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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20241202BHJP
【FI】
G06Q50/26
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020104822
(22)【出願日】2020-06-17
(65)【公開番号】P2021197033
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】515084812
【氏名又は名称】OMリサーチ&コンサルティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大内 裕敬
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 輝俊
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特許第6558791(JP,B1)
【文献】特開2012-123434(JP,A)
【文献】特開2012-216115(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0091113(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品衛生を含む公衆衛生の検査が行われる施設と当該施設について定められた検査方法を示す検査情報とを対応付けて記憶する記憶部と、
前記施設に対応付けられた対応情報を印刷する印刷データを出力する印刷出力部と、
前記施設における食中毒の発生確率に影響する環境を示す環境情報を取得する環境取得部と、
前記対応情報を読み取り可能なユーザ端末から当該対応情報が送信されてきた場合に、当該対応情報が対応付けられた施設と同じ施設に対応付けられた前記検査情報を当該ユーザ端末に対して出力する情報出力部と
を備え、
前記情報出力部は、取得された前記環境情報が示す環境によって示される食中毒の危険が大きいほど厳格な検査方法を示す検査情報を出力する
情報処理装置。
【請求項2】
前記印刷出力部は、コード化された前記対応情報を印刷する印刷データを出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記対応情報には有効期間が定められており、
前記情報出力部は、前記対応情報が当該対応情報の有効期間内に送信されてきた場合に前記検査情報を出力する
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報出力部は、前記食中毒の危険が大きいほど、前記検査の頻度を高くする
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報出力部は、前記食中毒の危険が大きいほど、前記検査の項目を増やす
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報出力部は、前記食中毒の危険が大きいほど、前記検査で用いる指標としてより合格しにくい指標を用いる
請求項からのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は公衆衛生管理に関する。
【背景技術】
【0002】
公衆衛生管理に関する技術として、特許文献1には、食品を取り扱う事業所及びその従業者の衛生管理の状態の検査結果が、重要度に応じて決められている所定の基準値と比較して悪い結果である場合に、所定の通知先にアラートを通知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-216115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
公衆衛生に関する活動として、施設での検査が行われる場合がある。例えば食品衛生の場合、食品を扱う施設において食中毒を防止するための措置がとられているか否かを確かめるための検査が行われる。公衆衛生の検査においては、例えば検査に関する専門的な知識又は経験に裏付けされた検査の技量を持たない者(例えば店舗の店員)が検査を行うこともあるため、公衆衛生の状態を良好に保つために必要な検査結果が得られない場合がある。
そこで、本発明は、検査者の技量によらず施設における公衆衛生の状態を良好に保つことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、公衆衛生の検査が行われる施設と当該施設について定められた検査方法を示す検査情報とを対応付けて記憶する記憶部と、前記施設に対応付けられた対応情報を印刷する印刷データを出力する印刷出力部と、前記対応情報を読み取り可能なユーザ端末から当該対応情報が送信されてきた場合に、当該対応情報が対応付けられた施設と同じ施設に対応付けられた前記検査情報を当該ユーザ端末に対して出力する情報出力部とを備える情報処理装置を提供する。
【0006】
また、前記印刷出力部は、コード化された前記対応情報を印刷する印刷データを出力してもよい。
【0007】
また、前記対応情報には有効期間が定められており、前記情報出力部は、前記対応情報が当該対応情報の有効期間内に送信されてきた場合に前記検査情報を出力してもよい。
【0008】
また、前記公衆衛生には食品衛生が含まれ、前記施設における食中毒の発生確率に影響する環境を示す環境情報を取得する環境取得部と、前記情報出力部は、取得された前記環境情報が示す環境によって示される食中毒の危険が大きいほど厳格な検査方法を示す検査情報を出力してもよい。
【0009】
また、前記情報出力部は、前記食中毒の危険が大きいほど、前記検査の頻度を高くしてもよい。
【0010】
また、前記情報出力部は、前記食中毒の危険が大きいほど、前記検査の項目を増やしてもよい。
【0011】
また、前記情報出力部は、前記食中毒の危険が大きいほど、前記検査で用いる指標としてより合格しにくい指標を用いてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、検査者の技量によらず施設における公衆衛生の状態を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例に係る検査支援システムの全体構成の一例を表す図
図2】サーバ装置のハードウェア構成の一例を表す図
図3】ユーザ端末のハードウェア構成の一例を表す図
図4】各装置が実現する機能構成を表す図
図5】施設情報の一例を表す図
図6】印刷された対応情報の一例を表す図
図7】記憶された検査情報の一例を表す図
図8】表示された検査画面の一例を表す図
図9】入力操作が行われた状態の検査リストの一例を表す図
図10】検査結果テーブルの一例を表す図
図11】表示された集計結果の一例を表す図
図12】検査表示処理における各装置の動作手順の一例を表す図
図13】変形例のサーバ装置が実現する機能構成を表す図
図14】検査テーブルの一例を表す図
図15】検査テーブルの別の一例を表す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
[1]第1実施例
図1は実施例に係る検査支援システム1の全体構成の一例を表す。検査支援システム1は、公衆衛生に関する業務の1つである検査業務を支援するシステムである。公衆衛生とは、地域社会全体において人々の健康を良好に保つことである。本実施例では、公衆衛生のうちの食品衛生に関する検査業務の支援について説明する。
【0015】
食品衛生に関する検査業務とは、食品を扱う施設における食品衛生の状態が安全のために求められる基準(例えばHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)で定められた基準)を満たしているか否かを検査する業務である。食品を扱う施設とは、例えば飲食店、飲食品の販売店、飲食品の倉庫及び飲食品の製造工場等であり、食品衛生の検査が行われる施設でもある。
【0016】
これらの施設においては、食品衛生の検査を行う担当者が決められているが、検査業務の担当者は、必ずしも食品衛生の検査の専門的な知識や経験を持つ者とは限らない。例えば、食品販売のイベントに出店している店舗、ショッピングモールに出店している飲食店又は商店街の自営業の飲食店等においては、専門の検査員がいないので、食品衛生の検査に詳しくない従業員が検査を行うことになる。検査支援システム1は、特に、そのように食品衛生の検査の専門的な知識や経験を持たない担当者の検査業務を支援する。
【0017】
検査支援システム1は、ネットワーク2と、サーバ装置10と、ユーザ端末20と、印刷装置3とを備える。ネットワーク2は、移動体通信網及びインターネット等を含む通信システムであり、自システムにアクセスする装置同士のデータのやり取りを中継する。ネットワーク2には、サーバ装置10が有線通信で(無線通信でもよい)、ユーザ端末20が無線通信でアクセスしている。
【0018】
ユーザ端末20は、食品を扱う施設において検査業務を行うユーザが利用する端末であり、スマートフォン及びタブレット端末のように持ち運び可能ないわゆるモバイル端末である。ユーザは、例えば食品を扱う施設の従業員のうち、検査業務を担当する従業員である。ユーザ端末20は、検査を行う項目を記憶し、記憶した項目を表示する。ユーザは、表示された項目について検査を行い、検査結果をユーザ端末20に入力する。
【0019】
図1では、ユーザ端末20を1台しか表していないが、検査対象となる施設が多く存在する場合は、複数のユーザ端末20を複数の検査員がそれぞれ利用して複数の検査が並行して行われる。サーバ装置10は、それら複数のユーザ端末20による検査に関する情報を管理する処理等を行う。サーバ装置10は本発明の「情報処理装置」の一例である。検査に関する情報とは、先に述べた検査項目及び各検査項目に対する検査結果等である。サーバ装置10が行う処理については後程詳しく説明する。
【0020】
図2はサーバ装置10のハードウェア構成の一例を表す。サーバ装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信装置14と、バス15とを備えるコンピュータである。プロセッサ11は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ11は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)を備える。
【0021】
プロセッサ11は、プログラム及びデータ等をストレージ13及び通信装置14の少なくとも一方からメモリ12に読み出し、読み出したプログラム等に従って各種の処理を実行する。メモリ12は、例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体である。ストレージ13は、ハードディスクドライブ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体である。
【0022】
通信装置14は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)である。プロセッサ11及びメモリ12等の各装置は、情報を通信するためのバス15によって接続される。バス15は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0023】
図3はユーザ端末20のハードウェア構成の一例を表す。ユーザ端末20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、通信装置24と、入力装置25と、出力装置26と、撮像装置27と、バス28とを備えるコンピュータである。図2に同名のハードウェアが表されているプロセッサ21等は、性能及び仕様等の違いはあるが図2と同種のハードウェアである。
【0024】
入力装置25は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えばスイッチ、ボタン、センサなど)である。入力装置25は、写真を撮影する撮像装置(デジタルカメラなど)を含んでいる。出力装置26は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカ、LEDランプなど)である。ユーザ端末20においては、入力装置25及び出力装置26は、一体となった構成(ディスプレイ及びタッチパネルが一体となったタッチスクリーン)を含む。撮像装置27は、レンズ、光学系及びイメージセンサ等を備え、イメージセンサに到達する光が表す画像を撮影する。
【0025】
検査支援システム1が備える各装置における各機能は、各々のプロセッサ、メモリなどのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサが演算を行い、各々の通信装置による通信を制御したり、メモリ及びストレージにおけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0026】
図4は各装置が実現する機能構成を表す。サーバ装置10は、施設情報記憶部101と、印刷制御部102と、読取情報取得部103と、検査情報出力部104とを備える。ユーザ端末20は、コード読取部201と、検査情報記憶部202と、検査処理部203とを備える。
【0027】
施設情報記憶部101は、食品衛生の検査が行われる施設に関する情報である施設情報を記憶する。具体的には、施設情報記憶部101は、食品衛生の検査が行われる施設とその施設について定められた検査方法を示す検査情報とを対応付けた情報を施設情報として記憶する。施設情報記憶部101は本発明の「記憶部」の一例である。食品衛生の検査は、業種、事業形態、施設の設備環境、施設の規模及び扱う食材の種類等の要素に応じて適切な方法が定められる。
【0028】
図5は施設情報の一例を表す。図5の例では、施設情報記憶部101は、施設A、B、Cに対して「大項目」、「中項目」、「検査項目」、「検査時期」及び「合格基準」をそれぞれ対応付けた情報を施設情報として記憶している。大項目としては、「従業員」、「食材」等が定められている。中項目としては、「手洗い」、「服装」等が定められている。検査項目は、図5では記号で表されているが、実際には検査の内容を説明する文章で表されているものとする。
【0029】
例えば検査項目K-1は、例えば「手洗いを所定の時間以上行うこと」という検査の内容であるものとする。検査項目K-1に対する合格基準としては、例えばこの「所定の時間」が定められている。図5の例では、検査項目K-1に対する合格基準として、施設毎に異なる合格基準(施設Aは基準a、施設Bは基準b、施設Cは基準c)が対応付けられている。
【0030】
また、例えば施設Aの手洗いには検査項目K-1、K-2、K-3が対応付けられているが、施設Bの手洗いには検査項目K-1、K-3だけが、施設Cの手洗いには検査項目K-1、K-2だけが対応付けられている。このように、施設情報記憶部101は、施設によって異なる検査項目を対応付けた施設情報を記憶している。
【0031】
印刷制御部102は、施設に対応付けられた情報(以下「対応情報」と言う)を印刷する印刷データを出力する。印刷制御部102は本発明の「印刷出力部」の一例である。対応情報とは、例えば、施設毎に個別に割り当てられた識別情報であり、具体的には施設ID(Identification)である。また、印刷制御部102は、本実施例では、コード化された対応情報を印刷する印刷データを出力する。
【0032】
印刷制御部102は、例えば、施設IDを示す2次元コードを印刷する印刷データを、各施設についてそれぞれ出力する。図5の例では、施設情報記憶部101が、施設Aには「ID001」、施設Bには「ID002」、施設Cには「ID003」という施設ID(Identification)を識別情報として記憶している。そのため、これらの識別情報は、施設に対応付けられた情報となっている。
【0033】
印刷制御部102は、例えば施設Aについては、「ID001」を示す2次元コードを印刷する印刷データを出力し、施設Bについては、「ID002」を示す2次元コードを印刷する印刷データを出力する。印刷制御部102は、上述した印刷装置3に対して印刷データを出力する。なお、コード化された対応情報は、2次元コードに限らず、1次元コードでもよいし、識別情報を所定のアルゴリズムで変換した記号の羅列等であってもよい。印刷装置3は、出力されてきた印刷データが示す対応情報を用紙等の媒体に印刷する。
【0034】
図6は印刷された対応情報の一例を表す。図6の例では、「施設A」に対応付けられた対応情報である2次元コード5が用紙4に印刷されている。また、用紙4には、「施設A向け 食品衛生検査の支援情報」及び「検査アプリを起動し、以下の2次元コードを読み取ってください。」という文字列が印刷されている。このように、印刷制御部102は、対応情報を用いて食品衛生の検査を支援するための手順も示す印刷データを出力する。
【0035】
コード読取部201は、印刷された対応情報である2次元コードを読み取る。コード読取部201は、自装置の撮像装置27が撮影した画像を解析して2次元コードが含まれている場合には、その2次元コードが示す情報を読み取る。コード読取部201は、図6の2次元コード5を読み取った場合には、施設Aの「ID001」という施設IDを読み取る。
【0036】
コード読取部201は、読み取った情報(以下「読取情報」と言う)をサーバ装置10に送信する。サーバ装置10の読取情報取得部103は、送信されてきた読取情報を取得する。読取情報取得部103は、取得した読取情報を検査情報出力部104に供給する。こうして供給される読取情報は、前述したようにユーザ端末20が読み取った施設IDである。
【0037】
検査情報出力部104は、上記のとおり読取情報(施設ID)が供給された場合、すなわち、対応情報を読み取り可能なユーザ端末20からそのユーザ端末20により読み取られた対応情報が送信されてきた場合に、その対応情報が対応付けられた施設と同じ施設に対応付けられた検査情報をそのユーザ端末20に対して出力する。検査情報出力部104は本発明の「情報出力部」の一例である。
【0038】
検査情報出力部104は、まず、供給された読取情報(施設ID)に対応付けて記憶されている検査情報を施設情報記憶部101から読み出す。そして、検査情報出力部104は、読み出した検査情報を、読取情報の送信元であるユーザ端末20に対して出力する。出力された検査情報は、ユーザ端末20の検査情報記憶部202に供給される。検査情報記憶部202には、コード読取部201が読み取った施設IDも供給される。
【0039】
検査情報記憶部202は、供給された検査情報を、供給された施設IDに対応付けて記憶する。
図7は記憶された検査情報の一例を表す。図7(a)では、施設Aにおける検査情報が記憶されている。この場合の検査情報記憶部202を備えるユーザ端末20は、施設A向けに印刷された対応情報を読み取ったユーザ端末20である。
【0040】
また、図7(b)では、検査情報記憶部202を備えるユーザ端末20は、施設Bにおける検査情報が施設B向けに印刷された対応情報を読み取ったユーザ端末20である。以上のとおり検査情報が記憶されることで、食品衛生の検査の準備が整ったことになる。検査処理部203は、記憶された検査情報に基づいて、食品衛生の検査に関する処理を行う。検査処理部203は、まず、該当する施設向けの検査画面を表示する。
【0041】
図8は表示された検査画面の一例を表す。図8の例では、検査処理部203は、大項目である「従業員」のタブT1、「食材」のタブT2、「器具・食器」のタブT3、「保管状況」のタブT4及び「環境」のタブT5と、後述する「判定」のタブT6を含む検査リストを、タブT1を開いた状態で表示している。「従業員」の表示領域C1には、中項目の「手洗い」の表示領域D1、「服装」の表示領域D2及び「手指目視検査」の表示領域D3等が含まれている。
【0042】
以降の表示も検査処理部203によって行われるものとする。各中項目の表示領域には、検査項目「K-1」及び「K-2」等が表示されている。表示領域C1をスクロールさせると、表示されていない中項目の表示領域及び検査項目が表示される。検査項目の左側には、検査結果の入力操作を受け付けるNGボタンE1、写真ボタンE2、コメントボタンE3及びOKボタンE4が表示されている。
【0043】
図9は入力操作が行われた状態の検査リストの一例を表す。NGボタンE1が押されると、「×」マーク(検査結果がNGであることを示すマーク)が表示され、OKボタンE4が押されると、「〇」マーク(検査結果がOKであることを示すマーク)が表示される。また、写真ボタンE2が押されると、写真入力欄E5が表示される。写真入力欄E5は、検査対象となる現場の写真を添付する領域である。
【0044】
写真入力欄E5をタップすると、例えばユーザ端末20の撮像装置が起動されてユーザの操作により写真を撮影し、撮影された写真が写真入力欄E5に表示される。なお、写真入力欄E5をタップした場合にユーザ端末20に記憶されている撮影済みの写真を取り込めるようにしてもよい。
【0045】
コメントボタンE3が押されると、コメント入力欄E6及びコメント例文一覧E7が表示される。コメント入力欄E6には、手入力でコメントを入力してもよいし、コメント例文一覧E7に含まれている例文を選択することでコメントを入力してもよい。検査処理部203は、通知された表示範囲への操作を、検査結果の入力操作として受け付け、受け付けた入力操作の結果を表示する。
【0046】
検査処理部203は、検査結果テーブルを記憶しておき、入力操作の結果を検査結果として検査結果テーブルに反映する。
図10は検査結果テーブルの一例を表す。検査結果テーブルには、「施設ID」、「検査回数」、「検査項目」、「NG」、「OK」、「写真」、「コメント」及び「入力日時」がそれぞれ対応付けて格納されている。
【0047】
「施設ID」及び「検査回数」は、検査処理部203が検査結果テーブルを生成する際に格納されている。図10の例では、該当する施設IDの検査結果テーブルを初めて生成したので、「1」回が「検査回数」として格納されている。「NG」は検査が不合格であったことを意味し、「OK」は検査が合格であったことを意味する。「NG」の入力は「×」、「OK」の入力は「〇」で表されている。
【0048】
写真は画像データのファイル名で、コメントはテキストデータのファイル名で表されている。入力日時は年月日で表されているが、詳細な時刻まで表されていてもよい。検査処理部203は、検査結果テーブルに格納された検査結果を参照して、検査結果の集計処理を行う。集計処理とは、共通の検査結果(例えばOKの検査結果)の件数を合計した値を集計値として算出する処理である。
【0049】
また、集計処理には、算出した集計値に基づいてさらに別の値を算出する処理も含まれる。具体的には、検査処理部203は、OKの検査結果を集計し、検査項目の全体数に対するOKの集計値の割合(以下「評価率」と言う)を大項目毎及び全体について算出する処理を行う。評価率は、この値が高いほど衛生管理のために実施すべき作業が実施されていることを意味する値であり、より安全な食品の供給が期待できることを示す指標として利用可能である。
【0050】
検査処理部203は、評価率の算出において、各検査項目の検査結果を一律ではなく重みを付けて扱う。例えば検査項目が50個ある場合、一律に扱うと1つのNGにつき評価率が2%減少する。これに対し、各検査項目に重みを付けることで、例えば重要度が高い検査項目がNGだと3%減少し、重要度が低い検査項目だと1%減少するというように評価率が算出される。
【0051】
重要度とは、例えば、食品衛生に対する影響が大きい検査項目ほど重要度が高いという意味である。重要度を加味した重み付けをすることで、重要度を加味しない場合に比べて、評価率の上記指標としての信頼性を高めることができる。検査処理部203は、図8に表す「判定」のタブT6を押す操作が行われると、先に行った集計の結果を表示する。
【0052】
図11は表示された集計結果の一例を表す。検査処理部203は、大項目毎の評価率を示す結果表F1と、大項目毎の評価率を示すレーダーチャートF2とを表示している。また、検査処理部203は、全体の評価率を「総合評価」として示し、総合評価に応じて決まる呼称である「優秀店」及び総合評価に応じて決まる評価ランクの「S」という文字列を表示している。
【0053】
これらの呼称及び評価ランクは、総合評価の値に応じて例えば「優秀店」及び「S」、「優良店」及び「A」、「良店」及び「B」、「要改善点」及び「C」というように定められる。検査画面に表示されている確定ボタンB2を押す操作が行われると、検査処理部203は、検査結果テーブルを更新して記憶する。記憶された検査結果には、施設ID及び検査回数が含まれているため、どの施設の何回目の検査結果であるかが分かるようになっている。
【0054】
サーバ装置10及びユーザ端末20は、上記の構成に基づいて、印刷された対応情報に基づいて検査画面を表示する検査表示処理を行う。
図12は検査表示処理における各装置の動作手順の一例を表す。図12の動作手順は、例えば、検査支援システム1の運用者が各施設向けに対応情報の印刷をサーバ装置10に対して指示する操作を外部装置等から行うことを契機に開始される。
【0055】
まず、サーバ装置10(印刷制御部102)は、コード化された対応情報(本実施例では施設の識別情報を示す2次元コード)を印刷する印刷データを出力してその対応情報を用紙等の媒体に印刷する(ステップS11)。次に、ユーザ端末20(コード読取部201)は、印刷された対応情報である2次元コードを読み取る(ステップS21)。
【0056】
次に、ユーザ端末20(コード読取部201)は、読み取った情報である読取情報(2次元コードが示す施設ID)をサーバ装置10に送信する(ステップS22)。サーバ装置10(読取情報取得部103)は、送信されてきた読取情報を取得する(ステップS23)。次に、サーバ装置10(検査情報出力部104)は、取得された読取情報(施設ID)に対応付けて記憶されている検査情報を施設情報記憶部101から読み出す(ステップS24)。
【0057】
続いて、サーバ装置10(検査情報出力部104)は、読み出した検査情報を、読取情報の送信元であるユーザ端末20に対して出力する(ステップS25)。ユーザ端末20(検査情報記憶部202)は、出力されてきた検査情報を施設IDに対応付けて記憶する(ステップS26)。そして、ユーザ端末20(検査処理部203)は、記憶された検査情報に基づいて、食品衛生の検査に関する処理である検査処理を行う(ステップS31)。
【0058】
本実施例では、上記のとおり、施設の食品衛生の検査担当者が、媒体に印刷された対応情報をユーザ端末20に読み取らせることで、そのユーザ端末20にその施設に対応付けられた検査情報を表示させることができる。そのため、食品衛生の検査に詳しくない者でも、正しい検査を行うことができる。また、対応情報がコード化されて印刷されるので、コード化されない場合に比べて、第三者が媒体を見ても施設の識別情報が漏洩しにくいようになっている。
【0059】
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、実施例及び各変形例は、必要に応じて組み合わせて実施してもよい。
【0060】
[2-1]有効期間
対応情報には有効期間が定められていてもよい。その場合、例えば、検査情報出力部104が、対応情報がその対応情報の有効期間内に送信されてきた場合に、その対応情報が対応付けられた施設と同じ施設に対応付けられた検査情報を出力する。つまり、検査情報出力部104は、対応情報がその対応情報の有効期間外に送信されてきた場合には、検査情報を出力しない。
【0061】
例えば、食品販売のイベントに出店している店舗向けに検査情報が出力される場合、例えばそのイベントが終了するまでの期間が有効期間として定められる。また、ショッピングモールに出店している飲食店であれば、例えばそのショッピングモールにおいて検査の内容を定期的に見直す場合に、見直しの時期までの期間が有効期間として定められる。本変形例によれば、例えばイベントのように食品衛生の検査が行われる期間が限られている場合に、その期間だけ検査情報を提供することができる。
【0062】
[2-2]検査方法の動的変化
検査方法を動的に変化させてもよい。
図13は本変形例のサーバ装置10aが実現する機能構成を表す。サーバ装置10aは、図4に表す各部に加えて、環境情報取得部105を備える。
【0063】
環境情報取得部105は、施設における食中毒の発生確率に影響する環境を示す環境情報を取得する。環境情報取得部105は本発明の「環境取得部」の一例である。環境情報取得部105は、例えば、気温、湿度、風又は日差し等の気象条件を示す情報を環境情報として取得する。食中毒は、気温が高く、湿度が高いほど増加する傾向にある。また、野外のイベント等で屋外に設置される施設であれば、食中毒は、風が強く、日差しが強いほど増加する傾向にある。
【0064】
環境情報取得部105は、例えば、インターネット上で気象情報を提供するサービスを利用して、気象条件を示す情報を環境情報として取得する。なお、環境情報取得部105は、他にも、例えば公共のサービス等で食中毒の件数を示す情報が提供されている場合には、施設の周辺地域で発生した食中毒の件数を示す情報を環境情報として取得してもよい。環境情報取得部105は、取得した環境情報を検査情報出力部104に供給する。
【0065】
検査情報出力部104は、環境情報取得部105により取得された環境情報が示す環境によって示される食中毒の危険が大きいほど厳格な検査方法を示す検査情報を出力する。検査情報出力部104は、この出力を行うため、例えば、環境情報と検査情報とを対応付けた検査テーブルを用いる。環境情報として気温を用いた場合の施設Aに用いる検査テーブルについて図14を参照して説明する。
【0066】
図14は検査テーブルの一例を表す。図14の例では、「Th1未満」、「Th1以上Th2未満」、「Th2以上」という気温の範囲に検査情報がそれぞれ対応付けられている。例えば検査時期であれば、「Th1未満」、「Th1以上Th2未満」、「Th2以上」に「頻度a11」、「頻度a12」、「頻度a13」が対応付けられている。これらは、頻度a11が最も低く、頻度a13が最も高くなっているものとする。このように、検査情報出力部104は、環境情報が示す気温が高いほど、すなわち、食中毒の危険が大きいほど、検査の頻度を高くする。
【0067】
また、合格基準であれば、「Th1未満」、「Th1以上Th2未満」、「Th2以上」に「基準a21」、「基準a22」、「基準a23」が対応付けられている。これらは、基準a21が最も緩く(例えば合格に必要な手洗いの時間が最も短く)、基準a23が最も厳しく(例えば合格に必要な手洗いの時間が最も長く)なっているものとする。このように、検査情報出力部104は、環境情報が示す気温が高いほど、すなわち、食中毒の危険が大きいほど、検査で用いる指標としてより合格しにくい指標を用いる。
【0068】
検査情報出力部104は、取得された環境情報が示す気温を含む範囲に対応付けられている検査情報を読み出して出力する。なお、検査情報出力部104は、気温以外の環境情報を用いる場合も、図14の例のように、環境情報の範囲と検査情報とを対応付けた検査テーブルを用いればよい。
【0069】
いずれの場合も、食中毒の危険が大きいほど、検査が厳しく行われることになるので、検査情報が固定されている場合に比べて、食中毒の発生を抑制することができる。一方で、食中毒の危険が少ない場合には、検査をそこまで厳しくしないようにして、検査情報が固定されている場合に比べて、本来の業務を阻害しにくいようにすることができる。つまり、本変形例によれば、食品の安全性と、業務効率とのバランスを取ることができる。
【0070】
なお、検査情報出力部104は、環境情報が示す気温が高いほど、すなわち、食中毒の危険が大きいほど、検査の項目を増やしてもよい。その場合に施設Aに用いる検査テーブルについて図15を参照して説明する。
図15は検査テーブルの別の一例を表す。図15の例では、「Th1未満」、「Th1以上Th2未満」、「Th2以上」という気温の範囲に検査情報がそれぞれ対応付けられている。
【0071】
「Th1未満」には「K-1」、「K-2」、「K-3」の3つの検査項目が対応付けられている。「Th1以上Th2未満」には「K-1」、「K-2」、「K-3」、「K-7」の4つの検査項目が対応付けられている。「Th2以上」には「K-1」、「K-2」、「K-3」、「K-7」、「K-8」の5つの検査項目が対応付けられている。この検査テーブルを用いることで、検査情報出力部104は、環境情報が示す気温が高いほど、すなわち、食中毒の危険が大きいほど、検査の項目を増やしている。
【0072】
この場合も、食中毒の危険が大きいほど、検査が厳しく行われることになるので、検査情報が固定されている場合に比べて、食中毒の発生を抑制することができ、且つ、本来の業務を阻害しにくいようにすることができる。また、食品の安全性と、業務効率とのバランスを取ることができる。
【0073】
[2-3]検査項目
実施例では施設毎に検査項目が異なったが、これに限らない。例えば、施設で行われている事業の業態毎、施設を管理する事業者の部門毎、又は、検査の担当者毎に検査項目が異なっていてもよい。また、検査が行われる時期毎に検査項目が異なっていてもよい。いずれの場合も、食中毒になりやすいほど検査項目を厳しくするとよい。
【0074】
[2-4]公衆衛生
検査支援システム1は、実施例では、公衆衛生のうちの食品衛生に関する検査業務を支援したが、これに限らず、例えば、感染症予防、精神衛生、住居衛生又は労働衛生等に関する検査業務を支援してもよい。感染症予防の場合、手洗い・うがいの実施の有無やマスク着用の有無などを検査項目とする検査が行われる。
【0075】
その場合、施設情報記憶部101が、感染症予防の検査が行われる施設に関する情報である施設情報を記憶する。そして、印刷制御部102が、施設に対応付けられた対応情報(例えば2次元コード)を印刷する印刷データを出力する。施設の感染症対策の検査担当者が、媒体に印刷された対応情報をユーザ端末20に読み取らせることで、実施例と同様に、そのユーザ端末20にその施設に対応付けられた検査情報を表示させることができる。そのため、感染症対策の検査に詳しくない者でも、正しい検査を行うことができる。
【0076】
[2-5]各機能を実現する装置
図4等に表す各機能を実現する装置は、上述した装置に限らない。例えば、サーバ装置10が実現する機能を2以上の装置で分担して実現してもよいし、ユーザ端末20が実現する機能を2以上の装置で分担して実現してもよい。いずれの場合も、検査支援システム1の全体で図4等に表す各機能が実現されていればよい。
【0077】
[2-6]発明のカテゴリ
本発明は、上述したサーバ装置10及びユーザ端末20という各情報処理装置の他、各情報処理装置を備える情報処理システム(検査支援システム1はその一例)としても捉えられる。また、本発明は、各情報処理装置が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられるし、各情報処理装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。本発明として捉えられるプログラムは、プログラムを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせ、ダウンロードしたプログラムをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…検査支援システム、10…サーバ装置、20…ユーザ端末、101…施設情報記憶部、102…印刷制御部、103…読取情報取得部、104…検査情報出力部、105…環境情報取得部、201…コード読取部、202…検査情報記憶部、203…検査処理部。
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