(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】エアーバリケード
(51)【国際特許分類】
E01F 13/02 20060101AFI20241202BHJP
【FI】
E01F13/02 Z
(21)【出願番号】P 2020133017
(22)【出願日】2020-08-05
【審査請求日】2023-06-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【氏名又は名称】湯本 譲司
(74)【代理人】
【識別番号】100223424
【氏名又は名称】和田 雄二
(72)【発明者】
【氏名】永井 潤
(72)【発明者】
【氏名】河合 貴春
(72)【発明者】
【氏名】辻 千之
(72)【発明者】
【氏名】山田 和哉
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-219640(JP,A)
【文献】登録実用新案第3010927(JP,U)
【文献】特開昭57-197306(JP,A)
【文献】特開2006-052625(JP,A)
【文献】特開2008-176249(JP,A)
【文献】特開2001-051636(JP,A)
【文献】実開平06-049515(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 1/00
E01F 13/00-15/14
E01F 9/00-11/00
G09F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアーの注入によって膨張するチューブを備えるエアーバリケードであって、
前記チューブは、
エアーの注入によって膨張する基礎チューブと、
前記基礎チューブと連通しており、前記基礎チューブの膨張と共に膨張して前記基礎チューブから立ち上がる複数の柱チューブと、
前記基礎チューブ及び前記柱チューブの少なくともいずれかに設けられており、前記基礎チューブ及び前記柱チューブにエアーを注入する注入口と、
を有し、
複数の前記柱チューブは、互いに独立して前記基礎チューブから立ち上がり、
前記エアーバリケードは、膨張した前記基礎チューブの軸線を中心とした回転方向への前記基礎チューブの回転を防止する回転防止部を備え、
前記回転防止部は、前記基礎チューブの表面から延びる棒状の取っ手部を含
み、前記基礎チューブの回転を防止する前記回転防止部が前記取っ手部として兼用される、
エアーバリケード。
【請求項2】
前記柱チューブの幅は、前記基礎チューブの幅よりも小さい、
請求項1に記載のエアーバリケード。
【請求項3】
複数の前記柱チューブの間において前記基礎チューブに沿って延在する延在部を備える、
請求項1又は2に記載のエアーバリケード。
【請求項4】
前記基礎チューブ及び前記柱チューブが一体となった2つの第1ユニットと、2つの前記第1ユニットを互いに接続する前記基礎チューブからなる第2ユニットと、を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載のエアーバリケード。
【請求項5】
前記注入口は、前記基礎チューブの端部に設けられている、
請求項1~4のいずれか一項に記載のエアーバリケード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、種々の現場において用いられるエアーバリケードに関する。
【背景技術】
【0002】
現場において用いられるバリケードとしては従来から種々のものが知られている。特開2001-317018号公報には、交通規制用バリケードが記載されている。交通規制バリケードは、コーン状に膨張する複数の標示体と、複数の標示体を互いに連結すると共に当該複数の標示体に連通する複数のエアホースと、複数の標示体を互いに連結する連結バーとを備える。標示体は、外周に立ち上がり部が形成された合成樹脂製の円形底板と、軟質の合成樹脂シートで構成された起立部としての袋体とを備える。立ち上がり部には、互いに反対方向に突出する2つの筒状突起が形成されており、この筒状突起にエアホースが嵌合する。
【0003】
連結バーの両端のそれぞれは各標示体の上部に取り付けられており、エアホースの両端のそれぞれは各標示体の下部にエアを供給する。一対の標示体を互いに連結するエアホースは、伸縮すると共に湾曲する蛇腹状とされている。複数の標示体のうち端部に位置する標示体からは平滑な外周面を有するエアホースが延び出しており、このエアホースにエアポンプが接続されている。エアポンプは、当該エアホースにエアーを供給する。このエアーの供給に伴い、蛇腹状のエアホースのそれぞれを介して各標示体にエアーが供給されて各標示体が膨張する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した交通規制バリケードでは、複数の標示体が、伸縮すると共に湾曲する蛇腹状とされたエアホースを介して互いに連結されている。標示体は、筒状突起を有する合成樹脂製の円形底板と、合成樹脂シートで構成された起立部としての袋体とを備えるため、構成が複雑という問題が生じうる。また、蛇腹状のエアホースを1つ1つ筒状突起に嵌合させなければならないため、設置を容易に行うことができないという問題も生じうる。
【0006】
交通規制バリケードは、複数の標示体を膨張させた後であっても、エアホースは伸縮したり湾曲したりするので、定められた位置に効率よく設置できないという問題がある。標示体を膨張させた後であってもエアホースが意図せず湾曲することがあるので、意図せず位置が変わってしまうこともある。このように、交通規制バリケードでは、位置を定めにくいという問題が生じうる。
【0007】
本開示は、構成を簡易にして位置を定めやすくすることができると共に、設置を効率よく行うことができるエアーバリケードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るエアーバリケードは、エアーの注入によって膨張するチューブを備えるエアーバリケードであって、チューブは、エアーの注入によって膨張する基礎チューブと、基礎チューブと連通しており、基礎チューブの膨張と共に膨張して基礎チューブから立ち上がる複数の柱チューブと、基礎チューブ及び柱チューブの少なくともいずれかに設けられており、基礎チューブ及び柱チューブにエアーを注入する注入口と、を有し、複数の柱チューブは、互いに独立して基礎チューブから立ち上がり、エアーバリケードは、膨張した基礎チューブの軸線を中心とした回転方向への基礎チューブの回転を防止する回転防止部を備え、回転防止部は、基礎チューブの表面から延びる棒状の取っ手部を含み、前記基礎チューブの回転を防止する前記回転防止部が前記取っ手部として兼用される。
【0009】
このエアーバリケードでは、注入口へのエアーの注入によって基礎チューブが膨張すると共に、基礎チューブに連通する複数の柱チューブが膨張する。よって、注入口、基礎チューブ、及び複数の柱チューブを備える簡易な構成とすることができる。また、注入口へのエアーの注入によって基礎チューブ及び複数の柱チューブを膨張させることができるので、設置を容易に且つ効率よく行うことができる。更に、基礎チューブ及び複数の柱チューブが膨張した後には、基礎チューブ及び複数の柱チューブのいずれも意図せず湾曲しないので、定められた位置に効率よく設置することができる。従って、基礎チューブ及び複数の柱チューブを膨張させた後に意図せず位置が変わってしまうことを回避することができるので、位置を定めやすくすることができる。また、注入口から複数の柱チューブ及び基礎チューブのエアーを抜けば容易に萎ませることができるので、エアーバリケードの折り畳み及び片付けを容易に行うことができる。
【0010】
柱チューブの幅は、基礎チューブの幅よりも小さくてもよい。この場合、基礎チューブが柱チューブよりも太いので、基礎チューブを安定して設置することができる。従って、膨張した複数の柱チューブを倒れにくくすることができる。
【0011】
回転防止部によって基礎チューブの軸線回りの回転が防止されるので、複数の柱チューブの転倒をより確実に抑制することができる。
【0012】
基礎チューブの回転を防止する回転防止部を取っ手部として兼用できるので、エアーバリケードを持ち運びやすくすることができる。
【0013】
前述したエアーバリケードは、複数の柱チューブの間において基礎チューブに沿って延在する延在部を備えてもよい。この場合、複数の柱チューブの間で基礎チューブに沿って延在する延在部をロープ又は表示幕として利用することができる。従って、複数の柱チューブの間から人が侵入することを防ぎ、複数の柱チューブの間の領域を有効利用することができる。
【0014】
前述したエアーバリケードは、基礎チューブ及び柱チューブが一体となった2つの第1ユニットと、2つの第1ユニットを互いに接続する基礎チューブからなる第2ユニットと、を含んでもよい。この場合、基礎チューブ及び柱チューブを含む第1ユニットと、基礎チューブからなる第2ユニットとを組み合わせることによって任意の長さのエアーバリケードを形成することができる。従って、必要な長さに応じて種々の長さのエアーバリケードを準備することができる。
【0015】
注入口は、基礎チューブの端部に設けられていてもよい。この場合、注入口からのエアーの注入、及び基礎チューブと柱チューブの膨張を一層容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、構成を簡易にして位置を定めやすくすることができると共に、設置を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施形態に係るエアーバリケードを示す側面図である。
【
図2】
図2は、エアーバリケードの注入口の例を示す正面図である。
【
図3】
図3の(a)は、エアーバリケードの注入口の変形例を示す側面図である。
図3の(b)は、
図3の(a)の注入口の平面図である。
【
図4】
図4の(a)は、エアーバリケードの基礎チューブを示す断面図である。
図4の(b)は、エアーバリケードの柱チューブを示す断面図である。
【
図5】
図5は、エアーバリケードの警告灯取付部を示す側面図である。
【
図6】
図6は、エアーバリケードの回転防止部を示す図である。
【
図7】
図7は、基礎チューブに取り付けられた回転防止部の例を示す図である。
【
図8】
図8は、
図1のエアーバリケードに延在部が取り付けられた状態を示す図である。
【
図9】
図9は、柱チューブの接続部を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、変形例に係る回転防止部と基礎チューブを示す断面図である。
【
図11】
図11の(a)は、変形例に係るエア-バリケードを示す側面図である。
図11の(b)は、更なる変形例に係るエアーバリケードを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照しながら本開示に係るエアーバリケードの実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0019】
図1は、実施形態に係るエアーバリケード1を示す側面図である。本実施形態に係るエアーバリケード1は、例えば、道路において工事現場と工事現場でない場所とを区分するバリケードであり、関係者以外の工事現場への侵入を防止するものである。エアーバリケード1は、例えば、エアーの注入によって膨張させることが可能なチューブ1Cを備える。チューブ1Cは、後述する基礎チューブ2及び柱チューブ3を含んでいる。
【0020】
エアーバリケード1は、例えば、弾性材料及び可撓性材料の少なくともいずれかによって構成されているため、人又は車等が当たっても当該人又は車等の損傷を抑制することが可能である。また、エアーバリケード1は、その外部へのエアーの注出によって収縮させて片付けることが可能である。このように、エアーバリケード1では、エアーの出し入れによって膨張及び収縮を行うことが可能であるため、現場における設営、設置、及び現場からの撤去を容易に行うことができる。
【0021】
エアーバリケード1は、例えば、設置面Sに沿って水平方向に延在する基礎チューブ2と、基礎チューブ2に連通しており基礎チューブ2の膨張と共に基礎チューブ2から立ち上がる複数(一例として2つ)の柱チューブ3と、基礎チューブ2及び柱チューブ3に対してエアーの出し入れが可能な注入口5とを備える。基礎チューブ2は軸線方向D1に延在している。例えば、軸線方向D1は、基礎チューブ2の軸線Xが延びる方向であって、エアーバリケード1の長手方向又は水平方向に一致する。複数の柱チューブ3は互いに独立して立ち上がる。
【0022】
基礎チューブ2及び柱チューブ3の材料は、例えば、互いに同一である。この場合、エアーバリケード1の主要部(基礎チューブ2及び柱チューブ3)が単一の材料によって構成されるため、エアーバリケード1の構成を簡易にすることができる。基礎チューブ2及び柱チューブ3の材料は、一例として、ゴム引布である。この場合、基礎チューブ2及び柱チューブ3のそれぞれは、布(例えばポリエステル生地の両面)にゴムが塗布されたシート状素材によって構成されており、布とゴムの特性を併せ持った複合材料によって構成されている。
【0023】
基礎チューブ2及び柱チューブ3のそれぞれは、シート状とされた繊維(織布又は不織布等)の片面にカレンダーロールによって圧延されたゴムが貼り合わされて構成されていてもよい。基礎チューブ2及び柱チューブ3の少なくともいずれかがゴム材料を含んでいてもよい。
【0024】
ゴム材料は、高い柔軟性を有すると共に温度変化に伴う変形及び強度変化が小さいという利点がある。基礎チューブ2又は柱チューブ3を構成するゴム材料は、天然ゴム及び合成ゴムのいずれかであってもよい。合成ゴムとしては、例えば、ポリブタジエン系ゴム、塩素系ゴム、シリコーン系ゴム、フッ素系ゴム又はウレタンゴム等が挙げられる。当該ゴム材料は、耐候性に優れるという観点では、塩素系ゴムである、クロロプレンゴム又はクロロスルホン化ポリエチレンゴム等であることが好ましい。また、基礎チューブ2又は柱チューブ3を構成するゴム材料は、耐候性、耐オゾン性及び耐熱性に優れた特殊ゴムを含んでいてもよい。なお、基礎チューブ2の材料、及び柱チューブ3の材料は、互いに異なっていてもよい。
【0025】
本実施形態では、エアーバリケード1は、基礎チューブ2及び柱チューブ3を含む第1ユニット1Aと、基礎チューブ2からなる第2ユニット1Bとを含む。第1ユニット1A及び第2ユニット1Bは、互いに接合されており、且つ互いに連通している。第1ユニット1Aにおいて、柱チューブ3は、例えば、基礎チューブ2の軸線方向D1の中央を含む領域から立ち上がっている。
【0026】
基礎チューブ2と柱チューブ3との境目部分Zでは、基礎チューブ2の生地と柱チューブ3の生地とが重ねられており、基礎チューブ2及び柱チューブ3がチューブ状となるように互いに接合されている。第1ユニット1Aの基礎チューブ2と第2ユニット1Bの基礎チューブ2との境目部分Yでは、第1ユニット1Aの基礎チューブ2の生地と第2ユニット1Bの基礎チューブ2の生地とが重ねられている。そして、第1ユニット1Aの基礎チューブ2と第2ユニット1Bの基礎チューブ2とは、軸線方向D1に沿ってチューブ状に延在するように、互いに接合されている。
【0027】
例えば、エアーバリケード1は、一対の第1ユニット1Aと、一対の第1ユニット1Aの間に設けられる第2ユニット1Bとを備える。エアーバリケード1の軸線方向D1の長さLは、例えば、1.0m以上且つ5.0m以下である。長さLの下限は1.5m、2.0m又は2.5mであってもよく、長さLの上限は4.5m、4.0m又は3.5mであってもよい。一例として、長さLは3.0mである。
【0028】
一対の柱チューブ3の間隔Wは、長さLの半分であってもよい。また、間隔Wは、0.5m以上且つ3.0m以下であってもよい。間隔Wの下限は0.75m、1.0m又は1.25mであってもよい。間隔Wの上限は2.5m、2.0m又は1.75mであってもよい。一例として、間隔Wは1.5mである。しかしながら、長さLの値、及び間隔Wの値は、上記の各例に限定されない。
【0029】
例えば、基礎チューブ2は軸線方向D1に沿って直線状に延在し、柱チューブ3は軸線方向D1に交差する高さ方向D2に直線状に延在する。基礎チューブ2及び柱チューブ3のそれぞれは、例えば、内部へのエアーの注入によって形状が定まるため、設置を容易に行うことが可能である。
【0030】
図2は、基礎チューブ2及び柱チューブ3にエアーを注入する一例としての注入口5を示す正面図である。
図2に示される例では、注入口5は、基礎チューブ2の軸線方向D1の端部に形成されている。注入口5は、基礎チューブ2の軸線方向D1の一端のみに形成されていてもよいし、基礎チューブ2の軸線方向D1の両端のそれぞれに形成されていてもよい。
【0031】
基礎チューブ2の軸線方向D1の端部は、例えば、軸線方向D1に曲面状に突出するように湾曲している。注入口5は、例えば、手で回転させて着脱可能とされている蓋部6を有し、蓋部6を外した状態で基礎チューブ2及び柱チューブ3の内部に対するエアーの出し入れが可能とされている。
【0032】
図3(a)及び
図3(b)は、
図2とは異なる本実施形態の注入口5を示している。
図1、
図3(a)及び
図3(b)に示されるように、例えば、基礎チューブ2の軸線方向D1の端部には、柱チューブ3から離れるに従って縮径するテーパ部4が形成されている。例えば、基礎チューブ2は、テーパ部4が設置面Sから浮いた状態で軸線方向D1に沿って延在する。
【0033】
テーパ部4には、例えば、注入口5と、軸線方向D1の端部に位置する保護キャップ7とが設けられる。保護キャップ7は、例えば、テーパ部4の軸線方向D1の端部を保護する部分である。注入口5は、テーパ部4のテーパ面4bに設けられており、例えば、上方を向くように配置されている。このように基礎チューブ2の端部に位置するテーパ部4が上方を向く注入口5を有することにより、手で蓋部6を開閉してチューブ1Cに対するエアーの出し入れを一層容易に行うことが可能となる。
【0034】
図4(a)は、軸線方向D1に直交する平面によって基礎チューブ2を切断した基礎チューブ2の断面図である。
図4(b)は、高さ方向D2(柱チューブ3の延在方向)に直交する平面によって柱チューブ3を切断した柱チューブ3の断面図である。
図4(a)及び
図4(b)に示されるように、例えば、基礎チューブ2の断面形状、及び柱チューブ3の断面形状は、共に円形状とされている。すなわち、基礎チューブ2及び柱チューブ3は共に円筒状とされている。
【0035】
基礎チューブ2の幅A1は、柱チューブ3の幅A2よりも大きい。これにより、設置面S上において基礎チューブ2を安定させることができる。なお、基礎チューブ2の重量は柱チューブ3の重量より大きくてもよい。基礎チューブ2の断面形状、及び柱チューブ3の断面形状は、一例として、円形状とされているため、幅A1は基礎チューブ2の直径(外径)に相当し、幅A2は柱チューブ3の直径(外径)に相当する。しかしながら、基礎チューブ2の断面形状、及び柱チューブ3の断面形状は、円形状以外の形状であってもよい。例えば、基礎チューブ2の断面形状、及び柱チューブ3の断面形状は、楕円形状又は長円形状であってもよいし、四角形状又は六角形状等の多角形状であってもよく、適宜変更可能である。
【0036】
例えば、基礎チューブ2の幅A1は、200mm以上且つ400mm以下である。幅A1の上限は、380mm、360mm、340mm又は320mmであってもよい。幅A1の下限は、220mm、240mm、260mm又は280mmであってもよい。一例として幅A1は300mmである。
【0037】
柱チューブ3の幅A2は、幅A1の50%以上且つ70%以下(一例として67%)であってもよい。幅A2は、例えば、100mm以上且つ300mm以下である。幅A2の上限は、280mm、260mm、240mm又は220mmであってもよい。幅A2の下限は、120mm、140mm、160mm又は180mmであってもよい。一例として幅A2は200mmである。しかしながら、幅A1及び幅A2の値は、上記の各例に限定されない。
【0038】
図1及び
図5に示されるように、柱チューブ3は、基礎チューブ2から延び出す柱状部8と、柱状部8の上方に位置するテーパ部9とを有する。柱状部8は、例えば、基礎チューブ2から上方に直線状に延在する。テーパ部9は、上方に向かうに従って縮径するテーパ面9bを有する。
【0039】
柱チューブ3の上端には、例えば、警告灯Kを着脱可能な警告灯取付部10が形成されている。一例として、警告灯Kは、工事現場保安赤色灯であり、夜間工事現場において用いられるLED(Light Emitting Diode)付きの点滅警告灯であってもよい。しかしながら、警告灯Kの種類は特に限定されない。
【0040】
警告灯Kは、例えば、警告灯取付部10を覆う筒状部K1と、筒状部K1の上部に設けられる発光部K2とを備える。一例として、警告灯取付部10は、テーパ部9の上端から上方に突出する柱状を呈する。警告灯取付部10は、例えば、上方に突出するチューブ状部分にゴムモールドが接着されて構成されている。警告灯取付部10はテーパ部9に対して着脱可能とされていてもよい。
【0041】
警告灯取付部10の外径は、警告灯Kの筒状部K1の内径以下であり、これにより警告灯取付部10に警告灯Kの筒状部K1を嵌合させることが可能となる。また、警告灯取付部10の外周面がゴムによって形成されている場合、警告灯取付部10から警告灯Kを外れにくくすることができる。柱チューブ3の警告灯取付部10に対し、警告灯Kは取り付けられていてもよいし、不要である場合には警告灯Kが外されていてもよい。
【0042】
図1、
図6及び
図7に示されるように、エアーバリケード1は、基礎チューブ2の軸線Xを中心とした基礎チューブ2の回転を防止する回転防止部11を備える。エアーバリケード1は、例えば、複数の回転防止部11を備える。回転防止部11は、例えば、基礎チューブ2の回転を防止することによって柱チューブ3の転倒を防止する転倒防止部材である。
【0043】
回転防止部11は、例えば、第1ユニット1Aに設けられている。一例として、回転防止部11は、柱チューブ3の直下、又は第1ユニット1Aの軸線方向D1の中央、に設けられる。回転防止部11が柱チューブ3の直下に設けられる場合、柱チューブ3の転倒をより効果的に防止できる。
【0044】
エアーバリケード1(第1ユニット1A)は、基礎チューブ2の幅方向D3に沿って並ぶ一対の回転防止部11を備える。幅方向D3は、軸線方向D1及び高さ方向D2の双方に交差(一例として直交)する方向である。幅方向D3に沿って一対の回転防止部11が設けられることにより、基礎チューブ2の回転をより確実に防止することができる。しかしながら、回転防止部11は、幅方向D3の片側のみに設けられてもよい。また、回転防止部11の位置及び数は、前述した各例に限定されず適宜変更可能である。
【0045】
回転防止部11は、例えば、基礎チューブ2に固定されたベース12と、ベース12から突出する取っ手部13とを含む。回転防止部11(ベース12及び取っ手部13)は、硬質部材によって構成されており、例えば、ゴムモールドによって形成されている。ベース12は基礎チューブ2と一体化しており、一例として、ベース12は基礎チューブ2の一部であってもよい。例えば、ベース12は、軸線方向D1に沿って延びると共に基礎チューブ2の周方向に沿って並ぶ一対の第1辺12bと、一対の第1辺12bの端部同士の間において軸線方向D1に突出するように湾曲する一対の第2辺12cとを有する。
【0046】
例えば、ベース12は、一対の第1辺12b、及び一対の第2辺12cを有する長円状とされている。また、ベース12は取っ手部13が突出する表面12dを有し、例えば、表面12dにおいて取っ手部13は棒状(又は板状)に突出している。取っ手部13は、表面12dから突出すると共に軸線方向D1に沿うように湾曲する一対の湾曲部13bと、一対の湾曲部13bの間において軸線方向D1に延びる把持部13cとを有する。
【0047】
例えば、取っ手部13の把持部13cは、ベース12から離間した位置で軸線方向D1に沿って直線状に延びており、この把持部13cを手で掴むことによってエアーバリケード1を容易に持ち運びすることができる。また、回転防止部11の把持部13cの一部が設置面Sに当接することによって基礎チューブ2の回転が確実に阻止される。
【0048】
図8に示されるように、エアーバリケード1は、複数の柱チューブ3の間において基礎チューブ2に沿って延在する延在部14と、柱チューブ3に延在部14を接続する接続部15と、延在部14の下方において基礎チューブ2に載せられる重り16と、を更に備えてもよい。延在部14は、例えば、一端14c及び他端14dのそれぞれが接続部15に接続されるロープ14bと、ロープ14bに取り付けられた表示幕14fとを含む。
【0049】
一例として、延在部14(ロープ14b及び表示幕14fの少なくともいずれか)は柔軟性素材によって構成されている。この場合、コーンバー等の硬質素材とは異なり、延在部14が変形可能となるため、基礎チューブ2及び柱チューブ3と共に延在部14を折り畳むことが可能となり、収納性を高めることができる。
【0050】
表示幕14fは、エアーバリケード1の視認性を高めるために設けられる幕状の部分であり、例えば、警告表示のために設けられる。表示幕14fには、例えば、再帰性反射フィルム等の反射材が貼り付けられる。これにより、エアーバリケード1が設けられた現場の視認性を高めることができる。また、表示幕14fには、発光体が設置されてもよく、表示幕14fに設置又は表示されるものは特に限定されない。
【0051】
図9は、柱チューブ3に設けられた接続部15を示す斜視図である。
図8及び
図9に示されるように、接続部15は、例えば、柱チューブ3のテーパ部9のテーパ面9bに設けられている。接続部15は、テーパ部9に固定されたベース17と、ベース17から突出する取付部18とを含んでおり、取付部18にロープ14bが取り付けられている。
【0052】
一例として、ベース17は、柱チューブ3と一体化しており、ベース17は柱チューブ3の一部であってもよい。ベース17は、取付部18を固定する突出部17bを有する。例えば、ベース17は、円形状を呈する。取付部18は、例えば、棒状を呈する。取付部18は、一端18b及び他端18cがベース17の突出部17bに固定されている。取付部18は、一端18b及び他端18cのそれぞれから突出するように湾曲している。
【0053】
一端18b及び他端18cのそれぞれから突出する取付部18にロープ14bが縛り付けられる。取付部18の一端18b及び他端18cは、ベース17の突出部17bに対して上下に揺動可能であって取付部18の向きを調整可能であってもよい。この場合、取付部18の上下方向の向きを変更可能となるので、取付部18へのロープ14bの取り付けを容易に行うことができる。
【0054】
重り16は、基礎チューブ2に対して着脱可能とされている。重り16は、例えば、第2ユニット1Bに載せられており、取っ手16bを備える袋状(バッグ状)とされている。重り16は、例えば、シート部と袋部とを仕切る境界部16dを備え、境界部16dより上側に位置するシート部に取っ手16bが固定されている。一例として、境界部16dは縫い目である。例えば、重り16は、境界部16dより下側に位置する出し入れ口16cを備える。例えば、出し入れ口16cを介して重り16の内部に水(又は砂等)を出し入れすることが可能とされている。この場合、重り16の内部の水(又は砂等)の量を調整することによって、重り16の重さを変更することが可能である。
【0055】
次に、本実施形態に係るエアーバリケード1から得られる作用効果について詳細に説明する。
図1に示されるように、エアーバリケード1では、注入口5へのエアーの注入によって基礎チューブ2が膨張すると共に、基礎チューブ2に連通する複数の柱チューブ3が膨張する。よって、注入口5、基礎チューブ2、及び複数の柱チューブ3を備える簡易な構成とすることができる。すなわち、エアーを注入するだけで基礎チューブ2及び柱チューブ3が膨張し、自動的に複数の柱チューブ3が決まった位置で立ち上がるので、所望の位置への設置を容易に行うことができる。
【0056】
また、注入口5へのエアーの注入によって基礎チューブ2及び複数の柱チューブ3を膨張させることができるので、設置を容易に且つ効率よく行うことができる。更に、基礎チューブ2及び複数の柱チューブ3が膨張した後には、基礎チューブ2及び複数の柱チューブ3のいずれも意図せず湾曲しないので、定められた位置に効率よく設置することができる。
【0057】
従って、基礎チューブ2及び複数の柱チューブ3を膨張させた後に意図せず位置が変わってしまうことを回避することができるので、位置を定めやすくすることができる。また、注入口5から複数の柱チューブ3及び基礎チューブ2のエアーを抜けば容易に萎ませることができるので、エアーバリケード1の折り畳み及び片付けを容易に行うことができる。例えば、基礎チューブ2及び柱チューブ3は軟質材料によって構成されているので、エアーを抜けばシート状にコンパクトに折り畳むことができる。更に、基礎チューブ2のいずれか一方の端部からロール状に巻き取ることができる。
【0058】
図4に示されるように、柱チューブ3の幅A2は、基礎チューブ2の幅A1よりも小さくてもよい。この場合、基礎チューブ2が柱チューブ3よりも太いので、基礎チューブ2を安定して設置することができる。従って、膨張した複数の柱チューブ3を倒れにくくすることができ、複数の柱チューブ3の転倒防止に寄与する。また、エアーバリケード1の片付けにおいて、基礎チューブ2のいずれか一方の端部からロール状に巻き取ると、柱チューブ3の幅A2が基礎チューブ2の幅A1の内側に収まるため、運搬及び保管のときに柱チューブ3を損傷しにくくすることができる。
【0059】
図1に示されるように、エアーバリケード1は、膨張した基礎チューブ2の軸線Xを中心とした回転方向への基礎チューブ2の回転を防止する回転防止部11を備えてもよい。この場合、回転防止部11によって基礎チューブ2の軸線回りの回転が防止されるので、複数の柱チューブ3の転倒をより確実に抑制することができる。
【0060】
回転防止部11は、基礎チューブ2の表面から延びる棒状の取っ手部13を含んでもよい。この場合、基礎チューブ2の回転を防止する回転防止部11を取っ手部13として兼用できるので、エアーバリケード1を持ち運びやすくすることができる。
【0061】
図8に示されるように、エアーバリケード1は、複数の柱チューブ3の間において基礎チューブ2に沿って延在する延在部14を備えてもよい。この場合、複数の柱チューブ3の間で基礎チューブ2に沿って延在する延在部14をロープ14b又は表示幕14fとして利用することができる。従って、複数の柱チューブ3の間から人が侵入することを防ぎ、複数の柱チューブ3の間の領域を有効利用することができる。
【0062】
エアーバリケード1は、基礎チューブ2及び柱チューブ3が一体となった2つの第1ユニット1Aと、2つの第1ユニット1Aを互いに接続する基礎チューブ2からなる第2ユニット1Bと、を含んでもよい。この場合、基礎チューブ2及び柱チューブ3を含む第1ユニット1Aと、基礎チューブ2からなる第2ユニット1Bとを組み合わせることによって任意の長さのエアーバリケード(例えば
図11参照)を形成することができる。従って、必要な長さに応じて種々の長さのエアーバリケードを準備することができる。
【0063】
前述したように、基礎チューブ2及び柱チューブ3は、ゴム引布によって構成されていてもよい。ゴム引布は、他の材料と比較して傷つきにくいため、雨天のとき等であってもチューブ1Cの内部への水の浸入をより確実に抑制することができる。更に、本実施形態に係るエアーバリケード1はゴム引布とゴムモールドを備えるので、ゴム引布及びゴムモールドのみによって形成することが可能となり、更に簡易な構成とすることができる。
【0064】
図1に示されるように、注入口5は、基礎チューブ2の端部(例えばテーパ部4)に設けられていてもよい。この場合、注入口5からのエアーの注入、及び基礎チューブ2と柱チューブ3の膨張を一層容易に行うことができる。
【0065】
図1及び
図5に示されるように、柱チューブ3の上部には、警告灯Kを着脱可能な警告灯取付部10が設けられてもよい。この場合、柱チューブ3の上部を警告灯Kを着脱する箇所として有効利用することができる。従って、柱チューブ3の上部に警告灯Kを取り付けてエアーバリケード1の視認性を高めることができる。
【0066】
基礎チューブ2は一直線状に延びるように配置されていてもよい。この場合、エアーバリケード1の基礎チューブ2が一直線状に延びるので、エアーバリケード1の構成を更に簡易にすることができる。更に、基礎チューブ2におけるエアーの流路が一直線状になるので、エアーの注入による基礎チューブ2の膨張を更に容易に行うことができる。従って、エアーバリケード1の設置作業を更に容易に行うことができる。
【0067】
以上、本開示に係るエアーバリケードの実施形態について説明した。しかしながら、本開示に係るエアーバリケードは、前述した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形されたものであってもよい。すなわち、エアーバリケードの各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、上記の要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
【0068】
例えば、前述の実施形態では、棒状の取っ手部13を有する回転防止部11について例示した。しかしながら、取っ手部の形状は棒状に限定されない。また、回転防止部の形状、大きさ、数、配置態様及び構成は上記の例に限られず適宜変更可能である。例えば
図10に示されるように、基礎チューブ2の内部に回転防止部となる板状部材21が固定されており、板状部材21を設置面Sに設置させることによって基礎チューブ2の回転、及び柱チューブ3の転倒を防止してもよい。更に、基礎チューブ2をより重くすることが可能な場合等には、回転防止部を省略することも可能である。
【0069】
前述の実施形態では、一対の第1ユニット1Aと、一対の第1ユニット1Aの間に設けられる第2ユニット1Bとを備え、軸線方向D1の長さが長さLであるエアーバリケード1について説明した。しかしながら、
図11(a)及び
図11(b)に示されるように、第1ユニット1Aと第2ユニット1Bを含む組Cの数が複数であるエアーバリケード31,41であってもよい。
【0070】
図11(a)に示されるエアーバリケード31では、4つの第1ユニット1Aと3つの第2ユニット1Bとを備え、軸線方向D1に互いに隣接する2つの第1ユニット1Aの間に第2ユニット1Bが配置されている。エアーバリケード31の軸線方向D1の長さは、例えば、前述したエアーバリケード1の長さLの2倍(2L)である。エアーバリケード31の軸線方向D1の長さは、一例として、6mである。
【0071】
図11(b)に示されるエアーバリケード41では、6つの第1ユニット1Aと5つの第2ユニット1Bとを備え、エアーバリケード41の軸線方向D1の長さは、例えば長さLの3倍(3L)である。エアーバリケード41の軸線方向D1の長さは、一例として、9mである。
【0072】
前述の実施形態では、基礎チューブ2の軸線方向D1の端部に注入口5が設けられる例について説明した。しかしながら、注入口5の場所は、例えば、基礎チューブ2の中央部、又は柱チューブ3であってもよく、適宜変更可能である。注入口5の数は、3個以上であってもよく適宜変更可能である。また、注入口の構成も、蓋部6を有する注入口5に限られず、適宜変更可能である。
【0073】
前述の実施形態では、テーパ部4を有する基礎チューブ2、及びテーパ部9を有する柱チューブ3、について説明した。しかしながら、基礎チューブ及び柱チューブの形状は、テーパ部を有しない形状であってもよく、適宜変更可能である。また、前述の実施形態では、軸線方向D1に沿って直線状に延在する基礎チューブ2、及び高さ方向D2に直線状に延在する柱チューブ3を備えるエアーバリケード1について説明した。しかしながら、基礎チューブ及び柱チューブのそれぞれが延びる方向は、軸線方向D1又は高さ方向D2以外の方向であってもよい。例えば、基礎チューブ及び柱チューブの少なくともいずれかが高さ方向D2に対して傾斜するように延びていてもよい。更に、基礎チューブ及び柱チューブの少なくともいずれかが、湾曲していてもよいし、蛇行していてもよい。このように、基礎チューブ及び柱チューブの形状及び大きさは適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0074】
1,31,41…エアーバリケード、1A…第1ユニット、1B…第2ユニット、1C…チューブ、2…基礎チューブ、3…柱チューブ、4…テーパ部、4b…テーパ面、5…注入口、6…蓋部、7…保護キャップ、8…柱状部、9…テーパ部、9b…テーパ面、10…警告灯取付部、11…回転防止部、12…ベース、12b…第1辺、12c…第2辺、12d…表面、13…取っ手部、13b…湾曲部、13c…把持部、14…延在部、14b…ロープ、14c…一端、14d…他端、14f…表示幕、15…接続部、16…重り、16b…取っ手、16c…出し入れ口、16d…境界部、17…ベース、17b…突出部、18…取付部、18b…一端、18c…他端、21…板状部材、A1,A2…幅、C…組、D1…軸線方向、D2…高さ方向、D3…幅方向、K…警告灯、K1…筒状部、K2…発光部、S…設置面、W…間隔、X…軸線、Y,Z…境目部分。