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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】止水ユニット
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/22 20060101AFI20241202BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20241202BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20241202BHJP
   E06B 7/23 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
E06B7/22 F
E04H9/14 Z
E06B5/00 Z
E06B7/23 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021004099
(22)【出願日】2021-01-14
(65)【公開番号】P2022108890
(43)【公開日】2022-07-27
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000152620
【氏名又は名称】株式会社日東
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】三町 令子
(72)【発明者】
【氏名】谷津 直吉
(72)【発明者】
【氏名】原田 正明
(72)【発明者】
【氏名】高畑 尚岐
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 哲生
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 泰之
(72)【発明者】
【氏名】大林 幸夫
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼田 直
(72)【発明者】
【氏名】西川 三男
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第2369846(GB,A)
【文献】特開2019-100121(JP,A)
【文献】特開2017-25601(JP,A)
【文献】実開昭63-198787(JP,U)
【文献】特開2007-126897(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0041871(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00
E06B 7/16-7/24
E04H 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状のドア枠と、前記ドア枠の左右一方側に設けた回動軸を介して開閉可能に支持されたドアとの間に設置することにより、閉状態の前記ドアと前記ドア枠との間から屋内側に水が浸入することを防止する止水ユニットであって、
前記ドア枠と閉状態の前記ドアとの間に設置される長手状のシール部材と、
着脱可能な構成で前記ドア枠又は前記ドアの周縁側の何れか一方に設置される複数の取付ブラケットとを備え、
前記シール部材は、隣接する取付ブラケットの間を連結するように取付けられることにより、閉状態の前記ドア下部側の周縁に沿って上方が開放されたコ字状に設置されるように構成され
前記取付ブラケットは、前記ドア下端側の回動軸側端部に取付けられる下部軸側ブラケットと、前記ドア下端側で且つ前記回動軸の左右他方側端部である操作側端部に取付けられる下部操作側ブラケットと、前記ドア側面の上下方向中途部で且つ前記下部軸側ブラケットの真上側に取付けられる上部軸側ブラケットと、前記ドア側面の上下方向中途部で且つ前記下部操作側ブラケットの真上側に取付けられる上部操作側ブラケットとからなる
ことを特徴とする止水ユニット。
【請求項2】
前記取付ブラケットは、開状態の前記ドアの周縁側に着脱可能に取付固定するための取付機構を有する
請求項1に記載の止水ユニット。
【請求項3】
前記上部軸側ブラケットと前記上部操作側ブラケットは、前記ドアの側部を挟持するように左右内側が開放されたコ字状に形成され、
前記下部軸側ブラケットと前記下部操作側ブラケットは、前記ドア下端の角部を収容するように上方と左右内側が開放された箱状に形成された
請求項に記載の止水ユニット。
【請求項4】
前記下部操作側ブラケットと前記上部操作側ブラケットには、前記ドアの端部側に形成された鍔部に沿った突出部が形成された
請求項に記載の止水ユニット。
【請求項5】
前記下部操作側ブラケットと、前記上部操作側ブラケットとの間に設けられる縦方向の前記シール部材は、前記突出部の屋内側の面に取付けられ、
前記下部軸側ブラケットと、前記上部軸側ブラケットとの間に設けられる縦方向の前記シール部材は、前記ドアの側面側に沿って取付けられるように構成された
請求項に記載の止水ユニット。
【請求項6】
前記シール部材は、前記ドアと前記ドア枠とで挟持されることにより弾性変形する部材を用いた
請求項1乃至の何れかに記載の止水ユニット。
【請求項7】
枠状のドア枠と、前記ドア枠の左右一方側に設けた回動軸を介して開閉可能に支持されたドアとの間に設置することにより、閉状態の前記ドアと前記ドア枠との間から屋内側に水が浸入することを防止する止水ユニットであって、
前記ドア枠と閉状態の前記ドアとの間に設置される長手状のシール部材と、
着脱可能な構成で前記ドア枠又は前記ドアの周縁側の何れか一方に設置される複数の取付ブラケットとを備え、
前記シール部材は、隣接する取付ブラケットの間を連結するように取付けられることにより、閉状態の前記ドア下部側の周縁に沿って上方が開放されたコ字状に設置されるように構成され、
前記シール部材は、前記取付ブラケットに対して着脱可能に構成された
ことを特徴とする止水ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア側に後付けで設置可能に構成された止水ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
枠状のドア枠と、前記ドア枠の左右一方側に設けた回動軸を介して開閉可能に支持されたドアとの間に、板状の止水板を設置することにより、閉状態の前記ドアと前記ドア枠との間から屋内側に水が浸入することを防止することができる特許文献1に記載の止水ユニットが従来公知である。
【0003】
また、特許文献2には、前記ドアの周縁側に止水凸部を設け、前記ドア枠側にシール部とを設け、前記ドアを閉じた際に、前記止水凸部と前記シール部とが密着するように構成することによって、閉状態の前記ドアと前記ドア枠との間から屋内側に水が浸入することを防止することができる止水ユニットが開示されている。
【0004】
上記文献によれば、豪雨や高潮等、床下浸水や土砂の流入が予想される場合に、既存の前記ドアと前記ドア枠との間に止水ユニットを後付けすることによって、前記ドアと前記ドア枠との間の隙間から屋内に水が浸入することを防止することができるものであるが、特許文献1の止水ユニットによれば、ドアの大きさによっては止水板が設置できず汎用性に問題がある場合がある他、特許文献2の止水ユニットによれば、前記ドアと前記ドア枠の両方に部材を設置する必要があるため、前記止水ユニットの設置に手間が掛かる場合があるといった課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6529370号公報
【文献】特許第6707246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、既存のドアに後付けで設置可能に構成された止水ユニットにおいて、コンパクトにして収容可能であって、使用する場合にはスムーズ且つ容易に設置することができる他、様々な種類のドアに設置することができる止水ユニットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1に、枠状のドア枠と、前記ドア枠の左右一方側に設けた回動軸を介して開閉可能に支持されたドアとの間に設置することにより、閉状態の前記ドアと前記ドア枠との間から屋内側に水が浸入することを防止する止水ユニットであって、前記ドア枠と閉状態の前記ドアとの間に設置される長手状のシール部材と、着脱可能な構成で前記ドア枠又は前記ドアの周縁側の何れか一方に設置される複数の取付ブラケットとを備え、前記シール部材は、隣接する取付ブラケットの間を連結するように取付けられることにより、閉状態の前記ドア下部側の周縁に沿って上方が開放されたコ字状に設置されるように構成されたことを特徴としている。
【0008】
第2に、前記取付ブラケットは、開状態の前記ドアの周縁側に着脱可能に取付固定するための取付機構を有することを特徴としている。
【0009】
第3に、前記取付ブラケットは、前記ドア下端側の回動軸側端部に取付けられる下部軸側ブラケットと、前記ドア下端側で且つ前記回動軸の左右他方側端部である操作側端部に取付けられる下部操作側ブラケットと、前記ドア側面の上下方向中途部で且つ前記下部軸側ブラケットの真上側に取付けられる上部軸側ブラケットと、前記ドア側面の上下方向中途部で且つ前記下部操作側ブラケットの真上側に取付けられる上部操作側ブラケットとからなることを特徴としている。
【0010】
第4に、前記上部軸側ブラケットと前記上部操作側ブラケットは、前記ドアの側部を挟持するように左右内側が開放されたコ字状に形成され、前記下部軸側ブラケットと前記下部操作側ブラケットは、前記ドア下端の角部を収容するように上方と左右内側が開放された箱状に形成されたことを特徴としている。
【0011】
第5に、前記下部操作側ブラケットと前記上部操作側ブラケットには、前記ドアの端部側に形成された鍔部に沿った突出部が形成されたことを特徴としている。
【0012】
第6に、前記下部操作側ブラケットと、前記上部操作側ブラケットとの間に設けられる縦方向の前記シール部材は、前記突出部の屋内側の面に取付けられ、前記下部軸側ブラケットと、前記上部軸側ブラケットとの間に設けられる縦方向の前記シール部材は、前記ドアの側面側に沿って取付けられるように構成されたことを特徴としている。
【0013】
第7に、前記シール部材は、前記ドアと前記ドア枠とで挟持されることにより弾性変形する部材を用いたことを特徴としている。
【0014】
第8に、前記シール部材は、前記取付ブラケットに対して着脱可能に構成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
前記ドア枠又は前記ドアの周縁側の何れか一方に、着脱可能な構成で前記取付ブラケットを取付けることにより、前記シール部材を閉状態の前記ドア下部側の周縁に沿って上方が開放されたコ字状に設置することができるように構成されているため、前記ドア周りの隙間からの浸水を防止する止水ユニットを簡易且つスムーズに設置することができる。
【0017】
また、前記取付ブラケットは、開状態の前記ドアの周縁側に着脱可能に取付固定するための取付機構を有するものによれば、前記止水ユニットをスムーズに前記ドア周縁側に取付けることができる。
【0018】
また、前記取付ブラケットは、前記ドア下端側の回動軸側端部に取付けられる下部軸側ブラケットと、前記ドア下端側で且つ前記回動軸の左右他方側端部である操作側端部に取付けられる下部操作側ブラケットと、前記ドア側面の上下方向中途部で且つ前記下部軸側ブラケットの真上側に取付けられる上部軸側ブラケットと、前記ドア側面の上下方向中途部で且つ前記下部操作側ブラケットの真上側に取付けられる上部操作側ブラケットとからなるものによれば、前記ドア下部の周縁に沿って前記シール部材を設置するために必要な前記取付ブラケットの数を最小限にできる。
【0019】
また、前記上部軸側ブラケットと前記上部操作側ブラケットは、前記ドアの側部を挟持するように左右内側が開放されたコ字状に形成され、前記下部軸側ブラケットと前記下部操作側ブラケットは、前記ドア下端の角部を収容するように上方と左右内側が開放された箱状に形成されたものによれば、構成を簡素化してコストを低く抑えることができるとともに、前記シール部材で連結された各取付ブラケットを前記ドア側へ取付ける作業をより簡易且つスムーズに行うことができる。
【0020】
また、前記上部軸側ブラケットと前記上部操作側ブラケットには、前記ドアの端部側に形成された鍔部に沿った突出部が形成されたものによれば、前記ドアの開閉作動する側の端部に鍔部を有する場合であっても止水ユニットを設置することができるため汎用性が高くなる。
【0021】
また、前記下部作動側取付ブラケットと、前記上部作動側取付ブラケットとの間に設けられる縦方向の前記シール部材は、前記突出部の屋内側の面に取付けられ、前記下部軸側取付ブラケットと、前記上部軸側取付ブラケットとの間に設けられる縦方向の前記シール部材は、前記ドアの側面側に沿って取付けられるように構成されたものによれば、前記ドアと前記ドア枠との間に形成される左右端側の隙間に、前記シール部材を効率的に密着させることができる。
【0022】
また、前記シール部材は、前記ドアと前記ドア枠とで挟持されることにより弾性変形する弾性部材を用いたものによれば、前記ドアと前記ドア枠との間に形成される隙間の大きさが一定でなくても、該隙間を前記弾性部材によって埋めることができるため、汎用性が向上するとともに、前記ドアの内側に水が浸入することをより確実に防止できる。
【0023】
また、前記シール部材は、前記取付ブラケットに対して着脱可能に構成されたものによれば、前記ドアのサイズに応じて前記シール部材の長さを変更することができるため汎用性が向上するとともに、前記シール部材と前記取付ブラケットとを解体してよりコンパクトにした状態で収容することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】止水ユニットを設置した状態を示す正面図である。
図2】止水ユニットを設置した状態を示す要部平面図である。
図3】止水ユニットを設置した状態を示すA-A断面図である。
図4】止水ユニットの取付け態様を示した全体斜視図である。
図5】止水ユニットの取付け態様を示した要部斜視図である。
図6】(A)乃至(C)は、上部軸側ブラケットを示した平面図、側面図、正面図である。
図7】(A)乃至(C)は、下部軸側ブラケットを示した平面図、側面図、正面図である。
図8】(A)乃至(C)は、上部操作側ブラケットの平面図、正面図、側面図である。
図9】(A)乃至(C)は、下部操作側ブラケットの平面図、正面図、側面図である。
図10】シール部材の別実施例を示した要部側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の止水ユニットの構成を説明する。図1乃至3は、止水ユニットを設置した状態を示す正面図と、要部平面図と、A-A断面図であり、図4及び図5は、止水ユニットの取付け態様を示した全体斜視図と、要部斜視図である。
【0027】
本発明の止水ユニットは、図示されるように、玄関等のドア1の下部周縁に着脱可能に取付けられる複数の取付ブラケット(取付治具)11と、隣接する取付ブラケット11間を連結するように取付けられたシール部材12とを備え、枠状のドア枠2に開閉可能に支持されるドア1の周縁側に後付けで設置可能に構成されている。これにより、前記止水ユニットは、閉状態の前記ドア1と前記ドア枠2との間に形成される隙間から屋内側に水が浸入することを防止できる(図1参照)。前記止水ユニットの具体的な構成については後述する。
【0028】
前記ドア枠2は、左右方向に延設された上枠2A及び下枠2Bと、上枠2Aと下枠2Bの端部同士を連結するように上下方向に延設された一対の縦枠2C、2Cとによって上下方向に長い矩形状に形成されており、左右一方側の前記縦枠2C側には、上下方向中途部に複数(図示する例では2つ)固定された丁番(蝶番、回動軸)3を介して前記ドア1が左右(水平)方向に開閉操作可能に支持されている(図1等参照)。
【0029】
また、上記下枠2Bは、その上面側が屋外側の床面G1と同じ高さとなるように埋設固定されるとともに、側断面視で後端側が上方に向けて屈曲形成されたL字(アングル)状にした段部4が形成されている。該段部4は、通常屋外の床面G1よりも高くなるように形成された屋内側の床面G2よりもさらに高くなるように構成されている(図3等参照)。
【0030】
前記ドア1は、左右一方側(以下、軸側)は前記丁番3を介して前記ドア枠2(縦枠2C)側に開閉可能に取付けられており、左右他方側(以下、操作側)には開閉操作時に把持する取手部6と前記縦枠2C側に形成された凹部(図示しない)に嵌合するように突出するロック部7とが設けられている。また、該ドア1の操作側端部には、通常、前記縦枠2Cの屋外側の面と当接するように左右外側に突設された鍔部8が形成されており(図2等参照)、前記ドア1を閉めた際の気密性が向上するように構成されている。
【0031】
前記ドア枠2及び前記ドア1の構成は、後述する前記止水ユニットが設置可能なものであれば良く、上述に記載されたものには限られない。
【0032】
次に、図1乃至5に基づき、前記ドア側に後付けされる前記止水ユニットのうち、前記シール部材の構成について説明する。
【0033】
前記シール部材12は、前記取付ブラケット11を介して、前記ドア1の下部周縁側に沿って着脱可能に取付けられる長手状のパッキンであって、全体で上方が開口されたコ字に設けられるように構成されている(図1参照)。具体的には、前記シール部材12は、前記ドア1の軸側側面に設置される上下方向の軸側シール部材12Aと、前記ドア1の操作側側面に設置される上下方向の操作側シール部材12Bと、前記ドア1の下端側に沿って設置される左右方向の下端側シール部材12Cとを備え、各シール部材12には、前記ドア1と前記ドア枠2とで挟持されることにより圧縮変形可能で且つ、水の侵入を阻止することのできる素材が用いられいている。
【0034】
上記軸側シール部材12Aは、前記ドア1の軸側側面に沿って上下方向に設けられており、前記ドア1を開状態から閉状態に操作することによって、前記ドア1の軸側側面と、前記ドア枠2の縦枠2Cとの間に形成される隙間に設置されるように構成されている(図2参照)。このとき、該軸側シール部材12Aは、閉状態の前記ドア1の軸側側面と前記ドア枠2(縦枠2C)とによって押し潰されて圧縮変形されることにより、前記ドア1の軸側側面と前記ドア枠2との間に形成される隙間を埋めることができるように構成されている。
【0035】
上記操作側シール部材12Bは、図示する例では、前記ドア1の前記鍔部8の屋内側の面に沿って上下方向に設けられており、前記ドア1を開状態から閉状態に操作することによって、前記ドア1(鍔部8)と前記ドア枠2(縦枠2C)との間に形成される隙間に設置されるように構成されている(図2参照)。このとき、該操作側シール部材12Bは、閉状態の前記鍔部8の屋内側の面と前記ドア枠2(縦枠2C)とによって押し潰されて圧縮変形されることにより、前記ドア1(鍔部8)と前記ドア枠2との間に形成される隙間を埋めることができるように構成されている。
【0036】
上記下端側シール部材12Cは、図示する例では、前記ドア1の屋内面側の下端に沿って左右方向に設けられており、前記ドア1を開状態から閉状態に操作することによって、前記ドア1の下端側と前記ドア枠2(下枠2B)の前記段部4との間に形成される隙間に設置されるように構成されている(図3参照)。このとき、該下端側シール部材12Cは、閉状態の前記ドア1下端側の屋内側の面と前記段部4とによって押し潰されて圧縮変形されることにより、前記ドア1下端側と前記段部4との間に形成される隙間を埋めることができるように構成されている。
【0037】
該構成によれば、前記ドア1の下部周縁に沿って設置された前記シール部材12は、前記ドア1を開状態から閉状態に操作することによって、閉状態の前記ドア1の下部周縁と、前記ドア枠2との間に形成される隙間を埋めることができるため、より簡易な構成で前記ドアの屋外から屋内側に水が浸入することを防止することができる。
【0038】
ちなみに、各シール部材12は、前記取付ブラケット11側に予め接着剤等で取付固定される構成でも良いが、面ファスナーやボタン等、着脱可能な取付機構を介して、前記取付ブラケット11側に着脱可能な構成としても良い。
【0039】
該構成によれば、前記止水ユニットをばらしてよりコンパクトにした状態で収容することができる他、前記止水ユニットを設置する前記ドア1のサイズが異なる場合であっても、長さの合うシール部材12への交換を容易に行うことができるため、汎用性も向上する。なお、各シール部材12の前記取付ブラケット11への取付位置等については後述する。
【0040】
次に、図1乃至9に基づき、前記ドア側に後付けされる前記止水ユニットのうち、前記取付ブラケットの構成について説明する。図6(A)乃至(C)は、上部軸側ブラケットを示した平面図、側面図、正面図であり、図7(A)乃至(C)は、下部軸側ブラケットを示した平面図、側面図、正面図であり、図8(A)乃至(C)は、上部操作側ブラケットの平面図、正面図、側面図であり、図9(A)乃至(C)は、下部操作側ブラケットの平面図、正面図、側面図である。
【0041】
前記取付ブラケット11は、前記ドア1の軸側下端の角部に取付固定される下部軸側ブラケット11Bと、該下部軸側ブラケット11Bの上方に設けられて前記ドア1の側面を挟持するようにして取付けられる上部軸側ブラケット11Aと、前記ドア1の操作側下端の角部に取付固定される下部操作側ブラケット11Dと、該下部操作側ブラケット11Dの上方に設けられて前記ドア1の側面を挟持するようして取付けられる上部操作側ブラケット11Cとを有し(図1等参照)、各ブラケット11は、前記ドア1側にスムーズに着脱可能に取付けるための取付機構を備えている。
【0042】
また、前記下部軸側ブラケット11Bと、前記上部軸側ブラケット11Aの間には、上下方向の前記軸側シール部材12Aが連結可能に構成され、前記下部操作側ブラケット11Dと、前記上部操作側ブラケット11Cの間には、上下方向の前記操作側シール部材12Bが連結可能に構成され、前記下部軸側ブラケット11Bと、前記下部操作側ブラケット11Dの間には、左右方向の前記下端側シール部材12Cが連結可能に構成されている(図1乃至4等参照)。
【0043】
上記上部軸側ブラケット11Aは、平面視でコ字状に屈曲形成された板状部材であって、前記ドア1の軸側側面を挟持するようにして前記ドア1側に取付けられるように構成されている。また、該上部軸側ブラケット11Aは、前記ドア1の軸側側面をカバーする面が、前記軸側シール部材12Aの上端側を取付けることができる軸側シール部材取付面113となるように構成されている(図6等参照)。
【0044】
上記下部軸側ブラケット11Bは、前記ドア1下端の軸側の角部を収容するように、左右内側及び上方が開口された箱状に形成されている。また、該下部軸側ブラケット11Bは、前記ドア1の軸側側面をカバーする面が、前記軸側シール部材12Aの下端側を取付けることができる軸側シール部材取付面14となり、前記ドア1の屋内側をカバーする面が、前記下端側シール部材12Cの一端側を取付けることができる下端側シール部材取付面16となるように構成されている(図7等参照)。
【0045】
上記上部操作側ブラケット11Cは、平面視で前記ドア1の操作側端部と鍔部8とを囲繞するようにクランク状に屈曲形成された板状部材であって、前記ドア1の操作側側面を挟持するようにして前記ドア1側に取付けられるように構成されている。言い換えると、該上部操作側ブラケット11Cは、前記ドア1の操作側側面を挟持する一対の挟持部と、該挟持部の端部側同士を連結する連結部とを有し、該連結部には、前記鍔部8に合わせた突出部17が形成されている。また、該上部操作側ブラケット11Cは、前記突出部17のうち、前記ドアが閉状態の際に屋内側を向く面が、前記操作側シール部材12Bの上端側を取付けることができる操作側シール部材取付面18となるように構成されている(図8等参照)。
【0046】
上記下部操作側ブラケット11Dは、前記ドア1下端の操作側の角部を収容するように、左右内側及び上方が開口された箱状に形成されている。また、該下部操作側ブラケット11Dは、前記ドア1の操作側側面をカバーする面に、前記鍔部8を挿通するための切込みと、前記鍔部8の屋内側の面をカバー(と当接)する突出部21が形成されることにより、平面視でクランク状に形成されている。また、該下部操作側ブラケット11Dは、前記突出部21のうち、前記ドア1が閉状態の際に屋内側を向く面が、前記操作側シール部材12Bの下端側を取付けることができる操作側シール部材取付面22となるように構成されている(図9等参照)。
【0047】
前記取付機構は、各取付ブラケット11にマグネットを設けて前記ドア1側の所定位置に取付けることができるように構成しても良いし、各取付ブラケット11と前記ドア1側とに面ファスナーを設けることにより、各取付ブラケット11を前記ドア1の所定位置で取付けることができるように構成しても良いし、各取付ブラケット11によって前記ドア1の周縁側を弾性的に挟持することにより前記ドア1側に取付けることができるように構成しても良い。
【0048】
また、該取付機構は、各取付ブラケット11を前記ドア1の周縁側に着脱可能に取付ける可能とする構成であれば上述の例に限られず、たとえば、前記取付ブラケット11の外側から前記ドア側に向けて棒状に形成された可塑性の取付部材(図示しない)を貫通させてリベットのようにかしめることで、該取付ブラケット11を前記ドア側に固定するように構成しても良い。
【0049】
上述のように構成された止水ユニットによれば、前記ドア1を開状態に操作した状態で、各取付ブラケット11を前記ドア1の周縁側に取付けることによって、該ドア1の下部周縁側に前記シール部材12をスムーズ且つ容易に取付けることができる。この止水ユニットが設置された状態で、前記ドアを開状態から閉状態に操作することで、前記ドア1と前記ドア枠2との間に形成される隙間から屋内側に水が浸水することを効率的に防止することができる。
【0050】
次に、図10に基づき、前記止水ユニットの別実施例について、上述の例と異なる点について説明する。図10は、シール部材の別実施例を示した要部側断面図である。
【0051】
図10に示されるように、前記ドア枠2を構成する前記下枠2Bに前記段部4に相当する構成がなかった場合や、そもそも前記下枠2Bがなく前記ドア1の下方側がフラットであった場合には、前記ドア1下端に下端側シール部材12Cを設置しても、前記ドア1の下端側に形成されるフラットな隙間を埋めることができない。この場合、前記止水ユニットは、前記下端側シール部材12Cに代えて、前記ドア1下端と前記床面との間に止水体30を差込むようにした構成としても良い。
【0052】
前記止水体30は、前記ドア1の下端側と床面との間に形成される隙間に差込まれる左右方向の下端シール体30aと、該下端シール体30aが上面側に固定される支持板30bとから構成されており、前記下端シール体30aは、隙間に押込まれることによって、隙間の形状に沿って圧縮変形可能で且つ、水の侵入を阻止することのできる素材が用いられている。
【0053】
該構成によれば、前記ドア1側に前記止水ユニットを設置するにあたり、前記ドア枠2の下枠2B側に前記段部4がない場合であっても、前記ドア1と前記ドア枠2との間に形成される隙間に、前記止水体30を屋内側からスライドするようにして差込むことにより、簡易な操作で止水することができる。これにより、止水ユニットの汎用性がより向上する(図10参照)。
【0054】
ちなみに、上述の止水ユニットでは、前記取付ブラケット(取付治具)11を、取付機構を介して前記ドア1の周縁側に取付けることにより、前記ドア1の周縁側に前記シール部材12を設置する構成であったが、前記取付ブラケットを、前記ドア枠2側に設置することにより、前記シール部材12を前記ドア枠2下部側に沿って設置する構成であっても良い。
【符号の説明】
【0055】
1 ドア
2 ドア枠
3 丁番(回動軸)
8 鍔部
11 シール部材
12 取付ブラケット
11A 上部軸側ブラケット
11B 下部軸側ブラケット
11C 上部操作側ブラケット
11D 下部操作側ブラケット
18 突出部
21 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10