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特許7595959抗腫瘍療法において使用するための二重ATM及びDNA-PK阻害剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】抗腫瘍療法において使用するための二重ATM及びDNA-PK阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20241202BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241202BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241202BHJP
   A61K 33/24 20190101ALI20241202BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20241202BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
C07D471/04 104Z
A61K31/4745
A61P35/00
A61K45/00
A61K33/24
A61K31/282
A61K31/704
【請求項の数】 41
(21)【出願番号】P 2022505550
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-30
(86)【国際出願番号】 US2020044322
(87)【国際公開番号】W WO2021022078
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】62/883,325
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】201910695148.4
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520406533
【氏名又は名称】エクスラッド セラピューティクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フー,ジアンミン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヤオデ
(72)【発明者】
【氏名】スン,ユエ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,グオシェン
(72)【発明者】
【氏名】ルー,アイジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シュアン
(72)【発明者】
【氏名】グッドナウ,ロバート,エー.
(72)【発明者】
【氏名】ギルマー,トナ
(72)【発明者】
【氏名】カスタン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】キルシュ,デビッド
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-501873(JP,A)
【文献】特表2018-510191(JP,A)
【文献】特表2013-536256(JP,A)
【文献】特表2017-518382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、
【化1】
またはその薬学的に許容される塩であって、
式中、
Yが、CHRまたはNRであり、
Zが、CH、CR、またはNであり、
nが、0、1、2、または3であり、
が、-O-L-N(Rまたは任意に置換される、4員の飽和N-ヘテロシクリルであり、
が、Cアルキルであり、
各Rが独立して、ハロゲンまたは任意に置換されるC1-3アルキルであり、
が、任意に置換されるアルキルであり、
が、水素、任意に置換されるC1-3アルキル、またはベンジルオキシであり、
が、任意に置換されるC1-3アルキルであり、
各Rが独立して、Hまたは任意に置換されるC1-3アルキルであり、
Lが、任意に置換されるエチレンである、前記式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
nが、1である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
前記化合物が、式(IA)の化合物、
【化2】
またはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
式(IA)の化合物、
【化3】
またはその薬学的に許容される塩であって、
式中、
Yが、CHR であり、
が、-O-L-N(R であり、
が、C アルキルであり、
が、ハロゲンまたは任意に置換されるC 1-3 アルキルであり、
が、任意に置換されるアルキルであり、
が、水素またはベンジルオキシであり、
各R が独立して、Hまたは任意に置換されるC 1-3 アルキルであり、
Lが、任意に置換されるエチレンである、前記式(IA)の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
が、ハロゲンである、請求項1~のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
ハロゲンが、フッ素である、請求項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
nが、0である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
前記化合物が、式(IB)の化合物、
【化4】
またはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
が、-O-L-N(Rである、請求項1~3および5~8のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
1つのRが、Hであり、残りのRが、任意にC1-3アルキルである、請求項1~のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
少なくとも1つのRが、イソプロピルである、請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
が、メチル、エチル、またはイソプロピルである、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
が、メチルである、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
が、メチルである、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
Yが、CHRである、請求項1~3および5~14のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
が、水素である、請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
が、任意に置換されるC1-3アルキルである、請求項1~3および5~15のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
が、ベンジルオキシである、請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
Yが、NRである、請求項1~3および5~14のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
が、任意に置換されるCアルキルである、請求項1~3および5~14および19のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
が、イソプロピルである、請求項1~3および5~14および19のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項22】
以下からなる群から選択される化合物、
【化5】
及びその薬学的に許容される塩。
【請求項23】
以下の構造の化合物、
【化6】
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項24】
以下の構造の化合物、
【化7】
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項25】
以下の構造の化合物、
【化8】
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む、薬学的組成物。
【請求項27】
求項1~25のいずれか1項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項26に記載の薬学的組成物を含む腫瘍性疾患の治療を必要とする患者における該腫瘍性疾患の治療において使用するための医薬
【請求項28】
前記患者が、放射線療法を受けている、請求項27に記載の使用のための医薬
【請求項29】
前記化合物または前記薬学的組成物が、前記放射線療法と同時に前記患者に投与される、請求項28に記載の使用のための医薬
【請求項30】
前記化合物または前記薬学的組成物が、前記放射線療法の前に前記患者に投与される、請求項28に記載の使用のための医薬
【請求項31】
前記化合物または前記薬学的組成物が、前記放射線療法の後に前記患者に投与される、請求項28に記載の使用のための医薬
【請求項32】
前記放射線療法が、外部、内部、近接照射療法、または全身曝露を含む、請求項2831のいずれか1項に記載の使用のための医薬
【請求項33】
前記放射線療法が、抗体放射性核種抱合体を投与することを含む、請求項2832のいずれか1項に記載の使用のための医薬
【請求項34】
前記患者が、抗腫瘍剤を投与されている、請求項2733のいずれか1項に記載の使用のための医薬
【請求項35】
前記抗腫瘍剤が、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、バルルビシン、イダルビシン、カリケアマイシン、またはPARP阻害剤である、請求項34に記載の使用のための医薬
【請求項36】
前記抗腫瘍剤が、抗腫瘍生物学的薬剤または抗腫瘍免疫療法剤である、請求項35に記載の使用のための医薬
【請求項37】
前記化合物または前記薬学的組成物が、前記抗腫瘍剤と同時に前記患者に投与される、請求項3436のいずれか1項に記載の使用のための医薬
【請求項38】
前記化合物または前記薬学的組成物が、前記抗腫瘍剤の前に前記患者に投与される、請求項3436のいずれか1項に記載の使用のための医薬
【請求項39】
前記化合物または前記薬学的組成物が、前記抗腫瘍剤の後に前記患者に投与される、請求項3436のいずれか1項に記載の使用のための医薬
【請求項40】
前記腫瘍性疾患が、脳腫瘍、膀胱癌、乳癌、中枢神経系癌、頸部癌、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、消化管間質腫瘍、胃癌、頭頸部癌、頬癌、口癌、肝細胞癌、肺癌、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、唾液腺癌、肉腫、精巣癌、尿路上皮癌、外陰癌、またはウィルムス腫瘍である、請求項2739のいずれか1項に記載の使用のための医薬
【請求項41】
前記腫瘍性疾患が、乳癌、肺癌、頭頸部癌、膵臓癌、直腸癌、膠芽腫、肝細胞癌、胆管癌、転移性肝病変、黒色腫、骨肉腫、軟部肉腫、子宮内膜癌、子宮頸癌、前立腺癌、またはメルケル細胞癌である、請求項2739のいずれか1項に記載の使用のための医薬
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単剤療法として、または放射線療法、化学療法、及び/または免疫療法と組み合わせてがんを治療するための化合物及びそれらの薬学的に許容される塩、ならびにそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セリン-スレオニンキナーゼのPIKK(PI-3K様キナーゼ)ファミリーのいくつかのメンバーは、DNA損傷シグナル伝達の既知のメディエーターである。
【0003】
放射線療法(RT)は、がん患者の疾病の際のいくつかの時点ですべてのがん患者のうちの50%超の患者を治療するために使用される。多大な努力にもかかわらず、臨床放射線増感剤を開発するための以前のアプローチは、主に放射線に対する細胞応答の直接的な調節因子ではない非特異的経路を標的とした結果として、あまり効果的ではなかった。
【0004】
腫瘍性疾患のための新しい療法が必要である。
【発明の概要】
【0005】
一般に、本発明は、式(I)の化合物、
【0006】
【化1】
またはその薬学的に許容される塩であって、
式中、
Zが、CH、CR、またはNであり、
Yが、CHRまたはNRであり、
nが、0、1、2、または3であり、
が、-O-L-N(Rまたは任意に置換される、4員の飽和N-ヘテロシクリルであり、
が、Cアルキルであり、
各Rが独立して、ハロゲンであり、
が、任意に置換されるアルキルであり、
が、水素、任意に置換されるC1-3アルキル、またはベンジルオキシであり、
が、任意に置換されるC1-3アルキルであり、
各Rが独立して、Hまたは任意に置換されるC1-3アルキルであり、
Lが、任意に置換されるエチレンである、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態では、nは、1である。特定の実施形態では、化合物は、式(IA)の化合物、
【0008】
【化2】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0009】
特定の実施形態では、Rは、ハロゲン(例えば、フッ素)である。さらなる実施形態では、nは、0である。
【0010】
さらに別の実施形態では、化合物は、式(IB)の化合物、
【0011】
【化3】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0012】
さらなる実施形態では、Rは、-O-L-N(Rである。いくつかの実施形態では、1つのRは、Hであり、残りのRは、任意にC1-3アルキルである。特定の実施形態では、少なくとも1つのRは、イソプロピルである。特定の実施形態では、Rは、メチル、エチル、またはイソプロピルである。さらなる実施形態では、Rは、メチルである。さらに別の実施形態では、Rは、メチルである。さらに別の実施形態では、Yは、CHRである。さらなる実施形態では、Rは、水素である。他の実施形態では、Rは、任意に置換されるC1-3アルキルである。さらに他の実施形態では、Rは、ベンジルオキシである。さらに他の実施形態では、Yは、NRである。いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換されるCアルキルである。特定の実施形態では、Rは、イソプロピルである。
【0013】
特定の実施形態では、化合物は、
【0014】
【化4】
からなる群から選択され、及びその薬学的に許容される塩である。
【0015】
さらなる実施形態では、化合物は、以下の構造のもの、
【0016】
【化5】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0017】
さらに別の実施形態では、化合物は、以下の構造のもの、
【0018】
【化6】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0019】
さらなる実施形態では、化合物は、以下の構造のもの、
【0020】
【化7】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0021】
別の態様では、本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される賦形剤を含む、薬学的組成物を提供する。
【0022】
さらに別の態様では、本発明は、治療有効量の本発明の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本発明の薬学的組成物を、それを必要とする患者に投与することによって腫瘍性疾患(例えば、がん、例えば、本明細書に記載されるがん)を治療する方法を提供する。さらに別の態様では、本発明は、腫瘍性疾患(例えば、がん、例えば、本明細書に記載されるがん)の治療に使用するための薬学的組成物を提供する。薬学的組成物は、本発明の化合物を含む。さらなる態様では、本発明は、腫瘍性疾患(例えば、がん、例えば、本明細書に記載されるがん)の治療のための医薬の製造における本発明の化合物の使用を提供する。いくつかの実施形態では、腫瘍性疾患が、脳腫瘍、膀胱癌、乳癌、中枢神経系癌、頸部癌、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、消化管間質腫瘍、胃癌、頭頸部癌、頬癌、口癌、肝細胞癌、肺癌、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、唾液腺癌、肉腫、精巣癌、尿路上皮癌、外陰癌、またはウィルムス腫瘍である。さらなる実施形態では、腫瘍性疾患が、乳癌、肺癌、頭頸部癌、膵臓癌、直腸癌、膠芽腫、肝細胞癌、胆管癌、転移性肝病変、黒色腫、骨肉腫、軟部肉腫、子宮内膜癌、子宮頸癌、前立腺癌、またはメルケル細胞癌である。
【0023】
いくつかの実施形態では、患者が、放射線療法を受けている。特定の実施形態では、化合物または薬学的組成物が、放射線療法と同時に患者に投与される。特定の実施形態では、化合物または薬学的組成物が、放射線療法の前に患者に投与される。さらなる実施形態では、化合物または薬学的組成物が、放射線療法の後に患者に投与される。さらに別の実施形態では、放射線療法は、外部、内部、近接照射療法、または全身曝露、例えば、放射性核種(例えば、β放出放射性核種(例えば、32リン、67銅、77ブロミン、89ストロンチウム、90イットリウム、105ロジウム、131ヨウ素、137セシウム、149プロメテウム、153サマリウム、166ホルミウム、177ルテチウム、186レニウム、188レニウム、または199金)、α放出放射性核種(例えば、211アスタチン、213ビスマス、223ラジウム、225アクチニウム、または227トリウム)、γ線放出放射性核種(例えば、192イリジウム)、または電子捕獲放射性核種(例えば、67ガリウム、103パラジウム、または125ヨウ素))、抗体放射性核種抱合体(例えば、90Y-イブリツモマブチウキセタン、131I-トシツモマブ、225Ac-リンツズマブサテトラキセタン、227Th-アネツマブコリキセタン、90Y-エピツモマブシツキセタン、90Y-クリバツズマブテトラキセタン、177Lu-リロトマブサテトラキセタン、90Y-ロソパタマブテトラキセタン、90Y-タビツキシマブバルズキセタン、または90Y-タカツズマブテトラキセタン)、または別の標的放射性核種抱合体(例えば、131I-PSMA、90Y-PSMA、177Lu-PSMA、または177Lu-サテオチドテトラキセタン)による曝露を含む。好ましくは、放射線療法は、抗体放射性核種抱合体を投与することを含む。さらなる実施形態では、患者は、抗腫瘍剤を投与されている。他の実施形態では、抗腫瘍剤は、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、バルビシン、イダルビシン、カリケアマイシン、またはPARP阻害剤のうちの1つ以上である。さらに他の実施形態では、抗腫瘍剤は、抗腫瘍生物学的薬剤及び/または抗腫瘍免疫療法剤である。さらに他の実施形態では、化合物または薬学的組成物が、抗腫瘍剤と同時に患者に投与される。いくつかの実施形態では、化合物または薬学的組成物は、抗腫瘍剤の前に患者に投与される。特定の実施形態では、化合物または薬学的組成物は、抗腫瘍剤の後に患者に投与される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
定義
本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためであり、制限するように意図されないことを理解されたい。さらに、本明細書に記載されるものと同様または同等の任意の方法、デバイス、及び材料は、本発明の実施または試験に使用され得るが、好ましい方法、デバイス、及び材料が、次に説明される。前述のものに加えて、本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、反対に指定されない限り、以下の用語は、次に示された意味を有する。
「アミノ」は、-NHラジカルを指す。
「シアノ」は、-CNラジカルを指す。
「ヒドロキシル」は、-OHラジカルを指す。
「イミノ」は、=NH置換基を指す。
「ニトロ」は、-NOラジカルを指す。
「オキソ」は、=O置換基を指す。
「チオキソ」は、=S置換基を指す。
「トリフルオロメチル」は、-CFラジカルを指す。
【0025】
「アルキル」は、1~12個の炭素原子、好ましくは1~8個の炭素原子または1~6個の炭素原子を有する、直鎖状、飽和、非環式、一価炭化水素ラジカルまたは分岐鎖状、飽和、非環式、一価炭化水素ラジカルを指し、単結合、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソ-プロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシルなどによって分子の残りの部分と結合する。任意に置換されるアルキルラジカルは、ハロ、シアノ、ニトロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、オキソ、トリメチルシラニル、-OR14、-OC(O)-R14、-N(R14、-C(O)R15、-C(O)OR14、-C(O)N(R14、-N(R14)C(O)OR16、-N(R14)C(O)R16、-N(R14)S(O)16(tは1または2である)、-S(O)OR16(tは1または2である)、-S(O)16(pは0、1、または2である)及び-S(O)N(R14(tは1または2である)からなる群から独立して選択される、原子価が許せば、1、2、3、4、または5個の置換基によって任意に置換されるアルキルラジカルであり、各R14は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、各R15は、独立して、水素、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、各R16は、独立して、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールである。
【0026】
「アルケニル」は、2~12個の炭素原子、好ましくは2~8個の炭素原子を有する、1つ、2つ、または3つの炭素-炭素二重結合を含む、直鎖状、非環式、一価炭化水素ラジカル、または分岐鎖状、非環式、一価炭化水素ラジカルを指し、これは、単結合、例えば、エテニル、プロプ-1-エニル、ブト-1-エニル、ペント-1-エニル、ペンタ-1,4-ジエニルなどによって分子の残りの部分と結合する。任意に置換されるアルケニルラジカルは、ハロ、シアノ、ニトロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、オキソ、トリメチルシラニル、-OR14、-OC(O)-R14、-N(R14、-C(O)R15、-C(O)OR14、-C(O)N(R14、-N(R14)C(O)OR16、-N(R14)C(O)R16、-N(R14)S(O)16(tは1または2である)、-S(O)OR16(tは1または2である)、-S(O)16(pは0、1、または2である)及び-S(O)N(R14(tは1または2である)からなる群から独立して選択される、原子価が許せば、1、2、3、4、または5個の置換基によって任意に置換されるアルケニルラジカルであり、各R14は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、各R15は、独立して、水素、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、各R16は、独立して、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールである。
【0027】
「アルキニル」は、1つまたは2つの炭素-炭素三重結合、及び任意に1つ、2つ、または3つの炭素-炭素二重結合を含む、2~12個の炭素原子、好ましくは2~8個の炭素原子を有する、直鎖状、非環式、一価炭化水素ラジカル、または分岐鎖状、非環式、一価炭化水素ラジカルを指し、これは、単結合、例えば、エチニル、プロプ-1-イニル、ブト-1-イニル、ペント-1-イニル、ペンタ-1-エン-4-イニルなどによって分子の残りの部分と結合する。任意に置換されるアルキニルラジカルは、ハロ、シアノ、ニトロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、オキソ、トリメチルシラニル、-OR14、-OC(O)-R14、-N(R14、-C(O)R15、-C(O)OR14、-C(O)N(R14、-N(R14)C(O)OR16、-N(R14)C(O)R16、-N(R14)S(O)16(tは1または2である)、-S(O)OR16(tは1または2である)、-S(O)16(pは0、1、または2である)及び-S(O)N(R14(tは1または2である)からなる群から独立して選択される、1、2、3、4、または5つの置換基によって任意に置換されるアルキニルラジカルであり、各R14は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、各R15は、独立して、水素、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、各R16は、独立して、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールである。
【0028】
「アルキレン」または「アルキレン鎖」は、1~12個の炭素原子、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレンなどを有する、直鎖状、非環式、飽和、二価炭化水素鎖、または分枝鎖状、非環式、飽和、二価炭化水素鎖を指す。アルキレン鎖は、単結合を通じて結合している。アルキレン鎖の結合点は、アルキレン鎖内の同じ炭素原子上または異なる炭素原子上にあってもよい。任意に置換されるアルキレン鎖は、ハロ、シアノ、ニトロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、オキソ、トリメチルシラニル、-OR14、-OC(O)-R14、-N(R14、-C(O)R15、-C(O)OR14、-C(O)N(R14、-N(R14)C(O)OR16、-N(R14)C(O)R16、-N(R14)S(O)16(tは1または2である)、-S(O)OR16(tは1または2である)、-S(O)16(pは0、1、または2である)及び-S(O)N(R14(tは1または2である)からなる群から独立して選択される、原子価が許せば、1、2、3、4、または5個の置換基によって任意に置換されるアルキレン鎖であり、各R14は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、各R15は、独立して、水素、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、各R16は、独立して、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、アルキレンは、エチレンである。
【0029】
「アルケニレン」または「アルケニレン鎖」は、1つ、2つ、または3つの炭素-炭素二重結合を含み、2~12個の炭素原子、例えば、エテニレン、プロペニレン、n-ブテニレンなどを有する、直鎖状、非環式、二価炭化水素鎖、または分岐鎖状、非環式、二価炭化水素鎖を指す。アルケニレン鎖は、単結合を通じて結合している。アルケニレン鎖の結合点は、アルケニレン鎖内の同じ炭素原子上または異なる炭素原子上にあってもよい。任意に置換されるアルケニレン鎖は、ハロ、シアノ、ニトロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、オキソ、トリメチルシラニル、-OR14、-OC(O)-R14、-N(R14、-C(O)R15、-C(O)OR14、-C(O)N(R14、-N(R14)C(O)OR16、-N(R14)C(O)R16、-N(R14)S(O)16(tは1または2である)、-S(O)OR16(tは1または2である)、-S(O)16(pは0、1、または2である)及び-S(O)N(R14(tは1または2である)からなる群から独立して選択される、原子価が許せば、1、2、3、4、または5個の置換基によって任意に置換されるアルケニレン鎖であり、各R14は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、各R15は、独立して、水素、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、各R16は、独立して、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールである。
【0030】
「アルキニレン」または「アルキニレン鎖」は、1つまたは2つの炭素-炭素三重結合、及び任意に1つ、2つ、または3つの炭素-炭素二重結合を含み、2~12個の炭素原子、例えば、プロピニレン、n-ブチニレンなどを有する、直鎖状、非環式、二価、炭化水素鎖、または分岐鎖状、非環式、二価炭化水素鎖を指す。アルキニレン鎖は、単結合を通じて結合している。アルキニレンの結合点は、アルキニレン鎖内の同じ炭素原子上または異なる炭素原子上にあってもよい。任意に置換されるアルキニレン鎖は、ハロ、シアノ、ニトロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、オキソ、トリメチルシラニル、-OR14、-OC(O)-R14、-N(R14、-C(O)R15、-C(O)OR14、-C(O)N(R14、-N(R14)C(O)OR16、-N(R14)C(O)R16、-N(R14)S(O)16(tは1または2である)、-S(O)OR16(tは1または2である)、-S(O)16(pは0、1、または2である)及び-S(O)N(R14(tは1~2である)からなる群から独立して選択される、1、2、3、4、または5個の置換基によって任意に置換されるアルキニレン鎖であり、各R14は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、各R15は、独立して、水素、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、各R16は、独立して、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールである。
【0031】
「アルコキシ」は、式-ORのラジカルを指し、式中、Rは、1~12個の炭素原子を含む上記で定義されたアルキルラジカルである。任意に置換されるアルコキシラジカルのアルキル部分は、アルキルラジカルについて上で定義されたように任意に置換される。
【0032】
「アルコキシアルキル」は、式-R-O-Rのラジカルを指し、式中、上で定義されたように、Rは、アルキレンであり、及びRは、アルキルである。任意に置換されるアルコキシアルキルラジカルのアルキル及びアルキレン部分は、それぞれ、アルキルラジカル及びアルキレン鎖について上で定義されたように任意に置換される。
【0033】
「アラルキル」は、式-R-Rのラジカルを指し、式中、本明細書に記載されるように、Rは、アルキレンであり、及びRは、アリールである。任意に置換されるアラルキルのアルキレン及びアリール部分は、それぞれ、アルキレン及びアリールについて本明細書に記載されるように任意に置換される。
【0034】
「アリール」は、6~18個の炭素原子を含む芳香族単環式または多環式の炭化水素環系ラジカルを指し、多環式アリール環系は、二環式、三環式、または四環式環系である。アリールラジカルは、フルオレニル、フェニル、及びナフチルを含むが、これらに限定されない。任意に置換されるアリールは、アルキル、アケニル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、-R15-OR14、-R15-OC(O)-R14、-R15-N(R14、-R15-C(O)R14、-R15-C(O)OR14、-R15-C(O)N(R14、-R15-N(R14)C(O)OR16、-R15-N(R14)C(O)R16、-R15-N(R14)S(O)16(tは1または2である)、-R15-S(O)OR16(tは1または2である)、-R15-S(O)16(pは0、1、または2である)、及び-R15-S(O)N(R14(tは1または2である)からなる群から独立して選択される、1、2、3、4、または5つの置換基によって任意に置換されるアリールラジカルであり、各R14は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、各R15は、独立して、直接結合または直鎖状もしくは分岐鎖状アルキレンまたはアルケニレン鎖であり、各R16は、独立して、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールである。
【0035】
「アリールアルコキシ」は、式-O-Rの基を指し、式中、Rはアラルキルである。任意に置換されるアリールアルコキシは、本明細書に記載されるようにアラルキルについて任意に置換されるアリールアルコキシである。いくつかの実施形態では、アリールアルコキシは、ベンジルオキシである。
【0036】
「シクロアルキル」は、3~15個の炭素原子を有する、好ましくは3~10個の炭素原子を有する安定な非芳香族単環式または多環式炭化水素ラジカルを指し、それは飽和または不飽和であり、単結合で分子の残りの部分と結合する。多環式炭化水素ラジカルは、二環式、三環式、または四環式の環系である。不飽和シクロアルキルは、1つ、2つ、または3つの炭素-炭素二重結合及び/または1つの炭素-炭素三重結合を含む。単環式シクロアルキルラジカルは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルを含む。多環式シクロアルキルラジカルには、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニルなどが含まれる。任意に置換されるシクロアルキルは、アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、オキソ、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-R15-OR14、-R15-OC(O)-R14、-R15-N(R14、-R15-C(O)R14、-R15-C(O)OR14、-R15-C(O)N(R14、-R15-N(R14)C(O)OR16、-R15-N(R14)C(O)R16、-R15-N(R14)S(O)16(tは1または2である)、-R15-S(O)OR16(tは1または2である)、-R15-S(O)16(pは0、1、または2である)及び-R15-S(O)N(R14(tは1または2である)からなる群から独立して選択される、1、2、3、4、または5つの置換基によって任意に置換されるシクロアルキルラジカルであり、各R14は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、各R15は、独立して、直接結合または直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレンまたはアルケニレン鎖であり、各R16は、独立して、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールである。
【0037】
「縮合」は、本発明の化合物の既存の環構造に縮合した、本明細書に記載される任意の環系を指す。縮合環系がヘテロシクリルまたはヘテロアリールである場合、縮合環系の一部となる既存の環構造上の任意の炭素原子は、窒素原子で置き換えられることができる。
【0038】
「ハロ」は、ハロゲン置換基:ブロモ、クロロ、フルオロ、及びヨードを指す。
【0039】
「ハロアルキル」は、上で定義されたように、1つ以上のハロゲン置換基によってさらに置換されるアルキルラジカルを指す。ハロアルキルに含まれるハロ置換基の数は、1から、及びハロ置換基(例えば、パーフルオロアルキル)での置き換えのために利用可能な水素原子の総数までである。ハロアルキルの非限定的な例は、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1-フルオロメチル-2-フルオロエチル、3-ブロモ-2-フルオロプロピル、1-ブロモメチル-2-ブロモエチルなどを含む。任意に置換されるハロアルキルについて、ハロアルキルラジカルのアルキル部分の炭素原子に結合した水素原子は、任意に置換されるアルキルについて上で定義されたように置換基で任意に置き換えられることができる。
【0040】
「ハロアルケニル」は、上で定義されたように、1つ以上のハロ置換基によってさらに置換されているアルケニルラジカルを指す。ハロアルケニルに含まれるハロ置換基の数は、1から、及びハロ置換基(例えば、パーフルオロアルケニル)での置き換えのために利用可能な水素原子の総数までである。ハロアルケニルの非限定的な例は、2,2-ジフルオロエテニル、3-クロロプロプ-1-エニルなどを含む。任意に置換されるハロアルケニルについて、ハロアルケニルラジカルのアルケニル部分の炭素原子に結合した水素原子は、任意に置換されるアルケニル基について上で定義されたように置換基で任意に置き換えられ得る。
【0041】
「ハロアルキニル」は、上で定義されたように、1つ以上のハロ置換基によってさらに置換されているアルキニルラジカルを指す。ハロアルキニルに含まれるハロ置換基の数は、1から、及びハロ置換基(例えば、パーフルオロアルキニル)での置き換えのために利用可能な水素原子の総数までである。ハロアルキニルの非限定的な例は、3-クロロプロプ-1-イニルなどを含む。ハロアルキニルラジカルのアルキニル部分は、アルキニル基について上で定義されたように、追加的に任意に置換され得る。
【0042】
「ヘテロアリールアルキル」は、式-R-Rのラジカルを指し、式中、本明細書に記載されるように、Rは、アルキレンであり、及びRは、ヘテロアリールである。任意に置換されるヘテロアリールアルキルのアルキレン及びヘテロアリール部分は、それぞれアルキレン及びヘテロアリールについて本明細書に記載されるように任意に置換されている。
【0043】
「ヘテロシクリル」は、2~12の炭素数を有し、窒素、酸素、リン、及び硫黄からなる群から独立して選択される1~6個のヘテロ原子の合計を含む、安定な3~18員の非芳香族環系ラジカルを指す。ヘテロシクリルラジカルは、単環式、二環式、三環式、または四環式の環系である。二環式、三環式、または四環式のヘテロシクリルは、縮合、スピロ、及び/または架橋環系である。ヘテロシクリルラジカルは、飽和または不飽和であり得る。不飽和ヘテロシクリルは、1つ、2つ、または3つの炭素-炭素二重結合及び/または1つの炭素-炭素三重結合を含む。任意に置換されるヘテロシクリルは、アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、オキソ、チオキソ、ニトロ、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-R15-OR14、-R15-OC(O)-R14、-R15-N(R14、-R15-C(O)R14、-R15-C(O)OR14、-R15-C(O)N(R14、-R15-N(R14)C(O)OR16、-R15-N(R14)C(O)R16、-R15-N(R14)S(O)16(tは1または2である)、-R15-S(O)OR16(tは1または2である)、-R15-S(O)16(pは0、1、または2である)及び-R15-S(O)N(R14(tは1または2である)からなる群から独立して選択される、1、2、3、4、または5つの置換基によって任意に置換されるヘテロシクリルラジカルであり、各R14は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、各R15は、独立して、直接結合または直鎖状もしくは分岐鎖状アルキレンまたはアルケニレン鎖であり、各R16は、独立して、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールである。ヘテロシクリルラジカル中の窒素、炭素、または硫黄原子は、任意に酸化され得る(置換基がオキソであり、ヘテロ原子上に存在する場合)、窒素原子は任意に四級化され得る(置換基が、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-R15-OR14、-R15-OC(O)-R14、-R15-N(R14、-R15-C(O)R14、-R15-C(O)OR14、-R15-C(O)N(R14、-R15-N(R14)C(O)OR16、-R15-N(R14)C(O)R16、-R15-N(R14)S(O)16(tは1または2である)、-R15-S(O)OR16(tは1または2である)、-R15-S(O)16(pは、0、1、または2である)、及び-R15-S(O)N(R14(tは1または2である)であり、R15は、直鎖状または分岐鎖状アルキレンまたはアルケニレン鎖であり、R14及びR16は、上述の通りである場合)。任意に置換されるヘテロシクリルラジカルの例は、アゼチジニル、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル、及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニルを含むが、これらに限定されない。
【0044】
「ヘテロシクリレン」とは、1個の水素原子が原子価で置き換えられたヘテロシクリルを指す。任意に置換されるヘテロシクリレンは、ヘテロシクリルについて本明細書に記載されるように任意に置換されている。
【0045】
「ヘテロアリール」とは、少なくとも1つの芳香環を含み、1~17個の炭素原子の炭素数を有し、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から独立して選択される合計1~10個のヘテロ原子を含む、5~18員の環系ラジカルを指す。ヘテロアリールラジカルは、単環式、二環式、三環式、または四環式の環系である。二環式、三環式、または四環式ヘテロアリールラジカルは、縮合及び/または架橋環系である。任意に置換されるヘテロアリールは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、オキソ、チオキソ、ニトロ、オキソ、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキル、-R15-OR14、-R15-OC(O)-R14、-R15-N(R14、-R15-C(O)R14、-R15-C(O)OR14、-R15-C(O)N(R14、-R15-N(R14)C(O)OR16、-R15-N(R14)C(O)R16、-R15-N(R14)S(O)16(tは1または2である)、-R15-S(O)OR16(tは1または2である)、-R15-S(O)16(pは0、1、または2である)及び-R15-S(O)N(R14(tは1または2である)からなる群から独立して選択される、1、2、3、4、または5つの置換基によって任意に置換されるヘテロアリールラジカルであり、各R14は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、各R15は、独立して、直接結合または直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレンまたはアルケニレン鎖であり、各R16は、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールである。ヘテロアリール中の少なくとも1つの環は芳香族のままであるという条件で、ヘテロシクリルラジカル中の窒素、炭素、または硫黄原子は、任意に酸化され得(置換基が、オキソであり、ヘテロ原子上に存在する場合)、ヘテロアリール中の少なくとも1つの環は芳香族のままであるという条件で、窒素原子は、任意に四級化され得る(置換基が、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-R15-OR14、-R15-OC(O)-R14、-R15-N(R14、-R15-C(O)R14、-R15-C(O)OR14、-R15-C(O)N(R14、-R15-N(R14)C(O)OR16、-R15-N(R14)C(O)R16、-R15-N(R14)S(O)16(tは1または2である)、-R15-S(O)OR16(tは1または2である)、-R15-S(O)16(pは、0、1、または2である)、及び-R15-S(O)N(R14(tは1または2である)であり、R15は、直鎖状または分岐鎖状アルキレンまたはアルケニレン鎖であり、R14及びR16は、上記で定義した通りである場合)。任意に置換されるヘテロアリールラジカルの例は、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ベンジンドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソキサゾリル、ナフチル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル及びチオフェニル(すなわち、チエニル)を含むが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書に開示される本発明はまた、異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられる1個以上の原子によって同位体標識されている式(I)のすべての薬学的に許容される化合物を包含するように意味される。開示される化合物中に組み込まれ得る同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位体、例えば、それぞれ、H、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、及び125Iを含む。これらの放射標識された化合物は、例えば、ATM及びDNA-PK酵素上の作用部位もしくは作用様式、またはATM及びDNA-PK酵素上の薬理学的に重要な作用部位に対する結合親和性を特徴付けることによって、化合物の有効性を決定または測定することを助けるのに有用であり得る。特定の同位体標識された式(I)の化合物、例えば、放射性同位体を組み込むものは、薬物及び/または基質組織分布研究に有用である。放射性同位体トリチウム、すなわち、H及び炭素-14、すなわち、14Cは、それらの組み込みの容易さ及び即時検出手段を考慮して、この目的に特に有用である。
【0047】
重水素、すなわち、Hなどのより重い同位体での置換は、より大きな代謝安定性、例えば、増加したインビボ半減期のまたは低下した投与量要件から生じるある特定の治療上の利点をもたらす場合があり、したがって、いくつかの状況では、好ましい場合がある。
【0048】
11C、18F、15O及び13Nなどのポジトロン放出同位体での置換は、基質受容体占有を検査するためのポジトロン放出断層撮影(PET)研究において有用であり得る。同位体標識された式(I)の化合物は、一般に、当業者に既知の従来の技法によって、または前に用いられた標識されていない試薬の代わりに適切な同位体標識された試薬を使用する、以下に記述される実施例及び調製に記載されるものに類似するプロセスによって、調製され得る。
【0049】
本明細書に開示される本発明はまた、開示される化合物のインビボ代謝生成物を包含するように意味される。そのような生成物は、主に酵素プロセスによる、例えば、投与される化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化などから生じることができる。したがって、本発明は、本発明の化合物を、その代謝生成物を生じるのに十分な期間、哺乳動物と接触させることを含むプロセスによって生成される化合物を含む。そのような生成物は、典型的には、本発明の放射標識された化合物を検出可能な用量で、ラット、マウス、モルモット、イヌ、サル、またはヒトなどの動物に投与することと、代謝が生じるのに十分な時間をおくことと、その変換生成物を尿、血液、または他の生物学的試料から単離することと、によって特定される。
【0050】
「安定な化合物」及び「安定な構造」は、反応混合物からの有用な純度までの単離、及び有効な治療薬への製剤化を耐えるために十分に頑強である化合物を示すように意味される。
【0051】
「哺乳動物」は、ヒトと、実験動物及び家庭用ペットなどの家畜(例えば、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギ)、ならびに野生動物などの非家畜の両方などを含む。
【0052】
「任意の」または「任意に」は、続いて記載される状況の事象が起こり得るか、または起こり得ないことと、その記載が、該事象または状況が起こる場合及びそれが起こらない場合を含むことと、を意味する。例えば、「任意に置換されるアリール」は、アリールラジカルが置換され得るか、または置換され得ないことと、記載が置換されるアリールラジカル及び置換を有しないアリールラジカルの両方を含むことと、を意味する。
【0053】
「患者」とは、患者からの試料(複数可)の当技術分野での試験(複数可)において既知であるかどうかにかかわらず、有資格の専門家(例えば、医師、看護師、または獣医)によって決定される、疾患または状態に罹患しているヒトまたは非ヒト動物(例えば、哺乳動物)を意味する。
【0054】
「薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤」は、限定なく、ヒトまたは家畜における使用が許容されるものとして米国食品医薬品局から承認を受けている、任意の補助剤、担体、賦形剤、滑剤、甘味剤、希釈剤、保存剤、色素/着色剤、風味向上剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定剤、等張化剤、溶媒、または乳化剤を含む。
【0055】
「薬学的に許容される塩」は、本明細書で使用される場合、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずに、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに好適であり、合理的な利益/リスク比に見合った塩を表す。薬学的に許容される塩は、当該技術分野で周知である。例えば、薬学的に許容される塩は、Berge et al.,J.Pharmaceutical Sciences 66:1-19,1977及びPharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use(Eds.P.H.Stahl and C.G.Wermuth),Wiley-VCH,2008に記載される。薬学的に許容される塩は、酸性付加塩及び塩基性付加塩を含む。
【0056】
「薬学的に許容される酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的または他の点で望ましくないものでなく、例えば、これらに限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、これらに限定されないが、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ショウノウ酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸などの有機酸を用いて形成される、これらの塩を指す。
【0057】
「薬学的に許容される塩基付加塩」は、遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持し、かつ生物学的または他の点でも望ましくないものでないそれらの塩を示す。これらの塩は、遊離酸への無機塩基または有機塩基の付加から調製される。無機塩基に由来する塩は、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩などを含むが、これらに限定されない。好ましい無機塩は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウム塩である。有機塩基に由来する塩は、一級、二級及び三級アミン、天然置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えば、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などを含むが、これらに限定されない。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン及びカフェインである。
【0058】
多くの場合、結晶化は、本発明の化合物の溶媒和物を生成する。本明細書で使用される場合、「溶媒和物」という用語は、1つ以上の溶媒分子と共に本発明の化合物のうちの1つ以上の分子を含む凝集体を指す。溶媒は水であり得、その場合、溶媒和物は、水和物であり得る。あるいは、溶媒は、有機溶媒であり得る。したがって、本発明の化合物は、一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物などを含む水和物、同様に、対応する溶媒和形態として存在し得る。本発明の化合物は真の溶媒和物であり得る一方、他の場合では、本発明の化合物は、単に不定水を保持するか、または水といくつかの不定溶媒の混合物である場合がある。
【0059】
「薬学的組成物」は、本発明の化合物の製剤、及び生物活性化合物の哺乳動物、例えば、ヒトへの送達のために当技術分野で一般に受け入れられる媒体を指す。そのような媒体は、そのためのすべての薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む。
【0060】
「治療有効量」は、哺乳動物、好ましくはヒトに投与される場合、哺乳動物、好ましくはヒトまたはイヌにおいて、以下に定義されるように治療を行うのに十分である本発明の化合物の量を指す。「治療有効量」を構成する本発明の化合物、または別の薬学的薬剤(例えば、抗腫瘍剤)の量は、化合物、状態及びその重症度、投与様式、ならびに治療される哺乳動物の年齢に応じて変動するが、自身の知識及び本開示に関心を有する当業者によって日常的に決定され得る。
【0061】
本明細書で使用される「治療すること」または「治療」は、目的の疾患または状態を有する哺乳動物、好ましくはヒトにおける目的の疾患または状態の治療に及び、
(i)特に、そのような哺乳動物が状態になりやすいが、まだそれを有していると診断されていない場合、哺乳動物において疾患または状態が発生するのを防ぐこと、
(ii)疾患または状態を阻害すること、すなわち、その発症を阻止すること、
(iii)疾患または状態を緩和すること、すなわち、疾患または状態の退行を引き起こすこと、または
(iv)疾患または状態から生じる症状を緩和すること、すなわち、根底にある疾患または状態に対処することなく痛みを緩和することを含む。本明細書で使用される場合、「疾患」及び「状態」という用語は、交換可能に使用され得るか、または特定の病弊または状態が既知の原因物質を有することができないという点で異なる場合があり(そのため、病因はまだ解明されていない)、したがって、それは、まだ疾患として認識されていないが、望ましくない状態または症候群としてのみ認識されており、特定の症状のセットは、臨床医によって多かれ少なかれ特定されている。
【0062】
本発明の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩は、1つ以上の非対称中心を含むことができ、したがって、絶対立体化学に関して、(R)-もしくは(S)-として、または(D)-もしくは(L)-として、アミノ酸について定義され得る鏡像異性体、ジアステレオマー、及び他の立体異性体形態を生じさせることができる。本発明は、すべてのそのような可能な異性体、同様にそれらのラセミ形態及び任意に純粋な形態を含むように意味される。光学的に活性な(+)及び(-)、(R)-及び(S)-、または(D)-及び(L)-異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を使用して調製され得るか、または従来の技法、例えば、クロマトグラフィー及び分別再結晶を使用して分割され得る。個々の鏡像異性体の調製/単離のための従来技法は、好適な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または、例えば、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用する、ラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割を含む。本明細書に説明される化合物がオレフィン二重結合または他の幾何学的不斉中心を含む場合、かつ別段指定されない限り、化合物はE及びZ幾何異性体の両方を含むことが、意図される。同様に、すべての互変異形態はまた、含まれるように意図される。
【0063】
「立体異性体」は、同じ結合によって結合した同じ原子からなるが、互換性のない異なる三次元構造を有する化合物を指す。本発明は、様々な立体異性体及びそれらの混合物を企図し、「鏡像異性体」を含み、これは、分子が互いに重ね合わせることができない鏡像である2つの立体異性体を指す。
【0064】
「互変異性体」は、分子の1個の原子から同じ分子の別の原子への陽子シフトを指す。本発明は、任意の該化合物の互変異性体を含む。
【0065】
また、本発明の範囲内に、式(I)の中間化合物、ならびに前述の種及びその晶癖のすべての多形がある。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】放射線を伴うまたは伴わずに、MCF7細胞に対する化合物569の効果を評価する代表的な実験からの免疫ブロットの画像である。
図2】放射線を伴うまたは伴わずに、ビヒクル(DMSO)または化合物569への曝露後のMCF7細胞生存率を調べたクローン発生生存アッセイの結果を示すグラフである。
図3】野生型p53を発現するHCT116細胞またはp53発現が陰性であったHCT116細胞における、化合物569、選択的ATM阻害剤(ATMi)、選択的DNA-PK阻害剤(DNA-PKi)、及び選択的ATM阻害剤と選択的DNA-PK阻害剤(Ai+Di)との組み合わせによるTBK1のリン酸化の誘導を示す免疫ブロットの画像である。図3において、p.ATM、p.DNA-PK、p.TBK1、及びp.STINGは、それぞれ、ATM、DNA-PK、TBK1、及びSTINGのリン酸化形態を示す。
図4】FADU頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)ヒト腫瘍異種移植片における化合物569による、DNA-PKキナーゼの放射線誘導性自己リン酸化及びATM基質であるKAP1の放射線誘導性リン酸化の阻害を示す免疫ブロットである。図4において、pDNA-PK及びpKAP1は、それぞれ、DNA-PK及びKAP1のリン酸化形態を示す。
図5】MDA-MB-231乳癌ヒト腫瘍異種移植片における化合物569による、DNA-PKキナーゼの放射線誘導性自己リン酸化及びATM基質であるKAP1の放射線誘導性リン酸化の阻害を示す免疫ブロットである。図5において、pDNA-PK及びpKAP1は、それぞれ、DNA-PK及びKAP1のリン酸化形態を示す。
図6】化合物569及び/またはIR、qd×3を用いたFADU皮下ヒト異種移植マウスモデルの投薬を示す。研究における各群の経時的な相対腫瘍体積の中央値を示す。図6において、「569」は、化合物569を意味し、「Veh」は、ビヒクルを意味し、「Rad」は、放射線を意味する。
図7】化合物569及び/またはIR、qd×3をFADU皮下ヒト異種移植マウスモデルに投与した各群についてのカプランマイヤーの5倍無生存を表す。図7において、「569」は、化合物569を意味し、「Veh」は、ビヒクルを意味し、「Rad」は、放射線を意味する。
図8】化合物569及び/またはIR、qd×3を用いたMDA-MB-231皮下ヒト異種移植マウスモデルの投薬を示す。研究における各群の経時的な相対腫瘍体積の中央値を示す。図8において、「569」は、化合物569を意味し、「Veh」は、ビヒクルを意味し、「Rad」は、放射線を意味する。
図9】化合物569及び/またはIR、qd×3をMDA-MB-231皮下ヒト異種移植マウスモデルに投与した各群についてのカプランマイヤーの5倍無生存データを表す。図9において、「569」は、化合物569を意味し、「Veh」は、ビヒクルを意味し、「Rad」は、放射線を意味する。
【0067】
化合物、組成物、及び方法
本発明は、腫瘍性疾患(例えば、がん、例えば、本明細書に記載されるがん)の治療において、例えば、単独で、または放射線療法及び/または抗腫瘍療法と組み合わせて有用であり得る化合物ならびに組成物を提供する。化合物は、式(I)の化合物、
【0068】
【化8】
またはその薬学的に許容される塩であって、
式中、
Zが、CH、CR、またはNであり、
Yが、CHRまたはNRであり、
nが、0、1、2、または3であり、
が、-O-L-N(Rまたは任意に置換される、4員の飽和N-ヘテロシクリルであり、
が、Cアルキルであり、
各Rが独立して、ハロゲンまたは任意に置換されるC1-3アルキルであり、
が、任意に置換されるアルキルであり、
が、水素、任意に置換されるC1-3アルキル、またはベンジルオキシであり、
が、任意に置換されるC1-3アルキルであり、
各Rが独立して、Hまたは任意に置換されるC1-3アルキルであり、
Lが、任意に置換されるエチレンである、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩であり得る。
【0069】
有利なことに、本発明の化合物(例えば、化合物568、569、または570)は、ATM及びDNA-PKに対して優れた阻害活性を示し得る。有利なことに、本発明の化合物(例えば、化合物568、569、または570)は、オフターゲット活性を低減させること(例えば、mTOR阻害、PI3K α/δ阻害、及び/またはhERG阻害)によって測定される場合、優れた選択性を示し得る。例えば、本発明の化合物(例えば、化合物568、569、または570)は、ATM IC50またはDNA-PK IC50よりも少なくとも10倍(例えば、少なくとも20倍)大きいmTOR IC50を有し得る。本発明の化合物(例えば、化合物568、569、または570)は、10nM以上(例えば、>100nM)のmTOR IC50を有し得る。追加的または代替的に、本発明の化合物(例えば、化合物568、569、または570)は、同じ化合物濃度で測定した場合、ATM IC50またはDNA-PK IC50よりも少なくとも100倍(例えば、少なくとも500倍、少なくとも1000倍、または少なくとも3000倍)大きいhERG IC50を有し得る。本発明の化合物(例えば、化合物568、569、または570)は、3μM以上(例えば、10μM以上)のhERG IC50を有し得る。
【0070】
有利なことに、本発明の化合物(例えば、化合物568、569、または570)は、優れた薬物動態特性(例えば、Cmax、AUC、及び/またはt1/2)を示し得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、化合物は、以下からなる群から選択される:
【0072】
【表1】
【0073】
本発明の化合物は、それらがATM(毛細血管拡張性運動失調症変異)及びDNA-PKキナーゼを阻害することができるという点で有利である。特に、ATM(毛細血管拡張性運動失調症変異)及びDNA-PKキナーゼは、DNA破壊に対する細胞応答の重要な調節因子であり、これらの分子のいずれかを阻害すると、電離放射線に対する細胞の感受性が著しく増加する。したがって、本発明の化合物は、腫瘍性疾患(例えば、がん、例えば、本明細書に記載されるそれらのがん)の治療のための効果的な治療を提供するために、放射線の有無にかかわらず、及び化学療法または免疫療法の有無にかかわらず、ATM及びDNA-PKの作用の効果的な阻害剤となり得る。本発明の化合物による患者の治療は、放射線療法によるDNA損傷の修復を遅延または排除することができる。結果として、本発明の化合物を受容する患者は、抗腫瘍療法により良い応答を示し得る。有利なことに、本発明の化合物を受容する患者は、標準用量の放射線療法から腫瘍制御を増加させることによって、または本発明の化合物を受容してない患者において通常使用されるよりも低い用量の電離放射線から同様のレベルの腫瘍制御を達成することによって、治療的利益を導き出すことができる。有利なことに、より低い用量の電離放射線は、本発明の化合物を受容してない患者に必要な用量よりも非がん性組織に対する損傷が低下し得る。
【0074】
それぞれ毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)キナーゼ及びDNA依存性タンパク質キナーゼ(DNA-PK)をコードする、ATMまたはPRKDC遺伝子に機能喪失型変異を有するヒト及びマウスは、電離放射線に対して過敏性である。ATMキナーゼ及びDNA-PKキナーゼを一緒に阻害すると、腫瘍細胞を放射線またはDNA損傷剤(例えば、抗腫瘍剤)に感作させるのに有効であり得る。ATM及びDNA-PKキナーゼの二重阻害の有効性は、そのいずれかのキナーゼの阻害よりも優位であり得る。
【0075】
加えて、本発明の化合物は、有利に、他のキナーゼ(ATR及びmTOR)の低減された阻害を示し得、したがって、低減された毒性を示し得る。
【0076】
本発明の化合物は、放射線及び/または抗腫瘍剤に対して腫瘍細胞を感作し得る。
【0077】
方法
別の態様では、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトまたはイヌにおける腫瘍性疾患(例えば、がん)の治療のための方法を提供し、方法は、本発明の治療有効量の化合物を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む。いくつかの実施形態では、化合物は、放射線療法を受けている哺乳動物に投与される。
【0078】
別の態様において、本発明は、哺乳動物における腫瘍性疾患(例えば、がん)の治療のための方法を提供し、方法は、本発明の治療有効量の化合物を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む。いくつかの実施形態では、化合物は、DNA損傷剤と組み合わせて哺乳動物に投与される。DNA損傷剤の非限定的な例は、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、バルルビシン、イダルビシン、カリケアマイシン、PARP阻害剤を含む。
【0079】
別の態様では、本発明は、本発明の化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。一実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容される担体中に、動物、好ましくは哺乳動物の腫瘍性疾患を治療するのに有効な量の本発明の化合物を含む。
【0080】
本発明の化合物は、併用療法で使用される場合、他の治療の用量を低減させることが可能な場合、他の放射線療法または薬物療法の効力を増加させることができ、これにより、他の薬物療法に関連する有害事象の頻度及び/または重症度が低減され得る。例えば、放射線の副作用(例えば、口腔もしくは胃腸粘膜炎、皮膚炎、間質性肺炎、または疲労)は、本発明の化合物を用いずに完全用量の放射線療法を受けている患者に対して、本発明の化合物及び低減された用量の放射線療法を含む併用療法を受けている患者において低減され得る(例えば、有害事象の発生率は、少なくとも1%、5%、10%、または20%低減され得る)。追加的に、本発明の化合物を用いずに完全用量の放射線療法を受けている患者に対して、本発明の化合物及び低減された用量の放射線療法を含む併用療法を受けている患者において低減し得る他の有害事象(例えば、有害事象の発生率は、少なくとも1%、5%、10%、または20%低減され得る)は、放射線の晩期障害、例えば、放射線誘発性肺線維症、心臓損傷、腸閉塞、神経損傷、血管損傷、リンパ浮腫、脳壊死、または放射線誘発性がんであり得る。同様に、化合物が別の抗がん剤(例えば、本明細書に記載されるもの)との併用療法で投与される場合、併用療法は、他の抗がん剤の用量が低下する場合でも、同じまたはさらに増加した腫瘍細胞死を引き起こし得る。したがって、他の抗がん剤の投与量を減らすと、他の抗がん剤によって引き起こされる有害事象の重症度が低減し得る。
【0081】
別の態様では、本発明は、上述のような、立体異性体、鏡像異性体、互変異性体もしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物としての本発明の化合物の使用、あるいは、疾患の治療における使用のための医薬の調製における、上述のような、立体異性体、鏡像異性体、互変異性体もしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物としての本発明の薬学的に許容される賦形剤及び化合物を含む薬学的組成物の使用に関する。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、放射線療法と組み合わせて投与される。他の実施形態では、本発明の化合物は、DNA損傷剤と組み合わせて投与される。さらなる実施形態では、本発明の化合物は、抗腫瘍免疫療法剤(例えば、イピリムマブ、オファツムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、トレメリムマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスターリマブ、ベルツズマブ、INCMGA00012、AMP-224、AMP-514、KN035、CK-301、AUNP12、CA-170、またはBMS-986189)と組み合わせて投与される。他の実施形態では、抗腫瘍免疫療法剤は、オファツムマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、またはベルツズマブである。さらに他の実施形態では、抗腫瘍免疫療法剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスターリマブ、INCMGA00012、AMP-224、またはAMP-514である。さらに他の実施形態では、抗腫瘍免疫療法剤は、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、KN035、CK-301、AUNP12、CA-170、またはBMS-986189である。特定の好ましい併用療法の実施形態では、本発明の化合物は、抗腫瘍免疫療法剤と組み合わせて投与される。
【0082】
本発明の方法は、本明細書に記載されるような腫瘍性疾患の治療に使用され得る。腫瘍性疾患は、例えば、前悪性腫瘍または悪性腫瘍(例えば、固形腫瘍または液体腫瘍)であり得る。悪性腫瘍は、典型的には、がんと呼ばれる。特定の実施形態では、腫瘍性疾患は、がんである。
【0083】
さらなる実施形態では、本明細書に開示される方法及び使用を使用して治療されるがんの例には、血液性がん、例えば、白血病及びリンパ腫が含まれるが、これらに限定されない。がんの非限定的な例には、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性巨核球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、毛細胞白血病、慢性好中球性白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫及び濾胞性リンパ腫が含まれる。
【0084】
さらに別の実施形態では、本明細書に開示される方法及び使用を使用して治療されるがんの例には、固形腫瘍が含まれるが、これに限定されない。固形腫瘍の非限定的な例には、脳腫瘍(例えば、星状細胞腫、神経膠腫、神経膠芽腫、髄芽腫、または上衣腫)、膀胱癌、乳癌、中枢神経系癌、頸部癌、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、消化管間質腫瘍、胃癌、頭頸部癌、頬癌、口癌、肝細胞癌、肺癌、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、唾液腺癌、肉腫、精巣癌、尿路上皮癌、外陰癌、及びウィルムス腫瘍が含まれる。好ましくは、本発明の方法は、肺癌、頭頸部癌、膵臓癌、直腸癌、膠芽腫、肝細胞癌、胆管癌、転移性肝病変、黒色腫、骨肉腫、軟部肉腫、子宮内膜癌、子宮頸癌、前立腺癌、またはメルケル細胞癌の治療において使用される。
【0085】
さらなる実施形態において、本明細書に開示される方法及び使用を使用して治療されるがんの例は、転移及び転移性がんに限定されない。例えば、がんを治療するために本明細書に開示される方法及び使用は、原発腫瘍及び転移の両方の治療を含み得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、対象における腫瘍サイズを、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%低減し得るか、または腫瘍を排除することができる(例えば、療法の開始時の腫瘍サイズと比較して、または本発明の化合物の代わりにプラセボを受けた参照対象と比較して)。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、対象における腫瘍負荷を、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%低減し得るか、または腫瘍を排除することができる(例えば、療法の開始時の腫瘍負荷と比較して、または本発明の化合物の代わりにプラセボを受ける参照対象と比較して)。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、対象の平均生存期間を、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、または200%増加し得る(例えば、本発明の化合物の代わりにプラセボを受ける参照対象と比較して)。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、対象にとってより長い平均期間で疼痛または他の症状を緩和するための放射線療法または薬物療法の能力を、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、または200%増加し得る(例えば、本発明の化合物の代わりにプラセボを受ける参照対象と比較して)。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法及び使用は、放射線療法またはDNA損傷剤の投与前に、二重ATM及びDNA-PK阻害剤での患者の前治療を含む。二重ATM及びDNA-PK阻害剤での患者の前治療は、放射線療法後のDNA損傷の修復を遅延または排除し得る。
【0088】
放射線療法は、X線(光子)、60コバルトまたは他の放射性同位体からのガンマ線、中性子、電子、陽子、炭素イオン、ヘリウムイオン、及び他の荷電粒子を有する外部ビーム放射線療法を含むが、これらに限定されない。放射線療法には、近距離照射療法、及びガンマ線、アルファ粒子、ベータ粒子、オージェ電子、または32リン、67銅、77ブロミン、89ストロンチウム、90イットリウム、105ロジウム、131ヨウ素、137セシウム、149プロメテウム、153サマリウム、166ホルミウム、177ルテチウム、186レニウム、188レニウム、199金、211アスタチン、213ビスマス、223ラジウム、225アクチニウム、または227ソリウム、192イリジウム、67ガリウム、103パラジウム、125ヨウ素、及び他の放射性同位体(例えば、192イリジウム、125ヨウ素、137セシウム、103パラジウム、32リン、90イットリウム、67ガリウム、211アスタチン、または223ラジウム)を含む同位体からの他の種類の放射性粒子を放出する放射性医薬品も含まれる。放射線療法には、131ヨウ素、90イットリウム、225アクチニウム、211アスタチン、67ガリウム、177ルテチウム、227ソリウム、及び他の放射性同位体を含む放射性同位体と抱合した抗体または小分子を用いた放射免疫療法(RIT)も含まれる。
【0089】
いくつかの実施形態では、併用療法は、ATM及びDNA-PK阻害剤ならびに抗腫瘍剤、例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、アントラサイクリン、バルルビシン、イダルビシン、カリケアマイシン、PARP阻害剤(例えば、オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、ベリパリブ、またはタラゾパリブ)、同様に、当業者に既知の他の抗がん剤の患者への投与を含む。
【0090】
特定の実施形態では、併用療法は、ATM及びDNA-PK阻害剤と、イピリムマブ、オファツムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブなどを含むがこれらに限定されない抗腫瘍免疫療法剤の、患者への投与を含む。
【0091】
本明細書に記載される併用療法において、ATM及びDNA-PK阻害剤は、他の薬物と同時にまたは連続して(例えば、前または後に)対象に投与され得る。
【0092】
本発明の化合物の調製
本発明の化合物は、当技術分野で既知の方法及び技法を使用して調製され得る。これらの化合物を合成するための好適なプロセスは、実施例に提供されている。一般に、式(I)の化合物は、以下に説明されるスキームに従って調製され得る。これらの反応の出発物質の供給源も、記載される。
【0093】
保護基は、当業者に既知であり本明細書に記載される標準的な技法に従って、本発明の化合物の調製において添加または除去され得る。保護基の使用は、Greene,T.W.and P.G.M.Wuts,Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis(2006),4th Ed.,Wileyに詳細に記載される。保護基はまた、Wang樹脂または2-クロロトリチルクロリド樹脂などのポリマー樹脂であり得る。
【0094】
本発明の化合物のそのような保護された誘導体は、それ自体で薬理学的活性を有しない場合があるが、それらは哺乳動物に投与され、その後、体内で代謝されて薬理学的に活性な本発明の化合物を形成することができることが、当業者に理解されるであろう。
【0095】
調製されているとして以下に記載され遊離塩基または酸の形態で存在し得る化合物のすべては、適切な無機または有機塩基または酸での処理によって、それらの薬学的に許容される塩に変換され得る。以下で調製される化合物の塩は、標準的技法によってそれらの遊離塩基または酸の形態に変換され得る。本発明の化合物のすべての多形、非晶質形態、無水物、水和物、溶媒和物及び塩は、本発明の範囲内にあることが意図されていることが理解される。さらに、酸またはエステル基を含む本発明のすべての化合物は、当業者に既知の方法によって、または本明細書に記載される方法によって、それぞれ、対応するエステルまたは酸に変換され得る。
【0096】
これらの化合物の多くの調製の一般的な表現は、以下のスキーム1に示される。化合物は、分子のさまざまな成分のカップリングによって調製される:ハロ置換化合物3(または2’)のボロン酸またはホウ酸塩化合物2(3’)との鈴木カップリング。本発明の化合物の合成を提供するために、さらなる反応が必要な場合があるか、または必要でない場合もある。本発明の特定の化合物の調製は、以下のスキームに示される。
【0097】
【化9】
アリール-アリールカップリング反応では、ハロゲンは、ヨード、ブロモ、またはクロロ、好ましくはブロモまたはヨードであり得る。この方法では、鈴木カップリング反応条件を使用して、ハロゲン置換はアリール置換に変換され得る。この方法の条件は、Modern Arene Chemistry 2002,53-106における「The Suzuki reaction with arylboron compounds in arene chemistry」と題された文献においてA.Suzukiによって概説される多くの出版物に開示されている。この反応を実施する際に、鈴木反応で従来の好適な条件のうちのいずれかが、利用され得る。一般に、鈴木カップリング反応は、この反応のために任意の従来の有機溶媒と弱い無機または有機塩基とを利用するパラジウム触媒などの遷移金属触媒の存在下で実施される。好ましい有機溶媒の中には、極性非プロトン性溶媒がある。本発明の化合物を調製する際に、任意の従来の極性非プロトン性溶媒が、利用され得る。好適な溶媒は、慣習的であり、特に、ジメトキシエタンなどの高沸点溶媒である。弱無機塩基は、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムなどの炭酸塩または重炭酸塩であり得る。有機塩基は、トリエチルアミンなどのアミンであり得る。
【0098】
【化10】
具体的には、他のスピロオキシインドール中間体7は、スキーム2に示されるように合成される。シクリルまたはヘテロシクリル置換エステル5は、これらに限定されないが、テトラヒドロフランなどの無水溶媒中、低温で、これらに限定されないが、リチウムジイソプロピルアミドなどの強塩基で処理されて、出発物質4と反応し、市販されるか、または中間体6を提供するための方法を説明した文献に従って当業者によって調製されるかのいずれかである。中間体6は、これらに限定されないが、鉄などの還元試薬によって還元されて、対応するアミノ中間体を与え、これが環化して、インサイツでオキシインドール化合物7を提供する。したがって、化合物7は、次いで、これらに限定されないが、N,N-ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン中などの極性溶媒中で、これらに限定されないが、炭酸カリウムまたは水素化ナトリウムなどの塩基の存在下で、アルキル化試薬でN-アルキル化され、それにより、スピロオキシインドール中間体8を生成する。
【0099】
【化11】
具体的には、本発明の式(I)の化合物は、スキーム3に示すように合成することができる。市販の5-ブロモ-2-クロロ-3-ニトロ-ピリジン(9)は、これらに限定されないが、水素化ナトリウムなどの強塩基の存在下で求核試薬XH(10)と反応して、中間体11を提供する。パラジウム触媒条件下で、ホウ酸塩12が調製され得、次いで、スピロ中間体8と反応してクロスカップリング生成物13を提供する。化合物13におけるニトロ基は、これらに限定されないが、鉄などの還元試薬を使用してアミノ基に還元されて、中間体14を提供する。14の異なる塩化スルホニル(15)との反応は、式(I)の化合物の合成を提供する。
【0100】
【化12】
具体的には、本発明の式(I)の化合物はまた、スキーム4に示されるように合成され得る。化合物11におけるニトロ基は、これらに限定されないが、鉄などの還元試薬を使用してアミノ基に還元されて、中間体16を提供する。16の異なる塩化スルホニル(15)との反応は、スルホンアミド中間体17を提供し、パラジウム触媒下で対応するホウ酸塩18に変換される。ホウ酸塩18は、鈴木反応条件下でハロ化合物8と結合して、式(I)の化合物を提供することができる。
【0101】
スキーム3及びスキーム4では、クロスカップリング化合物はまた、例えば、スキーム5に示されるような、ハロゲン及びボロン酸塩/ボロン酸置換パターンを反転させている成分との鈴木カップリング化学を使用して合成され得る。
【0102】
【化13】
具体的には、本発明の式(I)の化合物はまた、スキーム5に示されるように合成され得る。ハロ化合物8は、パラジウム触媒下でその対応するホウ酸塩19に変換され得る。ホウ酸塩19は、鈴木反応条件下でハロ化合物17と結合して、式(I)の化合物を提供することができる。
【0103】
本発明の方法の実施において、有効量の本発明の化合物のうちのいずれか1つまたは本発明の化合物のうちのいずれかの組み合わせまたはそれらの薬学的に許容される塩は、単独で、または組み合わせてのいずれかで、当技術分野で既知の通常の許容される方法のうちのいずれかを介して投与される。したがって、化合物または組成物は、経口(例えば、頬腔)、舌下、非経口(例えば、筋肉内、静脈内、または皮下)、直腸(例えば、坐剤または洗浄による)、経皮的(例えば、皮膚エレクトロポレーション)、または吸入(例えば、エアロゾルによる)によって、錠剤及び懸濁液を含む、固体、液体または気体の投与量の形態で投与され得る。投与は、連続療法を伴う単一単位剤形で、または自由な単回投与療法で行われ得る。治療用組成物はまた、パモ酸などの親油性塩と組み合わされた油乳濁液または分散液の形態、または皮下または筋肉内投与のための生分解性徐放性組成物の形態であり得る。
【0104】
その組成物の調製に有用な薬学的担体は、固体、液体、または気体であり得る。したがって、組成物は、錠剤、ピル、カプセル、坐剤、粉末、腸溶コーティングまたは他の保護された製剤(例えば、イオン交換樹脂への結合または脂質-タンパク質小胞への包装)、徐放性製剤、溶液、懸濁液、エリキシル、エアロゾルなどの形態を取ることができる。担体は、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油などの石油、動物、野菜、または合成起源のものを含むさまざまな油から選択され得る。水、生理食塩水、水性デキストロース、及びグリコールは、特に(血液と等張である場合)注射可能な溶液のために好ましい液体担体である。例えば、静脈内投与のための製剤は、固体の有効成分(複数可)を水に溶解して水溶液を生成することと、溶液を滅菌することと、によって調製される、有効成分(複数可)の滅菌水溶液を含む。好適な薬学的賦形剤は、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどを含む。組成物は、保存剤、安定剤、湿潤剤または乳化剤、浸透圧を調整するための塩、緩衝液などの、従来の薬学的添加剤に供され得る。適切な薬学的担体及びそれらの配合物は、E.W.MartinによるRemington′s Pharmaceutical Sciencesで記載される。そのような組成物は、いずれにせよ、レシピエントへの適切な投与のための適切な剤形を調製するために、好適な担体と共に有効量の活性化合物を含むであろう。
【0105】
本発明の化合物の用量は、例えば、投与様式、患者の年齢及び体重、ならびに治療される患者の状態などの多くの要因に依存し、最終的には主治医または獣医によって決定されるであろう。主治医または獣医師によって決定されるそのような量の活性化合物は、本明細書において、及び特許請求の範囲において、「有効量」と呼ばれる。
【0106】
次に、本発明は、以下の実施例でさらに説明されるが、例示のみを意図しており、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例
【0107】
試薬を、Aldrich、Sigma、TCI(Shanghai)Development、Chembon Pharmaceutical Co.,Ltd、Zhangjiagang Aimate Huaxue Youxiangongsi、Changzhou Qinuo BioTech Co.Ltd、及びShanghai Weiyuan Fine Fluorine Technology Development Co.,Ltdまたは以下に示した他の供給元から購入し、さらなる精製を伴わずに使用した。加熱のためにマイクロ波照射を使用した反応を、Biotage Initiator+を使用して行った。マルチミリグラムのマルチグラムスケールへの精製を、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーの溶出などの当業者に既知の方法によって行い、分取フラッシュカラムクロマトグラフィーの精製も、いくつかの場合では、Biotage CombiFlash(登録商標)システムで溶出された使い捨て充填済みシリカゲルカラム(Welch/Agela)の使用によって影響を受ける場合があった。
【0108】
化合物の同一性及び純度を判断する目的のために、典型的には、オートサンプラーを備えたAgilent 1100シリーズHPLCで正イオン検出モードにおけるエレクトロスプレーイオン化を用いたWaters ZQ(商標)プラットフォームからなる分析用LC-MS(液体クロマトグラフィー/質量分析)システムを使用した。カラムは、通常、Water Xterra MS C18、3.0×50mm、5μmであった。流量は1mL/分であり、注入体積は10μLであった。UV検出は、210~400nmの範囲であった。移動相は、溶媒A(水に加えて0.06%TFA)及び溶媒B(アセトニトリルに加えて0.05%TFA)からなり、0.7分間100%溶媒Aの勾配を、3.75分間にわたって100%溶媒Bに変更し、1.1分間にわたって維持し、次いで、0.2分間100%溶媒Aに戻した。
【0109】
いくつかの分離について、超臨界流体クロマトグラフィーの使用も有用であり得る。超臨界流体クロマトグラフィーの分離を、Mettler-Toledo Minigramシステムを使用して、以下の典型的な条件で実行した:100bar、30℃、2.0mL/分超臨界流体COにおける40%MeOHで12mmのADカラムを溶出させた。塩基性アミノ基を有する分析物の場合では、0.2%イソプロピルアミンを、メタノール修飾剤に添加した。
【0110】
式(I)の多くの化合物も、当業者に周知の方法を使用して、逆相HPLCによって精製した。いくつかの場合では、分取HPLC精製を、島津分取HPLCシステムに接続されたGilson 215コレクターとLeap自動注入装置を制御するPE Sciex 150 EX Mass Specを使用して行った。化合物を、陽イオン検出においてMS検出を使用して、溶出ストリームから収集した。C-18カラムからの化合物の溶出(2.0×10cm、20mL/分で溶出した)は、溶媒(A)0.05%TFA/HO及び溶媒(B)0.035%TFA/アセチルニトリルの10分間にわたる適切な線形グラデーションモードを使用して影響を受けた。HPLCシステムへの注入のために、粗試料を、メタノール、アセチルニトリル、及びDMSOの混合物に溶解した。
【0111】
化合物を、Bruker ADVANCE III HD 400MHz分光計またはBruker AVANCE 300MHz分光計のいずれかを使用してH-NMRによって特徴付けた。
【0112】
【表2】
【0113】
化合物の調製
【0114】
【化14】
メチル1-(6-ブロモ-7-フルオロ-3-ニトロキノリン-4-イル)シクロブタン-1-カルボキシレート:テトラヒドロフラン(5.00mL)中のシクロブタンカルボン酸メチル(0.73g、6.38mmol)の溶液を、テトラヒドロフラン(45.0mL)中の新たに調製したリチウムジイソプロピルアミド(6.38mmol)で、窒素雰囲気下、-78℃で1時間処理し、続いて、6-ブロモ-4-クロロ-7-フルオロ-3-ニトロキノリン(1.50g、4.91mmol)を2分にわたって少しずつ添加した。周囲温度でさらに1時間撹拌した後、反応を、飽和塩化アンモニウム水溶液(60.0mL)によってクエンチし、水(120mL)で希釈した。得られた混合物を、酢酸エチル(3×60.0mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(2×50.0mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、石油エーテル中1%~2%の酢酸エチルで溶出させて、表題化合物を無色の固体(240mg、13%)として得た:H NMR(400MHz,CDCl)δ9.14(s,1H),8.20(d,J=7.2Hz,1H),7.90(d,J=8.8Hz,1H),3.84(s,3H),3.12-2.99(m,1H),2.58-2.48(m,3H),1.91-1.83(m,1H),1.45-1.27(m,1H);MS:[(M+1)]=383.17,385.17。
【0115】
【化15】
8’-ブロモ-7’-フルオロスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2’(3’H)-オン:酢酸(10.0mL)中のメチル1-(6-ブロモ-7-フルオロ-3-ニトロキノリン-4-イル)シクロブタン-1-カルボン酸(240mg、0.63mmol)及び鉄粉(350mg、6.26mmol)の混合物を、周囲温度で18時間撹拌した。得られた混合物を濾過し、濾過したケーキを酢酸エチル(5×100mL)で洗浄した。濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン中1%~2%のメタノールで溶出させて、表題化合物を淡黄色の固体(100mg、50%)として得た:H NMR(400MHz,DMSO-d)δ10.75(s,1H),8.68(s,1H),8.52(d,J=7.5Hz,1H),7.98(d,J=10.1Hz,1H),2.90-2.75(m,2H),2.50-2.37(m,4H);MS:[(M+1)]=321.15,323.15。
【0116】
【化16】
8’-ブロモ-7’-フルオロ-3’-メチルスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2’(3’H)-オン:N,N-ジメチルホルムアミド(10.0mL)中の8-ブロモ-7-フルオロ-2,3-ジヒドロスピロ[シクロブタン-1,1-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2-オン(100mg、0.31mmol)の溶液を、水素化ナトリウム(19.9mg、0.50mmol、60%が鉱物油に分散した)で、窒素雰囲気下、30分間、0℃で処理し、続いて、ヨードメタン(66.3mg、0.47mmol)を添加した。周囲温度でさらに40分間撹拌した後、反応を、飽和塩化アンモニウム水溶液(10.0mL)によってクエンチした。得られた混合物を、水(100mL)で希釈し、酢酸エチル(3×30.0mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(2×20.0mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、分取TLCによって精製して(DCM/MeOH=20/1、v:v)、表題化合物を無色の固体(102mg、98%)として得た:H NMR(400MHz,CDOD)δ8.78(s,1H),8.61(d,J=7.4Hz,1H),7.85(d,J=9.8Hz,1H),3.36(s,3H),2.94-2.85(m,2H),2.72-2.61(m,3H),2.56-2.48(m,1H);MS:[(M+1)]=335.00,337.00。
【0117】
【化17】
tert-ブチルN-(2-ヒドロキシエチル)-N-(プロパン-2-イル)カルバメート:メタノール(300mL)中の2-[(プロパン-2-イル)アミノ]エタン-1-オール(40.0g、388mmol)の溶液に、ジ-tert-ブチルジカルボネート(127g、586mmol)を、0℃で滴下した。得られた混合物を、周囲温度で2時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、石油エーテル中0%~4%の酢酸エチルで溶出させた。所望の画分を収集し、減圧下で濃縮して、表題化合物を無色の油として得た(65.0g、82%):H NMR(400MHz,CDCl)δ 4.17(s,1H),3.71(t,J=5.4Hz,2H),3.30(t,J=5.4Hz,2H),1.47(s,9H),1.12(d,J=6.8Hz,6H)。
【0118】
【化18】
tert-ブチルN-[2-[(5-ブロモ-3-ニトロピリジン-2-イル)オキシ]エチル]-N-(プロパン-2-イル)カルバメート:無水テトラヒドロフラン(250mL)中のtert-ブチルN-(2-ヒドロキシエチル)-N-(プロパン-2-イル)カルバメート(15.4g、75.8mmol)の溶液を、水素化ナトリウム(3.30g、82.1mmol、60%w/wが鉱物油に分散した)で、窒素雰囲気下、0℃で1時間処理し、5-ブロモ-2-クロロ-3-ニトロピリジン(15.0g、63.2mmol)を0℃で2分間にわたって添加した。25℃でさらに2時間後、反応を、飽和塩化アンモニウム水溶液(50.0mL)によってクエンチし、水(500mL)で希釈した。水層を、酢酸エチル(3×150mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(2×100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、石油エーテル中1%~18%の酢酸エチルで溶出させた。所望の画分を収集し、減圧下で濃縮して、表題化合物を淡黄色の油として得た(18.0g、71%):H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.42(d,J=2.4Hz,1H),8.37(d,J=2.4Hz,1H),4.57(t,J=6.3Hz,2H),4.32(s,1H),3.51(t,J=6.3Hz,2H),1.47(s,9H),1.15(d,J=6.9Hz,6H);MS:[(M+1)]=404.00,406.00。
【0119】
【化19】
tert-ブチルN-[2-[(3-アミノ-5-ブロモピリジン-2-イル)オキシ]エチル]-N-(プロパン-2-イル)カルバメート:酢酸(150mL)中のtert-ブチルN-[2-[(5-ブロモ-3-ニトロピリジン-2-イル)オキシ]エチル]-N-(プロパン-2-イル)カルバメート(15.0g、37.1mmol)の溶液に、鉄粉(20.7g、371mmol)を、周囲温度で添加した。周囲温度でさらに1時間撹拌した後、得られた混合物を濾過し、濾過したケーキをテトラヒドロフラン(4×100mL)で洗浄した。濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、石油エーテル中20%の酢酸エチルで溶出させた。所望の画分を収集し、減圧下で濃縮して、表題化合物を無色の固体として得た(12.0g、86%):H NMR(400MHz,CDOD)δ 7.40(d,J=2.2Hz,1H),7.04(d,J=2.2Hz,1H),4.40(t,J=6.3Hz,2H),4.25-3.99(m,1H),3.52(t,J=6.3Hz,2H),1.46(s,9H),1.17(d,J=6.8Hz,6H);MS:[(M+1)]=374.10,376.10。
【0120】
【化20】
tert-ブチル(2-((5-ブロモ-3-(メチルスルホンアミド)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)(イソプロピル)カルバメート:ピリジン(400mL)中のtert-ブチルN-[2-[(3-アミノ-5-ブロモピリジン-2-イル)オキシ]エチル]-N-(プロパン-2-イル)カルバメート(18.8g、50.3mmol)の溶液に、メタンスルホニルクロリド(8.63g、75.4mmol)を、周囲温度で添加した。周囲温度で6時間撹拌した後、得られた混合物を、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、石油エーテル中3%~25%の酢酸エチルで溶出させた。所望の画分を収集し、減圧下で濃縮して、表題化合物を無色の固体として得た(16.3g、72%):H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 9.41(s,1H),8.05(d,J=2.2Hz,1H),7.79(d,J=2.2Hz,1H),4.35(t,J=6.3Hz,2H),4.15(s,1H),3.43(t,J=6.3Hz,2H),3.11(s,3H),1.39(s,9H),1.09(d,J=6.8Hz,6H);MS:[(M+1)]=452.00,454.00。
【0121】
【化21】
tert-ブチル(2-((5-ブロモ-3-(エチルスルホンアミド)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)(イソプロピル)カルバメート:ピリジン(120mL)中のtert-ブチル(2-((3-アミノ-5-ブロモピリジン-2-イル)オキシ)エチル)(イソプロピル)カルバメート(5.00g、13.4mmol)の撹拌溶液に、エタンスルホニルクロリド(5.15g、40.1mmol)を、周囲温度で滴下した。窒素雰囲気下、周囲温度で6時間撹拌した後、得られた混合物を、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、石油エーテル中3%~25%の酢酸エチルで溶出させた。所望の画分を収集し、減圧下で濃縮して、表題化合物を淡黄色の固体として得た(3.78g、61%):H NMR(400MHz,CDOD)δ 7.92(s,1H),7.87(s,1H),4.48(t,J=6.6Hz,2H),4.25-4.20(m,1H),3.54(t,J=6.6Hz,2H),3.13(t,J=7.3Hz,2H),1.49(s,9H),1.35(t,J=7.4Hz,3H),1.19(d,J=6.8Hz,6H);MS:[(M+1)]=466.10,468.10。
【0122】
【化22】
tert-ブチルN-[2-[(5-ブロモ-3-ヨードピリジン-2-イル)オキシ]エチル]-N-イソプロピルカルバメート:無水テトラヒドロフラン(300mL)中の5-ブロモ-3-ヨードピリジン-2-オール(10.0g、33.3mmol)の溶液に、トリフェニルホスフィン(11.4g、43.3mmol)、tert-ブチルN-(2-ヒドロキシエチル)-N-イソプロピルカルバメート(8.80g、43.3mmol)及びイソプロピルアゾジホルメート(8.80g、43.4mmol)を、0℃で滴下した。得られた混合物を、窒素雰囲気下、周囲温度でさらに16時間撹拌した。得られた混合物を、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、石油エーテル中2%~10%の酢酸エチルで溶出させた。所望の画分を収集し、減圧下で濃縮して、表題化合物を無色の油として得た(14.0g、87%):H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.14(s,2H),4.43(t,J=6.4Hz,2H),4.38-3.96(m,1H),3.50(t,J=6.4Hz,2H),1.49(s,9H),1.19(d,J=6.8Hz,6H);MS:[(M+1)]=484.95,486.95。
【0123】
【化23】
tert-ブチル(2-((5-ブロモ-3-((1-メチルエチル)スルホンアミド)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)(イソプロピル)カルバメート:トルエン(125mL)中のtert-ブチル(2-((5-ブロモ-3-ヨードピリジン-2-イル)オキシ)エチル)(イソプロピル)カルバメート(5.00g、10.3mmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(1.80g、3.10mmol)及びプロパン-2-スルホンアミド(1.50g、12.4mmol)の混合物に、リン酸三カリウム(10.9g、51.5mmol)及びトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム-クロロホルム付加物(1.10g、1.10mmol)を、周囲温度で添加した。得られた混合物を、アルゴン雰囲気下、100℃で48時間撹拌した。周囲温度まで冷却した後、得られた混合物を、濾過した。濾過したケーキを、酢酸エチル(3×20mL)で洗浄した。濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、石油エーテル中1%~20%の酢酸エチルで溶出させた。所望の画分を収集し、減圧下で濃縮して、表題化合物を無色の固体として得た(1.90g、39%):H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.94(d,J=2.1Hz,1H),7.89(d,J=2.2Hz,1H),4.44(t,J=6.3Hz,2H),4.11(s,1H),3.48(t,J=6.3Hz,2H),3.24-3.30(m,1H),1.48(s,9H),1.41(d,J=6.8Hz,6H),1.14(d,J=6.8Hz,6H);MS:[(M+1)]=480.20,482.20。
【0124】
【化24】
N-(5-ブロモ-2-[2-[(プロパン-2-イル)アミノ]エトキシ]ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド:ジクロロメタン(5.00mL)中のtert-ブチルN-[2-[(5-ブロモ-3-メタンスルホンアミドピリジン-2-イル)オキシ]エチル]-N-(プロパン-2-イル)カルバメート(3.00g、6.63mmol)を、塩化水素(20.0mL、1,4-ジオキサン中4M)で、周囲温度で40分間処理した。得られた混合物を、減圧下で濃縮した。残渣を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(30.0mL)でpH=8に塩基性化した。得られた混合物を、酢酸エチル(6×200mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン中1%~10%のメタノールで溶出させた。所望の画分を収集し、減圧下で濃縮して、表題化合物を無色の固体として得た(1.20g、50%):H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 7.68(d,J=2.3Hz,1H),7.61(d,J=2.3Hz,1H),5.75(s,1H),4.36(t,J=5.2Hz,2H),3.19-3.12(m,1H),3.07(t,J=5.1Hz,2H),2.84(s,3H),1.15(d,J=6.4Hz,6H);MS:[(M+1)]=352.10,354.10。
【0125】
以下の中間体を、上記の手順に従って調製した:
【0126】
【表3】
【0127】
【化25】
N-(2-(2-(イソプロピルアミノ)エトキシ)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド:1,4-ジオキサン(50.0mL)中のtert-ブチルN-[2-[(5-ブロモ-3-メタンスルホンアミドピリジン-2-イル)オキシ]エチル]-N-(プロパン-2-イル)カルバメート(2.00g、5.68mmol)及びビス(ピナコラート)ジボロン(2.88g、11.4mmol)の溶液に、酢酸カリウム(2.23g、22.7mmol)及びビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン付加体(0.46g、0.57mmol)を、周囲温度で添加した。窒素雰囲気下、90℃で2時間撹拌した後、得られた混合物を、減圧下で濃縮した。得られた混合物を、ジクロロメタン(100mL)で希釈した。濾過後、濾過したケーキをジクロロメタン(3x10.0mL)で洗浄した。濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、以下の条件で逆相フラッシュクロマトグラフィーによって精製した:カラム:球面C18、20~40μm、330g;移動相A:水(加えて10mM NHHCO)、移動相B:アセトニトリル;流量:65mL/分;勾配(B%):5%~22%、6分;22%~40%、20分;40%~95%;2分;95%、5分;検出器:UV 254nm;Rt:15分。所望の生成物を含む画分を収集し、減圧下で濃縮して、表題化合物をオフホワイトの固体として得た(1.57g、87%):H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.27(d,J=1.7Hz,1H),8.06(d,J=1.7Hz,1H),4.51(t,J=5.2Hz,2H),3.05-2.99(m,5H),2.95-2.84(m,1H),1.33(s,12H),1.11(d,J=6.3Hz,6H);MS:[(M+1)]=400.30。
【0128】
【化26】
N-(5-(7’-フルオロ-3’-メチル-2’-オキソ-2’,3’-ジヒドロスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-8’-イル)-2-(2-(イソプロピルアミノ)エトキシ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-スルホンアミド:1,4-ジオキサン(50.0mL)中のN-[5-ブロモ-2-[2-(イソプロピルアミノ)エトキシ]ピリジン-3-イル]プロパン-2-スルホンアミド(2.00g、5.26mmol)の溶液に、ビス(ピナコラート)ジボロン(4.01g、15.8mmol)、酢酸カリウム(2.06g、21.1mmol)及びビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン付加体(0.34g、0.42mmol)を、周囲温度で添加した。得られた混合物を、窒素雰囲気下、90℃で3時間撹拌した。得られた混合物を周囲温度まで冷却し、続いて、8-ブロモ-7-フルオロ-3-メチルスピロ[シクロブタン-1,1-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2-オン(1.26g、3.76mmol)、水(12.5mL)、炭酸ナトリウム(0.80g、7.55mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.43g、0.38mmol)を添加した。得られた混合物を、窒素雰囲気下、85℃で6時間撹拌した。周囲温度まで冷却した後、得られた混合物を、減圧下で濃縮した。残渣を、以下の条件で逆相フラッシュクロマトグラフィーによって精製した:カラム:球面C18、20~40μm、120g;移動相A:水(加えて10mM NHHCO)、移動相B:アセトニトリル;流量:45mL/分;勾配(B%):5%、2分;5%~25%、8分;25%~39%、9分;39%、10分;39%~95%;3分;95%、2分;検出器:UV 254nm;Rt:21分。所望の生成物を含む画分を収集し、減圧下で濃縮して、表題化合物を無色の固体として得た(1.66g、80%):H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.88(s,1H),8.35-8.31(m,2H),8.07(s,1H),7.99(s,1H),7.96(s,1H),4.55(br,1H),4.44(t,J=5.2Hz,2H),3.35-3.30(m,4H),2.93-2.79(m,5H),2.55-2.38(m,4H),1.29(d,J=7.2Hz,6H),1.02(d,J=6.0Hz,6H);MS:[(M+1)]=556.30。
【0129】
【化27】
N-(5-(7’-フルオロ-3’-メチル-2’-オキソ-2’,3’-ジヒドロスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-8’-イル)-2-(2-(イソプロピルアミノ)エトキシ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-スルホンアミド塩化水素。希塩酸水溶液(392mL、3.14mmol、0.008M)及びアセトニトリル(79.0mL)中のN-(5-[7-フルオロ-3-メチル-2-オキソスピロ[シクロブタン-1,1-ピロロ[2,3-c]キノリン]-8-イル]-2-[2-(イソプロピルアミノ)エトキシ]ピリジン-3-イル)プロパン-2-スルホンアミド(1.66g、2.99mmol)の溶液を、凍結乾燥させ、表題化合物を黄色の固体として得た(1.76g、100%):H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 9.45(s,1H),9.02(br,2H),8.90(s,1H),8.40(s,1H),8.32(d,J=8.4 Hz,1H),8.16(s,1H),8.00(d,J=8.4Hz,1H),4.65(t,J=4.4Hz,2H),3.54-3.40(m,3H),3.31(s,3H),2.91(t,J=11.2Hz,2H),2.55-2.45(m,5H),1.34-1.30(m,12H);MS:[(M+1)]=556.30。
【0130】
同様の様式で、またはパラジウム(II)カップルを中間体CC108及びCC110を用いて影響を及ぼし、以下の化合物の実施例569及び実施例570を得た。
【0131】
【表4】
【0132】
【化28】
1-(tert-ブチル)3-メチル3-(6-ブロモ-7-フルオロ-3-ニトロキノリン-4-イル)アゼチジン-1,3-ジカルボキシレート:無水テトラヒドロフラン(110mL)中の新たに調製したリチウムジイソプロピルアミド(137mmol)の溶液に、テトラヒドロフラン(100mL)中の1-tert-ブチル-3-メチルアゼチジン-1,3-ジカルボキシレート(29.3g、137mmol)の溶液を、-78℃で添加した。1時間撹拌した後、テトラヒドロフラン(100mL)中の6-ブロモ-4-クロロ-7-フルオロ-3-ニトロキノリン(32.0g、105mmol)の溶液を、反応混合物に20分間にわたって添加した。得られた混合物を、ゆっくりと0℃に2時間温めた。反応を、飽和塩化アンモニウム水溶液(20.0mL)によってクエンチし、水(800mL)で希釈した。得られた混合物を、酢酸エチル(3×150mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(2×100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、石油エーテル中5%~20%の酢酸エチルで溶出させ、表題化合物を淡黄色の固体として得た(25.0g、49%):H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 9.35(s,1H),8.21(d,J=9.3Hz,1H),8.14(d,J=7.1Hz,1H),4.18-4.11(m,2H),3.87-3.74(m,2H),3.66(s,3H),1.37(s,9H);MS:[(M+1)]=484.20,486.20。
【0133】
【化29】
tert-ブチル8’-ブロモ-7’-フルオロ-2’-オキソ-2’,3’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-1-カルボキシレート:酢酸(300mL)中の1-tert-ブチル3-メチル3-(6-ブロモ-7-フルオロ-3-ニトロキノリン-4-イル)アゼチジン-1,3-ジカルボキシレート(12.0g、24.8mmol)の溶液に、鉄粉(9.69g、174mmol)を、周囲温度で添加した。周囲温度で3時間撹拌した後、得られた混合物を、減圧下で濃縮した。残渣を、水(200mL)で取り、酢酸エチル(4×100mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(2×100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン中1%~5%のメタノールで溶出させ、表題化合物を無色の固体として得た(10.4g、99%):H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 11.02(br,1H),8.71(s,1H),8.24(d,J=7.3Hz,1H),8.03(d,J=10.1Hz,1H),4.29(d,J=9.0Hz,2H),4.21(d,J=9.0Hz,2H),1.49(s,9H);MS:[(M+1)]=422.20,424.20。
【0134】
【化30】
tert-ブチル8’-ブロモ-7’-フルオロ-3’-メチル-2’-オキソ-2’,3’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-1-カルボキシレート:N,N-ジメチルホルムアミド(100mL)中のtert-ブチル8-ブロモ-7-フルオロ-2-オキソ-2,3-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,1-ピロロ[2,3-c]キノリン]-1-カルボキシレート(4.22g、9.99mmol)の撹拌溶液に、水素化ナトリウム(0.52g、13.0mmol、60%が鉱物油に分散した)を、窒素雰囲気下、0℃で添加した。得られた混合物を、周囲温度で1時間撹拌し、続いて、ヨードメタン(1.70g、12.0mmol)を添加した。周囲温度でさらに1時間撹拌した後、反応を、飽和塩化アンモニウム水溶液(20.0mL)によってクエンチし、水(1.00L)で希釈した。沈殿した固体を、濾過により収集し、水(3×30.0mL)及びヘキサン(2×30.0mL)で洗浄した。得られた固体を赤外光下で乾燥させて、表題化合物を淡黄色の固体として得た(3.93g、90%):H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.71(s,1H),8.47(d,J=7.0Hz,1H),7.94(d,J=9.1Hz,1H),4.54(d,J=9.1Hz,2H),4.31(d,J=9.0Hz,2H),3.40(s,3H),1.56(s,9H);MS:[(M+1)]=436.15,438.15。
【0135】
【化31】
8-ブロモ-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,1-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2-オン:ジクロロメタン(100mL)中のtert-ブチル ジクロロメタン(100mL)中の8-ブロモ-7-フルオロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,1-ピロロ[2,3-c]キノリン]-1-カルボキシレート(3.93g、9.01mmol)及びトリフルオロ酢酸(20.0mL)の溶液を、周囲温度で5時間撹拌した。得られた混合物を、減圧下で濃縮した。残渣を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液でpH=8に塩基性化した。得られた混合物を、酢酸エチル(6×300mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(2×300mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下で濃縮して、表題化合物を淡黄色の固体として得た(3.00g、99%):H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 9.56(d,J=7.7Hz,1H),8.92(s,1H),8.02(d,J=10.2Hz,1H),4.18(d,J=7.5Hz,2H),3.59(d,J=7.5Hz,2H),3.29(s,3H);MS:[(M+1)]=335.95,337.95。
【0136】
【化32】
8’-ブロモ-7’-フルオロ-1-イソプロピル-3’-メチルスピロ[アゼチジン-3,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2’(3’H)-オン:エタノール(8.00mL)中の8’-ブロモ-7’-フルオロ-3’-メチルスピロ[アゼチジン-3,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2’(3’H)-オン(100mg、0.30mmol)及びアセトン(4.00mL)の撹拌溶液に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(94.0mg、1.50mmol)を、周囲温度で添加した。得られた混合物を、窒素雰囲気下、50℃で3時間撹拌した。得られた混合物を、以下の条件で逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製した:カラム:球面C18、20~40μm、120g;移動相A:水(加えて10mM NHHCO)、移動相B:アセトニトリル;流量:50mL/分;勾配(B):5%~20%、6分;20%~50%、30分;50%~95%、5分;95%、5分;検出器:UV 254nm。所望の画分を収集し、減圧下で濃縮して、表題化合物を無色の固体として得た(85.0mg、77%):H NMR:H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 9.84(d,J=8.0Hz,1H),8.93(s,1H),8.00(d,J=10.2Hz,1H),3.69(d,J=7.6Hz,2H),3.46(d,J=7.3Hz,2H),3.30(s,3H),2.63-2.56(m,1H),1.01(d,J=6.1Hz,6H);MS:[(M+1)]=378.10,380.10。
【0137】
【化33】
N-[5-[7-フルオロ-3-メチル-2-オキソ-1-(プロパン-2-イル)-2,3-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,1-ピロロ[2,3-c]キノリン]-8-イル]-2-[2-[(プロパン-2-イル)アミノ]エトキシ]ピリジン-3-イル]メタンスルホンアミド:水(2.00mL)及び1,4-ジオキサン(10.00mL)中の8-ブロモ-7-フルオロ-3-メチル-1-(プロパン-2-イル)-2,3-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,1-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2-オン(80.0mg、0.21mmol)及びN-(2-[2-[(プロパン-2-イル)アミノ]エトキシ]-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド(169mg、0.42mmol)の溶液に、炭酸ナトリウム(33.6mg、0.32mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(24.3mg、0.021mmol)を添加した。窒素雰囲気下、80℃で2時間撹拌した後、得られた混合物を、減圧下で濃縮した。残渣を、分取TLC(DCM/MeOH=10/1、v/v)によって精製して粗生成物を得、これを以下の条件での逆相フラッシュクロマトグラフィーによってさらに精製した:カラム:球面C18、20~40μm、120g;移動相A:水(加えて10mM NHHCO)、移動相B:アセトニトリル;流量:45mL/分;勾配(B%):5%、2分;5%~24%、5分;24%~34%、9分;34%、8分;34%~95%;3分;95%、2分;検出器:UV 254nm;Rt:21分。所望の画分を収集し、減圧下で濃縮して、表題化合物を無色の固体として得た(65.0mg、54%):H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 9.66(d,J=8.9Hz,1H),8.89(s,1H),8.25(t,J=1.9Hz,1H),7.99-7.91(m,2H),4.42(t,J=5.4Hz,2H),3.76(d,J=7.2Hz,2H),3.47(d,J=7.3Hz,2H),3.31(s,3H),3.02(s,3H),2.96(t,J=5.4Hz,2H),2.92-2.84(m,1H),2.62-2.53(m,1H),1.05(d,J=6.3Hz,6H),0.97(d,J=6.1Hz,6H);MS:[(M+1)]=571.25。
【0138】
【化34】
メチル1-(6-ブロモ-7-フルオロ-3-ニトロキノリン-4-イル)-3-メトキシシクロブタン-1-カルボキシレート:無水テトラヒドロフラン(100mL)中の新たに調製したリチウムジイソプロピルアミド(10.6mmol)の溶液に、3-メトキシシクロブタン-1-カルボン酸メチル(1.53g、10.6mmol)を、-78℃で添加した。さらに1時間撹拌した後、テトラヒドロフラン(5.00mL)中の6-ブロモ-4-クロロ-7-フルオロ-3-ニトロキノリン(2.50g、8.18mmol)の溶液を、5分間にわたって添加した。得られた混合物を、0℃にゆっくりと温め、次いで、飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)によってクエンチした。得られた混合物を水(1.00L)で希釈し、有機層を分離した。水層を、酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(2×200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、石油エーテル中5%~50%の酢酸エチルで溶出させて、表題化合物を褐色のシロップ(720mg、21%)として得た:H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.25(s,1H),8.31(d,J=7.3Hz,1H),8.17(d,J=9.3Hz,1H),4.16-4.13(m,1H),3.71(s,3H),3.11(s,3H),2.47-2.38(m,2H),2.00-1.89(m,2H);MS:[(M+1)]=413.20,415.20。
【0139】
【化35】
8’-ブロモ-7’-フルオロ-3-メトキシスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2’(3’H)-オン:酢酸(10.0mL)中の1-(6-ブロモ-7-フルオロ-3-ニトロキノリン-4-イル)-3-メトキシシクロブタン-1-カルボン酸メチル(720mg、1.74mmol)の溶液に、鉄粉(681mg、12.2mmol)を添加した。得られた混合物を、周囲温度で3時間撹拌した。得られた混合物を、水(150mL)で希釈し、酢酸エチル(4×50.0mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(2×50.0mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、石油エーテル中5%~30%の酢酸エチルで溶出させて、表題化合物を淡黄色の固体(550mg、89%)として得た:H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.93(s,0.45H),8.88(d,J=7.2Hz,0.55H),8.84(s,1H),8.78(s,0.55H),8.27(d,J=7.0Hz,0.45H)7.92(d,J=9.3Hz,1H),4.71-4.63(m,0.45H),4.57-4.49(m,0.55H),3.48(d,J=6.6Hz,3H),3.07-2.83(m,4H);MS:[(M+1)]=351.00,353.00。
【0140】
【化36】
8’-ブロモ-7’-フルオロ-3-メトキシ-3’-メチルスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2’(3’H)-オン:N,N-ジメチルホルムアミド(10.0mL)中の8-ブロモ-7-フルオロ-3-メトキシ-2,3-ジヒドロスピロ[シクロブタン-1,1-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2-オン(550mg、1.56mmol)の溶液を、水素化ナトリウム(81.4mg、2.04mmol 60%鉱物油に分散した)で、0℃で0.5時間処理し、続いて、ヨードメタン(265mg、1.87mmol)を、0℃で2分間にわたって滴下した。周囲温度でさらに1時間撹拌した後、反応を、飽和塩化アンモニウム水溶液(20.0mL)によってクエンチし、水(150mL)で希釈した。得られた混合物を、酢酸エチル(3×50.0mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(2×30.0mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、石油エーテル中5%~10%の酢酸エチルで溶出させ、表題化合物を黄色の固体として得た(500mg、87%):MS:[(M+1)]=365.10,367.10。
【0141】
【化37】
8’-ブロモ-7’-フルオロ-3-ヒドロキシ-3’-メチルスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2’(3’H)-オン:ジクロロメタン(20.0mL)中の8’-ブロモ-7’-フルオロ-3-メトキシ-3’-メチルスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2’(3’H)-オン(900mg、2.46mmol)の撹拌溶液に、三臭化ホウ素(24.6mL、24.6mmol、ジクロロメタン中1M)を、窒素雰囲気下、-78℃で滴下した。得られた混合物を、ゆっくりと周囲温度に温めた。得られた混合物を、窒素雰囲気下、周囲温度で2時間撹拌した。混合物を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で中和した。水層を、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(3×100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン中1%~5%のメタノールで溶出させた。所望の画分を収集し、減圧下で濃縮して、表題化合物を無色の固体として得た(530mg、62%):H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.96-8.89(m,1.6H),8.32(d,J=7.4Hz,0.4H),8.05-7.98(m,1H),5.99(d,J=6.5Hz,0.6H),5.73(d,J=5.7Hz,0.4H),4.97-4.87(m,0.4H),4.75-4.65(m,0.6H),3.31(s,1.2H),3.29(s,1.8H),2.98-2.87(m,0.8H),2.81-2.67(m,2.4H),2.65-2.55(m,0.8H);MS:[(M+1)]=351.00,353.00。
【0142】
【化38】
3-(ベンジルオキシ)-8’-ブロモ-7’-フルオロ-3’-メチルスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2’(3’H)-オン:N,N-ジメチルホルムアミド(5.00mL)中の8’-ブロモ-7’-フルオロ-3-ヒドロキシ-3’-メチルスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2’(3’H)-オン(100mg、0.29mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(13.7mg、0.35mmol、60%が鉱物油に分散した)を、窒素雰囲気下、0℃で添加した。得られた混合物を、25℃で1時間撹拌し、続いて、ベンジルブロミド(97.4mg、0.57mmol)を0℃で添加した。25℃でさらに1時間撹拌した後、反応を、飽和塩化アンモニウム水溶液(10.0mL)によってクエンチした。得られた混合物を、水(100mL)で希釈し、酢酸エチル(3×50.0mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(2×50.0mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、分取TLC(DCM/MeOH=25/1、v/v)によって精製して、表題化合物を黄色の固体として得た(64.0mg、51%):H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.92(d,J=3.6Hz,1H),8.79(d,J=7.6Hz,0.5H),8.25(d,J=7.2Hz,0.5H),8.03(d,J=10.1Hz,1H),7.50(d,J=7.0Hz,1H),7.46-7.37(m,3H),7.37-7.30(m,1H),4.87-4.79(m,0.5H),4.62-4.50(m,2.5H),3.30(d,J=5.7Hz,3H),2.98-2.90(m,1H),2.80(d,J=6.7Hz,2H),2.72-2.64(m,1H);MS:[(M+1)]=441.00,443.00。
【0143】
【化39】
N-(5-(3-(ベンジルオキシ)-7’-フルオロ-3’-メチル-2’-オキソ-2’,3’-ジヒドロスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-8’-イル)-2-(2-(イソプロピルアミノ)エトキシ)ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド:水(1.00mL)及び1,4-ジオキサン(4.00mL)中の3-(ベンジルオキシ)-8’-ブロモ-7’-フルオロ-3’-メチルスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2’(3’H)-オン(64.0mg、0.15mmol)及びN-[2-[2-(イソプロピルアミノ)エトキシ]-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-3-イル]メタンスルホンアミド(69.5mg、0.17mmol)の溶液に、炭酸ナトリウム(15.4mg、0.15mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(33.5mg、0.029mmol)を添加した。窒素雰囲気下、80℃で2時間撹拌した後、得られた混合物を、減圧下で濃縮した。残渣を、分取TLC(DCM/MeOH=10/1、v/v)によって精製して、表題化合物を淡黄色の固体として得た(55.0mg、60%):MS:[(M+1)]=634.55。
【0144】
【化40】
シス-N-(5-(3-(ベンジルオキシ)-7’-フルオロ-3’-メチル-2’-オキソ-2’,3’-ジヒドロスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-8’-イル)-2-(2-(イソプロピルアミノ)エトキシ)ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド(実施例572)及びトランス-N-(5-(3-(ベンジルオキシ)-7’-フルオロ-3’-メチル-2’-オキソ-2’,3’-ジヒドロスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-8’-イル)-2-(2-(イソプロピルアミノ)エトキシ)ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド(実施例567)。上記N-(5-(3-(ベンジルオキシ)-7’-フルオロ-3’-メチル-2’-オキソ-2’,3’-ジヒドロスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-8’-イル)-2-(2-(イソプロピルアミノ)エトキシ)ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド(55.0mg、0.087mmol)を、以下の条件で分取-キラル-HPLCにより分離した:(カラム:CHIRALPAK ID、2x25cm(5μm);移動相A:メチルtert-ブチルエーテル(加えて0.2%イソプロピルアミン)、移動相B:EtOH;流量:17mL/分;勾配:13分で10%B;検出器:UV220/254nm)シス-N-(5-(3-(ベンジルオキシ)-7’-フルオロ-3’-メチル-2’-オキソ-2’,3’-ジヒドロスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-8’-イル)-2-(2-(イソプロピルアミノ)エトキシ)ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド(実施例572、RT1:8.70分)を淡黄色の固体として得た(15.3mg、28%):H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.90(s,1H),8.29(s,1H),8.09(d,J=8.3Hz,1H),8.02(d,J=1.9Hz,1H),7.98(d,J=12.1Hz,1H),7.42-7.34(m,4H),7.32-7.27(m,1H),4.90-4.82(m,1H),4.53(s,2H),4.47(t,J=5.4Hz,2H),3.32(s,3H),3.06(s,3H),3.05-2.88(m,5H),2.68(dd,J=13.9,6.2Hz,2H),1.08(d,J=6.2Hz,6H);MS:[(M+1)]=634.50及びトランス-N-(5-(3-(ベンジルオキシ)-7’-フルオロ-3’-メチル-2’-オキソ-2’,3’-ジヒドロスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-8’-イル)-2-(2-(イソプロピルアミノ)エトキシ)ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド(実施例567、RT2:11.2分)を無色の固体として得た(12.6mg、23%):H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.88(s,1H),8.59(d,J=8.3Hz,1H),8.33(s,1H),8.02-7.94(m,2H),7.36-7.21(m,5H),4.58(q,J=6.3Hz,1H),4.44(t,J=5.4Hz,2H),4.41-4.33(m,1H),3.28(s,3H),3.05(s,3H),2.00-3.94(m,3H),2.92-2.84(m,1H),2.83-2.74(m,1H),2.69(dd,J=13.1,5.8Hz,2H),2.59-2.54(m,1H),1.35(d,J=6.4Hz,3H),1.05(d,J=6.3Hz,6H);MS:[(M+1)]=634.55。
【0145】
【化41】
デシル3-オキソシクロブタン-1-カルボキシレート:ジクロロメタン(90.0mL)中の3-メチルシクロブタン-1-カルボン酸(3.00g、26.3mmol)及び1-デカノール(4.16g、26.3mmol)の撹拌溶液に、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド(7.56g、39.4mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.32g、2.62mmol)を、周囲温度で添加した。得られた混合物を、25℃で16時間撹拌し、水(30.0mL)によってクエンチした。得られた混合物を、ジクロロメタン(3×100mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(2×50.0mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、石油エーテル中1%~8%の酢酸エチルで溶出させた。所望の画分を収集し、減圧下で濃縮して、表題化合物を淡黄色の油として得た(3.10g、47%):H NMR(400MHz,CDCl)δ 4.15(t,J=6.7Hz,2H),3.47-3.35(m,2H),3.35-3.15(m,3H),1.69-1.61(m,2H),1.39-1.22(m,14H),0.88(t,J=6.7Hz,3H);MS:[(M+1)]=252.20。
【0146】
【化42】
デシル3-エチリデンシクロブタン-1-カルボキシレート:ジメチルスルホキシド(300mL)中の臭化エチルトリフェニルホスホニウム(17.3g、46.5mmol)の溶液に、カリウムt-ブトキシド(4.94g、44.1mmol)を、14℃で少しずつ添加した。得られた混合物を、窒素雰囲気下、25℃で0.5時間撹拌し、続いて、3-オキソシクロブタン-1-カルボン酸デシル(8.00g、31.5mmol)を、14℃で2分間にわたって滴下した。25℃で4時間撹拌した後、反応を、0℃で飽和塩化アンモニウム水溶液(20.0mL)によってクエンチした。得られた混合物を、水(1.00L)で希釈し、酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(2×100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、石油エーテル中1%~5%の酢酸エチルで溶出させた。所望の画分を収集し、減圧下で濃縮して、表題化合物を無色の油として得た(1.70g、21%):H NMR(400MHz,CDCl)δ 5.22-5.14(m,1H),4.09(t,J=6.7Hz,2H),3.10(tt,J=9.2,7.2Hz,1H),2.96-2.79(m,4H),1.67-1.58(m,2H),1.49(dq,J=6.0,2.0Hz,3H),1.39-1.20(m,14H),0.88(t,J=6.7Hz,3H)。
【0147】
【化43】
デシル3-エチルシクロブタン-1-カルボキシレート:メタノール(10.0mL)中の3-エチリデンシクロブタン-1-カルボン酸デシル(700mg、4.94mmol)の撹拌溶液に、無水Pd/C(70.0mg、木炭上10%のパラジウム)を、周囲温度で添加した。水素雰囲気下(2雰囲気)、周囲温度で16時間撹拌した後、得られた混合物を、濾過した。濾過したケーキを、メタノール(3×20.0mL)で洗浄した。濾液を、減圧下で濃縮して、表題化合物を淡黄色の油(666mg、95%)として得た:H NMR(400MHz,CDCl)δ4.10-4.02(m,2H),3.10-2.87(m,1H),2.40-2.22(m,2H),2.16-2.03(m,1H),1.91-1.76(m,2H),1.67-1.56(m,2H),1.48-1.21(m,16H),0.92-0.75(m,6H)。
【0148】
【化44】
デシル1-(6-ブロモ-7-フルオロ-3-ニトロキノリン-4-イル)-3-エチルシクロブタン-1-カルボキシレート:無水テトラヒドロフラン(20.0mL)中の新たに調製したリチウムジイソプロピルアミド(2.45mmol)の溶液に、デシル3-エチルシクロブタン-1-カルボキシレート(657mg、2.45mmol)を、窒素雰囲気下、-78℃で添加した。得られた混合物を、1時間撹拌し、続いて、6-ブロモ-4-クロロ-7-フルオロ-3-ニトロキノリン(575mg、1.88mmol)を-78℃で添加した。25℃でさらに1時間撹拌した後、反応を、飽和塩化アンモニウム水溶液(10.0mL)によってクエンチした。得られた混合物を水(20.0mL)で希釈し、分離した。水層を、酢酸エチル(5×30mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(4×30.0mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、石油エーテル中3%~9%の酢酸エチルで溶出させた。所望の画分を収集し、減圧下で濃縮して、表題化合物を黄色の油として得た(450mg、粗製):MS:[(M+1)]=537.25,539.25。
【0149】
【化45】
8’-ブロモ-3-エチル-7’-フルオロスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2’(3’H)-オン:酢酸(8.00mL)中の粗デシル1-(6-ブロモ-7-フルオロ-3-ニトロキノリン-4-イル)-3-エチルシクロブタン-1-カルボキシレート(450mg、0.84mmol)及び鉄粉(327mg、5.86mmol)の混合物を、周囲温度で16時間撹拌した。得られた混合物を濾過し、濾過したケーキをテトラヒドロフラン(5x300mL)で洗浄した。濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液でpH=8に塩基性化した。得られた混合物を、酢酸エチル(5×100mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(50.0mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、分取TLC(DCM/MeOH=15/1、v/v)によって精製して、表題化合物を黄色の固体として得た(40.0mg、14%):H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 10.76(d,J=5.3Hz,1H),8.67(d,J=1.7Hz,1H),8.45(d,J=7.2Hz,0.4H),8.39(d,J=7.4Hz,0.6H),7.98(dd,J=10.1,3.4Hz,1H),2.88-2.73(m,2H),2.55-2.51(m,2H),2.29-2.19(m,1H),1.78-1.64(m,2H),0.99-0.88(m,3H);MS:[(M+1)]=349.05,351.05。
【0150】
【化46】
8’-ブロモ-3-エチル-7’-フルオロ-3’-メチルスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2’(3’H)-オン:N,N-ジメチルホルムアミド(3.00mL)中の8’-ブロモ-3-エチル-7’-フルオロスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2’(3’H)-オン(35.0mg、0.10mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(5.21mg、0.13mmol、60%が鉱物油に分散した)を、窒素雰囲気下、0℃で添加した。得られた混合物を、25℃で30分間撹拌し、続いて、ヨードメタン(21.4mg、0.15mmol)を0℃で添加した。25℃でさらに40分間撹拌した後、反応を、飽和塩化アンモニウム水溶液(20.0mL)によってクエンチした。得られた混合物を、水(100mL)で希釈し、酢酸エチル(4×100mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(4×100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、分取TLC(DCM/MeOH=20/1、v/v)によって精製して、表題化合物を黄色の固体として得た(30.0mg、83%):H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.90(d,J=2.9Hz,1H),8.49(d,J=7.4Hz,0.4H),8.42(d,J=7.4Hz,0.6H),8.02(dd,J=10.1,3.1Hz,1H),3.29(d,J=4.5Hz,3H),2.93-2.75(m,2H),2.61-2.52(m,2H),2.29-2.21(m,1H),1.82-1.67(m,2H),0.98-0.89(m,3H);MS:[(M+1)]=363.05,365.05。
【0151】
【化47】
N-(5-(3-エチル-7’-フルオロ-3’-メチル-2’-オキソ-2’,3’-ジヒドロスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-8’-イル)-2-(2-(イソプロピルアミノ)エトキシ)ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド:水(0.75mL)及び1,4-ジオキサン(3.00mL)中の8’-ブロモ-3-エチル-7’-フルオロ-3’-メチルスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2’(3’H)-オン(50.0mg、0.14mmol)及びN-[2-[2-(イソプロピルアミノ)エトキシ]-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-3-イル]メタンスルホンアミド(165mg、0.41mmol)の溶液に、炭酸ナトリウム(17.5mg、0.17mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(31.8mg、0.028mmol)を添加した。窒素雰囲気下、80℃で2時間撹拌した後、得られた混合物を、減圧下で濃縮した。残渣を、分取TLC(DCM/MeOH=10/1、v/v)によって精製して粗生成物を得、これを以下の条件での逆相フラッシュクロマトグラフィーによってさらに精製した:カラム:球面C18、20~40μm、120g;移動相A:水(加えて10mM NHHCO)、移動相B:アセトニトリル;流量:45mL/分;勾配(B%):5%~25%、7分;25%~45%、25分;45%~65%、8分;95%、5分;検出器:UV 254nm。所望の生成物を含む画分を17分で収集し、減圧下で濃縮して、表題化合物を黄色の固体として得た(30.0mg、40%):MS:[(M+1)]=556.20。
【0152】
【化48】
シス-N-(5-(3-エチル-7’-フルオロ-3’-メチル-2’-オキソ-2’,3’-ジヒドロスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-8’-イル)-2-(2-(イソプロピルアミノ)エトキシ)ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド(実施例573)及びトランス-N-(5-(3-エチル-7’-フルオロ-3’-メチル-2’-オキソ-2’,3’-ジヒドロスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-8’-イル)-2-(2-(イソプロピルアミノ)エトキシ)ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド(実施例566):上記N-(5-(3-エチル-7’-フルオロ-3’-メチル-2’-オキソ-2’,3’-ジヒドロスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-8’-イル)-2-(2-(イソプロピルアミノ)エトキシ)ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド(30.0mg)を、以下の条件で分取-キラル-HPLCにより分離した:カラム:Chiralpak IC、2×25cm、5μm;移動相A:ヘキサン/DCM=3/1(加えて0.2%イソプロピルアミン)、移動相B:EtOH;流量:20mL/分;勾配:15分で30%B;検出器:UV 220/254nm。所望の画分を、収集し、減圧下で濃縮して、シス-N-(5-(3-エチル-7’-フルオロ-3’-メチル-2’-オキソ-2’,3’-ジヒドロスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-8’-イル)-2-(2-(イソプロピルアミノ)エトキシ)ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド(実施例573、RT1:10.94分)を無色の固体(12.8mg、43%)として得た:H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.87(s,1H),8.32-8.22(m,2H),7.98(d,J=12.2Hz,2H),4.44(t,J=5.3Hz,2H),3.30(s,3H),3.04(s,3H),2.99(t,J=5.3Hz,2H),2.94-2.78(m,4H),2.26(dd,J=12.2,5.7Hz,2H),1.75(t,J=7.2Hz,2H),1.07(d,J=6.3Hz,6H),0.89(t,J=7.3Hz,3H);MS:[(M+1)]+=556.25
及びトランス-N-(5-(3-エチル-7’-フルオロ-3’-メチル-2’-オキソ-2’,3’-ジヒドロスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-8’-イル)-2-(2-(イソプロピルアミノ)エトキシ)ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド(実施例566、RT2:13.63分)を無色の固体として得た(8.6mg、29%):H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.88(s,1H),8.34-8.26(m,2H),8.01-7.93(m,2H),4.44(t,J=5.4Hz,2H),3.31(s,3H),3.05(s,3H),3.00(d,J=5.4Hz,2H),2.96-2.83(m,2H),2.70-2.60(m,2H),1.66(q,J=7.2,6.7Hz,2H),2.56-2.52(m,2H),1.07(d,J=6.2Hz,6H),0.89(t,J=7.3Hz,3H);MS:[(M+1)]=556.20。
【0153】
【化49】
1-(5-ブロモ-3-ニトロピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルアゼチジン-3-アミン:テトラヒドロフラン(40.0mL)中のN,N-ジメチルアゼチジン-3-アミンハイドロクロライド(0.27g、2.08mmol)及び5-ブロモ-2-クロロ-3-ニトロピリジン(0.49g、2.08mmol)の撹拌溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.67g、5.19mmol)を、周囲温度で添加した。得られた混合物を、3時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、石油エーテル中3%~9%の酢酸エチルで溶出させた。所望の画分を収集し、減圧下で濃縮して、表題化合物を黄色の固体として得た(0.50g、59%):H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.37(d,J=2.2Hz,1H),8.29(d,J=2.2Hz,1H),4.20(ddd,J=10.0,7.0,1.2Hz,2H),3.93(ddd,J=9.9,5.1,1.2Hz,2H),3.16(tt,J=7.0,5.1Hz,1H),2.20(s,6H);MS:[(M+1)]=301.00,303.00。
【0154】
【化50】
1-(5-ブロモ-3-ニトロピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルアゼチジン-3-アミン。酢酸(90.0mL)中の1-(5-ブロモ-3-ニトロピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルピペリジン-4-アミン(6.20g、20.7mmol)の溶液に、鉄粉(11.5g、206mmol)を、周囲温度で添加した。得られた混合物を、周囲温度で2時間撹拌した。得られた混合物を濾過し、濾過したケーキをテトラヒドロフラン(3x100mL)で洗浄した。濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を飽和炭酸ナトリウム水溶液(100mL)で取り、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(3×100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン中2%~4%のメタノールで溶出させ、表題化合物を灰色の固体として得た(5.20g、92%):H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.74(d,J=2.0Hz,1H),6.93(d,J=2.0Hz,1H),4.19-4.04(m,2H),3.93-3.88(m,2H),3.21-3.14(m,1H),2.24(s,6H);MS:[(M+1)]=271.00,273.00。
【0155】
【化51】
N-(5-ブロモ-2-(3-(ジメチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド:ピリジン(70.0mL)中の5-ブロモ-2-[3-(ジメチルアミノ)アゼチジン-1-イル]ピリジン-3-アミン(2.10g、7.77mmol)及びN,N-4-ジメチルアミノピリジン(77.0mg、0.63mmol)の撹拌溶液に、メタンスルホニルクロリド(1.77g、15.5mmol)を、周囲温度で滴下した。窒素雰囲気下、周囲温度で3時間撹拌した後、得られた混合物を、減圧下で濃縮した。残渣を、以下の条件で逆相フラッシュクロマトグラフィーによって精製した:カラム:球面C18、20~40μm、330g;移動相A:水(加えて10mM NHHCO)、移動相B:アセトニトリル;流量:65mL/分;勾配(B%):5%~20%、8分;20%~40%、20分;40%~95%、2分;95%、5分;検出器:UV 254nm。所望の画分を19分で収集し、減圧下で濃縮して、表題化合物を無色の固体として得た(1.40g、52%):H NMR(400MHz,CDOD)δ 7.92(d,J=2.2Hz,1H),7.61(d,J=2.2Hz,1H),4.27(dd,J=8.8,7.2Hz,2H),3.96(dd,J=9.0,5.6Hz,2H),3.24-3.16(m,1H),3.00(s,3H),2.20(s,6H);MS:[(M+1)]=349.00,351.00。
【0156】
【化52】
N-(2-(3-(ジメチルアミノ)アゼチジン-1-イル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド:1,4-ジオキサン(30.0mL)中のN-[5-ブロモ-2-[3-(ジメチルアミノ)アゼチジン-1-イル]ピリジン-3-イル]メタンスルホンアミド(1.00g、2.86mmol)及び4ビス(ピナコラート)ジボロン(2.18g、8.59mmol)の溶液に、酢酸カリウム(1.12g、11.5mmol)及びビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン付加体(351mg、0.43mmol)を、周囲温度で添加した。得られた混合物を、窒素雰囲気下、85℃で2時間撹拌した。得られた混合物を、減圧下で濃縮した。残渣を、以下の条件で逆フラッシュクロマトグラフィーによって精製した:カラム:球面C18、20~40μm、330g;移動相A:水(加えて10mM NHHCO)、移動相B:アセトニトリル;流量:65mL/分;勾配(B%):5%~20%、7分;20%~40%、12分;40%~95%;2分;95%、5分;検出器:UV 254nm。所望の画分を20分で収集し、減圧下で濃縮して、表題化合物を黄色の固体として得た(800mg、71%):H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.78(s,1H),8.18(d,J=1.5Hz,1H),7.50(d,J=1.6Hz,1H),4.19(t,J=8.0Hz,2H),3.93(dd,J=8.9,5.0Hz,2H),3.12-3.04(m,1H),2.99(s,3H),2.09(s,6H),1.27(s,12H);MS:[(M+1)]=397.20。
【0157】
【化53】
N-(2-(3-(ジメチルアミノ)アゼチジン-1-イル)-5-(3’-メチル-2’-オキソ-2’,3’-ジヒドロスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-8’-イル)ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド:1,4-ジオキサン(13.0mL)及び水(2.00mL)中の8-ブロモ-3-メチル-2,3-ジヒドロスピロ[シクロブタン-1,1-ピロロ[2,3-c]キノリン]-2-オン(320mg、1.01mmol)及びN-[2-[3-(ジメチルアミノ)アゼチジン-1-イル]-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-3-イル]メタンスルホンアミド(600mg、1.51mmol)の溶液に、炭酸ナトリウム(160mg、1.51mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(175mg、0.15mmol)を添加した。窒素雰囲気下、85℃で2時間撹拌した後、得られた混合物を、減圧下で濃縮した。残渣を、分取TLC(DCM/MeOH=8/1、v/v)によって精製して、表題化合物を淡黄色の固体として得た(350mg、69%):H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 9.07(s,1H),8.80(s,1H),8.58(s,1H),8.33(s,1H),8.13(d,J=8.9Hz,1H),7.95(d,J=9.2Hz,1H),7.91(d,J=2.1Hz,1H),4.28-4.21(m,2H),4.02-3.95(m,2H),3.30(s,3H),3.14(s,4H),2.98-2.90(m,2H),2.60-2.52(m,4H),2.13(s,6H);MS:[(M+1)]=507.20。
【0158】
【化54】
N-(2-(3-(ジメチルアミノ)アゼチジン-1-イル)-5-(3’-メチル-2’-オキソ-2’,3’-ジヒドロスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-8’-イル)ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミドハイドロクロライド:希塩酸水溶液(115mL、0.69mmol、0.006M)及びアセトニトリル(20.0mL)中のN-(2-(3-(ジメチルアミノ)アゼチジン-1-イル)-5-(3’-メチル-2’-オキソ-2’,3’-ジヒドロスピロ[シクロブタン-1,1’-ピロロ[2,3-c]キノリン]-8’-イル)ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド(350mg、0.69mmol)の溶液を、直接凍結乾燥させ、表題化合物をオレンジ色の固体として得た(375mg、100%):H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 10.77(s,1H),9.24(s,1H),8.83(s,1H),8.64(d,J=2.1Hz,1H),8.35(s,1H),8.17(d,J=8.9Hz,1H),8.02-7.94(m,2H),4.50-4.41(m,2H),4.39-4.32(m,2H),4.27-4.16(m,1H),3.31(s,3H),3.18(s,3H),2.99-2.88(m,2H),2.82(d,J=4.1Hz,6H),2.63-2.52(m,4H);MS:[(M+1)]=507.20。
【0159】
標的及びオフターゲット阻害活性
細胞ウエスタンアッセイにおけるATM:
朝に、MCF-7乳癌細胞をウェル当たり10,000細胞(Corning、#356663)、25μL細胞の密度で384ウェルプレートに配置した。翌日、ピンツール(Echo 550)を使用して化合物をプレートに添加し、3倍段階希釈(合計10用量)により最終濃度を1μMにした。次いで、エトポシド(Sigma、#E1383)を、100μM最終濃度まで添加する。プレートを37℃で1時間インキュベートし、25μLの固定液(8%パラホルムアルデヒド)を周囲温度で20分間添加することにより細胞を固定した。0.1%Triton X-100を含む1X PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で5回洗浄することにより、細胞を透過処理し、各洗浄は5分間であった。次いで、50μLのOdysseyブロッキング緩衝液(LI-COR、#927-40000)を、周囲温度で1.5時間振とうしながら384ウェルプレートに添加することによって、細胞をブロックした。次にブロッキング緩衝液を除去し、20μLの抗pKAP1抗体(Bethyl Laboratories、#A300-767A)(1/2000)溶液を384ウェルプレートの各ウェルに添加した。プレートを4℃で一晩インキュベートし、次に1X PBST(0.1%Tween-20を含む1X PBS)で5回洗浄した。DNA染色DRAQ5(CST、#4084L)(1/5,000)(20μL)を含む二次抗体(IRDye 800CWヤギ抗ウサギIgG、LI-COR、#926-32211)(1/5,000)溶液を、プレートの各ウェルに添加し、プレートを暗所で穏やかに振盪しながら1時間インキュベートした。細胞を1X PBST(0.1%Tween-20を含む1X PBS)で、周囲温度で5回洗浄し、暗所で穏やかに振盪した。最後の洗浄後、洗浄液を除去し、プレートを逆さまにして薄いペーパータオルの上に置き、1000rpmで1分間遠心分離してすべての洗浄緩衝液を吸収させた。プレートの底部を湿った糸くずのでない紙で洗浄した。プレートは、ODYSSEY CLx(LI-COR)を使用して直ちにスキャンした。
【0160】
DNA-PK酵素結合免疫吸着アッセイ:
1日目に、96ウェルプレート(ThermoFisher、カタログ番号442404)を、GST-p53(1-101)ペプチド(Pharmaronによって精製された、BCS部門)で各ウェル3μgのGST-p53を0.1MのNaCO/NaHCO(pH9.6)で希釈することによってコーティングした。プレートを4℃で一晩インキュベートした。2日目にコーティング緩衝液を除去し、プレートをPBST(0.1%Tween-20を含む1X PBS)で2回洗浄した。DNA-PK酵素溶液(Invitrogen、#PR9107A;最終DNA-PK濃度:0.1μg/mL)を次に加えた。化合物を100nMの最終最大濃度まで段階希釈し(3倍系列希釈、合計10用量)、ATP溶液(最終ATP濃度:20μM)をプレートに添加した。プレートを25℃で1時間インキュベートする。プレートをPBST(0.1%Tween-20を含む1X PBS)で3回洗浄し、PBST及び1%BSAの溶液で、4℃で一晩ブロックした。3日目に、プレートをPBST(0.1%Tween-20を含む1X PBS)で4回洗浄した。抗ホスホ-p53一次抗体(cell signaling Technology、#9286、ホスホ-p53(Ser15)(16G8)マウスmAb)(1/1000)を各ウェルに添加した。プレートを密封し、37℃で1時間インキュベートし、PBST(0.1%Tween-20を含む1X PBS)で4回洗浄した。HRP結合二次抗体(Cell signaling Technology、#7076、抗マウスIgG、HRP結合抗体)(1/1000)(100μL)を各ウェルに添加した。プレートをテープで密封し、37℃で30分間インキュベートし、PBST(0.1%Tween-20を含む1X PBS)で4回洗浄した。この時点で、100μLのTMB(Cell signaling Technology、#7004)基質を各ウェルに添加した。プレートをテープで密封し、プレートを37℃で10分間インキュベートした。停止溶液(Cell signaling Technology、#7002)(100μL)を各ウェルに添加し、プレートを450nmで吸収検出した。
【0161】
mTOR生化学的アッセイ:
mTORキナーゼ反応を、低体積384ウェルプレート中の10μL体積で行った。典型的には、PerkinElmerモデル6008260プレートを使用した。1xキナーゼ反応緩衝液の組成は:50mM HEPES pH7.5、0.01% Tween 20、1mM EGTA、10mM MnCl、及び2mM DTTであった。mTOR酵素の溶液(ThermoFisher、#PR8683B;最終mTOR濃度:0.5μg/mL)を添加し、化合物を、最終最大濃度100nM(3倍段階希釈、合計10用量)まで段階希釈した。GFP-4E-BP1(最終濃度:0.4μM)及びATP溶液(最終ATP濃度:3μM)を、384ウェルプレートに添加した。プレートを25℃で1時間インキュベートし、TR-FRET希釈緩衝液中の10μLのEDTA溶液(20mM)及びTb標識抗p4E-BP1抗体(4nM)を各ウェルに添加した。プレートを密封し、25℃で30分間インキュベートし、LanthaScreen(商標)TRFRET用に構成されたプレートリーダーで読み取った。
【0162】
PI3Kα及びPI3Kδ生化学的アッセイ:
PI3K□及びPI3K□キナーゼ反応を、低体積384ウェルプレート中の5μL体積で行った。典型的には、PerkinElmerモデル6008280プレートを使用した。1xキナーゼ反応緩衝液は、50mM HEPES pH7.5、3mM MgCl、0.03%CHAPS、1mM EGTA、100mM NaCl、及び2mM DTTで構成された。PI3K□(ThermoFisher、#PV4788;最終PI3K□濃度:120ng/mL)またはPI3K□酵素溶液(ThermoFisher、#PV6451;最終PI3K□濃度:250ng/mL)をプレートに添加し、化合物は、100nMの最終最大濃度(3倍系列希釈、合計10用量)、PIP2:3PS(最終濃度:10□g/mL)及びATP溶液(最終ATP濃度:10μM)を384ウェルプレートにした。プレートを25℃で1時間インキュベートした。ADP-Glo試薬緩衝液(5μL)を各ウェルに添加した。プレートを密封し、25℃で40分間インキュベートした。ADP-Glo検出緩衝液(10μL)を各ウェルに添加し、プレートを25℃で40分間インキュベートし、発光用に構成されたプレートリーダーで読み取った。
【0163】
インビトロhERG阻害アッセイ:
hERG-T-REx(商標)HEK293細胞(Invitrogen,K1236)を、Tet制御性発現ベクターpT-Rex-DEST30におけるhERGコード配列をTetリプレッサー(T-Rex(商標)HEK293)を発現する細胞にトランスフェクトすることにより生成し、それによって、高レベルのhERGチャネルを発現するように誘導され得る細胞を産生した。細胞を、85%DMEM、10%透析FBS、0.1mM NEAA、25mM HEPES、100U/mLペニシリン-ストレプトマイシン、5μg/mLブラストサイジン、及び400μg/mLジェネティシンを含む培地で培養した。細胞を、TrypLE(商標)Express(Gibco、12604)を使用して週に約3回分割し、約40%~約80%コンフルエンスに維持した。アッセイの前に、細胞を1μg/mLのドキシサイクリン(Sigma、D9891)で48時間誘導した。実験日に、誘導した細胞を再懸濁し、使用前に6cm細胞培養皿当たり5×10細胞でカバーガラスにプレートした。hERGチャネル媒介性電流は、増幅器(HEKA、EPC10及びMolecular Devices、multiclamp 700B)及び逆位相差顕微鏡(Olympus、IX51/71/73)を備えた手動パッチクランプ記録システムによって取得した。ガラスピペットを、マイクロピペットプラー(Sutter、P97及びNarishige、PC-10)によって調製し、2~4M□の範囲のピペット抵抗によって適格化した。内部ピペット溶液は、140mM KCl、2mM MgCl、10mM EGTA、5mM MgATP、及び10mM HEPES(KOHでpHを7.35に調整)であり、外部緩衝液は、132mM NaCl、4mM KCl、3mM CaCl、0.5mM MgCl、11.1mMグルコース、及び10mM HEPES(NaOHでpHを7.35に調整)であった。全細胞構成を、アクセス抵抗を継続的に監視しながら維持した(<15M□)。hERG電流を、4.8秒間+30mVへの脱分極メンブレンによって誘発し、電圧を5.2秒間-50mVに戻して、不活性化を除去し、不活性化テール電流を測定した。テール電流サイズの最大量を使用して、hERG電流振幅を決定した。hERG阻害を評価するために、液体灌流システム(ALA、VM8重力流送達システム)を介して全細胞記録構成下で、ブランクビヒクル及び試験試料を細胞に灌流した。用量反応アッセイのために、試験試料を、低濃度から高濃度まで累積して細胞に適用した。陽性対照(ドフェチリド)を実験で使用して、細胞の性能及び操作を、方法の検証の主要な部分として確保した。パーセントhERG電流阻害を用量濃度に対して適合させて、用量反応曲線を構築し、IC50を決定した。
【0164】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、以下の表に列挙された化合物からなる群から選択される。
【0165】
【表5】
【0166】
クローン原性及びインビボ有効性アッセイ
方法
細胞培養。MCF-7ヒト乳癌細胞株ならびにHCT116 p53野生型及びHCT116 p53-/-細胞株はATCCから入手した。MCF7及びHCT116細胞を、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM(Gibco #11995-065)中で培養した。MDA-MB-231ヒト三重陰性乳癌細胞株及びFADU、ヒト頭頸部扁平上皮癌細胞株は、Charles River Laboratories(Morrisville,NC)から入手した。MDA-MB-231細胞を、RPMI 1640培地(Gibco,11875-093)中で培養した。FADU細胞を、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco,11360-070)、1X MEM非必須アミノ酸(Gibco,11140-050)を補充した最小必須培地α(MEM α)(Gibco,12571-063)中で培養した。すべての細胞株に10%ウシ胎児血清(FBS)(Corning,35-010-CV)及び1X Antibiotic-Antimycotic(Gibco#15240-062)を補充し、37℃、5%CO2で培養した。すべての細胞株を短いタンデムリピートプロファイリングによって認証し、マイコプラズマについて陰性であることを試験した。
【0167】
抗体。リン酸化/活性化ATM(S1981,#ab81292)及びDNA-PKcs(S2056,#ab18192)を認識する抗体を、Abcam Biotechnology(Cambridge,MA)から購入した。ATM(#A1106)及びDNA-PKcs(#ab1832)に対する抗体は、それぞれSigma及びAbcamからである。ホスホ-KAP1(S824,#A300-767A)及びKAP1(A700-014)抗体は、Bethyl Labs(Montgomery,TX)からである。ホスホ-TBK1(#5483)、cGAS(#15102)、及びpSTING(S366,#19781S)抗体は、Cell Signaling Technology(CST)(Danvers,MA)からである。STING(PA5-23381)抗体は、ThermoFisher Scientific(Waltham,MA)から、アクチン(#A5316)抗体は、Sigmaからである。1X TBST(1X TBS-10X TBS、(Corning,46-012-CM)、0.05%Tween-20(P7949)Sigma、及び1%BSA中で1:3000希釈したアクチンを除き、すべての抗体を1:1000で希釈した。使用した二次抗体は、(a)Li-Cor法-ヤギ抗ウサギ(926-3221)及びヤギ抗マウス(926-68020)Li-Cor、(b)ECL法:抗ウサギIgG、HRP結合(#7074S)、CSTである。
【0168】
免疫ブロッティング。細胞を、図1に示すように、20、100、500、または1000nMの化合物569またはDMSOで30分間前処理した後、0または10Gy(XRAD 160,Precision X Ray)で照射した。図3において、細胞を、図1に示すように、1μMの化合物569、1μMのATMi(AZD0156)、1μMのDNA-PKi(ペポセルチブ)を単剤として、またはDMSO、またはATMi及びDNA-PKiを組み合わせてそれぞれ0.5マイクロモルまたはそれぞれ1マイクロモルで30分間前処理して、次に、0または10Gy(XRAD 160,Precision X Ray)を照射した。IRの1時間後、細胞を、プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤カクテル(Roche,#04693159001及び#04906837001)の存在下で、RIPA緩衝液(50nM Tris、pH8.0、150mM NaCl、0.1%SDS、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、1%IGEPAL(登録商標)CA-630(Sigma,I8896)中で4℃で20分間溶解した。細胞溶解物を、13,200gで10分間4℃で遠心分離し、BCAアッセイ(Pierce(商標)BCAタンパク質アッセイキット、カタログ番号23227,ThermoFisher Waltham,MA 02451)を使用して上清のタンパク質含有量を分析し、等量のタンパク質/レーンをその後のイムノブロット分析に使用した。2.5%の最終濃度のβ-メルカプトエタノールを含むNuPAGE LSD試料緩衝液[4X](Invitrogen,NP0007)を添加してタンパク質を変性させ、試料を5分間煮沸した。試料をNuPAGE 3~8%Tris-酢酸タンパク質ゲル(Invitrogen,EA03785BOX)に負荷し、1×Tris-酢酸SDSランニング緩衝液(Invitrogen,LA0041)で電気泳動するか、またはNuPAGE 4~12%Bis-Trisンパク質ゲル(Invitrogen,NP0336BOX)に負荷し、1X MOPS SDSランニング緩衝液(Invitrogen,NP0001)で電気泳動した。
【0169】
タンパク質を一晩ニトロセルロースメンブレン(Amersham,10600003)に転写した。メンブレンを1X TBST中の5%脱脂粉乳で1時間ブロックし、一次抗体と共に4℃で一晩インキュベートした。メンブレンをRTで、1X TBSTで4x10分間洗浄し、次いでRTで1時間二次抗体とインキュベートし、続いてRTで、1X TBSTで3x10分間洗浄した。ODYSSEY CLXシステムまたはECL(ECL Blotting substrate,Pierce,32209,34075,34095)でメンブレンを可視化した。
【0170】
クローン原性生存アッセイこのアッセイは、化合物569で行った。細胞を異なる密度で6ウェルプレートにプレートした。IR対照なしの250細胞、2GyのIRのための5000細胞、及び4GyのIRのための10000細胞を一晩培養した。翌日、細胞を、100、250、500、または1000nMでの化合物569、またはDMSOと共に30分間プレインキュベートした後、増加する用量のIR(0、2、または4Gy)に曝露した。IR後、細胞をDMSOまたは化合物569と共に5時間連続的にインキュベートした後、培地を除去し、細胞をPBSで洗浄した。細胞を、阻害剤の非存在下で完全培地で9日間培養した。次に、細胞を染色し(PBS、0.0037%v/vホルムアルデヒド、0.1%クリスタルバイオレット)、水ですすぎ、乾燥させた。
【0171】
腫瘍研究。雌のNCr nu/nuマウス(Crl:NU(NCr)-Foxn1nu、株490)を5~6週齢でCharles Riverから入手した。これらの研究で使用したすべての動物処置は、Duke大学のInstitutional Animal Care and Use Committee(IACUC)によって承認された。
【0172】
FADUまたはMDA-MB-231細胞は、インビボ移植のために対数増殖期中に採取した。再懸濁細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗浄した後、PBS中での作動希釈を調製した。FADU細胞を1x10細胞/mLに希釈し、MDA-MB-231細胞を5x10細胞/mLに希釈した。各マウスに、細胞懸濁液100μLを右脇腹に皮下注入した。腫瘍が少なくとも100mmの標的体積に達するまで腫瘍成長を監視し、その時点でマウスを4つの処置群に無作為に層別化した。
【0173】
腫瘍細胞株の移植後、マウスを、腫瘍発達について週に1回監視した。検出時に、腫瘍をデジタルキャリパーを使用して二次元で測定した。少なくとも100mmに達した後に腫瘍を治療し、処置群のうちの1つに登録した後、週に2~3回測定した。治験のエンドポイントは、治療時の体積から腫瘍が5倍になることとして定義した。
【0174】
本研究で使用したビヒクルは、脱イオン水に溶解した0.5%(ヒドロキシプロピル)メチルセルロース(HPMC)及び0.2%Tween80であった。ビヒクルのpHを7.0~8.0に調整し、ビヒクルを4℃で保存した。インビボ治療の各日に、適切な量の試験化合物を室温でビヒクルに添加した。混合物を必要に応じてボルテックスし、1.6mg/mLの最終濃度を生成した。
【0175】
薬力学的(PD)アッセイ。腫瘍研究を以下のように実施した。FADUまたはMDA-231腫瘍を保有するマウスに、ビヒクル単独、または化合物569単独を3、6、及び10mg/kgで予め投与した。次いで、腫瘍を、ビヒクルまたは化合物569投与の45分後に10Gyで照射されるか、または非照射のままにした(ビヒクル及び10mg/kgの化合物569)。放射線の1時間後に腫瘍を採取した。
【0176】
薬力学的分析のための組織均質物を、以下のように、収集し、処理した:FADUまたはMDA-MB-231腫瘍の腫瘍組織を液体窒素で瞬間冷凍し、組織粉砕機を使用してドライアイス上で粉砕した。腫瘍粉末の一部をマイクロチューブに移し、続いて、500μLのRIPA緩衝液[50nM Tris、pH 8.0、150mM NaCl、0.1%SDS、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、1%IGEPAL(登録商標)CA-630(Sigma,I8896)]を添加した。10mlのRIPA緩衝液に、プロテアーゼ阻害剤及びホスファターゼ阻害剤(Roche,#04693159001及び#04906837001)を各2錠、200μLの0.1M PMSF及び160μLのアプロチニン(Sigma,A6279)を添加した。懸濁液を、ペレット内筒モーター(KONTES)で氷上で均質化し、氷上で30分間インキュベートした。細胞溶解物を13,200rpmで15分間4℃で遠心分離し、上清を新しいチューブに移し、BCAキット(Pierce,23227)でタンパク質濃度を分析し、続いて、免疫ブロッティングを行った。
【0177】
インビボ腫瘍増殖遅延試験を以下のように実施した。腫瘍細胞株の移植後、マウスを、腫瘍発達について週に1回監視した。少なくとも100mmに腫瘍が発達すると、腫瘍保有マウスを、群当たり5匹のマウスを利用して、4つの群のうちの1つに層別化した。腫瘍体積は、100~500mmであった。ビヒクルまたは化合物569(10mg/kg)を、単独でまたは局所放射線と組み合わせて、3日間連続して(qd×3)1日1回強制経口投与によって投与した。ビヒクルまたは化合物569の送達体積を、個々の動物の体重に基づいて調整した。放射線療法群に層別化されたマウスは、ビヒクルまたは化合物569の投与の45分後に3日間連続して(qd×3)日当たり3Gyを受けた。放射線治療中にマウスをイソフルランで麻酔し、X-RAD 225Cx小動物画像誘導照射器(精密X線)で実施した。40mmx40mmの照射野は、X線透視を介して腫瘍を保有する脚の中央に配置した。マウスに、0.3mm Cuフィルタを使用して、300cGy/分の平均用量速度で、225kVp、13mA X線の平行対向する前後野を照射した。
【0178】
群1のマウスは、ビヒクルqd×3を受けた。
【0179】
群2のマウスは、10mg/kgの化合物569 qd×3を受けた。
【0180】
群3のマウスは、3Gyの局所照射qd×3の45分前にビヒクルを受けた。
【0181】
群4のマウスは、3Gyの局所照射qd×3の45分前に10mg/kgの化合物569を受けた。
【0182】
インビボデータの統計的及び図画分析。図画プレゼンテーションでは、Prism(GraphPad)を使用した。SAS 9.4及びR 3.6.1を統計分析に使用した。4つの治療群間の腫瘍成長率を比較した。治療開始時の異なる腫瘍サイズについて調整するために、各時点における腫瘍体積をベースライン時の体積で割ることによって、相対腫瘍体積を計算した。ラインプロットを使用して、経時的な相対的な腫瘍体積の中央値を表示した(図6及び8)。動物が腫瘍の5倍化のために試験を終了した場合、その動物について記録した最終的な腫瘍体積は、その後の時点で中央値体積を計算するために使用したデータに含まれた。カプランマイヤープロットを使用して、各治療群におけるマウスが経時的に研究に残っている割合を示した(図7及び9)。5倍エンドポイントに到達する前に死亡が判明したマウスを、右打ち切りに供した。4つの治療群間の5倍無生存の差を対数ランク試験で評価した。0.05未満のP値は、統計学的に有意であると見なした。
【0183】
結果
図1は、放射線を伴うまたは伴わずに、MCF7細胞に対する化合物569の効果を評価するインビトロ実験からの免疫ブロットの画像を示す。免疫ブロットは、腫瘍細胞における化合物569による、ATM及びDNA-PKキナーゼの放射線誘導性自己リン酸化及びATM基質であるKAP1の放射線誘導性リン酸化の阻害を示す。ヒト乳癌細胞株であるMCF7を、20、100、500、及び1000nMの濃度の化合物569で30分間前処理した。DMSOを陰性対照として使用した。次いで、細胞を0または10Gyの電離放射線(IR)に曝露し、1時間後、細胞を免疫ブロット分析のために回収した。化合物569は、Ser2056でのDNA-PKcs及びSer1981でのATM(両方の自己リン酸化事象)の放射線誘導性リン酸化の強力な用量依存的阻害を示し、ATM基質KAP1(ser824)は、化合物569が細胞内のDNA-PK及びATMキナーゼの両方を阻害したことを示す。
【0184】
図2は、インビトロでのクローン原性生存アッセイにおける化合物569の放射線増感特性を示す。MCF7細胞をビヒクルまたは100、250、500、または1000nMでの化合物569で30分間前処理した後、増加する用量のIR(0、2、及び4Gy)に照射した。5時間後、培地を除去し、阻害剤を含まない新鮮な培地を細胞に添加し、それらを9日間培養した後、固定し、染色し、コロニーを数えた。化合物569に対する細胞の5時間の曝露は、MCF7細胞におけるIRの不在下で、細胞毒性の証拠なしに、著しい程度の放射線感受性を誘導した(図2、表1)。
【0185】
図3は、野生型p53を発現するHCT116細胞またはp53発現が陰性であったHCT116細胞における、化合物569、AZD0156(選択的ATM阻害剤;ATMi)、ペポセルチブ(選択的DNA-PK阻害剤;DNA-PKi)、及びAZD0156とペポセルチブ(Ai+Di)との組み合わせによるTBK1のリン酸化の誘導を示す免疫ブロットである。TBK1のリン酸化は、I型インターフェロン応答の活性化のマーカーであり、免疫チェックポイント遮断療法に対する腫瘍応答の増強に関連する。2つの選択的化学阻害剤(AZD0156及びペポセルチブ)を一緒に組み合わせることによるATM及びDNA-PKcの二重阻害は、選択的阻害剤のいずれか単独よりもTBK1のより深い活性化をもたらした。同様に、ATM及びDNA-PKcの二重阻害剤である化合物569への細胞の曝露は、単一標的キナーゼ阻害剤のいずれよりもTBK1リン酸化のより強力な活性化因子であり、p53状態とは無関係であった。569によるTBK1活性化、ならびにATM及びDNA-PKcsの二重阻害は、cGAS及びホスホ-STINGの誘導とは無関係であるように見えた。
【0186】
【化55】
【0187】
インビボでの化合物569の薬力学的活性を評価するために、FADU及びMDA-MB-231細胞をヌードマウスの腫瘍異種移植片として増殖させた。ビヒクルまたは化合物569を、単独または局所放射線と組み合わせて強制経口投与によって投与した。マウスにビヒクルまたは化合物569を3、6、及び10mg/kgで投与した。次いで、腫瘍は、45分後に10Gyの焦点照射を受けたか、または非照射のままにした(0Gy、ビヒクル及び0Gy+10mg/kgの化合物569)。放射線の1時間後に腫瘍を採取した。これらの腫瘍からの溶解物の免疫ブロッティングは、pDNA-PKの放射線誘導性自己リン酸化及びKAP1の放射線誘導性リン酸化、ATMの下流標的、ならびに放射線に加えて化合物569で治療したFADU及びMDA231腫瘍におけるそれらのリン酸化事象の用量依存的阻害を示す。DNA-PKの放射線誘導性自己リン酸化及びKAP1の放射線誘導性リン酸化の腫瘍レベルは、10mg/kgでそれぞれ約55%及び>80%で有意に阻害された(図4及び5、表2~5)。DNA-PKの基底リン酸化もまた、腫瘍において化合物569によって阻害された。
【0188】
【表6】
【0189】
【表7】
【0190】
【表8】
【0191】
【表9】
【0192】
【表10】
【0193】
FADU腫瘍。群1のマウスは、ビヒクル、qd×3を受けた。この群における凝集腫瘍成長は進行性であった。エンドポイントまでの中央値時間は14日であり、範囲は11~14日であった(図6及び7)。群2のマウスは、10mg/kg、qd×3の用量で化合物569を受けた。エンドポイントまでの中央値時間は14日であり、範囲は11~17日であった。群2の動物の腫瘍成長曲線及び5倍無生存は、群1の動物とほぼ同一である(図6及び7)。群3のマウスは、ビヒクル及び3Gyの焦点放射線用量を受け、これはビヒクルの投与の45分後に送達した。ビヒクル及び放射線の両方がqd×3であった。1匹の動物が、原因不明により、16日目に死亡しているのが発見された。エンドポイントまでの中央値時間は21日であり、範囲は19~25日であった。全生存期間は、群1及び群2と比較して有意に改善した(P<0.01、対数ランク)。群1及び2と比較した、群3の凝集腫瘍成長の遅延及び5倍無生存の増加を図6及び7に示す。群4のマウスは、化合物569及び3Gyの焦点放射線用量を受け、これは化合物の投与の45分後に送達した。化合物569及び放射線の両方を、qd×3投与した。エンドポイントまでの中央値時間は42日であり、範囲は31~51日であった。全生存期間は、群1、群2、及び群3と比較して有意に改善した(P<0.01、対数ランク)。すべての他の群と比較した、群4の凝集腫瘍成長の遅延及び5倍無生存率の増加を図6及び7に示す。すべての治療は良好な耐容性であった。
【0194】
MDA-MB-231腫瘍。群1のマウスは、ビヒクル、qd×3を受けた。エンドポイントまでの中央値時間は12日であり、範囲は12~17日であった。群2のマウスは、10mg/kg、qd×3の用量で化合物569を受けた。エンドポイントまでの中央値時間は17日であり、範囲は12~22日であった。群2の動物の腫瘍成長曲線及び5倍無生存は、群1の動物とほぼ同一である(図8及び9)。群3のマウスは、ビヒクル及び3Gyの焦点放射線用量を受け、これはビヒクルの投与の45分後に送達した。ビヒクル及び放射線の両方がqd×3であった。エンドポイントまでの中央値時間は22日であり、範囲は16~22日であった。全生存期間は、ビヒクル単独で治療した群1動物と比較して有意に改善した(P<0.01、対数ランク)。群1及び群2と比較した、群3の5倍無生存の増加を図9に示す。群4のマウスは、10mg/kgの化合物569及び3Gyの焦点放射線用量を受け、これは化合物の投与の45分後に送達した。化合物569及び放射線の両方がqd×3であった。1匹の動物が、原因不明により、35日目に死亡しているのが発見された。エンドポイントまでの中央値時間は43日であり、範囲は37~58日であった。全生存期間は、群1、群2、及び群3と比較して有意に改善した(P<0.01、対数ランク)。すべての他の群と比較した、群4の凝集腫瘍成長の遅延及び5倍無生存率の増加を図8及び9に示す。すべての治療は良好な耐容性であった。
【0195】
他の実施形態
記載される発明の様々な修正及び変形は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本発明は、特定の実施形態に関連して記載されてきたが、特許請求される本発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、当業者にとって明白な、本発明を実施するための記載された様式の様々な修正は、本発明の範囲内であることが意図される。
【0196】
他の実施形態は、特許請求の範囲にある。
本発明は、以下の実施形態を包含する。
(実施形態1)
式(I)の化合物、
【化56】
またはその薬学的に許容される塩であって、
式中、
Yが、CHR またはNR であり、
Zが、CH、CR 、またはNであり、
nが、0、1、2、または3であり、
が、-O-L-N(R または任意に置換される、4員の飽和N-ヘテロシクリルであり、
が、C アルキルであり、
各R が独立して、ハロゲンまたは任意に置換されるC 1-3 アルキルであり、
が、任意に置換されるアルキルであり、
が、水素、任意に置換されるC 1-3 アルキル、またはベンジルオキシであり、
が、任意に置換されるC 1-3 アルキルであり、
各R が独立して、Hまたは任意に置換されるC 1-3 アルキルであり、
Lが、任意に置換されるエチレンである、前記式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態2)
nが、1である、実施形態1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態3)
前記化合物が、式(IA)の化合物、
【化57】
またはその薬学的に許容される塩である、実施形態1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態4)
が、ハロゲンである、実施形態1~3のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態5)
ハロゲンが、フッ素である、実施形態4に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態6)
nが、0である、実施形態1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態7)
前記化合物が、式(IB)の化合物、
【化58】
またはその薬学的に許容される塩である、実施形態1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態8)
が、-O-L-N(R である、実施形態1~7のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態9)
1つのR が、Hであり、残りのR が、任意にC 1-3 アルキルである、実施形態1~8のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態10)
少なくとも1つのR が、イソプロピルである、実施形態1~9のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態11)
が、メチル、エチル、またはイソプロピルである、実施形態1~10のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態12)
が、メチルである、実施形態1~11のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態13)
が、メチルである、実施形態1~12のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態14)
Yが、CHR である、実施形態1~13のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態15)
が、水素である、実施形態1~14のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態16)
が、任意に置換されるC 1-3 アルキルである、実施形態1~14のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態17)
が、ベンジルオキシである、実施形態1~14のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態18)
Yが、NR である、実施形態1~13のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態19)
が、任意に置換されるC アルキルである、実施形態1~18のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態20)
が、イソプロピルである、実施形態1~18のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態21)
以下からなる群から選択される化合物、
【化59】
及びその薬学的に許容される塩。
(実施形態22)
以下の構造の化合物、
【化60】
またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態23)
以下の構造の化合物、
【化61】
またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態24)
以下の構造の化合物、
【化62】
またはその薬学的に許容される塩。
(実施形態25)
実施形態1~24のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む、薬学的組成物。
(実施形態26)
腫瘍性疾患を治療する方法であって、治療有効量の実施形態1~24のいずれか1項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または実施形態25に記載の薬学的組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、前記方法。
(実施形態27)
前記患者が、放射線療法を受けている、実施形態26に記載の方法。
(実施形態28)
前記化合物または前記薬学的組成物が、前記放射線療法と同時に前記患者に投与される、実施形態27に記載の方法。
(実施形態29)
前記化合物または前記薬学的組成物が、前記放射線療法の前に前記患者に投与される、実施形態27に記載の方法。
(実施形態30)
前記化合物または前記薬学的組成物が、前記放射線療法の後に前記患者に投与される、実施形態27に記載の方法。
(実施形態31)
前記放射線療法が、外部、内部、近接照射療法、または全身曝露を含む、実施形態27~30のいずれか1項に記載の方法。
(実施形態32)
前記放射線療法が、抗体放射性核種抱合体を投与することを含む、実施形態27~31のいずれか1項に記載の方法。
(実施形態33)
前記患者が、抗腫瘍剤を投与されている、実施形態26~32のいずれか1項に記載の方法。
(実施形態34)
前記抗腫瘍剤が、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、バルルビシン、イダルビシン、カリケアマイシン、またはPARP阻害剤である、実施形態33に記載の方法。
(実施形態35)
前記抗腫瘍剤が、抗腫瘍生物学的薬剤または抗腫瘍免疫療法剤である、実施形態34に記載の方法。
(実施形態36)
前記化合物または前記薬学的組成物が、前記抗腫瘍剤と同時に前記患者に投与される、実施形態33~35のいずれか1項に記載の方法。
(実施形態37)
前記化合物または前記薬学的組成物が、前記抗腫瘍剤の前に前記患者に投与される、実施形態33~35のいずれか1項に記載の方法。
(実施形態38)
前記化合物または前記薬学的組成物が、前記抗腫瘍剤の後に前記患者に投与される、実施形態33~35のいずれか1項に記載の方法。
(実施形態39)
前記腫瘍性疾患が、脳腫瘍、膀胱癌、乳癌、中枢神経系癌、頸部癌、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、消化管間質腫瘍、胃癌、頭頸部癌、頬癌、口癌、肝細胞癌、肺癌、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、唾液腺癌、肉腫、精巣癌、尿路上皮癌、外陰癌、またはウィルムス腫瘍である、実施形態26~38のいずれか1項に記載の方法。
(実施形態40)
前記腫瘍性疾患が、乳癌、肺癌、頭頸部癌、膵臓癌、直腸癌、膠芽腫、肝細胞癌、胆管癌、転移性肝病変、黒色腫、骨肉腫、軟部肉腫、子宮内膜癌、子宮頸癌、前立腺癌、またはメルケル細胞癌である、実施形態26~38のいずれか1項に記載の方法。
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