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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】下腿押圧器具
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20241202BHJP
【FI】
A61H7/00 300A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021024163
(22)【出願日】2021-02-18
(65)【公開番号】P2022126226
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2024-01-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年12月13日公開(電子メール)の日本人間工学会九州・沖縄支部会第41回大会(令和2年12月20日、オンライン開催)の日本人間工学会九州・沖縄支部会第41回大会プログラム・概要集(発行元:日本人間工学会 九州・沖縄支部会)にて発表。 令和2年12月20日公開の日本人間工学会九州・沖縄支部会第41回大会(令和2年12月20日、オンライン開催)の日本人間工学会九州・沖縄支部会第41回大会プログラム・概要集(発行元:日本人間工学会 九州・沖縄支部会)にて発表。 令和2年12月20日に日本人間工学会九州・沖縄支部会第41回大会(オンライン開催)の講演(3-1)にて発表。
(73)【特許権者】
【識別番号】521072607
【氏名又は名称】株式会社カワイチ・テック
(73)【特許権者】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
(73)【特許権者】
【識別番号】510097747
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立がん研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100179132
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 知生
(72)【発明者】
【氏名】川口 秀一
(72)【発明者】
【氏名】下村 義弘
(72)【発明者】
【氏名】笹田 夏穂
(72)【発明者】
【氏名】西澤 祐吏
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2002/098333(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/046803(WO,A1)
【文献】特開2016-165365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部と、
中空部分を有する下腿当接部と
を備え、
前記支持部の先端が前記下腿当接部に接続され、
前記支持部の基端が踵に当接するように装着され、
前記下腿当接部の内壁の一部が、下腿の一部に当接するように装着され、
底屈動作により前記支持部を介して前記下腿当接部が、下腿後面を押圧し、
踵接地により、前記支持部を介して前記下腿当接部が、前記下腿後面を押圧し、
踵離地により、前記下腿当接部が下方に移動し、前記下腿後面の押圧が緩和する
ことを特徴とする下腿押圧器具。
【請求項2】
支持部と、
中空部分を有する下腿当接部と、
足底部と
を備え、
前記支持部の先端が前記下腿当接部に接続され、
前記支持部の基端が前記足底部に接続され、
前記下腿当接部の内壁の一部が、下腿の一部に当接するように装着され、
底屈動作により前記支持部を介して前記下腿当接部が、下腿後面を押圧し、
踵接地により、前記支持部を介して前記下腿当接部が、前記下腿後面を押圧し、
踵離地により、前記下腿当接部が下方に移動し、前記下腿後面の押圧が緩和する
ことを特徴とする下腿押圧器具。
【請求項3】
支持部と、
中空部分を有する下腿当接部と、
足底部と
を備え、
前記支持部の先端が前記下腿当接部に接続され、
前記支持部の基端が前記足底部に接続され、
前記下腿当接部の内壁の一部が、下腿の一部に当接するように装着され、
底屈動作により前記支持部を介して前記下腿当接部が、下腿後面を押圧し、
前記支持部の基端が前記足底部の側方に接続される
ことを特徴とする下腿押圧器具。
【請求項4】
支持部と、
中空部分を有する下腿当接部と、
靴と
を備え、
前記支持部の先端が前記下腿当接部に接続され、
前記支持部の基端が前記靴に接続され、
前記下腿当接部の内壁の一部が、下腿の一部に当接するように装着され、
底屈動作により前記支持部を介して前記下腿当接部が、下腿後面を押圧し、
踵接地により、前記支持部を介して前記下腿当接部が、前記下腿後面を押圧し、
踵離地により、前記下腿当接部が下方に移動し、前記下腿後面の押圧が緩和する
ことを特徴とする下腿押圧器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下腿をマッサージする下腿押圧器具に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの循環機能には筋ポンプという作用があり、筋の収縮・弛緩で末梢に貯留される血液を上方へ押し戻している。また、静脈には逆止弁があり、血液の逆流を防いでいる。とくに、ふくらはぎの「筋ポンプ作用」は、重力に逆らって血液を心臓に戻すので重要である。
【0003】
しかしながら、長時間の立位作業の場合、筋ポンプ作用だけでは下肢の血液を完全に循環させることができず、血液の貯留が起こる。そこで、ふくらはぎを含めた下肢を押圧又はマッサージする器具が開示されている(特許文献1-5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6587197号公報
【文献】実用新案登録第3198092号公報
【文献】特許第5621069号公報
【文献】実用新案登録第3220766号公報
【文献】実用新案登録第3157527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来の器具は、静的な圧迫を用いるため、生体の筋ポンプ作用のように間欠的な圧迫により血行を促進できない。また、動的な圧迫を用いる場合には、手動または動力源を必要とする。そこで、手動や動力源を必要とすることなく簡易に間欠的な圧迫を実現する器具が必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述したような課題を解決するために、本発明に係る下腿押圧器具は、支持部と、中空部分を有する下腿当接部とを備え、前記支持部の先端が前記下腿当接部に接続され、前記支持部の基端が踵に当接するように装着され、前記下腿当接部の内壁の一部が、下腿の一部に当接するように装着され、底屈動作により前記支持部を介して前記下腿当接部が、下腿後面を押圧し、踵接地により、前記支持部を介して前記下腿当接部が、前記下腿後面を押圧し、踵離地により、前記下腿当接部が下方に移動し、前記下腿後面の押圧が緩和することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る下腿押圧器具は、 支持部と、中空部分を有する下腿当接部と、足底部とを備え、前記支持部の先端が前記下腿当接部に接続され、前記支持部の基端が前記足底部に接続され、前記下腿当接部の内壁の一部が、下腿の一部に当接するように装着され、底屈動作により前記支持部を介して前記下腿当接部が、下腿後面を押圧し、踵接地により、前記支持部を介して前記下腿当接部が、前記下腿後面を押圧し、踵離地により、前記下腿当接部が下方に移動し、前記下腿後面の押圧が緩和することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る下腿押圧器具は、 支持部と、中空部分を有する下腿当接部と、足底部とを備え、前記支持部の先端が前記下腿当接部に接続され、前記支持部の基端が前記足底部に接続され、前記下腿当接部の内壁の一部が、下腿の一部に当接するように装着され、底屈動作により前記支持部を介して前記下腿当接部が、下腿後面を押圧し、前記支持部の基端が前記足底部の側方に接続されることを特徴とする
【0009】
また、本発明に係る下腿押圧器具は、前記足底部の踵部に、踵部緩衝部を備えてもよい。
【0010】
また、本発明に係る下腿押圧器具は、前記下腿当接部の内壁に、緩衝部を備えてもよい。
【0011】
また、本発明に係る下腿押圧器具は、踵接地により、前記支持部を介して前記下腿当接部が、前記下腿後面を押圧し、踵離地により、前記下腿当接部が下方に移動し、前記下腿後面の押圧が緩和してもよい。
【0012】
また、本発明に係る下腿押圧器具は、支持部と、中空部分を有する下腿当接部と、靴とを備え、前記支持部の先端が前記下腿当接部に接続され、前記支持部の基端が前記靴に接続され、前記下腿当接部の内壁の一部が、下腿の一部に当接するように装着され、底屈動作により前記支持部を介して前記下腿当接部が、下腿後面を押圧し、踵接地により、前記支持部を介して前記下腿当接部が、前記下腿後面を押圧し、踵離地により、前記下腿当接部が下方に移動し、前記下腿後面の押圧が緩和することを特徴とする。

【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、下腿を簡易に間欠的に押圧できる下腿押圧器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態に係る下腿押圧器具の概観図である。
図2図2は、本発明の第1の実施の形態に係る下腿押圧器具の正面図、上面図、側面図である。
図3図3は、本発明の第1の実施の形態に係る下腿押圧器具の装着を説明するための図である。
図4図4は、本発明の第1の実施の形態に係る下腿押圧器具の動作を説明するための図である。
図5図5は、本発明の第1の実施例に係る下腿押圧器具の概観図である。
図6図6は、本発明の第1の実施例に係る下腿押圧器具の構成部を示す図である。
図7図7は、本発明の第2の実施例に係る下腿押圧器具の概観図である。
図8図8は、本発明の第2の実施例に係る下腿押圧器具の構成部を示す図である。
図9図9は、本発明の第3の実施例に係る下腿押圧器具の概観図である。
図10図10は、本発明の第3の実施例に係る下腿押圧器具の概観図である。
図11図11は、本発明の効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態に係る下腿押圧器具について図1図4を参照して説明する。
【0016】
<下腿押圧器具の構成>
本実施の形態に係る下腿押圧器具10は、図1、2に示すように、支持部11と下腿当接部12を備える。
【0017】
支持部11は直方体形状で、材料は樹脂であり、先端部が下腿当接部12の背面に接続される。接続箇所は、これに限らず、下腿当接部12の他の部分でもよい。支持部11の高さH11を250~350mm程度、幅W11を30~40mm程度、厚さを2mm程度とするが、これに限らない。
【0018】
下腿当接部12は、中空の円筒形状を有し、正面側に開口部121を有し、材料は樹脂である。ここで、開口部を有さなくてもよい。下腿当接部12は、内径D12を80~100mm程度、高さH12を50~60mm程度、開口部の幅W121を40~60mm程度とするが、これに限らない。
【0019】
下腿押圧器具10は、図3に示すように、靴3などの踵部に、支持部11の基端部を挿入し、下腿当接部12を下腿1の一部に当接して装着される。下腿押圧器具10を装着するときには、足先を下腿当接部12の中空部分に上側から通して、又は開口部121を押し開くことにより、靴3などを履き、踵2と靴の踵部で、支持部11の基端を挟んで固定する。
【0020】
<下腿押圧器具の動作>
本実施の形態に係る下腿押圧器具10の動作を、歩行時を一例に、図4を参照して説明する。図4に、下腿押圧器具10を装着した場合の歩行動作の概略図を示す。図4上図は、全身の歩行動作を示し、図4下図は、下腿押圧器具10を装着した下腿部の動作を示す。
【0021】
初めに、歩行時に、立脚期において、足の踵が接地する(S1)。このとき、足の踵が地面から反発力を受ける。この反発力は支持部11を介して下腿当接部12(下図中、点線四角)を押し上げるので、下腿当接部12と当接する下腿の1部、とくに下腿後面(ふくらはぎ)の下部が押圧される(下図中、白矢印)。
【0022】
足の踵が接地している間、下腿当接部12による下腿の押圧は継続される(下図中、白矢印)(S2~S3)。
【0023】
次に、足の踵が地面から離れると、下腿当接部12は重力により下がる(下方に移動)するので(下図中、黒矢印)、下腿とくに下腿後面の下部は下腿当接部12により押圧されず緩和される(S4)。
【0024】
次に、遊脚期において、足首が伸びる状態(底屈)になると、足およびつま先の底屈動作により靴等の底部が踵に密接するので、支持部11を介して下腿当接部12を押し上げる(下図中、白矢印)(S5)。その結果、下腿当接部12と当接する下腿の1部、とくに下腿後面(ふくらはぎ)の下部が押圧される。
【0025】
次に、足首が伸びる状態(底屈)から曲げる状態(背屈)に戻ると、下腿当接部12は重力により下がる(下方に移動)するので(下図中、黒矢印)、下腿とくに下腿後面の下部は下腿当接部12により押圧されず緩和される(S6~S7)。
【0026】
以降、再び、立脚期において足の踵が接地し(S8)、上述の歩行動作が繰り返される。
【0027】
このように、下腿押圧器具を装着して歩行することにより、下腿とくに下腿後面の下部への押圧と緩和が繰り返し実行され、間欠的に下腿とくに下腿後面の下部を押圧でき、マッサージできる。
【0028】
本実施の形態では、下腿押圧器具を装着して歩行する例を示したが、これに限らず、走行、ジャンプなど踵の接地、踵離地、底屈、背屈を繰り返す動作であればよい。また、立位姿勢でなくとも座位姿勢でも踵の接地、踵離地、底屈、背屈を繰り返す動作であればよい。また、踵を接地しなくても、下腿押圧器具を装着して、足の底屈、背屈を繰り返す動作でもよい。
【0029】
本実施の形態に係る下腿押圧器具によれば、歩行や背伸びなどの自発的な運動を利用して、手動も動力源も使わずに動的なマッサージを実現できる。
【0030】
<下腿押圧器具の材料>
本実施の形態に係る下腿押圧器具10において、支持部11と下腿当接部12の材料に硬い(硬度の高い)樹脂を用いれば、踵の接地、踵離地、底屈、背屈による力を効率よく支持部11を介して、下腿当接部12に伝達することができる。
【0031】
硬い(硬度の高い)樹脂として、熱可塑性プラスチックであるPLA(polylactic acid)樹脂(ポリ乳酸生分解性プラスチック)を用いることができる。他に、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)、ポリエチレンテレフタラート(PET、polyethylene terephthalate)、ポリカーボネート(PC、polycarbonate)、ポリアミド(PA、polyamide)樹脂(ポリアミドナイロン樹脂)、高衝撃性ポリスチレン(HIPS、high impact polystyrene)、ポリアセタール(POM、polyacetal)、ポリプロピレン(PP、polypropylene)などを用いることができる。
【0032】
また、材料に柔軟な樹脂を用いれば、下腿押圧器具10を容易に装着できる。例えば、下腿当接部12の開口部121を押し開くことにより、容易に下腿当接部12を下腿に装着できる。
【0033】
柔軟な樹脂として、熱可塑性エラストマ-であるTPU(ポリウレタン系熱可塑性エラストマー)やTPE(Thermo Plastic Elastomer)を用いることができる。他に、熱可塑性プラスチック、熱硬化性エラストマ-、シリコン樹脂を用いることができる。
【0034】
また、支持部11に硬い樹脂材料を用い、下腿当接部12に柔軟な樹脂材料を用いれば、効率よく力を、支持部11を介して下腿当接部12に伝達でき、下腿押圧器具10を容易に装着できる。
【0035】
<第1の実施例>
本発明の第1の実施例に係る下腿押圧器具について図5図6を参照して説明する。
【0036】
本実施例に係る下腿押圧器具20は、第1の実施の形態と略同様の構成、効果を有する。
【0037】
下腿押圧器具20は、図5に示すように、支持部21と、下腿当接部22と、緩衝部23とを備える。
【0038】
支持部21は、第1の実施の形態と略同様であるが、足の踵と下腿後面(ふくらはぎ)にフィットするように湾曲形状を有する。
【0039】
下腿当接部22は、第1の実施の形態と略同様であるが、下腿後面(ふくらはぎ)にフィットするように、形状が円錐台であり、上面の面積が底面の面積より大きい。
【0040】
さらに、下腿当接部22の内壁に、緩衝部23を備える。緩衝部23の材料には、TPU、TPE、シリコン樹脂など柔軟な材料を用いる。緩衝部23の厚さを5~10mm程度とするが、これに限らない。緩衝部23により、押圧時の過剰な負荷を低減し、装着時のフィット感(着心地)が向上する。
【0041】
下腿押圧器具20は、図6に示すように、構成部である、支持部21と、下腿当接部22と、緩衝部23とを接続して着用する。これに限らず、構成部の一部又は全てを固着して一体化してもよい。
【0042】
<第2の実施例>
本発明の第2の実施例に係る下腿押圧器具について図7図8を参照して説明する。
【0043】
本実施例に係る下腿押圧器具30は、第1の実施の形態と第1の実施例と略同様の構成、効果を有する。
【0044】
下腿押圧器具30は、図7に示すように、支持部31と、下腿当接部32と、緩衝部33と、足底部34とを備える。下腿当接部32と、緩衝部33は、第1の実施例と同じである。
【0045】
支持部31は、基端部が足底部34の側方に接続され、足(足底部34)の側方から立ち上がり、屈曲又は湾曲して、先端部が下腿当接部32の背面に接続される。支持部31は、屈曲又は湾曲する形状でなくてもよい。図8に示すように、複数(図8では2個)の部品により構成されてもよい。基端部は足底部34の側方に接続されなくても、足底部34の1部に接続されればよい。
【0046】
足底部34は、靴等の内部の底面に配置される。足底部34の材料には、TPU、TPE、シリコン樹脂など柔軟な材料を用いればフィット感が向上する。PLA樹脂やABS樹脂等の硬い樹脂を用いてもよい。
【0047】
下腿押圧器具30を装着するときには、足先を下腿当接部32の中空部分に上側から通して、足底部34に足を載せる。
【0048】
この構成により、下腿押圧器具30が足(とくに踵)と密着に固定されるので、歩行等の動作時に踵の接地又は底屈による力が効率よく下腿当接部32に伝達できる。
【0049】
また、支持部31の基端部が足底部の側方に接続されれば、踵骨に接触しないので、踵部の痛み、違和感などを排除でき、フィット感(着心地)が向上する。
【0050】
下腿押圧器具30は、図8に示すように、構成部である、支持部31と、下腿当接部32と、緩衝部33と、足底部34とを接続して着用する。これに限らず、構成部の一部又は全てを固着して一体化してもよい。
【0051】
<第3の実施例>
本発明の第3の実施例に係る下腿押圧器具について図9図10を参照して説明する。
【0052】
本実施例に係る下腿押圧器具40は、第1の実施の形態と第1、2の実施例と略同様の構成、効果を有する。
【0053】
下腿押圧器具40は、図9に示すように、支持部41と、下腿当接部42と、緩衝部43と、足底部44と、踵部緩衝部45とを備える。支持部41と、下腿当接部42と、緩衝部43と、足底部44は、第2の実施例と同じである。
【0054】
踵部緩衝部45は、足底部44の踵部に配置される。踵部緩衝部45の形状は略半円柱状で厚さは1mm~10mm程度であり、大きさ、形状は、足底部44の踵部に配置でき靴の中に収容できる程度である。踵部緩衝部45の上面は、足底部44の中央に向かって下方に傾斜する傾斜面であってもよい。踵部緩衝部45には、高反発の緩衝(クッション)材を用いる。例えば、TPU、TPE、シリコン樹脂などを用いる。この構成により、歩行等の動作時に踵の離地における支持部41の下方向への動きの変位を増加できる。その結果、下腿当接部42の引き下げ量を増加でき、下腿とくに下腿後面(ふくらはぎ)の押圧と除圧の差を増加できる。
【0055】
下腿押圧器具40は、図10に示すように、構成部である、支持部41と、下腿当接部42と、緩衝部43と、足底部44と、踵部緩衝部45とを接続して着用する。これに限らず、構成部の一部又は全てを固着して一体化してもよい。
【0056】
また、本発明の実施の形態では、支持部を足底部に接続したが、靴等に接続又は固着してもよい。
【0057】
<下腿押圧器具の効果>
本発明の実施の形態に係る下腿押圧器具の効果について、図11を参照して説明する。
【0058】
実験において、被験者は、トレッドミル上で5 分間の歩行タスク(速度1.5m/s)と5分間の安静(長座)を6 試行繰り返す。タスク直後に下腿の周囲長を3回測定して平均値を算出する。
【0059】
図11に、下腿押圧器具の装着の有無におけるタスク前後での下腿の周囲長の変化量を示す。下腿押圧器具は、第1の実施に形態に係る下腿押圧器具(図中A)と、第2の実施に形態に係る下腿押圧器具(図中B)と、第3の実施に形態に係る下腿押圧器具(図中C)である。
【0060】
下腿押圧器具の装着時における下腿の周囲長の変化量が、装着しない場合に比べて小さい。下腿の周囲長の変化量が小さいことは、下腿のむくみ等が抑制されることを示す。
【0061】
このように、本発明の実施の形態に係る下腿押圧器具によれば、立位によるむくみに対して、筋ポンプ作用(装具無)の効果を増大できる。
【0062】
以上のように、本発明の実施の形態に係る下腿押圧器具を装着して、歩行、走行、跳躍又は背伸びのように足関節を動かす運動を行うと、その動きが下腿後面(ふくらはぎ)に伝達して、下方からせり上げる力が下腿後面(ふくらはぎ)にかかる。これにより、下腿後面(ふくらはぎ)の皮下組織に対して外部からの動的な圧迫を与えることが可能となり 血行の促進やむくみを軽減できる。
【0063】
さらに、歩行中に生体内部の筋ポンプ作用と同期できれば、下腿押圧器具の作用に相乗効果をもたらす。
【0064】
また、本発明の実施の形態に係る下腿押圧器具を用いる場合、手でマッサージをする必要がないため労力がかからない。また、動力源が不要なためコストを低減できる。
【0065】
また、本発明の実施の形態に係る下腿押圧器具によれば、血行を促進することにより下肢静脈血栓症やエコノミークラス症候群を予防できる。
【0066】
本発明の実施の形態では、下腿当接部の形状を円筒又は円錐台としたが、これに限らない。多角柱等の他の形状でもよく、中空部分を有し、下腿に当接して装着できる形状であればよい。
【0067】
本発明の実施の形態では、下腿押圧器具の構成などにおいて、各構成部の構造、寸法、材料等の一例を示したが、これに限らない。下腿押圧器具の機能を発揮し効果を奏するものであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、血行を促進させる下腿押圧器具に関するものであり、健康器具として、健康分野、医療福祉分野に適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
10、20、30、40 下腿押圧器具
11、21、31、41 支持部
12、22、32、42 下腿当接部
23、33、43 緩衝部
34,44 足底部
45 踵部緩衝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11