(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】標的システム
(51)【国際特許分類】
F41J 5/06 20060101AFI20241202BHJP
【FI】
F41J5/06
(21)【出願番号】P 2020203035
(22)【出願日】2020-12-07
【審査請求日】2023-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2019221343
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】512198660
【氏名又は名称】株式会社エイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(72)【発明者】
【氏名】永井 克己
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-120175(JP,A)
【文献】国際公開第2018/101401(WO,A1)
【文献】特開2004-069145(JP,A)
【文献】特開2019-201883(JP,A)
【文献】国際公開第95/027881(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41J 1/00- 1/10
F41J 5/00- 5/26
F41J 13/02
F41G 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的を正面から見て、前記標的を囲う形状に形成された枠体と、
前記標的に向かって飛翔する飛翔物体の衝突を撓むことによって受け止める軟質の部材により構成され、前記枠体の開口を覆うように前記枠体の前面に対して少なくとも一部分が緩く取り付けられた標的板と
を有する標的装置と、
前記標的に対応する標的画像に重畳して、前記飛翔物体が前記標的板に衝突した衝突位置に応じた前記飛翔物体の衝突を表す画像を表示する表示装置と
を備える標的システム。
【請求項2】
前記標的装置は、
前記標的板と略平行に前記枠体の背面に対して固定される背面板と、
前記標的板、前記枠体、および前記背面板により囲われる空間内に配置され、前記飛翔物体が前記標的板に衝突する際に発生する衝撃音を検出する検出部と
をさらに有し、
前記標的板の少なくとも一辺は、前記枠体との間に所定の隙間を有するように取り付けられる
請求項1に記載の標的システム。
【請求項3】
前記検出部により検出された前記衝撃音に基づいて、前記衝突位置を算出するプログラムを実行するノートブック型パーソナルコンピュータ
をさらに備え、
前記表示装置は、前記ノートブック型パーソナルコンピュータのディスプレイである
請求項2に記載の標的システム。
【請求項4】
前記ノートブック型パーソナルコンピュータの本体部に対して前記ディスプレイが略垂直に開いた状態で、前記ディスプレイの前方に前記標的装置が配置される
請求項3に記載の標的システム。
【請求項5】
前記標的装置は、前記枠体から背面側に向かって延在するように前記枠体の上部に固定される固定板をさらに有し、
前記ディスプレイの上辺に対して前記固定板を載置することで前記標的装置が前記ノートブック型パーソナルコンピュータに対して装着される
請求項4に記載の標的システム。
【請求項6】
前記ディスプレイの上辺と前記固定板との間に、高さを調整可能なスペーサを介在して、前記標的装置が前記ノートブック型パーソナルコンピュータに装着される
請求項5に記載の標的システム。
【請求項7】
前記標的装置の前方の下側に配置され、前記標的板に衝突した前記飛翔物体を捕らえて集める捕集トレイ
をさらに備える請求項1に記載の標的システム。
【請求項8】
前記捕集トレイは、前記捕集トレイが設置される設置面に対して、前記捕集トレイの底面の少なくとも一部が浮いた状態で配置される
請求項7に記載の標的システム。
【請求項9】
前記捕集トレイは、
底面となる底部および前記底部の周囲を囲む壁部により構成されるトレイ本体と、
前記底部に対して少なくとも一部が浮いた状態で前記トレイ本体の内側に設けられる板部材と
を有する請求項7に記載の標的システム。
【請求項10】
前記枠体の右側面および左側面に対して固定され、それぞれ前記右側面および前記左側面から前方に向かって延在する遮蔽板
をさらに備える請求項1に記載の標的システム。
【請求項11】
前記標的装置は、前記ディスプレイを挟み込んで固定する固定部をさらに有する
請求項4に記載の標的システム。
【請求項12】
前記標的板は、少なくとも上辺が前記枠体との間で隙間なく固定されるとともに、下辺、右辺、および左辺が前記枠体との間に所定の隙間を有するように、前記枠体に対して取り付けられる
請求項1に記載の標的システム。
【請求項13】
前記標的板は、前記下辺の両端において、下方の外側に向かってテンションを掛けた状態で前記枠体に対して取り付けられる
請求項12に記載の標的システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、標的システムに関し、特に、さらなる性能の向上を図ることができるようにした標的システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック製の弾丸(以下、BB(Ball Bullet)弾と称する)を低圧の圧縮空気などで発射する機構を備えたトイガンであるソフトエアガンを使用して標的を射撃し、標的にBB弾が着弾したときの着弾位置に応じて得られるスコアを競う射撃競技が行われている。このような射撃競技では、BB弾の着弾位置を正確に検出することが重要である。
【0003】
そこで、本願出願人は、板状の標的板にBB弾が着弾したときに発生する衝撃波を検出することで、標的板に着弾したBB弾の着弾位置や着弾速度、エネルギーなどを正確に算出することができる標的システムを提案している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の標的システムよりも、BB弾が標的板に着弾した着弾位置を検出する検出範囲を広くしたり、標的板に着弾したBB弾の回収方法を改善したりするなど、さらなる性能の向上が求められている。
【0006】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、標的システムおいて、さらなる性能の向上を図ることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面の標的システムは、標的を正面から見て、前記標的を囲う形状に形成された枠体と、前記標的に向かって飛翔する飛翔物体の衝突を撓むことによって受け止める軟質の部材により構成され、前記枠体の開口を覆うように前記枠体の前面に対して少なくとも一部分が緩く取り付けられた標的板とを有する標的装置と、前記標的に対応する標的画像に重畳して、前記飛翔物体が前記標的板に衝突した衝突位置に応じた前記飛翔物体の衝突を表す画像を表示する表示装置とを備える。
【0008】
本開示の一側面においては、枠体は、標的を正面から見て、標的を囲う形状に形成され、標的板は、標的に向かって飛翔する飛翔物体の衝突を撓むことによって受け止める軟質の部材により構成され、枠体の開口を覆うように前記枠体の前面に対して少なくとも一部分が緩く取り付けられる。また、表示装置には、標的に対応する標的画像に重畳して、飛翔物体が標的板に衝突した衝突位置に応じた飛翔物体の衝突を表す画像が表示される。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一側面によれば、さらなる性能の向上を図ることができる。
【0010】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本技術を適用した標的システムの第1の実施の形態の構成例を示す図である。
【
図5】標的システムの使用状態を示す正面図である。
【
図6】標的システムの使用状態を示す側面図である。
【
図7】小型の画面サイズのノートPCを用いた標的システムの使用状態を示す側面図である。
【
図8】本技術を適用した標的システムの第2の実施の形態の構成例を示す図である。
【
図13】本技術を適用した標的システムの第3の実施の形態の構成例を示す図である。
【
図14】本技術を適用した第4の実施の形態の標的システムで用いられる標的装置の構成例を示す正面図である。
【
図15】本技術を適用した第4の実施の形態の標的システムで用いられる標的装置の構成例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
<標的システムの第1の構成例>
図1は、本技術を適用した標的システムの第1の実施の形態の構成例を示す図である。
【0014】
図1に示すように、標的システム11は、標的装置12、ノートブック型パーソナルコンピュータ(以下、ノートPC(Personal Computer)と称する)13、捕集トレイ14、並びに、遮弾板15-1および15-2を備えて構成される。
【0015】
標的システム11は、ノートPC13の本体部21に対して表示部22を略垂直に開いた状態で使用され、ノートPC13の表示部22の前方に標的装置12が配置される。例えば、標的システム11では、標的装置12およびノートPC13を、後述する通信ケーブル23(
図5または
図6参照)を介して接続することができる。なお、標的装置12およびノートPC13が、ワイヤレスで接続される構成を採用してもよい。
【0016】
また、標的システム11では、標的装置12の前方の下側に捕集トレイ14が配置され、図示する構成例では、捕集トレイ14は、ノートPC13の本体部21のキーボードに対して設置される。さらに、標的システム11では、標的装置12の右側面および左側面からそれぞれ前方に向かって延在するように、遮弾板15-1および15-2が固定される。
【0017】
そして、標的システム11では、ノートPC13の表示部22に、射撃を行う際の標的を表す標的画像16が表示される。例えば、ユーザがソフトエアガン31の銃口を標的システム11に向けて標的画像16を狙って射撃を行うと、ソフトエアガン31から発射されたBB弾32は、
図1に示す一点鎖線に沿って飛んだ後、標的装置12に着弾する。このとき、標的システム11では、標的装置12にBB弾32が着弾した着弾位置が検出され、その着弾位置を示す着弾マークPが、標的画像16に重畳して表示される。
【0018】
また、BB弾32が標的装置12に着弾したとき、標的装置12の標的板42(
図2乃至
図4参照)が撓むことによってBB弾32の衝突の勢いが吸収され、BB弾32は捕集トレイ14に落下する。また、標的装置12に対して正面からではなく水平方向に斜めとなる方向からソフトエアガン31によりBB弾32が発射された場合、標的装置12に着弾したBB弾32が左右方向に跳ね返ることが想定される。このような場合でも、BB弾32は、遮弾板15-1および15-2により跳ね返されて捕集トレイ14に落下することになる。従って、標的システム11では、捕集トレイ14がBB弾32を捕らえて集めることができ、標的装置12に着弾したBB弾32を散らばらせることなく回収することができる。
【0019】
このように標的システム11は構成されており、ソフトエアガン31から発射されたBB弾32が標的装置12に着弾した着弾位置を検出する検出機能、および、標的装置12に着弾したBB弾32を捕集トレイ14で回収する回収機能を備えている。
【0020】
<標的装置の構成例>
図2乃至
図4を参照して、標的装置12の構成例について説明する。
図2は、標的装置12の正面図であり、
図3は、標的装置12の平面図であり、
図4は、標的装置12の側面図である。
【0021】
図2乃至
図4に示すように、標的装置12は、枠体41、標的板42、背面板43、音響センサ44-1乃至44-4、および、コントロールユニット45を備えて構成される。
【0022】
例えば、標的装置12は、枠体41の前面側の開口を覆うように標的板42が取り付けられるとともに、枠体41の背面側の開口を覆うように背面板43が取り付けられた構造となっている。そして、標的装置12では、枠体41、標的板42、および背面板43により囲われる空間内に、音響センサ44-1乃至44-4が配置される。また、標的装置12は、枠体41の上部に、標的装置12をノートPC13に装着するのに利用される主固定板46並びに補助固定板47および48が固定されており、主固定板46に対してコントロールユニット45が装着された構造となっている。
【0023】
枠体41は、正面から見て矩形形状に形成された枠であり、
図1のノートPC13の表示部22に表示される標的画像16を囲うような大きさに形成される。また、
図2に示すように、枠体41の内寸(開口となっている部分の寸法)を高さHおよび幅Wとし、
図4に示すように、枠体41の奥行き寸法を奥行Dとする。
【0024】
また、枠体41は、例えば、上辺枠部材41a、下辺枠部材41b、左辺枠部材41c、および右辺枠部材41dを組み合わせた構成を採用することができる。例えば、図示する構成例では、上辺枠部材41a、下辺枠部材41b、左辺枠部材41c、および右辺枠部材41dには、それぞれ同様に断面形状がコ字状の直線的に形成された部材が用いられている。なお、枠体41はこのような構成の他、例えば、一体成型により構成してもよい。
【0025】
標的板42は、ソフトエアガン31により発射されたBB弾32が着弾する際の衝突を撓むことによって受け止めることができ、BB弾32の反発を抑制する軟質なシート状の部材からなる。また、標的板42には、ソフトエアガン31による射撃を行うユーザが、ノートPC13の表示部22に表示された標的画像16を視認することができるように、透明な部材が採用される。例えば、標的板42には、衝撃による変形に対する復元速度が緩やかな材質として、厚み3.0mmの軟質の塩化ビニル樹脂などを使用することが好ましい。また、標的板42は、ノートPC13の表示部22の前方において略垂直となるように張った状態で全体的に平坦となるように、即ち、撓みが生じないように平面的に、枠体41の前面に対して外周が取り付けられる。
【0026】
背面板43には、透明で硬質な板状の部材、例えば、厚み2.0mmのPET(Polyethylene terephthalate)樹脂などを採用することができる。
【0027】
音響センサ44-1乃至44-4は、例えば、BB弾32が標的板42に着弾したときに生じる衝撃音を取得し、その取得した衝撃音の振幅の変化に従った音響信号を、図示しない信号線を介してコントロールユニット45に供給する。また、音響センサ44-1乃至44-4は、枠体41、標的板42、および背面板43により囲われる標的装置12の筐体内の閉鎖的な空間において、それぞれ標的板42の四隅の近傍となる位置に配置される。例えば、
図2に示すように正面から見て、音響センサ44-1は左上隅の近傍に配置され、音響センサ44-2は右上隅の近傍に配置され、音響センサ44-3は左下隅の近傍に配置され、音響センサ44-4は右下隅の近傍に配置される。なお、以下適宜、音響センサ44-1乃至44-4それぞれを区別する必要がない場合、単に、音響センサ44と称する。
【0028】
コントロールユニット45には、音響センサ44から供給される音響信号に対する信号処理を施し、その音響信号から、BB弾32の着弾位置や着弾速度などを検出するのに用いられる検出信号を求める信号処理基板が収納されている。例えば、信号処理基板は、音響信号を増幅して全波整流し、その振幅のピーク値を保持したピークホールド信号、および、ピークホールド信号を積分して得られる信号が基準値以上となったタイミングを示す衝撃音検出時刻信号を、検出信号として出力する信号処理を行う。そして、この検出信号は、例えば、コントロールユニット45に接続される通信ケーブル23(
図5または
図6参照)を介して、ノートPC13に供給される。
【0029】
そして、コントロールユニット45から供給される検出信号に基づいて、ノートPC13においてBB弾32の着弾位置や着弾速度などを算出するプログラムが実行され、ノートPC13の表示部22に着弾マークP(
図1参照)が表示される。なお、BB弾32の着弾位置や着弾速度などを算出する手法については、上述した特許文献1に詳細に開示されている。
【0030】
ここで、標的装置12では、背面板43が、枠体41の背面に対して完全に固定するように取り付けられるのに対し、標的板42は、枠体41の前面に対して少なくとも一部分が緩く取り付けられている。即ち、標的板42は、枠体41の前面に対して完全に固定されずに、ある程度の動きの自由度を有するように枠体41に取り付けられる。つまり、標的板42は、その外周が所定の隙間を有して保持される程度に、例えば、その隙間の分だけ自由に動けるような余裕をもって、枠体41に取り付けられていることが好ましい。なお、標的板42の少なくとも一辺に、このような隙間が設けられていればよく、また、標的板42が枠体41に緩く取り付けられていれば隙間が設けられなくてもよい。
【0031】
具体的には、標的装置12は、枠体41の前面および背面に所定間隔で複数のネジ穴を設け、それらのネジ穴に対応するように標的板42および背面板43の外周に複数の貫通穴を設けて、小ネジを利用して、標的板42および背面板43を枠体41に取り付ける構成を採用することができる。そして、背面板43は、小ネジの頭と枠体41の背面とによって隙間なく挟み込まれることで、枠体41に対して完全に固定される。
【0032】
一方で、
図4に拡大して示すように、標的板42は、小ネジの頭部51と標的板42との間、または、標的板42と枠体41との間に、所定の隙間が設けられるように小ネジを利用して枠体41に取り付けられる。即ち、標的板42の貫通穴を貫通して枠体41のネジ穴に対して小ネジを螺合する際に、小ネジの頭部51と枠体41の前面との間隔が標的板42の厚み以上となるようにし、小ネジの頭部51と枠体41の前面とによって標的板42が完全に挟み込まれないようにする。例えば、小ネジの頭部51で標的板42を隙間なく挟み込んだ状態から、小ネジを半回転から1回転戻す程度の隙間を設けることが好ましい。または、例えば、小ネジを取り付けるネジ穴の深さを、小ネジが完全に締結された状態でも僅かな隙間が設けられるように設定すれば好適である。
【0033】
このように標的装置12は構成されており、枠体41に対して標的板42を緩く取り付けることで、BB弾32が標的板42に着弾した着弾位置を正確に検出することができる検出範囲を、枠体41の内寸の高さHおよび幅Wと同程度とすることができる。つまり、枠体41の内寸の高さHおよび幅Wよりも広い範囲には、標的板42の背面側に枠体41があるのに対して、枠体41の内寸の高さHおよび幅Wの範囲では、標的板42の背面側は空間となっており、この背面側が空間となっている領域を検出範囲とすることができる。
【0034】
例えば、標的板42を枠体41の前面に対して完全に固定した構成では、枠体41の内寸の高さHおよび幅Wより内側の範囲であっても、枠体41の近傍の領域では、BB弾32が標的板42に着弾した着弾位置を正確に検出することは困難であった。即ち、この構成では、枠体41の近傍の領域にBB弾32が着弾したときには標的板42が十分に撓むことができず、標的板42の中央部分にBB弾32が着弾したときとは異なる衝撃音が発生して、衝撃音の再現性が低下してしまうことになる。従って、衝撃音に基づいた着弾位置の検出性能も低下することになっていた。
【0035】
これに対し、標的装置12は、標的板42を枠体41の前面に対して緩く取り付けることで、枠体41の内寸の高さHおよび幅Wの範囲のぎりぎりまで、枠体41の近傍の領域であっても、BB弾32が標的板42に着弾した着弾位置を正確に検出することができる。即ち、標的装置12では、枠体41の近傍の領域にBB弾32が着弾したときでも標的板42が十分に撓むことができるので、標的板42の中央部分にBB弾32が着弾したときに近い衝撃音が発生することになる。従って、標的装置12では、標的板42の中央部分にBB弾32が着弾したときでも、枠体41の近傍の領域にBB弾32が着弾したときでも、衝撃音に基づいた着弾位置の検出性能を確保することができる。つまり、標的装置12は、標的板42を枠体41の前面に対して完全に固定した構成と比較して、BB弾32が標的板42に着弾した着弾位置を正確に検出することができる検出範囲を広くすることができる。
【0036】
また、標的装置12では、枠体41、標的板42、および背面板43により囲われる標的装置12の筐体内の閉鎖的な空間に音響センサ44を配置することによって、音響センサ44は、互いに平行に向かい合う標的板42および背面板43の間で共鳴する衝撃音を取得することができる。これにより、音響センサ44は、外部の音の影響を削減する効果を得ることができるのに加えて、例えば、太鼓やティンパニなどの打楽器が安定的な音を発生することができるのと同様に、安定的な音響信号を取得することができる。これにより、音響センサ44ごとに検出値に差が生じることを抑制して、測定精度や安定性を向上させることができる。
【0037】
このとき、標的装置12では、枠体41および標的板42の間に所定の隙間が設けられていることで、より高精度に着弾位置を求めることができる。即ち、標的装置12では、BB弾32の着弾によって標的板42が撓むことで、音響センサ44が配置される筐体内の空間の容積が急激に減少しても、枠体41および標的板42の間の隙間を介して適切に空気が排出される。これにより、BB弾32が着弾した際の筐体内の空間の圧力の上昇を適度に抑制することができるため、音響センサ44による衝撃音の取得を安定的に行うことができる。従って、標的装置12は、音響センサ44から出力される音響信号の振幅が安定する結果、その音響信号に基づいて求められる着弾位置などのバラツキが抑制されることになり、着弾位置などの検出精度を向上させることができる。
【0038】
以上のように、標的システム11は、標的装置12において枠体41の前面に対して標的板42を緩く取り付ける構成とすることによって、着弾位置を正確に検出することができる検出範囲を広くしたり、その検出精度を向上させたりすることができ、性能の向上を図ることができる。
【0039】
<標的システム11の使用例>
図5および
図6を参照して、標的システム11の使用例について説明する。
図5は、標的システム11の使用状態における正面図であり、
図6は、標的システム11の使用状態における側面図である。
【0040】
図5および
図6に示すように、標的システム11では、標的装置12は、ノートPC13の本体部21に対して略垂直に開いた状態の表示部22の前方であって、ノートPC13の本体部21よりも上方に配置される。例えば、表示部22の上辺と、主固定板46(補助固定板47および48も同様)の下面との間にスペーサ52を介在して、表示部22の上辺に主固定板46を載置することで、標的装置12がノートPC13に装着される。
【0041】
そして、標的システム11では、標的装置12のコントロールユニット45と、ノートPC13の本体部21とが、通信ケーブル23により接続される。
【0042】
例えば、図示するように、通信ケーブル23のコネクタを接続する接続口がコントロールユニット45の側面に設けられた構成では、通信ケーブル23のコネクタを保護する保護板49を、コントロールユニット45の前面に固定することが好ましい。保護板49は、標的システム11を正面から見たときに、コントロールユニット45の側面に接続された通信ケーブル23のコネクタを隠すように、その側面の方向に向かって延在するように設けられる。
【0043】
例えば、保護板49には、厚み2.0mmの軟質の塩化ビニル樹脂などが用いられる。そして、保護板49は、BB弾32の着弾から通信ケーブル23のコネクタを保護するとともに、BB弾32がコントロールユニット45に直接的に着弾することを防止することができる。このように保護板49を設けることによって、例えば、保護板49を設けずにBB弾32が直接的にコントロールユニット45に着弾する構成と比較して、BB弾32の跳ね返りを抑制することができる。なお、保護板49を設けるのに替えて、コントロールユニット45の高さまで標的板42の上辺を延在させることにより、コントロールユニット45および通信ケーブル23を保護するような構成を採用してもよい。
【0044】
また、標的システム11では、ノートPC13の本体部21のキーボード上に配置される捕集トレイ14の前面に、BB弾32の着弾から本体部21を保護する前面保護板61が固定される。前面保護板61は、標的システム11を正面から見たときにノートPC13の本体部21が隠れるように、捕集トレイ14から下方に延在するように設けられる。
【0045】
さらに、捕集トレイ14は、底面の周囲部分に複数の凸部材62が貼着された構成となっている。例えば、捕集トレイ14は、凸部材62としてゴム状の部材を用いることによって、ノートPC13の本体部21の上面に設置された状態で滑りを防止し、安定的に配置することができる。
【0046】
そして、捕集トレイ14は、ノートPC13の本体部21に配置された状態で、複数の凸部材62が本体部21に当接する構成となる。例えば、
図5および
図6に示す例では、捕集トレイ14は、底面の四隅の近傍に、4つの凸部材62-1乃至62-4が貼着された構成となっている。即ち、凸部材62-1は、捕集トレイ14の底面の左前側の隅に貼着され、凸部材62-2は、捕集トレイ14の底面の右前側の隅に貼着され、凸部材62-3は、捕集トレイ14の底面の右奥側の隅に貼着され、凸部材62-4(図示せず)は、捕集トレイ14の底面の左奥側の隅に貼着される。
【0047】
従って、標的システム11では、捕集トレイ14は、ノートPC13の本体部21の上面(例えば、キーボードやタッチパッドなど)に対して、凸部材62の高さの分だけ捕集トレイ14の底面が浮いた状態で配置される。これにより、例えば、標的板42に着弾したBB弾32が捕集トレイ14に落下したときに捕集トレイ14の底面が撓むことができ、その撓みによってBB弾32の落下の衝撃を吸収することができる。つまり、捕集トレイ14の底面と、捕集トレイ14を設置する設置面との間に隙間を設けることによって、捕集トレイ14に落下したBB弾32の跳ね返りを抑制することができる。
【0048】
これにより、標的システム11では、捕集トレイ14に落下したBB弾32が捕集トレイ14の外に散らばることを抑制し、標的板42に着弾したBB弾32を確実に回収すること、即ち、BB弾32の回収方法の改善を図ることができる。
【0049】
なお、捕集トレイ14は、少なくとも一部が設置面から浮いた状態となっていればよく、例えば、凸部材62を用いずに、捕集トレイ14の底面の一部分を凸形状に形成して、その凸形状が設置面に当接するような構成としてもよい。その他、捕集トレイ14は、BB弾32の落下の衝撃を吸収することができる程度の撓みを発生することができる隙間が設けられるように、底面の少なくとも一部が設置面から浮いた状態となるように構成されていれば、どのような形状であってもよい。また、捕集トレイ14を配置することで、ノートPC13の本体部21の上面を保護することができる。
【0050】
さらに、標的システム11では、スペーサ52の高さが調整可能となっており、スペーサ52の高さを選択的に変更することで、様々な画面サイズのノートPC13に対して標的装置12を装着することができる。例えば、
図5および
図6には、画面サイズが15.6インチであるノートPC13に標的装置12を装着した構成例が示されており、スペーサ52として、厚み10mmの板状の部材が1枚使用されている。
【0051】
一方、
図7には、画面サイズが13.3インチであるノートPC13aに標的装置12を装着した構成例が示されている。この構成例では、スペーサ52aとして、厚み10mmの板状の部材が5枚使用されている。即ち、ノートPC13aの表示部22aの高さは、
図6のノートPC13の表示部22の高さよりも低いため、スペーサ52aとして用いる板部材の枚数を増やしてスペーサ52aを高くすることで、表示部22に対して適切な高さとなるように標的装置12を装着することができる。
【0052】
また、標的システム11では、スペーサ52を利用して表示部22に対する標的装置12の高さを調整する際に、遮弾板15-1および15-2の高さ方向の固定位置を調節してもよい。例えば、小型のノートPC13を使用する際には、遮弾板15-1および15-2の高さ方向の固定位置が高くなるように調節することで、より使い易くすることができる。
【0053】
<標的システムの第2の構成例>
図8は、本技術を適用した標的システムの第2の実施の形態の構成例を示す図である。
【0054】
図8に示すように標的システム11Aは、標的装置12A、ノートPC13、捕集トレイ14A、遮弾板15A-1および15A-2、並びに、ディスプレイ81を備えて構成される。
【0055】
標的システム11Aでは、ディスプレイ81の前方に標的装置12Aが配置され、ノートPC13は、射撃を行うユーザの手元に配置される。そして、標的システム11Aでは、標的装置12AおよびノートPC13が、通信ケーブル82を介して接続されており、ノートPC13およびディスプレイ81が、映像ケーブル83を介して接続されている。なお、これらがワイヤレスで接続される構成を採用してもよい。
【0056】
また、標的システム11Aにおいても、
図1の標的システム11と同様に、標的装置12Aの前方の下側に捕集トレイ14Aが配置され、標的装置12Aの左右の側面それぞれからの前方に向かって延在するように、遮弾板15A-1および15A-2が固定される。
【0057】
そして、標的システム11Aでは、ノートPC13の表示部22に標的画像16が表示されるとともに、ディスプレイ81にも標的画像16が表示される。従って、ユーザは、ソフトエアガン31の銃口を標的システム11に向けてディスプレイ81の標的画像16を狙って射撃を行い、標的装置12にBB弾32が着弾した着弾位置を示す着弾マークPは、表示部22およびディスプレイ81の両方に表示される。従って、標的システム11Aでは、ユーザは、ノートPC13の表示部22において標的画像16に重畳して表示される着弾マークPによって、BB弾32の着弾位置を詳細に確認することができる。
【0058】
<標的システム11Aの使用例>
図9乃至
図11を参照して、標的システム11Aの使用例について説明する。
図9は、標的システム11Aの使用状態における正面図であり、
図10は、標的システム11Aの使用状態における平面図であり、
図11は、標的システム11Aの使用状態における側面図である。
【0059】
例えば、
図11に示すように、標的システム11Aでは、標的装置12Aは、ディスプレイ81の上辺と、主固定板46A(補助固定板47Aおよび48Aも同様)の下面との間にスペーサ52Aを介在して、ディスプレイ81の上辺に対して主固定板46Aが載置される。さらに、標的システム11Aでは、標的装置12Aの下部の左右に、それぞれ高さを調整可能なアジャスタ機能を備えた脚部91-1および91-2が取り付けられた構成になっており、脚部91-1および91-2によって標的装置12Aを支持することができる。
【0060】
例えば、
図9に示すように、脚部91-1は、標的装置12Aの左側下部に取り付けられるとともに、脚部91-2は、標的装置12Aの右側下部に取り付けられる。このような構成により、正面から見て標的装置12Aが水平となるように、脚部91-1および91-2のアジャスタ機能を利用して、左右の高さのバランスを調整することができる。
【0061】
また、標的システム11Aでは、捕集トレイ14Aの底面の四隅の近傍に、それぞれ高さを調整可能なアジャスタ機能を備えた脚部92-1乃至92-4が取り付けられた構成になっている。即ち、脚部92-1は、捕集トレイ14Aの底面の左前側の隅に取り付けられ、脚部92-2は、捕集トレイ14Aの底面の右前側の隅に取り付けられ、脚部92-3は、捕集トレイ14Aの底面の右奥側の隅に取り付けられ、脚部92-4(図示せず)は、捕集トレイ14Aの底面の左奥側の隅に取り付けられる。
【0062】
そして、標的システム11Aでは、脚部92-1乃至92-4のアジャスタ機能を利用して、捕集トレイ14A上のBB弾32が一カ所に向かって転がるように、捕集トレイ14Aに対して傾斜が設けられた状態となっている。例えば、
図10に示すように、捕集トレイ14Aの左奥隅には、BB弾32を通過可能とする開口部が形成されており、捕集トレイ14Aの左奥側が最も低くなるように、捕集トレイ14Aに対して傾斜が設けられる。
【0063】
例えば、
図9に示すように、標的装置12Aを正面から見て、右側が高くなり、かつ、左側が低くなるような傾斜が捕集トレイ14Aに設けられる。そして、標的システム11Aでは、捕集トレイ14Aに形成された開口部の直下に回収ケース84を配置し、捕集トレイ14Aに落下したBB弾32が転がって、捕集トレイ14Aの開口部を通過して回収ケース84に回収されるような構成とすることができる。
【0064】
ここで、
図12を参照して、捕集トレイ14Aの構造について説明する。
【0065】
図12のAには、捕集トレイ14Aの平面図が示されており、
図12のBには、
図12のAに示す矢印A-Aにおける断面が示されている。
【0066】
図12に示すように、捕集トレイ14Aは、トレイ本体101、板部材102、および、凸部材103-1乃至103-8により構成される。
【0067】
トレイ本体101は、矩形形状の底面となる底部と、その底部の周囲を囲む壁部とにより構成される。
【0068】
板部材102は、トレイ本体101の底部よりも若干小さな板状の部材であり、トレイ本体101の内側に収納される。
【0069】
凸部材103-1乃至103-8は、板部材102の底面の周囲部分に貼着され、トレイ本体101の底部に対して板部材102の少なくとも一部が浮いた状態となるように隙間を設ける。
【0070】
例えば、捕集トレイ14Aは、
図12のBに示すように、板部材102の端部分が凸部材103によってトレイ本体101の底部から浮いた状態となっている。このように、捕集トレイ14Aは、板部材102がトレイ本体101の底部から浮いた状態とすることで、トレイ本体101の底部との間に隙間が設けられているように構成される。
【0071】
このように捕集トレイ14Aは構成されており、BB弾32が捕集トレイ14Aに落下したときに板部材102が撓むことができ、その撓みによってBB弾32の落下の衝撃を吸収することができる。つまり、板部材102とトレイ本体101の底部との間に隙間を設けることによって、捕集トレイ14Aに落下したBB弾32の跳ね返りを抑制することができる。
【0072】
これにより、標的システム11Aでは、捕集トレイ14Aに落下したBB弾32が捕集トレイ14Aの外に散らばることを抑制し、BB弾32の回収方法の改善を図ることができる。
【0073】
<標的システムの第3の構成例>
図13は、本技術を適用した標的システムの第3の実施の形態の構成例を示す図である。
【0074】
図13に示すように標的システム11Bは、標的装置12BおよびノートPC13を備えて構成される。なお、標的システム11Bは、
図1の標的システム11と同様に、捕集トレイ14並びに遮弾板15-1および15-2を備えているが、それらの図示は省略されている。
【0075】
標的システム11Bは、ノートPC13の本体部21に対して表示部22を略垂直に開いた状態で、ノートPC13の表示部22に対して標的装置12Bが固定されて使用される。
【0076】
標的装置12Bは、枠体41Bの前面および背面に対して標的板42Bおよび背面板43Bがそれぞれ取り付けられた構造となっており、枠体41B、標的板42B、および背面板43Bにより囲われる空間内の上側に信号処理基板111が収納されている。即ち、標的装置12Bは、
図1の標的装置12よりも、信号処理基板111を収納するのに必要な高さとなるように構成され、ノートPC13の表示部22に固定した状態で、表示部22よりも高い位置に信号処理基板111が配置される構造となっている。これにより、標的装置12Bは、標的装置12において信号処理基板を収納していたコントロールユニット45を設けずに、より省スペースとなる構成とすることができる。
【0077】
また、枠体41Bの下面にはゴム足112が取り付けられており、標的装置12Bは、ゴム足112をノートPC13の本体部21に当接させた状態で設置される。また、背面板43Bの背面には、スポンジ113が貼着されており、標的装置12Bは、スポンジ113をノートPC13の表示部22に当接させた状態で設置される。なお、
図13では、2つのスポンジ113-1および113-2のみが図示されているが、スポンジ113は、背面板43Bの4カ所に配置されており、標的装置12Bは、その4つのスポンジ113を介して表示部22に当接する構成となっている。
【0078】
そして、標的装置12Bは、ノートPC13の表示部22を挟み込んで固定するための固定部114を備えている。固定部114は、板部材121、スペーサ122、支持部材123、および波型スポンジ124を備えて構成される。
【0079】
板部材121は、背面板43Bの上辺に取り付けられ、例えば、スペーサ122および支持部材123の固定に利用されるネジのネジ穴を設けることができる厚みとなっている。スペーサ122は、板部材121および支持部材123の間隔を調整するための板状の部材であり、表示部22の厚みに応じてスペーサ122の枚数が調整される。支持部材123は、スペーサ122から下方に向けて延在するように、スペーサ122を介して板部材121に対して固定される。波型スポンジ124は、支持部材123の先端近傍における表示部22側に貼着され、波型の凹凸が表示部22に当接することで変形する。
【0080】
このような固定部114を備えることにより、標的装置12Bは、所望の厚み(例えば、6.6~16.5mm)の表示部22に対して確実に固定することが可能となる。例えば、スペーサ122の枚数を調整するのに加えて、波型スポンジ124の凸部分が潰れる範囲において、一定の押しつけ圧力で、スポンジ113および波型スポンジ124によって表示部22を挟み込むことができる。なお、スペーサ122に替えて、板部材121および支持部材123の間にヒンジ部材を設ける構成としてもよい。このような構成では、ヒンジ部材のバネの力でスポンジ113および波型スポンジ124によって表示部22を挟み込むことができ、様々な厚みの表示部22に対して容易に装着しやすい構造とすることができる。
【0081】
また、標的装置12Bは、標的板42Bに対するBB弾32の着弾の衝撃が表示部22に伝わることが想定される。しかしながら、標的装置12Bは、スポンジ113を介して表示部22に当接するような構成とすることで、その衝撃が表示部22に伝わるのを緩和(例えば、表示部22の開閉に必要な力の1/10程度であることを確認)することができる。これにより、標的装置12Bのような固定方法であっても、標的板42Bに対するBB弾32の着弾が表示部22の開閉機構に悪影響を与えることはないと考えられる。
【0082】
以上のような構成の標的装置12Bは、例えば、上述の標的装置12と比較して、より省スペースで確実にノートPC13に対する固定を実現することができる。
【0083】
なお、本実施の形態では、
図2に示したように4個の音響センサ44-1乃至44-4を用いた構成について説明したが、音響センサ44の個数は4個に限定されるものではない。例えば、3個や6個、8個など、標的装置12のサイズまたは形状に応じて、着弾位置などを適切に測定可能な個数の音響センサ44を用いることができる。例えば、6個の音響センサ44を用いる場合には、四隅に加え、上辺中央および下辺中央にも音響センサ44が配置される。
【0084】
また、標的システム11は、例えば、標的に対して飛翔物体を当てる任意の競技や遊戯、具体的には、ダーツ、吹き矢などの標的システムに適用してもよい。この場合、着弾マークPの代わりにダーツや吹き矢の矢を標的画像上に表示すればよく、着弾マークPに限定されることなく様々な衝突を表す画像を表示することができる。また、当然ながら、BB弾32に代わるダーツや吹き矢の矢が標的板42に刺さらないようにその先端を丸める必要がある。さらに、標的板42の強度を増せば、本発明は、トイガン(ソフトエアガン)よりも着弾時のエネルギーが強い実銃(空気銃等)の標的システムにも適用することも可能である。
【0085】
さらに、標的システム11Aでは、標的画像16を表示するディスプレイ81を利用することなく、同様の標的が描かれた紙を標的装置12Aの背面板43に貼り付けたり、同様の標的を背面板43に描いたりしてもよい。また、背面板43または標的板42を白色などの不透明にして、プロジェクタにより背面板43または標的板42に標的画像16を投影してもよい。なお、同様に、標的システム11においても、標的が描かれた紙を使用したり、プロジェクタにより標的画像16を投影したりしてもよい。
【0086】
ここで、標的装置12をノートPC13の表示部22やディスプレイ81などに装着せずに使用する場合には、標的装置12が自立できるようにする必要がある。例えば、遮弾板15-1および15-2を後方にも張り出させたり、下にも伸ばしたりすることで遮弾板15-1および15-2を利用して標的装置12を自立させることができる。また、標的装置12に対して、脚部を設ける構成としてもよい。さらに、標的システム11において、標的装置12の裏側に紙標的を付けて使用する場合、三脚に立てられるようにすることで利便性を向上させることができる。
【0087】
<標的システムの第4の構成例>
図14および
図15を参照して、本技術を適用した標的システムの第4の実施の形態について説明する。
図14は、標的装置12Cの構成例を示す正面図であり、
図15は、標的装置12Cの構成例を示す側面図である。なお、
図14および
図15に示す標的装置12Cにおいて、
図2および
図4の標的装置12と共通する構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0088】
即ち、標的装置12Cは、枠体41Cに対する標的板42Cの取り付け方が、
図2および
図4の標的装置12と異なっており、それ以外の点で共通する構成となっている。上述したように標的装置12では、標的板42は枠体41に対して緩く取り付けられており、例えば、標的板42を枠体41に取り付けるための小ネジは、固定状態に対して半回転から1回転戻す程度の隙間を設けるような緩めた状態とされている。
【0089】
これに対し、標的装置12Cは、標的板42Cの上辺の複数個所を枠体41Cに対して固定するとともに、標的板42Cの左下角および右下角の2カ所を枠体41Cに対して固定することで、標的板42Cが枠体41Cに対して取り付けられる構成となっている。つまり、標的板42Cの上辺は、枠体41Cとの間で隙間なく固定される一方で、標的板42Cの下辺、右辺、および左辺は、枠体41Cとの間に所定の隙間を有するように、標的板42Cが枠体41Cに対して取り付けられている。
【0090】
図14および
図15に示す構成例では、標的板42Cの上辺の5カ所が小ネジ53-1乃至53-5によって枠体41Cに対して固定され、標的板42Cの左下角が小ネジ53-6によって枠体41Cに対して固定され、標的板42Cの右下角が小ネジ53-7によって枠体41Cに対して固定されている。そのため、標的板42Cの左辺および右辺は、それぞれ上端および下端のみが枠体41Cに対して固定されることになる。
【0091】
これにより、
図15に拡大して示すように、標的板42Cの左辺および右辺は、それぞれ上端以外および下端以外の部分では枠体41Cから隙間dが設けられ、枠体41Cから浮いた状態となる。なお、図示しないが、標的板42Cの下辺も右端以外および左端以外の部分において、枠体41Cに対して同様の隙間dが設けられている。この隙間dは、例えば、約1~3mmとなるように設計することが好ましい。なお、隙間dは、標的装置12Cを立てた状態で、標的板42Cが枠体41Cに接触しない程度であれば良く、隙間dが設けられない構成であっても、標的板42Cの左辺、右辺、および下辺の両端部以外が小ネジによって固定された状態とされるよりは好適である。
【0092】
また、標的装置12Cは、標的板42Cを枠体41Cに固定する際に、小ネジ53-6が、標的板42Cに対して左下方向に向かうテンションを掛けた状態となり、小ネジ53-7が、標的板42Cに対して右下方向に向かうテンションを掛けた状態となるように設計される。例えば、標的装置12Cは、枠体41Cの下辺の左右端に設けられるネジ穴の間隔よりも、標的板42Cの下辺の左右端に設けられる貫通穴の間隔が若干(例えば、縦間隔が1.5mm、横間隔が2mm程度)狭くなるように構成されている。さらに、例えば、標的板42Cとして使用する塩化ビニル樹脂シートをロール状態から平坦な状態として直ぐに枠体41Cのネジ穴の間隔に合わせて貫通穴を加工し、その後の時間の経過に伴って塩化ビニル樹脂シートが縮む性質を利用して、貫通穴の間隔が若干狭くなるようしてもよい。または、標的板42Cとして使用する塩化ビニル樹脂シートに対して高温状態で貫通穴を加工し、その後に常温に戻すのに伴って塩化ビニル樹脂シートが縮む性質を利用して、貫通穴の間隔が若干狭くなるようしてもよい。
【0093】
このような構成とすることよって、小ネジ53-6および53-7を、標的板42Cの貫通穴に通して枠体41Cのネジ穴に螺合させると、標的板42Cの下辺の両端において下側方の外側に向かってテンションを掛けた状態とすることができる。これにより、標的装置12Cでは、ほぼ平坦となるように、フラットな状態で標的板42Cを枠体41Cに対して取り付けることができる。
【0094】
なお、枠体41Cと標的板42Cとの隙間を、片面に粘着性を有し振動を伝えにくいもの、例えば、スポンジテープなどを利用して枠体41Cに接触しないようにしたりしてもよい。また、両面に粘着性を有するスポンジテープなどで貼り合わせるようにしてもよいが、その場合には、スポンジテープは低密度で柔らかくある程度の厚み(例えば2mm以上)が必要である。さらに、両面に粘着性を有するスポンジテープなどを利用する場合には、小ネジを使用することなく、スポンジテープで標的板42Cの全周を枠体41Cに貼り合わせてもよい。
【0095】
このように構成される標的装置12Cは、
図2および
図4の標的装置12のように小ネジを緩めた状態とすることなく、小ネジ53-1乃至53-7を完全に固定状態として標的板42Cを枠体41Cに取り付けることができる。このように標的板42Cを枠体41Cに取り付ける構成であっても、標的装置12Cは、標的板42Cの左辺、右辺、および下辺において枠体41Cに対して隙間dで浮いた状態とすることができる。ただし、小ネジを緩めた状態とした方が、そのネジのすぐ近くまで検出できるようになるという効果はある。
【0096】
これにより、標的装置12Cは、標的板42Cの左辺、右辺、および下辺の近傍まで、BB弾32が標的板42に着弾した着弾位置を正確に検出することができる。従って、例えば、標的装置12CをノートPC13(
図4参照)に装着して使用する場合に、ノートPC13の表示部22の下側付近におけるBB弾32の着弾位置を正確に検出することができる。
【0097】
例えば、上述した
図8に示すように、ディスプレイ81に標的装置12Aを装着して使用する場合には、ディスプレイ81の下辺よりも下方に延在するような標的装置12Aを用いることで、ディスプレイ81の下側付近におけるBB弾32の着弾位置を正確に検出することが可能であった。一方、上述した
図1に示すように、ノートPC13に標的装置12を装着して使用する場合には、ノートPC13の表示部22の下方には本体部21があるため、ノートPC13の表示部22の下辺よりも下方に標的装置12を延在させることはできなかった。
【0098】
これに対し、標的装置12Cは、標的板42Cの下辺において枠体41Cに対して隙間dで浮いた状態となっているため、枠体41Cの下辺近傍にBB弾32が着弾したときでも標的板42が十分に撓むことができる。そのため、標的装置12Cは、枠体41Cの下辺近傍にBB弾32が着弾したときに発生する衝撃音の再現性が高くなり、その着弾位置を正確に検出することができる。従って、標的装置12Cは、枠体41Cの下辺上端まで、BB弾32が標的板42Cに着弾した着弾位置を正確に検出することができる検出範囲とすることができ、BB弾32の着弾位置の検出性能の向上を図ることができる。
【0099】
ここで、標的装置12Cの小型化を図るほど、より標的板42Cの端部近傍までBB弾32の着弾位置を正確に検出できるようにすることが求められる。一方、標的装置12Cが小型である場合には、上述したように標的板42Cの上辺の複数個所を小ネジ53で枠体41Cに対して固定しなくてもよく、標的板42Cの上辺の両端の2カ所を枠体41Cに対して固定するだけでもよい。即ち、標的装置12Cが小型である場合には、標的板42Cの四隅を小ネジ53で枠体41Cに対して固定する構成を採用することができる。
【0100】
さらに、標的板42Cの枠体41Cに対する固定方法は、小ネジ53を用いた方法に限定されることなく、上述したように、枠体41Cに対して少なくとも一部分が緩く取り付けられた状態とすることができれば、様々な方法を採用することができる。例えば、枠体41Cを構成する板金の端部を内側に折り曲げた状態として、枠体41Cおよび標的板42Cが面接触となるのを回避して最小限の接触面積となるように、粘着テープなどを利用して標的板42Cを枠体41Cに固定するような方法を採用してもよい。つまり、BB弾32が標的板42Cに着弾したときに、標的板42Cのできるだけ端に近い部分までフレキシブルに動くことができるような固定方法とすることが重要である。
【0101】
なお、上述した各実施の形態の標的システム11は、捕集トレイ14を利用してBB弾32を捕集する構成の他、例えば、捕集トレイ14に替えて所定の厚みの布(例えば、マイクロファイバーのタオル)を配置することで、BB弾32を捕集するような構成を採用してもよい。その他、標的板42に着弾して落下するBB弾32が散らばることなく回収することができれば、様々な方法でBB弾32を捕集することができる。
【0102】
なお、本実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0103】
11 標的システム, 12 標的装置, 13 ノートPC, 14 捕集トレイ, 15 遮弾板, 16 標的画像, 21 本体部, 22 表示部, 23 通信ケーブル, 31 ソフトエアガン, 32 BB弾, 41 枠体, 42 標的板, 43 背面板, 44 音響センサ, 45 コントロールユニット, 46 主固定板, 47および48 補助固定板, 49 保護板, 51 小ネジの頭部, 52 スペーサ, 61 前面保護板, 62 凸部材, 81 ディスプレイ, 82 通信ケーブル, 83 映像ケーブル, 84 回収ケース, 101 トレイ本体, 102 板部材, 103 凸部材