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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】曲線桁の送り出し装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
   E01D 21/06 20060101AFI20241202BHJP
   E01D 21/00 20060101ALI20241202BHJP
   B66F 3/24 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
E01D21/06
E01D21/00 A
B66F3/24 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023130923
(22)【出願日】2023-08-10
【審査請求日】2024-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】508036743
【氏名又は名称】株式会社横河ブリッジ
(73)【特許権者】
【識別番号】592182573
【氏名又は名称】オックスジャッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076255
【弁理士】
【氏名又は名称】古澤 俊明
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 克身
(72)【発明者】
【氏名】眞田 芳浩
(72)【発明者】
【氏名】中村 裕一
(72)【発明者】
【氏名】森脇 幸次
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 守
(72)【発明者】
【氏名】中村 泰二
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-169015(JP,A)
【文献】特開2011-047117(JP,A)
【文献】特開2007-138514(JP,A)
【文献】特開2004-346728(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第115807387(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 21/00 - 21/10
B66F 3/24 - 3/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲線桁の先端に直線状の手延べ機を連結して一方の地点から他方の地点まで前記曲線桁を移送する曲線桁の送り出し装置において、
前記他方の地点に設置され、前記手延べ機の下面の誘導レールを誘導する誘導レールガイド装置を備え、この誘導レールガイド装置は、前記誘導レールを乗せて前記手延べ機を移送する誘導レール位置調整用ローラーと、前記曲線桁の曲線に応じて作動して前記手延べ機の移送方向と交差する方向に前記誘導レール位置調整用ローラーを移動する水平ジャッキとを具備してなることを特徴とする曲線桁の送り出し装置。
【請求項2】
前記誘導レール位置調整用ローラーは、鉛直ジャッキ取付枠に設けた鉛直ジャッキで上下位置調整自在に設けるとともに、前記鉛直ジャッキ取付枠と一体の水平ジャッキ取付枠に設けた前記水平ジャッキで水平位置調整自在に設けたことを特徴とする請求項1記載の曲線桁の送り出し装置。
【請求項3】
前記水平ジャッキ取付枠は、前記水平ジャッキの伸縮方向に伸びた軌条装置に摺動自在に設けたことを特徴とする請求項2記載の曲線桁の送り出し装置。
【請求項4】
前記水平ジャッキは、シリンダとピストンからなり、前記ピストンを前記軌条装置の端部に取り付け、前記シリンダが取り付けられた前記水平ジャッキ取付枠を前記軌条装置に摺動自在に取り付けたことを特徴とする請求項3記載の曲線桁の送り出し装置。
【請求項5】
前記誘導レール位置調整用ローラーは、両側に、前記誘導レールの外れを防止するローラー鍔を設け、このローラー鍔の内側にMCナイロンを貼り付けてなることを特徴とする請求項1記載の曲線桁の送り出し装置。
【請求項6】
前記誘導レール位置調整用ローラーとこの誘導レール位置調整用ローラーの回転軸は、両側のローラー支持板で支持し、このローラー支持板の両端の軸と軸受けは、前記ローラー支持板の両端に位置して設けた4台の前記鉛直ジャッキのピストンにて支持し、4台の前記鉛直ジャッキのシリンダを前記鉛直ジャッキ取付枠に固定し、前記鉛直ジャッキ取付枠の両側に前記水平ジャッキ取付枠を連結し、これらの水平ジャッキ取付枠に2台の前記水平ジャッキのそれぞれのシリンダを固着し、前記それぞれの水平ジャッキ取付枠を2台の前記軌条装置で摺動自在に設け、2台の前記水平ジャッキのそれぞれのピストンを前記それぞれの軌条装置の端部に取り付けたことを特徴とする請求項3記載の曲線桁の送り出し装置。
【請求項7】
2台の前記水平ジャッキのそれぞれの前記ピストンを2台の前記軌条装置を構成するそれぞれのレールの一端部に着脱自在に取り付け、前記それぞれのレールの他端部に、これらのレールに連続するストッパ付きの回転板を回動ピンで回転自在に設け、前記ピストンを前記軌条装置から外し、前記水平ジャッキ取付枠を前記ストッパに達するまで摺動したのち、前記回動ピンで前記誘導レールガイド装置を回転して前記レールを仮受台として機能するようにしたことを特徴とする請求項6記載の曲線桁の送り出し装置。
【請求項8】
請求項1記載の装置が用いられ、
前記誘導レールガイド装置は、軌条装置の上に移動自在に載せられており、
前記曲線桁を前記手延べ機とともに移送して一方の地点から他方の地点へ移送する第1の工程と、
前記他方の地点に設置された誘導レール位置調整用ローラーに、移送された前記手延べ機の前記誘導レールを乗せる第2の工程と、
前記誘導レール位置調整用ローラーに前記誘導レールを乗せて前記曲線桁とともに前記手延べ機の移送を開始する第3の工程と、
前記手延べ機の移送開始後、前記曲線桁の曲線に応じて鉛直ジャッキ用ポンプを作動して前記手延べ機の移送方向と交差する方向に前記誘導レール位置調整用ローラーを移動する第4の工程と、
前記曲線桁が他方の地点まで達したらこの曲線桁を他のジャッキに盛り替える第5の工程と、
前記誘導レールガイド装置を前記軌条装置から除いてこの軌条装置を仮受台として機能させる第6の工程と
からなることを特徴とする曲線桁の送り出し方法。
【請求項9】
請求項7記載の装置が用いられ、
前記第6の工程において、前記誘導レールガイド装置を前記軌条装置から除くために前記誘導レールガイド装置を、前記軌条装置の他端部の前記回転板と一体の前記ストッパまで前記水平ジャッキで移動し、前記回動ピンで前記誘導レールガイド装置を下方に回転することを特徴とする請求項8記載の曲線桁の送り出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲線桁の先端に手延べ機を連結して橋脚等へ安全、かつ円滑に移送するための曲線桁の送り出し装置及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8に示すように、橋台11などの一方の地点から橋脚12などの他方の地点まで長くて重い架設桁10を掛け渡さすには、架設桁10の先端部30aに手延べ機13を連結して行われる。前記架設桁10が曲線桁30である場合には、この曲線桁30の先端部30aの接線方向に直線状の手延べ機13が連結される。
この手延べ機13には、下面に断面4角の誘導レール19が設けられており、この誘導レール19が橋脚12に設置した無限軌道帯式スライド装置15に到達すると、この無限軌道帯式スライド装置15の無限軌道帯23に載せられて順次送り込まれる。
【0003】
前記誘導レール19を無限軌道帯式スライド装置15で順次送り出すには、図8の例では、架設桁10が曲線桁30であるため、誘導レール19は、無限軌道帯23の上で手延べ機13の移送方向に交差する方向に横移動しようとする。そのため、前記無限軌道帯式スライド装置15は、特許第4395557号公報に示すような無限軌道帯の軌道帯ユニットが移動方向に対し、直交する方向に横移動するものが使用される。より詳しくは、図6(e)及び図7において、前記無限軌道帯23は、複数個の軌道帯ユニット24を図示しないチェンで無限軌道帯として連結したものである。この軌道帯ユニット24の凹部27には横移動するスライド受け板25が嵌合し、このスライド受け板25が左右の復帰ばね26で中央に保持されている。
ちなみに、図8において、曲線桁30の曲率が1100Rとし、手延べ機13の長さa=40mとすると、手延べ機13の先端が橋脚12に到達してから曲線桁30の先端が橋脚12に到達するまでの手延べ機13の前記無限軌道帯式スライド装置15の上での横移動距離b=約30cmである。
【0004】
曲線桁30に直線状の手延べ機13を連結して、前記無限軌道帯式スライド装置15を用いて順次送り出す従来の方法を図6に基づき説明する。
なお、前述の通り手延べ機13の長さa=40m、横移動距離b=約30cmとすると、誘導レール19の実際の無限軌道帯23上での傾斜角度は極めて小さく、図示すると、略直線となるので、図6では、説明の都合上、誘導レール19の傾斜角度を極端に大きく記載している。
図6(a)において、手延べ機13は、図中右から左へ移送するものとし、手延べ機13の誘導レール19が無限軌道帯23の中央の3台のスライド受け板25の上に乗り上がったものとする(実際のスライド受け板25の数は、もっと多いが図面上では3台とする)。前後端のスライド受け板25は、巻き込まれており、誘導レール19とは接触していない。
図6(b)において、誘導レール19は、曲線桁30の移送とともに無限軌道帯23に乗せられてX軸方向に移動をするとともに、曲線桁30が下向きに湾曲しているものとすると、曲線の程度に従いY軸下方向に移動する。スライド受け板25と誘導レール19は、一体にX軸方向に移動をするが、Y軸方向には誘導レール19だけが図示のように移動をして、前記スライド受け板25がY軸方向に移動することはない。
図6(c)において、誘導レール19が前記スライド受け板25から外れそうになると、無限軌道帯式スライド装置15全体をY軸下方向に移動させ、両端の誘導レール19が乗っていないスライド受け板25の中心と無限軌道帯式スライド装置15の中心とを合わせる。無限軌道帯式スライド装置15全体をY軸下方向に移動させることにより、誘導レール19が乗っている中央の3台のスライド受け板25は、Y軸下方向に移動せず、無限軌道帯式スライド装置15だけがY軸下方向に移動する。
図6(d)において、左端の誘導レール19から離れたスライド受け板25は、復帰ばね26で中央に戻される。右端の誘導レール19が乗っていないスライド受け板25は、復帰ばね26で中央に戻されているので、このスライド受け板25が誘導レール19の下に回り込むと、このスライド受け板25に誘導レール19が乗りこむ。続けて送り込まれたスライド受け板25に順次誘導レール19が乗りこみ、図6(a)の状態に戻り、以下同様の動作を繰り返して誘導レール19を所定位置まで平行移動する。
【0005】
以上のような手延べ機13の誘導レール19のY軸方向の横移動において、手延べ機13の誘導レール19は、直線であって、曲線桁30は、曲線であり、かつ、誘導レール19の無限軌道帯式スライド装置15との接触位置は曲線桁30の先端部が無限軌道帯式スライド装置15に近づくに従ってX軸方向の変化に対する誘導レール19のY軸方向の変化の割合が一定値ではなく、複雑に変化する。そのため無限軌道帯式スライド装置15における誘導レール19の単位時間当たりのX軸方向の移動距離とスライド受け板25における誘導レール19のY軸方向の単位時間当たりの移動距離は、曲線桁30の曲率半径や、手延べ機13の長さの変化に応じて複雑に変化し、誘導レール19の無限軌道帯式スライド装置15における適切な横移動制御が困難であるばかりか、誘導レール19がスライド受け板25から外れると、誘導レール19をスライド受け板25に乗りかえたり、無限軌道帯23を破壊したりする恐れがあった。
【0006】
この種の架橋工事においては、図9(a)(b)に示すように、直線状の架設桁10の先端に直線状の手延べ機13を連結した場合であって、図9(a)に示すように、手延べ機13に曲がりが生じるなどして直線性を精度よく出すことができない場合であっても、橋脚12に設置した台座16の上のローラー14で手延べ機13の誘導レール19を案内することにより、誘導レール19の軌道を修正しながら順次対岸の陸地まで架設する方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実用新案登録第3140123号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図9(a)(b)に示す従来の手延べ機の送り出し方法は、直線状の架設桁10の先端に直線状の手延べ機13を連結した場合であって、手延べ機13に曲がりが生じたような場合にローラー14で案内することにより、誘導レール19の軌道を修正しながら順次対岸の陸地まで架設する方法である。
これに対し、本発明は、曲がりのある曲線桁30の先端の接線方向に、直線状の誘導レール19を連結したものであり、架設桁10と手延べ機13が直線状である従来方法をそのまま利用することができない。
また、本発明では、誘導レール19の無限軌道帯式スライド装置15との接触位置は、曲線桁30が曲がりを有するので、曲線桁30が橋脚12の上の無限軌道帯式スライド装置15に近づくに従ってX軸方向の変化に対する誘導レール19のY軸方向の変化の割合が複雑に変化するから、無限軌道帯式スライド装置15における誘導レール19の単位時間当たりのX軸方向の移動距離とスライド受け板25における誘導レール19のY軸方向の単位時間当たりの移動距離は、曲線桁30の曲率半径や、手延べ機13の長さの変化に応じて複雑に変化し、誘導レール19の無限軌道帯式スライド装置15における適切な横移動制御が困難であるばかりか、誘導レール19がスライド受け板25から外れると、誘導レール19をスライド受け板25に乗せ替えたり、スライド受け板25から外れて無限軌道帯23を破壊したりする恐れがあった。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点を解決するもので、曲線桁の先端の接線方向に、直線状の誘導レールを連結したものにおいて、円滑に、精度良く移動を制御することができる装置と方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の曲線桁の送り出し装置は、
曲線桁30の先端に直線状の手延べ機13を連結して一方の地点から他方の地点まで前記曲線桁30を移送する曲線桁の送り出し装置において、
前記他方の地点に、前記手延べ機13の下面の誘導レール19を誘導する誘導レールガイド装置31を設置し、この誘導レールガイド装置31は、前記誘導レール19を乗せて前記手延べ機13を移送する誘導レール位置調整用ローラー40と、前記曲線桁30の曲線に応じて作動して前記手延べ機13の移送方向と交差する方向に前記誘導レール位置調整用ローラー40を移動する水平ジャッキ38とを具備してなることを特徴とする。
【0011】
前記誘導レール位置調整用ローラー40は、鉛直ジャッキ取付枠37に設けた鉛直ジャッキ39で上下位置調整自在に設けるとともに、前記鉛直ジャッキ取付枠37と一体の水平ジャッキ取付枠36に設けた前記水平ジャッキ38で水平位置調整自在に設けたことを特徴とする。
【0012】
前記水平ジャッキ取付枠36は、前記水平ジャッキ38の伸縮方向に伸びた軌条装置35に摺動自在に設けたことを特徴とする。
【0013】
前記水平ジャッキ38は、シリンダ38aとピストン38bからなり、前記ピストン38bを前記軌条装置35の端部に取り付け、前記シリンダ38aが取り付けられた前記水平ジャッキ取付枠36を前記軌条装置35に摺動自在に取り付けたことを特徴とする。
【0014】
前記誘導レール位置調整用ローラー40は、両側に、前記誘導レール19の外れを防止するローラー鍔48を設け、このローラー鍔48の内側にMCナイロン49を貼り付けてなることを特徴とする。
【0015】
前記誘導レール位置調整用ローラー40とこの誘導レール位置調整用ローラー40の回転軸50は、両側のローラー支持板44で支持し、このローラー支持板44の両端の軸44aと軸受け44bは、前記鉛直ジャッキ39のピストン39bにて支持し、前記鉛直ジャッキ39のシリンダ39aを前記鉛直ジャッキ取付枠37に固定し、前記鉛直ジャッキ取付枠37の両側に前記水平ジャッキ取付枠36に連結し、これらの水平ジャッキ取付枠36にそれぞれ水平ジャッキ38のシリンダ38aを固着し、前記それぞれの水平ジャッキ取付枠36を2台の前記軌条装置35で摺動自在に設け、前記それぞれのピストン38bを前記それぞれの軌条装置35の端部に取り付けたことを特徴とする。
【0016】
前記それぞれの前記水平ジャッキ38の前記ピストン38bを前記それぞれの軌条装置35を構成するレール42の一端部に着脱自在に取り付け、前記それぞれのレール42の他端部に、このレール42に連続するストッパ46b付きの回転板46aを回動ピン47で回転自在に設け、前記ピストン38bを前記軌条装置35から外し、前記水平ジャッキ取付枠36を前記ストッパ46bに達するまで摺動したのち、前記回動ピン47で前記誘導レールガイド装置31を回転して前記レール42を仮受台として機能するようにしたことを特徴とする。
【0017】
本発明による曲線桁の送り出し方法は、
曲線桁30の先端に直線状の手延べ機13を連結して一方の地点から他方の地点まで前記曲線桁30を移送する曲線桁の送り出し装置において、
前記他方の地点に、前記手延べ機13の下面の誘導レール19を誘導する誘導レールガイド装置31を設置し、この誘導レールガイド装置31は、前記誘導レール19を乗せて前記手延べ機13を移送する誘導レール位置調整用ローラー40と、前記曲線桁30の曲線に応じて作動して前記手延べ機13の移送方向と交差する方向に前記誘導レール位置調整用ローラー40を移動する水平ジャッキ38とを具備してなることを特徴とする曲線桁の送り出し装置が用いられ、
前記曲線桁30を前記手延べ機13とともに移送して一方の地点から他方の地点へ移送する第1の工程と、
前記他方の地点に設置された誘導レール位置調整用ローラー40に、移送された前記手延べ機13の前記誘導レール19を乗せる第2の工程と、
前記誘導レール位置調整用ローラー40に前記誘導レール19を乗せて前記曲線桁30とともに前記手延べ機13の移送を開始する第3の工程と、
前記手延べ機13の移送開始後、前記曲線桁30の曲線に応じて前記鉛直ジャッキ用ポンプ53を作動して前記手延べ機13の移送方向と交差する方向に前記誘導レール位置調整用ローラー40を移動する第4の工程と、
前記曲線桁30が他方の地点まで達したらこの曲線桁30を他のジャッキに盛り替える第5の工程と、
前記誘導レールガイド装置31を前記軌条装置35から除いてこの軌条装置35を仮受台として機能させる第6の工程と
からなることを特徴とする。
【0018】
本発明による曲線桁の送り出し方法は、
前記それぞれの前記水平ジャッキ38の前記ピストン38bを前記それぞれの軌条装置35を構成するレール42の一端部に着脱自在に取り付け、前記それぞれのレール42の他端部に、このレール42に連続するストッパ46b付きの回転板46aを回動ピン47で回転自在に設け、前記ピストン38bを前記軌条装置35から外し、前記水平ジャッキ取付枠36を前記ストッパ46bに達するまで摺動したのち、前記回動ピン47で前記誘導レールガイド装置31を回転して前記レール42を仮受台として機能するようにしたことを特徴とする請求項4記載の曲線桁の送り出し装置請求項7記載の装置が用いられ、
前記第6の工程において、前記誘導レールガイド装置31を前記軌条装置35から除くために前記誘導レールガイド装置31を、前記軌条装置35の他端部の前記回転板46aと一体の前記ストッパ46bまで前記水平ジャッキ38で移動し、前記回動ピン47で前記誘導レールガイド装置31を下方に回転することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明によれば、
曲線桁の先端に直線状の手延べ機を連結して一方の地点から他方の地点まで前記曲線桁を移送する曲線桁の送り出し装置において、
前記他方の地点に、前記手延べ機の下面の誘導レールを誘導する誘導レールガイド装置を設置し、この誘導レールガイド装置は、前記誘導レールを乗せて前記手延べ機を移送する誘導レール位置調整用ローラーと、前記曲線桁の曲線に応じて作動して前記手延べ機の移送方向と交差する方向に前記誘導レール位置調整用ローラーを移動する水平ジャッキとを具備してなるので、曲線桁の先端に直線状の手延べ機を連結して一方の地点から他方の地点まで前記曲線桁を移送する場合、曲線桁の曲線に応じて水平ジャッキを作動して前記手延べ機の移送方向と交差する方向に前記誘導レール位置調整用ローラーを移動することにより、円滑に曲線桁を移送させることができる。また、手延べ機が誘導レール位置調整用ローラーから外れて無限軌道帯などの装置を破壊したり損傷を与えたりすることから防止できる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、
前記誘導レール位置調整用ローラーは、鉛直ジャッキ取付枠に設けた鉛直ジャッキで上下位置調整自在に設けるとともに、前記鉛直ジャッキ取付枠と一体の水平ジャッキ取付枠に設けた前記水平ジャッキで水平位置調整自在に設けたので、水平ジャッキで誘導レール位置調整用ローラー位置を制御できる。また、鉛直ジャッキで誘導レール位置調整用ローラーと誘導レールとを密着させて位置制御ができる。
【0021】
請求項3の記載によれば、
前記水平ジャッキ取付枠は、前記水平ジャッキの伸縮方向に伸びた軌条装置に摺動自在に設けたので、誘導レール位置調整用ローラーを常に水平に位置制御ができる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、
前記水平ジャッキは、シリンダとピストンからなり、前記ピストンを前記軌条装置の端部に取り付け、前記シリンダが取り付けられた前記水平ジャッキ取付枠を前記軌条装置に摺動自在に取り付けたので、水平ジャッキが常に水平に保持され正しい位置制御ができる。
【0023】
請求項5記載の発明によれば、
前記誘導レール位置調整用ローラーは、両側に、前記誘導レールの外れを防止するローラー鍔を設けたので、誘導レール位置調整用ローラーから誘導レールが外れることがなく、曲線桁を誘導できる。また、ローラー鍔の内側にMCナイロンを貼り付けたので、誘導レールの緩衝材となり、傷つけることがない。
【0024】
請求項6記載の発明によれば、
前記誘導レール位置調整用ローラーとこの誘導レール位置調整用ローラーの回転軸は、両側のローラー支持板で支持し、このローラー支持板の両端の軸と軸受けは、前記鉛直ジャッキのピストンにて支持し、前記鉛直ジャッキのシリンダを前記鉛直ジャッキ取付枠に固定し、前記鉛直ジャッキ取付枠の両側に前記水平ジャッキ取付枠に連結し、これらの水平ジャッキ取付枠にそれぞれ水平ジャッキのシリンダを固着し、前記それぞれの水平ジャッキ取付枠を2台の前記軌条装置で摺動自在に設け、前記それぞれのピストンを前記それぞれの軌条装置の端部に取り付けたので、曲線桁の曲がりが変化しても常に誘導レールが誘導レール位置調整用ローラーに密着して移送される。
【0025】
請求項7記載の発明によれば、
前記それぞれの前記水平ジャッキの前記ピストンを前記それぞれの軌条装置を構成するレールの一端部に着脱自在に取り付け、前記それぞれのレールの他端部に、このレールに連続するストッパ付きの回転板を回動ピンで回転自在に設け、前記ピストンを前記軌条装置から外し、前記水平ジャッキ取付枠を前記ストッパに達するまで摺動したのち、前記回動ピンで前記誘導レールガイド装置を回転して前記レールを仮受台として機能するようにしたので、誘導レールガイド装置を軌条装置の端部に移動して回転するだけで、軌条装置を曲線桁の移送時の仮受台として機能させることができる。
【0026】
請求項8記載の発明によれば、
請求項1記載の装置が用いられ、
前記曲線桁を前記手延べ機とともに移送して一方の地点から他方の地点へ移送する第1の工程と、
前記他方の地点に設置された誘導レール位置調整用ローラーに、移送された前記手延べ機の前記誘導レールを乗せる第2の工程と、
前記誘導レール位置調整用ローラーに前記誘導レールを乗せて前記曲線桁とともに前記手延べ機の移送を開始する第3の工程と、
前記手延べ機の移送開始後、前記曲線桁の曲線に応じて前記鉛直ジャッキ用ポンプを作動して前記手延べ機の移送方向と交差する方向に前記誘導レール位置調整用ローラーを移動する第4の工程と、
前記曲線桁が他方の地点まで達したらこの曲線桁を他のジャッキに盛り替える第5の工程と、
前記誘導レールガイド装置を前記軌条装置から除いてこの軌条装置を仮受台として機能させる第6の工程と
からなるので、曲線桁が橋脚等に達したら、誘導レールガイド装置を軌条装置から除いて速やかに次の橋脚への移送操作に移ることができる。
【0027】
請求項9記載の発明によれば、
請求項7記載の装置が用いられ、
前記第6の工程において、前記誘導レールガイド装置を前記軌条装置から除くために前記誘導レールガイド装置を、前記軌条装置の他端部の前記回転板と一体の前記ストッパまで前記水平ジャッキで移動し、前記回動ピンで前記誘導レールガイド装置を下方に回転するので、曲線桁が橋脚等に達したら、誘導レールガイド装置を軌条装置から完全に除かなくても回転するだけで誘導レールガイド装置が仮受台となり、曲線桁の移送制御が円滑に行える。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明による曲線桁の送り出し装置及びその方法における誘導レールガイド装置31の実施例1を示す斜視図である。
図2】(a)は、曲線桁30の先端部30aに直線状の手延べ機13を連結した平面図、(b)は、曲線桁30を手延べ機13とともに移動し、手延べ機13の先端部が橋脚12の上の誘導レールガイド装置31と無限軌道帯式スライド装置15に到達した平面図、(c)は、手延べ機13の先端の側面図である。
図3】本発明の誘導レールガイド装置31が軌条装置35に正常に固定している状態と、軌条装置35の先端部まで移動している状態と、軌条装置35の先端部で下向きに回動している状態を説明するための説明図である。
図4】(a)は、手延べ機13の誘導レール19が誘導レール位置調整用ローラー40の左側のローラー鍔48に接している状態の正面図、(b)は、右側のローラー鍔48に接している状態の正面図である。
図5】本発明による曲線桁の送り出し装置及びその方法の実施例1の油圧回路図である。
図6】(a)は、誘導レール19を無限軌道帯23に載せた状態の平面図、(b)は、無限軌道帯23がX軸方向に移動し、スライド受け板25が誘導レール19とともにY軸方向に横移動した状態の平面図、(c)は、無限軌道帯式スライド装置15がY軸方向に横移動した状態の平面図、(d)は、復帰ばね26で中央に戻ったスライド受け板25に誘導レール19に乗り上がる状態の平面図、(e)は、無限軌道帯23の上に誘導レール19を載せた状態の側面図である。
図7】無限軌道帯23における軌道帯ユニット24の一部切り欠いた平面図である。
図8】曲線桁30に手延べ機13を連結し従来方法で移送している状態の説明図である。
図9】直線状の架設桁に直線状の手延べ機を連結して移送する従来の方法を示すもので、(a)は、直線状の架設桁10に手延べ機13を連結した平面図、(b)は、(a)の側面図である。
図10】手延べ機13の誘導レール19をボギーローラー14で移送している状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の重量物の位置調整装置は、
曲線桁30の先端に直線状の手延べ機13を連結して一方の地点から他方の地点まで前記曲線桁30を移送する曲線桁の送り出し装置において、
前記他方の地点に、前記手延べ機13の下面の誘導レール19を誘導する誘導レールガイド装置31を設置し、この誘導レールガイド装置31は、前記誘導レール19を乗せて前記手延べ機13を移送する誘導レール位置調整用ローラー40と、前記曲線桁30の曲線に応じて作動して前記手延べ機13の移送方向と交差する方向に前記誘導レール位置調整用ローラー40を移動する水平ジャッキ38とを具備してなる。
【0030】
前記誘導レール位置調整用ローラー40は、鉛直ジャッキ取付枠37に設けた鉛直ジャッキ39で上下位置調整自在に設けるとともに、前記鉛直ジャッキ取付枠37と一体の水平ジャッキ取付枠36に設けた前記水平ジャッキ38で水平位置調整自在に設ける。
【0031】
前記水平ジャッキ取付枠36は、前記水平ジャッキ38の伸縮方向に伸びた軌条装置35に摺動自在に設ける。
【0032】
前記水平ジャッキ38は、シリンダ38aとピストン38bからなり、前記ピストン38bを前記軌条装置35の端部に取り付け、前記シリンダ38aが取り付けられた前記水平ジャッキ取付枠36を前記軌条装置35に摺動自在に取り付ける。
【0033】
前記誘導レール位置調整用ローラー40は、両側に、前記誘導レール19の外れを防止するローラー鍔48を設け、このローラー鍔48の内側にMCナイロン49を貼り付けてなる。
【0034】
前記誘導レール位置調整用ローラー40とこの誘導レール位置調整用ローラー40の回転軸50は、両側のローラー支持板44で支持し、このローラー支持板44の両端の軸44aと軸受け44bは、前記鉛直ジャッキ39のピストン39bにて支持し、前記鉛直ジャッキ39のシリンダ39aを前記鉛直ジャッキ取付枠37に固定し、前記鉛直ジャッキ取付枠37の両側に前記水平ジャッキ取付枠36に連結し、これらの水平ジャッキ取付枠36にそれぞれ水平ジャッキ38のシリンダ38aを固着し、前記それぞれの水平ジャッキ取付枠36を2台の前記軌条装置35で摺動自在に設け、前記それぞれのピストン38bを前記それぞれの軌条装置35の端部に取り付ける。
【0035】
前記それぞれの前記水平ジャッキ38の前記ピストン38bを前記それぞれの軌条装置35を構成するレール42の一端部に着脱自在に取り付け、前記それぞれのレール42の他端部に、このレール42に連続するストッパ46b付きの回転板46aを回動ピン47で回転自在に設け、前記ピストン38bを前記軌条装置35から外し、前記水平ジャッキ取付枠36を前記ストッパ46bに達するまで摺動したのち、前記回動ピン47で前記誘導レールガイド装置31を回転して前記レール42を仮受台として機能せしめる。
【0036】
請求項1記載の装置が用いられ、
前記曲線桁30を前記手延べ機13とともに移送して一方の地点から他方の地点へ移送する第1の工程と、
前記他方の地点に設置された誘導レール位置調整用ローラー40に、移送された前記手延べ機13の前記誘導レール19を乗せる第2の工程と、
前記誘導レール位置調整用ローラー40に前記誘導レール19を乗せて前記曲線桁30とともに前記手延べ機13の移送を開始する第3の工程と、
前記手延べ機13の移送開始後、前記曲線桁30の曲線に応じて前記鉛直ジャッキ用ポンプ53を作動して前記手延べ機13の移送方向と交差する方向に前記誘導レール位置調整用ローラー40を移動する第4の工程と、
前記曲線桁30が他方の地点まで達したらこの曲線桁30を他のジャッキに盛り替える第5の工程と、
前記誘導レールガイド装置31を前記軌条装置35から除いてこの軌条装置35を仮受台として機能させる第6の工程と
からなる。
【0037】
請求項7記載の装置が用いられ、
前記第6の工程において、前記誘導レールガイド装置31を前記軌条装置35から除くために前記誘導レールガイド装置31を、前記軌条装置35の他端部の前記回転板46aと一体の前記ストッパ46bまで前記水平ジャッキ38で移動し、前記回動ピン47で前記誘導レールガイド装置31を下方に回転する。
【実施例1】
【0038】
本発明の実施例1を図面に基づき説明する。
図2(a)において、30は、曲がりを有する曲線桁で、この曲線桁30の先端部30aには、直線状の手延べ機13が製作ヤードや橋台11で連結され、図9(a)と同様、レール17を移動する台車18と台座16の上の無限軌道帯式スライド装置15等で橋台11の先端まで移送される。
ここで、曲線桁30の曲率を1100Rとし、手延べ機13の長さをa=40mとすると、曲線桁30の先端部が手延べ機13の移送前の先端部まで移送されたとき、手延べ機13の横移動距離b=約30cmとなる。
図2(b)において、橋台11から例えば、40m先の橋脚12の上には無限軌道帯式スライド装置15と本発明の誘導レールガイド装置31が設置されている。送り出された手延べ機13の先端が無限軌道帯式スライド装置15を経て誘導レールガイド装置31に到達すると、前記手延べ機13の下面に取り付けられた誘導レール19が無限軌道帯式スライド装置15の後述する誘導レール位置調整ローラー40に乗り上がる。誘導レール19が2連からなるものであるときは、それぞれの誘導レール19が並べて設置した無限軌道帯式スライド装置15の誘導レール位置調整ローラー40に乗り上がる。
【0039】
図1において、本発明の前記誘導レールガイド装置31には、中央に誘導レール位置調整用ローラー40が設けられており、前記誘導レールガイド装置31は、平行な2台の軌条装置35の上に移動自在に載せられている。前記誘導レールガイド装置31は、中央の上下2枚の水平な鉛直ジャッキ取付枠37と、この鉛直ジャッキ取付枠37の両側に一体に取り付けられた水平板と垂直板からなる水平ジャッキ取付枠36からなるジャッキ固定用本体34を有する。前記鉛直ジャッキ取付枠37には、4台の鉛直ジャッキ39のシリンダ39aが取り付けられ、この鉛直ジャッキ39のピストン39bは、前記鉛直ジャッキ取付枠37から上方に上下動自在に突出している。
前記鉛直ジャッキ取付枠37の上部には、2枚のローラー支持板44で支持された前記誘導レール位置調整用ローラー40が回転軸50で回転自在に取り付けられ、この回転軸50は、両端でローラー軸支持板45にて支持され、このローラー軸支持板45は、前記2枚の鉛直ジャッキ取付枠37を上下動自在に嵌合している。
前記ローラー支持板44の両端には、軸44aが取り付けられ、この軸44aの軸受け44bが、前記ピストン39bの先端に取り付けられている。
【0040】
前記両側の水平ジャッキ取付枠36には、前記誘導レール位置調整用ローラー40の回転軸50と平行に、前記誘導レール位置調整用ローラー40を横移動させる水平ジャッキ38が設けられている。この水平ジャッキ38の長さは、前記曲線桁30の曲率、手延べ機13の長さによって決定され、前述の例では、曲線桁30の1100R、手延べ機13の長さ40mから、横移動距離は、約30cmとなり、これに対応して30~50cmに決定される。
前記水平ジャッキ38のシリンダ38aは、前記水平ジャッキ取付枠36に取り付けられ、ピストン38bは、軌条装置35の端部のピストン支持板41に着脱自在に取り付けられる。
前記軌条装置35は、上面が平らなレール42で、このレール42の上面の一端部に、前記ピストン支持板41が取り付けられ、このピストン支持板41に、前記ピストン38bが着脱自在に連結され、また、このレール42の側面に、前記水平ジャッキ取付枠36と一体のレール嵌合溝材43が摺動自在に嵌合している。前記レール42の他端部には、前記レール42と同一面で前記レール嵌合溝材43と同一幅の回転板46aが回動ピン47で連結され、前記回転板46aの先端部に前記レール嵌合溝材43が抜け出るのを防止するストッパ46bが設けられている。
【0041】
前記誘導レール位置調整用ローラー40は、図4(a)(b)に示すように、その幅wが前記誘導レール19の幅の1.3~1.5倍程度で両側のローラー鍔48の高さhが誘導レール19の高さの1.5倍程度とし、前記誘導レール19が横移動中に外れないようにする。前記ローラー鍔48の内側には、誘導レール19がローラー鍔48に接しても円滑に回転できるようにMCナイロン49が貼り付けられている。
【0042】
図5に示すように、前記2台の水平ジャッキ38は、水平ジャッキ用ポンプ52に接続され、この水平ジャッキ用ポンプ52と前記水平ジャッキ38の移動距離を測定するエンコーダー51が水平ジャッキ制御回路54に接続されている。
前記4台の鉛直ジャッキ39は、2台ずつ別個に駆動する鉛直ジャッキ用ポンプ53に接続され、これらの鉛直ジャッキ用ポンプ53は、鉛直ジャッキ制御回路55に接続されている。前記水平ジャッキ制御回路54と鉛直ジャッキ制御回路55は、前記水平ジャッキ38と鉛直ジャッキ39の制御量を入力する入力端子56に接続されている。
【0043】
以上のように構成された誘導レールガイド装置31の作用を説明する。
手延べ機13を連結した曲線桁30の移送に先立ち、曲線桁30の一定の曲率であるとしたときの曲率と手延べ機13の長さとから、手延べ機13の誘導レール19が誘導レール位置調整用ローラー40に到達してから曲線桁30の先端部30aが誘導レール位置調整用ローラー40に到達するまでにどのような軌跡で横移動するかその変化を予め演算して入力端子56から水平ジャッキ制御回路54に入力する。
曲線桁30を送り出すと、手延べ機13の先端はやや下がるので、手延べ機13の誘導レール19が誘導レールガイド装置31の誘導レール位置調整用ローラー40に到達した時点で、誘導レール19が誘導レール位置調整用ローラー40に容易に乗り上がるように、手延べ機13の先端の下面は、図2(c)のように湾曲していることが好ましい。
手延べ機13の誘導レール19が誘導レールガイド装置31の誘導レール位置調整用ローラー40に届いた時点で、4台の鉛直ジャッキ39が荷重を検出するので、誘導レール19が誘導レール位置調整用ローラー40の略中心位置で、誘導レール19の底部が誘導レール位置調整用ローラー40に接しているかどうかが判断され、正しい値になるように入力端子56からの信号で鉛直ジャッキ39の高さと傾きを調整する。
前記例では、曲線桁30が一定の曲率であるとしたが、曲率がどのように変化するのか、曲線が曲がりくねっているのか、直線を含むかなどの曲がりの程度と、誘導レール19の長さとから前記入力端子56から適切な制御信号が入力される。
【0044】
曲線桁30の送り出しに従い、手延べ機13は、誘導レール19が誘導レール位置調整用ローラー40に接しながら前進し、かつ、曲線桁30の曲がりの変化に対応して横移動する。このとき、水平ジャッキ取付枠36のレール嵌合溝材43が軌条装置35のレール42に嵌合してレール42に沿って横移動する。
手延べ機13の誘導レール位置調整用ローラー40との接触点での単位時間当たりの横移動量に対応する水平ジャッキ38の移動量は、予め入力端子56から水平ジャッキ制御回路54に入力するとともに、水平ジャッキ38の横移動距離は、エンコーダー51で計測され、その信号が水平ジャッキ制御回路54に送られる。この水平ジャッキ制御回路54で演算された出力信号で誘導レール位置調整用ローラー40は、手延べ機13の誘導レール19とともに横移動する。誘導レール19が常に誘導レール位置調整用ローラー40の中心位置に接しながら横移動するが、図4(a)のように、左側のローラー鍔48に接したり、図4(b)のように、右側のローラー鍔48に接したりしても、誘導レール位置調整用ローラー40の幅の範囲内で誘導レール位置調整用ローラー40を回転して横移動する。
【0045】
曲線桁30が移送され、誘導レール19の誘導レール位置調整用ローラー40との接触位置が曲線桁30の先端部30aまで来ると、曲線桁30は、誘導レールガイド装置31に併設された無限軌道帯式スライド装置15に乗り移る。無限軌道帯式スライド装置15が併設されていないときには、図示しない盛替え用のジャッキを橋脚12の上に設置して曲線桁30を盛り替える。
曲線桁30を無限軌道帯式スライド装置15に又は別に設置したジャッキに盛り替えたら、誘導レールガイド装置31の誘導レール位置調整用ローラー40は、鉛直ジャッキ39を下降して誘導レール19から外す。
【0046】
曲線桁30を無限軌道帯式スライド装置15に又は別に設置したジャッキに盛り替えた時点で、手延べ機13の誘導レール19は、つぎの橋脚12に設置された誘導レールガイド装置31の誘導レール位置調整用ローラー40に到達している。
この状態で曲線桁30を移送すると、誘導レールガイド装置31は、以後の曲線桁30の移送の邪魔になる。そこで、最初の橋脚12で曲線桁30を無限軌道帯式スライド装置15に又は別に設置したジャッキに盛り替えた時点で、軌条装置35の上から誘導レールガイド装置31を移動させる必要がある。
このため、図3において、軌条装置35のピストン支持板41にピン57で連結されていた水平ジャッキ38のピストン38bを外し、水平ジャッキ38のピストン38bを収縮した状態で図3の右方向に移動する。すると誘導レールガイド装置31のレール嵌合溝材43は、レール42に嵌合して移動し、レール嵌合溝材43が回転板46aまで移動してストッパ46bで停止する。
【0047】
レール嵌合溝材43がストッパ46bにて停止したらレール42と回転板46aを連結していたねじを外し、回動ピン47を支点にして図6中右回転する。すると、誘導レールガイド装置31の誘導レール位置調整用ローラー40部分を含む全体の装置が軌条装置35のレール42の延長線より下側に位置するとともに、水平ジャッキ38は下向きになる。この状態で、軌条装置35のレール42の上、サンドル材33等を載せて仮受台にし、盛替え用のジャッキから仮受台に盛り替える。
【0048】
最初の橋脚12の上の誘導レールガイド装置31を仮受台にして曲線桁30を盛り替えたら、次の橋脚12の上の誘導レールガイド装置31に向けて手延べ機13付きの曲線桁30を前記同様にして移送する。
以下同様にして曲線桁30を対岸の陸地等の他方の地点へ移送する。
【符号の説明】
【0049】
9…曲線桁の送り出し装置及びその方法、10…架設桁、11…橋台、12…橋脚、13…手延べ機、14…ボギーローラー、15…無限軌道帯式スライド装置、16…台座、17…レール、18…台車、19…誘導レール、21…受け台、22…軸、23…無限軌道帯、24…軌道帯ユニット、25…スライド受け板、26…復帰ばね、27…凹部、30…曲線桁、31…誘導レールガイド装置、32…仮受台、33…サンドル材、35…軌条装置、36…水平ジャッキ取付枠、37…鉛直ジャッキ取付枠、38…水平ジャッキ、38a…シリンダ、38b…ピストン、39…鉛直ジャッキ、39a…シリンダ、39b…ピストン、40…誘導レール位置調整用ローラー、41…ピストン支持板、42…レール、43…レール嵌合溝材、44…ローラー支持板、44a…軸、44b…軸受け、45…ローラー軸支持板、46a…回転板、46b…ストッパ、47…回動ピン、48…ローラー鍔、49…MCナイロン、50…回転軸、51…エンコーダー、52…水平ジャッキ用ポンプ、53…鉛直ジャッキ用ポンプ、54…水平ジャッキ制御回路、55…鉛直ジャッキ制御回路、56…入力端子、57…ピン。
【要約】
【課題】曲線桁の先端の接線方向に、直線状の誘導レールを連結して、円滑に、精度良く曲線桁の移動を制御することができる装置と方法を提供すること。
【解決手段】曲線桁30の先端に直線状の手延べ機13を連結して一方の地点から他方の地点まで前記曲線桁30を移送する曲線桁の送り出し装置において、前記他方の地点に、前記手延べ機13の下面の誘導レール19を誘導する誘導レールガイド装置31を設置し、この誘導レールガイド装置31は、前記誘導レール19を乗せて前記手延べ機13を移送する誘導レール位置調整用ローラー40と、前記曲線桁30の曲線に応じて作動して前記手延べ機13の移送方向と交差する方向に前記誘導レール位置調整用ローラー40を移動する水平ジャッキ38とを具備してなる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10