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特許7595905光学活性ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドール誘導体およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】光学活性ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドール誘導体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/10 20060101AFI20241202BHJP
   C07B 53/00 20060101ALN20241202BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241202BHJP
【FI】
C07D487/10 CSP
C07B53/00 B
C07B61/00 300
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020107451
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2022003015
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100188651
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 広介
(72)【発明者】
【氏名】荒井 孝義
(72)【発明者】
【氏名】鍬野 哲
(72)【発明者】
【氏名】荻野 衣梨
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】Leong, Seh Yong et al.,An Efficient Synthesis of Spiroquinoxalinones via Tandem Reactions,Chinese Journal of Chemistry,2014年,32(12),p.1217-1220
【文献】Ahmad, Yusuf et al.,Quinoxaline derivatives. VII. Mechanism of the formation of 6-chloro-1,2,3,4,2',3'-hexahydro-4,1'-dimethyl-3,2'-dioxoquinoxaline-2-spiro-3'-indo le from a quinoxaline N-oxide derivative by nucleophilic chlorination,Bulletin of the Chemical Society of Japan,1965年,38(10),p.1659-63
【文献】Ahmad, Yusuf et al.,Quinoxaline derivatives. I. Intramolecular rearrangement of certain quinoxalinecarboxanilides to spiroindoles,Journal of the Chemical Society,1964年,p.4053-6
【文献】Habib, M. S. et al.,The Rearrangement of certain quinoxalinecarboxanilides to spiro compounds,Journal of the Chemical Society,1962年,p.123-5
【文献】El Quali Lalami, Abdelhakim et al.,Direct one step preparation for quinazoline derivatives,Journal Marocain de Chimie Heterocyclique,2002年,1(1),p.37-43
【文献】Meninno, Sara et al.,Asymmetric Epoxidation of Alkylidenemalononitriles: Key Step for One-Pot Approach to Enantioenriched 3-Substituted Piperazin-2-ones,Organic Letters,2015年,17(17),p.4348-4351
【文献】Mukesh kumar TYAGI et al.,CHEMICAL SCIENCE TRANSACTIONS,2017年,6(3),p.393-8
【文献】Gongming ZHU et al.,ACS CATALYSIS,2018年,8,p.1810-6
【文献】荻野衣梨など,ビスアミノメチルビナフトール触媒を用いるアルキリデンマロノニトリルの不斉エポキシ化反応,日本化学会第101春季年会講演予稿集,2021年,A11-3am-01
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 487/10
C07B 53/00
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
JSTPlus(JDreamIII)
JMEDPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示される側鎖に第二級アミンを導入したビナフトール型触媒を用いて、下記式(10)で示されるイサチリデンマロノニトリルとクメンヒドロペルオキシドとを反応させて、下記式(2)で示される光学活性スピロエポキシオキシインドールを製造し、得られた光学活性スピロエポキシオキシインドールと1,2-フェニレンジアミンから下記式(3)で示される光学活性ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドールを製造する一連の方法。(ここでRはメチル基又はアリル基、Rはハロゲン原子、メチル基、又はメトキシ基、Rはハロゲン原子、メチル基、又はメトキシ基、Rはハロゲン原子、メチル基、又はメトキシ基、Rはハロゲン原子、メチル基、又はメトキシ基である。)
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【請求項2】
下記式(2)で示される光学活性スピロエポキシオキシインドールと1,2-フェニレンジアミンから下記式(3)で示される光学活性ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドールを製造する一連の方法。(ここでRはメチル基又はアリル基、Rはハロゲン原子、メチル基、又はメトキシ基、Rはハロゲン原子、メチル基、又はメトキシ基、Rはハロゲン原子、メチル基、又はメトキシ基、Rはハロゲン原子、メチル基、又はメトキシ基である。)
【化5】
【化6】
【請求項3】
下記式(3)で示される光学活性ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドール誘導体。(ここでRメチル又はアリル基、Rはハロゲン原子、メチル基、又はメトキシ基、Rはハロゲン原子、メチル基、又はメトキシ基、Rはハロゲン原子、メチル基、又はメトキシ基、Rはハロゲン原子、メチル基、又はメトキシ基である。)
【化7】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドール誘導体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学活性なアミノ酸や糖を基本構成単位とする生体高分子は、人間の体内で高度な不斉空間を構築しているため、この生体高分子を受容体とする医薬品も光学活性を有している必要がある。このような光学活性な物質を合成する方法は不斉合成法と呼ばれており、不斉合成法の中でも少量の不斉源から理論上無限の光学活性体を合成することが可能な触媒的不斉合成法は極めて重要なものとなっている。
【0003】
スピロオキシインドール骨格は多くの生物活性化合物や医薬品などに含まれる重要な部分構造である。現在、ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドール誘導体の不斉合成例は知られていない。従来の技術として、ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドール誘導体のラセミ体の合成例が下記非特許文献1に記載されている。一方で、単純なベンジリデンマロノニトリルの不斉エポキシ化と、1,2-ジアミンによる開環反応を組み合わせる分子変換法の例が下記非特許文献2に記載されている。また、本発明の合成中間体である光学活性スピロエポキシオキシインドール化合物において、従来の技術として、プロリノール触媒存在下イリデンとtert-ブチルヒドロペルオキシドを用いる不斉合成の例が下記非特許文献3に、リン酸触媒存在下でラセミ体のスピロエポキシオキシインドール誘導体を光学分割する例が下記非特許文献4に記載されているが、いずれもジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドール誘導体の不斉合成には適用されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】S. Y. Leong, P. W. Smith, B. Zou, Chin. J. Chem. 2014, 32, 1217-1220.
【文献】S. Meninno, A. Vidal-Albalat, A. Lattanzi, Org. Lett. 2015, 17, 4348-4351.
【文献】M. K. Tyagi, S. K. Srivastava, Chem Sci Trans., 2017, 6, 393.
【文献】G. Zhu, Y. Li, G. Bao, W. Sun, L. Huang, L. Hong, R. Wang, ACS Catal. 2018, 8, 1810.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明では、ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドール誘導体を不斉合成するにあたり、イサチリデンマロノニトリルを基質に設定し、イサチリデンマロノニトリルの不斉エポキシ化と、1,2-フェニレンジアミンによるエポキシドの開環反応を行う。イサチリデンマロノニトリルの不斉エポキシ化によって生じるスピロエポキシオキシインドール誘導体は新規化合物であるため、中間体となるエポキシドを高収率、高立体選択的に得る反応条件を確立する必要がある。更に、合成したエポキシドと1,2-フェニレンジアミンから、光学純度を損なうことなくジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドール誘導体へ変換するための反応条件を確立する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を鑑み、イサチリデンマロノニトリルの不斉エポキシ化によるスピロエポキシオキシインドール誘導体の合成と、続く1,2-フェニレンジアミンを用いた開環反応を行い、光学活性ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドール誘導体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を行なっていたところ、側鎖に第二級アミンを導入したビナフトール型触媒の存在下、トリフルオロトルエン中でイサチリデンマロノニトリルとクメンヒドロペルオキシドを反応させることで、光学活性スピロエポキシオキシインドール誘導体が得られる点を発見した。更に、得られた光学活性エポキシドに対しアセトニトリル中で1,2-フェニレンジアミンを作用させることで、光学純度を損なうことなく光学活性ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドール誘導体が得られる点を発見し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、光学活性スピロエポキシオキシインドール誘導体を製造する方法は、下記式(1)で示される側鎖に第二級アミンを導入したビナフトール型触媒の存在下で、イサチリデンマロノニトリルとクメンヒドロペルオキシドを反応させて下記式(2)で示されるスピロエポキシオキシインドールを不斉合成し、得られたスピロエポキシオキシインドールと1,2-フェニレンジアミンを反応させるものである。
【化1】
【化2】
【0009】
なおこの結果、下記式(3)で示されるジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドール誘導体を得ることができる。
【化3】
【0010】
なお上記式中、Rは水素原子、メチル基、アリル基、又はベンジル基、R2は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボニル基、又はメトキシ基、R3は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボニル基、又はメトキシ基、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボニル基、又はメトキシ基、R5は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボニル基、又はメトキシ基である。
【発明の効果】
【0011】
以上、本発明により、光学活性ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドール誘導体及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は多くの異なる様態で実施することが可能であり、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
【0013】
(実施形態1)
本実施形態に係る光学活性スピロエポキシオキシインドール誘導体は、下記式(1)で示される側鎖に第二級アミンを導入したビナフトール型触媒の存在下で、イサチリデンマロノニトリルと過酸を反応させることによって製造できる。
【化1】
【0014】
具体的には、本実施形態に係る触媒の存在下で、下記式(4)で示される反応のように、イサチリデンマロノニトリルとクメンヒドロペルオキシドを反応させて光学活性スピロエポキシオキシインドール誘導体を合成することができる。
【化4】
【0015】
上記反応は、非極性溶媒中、特にトリフルオロトルエン中において行なうことが好ましい。
【0016】
上記反応は、マイナス30度において行なうことが好ましい。
【0017】
ここにおいて限定されるわけではないがRは、例えば水素原子、メチル基、アリル基、又はベンジル基を用いることができ、R2は例えば水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボニル基、又はメトキシ基を用いることができ、R3は例えば水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボニル基、又はメトキシ基を用いることができ、R4は例えば水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボニル基、又はメトキシ基を用いることができ、R5は例えば水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボニル基、又はメトキシ基を用いることができる。
【0018】
ここで、限定されるわけではないが、アリール基の例として、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチルなどを挙げることができ、アルキル基の例として、メチル基、エチル基などを挙げることができ、カルボニル基の例として、アセチル基、ベンゾイル基などを挙げることができる。
【0019】
なお、上記反応において、用いるクメンヒドロペルオキシドの量は、イサチリデンマロノニトリルを1モルとした場合、1.1モル以上1.9モル以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.4モル以上1.6モル以下の範囲内である。
【0020】
この結果、本実施形態に係る方法によると、下記式(2)で示すスピロエポキシオキシインドール誘導体を高い収率、立体選択性で得ることができる。
【化2】
【0021】
光学活性ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドール誘導体は、上記式(2)で示されるスピロエポキシオキシインドール誘導体に対し、1,2-フェニレンジアミンを反応させることによって製造できる。
【0022】
具体的には、下記式(5)で示される反応のように、1,2-フェニレンジアミンを反応させて光学活性ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドール誘導体を合成することができる。
【化5】
【0023】
上記反応は、非プロトン性極性溶媒中、特にアセトニトリル中において行なうことが好ましい。
【0024】
上記反応は、80度において行なうことが好ましい。
【0025】
ここにおいて限定されるわけではないがRは、例えば水素原子、メチル基、アリル基、又はベンジル基を用いることができ、R2は例えば水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボニル基、又はメトキシ基を用いることができ、R3は例えば水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボニル基、又はメトキシ基を用いることができ、R4は例えば水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボニル基、又はメトキシ基を用いることができ、R5は例えば水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボニル基、又はメトキシ基を用いることができる。
【0026】
ここで、限定されるわけではないが、アリール基の例として、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチルなどを挙げることができ、アルキル基の例として、メチル基、エチル基などを挙げることができ、カルボニル基の例として、アセチル基、ベンゾイル基などを挙げることができる。
【0027】
なお、上記反応において、用いる1,2-フェニレンジアミンの量は、イサチリデンマロノニトリルを1モルとした場合、1.0モル以上1.2モル以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.0モル以上1.1モル以下の範囲内である。
【0028】
この結果、本実施形態に係る方法によると、下記式(3)で示すジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドール誘導体を、光学純度を損なうことなく高い収率で得ることができる。
【化3】
【0029】
以下、上記実施形態に係る触媒を用い、実際に光学活性ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドール誘導体を製造した。以下、具体的に説明する。
【0030】
(実施例1)
下記式(6)に示す本実施例は、1mlのトリフルオロトルエン中に、2-(1-メチル-2-オキシインドリン-3-イリデン)マロノニトリル0.042g、クメンヒドロペルオキシド0.054mlを上記触媒の存在下、マイナス30℃、48時間反応させることで行なった。この結果、スピロエポキシオキシインドールが0.041g得られた。スピロエポキシオキシインドールの収率は91%(86%ee)であった。
【化6】
【0031】
H NMR (500 MHz, CDCl) δ 7.60 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.42 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.23 (t, J = 6.8 Hz, 1H), 7.05 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 3.35 (s, 3H).
【0032】
13C NMR (125 MHz, CDCl) δ 164.0, 146.1, 133.8,124.8, 123.9, 114.3, 109.9, 108.3, 65.7, 43.3, 27.3.
【0033】
[α] 16.4 = +69.87 (c = 1.0, CHCl
【0034】
IR (neat): 1743, 1617, 1495, 1472, 1373, 1341, 1102, 755 cm-1
【0035】
不斉収率は、ダイセル社製Chiralpack AD-Hカラムを用いる高速液体クロマトグラフィーによって決定した(展開溶媒:ヘキサン/2-プロパノール=90/10、流速:1.0mL/min、検出波長:254nm)。
【0036】
下記式(7)に示す本実施例は、1mlのアセトニトリル中に、2-(1-メチル-2-オキソインドリン-3-イリデン)マロノニトリル0.023g、1,2-フェニレンジアミン0.011gを80℃、18.5時間反応させることで行なった。この結果、ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドールが0.021g得られた。ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドールの収率は76%(84%ee)であった。
【化7】
【0037】
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 9.04 (s, 1H), 7.34 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.19-7.16 (m, 1H), 7.02-6.97 (m, 1H), 6.89-6.83 (m, 2H), 6.80-6.75 (m, 2H), 6.61 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 4.51 (s, 1H), 3.20 (s, 3H).
【0038】
13C NMR (100 MHz, CDCl) δ 173.5, 164.1, 143.6, 131.2, 130.5, 128.9, 124.8, 124.1, 124.1, 123.4, 120.0, 115.6, 114.5, 108.8, 66.3, 26.6.
【0039】
不斉収率は、ダイセル社製Chiralpack AD-Hカラムを用いる高速液体クロマトグラフィーによって決定した(展開溶媒:ヘキサン/2-プロパノール=80/20、流速:1.0mL/min、検出波長:254nm)。
【0040】
(実施例2)
下記式(8)に示す本実施例は、2mlのトリフルオロトルエン中に、2-(1-アリル-2-オキシインドリン-3-イリデン)マロノニトリル0.047g、クメンヒドロペルオキシド0.054mlを上記触媒の存在下、マイナス30℃、48時間反応させることで行なった。この結果、スピロエポキシオキシインドールが0.038g得られた。スピロエポキシオキシインドールの収率は80%(86%ee)であった。
【化8】
【0041】
H NMR (500 MHz, CDCl) δ 7.56 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 7.43 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.22 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.05 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 5.92-5.82(m,1H), 5.40-5.34 (m, 2H), 4.51-4.36 (m, 2H).
【0042】
13C NMR (125 MHz, CDCl) δ 163.8, 145.3, 133.7,130.0, 125.3, 124.8, 123.9, 119.4, 114.2, 110.9, 108.3, 65.8, 43.5, 26.0.
【0043】
[α] 17.6 = +42.8 (c = 1.0, CHCl
【0044】
IR (neat): 1745, 1618, 1489, 1470, 1358, 1205, 941, 755 cm-1
【0045】
不斉収率は、ダイセル社製Chiralpack IBN-3カラムを用いる高速液体クロマトグラフィーによって決定した(展開溶媒:ヘキサン/2-プロパノール=90/10、流速:1.0mL/min、検出波長:254nm)。
【0046】
下記式(9)に示す本実施例は、1mlのアセトニトリル中に、2-(1-アリル-2-オキソインドリン-3-イリデン)マロノニトリル0.015g、1,2-フェニレンジアミン0.006gを80℃、24時間反応させることで行なった。この結果、ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドールが0.011g得られた。ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドールの収率は58%(82%ee)であった。
【化9】
【0047】
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.61 (s, 1H), 7.31 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 7.21 (d, J = 7.4, 1H), 7.01 (t, J = 7.4, 1H), 6.94-6.90 (m, 1H), 6.87-6.75 (m, 3H), 6.68 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 5.90-5.80 (m, 1H), 5.35 (d, J = 17.3 Hz, 1H), 5.25 (d, J = 10.3, 1H), 4.46-4.38 (m, 2H), 4.30-4.24 (m, 1H).
【0048】
13C NMR (100 MHz, CDCl) δ 173.3, 164.0, 142.8, 131.2, 130.5, 130.4, 128.9, 124.7, 124.2, 124.2, 123.4, 120.1, 118.0, 115.5, 114.6, 109.7, 66.4, 42.6.
【0049】
不斉収率は、ダイセル社製Chiralpack AD-Hカラムを用いる高速液体クロマトグラフィーによって決定した(展開溶媒:ヘキサン/2-プロパノール=80/20、流速:1.0mL/min、検出波長:254nm)。
【0050】
以上の通り、本実施例によると、光学活性ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドール誘導体が高い収率と光学純度で合成できることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、過去に報告例のない光学活性ジヒドロキノキサリノニル-スピロオキシインドール誘導体を高い光学純度で供給できる。医薬・農薬の開発と生産に有用であり、産業上の利用可能性がある。