぞれ、内燃機関91a,91bが始動していないときに、駆動制御装置1から交流電力の供給を受けると、電動機として動作し、回転する。発電機92a,92bはそれぞれ、内燃機関91a,91bの始動後に、内燃機関91a,91bに駆動されて交流電力を発電し、発電した交流電力を駆動制御装置1に供給する。発電機92a,92bは、例えば、誘導発電機である。
【0018】
主電動機93a,93bはそれぞれ、駆動制御装置1から交流電力の供給を受けて駆動され、鉄道車両の推進力を生じさせる。図の複雑化を避けるため、
図1において、主電動機93a,93bは、1つずつ記載されているが、各車両には複数の主電動機が搭載される。具体的には、車両100aには、複数の主電動機93a、例えば、4つの主電動機93aが搭載される。車両100bには、複数の主電動機93b、例えば、4つの主電動機93bが搭載される。主電動機93a,93bは、例えば、三相誘導電動機である。
【0019】
負荷装置94a,94bはそれぞれ、駆動制御装置1から交流電力の供給を受けて動作する。負荷装置94a,94bは、例えば、照明機器、空調機器等の車載機器である。
【0020】
駆動制御装置1は、内燃機関91a,91bに対応して設けられる発電機92a,92bにそれぞれ接続され、交流電力と直流電力との双方向変換が可能な複数のコンバータ11a,11bと、コンバータ11a,11bにそれぞれ接続され、直流電力と交流電力との双方向変換が可能な複数の第1インバータ12a,12bと、を備える。駆動制御装置1は、コンバータ11a,11bおよび第1インバータ12a,12bにそれぞれ接続される複数の蓄電装置13a,13bを備える。駆動制御装置1はさらに、コンバータ11a,11bにそれぞれ接続される第2インバータ14a,14bを備える。接続とは、電気的に接続されることを意味するものとする。
【0021】
詳細には、駆動制御装置1が備える主変換装置1aは、発電機92aから供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を出力するコンバータ11aと、コンバータ11aから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を負荷装置94aに出力する第1インバータ12aと、コンバータ11aから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を主電動機93aに供給する第2インバータ14aと、コンバータ11a、第1インバータ12a、および第2インバータ14aに接続される蓄電装置13aと、を有する。
【0022】
主変換装置1aは、第1インバータ12aが出力する交流電力を負荷装置94aに適した電力とするために、一次端子に第1インバータ12aが接続され、第1インバータ12aが出力する交流電力を変圧する変圧器16aと、変圧器16aの二次端子に接続される交流コンデンサ17aと、を備える。
【0023】
主変換装置1aは、蓄電装置13aとコンバータ11a、第1インバータ12a、および第2インバータ14aとの電気的接続を切り替える蓄電装置用接触器18aと、交流コンデンサ17aと負荷装置94aとの接続点に一端が接続されるインバータ用接触器19aと、を備える。
【0024】
主変換装置1aは、コンバータ11a、第1インバータ12a、第2インバータ14a、蓄電装置用接触器18a、およびインバータ用接触器19aを制御する制御部15aを備える。
【0025】
同様に、駆動制御装置1が備える主変換装置1bは、発電機92bから供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を出力するコンバータ11bと、コンバータ11bから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を負荷装置94bに出力する第1インバータ12bと、コンバータ11bから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を主電動機93bに供給する第2インバータ14bと、コンバータ11b、第1インバータ12b、および第2インバータ14bに接続される蓄電装置13bと、を有する。
【0026】
主変換装置1bは、第1インバータ12bが出力する交流電力を負荷装置94bに適した電力とするために、一次端子に第1インバータ12bが接続され、第1インバータ12bが出力する交流電力を変圧する変圧器16bと、変圧器16bの二次端子に接続される交流コンデンサ17bと、を備える。
【0027】
主変換装置1bは、蓄電装置13bとコンバータ11b、第1インバータ12b、および第2インバータ14bとの電気的接続を切り替える蓄電装置用接触器18bと、交流コンデンサ17bと負荷装置94bとの接続点に一端が接続されるインバータ用接触器19bと、を備える。
【0028】
主変換装置1bは、コンバータ11b、第1インバータ12b、第2インバータ14b、蓄電装置用接触器18b、およびインバータ用接触器19bを制御する制御部15bを備える。
【0029】
例えば車庫に停止している鉄道車両が運行を開始する際に、上記構成を有する駆動制御装置1は、内燃機関91a,91bを始動させる。詳細には、駆動制御装置1は、蓄電装置13a,13bに蓄電されている直流電力をコンバータ11a,11bで交流電力に変換し、変換された交流電力を発電機92a,92bに供給し、発電機92a,92bを電動機として動作させて回転させる。これにより、発電機92a,92bのシャフトが出力軸に固定されている内燃機関91a,91bが回転し、内燃機関91a,91bが始動する。
【0030】
蓄電装置13a,13bの一方が放電していると、発電機92a,92bの一方に交流電力を供給することができないため、内燃機関91a,91bの一方を始動させることができない。このとき、駆動制御装置1は、始動している内燃機関91a,91bの他方によって駆動される発電機92aまたは発電機92bが発電する電力によって蓄電装置13a,13bの両方を充電する。これにより、放電している蓄電装置13a,13bの一方を鉄道車両から取り外して充電設備による充電を行う必要がなく、蓄電装置13a,13bの充電が容易な駆動制御装置1が得られる。
【0031】
上記構成を有する駆動制御装置1の構成の詳細について以下に説明する。コンバータ11aは内燃機関91aに駆動される発電機92aに接続され、コンバータ11bは内燃機関91bに駆動される発電機92bに接続される。詳細には、コンバータ11aの交流側端子は、発電機92aの出力端子に接続され、コンバータ11aの直流側端子は、第1インバータ12a、蓄電装置13a、および第2インバータ14aに接続される。コンバータ11bの交流側端子は、発電機92bの出力端子に接続され、コンバータ11bの直流側端子は、第1インバータ12b、蓄電装置13b、および第2インバータ14bに接続される。
【0032】
コンバータ11a,11bはそれぞれ、内燃機関91a,91bの始動時に、蓄電装置13a,13bから供給される直流電力で充電されるコンデンサと、コンデンサに並列に接続される複数のスイッチング素子と、を有する。コンバータ11a,11bの複数のスイッチング素子が制御部15a,15bにそれぞれ制御されることで、コンバータ11a,11bは、交流電力を直流電力に変換し、または、直流電力を交流電力に変換する。
【0033】
詳細には、コンバータ11a,11bは、接続されている発電機92a,92bから交流電力の供給を受けると、該交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を出力する。具体的には、コンバータ11aは、発電機92aから供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を第1インバータ12a、蓄電装置13a、および第2インバータ14aに供給する。同様に、コンバータ11bは、発電機92bから供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を第1インバータ12b、蓄電装置13b、および第2インバータ14bに供給する。
【0034】
コンバータ11a,11bは、直流電力の供給を受けると、該直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を接続されている発電機92a,92bに供給する。例えば、内燃機関91aの始動時に、コンバータ11aは、蓄電装置13aから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を発電機92aに供給する。これにより、発電機92aが電動機として動作して回転することで、内燃機関91aを始動させることが可能となる。同様に、内燃機関91bの始動時に、コンバータ11bは、蓄電装置13bから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を発電機92bに供給する。これにより、発電機92bが電動機として動作して回転することで、内燃機関91bを始動させることが可能となる。
【0035】
第1インバータ12a,12bは静止形のインバータであって、出力電圧および出力周波数が一定に維持される。第1インバータ12aは、コンバータ11aに接続される直流側端子である一次端子21a,22aと、変圧器16aおよび交流コンデンサ17aを介して負荷装置94aに接続される交流側端子である二次端子23a,24a,25aと、を有する。第1インバータ12bは、コンバータ11bに接続される直流側端子である一次端子21b,22bと、変圧器16bおよび交流コンデンサ17bを介して負荷装置94bに接続される交流側端子である二次端子23b,24b,25bと、を有する。第1インバータ12aの二次端子23a,24a,25bはそれぞれ、第1インバータ12bの二次端子23b,24b,25bにインバータ用接触器19a,19bを介して接続されている。
【0036】
第1インバータ12aは、一次端子21a,22aに接続されているコンバータ11aから直流電力の供給を受けると、該直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を二次端子23a,24a,25aに接続されている負荷装置94aに供給する。同様に、第1インバータ12bは、一次端子21b,22bに接続されているコンバータ11bから直流電力の供給を受けると、該直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を二次端子23b,24b,25bに接続されている負荷装置94bに供給する。
【0037】
第1インバータ12aは、内燃機関91aが始動しておらず、始動している内燃機関91bに発電機92bおよびコンバータ11bを介して接続されている第1インバータ12bから交流電力の供給を受けると、該交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力をコンバータ11aおよび蓄電装置13aに供給する。
【0038】
同様に、第1インバータ12bは、内燃機関91bが始動しておらず、始動している内燃機関91aに発電機92aおよびコンバータ11aを介して接続されている第1インバータ12aから交流電力の供給を受けると、該交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力をコンバータ11bおよび蓄電装置13bに供給する。
【0039】
第1インバータ12a,12bの構成は同じであるため、第1インバータ12aの詳細について説明する。
図2に示すように、第1インバータ12aは、一次端子21a,22aに両端子が接続されるコンデンサC1と、一次端子21a,22aの間に設けられ、互いに直列に接続されたスイッチング素子SW1,SW2と、一次端子21a,22aの間に設けられ、互いに直列に接続されたスイッチング素子SW3,SW4と、一次端子21a,22aの間に設けられ、互いに直列に接続されたスイッチング素子SW5,SW6と、を有する。
【0040】
スイッチング素子SW1,SW2、スイッチング素子SW3,SW4、およびスイッチング素子SW5,SW6はそれぞれ、U相、V相、およびW相に対応する。スイッチング素子SW1,SW2の接続点は、二次端子23aに接続される。スイッチング素子SW3,SW4の接続点は、二次端子24aに接続される。スイッチング素子SW5,SW6の接続点は、二次端子25aに接続される。
【0041】
スイッチング素子SW1,SW2,SW3,SW4,SW5,SW6は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)、GTO(Gate Turn-Off thyristor)、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor:金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)等である。実施の形態1では、スイッチング素子SW1,SW2,SW3,SW4,SW5,SW6として、IGBTが用いられる。
【0042】
第1インバータ12aは、スイッチング素子SW1,SW2,SW3,SW4,SW5,SW6のそれぞれに並列に接続される還流ダイオードD1,D2,D3,D4,D5,D6を有する。
【0043】
実施の形態1では、還流ダイオードD1のアノードはスイッチング素子SW1のエミッタ端子に接続され、還流ダイオードD1のカソードはスイッチング素子SW1のコレクタ端子に接続される。同様に、還流ダイオードD2のアノードはスイッチング素子SW2のエミッタ端子に接続され、還流ダイオードD2のカソードはスイッチング素子SW2のコレクタ端子に接続される。
【0044】
同様に、還流ダイオードD3のアノードはスイッチング素子SW3のエミッタ端子に接続され、還流ダイオードD3のカソードはスイッチング素子SW3のコレクタ端子に接続される。同様に、還流ダイオードD4のアノードはスイッチング素子SW4のエミッタ端子に接続され、還流ダイオードD4のカソードはスイッチング素子SW4のコレクタ端子に接続される。
【0045】
同様に、還流ダイオードD5のアノードはスイッチング素子SW5のエミッタ端子に接続され、還流ダイオードD5のカソードはスイッチング素子SW5のコレクタ端子に接続される。同様に、還流ダイオードD6のアノードはスイッチング素子SW6のエミッタ端子に接続され、還流ダイオードD6のカソードはスイッチング素子SW6のコレクタ端子に接続される。
【0046】
還流ダイオードD1,D3,D5のアノードはそれぞれ、第1インバータ12aの二次端子23a,24a,25aに接続される。還流ダイオードD1,D3,D5のカソードは、第1インバータ12aの一次端子21a,21bの内、正極に相当する一次端子21aに接続される。還流ダイオードD2,D4,D6のアノードは、第1インバータ12aの一次端子21a,21bの内、負極に相当する一次端子22aに接続される。還流ダイオードD2,D4,D6のカソードはそれぞれ、第1インバータ12aの二次端子23a,24a,25aに接続される。上述の還流ダイオードD1-D6は、第1インバータ12aの二次端子23a,24a,25aから流入する交流電流を整流し、一次端子21aから出力する。換言すれば、還流ダイオードD1-D6は、第1インバータ12bから供給される交流電力を整流することで直流電力に変換し、コンバータ11aおよび蓄電装置13aの少なくともいずれかに供給する整流回路としての役割を果たす。
【0047】
第1インバータ12a,12bの複数のスイッチング素子SW1-SW6が制御部15a,15bにそれぞれ制御されることで、第1インバータ12a,12bは、直流電力を交流電力に変換し、または、交流電力を直流電力に変換する。
【0048】
図1に示すように、蓄電装置13aは、コンバータ11a、第1インバータ12a、および第2インバータ14aに接続される。蓄電装置13aは、コンバータ11aまたは第1インバータ12aが出力する電力で充電される。同様に、蓄電装置13bは、コンバータ11b、第1インバータ12b、および第2インバータ14bに接続される。蓄電装置13bは、コンバータ11bまたは第1インバータ12bが出力する電力で充電される。蓄電装置13a,13bはそれぞれ、任意の個数の二次電池と、二次電池の端子間電圧を監視する監視装置と、を有する。
【0049】
第2インバータ14aの直流側端子は、コンバータ11a、第1インバータ12a、および蓄電装置13aに接続され、第2インバータ14aの交流側端子は負荷装置94aに接続される。同様に、第2インバータ14bの直流側端子は、コンバータ11b、第1インバータ12b、および蓄電装置13bに接続され、第2インバータ14bの交流側端子は負荷装置94bに接続される。
【0050】
第2インバータ14a,14bはそれぞれ、コンバータ11a,11bが出力する直流電力で充電されるコンデンサと、複数のスイッチング素子と、を有する。第2インバータ14a,14bの複数のスイッチング素子が制御部15a,15bにそれぞれ制御されることで、第2インバータ14a,14bは、直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を主電動機93a,93bに供給する。第2インバータ14a,14bは、例えば、出力電圧および出力周波数が可変な電力変換回路で形成される。
【0051】
変圧器16a,16bは、例えば、デルタスター結線型の変圧器であって、一次側に接続されている第1インバータ12a,12bから供給される交流電力を負荷装置94a,94bに適した電圧に変圧し、変圧した交流電力を二次側から出力する。
【0052】
交流コンデンサ17a,17bはそれぞれ、変圧器16a,16bの二次側に接続される。交流コンデンサ17a,17bはそれぞれ、変圧器16a,16bが有するコイルとともにLCフィルタを形成することで、第1インバータ12a,12bのスイッチング動作によって生じる高調波成分を低減する。
【0053】
蓄電装置用接触器18a,18bはそれぞれ、蓄電装置13a,13bを他の電子機器に電気的に接続し、または、他の電子機器から電気的に切り離す。詳細には、主変換装置1aは、蓄電装置13aの正極端子および負極端子のそれぞれに接続される蓄電装置用接触器18aを有する。各蓄電装置用接触器18aが投入されると、蓄電装置13aは、コンバータ11a、第1インバータ12aおよび第2インバータ14aに接続される。各蓄電装置用接触器18aが開放されると、蓄電装置13aは、コンバータ11a、第1インバータ12aおよび第2インバータ14aから電気的に切り離される。
【0054】
主変換装置1bは、蓄電装置13bの正極端子に接続される蓄電装置用接触器18bと、蓄電装置13bの負極端子に接続される蓄電装置用接触器18bと、を有する。各蓄電装置用接触器18bが投入されると、蓄電装置13bは、コンバータ11b、第1インバータ12bおよび第2インバータ14bに接続される。各蓄電装置用接触器18bが開放されると、蓄電装置13bは、コンバータ11b、第1インバータ12bおよび第2インバータ14bから電気的に切り離される。
【0055】
インバータ用接触器19a,19bは、第1インバータ12a,12bを互いに電気的に接続し、または、互いに電気的に切り離す。詳細には、主変換装置1aは、U相、V相、およびW相のそれぞれに対応して3つのインバータ用接触器19aを有する。主変換装置1bは、U相、V相、およびW相のそれぞれに対応して3つのインバータ用接触器19bを有する。
【0056】
各インバータ用接触器19a,19bが投入されると、第1インバータ12aの二次端子23a,24a,25aと第1インバータ12bの二次端子23b,24b,25bとが互いに電気的に接続される。詳細には、各インバータ用接触器19a,19bが投入されると、変圧器16a,16bの二次端子が互いに電気的に接続されることで、第1インバータ12aの二次端子23a,24a,25aと第1インバータ12bの二次端子23b,24b,25bとがそれぞれ導通する。
【0057】
各インバータ用接触器19a,19bが開放されると、第1インバータ12aの二次端子23a,24a,25aと第1インバータ12bの二次端子23b,24b,25bが互いに電気的に切り離される。詳細には、各インバータ用接触器19a,19bが開放されると、変圧器16a,16bの二次端子が互いに電気的に切り離されることで、第1インバータ12aの二次端子23a,24a,25aと第1インバータ12bの二次端子23b,24b,25bとがそれぞれ非導通の状態となる。
【0058】
制御部15aは、コンバータ11aが有する複数のスイッチング素子、第1インバータ12aが有する複数のスイッチング素子SW1-SW6、第2インバータ14aが有する複数のスイッチング素子、蓄電装置用接触器18a、およびインバータ用接触器19aを制御する。同様に、制御部15bは、コンバータ11bが有する複数のスイッチング素子、第1インバータ12bが有する複数のスイッチング素子SW1-SW6、第2インバータ14bが有する複数のスイッチング素子、蓄電装置用接触器18b、およびインバータ用接触器19bを制御する。
【0059】
制御部15a,15bの構成は同様であるため、制御部15aの構成について説明する。
図3に示すように、制御部15aは、インバータ用接触器19aを投入または開放する第1接触器制御部31と、蓄電装置用接触器18aを投入または開放する第2接触器制御部32と、コンバータ11a、第1インバータ12a、および第2インバータ14aを制御する電力変換制御部33と、を備える。制御部15aは、コンバータ11aと第1インバータ12aとの間の電気回路に印加されている直流電圧(以下、中間リンク電圧という)V1が内燃機関91aを始動するのに十分であるか否かを判定する始動判定部34と、蓄電装置13aの電圧に基づいて蓄電装置13aが充電されているか否かを判定する充電判定部35と、を備える。
【0060】
第1接触器制御部31、第2接触器制御部32、および電力変換制御部33は、運転台から始動指令信号S1を取得する。始動指令信号S1は、例えば、内燃機関91a,91bを停止させておくときにL(Low)レベルであり、内燃機関91a,91bを始動するときにH(High)レベルに設定される信号である。
【0061】
電力変換制御部33は、運転台から運転指令信号S2を取得する。運転指令信号S2は、例えば、鉄道車両の加速度を指示する力行ノッチ、鉄道車両の減速度を指示するブレーキノッチ等を示す信号である。
【0062】
上記構成を有する制御部15aは、制御部15bから情報を取得する。詳細には、制御部15aが有する第1接触器制御部31および電力変換制御部33は、制御部15bが有する始動判定部34の判定結果を取得し、制御部15aが有する第1接触器制御部31は充電判定部35の判定結果を取得する。制御部15bが有する始動判定部34の判定結果は、コンバータ11bと第1インバータ12bとの間の電気回路に印加されている直流電圧である中間リンク電圧V2が内燃機関91bを始動するのに十分であるか否かを示す。充電判定部35の判定結果は、蓄電装置13bが充電されているか否かを示す。
【0063】
制御部15aの各部の詳細について以下に説明する。第1接触器制御部31は、複数の内燃機関91a,91bの一部のみが始動しているときに、インバータ用接触器19aを投入する。詳細には、第1接触器制御部31は、始動指令信号S1がHレベルであって、制御部15aが有する始動判定部34の判定結果が、中間リンク電圧V1が内燃機関91aを始動するのに十分でないことを示し、または制御部15bが有する始動判定部34の判定結果が、中間リンク電圧V2が内燃機関91bを始動するのに十分でないことを示せば、インバータ用接触器19aを投入する。
【0064】
第1接触器制御部31は、インバータ用接触器19aを投入した後、制御部15aが有する充電判定部35の判定結果および制御部15bが有する充電判定部35の判定結果がいずれも、蓄電装置13a,13bが十分に充電されていることを示すと、インバータ用接触器19aを開放する。
【0065】
第2接触器制御部32は、始動指令信号S1がLレベルからHレベルになると、蓄電装置用接触器18aを投入する。第2接触器制御部32は、内燃機関91aの始動後、充電判定部35の判定結果が、蓄電装置13aが十分に充電されていることを示すと、蓄電装置用接触器18aを開放する。
【0066】
始動指令信号S1がLレベルからHレベルになった後に、始動判定部34の判定結果が、中間リンク電圧V1が内燃機関91aを始動するのに十分であることを示すとき、電力変換制御部33がコンバータ11aの複数のスイッチング素子を制御することで、コンバータ11aは、直流電力を交流電力に変換する。詳細には、コンバータ11aは、蓄電装置13aから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を発電機92aに供給する。この結果、発電機92aが電動機として動作して回転することで、発電機92aのシャフトに出力軸が固定されている内燃機関91aが回転し、内燃機関91aが始動する。
【0067】
内燃機関91aが始動すると、電力変換制御部33がコンバータ11aの複数のスイッチング素子を制御することで、コンバータ11aは交流電力を直流電力に変換する。詳細には、電力変換制御部33は、速度センサから取得した内燃機関91aの回転数が始動回転数に到達すると、コンバータ11aが有する複数のスイッチング素子を制御する。これにより、コンバータ11aは、内燃機関91aによって駆動されて発電する発電機92aから供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を出力する。始動回転数は、内燃機関91aが始動したとみなすことができる回転数であって、内燃機関91aの使用に応じて定められればよい。
【0068】
電力変換制御部33は、コンバータ11aが有する複数のスイッチング素子を制御することで、コンバータ11aが出力する直流電圧の値を第1インバータ12aおよび第2インバータ14aに供給するために適した値まで上昇させる。電力変換制御部33は、図示しない電圧センサから中間リンク電圧V1の値を取得し、中間リンク電圧V1の値を第1インバータ12aおよび第2インバータ14aに供給するために適した値に近づける制御を行う。電力変換制御部33が上述のようにコンバータ11aが有する複数のスイッチング素子を制御することで、コンバータ11aから蓄電装置13aに直流電力が供給されて蓄電装置13aが充電される。
【0069】
中間リンク電圧V1の値が第1インバータ12aおよび第2インバータ14aに供給するために適した値になると、電力変換制御部33が、第1インバータ12aの複数のスイッチング素子SW1-SW6を制御することで、第1インバータ12aは、直流電力を交流電力に変換する。詳細には、第1インバータ12aは、コンバータ11aから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を負荷装置94aに供給する。
【0070】
運転指令信号S2が力行指令を示すとき、電力変換制御部33が第2インバータ14aの複数のスイッチング素子を制御することで、第2インバータ14aは、コンバータ11aから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を主電動機93aに供給する。
【0071】
始動判定部34は、中間リンク電圧V1が内燃機関91aを始動するのに十分であるか否かを判定する。詳細には、始動判定部34は、電圧センサから中間リンク電圧V1の値を取得し、中間リンク電圧V1の測定値が始動電圧以上であるか否かを判定することを繰り返す。例えば、始動判定部34は上記判定を一定間隔で繰り返す。始動判定部34は、判定結果を第1接触器制御部31、電力変換制御部33、および制御部15bに出力する。中間リンク電圧V1の測定値が始動電圧以上であれば、中間リンク電圧V1が内燃機関91aを始動するのに十分であるとみなすことができる。始動電圧は、内燃機関91aを始動するのに十分な電圧値であって、内燃機関91aおよび発電機92aの仕様に応じて予め定められればよい。
【0072】
充電判定部35は、蓄電装置13aが十分に充電されているか否かを判定する。詳細には、充電判定部35は、蓄電装置13aが有する監視装置から蓄電装置13aが有する二次電池の端子間電圧の測定値を取得し、二次電池の端子間電圧の測定値が充電閾値以上であるか否かを判定することを繰り返す。例えば、充電判定部35は、上記判定を一定間隔で繰り返す。充電判定部35は、判定結果を第1接触器制御部31、第2接触器制御部32、および制御部15bに出力する。二次電池の端子間電圧の測定値が充電閾値以上であれば、蓄電装置13aが十分に充電されているとみなすことができる。充電閾値は、蓄電装置13aの仕様に応じて定められればよい。
【0073】
上記構成を有する制御部15a,15bのハードウェア構成は同様であるため、制御部15aのハードウェア構成について説明する。
図4に示すように、制御部15aは、プロセッサ81と、メモリ82と、インターフェース83と、を備える。プロセッサ81、メモリ82、およびインターフェース83は、互いにバス80で接続されている。制御部15aの各部の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ82に格納される。プロセッサ81が、メモリ82に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、上述の各部の機能が実現される。すなわち、メモリ82には、制御部15aの各部の処理を実行するためのプログラムが格納される。
【0074】
メモリ82は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)等を含む。
【0075】
制御部15aは、インターフェース83を介して、制御部15b、コンバータ11a、第1インバータ12a、第2インバータ14a、蓄電装置用接触器18a、およびインバータ用接触器19aに接続される。インターフェース83は、接続先に応じて、1つまたは複数の規格に準拠したインターフェースモジュールを有する。
【0076】
上記構成を有する駆動制御装置1が行う内燃機関91a,91bの始動および蓄電装置13a,13bの充電について
図5および
図6を用いて説明する。蓄電装置13a,13bの両方が十分に充電されているときの駆動制御装置1の動作の例を
図5に示す。
図5のグラフAに示すように、始動指令信号S1がLレベルからHレベルになるタイミングを時刻T1とする。時刻T1より前の時刻では、蓄電装置用接触器18a,18bおよびインバータ用接触器19a,19bは開放されており、コンバータ11a,11b、第1インバータ12a,12bおよび第2インバータ14a,14bは停止しているものとする。したがって、時刻T1より前の時刻では、内燃機関91a,91b、発電機92a,92b、主電動機93a,93bおよび負荷装置94a,94bはいずれも停止している。
【0077】
時刻T1において、始動指令信号S1がLレベルからHレベルになると、
図5のグラフBに示すように、主変換装置1aが備える制御部15aが有する第2接触器制御部32は、蓄電装置用接触器18aを投入する。蓄電装置用接触器18aが投入されると、蓄電装置13aからコンバータ11aに直流電力が供給され、
図5のグラフCに示すように、時刻T1において、蓄電装置13aの電圧は電圧値Va1から減少し始める。電圧値Va1は、蓄電装置13aに内燃機関91aを始動するために十分な電力が充電されているときの蓄電装置13aの電圧値である。時刻T1以降、蓄電装置13aから放電される直流電力で、コンバータ11aが有するコンデンサが充電される。換言すれば、中間リンク電圧V1が増大する。
【0078】
蓄電装置13aからコンバータ11aに供給される直流電力でコンバータ11aが有するコンデンサが充電され、中間リンク電圧V1の値が始動電圧に到達する時刻を時刻T2とする。
【0079】
時刻T2において、制御部15aが有する始動判定部34は、中間リンク電圧V1の測定値が始動電圧以上であると判定し、判定結果を制御部15a,15bのそれぞれが有する第1接触器制御部31および電力変換制御部33に送る。始動判定部34の判定結果が、中間リンク電圧V1の測定値が始動電圧以上であることを示すため、制御部15aが有する電力変換制御部33がコンバータ11aの複数のスイッチング素子を制御することで、コンバータ11aが直流電力を交流電力に変換する。詳細には、コンバータ11aは、蓄電装置13aから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を発電機92aに供給する。
【0080】
発電機92aは、コンバータ11aから交流電力の供給を受けると、電動機として動作し、回転する。発電機92aのシャフトは内燃機関91aの出力軸に固定されているため、発電機92aの回転にともなって内燃機関91aが回転し、
図5のグラフDに示すように、内燃機関91aの回転数が増大する。その後、内燃機関91aの回転数が始動回転数R1に到達し、内燃機関91aが始動する時刻を時刻T3とする。時刻T3以降、内燃機関91aの回転数が増大し、発電機92aによる発電が可能となる。
【0081】
時刻T3において、内燃機関91aが始動した後、内燃機関91aの回転数が発電機92aによる発電が可能な回転数に到達すると、内燃機関91aによって駆動される発電機92aが発電を開始する。発電機92aは、発電した交流電力をコンバータ11aに供給する。
【0082】
時刻T3において内燃機関91aが始動した後に、発電機92aからコンバータ11aに交流電力が供給されると、制御部15aが有する電力変換制御部33がコンバータ11aの複数のスイッチング素子を制御することで、コンバータ11aが交流電力を直流電力に変換する。詳細には、コンバータ11aは、内燃機関91aによって駆動されて発電する発電機92aから供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を出力する。
【0083】
時刻T3以降に、制御部15aが有する電力変換制御部33は、コンバータ11aが有する複数のスイッチング素子を制御することで、コンバータ11aが出力する直流電圧の値を第1インバータ12aおよび第2インバータ14aに供給するために適した値まで上昇させる。制御部15aの電力変換制御部33が上述のようにコンバータ11aが有する複数のスイッチング素子を制御することで、コンバータ11aから蓄電装置13aに直流電力が供給される。これにより、放電した蓄電装置13aが充電され、
図5のグラフCに示すように、蓄電装置13aの電圧が電圧値Va2から上昇し始める。電圧値Va2は、電圧値Va1よりも低い値であって、過放電とならず蓄電装置13aの再充電が可能な電圧の値である。その後、蓄電装置13aの電圧が電圧値Va1に到達し、蓄電装置13aの充電が完了する時刻を時刻T4とする。換言すれば、時刻T4において、蓄電装置13aには、次に内燃機関91aを始動するために十分な電力が充電されている。
【0084】
制御部15aが有する充電判定部35は、時刻T4において、蓄電装置13aが有する二次電池の端子間電圧の測定値が充電閾値以上であると判定し、判定結果を制御部15a,15bが有する第1接触器制御部31および制御部15aが有する第2接触器制御部32に送る。
【0085】
制御部15aが有する第2接触器制御部32は、時刻T4において、制御部15aが有する充電判定部35の判定結果が、蓄電装置13aの二次電池の端子間電圧の測定値が充電閾値以上であることを示すと、
図5のグラフBに示すように、蓄電装置用接触器18aを開放する。
【0086】
内燃機関91aが始動した時刻T3以降に、制御部15aが有する電力変換制御部33が上述のようにコンバータ11aの複数のスイッチング素子を制御することで、中間リンク電圧V1の値が第1インバータ12aおよび第2インバータ14aに供給するために適した値まで上昇する。換言すれば、第1インバータ12aが有するコンデンサC1および第2インバータ14aが有するコンデンサが十分に充電される。
【0087】
時刻T3以降に、電圧センサから取得した中間リンク電圧V1の測定値が第1インバータ12aの運転に適した値まで上昇すると、制御部15aが有する電力変換制御部33が、第1インバータ12aの複数のスイッチング素子SW1-SW6を制御することで、第1インバータ12aは、直流電力を交流電力に変換する。詳細には、第1インバータ12aは、コンバータ11aから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を負荷装置94aに供給する。これにより、負荷装置94aの運転が可能となる。
【0088】
時刻T3以降に、電圧センサから取得した中間リンク電圧V1の測定値が第2インバータ14aの運転に適した値まで上昇し、運転指令信号S2が力行指令を示すと、制御部15aが有する電力変換制御部33が力行指令に従って第2インバータ14aの複数のスイッチング素子を制御することで、第2インバータ14aは、直流電力を交流電力に変換する。詳細には、第2インバータ14aは、コンバータ11aから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を主電動機93aに供給する。交流電力の供給を受ける主電動機93aが回転することで鉄道車両の推進力が生じる。
【0089】
主変換装置1bの動作は、上述の主変換装置1aの動作と同様である。詳細には、時刻T1において、始動指令信号S1がLレベルからHレベルになると、
図5のグラフFに示すように、制御部15bが有する第2接触器制御部32は、蓄電装置用接触器18bを投入する。蓄電装置用接触器18bが投入されると、蓄電装置13bからコンバータ11bに直流電力が供給され、
図5のグラフGに示すように、時刻T1において、蓄電装置13bの電圧は電圧値Vb1から減少し始める。電圧値Vb1は、蓄電装置13bに内燃機関91bを始動するために十分な電力が充電されているときの蓄電装置13bの電圧値である。時刻T1以降、蓄電装置13bから放電される直流電力で、コンバータ11bが有するコンデンサが充電される。換言すれば、中間リンク電圧V2が増大する。
【0090】
時刻T2において、蓄電装置13bからコンバータ11bに供給される直流電力でコンバータ11bが有するコンデンサが充電され、中間リンク電圧V2の値が閾値電圧に到達する。
【0091】
時刻T2において、制御部15bが有する始動判定部34は、中間リンク電圧V2の測定値が始動電圧以上であると判定し、判定結果を制御部15a,15bのそれぞれが有する第1接触器制御部31および電力変換制御部33に送る。始動判定部34の判定結果が、中間リンク電圧V2の測定値が始動電圧以上であることを示すため、制御部15bが有する電力変換制御部33がコンバータ11bの複数のスイッチング素子を制御することで、コンバータ11bが直流電力を交流電力に変換する。詳細には、コンバータ11bは、蓄電装置13bから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を発電機92bに供給する。
【0092】
発電機92bは、コンバータ11bから交流電力の供給を受けると、電動機として動作し、回転する。発電機92bのシャフトは内燃機関91bの出力軸に固定されているため、発電機92bの回転にともなって内燃機関91bが回転し、
図5のグラフHに示すように、内燃機関91bの回転数が増大する。その後、時刻T3において、内燃機関91bの回転数が始動回転数R1に到達し、内燃機関91bが始動する。時刻T3以降、内燃機関91bの回転数が増大し、発電機92bによる発電が可能となる。
【0093】
時刻T3において、内燃機関91bが始動した後、内燃機関91bの回転数が発電機92bによる発電が可能な回転数に到達すると、内燃機関91bによって駆動される発電機92bが発電を開始する。発電機92bは、発電した交流電力をコンバータ11bに供給する。
【0094】
時刻T3において内燃機関91bが始動した後に、発電機92bからコンバータ11bに交流電力が供給されると、制御部15bが有する電力変換制御部33がコンバータ11bの複数のスイッチング素子を制御することで、コンバータ11bが交流電力を直流電力に変換する。詳細には、コンバータ11bは、内燃機関91bによって駆動されて発電する発電機92bから供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を出力する。
【0095】
時刻T3以降に、制御部15bが有する電力変換制御部33は、コンバータ11bが有する複数のスイッチング素子を制御することで、コンバータ11bが出力する直流電圧の値を第1インバータ12bおよび第2インバータ14bに供給するために適した値まで上昇させる。制御部15bの電力変換制御部33が上述のようにコンバータ11bが有する複数のスイッチング素子を制御することで、コンバータ11bから蓄電装置13bに直流電力が供給される。これにより、放電した蓄電装置13bが充電され、
図5のグラフGに示すように、蓄電装置13bの電圧が電圧値Vb2から上昇し始める。電圧値Vb2は、電圧値Vb1よりも低い値であって、過放電とならず蓄電装置13aの再充電が可能な電圧の値である。その後、時刻T4において、蓄電装置13bの電圧が電圧値Vb1に到達し、蓄電装置13bの充電が完了する。換言すれば、時刻T4において、蓄電装置13bには、次に内燃機関91bを始動するために十分な電力が充電されている。
【0096】
制御部15bが有する充電判定部35は、時刻T4において、蓄電装置13bが有する二次電池の端子間電圧の測定値が充電閾値以上であると判定し、判定結果を制御部15a,15bが有する第1接触器制御部31および制御部15bが有する第2接触器制御部32に送る。
【0097】
制御部15bが有する第2接触器制御部32は、時刻T4において、制御部15bが有する充電判定部35の判定結果が、蓄電装置13bが有する二次電池の端子間電圧の測定値が充電閾値以上であることを示すと、
図5のグラフFに示すように、蓄電装置用接触器18bを開放する。
【0098】
内燃機関91bが始動した時刻T3以降に、制御部15bが有する電力変換制御部33が上述のようにコンバータ11bの複数のスイッチング素子を制御することで、中間リンク電圧V2の値が第1インバータ12bおよび第2インバータ14bに供給するために適した値まで上昇する。換言すれば、第1インバータ12bが有するコンデンサC1および第2インバータ14bが有するコンデンサが十分に充電される。
【0099】
時刻T3以降に、電圧センサから取得した中間リンク電圧V2の測定値が第1インバータ12bの運転に適した値まで上昇すると、制御部15bが有する電力変換制御部33が、第1インバータ12bの複数のスイッチング素子SW1-SW6を制御することで、第1インバータ12bは、直流電力を交流電力に変換する。詳細には、第1インバータ12bは、コンバータ11bから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を負荷装置94bに供給する。これにより、負荷装置94bの運転が可能となる。
【0100】
時刻T3以降に、電圧センサから取得した中間リンク電圧V2の値が第2インバータ14bの運転に適した値まで上昇し、運転指令信号S2が力行指令を示すと、制御部15bが有する電力変換制御部33が力行指令に従って第2インバータ14bが有する複数のスイッチング素子を制御することで、第2インバータ14bは、直流電力を交流電力に変換する。詳細には、第2インバータ14bは、コンバータ11bから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を主電動機93bに供給する。交流電力の供給を受けた主電動機93bが回転することで鉄道車両の推進力が生じる。
【0101】
上述のように、時刻T2において、制御部15a,15bが有する始動判定部34は、中間リンク電圧V1,V2の値が始動電圧以上であると判定する。換言すれば、制御部15aが有する第1接触器制御部31が取得する判定結果はそれぞれ、中間リンク電圧V1が内燃機関91aを始動するのに十分であること、および中間リンク電圧V2が内燃機関91bを始動するのに十分であることを示す。制御部15bが有する第1接触器制御部31が取得する判定結果についても同様である。このため、制御部15a,15bが有する第1接触器制御部31は、インバータ用接触器19a,19bを開放したままとする。このため、
図5のグラフE,Iに示すように、インバータ用接触器19a,19bは開放されたままである。
【0102】
蓄電装置13aが十分に充電されていて、蓄電装置13bが放電した状態であるときの駆動制御装置1の動作の例を
図6に示す。
図6の見方は、
図5の見方と同様である。時刻T1から時刻T4までの駆動制御装置1が有する主変換装置1aの動作は、
図5の例と同様である。
【0103】
主変換装置1bにおいて、蓄電装置13bが放電した状態であるため、時刻T1において蓄電装置13bが有する二次電池の端子間電圧の値は十分に小さい値である。例えば、
図6のグラフGに示すように、蓄電装置13bが有する二次電池の端子間電圧の値は、電圧値Vb2である。時刻T1において、始動指令信号S1がLレベルからHレベルになると、
図6のグラフFに示すように、制御部15bが有する第2接触器制御部32は、蓄電装置用接触器18bを投入する。蓄電装置用接触器18bが投入されても、蓄電装置13bが放電した状態であるため、蓄電装置13bからコンバータ11bに内燃機関91bを始動するために十分な直流電力が供給されない。
【0104】
このため、時刻T2においても、主変換装置1bにおいて、中間リンク電圧V2の値は、始動電圧に到達しない。時刻T2において、制御部15bが有する始動判定部34は、中間リンク電圧V2が始動電圧未満であると判定し、判定結果を制御部15a,15bのそれぞれが有する第1接触器制御部31および電力変換制御部33に送る。
【0105】
制御部15bが有する第1接触器制御部31は、中間リンク電圧V2が始動電圧未満であることを示す判定結果を取得すると、
図6のグラフIに示すように、インバータ用接触器19bを投入する。
【0106】
制御部15bが有する電力変換制御部33は、中間リンク電圧V2が始動電圧未満であることを示す判定結果を取得すると、コンバータ11b、第1インバータ12bおよび第2インバータ14bのいずれも停止したままとする。このため、
図6のグラフHに示すように、内燃機関91bは始動することができない。
【0107】
時刻T4以降の駆動制御装置1の動作について以下に説明する。時刻T4において蓄電装置13aの充電が完了し、蓄電装置用接触器18aが開放されると、実施の形態1と同様に、制御部15aが有する電力変換制御部33がコンバータ11aの複数のスイッチング素子を制御することで、中間リンク電圧V1の値が第1インバータ12aおよび第2インバータ14aに供給するために適した値まで上昇する。
【0108】
時刻T4以降に、電圧センサから取得した中間リンク電圧V1の測定値が第1インバータ12aの運転に適した値に到達すると、制御部15aが有する電力変換制御部33が第1インバータ12aの複数のスイッチング素子SW1-SW6を制御することで、第1インバータ12aは、直流電力を交流電力に変換する。詳細には、第1インバータ12aは、コンバータ11aから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を負荷装置94aに供給する。これにより、負荷装置94aの運転が可能となる。
【0109】
時刻T2において、制御部15aが有する電力変換制御部33は、中間リンク電圧V2が始動電圧未満であることを示す判定結果を取得している。このため、時刻T4以降に、電圧センサから取得した中間リンク電圧V1の測定値が第2インバータ14aの運転に適した値まで上昇し、運転指令信号S2が力行指令を示しても、制御部15aが有する電力変換制御部33は、第2インバータ14aを停止したままにする。これにより、内燃機関91a,91bの一部のみが始動している状態で、鉄道車両が動き出すことが抑制される。
【0110】
時刻T2において、制御部15aが有する第1接触器制御部31は、中間リンク電圧V2が始動電圧未満であることを示す判定結果を取得している。この判定結果に応じて、第1接触器制御部31がインバータ用接触器19aを制御する時刻を時刻T5とする。詳細には、
図6のグラフEに示すように、制御部15aが有する第1接触器制御部31は、内燃機関91aが始動して、内燃機関91aによって駆動される発電機92aが発電した電力に基づいて蓄電装置13aが充電された後に、時刻T5において、インバータ用接触器19aを投入する。
【0111】
インバータ用接触器19bはすでに時刻T2において投入されているため、時刻T5においてインバータ用接触器19aが投入されると、始動していない内燃機関91bに発電機92bおよびコンバータ11bを介して接続されている第1インバータ12bの二次端子23b,24b,25bと始動している内燃機関91aに発電機92aおよびコンバータ11aを介して接続されている第1インバータ12aの二次端子23a,24a,25aとが電気的に接続される。換言すれば、始動していない内燃機関91bに発電機92bおよびコンバータ11bを介して接続されている第1インバータ12bと始動している内燃機関91aに発電機92aおよびコンバータ11aを介して接続されている第1インバータ12aとの間の電気回路に設けられているインバータ用接触器19a,19bが投入されることで、第1インバータ12bの二次端子23b,24b,25bと第1インバータ12aの二次端子23a,24a,25aとが導通する。この結果、
図7に実線の矢印で示すように、第1インバータ12aが出力する交流電力がインバータ用接触器19a,19bを介して、第1インバータ12bおよび負荷装置94bに供給される。これにより、負荷装置94bの運転が可能となる。
【0112】
第1インバータ12bは、スイッチング素子SW1-SW6がオフの状態で、二次側に第1インバータ12aから交流電力が供給されると、交流電力を整流することで直流電力に変換し、変換した直流電力を出力する。詳細には、
図2に示す還流ダイオードD1-D6によって、第1インバータ12aの二次側に供給される交流電力は整流される。
図7に点線の矢印で示すように、第1インバータ12bは、直流電力をコンバータ11bおよび蓄電装置13bに供給する。
【0113】
これにより、蓄電装置13bが充電されると、
図6のグラフGに示すように、蓄電装置13bの電圧が上昇し始める。その後、蓄電装置13bの充電が完了する時刻を時刻T6とする。換言すれば、時刻T6において、蓄電装置13bには、内燃機関91bを始動するために十分な電力が充電されている。
【0114】
制御部15bが有する充電判定部35は、時刻T6において、蓄電装置13bが有する二次電池の端子間電圧の測定値が充電閾値以上であると判定し、判定結果を制御部15a,15bが有する第1接触器制御部31および制御部15bが有する第2接触器制御部32に送る。
【0115】
図6のグラフE,Iに示すように、時刻T6において、制御部15a,15bが有する第1接触器制御部31はそれぞれ、インバータ用接触器19a,19bが投入された状態で、蓄電装置13bが有する二次電池の端子間電圧の測定値が充電閾値以上であることを示す判定結果を取得すると、インバータ用接触器19a,19bを開放する。
【0116】
図6のグラフFに示すように、時刻T6において、制御部15bが有する第2接触器制御部32は、蓄電装置13bが有する二次電池の端子間電圧の測定値が充電閾値以上であることを示す判定結果を取得すると、蓄電装置用接触器18bを開放する。
【0117】
時刻T5からT6までの間に、コンバータ11bが有するコンデンサは、第1インバータ12bから供給される直流電力で充電されるため、時刻T6において、中間リンク電圧V2は、始動電圧に到達する。
【0118】
時刻T6において、制御部15bが有する始動判定部34は、中間リンク電圧V2の測定値が始動電圧以上であると判定し、判定結果を制御部15a,15bのそれぞれが有する第1接触器制御部31および電力変換制御部33に送る。
【0119】
したがって、時刻T6以降、制御部15bが有する電力変換制御部33がコンバータ11bの複数のスイッチング素子を制御することで、コンバータ11bから発電機92bに交流電力を供給し、
図6のグラフHに示すように、内燃機関91bを始動することが可能となる。内燃機関91bを始動する際の駆動制御装置1の動作は、
図5の例と同様である。
【0120】
以上説明した通り、実施の形態1に係る駆動制御装置1によれば、蓄電装置13a,13bのいずれかが放電しているために内燃機関91a,91bの一部のみが始動しているときに、蓄電装置13a,13bのいずれも充電することが可能となる。蓄電装置13a,13bのいずれかが放電しているときも、放電している蓄電装置13aまたは蓄電装置13bを鉄道車両から取り外して充電設備による充電を行う必要がなく、蓄電装置13a,13bの充電が容易な駆動制御装置1が得られる。
【0121】
(実施の形態2)
蓄電装置13a,13bの充電方法は、上述の例に限られない。実施の形態1と異なる方法で蓄電装置13a,13bを充電する駆動制御装置1について実施の形態2で説明する。実施の形態2に係る駆動制御装置1の構成は、実施の形態1と同様である。ただし、制御部15a,15bが有する第2接触器制御部32は、始動判定部34から判定結果を取得し、速度センサから内燃機関91a,91bの回転数を取得する。
【0122】
蓄電装置13a,13bの両方が十分に充電されているときの駆動制御装置1の動作は、実施の形態1と同様である。蓄電装置13aが十分に充電されていて、蓄電装置13bが放電した状態であるときの駆動制御装置1の動作の例を
図8に示す。
図8の見方は、
図6の見方と同様である。時刻T1から時刻T4までの駆動制御装置1が有する主変換装置1aの動作は、
図6に示す実施の形態1に係る主変換装置1aの動作と同様である。
【0123】
主変換装置1bにおいて、蓄電装置13bが放電した状態であるため、時刻T1において蓄電装置13bが有する二次電池の端子間電圧の値は十分に小さい値である。例えば、
図8のグラフGに示すように、蓄電装置13bが有する二次電池の端子間電圧の値は、電圧値Vb2である。時刻T1において、始動指令信号S1がLレベルからHレベルになると、
図8のグラフFに示すように、制御部15bが有する第2接触器制御部32は、蓄電装置用接触器18bを投入する。蓄電装置用接触器18bが投入されても、蓄電装置13bが放電した状態であるため、蓄電装置13bからコンバータ11bに内燃機関91bを始動するために十分な直流電力が供給されない。
【0124】
このため、時刻T2においても、主変換装置1bにおいて、中間リンク電圧V2の値は、始動電圧に到達しない。時刻T2において、制御部15bが有する始動判定部34は、中間リンク電圧V2が始動電圧未満であると判定し、判定結果を制御部15a,15bのそれぞれが有する第1接触器制御部31および電力変換制御部33ならびに制御部15bが有する第2接触器制御部32に送る。
【0125】
制御部15bが有する第1接触器制御部31は、中間リンク電圧V2が始動電圧未満であることを示す判定結果を取得すると、
図8のグラフIに示すように、インバータ用接触器19bを投入する。
【0126】
制御部15bが有する第2接触器制御部32は、中間リンク電圧V2が始動電圧未満であることを示す判定結果を取得すると、
図8のグラフFに示すように、蓄電装置用接触器18bを開放する。
【0127】
制御部15bが有する電力変換制御部33は、中間リンク電圧V2が始動電圧未満であることを示す判定結果を取得すると、コンバータ11b、第1インバータ12bおよび第2インバータ14bのいずれも停止したままとする。このため、
図8のグラフHに示すように、内燃機関91aの回転数が増大し始める時刻T2の時点で、内燃機関91bの回転数は増大せず、内燃機関91bは始動することができない。
【0128】
時刻T4以降の駆動制御装置1の動作について以下に説明する。時刻T4において蓄電装置13aの充電が完了し、蓄電装置用接触器18aが開放されると、実施の形態1と同様に、制御部15aが有する電力変換制御部33がコンバータ11aの複数のスイッチング素子を制御することで、中間リンク電圧V1の値が第1インバータ12aおよび第2インバータ14aに供給するために適した値まで上昇する。
【0129】
時刻T4以降に、電圧センサから取得した中間リンク電圧V1の測定値が第1インバータ12aの運転に適した値に到達すると、制御部15aが有する電力変換制御部33が第1インバータ12aの複数のスイッチング素子SW1-SW6を制御することで、第1インバータ12aは、直流電力を交流電力に変換する。詳細には、第1インバータ12aは、コンバータ11aから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を負荷装置94aに供給する。これにより、負荷装置94aの運転が可能となる。
【0130】
時刻T2において、制御部15aが有する電力変換制御部33は、中間リンク電圧V2が始動電圧未満であることを示す判定結果を取得している。このため、時刻T4以降に、電圧センサから取得した中間リンク電圧V2の測定値が第2インバータ14bの運転に適した値まで上昇し、運転指令信号S2が力行指令を示しても、制御部15bが有する電力変換制御部33は、第2インバータ14aを停止したままにする。これにより、内燃機関91a,91bの一部のみが始動している状態で、鉄道車両が動き出すことが抑制される。
【0131】
時刻T2において、制御部15aが有する第1接触器制御部31は、中間リンク電圧V2が始動電圧未満であることを示す判定結果を取得する。この判定結果に応じて、時刻T5において、
図8のグラフEに示すように、制御部15aが有する第1接触器制御部31が、インバータ用接触器19aを投入する。
【0132】
インバータ用接触器19bはすでに時刻T2において投入されているため、時刻T5においてインバータ用接触器19aが投入されると、始動していない内燃機関91bに発電機92bおよびコンバータ11bを介して接続されている第1インバータ12bの二次端子23b,24b,25bと始動している内燃機関91aに発電機92aおよびコンバータ11aを介して接続されている第1インバータ12aの二次端子23a,24a,25aとが電気的に接続される。換言すれば、始動していない内燃機関91bに発電機92bおよびコンバータ11bを介して接続されている第1インバータ12bと始動している内燃機関91aに発電機92aおよびコンバータ11aを介して接続されている第1インバータ12aとの間の電気回路に設けられているインバータ用接触器19a,19bが投入されることで、第1インバータ12bの二次端子23b,24b,25bと第1インバータ12aの二次端子23a,24a,25aとが導通する。この結果、
図9に実線の矢印で示すように、第1インバータ12aが出力する交流電力がインバータ用接触器19a,19bを介して、第1インバータ12bおよび負荷装置94bに供給される。これにより、負荷装置94bの運転が可能となる。
【0133】
実施の形態1と同様に、第1インバータ12bは、スイッチング素子SW1-SW6がオフの状態で、二次側に第1インバータ12aから交流電力が供給されると、交流電力を整流することで直流電力に変換し、変換した直流電力を出力する。
図9に点線の矢印で示すように、第1インバータ12bは、直流電力をコンバータ11bに供給する。時刻T5の時点で蓄電装置用接触器18aが開放されているため、第1インバータ12bから蓄電装置13aに直流電力は供給されない。
【0134】
図8に示す時刻T5以降、第1インバータ12bから供給される直流電力で、コンバータ11bが有するコンデンサが充電されると、コンデンサの電圧、換言すれば、中間リンク電圧V2が増大する。コンバータ11bが有するコンデンサが充電され、中間リンク電圧V2の測定値が始動電圧に到達する時刻を時刻T7とする。
【0135】
時刻T7において、制御部15bが有する始動判定部34は、中間リンク電圧V2の測定値が始動電圧以上であると判定し、判定結果を制御部15a,15bのそれぞれが有する第1接触器制御部31および電力変換制御部33ならびに制御部15bが有する第2接触器制御部32に出力する。
【0136】
始動判定部34の判定結果が、中間リンク電圧V1の測定値が始動電圧以上であることを示すため、制御部15bが有する電力変換制御部33がコンバータ11bの複数のスイッチング素子を制御することで、コンバータ11bが直流電力を交流電力に変換する。詳細には、コンバータ11bは、第1インバータ12bから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を発電機92bに供給する。
【0137】
発電機92bは、コンバータ11bから交流電力の供給を受けると、電動機として動作し、回転する。発電機92bのシャフトは内燃機関91bの出力軸に固定されているため、発電機92bの回転にともなって内燃機関91bが回転し、
図8のグラフHに示すように、内燃機関91bの回転数が増大する。その後、内燃機関91bの回転数が始動回転数R1に到達し、内燃機関91bが始動する時刻を時刻T8とする。時刻T8以降、内燃機関91aの回転数が増大し、発電機92aによる発電が可能となる。
【0138】
時刻T8において内燃機関91bの回転数が始動回転数R1に到達すると、制御部15bが有する第2接触器制御部32は、
図8のグラフFに示すように、蓄電装置用接触器18bを投入する。
【0139】
時刻T8において、内燃機関91bが始動した後、内燃機関91bの回転数が発電機92bによる発電が可能な回転数に到達すると、内燃機関91bによって駆動される発電機92bが発電を開始する。発電機92bは、発電した交流電力をコンバータ11bに供給する。
【0140】
時刻T8において内燃機関91bが始動し、発電機92bからコンバータ11bに交流電力が供給されると、制御部15bが有する電力変換制御部33がコンバータ11bの複数のスイッチング素子を制御することで、コンバータ11bが交流電力を直流電力に変換する。詳細には、コンバータ11bは、内燃機関91bによって駆動されて発電する発電機92bから供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を出力する。
【0141】
時刻T8以降に、制御部15bが有する電力変換制御部33は、コンバータ11bが有する複数のスイッチング素子を制御することで、コンバータ11bが出力する直流電圧の値を第1インバータ12bおよび第2インバータ14bに供給するために適した値まで上昇させる。制御部15bの電力変換制御部33が上述のようにコンバータ11bが有する複数のスイッチング素子を制御することで、コンバータ11bから蓄電装置13bに直流電力が供給される。これにより、蓄電装置13bが充電され、
図8のグラフGに示すように、蓄電装置13bの電圧が電圧値Vb2から上昇し始める。その後、蓄電装置13bの充電が完了する時刻を時刻T9とする。換言すれば、時刻T9において、蓄電装置13bには、次に内燃機関91bを始動するために十分な電力が充電されている。
【0142】
制御部15bが有する充電判定部35は、時刻T9において、蓄電装置13bが有する二次電池の端子間電圧の測定値が充電閾値以上であると判定し、判定結果を制御部15a,15bが有する第1接触器制御部31および制御部15bが有する第2接触器制御部32に送る。
【0143】
図8のグラフE,Iに示すように、時刻T9において、制御部15a,15bが有する第1接触器制御部31はそれぞれ、インバータ用接触器19a,19bが投入された状態で、蓄電装置13bが有する二次電池の端子間電圧の測定値が充電閾値以上であることを示す判定結果を取得すると、インバータ用接触器19a,19bを開放する。
【0144】
図8のグラフFに示すように、時刻T9において、制御部15bが有する第2接触器制御部32は、蓄電装置13bが有する二次電池の端子間電圧の測定値が充電閾値以上であることを示す判定結果を取得すると、蓄電装置用接触器18bを開放する。
【0145】
内燃機関91bが始動した時刻T8以降に、制御部15bが有する電力変換制御部33が上述のようにコンバータ11bの複数のスイッチング素子を制御することで、中間リンク電圧V2の値が第1インバータ12bおよび第2インバータ14bに供給するために適した値まで上昇する。換言すれば、第1インバータ12bが有するコンデンサC1および第2インバータ14bが有するコンデンサが十分に充電される。
【0146】
時刻T8以降に、電圧センサから取得した中間リンク電圧V2の測定値が第1インバータ12bの運転に適した値まで上昇すると、制御部15bが有する電力変換制御部33が、第1インバータ12bの複数のスイッチング素子SW1-SW6を制御することで、第1インバータ12bは、直流電力を交流電力に変換する。詳細には、第1インバータ12bは、コンバータ11bから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を負荷装置94bに供給する。これにより、負荷装置94bの運転が可能となる。
【0147】
時刻T8以降に、電圧センサから取得した中間リンク電圧V1の測定値が第2インバータ14aの運転に適した値まで上昇し、運転指令信号S2が力行指令を示すと、制御部15aが有する電力変換制御部33が力行指令に従って第2インバータ14aが有する複数のスイッチング素子を制御することで、第2インバータ14aは、直流電力を交流電力に変換する。詳細には、第2インバータ14aは、コンバータ11aから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を主電動機93aに供給する。交流電力の供給を受けた主電動機93aが回転することで鉄道車両の推進力が生じる。
【0148】
同様に、時刻T8以降に、電圧センサから取得した中間リンク電圧V2の測定値が第2インバータ14bの運転に適した値まで上昇し、運転指令信号S2が力行指令を示すと、制御部15bが有する電力変換制御部33が力行指令に従って第2インバータ14bが有する複数のスイッチング素子を制御することで、第2インバータ14bは、直流電力を交流電力に変換する。詳細には、第2インバータ14bは、コンバータ11bから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を主電動機93bに供給する。交流電力の供給を受けた主電動機93bが回転することで鉄道車両の推進力が生じる。
【0149】
以上説明した通り、実施の形態2に係る駆動制御装置1によれば、蓄電装置13a,13bの一方が放電していても、内燃機関91a,91bの両方を始動することが可能となる。蓄電装置13a,13bのいずれかが放電しているときも、放電している蓄電装置13aまたは蓄電装置13bを鉄道車両から取り外して充電設備による充電を行う必要がなく、蓄電装置13a,13bの充電が容易な駆動制御装置1が得られる。
【0150】
本開示は、上述の例に限られない。上述の回路構成は一例であり、任意に変更が可能である。一例として、第1インバータ12a,12bの回路構成は、
図2の例に限られず、コンバータ11a,11bから直流電力が供給されると、直流電力を交流電力に変換し、他の第1インバータ12a,12bから交流電力の供給を受けると、交流電力を直流電力に変換することができる回路であれば任意である。
【0151】
他の一例として、
図10に示す駆動制御装置2は、上述の駆動制御装置1の構成に加えて、コンバータ11a,11bから供給される直流電力を降圧して蓄電装置13a,13bにそれぞれ供給する降圧回路41a,41bをさらに備える。詳細には、駆動制御装置2が備える主変換装置2aは、コンバータ11aから供給される直流電力を降圧し、降圧した直流電力を蓄電装置13aに供給する降圧回路41aを有する。駆動制御装置2が備える主変換装置2bは、コンバータ11bから供給される直流電力を降圧し、降圧した直流電力を蓄電装置13bに供給する降圧回路41bを有する。
【0152】
実施の形態1のように、内燃機関91a,91bの始動直後に、コンバータ11a,11bの出力電圧が第1インバータ12a,12bおよび第2インバータ14a,14bに適した値まで上昇しても、降圧回路41a,41bが降圧した直流電力を蓄電装置13a,13bに供給するため、蓄電装置13a,13bを高電圧に耐え得る大型の蓄電装置にする必要がない。このため、駆動制御装置2の大型化を抑制することが可能となる。
【0153】
駆動制御装置2において、蓄電装置13a,13bの一方が放電しているために、内燃機関91aまたは内燃機関91bのみが始動しているときは、第1インバータ12a,12bの一方は、第1インバータ12a,12bの他方から供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を降圧回路41aまたは降圧回路41bを介して、蓄電装置13aまたは蓄電装置13bに供給すればよい。
【0154】
駆動制御装置1の蓄電装置13a,13bの充電の動作は、上述の例に限られない。一例として、駆動制御装置1は、始動指令信号S1がLレベルからHレベルになってから、コンバータ11a,11bのコンデンサの充電に必要な時間である充電期間の経過時に、始動判定部34で中間リンク電圧V1または中間リンク電圧V2が始動電圧未満であると判定されると、始動判定部34の判定結果を運転台に設けられた表示装置に出力してもよい。
【0155】
駆動制御装置1は、上記判定結果を運転台に設けられた表示装置に出力した後に、運転員が放電している蓄電装置13aまたは蓄電装置13bの充電を指示するための充電スイッチを操作したときに、実施の形態1に示すように放電している蓄電装置13aまたは蓄電装置13bの充電を行ってもよい。
【0156】
駆動制御装置1は、始動指令信号S1がLレベルからHレベルになった時点で放電していた蓄電装置13aまたは蓄電装置13bの充電が完了したときに、充電完了した旨を運転台に設けられた表示装置に出力し、駆動制御装置1の停止および再始動を運転員に促してもよい。放電していた蓄電装置13aまたは蓄電装置13bは充電されているため、換言すれば、蓄電装置13a,13bの両方が十分に充電されているため、駆動制御装置1を再始動すると、内燃機関91a,91bの両方が始動する。
【0157】
他の一例として、内燃機関91a,91bの始動直後に、コンバータ11a,11bの出力電圧を第1インバータ12a,12bおよび第2インバータ14a,14bに適した値より低い蓄電装置13a,13bに適した値に維持し、蓄電装置13a,13bを充電してもよい。この場合、制御部15a,15bが有する電力変換制御部33はそれぞれ、充電判定部35の判定結果が蓄電装置13a,13bの充電が完了していることを示すと、コンバータ11a,11bの出力電圧を第1インバータ12a,12bおよび第2インバータ14a,14bに適した値まで増大させ、第1インバータ12a,12bおよび第2インバータ14a,14bを動作させればよい。
【0158】
内燃機関91a,91bの始動後の動作は、上述の例に限られない。第1インバータ12a,12bが同期運転を行うときは、制御部15a,15bが有する第1接触器制御部31は、内燃機関91a,91bの始動直後に、インバータ用接触器19a,19bを投入してもよい。
【0159】
第1接触器制御部31は、内燃機関91a,91bの始動時に、インバータ用接触器19a,19bを投入し、内燃機関91a,91bの両方が始動するとインバータ用接触器19a,19bを開放してもよい。詳細には、制御部15a,15bが有する第1接触器制御部31は、
図11に示すように、時刻T1において、始動指令信号がLレベルからHレベルになると、インバータ用接触器19a,19bを投入してもよい。その後の駆動制御装置1の動作は、
図6に示す実施の形態1に係る駆動制御装置1の動作と同じである。
【0160】
内燃機関91aのみが始動しているときに、制御部15aが有する電力変換制御部33は、力行指令を示す運転指令信号S2を取得すると、制御部15bが有する始動判定部34から取得した判定結果によらず、第2インバータ14aの複数のスイッチング素子を制御してもよい。これにより、第2インバータ14aが直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を主電動機93aに供給する。交流電力の供給を受けた主電動機93aは鉄道車両の推進力を生じさせる。この結果、内燃機関91aのみが始動している状態でも鉄道車両を走行させることが可能となる。
【0161】
1つの鉄道車両に搭載される内燃機関および主変換装置の数は上述の例に限られず、2以上であれば任意である。車両100a,100b,100cで編成される鉄道車両を駆動する鉄道車両用駆動装置200を
図12に示す。鉄道車両用駆動装置200は、鉄道車両用駆動装置100の構成に加えて、動力源である内燃機関91cと、内燃機関91cに駆動されることで交流電力を発電する発電機92cと、交流電力の供給を受けて回転することで鉄道車両の推進力を生じさせる主電動機93cと、交流電力の供給を受けて動作する負荷装置94cと、を備える。
【0162】
鉄道車両用駆動装置200が備える駆動制御装置3は、3つの主変換装置1a,1b,1cを備える。主変換装置1a,1bの構成は、実施の形態1と同様である。主変換装置1cの構成は、主変換装置1a,1bと同様の構成に、インバータ用接触器20cを加えたものである。詳細には、主変換装置1cは、発電機92cから供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を出力するコンバータ11cと、コンバータ11cから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を出力する第1インバータ12cと、コンバータ11cから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を主電動機93cに供給する第2インバータ14cと、コンバータ11c、第1インバータ12c、および第2インバータ14cに接続される蓄電装置13cと、を有する。主変換装置1cは、蓄電装置13cとコンバータ11c、第1インバータ12c、および第2インバータ14cとの電気的接続を切り替える蓄電装置用接触器18cと、インバータ用接触器19c,20cと、を備える。主変換装置1cは、コンバータ11c、第1インバータ12c、第2インバータ14c、蓄電装置用接触器18c、およびインバータ用接触器19cを制御する制御部15cを備える。
【0163】
主変換装置1cは、車両100cに搭載される。
図12において、図の複雑化を避けるため、第1インバータ12a,12b,12cの直流側端子である一次端子および交流側端子である二次端子、第1インバータ12a,12b,12cの二次端子に接続される変圧器および交流コンデンサの記載を省略した。
【0164】
蓄電装置13cが放電した状態であるときは、一例として、
図13に実線の矢印で示すように、第1インバータ12aがインバータ用接触器19a,19cを介して第1インバータ12cに交流電力を供給する。第1インバータ12cは、第1インバータ12aから供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を出力する。
図13に点線の矢印で示すように、第1インバータ12cは、直流電力をコンバータ11cおよび蓄電装置13cに供給する。これにより、蓄電装置13cが充電されると、次に内燃機関91cを始動するために十分な電力を蓄電装置13cに蓄電することが可能となる。
【0165】
蓄電装置13bが放電した状態であるときは、一例として、
図14に実線の矢印で示すように、第1インバータ12cがインバータ用接触器20c,19bを介して第1インバータ12bに交流電力を供給する。第1インバータ12bは、第1インバータ12cから供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を出力する。
図14に点線の矢印で示すように、第1インバータ12bは、直流電力をコンバータ11bおよび蓄電装置13bに供給する。これにより、蓄電装置13bが充電されると、次に内燃機関91bを始動するために十分な電力を蓄電装置13bに蓄電することが可能となる。
【0166】
駆動制御装置1は、実施の形態2と同様に、始動していない内燃機関91a、内燃機関91bまたは内燃機関91cを始動してから、放電している蓄電装置13a、蓄電装置13bまたは蓄電装置13cを充電してもよい。
【0167】
制御部15a,15b,15cのハードウェア構成は、上述の例に限られない。一例として、制御部15aのハードウェア構成の変形例を
図15に示す。制御部15aは、
図15に示すように、処理回路84で実現されてもよい。処理回路84は、インターフェース回路85を介して、制御部15b、コンバータ11a、第1インバータ12a、第2インバータ14a、蓄電装置用接触器18a、およびインバータ用接触器19aに接続される。
【0168】
処理回路84が専用のハードウェアである場合、処理回路84は、例えば、単一回路、複合回路、プロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、または、これらの組み合わせ等を有する。制御部15a,15bの各部は、個別の処理回路84で実現されてもよいし、共通の処理回路84で実現されてもよい。
【0169】
制御部15a,15b,15cの各機能の一部が専用のハードウェアで実現され、他の一部がソフトウェアまたはファームウェアで実現されてもよい。例えば、実施の形態1に係る駆動制御装置1が有する制御部15aにおいて、第1接触器制御部31、第2接触器制御部32、および電力変換制御部33は
図15に示す処理回路84で実現され、始動判定部34および充電判定部35は
図4に示すプロセッサ81がメモリ82に格納されたプログラムを読み出して実行することで実現されてもよい。
【0170】
制御部15a,15b,15cの少なくとも一部は、列車情報管理システムの一機能として実現されてもよい。
【0171】
駆動制御装置1,2,3は、鉄道車両に限られず、複数の内燃機関を動力源とする任意の移動体、例えば、トロリーバスに搭載されてもよい。
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
複数の内燃機関を動力源とする鉄道車両の駆動を制御する駆動制御装置であって、
前記内燃機関ごとに設けられて該内燃機関に駆動されることで交流電力を発電する発電機ごとに設けられ、交流電力と直流電力との双方向変換が可能な複数のコンバータと、
前記コンバータごとに設けられ、前記コンバータに接続される一次端子と交流電力の供給を受けて動作する負荷装置に接続される二次端子とを有し、直流電力と交流電力との双方向変換が可能な複数の第1インバータと、
前記コンバータごとに設けられ、前記コンバータと前記第1インバータの前記一次端子とに接続され、該コンバータまたは該第1インバータが出力する直流電力で充電されて前記内燃機関を始動するための電力を蓄電する複数の蓄電装置と、を備え、
前記複数の第1インバータの前記二次端子は互いに接続され、
前記複数の内燃機関の始動時に、前記コンバータはそれぞれ、直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を前記発電機に供給し、
前記複数の内燃機関の一部のみが始動しているときに、始動していない前記内燃機関に前記発電機および前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータは、始動している前記内燃機関に駆動されている前記発電機に前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータから交流電力の供給を受け、供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を前記コンバータおよび前記蓄電装置の少なくともいずれかに供給する、
駆動制御装置。
(付記2)
前記複数の第1インバータの内、いずれかの前記第1インバータの前記二次端子と他の前記第1インバータの前記二次端子とを、電気的に接続し、または電気的に切り離す少なくとも1つのインバータ用接触器と、
前記インバータ用接触器を投入または開放する第1接触器制御部と、をさらに備える、 付記1に記載の駆動制御装置。
(付記3)
前記第1接触器制御部は、前記複数の内燃機関の始動時に、前記インバータ用接触器のそれぞれを投入する、
付記2に記載の駆動制御装置。
(付記4)
前記第1接触器制御部は、前記複数の内燃機関の一部のみが始動しているときに、少なくとも1つの前記インバータ用接触器を投入することで、始動していない前記内燃機関に前記発電機および前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータの前記二次端子と始動している前記内燃機関に駆動されている前記発電機に前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータの前記二次端子とを電気的に接続する、
付記2に記載の駆動制御装置。
(付記5)
前記複数の内燃機関の一部のみが始動しているときに、前記第1接触器制御部によって前記インバータ用接触器が投入されると、始動していない前記内燃機関に前記発電機および前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータは、始動している前記内燃機関に駆動されている前記発電機に前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータから交流電力の供給を受け、供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を前記一次端子に接続されている前記蓄電装置に供給し、前記蓄電装置は前記第1インバータから供給される直流電力で充電される、
付記4に記載の駆動制御装置。
(付記6)
前記複数の内燃機関の一部のみが始動しているときに、前記第1接触器制御部によって前記インバータ用接触器が投入されると、始動していない前記内燃機関に前記発電機および前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータは、始動している前記内燃機関に駆動される前記発電機に前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータから交流電力の供給を受け、供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を前記一次端子に接続されている前記コンバータに供給し、前記コンバータは、前記第1インバータから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を接続されている前記発電機に供給する、
付記4に記載の駆動制御装置。
(付記7)
前記蓄電装置ごとに設けられ、前記蓄電装置を前記コンバータと前記第1インバータの前記一次端子とに電気的に接続し、または前記蓄電装置を前記コンバータと前記第1インバータの前記一次端子から電気的に切り離す複数の蓄電装置用接触器と、
前記蓄電装置用接触器を投入または開放する第2接触器制御部と、をさらに備え、
前記第2接触器制御部は、前記複数の内燃機関の始動時に、前記蓄電装置用接触器のそれぞれを投入し、前記内燃機関が始動し、始動している前記内燃機関に駆動されている前記発電機に接続されている前記コンバータから直流電力の供給を受けて前記蓄電装置が充電されると、充電された前記蓄電装置に接続されている前記蓄電装置用接触器を開放する、
付記4から6のいずれか1項に記載の駆動制御装置。
(付記8)
前記第2接触器制御部は、前記複数の内燃機関の始動時に、前記蓄電装置用接触器のそれぞれを投入した後に、前記蓄電装置から前記コンバータに供給される直流電力の電圧が、前記内燃機関の始動に必要な電圧である始動電圧未満であれば、該蓄電装置に接続されている前記蓄電装置用接触器を開放する、
付記7に記載の駆動制御装置。
(付記9)
前記第1インバータはそれぞれ、他の第1インバータから供給される交流電力を整流することで直流電力に変換し、変換した直流電力を前記コンバータおよび前記蓄電装置の少なくともいずれかに供給する整流回路を有する、
付記1から8のいずれかに記載の駆動制御装置。
(付記10)
前記コンバータごとに設けられ、前記コンバータと前記第1インバータの前記一次端子とに接続され、接続されている前記コンバータまたは前記第1インバータから供給される直流電力を降圧して前記蓄電装置に供給する複数の降圧回路をさらに備え、
前記内燃機関が始動すると、前記コンバータは、始動した前記内燃機関に駆動されている前記発電機が出力する交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を前記第1インバータに供給し、変換した直流電力を、前記降圧回路を介して前記蓄電装置に供給する、
付記1から9のいずれかに記載の駆動制御装置。
(付記11)
前記複数の内燃機関の一部のみが始動しているときに、始動していない前記内燃機関に前記発電機および前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータは、始動している前記内燃機関に駆動されている前記発電機に前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータから交流電力の供給を受け、供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を、前記降圧回路を介して前記蓄電装置に供給する、
付記10に記載の駆動制御装置。
(付記12)
前記コンバータおよび前記第1インバータを制御する電力変換制御部をさらに備え、
前記複数の内燃機関の一部のみが始動しているときに、
前記電力変換制御部が、始動している前記内燃機関に駆動される前記発電機から交流電力の供給を受ける前記コンバータを制御することで、該コンバータは、供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を前記第1インバータに供給し、
前記電力変換制御部は、該第1インバータを制御することで、該第1インバータは、供給される直流電力を交流電力に変換し、前記負荷装置に供給するための交流電力に変換し、変換した交流電力を前記負荷装置および始動していない前記内燃機関に前記発電機および前記コンバータを介して接続されている前記第1インバータの二次側に供給する、
付記1から11のいずれかに記載の駆動制御装置。
(付記13)
前記コンバータごとに設けられ、前記コンバータから直流電力が供給されると、供給された該直流電力を主電動機に供給するための交流電力に変換し、変換した交流電力を前記主電動機に供給する複数の第2インバータをさらに備え、
前記電力変換制御部は、前記コンバータ、前記第1インバータおよび前記第2インバータを制御し、
前記複数の内燃機関の一部のみが始動しているときに、
前記電力変換制御部は、前記第2インバータを停止させたままで、前記第1インバータを制御する、
付記12に記載の駆動制御装置。
【0172】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。すなわち、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、この開示の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0173】
1,2,3 駆動制御装置、1a,1b,1c,2a,2b 主変換装置、11a,11b,11c コンバータ、12a,12b,12c 第1インバータ、13a,13b,13c 蓄電装置、14a,14b,14c 第2インバータ、15a,15b,15c 制御部、16a,16b 変圧器、17a,17b 交流コンデンサ、18a,18b,18c 蓄電装置用接触器,19a,19b,19c,20c インバータ用接触器、21a,21b,22a,22b 一次端子、23a,23b,24a,24b,25a,25b 二次端子、31 第1接触器制御部、32 第2接触器制御部、33 電力変換制御部、34 始動判定部、35 充電判定部、41a,41b 降圧回路、80 バス、81 プロセッサ、82 メモリ、83 インターフェース、84 処理回路、85 インターフェース回路、91a,91b,91c 内燃機関、92a,92b,92c 発電機、93a,93b,93c 主電動機、94a,94b,94c 負荷装置、100,200 鉄道車両用駆動装置、100a,100b,100c 車両、C1 コンデンサ、D1,D2,D3,D4,D5,D6 還流ダイオード、S1 始動指令信号、S2 運転指令信号、SW1,SW2,SW3,SW4,SW5,SW6 スイッチング素子。