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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 11/50 20060101AFI20241202BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20241202BHJP
   B65B 57/02 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
B65B11/50
B65B57/00 A
B65B57/00 D
B65B57/02 G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023106318
(22)【出願日】2023-06-28
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000152125
【氏名又は名称】株式会社プレッシオ
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 昌禎
(72)【発明者】
【氏名】高木 康次
(72)【発明者】
【氏名】神戸 暢之
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-121621(JP,A)
【文献】実開昭61-005702(JP,U)
【文献】特開2022-041840(JP,A)
【文献】特開昭51-118573(JP,A)
【文献】特開昭52-049188(JP,A)
【文献】特開平07-237615(JP,A)
【文献】特開2022-186197(JP,A)
【文献】実開平04-038902(JP,U)
【文献】特開2021-104633(JP,A)
【文献】特開2003-285901(JP,A)
【文献】米国特許第04551965(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 11/00
B65B 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を受け入れる搬送路と、
第1のロールから引き出した長尺な第1の包装材と第2のロールから引き出した長尺な第2の包装材を前記搬送路に沿って前記搬送路の両側に供給する供給手段と、
前記搬送路に受け入れた前記被包装物を前記第1の包装材と前記第2の包装材の間に挟んだ積層体を前記搬送路に沿って前記第1及び第2の包装材の引き出し方向に搬送するとともに溶着位置で停止させる搬送手段と、
前記溶着位置に停止された前記積層体に含まれる前記被包装物の搬送方向の上流側で前記第1の包装材と前記第2の包装材を溶着して切断する溶着切断部と、
前記溶着位置に停止された前記積層体の前記第1の包装材と前記第2の包装材の搬送方向に沿った両端縁を溶着する溶着部と、
前記溶着位置に向けて前記搬送路を搬送される前記積層体の前記第1の包装材の外面側から気体を吹き付けて、前記第1の包装材の前記外面に沿って当該第1の包装材の前記両端縁に向かう気流を生じさせる気流発生手段と、
を有する包装装置。
【請求項2】
前記搬送路を間に挟んで前記気流発生手段に対向して前記第2の包装材の外面側に前記搬送路に沿って配置した平板状のガイド板をさらに有する、
請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記気流発生手段は、前記第1の包装材に向かう気流を発生させるファンと、前記ファンにより発生した気流を前記第1の包装材の前記端縁に向かわせる偏向部材を有する、
請求項1に記載の包装装置。
【請求項4】
被包装物を受け入れる搬送路と、
第1の包装材と第2の包装材を前記搬送路の両側に供給する供給手段と、
前記搬送路を搬送される前記被包装物に向けて前記第1の包装材の外面側から気体を吹き付けて、前記第1の包装材の前記外面に沿って当該第1の包装材の端縁に向かう気流を生じさせる気流発生手段と、
前記被包装物から外れた位置で前記第1の包装材と前記第2の包装材を加熱溶着する溶着手段と、を有し、
前記気流発生手段は、前記第1の包装材に向かう気流を発生させるファンと、前記ファンにより発生した気流を前記第1の包装材の前記端縁に向かわせる偏向部材を有し、
前記溶着手段は、前記第2の包装材を間に挟んで前記搬送路の反対側に配置した受部材と、前記第1の包装材を間に挟んだ前記搬送路の反対側から前記受部材に当接する溶着位置まで移動可能に配置したブレードと、前記ブレードを加熱するヒータを有し、
前記ファンにより発生した気流が前記ブレードに向かわないように、前記ファンと前記ブレードの間で気流を遮る遮流部材をさらに有する、
装装置。
【請求項5】
被包装物を受け入れる搬送路と、
第1の包装材と第2の包装材を前記搬送路の両側に供給する供給手段と、
前記搬送路に受け入れた前記被包装物を前記第1の包装材と前記第2の包装材の間に挟んだ積層体を前記搬送路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送路を搬送される前記被包装物に向けて前記第1の包装材の外面側から気体を吹き付けて、前記第1の包装材の前記外面に沿って当該第1の包装材の端縁に向かう気流を生じさせる気流発生手段と、
前記被包装物から外れた位置で前記第1の包装材と前記第2の包装材を加熱溶着する溶着手段と、を有し、
前記搬送手段は、前記第1の包装材の前記外面側に配置した第1の搬送部と、前記積層体を間に挟んで前記第1の搬送部に対向して配置され前記第1の搬送部と協働して前記積層体に搬送力を与えるとともに前記積層体を停止させる第2の搬送部と、前記被包装物の厚みに応じて前記第1の搬送部を前記第2の搬送部に対して離接する方向に移動可能に支持した支持機構を有し、
前記気流発生手段は、前記第1の搬送部とともに移動可能に前記支持機構によって支持されている、
装装置。
【請求項6】
前記気流発生手段は、前記第1の包装材に向かう気流を発生させるファンと、前記ファンにより発生した気流を前記第1の包装材の前記端縁に向かわせる偏向部材を有する、
請求項5に記載の包装装置。
【請求項7】
前記溶着手段は、前記第2の包装材を間に挟んで前記搬送路の反対側に配置した受部材と、前記第1の包装材を間に挟んだ前記搬送路の反対側から前記受部材に当接する溶着位置まで移動可能に配置したブレードと、前記ブレードを加熱するヒータを有し、
前記ファンにより発生した気流が前記ブレードに向かわないように、前記ファンと前記ブレードの間で気流を遮る遮流部材をさらに有する、
請求項6に記載の包装装置。
【請求項8】
被包装物を受け入れる搬送路と、
第1のロールから引き出した長尺な第1の包装材と第2のロールから引き出した長尺な第2の包装材を前記搬送路に沿って前記搬送路の両側に供給する供給手段と、
前記搬送路に受け入れた前記被包装物を前記第1の包装材と前記第2の包装材の間に挟んだ積層体を前記搬送路に沿って前記第1及び第2の包装材の引き出し方向に搬送するとともに溶着位置で停止させる搬送手段と、
前記溶着位置に停止された前記積層体に含まれる前記被包装物の搬送方向の上流側で前記第1の包装材と前記第2の包装材を溶着して切断する溶着切断部と、
前記溶着位置に停止された前記積層体の前記第1の包装材と前記第2の包装材の搬送方向に沿った両端縁を溶着する溶着部と、
前記溶着位置に向けて前記搬送路を搬送される前記積層体の前記第1の包装材の外面側から気体を吹き付けて、前記第1の包装材の前記外面に沿って当該第1の包装材の前記両端縁に向かう気流を生じさせる気流発生手段と、
前記搬送路に前記被包装物が受け入れられたことを検知する第1の検知部と、
前記積層体が前記溶着位置に搬送されたことを検知する第2の検知部と、
前記第1の検知部が前記搬送路に前記被包装物が受け入れられたことを検知したのに基づき前記気流発生手段によって気流を発生させ、前記第2の検知部が前記溶着位置に前記積層体が搬送されたことを検知したのに基づき当該積層体の搬送を停止させるとともに前記気流発生手段による気流の発生を停止させ、前記溶着切断部によって前記第1の包装材と前記第2の包装材を溶して切断するとともに、前記溶着部によって前記第1の包装材と前記第2の包装材の前記両端縁を溶着するように、前記搬送手段、前記気流発生手段、前記溶着切断部、及び前記溶着部を制御する制御部と、
を有する包装装置。
【請求項9】
前記気流発生手段は、前記第1の包装材に向かう気流を発生させるファンと、前記ファンにより発生した気流を前記第1の包装材の前記端縁に向かわせる偏向部材を有する、
請求項8に記載の包装装置。
【請求項10】
被包装物を受け入れる搬送路と、
第1の包装材と第2の包装材を前記搬送路の両側に供給する供給手段と、
前記搬送路に受け入れた前記被包装物を前記第1の包装材と前記第2の包装材の間に挟んだ積層体を前記搬送路に沿って搬送するとともに溶着位置で停止させる搬送手段と、
前記溶着位置に向けて前記搬送路を搬送される前記被包装物に向けて前記第1の包装材の外面側から気体を吹き付けて、前記第1の包装材の前記外面に沿って当該第1の包装材の端縁に向かう気流を生じさせる気流発生手段と、
前記溶着位置で停止した前記積層体の前記被包装物から外れた位置で前記第1の包装材と前記第2の包装材を加熱溶着する溶着手段と、
前記搬送路に前記被包装物が受け入れられたことを検知する第1の検知部と、
前記積層体が前記溶着位置に搬送されたことを検知する第2の検知部と、
前記第1の検知部が前記搬送路に前記被包装物が受け入れられたことを検知したのに基づき前記気流発生手段によって気流を発生させ、前記第2の検知部が前記溶着位置に前記積層体が搬送されたことを検知したのに基づき当該積層体の搬送を停止させるとともに前記気流発生手段による気流の発生を停止させ、前記溶着手段によって前記第1の包装材と前記第2の包装材を加熱溶着するように、前記搬送手段、前記気流発生手段、及び前記溶着手段を制御する制御部と、を有し、
前記気流発生手段は、前記第1の包装材に向かう気流を発生させるファンと、前記ファンにより発生した気流を前記第1の包装材の前記端縁に向かわせる偏向部材を有し、
前記溶着手段は、前記第2の包装材を間に挟んで前記搬送路の反対側に配置した受部材と、前記第1の包装材を間に挟んだ前記搬送路の反対側から前記受部材に当接する溶着位置まで移動可能に配置したブレードと、前記ブレードを加熱するヒータを有し、
前記ファンにより発生した気流が前記ブレードに向かわないように、前記ファンと前記ブレードの間で気流を遮る遮流部材をさらに有する、
装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、新聞をフィルムで包装する包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
新聞をフィルムで包装する包装装置は、一般に、2つのロールから引き出したフィルムの間に新聞を挟んで新聞の周りでフィルム同士を熱溶着する。そして、熱溶着と同時にフィルムを切断し、次の新聞の投入を待機する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-143008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
新聞を包装するフィルムは、数μm程度の薄い樹脂製であるため、皺や折れを生じ易く、フィルム同士を所望する箇所で正常に熱溶着することは難しい。例えば、皺や折れを生じた部位でフィルム同士を熱溶着してしまうと、フィルムに孔が開いてしまう場合がある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、包装材の溶着不良を防止することができる包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装装置の一態様は、搬送路と、供給手段と、搬送手段と、溶着切断部と、溶着部と、気流発生手段と、を有する。搬送路は、被包装物を受け入れる。供給手段は、第1のロールから引き出した長尺な第1の包装材と第2のロールから引き出した長尺な第2の包装材を搬送路に沿って搬送路の両側に供給する。搬送手段は、搬送路に受け入れた被包装物を第1の包装材と第2の包装材の間に挟んだ積層体を搬送路に沿って第1及び第2の包装材の引き出し方向に搬送するとともに溶着位置で停止させる。溶着切断部は、溶着位置に停止された積層体に含まれる被包装物の搬送方向の上流側で第1の包装材と第2の包装材を溶着して切断する。溶着部は、溶着位置に停止された積層体の第1の包装材と第2の包装材の搬送方向に沿った両端縁を溶着する。気流発生手段は、溶着位置に向けて搬送路を搬送される積層体の第1の包装材の外面側から気体を吹き付けて、第1の包装材の外面に沿って第1の包装材の端縁に向かう気流を生じさせる
【0007】
本発明の包装装置の一態様は、搬送路と、供給手段と、搬送手段と、溶着切断部と、溶着部と、気流発生手段と、第1の検知部と、第2の検知部と、制御部と、を有する。搬送路は、被包装物を受け入れる。供給手段は、第1のロールから引き出した長尺な第1の包装材と第2のロールから引き出した長尺な第2の包装材を搬送路に沿って搬送路の両側に供給する。搬送手段は、搬送路に受け入れた被包装物を第1の包装材と第2の包装材の間に挟んだ積層体を搬送路に沿って第1及び第2の包装材の引き出し方向に搬送するとともに溶着位置で停止させる。溶着切断部は、溶着位置に停止された積層体に含まれる被包装物の搬送方向の上流側で第1の包装材と第2の包装材を溶着して切断する。溶着部は、溶着位置に停止された積層体の第1の包装材と第2の包装材の搬送方向に沿った両端縁を溶着する。気流発生手段は、溶着位置に向けて搬送路を搬送される積層体の第1の包装材の外面側から気体を吹き付けて、第1の包装材の外面に沿って第1の包装材の端縁に向かう気流を生じさせる。第1の検知部は、搬送路に被包装物が受け入れられたことを検知する。第2の検知部は、積層体が溶着位置に搬送されたことを検知する。制御部は、第1の検知部が搬送路に被包装物が受け入れられたことを検知したのに基づき気流発生手段によって気流を発生させ、第2の検知部が溶着位置に積層体が搬送されたことを検知したのに基づき積層体の搬送を停止させるとともに気流発生手段による気流の発生を停止させ、溶着切断部によって第1の包装材と第2の包装材を溶して切断するとともに、溶着部によって第1の包装材と第2の包装材の両端縁を溶着するように、搬送手段、気流発生手段、溶着切断部、及び溶着を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、包装材の溶着不良を防止することができる包装装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る包装装置を示す外観斜視図である。
図2図2は、図1の包装装置の内部構造を示す概略図である。
図3図3は、図2の一方の搬送ユニットの支持機構を示す側面図である。
図4図4は、図3の支持機構を矢印F4の方向から見た正面図である。
図5図5は、図4のF5-F5に沿って包装装置を切断した断面図である。
図6図6は、図3-5の支持機構に取り付けた気流発生装置を示す正面図(a)、右側面図(b)、及び底面図(c)である。
図7図7は、図1の包装装置の動作を制御する制御系を示すブロック図である。
図8図8は、図1の包装装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る包装装置100について図面を参照して説明する。なお、各図において、矢印Xで示す方向を後方とし、X方向と逆方向を前方とする。また、各図において、矢印Yで示す方向を右方向とし、矢印Yと逆方向を左方向とする。また、各図において、矢印Zで示す方向を上方とし、矢印Zと逆方向を下方とする。つまり、以下の説明では、包装装置100を矢印X方向から見て、前後方向、左右方向、及び上下方向を規定する。
【0011】
図1に示すように、包装装置100は、装置の外殻をなす略矩形箱状の筐体101を有する。筐体101は、その上方に、包装装置100の上部を大きく開く開口部を有する。筐体101は、この開口部を開閉するための天板102を有する。天板102は、筐体101の後方に設けた図示しないヒンジを介して回動可能に設けられている。天板102は、ヒンジから離間した前方の端部に、作業員が把持するハンドル102aを備える。天板102は、図示の閉じ位置と図示しない開放位置との間で開閉可能である。
【0012】
天板102は、例えば、複数枚の新聞紙を重ねて折り畳んだ被包装物P(図2)を投入するスリット状の投入口103を有する。投入口103は、被包装物Pを挿通可能な大きさ及び形状を有する天板102を貫通した開口部である。被包装物Pとして、新聞の他に、冊子や扁平な箱などがある。投入口103は、包装装置100の前後方向の中央で左右方向に延設されており、天板102は、投入口103を開閉するシャッタなどを備えてもよい。
【0013】
投入口103の右側の筐体101の上面には、作業員による各種操作入力を受け付けるとともに作業員に対する各種操作案内などを表示する操作・表示パネル104が設けられている。筐体101の前面右側には、電源スイッチ105が設けられている。
【0014】
筐体101の下方には、被包装物PをフィルムF1、F2(図2)で包装した包装品W(図示省略)を受ける排出トレイ106が設けられている。排出トレイ106は、底部にキャスターを備え、筐体101の内部に収容した図1に示す状態と筐体101から前方に引き出した図示しない状態に配置可能である。筐体101は、その底部に、移動のためのキャスター107を備える。
【0015】
図2に示すように、筐体101の内部には、長尺な樹脂製のフィルムF1(第1の包装材)を円筒状の巻き芯C1に巻回したロールR1、及び長尺な樹脂製のフィルムF2(第2の包装材)を円筒状の巻き芯C2に巻回したロールR2が収容配置されている。フィルムF1、F2は、7~10μm程度の厚みを有する熱溶着可能な素材により形成されている。各ロールR1、R2の巻き芯C1、C2は、その内部にわずかな遊びを有して軸S1、S2を挿通可能な内径を有する。軸S1、S2は、その両端において、それぞれ、図示しない支持部を介して、筐体101に対して上下に移動可能な状態で支持されている。
【0016】
軸S1、S2は、紙面と垂直な左右方向に延設され、ロールR1、R2が互いに干渉しない距離だけ前後に離れた位置で筐体1に取り付けられている。具体的には、一方のロールR1は、投入口103より前方に配置され、他方のロールR2は、投入口103より後方に配置されている。ロールR1、R2は、それぞれ、軸S1、S2に対して自由に回転可能となっている。また、ロールR1、R2は、軸S1、S2の両端を筐体101から取り外すことにより、交換可能となっている。
【0017】
図2で左側(前方)のロールR1は、フィルムF1の引き出しにより図示反時計回り方向に回転する向きで筐体101内に取り付けられている。右側(後方)のロールR2は、フィルムF2の引き出しにより図示時計回り方向に回転する向きで筐体101内に取り付けられている。ロールR1、R2は、被包装物Pを投入する動作、すなわちフィルムF1、F2を引き出す動作によって軸S1、S2を中心に回転する。
【0018】
各ロールR1、R2の下方には、それぞれ、ロールR1、R2の外周面に外周面を接触せしめてロールR1、R2を下から支える支持ローラ9a、9bが設けられている。支持ローラ9a、9bの回転軸は紙面と垂直な左右方向に延設されている。支持ローラ9a、9bの回転軸の両端は、筐体101に対して回転可能に取り付けられている。
【0019】
各ロールR1、R2は、上述したように、その軸S1、S2の両端を筐体101に対して上下に移動可能に支持されているため、対応する支持ローラ9a、9bに対してそれぞれ自重により外周面を押し付けている。このため、支持ローラ9a、9bは、ロールR1、R2に対してそれぞれ従動回転可能となっている。
【0020】
被包装物Pの投入方向に沿って投入口103の下流側には、左右に延びた2つのガイドローラ2a、2bが設けられている。一方のガイドローラ2aは投入口103の前方に配置され、もう一方のガイドローラ2bは投入口103の後方に配置されている。被包装物Pの投入方向は、上から下に向かう重力方向である。ガイドローラ2a、2bは、各ロールR1、R2から互いに近付く方向に引き出されたフィルムF1、F2をそれぞれ掛け回して下方へ案内する。
【0021】
ガイドローラ2a、2bは、被包装物Pの厚みより大きく投入口103の前後方向の幅よりわずかに狭い間隔で互いに前後に離間して投入口103の近くに配置されている。ガイドローラ2a、2bの間を通って案内されたフィルムF1、F2は、下方に引き出される。投入口103を介して筐体101内に投入された被包装物Pは、2枚のフィルムF1、F2の間に通される。筐体101内の前後方向の略中央には、ガイドローラ2a、2bの間を通って排出トレイ106に至る搬送路Hが設けられている。
【0022】
フィルムF1、F2の引き出し方向に沿ってガイドローラ2a、2bの下流側には、2枚のフィルムF1、F2を溶着して切断する溶着切断部4が設けられている。溶着切断部4は、ロールR1から下方に引き出されたフィルムF1の前方に配置したブレード41と、ブレード41を加熱するヒータ42と、ブレード41に対向してロールR2から下方に引き出されたフィルムF2の後方に配置した受部材43と、を有する。ブレード41と受部材43は、少なくともフィルムF1、F2の左右方向の幅を超える長さを有する。ヒータ42は、ブレード41の図示上面に接触して取り付けられている。
【0023】
搬送路Hを介して被包装物Pを2枚のフィルムF1、F2の間に挟んだ積層体Tを搬送して図2に示す溶着位置に停止し、ブレード41を図示の位置から受部材43に向けて右方向(後方)へ移動すると、2枚のフィルムF1、F2がブレード41と受部材43の間に挟まれて互いに接触し、ブレード41の熱により2枚のフィルムF1、F2が溶着される。フィルムF1、F2の溶着部分より下流側の包装品Wが下方へ搬送されると、溶着部分の上下方向の略中央位置でフィルムF1、F2が引き千切られる。
【0024】
この結果、溶着切断部4を通過した包装品Wの2枚のフィルムF1、F2の引き出し方向の後端同士が溶着され、引き出し方向に沿って溶着切断部4の上流側の2枚のフィルムF1、F2の引き出し方向の先端同士が溶着された状態となる。ブレード41を受部材43から離間させた図2のホームポジションに移動させた後、溶着切断部4の上流側の2枚のフィルムF1、F2の引き出し方向の先端は、受部材43の搬送路H側の面に貼り付く。
【0025】
フィルムF1、F2の引き出し方向に沿って溶着切断部4の上流側で且つガイドローラ2a、2bの下流側には、被包装物Pの通過を検知するためのセンサ5(第1の検知部)が設けられている。また、フィルムF1、F2の引き出し方向に沿って溶着切断部4の下流側には、被包装物Pの通過を検知するためのセンサ6(第2の検知部)が設けられている。センサ5、6は、それぞれ、被包装物Pの搬送経路を間に挟んだ前後両側に発光素子と受光素子を有する透過型の光電センサである。
【0026】
つまり、センサ5は、溶着切断部4の上流側でその光線が被包装物Pの搬送経路を横切る位置に配置され、センサ6は、溶着切断部4の下流側でその光線が被包装物Pの搬送経路を横切る位置に配置されている。なお、センサ5、6の光線は、フィルムF1、F2を透過するため、フィルムF1、F2の間に挟まれた被包装物Pの通過を検知することができる。センサ5、6は、被包装物Pで反射された反射光を検出する反射型の光電センサであってもよい。
【0027】
センサ5は、投入口103を介して投入された被包装物Pの搬送方向の下流側の端部(先端)を検知して、被包装物Pが包装装置100に投入されたことを検知する。センサ6は、被包装物Pの搬送方向の上流側の端部(後端)を検知して、被包装物Pが溶着切断部4を通過したことを検知する。
【0028】
フィルムF1、F2の引き出し方向に沿ってセンサ6のさらに下流側には、2枚のフィルムF1、F2の間に被包装物Pを挟んだ積層体Tを挟持拘束して搬送路Hを介して搬送するとともに図2に示す溶着位置で停止させる搬送機構8(搬送手段)が配置されている。搬送機構8は、積層体Tの搬送路Hの前後(図示左右両側)に略同じ構造の搬送ユニット8F、8Rを有する。
【0029】
積層体Tの搬送路Hの前方(図示左側)の搬送ユニット8F(第1の搬送部)は、左右に離間した2つのベルトユニット80(図4)を有する。搬送ユニット8Fの2つのベルトユニット80は、それぞれ、重力方向に互いに離間した駆動ローラ8aと従動ローラ8bに無端状の搬送ベルト8cを巻回した構造を有する。2つのベルトユニット80の駆動ローラ8aと従動ローラ8bの回転軸は、紙面と直交する左右方向に延設され、それぞれ同軸に配置されている。駆動ローラ8aは、従動ローラ8bより上方にあり、従動ローラ8bよりわずかに後方に配置されている。搬送路Hの前側を規定する搬送ユニット8Fは、各ベルトユニット80の搬送ベルト8cが積層体Tの図示左側の表面(フィルムF1の外面)に接触して走行する位置に配置されている。
【0030】
搬送路Hの後方(図示右側)の搬送ユニット8R(第2の搬送部)は、上述した搬送ユニット8Fの2つのベルトユニット80の後方に対向する2つのベルトユニット(図示せず)を有する。搬送ユニット8Rの2つのベルトユニットは、搬送ユニット8Fのベルトユニット80と同じ構造を有し、駆動ローラ8aと従動ローラ8bに無端状の搬送ベルト8cを巻回した構造を有する。2つのベルトユニットの駆動ローラ8aと従動ローラ8bの回転軸は、紙面と直交する左右方向に延設され、それぞれ同軸に配置されている。
【0031】
駆動ローラ8aは、従動ローラ8bより下方にあり、従動ローラ8bよりわずかに前方に配置されている。搬送路Hの後側を規定する搬送ユニット8Rは、搬送ユニット8Fに対して積層体Tの反対側で、搬送ベルト8cが積層体Tの図示右側の表面(フィルムF2の外面)に接触して走行する位置に配置されている。この搬送ユニット8Rの駆動ローラ8aは、図示しないプーリやタイミングベルトを介して搬送ユニット8Fの駆動軸に接続されてもよく、搬送ユニット8Fに同期して駆動されるようになっている。
【0032】
搬送ユニット8Fの搬送ベルト8cの走行方向は図2で時計回り方向であり、搬送ユニット8Rの搬送ベルト8cの走行方向は反時計回り方向である。搬送ユニット8F、8Rの間の搬送路Hは、図2で上方から下方に向けて左方向(前方)にわずかに傾斜している。搬送路Hに投入されてフィルムF1、F2によって包装された包装品Wは、搬送機構8を駆動させることにより、搬送路Hを介して、筐体101の下方に配置した排出トレイ106に向けて排出される。排出トレイ106は、搬送路Hを通して送り込まれた包装品Wを順次積み重ねて収容する。
【0033】
搬送路Hの後方には、平板状のガイド板7(図4、5)がある。ガイド板7は、搬送路Hを間に挟んで後述する気流発生装置20に対向する位置で搬送路Hと平行に配置されている。ガイド板7は、搬送ユニット8Rの2つのベルトユニットの搬送ベルト8cを搬送路Hに向けて露出するための2つの開口7a(図5)を有する。ガイド板7には、気流発生装置20により発生させた気流を搬送路Hを搬送される積層体Tに吹き付けた際に、被包装物Pの周りのフィルムF1、F2の端縁が気流によって押し付けられる。つまり、ガイド板7は、溶着位置に搬送された積層体TのフィルムF1、F2の端縁に重なる大きさ及び形状を有する。
【0034】
搬送路Hの前方に配置した搬送ユニット8Fは、図3及び図4に示す支持機構10によって搬送ユニット8Rに対して離接可能に支持されている。支持機構10は、左右方向に延設した揺動軸11を中心に筐体101に対して揺動可能に取り付けた支持フレーム12を有する。支持フレーム12は、搬送ユニット8Fの右側に配置した縦フレーム13、搬送ユニット8Fの左側に配置した縦フレーム14、基端部を揺動軸11に固定した横フレーム15、基端部を揺動軸11に固定した横フレーム16、及び2つの横フレーム15、16の揺動の先端と2つの縦フレーム13、14の基端部を略直角に連結した連結フレーム18を有する。
【0035】
搬送ユニット8Fは、従動ローラ8bの回転軸を2つの縦フレーム13、14の先端部に回転可能に取り付けることにより、支持フレーム12に接続されている。支持フレーム12は、図示しない複数のバネにより、図3で揺動軸11を中心に時計回り方向に付勢されている。つまり、被包装物Pが搬送される前の状態では、2枚のフィルムF1、F2を間に挟んで搬送ユニット8Rの搬送ベルト8cに搬送ユニット8Fの搬送ベルト8cが押し付けられた状態となっている。そして、所定の厚みを有する被包装物Pが搬送路Hに送り込まれて搬送ユニット8Rと搬送ユニット8Fの間を搬送されると、被包装物Pの厚み分だけ搬送ユニット8Fが搬送ユニット8Rから離間するように、支持フレーム12がバネの付勢力に抗して揺動する。
【0036】
図4及び図5に示すように、支持機構10の支持フレーム12には、気流発生装置20(気流発生手段)が固設されている。このため、気流発生装置20は、支持フレーム12の揺動によって搬送ユニット8Rに対して離接する方向に移動する。つまり、気流発生装置20と積層体Tとの間の距離は、被包装物Pの厚みによらず一定となる。
【0037】
気流発生装置20は、図5及び図6に示すように、搬送路Hの前方から後方に向かう気流を生じさせるファン22と、ファン22で発生した気流を左右方向に偏向させる2枚の偏向板24R、24L(偏向部材)と、ファン22で発生した気流が溶着切断部4のブレード41に向かわないように気流を遮る遮流板26(遮流部材)を有する。
【0038】
ファン22は、前方から後方に向かう矢印X方向の気流を発生させる向きで支持フレーム12に取り付けられている。図4に示すように、ファン22は、溶着位置に配置された積層体Tの下端近くに対向する高さ位置で左右方向の中央に配置されている。つまり、ファン22は、溶着位置に配置された積層体Tの下端近くの左右方向の中央に風を吹き付ける。ファン22は、例えば、0.9m/min程度の風量を有する軸流ファンやブロアファンなどを用いることができる。
【0039】
2枚の偏向板24R、24Lは、ファン22が発生させた気流を左右方向に偏向させるように相反する方向に傾斜している。右側の偏向板24Rは、矢印X方向に対して矢印Y方向(右方向)に傾斜し、左側の偏向板24Lは、矢印X方向に対して矢印Yと反対方向(左方向)に傾斜している。偏向板24R、24Lの矢印Xに対する傾斜角度は、例えば、45°である。つまり、2枚の偏向板24R、24Lは、V字状に配置され、中央寄りの端部同士が接続している。
【0040】
2枚の偏向板24R、24Lによって偏向された気流は、溶着位置に配置された積層体TのフィルムF1、F2の左右方向の中央から左右の端縁に向かう方向に流れる。フィルムF1、F2の左右の端部には被包装物Pが無く、2枚のフィルムF1、F2が重なった状態となっている。2枚の偏向板24R、24Lの中央寄りの端部同士が接続しているため、積層体Tの左右方向の中央近くにはファン22からの気流はほとんど当たらない。このように、気流発生装置20によって積層体Tの中央から左右に向かって流れる気流を生じさせることにより、フィルムF1、F2の左右の端縁が外側に広がる方向に引き伸ばされて、皺や折れがあっても平らな形状に整えられる。
【0041】
積層体Tは、図2に示す溶着位置に搬送して停止した状態では、搬送方向の上流側の端部が溶着されていないため、フィルムF1、F2はロールR1、R2につながっている。このため、溶着切断部40にてフィルムF1、F2を溶着する前の状態では、積層体Tの上端側のフィルムF1、F2に皺や折れを生じることはない。これに対し、積層体Tの下端では、フィルムF1、F2同士が溶着されており、被包装物Pが存在しないフィルムF1、F2だけの部位では、皺や折れを生じ易い。このため、本実施形態のように、溶着位置に停止した積層体Tの下端近くで中央から左右方向に向かう気流を生じさせて皺や折れを引き延ばすことが有効となる。
【0042】
遮流板26は、ファン22で発生した気流が溶着切断部4のブレード41(及びヒータ42)に向かわないように気流を遮る位置に取り付けられている。本実施形態では、遮流板26は、ファン22の上方に取り付けられており、ファン22を上方から見たときに少なくともファン22の全体が隠れる大きさ及び形状(図6c)を有する。遮流板26は、ファン22により発生する気流の吹き出し方向に延設されており、積層体TのフィルムF1の外面に向かう気流とフィルムF1の外面に当たった気流がブレード41の方向に流れることを抑制するよう機能する。このように、ファン22からの気流がブレード41に向かわないようにすることで、ブレード41が冷却される不具合を抑制することができる。
【0043】
図3図5に示すように、搬送機構8の左右両側には、溶着位置に搬送した積層体TのフィルムF1、F2の左右の端部を溶着する2つの溶着部30R、30Lがある。2つの溶着部30R、30Lは、包装装置100の中心を通るXZ平面に対して面対象となる構造を有する。よって、ここでは、右側の溶着部30Rについて説明し、左側の溶着部30Lの説明を省略する。
【0044】
溶着部30Rは、積層体TのフィルムF1の前方に配置したブレード31と、ブレード31を加熱するここでは図示しないヒータと、ブレード31に対向してフィルムF2の後方に配置した受部材32を有する。ブレード31と受部材32は、積層体Tの被包装物Pが存在しないフィルムF1、F2が重なった位置で、搬送路Hと略平行に配置されている。ブレード31と受部材32の下端は、少なくとも溶着位置に停止された積層体Tの下端に重なる位置まで延びている。ブレード31と受部材32の上端は、溶着切断部4の手前まで延びている。受部材32は、図5に示すように、ガイド板7の前面に固設されている。
【0045】
ブレード31を図3に示す位置から受部材32に向けて右方向(後方)へ移動すると、2枚のフィルムF1、F2の右端部近くがブレード31と受部材32の間に挟まれて互いに接触し、ブレード31の熱により2枚のフィルムF1、F2が溶着される。溶着部30RによるフィルムF1、F2の溶着部位が積層体Tの下端に重なるため、積層体Tの下端側の被包装物Pの角部近くは、2枚のフィルムF1、F2によって密閉された状態となる。一方、溶着部30RによるフィルムF1、F2の溶着部位がその上端において溶着切断部4に届かないため、積層体Tの上端側の被包装物Pの角部近くは、2枚のフィルムF1、F2が溶着されていない部分が存在する。この部分は通気孔として機能する。
【0046】
上述した溶着切断部4のブレード41と左右の溶着部30R、30Lのブレード31は、略同時に動作し、溶着位置に搬送されて停止された積層体Tの被包装物Pの上方及び左右の外側でフィルムF1、F2同士を溶着する。このため、排出トレイ106に排出される包装品Wは、被包装物Pを挟んだ2枚のフィルムF1、F2を被包装物Pの略全周でシールした状態となる。
【0047】
包装装置100は、図7に示す制御部50を有する。制御部50には、操作・表示パネル104、電源スイッチ105、及びセンサ5、6が接続されている。また、制御部50には、搬送機構8の駆動ローラ8aを駆動するモータ52、気流発生装置20のファン22、溶着切断部4のブレード41を駆動するアクチュエータ54、及び溶着部30R、30Lのブレード31を駆動するアクチュエータ56が接続されている。
【0048】
以下、上述した制御部50による制御動作について図8のフローチャートを参照して説明する。
投入口103を介して作業員によって被包装物Pが投入されると、センサ5の光線を被包装物Pの先端が遮る。制御部50は、センサ5の出力を監視して、センサ5の光線が被包装物Pの下端によって遮られてセンサ5の出力が暗になった時点(ステップ1;YES)で、搬送機構8を駆動して(ステップ2)、ファン22を動作させる(ステップ3)。
【0049】
制御部50は、ステップ3の後、センサ6の出力を監視して、センサ6の光線が被包装物Pによって遮られた状態からセンサ出力が明になった(光線を受光部が受光した)時点(ステップ4;YES)で、搬送機構8を停止させ(ステップ5)、ファン22を停止させる(ステップ6)。この状態で、当該被包装物PをフィルムF1、F2で挟んだ積層体Tが搬送機構8によって挟持拘束された状態で溶着位置に停止される。
【0050】
制御部50は、この後、アクチュエータ54を動作させて溶着切断部4のブレード41を受部材43に向けて移動し、且つアクチュエータ56を動作させて溶着部30R、30Lのブレード31を受部材32に向けて移動し、フィルムF1、F2を被包装物Pの周囲で溶着する(ステップ7)。さらに、この後、制御部50は、搬送機構8を駆動して包装品Wの搬送を再開し(ステップ8)、包装品Wを排出トレイ106に向けて排出する。
【0051】
ステップ3でファン22を動作させると、搬送路Hの前方からガイド板7に向かう気流が生じ、偏向板24R、24Lによって気流が左右に偏向される。この状態で、搬送機構8によって積層体Tが溶着位置に向けて搬送されると、積層体TのフィルムF1、F2が気流によって左右に引き伸ばされて、被包装物Pが存在しないフィルムF1、F2だけが重なった積層体Tの下端近くの左右の角部の皺や折れが平らにされる。
【0052】
この状態で溶着位置に停止した積層体TのフィルムF1、F2の上端及び左右端を溶着する(ステップ7)と、皺や折れのある部位でフィルムF1、F2を溶着してしまう不具合を抑制することができ、フィルムF1、F2の溶着不良を防止することができ、フィルムF1、F2に孔が開く不具合を防止することができる。
【0053】
また、本実施形態によると、気流発生装置20が遮流板26を備えているため、ファン22で発生した気流が溶着切断部4のブレード41を冷却してしまう不具合を抑制することができ、溶着切断部4における熱不足による溶着不良や切断不良を防止することができる。また、本実施形態によると、上述したステップ3からステップ6の間のわずかな時間だけファン22を選択的に動作させるため、溶着部30R、30Lのブレード31を冷却する不具合も抑制することができる。
【0054】
また、気流発生装置20は、搬送機構8の一方の搬送ユニット8Fを支持した支持機構10の支持フレーム12に固設されているため、投入口103を介して投入される被包装物Pの厚みによらず、積層体Tとファン22の間の距離を常に一定にすることができ、ファン22を積層体Tに近付けて配置することができ、溶着位置の積層体TのフィルムF1、F2の皺や折れを確実に引き延ばすことができる。
【0055】
また、本実施形態のように、積層体Tを溶着位置に搬送する途中で積層体TのフィルムF1に気流を吹き付けることにより、積層体Tの下端側から徐々にフィルムF1、F2の間にある空気を抜くことができ、包装後の包装品Wが空気で膨らんでしまう不具合を抑制することができる。このため、本実施形態の包装装置100は、フィルムF1、F2の全周を溶着するモードでの動作に適している。
【0056】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0057】
例えば、上述した実施形態の包装装置100は、被包装物Pを上下に延びた搬送路Hを介して搬送する縦型の装置であったが、本発明は、搬送路Hが略水平に延びた横型の包装装置に適用することもできる。
【0058】
また、上述した実施形態では、気流発生装置20のファン22を間欠的に動作させる場合について説明したが、気流により溶着部のブレード31、41を冷却し難い装置レイアウトを採用すれば、ファン22は常時動作させてもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、所定の風量の気流を生じるファン22を支持フレーム12に固定して溶着位置の積層体Tに近付けて配置した場合について説明したが、ファン22の風量(回転数)を調整可能にしたり、ファン22と搬送路Hの間の距離を変更したり、偏向板24R、24Lの角度を調整可能にしたり、偏向板24R、24Lの形状や大きさを変更したりすることもでき、フィルムF1、F2の溶着不良をより確実に抑制することができる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
被包装物を受け入れる搬送路と、
第1の包装材と第2の包装材を前記搬送路の両側に供給する供給手段と、
前記搬送路を搬送される前記被包装物に向けて前記第1の包装材の外面側から気体を吹き付けて、前記第1の包装材の前記外面に沿って当該第1の包装材の端縁に向かう気流を生じさせる気流発生手段と、
前記被包装物から外れた位置で前記第1の包装材と前記第2の包装材を加熱溶着する溶着手段と、
を有する包装装置。
[2]
前記搬送路を間に挟んで前記気流発生手段に対向して前記第2の包装材の外面側に前記搬送路に沿って配置した平板状のガイド板をさらに有する、
[1]に記載の包装装置。
[3]
前記気流発生手段は、前記第1の包装材に向かう気流を発生させるファンと、前記ファンにより発生した気流を前記第1の包装材の前記端縁に向かわせる偏向部材を有する、
[1]に記載の包装装置。
[4]
前記溶着手段は、前記第2の包装材を間に挟んで前記搬送路の反対側に配置した受部材と、前記第1の包装材を間に挟んだ前記搬送路の反対側から前記受部材に当接する溶着位置まで移動可能に配置したブレードと、前記ブレードを加熱するヒータを有し、
前記ファンにより発生した気流が前記ブレードに向かわないように、前記ファンと前記ブレードの間で気流を遮る遮流部材をさらに有する、
[3]に記載の包装装置。
[5]
前記搬送路に受け入れた前記被包装物を前記第1の包装材と前記第2の包装材の間に挟んだ積層体を前記搬送路に沿って搬送する搬送手段をさらに有し、
前記搬送手段は、前記第1の包装材の前記外面側に配置した第1の搬送部と、前記積層体を間に挟んで前記第1の搬送部に対向して配置され前記第1の搬送部と協働して前記積層体に搬送力を与えるとともに前記積層体を停止させる第2の搬送部と、前記被包装物の厚みに応じて前記第1の搬送部を前記第2の搬送部に対して離接する方向に移動可能に支持した支持機構を有し、
前記気流発生手段は、前記第1の搬送部とともに移動可能に前記支持機構によって支持されている、
[1]に記載の包装装置。
[6]
前記気流発生手段は、前記第1の包装材に向かう気流を発生させるファンと、前記ファンにより発生した気流を前記第1の包装材の前記端縁に向かわせる偏向部材を有する、
[5]に記載の包装装置。
[7]
前記溶着手段は、前記第2の包装材を間に挟んで前記搬送路の反対側に配置した受部材と、前記第1の包装材を間に挟んだ前記搬送路の反対側から前記受部材に当接する溶着位置まで移動可能に配置したブレードと、前記ブレードを加熱するヒータを有し、
前記ファンにより発生した気流が前記ブレードに向かわないように、前記ファンと前記ブレードの間で気流を遮る遮流部材をさらに有する、
[6]に記載の包装装置。
[8]
被包装物を受け入れる搬送路と、
第1の包装材と第2の包装材を前記搬送路の両側に供給する供給手段と、
前記搬送路に受け入れた前記被包装物を前記第1の包装材と前記第2の包装材の間に挟んだ積層体を前記搬送路に沿って搬送するとともに溶着位置で停止させる搬送手段と、
前記溶着位置に向けて前記搬送路を搬送される前記被包装物に向けて前記第1の包装材の外面側から気体を吹き付けて、前記第1の包装材の前記外面に沿って当該第1の包装材の端縁に向かう気流を生じさせる気流発生手段と、
前記溶着位置で停止した前記積層体の前記被包装物から外れた位置で前記第1の包装材と前記第2の包装材を加熱溶着する溶着手段と、
前記搬送路に前記被包装物が受け入れられたことを検知する第1の検知部と、
前記積層体が前記溶着位置に搬送されたことを検知する第2の検知部と、
前記第1の検知部が前記搬送路に前記被包装物が受け入れられたことを検知したのに基づき前記気流発生手段によって気流を発生させ、前記第2の検知部が前記溶着位置に前記積層体が搬送されたことを検知したのに基づき当該積層体の搬送を停止させるとともに前記気流発生手段による気流の発生を停止させ、前記溶着手段によって前記第1の包装材と前記第2の包装材を加熱溶着するように、前記搬送手段、前記気流発生手段、及び前記溶着手段を制御する制御部と、
を有する包装装置。
[9]
前記気流発生手段は、前記第1の包装材に向かう気流を発生させるファンと、前記ファンにより発生した気流を前記第1の包装材の前記端縁に向かわせる偏向部材を有する、
[8]に記載の包装装置。
[10]
前記溶着手段は、前記第2の包装材を間に挟んで前記搬送路の反対側に配置した受部材と、前記第1の包装材を間に挟んだ前記搬送路の反対側から前記受部材に当接する溶着位置まで移動可能に配置したブレードと、前記ブレードを加熱するヒータを有し、
前記ファンにより発生した気流が前記ブレードに向かわないように、前記ファンと前記ブレードの間で気流を遮る遮流部材をさらに有する、
[9]に記載の包装装置。
【符号の説明】
【0060】
4…溶着切断部、5、6…センサ、7…ガイド板、8…搬送機構、8R、8L…搬送ユニット、10…支持機構、12…支持フレーム、20…気流発生装置、22…ファン、24R、24L…偏向板、26…遮流板、30R、30L…溶着部、31…ブレード、32…受部材、41…ブレード、42…ヒータ、43…受部材、50…制御部、100…包装装置、F1、F2…フィルム、H…搬送路、P…被包装物、T…積層体。
【要約】
【課題】包装材の溶着不良を防止することができる包装装置を提供する。
【解決手段】包装装置は、搬送路と、供給手段と、気流発生手段と、溶着手段と、を有する。搬送路は、被包装物を受け入れる。供給手段は、第1の包装材と第2の包装材を搬送路の両側に供給する。気流発生手段は、搬送路を搬送される被包装物に向けて第1の包装材の外面側から気体を吹き付けて、第1の包装材の外面に沿って第1の包装材の端縁に向かう気流を生じさせる。溶着手段は、被包装物から外れた位置で第1の包装材と第2の包装材を加熱溶着する。
【選択図】 図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8