(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】内視鏡及び内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/313 20060101AFI20241202BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20241202BHJP
A61B 1/05 20060101ALI20241202BHJP
A61B 1/01 20060101ALI20241202BHJP
A61B 1/018 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
A61B1/313 510
A61B1/00 715
A61B1/05
A61B1/01 513
A61B1/018 513
(21)【出願番号】P 2021513872
(86)(22)【出願日】2019-09-12
(86)【国際出願番号】 US2019050760
(87)【国際公開番号】W WO2020056098
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-09
(32)【優先日】2018-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518043036
【氏名又は名称】エンライトンビュー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】ENLIGHTENVUE LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス、アラン
(72)【発明者】
【氏名】バサドンナ、ジャコモ
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-525197(JP,A)
【文献】特開平06-181879(JP,A)
【文献】特開平02-001292(JP,A)
【文献】特開昭64-104238(JP,A)
【文献】特開2016-182302(JP,A)
【文献】特表2012-504019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 - 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡であって、
ハブと、
前記ハブから延びており、遠位先端部を備えているシャフトと、
前記遠位先端部内にあり、当該内視鏡の外部の視野を有している画像センサと、
前記遠位先端部内にあり、前記画像センサの前記視野内に光を放射するように構成された照明要素と、
拡張可能なカフであって、前記シャフトの少なくとも一部分上に配置され、収縮した状態と展開された状態との間を移行可能であり、前記展開された状態にあるときに、前記拡張可能なカフの外面が、前記収縮した状態にあるときと比べて、前記シャフトの長手軸からさらに遠くに位置し、前記拡張可能なカフが前記遠位先端部の拡張可能部分に接触
し、前記展開された状態にある間、前記拡張可能なカフが、前記シャフトを通るツールの通過に対応するため、長手方向軸に実質的に平行な方向に伸張するように構成されている、拡張可能なカフと、
前記シャフト内に配置され、前記ハブから前記遠位先端部まで延びる作業チャネルであって、前記作業チャネルの少なくとも膨張性の部分は、前記遠位先端部内に入れ子にされ、前記画像センサと前記遠位先端部の拡張可能部分との間に延び、前記膨張性の部分は、ツールが通過できるように、小さな外径の状態から拡張された状態まで広げることができ、それによって、
前記遠位先端部の前記拡張可能部分の少なくとも一部を拡張させ、
前記膨張性の部分はまた、前記ツールの通過後に前記拡張された状態から前記小さな外径の状態に戻るように変形できる作業チャネルと、
を備える内視鏡。
【請求項2】
前記内視鏡が特定の脈管において使用されるように構成され、前記拡張可能なカフは、展開されたときに、前記特定の脈管の内径とほぼ同じ外径を有する、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記拡張可能なカフは、展開されたときに、前記特定の脈管における血流を妨げることで、前記画像センサによる前記特定の脈管の内部の視覚化を可能にする、請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
ガイドワイヤを受け入れるようなサイズとされたガイドワイヤ管腔をさらに備える、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項5】
請求項1に記載の内視鏡と、
前記内視鏡の管腔を通るようなサイズとされたガイドワイヤと、
前記拡張可能なカフの内部空間に流体連通した膨張ポンプと、
を備える内視鏡システム。
【請求項6】
前記特定の脈管は、大腿動脈、橈骨動脈、肺静脈、冠状動脈、大動脈、および頸動脈からなる群から選択される、請求項3に記載の内視鏡。
【請求項7】
僧帽弁クリップをさらに備え、前記特定の脈管は、下大静脈および大動脈からなる群から選択される、請求項2に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記遠位先端部は、前記特定の脈管に経皮的にアクセスするように構成されている、請求項2に記載の内視鏡。
【請求項9】
拡張可能なカフは、半径方向に拡張可能なスリーブまたは突起である、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記拡張可能なカフは、前記ハブ上に配置された膨張ポートに流体連通する内部空間をさらに備える、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項11】
前記収縮した状態の前記拡張可能なカフは、流体またはガスが前記膨張ポートを通って前記内部空間に導入されると、前記展開された状態をとる、請求項
10に記載の内視鏡。
【請求項12】
前記拡張可能なカフは、前記シャフトの周りに周状に配置された2つ以上の部分を含む、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項13】
前記拡張可能なカフの内部空間は、複数の膨張チャネルを含み、前記複数の膨張チャネルのそれぞれは、互いに流体に関して分離されている、請求項1記載の内視鏡。
【請求項14】
電気焼灼または凍結療法を使用して肺静脈を切除するように構成されている、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項15】
前記拡張可能なカフは、少なくとも約2センチメートルの長手方向の長さを有する、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項16】
前記収縮した状態の前記内視鏡は、血管を通ってガイドワイヤに沿って進むように構成されている、請求項
1に記載の内視鏡。
【請求項17】
前記ガイドワイヤが前記ガイドワイヤ管腔内に配置されている間に前記展開された状態となるように構成された、請求項4に記載の内視鏡。
【請求項18】
前記ガイドワイヤ管腔の近位端が、前記ハブ上に配置されている、請求項
17に記載の内視鏡。
【請求項19】
内視鏡であって、
長手軸を有し、拡張可能な遠位先端部を備えているシャフトと、
前記遠位先端部内にあり、前記内視鏡の外部の視野を有している画像センサと、
拡張可能なカフであって、前記シャフトの少なくとも一部分上に配置され、収縮した状態と展開した状態との間で移行可能であり、展開した状態にあるときに、前記拡張可能なカフの外面が、前記収縮した状態にあるときよりも前記長手軸から遠くに延び、前記拡張可能なカフは前記遠位先端部の拡張可能部分に接触
し、前記展開した状態にある間、前記拡張可能なカフは、前記シャフトを通るツールの通過に対応するため、細長い軸に実質的に平行な方向に伸張するように構成される、拡張可能なカフと、
前記シャフトを通って延び、前記拡張可能なカフが展開される間に膨張させることによってツールが通過できるように
構成された、膨張性の部分を有する作業チャネルであって、前記膨張性の部分の膨張により、前記遠位先端部
の前記拡張可能
部分が拡張し、
それにより、前記拡張可能なカフが細長い軸に実質的に平行に伸張する一方で
、前記拡張可能なカフの外面が脈管壁との安定した接触を維持するように構成された
、膨張性の部分を有する作業チャネルと、を備える内視鏡。
【請求項20】
前記シャフトが、前記拡張可能部分に近接して配置された剛体部分をさらに備え、前記拡張可能なカフが、前記シャフトの前記拡張可能部分に少なくとも部分的に接触して前記シャフトに配置される、請求項
19に記載の内視鏡。
【請求項21】
前記カフは、摩擦力を増大させるように表面テクスチャを使用して前記脈管壁との安定した接触を維持するように構成されている、請求項
19に記載の内視鏡。
【請求項22】
前記カフが外側に展開されている間、前記脈管内の流体の流れを抑制するように、前記カフは前記脈管壁との安定した接触を維持するように構成されている、請求項
19に記載の内視鏡。
【請求項23】
前記カフは、前記膨張性の部分が膨張するときに、前記カフと前記脈管壁との間の接触のために実質的に不変のフットプリントを維持することによって、前記脈管壁との安定した接触を維持するように構成されている、請求項
19に記載の内視鏡。
【請求項24】
前記拡張可能なカフは、補強された部分としなやかな部分とを備え、前記補強された部分は前記しなやかな部分と比較して膨張性が低く、前記しなやかな部分は、前記脈管内で長手方向に拡張して、小さな外形の状態から膨張した状態への前記膨張性の部分の移動に対応するように構成されている、請求項
23に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年9月12日に出願された米国仮出願第62/730450号の利益を主張する2019年2月14日に出願された米国特許出願第16/276295号の利益を主張し、これらの出願のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本出願は、2016年8月3日に出願された米国を指定する国際出願PCT/US2016/045417号の全体を参照によって援用する。この国際出願は、2017年2月16日に国際公開第2017/027299号パンフレットとして英語で公開されている。この国際出願の優先権主張の基礎とされた米国特許出願、すなわち2015年8月7日に出願され、2017年2月9日に米国特許出願公開第2017/0035277号として公開された米国特許出願第14/821579号も、その全体が参照によって援用される。
【背景技術】
【0002】
例えばマイクロ内視鏡などの内視鏡を、画像化のために使用することができ、さらには/あるいは低侵襲の処置(例えば、外科手術)を実行するために使用することができる。内視鏡は、カテーテルに基づく装置を備え、カテーテルに基づく装置で基本的に構成され、あるいはカテーテルに基づく装置で構成されることができ、医師などの医療従事者が皮膚の小さな切開を通して患者の内部組織を視覚化および/または治療できるように設計されることができる。内視鏡は、光源およびカメラを含むことができる。一部の内視鏡(ファイバスコープまたは光ファイバ内視鏡と呼ばれることもある)は、視野を照らすように光を導く照明ファイバまたは光ガイドを含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、内視鏡および内視鏡システムに関する。より具体的には、本明細書のいくつかの実施形態は、半径方向に拡張可能な機構を備える方法および内視鏡システムに関する。半径方向に拡張可能な機構は、血管などの脈管の内側の流体の流れを抑制し、減少させ、あるいは防止することができ、脈管の内部の直接的な画像化を可能にする。いくつかの実施形態において、内視鏡システムは、(血液などの流体に妨げられることなく)血管内の内腔を直接的に視覚化するうえで有用である。いくつかの実施形態では、内視鏡システムは、整形外科処置に関して有用である。いくつかの実施形態において、内視鏡システムは、関節鏡処置に関して有用である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施形態は、ハブと、ハブから延びるシャフトとを備える内視鏡を含み、シャフトは、遠位先端部を有する。遠位先端部内に配置された画像センサが、内視鏡の外部の視野を有する。遠位先端部内の照明要素が、画像センサの視野内に光を放射する。シャフトの少なくとも一部分に配置された拡張可能なカフ(半径方向に拡張可能なカフなど)が、収縮した状態と展開された状態との間を移行可能である。拡張可能なカフの外面は、拡張可能なカフが展開された状態にあるとき、拡張可能なカフが収縮した状態にあるときと比べて、シャフトの長手軸からさらに遠くに位置する。いくつかの実施形態において、内視鏡は、特定の脈管(例えば、血管または心室)において使用されるように構成され、拡張可能なカフは、展開されたときに、シャフトとの組み合わせにおいて、脈管の断面の内部領域のすべてまたは実質的にすべてを占める。したがって、展開されると、拡張可能なカフおよびシャフトは、脈管内の流体の流れ(例えば、血流)を抑制し、減少させ、あるいは防止することができる。例えば、血流の防止は、血流を停止させることができる。いくつかの実施形態において、展開された拡張可能なカフは、シャフトとの組み合わせにおいて、脈管の断面の内部領域の少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または100%を占める。いくつかの実施形態において、内視鏡は、特定の脈管において使用されるように構成され、拡張可能なカフは、展開されたときに、この特定の脈管の内径と同じ、またはほぼ同じ外径を有する。いくつかの実施形態において、内視鏡は、特定の脈管において使用されるように構成され、拡張可能なカフは、展開されたときに、この特定の脈管の内径の20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、または1%の範囲内の外径を有する。いくつかの実施形態において、展開された拡張可能なカフは、特定の脈管の内面に半径方向外向きの力を及ぼすように構成される。いくつかの実施形態では、拡張可能なカフは、固定用スリーブである。いくつかの実施形態では、拡張可能なカフは、ハブに流体連通した管腔を含む。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフは、流体またはガスが本明細書に記載されるように膨張ポートを通って管腔へと導入されるとき、収縮した状態から展開された状態に移行する。いくつかの実施形態において、内視鏡は、特定の脈管において使用されるように構成され、拡張可能なカフは、展開されたときに、この特定の脈管の内径とほぼ同じ、または20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、または1%の範囲内の外径を有する。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフが展開されたとき、内視鏡は、特定の脈管内の流体の流れ(血流など)を抑制し、減少させ、あるいは防止するために充分な外径を有する。いくつかの実施形態において、内視鏡は、特定の脈管に経皮的にアクセスするように構成される。いくつかの実施形態において、内視鏡は、大腿動脈、橈骨動脈、冠状動脈、頸動脈、大動脈、および下大静脈などの肺静脈、末梢静脈、あるいは上記列挙のアイテムのうちの2つ以上からなる群から選択される特定の脈管において使用されるように構成される。したがって、いくつかの実施形態において、内視鏡は、大腿動脈、橈骨動脈、冠状動脈、頸動脈、大動脈、および下大静脈などの肺静脈、末梢静脈、あるいは上記列挙のアイテムのうちの2つ以上からなる群から選択される脈管の内面に、拡張可能なカフを介して半径方向外向きの力を作用させるように構成される。展開された拡張可能なカフは、脈管内の血流を一時的に抑制し、減少させ、あるいは防止して、脈管の内部の態様の直接的な視覚化を可能にすることができる。視覚化を、画像センサによって行うことができる。いくつかの実施形態では、内視鏡は、例えば糖尿病または脈管障害の患者において、脚、足、足首、腕、または手などの末梢血管の閉塞に経皮的にアクセスするように構成される。多くの場合、そのような閉塞した末梢血管は動脈であるが、静脈などの他の末梢血管での使用も想定される。このように、内視鏡を、末梢血管疾患を治療するための直接的な画像化および処置に使用することができる。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフ(内視鏡のシャフト上に配置される)は、展開されると、脈管内の流体の流れ(例えば、血管内の血流)を抑制し、減少させ、あるいは停止させるように構成される。したがって、内視鏡を、(例えば、血液などの流体に妨げられることなく)脈管の内部を直接的に画像化するように構成することができる。いくつかの実施形態において、ターゲット位置は末梢動脈を含み、脈管は末梢動脈である。いくつかの実施形態において、内視鏡は、例えば糖尿病患者において四肢の血管の閉塞を治療するために、大腿動脈を介して足にアクセスするように構成される。いくつかの実施形態において、内視鏡は、例えば脳内に器具を送り出し、あるいは画像化または外科的処置を実行するために、橈骨動脈を介して脳にアクセスするように構成される(そのような内視鏡は、橈骨動脈を介して脳に到達するための適切な長さを有すると考えられる)。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフは、シャフトの周りに周状に配置された2つ以上の部分を含む。いくつかの実施形態において、内視鏡は、シャフト内に配置され、かつハブから遠位先端部まで延びる作業チャネルをさらに備える。作業チャネルの少なくとも一部分は、シャフトの長手軸と拡張可能なカフの重なり部分との間に配置される。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフの重なり部分は、作業チャネルと拡張可能なカフの内部空間との間に配置された内面を含み、内面は外面よりも膨張性に乏しい。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフの内部空間は、複数の膨張チャネルを含み、複数の膨張チャネルのそれぞれは、互いに流体に関して分離されている。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフは、少なくとも約2センチメートル、例えば、約2、1.5、1、0.5、0.2、または0.1センチメートル未満の長手方向の長さを有する。いくつかの実施形態において、内視鏡は僧帽弁クリップを含み、内視鏡は下大静脈で使用されるように構成される。いくつかの実施形態において、内視鏡は僧帽弁クリップを含み、内視鏡は、僧帽弁クリップを心臓内に経皮的に展開するように構成される。いくつかの実施形態において、内視鏡は、例えば下大静脈を介する心臓への血管アクセスのためのものである。好都合なことに、心臓への経血管アクセス(上大静脈を介するなど)は、ターゲット組織の直接の視覚化を容易にすることができる。したがって、いくつかの実施形態によれば、内視鏡は、外径が下大静脈の内径とほぼ同じ、または20%の範囲内であり、したがって下大静脈における血流を抑制し、あるいは停止させるように、下大静脈において拡張可能なカフを展開するように構成される。いくつかの実施形態において、内視鏡は、下大静脈の内面に半径方向外向きの力を及ぼすように構成される。いくつかの実施形態において、展開されたカフは、内視鏡を下大静脈に固定する。いくつかの実施形態において、心臓に僧帽弁クリップを配置する方法は、心臓を通って内視鏡を前進させ、拡張可能なカフを下大静脈において(内視鏡が下大静脈に固定されるように)展開し、ターゲット組織を内視鏡の画像センサで視覚化し、僧帽弁クリップを展開することを含む。いくつかの実施形態においては、心臓へとアクセスして僧帽弁クリップを展開するために、内視鏡を、動脈を通り、さらには/あるいは(経血管ではなく)心尖部の穿孔を介して前進させることも、使用可能であると考えられる。いくつかの実施形態において、内視鏡は、電気焼灼または凍結療法を使用して肺静脈を切除するように構成される。いくつかの実施形態において、ターゲット組織は、血流がない状態で視覚化される。展開された状態の拡張可能なカフを備える内視鏡は、視覚化を可能にするために、血流を抑制し、減少させ、あるいは停止させることができる。いくつかの実施形態において、内視鏡はマイクロ内視鏡である。
【0005】
いくつかの実施形態は、脈管の内部(例えば、血管または心室)を画像化する方法を含む。この方法は、脈管内の内視鏡をターゲット位置へと前進させることを含むことができる。内視鏡は、本明細書に記載のとおりの拡張可能なカフを備える内視鏡であってよい。いくつかの実施形態において、内視鏡は、ハブと、ハブから延びており、遠位先端部を備えているシャフトと、遠位先端部内にあり、内視鏡の外部の視野を有している画像センサと、シャフトの少なくとも一部分上に配置された拡張可能なカフとを備え、拡張可能なカフは、収縮した状態と展開された状態との間を移行可能である。拡張可能なカフの外面は、拡張可能なカフが展開された状態にあるとき、拡張可能なカフが収縮した状態にあるときと比べて、シャフトの長手軸からさらに遠くに位置することができる。この方法は、拡張可能なカフとシャフトの少なくとも一部分とによって脈管の断面の内部領域のすべてまたは実質的にすべてが占められ、したがって脈管内の流体の流れが抑制され、減少し、あるいは防止されるように、内視鏡の拡張可能なカフを拡張させることを含むことができる。この方法は、流体の流れが抑制されている間に、ターゲット位置の脈管の内部の画像を収集することを含むことができ、画像は、画像センサによって感知される。いくつかの実施形態において、脈管内の流体の流れを抑制し、減少させ、あるいは防止することは、脈管の内部の視覚化を可能にするうえで効果的である。いくつかの実施形態において、展開された拡張可能なカフは、シャフトとの組み合わせにおいて、脈管の断面の内部領域の少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または100%を占める。いくつかの実施形態において、内視鏡は、特定の脈管において使用されるように構成され、拡張可能なカフは、拡張時に、この特定の脈管の内径と同じ、またはほぼ同じ外径を有する。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフを拡張させることは、拡張可能なカフの内部空間に流体を導入することを含む。いくつかの実施形態において、脈管は、大腿動脈、橈骨動脈、上大静脈、大動脈、および肺静脈からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ターゲット位置は末梢動脈を含み、脈管は末梢動脈である。いくつかの実施形態において、ターゲット位置は、心臓、脳、脚、足、足首、腕、または手からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、この方法は、内視鏡を脈管およびターゲット領域へと経皮的に前進させることを含む。いくつかの実施形態において、内視鏡は、作業チャネルをさらに備え、この方法は、内視鏡の作業チャネルから器具を展開することをさらに含む。作業チャネルの少なくとも一部分は、拡張可能なカフと内視鏡の長手軸との間を通過することができる。いくつかの実施形態において、器具を展開することは、拡張可能なカフの内面を作業チャネルの外面によって広げることを含む。いくつかの実施形態において、器具は、僧帽弁クリップを備える。脈管を、下大静脈および大動脈からなる群から選択することができる。いくつかの実施形態において、ターゲット位置は、心臓を含み、脈管は、下大静脈であり、この方法は、拡張可能なカフが下大静脈において拡張させられる間に心臓の組織を視覚化することをさらに含む。僧帽弁クリップを、この視覚化の後に心臓に適用することができる。いくつかの実施形態において、器具は、肺静脈の一部分を切除する。いくつかの実施形態において、内視鏡は、遠位先端部内に照明要素をさらに備える。照明要素を、画像センサの視野内に光を放射するように構成することができる。この方法は、照明要素でターゲット位置の脈管の内部を照明することをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、前進させることは、内視鏡をガイドワイヤに沿ってターゲット位置に向かって移動させることを含む。いくつかの実施形態において、前進させることは、ガイドワイヤに沿って内視鏡を停止させること、拡張可能なカフを拡張させる(これにより拡張させられた拡張可能なカフおよびシャフトで脈管内の血流を抑制し、減少させ、あるいは防止する)こと、血流を抑制し、減少させ、あるいは防止している間に、脈管内の視野を(画像センサによって)画像化することをさらに含む。この方法は、拡張可能なカフを収縮させること、およびガイドワイヤに沿ってターゲット位置へと向かう内視鏡の移動を再開することをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、脈管は、橈骨動脈または大腿動脈である。いくつかの実施形態において、脈管は、冠状動脈であり、ターゲット位置は、閉塞を有する冠状動脈の一部分を含む。いくつかの実施形態において、この方法は、画像化の前に、脈管の内部から流体および/または組織を除去することをさらに含む。例えば、流体および/または組織を、本明細書に記載されるように、内視鏡の1つ以上の作業チャネルを通って吸引することができる。例えば、脈管を画像化の前に洗い流すことができる。
【0006】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の内視鏡と、ガイドワイヤと、膨張ポンプとを備える内視鏡システムを含む。いくつかの実施形態において、内視鏡は、内視鏡の遠位先端部内に配置された画像センサを備える。いくつかの実施形態において、内視鏡は、遠位先端部内に配置された照明要素と、内視鏡の外面に配置された拡張可能なカフとをさらに備える。ガイドワイヤを、内視鏡の管腔を通過するサイズにすることができる。膨張ポンプを、拡張可能なカフの内部空間に流体連通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本明細書のいくつかの実施形態による内視鏡システムの概略図である。
【
図2A】本明細書のいくつかの実施形態による作業チャネルを備える内視鏡の遠位先端部の端面図である。
【
図2B】本明細書のいくつかの実施形態による作業チャネルを備える内視鏡の遠位先端部の断面側面図である。
【
図3A】本明細書のいくつかの実施形態による拡張可能なカフを備える内視鏡の遠位先端部の側面図である。
【
図3B】本明細書のいくつかの実施形態による拡張可能なカフを備える内視鏡の遠位先端部の側面図である。
【
図3C】本明細書のいくつかの実施形態による拡張可能なカフを備える内視鏡の遠位先端部の側面図である。
【
図3D】本明細書のいくつかの実施形態による拡張可能なカフを備える内視鏡の遠位先端部の側面図である。
【
図4A】本明細書のいくつかの実施形態による拡張可能なカフを備える内視鏡の遠位先端部の端面図である。
【
図4B】本明細書のいくつかの実施形態による拡張可能なカフを備える内視鏡の遠位先端部の端面図である。
【
図4C】本明細書のいくつかの実施形態による拡張可能なカフを備える内視鏡の遠位先端部の端面図である。
【
図4D】本明細書のいくつかの実施形態による拡張可能なカフを備える内視鏡の遠位先端部の端面図である。
【
図4E】本明細書のいくつかの実施形態による拡張可能なカフを備える内視鏡の遠位先端部の端面図である。
【
図5】本明細書のいくつかの実施形態による作業チャネルの遠位端を過ぎて延びるように構成されたツールを備える内視鏡システムの概略図である。
【
図6】本明細書のいくつかの実施形態による拡張可能なカフを備える内視鏡の遠位先端部の部分側面図である。
【
図7】本明細書のいくつかの実施形態による心臓の三尖弁について医療処置を実行するための本開示の内視鏡の使用の概略図である。
【
図8A】本明細書のいくつかの実施形態による脈管について医療画像化処置を実行するための本開示の内視鏡の使用の概略図である。
【
図8B】本明細書のいくつかの実施形態による脈管について医療画像化処置を実行するための本開示の内視鏡の使用の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
内視鏡(マイクロ内視鏡など)、内視鏡システム、およびそれらを使用する方法が、本明細書において説明される。従来から、脈管構造の内部は、例えばX線または超音波によって間接的に視覚化されてきた。脈管における流体(血管内の血液など)の存在が、これまでのところ、脈管構造の内部の直接的な画像化を制限しており、したがって脈管内で実行できる外科的処置の利用可能性も制限される可能性がある。本明細書のいくつかの実施形態において、脈管(血管など)の内部の直接的な画像化、ならびに/あるいは脈管内での外科的処置および/または脈管に内視鏡を通すことを必要とする処置の実行に有用な内視鏡および内視鏡システムが説明される。いくつかの実施形態において、内視鏡および/または内視鏡を使用する方法が説明される。いくつかの実施形態において、内視鏡は、シャフトを備え、シャフトの遠位先端部内に画像センサを有する。シャフトは、シャフトの外面に配置された拡張可能なカフを有することができる。拡張可能なカフを、収縮した状態から展開された状態に移行させることができる。展開された状態の拡張可能なカフにより、拡張可能なカフおよびシャフトが、脈管の断面の内部領域のすべてまたは実質的にすべてを占めることができ、したがって脈管内の流体(例えば、血液)の流れを抑制または防止することができる。流体(例えば、血液)の流れを抑制し、減少させ、あるいは防止することにより、拡張可能なカフの(流体の流れに関して)下流の流体を減少させ、あるいは排除することができ、したがって流体に妨げられることがなく画像センサによる脈管の内部の直接的な視覚化が可能になる。画像化または他の医療処置の完了後に、拡張可能なカフを再び収縮した状態に移行させることができる。
[内視鏡および内視鏡システム]
【0009】
いくつかの実施形態の方法および内視鏡およびシステムにおいて、内視鏡は、シャフトと、シャフトの少なくとも一部分の周りに配置された拡張可能なカフとを備える。拡張可能なカフの外面は、拡張可能なカフが展開された状態にあるとき、拡張可能なカフが収縮した状態にあるときと比べて、シャフトの長手軸からさらに遠くに位置することができる。拡張可能なカフを、内視鏡が脈管(血管など)の内部にあるときに展開することができる。シャフトおよび展開された拡張可能なカフは、脈管の断面の内部領域のすべてまたは実質的にすべてを占めることができる。したがって、展開された状態の拡張可能なカフを有するマイクロ内視鏡は、脈管の内部の流体の流れ(血流など)を抑制し、減少させ、あるいは停止させることができ、したがって、脈管の内部の視覚化および/または脈管における外科的処置を可能にすることができると考えられる。本明細書において使用されるとき、内視鏡またはその一部分(例えば、シャフト部分および展開された拡張可能なカフ)が脈管の断面の内部領域の「実質的にすべて」を占めるとは、脈管の占められた内部領域の(流体の流れに関して)下流において流体に妨げられることなく脈管の内部の視覚的画像化が可能であるように、脈管の断面の内部領域を、断面を通る流体の流れ(血流など)を抑制し、減少させ、あるいは防止するために効果的に占めることを指す。脈管の断面の内部のすべてまたは実質的にすべてを、流体の流れを減少させ、抑制し、あるいは防止するように、脈管の長手軸における1つの断面または2つ以上の断面において占めることができることに、留意されたい。いくつかの実施形態において、脈管の断面の内部領域の少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または100%が占められるとき、脈管の断面の内部領域の実質的にすべてが占められる。「拡張可能なカフ」という用語が、簡潔さのために本明細書において使用されているが、拡張可能なカフは、本明細書において「半径方向に拡張可能なカフ」と呼ばれることもある。本明細書に記載の拡張可能なカフは、脈管の内部に半径方向外向きの力を及ぼすことができるため、拡張可能なカフは、「拡張可能なアンカー」と呼ばれることもある。しかしながら、本開示に鑑み、拡張可能なカフまたは拡張可能なアンカーは、必ずしも脈管の長さに沿って軸方向について固定されたままでなくても、流体(血液など)の流れを減少させ、抑制し、あるいは防止することができることを、理解できるであろう。したがって、明示的に指定されない限り、拡張可能なカフまたは拡張可能なアンカーが展開された状態にあっても、本明細書に記載の拡張可能なカフまたは拡張可能なアンカーは、必ずしも脈管の長手軸上で静止しているわけではないことを、理解できるであろう。いくつかの実施形態において、展開された拡張可能なカフは、脈管の内面に半径方向外向きの力を及ぼす。いくつかの実施形態において、展開された拡張可能なカフは、画像化および/または処置の最中に内視鏡を脈管の内側に固定する役に立つ。いくつかの実施形態において、内視鏡は、本明細書に記載のとおりの拡張可能な遠位先端部を備え、これにより、内視鏡は、四肢または脳の脈管構造などの小さな脈管においてさえも通過して前進し、画像化し、さらには/あるいは外科的処置を実行するための充分に小さい直径を有することができる。本明細書において使用されるとき、とくに明記されない限り、「脈管」は、例えば血管または心室などの身体の脈管を指す。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の内視鏡または内視鏡システムは、医療用である。
【0010】
いくつかの実施形態による内視鏡または内視鏡システムは、ハブと、ハブから延び、遠位先端部を備えているシャフトと、収縮した状態と展開された状態との間を移行可能である1つ以上の拡張可能なカフ(半径方向に拡張可能なスリーブまたは突起など)とを備え、あるいはこれらで基本的に構成され、あるいはこれらからなる内視鏡を含むことができる。拡張可能なカフを展開された状態にすることが、本明細書において、拡張可能なカフを「展開する」または拡張可能なカフを「拡張させる」と呼ばれることもあることに留意されたい。拡張可能なカフの外面は、拡張可能なカフが展開された状態にあるとき、拡張可能なカフが収縮した状態にあるときと比べて、シャフトの長手軸からさらに遠くに位置することができる。本明細書で論じられるように、展開された状態の拡張可能なカフおよびシャフトは、脈管(血管または心腔など)の断面の内部領域のすべてまたは実質的にすべて、例えば、脈管の断面の内部領域の少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または100%を占めることができる。したがって、展開された拡張可能なカフは、脈管内の流体の流れ(血流など)を抑制し、減少させ、あるいは防止し、したがって、脈管の内部の視覚化を可能にすることができると考えられる。本明細書のいくつかの実施形態の方法、内視鏡、およびシステムによれば、収縮した状態の拡張可能なカフは、脈管の長手軸に沿った内視鏡シャフトの移動を可能にする。いくつかの実施形態において、内視鏡は、遠位先端部内に照明要素をさらに備える。照明要素を、画像センサの視野を照明するように配置することができる。いくつかの実施形態において、内視鏡は、遠位先端部内に配置された画像センサおよび照明要素をさらに備える。したがって、拡張可能なカフが展開されると、マイクロ内視鏡(および、とくには拡張可能なカフおよびシャフト)は、脈管内の流体の流れ(血流など)を抑制し、減少させ、あるいは防止し、したがって、画像センサによる脈管の内部の直接的な画像化を可能にする。例えば、脈管を通る流体の流れを抑制し、減少させ、あるいは防止する拡張可能なカフおよび内視鏡は、拡張可能なカフの(流体の流れに関して)下流の流体を抑制し、減少させ、あるいは排除することができ、したがって脈管の内部を流体に妨げられることなく内視鏡の遠位先端部の画像センサによって直接的に画像化することができる。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフは、展開されると、脈管(血管など)の内部に対して半径方向の力を及ぼす。いくつかの実施形態において、半径方向の力は、内視鏡を所定の位置に保持する。内視鏡を所定の位置に保持することにより、局所的な画像化を容易にすることができると考えられる。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフは、展開されたときに、内視鏡を周囲の組織に対して固定し、あるいは安定化させ、これが、内視鏡が固定されている間の内視鏡による画像化をさらに容易にすることができる。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフは、拡張可能なカフが展開された状態にあるとき、遠位端が脈管に沿って軸方向に移動することがないように、内視鏡システムの遠位端を、遠位端を取り囲む脈管に対して長手方向について固定して保持する。しかしながら、いくつかの実施形態において、展開された状態の拡張可能なカフは、内視鏡の遠位端が、遠位端を取り囲む脈管の軸方向に沿って移動することを可能にしてもよい。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフは、拡張可能なカフが展開された状態にあるとき、内視鏡の遠位先端部を周囲の組織に対して安定化させ、あるいは固定するように構成される。例えば、いくつかの実施形態においては、拡張可能なカフを、拡張可能なカフの外面を内視鏡システムを取り囲む血管または心腔の内腔表面(「内」面または「内側」表面とも呼ばれる)に押し付けるように、展開された状態へと移行させることができる。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフは、展開時に、脈管または心腔の直径の約20%の範囲内、例えば20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、または1%の範囲内の直径を有する。拡張可能なカフを、内視鏡システムを通過させる脈管(血管または心腔など)の内面に半径方向外向きの力を及ぼすように展開することができる。拡張可能なカフは、拡張可能なカフが展開される周囲の組織への損傷を抑制、軽減、または回避するための特徴を含むことができる。内視鏡を、拡張可能なカフが展開されたときに周囲の組織への損傷を抑制、軽減、または回避するように配置することができる。内視鏡は、遠位先端部内に画像センサをさらに備えることができる。
【0011】
いくつかの実施形態においては、内視鏡システムが説明される。内視鏡システムは、本明細書に記載のとおりの内視鏡を備え、あるいはそのような内視鏡で基本的に構成され、あるいはそのような内視鏡からなってよい。本明細書において、「内視鏡」または「マイクロ内視鏡」という用語(この大元の用語の変形を含む)が本明細書において言及される場合、内視鏡を備え、内視鏡で基本的に構成され、あるいは内視鏡からなる内視鏡システムも、明確に想定されていると理解される。さらに、「内視鏡システム」(この大元の用語の変形を含む)が本明細書において言及される場合、マイクロ内視鏡などの内視鏡を備え、そのような内視鏡からなり、あるいはそのような内視鏡で基本的に構成される内視鏡システムが、明確に想定されていると理解される。単一の内視鏡のみを備え、単一の内視鏡のみで基本的に構成され、あるいは単一の内視鏡のみからなる内視鏡システムが、明確に想定されているが、とくに明示的に述べられない限り、本明細書に記載される内視鏡システムは、必ずしも単一の内視鏡のみに限定されない。いくつかの実施形態において、内視鏡システムは、ガイドワイヤをさらに備える。いくつかの実施形態において、内視鏡システムは、レーザなどの照明源をさらに備える。照明源は、本明細書に記載の照明要素に光学的に連通でき、あるいは本明細書に記載の照明要素に光学的に連通するように構成されてよい。いくつかの実施形態において、内視鏡システムは、膨張ポンプをさらに備える。膨張ポンプは、拡張可能なカフの内部空間に流体連通していてよく、あるいは流体連通するように構成されてよい。
【0012】
本開示に鑑み、関心対象の脈管のサイズに照らして、展開された拡張可能なカフおよびシャフトによって血管の断面の内部領域のすべてまたは実質的にすべてを占めることができるように、内視鏡および拡張可能なカフの適切な規模を選択できることを、理解できるであろう。したがって、より大きな脈管(1cmを超える内径を有する可能性がある肺静脈など)の場合、より大きな直径の内視鏡シャフトおよび展開された拡張可能なカフが、内視鏡によって脈管の断面の内部領域のすべてまたは実質的にすべてを占めるために好適であるかもしれない。したがって、本明細書に記載の「内視鏡」は、必ずしも直径が1cm未満の内視鏡に限定されない。むしろ、本明細書の内視鏡(マイクロ内視鏡など)、内視鏡システム、および方法によれば、脈管の断面の内部領域のすべてまたは実質的にすべてを占めるうえで充分な適切な内視鏡および拡張可能なカフならびにシャフトの規模が想定される。いくつかの実施形態において、内視鏡は、脈管に半径方向外向きの力を及ぼす。
【0013】
内視鏡は、作業チャネルを含むことができ、作業チャネルは、ツールを作業チャネルへと挿入できるようなサイズとされる。作業チャネルを、作業チャネルに挿入されたツールを作業チャネルに沿って前進させて内視鏡の遠位端に到達させることができるように構成することができる。いくつかの実施形態において、作業チャネルは、作業チャネルの遠位端に開口部を有することができ、したがってツールの遠位部分を内視鏡の遠位端から出すことができる。作業チャネルの遠位部分は、膨張可能であってよく、シャフトの外側シースのうちの長手方向において重なり合う部分も、変形可能であってよく、作業チャネル内のツールが内視鏡の管腔内の要素(例えば、画像センサ)を過ぎて遠位側へと移動するときに内視鏡の外形を拡張させることができる。いくつかの実施形態において、内視鏡がツールを含むが、作業チャネルを持たないことも考えられる。一例として、ツールを、作業チャネルを通過することなく、シャフトに沿って長手方向に、画像センサを通過して内視鏡の遠位端まで前進させることができる。
【0014】
いくつかの実施形態の内視鏡、システム、および方法において、拡張可能なカフは、しなやかな部分および補強された部分を含む。しなやかな部分は、補強された部分よりも膨張しやすくなってよい。拡張可能なカフを、拡張可能なカフが展開されたときに強化された部分が周囲の組織に接触し押し付けられるように構成することができる。いくつかの構成において、しなやかな部分を、拡張可能なカフが展開されたときに周囲の組織に接触することがないように配置することができる。いくつかの実施形態において、しなやかな部分は、例えば周囲の組織の穿刺、裂傷、または擦過傷を回避または阻止するために、補強された部分と周囲の組織との間の接触領域が安定化されるように、補強された部分と周囲の組織との間の接触圧力の増加に対応すべくさらに膨張することができる。いくつかの実施形態において、しなやかな部分は、接触圧力の増加に対応すべく膨張することにより、補強された部分と脈管の内面との安定した接触領域を維持し、補強された部分が脈管の内皮のさらなる領域を圧迫して損傷させることを軽減または回避する。したがって、補強された部分と脈管の壁の内面との接触領域は、拡張可能なカフへの圧力が変動しても比較的変化しないままであることができ、したがって脈管の内皮の損傷を回避または軽減することができると考えられる。拡張可能なカフと周囲の組織との間の接触領域を安定させることにより、拡張可能なカフが(内視鏡を周囲の組織に対して固定し、あるいは安定にするために)展開されたときに周囲の組織の損傷を軽減または回避することができる。脈管内で膨張したバルーンを移動させるように構成され得るバルーン血管形成システムなどのシステムとは対照的に、本明細書のいくつかの実施形態の内視鏡の拡張可能なカフが、内視鏡のシャフトを脈管内の或る位置において固定し、さらには/あるいは安定させるように構成されることに留意されたい。しかしながら、本明細書に開示されるように、いくつかの実施形態において、内視鏡および内視鏡システムは、血管形成術、電気焼灼、凍結療法、神経切除、血栓の除去、装置の埋め込み、などの1つ以上の医療処置に合わせて構成された特徴を含むことができる。したがって、いくつかの実施形態において、内視鏡は、血管形成術に合わせて構成されるわけではない。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフは、血管形成術用バルーンを備えず、血管形成術用バルーンで基本的に構成されず、あるいは血管形成術用バルーンで構成されない。いくつかの実施形態の拡張可能なカフは、脈管を通って移動するのではなく、内視鏡を脈管内に固定するように構成され得る。例えば、拡張可能なカフを、脈管内で画像化が実行されるとき、および/またはツールが作業チャネルを通って長手方向に画像センサを過ぎて移動するときに、照明要素および画像センサを安定させ、あるいは固定するように配置することができる。さらに、本明細書のいくつかの実施形態の内視鏡の拡張可能なカフは、展開された状態にあるときに血管組織を安定化させることによって、この組織への影響を最小限にすることができ、したがって、ひとたび展開が完了すると組織への生理学的影響が最小限または皆無であるように構成される。したがって、いくつかの実施形態において、拡張可能なカフは、展開およびその後の脈管または心腔からの除去の後に、脈管または心腔に感知できるほどの生理学的変化を引き起こすことがない。いくつかの実施形態において、内視鏡システムは、脈管に経皮的にアクセスするように構成される。
【0015】
図1が、いくつかの実施形態による一般的な内視鏡100を示している。内視鏡100は、患者の体外に留まるハブ110を含むことができる。ハブ110を、さらに詳しくは後述されるように、オペレータが内視鏡100を操作するために使用することができる。細長い柔軟なシャフト120が、このハブ110から延びていてよい。シャフト120を、患者の体内に挿入することができる。シャフト120は、ハブ110を内視鏡100の遠位先端部130に接続することができる。シャフト120は、内視鏡100の遠位先端部130に開口部132を有することができる。シャフト120は、中空であってよく、あるいは1つ以上の管腔を含むことができる。開口部132は、シャフト120の内部空間(または、シャフト内の管腔の内部空間)に外部環境との連通のための経路を提供することができる。例えば、開口部132は、シャフト120が患者の皮膚の切開を通って挿入されたときに、シャフト120の内部空間を患者の内部空洞に連通させることを可能にすることができる。開口部132は、例えば本明細書に記載のとおりの遠位先端部の画像センサ(例えば、
図2の遠位先端部130および画像センサ140を参照)による脈管または心腔の内部の直接画像化のために、シャフト120が患者に血管を通って挿入されたときに、シャフト120の内部空間を患者の脈管(例えば、血管)または心腔の内部空間に連通させることを可能にすることができる。
【0016】
ハブ110は、1つ以上のポート112を含むことができる。以下でさらに詳しく説明されるとおり、アイテム(例えば、ツール、フラッシング流体)を、ポート112の近位開口部114へと挿入し、シャフト120の内部に沿って前進させ、シャフト120の遠位端130の開口部132を通過させることができる。ハブ110を、ガイドワイヤ10を受け入れるように構成することができる。例えば、図示の実施形態において、内視鏡100は、オーバーザワイヤの構成にてガイドワイヤ10に取り付けられる。内視鏡100を、素早く交換できる構成にてガイドワイヤ10に取り付けることができる。いくつかの実施形態において、収縮した状態の内視鏡100は、血管を通ってガイドワイヤ10に沿って進むように構成される。いくつかの実施形態において、内視鏡100は、
図1に示されるように、ガイドワイヤ10を受け入れるようなサイズとされたガイドワイヤ管腔を含むことができる。いくつかの実施形態においては、内視鏡100を、ガイドワイヤ10がガイドワイヤ管腔内に配置されている間に、展開された状態となるように構成することができる。
図1に示されるように、ガイドワイヤ管腔の近位端を、ハブ110上に配置することができる。内視鏡100は、データ通信線12および/または電力線14を含むことができる。ハブ110を、データ通信線12および/または電力線14をハブ110の外へと延ばすことができるように構成することができる。データ通信線12は、データ(例えば、画像センサデータ)を電子デバイス(例えば、表示画面)へと送ることができる。電力線14は、ハブ112内または内視鏡100の他の場所に収容された電子回路に電力を供給することができる。
【0017】
シャフト120は、本明細書に記載されるように、半径方向に拡張可能なスリーブなどの拡張可能なカフ180を含むことができる。拡張可能なカフ180は、収縮した状態と展開された状態との間で可動であってよい。シャフト120の長手軸から拡張可能なカフ180の外周までの距離は、拡張可能なカフ180が展開された状態にあるとき、拡張可能なカフ180が収縮した状態にあるときよりも大きくなってよい。拡張可能なカフ180を、拡張可能なカフ180の内部空間を膨張させることによって、収縮した状態から展開された状態へと移行させることができる。例えば、内視鏡100は、
図1に示されるように、ハブ110から拡張可能なカフ180の内部空間まで延びる膨張チャネル13を有することができる。流体(例えば、生理食塩水)および/またはガスを、ハブ110から膨張チャネル13を通って拡張可能なカフ180の内部空間へともたらして、拡張可能なカフ180の内部空間を満たすことができる。拡張可能なカフ180を、拡張可能なカフ180の内部空間内の流体を増やし、あるいは加圧することによって、収縮した状態から展開された状態に移行させることができる。拡張可能なカフ180を、拡張可能なカフ180の内部空間内の流体を除去し、あるいは減圧することによって、展開された状態から収縮した状態に移行させることができる。拡張可能なカフが展開されると、内視鏡は、指定された脈管の断面の内部領域のすべてまたは実質的にすべてを占めることができる。したがって、いくつかの実施形態において、拡張可能なカフが展開されると、内視鏡は、脈管内の流体の流れ(血流など)を妨げ、減少させ、あるいは停止させることができ、したがって、脈管の内部の視覚化および/または脈管における外科的処置を可能にすることができる。
【0018】
図示の実施形態において、内視鏡100は、1つの拡張可能なカフ180に流体を流すことができるように流体接続された1つの流路13を有する。流路13は、拡張可能なカフ180を膨張させるためのものであってよい。本明細書に開示されるように、内視鏡100は、1つまたは複数の拡張可能なカフ180と、1つまたは複数の流路13とを含むことができる。1つまたは複数の拡張可能なカフ180を、1つまたは複数の流路13に、流体を流すことができるように流体接続することができる。流路13を、1つまたは複数の拡張可能なカフ180に流体を流すことができるように接続することができる。拡張可能なカフ180を、1つまたは複数の流路13に、流体を流すことができるように流体接続することができる。
【0019】
シャフト120は、拡張可能部分122を含むことができる。拡張可能部分122を、可逆的に拡張するように構成することができる。拡張可能部分122を、大きな外形を有するアイテムをシャフト120の拡張可能部分122に位置する内視鏡100の他の構成要素を過ぎて遠位方向へと押すことができるよう、半径方向に拡張するように構成することができる。例えば、拡張可能部分122は、大きなサイズの外形を占めるカメラレンズを取り囲むことができる。拡張可能部分122は、ツールを、カメラレンズを過ぎて遠位方向に進めることができるように拡張することができる。
【0020】
シャフト120は、剛体部分124を含むことができる。剛体部分124を、可逆的に拡張することがないように構成することができる。剛体部分124は、大きな外形のアイテムを開口部132に向かって遠位方向に前進可能にするための拡張が必要でないシャフト120の部分に、長手方向において一致することができる。例えば、剛体部分124は、光ファイバ、電気コード、または他の小さな外形のアイテムであって、シャフト120の半径方向の拡張を必要とせずにツールをそのような小さな外形のアイテムを過ぎて前進させることが可能であるアイテムを、取り囲むことができる。
【0021】
拡張可能なカフ180を、完全に拡張可能部分122内にあるように配置することができる。いくつかの構成においては、拡張可能なカフ180を、完全に剛体部分124内に配置することができる。いくつかの実施形態においては、拡張可能なカフ180を、
図1に示されるように、拡張可能なカフ180の第1の部分が拡張可能部分122上に配置され、拡張可能なカフ180の第2の部分が剛体部分124上に配置されるように、シャフト120上に(一体的に、または別個の部品にて)配置することができる。
【0022】
いくつかの実施形態において、患者へと挿入されるシャフト120の遠位部分は、約2mmの外径を有することができる。いくつかの実施形態において、シャフトの外径は、約0.5mm、0.6mm、0.8mm、1.0mm、1.5mm、2.0mm、3.0mm、4.0mm、または5.0mm(これら列挙の値のうちの任意の2つの間の範囲を含む)である。いくつかの構成において、シャフト120の外径は、0.5mm~5.0mm、1.0mm~4.0mm、2.0mm~3.0mm、または1.5mm~2.5mmの範囲の間である。いくつかの実施形態においては、例えば、より大きな脈管が対象である場合に、シャフトの直径の外側は、例えば、最大約10mm、20mm、50mm、100mm、200mm、500mm、1000mm、1500mm、または2000mm(例えば10~2000mm、10~1000mm、10~500mm、100~2000mm、100~1000mm、または100~500mmなど、上記列挙の値のうちの任意の2つの間の範囲を含む)など、より大きくなる。
【0023】
図2Aが、内視鏡100の遠位先端部130の例示的な実施形態(ただし、これに限られるわけではない)の端面図を示している。シャフト120の拡張可能部分122は、画像センサ140を取り囲むことができる。拡張可能なカフ180を、シャフト120の外面に配置することができる。もう1つの作業チャネル150を、シャフト120の管腔内に配置することができる。作業チャネル150は、ツールなどのアイテムを作業チャネル150を通って内視鏡100の遠位先端部130に到達させることができるようなサイズであってよい。図示の実施形態において、遠位先端部130は、画像センサ140の半径方向外側に配置された2つの作業チャネル150を含む。いくつかの実施形態において、遠位先端部130は、ただ1つの作業チャネル150を含む。いくつかの構成において、内視鏡100は、3つ以上の作業チャネル150を含む。後述されるように、作業チャネル150は、作業チャネル150の管腔の断面積を増加させることができるように可逆的に変形することができる膨張性の部分を含むことができる。作業チャネル150は、1つ以上のツールを内視鏡100から展開して、画像化、生検、血管形成術、電気焼灼、凍結療法、神経切除、血栓の除去、動脈瘤の補強、装置の埋め込み、などの医療処置を実行することを可能にすることができる。上述したように、内視鏡100は、ガイドワイヤ管腔を含むことができる。いくつかの実施形態において、作業チャネル150は、ガイドワイヤ管腔を含む。いくつかの実施形態において、ガイドワイヤ管腔は、作業チャネル150とは別の別個の(例えば、間隔を空けて配置された)管腔である。
【0024】
さらに
図2Aを参照すると、遠位先端部130は、照明ファイバ160を含むことができる。図示の実施形態において、遠位先端部130は、3つの照明ファイバ160を含む。いくつかの実施形態において、遠位先端部130は、ただ1つの照明ファイバ160を含む。いくつかの構成において、内視鏡100は、2つ、3つ、または4つ以上の照明ファイバ160を含む。随意により、照明ファイバ160は、レーザ光源に光学的に連通することができる。少なくとも1つの実施形態において、内視鏡100は、ただ1つの照明ファイバ160を含むことができ、その単一の照明ファイバ160が、レーザ光源に結合することにより、画像センサ140による画像化のために組織空間を適切に照明するための充分な光を、単一の照明ファイバ160によってもたらすことができる。
【0025】
図2Bが、遠位先端部130の別の実施形態の断面側面図を示している。拡張可能なカフ180を、流体を流すことができるように膨張チャネル13に流体接続することができる。拡張可能なカフ180は、収縮した状態(
図2Bに実線で示されている)から展開された状態(
図2Bに破線で示されている)へと移行することができる。拡張可能なカフ180が展開された状態にあるとき、内視鏡100は、脈管16などの周囲の組織の断面の内部領域のすべてまたは実質的にすべてを占めることができる。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフ180が展開された状態にあるとき、脈管16内の流体の流れ(例えば、血流)が妨げられ、減少させられ、あるいは防止され、したがって、脈管の内部の視覚化および/または脈管における外科的処置が可能になる。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフ180が展開されると、マイクロ内視鏡は、脈管の断面の内部領域の少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または100%を占める。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフ180は、拡張可能なカフ180が展開された状態にあるときに、周囲の組織16を押す。拡張可能なカフ180は、拡張可能なカフ180が展開された状態にあるとき、内視鏡100の少なくとも一部分を周囲の組織16に対して安定化させ、あるいは固定することができる。いくつかの構成において、拡張可能なカフ180は、拡張可能なカフ180が展開された状態にあるとき、遠位先端部130を周囲の組織16に対して安定化させ、あるいは固定するように構成される。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフ180は、拡張可能なカフ180が展開された(例えば、半径方向に拡張された)状態にあるときに、遠位先端部130を周囲の組織に対して長手方向について固定して保持するように構成される。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフ180は、拡張可能なカフ180が展開された(例えば、半径方向に拡張された)状態にあるときに、遠位先端部130が周囲の脈管の軸方向に移動することを許容する。
【0026】
拡張可能なカフ180は、展開された状態において、拡張可能なカフ180が周囲の血管の内面に半径方向外向きの力を及ぼすことができるように、周囲の血管の内径よりもわずかに大きい外径を有することができる。拡張可能なカフ180を、肺動脈、肺静脈、末梢動脈、末梢静脈、橈骨動脈、下大静脈、上大静脈、腸骨静脈、腸骨動脈、大腿静脈、大腿動脈、大動脈、頸動脈、冠状動脈、または上記列挙の脈管のうちの2つ以上からなる群から選択される脈管に半径方向外向きの力を及ぼすようなサイズにすることができる。拡張可能なカフ180を、展開された状態において、拡張可能なカフ180の外面が、展開後半径だけ内視鏡100の長手軸から離れて位置するようなサイズにすることができる。内視鏡100は、0.5mm、1.0mm、1.5mm、2.0mm、3.0mm、5.0mm、10mm、および上記列挙の値の間の他の値の展開後半径を有することができる。いくつかの実施形態において、内視鏡100は、内視鏡を固定すべき特定の脈管またはその一部分の半径の±20%、±15%、±10%、±5%、±4%、±3%、±2%、または±1%以内の展開後半径を有する。いくつかの実施形態において、内視鏡100は、特定の脈管(血管など)内の流体の流れ(血流など)を妨げ、減少させ、あるいは停止させるように構成された展開後半径を有する。
【0027】
遠位先端部130は、画像センサ140の周りに作業チャネル150を導くように構成された傾斜部170を含むことができる。傾斜部170を、作業チャネル150内を画像センサ140を過ぎて前進させられるアイテム(例えば、ツール)が、画像センサ140に衝突したり、画像センサ140の向きを変えたりすることがないように配置することができる。傾斜部170は、作業チャネル150内のアイテムが画像センサ140を過ぎて前進するときに、画像センサ140が適切な整列から外れてしまうことがないように保護することができる。図示の実施形態において、遠位先端部130は、ただ1つの作業チャネル150を有する。しかしながら、内視鏡100は、さらなる作業チャネル150と、センサ140を整列から外れることがないように保護するさらなる傾斜部170とを含むことができる。いくつかの構成においては、傾斜部170をシャフト120の剛体部分124に固定することができる。例えば、傾斜部170は、支柱(図示せず)によって剛体部分124に接続されたピン172を含むことができる。
【0028】
説明したとおり、作業チャネル150は、シャフト120の拡張可能部分122に長手方向において一致する膨張性の部分152を含むことができる。アイテム(例えば、ツール)が作業チャネル150に沿って遠位方向に進められるとき、傾斜部170は、アイテムを画像センサ140から遠ざけることによって、画像センサ140の整列を保護する。アイテムが画像センサ140を通過するとき、作業チャネル150の膨張性の部分152は、アイテムが画像センサ140の位置を乱すことなく画像センサ140の傍らを通過できるように、半径方向に広がる。作業チャネル150の膨張性の部分152が半径方向に広がることで、画像センサ140の傍らを通過するアイテムの外形に対応するように、シャフト120の拡張可能部分122を半径方向に拡張させることができる。ひとたび作業チャネル150内のアイテムがもはや長手方向において画像センサ140に一致しなくなると、膨張性の部分152および拡張可能部分122は、小さな外形の状態に戻るように変形することができる。
【0029】
図2Bに示されるように、拡張可能なカフ180は、長手方向において、拡張可能部分122の少なくとも一部分に重なることができる。いくつかの構成において、拡張可能なカフ180は、長手方向において、作業チャネル150の膨張性の部分152の少なくとも一部分に重なることができる。本明細書で論じられるように、拡張可能なカフ180が展開された状態にあるとき、脈管16などの周囲の組織の断面の内部領域のすべてまたは実質的にすべてが占められ、したがって脈管16内の流体の流れ(血流など)を抑制し、減少させ、あるいは防止することができる。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフ180を、アイテム(例えば、ツール)が画像センサ140の傍らを通過して遠位先端部130から出るときに、脈管16などの周囲の組織に対する内視鏡100の位置を維持するように配置することができる。拡張可能なカフ180は、アイテムが画像センサ140の傍らを通過して遠位先端部130から出るときに、脈管16などの周囲の組織の損傷を最小化または低減することができる。いくつかの構成においては、拡張可能なカフ180を、画像センサ140が局所画像化を実行している間、脈管16などの周囲の組織に対する内視鏡100の位置を維持するように配置することができる。
【0030】
本明細書のいくつかの実施形態による適切な内視鏡および内視鏡の特徴を含む内視鏡についてのさらなる情報を、PCT国際公開第2017/027299号および米国特許出願公開第2017/0035277号において見つけることができ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態の内視鏡、システム、および方法において、内視鏡は、PCT国際公開第2017/027299号および/または米国特許出願公開第2017/0035277号に記載の内視鏡またはマイクロ内視鏡を備え、そのような内視鏡またはマイクロ内視鏡で基本的に構成され、あるいはそのような内視鏡またはマイクロ内視鏡からなる。内視鏡は、本明細書に記載のとおりの拡張可能なカフをさらに備えることができる。
【0031】
図3A~
図3Dが、拡張可能なカフ180を内視鏡100と共に使用することができるさまざまな配置の側面図を示している。本明細書で論じられるように、内視鏡100は、拡張可能なカフ180を1つだけ含むことができ、あるいは2つ以上の拡張可能なカフ180を含むことができる。2つ以上の拡張可能なカフ180は、展開された状態、収縮した状態、または展開された状態および収縮した状態の両方において、互いに類似していてよい。
【0032】
図3Aに示されるように、拡張可能なカフ180は、完全に剛体部分124の範囲内に配置され、かついくつかの実施形態の内視鏡100の長手軸5を周状に取り囲む2つの間隔を開けて位置した拡張可能なカフ180を含むことができる。
図3Aに示されるように、2つの拡張可能なカフ180のそれぞれは、展開された状態において互いに形状が類似してよい。
図3Bに示されるように、拡張可能なカフ180を、完全に内視鏡100の拡張可能部分122上に(一体的に、あるいは別個の部品として)配置することができる。
図3Cに示されるように、内視鏡100は、完全に剛体部分124(または、拡張可能部分122)上に(一体的に、あるいは別個の部品として)配置された拡張可能なカフ180と、拡張可能部分122および剛体部分122の両方の一部分にまたがる拡張可能なカフ180とを含むことができる。
図3Dは、内視鏡100が、展開された状態における半径方向の広がりが第2の拡張可能なカフ180bと比較してより大きい第1の拡張可能なカフ180aを含むことができることを示している。内視鏡100は、
図3A~
図3Dに示した異なる実施形態の組み合わせである拡張可能なカフ180を含むことができる。
【0033】
図4A~
図4Eが、いくつかの実施形態の内視鏡100と共に使用することができる拡張可能なカフ180の配置を示すシャフト120の端面図を示している。
図4Aに示されるように、拡張可能なカフ180は、内視鏡100の長手軸5を完全に周状に取り囲むことができる。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフ180は、長手軸5を部分的にのみ周状に取り囲むことができる。
図4Bに示されるように、内視鏡100は、シャフト120の周りに周状に配置され、かつ互いに形状が類似している一対の拡張可能なカフ180を含むことができる。
図4Cは、内視鏡100が、互いに比べて形状が異なっている周状の拡張可能なカフ180を有することができることを示している。拡張可能なカフ180は、拡張可能なカフ180が長手軸を周状にどの程度取り囲むかに関して、互いに形状が相違してよい。拡張可能なカフ180は、拡張可能なカフ180が長手軸5からどの程度離れるように広がるかに関して、互いに形状が相違してよい。拡張可能なカフ180は、展開された状態、収縮した状態、または展開された状態および収縮した状態の両方において、互いに形状が相違してよい。
図4Dは、内視鏡100が、シャフト120の周りに周状に均等に分布した2つ以上の拡張可能なカフ180を含むことができることを示している。
図4Eは、内視鏡100が、本明細書に開示される特徴の組み合わせを有する拡張可能なカフ180を含むことができることを示している。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフ180は、シャフト120の周りに周状に配置され、均等に分布する。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフ180は、シャフト120の周りに周状に配置され、シャフト120の周りに不均等に分布する。
【0034】
図5が、内視鏡100の画像センサ140を超えて遠位方向に延びるツール300を有している遠位先端部130の部分側面図を示している。いくつかの実施形態において、ツール300は、心臓弁を配置するように構成される。いくつかの実施形態において、ツール300は、切除処置を実行するように構成される。いくつかの実施形態において、ツール300は、関節形成処置を実行するように構成される。図示の実施形態において、内視鏡100は、拡張可能なカフ180を1つだけ有し、その拡張可能なカフ180は、シャフト120の拡張可能部分122および剛体部分124の一部分に長手方向について重なる。拡張可能なカフ180は、
図5に示される構成とは異なる構成で配置されてもよく、本明細書で説明されるように、1つ以上の追加の拡張可能なカフ180を伴うことができる。
【0035】
図6が、ツール300が作業チャネル150内で開口部132に向かって遠位方向に前進している状態の遠位先端部130の部分側面図を示している。図示の実施形態において、内視鏡100は、拡張可能部分122の一部分に長手方向について重なる拡張可能なカフ180を含む。拡張可能なカフ180は、展開された状態で示されている。拡張可能なカフ180の外面181が、周囲の組織16に接触している。拡張可能なカフ180は、拡張可能なカフ180と周囲の組織16との間の相互作用を強化するために、ペブリング、ナーリング、または他の同様の表面テクスチャなどの表面テクスチャ182を含むことができる。表面テクスチャ182を、拡張可能なカフ180と周囲の組織16との間の摩擦力を増大させるように構成することができる。表面テクスチャ182を、拡張可能なカフ180が内視鏡100の安定化または固定のために周囲の組織16を圧迫するときに周囲の組織16の損傷が抑制、軽減、または最小化されるように、拡張可能なカフ180と周囲の組織16との間の非外傷性の相互作用を促進するように構成することができる。
【0036】
図6は、拡張可能なカフ180が、しなやかな部分185と比較して膨張性に乏しい補強された部分183を含むことができることを示している。補強された部分183を、補強された部分183に材料を含ませ、埋め込み、あるいは重ねることによって形成することができる。含まれる補強材料は、しなやかな部分185の材料よりも硬い材料であってよい。拡張可能なカフ180を、補強された部分183およびしなやかな部分185の従順性または伸展性が、しきい値膨張比に達するまでは互いに一致するように構成することができる。膨張比を、収縮した状態の拡張可能なカフ180の外寸と比較した展開された状態の拡張可能なカフ180の外寸の比として定義することができる。拡張可能なカフ180を、拡張可能なカフ180の膨張比がしきい値膨張比を超える場合に、補強された部分183の従順性または伸展性がしなやかな領域185の従順性または伸展性と比較して小さくなるように構成することができる。
【0037】
図6に示されるように、拡張可能なカフ180を、ツール300が画像センサ140の傍らを通過するときに、シャフトの拡張可能部分122が(垂直方向の白抜きの二重矢印によって示されるように)半径方向外向きに周囲の組織16に向かって広がるように配置することができる。拡張可能なカフ180を、拡張可能部分122が画像センサ140から離れて周囲の組織16に向かって移動するときに、この画像センサ140から離れて周囲の組織16へと向かう拡張可能部分122の動きによって変位させられる拡張可能なカフ180の内部の膨張流体(または、ガス)に対応するように、しなやかな部分185が(水平方向の白抜きの二重矢印によって示されるように)長手方向に広がるように配置することができる。しなやかな領域185が長手方向に広がることで、ツール300が画像センサ140を越えて遠位方向に移動するときに、拡張可能なカフ180と周囲の組織16との間の接触領域を実質的に不変のままにすることを可能にできる。
【0038】
図6は、シャフト120の拡張可能部分122と剛体部分124の界面をまたぐ拡張可能なカフ180を示しているが、拡張可能なカフ180を、完全に剛体部分124上に(一体的に、あるいは別個の部分として)配置することができ、あるいは完全に拡張可能部分122内に配置することができる。内視鏡100は、完全に剛体部分124上に(一体的に、または別個の部分として)配置され、かつ補強された部分183およびしなやかな部分185を含んでいる拡張可能なカフ180を含むことができる。しなやかな部分185は、(周囲の組織の収縮または内視鏡100へのトルクの印加などに起因して)拡張可能なカフ180と脈管16などの周囲の組織との間の圧縮力が変動するときに、拡張可能なカフ180と脈管16などの周囲の組織との間に実質的に不変のフットプリントを維持するように広がることができる。
【0039】
また、
図6は、拡張可能なカフ180が、剛体部分124に沿って長手方向に広がり、かつ拡張可能部分122に沿って長手方向に広がるしなやかな部分185を含むことができることを示している。拡張可能なカフ180は、1つ以上のしなやかな部分185を含むことができる。拡張可能なカフ180は、剛体部分124に沿って長手方向に広がる第1のしなやかな部分185と、拡張可能部分122に沿って長手方向に広がる第2のしなやかな部分185とを有することができる。
[拡張可能なカフを備える内視鏡および使用の方法]
【0040】
いくつかの実施形態において、内視鏡または内視鏡システムは、本明細書に記載されるように、半径方向に拡張可能な突起またはスリーブなどの拡張可能なカフを備える。いくつかの実施形態において、展開された状態の拡張可能なカフおよびシャフト(したがって、内視鏡)は、脈管の内部の流体の流れ(例えば、血流)を抑制し、減少させ、あるいは防止するために、脈管の断面の内部領域のすべてまたは実質的にすべてを占める。例えば、脈管の断面の内部領域の少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または100%を占めることができる。したがって、拡張可能なカフの(流体の流れに関して)下流の脈管の内部を、流体に妨げられることなく直接画像化することができる。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフは、拡張可能なカフの内部空間に流体またはガスを導入することによって展開される。いくつかの実施形態においては、拡張可能なカフを、形状記憶材料を加熱し、あるいは覆いを外すなど、他の方法によって展開することができる。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフは、内視鏡を通って遠位先端部の開口部を過ぎて遠位方向へと延びるツールによって患者の組織について医療処置が行われるときに、内視鏡の一部分を固定し、あるいは安定させるように構成される。拡張可能なカフを、内視鏡を血管または心腔の内面に対して支えるようなサイズとすることができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、脈管の内部を画像化する方法は、脈管内で本明細書に記載のとおりの内視鏡をターゲット位置へと前進させることを含む。この方法は、内視鏡の拡張可能なカフを展開された状態へと拡張し、拡張可能なカフおよびシャフトで脈管の断面の内部領域のすべてまたは実質的にすべてを占めることをさらに含むことができる。したがって、展開された状態の拡張可能なカフを有するマイクロ内視鏡は、脈管の内部の流体の流れ(血流など)を妨げ、減少させ、あるいは防止することができ、したがって、(例えば、流体に妨げられることなく)脈管の内部の視覚化および/または脈管における外科的処置を可能にすることができる。この方法は、流体(例えば、血液)の流れを抑制し、減少させ、あるいは防止している間に、脈管の内部の視野を画像化することをさらに含む。この方法は、拡張可能なカフを収縮させることをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、この方法は、視野が画像化された後に、ガイドワイヤに沿ってターゲット位置へと向かう拡張可能な内視鏡の移動を再開させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフが展開されると、拡張可能なカフの外面が、脈管の内面の2つ以上の部分に接触し、これらの部分は、内視鏡の周りに周状に位置する。いくつかの実施形態において、内視鏡を前進させることは、内視鏡をガイドワイヤに沿ってターゲット位置に向かって移動させることを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、ガイドワイヤに沿って内視鏡を停止させ、拡張可能なカフを拡張させ、これにより拡張させた拡張可能なカフが脈管内の流体(例えば、血液)の流れを抑え、減少させ、あるいは防止することをさらに含む。いくつかの実施形態において、この方法が実行される脈管は、血管であり、例えば、橈骨動脈または大腿動脈である。いくつかの実施形態において、この方法は、冠状動脈において行われ、ターゲット位置は、冠状動脈のうちの閉塞を含む一部分を含む。いくつかの実施形態において、この方法が実行される脈管は、心室である。本明細書において内視鏡を含む画像化の方法が記載される場合はいつでも、画像化に使用される内視鏡も想定される。
【0042】
いくつかの実施形態において、内視鏡は、ガイドワイヤが患者に配置された後に、ガイドワイヤへと装てんされる。例えば、ガイドワイヤを、ガイドワイヤの遠位端がターゲット位置またはその付近に位置するまで、血管内を前進させることができる(例えば、ガイドワイヤを蛍光透視法を使用して配置することができる)。ガイドワイヤの遠位端は、ガイドワイヤの近位端を内視鏡の遠位端を通って送り、ガイドワイヤの近位端が内視鏡の近位端から現れるまで内視鏡を通って近位側へと進めるときに、ターゲット位置またはその付近に留まり続けることができる。次いで、内視鏡をガイドワイヤに沿って前進させて、内視鏡の遠位端をターゲット位置へともたらすことができる。このようにして、ガイドワイヤと内視鏡との間の相対的な動きは、内視鏡の近位端へと向けられる。これにより、ガイドワイヤが内視鏡の近位端から内視鏡を通って遠位側へと送られる場合に生じる得るガイドワイヤのもつれまたは内視鏡の各部の損傷を、回避することができる。この方法のいくつかの実施形態においては、ガイドワイヤを患者の脈管へと導入する前に、ガイドワイヤを内視鏡の遠位端を通って送ることができる。換言すると、最初に内視鏡をガイドワイヤ上に装てんでき、次いで内視鏡がガイドワイヤ上に装てんされている間にガイドワイヤを患者内に配置することができる。
例
[例1]
【0043】
心臓弁修復処置を実行するための内視鏡システムが、画像センサおよび照明要素を周状に取り囲む変形可能な外側シースを備えるシャフトを含む。拡張可能なカフが、内視鏡のシャフトに結合している。拡張可能なカフは、収縮した状態から展開された状態へと移行可能である。拡張可能なカフを、拡張可能なカフが展開された状態にあるときに、血管または心腔の内面を押すようなサイズにすることができる。
【0044】
図7が、内視鏡100を使用して医療処置を実行する方法を示している。図示の実施形態において、内視鏡100の遠位先端部130は、上大静脈17に沿って心臓19の右心房18へと順行性にて進められる。心臓弁尖捕捉装置310(例えば、クリップ)が、遠位先端部130から展開され、心臓弁尖捕捉装置310を三尖弁21の弁尖を捕捉するように位置させるために右心室20へと進められる。図示の内視鏡100は、拡張可能なカフ180が展開された状態にあるときに上大静脈17の内面を押すようなサイズとされた拡張可能なカフ180を有する。本明細書で論じられるように、拡張可能なカフ180は、遠位先端部130の位置を安定させ、あるいは固定することができる。拡張可能なカフ180を、心臓弁尖装置310が遠位先端部130から展開されている間に、遠位先端部130を安定させ、あるいは固定するために展開された状態に移行させることができる。いくつかの実施形態において、医療処置は、上大静脈17の代わりに、大動脈を通り、あるいは心尖部の穿刺を介して内視鏡100を前進させることを含む。
[例2]
【0045】
医療画像化処置を実行するための内視鏡システムが、中空シャフトを含んでおり、拡張可能なカフがシャフトの外面に配置され、画像センサおよび照明要素が中空シャフト内に配置されている。拡張可能なカフは、収縮した状態から展開された状態へと移行可能である。拡張可能なカフを、拡張可能なカフが展開された状態にあるときに、血管または他の管状の器官(例えば、腸)の断面の内部領域のすべてまたは実質的にすべてを占め、器官内の流体の流れを抑制し、減少させ、あるいは防止するようなサイズとすることができる。
【0046】
図8Aおよび
図8Bが、内視鏡100を使用して医療画像化処置を実行する方法を示している。図示の実施形態において、内視鏡100の遠位先端部130は、脈管4(例えば、血管)に沿ってターゲット位置6に向かって進められる。ターゲット位置6は、周囲の組織のうちの画像化が望まれる領域であってよい。遠位先端部130は、本明細書で論じられるように内視鏡100内の画像センサによる視野8の画像化を可能にする開口部を有することができる。
図8Aに示されるように、拡張可能なカフ180は、ターゲット位置6を内視鏡の視野8内へともたらすべく、内視鏡100がターゲット位置6に向かって進められるときに、収縮した状態であってよい。
図8Bは、ひとたび内視鏡100がターゲット位置6を眺めるための適切な位置に配置されると、拡張可能なカフ180を、本明細書で論じられるように、展開された状態へと移行させ、脈管4の断面の内部領域の実質的にすべてを占めることができることを示している。展開された状態にあるとき、拡張可能なカフ180は、(シャフト120との組み合わせにおいて)脈管内の流体(例えば、血管内の血液)の流れを抑制し、減少させ、あるいは防止することができる。拡張可能なカフの下流の流体を抑制し、減少させ、あるいは防止することで、内視鏡の遠位先端部130内の画像センサ140による脈管の内部の直接的な画像化を可能にすることができる。画像化処置の完了後に、拡張可能なカフ180を、本明細書で論じられるように、収縮した状態に移行させることができ、内視鏡100を、脈管4から引き出すことができる。
【0047】
本明細書に開示のプロセスおよび方法に関して、これらのプロセスおよび方法において実行される機能を、異なる順序で実施してもよいことを、当業者であれば理解できるであろう。さらに、上述のステップおよび動作は、あくまでも例として示されているにすぎず、ステップおよび動作の一部は、本開示の実施形態の本質から外れることなく、随意であってよく、より少数のステップおよび動作へと組み合わせられてよく、あるいは追加のステップおよび動作へと拡張されてもよい。
【0048】
本明細書における実質的にあらゆる複数形および/または単数形の用語の使用に関して、当業者であれば、文脈および/または用途に合わせて、複数形を単数形と解釈し、さらには/あるいは単数形を複数形と解釈することができる。本明細書においては、分かりやすくする目的で、さまざまな単数形/複数形の置き換えが明示的に説明されることがある。
【0049】
一般に、本明細書において使用され、とりわけ添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)において使用される用語が、通常は「非排他」の用語として意図されている(例えば、用語「・・・を含んでいる」は、「・・・を含んでいるが、・・・に限られない」と解釈されるべきであり、用語「・・・を有する」は、「少なくとも・・・を有する」と解釈されるべきであり、用語「・・・を含む」は、「・・・を含むが、・・・に限られない」と解釈されるべきである、など)ことを、当業者であれば理解できるであろう。さらに、請求項中の記載事項について特定の数が意図される場合、そのような意図は請求項中に明示的に記載され、そのような記載がない場合には、そのような意図も存在しないことを、当業者であれば理解できるであろう。例えば、理解を助けるために、添付の特許請求の範囲が、請求項中の記載事項について「少なくとも1つの」および「1つ以上の」という前置きの表現を含む場合がある。しかしながら、そのような表現の使用を、不定冠詞「a」または「an」が前置きされる請求項中の記載事項が、そのような請求項中の記載事項を含む特定の請求項を、たとえその同じ請求項が「1つ以上の」または「少なくとも1つの」という前置きの表現ならびに「a」または「an」などの不定冠詞(例えば、「a」および/または「an」は、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)を含む場合でも、そのような記載事項を1つだけ含んでいる実施形態に限定することを意味すると解釈してはならず、同じことが、請求項中の記載事項の前置きとして定冠詞が使用される場合にも当てはまる。さらに、請求項中の記載事項について特定の数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載を、「少なくとも記載された数」を意味する(例えば、単に記載事項が「2つ」であると記載され、他の修飾語がない場合、記載事項は少なくとも2つ存在し、すなわち2つ以上存在する)と解釈すべきであることを、当業者であれば理解できるであろう。さらに、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」などに類似した表現方法が使用される場合、一般に、そのような記載は、この表現方法の当業者による理解のとおりの意味を意図している(例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、これらに限られるわけではないが、Aのみを有するシステム、Bのみを有するシステム、Cのみを有するシステム、AとBとを有するシステム、AとCとを有するシステム、BとCとを有するシステム、および/またはAとBとCとを有するシステム、などを含む)。「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」などに類似した表現方法が使用される場合、一般に、そのような記載は、この表現方法の当業者による理解のとおりの意味を意図している(例えば、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、これらに限られるわけではないが、Aのみを有するシステム、Bのみを有するシステム、Cのみを有するシステム、AとBとを有するシステム、AとCとを有するシステム、BとCとを有するシステム、および/またはAとBとCとを有するシステム、などを含む)。さらに、2つ以上の選択肢としての用語を提示する実質的にあらゆる離接語および/または表現は、本明細書、特許請求の範囲、または図面のいずれにおいても、それらのうちの1つ、それらのうちのいずれか、またはそれらの両方を含む可能性を想定していると理解されるべきであることを、当業者であれば理解できるであろう。例えば、「AまたはB」という表現は、「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むと理解される。
【0050】
さらに、本開示の特徴または態様がマーカッシュグループの形式で記載される場合、当業者であれば、これにより、マーカッシュグループの個々のメンバーまたはメンバーのサブグループも本開示に記載されていると理解するであろう。
【0051】
当業者であれば理解できるとおり、記述要件を満たすなどのあらゆる目的のために、本明細書に開示されるすべての範囲は、あらゆるすべての可能な部分範囲および部分範囲の組み合わせも包含する。挙げられるあらゆる範囲は、同じ範囲を少なくとも同等の半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1、などに分割することを充分に説明し、可能にしていると容易に認識できる。これに限られるわけではない一例として、本明細書に記載の各々の範囲を、下3分の1、真ん中の3分の1、上3分の1、などに容易に分解することができる。また、当業者であれば理解できるとおり、「~まで」、「少なくとも」、などのすべての言語は、そこに挙げられた数を含み、後に上述のように部分範囲へと分解することができる範囲を指す。例えば、「約5」には5が含まれる。最後に、当業者であれば理解できるとおり、範囲は個々のメンバーの各々を含む。したがって、例えば、1~3個のセルを有するグループは、1個、2個、または3個のセルを有するグループを指す。同様に、1~5個のセルを有するグループは、1個、2個、3個、4個、または5個のセルを有するグループを指し、以下同様である。
【0052】
処置を実行する方法など、本明細書に開示の方法について、対応する使用も明示的に想定されている。例えば、内視鏡および/または内視鏡システムを用いて処置(画像化など)を実行する方法について、その処置(画像化など)のための本主題の内視鏡システムまたは内視鏡の対応する使用も想定されている。
【0053】
以上から、本開示の種々の実施形態が例示の目的で本明細書に記載されていること、ならびに本開示の技術的範囲および技術的思想から逸脱することなく種々の変更が可能であることを、理解できるであろう。したがって、本明細書に開示の種々の実施形態は、限定を意図しておらず、真の技術的範囲および技術的思想は添付の特許請求の範囲によって示される。
典型的な実施形態
【0054】
以下の典型的な実施形態は、本明細書に開示される特徴の組み合わせのいくつかの考えられる順列を特定するが、特徴の組み合わせの他の順列も可能である。
[典型的な実施形態]
1.マイクロ内視鏡であって、
ハブと、
前記ハブから延びており、遠位先端部を備えているシャフトと、
前記遠位先端部内にあり、当該マイクロ内視鏡の外部の視野を有している画像センサと、
前記遠位先端部内にあり、前記画像センサの前記視野内に光を放射するように構成された照明要素と、
拡張可能なカフであって、前記シャフトの少なくとも一部分上に配置され、収縮した状態と展開された状態との間を移行可能であり、前記展開された状態にあるときに、前記拡張可能なカフの外面が、前記収縮した状態にあるときと比べて、前記シャフトの長手軸からさらに遠くに位置する拡張可能なカフと
を備えるマイクロ内視鏡。
2.前記マイクロ内視鏡が特定の脈管において使用されるように構成され、前記拡張可能なカフは、拡張させられたときに、前記特定の脈管の内径とほぼ同じ外径を有する、実施形態1に記載のマイクロ内視鏡。
3.前記拡張可能なカフは、拡張させられたときに、血流などの前記特定の脈管における流体の流れを妨げることで、前記画像センサによる前記脈管の内部の視覚化を可能にする、実施形態2に記載のマイクロ内視鏡。
4.前記特定の脈管は、大腿動脈、橈骨動脈、肺静脈、冠状動脈、大動脈、および頸動脈からなる群から選択される、実施形態2または3に記載のマイクロ内視鏡。
5.前記拡張可能なカフは、半径方向に拡張可能なスリーブまたは突起である、実施形態1~4のいずれか1つに記載のマイクロ内視鏡。
6.前記拡張可能なカフは、前記ハブ上に配置された膨張ポートに流体連通する内部空間をさらに備える、実施形態1~5のいずれか1つに記載のマイクロ内視鏡。
7.前記収縮した状態の前記拡張可能なカフは、流体またはガスが前記膨張ポートを通って前記内部空間に導入されると、前記展開された状態をとる、実施形態6のマイクロ内視鏡。
8.前記シャフト内に配置され、前記ハブから前記遠位先端部まで延びる作業チャネル
をさらに備え、
前記作業チャネルの少なくとも一部分は、前記シャフトの長手軸と前記拡張可能なカフの重なり部分との間に配置されている、実施形態1~7のいずれか1つに記載のマイクロ内視鏡。
9.前記拡張可能なカフの前記重なり部分は、前記作業チャネルと前記拡張可能なカフの前記内部空間との間に配置された内面を備え、前記内面は前記外面よりも膨張性に乏しい、実施形態8に記載のマイクロ内視鏡。
10.前記拡張可能なカフは、前記シャフトの周りに周状に配置された2つ以上の部分を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載のマイクロ内視鏡。
11.前記拡張可能なカフの前記内部空間は、複数の膨張チャネルを含み、前記複数の膨張チャネルのそれぞれは、互いに流体に関して分離されている、実施形態1~10のいずれか1つに記載のマイクロ内視鏡。
12.僧帽弁クリップをさらに備え、前記特定の脈管は、下大静脈および大動脈からなる群から選択される、実施形態1~11のいずれか1つに記載のマイクロ内視鏡。
13.電気焼灼または凍結療法を使用して肺静脈を切除するように構成されている、実施形態1~11のいずれか1つに記載のマイクロ内視鏡。
14.前記拡張可能なカフは、前記特定の脈管に経皮的にアクセスするように構成されている、実施形態1~13のいずれか1つに記載のマイクロ内視鏡。
15.前記拡張可能なカフは、少なくとも約2センチメートルの長手方向の長さを有する、実施形態1~14のいずれか1つに記載のマイクロ内視鏡。
16.前記収縮した状態の当該マイクロ内視鏡は、血管を通ってガイドワイヤに沿って進むように構成されている、実施形態1のマイクロ内視鏡。
17.ガイドワイヤを受け入れるようなサイズとされたガイドワイヤ管腔をさらに備える、実施形態1または16のマイクロ内視鏡。
18.前記シャフト内に配置され、前記ハブから前記遠位先端部まで延びる作業チャネル
をさらに備え、
前記作業チャネルの少なくとも一部分は、前記シャフトの長手軸と前記拡張可能なカフの重なり部分との間に配置され、前記作業チャネルは、前記ガイドワイヤ管腔を備えている、実施形態17に記載のマイクロ内視鏡。
19.前記ガイドワイヤが前記ガイドワイヤ管腔内に配置されている間に前記展開された状態となるように構成された、実施形態17または18に記載のマイクロ内視鏡。
20.前記ガイドワイヤ管腔の近位端が、前記ハブ上に配置されている、実施形態17~19のいずれか1つに記載のマイクロ内視鏡。
21.拡張可能なマイクロ内視鏡を使用する方法であって、
拡張可能なマイクロ内視鏡を脈管内でターゲット位置へと前進させるステップと、
前記マイクロ内視鏡の拡張可能なカフを、前記拡張可能なカフの外面が前記脈管の内面の2つ以上の部分に接触するように拡張するステップと
を含んでおり、
前記部分は、前記マイクロ内視鏡の周りに周状に位置する、方法。
22.前記脈管の前記内面の前記部分に接触する前記拡張可能なカフは、前記脈管内の前記拡張可能なマイクロ内視鏡の位置を維持する、実施形態21に記載の方法。
23.前記脈管の前記内面の前記部分に接触する前記拡張可能なカフは、前記脈管内の流体の流れを抑制することにより、前記脈管の内部の視覚化を可能にする、実施形態21または22に記載の方法。
24.前記拡張可能なカフを拡張するステップは、前記拡張可能なカフの内部空間に流体を導入するステップを含む、実施形態21~23のいずれか1つに記載の方法。
25.前記脈管は、大腿動脈、橈骨動脈、上大静脈、大動脈、および肺静脈からなる群から選択される、実施形態21~24のいずれか1つに記載の方法。
26.前記ターゲット位置は、心臓、脳、脚、足、足首、腕、または手からなる群から選択される、実施形態21~25のいずれか1つに記載の方法。
27.前記ターゲット位置は、末梢動脈を含み、前記脈管は、前記末梢動脈である、実施形態21~26のいずれか1つに記載の方法。
28.前記拡張可能なマイクロ内視鏡の作業チャネルから器具を展開するステップ
をさらに含み、
前記作業チャネルの少なくとも一部分は、前記拡張可能なカフと前記拡張可能なマイクロ内視鏡の長手軸との間を通過している、実施形態21~27のいずれか一項に記載の方法。
29.前記器具を展開するステップは、前記拡張可能なカフの内面を前記作業チャネルの外面によって広げるステップを含む、実施形態28に記載の方法。
30.前記器具は、僧帽弁クリップを備える、実施形態28または29に記載の方法。
31.前記脈管は、下大静脈および大動脈からなる群から選択される、実施形態30に記載の方法。
32.前記ターゲット位置は、心臓を含み、前記脈管は、下大静脈であり、当該方法は、前記拡張可能なカフが下大静脈において拡張させられたときに心臓の組織を視覚化するステップをさらに含み、前記僧帽弁クリップが、前記視覚化の後に心臓へと適用される、実施形態30に記載の方法。
33.前記器具は、肺静脈の一部分を除去する、実施形態28~30のいずれか1つに記載の方法。
34.前記マイクロ内視鏡の位置が維持されている間に、前記マイクロ内視鏡の先端の遠位側の画像を収集するステップをさらに含む、実施形態21~33のいずれか1つに記載の方法。
35.前進させるステップは、前記拡張可能なマイクロ内視鏡を前記ターゲット位置に向かってガイドワイヤに沿って移動させるステップを含む、実施形態21に記載の方法。
36.前進させるステップは、
前記ガイドワイヤに沿って前記拡張可能なマイクロ内視鏡を停止させるステップと、
前記拡張可能なカフを拡張することにより、前記拡張された拡張可能なカフで前記脈管内の血流を遮断するステップと、
前記血流が遮断されている間に前記脈管内の視野を画像化するステップと、
前記拡張可能なカフを収縮させるステップと、
前記ガイドワイヤに沿って前記ターゲット位置へと向かう前記拡張可能なマイクロ内視鏡の移動を再開するステップと
を含む、実施形態35に記載の方法。
37.前記脈管は、橈骨動脈または大腿動脈である、実施形態36に記載の方法。
38.前記脈管は、冠状動脈であり、前記ターゲット位置は、閉塞を有する冠状動脈の一部分を含む、実施形態36に記載の方法。
39.遠位先端部内に配置された画像センサと、前記遠位先端部内に配置された照明要素と、マイクロ内視鏡の外面上に配置されている拡張可能なカフとを備える前記マイクロ内視鏡と、
前記拡張可能なマイクロ内視鏡の内腔を通過するようなサイズとされたガイドワイヤと、
前記拡張可能なカフの内部空間に流体連通した膨張ポンプと
を備える内視鏡システム。
40.前記マイクロ内視鏡は、実施形態1~15のいずれか1つに記載のマイクロ内視鏡を含み、実施形態1~15のいずれか1つに記載のマイクロ内視鏡で基本的に構成され、あるいは実施形態1~15のいずれか1つに記載のマイクロ内視鏡からなる、実施形態30の内視鏡システム。
いくつかの実施形態は、例えば本明細書に記載の内視鏡などの内視鏡を使用する方法を含む。いくつかの実施形態において、この方法は、拡張可能な内視鏡を脈管内でターゲット位置へと前進させるステップと、内視鏡の拡張可能なカフを、拡張可能なカフの外面が脈管の内面の2つ以上の部分に接触するように拡張するステップとを含んでおり、これら2つ以上の部分は、内視鏡の周りに周状に位置する。拡張可能なカフを脈管の内面の一部分に接触させることで、脈管内の流体の流れ(血管内の血流など)を抑制し、減少させ、あるいは停止させることができ、したがって脈管の内部を視覚化が可能になる。視覚化は、本明細書に記載の画像センサによって実行することが可能である。いくつかの実施形態において、拡張可能なカフを拡張するステップは、拡張可能なカフの内部空間に流体を導入するステップを含む。いくつかの実施形態において、脈管の内面の部分に拡張可能なカフを接触させることで、脈管内の拡張可能な内視鏡の位置が維持される。いくつかの実施形態において、この方法は、拡張可能な内視鏡の作業チャネルから器具を展開するステップをさらに含み、作業チャネルの少なくとも一部分は、拡張可能なカフと拡張可能な内視鏡の長手軸との間を通過している。いくつかの実施形態において、器具を展開するステップは、拡張可能なカフの内面を作業チャネルの外面によって広げるステップを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、作業チャネルから僧帽弁クリップを展開するステップを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、肺静脈の一部分を切除するように構成された器具を作業チャネルから展開するステップを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、内視鏡の位置が維持されている間に、内視鏡の先端の遠位側の画像を収集するステップをさらに含む。