(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】CLL1標的キメラ抗原受容体およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20241202BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20241202BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20241202BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20241202BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20241202BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20241202BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241202BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20241202BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241202BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241202BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20241202BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K16/30
C12N15/62 Z
C12N15/13
C12N15/86 Z
C12N15/867 Z
C12N5/10
C12N7/01
A61K39/395 N
A61K48/00
A61K35/76
A61P35/02
(21)【出願番号】P 2022529577
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(86)【国際出願番号】 CN2020138257
(87)【国際公開番号】W WO2022120942
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】202011461194.7
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522199217
【氏名又は名称】広州百▲ジ▼基因科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 光超
(72)【発明者】
【氏名】羅 敏
(72)【発明者】
【氏名】丁 ▲ブン▼
(72)【発明者】
【氏名】周 兆
(72)【発明者】
【氏名】王 学俊
【審査官】坂井田 京
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-504459(JP,A)
【文献】Int J Mol Sci.,2017年10月27日,Vol.18, No.11 (2259),pp.1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00ー15/90
C07K 19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Google/Google Scholar
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原結合ドメイン、ヒンジ領域、膜貫通ドメイン、およびシグナル伝達ドメインを含み、
前記抗原結合ドメインは抗CLL1抗体である、
CLL1標的キメラ抗原受容体
であって、
前記抗原結合ドメインは、SEQ ID NO: 3およびSEQ ID NO: 4で示されるアミノ酸配列を含み、または
前記抗原結合ドメインは、SEQ ID NO: 5およびSEQ ID NO: 6で示されるアミノ酸配列を含み、または
前記抗原結合ドメインは、SEQ ID NO: 7で示されるアミノ酸配列およびSEQ ID NO: 8で示されるアミノ酸配列を含む、
前記CLL1標的キメラ抗原受容体。
【請求項2】
前記ヒンジ領域はCD8αヒンジ領域を含む、
請求項
1に記載のCLL1標的キメラ抗原受容体。
【請求項3】
前記膜貫通ドメインは、CD8α膜貫通領域および/またはCD28膜貫通領域を含む、
請求項1
または2に記載のCLL1標的キメラ抗原受容体。
【請求項4】
前記シグナル伝達ドメインはCD3ζを含
む、
請求項1から
3のいずれか1項に記載のCLL1標的キメラ抗原受容体。
【請求項5】
前記シグナル伝達ドメインは、4-1BB、CD28細胞内領域、DAP10、またはOX40のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを更に含む、
請求項4に記載のCLL1標的キメラ抗原受容体。
【請求項6】
前記CLL1標的キメラ抗原受容体はシグナルペプチドを更に含
む、
請求項1から5のいずれか1項に記載のCLL1標的キメラ抗原受容体。
【請求項7】
前記シグナルペプチドは、CD8αシグナルペプチドおよび/またはIgGκ軽鎖シグナルペプチドを含む、
請求項6に記載のCLL1標的キメラ抗原受容体。
【請求項8】
前記CLL1標的キメラ抗原受容体は、シグナルペプチド、抗CLL1抗体、CD8αヒンジ領域、CD8α膜貫通領域、4-1BB、およびCD3ζを含む、
請求項1から
7のいずれか1項に記載のCLL1標的キメラ抗原受容体。
【請求項9】
前記CLL1標的キメラ抗原受容体は、SEQ ID NO: 14で示されるアミノ酸配列を含み、または
前記CLL1標的キメラ抗原受容体は、SEQ ID NO: 15で示されるアミノ酸配列を含み、または
前記CLL1標的キメラ抗原受容体は、SEQ ID NO: 16で示されるアミノ酸配列を含
む、
請求項1から
8のいずれか1項に記載のCLL1標的キメラ抗原受容体。
【請求項10】
請求項1から
9のいずれか1項に記載のCLL1標的キメラ抗原受容体のコード遺伝子を含む、核酸分子。
【請求項11】
前記核酸分子は、SEQ ID NO: 19で示される核酸配列を含み、または
前記核酸分子は、SEQ ID NO: 20で示される核酸配列を含み、または
前記核酸分子は、SEQ ID NO: 21で示される核酸配列を含
む、
請求項
10に記載の核酸分子。
【請求項12】
請求項
10または
11に記載の核酸分子を含む発現ベクター
。
【請求項13】
前記発現ベクターは、請求項10または11に記載の核酸分子
を含むウイルスベクターまたは非ウイルスベクター
であり、
前記ウイルスベクターは、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、またはアデノ随伴ウイルスベクターのいずれか1種を含み、
前記非ウイルスベクターは、Piggybacトランスポゾン系、Sleeping Beautyトランスポゾン系、またはナノベクターのいずれか1種を含む、
請求項12に記載の発現ベクター。
【請求項14】
請求項12または13に記載の発現ベクターおよびヘルパープラスミドがトランスフェクションされた哺乳細胞で調製される、
請求項10または11に記載の核酸分子を含む組換えレンチウイルス。
【請求項15】
請求項1から
9のいずれか1項に記載のCLL1標的キメラ抗原受容体を発現
する、
キメラ抗原受容体の免疫細胞。
【請求項16】
前記キメラ抗原受容体の免疫細胞のゲノムに、請求項10または11に記載の核酸分子が組み込まれる、
請求項15に記載のキメラ抗原受容体の免疫細胞。
【請求項17】
前記キメラ抗原受容体の免疫細胞は、請求項12または13に記載の発現ベクターおよび/または請求項14に記載の組換えレンチウイルスを含む、
請求項15または16に記載のキメラ抗原受容体の免疫細胞。
【請求項18】
前記免疫細胞は、T細胞、NK細胞、またはマクロファージのいずれか1種を含む、
請求項15から17のいずれか1項に記載のキメラ抗原受容体の免疫細胞。
【請求項19】
前記T細胞は、αβΤ細胞および/またはγδΤ細胞を含む、
請求項
18に記載のキメラ抗原受容体の免疫細胞。
【請求項20】
請求項
15から19のいずれか1項に記載のキメラ抗原受容体の免疫細胞を含
む、
医薬組成物。
【請求項21】
医薬的に許容されるベクター、賦形剤、または希釈剤のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを更に含む、
請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
請求項1
から9のいずれか1項に記載のCLL1標的キメラ抗原受容体、請求項
10または
11に記載の核酸分子、請求項
12または13に記載の発現ベクター、請求項
14に記載の組換えレンチウイルス、請求項
15から19のいずれか1項に記載のキメラ抗原受容体の免疫細胞、または請求項
20または21に記載の医薬組成物の、悪性腫瘍治療薬の調製における使用
。
【請求項23】
前記悪性腫瘍は急性骨髄性白血病を含む、
請求項22に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、生物医薬の技術分野に関し、CLL1標的キメラ抗原受容体およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
C型レクチン様分子1(CLL1)は、C型レクチンドメインファミリー12のメンバーA(CLEC12A)とも呼ばれ、II型膜貫通タンパク質である。研究によると、CLL1は、造血細胞に制限的に発現し、主に、末梢血および骨髄中の骨髄系に由来する細胞を含み、例えば、単核細胞、樹状細胞、顆粒球およびほとんどの急性骨髄性白血病(AML)細胞を含む。なお、CLL1が末梢血および骨髄中の骨髄細胞に大量に発現するが、末梢組織中の骨髄系に由来する細胞に発現せず、例えば、組織マクロファージおよび組織樹状細胞にCLL1がいずれも発見しないことが分かった。研究によると、CLL1がAML幹細胞(CD34+/CD38-)およびごく一部の造血前駆細胞(CD34+/CD38+、またはCD34+/CD33+)に発現するが、正常の造血幹細胞(CD34+/CD38-、またはCD34+/CD33-)に発現しないことが更に分かった。
【0003】
このような特殊な発現モードにより、CLL1は、AMLを診断して治療する潜在的な標的点になることが期待されている。しかし、現在、CLL1を標的とする免疫療法の報告は稀である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、CLL1標的キメラ抗原受容体およびその使用を提供し、前記CLL1標的キメラ抗 原受容体は、CLL1に対して結合能力を有する抗CLL1抗体を抗原結合ドメインとして採用し、精製されたまたは遊離したCLL1タンパク質と結合することができるだけでなく、更に細胞表面のCLL1タンパク質と結合することもでき、前記CLL1標的キメラ抗原受容体を発現する免疫細胞は、腫瘍治療分野で重要な応用の見通しを有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
態様1において、本願は、
抗原結合ドメイン、ヒンジ領域、膜貫通ドメイン、およびシグナル伝達ドメインを含み、
前記抗原結合ドメインは抗CLL1抗体である、
CLL1標的キメラ抗原受容体を提供する。
【0006】
本願において、CLL1に対して結合能力を有する抗CLL1抗体をキメラ抗原受容体の抗原結合ドメインとして採用し、キメラ抗原受容体は、CLL1陽性腫瘍細胞と特異的に結合してCLL1陽性腫瘍に対する特異的な標的作用を実現することができる。
【0007】
いくつかの具体的な実施形態において、前記抗原結合ドメインは、SEQ ID NO: 1およびSEQ ID NO: 2で示されるアミノ酸配列を含み、SEQ ID NO: 1とSEQ ID NO: 2とは、連結ペプチドを介して連結されて抗CLL1抗体19C1を形成する。ここで、
SEQ ID NO: 1:
QVQLQQSGAELMKPGASVKISCKATGYTFSSYWIEWVKQRPGHGLEWIGEIFPGSGSIKYNEKFKGKATFTADTSSNTA
YMQLSSLTSEDSAVHYCARGGTYNDYSLFDYWGQGTTLTVSS。
SEQ ID NO: 2:
QIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMYWYQQKPGSSPRLLIFDTSNLASGVPVRFSGSGSGTSYSLTISRMEAEDAATYYCQQWSSYPLTFGAGTKLELK。
【0008】
いくつかの具体的な実施形態において、前記抗原結合ドメインは、SEQ ID NO: 3およびSEQ ID NO: 4で示されるアミノ酸配列を含み、SEQ ID NO: 3とSEQ ID NO: 4とは、連結ペプチドを介して連結されて抗CLL1抗体23D7を形成する。ここで、
SEQ ID NO: 3:
QVQLQQPGSDLVRPGASVKLSCKASGYTFTRYWMHWVKQRPGHGLEWIGYIYPGSGTSNYDEKFKSKATLTVDTSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCTREARYTMDYWGQGTSVTVSS。
SEQ ID NO: 4:
QIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYIYWYQQKPGSSPGLLIYDTSNLASGVPVRFSGSGSGTSYSLTISRMEAEDAATYYCQQWSSFPPTFGAGTKLELK。
【0009】
いくつかの具体的な実施形態において、前記抗原結合ドメインは、SEQ ID NO: 5およびSEQ ID NO: 6で示されるアミノ酸配列を含み、SEQ ID NO: 5とSEQ ID NO: 6とは、連結ペプチドを介して連結されて抗CLL1抗体27H4を形成する。ここで、
SEQ ID NO: 5:
EVQLQQSGPELVKPGASVKISCKASGYSFTGYHMHWVKQSHVKSLEWIGRINPYNGAASHNQKFKDKATLTVDKSSSTAYMELHSLTSEDSAVYYCARGWDYDGGYYAMDYWGQGTSVTVSS。
SEQ ID NO: 6:
DIVMSQSPSSLAVSVGEKVTMSCKSSQSLLYSDNQKNYLAWYQQKPGQSPKLLIYWASTRESGVPDRFTGSGSGTDFTLTISSVKAEDLAVYYCQQYYTYPYTFGGGTKLEIK。
【0010】
いくつかの具体的な実施形態において、前記抗原結合ドメインは、SEQ ID NO: 7で示されるアミノ酸配列およびSEQ ID NO: 8~10の1つで示されるアミノ酸配列を含み、SEQ ID NO: 7とSEQ ID NO: 8とは、連結ペプチドを介して連結されて抗CLL1抗体H27H4L1を形成し、SEQ ID NO: 7とSEQ ID NO: 9とは、連結ペプチドを介して連結されて抗CLL1抗体H27H4L2を形成し、あるいは、SEQ ID NO: 7とSEQ ID NO: 10とは、連結ペプチドを介して連結されて抗CLL1抗体H27H4L3を形成する。ここで、
SEQ ID NO: 7:
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYHMHWVRQAPGQRLEWMGRINPYNGAASHNQKFKDRVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGWDYDGGYYAMDYWGQGTLVTVSS。
SEQ ID NO: 8:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKSSQSLLYSDNQKNYLAWYQQKPGKAPKLLIYWASTRESGVPSRFSGSGSGTDFTL
TISSLQPEDFATYYCQQYYTYPYTFGQGTKLEIK。
SEQ ID NO: 9:
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCKSSQSLLYSDNQKNYLAWYLQKPGQSPQLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCQQYYTYPYTFGQGTKLEIK。
SEQ ID NO: 10:
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQSLLYSDNQKNYLAWYQQKPGQPPKLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQYYTYPYTFGQGTKLEIK。
【0011】
いくつかの具体的な実施形態において、前記抗原結合ドメインは、SEQ ID NO: 11およびSEQ ID NO: 12で示されるアミノ酸配列を含み、SEQ ID NO: 11とSEQ ID NO: 12とは、連結ペプチドを介して連結されて抗CLL1抗体1075.7を形成する。ここで、
SEQ ID NO: 11:
DIQLQESGPGLVKPSQSLSLTCSVTGYSITSAYYWNWIRQFPGNKLEWMGYISYDGRNNYNPSLKNRISITRDTSKNQFFLKLNSVTTEDTATYYCAKEGDYDVGNYYAMDYWGQGTSVTVSS。
SEQ ID NO: 12:
ENVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCRASSNVISSYVHWYQQRSGASPKLWIYSTSNLASGVPARFSGSGSGTSYSLTISSVEAEDAATYYCQQYSGYPLTFGAGTKLEL。
【0012】
好ましくは、前記ヒンジ領域はCD8αヒンジ領域を含む。
【0013】
好ましくは、前記膜貫通ドメインは、CD8α膜貫通領域および/またはCD28膜貫通領域を含み、CD8α膜貫通領域であることが好ましい。
【0014】
好ましくは、前記シグナル伝達ドメインはCD3ζを含む。
【0015】
好ましくは、前記シグナル伝達ドメインは、4-1BB、CD28細胞内領域、DAP10、またはOX40のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを更に含む。
【0016】
好ましくは、前記CLL1標的キメラ抗原受容体はシグナルペプチドを更に含む。
【0017】
好ましくは、前記シグナルペプチドは、CD8αシグナルペプチドおよび/またはIgGκ軽鎖シグナルペプチドを含む。
【0018】
好ましい技術案として、前記CLL1標的キメラ抗原受容体は、シグナルペプチド、抗CLL1抗体、CD8αヒンジ領域、CD8α膜貫通領域、4-1BB、およびCD3ζを含む。
【0019】
いくつかの具体的な実施形態において、前記CLL1標的キメラ抗原受容体は19C1-CARであり、SEQ ID NO: 13で示されるアミノ酸配列を含む。ここで、
SEQ ID NO: 13:
MALPVTALLLPLALLLHAARPQIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMYWYQQKPGSSPRLLIFDTSNLASGVPVRFSGSGSGTSYSLTISRMEAEDAATYYCQQWSSYPLTFGAGTKLELKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLQQSGAELMKPGAS
VKISCKATGYTFSSYWIEWVKQRPGHGLEWIGEIFPGSGSIKYNEKFKGKATFTADTSSNTAYMQLSSLTSEDSAVHYCARGGTYNDYSLFDYWGQGTTLTVSSTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR*。
【0020】
いくつかの具体的な実施形態において、前記CLL1標的キメラ抗原受容体は23D7-CARであり、SEQ ID NO: 14で示されるアミノ酸配列を含む。ここで、
SEQ ID NO: 14:
MALPVTALLLPLALLLHAARPQIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYIYWYQQKPGSSPGLLIYDTSNLASGVPVRFSGSGSGTSYSLTISRMEAEDAATYYCQQWSSFPPTFGAGTKLELKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLQQPGSDLVRPGASVKLSCKASGYTFTRYWMHWVKQRPGHGLEWIGYIYPGSGTSNYDEKFKSKATLTVDTSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCTREARYTMDYWGQGTSVTVSSTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR*。
【0021】
いくつかの具体的な実施形態において、前記CLL1標的キメラ抗原受容体は27H4-CARであり、SEQ ID NO: 15で示されるアミノ酸配列を含む。ここで、
SEQ ID NO: 15:
MALPVTALLLPLALLLHAARPDIVMSQSPSSLAVSVGEKVTMSCKSSQSLLYSDNQKNYLAWYQQKPGQSPKLLIYWASTRESGVPDRFTGSGSGTDFTLTISSVKAEDLAVYYCQQYYTYPYTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSEVQLQQSGPELVKPGASVKISCKASGYSFTGYHMHWVKQSHVKSLEWIGRINPYNGAASHNQKFKDKATLTVDKSSSTAYMELHSLTSEDSAVYYCARGWDYDGGYYAMDYWGQGTSVTVSSTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR*。
【0022】
いくつかの具体的な実施形態において、前記CLL1標的キメラ抗原受容体はH27H4-CARであり、SEQ ID NO: 16で示されるアミノ酸配列を含む。ここで、
SEQ ID NO: 16:
MDMRVPAQLLGLLLLWLRGARCDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKSSQSLLYSDNQKNYLAWYQQKPGKAPKLLIYWA
STRESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYYTYPYTFGQGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYHMHWVRQAPGQRLEWMGRINPYNGAASHNQKFKDRVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGWDYDGGYYAMDYWGQGTLVTVSSTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR*。
【0023】
いくつかの具体的な実施形態において、前記CLL1標的キメラ抗原受容体は1075.7-CARであり、SEQ ID NO: 17で示されるアミノ酸配列を含む。ここで、
SEQ ID NO: 17:
MALPVTALLLPLALLLHAARPENVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCRASSNVISSYVHWYQQRSGASPKLWIYSTSNLASGVPARFSGSGSGTSYSLTISSVEAEDAATYYCQQYSGYPLTFGAGTKLELGGGGSGGGGSGGGGSDIQLQESGPGLVKPSQSLSLTCSVTGYSITSAYYWNWIRQFPGNKLEWMGYISYDGRNNYNPSLKNRISITRDTSKNQFFLKLNSVTTEDTATYYCAKEGDYDVGNYYAMDYWGQGTSVTVSSTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR*。
【0024】
態様2において、本願は、態様1に記載のCLL1標的キメラ抗原受容体のコード遺伝子を含む核酸分子を提供する。
【0025】
いくつかの具体的な実施形態において、前記核酸分子は、SEQ ID NO: 18で示される核酸配列を含み、19C1-CARのコード遺伝子である。
SEQ ID NO: 18:
atggccctcccagtcacagctctgctgctcccactcgccctgctgctgcacgccgcacggcctcagatcgtcctcacccagtctccagccatcatgagcgcctctccaggcgagaaggtgacaatgacttgttccgcaagcagctcagttagttacatgtattggtaccagcagaaaccaggctcttctccaaggctcctgatcttcgacacttctaacctggcatccggagtcccagtgcggttcagcggcagcggcagtggaacatcttatagcctgactattagccggatggaggcagaagatgcagctacctactactgtcaacagtggtctagttatccactcacttttggtgcagggaccaagctggagctcaaaggtggaggaggatctggcggcggagggagtggaggaggcggctcacaggtccaactgcagcaatctggtgcagaactgatgaagcctggagcaagcgttaaaatctcttgcaaagcaacaggatacaccttttcttcctactggatagagtgggtgaaacaaagaccaggacacggac
tggaatggataggagagatctttcctggcagcggctcaatcaagtataacgagaagttcaaagggaaagccaccttcacagccgatacctcttctaatacagcctatatgcagctgtcatccctgaccagcgaagattctgctgttcactactgtgcacgcggaggaacatacaatgactactctctgtttgactattggggacagggcaccacactgactgtgagttctactacgacccctgcaccgcggccgcctactcctgcacctacaatcgcaagtcagccactgagtctcagacccgaagcatgccgccctgctgcaggcggagctgtccatacacgcggactggactttgcatgcgatatatacatctgggcaccactggccggcacttgcggcgtgctgctcctgtccctcgtgattaccctgtactgcaaacgcggcaggaagaagctcctgtatatctttaaacagcccttcatgaggccagtgcagaccactcaagaggaagacggttgtagctgccggtttcccgaggaagaagagggaggctgcgagctccgcgtgaagttctcccgctcagccgatgcacccgcctatcagcaagggcagaaccagctgtacaatgagctcaacctgggaagaagggaggaatatgacgttctggataaacggcgcggtcgcgatcccgaaatgggtgggaagcctcgcaggaagaatcctcaggaagggctctacaatgagctgcagaaagacaaaatggcagaggcctattctgaaatcggcatgaagggcgagcgccgcagaggcaaaggacacgacggcctgtaccagggcctgtctacagccaccaaggacacctatgacgctctccacatgcaagccctgccaccaaggtga。
【0026】
いくつかの具体的な実施形態において、前記核酸分子は、SEQ ID NO: 19で示される核酸配列を含み、23D7-CARのコード遺伝子である。
SEQ ID NO: 19:
atggctctccctgttactgcactcctgctcccactggcactgctgctgcatgccgctcggccacaaatagttctgactcagagtcctgccattatgtcagcctctcctggagagaaggtcacaatgacttgctctgcctctagtagtgtgtcttacatatactggtaccagcagaagcctggttcttctcccggactgctgatctatgacacatccaatctggcttcaggcgttcccgtcagattcagcgggtctggatctggcacaagctattctctgaccatctcaagaatggaggctgaagatgctgctacttattattgccaacagtggtcttcctttccaccaaccttcggtgcaggtaccaagctcgaactcaaaggtggaggaggaagcggaggaggcggtagtggtggaggtgggtcccaagttcagctgcaacagcccggatctgatctggttcggcccggagctagcgtgaaactgtcttgcaaggctagcggatacactttcacccgctattggatgcactgggttaagcagcggccaggacacggactggagtggattggctatatctacccaggcagcgggacaagtaactacgatgagaaattcaagagtaaggctactctgactgtcgatacaagttcctcaaccgcttacatgcagctctcttcactcaccagcgaagacagtgctgtttattactgcaccagggaagctcggtacaccatggattattggggtcaaggaacttctgtgacagtgtcaagcactacgacccctgcaccgcggccgcctactcctgcacctacaatcgcaagtcagccactgagtctcagacccgaagcatgccgccctgctgcaggcggagctgtccatacacgcggactggactttgcatgcgatatataca
tctgggcaccactggccggcacttgcggcgtgctgctcctgtccctcgtgattaccctgtactgcaaacgcggcaggaagaagctcctgtatatctttaaacagcccttcatgaggccagtgcagaccactcaagaggaagacggttgtagctgccggtttcccgaggaagaagagggaggctgcgagctccgcgtgaagttctcccgctcagccgatgcacccgcctatcagcaagggcagaaccagctgtacaatgagctcaacctgggaagaagggaggaatatgacgttctggataaacggcgcggtcgcgatcccgaaatgggtgggaagcctcgcaggaagaatcctcaggaagggctctacaatgagctgcagaaagacaaaatggcagaggcctattctgaaatcggcatgaagggcgagcgccgcagaggcaaaggacacgacggcctgtaccagggcctgtctacagccaccaaggacacctatgacgctctccacatgcaagccctgccaccaaggtga。
【0027】
いくつかの具体的な実施形態において、前記核酸分子は、SEQ ID NO: 20で示される核酸配列を含み、27H4-CARのコード遺伝子である。
SEQ ID NO: 20:
atggctctgcctgttactgcactgctgctccctctggctctcctcctgcatgctgctcggcctgatatagtgatgtcccaaagcccatccagcctggccgtgtccgtcggcgaaaaggtgactatgagttgcaaatccagccaaagcctgctgtacagtgacaaccaaaagaactacctggcatggtaccagcagaagcctggacagtcaccaaagctcctcatctactgggctagcacaagggagagcggcgtcccagacaggtttactggcagcgggagtggcaccgatttcaccctgacaataagctctgtcaaggccgaagacctcgctgtgtactattgtcagcagtattatacctatccctatactttcggtggagggaccaaactcgagattaaaggaggtggcggctctggaggtggaggttccggcggtggcggtagtgaagtgcagctgcagcagagcgggcctgaactcgtgaaacctggtgcctccgttaaaatctcctgcaaggccagcggctactcattcacagggtatcacatgcattgggtgaagcagagccacgtcaaatcactggaatggatcggcaggattaatccatacaatggcgctgcttcacataaccagaagttcaaggacaaagccaccctgactgtcgataagtcatcaagtacagcatacatggagctgcattccctgactagcgaggacagcgctgtttactactgcgcacgcggctgggactacgacggtggctattacgccatggactactggggacaaggcaccagcgtcacagtttcaagtactacgacccctgcaccgcggccgcctactcctgcacctacaatcgcaagtcagccactgagtctcagacccgaagcatgccgccctgctgcaggcggagctgtccatacacgcggactggactttgcatgcgatatatacatctgggcaccactggccggcacttgcggcgtgctgctcctgtccctcgtgattaccctgtactgcaaacgcggcaggaagaagctcctgtatatctttaaacagcccttcatgaggccagtgcagaccactcaagaggaagacggttgtagctgccggtttcccgaggaagaagagggaggctgcgagctccgcgtgaagttctcccgctcagccgatgcacccgcctatcagcaagggcagaaccagctgtacaatgagctcaacctgggaagaagggaggaatatgacgttctggataaacggcgcggtcgcgatcccgaaa
tgggtgggaagcctcgcaggaagaatcctcaggaagggctctacaatgagctgcagaaagacaaaatggcagaggcctattctgaaatcggcatgaagggcgagcgccgcagaggcaaaggacacgacggcctgtaccagggcctgtctacagccaccaaggacacctatgacgctctccacatgcaagccctgccaccaaggtga。
【0028】
いくつかの具体的な実施形態において、前記核酸分子は、SEQ ID NO: 21で示される核酸配列を含み、H27H4-CARのコード遺伝子である。
SEQ ID NO: 21:
atggatatgagggttcctgcacaactcctgggactcctcctgctctggctgagaggcgcaagatgtgatatccagatgacccagtctcctagtagcctgtctgcctccgtcggcgatcgggtgaccattacttgcaaatcctcacagagcctcctctactccgataatcagaagaactacctcgcctggtatcaacagaaaccagggaaggcacctaagctgctgatctactgggctagtacccgcgaatccggcgtccctagcaggttctctggcagcgggagcgggacagatttcaccctcactatctcctccctgcagcctgaagacttcgcaacttactactgtcagcagtattatacttacccatacactttcggacagggaacaaaactggaaattaaaggtggaggtggatctggtggcggtggcagtggcggaggcgggtctgaagtccaactggtgcagagcggtgcagaggtgaagaagcctggagcatcagtgaaggtgtcttgcaaagccagtggctacacattcactggatatcatatgcattgggttaggcaggcacccggccagcggctggagtggatgggaagaatcaacccttataatggcgctgcctctcacaatcaaaagtttaaggatcgggtcactatcactcgggacacttccgcaagcaccgcctatatggagctgagcagcctgcggagtgaagacacagcagtctactactgtgctcgcggatgggactatgacggcggttattatgccatggattactggggacagggcacactggtcaccgtgagcagcactacgacccctgcaccgcggccgcctactcctgcacctacaatcgcaagtcagccactgagtctcagacccgaagcatgccgccctgctgcaggcggagctgtccatacacgcggactggactttgcatgcgatatatacatctgggcaccactggccggcacttgcggcgtgctgctcctgtccctcgtgattaccctgtactgcaaacgcggcaggaagaagctcctgtatatctttaaacagcccttcatgaggccagtgcagaccactcaagaggaagacggttgtagctgccggtttcccgaggaagaagagggaggctgcgagctccgcgtgaagttctcccgctcagccgatgcacccgcctatcagcaagggcagaaccagctgtacaatgagctcaacctgggaagaagggaggaatatgacgttctggataaacggcgcggtcgcgatcccgaaatgggtgggaagcctcgcaggaagaatcctcaggaagggctctacaatgagctgcagaaagacaaaatggcagaggcctattctgaaatcggcatgaagggcgagcgccgcagaggcaaaggacacgacggcctgtaccagggcctgtctacagccaccaaggacacctatgacgctctccacatgcaagccctgccaccaaggtga。
【0029】
いくつかの具体的な実施形態において、前記核酸分子は、SEQ ID NO: 22
で示される核酸配列を含み、1075.7-CARのコード遺伝子である。
SEQ ID NO: 22:
atggctctgcctgttactgcactcctcctcccactggcactcctcctgcatgcagccaggcccgagaatgtgctgacacagtctccagccatcatgagcgcctctcccggtgaaaaggttactatgacctgtcgggcaagttcaaatgtgatctcctcttatgtgcactggtaccagcagcgctcaggtgcaagcccaaagctgtggatctattccacttctaacctggcctccggtgtcccagcccgcttttctggaagcgggtcaggcacctcatactccctcaccatatcaagtgtggaagctgaggatgcagctacttactactgccaacagtactctggttacccactgaccttcggagccgggacaaagctggaactgggaggaggcgggtccggcggtggagggtccggaggtggcgggtccgatatccagctgcaagagtcaggcccaggcctggtcaaaccttcccaaagcctgagtctcacctgttccgtgacaggttattccattactagcgcatattactggaactggataagacaattcccaggaaacaaactcgagtggatgggctacatctcatacgacgggcggaacaactataacccatccctgaagaatcggatttccatcactagagacacatccaagaaccagttctttctcaagctgaatagcgtgacaactgaggatacagcaacctactattgcgccaaggaaggagactatgatgttggcaactattatgcaatggactattggggacagggcacatcagtgaccgtgagcagcactacgacccctgcaccgcggccgcctactcctgcacctacaatcgcaagtcagccactgagtctcagacccgaagcatgccgccctgctgcaggcggagctgtccatacacgcggactggactttgcatgcgatatatacatctgggcaccactggccggcacttgcggcgtgctgctcctgtccctcgtgattaccctgtactgcaaacgcggcaggaagaagctcctgtatatctttaaacagcccttcatgaggccagtgcagaccactcaagaggaagacggttgtagctgccggtttcccgaggaagaagagggaggctgcgagctccgcgtgaagttctcccgctcagccgatgcacccgcctatcagcaagggcagaaccagctgtacaatgagctcaacctgggaagaagggaggaatatgacgttctggataaacggcgcggtcgcgatcccgaaatgggtgggaagcctcgcaggaagaatcctcaggaagggctctacaatgagctgcagaaagacaaaatggcagaggcctattctgaaatcggcatgaagggcgagcgccgcagaggcaaaggacacgacggcctgtaccagggcctgtctacagccaccaaggacacctatgacgctctccacatgcaagccctgccaccaaggtga。
【0030】
態様3において、本願は、態様2に記載の核酸分子を含む発現ベクターを提供する。
【0031】
好ましくは、前記発現ベクターは、態様2に記載の核酸分子を含むウイルスベクターまたは非ウイルスベクターである。
【0032】
好ましくは、前記ウイルスベクターは、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、またはアデノ随伴ウイルスベクターのいずれか1種を含む。
【0033】
好ましくは、前記非ウイルスベクターは、Piggybacトランスポゾン系、Sleeping Beautyトランスポゾン系、またはナノベクターのいずれか1種を含む
。
【0034】
態様4において、本願は、態様3に記載の発現ベクターおよびヘルパープラスミドがトランスフェクションされた哺乳細胞で調製される組換えレンチウイルスを提供する。
【0035】
態様5において、本願は、態様1に記載のCLL1標的キメラ抗原受容体を発現するキメラ抗原受容体の免疫細胞を提供する。
【0036】
本願において、CLL1標的キメラ抗原受容体を発現する免疫細胞は、キメラ抗原受容体の抗原結合ドメインを用い、CLL1陽性腫瘍細胞を標的とし、免疫細胞の殺傷機能を発揮してサイトカインIFN-γを分泌し、異なるE:T(Effector cell:Target cell)でCLL1腫瘍に対する殺傷作用を実現する。
【0037】
好ましくは、前記キメラ抗原受容体の免疫細胞のゲノムに態様2に記載の核酸分子が組み込まれる。
【0038】
好ましくは、前記キメラ抗原受容体の免疫細胞は、態様3に記載の発現ベクターおよび/または態様4に記載の組換えレンチウイルスを含む。
【0039】
好ましくは、前記免疫細胞は、T細胞、NK細胞、またはマクロファージのいずれか1種を含む。
【0040】
好ましくは、前記T細胞は、αβΤ細胞および/またはγδΤ細胞を含む。
【0041】
態様6において、本願は、態様5に記載のキメラ抗原受容体の免疫細胞を含む医薬組成物を提供する。
【0042】
好ましくは、前記医薬組成物は、医薬的に許容されるベクター、賦形剤、または希釈剤のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを更に含む。
【0043】
態様7において、本願は、態様1に記載のCLL1標的キメラ抗原受容体、態様2に記載の核酸分子、態様3に記載の発現ベクター、態様4に記載の組換えレンチウイルス、態様5に記載のキメラ抗原受容体の免疫細胞、または態様6に記載の医薬組成物の、悪性腫瘍治療薬の調製における使用を提供する。
【0044】
好ましくは、前記悪性腫瘍は急性骨髄性白血病を含む。
【0045】
態様8において、本願は、癌の治療方法を提供する、前記方法は、有効用量の態様5に記載のキメラ抗原受容体の免疫細胞または態様6に記載の医薬組成物を患者に投与し、且つ、1種または複数種の抗腫瘍薬を同時、別々、または順次投与する。
【0046】
好ましくは、前記癌症は急性骨髄性白血病を含む。
【発明の効果】
【0047】
従来技術と比べ、本願は、以下のような有益な効果を有する。
【0048】
(1)本願は、抗CLL1抗体を抗原結合ドメインとして用いてCAR分子を構築し、CLL1標的CARを発現するT細胞は、CAR素子に依存して異なるE:TでCLL1陽性腫瘍細胞に対して殺傷作用を発揮し、ここで、H27H4-CAR-Tは、最適な殺傷機能を有する。
【0049】
(2)本願のCLL1標的CAR-T細胞はCLL1陽性腫瘍細胞と共培養した後、大量のサイトカインIFN-γを分泌し、CAR-TのCLL1腫瘍細胞に対する特異的な殺傷効果を証明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】異なる腫瘍細胞のCLL1に対する発現状況である。
【
図2】CLL1標的キメラ抗原受容体の構造模式図である。
【
図3A】
図3Aは、H27H4 CAR遺伝子を含むレンチウイルス発現ベクターのグラフである。
【
図3B】
図3Bは、H27H4 CARのレンチウイルス発現ベクターにおける位置である。
【
図4】異なるCAR-T細胞のCAR発現陽性率である。
【
図5】CLL1を標的とするCAR-TのRaji-CLL1細胞に対する殺傷率である。
【
図6】CLL1を標的とするCAR-Tの、標的細胞を殺傷したIFN-γの分泌状況である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本願が講じた技術的手段およびその効果を更に説明するために、以下、実施例および図面を参照しながら本願について更に説明する。ここで説明する具体的な実施形態は、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願を限定するものではないことが理解できる。
【0052】
実施例に具体的な技術または条件が明記されていないものは、本分野内の文献に記載されている技術もしくは条件、または製品の説明書に従って行われる。使用される試薬または機器におけるメーカーが明記されていないものは、いずれも正規のルートから購入可能な通常の製品である。
【0053】
実施例1 抗CLL1抗体の由来
本実施例は、抗CLL1抗体19C1、23D7、27H4、ヒト化27H4(H27H4)および1075.7(特許US8536310B2)を抗原結合ドメインとして選択してCAR分子を構築することに用い、ここで、19C1はSEQ ID NO: 1~2で示される可変領域を含み、23D7はSEQ ID NO: 3~4で示される可変領域を含み、27H4はSEQ ID NO: 5~6で示される可変領域を含み、H27H4はSEQ ID NO: 7~8で示される可変領域を含み、1075.7はSEQ ID NO: 11~12で示される可変領域を含んだ。
【0054】
実施例2 腫瘍細胞のCLL1に対する発現
本実施例は、FITC anti-human CD371(CLL1)抗体(biolegend)を用いて標的細胞Jurkat、KG-1aと共にインキュベートした後、標的細胞のCLL1に対する発現をフローサイトメーターで検出した。
【0055】
結果は、
図1に示すように、THP-1、U937およびHL-60はCLL1陽性細胞であり、JurkatおよびKG-1aはCLL1陰性細胞であった。
【0056】
実施例3 キメラ抗原受容体の設計
本実施例は、CLL1標的キメラ抗原受容体を設計し、構造模式図は
図2に示すように、CD8αシグナルペプチド、CLL1抗原に特異的に結合する一本鎖抗体(Anti-CLL1 scFv)、CD8αヒンジ領域(Hinge)と膜貫通領域(Transmembrane)、4-1BB共刺激ドメイン、およびCD3ζシグナル伝達ドメインを
含み、具体的なCAR分子は以下のとおりであった。
(1) 19C1-CAR:CD8αシグナルペプチド、Anti-CLL1 scFv(19C1)、CD8αhinge+TM、4-1BB、およびCD3ζ。
(2) 23D7-CAR:CD8αシグナルペプチド、Anti-CLL1 scFv(23D7)、CD8αhinge+TM、4-1BB、およびCD3ζ。
(3) 27H4-CAR:CD8αシグナルペプチド、Anti-CLL1 scFv(27H4)、CD8αhinge+TM、4-1BB、およびCD3ζ。
(4) h27H4-CAR:IgGκ軽鎖シグナルペプチド、Anti-CLL1 scFv(H27H4)、CD8αhinge+TM、4-1BB、およびCD3ζ。
(5) 1075.7-CAR:CD8αシグナルペプチド、Anti-CLL1 scFv(1075.7)、CD8αhinge+TM、4-1BB、およびCD3ζ。
【0057】
ここで、CD8αシグナルペプチドのアミノ酸配列はSEQ ID NO: 23に示すとおりで、核酸配列はSEQ ID NO: 24に示すとおりであり、IgGκ軽鎖シグナルペプチドのアミノ酸配列はSEQ ID NO: 25に示すとおりで、核酸配列はSEQ ID NO: 26に示すとおりであり、CD8αhingeのアミノ酸配列はSEQ ID NO: 27に示すとおりで、核酸配列はSEQ ID NO: 28に示すとおりであり、CD8α TMのアミノ酸配列はSEQ ID NO: 29に示すとおりで、核酸配列はSEQ ID NO: 30に示すとおりであり、4-1BBのアミノ酸配列はSEQ ID NO: 31に示すとおりで、核酸配列はSEQ ID
NO: 32に示すとおりであり、CD3ζのアミノ酸配列はSEQ ID NO: 33に示すとおりで、核酸配列はSEQ ID NO: 34に示すとおりであった。
SEQ ID NO: 23:
MALPVTALLLPLALLLHAARP。
SEQ ID NO: 24:
atggcactgccagtgacagccctgctgctgccactggccctgctgctgcacgcagcacgccct。
SEQ ID NO: 25:
MDMRVPAQLLGLLLLWLRGARC。
SEQ ID NO: 26:
atggatatgagggttcctgcacaactcctgggactcctcctgctctggctgagaggcgcaagatgt。
SEQ ID NO: 27:
TTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACD。
SEQ ID NO: 28:
accacgacgccagcgccgcgaccaccaacaccggcgcccaccatcgcgtcgcagcccctgtccctgcgcccagaggcgtgccggccagcggcggggggcgcagtgcacacgagggggctggacttcgcctgtgat。
SEQ ID NO: 29:
IYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYC。
SEQ ID NO: 30:
atctacatctgggcgcccttggccgggacttgtggggtccttctcctgtcactggttatcaccctttactgc。
SEQ ID NO: 31:
KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL。
SEQ ID NO: 32:
aagagaggcaggaagaagctgctgtacatcttcaagcag
cccttcatgcgccccgtgcagacaacccaggaggaggacggctgcagctgtcggttcccagaggaggaggagggaggatgtgagctg。
SEQ ID NO: 33:
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR。
SEQ ID NO: 34:
agggtgaagttttctcggagcgccgatgcaccagcatatcagcagggacagaatcagctgtacaacgagctgaatctgggcaggcgcgaggagtacgacgtgctggataagcggagaggcagagatcccgagatgggaggcaagccaaggaggaagaaccctcaggagggcctgtataatgagctgcagaaggacaagatggccgaggcctactctgagatcggcatgaagggagagcggagaaggggcaagggacacgatggcctgtatcagggcctgagcacagccaccaaggacacctacgatgcactgcacatgcaggccctgccacctagg。
【0058】
実施例4 CLL1標的キメラ抗原受容体の発現ベクターの構築
(1)実施例3で設計されたCAR分子に基づき、CARコード遺伝子をコドン最適化し、ヒト由来細胞での効率的な発現を促進し、CARコード遺伝子を全遺伝子合成した(広州IGEバイオテクノロジー有限公司)。
【0059】
(2)EcoRIとBamHIとの2つの酵素で全長CAR遺伝子および空ベクターpCDH-EF1-MCSを切断し、37℃の水浴で30min酵素切断した後、1.5%のアガロースゲルを用いてDNA電気泳動を行い、アガロースゲルで精製して試薬キット(天根社製)を回収し、酵素切断生成物を精製して回収処理した。
【0060】
(3)表1で示される連結系を調製し、CAR遺伝子断片と線形化pCDH-EF1-MCSとを22℃で1h連結し、連結生成物を直接Stbl3大腸菌のコンピンテントセルに形質転換し、200μLの形質転換生成物をアンピシリン耐性LBプレートに塗布し、37℃のインキュベーターで上下反転させて一晩培養し、翌朝、3つのモノクローナルをランダムに選択してコロニーPCR鑑定を行い、陽性クローンをシーケンシング鑑定した。
【0061】
【0062】
例示的には、構築された27H4 CAR遺伝子を含むレンチウイルス発現ベクターpBG-27H4は、
図3Aおよび
図3Bに示すとおりであった。
【0063】
実施例5 レンチウイルス包装
本実施例は、4プラスミド系を採用して実施例4で構築されたレンチウイルス発現ベクターに対してレンチウイルス包装を行い、具体的なステップは、以下のとおりである。
【0064】
(1)レンチウイルス発現ベクター、ヘルパープラスミドgag/pol、Rev、VSV-Gで構成された4プラスミド系とPEIトランスフェクション試薬とを混合させた後、一定の体積の無血清DMEMに加え、均一に混合させて15min置いた。
【0065】
(2)上記混合液を293T細胞が敷かれたT75細胞フラスコに入れ、軽く均一に混合させ、37℃にて5%のCO2細胞インキュベーターで6h培養した。
【0066】
(3)6h後に新鮮な培地に交換し、培養し続け、10mMのブタン酸ナトリウム溶液を加え、72h後にレンチウイルス培養上清を収集して精製検出を行った。
【0067】
実施例6 T細胞の取得および増幅
各ボランティアから30mLの全血を採取し、末梢血と生理食塩水とを1:1で混合させて希釈し、遠心チューブにFicollリンパ球分離液を加え、希釈した末梢血を徐々に加え、1500rpmで30min遠心し、PBMC層を軽く吸い取って別の遠心チューブに移した。
【0068】
生理食塩水でPBMCを複数回洗浄し、X-VIVO培地(50ng/mLのOKT3、300IU/mLのIL-2を含む)に移して培養し、PBMC分離後、X-VIVO(50ng/mLのOKT3、300IU/mLのIL-2を含む)で活性化させ、2日間後に培地を、300IU/mLのX-VIVOを含む培地に交換して拡大培養し、その後、2日毎にカウントを1回行い、新鮮な300IU/mLのX-VIVOを含む培地に交換し、細胞濃度を(0.5~1)×106個/mLに維持し、10日間連続して観察した。
【0069】
実施例7 CAR-T細胞の調製
本実施例は、RetroNectinを用いてレンチウイルスのT細胞に対する感染効率を向上させ、ステップは以下のとおりであった。
【0070】
30μgのRetroNectinを6孔プレート内にコーティングし、37℃の細胞インキュベーターに置いて2h保持した。RetroNectinを吸い取り、2.5%のBSAを含むHank’s溶液でコーティングされた6孔プレートをブロッキングし、37℃の細胞インキュベーターに置いて0.5h保持し、ブロッキング液を吸い取り、2%のhepesを含むHank’s溶液で6孔プレートを洗浄し、X-VIVO培地を加え、適量のレンチウイルス溶液を加え、2000gで2h遠心し、上清を捨て、1×106個のT細胞(CD3陽性>90%)を加え、1000gで10min遠心し、37℃にて5%のCO2および一定の湿度の細胞インキュベーター内に置いて培養させ、翌日、上記ステップを繰り返した。
【0071】
レンチウイルスの添加量は、表2を参照した。
【0072】
【0073】
フローサイトメーターを採用してT細胞表面のCAR分子の発現を検出し、CLL1-Fc融合タンパク質(Acrobiosystems公司)でCAR発現を検出し、二次抗体は、FITC-Labeled anti-human Fc、CARがトランスフェクションされていないT細胞(T mock)をネガティブコントロールとして採用した。
【0074】
結果は、
図4および表3に示すように、19C1-CAR-T細胞のCAR発現陽性率が13.28%であり、23D7-CAR-T細胞のCAR発現陽性率が37.49%であり、27H4-CAR-T細胞のCAR発現陽性率が39.44%であり、H27H4-CAR-T細胞のCAR発現陽性率が33.59%であり、1075.7-CAR-T細胞のCAR発現陽性率が5.09%であった。
【0075】
【0076】
実施例8 CAR-T細胞の殺傷機能
本実施例は、xCELLigenceリアルタイムラベルフリー動的分析技術(Real Time Cell Analysis、RTCA)を用いて細胞殺傷効果に対して全過程に亘って自動化検出を行った。xCELLigence(登録商標)リアルタイムマーカレス細胞分析装置(RTCA)は、微小電子インピーダンス技術に基づき、E-plateプレートの底部に大量の金属微小電極が組み込まれ、接着細胞が金属微小電極に接着すると、細胞数、直径および接着能力はいずれも金属微小電極間の電流伝導に影響を及ぼし、インピーダンス値の変化を引き起こし、この変化は極めて微細で鋭敏であり、毒効果で、細胞は、インピーダンス値に直接または間接的に影響を及ぼす。そのため、xCELLigenceは、分子標的による細胞毒性効果を監視することができた。
【0077】
ステップは以下のとおりであった。
【0078】
(1)一定の体積の1×Tether Bufferでanti-CD40を希釈し、E-Plate View 96孔プレートの各孔に50μLの希釈したanti-CD
40を加えてコーティング液とし、室温で遮光して3hインキュベートし、各グループに3つの孔を設けた。
【0079】
(2)コーティング液を捨て、200μLのPBSで孔を2回軽く洗浄し、各孔に2%のFBSを含む50μLの1640培地を入れ、E-Plate View 96孔プレートをxCELLigence機器に入れ(機器を1h前からインキュベーターに入れた)、37℃で1hバランスさせ、背景値を測定した。
【0080】
(3)CLL1を過剰発現した安定したRaji細胞(Raji-CLL1)を標的細胞として採用し、標的細胞懸濁液を調製して細胞密度を測定し、各孔に50000個の細胞/50μLを加え、各孔の最終体積が100μLであり、室温で30min静置してインキュベートし、E-Plate View 96孔プレートを再び機器に戻し、ソフトウェアを操作してデータを収集し、5min毎にインピーダンスを1回検出し、検出時間は2hであった。
【0081】
(4)異なるE:Tの効果細胞懸濁液(即ち、CAR-T細胞)およびネガティブコントロール細胞懸濁液(即ち、トランスフェクションされていないT細胞)をそれぞれ調製し、各孔に50μLの希釈した効果細胞懸濁液またはネガティブコントロール細胞懸濁液を加え、ブランクグループに50μLの培地を加え、ポジティブコントロールグループに50μLの1×Cytolysis Solutionを加え、室温で30min静置してインキュベートし、効果細胞を固定した標的細胞に均一に分布させた。
【0082】
(5)E-Plate View 96孔プレートを再び機器に入れ、ソフトウェアを操作してデータを収集し、5min毎にインピーダンスを1回検出し、検出時間が16hであり、実験が終了した後、データを記憶して分析した。
【0083】
結果は、
図5に示すように、19C1-CAR-T、23D7-CAR-T、27H4-CAR-T、H27H4-CAR-T、または1075.7-CAR-Tは、異なるE:T(1:1、2:1、4:1)でRaji-CLL1と共に16hインキュベートした後、いずれもRaji-CLL1細胞を効果的に殺傷することができ、E:Tが大きければ殺傷能力が強かった。ここで、H27H4-CAR-Tは、最も強い殺傷能力を有し、27H4-CAR-Tの殺傷能力はH27H4-CAR-Tに類似し、次は23D7-CAR-Tであり、19C1-CAR-Tおよび1075.7-CAR-Tの殺傷能力は弱く、CARがトランスフェクションされていないT mockはRaji-CLL1を殺傷することができず、anti-CLL1 CAR-Tの殺傷活性がCAR素子に依存することを意味する。
【0084】
実施例9 腫瘍細胞と共培養した後のCAR-T細胞のIFN-γに対する分泌
本実施例は、Human IFN-γ ELISA試薬キット(Neobioscience社製)を用いてCAR-T細胞がIFN-γサイトカインを放出する濃度を検出し、標的細胞と共培養した後のCAR-TのIFN-γに対する分泌量を分析し、具体的には、CLL1陽性細胞Raji-CLL1、HL60、U937を陽性標的細胞として採用し、CLL1陰性細胞Rajiを陰性標的細胞として採用した。
【0085】
CAR-T細胞と異なる標的細胞とをE:T=1:1で共に16hインキュベートし、上清を取って酵素免疫法(ELISA)で培養液の上清内のIFN-γの分泌量を検出した。検出原理は、二抗体サンドイッチELISA法を用い、抗ヒトIFN-γ抗体をELISAプレートにコーティングし、実験時に、サンプルまたは標準品内のヒトIFN-γがコーティング抗体と結合し、遊離した成分が洗浄された。ビオチン化抗ヒトIFN-γ抗体および西洋ワサビペルオキシダーゼで標識されたアビジンを順次加え、抗ヒトIFN
-γ抗体は、コーティング抗体に結合されたヒトIFN-γと結合し、ビオチンがアビジンと特異的に結合して免疫複合体を形成し、遊離した成分が洗浄された。発色基質(TMB)を加え、西洋ワサビペルオキシダーゼの触媒で青色を呈し、終了液を加えてから黄色になり、プレートリーダーで波長450nmでOD値を測定し、IFN-γ濃度はOD450に比例し、検量線を描画することでサンプル内のIFN-γの濃度を計算した。
【0086】
結果は、
図6に示すように、19C1-CAR-T、23D7-CAR-T、27H4-CAR-T、H27H4-CAR-T、または1075.7-CAR-Tは、Raji-CLL1、HL60、またはU937と共培養した後、大量のIFN-γを放出したが、Raji細胞と共培養した後、大量のIFN-γの放出が見られず、CLL1標的のCAR-T細胞の殺傷が特異性を有することを意味する。
【0087】
上記をまとめ、本願のCLL1標的CAR-T細胞は、異なるE:TでCLL1陽性腫瘍細胞に対して著しい殺傷作用を有し、腫瘍細胞と共培養した後、大量のサイトカインIFN-γを分泌し、CLL1陽性腫瘍の治療分野で応用の見通しを有する。
【0088】
本願は、上記実施例により本願の詳細方法を説明するが、本願は上記詳細方法に限定されるものではなく、即ち、本願は上記詳細方法に依存して実施しなければならないことを意味するものではないことを、出願人より声明する。当業者であれば、本願に対するいかなる改良、本願の製品の各原料に対する等価的な置換および補助成分の追加、具体的な形態の選択等は、全て本願の保護範囲および開示範囲内に含まれることを理解すべきである。
【配列表】