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特許7595879レゾルバステータ構造及びレゾルバステータ用絶縁キャップ位置決め方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】レゾルバステータ構造及びレゾルバステータ用絶縁キャップ位置決め方法
(51)【国際特許分類】
G01D 5/20 20060101AFI20241202BHJP
【ＦＩ】
G01D5/20 110X
【請求項の数】
2
(21)【出願番号】P 2021135328
(22)【出願日】2021-08-23
(65)【公開番号】P2023030280
(43)【公開日】2023-03-08
【審査請求日】2024-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】本宮 優希
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開２００２－１７１７３７（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１２－１５９４４２（ＪＰ，Ａ）
【文献】国際公開第２０１７／１７９２０７（ＷＯ，Ａ１）
【文献】特開２００３－２０９９４６（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１６－２０１８７５（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２００４－０３７１６０（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２００４－１３５４０２（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２００７－３３３５７３（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１４－１４９１６７（ＪＰ，Ａ）
【文献】国際公開第２０１６／０２７２９０（ＷＯ，Ａ１）
【文献】米国特許出願公開第２０１１／０１６９３８２（ＵＳ，Ａ１）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ｇ０１Ｄ ５／００－５／６２
Ｇ０１Ｌ ３／００－３／２６
Ｇ０１Ｐ １／００－３／８０
Ｈ０２Ｋ ５／００－５／２６，１１／００－１１／４０
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪状ステータ(1)の第１端面(1M)に設けられた第１輪状絶縁キャップ(2)と、前記輪状ステータ(1)の第２端面(1N)に設けられた第２輪状絶縁キャップ(3)とを備えてなるレゾルバステータ構造において、前記第１輪状絶縁キャップ(2)の第１周縁(15)に突出して形成された第１位置決め用穴(16)と、前記輪状ステータ(1)を貫通して形成された第２位置決め用穴(8)と、前記第２輪状絶縁キャップ(3)の第２周縁(17)に突出して形成された第３位置決め用穴(20)と、を備え、
前記第２位置決め用穴(8)及び前記第３位置決め用穴(20)は、前記第１位置決め用穴(16)の形成された位置に対応する位置にあり、
前記第１輪状絶縁キャップ(2)に形成された第１スナップフィット固定用穴(28)と、前記輪状ステータ(1)に形成され、前記第１スナップフィット固定用穴(28)と連通する第２スナップフィット固定用穴(9)と、前記第２輪状絶縁キャップ(3)に形成され、前記第２スナップフィット固定用穴(9)と連通する第３スナップフィット固定用穴(21)と、前記第３スナップフィット固定用穴(21)の近傍位置から一体に上方へ延設されたスナップフィット体(33)と、前記スナップフィット体(33)の先端(33A)に形成された係止部(33B)と、からなり、
前記スナップフィット体(33)の係止部(33B)が前記第１輪状絶縁キャップ(2)の上面(2E)に係合されることにより、前記輪状ステータ(1)に対して前記第１、第２輪状絶縁キャップ(2,3)が位置決め固定される構成としたことを特徴とするレゾルバステータ構造。
【請求項2】
輪状ステータ(1)の第１端面(1M)に設けられた第１輪状絶縁キャップ(2)と、前記輪状ステータ(1)の第２端面(1N)に設けられた第２輪状絶縁キャップ(3)とを用い、前記第１、第２輪状絶縁キャップ(2,3)を、前記第１、第２端面(1M,1N)に位置決め固定するレゾルバステータ用絶縁キャップ位置決め方法において、
前記第１輪状絶縁キャップ(2)の第１周縁(15)に突出して形成された第１位置決め用穴(16)と、前記輪状ステータ(1)を貫通して形成された第２位置決め用穴(8)と、前記第２輪状絶縁キャップ(3)の第２周縁(17)に突出して形成された第３位置決め用穴(20)と、を用い、
前記第１位置決め用穴(16)、前記第２位置決め用穴(8)及び前記第３位置決め用穴(20)により形成された挿入穴(40)に棒状の位置決め用治具(31)を挿入することにより、前記第１輪状絶縁キャップ(2)、前記輪状ステータ(1)及び前記第２輪状絶縁キャップ(3)の円周方向(C)の位置決めが行われ、
前記第１輪状絶縁キャップ(2)に形成された第１スナップフィット固定用穴(28)と、前記輪状ステータ(1)に形成され、前記第１スナップフィット固定用穴(28)と連通する第２スナップフィット固定用穴(9)と、前記第２輪状絶縁キャップ(3)に形成され、前記第２スナップフィット固定用穴(9)と連通する第３スナップフィット固定用穴(21)と、前記第３スナップフィット固定用穴(21)の近傍位置から一体に上方へ延設されたスナップフィット体(33)と、前記スナップフィット体(33)の先端(33A)に形成された係止部(33B)と、を用い、
前記位置決め用治具(31)により、前記第１、第２輪状絶縁キャップ(2,3)及び前記輪状ステータ(1)が、前述のように位置決めされた状態では、前記スナップフィット体(33)の係止部(33B)が前記第１輪状絶縁キャップ(2)の上面(2E)に係合されることにより、前記輪状ステータ(1)に対して前記第１、第２輪状絶縁キャップ(2,3)が位置決め固定される構成としたことを特徴とするレゾルバステータ用絶縁キャップ位置決め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルバステータ用絶縁キャップ位置決め構造及びその方法に関し、特に、位置決め用治具を用いて各輪状絶縁キャップ及び輪状ステータの円周方向の位置決めをすると共に、第２輪状絶縁キャップのスナップフィット体で各輪状絶縁キャップ及び輪状ステータを結合させるための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のレゾルバのステータ構造において、特許公報名を開示していないが、第１従来構成としては、輪状ステータの各端面に対して、第１輪状絶縁キャップと第２輪状絶縁キャップを設け、例えば、一方の第１輪状絶縁キャップに長手の棒状形状の係止体を設け、他方の第２輪状絶縁キャップに、前記係止体を受け入れるための係止孔を設ける構成が採用されていた。
すなわち、前記輪状ステータの孔又はスロットを利用し、前記係止体を前記輪状ステータの孔又はスロットを貫通させて前記第２輪状絶縁キャップの係止孔に係止させることによって、一対の輪状絶縁キャップを前記輪状ステータを挟んだ状態で固定させる方法（二体の輪状絶縁キャップを用いる構造）が過去に長く採用されていた。
すなわち、前記輪状ステータの孔又はスロットを利用し、前記係止体を前記輪状ステータの孔又はスロットを貫通させて前記第２輪状絶縁キャップの係止孔に係止させることによって、一対の輪状絶縁キャップを前記輪状ステータを挟んだ状態で固定させる方法（二体の輪状絶縁キャップを用いる構造）が過去に長く採用されていた。
【0003】
また、第２従来構成として、特許文献１の構成を挙げることができる。
すなわち、この第２従来構成の「ロータトランスの位置決め機構」においては、図５の（ａ）、（ｂ）のように、ロータトランスが適用されるレゾルバのロータトランス４１３は、その両端に鍔部４ａ、４ｂが形成され、鍔部４ｂには位置決めの切り欠き部６が、鍔部４ａにはロータトランス巻線とレゾルバロータ巻線とを接続する渡り線を引き出すための切り欠き部５が、それぞれ傾斜して形成されている。ロータトランス巻線は切り欠き部５から渡り線により引き出され、レゾルバロータ巻線に接続される。位置決めの切り欠き部６は、切り欠き部５に対してロータトランスとレゾルバロータとが所定の位置になるように配設した時に、前記切り欠き部５とレゾルバロータ巻線の引き出し口とが一致する位置に形成されている。位置決めの切り欠き部６がレゾルバロータに対して所定の位置に来るようにロータトランスを位置決めしている。
すなわち、この第２従来構成の「ロータトランスの位置決め機構」においては、図５の（ａ）、（ｂ）のように、ロータトランスが適用されるレゾルバのロータトランス４１３は、その両端に鍔部４ａ、４ｂが形成され、鍔部４ｂには位置決めの切り欠き部６が、鍔部４ａにはロータトランス巻線とレゾルバロータ巻線とを接続する渡り線を引き出すための切り欠き部５が、それぞれ傾斜して形成されている。ロータトランス巻線は切り欠き部５から渡り線により引き出され、レゾルバロータ巻線に接続される。位置決めの切り欠き部６は、切り欠き部５に対してロータトランスとレゾルバロータとが所定の位置になるように配設した時に、前記切り欠き部５とレゾルバロータ巻線の引き出し口とが一致する位置に形成されている。位置決めの切り欠き部６がレゾルバロータに対して所定の位置に来るようにロータトランスを位置決めしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開２００３－２９４４８７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の第１従来構成の場合、第１輪状絶縁キャップに設けた長手状で先端に爪部を有する係止体をオス形状とし、第２輪状絶縁キャップに設けた係止孔はメス形状に形成され、この係止孔には多少のクリアランスが形成されているため、自動組立てではなく、人手によって係止体を係止孔に係合させていた。そのため、このクリアランスによって、第１、第２輪状絶縁キャップの各円周方向の位置と輪状ステータの突出磁極との位置を正確に合わせることが極めて困難であった。
また、前述のように、従来の輪状絶縁キャップ形状は、形状の複雑な輪状ステータの突出磁極のスロット部分で位置が決められていたため、自動組立てが困難で、コストダウンが困難であった。
また、前述のように、従来の輪状絶縁キャップ形状は、形状の複雑な輪状ステータの突出磁極のスロット部分で位置が決められていたため、自動組立てが困難で、コストダウンが困難であった。
【0006】
そのため、この第１従来構成の構造をそのまま自動組立ラインに適用しても、人手によるレゾルバの組立て効率と品質向上を目指すことは困難であった。
また、前述の第２従来構成においては、位置決めの切り欠き部６がレゾルバロータに対して所定の位置に来るようにロータトランスを位置決めしているが、この位置決め構造を、レゾルバステータの第１、第２輪状絶縁キャップを輪状ステータに対して位置決めする本願発明の構成に適用することは困難であった。
また、前述の第２従来構成においては、位置決めの切り欠き部６がレゾルバロータに対して所定の位置に来るようにロータトランスを位置決めしているが、この位置決め構造を、レゾルバステータの第１、第２輪状絶縁キャップを輪状ステータに対して位置決めする本願発明の構成に適用することは困難であった。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、位置決め用治具を用いて各輪状絶縁キャップ及び輪状ステータの円周方向の位置決めをすると共に、第２輪状絶縁キャップのスナップフィット体で各輪状絶縁キャップ及び輪状ステータを結合させるようにし、自動組立て装置への適用も可能なレゾルバステータ用絶縁キャップ位置決め構造及びその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるレゾルバステータ構造は、輪状ステータの第１端面に設けられた第１輪状絶縁キャップと、前記輪状ステータの第２端面に設けられた第２輪状絶縁キャップとを備えてなるレゾルバステータ構造において、前記第１輪状絶縁キャップの第１周縁に突出して形成された第１位置決め用穴と、前記輪状ステータを貫通して形成された第２位置決め用穴と、前記第２輪状絶縁キャップの第２周縁に突出して形成された第３位置決め用穴と、を備え、前記第２位置決め用穴及び前記第３位置決め用穴は、前記第１位置決め用穴の形成された位置に対応する位置にあり、また、前記第１輪状絶縁キャップに形成された第１スナップフィット固定用穴と、前記輪状ステータに形成され、前記第１スナップフィット固定用穴と連通する第２スナップフィット固定用穴と、前記第２輪状絶縁キャップに形成され、前記第２スナップフィット固定用穴と連通する第３スナップフィット固定用穴と、前記第３スナップフィット固定用穴の近傍位置から一体に上方へ延設されたスナップフィット体と、前記スナップフィット体の先端に形成された係止部と、からなり、前記位置決め用治具により、前記第１、第２輪状絶縁キャップ及び前記輪状ステータが、前述のように位置決めされた状態では、前記スナップフィット体の係止部が前記第１輪状絶縁キャップの上面に係合されることにより、前記輪状ステータに対して前記第１、第２輪状絶縁キャップが位置決め固定される構成であり、また、本発明によるレゾルバステータ用絶縁キャップ位置決め方法は、輪状ステータの第１端面に設けられた第１輪状絶縁キャップと、前記輪状ステータの第２端面に設けられた第２輪状絶縁キャップとを用い、前記第１、第２輪状絶縁キャップを、前記第１、第２端面に位置決め固定するレゾルバステータ用絶縁キャップ位置決め方法において、前記第１輪状絶縁キャップの第１周縁に突出して形成された複数の第１位置決め用穴と、前記輪状ステータを貫通して形成された第２位置決め用穴と、前記第２輪状絶縁キャップの第２周縁に突出して形成された複数の第３位置決め用穴と、を用い、前記第１位置決め用穴、前記第２位置決め用穴及び前記第３位置決め用穴により形成された挿入穴に棒状の位置決め用治具を挿入することにより、前記第１輪状絶縁キャップ、前記輪状ステータ及び前記第２輪状絶縁キャップの円周方向の位置決めが行われる方法であり、また、前記第１輪状絶縁キャップに形成された第１スナップフィット固定用穴と、前記輪状ステータに形成され、前記第１スナップフィット固定用穴と連通する第２スナップフィット固定用穴と、前記第２輪状絶縁キャップに形成され、前記第２スナップフィット固定用穴と連通する第３スナップフィット固定用穴と、前記第３スナップフィット固定用穴の近傍位置から一体に上方へ延設されたスナップフィット体と、前記スナップフィット体の先端に形成された係止部と、を用い、前記位置決め用治具により、前記第１、第２輪状絶縁キャップ及び前記輪状ステータが、前述のように位置決めされた状態では、前記スナップフィット体の係止部が前記第１輪状絶縁キャップの上面に係合されることにより、前記輪状ステータに対して前記第１、第２輪状絶縁キャップが位置決め固定される方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるレゾルバステータ用絶縁キャップ位置決め構造及びその方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、輪状ステータの第１端面に設けられた第１輪状絶縁キャップと、前記輪状ステータの第２端面に設けられた第２輪状絶縁キャップとを備えてなるレゾルバステータ用絶縁キャップ位置決め構造において、前記第１輪状絶縁キャップの第１周縁に突出して形成された第１位置決め用穴と、前記輪状ステータを貫通して形成された第２位置決め用穴と、前記第２輪状絶縁キャップの第２周縁に突出して形成された第３位置決め用穴と、を備え、前記第１位置決め用穴、前記第２位置決め用穴及び前記第３位置決め用穴により形成された挿入穴に棒状の位置決め用治具を挿入することにより、前記第１輪状絶縁キャップ、前記輪状ステータ及び前記第２輪状絶縁キャップの円周方向の位置決めができるように構成したことにより、例えば、レゾルバ自動組立て装置に輪状ステータと第１、第２輪状絶縁キャップを設置し、前述の棒状の位置決め用治具を前述の挿入穴に対してわずかなクリアランスで挿入すると、各位置決め用穴は、この位置決め用治具の外形にならって一直線状に整列するため、前述の輪状ステータと第１、第２輪状絶縁キャップの３者の円周方向の位置決めを正確かつ簡単に行うことができ、高精度のレゾルバの組立て及び自動組立てを行うことができる。
また、前記第１輪状絶縁キャップに形成された第１スナップフィット固定用穴と、前記輪状ステータに形成され、前記第１スナップフィット固定用穴と連通する第２スナップフィット固定用穴と、前記第２輪状絶縁キャップに形成され、前記第２スナップフィット固定用穴と連通する第３スナップフィット固定用穴と、前記第３スナップフィット固定用穴の近傍位置から一体に上方へ延設されたスナップフィット体と、前記スナップフィット体の先端に形成された係止部と、を用い、前記位置決め用治具により、前記第１、第２輪状絶縁キャップ及び前記輪状ステータが、前述のように位置決めされた状態では、前記スナップフィット体の係止部が前記第１輪状絶縁キャップの上面に係合されることにより、前記輪状ステータに対して前記第１、第２輪状絶縁キャップが位置決め固定される構成としたことにより、次のような効果を得ることができる。
すなわち、前記第２輪状絶縁キャップを、例えば、レゾルバ自動組立て装置のアクチュエータで上方へ突き上げるか、又は、第１輪状絶縁キャップを上から下降押し付け動作により、前述の輪状ステータと第１、第２輪状絶縁キャップは一体化され、レゾルバステータの組立てが完了する。
従って、本発明によれば、前述のレゾルバ自動組立て装置を用いると、前記位置決め用治具の挿入とスナップフィット体の挿入は、同時又は、位置決め用治具の挿入の後に、スナップフィット体の挿入とすることもできる。
すなわち、輪状ステータの第１端面に設けられた第１輪状絶縁キャップと、前記輪状ステータの第２端面に設けられた第２輪状絶縁キャップとを備えてなるレゾルバステータ用絶縁キャップ位置決め構造において、前記第１輪状絶縁キャップの第１周縁に突出して形成された第１位置決め用穴と、前記輪状ステータを貫通して形成された第２位置決め用穴と、前記第２輪状絶縁キャップの第２周縁に突出して形成された第３位置決め用穴と、を備え、前記第１位置決め用穴、前記第２位置決め用穴及び前記第３位置決め用穴により形成された挿入穴に棒状の位置決め用治具を挿入することにより、前記第１輪状絶縁キャップ、前記輪状ステータ及び前記第２輪状絶縁キャップの円周方向の位置決めができるように構成したことにより、例えば、レゾルバ自動組立て装置に輪状ステータと第１、第２輪状絶縁キャップを設置し、前述の棒状の位置決め用治具を前述の挿入穴に対してわずかなクリアランスで挿入すると、各位置決め用穴は、この位置決め用治具の外形にならって一直線状に整列するため、前述の輪状ステータと第１、第２輪状絶縁キャップの３者の円周方向の位置決めを正確かつ簡単に行うことができ、高精度のレゾルバの組立て及び自動組立てを行うことができる。
また、前記第１輪状絶縁キャップに形成された第１スナップフィット固定用穴と、前記輪状ステータに形成され、前記第１スナップフィット固定用穴と連通する第２スナップフィット固定用穴と、前記第２輪状絶縁キャップに形成され、前記第２スナップフィット固定用穴と連通する第３スナップフィット固定用穴と、前記第３スナップフィット固定用穴の近傍位置から一体に上方へ延設されたスナップフィット体と、前記スナップフィット体の先端に形成された係止部と、を用い、前記位置決め用治具により、前記第１、第２輪状絶縁キャップ及び前記輪状ステータが、前述のように位置決めされた状態では、前記スナップフィット体の係止部が前記第１輪状絶縁キャップの上面に係合されることにより、前記輪状ステータに対して前記第１、第２輪状絶縁キャップが位置決め固定される構成としたことにより、次のような効果を得ることができる。
すなわち、前記第２輪状絶縁キャップを、例えば、レゾルバ自動組立て装置のアクチュエータで上方へ突き上げるか、又は、第１輪状絶縁キャップを上から下降押し付け動作により、前述の輪状ステータと第１、第２輪状絶縁キャップは一体化され、レゾルバステータの組立てが完了する。
従って、本発明によれば、前述のレゾルバ自動組立て装置を用いると、前記位置決め用治具の挿入とスナップフィット体の挿入は、同時又は、位置決め用治具の挿入の後に、スナップフィット体の挿入とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態によるレゾルバステータ用絶縁キャップ位置決め構造及びその方法を示すためのレゾルバステータの分解斜視図である。
【図5】従来のロータトランスの実施形態を示す図で、ａは正面図、ｂは右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によるレゾルバステータ用絶縁キャップ位置決め構造及びその方法は、位置決め用治具を用いて各輪状絶縁キャップ及び輪状ステータの円周方向の位置決めをすると共に、第２輪状絶縁キャップのスナップフィット体で各輪状絶縁キャップ及び輪状ステータを位置決め結合させる構成と方法である。
【実施例】
【0012】
以下、図面と共に本発明によるレゾルバステータ用絶縁キャップ位置決め構造及びその方法の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図１は、レゾルバの骨格である輪状ステータ（ヨーク）１と、この輪状ステータ１の第１端面１Ｍ及び第２端面１Ｎに設けられた第１輪状絶縁キャップ２及び第２輪状絶縁キャップ３と、を示しており、図１では、分解斜視図の形で示されている。
前記輪状ステータ１の外周には、この輪状ステータ１を車等の装置に固定するための凹部１Ａが所定角度間隔で示されている。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図１は、レゾルバの骨格である輪状ステータ（ヨーク）１と、この輪状ステータ１の第１端面１Ｍ及び第２端面１Ｎに設けられた第１輪状絶縁キャップ２及び第２輪状絶縁キャップ３と、を示しており、図１では、分解斜視図の形で示されている。
前記輪状ステータ１の外周には、この輪状ステータ１を車等の装置に固定するための凹部１Ａが所定角度間隔で示されている。
【0013】
前記輪状ステータ１のステータ周縁１Ｂには、前記各凹部１Ａ間にやや曲折した状態の最大の長孔７が形成され、各長孔７は、前記凹部１Ａと同様に、他の装置に固定する時の取付孔として用いられるように構成されている。
【0014】
前記輪状ステータ１のステータ内縁１Ｃには、円周に沿って所定角度間隔毎に、細長状の第２位置決め用穴８が貫通して形成されている。
前記第２位置決め用穴８の円周方向Ｃに沿う隣の位置には、後述の貫通状の第２スナップフィット固定用穴９が形成され、前記第２位置決め用穴８と第２スナップフィット固定用穴９とが前記輪状ステータ１のステータ内縁１Ｃに交互に配設されている。
さらに、前記輪状ステータ１の前記ステータ内縁１Ｃの空隙１０には、前記ステータ内縁１Ｃと一体で、かつ、前記空隙１０に向けて突出する多数の突出磁極１１が形成されている。
前記第２位置決め用穴８の円周方向Ｃに沿う隣の位置には、後述の貫通状の第２スナップフィット固定用穴９が形成され、前記第２位置決め用穴８と第２スナップフィット固定用穴９とが前記輪状ステータ１のステータ内縁１Ｃに交互に配設されている。
さらに、前記輪状ステータ１の前記ステータ内縁１Ｃの空隙１０には、前記ステータ内縁１Ｃと一体で、かつ、前記空隙１０に向けて突出する多数の突出磁極１１が形成されている。
【0015】
前記輪状ステータ１の第１端面１Ｍ上には、第１輪状絶縁キャップ２が設けられ、この第１輪状絶縁キャップ２の一部には、径方向外向きに突出すると共に複数の端子ピン１２を有する端子ピン保持部１４が一体に設けられている。
前記第１輪状絶縁キャップ２の第１周縁１５には、複数の第１位置決め用穴１６が水平方向に突出した状態で設けられている。
また、前記輪状ステータ１の第２端面１Ｎには、前記第１輪状絶縁キャップ２とほぼ同径で構成された第２輪状絶縁キャップ３が設けられている。
前記第１輪状絶縁キャップ２の第１周縁１５には、複数の第１位置決め用穴１６が水平方向に突出した状態で設けられている。
また、前記輪状ステータ１の第２端面１Ｎには、前記第１輪状絶縁キャップ２とほぼ同径で構成された第２輪状絶縁キャップ３が設けられている。
【0016】
前記第１輪状絶縁キャップ２の第１周縁１５には、第１スナップフィット固定用穴２８が形成されていると共に、この第１スナップフィット固定用穴２８の穴の大きさは、前記第１位置決め用穴１６の大きさよりも小さい穴となるように構成されている。
【0017】
前記各輪状絶縁キャップ２、３の間に位置し、挟持されている前記輪状ステータ１には、前記第１位置決め用穴１６に対応するように第２位置決め用穴８が形成されている。
また、前記輪状ステータ１の第２端面１Ｎに設けられた第２輪状絶縁キャップ３の第２周縁１７には、第３位置決め用穴２０が形成されている。
前記第２輪状絶縁キャップ３の第２周縁１７には、前記第３位置決め用穴２０だけではなく、後述の第３スナップフィット固定用穴２１が形成されている。
また、前記輪状ステータ１の第２端面１Ｎに設けられた第２輪状絶縁キャップ３の第２周縁１７には、第３位置決め用穴２０が形成されている。
前記第２輪状絶縁キャップ３の第２周縁１７には、前記第３位置決め用穴２０だけではなく、後述の第３スナップフィット固定用穴２１が形成されている。
【0018】
図２は、図１で説明したレゾルバステータ３０の第１、第２輪状絶縁キャップ２、３と輪状ステータ１とを一体状に結合するための概要を示している。
図３は、図２において、角状の黒点線で示されるＡ部が、後述の棒状をなす位置決め治具３１を用いて本発明の位置決めする状態を示すための模式図であり、図４は、図２において、角状の白点線で示されるＢ部が、後述の棒状をなし先端３３Ａに爪状の係止部３３Ｂを有するスナップフィット体３３を用いて、本発明のスナップフィット式の位置決め固定を行う状態を示すための模式図である。
図３は、図２において、角状の黒点線で示されるＡ部が、後述の棒状をなす位置決め治具３１を用いて本発明の位置決めする状態を示すための模式図であり、図４は、図２において、角状の白点線で示されるＢ部が、後述の棒状をなし先端３３Ａに爪状の係止部３３Ｂを有するスナップフィット体３３を用いて、本発明のスナップフィット式の位置決め固定を行う状態を示すための模式図である。
【0019】
前述の図２のＡ部の構成を用いて位置決めする場合について説明する。図４において、前記第１輪状絶縁キャップ２の第１位置決め用穴１６と、輪状ステータ１の第２位置決め用穴８と、第２輪状絶縁キャップ３の第３位置決め用穴２０と、を互いに連通して貫通することによって形成された挿入穴４０内に、棒状をなし前記各穴１６、８及び２０の形状の長孔形状をなす位置決め用治具３１を挿入すると、前記各穴１６、８及び２０に多少のズレが発生していたとしても、前記位置決め用治具３１は、前記挿入穴４０へ挿入されるにつれて、前記各穴１６、８及び２０の位置ズレを矯正し、各穴１６、８及び２０の内面を直線状とすることにより、各穴１６、８及び２０の位置は直線状となり、前記各輪状絶縁キャップ２、３と輪状ステータ１との円周方向Ｃにおける位置決めを行うことができるように構成されている。
【0020】
次に、前述の図２のＢ部の構成を用いて、前記各輪状絶縁キャップ２、３と前記輪状ステータ１を前記スナップフィット体３３によって固定する場合について説明する。
図３で示されるように、前記各輪状絶縁キャップ２、３によって前記輪状ステータ１を挟持するように三段重ね状態となると、前記第２輪状絶縁キャップ３に一体形成されたスナップフィット体３３が、前記第１スナップフィット固定用穴２８を貫通して、その先端３３Ａの係止部３３Ｂが前記第１輪状絶縁キャップ２の上面２Ｅに係合するため、前記輪状ステータ１と第１輪状絶縁キャップ２が前記第２輪状絶縁キャップ３側に強く押し付けられることによって、前記第１輪状絶縁キャップ２と輪状ステータ１が第２輪状絶縁キャップ３に引き付けられて一体状に形成されている。また、前記係止部３３Ｂが係合する前記上面２Ｅは、第１輪状絶縁キャップ２の厚さよりも薄くした段付上面２Ｅａに係合しており、これは厚いよりも薄くした方が弾性があるため係合しやすくなるからである。
図３で示されるように、前記各輪状絶縁キャップ２、３によって前記輪状ステータ１を挟持するように三段重ね状態となると、前記第２輪状絶縁キャップ３に一体形成されたスナップフィット体３３が、前記第１スナップフィット固定用穴２８を貫通して、その先端３３Ａの係止部３３Ｂが前記第１輪状絶縁キャップ２の上面２Ｅに係合するため、前記輪状ステータ１と第１輪状絶縁キャップ２が前記第２輪状絶縁キャップ３側に強く押し付けられることによって、前記第１輪状絶縁キャップ２と輪状ステータ１が第２輪状絶縁キャップ３に引き付けられて一体状に形成されている。また、前記係止部３３Ｂが係合する前記上面２Ｅは、第１輪状絶縁キャップ２の厚さよりも薄くした段付上面２Ｅａに係合しており、これは厚いよりも薄くした方が弾性があるため係合しやすくなるからである。
【0021】
前述した図３及び図４のスナップフィット固定動作と位置決め固定動作とは、レゾルバの自動組立てにおいては、同時動作、又は、位置決め動作が完了後に、スナップフィット動作となることが考えられる。
従って、図４のように、位置決め用治具３１の挿入穴４０への挿入によって、各輪状絶縁キャップ２、３と輪状ステータ１の円周方向Ｃの位置決めを行い、この時、位置決め用治具３１を挿入穴４０内に残したままの状態で、図３に示すスナップフィット体３３による前記各輪状絶縁キャップ２、３と輪状ステータ１との固定が完了する。
前述のレゾルバステータ３０の位置決めと固定が完了すると、前記位置決め治具３１の除去を行い、レゾルバステータ３０の組立てが完了となる。
従って、図４のように、位置決め用治具３１の挿入穴４０への挿入によって、各輪状絶縁キャップ２、３と輪状ステータ１の円周方向Ｃの位置決めを行い、この時、位置決め用治具３１を挿入穴４０内に残したままの状態で、図３に示すスナップフィット体３３による前記各輪状絶縁キャップ２、３と輪状ステータ１との固定が完了する。
前述のレゾルバステータ３０の位置決めと固定が完了すると、前記位置決め治具３１の除去を行い、レゾルバステータ３０の組立てが完了となる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明によるレゾルバステータ用絶縁キャップ位置決め構造及びその方法は、位置決め用治具を用いて各輪状絶縁キャップ及び輪状ステータの円周方向の位置決めをすると共に、第２輪状絶縁キャップ及び輪状ステータを結合させる構成と方法である。
【符号の説明】
【0023】
１ 輪状ステータ
１Ａ 凹部
１Ｂ ステータ周縁
１Ｃ ステータ内縁
１Ｍ 第１端面
１Ｎ 第２端面
２ 第１輪状絶縁キャップ
２Ｅ 上面
２Ｅａ 段付上面
３ 第２輪状絶縁キャップ
７ 長孔
８ 第２位置決め用穴
９ 第２スナップフィット固定用穴
１０ 空隙
１１ 突出磁極
１２ 端子ピン
１４ 端子ピン保持部
１５ 第１周縁
１６ 第１位置決め用穴
１７ 第２周縁
２０ 第３位置決め用穴
２１ 第３スナップフィット固定用穴
２８ 第１スナップフィット固定用穴
３０ レゾルバステータ
３１ 位置決め治具
３３ スナップフィット体
３３Ａ 先端
３３Ｂ 係止部
４０ 挿入穴
Ｃ 円周方向
１Ａ 凹部
１Ｂ ステータ周縁
１Ｃ ステータ内縁
１Ｍ 第１端面
１Ｎ 第２端面
２ 第１輪状絶縁キャップ
２Ｅ 上面
２Ｅａ 段付上面
３ 第２輪状絶縁キャップ
７ 長孔
８ 第２位置決め用穴
９ 第２スナップフィット固定用穴
１０ 空隙
１１ 突出磁極
１２ 端子ピン
１４ 端子ピン保持部
１５ 第１周縁
１６ 第１位置決め用穴
１７ 第２周縁
２０ 第３位置決め用穴
２１ 第３スナップフィット固定用穴
２８ 第１スナップフィット固定用穴
３０ レゾルバステータ
３１ 位置決め治具
３３ スナップフィット体
３３Ａ 先端
３３Ｂ 係止部
４０ 挿入穴
Ｃ 円周方向
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
