(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】手術器具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/285 20060101AFI20241202BHJP
A61B 17/30 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
A61B17/285
A61B17/30
(21)【出願番号】P 2020201124
(22)【出願日】2020-12-03
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】598024226
【氏名又は名称】株式会社高山医療機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高山 隆志
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-526147(JP,A)
【文献】特表平04-507363(JP,A)
【文献】特開平09-294746(JP,A)
【文献】特開2016-137029(JP,A)
【文献】西独国実用新案公開第07825863(DE,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/28-17/295
A61B 17/30
A61B 17/3201
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピンによって互いに回動可能に接続され、長手方向に通路に挿入される一対の挿入部を有し、
それぞれの前記挿入部は、
前記挿入部の前記長手方向における先端側に設けられた処置部と、
前記挿入部の前記長手方向において、前記ピンを介して前記処置部とは反対側
である基端側に設けられたアーム部とを備え、
前記一対の挿入部を回動させることにより、一対の前記処置部が開閉し、
前記一対の処置部が開いた状態において、一対の前記アーム部は、
前記長手方向と直交する方向の前記一対のアーム部間の距離が先端側ほど大きくなるように形成された基端側アームと、
前記基端側において前記基端側アームと接続されると共に前記基端側アームと一体的に形成され、前記長手方向と直交する方向の前記一対のアーム部間の距離が先端側ほど小さくなるように形成された先端側アームとをそれぞれ備え
ることにより、
前記長手方向と直交する方向の前記一対のアーム部間の距離が最も離れている離間部が、前記長手方向の中間に設けられ、
前記一対の処置部が閉じた状態において、
前記離間部は、前記基端側アームの前記基端側に設けられる
ことを特徴とする手術器具。
【請求項2】
請求項1に記載の手術器具であって、
前記一対の処置部が閉じた状態において、前記通路に挿入される前記一対の挿入部の前記長手方向と直交する方向の大きさは、前記通路の幅よりも小さい
ことを特徴とする手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術器具に関する。
【背景技術】
【0002】
脳神経外科領域の手術において、経鼻手術(内視鏡下経鼻手術又は経鼻内視鏡手術と呼ばれることがある)の手法が採用されることがある。経鼻手術では、患者の鼻の穴から内視鏡と手術器具を差し入れて、頭の中の狭くて深い場所にある病変部に対して、内視鏡で拡大視しながら手術を行う。これにより、頭を大きく開け、脳や神経、血管を押し分けて病変部を摘出する開頭手術と比べて、手術の際の患者の体の負担を少なくすることが可能である。
【0003】
経鼻手術で使用される手術器具に関連して、特許文献1には、頭蓋の奥にある脳深部での手術で使用される手術器具が記載されている。また、特許文献2には、一対のアーム部が対向して設けられ、それらの先端に設けられた処置部が開閉可能に設けられている手術器具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-189231号公報
【文献】特開2012-90724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているように、経鼻手術では、狭い通路に手術器具を通して手術器具の先端部を脳内の病変部まで到達させた上で、剥離、切開、凝固等の非常に細かな操作をすることが要求される。しかし、このような狭い通路において、特許文献2に記載されているような処置部が開閉可能に設けられている手術器具を使用すると、処置部を十分に開閉させることができなかった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、狭い通路に挿入しても、処置部を十分に開閉させることができる手術器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の幾つかの実施形態は、ピンによって互いに回動可能に接続され、長手方向に通路に挿入される一対の挿入部を有し、それぞれの前記挿入部は、前記挿入部の前記長手方向における先端側に設けられた処置部と、前記挿入部の前記長手方向において、前記ピンを介して前記処置部とは反対側に設けられたアーム部とを備え、前記一対の挿入部を回動させることにより、一対の前記処置部が開閉し、前記一対の処置部が開いた状態において、一対の前記アーム部は、前記長手方向と直交する方向の前記一対のアーム部間の距離が先端側ほど大きくなるように形成された基端側アームと、前記長手方向と直交する方向の前記一対のアーム部間の距離が先端側ほど小さくなるように形成された先端側アームとをそれぞれ備えることを特徴とする手術器具である。
【0008】
本発明の他の特徴については、後述する明細書および図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の幾つかの実施形態によれば、狭い通路に挿入しても、処置部を十分に開閉させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、処置部26が開いた状態の本実施形態の手術器具10を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、処置部26が閉じた状態の本実施形態の手術器具10を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の手術器具10の側面図である。
【
図4】
図4Aは、処置部26が開いた状態の本実施形態の手術器具10を示す平面図である。
図4Bは、処置部26が閉じた状態の本実施形態の手術器具10を示す平面図である。
【
図5】
図5Aは、比較例の手術器具10の挿入部20を通路1に挿入した様子を示す説明図である。
図5Bは、本実施形態の手術器具10の挿入部20を通路1に挿入した様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
後述する明細書および図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0012】
ピンによって互いに回動可能に接続され、長手方向に通路に挿入される一対の挿入部を有し、それぞれの前記挿入部は、前記挿入部の前記長手方向における先端側に設けられた処置部と、前記挿入部の前記長手方向において、前記ピンを介して前記処置部とは反対側に設けられたアーム部とを備え、前記一対の挿入部を回動させることにより、一対の前記処置部が開閉し、前記一対の処置部が開いた状態において、一対の前記アーム部は、前記長手方向と直交する方向の前記一対のアーム部間の距離が先端側ほど大きくなるように形成された基端側アームと、前記長手方向と直交する方向の前記一対のアーム部間の距離が先端側ほど小さくなるように形成された先端側アームとをそれぞれ備えることを特徴とする手術器具が明らかとなる。このような手術器具によれば、狭い通路に挿入しても、処置部を十分に開閉させることができる。
【0013】
前記一対の処置部が閉じた状態において、前記通路に挿入される前記一対の挿入部の前記長手方向と直交する方向の大きさは、前記通路の幅よりも小さいことが望ましい。狭い通路に挿入しても、処置部を十分に開閉させることができる。
【0014】
===本実施形態===
<構成>
・全体構成
図1は、処置部26が開いた状態の本実施形態の手術器具10を示す斜視図である。
図2は、処置部26が閉じた状態の本実施形態の手術器具10を示す斜視図である。
図3は、本実施形態の手術器具10の側面図である。
図4Aは、処置部26が開いた状態の本実施形態の手術器具10を示す平面図である。
図4Bは、処置部26が閉じた状態の本実施形態の手術器具10を示す平面図である。
【0015】
以下では、手術器具10の構成および動作を説明する際、図に示す方向に従って説明を行うことがある。すなわち、手術器具10の長手方向を「前後方向」とし、把持部12から見て処置部26の側を「前」とし、逆側(把持部12から見てばね部11の側)を「後」とする。なお、前側を「先端側」、後側を「基端側」と呼ぶことがある。また、前後方向に直交する方向であって、手術器具10の半部材10Aと半部材10Bとが並ぶ方向を「左右方向」とする。また、「前後方向」及び「左右方向」と直交する方向を「上下方向」とする。なお、上下方向は、ピン23の回転軸の軸方向である。
【0016】
手術器具10は、人体を手術する際に使用される医療器具である。本実施形態では、術者は、手術器具10を使用して、人体の病変部に対して、剥離、切開、凝固等の処置を行う。本実施形態の手術器具10は、脳外科領域における手術用として使用される。但し、手術器具10は、血管外科等の他の各種医療領域における手術用として使用されても良い。また、本実施形態の手術器具10は、手術器具10は、剪刃(マイクロ剪刃)である。但し、手術器具10は、鑷子等の他の手術器具であっても良い。
【0017】
手術器具10は、半部材10Aと、半部材10Bと、ピン30とを有する。
【0018】
半部材10Aと、半部材10Bとは、手術器具10を構成する一対の部材である。半部材10Aと、半部材10Bとを、それぞれ単に「部材」と呼ぶことがある。
図1に示すように、半部材10Aと、半部材10Bとは、上下方向に重ねて、かつ交差して配置され、ピン30によって接続されている。
【0019】
ピン30は、半部材10Aと、半部材10Bとを互いに回動可能に接続する部材である。前述したように、半部材10Aと、半部材10Bとは、上下方向に重ねて、かつ交差して配置されている。したがって、
図2及び
図4Bに示すように、半部材10A及び半部材10Bの基端側を互いに内側に近接する向きに移動させる(閉じる)と、半部材10A及び半部材10Bの先端側も互いに内側に近接する向きに移動する(閉じる)。また、
図1及び
図4Aに示すように、半部材10A及び半部材10Bの基端側を互いに外側に離間する向きに移動させる(開く)と、半部材10A及び半部材10Bの先端側も互いに外側に離間する向きに移動する(開く)。そこで、以下の説明では、半部材10A及び半部材10B(及び、後述するアーム部21や処置部26等の各部位)が移動する近接方向及び離間方向のことを、「開閉方向」と呼ぶことがある。また、近接方向及び離間方向のことを、それぞれ、「閉じる方向」及び「開く方向」と呼ぶことがある。そして、
図1及び
図4Aに示す状態を手術器具10(及び、後述するアーム部21や処置部26等の各部位)が「開いた状態」と呼び、
図2及び
図4Bに示す状態を手術器具10(及び、後述するアーム部21や処置部26等の各部位)が「閉じた状態」と呼ぶことがある。なお、近接方向及び離間方向のことを、それぞれ、「内側方向」及び「外側方向」と呼ぶことがある。
【0020】
半部材10A及び半部材10Bは、それぞれ、ばね部11と、把持部12と、挿入部20とを有する。
【0021】
以下の説明では、半部材10Aの部材・部位には、符号に添え字「A」を付け、半部材10Bの部材・部位には、符号に添え字「B」を付けている。また、半部材10A及び半部材10Bに共通の部材・部位を指すときには、添え字を付けないことがある。例えば、ばね部11A及びばね部11Bの両方のことを指して単に「ばね部11」と呼ぶことがある。
【0022】
ばね部11は、把持部12Aと把持部12Bとの位置関係を復元させるための弾性部材である。
図1~
図4Bに示すように、ばね部11Aは、把持部12Aの後側に設けられている。また、ばね部11Bは、把持部12Bの後側に設けられている。そして、
図1~
図4Bに示すように、ばね部11Aとばね部11Bとは、後端において互いに接続されている。本実施形態では、ばね部11は、板ばねで構成されている。但し、ばね部11は、板ばね以外で構成されても良い。例えば、ばね部11は、コイルばねで構成されても良い。また、ばね部11が設けられなくても良い。
【0023】
本実施形態の手術器具10では、術者が把持部12を握って内側方向に力を加えることで、
図2及び
図4Bに示すように、把持部12A及び把持部12Bがそれぞれ内側に移動すると、ばね部11A及びばね部11Bが内側に変形する。変形したばね部11A及びばね部11Bが復元して外側に変形すると、
図1及び
図4Aに示すように、把持部12A及び把持部12Bがそれぞれ外側に移動して元の位置に戻ることになる。
【0024】
把持部12は、術者が把持する部材である。把持部12は、挿入部20の後側に設けられている。
図3に示すように、把持部12は、立ち上がり部16を有する。立ち上がり部16は、把持部12の基端側の部分と把持部12の先端側の部分とを接続する部位である。
図3に示すように、立ち上がり部16は、把持部12の基端側の部分に対して傾斜して立ち上がるように形成されている。これにより、把持部12の前側に位置する挿入部20の中心軸が、把持部12の基端側の部分の中心軸に対してずれることになる。このように、挿入部20の中心軸が把持部12の基端側の部分の中心軸に対してずれている手術器具10を、「バイオネット(bayonet)型」の手術器具と呼ぶ。なお、「バヨネット型」の手術器具と呼ぶこともある。なお、立ち上がり部16を有さず、挿入部20の中心軸と把持部12の基端側の部分の中心軸とが同じ手術器具10を、ストレート型の手術器具と呼ぶ。ストレート型の手術器具と比べて、バイオネット型の手術器具は、狭い術野に差し入れて手術をする際に、内視鏡等の機器と干渉することを抑制することができる。
【0025】
挿入部20は、手術器具10の先端部(処置部26)を脳内の病変部まで到達させるために、通路に挿入される部材である。挿入部20は、把持部12の前側に設けられている。なお、前述したピン30は、挿入部20の前後方向の中間に設けられている。したがって、挿入部20は、ピン30によって互いに回動可能に接続されている。
【0026】
挿入部20は、アーム部21と、処置部26とを有する。
【0027】
アーム部21は、処置部26に対してピン30を介して後側(基端側)に設けられる部材である。すなわち、アーム部21は、把持部12と処置部26との間に設けられる部材である。
【0028】
アーム部21は、基端側アーム22と、先端側アーム23とを有する。
【0029】
基端側アーム22は、アーム部21のうち、後側(基端側)の部分である。本実施形態では、
図1及び
図4Bに示すアーム部21(及び処置部26)が開いた状態において、基端側アーム22は、左右方向のアーム部21間(アーム部21A及びアーム部21B)の距離が前側(先端側)ほど大きくなるように形成されている。
【0030】
先端側アーム23は、アーム部21のうち、前側(先端側)の部分である。本実施形態では、
図1及び
図4Bに示すアーム部21(及び処置部26)が開いた状態において、先端側アーム23は、左右方向のアーム部21間(アーム部21A及びアーム部21B)の距離が前側(先端側)ほど小さくなるように形成されている。
【0031】
したがって、本実施形態のアーム部21は、
図1及び
図4Bに示すアーム部21(及び処置部26)が開いた状態において、後側から前側にかけて、左右方向のアーム部21間の距離が大きくなるように形成された基端側アーム22と、左右方向のアーム部21間の距離が小さくなるように形成された先端側アーム23とで構成される。また、アーム部21は、アーム部21の前後方向の中間において、左右方向のアーム部21間の距離が最も離れている部分を有する。以下の説明では、左右方向のアーム部21間の距離が最も離れている部分を、離間部24と呼ぶことがある。
【0032】
また、本実施形態のアーム部21では、
図4Bに示すように、一対の処置部26が閉じた状態において、通路1に挿入される一対の挿入部20の左右方向の大きさは、通路1の幅よりも小さい。
【0033】
処置部26は、脳内の病変部に処置を施すための部材である。本実施形態では、処置部26は、病変部の切断等を行うはさみとして形成されている。前述したように、半部材10Aと、半部材10Bとは、上下方向に重ねて、かつ交差して配置されている。したがって、手術器具10が備える一対の処置部26も、上下方向(ピン30の回転軸方向)において重ねて配置されることになる。処置部26Aは、半部材10Aの先端側に設けられている。また、処置部26Bは、半部材10Bの先端側に設けられている。本実施形態では、ピン30を中心に処置部26A及び処置部26Bが開閉することにより、内側に設けられた刃線により病変部を切断する。
【0034】
図5Aは、比較例の手術器具10の挿入部20を通路1に挿入した様子を示す説明図である。
図5Bは、本実施形態の手術器具10の挿入部20を通路1に挿入した様子を示す説明図である。なお、
図5A及び
図5Bでは、通路1に挿入される手術器具10の形状を簡易に表すために、挿入部20を線で図示している。また、
図5A(比較例)及び
図5B(本実施形態)共に、一対の処置部26が開いた状態を示している。ここで、通路1は、患者の鼻の穴から頭蓋の深い場所まで続く通路である。
【0035】
比較例の手術器具10では、本実施形態の手術器具10と同様に、挿入部20の前後方向の中間に設けられたピン30によって、一対の挿入部20が互いに回動可能に接続されている。また、本実施形態の手術器具10と同様に、アーム部21がピン30を介して後側(基端側)に設けられ、処置部26がピン30を介して前側(先端側)に設けられている。しかし、
図5Aに示すように、比較例の手術器具10では、アーム部21が少なくとも通路1の入口部分からピン30にかけて直線状に形成されている。このため、比較例の手術器具10では、
図5Aに示す状態からさらに一対のアーム部21を開こうとすると、通路1の入口部分の一対のアーム部21が通路1の壁に干渉してしまう。すなわち、比較例の手術器具10では、挿入部20を通路1の幅より小さく開閉させなければならないという制約がある。このような制約のもと、比較例の手術器具10では、一対の処置部26を大きく開くように形成することは困難であった。ここで、
図5Aに示すように、一対の処置部26が開いた状態での一対の処置部26の開き角度(仰角)は、Aである。
【0036】
図5Bに示すように、本実施形態の手術器具10では、アーム部21が、後側から前側にかけて、左右方向のアーム部21間の距離が大きくなるように形成された基端側アーム22と、左右方向のアーム部21間の距離が小さくなるように形成された先端側アーム23とで構成される。すなわち、左右方向のアーム部21間の距離が最も離れている離間部24が、アーム部21の前後方向の中間に設けられることになる。これにより、本実施形態の一対の処置部26が開いた状態での一対の処置部26の開き角度(仰角)Bは、比較例の一対の処置部26が開いた状態での一対の処置部26の開き角度(仰角)Aよりも大きくすることができる(B>A)。これにより、本実施形態の手術器具10は、狭い通路1に挿入しても、処置部26を十分に開閉させることができる。なお、通路1には、手術基部10の他に内視鏡等の他の器具も挿入するので、本実施形態の手術器具10のように構成することで特に有利となる。
【0037】
また、本実施形態の手術器具10は、前述したように、一対の処置部26が閉じた状態においても、通路1に挿入される一対の挿入部20の左右方向の大きさは、通路1の幅よりも小さい。これにより、本実施形態の手術器具10は、狭い通路1に挿入しても、処置部26を十分に開閉させることができる。
【0038】
<小括>
図1~
図4Bに示すように、本実施形態の手術器具10は、ピン30によって互いに回動可能に接続され、長手方向(前後方向)に通路1に挿入される一対の挿入部20を有し、それぞれの挿入部20は、挿入部20の長手方向(前後方向)における先端側(前側)に設けられた処置部26と、挿入部20の長手方向(前後方向)において、ピン30を介して処置部26とは反対側(後側)に設けられたアーム部21とを備えている。また、
図4A及び
図4Bに示すように、本実施形態の手術器具10は、一対の挿入部20を回動させることにより、一対の処置部26が開閉する。また、
図5Bに示すように、本実施形態の手術器具10は、一対の処置部26が開いた状態において、一対のアーム部21は、長手方向(前後方向)と直交する方向(例えば、左右方向)の一対のアーム21部間の距離が先端側(前側)ほど大きくなるように形成された基端側アーム22と、長手方向(前後方向)と直交する方向(例えば、左右方向)の一対のアーム部21間の距離が先端側(前側)ほど小さくなるように形成された先端側アーム23とをそれぞれ備える。これにより、本実施形態の手術器具10は、狭い通路1に挿入しても、処置部26を十分に開閉させることができる。
【0039】
図4Bに示すように、本実施形態の手術器具10は、一対の処置部26が閉じた状態において、通路1に挿入される一対の挿入部20の長手方向(前後方向)と直交する方向(例えば、左右方向)の大きさは、通路1の幅よりも小さい。これにより、本実施形態の手術器具10は、狭い通路1に挿入しても、処置部26を十分に開閉させることができる。
【0040】
===その他===
前述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0041】
1 通路、10 手術器具、10A・10B 半部材、
11 ばね部、12 把持部、16 立ち上がり部、
20 挿入部、21 アーム部、22 基端側アーム、
23 先端側アーム、24 離間部、26 処置部、
30 ピン