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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】脂質ナノ粒子
(51)【国際特許分類】
   C07C 229/12 20060101AFI20241202BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20241202BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20241202BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20241202BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20241202BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241202BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20241202BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20241202BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20241202BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20241202BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241202BHJP
   C07C 229/14 20060101ALI20241202BHJP
   C07C 233/05 20060101ALI20241202BHJP
   C07C 255/24 20060101ALI20241202BHJP
   C07D 295/13 20060101ALI20241202BHJP
   C12N 15/88 20060101ALI20241202BHJP
   C12N 15/44 20060101ALN20241202BHJP
   C12N 15/47 20060101ALN20241202BHJP
【FI】
C07C229/12 CSP
A61K9/127
A61K9/51
A61K31/7088
A61K31/7105
A61K45/00
A61K47/18
A61K47/24
A61K47/28
A61K47/34
A61P7/00
A61P7/06
A61P25/00
A61P29/00
A61P31/00
A61P31/04
A61P31/10
A61P31/12
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/02
A61P37/04
A61P37/08
A61P43/00
C07C229/14
C07C233/05
C07C255/24
C07D295/13
C12N15/88 Z
C12N15/44
C12N15/47
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023512431
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 CN2021112167
(87)【国際公開番号】W WO2022037465
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】202010841678.8
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523058076
【氏名又は名称】深▲セン▼深信生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】李 林▲鮮▼
【審査官】工藤 友紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-514366(JP,A)
【文献】特表2020-504764(JP,A)
【文献】特表2017-522376(JP,A)
【文献】国際公開第2016/176330(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造(Va)及び(Vb):
【化1】
(式中、x、y、m及びnは、同一又は異なり、それぞれ独立して、1~12の整数であり、
L 1 はC 1 ~C 24 アルキレンであり、
R 1 は、H、OR 1a 、CN、-C(=O)OR 1a 、-OC(=O)R 1a 、-NR 1b C(=O)R 1a 又は-NR 1a R 1b から選択され、R 1a 及びR 1b はそれぞれ、H又はC 1 ~C 12 ヒドロカルビルであり、
R 2 は、分岐C 6 ~C 24 アルキル又は分岐C 6 ~C 24 アルケニルであり、
R 3 はHである)
のうちの1つを有する化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体
【請求項2】
R2が、以下の構造:
【化2】
の1つから選択される、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体
【請求項3】
以下の化合物から選択される化合物
【表1A】
【表1B】
【表1C】
【表1D】
【表1E】
又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物を含有する、脂質ナノ粒子。
【請求項5】
ヘルパー脂質、ステロール、ポリエチレングリコール脂質及び生物活性剤のうちの1種又は複数を更に含有する、
請求項4に記載の脂質ナノ粒子。
【請求項6】
前記ヘルパー脂質が非カチオン性脂質である、
請求項5に記載の脂質ナノ粒子。
【請求項7】
前記ヘルパー脂質が非カチオン性リン脂質である、
請求項5に記載の脂質ナノ粒子。
【請求項8】
前記非カチオン性脂質がDOPE又はDSPCである、
請求項6に記載の脂質ナノ粒子。
【請求項9】
前記ステロールがコレステロールである、
請求項5に記載の脂質ナノ粒子。
【請求項10】
前記ポリエチレングリコール脂質がPEG2000-DMGである、
請求項5に記載の脂質ナノ粒子。
【請求項11】
前記生物活性剤が、核酸、抗悪性腫瘍薬、抗生物質、免疫調節剤、抗炎症薬、中枢神経系に作用する薬剤、抗原又はその断片、ペプチド、タンパク質、抗体、ワクチン又は小分子である、
請求項5に記載の脂質ナノ粒子。
【請求項12】
前記核酸が、RNA、メッセンジャーRNA(mRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、DNA、プラスミド、リボソームRNA(rRNA)、マイクロRNA(miRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、低分子阻害性RNA(siRNA)及び核内低分子RNA(snRNA)である、
請求項11に記載の脂質ナノ粒子。
【請求項13】
医薬の製造における、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物及び請求項4から12のいずれか一項に記載の脂質ナノ粒子の使用であって、前記医薬が、遺伝子治療、遺伝子ワクチン接種、アンチセンス治療又は干渉RNAによる治療に使用するための医薬である、
使用
【請求項14】
前記遺伝子治療が、がん及び遺伝性疾患の処置のために有用である、
請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記がんが、肺がん、胃がん、肝臓がん、食道がん、結腸がん、膵臓がん、脳がん、リンパがん、白血病及び前立腺がんのうちの1種又は複数であり、前記遺伝性疾患が、血友病、地中海貧血症及びゴーシェ病のうちの1種又は複数である、
請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記遺伝子ワクチン接種が、がん、アレルギー、病原体による毒性及び感染の処置に使用される、
請求項13に記載の使用。
【請求項17】
前記病原体が、ウイルス、細菌及び真菌のうちの1種又は複数から選択される、
請求項16に記載の使用。
【請求項18】
核酸導入のための医薬の製造における、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物及び請求項4から12のいずれか一項に記載の脂質ナノ粒子の使用。
【請求項19】
前記核酸が、RNA、メッセンジャーRNA(mRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、DNA、プラスミド、リボソームRNA(rRNA)、マイクロRNA(miRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、低分子阻害性RNA(siRNA)及び核内低分子RNA(snRNA)である、
請求項18に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ脂質化合物、その調製方法、及びアミノ脂質化合物を含有する脂質粒子に関する。脂質粒子は、生物活性剤を細胞に送達するために使用できる。本発明は、アミノ脂質を含有する脂質粒子の医薬としての使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子治療は、人工的な手段によって、特定の遺伝情報を有する遺伝子を標的細胞に送達することであり、発現された標的タンパク質は、先天性又は後天性の遺伝子欠損によって引き起こされる疾患を調節、処置、更には治癒する効果さえ有する。核酸及び細胞膜の両方は負に荷電している。したがって、裸の核酸は、細胞に直接導入することが困難であり、細胞質中の核酸分解酵素によって容易に分解され、遺伝子導入及び遺伝子治療の効果を達成できない。したがって、遺伝子送達を行うために外力又はベクターを使用することが必要である。
【0003】
遺伝子治療の利点は明らかであるが、遺伝子ベクターの安全性及び高い効率の欠如によって、遺伝子治療は臨床において広く使用されていない。遺伝子ベクターは、一般に、ウイルスベクター及び非ウイルスベクターに分けられる。ウイルスベクターは、in vivo及びin vitroで高いトランスフェクション効率を有すると同時に、高い毒性、強い免疫応答、小さい遺伝子容量、不十分な標的化、及び複雑な調製方法等の多くの欠陥も有する。非ウイルスベクターは、調製が容易で、輸送、貯蔵性、安全性、有効性、及び非免疫原性のために、ますます注目を集めている。
【0004】
しかし、細胞レベルでの遺伝子送達と比較して、遺伝子送達は、現在、治療中に2つの問題に直面している。第1に、遊離RNAは、血漿中のヌクレアーゼによって消化されやすい。頻繁に使用される解決策は、ナノ粒子中にPEG鎖がロードされたホスホン酸塩を導入することであり、PEG鎖は、自己組織化中にミセルの最外層中で伸長する。PEG層は、電気的中性、タンパク質吸着耐性、及び末端基に官能基がない等の特性を有するので、in vivoでのナノベクターの細胞毒性を低減し、サイクル時間を延長できる。第2に、エンドサイトーシス後、遺伝子ベクターはエンドソーム/リソソーム小胞に輸送され、遺伝子はリソソームに豊富に含まれる酵素又は酸性物質によって容易に分解される。したがって、核酸がエンドソーム/リソソームから脱出して細胞質に入ることができるかどうかは、非ウイルスベクターによる遺伝子送達の重要な部分である。エンドソーム/リソソーム経路において、ナノ複合体は、pH5~6の後期エンドソームからpH約4.5のリソソームへと酸性度を変化する過程を経る。一方、リソソームは、ナノ複合体を容易に分解できる多数のリソソーム酵素が豊富である。一般的に使用される非ウイルスベクターは、非常に低いエンドソーム/リソソーム脱出効率を有する。したがって、エンドソーム/リソソーム脱出は、非ウイルスベクターからの遺伝子トランスフェクションを向上させるための重要な工程である。本明細書では、複数のアルキル鎖を同時に含有するアルキニル含有アミノ脂質を開示しており、このアルキニル含有アミノ脂質は、in vivo送達研究において核酸を細胞に送達する優れた能力を示し、陽性対照(DLin-MC3)及び対応するアルキニルを含まないアミノ脂質よりも著しく優れている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の1つの目的は、アルキニル基を含むアルキル鎖を有し、in vivoで循環中に安定なままであり、エンドソーム/リソソーム中で急速に分解されることができ、著しく増強された送達効率を有する、アミノ脂質化合物を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、原料の入手が容易であり、反応条件が温和であり、反応選択性が良好であり、収率が高く、機器及び装置に対する要求が低く、操作が簡単な、新規アミノ脂質化合物の調製方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、アミノ脂質化合物を含む脂質ナノ粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、脂質ナノ粒子であって、式I:
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、
G1及びG2は、同一又は異なり、それぞれ独立して、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)p-、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NRaC(=O)-、-C(=O)NRa-、-NRaC(=O)NRa-、-OC(=O)NRa-又は-NRaC(=O)O-から選択され、p=0、1又は2であり、RaはH又はC1~C12ヒドロカルビルであり、
L1、L2、L3、L4及びL5は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立して、C1~C24アルキレン、C2~C24アルケニレン、C3~C8シクロアルキレン、C3~C8シクロアルケニレン、又は任意選択的に置換されている、窒素、硫黄及び酸素から選択されるヘテロ原子を含有する4~10員複素環から選択され、C1~C24アルキレン、C2~C24アルケニレン、C3~C8シクロアルキレン及びC3~C8シクロアルケニレンは、ヒドロカルビル、カルボキシル、アシル及びアルコキシから選択される1個又は複数の置換基により任意選択的に置換されており、
R2は、分岐C6~C24アルキル又は分岐C6~C24アルケニルであり、
R1及びR3は、同一又は異なり、それぞれ独立して、H、OR1a、CN、-C(=O)OR1a、-OC(=O)R1a、-NR1bC(=O)R1a又は-NR1aR1bから選択され、R1a及びR1bはそれぞれ、H又はC1~C12ヒドロカルビルである)
で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩、プロドラッグ若しくは立体異性体を含有する、脂質ナノ粒子を提供する。
【0011】
本発明の別の態様は、アミノ脂質化合物であって、式I
【0012】
【化2】
【0013】
(式中、
G1及びG2は、同一又は異なり、それぞれ独立して、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)p-、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NRaC(=O)-、-C(=O)NRa-、-NRaC(=O)NRa-、-OC(=O)NRa-又は-NRaC(=O)O-から選択され、p=0、1又は2であり、RaはH又はC1~C12ヒドロカルビルであり、
L1、L2、L3、L4及びL5は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立して、C1~C24アルキレン、C2~C24アルケニレン、C3~C8シクロアルキレン、C3~C8シクロアルケニレン、又は任意選択的に置換されている、窒素、硫黄及び酸素から選択されるヘテロ原子を含有する4~10員複素環から選択され、C1~C24アルキレン、C2~C24アルケニレン、C3~C8シクロアルキレン及びC3~C8シクロアルケニレンは、ヒドロカルビル、カルボキシル、アシル及びアルコキシから選択される1個又は複数の置換基により任意選択的に置換されており、
R2は、分岐C6~C24アルキル又は分岐C6~C24アルケニルであり、
R1及びR3は、同一又は異なり、それぞれ独立して、H、OR1a、CN、-C(=O)OR1a、-OC(=O)R1a、-NR1bC(=O)R1a又は-NR1aR1bから選択され、R1a及びR1bはそれぞれ、H又はC1~C12ヒドロカルビルである)
の化合物、又はその薬学的に許容される塩、プロドラッグ若しくは立体異性体である、アミノ脂質化合物を提供する。
【0014】
好ましくは、化合物は以下の構造:
【0015】
【化3】
【0016】
(式中、m及びnは、同一又は異なり、それぞれ独立して、1~12の整数である)
を有する。
【0017】
好ましくは、化合物は以下の構造:
【0018】
【化4】
【0019】
(式中、x、y、m及びnは、同一又は異なり、それぞれ独立して、1~12の整数である)
を有する。
【0020】
好ましくは、化合物は、以下の構造(IVa)及び(IVb):
【0021】
【化5】
【0022】
(式中、L1、L2、L3、L4、及びL5は、同一又は異なり、それぞれ独立して、C1~C12アルキレン、C2~C12アルケニレン、C3~C8シクロアルキレン、及びC3~C8シクロアルケニレンから選択される)
のうちの1つを有する。
【0023】
好ましくは、化合物は以下の構造(Va)及び(Vb):
【0024】
【化6】
【0025】
(式中、x、y、m及びnは、同一又は異なり、それぞれ独立して、1~12の整数である)
のうちの1つを有する。
【0026】
好ましくは、化合物中のR3はHである。
【0027】
好ましくは、化合物中のR2は、以下の構造:
【0028】
【化7】
【0029】
を有するものから選択される。
【0030】
更に好ましくは、式(I)の化合物は、
G1及びG2が、同一又は異なり、それぞれ独立して、-O(C=O)-及び-(C=O)O-から選択され、
L1、L2、L3、L4及びL5が、互いに同一又は異なり、それぞれ独立して、非存在である又はC1~C13アルキレン若しくはC4~C6シクロアルキルを表し、
R1及びR3が、同一又は異なり、それぞれ独立して、H、OR1a、CN、N及びOから選択される1個若しくは2個のヘテロ原子を含有する4~6員飽和ヘテロシクリル、-OC(=O)R1a、-NR1bC(=O)R1a又は-NR1aR1bから選択され、R1a及びR1bがそれぞれ、H又はC1~C12アルキルであり、
R2が、分岐C6~C24アルキルである
ことを特徴とする。
【0031】
更に好ましくは、式(I)の化合物は、
G1及びG2が、同一又は異なり、それぞれ独立して、-O(C=O)-及び-(C=O)O-から選択され、
L1が、C1~C13アルキレン又はC4~C6シクロアルキルであり、L2、L3、L4及びL5は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立して、非存在である又はC1~C13アルキレンを表し、
R1が、OR1a、CN、N及びOから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する4~6員飽和ヘテロシクリル、-OC(=O)R1a、-NR1bC(=O)R1a又は-NR1aR1bから選択され、R1a及びR1bがそれぞれ、H又はC1~C6アルキルであり、
R2が、分岐C6~C24アルキルであり、
R3が、C1~C6アルキルである
ことを特徴とする。
【0032】
更に好ましくは、式(I)の化合物は、
G1及びG2が、同一又は異なり、それぞれ独立して、-O(C=O)-及び-(C=O)O-から選択され、
L1が、C1~C6アルキレン又はC4~C6シクロアルキルであり、
L2が、ヘプチレンであり、
L3が、C4~C13アルキレンであり、
L4が、非存在である又はC1~C3アルキレンを表し、
L5が、C2~C8アルキレンであり、
R1が、OH、CN、モルホリニル、-OC(=O)(CH2)4CH3、-NHC(=O)(CH2)4CH3及び-N(CH3)2から選択され、
R2が、
【0033】
【化8】
【0034】
から選択され、
R3が、メチルである
ことを特徴とする。
【0035】
本発明は、以下の代表的な化合物を提供する。
【0036】
【表1A】
【0037】
【表1B】
【0038】
【表1C】
【0039】
【表1D】
【0040】
【表1E】
【0041】
本発明の別の態様は、アミノ脂質化合物の調製方法であって、以下の工程:
(1)X-L2-G1-R2で表される化合物と、R1-L1-NH2で表される化合物とを、有機塩基の存在下で反応させて、R1-L1-NH-L2-G1-R2で表される化合物を生成する工程であり、Xがハロゲンであり、有機塩基が、好ましくはトリエチルアミン、ピリジン、DMAP、N,N-ジイソプロピルエチルアミンである、工程、又は
まず、HO-L2-G1-R2で表される化合物をデス-マーチンペルヨージナンの存在下で酸化反応させ、次いで、得られた生成物と、R1-L1-NH2とを水素化ホウ素の存在下で反応させて、R1-L1-NH-L2-G1-R2で表される化合物を生成する工程であり、水素化ホウ素が、好ましくはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム又はシアノ水素化ホウ素カリウムである、工程と、
(2)R1-L1-NH-L2-G1-R2で表される化合物と、
【0042】
【化9】
【0043】
とを反応させて、アミノ脂質化合物を生成する工程であり、Xはハロゲンであり、好ましくは、反応が塩基及び触媒の存在下で実施され、塩基が有機塩基又は無機塩基から選択され、有機塩基がトリエチルアミン、ピリジン、DMAP、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンから選択され、無機塩基が炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム又は水素化カリウムから選択され、触媒がヨウ素粒子、ヨウ化ナトリウム又はヨウ化カリウムから選択される、工程と
を含む、方法を提供する。
【0044】
本発明は、アミノ脂質化合物を含有する脂質粒子、及び生物活性剤を細胞に送達するための脂質粒子の使用も提供する。本発明は、アミノ脂質化合物を含有する脂質粒子の医薬としての使用も含む。
【発明の効果】
【0045】
本発明のアミノ脂質化合物はアルキニル基を有し、アルキン脂質の添加は膜融合を著しく増加させてmRNA放出を増強し、mRNA送達における相乗的な向上をもたらす。それは、in vivoでの循環中に安定なままであり、エンドソーム/リソソーム中で急速に分解されることができ、送達効率が著しく増強される。アミノ脂質化合物の調製方法は、原料の入手が容易であり、反応条件が温和であり、反応選択性が良好であり、反応収率が高く、機器及び装置に対する要求が低く、操作が簡単である等の利点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0047】
本明細書で使用される用語「任意選択的に置換されている」は、原子又は基に結合した1個又は複数の水素原子が、独立して、非置換であること、又は1個又は複数の置換基、例えば1、2、3又は4個の置換基で置換されていることを意味し、置換基は独立して、重水素(D)、ハロゲン、-OH、メルカプト、シアノ、-CD3、C1~C6アルキル(好ましくはC1~C3アルキル)、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、シクロアルキル(好ましくはC3~C8シクロアルキル)、アリール、ヘテロシクリル(好ましくは3~8員ヘテロシクリル)、ヘテロアリール、アリールC1~C6アルキル-、ヘテロアリールC1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル、-OC1~C6アルキル(好ましくは-OC1~C3アルキル)、-OC2~C6アルケニル、OC1~C6アルキルフェニル、C1~C6アルキル-OH(好ましくはC1~C4アルキル-OH)、C1~C6アルキル-SH、C1~C6アルキル-O-C1~C6アルキル、OC1~C6ハロアルキル、NH2、C1~C6アルキル-NH2(好ましくはC1~C3アルキル-NH2)、-N(C1~C6アルキル)2(好ましくは-N(C1~C3アルキル)2)、-NH(C1~C6アルキル)(好ましくは-NH(C1~C3アルキル))、-N(C1~C6アルキル)(C1~C6アルキルフェニル)、-NH(C1~C6アルキルフェニル)、ニトロ、-C(O)-OH、-C(O)OC1~C6アルキル(好ましくは-C(O)OC1~C3アルキル)、-CONRiRii(式中Ri及びRiiはH、D及びC1~C6アルキル、好ましくはC1~C3アルキルである)、-NHC(O)(C1~C6アルキル)、-NHC(O)(フェニル)、-N(C1~C6アルキル)C(O)(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)C(O)(フェニル)、-C(O)C1~C6アルキル、-C(O)ヘテロアリール(好ましくは-C(O)-5~7員ヘテロアリール)、-C(O)C1~C6アルキルフェニル、-C(O)C1~C6ハロアルキル、-OC(O)C1~C6アルキル(好ましくは-OC(O)C1~C3アルキル)、-S(O)2-C1~C6アルキル、-S(O)-C1~C6アルキル、-S(O)2-フェニル、-S(O)2-C1~C6ハロアルキル、-S(O)2NH2、-S(O)2NH(C1~C6アルキル)、-S(O)2NH(フェニル)、-NHS(O)2(C1~C6アルキル)、-NHS(O)2(フェニル)及び-NHS(O)2(C1~C6ハロアルキル)から選択され、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、フェニル、アリール、ヘテロシクリル及びヘテロアリールの各々は、任意選択的に、以下の置換基:ハロゲン、-OH、-NH2、シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、C1~C4アルキル、C1~C4ハロアルキル-、-OC1~C4アルキル、-C1~C4アルキル-OH、-C1~C4アルキル-O-C1~C4アルキル、-OC1~C4ハロアルキル、シアノ、ニトロ、-C(O)-OH、-C(O)OC1~C6アルキル、-CON(C1~C6アルキル)2、-CONH(C1~C6アルキル)、-CONH2、-NHC(O)(C1~C6アルキル)、-NH(C1~C6アルキル)C(O)(C1~C6アルキル)、-SO2(C1~C6アルキル)、-SO2(フェニル)、-SO2(C1~C6ハロアルキル)、-SO2NH2、-SO2NH(C1~C6アルキル)、-SO2NH(フェニル)、-NHSO2(C1~C6アルキル)、-NHSO2(フェニル)及び-NHSO2(C1~C6ハロアルキル)から選択される1個又は複数の置換基によって更に置換されてもよい。
【0048】
1個の原子又は基が複数の置換基で置換されている場合、複数の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0049】
本発明で使用される用語「ヒドロカルビル」は、脂肪族炭化水素が1個の水素原子を失った後に残る基を意味し、アルキル、アルケニル及びアルキニルを含む直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和炭化水素基を含み、好ましくは、ヒドロカルビル基は、C1~C10ヒドロカルビル、C1~C6ヒドロカルビル、又はC1~C3ヒドロカルビルである。
【0050】
本発明で使用される用語「アルキル」は、C1~C24アルキル、C1~C20アルキル、C1~C18アルキル、C1~C12アルキル、C1~C6アルキル、C3~C24アルキル、C3~C20アルキル、C3~C18アルキル、C3~C12アルキル、C3~C6アルキル、C6~C24アルキル、C6~C20アルキル、C6~C18アルキル又はC6~C12アルキルを指す。
【0051】
本発明で使用される用語「アルケニル」は、C2~C24アルケニル、C2~C20アルケニル、C2~C18アルケニル、C2~C12アルケニル、C2~C6アルケニル、C3~C20アルケニル、C3~C18アルケニル、C3~C12アルケニル、C3~C6アルケニル、C6~C24アルケニル、C6~C20アルケニル、C6~C18アルケニル又はC6~C12アルケニルを指す。
【0052】
本発明で使用される用語「アルキニル」は、C2~C24アルキニル、C2~C20アルキニル、C2~C18アルキニル、C2~C12アルキニル、C2~C6アルキニル、C3~C20アルキニル、C3~C18アルキニル、C3~C12アルキニル、C3~C6アルキニル、C6~C24アルキニル、C6~C20アルキニル、C6~C18アルキニル又はC6~C12アルキニルを指す。
【0053】
本発明において使用される用語「アシル」は、ヒドロカルビル-カルボニル基を指し、好ましくは、アシル基は、C4~C24アシル、C6~C18アシル、C6~C12アシル、C6~C10アシル、C4~C6アシル、C2~C12アシル、又はC2~C6アシルである。
【0054】
本発明で使用される用語「アルコキシ」は、アルキルオキシ基を指し、好ましくは、アルコキシはC1~C10アルコキシであり、より好ましくは、アルコキシはC1~C6アルコキシであり、最も好ましくは、アルコキシはC1~C3アルコキシである。
【0055】
本発明で使用される用語「複素環」は、N、O、S等から選択されるヘテロ原子を含有する飽和又は不飽和環式基を指し、好ましくは、複素環は、任意選択的に置換されている、N、O、及びSから選択される1~6個のヘテロ原子を含有する4~10員複素環、又は任意選択的に置換されている、N、O、及びSから選択される1、2若しくは3個のヘテロ原子を含有する4~6員飽和複素環である。複素環は、「任意選択的に置換されている」について上で定義されたように、1個又は複数の置換基によって任意選択的に置換されていてもよい。
【0056】
本発明の別の実施形態は、上述のアミノ脂質化合物を含有する脂質粒子に関する。本発明の化合物は全て、それらの長い非極性残基による疎水性と、それらのアミノ基による親水性との両方を有する。この両親媒性特性を使用して、脂質粒子、例えば脂質二重層、ミセル、リポソーム等を形成できる。
【0057】
本発明の範囲内で、用語「脂質粒子」は、水溶液中のアミノ脂質化合物から作られたナノサイズの物体(脂質ナノ粒子)を意味する。これらの粒子は、とりわけ、脂質二重層小胞(リポソーム)、多層状小胞又はミセルである。
【0058】
本発明の好ましい実施形態において、前記脂質粒子は、上記アミノ脂質化合物を含有するリポソームである。本発明の範囲内で、リポソームは、水性区画を封入する脂質両親媒性(amphipathic)(両親媒性(amphiphilic))分子の二重層から構成される微小胞である。
【0059】
リポソーム形成は自発的なプロセスではない。脂質小胞は、脂質が水中に置かれたときに最初に形成され、その結果、それぞれが水分子によって分離された1つの二重層又は一連の二重層を形成する。リポソームは、水中で脂質小胞を超音波処理することによって作製できる。
【0060】
本発明の範囲内において、用語「脂質二重層」は、脂質分子の2個の層から作られた薄膜を意味する。用語「ミセル」は、液体コロイド中に分散した界面活性剤分子の凝集体を意味する。水溶液中の典型的なミセルは、水と接触すると親水性頭部領域との凝集体を形成し、ミセルの中心で疎水性単一尾部領域をキレートする。
【0061】
本発明の範囲内で、用語「細胞」は、一般的な用語を意味し、個々の細胞、組織、器官、昆虫細胞、鳥類細胞、魚類細胞、両生類細胞、哺乳動物細胞、初代細胞、連続細胞株、幹細胞及び/又は遺伝子操作された細胞、例えば、異種ポリペプチド又はタンパク質を発現する組換え細胞の培養を包含する。組換え細胞としては、例えば、異種ポリペプチド又はタンパク質、例えば、増殖因子又は血液因子を発現する細胞が挙げられる。
【0062】
好ましい実施形態において、前記脂質粒子又はリポソームは、ヘルパー脂質を更に含有する。好ましい実施形態において、前記ヘルパー脂質は非カチオン性脂質である。より好ましい実施形態において、前記ヘルパー脂質は、非カチオン性リン脂質である。本発明の範囲内で、非カチオン性脂質は、カチオン性官能基(例えば、アンモニウム基)を含有してもよいが、少なくとも分子を中和するためにアニオン性官能基を含有しなければならない。脂質分子中の全ての官能基の全体は、非カチオン性でなければならない。カチオン性アミノ脂質及び非カチオン性(中性)リン脂質の混合物からなるリポソームは、細胞への核酸送達に最も有効である。更により好ましい実施形態では、前記非カチオン性脂質はDOPE又はDSPCである。
【0063】
更に好ましい実施形態において、脂質粒子又はリポソームはステロールを更に含む。ステロールは、コレステロールと同様に、細胞膜中の天然成分である。ステロールは、粒子を安定化させ、細胞膜との統合を助けるために使用できる。
【0064】
本発明の別の実施形態において、脂質粒子又はリポソームは、生物活性剤を更に含有する。本発明の範囲内において、生物活性剤は、細胞又は宿主に導入された場合に、例えば、免疫応答又は炎症応答を刺激することによって、酵素活性を発揮することによって、又は突然変異を補完すること等によって、生物学的効果を有するものであり、生物活性剤は、とりわけ、核酸、ペプチド、タンパク質、抗体及び小分子を含む。リポソームを使用して薬物物質を脂質二重層内又はリポソームの内部水性空間のいずれかに封入する場合、用語「リポソーム薬物」が採用できる。
【0065】
最も好ましい実施形態において、生物活性剤は核酸である。別の好ましい実施形態において、前記生物活性剤は、抗悪性腫瘍薬、抗生物質、免疫調節剤、抗炎症薬、中枢神経系に作用する薬剤、ポリペプチド又はポリペプトイドからなる群から選択される一員である。
【0066】
更に別の実施形態において、脂質粒子又はリポソームは、少なくとも1種のポリエチレングリコール(PEG)-脂質を更に含有する。PEG脂質は、in vitro及びin vivoでの分解から粒子及びそれらの積み荷を保護するのに役立つ。更に、PEGはリポソーム表面上に保護層を形成し、in vivoでの循環時間を増加させる。それは、リポソーム薬物送達(PEG-リポソーム)において使用されてもよい。好ましくは、ポリエチレングリコール脂質はPEG2000-DMGである。
【0067】
生物活性剤を含有する脂質粒子又はリポソームを使用して、様々な治療剤のいずれかを細胞内に送達できる。本発明は、生物活性剤を細胞に送達するための、上記のような脂質粒子、特にリポソームの使用を包含する。
【0068】
好ましくは、前記生物活性剤は、メッセンジャーRNA(mRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、DNA、プラスミド、リボソームRNA(rRNA)、マイクロRNA(miRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、低分子阻害性RNA(siRNA)及び核内低分子RNA(snRNA)を含むがこれらに限定されない核酸である。生物活性剤は、抗悪性腫瘍薬、抗生物質、免疫調節剤、抗炎症薬、中枢神経系に作用する薬剤、抗原又はその断片、タンパク質、ペプチド、ポリペプトイド、ワクチン及び小分子又はそれらの混合物であってもよい。上記に示したように、本発明において定義されるアミノ脂質化合物を含有する脂質粒子又はリポソームは、生物活性薬剤を細胞に送達するのに適している。言及した一般的な合成方法によって合成できる多種多様な異なるアミノ脂質化合物を、リポソームに付与される特定の特徴についてスクリーニングでき、重要な特徴は、例えば、トランスフェクション効率、細胞毒性、細胞内に送達される薬剤の接着、リポソームの安定性、リポソームの大きさ等である。本方法は、特定の用途のために特に適合されたリポソームの作製を可能にする。
【0069】
例えば、脂質粒子又はリポソームは、多細胞組織又は生体をトランスフェクトするために使用されてもよい。これは、患者の新規な治療的処置の可能性を提供する。
【0070】
本発明によれば、患者は、任意の哺乳動物であってよく、好ましくは、ヒト、マウス、ラット、ブタ、ネコ、イヌ、ウマ、ヤギ、ウシ、サル及び/又はその他からなる群から選択される。最も好ましくは、患者はヒトである。
【0071】
本発明の重要な実施形態は、式(I~III)うちの1種によるアミノ脂質化合物を含有する前記脂質粒子又はリポソームの医薬としての使用である。
【0072】
特に、前記脂質粒子又はリポソームは、遺伝子治療、遺伝子ワクチン接種、アンチセンス治療又は干渉RNAによる治療において使用するために患者に投与できる。具体的な用途としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
(1)本発明の脂質粒子は、遺伝子治療のための核酸を送達できる。処置の目的を達成するために、本発明のアミノ脂質を介して外来遺伝子を標的細胞に導入して、欠陥遺伝子及び異常遺伝子によって引き起こされる疾患を矯正又は回復する。それは、遺伝子組換え等の技術的適用も含み、つまり、遺伝子導入技術を介して、患者の適切な受容体細胞に外因性遺伝子を挿入して、外因性遺伝子によって産生される産物が、特定の疾患、例えば、一般的な肺がん、胃がん、肝臓がん、食道がん、結腸がん、膵臓がん、脳がん、リンパがん、血液がん、前立腺がん等を処置できる。遺伝子編集された核酸物質は、種々の遺伝性疾患、例えば、血友病、地中海貧血症、ゴーシェ病等の処置のために導入されてもよい。
(2)本発明の脂質粒子は、ワクチン接種に使用できる。本発明の脂質粒子又はリポソームは、抗原又は抗原をコードする核酸を送達するために使用されてもよい。本発明の脂質粒子は、多数の状態の処置及び/又は予防のため、多種多様な抗原に対する免疫応答を誘発するのに使用されてもよく、このような状態は、がん、アレルギー、病原体、例えば、ウイルス、細菌、真菌、及び他の病原性生物等による毒性及び感染を含むが、これらに限定されない。
【0073】
上述の脂質粒子は、核酸導入のための薬物を調製するために使用でき、好ましくは、核酸は、RNA、メッセンジャーRNA(mRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、DNA、プラスミド、リボソームRNA(rRNA)、マイクロRNA(miRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、低分子阻害RNA(siRNA)、及び核内低分子RNA(snRNA)である。
【0074】
本発明の実施形態の目的、技術的解決策、及び利点をより明確にするために、本発明の実施形態における技術的解決策は、具体的な実施例を参照して以下で明確かつ完全に説明される。明らかに、説明される実施例は、本発明の実施形態の全てではなく一部である。本発明における実施形態に基づいて、創造的努力なしに当業者によって得られる全ての他の実施形態は、本発明の保護範囲内に入るものとする。
【実施例1】
【0075】
1-オクチルノニル8-ブロモオクタノエートの合成
【0076】
【化10】
【0077】
250mLの反応フラスコに、8-ブロモオクタン酸(22.3g、100mmol)、ヘプタデカン-9-オール(25.6g、100mmol)、及びジクロロメタン(100mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(23.0g、120mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(0.61g、5mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(25.8g、200mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で2時間反応させ、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ヘキサン:酢酸エチル=10:1~3:1)で精製して、1-オクチルノニル8-ブロモオクタノエート(41.5g、90%)を生成した。
【実施例2】
【0078】
ヘプタ-2-イニル8-ブロモオクタノエートの合成
【0079】
【化11】
【0080】
100mLの反応フラスコに、8-ブロモオクタン酸(2.23g、10mmol)、ヘプタ-2-イン-1-オール(1.12g、10mmol)、及びジクロロメタン(30mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(2.3g、12mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(0.06g、0.5mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.58g、20mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で2時間反応させ、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ヘキサン:酢酸エチル=10:1~2:1)で精製して、ヘプタ-2-イニル8-ブロモオクタノエート(3.01g、95%)を生成した。
【実施例3】
【0081】
1-オクチルノニル8-(3-ヒドロキシ-プロピルアミノ)オクタノエートの合成
【0082】
【化12】
【0083】
100mLの反応フラスコに、1-オクチルノニル8-ブロモオクタノエート(4.61g、10mmol)、3-アミノ-1-プロパノール(7.5g、100mmol)、及びエタノール(30mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.58g、20mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、1-オクチルノニル8-(3-ヒドロキシ-プロピルアミノ)オクタノエート(3.32g、73%)を生成した。
【実施例4】
【0084】
化合物1の合成
【0085】
【化13】
【0086】
100mLの反応フラスコに、1-オクチルノニル8-(3-ヒドロキシ-プロピルアミノ)オクタノエート(455mg、1mmol)、ヘプタ-2-イニル8-ブロモオクタノエート(380mg、1.2mmol)、及びアセトニトリル(20mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、炭酸カリウム(276mg、2mmol)、及びヨウ化カリウム(166mg、1mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、化合物1(560mg、81%)を生成した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: ppm 4.88 (m, 1H); 4.65 (m, 2H); 3.68-3.46 (m, 2H); 2.77-2.37 (m, 8H); 2.28 (m, 4H); 1.75-1.42 (m, 14H); 1.39-1.18 (m, 40H); 0.89 (m, 9H). ESI-MS C43H82NO5 + [M+H]+の計算値692.6, 実測値692.7
【実施例5】
【0087】
デカン-2-イン-1-イル8-ブロモオクタノエートの合成
【0088】
【化14】
【0089】
100mLの反応フラスコに、8-ブロモオクタン酸(2.23g、10mmol)、2-デシン-1-オール(1.54g、10mmol)、及びジクロロメタン(30mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(2.3g、12mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(0.06g、0.5mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.58g、20mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で2時間反応させ、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ヘキサン:酢酸エチル=10:1~2:1)で精製して、デカン-2-イン-1-イル8-ブロモオクタノエート(3.3g、92%)を生成した。
【実施例6】
【0090】
化合物4の合成
【0091】
【化15】
【0092】
100mLの反応フラスコに、1-オクチルノニル8-(3-ヒドロキシ-プロピルアミノ)オクタノエート(455mg、1mmol)、デカン-2-イン-1-イル8-ブロモオクタノエート(380mg、1.2mmol)、及びアセトニトリル(20mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、炭酸カリウム(276mg、2mmol)、及びヨウ化カリウム(166mg、1mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、化合物4(558mg、76%)を生成した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: ppm 4.87 (m, 1H); 4.68 (m, 2H); 3.64-3.42 (m, 2H); 2.79-2.38 (m, 8H); 2.27 (m, 4H); 1.76-1.43 (m, 14H); 1.41-1.16 (m, 46H); 0.88 (m, 9H). ESI-MS C46H88NO5 + [M+H]+の計算値734.7, 実測値734.7.
【実施例7】
【0093】
デカン-3-イン-1-イル8-ブロモオクタノエートの合成
【0094】
【化16】
【0095】
100mLの反応フラスコに、8-ブロモオクタン酸(2.23g、10mmol)、3-デシン-1-オール(1.54g、10mmol)、及びジクロロメタン(30mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(2.3g、12mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(0.06g、0.5mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.58g、20mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で2時間反応させ、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ヘキサン:酢酸エチル=10:1~2:1)で精製して、デカン-3-イン-1-イル8-ブロモオクタノエート(3.2g、89%)を生成した。
【実施例8】
【0096】
化合物7の合成
【0097】
【化17】
【0098】
100mLの反応フラスコに、1-オクチルノニル8-(3-ヒドロキシ-プロピルアミノ)オクタノエート(455mg、1mmol)、デカン-3-イン-1-イル8-ブロモオクタノエート(380mg、1.2mmol)、及びアセトニトリル(20mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、炭酸カリウム(276mg、2mmol)、及びヨウ化カリウム(166mg、1mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、化合物7(558mg、76%)を生成した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: ppm 4.89 (m, 1H); 4.67 (m, 2H); 3.66-3.43 (m, 2H); 2.78-2.36 (m, 10H); 2.28 (m, 4H); 1.77-1.45 (m, 14H); 1.40-1.15 (m, 44H); 0.89 (m, 9H). ESI-MS C46H88NO5 + [M+H]+の計算値734.7, 実測値734.8.
【実施例9】
【0099】
1-オクチルノニル8-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)オクタノエートの合成
【0100】
【化18】
【0101】
100mLの反応フラスコに、1-オクチルノニル8-ブロモオクタノエート(4.61g、10mmol)、2-アミノ-1-エタノール(6.1g、100mmol)、及びエタノール(30mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.58g、20mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、1-オクチルノニル8-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)オクタノエート(3.35g、76%)を生成した。
【実施例10】
【0102】
化合物14の合成
【0103】
【化19】
【0104】
100mLの反応フラスコに、1-オクチルノニル8-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)オクタノエート(442mg、1mmol)、デカン-3-イン-1-イル8-ブロモオクタノエート(380mg、1.2mmol)、及びアセトニトリル(20mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、炭酸カリウム(276mg、2mmol)、及びヨウ化カリウム(166mg、1mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、化合物14(511mg、71%)を生成した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: ppm 4.89 (m, 1H); 4.67 (m, 2H); 3.66-3.43 (m, 2H); 2.78-2.36 (m, 10H); 2.28 (m, 4H); 1.77-1.45 (m, 14H); 1.40-1.15 (m, 42H); 0.89 (m, 9H). ESI-MS C45H86NO5 + [M+H]+の計算値720.7, 実測値720.8.
【実施例11】
【0105】
4-ノニン-1-イル8-ブロモオクタノエートの合成
【0106】
【化20】
【0107】
100mLの反応フラスコに、8-ブロモオクタン酸(2.23g、10mmol)、4-ノニン-1-オール(1.4g、10mmol)、及びジクロロメタン(30mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(2.3g、12mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(0.06g、0.5mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.58g、20mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で2時間反応させ、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ヘキサン:酢酸エチル=10:1~2:1)で精製して、4-ノニン-1-イル8-ブロモオクタノエート(3.0g、88%)を生成した。
【実施例12】
【0108】
1-オクチルノニル8-((4-ヒドロキシルブチル)アミノ)オクタノエートの合成
【0109】
【化21】
【0110】
100mLの反応フラスコに、1-オクチルノニル8-ブロモオクタノエート(4.61g、10mmol)、4-アミノ-1-ブタノール(8.9g、100mmol)、及びエタノール(30mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.58g、20mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、1-オクチルノニル8-((4-ヒドロキシルブチル)アミノ)オクタノエート(3.71g、79%)を生成した。
【実施例13】
【0111】
化合物17の合成
【0112】
【化22】
【0113】
100mLの反応フラスコに、1-オクチルノニル8-((4-ヒドロキシルブチル)アミノ)オクタノエート(442mg、1mmol)、4-ノニン-1-イル8-ブロモオクタノエート(414mg、1.2mmol)、及びアセトニトリル(20mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、炭酸カリウム(276mg、2mmol)、及びヨウ化カリウム(166mg、1mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、化合物17(550mg、75%)を生成した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: ppm 4.91 (m, 1H); 4.68 (m, 2H); 3.68-3.44 (m, 2H); 2.79-2.36 (m, 10H); 2.29 (m, 4H); 1.78-1.46 (m, 14H); 1.42-1.16 (m, 44H); 0.89 (m, 9H). ESI-MS C46H88NO5 + [M+H]+の計算値734.7, 実測値734.7.
【実施例14】
【0114】
1-オクチルノニル8-((3-ヒドロキシシクロブチル)アミノ)オクタノエートの合成
【0115】
【化23】
【0116】
100mLの反応フラスコに、1-オクチルノニル8-ブロモオクタノエート(4.61g、10mmol)、3-アミノシクロブタノール(8.7g、100mmol)、及びエタノール(30mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.58g、20mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、1-オクチルノニル8-((3-ヒドロキシシクロブチル)アミノ)オクタノエート(3.23g、69%)を生成した。
【実施例15】
【0117】
化合物18の合成
【0118】
【化24】
【0119】
100mLの反応フラスコに、1-オクチルノニル8-((3-ヒドロキシシクロブチル)アミノ)オクタノエート(468mg、1mmol)、4-ノニン-1-イル8-ブロモオクタノエート(414mg、1.2mmol)、及びアセトニトリル(20mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、炭酸カリウム(276mg、2mmol)、及びヨウ化カリウム(166mg、1mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、化合物18(600mg、82%)を生成した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: ppm 4.90 (m, 1H); 4.68 (m, 2H); 3.68-3.44 (m, 1H); 2.79-2.36 (m, 10H); 2.29 (m, 3H); 1.78-1.46 (m, 14H); 1.42-1.16 (m, 44H); 0.89 (m, 9H). ESI-MS C46H86NO5 + [M+H]+の計算値732.7, 実測値732.7.
【実施例16】
【0120】
4-ノニン-1-イル5-ブロモペンタノエートの合成
【0121】
【化25】
【0122】
100mLの反応フラスコに、5-ブロモペンタン酸(1.81g、10mmol)、4-ノニン-1-オール(1.4g、10mmol)、及びジクロロメタン(30mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(2.3g、12mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(0.06g、0.5mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.58g、20mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で2時間反応させ、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ヘキサン:酢酸エチル=10:1~2:1)で精製して、4-ノニン-1-イル5-ブロモペンタノエート(2.7g、89%)を生成した。
【実施例17】
【0123】
化合物22の合成
【0124】
【化26】
【0125】
100mLの反応フラスコに、1-オクチルノニル8-((4-ヒドロキシルブチル)アミノ)オクタノエート(442mg、1mmol)、4-ノニン-1-イル5-ブロモペンタノエート(364mg、1.2mmol)、及びアセトニトリル(20mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、炭酸カリウム(276mg、2mmol)、ヨウ化カリウム(166mg、1mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いでフラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、化合物22(581mg、84%)を生成した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: ppm 4.91 (m, 1H); 4.68 (m, 2H); 3.68-3.44 (m, 2H); 2.79-2.36 (m, 10H); 2.29 (m, 4H); 1.78-1.46 (m, 14H); 1.42-1.16 (m, 38H); 0.89 (m, 9H). ESI-MS C43H82NO5 + [M+H]+の計算値692.6, 実測値692.7.
【実施例18】
【0126】
4-ノニン-1-イル10-ブロモデカノエートの合成
【0127】
【化27】
【0128】
100mLの反応フラスコに、10-ブロモデカン酸(2.51g、10mmol)、4-ノニン-1-オール(1.4g、10mmol)、及びジクロロメタン(30mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(2.3g、12mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(0.06g、0.5mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.58g、20mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で2時間反応させ、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ヘキサン:酢酸エチル=10:1~2:1)で精製して、4-ノニン-1-イル10-ブロモデカノエート(2.95g、79%)を生成した。
【実施例19】
【0129】
化合物23の合成
【0130】
【化28】
【0131】
100mLの反応フラスコに、1-オクチルノニル8-((2-ヒドロキシルブチル)アミノ)オクタノエート(442mg、1mmol)、4-ノニン-1-イル10-ブロモデカノエート(373mg、1.2mmol)、及びアセトニトリル(20mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、炭酸カリウム(276mg、2mmol)、及びヨウ化カリウム(166mg、1mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、化合物23(648mg、85%)を生成した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: ppm 4.90 (m, 1H); 4.67 (m, 2H); 3.69-3.43 (m, 2H); 2.76-2.34 (m, 10H); 2.28 (m, 4H); 1.79-1.47 (m, 14H); 1.44-1.18 (m, 48H); 0.88 (m, 9H). ESI-MS C48H92NO5 + [M+H]+の計算値762.7, 実測値762.7.
【実施例20】
【0132】
4-ノニン-1-イル14-ブロモテトラデカノエートの合成
【0133】
【化29】
【0134】
100mLの反応フラスコに、14-ブロモテトラデカン酸(3.07g、10mmol)、4-ノニン-1-オール(1.4g、10mmol)、及びジクロロメタン(30mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(2.3g、12mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(0.06g、0.5mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.58g、20mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で2時間反応させ、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ヘキサン:酢酸エチル=10:1~2:1)で精製して、4-ノニン-1-イル14-ブロモテトラデカノエート(3.51g、82%)を生成した。
【実施例21】
【0135】
化合物24の合成
【0136】
【化30】
【0137】
100mLの反応フラスコに、1-オクチルノニル8-((4-ヒドロキシルブチル)アミノ)オクタノエート(442mg、1mmol)、4-ノニン-1-イル14-ブロモテトラデカノエート(429mg、1.2mmol)、及びアセトニトリル(20mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、炭酸カリウム(276mg、2mmol)、及びヨウ化カリウム(166mg、1mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、化合物24(654mg、80%)を生成した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: ppm 4.90 (m, 1H); 4.67 (m, 2H); 3.69-3.43 (m, 2H); 2.76-2.34 (m, 10H); 2.28 (m, 4H); 1.79-1.47 (m, 14H); 1.44-1.18 (m, 56H); 0.88 (m, 9H). ESI-MS C52H100NO5 + [M+H]+の計算値818.7, 実測値818.8.
【実施例22】
【0138】
ノナ-5-イル8-ブロモオクタノエートの合成
【0139】
【化31】
【0140】
250mLの反応フラスコに、8-ブロモオクタン酸(22.3g、100mmol)、5-ノナノール(14.4g、100mmol)、及びジクロロメタン(100mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(23.0g、120mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(0.61g、5mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(25.8g、200mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で2時間反応させ、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、次いでフラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ヘキサン:酢酸エチル=10:1~3:1)で精製して、ノナ-5-イル8-ブロモオクタノエート(27.9g、82%)を生成した。
【実施例23】
【0141】
ノナ-5-イル8-((3-ヒドロキシルプロピル)アミノ)オクタノエートの合成
【0142】
【化32】
【0143】
100mLの反応フラスコに、ノナ-5-イル8-ブロモオクタノエート(3.49g、10mmol)、3-アミノ-1-プロパノール(7.5g、100mmol)、及びエタノール(30mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.58g、20mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、ノナ-5-イル8-((3-ヒドロキシルプロピル)アミノ)オクタノエート(2.57g、75%)を生成した。
【実施例24】
【0144】
化合物25の合成
【0145】
【化33】
【0146】
100mLの反応フラスコに、ノナ-5-イル8-((3-ヒドロキシルプロピル)アミノ)オクタノエート(343mg、1mmol)、4-ノニン-1-イル14-ブロモテトラデカノエート(429mg、1.2mmol)、及びアセトニトリル(20mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、炭酸カリウム(276mg、2mmol)、及びヨウ化カリウム(166mg、1mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いでフラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、化合物25(574mg、83%)を生成した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: ppm 4.90 (m, 1H); 4.67 (m, 2H); 3.69-3.43 (m, 2H); 2.76-2.34 (m, 10H); 2.28 (m, 4H); 1.79-1.47 (m, 14H); 1.44-1.18 (m, 38H); 0.88 (m, 9H). ESI-MS C43H82NO5 + [M+H]+の計算値692.6, 実測値692.7.
【実施例25】
【0147】
ウンデカン-5-イル8-ブロモオクタノエートの合成
【0148】
【化34】
【0149】
250mLの反応フラスコに、8-ブロモオクタン酸(22.3g、100mmol)、ウンデカン-5-オール(17.2g、100mmol)、及びジクロロメタン(100mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(23.0g、120mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(0.61g、5mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(25.8g、200mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で2時間反応させ、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ヘキサン:酢酸エチル=10:1~3:1)で精製して、ウンデカン-5-イル8-ブロモオクタノエート(29.7g、79%)を生成した。
【実施例26】
【0150】
1-ブチルヘプチル8-(3-ヒドロキシ-プロピルアミノ)-オクタノエートの合成
【0151】
【化35】
【0152】
100mLの反応フラスコに、1-ブチルヘプチル8-ブロモオクタノエート(3.49g、10mmol)、3-アミノ-1-プロパノール(7.5g、100mmol)、及びエタノール(30mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.58g、20mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、1-ブチルヘプチル8-(3-ヒドロキシ-プロピルアミノ)-オクタノエート(2.93g、79%)を生成した。
【実施例27】
【0153】
化合物26の合成
【0154】
【化36】
【0155】
100mLの反応フラスコに、1-ブチルヘプチル8-(3-ヒドロキシ-プロピルアミノ)-オクタノエート(371mg、1mmol)、4-ノニン-1-イル14-ブロモテトラデカノエート(429mg、1.2mmol)、及びアセトニトリル(20mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、炭酸カリウム(276mg、2mmol)、及びヨウ化カリウム(166mg、1mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、化合物26(583mg、81%)を生成した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: ppm 4.90 (m, 1H); 4.67 (m, 2H); 3.69-3.43 (m, 2H); 2.76-2.34 (m, 10H); 2.28 (m, 4H); 1.79-1.47 (m, 14H); 1.44-1.18 (m, 42H); 0.88 (m, 9H). ESI-MS C45H86NO5 + [M+H]+の計算値720.7, 実測値720.8.
【実施例28】
【0156】
1-オクチルウンデシル8-ブロモオクタノエートの合成
【0157】
【化37】
【0158】
250mLの反応フラスコに、8-ブロモオクタン酸(22.3g、100mmol)、9-ノナデカノール(28.4g、100mmol)、及びジクロロメタン(100mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(23.0g、120mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(0.61g、5mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(25.8g、200mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で2時間反応させ、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ヘキサン:酢酸エチル=10:1~3:1)で精製して、1-オクチルウンデシル8-ブロモオクタノエート(38.1g、79%)を生成した。
【実施例29】
【0159】
1-オクチルウンデシル8-((3-ヒドロキシルプロピル)アミノ)オクタノエートの合成
【0160】
【化38】
【0161】
100mLの反応フラスコに、1-オクチルウンデシル8-ブロモオクタノエート(4.89g、10mmol)、3-アミノ-1-プロパノール(7.5g、100mmol)、及びエタノール(30mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.58g、20mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、1-オクチルウンデシル8-((3-ヒドロキシルプロピル)アミノ)オクタノエート(3.97g、72%)を生成した。
【実施例30】
【0162】
化合物27の合成
【0163】
【化39】
【0164】
100mLの反応フラスコに、1-オクチルウンデシル8-((3-ヒドロキシルプロピル)アミノ)オクタノエート(371mg、1mmol)、4-ノニン-1-イル5-ブロモペンタノエート(364mg、1.2mmol)、及びアセトニトリル(20mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、炭酸カリウム(276mg、2mmol)、及びヨウ化カリウム(166mg、1mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、化合物27(536mg、76%)を生成した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: ppm 4.90 (m, 1H); 4.67 (m, 2H); 3.69-3.43 (m, 2H); 2.76-2.34 (m, 10H); 2.28 (m, 4H); 1.79-1.47 (m, 14H); 1.44-1.18 (m, 40H); 0.88 (m, 9H). ESI-MS C44H84NO5 + [M+H]+の計算値706.6, 実測値706.6.
【実施例31】
【0165】
2-ヘキシルデシル8-ブロモオクタノエートの合成
【0166】
【化40】
【0167】
250mLの反応フラスコに、8-ブロモオクタン酸(22.3g、100mmol)、2-ヘキシルデカン-1-オール(24.2g、100mmol)、及びジクロロメタン(100mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(23.0g、120mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(0.61g、5mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(25.8g、200mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で2時間反応させ、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ヘキサン:酢酸エチル=10:1~3:1)で精製して、2-ヘキシルデシル8-ブロモオクタノエート(38.1g、79%)を生成した。
【実施例32】
【0168】
2-ヘキシルデシル8-((3-ヒドロキシルプロピル)アミノ)オクタノエートの合成
【0169】
【化41】
【0170】
100mLの反応フラスコに、2-ヘキシルデシル8-ブロモオクタノエート(4.89g、10mmol)、3-アミノ-1-プロパノール(7.5g、100mmol)、及びエタノール(30mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.58g、20mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、2-ヘキシルデシル8-((3-ヒドロキシルプロピル)アミノ)オクタノエート(3.35g、76%)を生成した。
【実施例33】
【0171】
化合物28の合成
【0172】
【化42】
【0173】
100mLの反応フラスコに、2-ヘキシルデシル8-((3-ヒドロキシルプロピル)アミノ)オクタノエート(441mg、1mmol)、4-ノニン-1-イル5-ブロモペンタノエート(364mg、1.2mmol)、及びアセトニトリル(20mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、炭酸カリウム(276mg、2mmol)、及びヨウ化カリウム(166mg、1mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、化合物28(471mg、71%)を生成した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: ppm 4.90 (m, 1H); 4.67 (m, 2H); 3.69-3.43 (m, 2H); 2.76-2.34 (m, 10H); 2.28 (m, 4H); 1.79-1.47 (m, 14H); 1.44-1.18 (m, 34H); 0.88 (m, 9H). ESI-MS C41H78NO5 + [M+H]+の計算値664.6, 実測値664.6.
【実施例34】
【0174】
7-ヒドロキシヘプチル2-ヘキシルデカノエートの合成
【0175】
【化43】
【0176】
250mLの反応フラスコに、2-n-ヘキシルデカン酸(25.6g、100mmol)、1,7-ヘプタンジオール(66.0g、0.5mol)、及びジクロロメタン(150mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、ジシクロヘキシルカルボジイミド(20.6g、100mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.61g、5mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で2時間反応させ、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ヘキサン:酢酸エチル=5:1~1:1)で精製して、7-ヒドロキシヘプチル2-ヘキシルデカノエート(22.6g、61%)を生成した。
【実施例35】
【0177】
ヘプチル7-((3-ヒドロキシルプロピル)アミノ)2-ヘキシルデカノエートの合成
【0178】
【化44】
【0179】
250mLの反応フラスコに、7-ヒドロキシヘプチル2-ヘキシルデカノエート(3.7g、10mmol)、及びジクロロメタン(100mL)、及びデス-マーチンペルヨージナン(5.09g、12mmol)を連続して加えた。混合物を室温で12時間撹拌しながら反応させ、飽和重炭酸ナトリウム溶液で3回洗浄し、水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤を濾過により除去し、ジクロロメタン(10mL)で洗浄した。有機相を合わせ、続いてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(3.18g、15mmol)を加え、次いで、3-アミノ-1-プロパノール(7.5g、100mmol)を加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させ、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、ヘプチル7-((3-ヒドロキシルプロピル)アミノ)2-ヘキシルデカノエート(3.03g、71%)を生成した。
【実施例36】
【0180】
7-ブロモヘプチルウンデカ-2-イノエートの合成
【0181】
【化45】
【0182】
250mLの反応フラスコに、8-ブロモヘプタノール(19.5g、100mmol)、2-ウンデシン酸(18.2g、100mmol)、及びジクロロメタン(100mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(23.0g、120mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(0.61g、5mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(25.8g、200mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で2時間反応させ、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ヘキサン:酢酸エチル=10:1~3:1)で精製して、7-ブロモヘプチルウンデカ-2-イノエート(25.4g、71%)を生成した。
【実施例37】
【0183】
化合物29の合成
【0184】
【化46】
【0185】
100mLの反応フラスコに、ヘプチル7-((3-ヒドロキシルプロピル)アミノ)2-ヘキシルデカノエート(427mg、1mmol)、7-ブロモヘプチルウンデカ-2-イノエート(431mg、1.2mmol)、及びアセトニトリル(20mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、炭酸カリウム(276mg、2mmol)、及びヨウ化カリウム(166mg、1mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いでフラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、化合物29(454mg、63%)を生成した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: ppm 4.88 (m, 4H); 3.67-3.43 (m, 2H); 2.76-2.14 (m, 9H); 1.79-1.47 (m, 12H); 1.44-1.18 (m, 48H); 0.89 (m, 9H). ESI-MS C45H86NO5 + [M+H]+の計算値720.7, 実測値720.8.
【実施例38】
【0186】
1-オクチルノニル8-((3-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノ)オクタノエートの合成
【0187】
【化47】
【0188】
100mLの反応フラスコに、1-オクチルノニル8-ブロモオクタノエート(4.61g、10mmol)、N,N-ジメチルプロピレンジアミン(8.9g、100mmol)、及びエタノール(30mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.58g、20mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、1-オクチルノニル8-((3-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノ)オクタノエート(3.62g、75%)を生成した。
【実施例39】
【0189】
化合物31の合成
【0190】
【化48】
【0191】
100mLの反応フラスコに、1-オクチルノニル8-((3-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノ)オクタノエート(482mg、1mmol)、4-ノニン-1-イル8-ブロモオクタノエート(414mg、1.2mmol)、及びアセトニトリル(20mL)を連続して加えた。混合物を撹拌し、溶解した。次いで、炭酸カリウム(276mg、2mmol)、及びヨウ化カリウム(166mg、1mmol)を更に加えた。得られた混合物を室温で24時間反応させた後、ジクロロメタン(100mL)を加え、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム(ジクロロメタン:メタノール=20:1~5:1)で精製して、化合物31(537mg、72%)を生成した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: ppm 4.91 (m, 1H); 4.68 (m, 2H); 2.79-2.36 (m, 20H); 2.29 (m, 4H); 1.78-1.46 (m, 14H); 1.42-1.16 (m, 42H); 0.89 (m, 9H). ESI-MS C47H91N2O4 + [M+H]+の計算値747.7, 実測値747.8.
【実施例40】
【0192】
アミノ脂質化合物から調製された脂質ナノ粒子のin vivoにおけるルシフェラーゼmRNA送達性能の評価
脂質ナノ粒子の調製:
調製方法I:本発明に記載のアミノ脂質化合物と、DOPE、コレステロール、PEG2000-DMGとを、45:10:42.5:2.5のモル比で無水エタノールに混合溶解した。2つのマイクロインジェクションポンプを使用し、エタノール溶液の酢酸ナトリウム溶液(50mM、pH=4.0)に対する比が1:3になるように制御した。脂質ナノ粒子の粗溶液をマイクロ流路チップで調製し、次いで、透析カセット(Fisher社、MWCO 20,000)を使用して、4℃の制御温度で、1XPBSで6時間透析し、使用前に0.22μmの微孔性フィルター膜で濾過した。アミノ脂質化合物のルシフェラーゼmRNA(Fluc mRNA)に対する質量比は、約10:1であった。投与経路は、皮下及び筋肉内注射を含んだ。
【0193】
調製方法II:アミノ脂質化合物のDSPC、コレステロール、PEG2000-DMGに対するモル比は50:10:38.5:1.5であり、調製方法は調製方法Iと同一であった。投与経路は尾静脈投与であった。
【0194】
動物の準備:約20gの体重を有する6週齢の雄BALB/cマウスを選択し、SPFグレードの給餌室で給餌した。動物実験は、国家保健機関のガイドライン及び動物倫理の要件に従って厳密に行った。
【0195】
in vivo送達:1群当たり9匹のマウスを無作為に選択し、脂質ナノ粒子を0.5mg/kgの用量で3つの投与経路:皮下、筋肉内、及び尾静脈によってそれぞれ注射した(1投与経路当たり3匹の動物)。6時間後、200μLの10mg/mLカリウムD-フルオレセインを、尾静脈を介して、各マウスに注射し、10分後、マウスをin vivoイメージングシステム(IVIS-200、Xenogen社)の下に置き、各マウスの総蛍光強度を観察し、写真撮影によって記録した。代表的なアミノ脂質化合物の3つの投与経路によって送達されたFluc mRNAの発現強度をTable 1~3(表2~4)に示した。DLin-MC3を対照として使用した。アルキニル基の導入を伴わないアミノ脂質化合物(36、37)及びそれらに対応する、アルキニル基の導入を伴うアミノ脂質化合物(17、31)のin vivo送達研究において、アルキニル基の導入後の送達能力は、著しく増強された。
【0196】
【表2A】
【0197】
【表2B】
【0198】
【表2C】
【0199】
【表3A】
【0200】
【表3B】
【0201】
【表3C】
【0202】
【表4A】
【0203】
【表4B】
【0204】
略語リスト
DNA:デオキシリボ核酸。
RNA:リボ核酸
DOPE:ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン
DSPC:ジステアロイルホスファチジルコリン
PEG2000-DMG:1-(モノメトキシポリエチレングリコール)-2,3ジミリストイルグリセロール。
KD:キロダルトン
PBS:リン酸緩衝液
DLin-MC3:(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコント-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(N,N-ジメチルアミノ)ブタノエート。