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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】置換アクリレート化合物の製造
(51)【国際特許分類】
   C07C 67/30 20060101AFI20241202BHJP
   C07C 69/736 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
C07C67/30
C07C69/736
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023513453
(86)(22)【出願日】2021-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 CN2021114070
(87)【国際公開番号】W WO2022042482
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】202010856857.9
(32)【優先日】2020-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519217319
【氏名又は名称】華領医薬技術(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hua Medicine (Shanghai) Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲シェ▼ ▲勁▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 力
(72)【発明者】
【氏名】呂 光▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ジン▼ 向▲樂▼
(72)【発明者】
【氏名】夏 立振
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲軍▼
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-227655(JP,A)
【文献】特開昭62-045549(JP,A)
【文献】国際公開第2011/011277(WO,A1)
【文献】特表2011-517692(JP,A)
【文献】特開平04-356469(JP,A)
【文献】XU, Z. ET AL,Copper-Catalyzed Regio- and Stereoselective O-Arylation of Enolates,Organic Letters,2014年,16(13),3436-3439
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 67/30
C07C 69/736
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物の製造方法であって、一般式(II)の化合物を、塩基の存在下で一般式(III)の化合物と反応させることを含み、
【化1】


式中、
環Aは、C6~10アリール又は5~10員環ヘテロアリールであり、
Xは、Sであり、
、C 1~6アルキル、及び1~6ハロアルキルから選択され、
は、Hであり
は、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、-C0~6アルキレン-C3~7シクロアルキル、-C0~6アルキレン-3~8員環ヘテロシクリル、-C0~6アルキレン-C6~10アリール、及び-C0~6アルキレン-5~10員環ヘテロアリールから選択され、前記基は、無置換であるか、又は独立してm個のR’基で置換され、
は、C1~20アルキル、C1~6ハロアルキル、-OR、-NR、C3~7シクロアルキル、3~8員環ヘテロシクリル、C6~10アリール、及び5~10員環ヘテロアリールから選択され、前記基は、無置換であるか、又は独立してm’個のR’’基で置換され、
Rは、H、ハロゲン、-O-C1~6アルキル、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルから選択され、
nは、0、1、2、3、4、又は5であり、
R’及びR’’は、独立して、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-NR
C(O)R、C1~20アルキル、C1~6ハロアルキル、-O-C1~6アルキル、及びフェニルから選択され、
mは、1、2、3、4、又は5であり、
m’は、1、2、3、4、又は5であり、
及びRは、独立して、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C3~7シクロアルキル、3~8員環ヘテロシクリル、C6~10アリール、及び5~10員環ヘテロアリールから選択され、又はR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、3~8員環ヘテロシクリル若しくは5~10員環ヘテロアリールを形成する、
方法。
【請求項2】
が、無置換であるか若しくは独立してm’個のR’’基で置換されているC6~10アリール又は5~10員環ヘテロアリールである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
が、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、2-ブロモフェニル、3-ブロモフェニル、4-ブロモフェニル、2-フルオロフェニル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、2,6-ジクロロフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、3-シアノフェニル、4-シアノフェニル、2-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル、2-メチルフェニル、4-メチルフェニル、4-プロピルフェニル、4-t-ブチルフェニル、2,5-ジメチルフェニル、メシチル、2,4,6-トリイソプロピルフェニル、2-ドデシルフェニル、3-ドデシルフェニル、4-ドデシルフェニル、2-(トリフルオロメチル)フェニル、3-(トリフルオロメチル)フェニル、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル、4-メトキシフェニル、N,N-ジメチルアミノフェニル、4-アセチルアミノフェニル、4-ビフェニル、チエニル、及び5-ブロモチエニルから選択され、好ましくは、Rが、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-クロロフェニル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、4-ニトロフェニル、2-メチルフェニル、4-プロピルフェニル、4-t-ブチルフェニル、2,5-ジメチルフェニル、2,4,6-トリイソプロピルフェニル、2-ドデシルフェニル、3-ドデシルフェニル、4-ドデシルフェニル、4-メトキシフェニル、4-アセチルアミノフェニル、4-メチルフェニル、及びメシチルから選択され、より好ましくは、Rが、フェニル、4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、及びメシチルから選択される、請求項に記載の方法。
【請求項4】
が、無置換であるか若しくは独立してm’個のR’’基で置換されているC1~12アルキル、-OR、-NR、C3~7シクロアルキル、又は3~8員環ヘテロシクリルである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
が、N,N-ジメチルアミノ、メチル、エチル、ブチル、ドデシル、メトキシ、エトキシ、及びシクロプロピルから選択される、請求項に記載の方法。
【請求項6】
環Aが、フェニル、ナフチル、又はチエニルであり、好ましくは、フェニルである、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
Rが、H、ハロゲン、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり、好ましくは、Rが、H又はハロゲンである、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
【化2】

が、フェニル、ナフタレン-1-イル、ナフタレン-2-イル、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、2-ブロモフェニル、3-ブロモフェニル、4-ブロモフェニル、2,3-ジクロロフェニル、2,4-ジクロロフェニル、2,5-ジクロロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、2,3,5-トリクロロフェニル、4-イソプロピルフェニル、及び4-t-ブチルフェニルから選択され、好ましくは、
【化3】


が、2-クロロフェニルである、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
が、メチルなどのC1~6アルキルから選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
が、H、-CH、-CHCH、-CH(CH、-C(CH、-CHCHCH、フェニル、又は-CH-フェニルであり、好ましくは、Rが、-CH、-CHCH、-C(CH、又は-CH-フェニルである、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記塩基が、無機塩基及び有機塩基から選択され、好ましくは、前記無機塩基が、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、水酸化物、及び水素化物、例えばLiOH、NaOH、KOH、LiCO、NaCO、KCO、CsCO、NaPO、KPO、KHPO、KHPO、及びNaH、から選択され、好ましくは、前記有機塩基が、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のアルコキシド、並びに有機アミンから選択される、請求項1~1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記有機塩基が、NaOMe、KOMe、NaOEt、KOEt、NaOtBu、KOtBu、トリエチルアミン、DBU、DIPEA、DABCO、及びDMAPから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記反応が、水、アルカン、トルエン、エーテル、エステル、アルコール、ハロゲン化炭化水素、ケトン、アミド、スルホン、スルホキシド、ニトリル、及びこれらの混合物から選択される溶媒の存在下で行われる、請求項1~1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記反応が、水、n-ヘプタン、トルエン、THF、MTBE、メチルテトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、アセトン、2-ブタノン、DMF、DMA、NMP、DMSO、及びアセトニトリル、及びこれらの混合物から選択される溶媒の存在下で行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
反応温度が、室温から溶媒の還流温度まで、好ましくは、室温から前記溶媒の還流温度までかつ40~90℃、より好ましくは、室温から前記溶媒の還流温度までかつ50~80℃である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記一般式(II)の化合物前記一般式(III)の化合物モル比が、1:(0.7~3)、好ましくは、1:(0.7~1.5)、より好ましくは、1:(1~1.2)、さらに好ましくは、1:1、1:1.05、1:1.1、1:1.15、又は1:1.2である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記一般式(II)の化合物前記塩基モル比が、1:(1~5)、好ましくは、1:(2~4)、より好ましくは、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9、又は1:3である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2020年8月24日に出願された中国特許出願公開第202010856857.9号の優先権を主張するものであり、その開示内容は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、一般式(I)の置換アクリレート化合物を製造する合成方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般式(I)の置換アクリレート化合物は、一般的に用いられる医薬中間体化合物である。
【化1】
【0004】
先行技術には、一般式(I)の化合物を製造する多くの方法が存在するが、それらは一般に、低い収率、金属触媒を用いる必要性、低い安全性、高価な原材料などの欠点を有する。
【0005】
例えば、国際公開第2013096771(A1)号は、金属触媒を用いない以下のような反応を開示しており、これは、化合物29aを2,5-ジクロロフェノール、KCO、及びDMFと、120℃で2時間、収率59%で反応させることを含む(PCT公開のページ120~121にある実施例29を参照)。
【化2】
【0006】
したがって、一般式(I)の置換アクリレート化合物を、経済的に、安全に、かつ効果的に製造することが依然として一般的に求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の発明者らは、鋭意研究の結果、金属触媒を用いず、安価で容易に入手可能である原材料で実行可能であり、一般式(I)の化合物を高収率で製造できる、一般式(I)の化合物の工業的生産に適する方法を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
具体的には、1つの態様では、前記方法は、一般式(II)の化合物を、塩基の存在下で一般式(III)の化合物と反応させることを含み、
【化3】
【0009】
式中、
【0010】
環Aは、C6~10アリール又は5~10員環ヘテロアリールであり、
【0011】
Xは、S又はPであり、
【0012】
は、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C3~7シクロアルキル、及び3~8員環ヘテロシクリルから選択され、
【0013】
は、H、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルから選択され、
【0014】
は、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、-C0~6アルキレン-C3~7シクロアルキル、-C0~6アルキレン-3~8員環ヘテロシクリル、-C0~6アルキレン-C6~10アリール、及び-C0~6アルキレン-5~10員環ヘテロアリールから選択され、これらの基は、無置換であるか、又は独立してm個のR’基で置換され、
【0015】
は、C1~20アルキル、C1~6ハロアルキル、-OR、-NR、C3~7シクロアルキル、3~8員環ヘテロシクリル、C6~10アリール、及び5~10員環ヘテロアリールから選択され、これらの基は、無置換であるか、又は独立してm’個のR’’基で置換され、
【0016】
Rは、H、ハロゲン、-O-C1~6アルキル、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルから選択され、
【0017】
nは、0、1、2、3、4、又は5であり、
【0018】
R’及びR’’は、独立して、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-NRC(O)R、C1~20アルキル、C1~6ハロアルキル、-O-C1~6アルキル、及びフェニルから選択され、
【0019】
mは、1、2、3、4、又は5であり、
【0020】
m’は、1、2、3、4、又は5であり、
【0021】
及びRは、独立して、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C3~7シクロアルキル、3~8員環ヘテロシクリル、C6~10アリール、及び5~10員環ヘテロアリールから選択され、又はR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、3~8員環ヘテロシクリル若しくは5~10員環ヘテロアリールを形成する。
【0022】
別の態様では、前記方法は、金属触媒を用いない。
【0023】
別の態様では、前記方法は、本技術分野において最も一般的に用いられ、最も反応性の高い脱離基であるOTfを用いず、OTfを用いた場合と比較して反応収率を上昇させることができる。
【0024】
別の態様では、本開示は、上記で述べた方法によって製造される式(I)の化合物を提供し、
【化4】
【0025】
式中、
【0026】
環Aは、C6~10アリール又は5~10員環ヘテロアリールであり、
【0027】
は、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C3~7シクロアルキル、及び3~8員環ヘテロシクリルから選択され、
【0028】
は、H、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルから選択され、
【0029】
は、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、-C0~6アルキレン-C3~7シクロアルキル、-C0~6アルキレン-3~8員環ヘテロシクリル、-C0~6アルキレン-C6~10アリール、及び-C0~6アルキレン-5~10員環ヘテロアリールから選択され、これらの基は、無置換であるか、又は独立してm個のR’基で置換され、
【0030】
Rは、H、ハロゲン、-O-C1~6アルキル、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルから選択され、
【0031】
nは、0、1、2、3、4、又は5であり、
【0032】
R’は、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-NRC(O)R、C1~20アルキル、C1~6ハロアルキル、-O-C1~6アルキル、及びフェニルから選択され、
【0033】
mは、1、2、3、4、又は5であり、
【0034】
及びRは、独立して、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C3~7シクロアルキル、3~8員環ヘテロシクリル、C6~10アリール、及び5~10員環ヘテロアリールから選択され、又はR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、3~8員環ヘテロシクリル若しくは5~10員環ヘテロアリールを形成する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
定義
【0036】
化学的定義
【0037】
具体的な官能基及び化学的用語の定義について、以下でより詳細に述べる。
【0038】
値の範囲が列挙される場合、その範囲内の各々の値及びサブ範囲を包含することを意図している。例えば、「C1~6アルキル」は、C、C、C、C、C、C、C1~6、C1~5、C1~4、C1~3、C1~2、C2~6、C2~5、C2~4、C2~3、C3~6、C3~5、C3~4、C4~6、C4~5、及びC5~6アルキルを含むことを意図している。
【0039】
「約」の用語は、当業者によって考慮された場合に、許容される平均値の標準誤差以内に入る値を有することを意味する。例えば、「約」は、示された値の±10%又は示された値の±5%を意味する。
【0040】
「C1~20アルキル」は、1~20個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基のラジカルを意味する。いくつかの実施形態では、別の選択肢はC1~12アルキルである。いくつかの実施形態では、別の選択肢はC1~6アルキルである。いくつかの実施形態では、別の選択肢はC1~4アルキルである。C1~6アルキルの例としては、メチル(C)、エチル(C)、n-プロピル(C)、iso-プロピル(C)、n-ブチル(C)、tert-ブチル(C)、sec-ブチル(C)、iso-ブチル(C)、n-ペンチル(C)、3-ペンチル(C)、ペンチル(C)、ネオペンチル(C)、3-メチル-2-ブチル(C)、tert-ペンチル(C)、及びn-ヘキシル(C)が挙げられる。「C1~6アルキル」の用語はまた、1又は複数の(例:1、2、3、又は4個の)炭素原子がヘテロ原子(例:酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、リン)で置換されているヘテロアルキルも含む。アルキル基は、所望に応じて、1又は複数の置換基で、例えば1~5つの置換基、1~3つの置換基、又は1つの置換基で置換されていてもよい。アルキルの従来の略語としては、Me(-CH)、Et(-CHCH)、iPr(-CH(CH)、nPr(-CHCHCH)、nBu(-CHCHCHCH)、又はiBu(-CHCH(CH)が挙げられる。
【0041】
「C2~6アルケニル」は、2~6個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基のラジカルを意味する。いくつかの実施形態では、別の選択肢はC2~4アルケニルである。C2~6アルケニルの例としては、ビ
ニル(C)、1-プロペニル(C)、2-プロペニル(C)、1-ブテニル(C)、2-ブテニル(C)、ブタジエニル(C)、ペンテニル(C)、ペンタジエニル(C)、ヘキセニル(C)などが挙げられる。「C2~6アルケニル」の用語はまた、1又は複数の(例:1、2、3、又は4個の)炭素原子がヘテロ原子(例:酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、リン)で置換されているヘテロアルケニルも含む。アルケニル基は、所望に応じて、1又は複数の置換基で、例えば1~5つの置換基、1~3つの置換基、又は1つの置換基で置換されていてもよい。
【0042】
「C2~6アルキニル」は、2~6個の炭素原子、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合、及び所望に応じて1又は複数の炭素-炭素二重結合を有する直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基のラジカルを意味する。いくつかの実施形態では、別の選択肢はC2~4アルキニルである。C2~6アルキニルの例としては、これらに限定されるものではないが、エチニル(C)、1-プロピニル(C)、2-プロピニル(C)、1-ブチニル(C)、2-ブチニル(C)、ペンチニル(C)、ヘキシニル(C)などが挙げられる。「C2~6アルキニル」の用語はまた、1又は複数の(例:1、2、3、又は4個の)炭素原子がヘテロ原子(例:酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、リン)で置換されているヘテロアルキニルも含む。アルキニル基は、1又は複数の置換基で、例えば1~5つの置換基、1~3つの置換基、又は1つの置換基で置換されていてもよい。
【0043】
「C1~6アルキレン」は、上記で定める通りの「C1~6アルキル」の二価基、すなわち、C1~6アルキルのもう1つの水素を取り除くことによって形成される二価基を意味し、置換アルキレン又は無置換アルキレンであってよい。いくつかの実施形態では、なお別の選択肢はC1~4アルキレンである。無置換アルキレン基としては、これらに限定されるものではないが、メチレン(-CH-)、エチレン(-CHCH-)、プロピレン(-CHCHCH-)、ブチレン(-CHCHCHCH-)、ペンチレン(-CHCHCHCHCH-)、へキシレン(-CHCHCHCHCHCH-)などが挙げられる。1又は複数のアルキル(メチル)基で置換されたものなどの置換アルキレン基の例としては、これらに限定されるものではないが、置換メチレン(-CH(CH)-、-C(CH-)、置換エチレン(-CH(CH)CH-、-CHCH(CH)-、-C(CHCH-、-CHC(CH-)、置換プロピレン(-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-、-CHCHCH(CH)-、-C(CHCHCH-、-CHC(CHCH-、-CHCHC(CH-)などが挙げられる。
【0044】
「C0~6アルキレン」は、化学結合及び「C1~6アルキレン」を意味する。
【0045】
「ハロ」又は「ハロゲン」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、及びヨウ素(I)を意味する。
【0046】
したがって、「C1~6ハロアルキル」は、1又は複数のハロゲンで置換された上記の「C1~6アルキル」を意味する。いくつかの実施形態では、なお別の選択肢はC1~4ハロアルキルであり、さらに別の選択肢はC1~2ハロアルキルである。例示的なハロアルキル基としては、これらに限定されるものではないが、-CF、-CHF、-CHF、-CHFCHF、-CHCHF、-CFCF、-CCl、-CHCl、-CHCl、2,2,2-トリフルオロ-1,1-ジメチル-エチルなどが挙げられる。ハロアルキル基は、いずれかの結合可能点で、例えば1~5つの置換基、1~3つの置換基、又は1つの置換基で置換されていてもよい。
【0047】
「C3~7シクロアルキル」は、3~7個の環炭素原子を有し、ヘテロ原子は有しない非芳香族環状炭化水素基のラジカルを意味する。いくつかの実施形態では、別の選択肢はC3~5シクロアルキルである。他の実施形態では、別の選択肢はC3~6シクロアルキルである。他の実施形態では、別の選択肢はC5~6シクロアルキルである。シクロアルキルはまた、本明細書で述べるシクロアルキルが1若しくは複数のアリール又はヘテロアリール基と縮合し、その結合点がシクロアルキル環上にある環系も含み、そのような場合、炭素原子の数は、引き続きシクロアルキル系にある炭素原子の数を表している。例示的なシクロアルキル基としては、限定されるものではないが、シクロプロピル(C)、シクロプロペニル(C)、シクロブチル(C)、シクロブテニル(C)、シクロペンチル(C)、シクロペンテニル(C)、シクロヘキシル(C)、シクロヘキセニル(C)、シクロヘキサジエニル(C)、シクロヘプチル(C)、シクロヘプテニル(C)、シクロヘプタジエニル(C)、シクロヘプタトリエニル(C)などが挙げられる。シクロアルキルは、1又は複数の置換基で、例えば1~5つの置換基、1~3つの置換基、又は1つの置換基で置換されていてもよい。
【0048】
「3~8員環ヘテロシクリル」は、環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子を有する3~8員環非芳香族環系のラジカルを意味する。別の選択肢は、3~6員環ヘテロシクリルであり、これは、環炭素原子及び1~3個の環ヘテロ原子を有する3~6員環非芳香族環系のラジカルである。別の選択肢は、3~5員環ヘテロシクリルであり、これは、環炭素原子及び1~2個の環ヘテロ原子を有する3~5員環非芳香族環系のラジカルである。別
の選択肢は、4~8員環ヘテロシクリルであり、これは、環炭素原子及び1~3個の環ヘテロ原子を有する4~8員環非芳香族環系のラジカルである。なお別の選択肢は、5~6員環ヘテロシクリルであり、これは、環炭素原子及び1~3個の環ヘテロ原子を有する5~6員環非芳香族環系のラジカルである。ヘテロシクリルはまた、上記で述べたヘテロシクリルが1又は複数のシクロアルキル基と縮合し、その結合点がシクロアルキル環上にある環系、又は上記で述べたヘテロシクリルが1若しくは複数のアリール又はヘテロアリール基と縮合し、その結合点がヘテロシクリル環上にある環系も含み、そのような場合、環原子の数は、引き続きヘテロシクリル環系にある環原子の数を表している。1個のヘテロ原子を含有する例示的な3員環ヘテロシクリル基としては、これらに限定されるものではないが、アジリジニル、オキシラニル、及びチイラニル(チオレニル)が挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な4員環ヘテロシクリル基としては、これらに限定されるものではないが、アゼチジニル、オキセタニル、及びチエタニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な5員環ヘテロシクリル基としては、これらに限定されるものではないが、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチエニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリル、及びピロリル-2,5-ジオンが挙げられる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な5員環ヘテロシクリル基としては、これらに限定されるものではないが、ジオキソラニル、オキサスルフラニル、ジスルフラニル、及びオキサゾリジン-2-オンが挙げられる。3個のヘテロ原子を含有する例示的な5員環ヘテロシクリル基としては、これらに限定されるものではないが、トリアゾリニル、オキサジアゾリニル、及びチアジアゾリニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な6員環ヘテロシクリル基としては、これらに限定されるものではないが、ピペリジル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジル、及びチアニルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な6員環ヘテロシクリル基としては、これらに限定されるものではないが、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニル、及びジオキサニルが挙げられる。3個のヘテロ原子を含有する例示的な6員環ヘテロシクリル基としては、これらに限定されるものではないが、トリアジナニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な7員環ヘテロシクリル基としては、これらに限定されるものではないが、アゼパニル、オキセパニル、及びチエパニルが挙げられる。Cアリールと縮合した例示的な5員環ヘテロシクリル基(本明細書において5,6-二環式ヘテロシクリルとも称する)としては、これらに限定されるものではないが、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリノニルなどが挙げられる。Cアリールと縮合した例示的な6員環ヘテロシクリル基(本明細書において6,6-二環式ヘテロシクリルとも称する)としては、これらに限定されるものではないが、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニルなどが挙げられる。ヘテロシクリルは、1又は複数の置換基で、例えば1~5つの置換基、1~3つの置換基、又は1つの置換基で置換されていてもよい。
【0049】
「C6~10アリール」は、6~10個の環炭素原子を有し、ヘテロ原子は有しない単環式又は多環式(例:二環式)4n+2芳香族環系のラジカルを意味する(例:環状の列に6又は10個の共有π電子を有する)。いくつか実施形態では、アリール基は、6個の環炭素原子を有する(「Cアリール」、例えばフェニル)。いくつか実施形態では、アリール基は、10個の環炭素原子を有する(「C10アリール」、例えば1-ナフチル及び2-ナフチルを例とするナフチル)。アリール基はまた、上記で述べたアリール環が1若しくは複数のシクロアルキル又はヘテロシクリル基と縮合し、その結合点がアリール環上にある環系も含み、そのような場合、炭素原子の数は、引き続きアリール環系にある炭素原子の数を表している。アリールは、1又は複数の置換基で、例えば1~5つの置換基、1~3つの置換基、又は1つの置換基で置換されていてもよい。
【0050】
「5~10員環ヘテロアリール」は、環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子を有する5~10員環単環式又は多環式4n+2芳香族環系(例:環状の列に6又は10個の共有
π電子を有する)のラジカルを意味し、この場合、各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素、及び硫黄から選択される。1又は複数の窒素原子を含有するヘテロアリール基において、結合点は、価数が許容される限りにおいて、炭素又は窒素原子であり得る。ヘテロアリール二環系は、1又は2つの環に1又は複数のヘテロ原子を含み得る。ヘテロアリールはまた、上記で述べたヘテロアリール環が1若しくは複数のシクロアルキル又はヘテロシクリル基と縮合し、結合点がヘテロアリール環上にある環系も含む。そのような場合、炭素原子の数は、引き続きヘテロアリール環系にある炭素原子の数を表している。いくつかの実施形態では、なお別の選択肢は、5~6員環ヘテロアリール基であり、これは、環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子を有する5~6員環単環式又は二環式4n+2芳香族環系のラジカルである。1個のヘテロ原子を含有する例示的な5員環ヘテロアリール基としては、これらに限定されるものではないが、ピロリル、フリル、及びチエニルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な5員環ヘテロアリール基としては、これらに限定されるものではないが、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、及びイソチアゾリルが挙げられる。3個のヘテロ原子を含有する例示的な5員環ヘテロアリール基としては、これらに限定されるものではないが、トリアゾリル、オキサジアゾリル(1,2,4-オキサジアゾリルなど)、及びチアジアゾリルが挙げられる。4個のヘテロ原子を含有する例示的な5員環ヘテロアリール基としては、これ限定されるものではないが、テトラゾリルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な6員環ヘテロアリール基としては、これに限定されるものではないが、ピリジルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な6員環ヘテロアリール基としては、これらに限定されるものではないが、ピリダジニル、ピリミジニル、及びピラジニルが挙げられる。3又は4個のヘテロ原子を含有する例示的な6員環ヘテロアリール基としては、これ限定されるものではないが、それぞれトリアジニル及びテトラジニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な7員環ヘテロアリール基としては、これらに限定されるものではないが、アゼピニル、オキセピニル、及びチエピニルが挙げられる。例示的な5,6二環式ヘテロアリール基としては、これらに限定されるものではないが、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイソフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、インドリジニル、及びプリニルが挙げられる。例示的な6,6二環式ヘテロアリール基としては、これらに限定されるものではないが、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キノキサリニル、フタラジニル、及びキナゾリニルが挙げられる。ヘテロアリールは、1又は複数の置換基で、例えば1~5つの置換基、1~3つの置換基、又は1つの置換基で置換されていてもよい。
【0051】
別の選択肢としてのヘテロアリール基の具体例としては、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル(4H-1,2,4-トリアゾリル、1H-1,2,3-トリアゾリル、2H-1,2,3-トリアゾリル、ピラニル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル(1,2,4-オキサゾリル、1,3,4-オキサゾリル、1,2,5-オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル(1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル)が挙げられる。
【0052】
本明細書で定められるアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、所望に応じて置換された基である。
【0053】
炭素原子上の例示的な置換基としては、これらに限定されるものではないが、ハロゲン、-CN、-NO、-N、-SOH、-SOH、-OH、-ORaa、-ON(
bb、-N(Rbb、-N(Rbb 、-N(ORcc)Rbb、-SH、-SRaa、-SSRcc、-C(=O)Raa、-COH、-CHO、-C(ORcc、-COaa、-OC(=O)Raa、-OCOaa、-C(=O)N(Rbb、-OC(=O)N(Rbb、-NRbbC(=O)Raa、-NRbbCOaa、-NRbbC(=O)N(Rbb、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRbb)ORaa、-OC(=NRbb)Raa、-OC(=NRbb)ORaa、-C(=NRbb)N(Rbb、-OC(=NRbb)N(Rbb、-NRbbC(=NRbb)N(Rbb、-C(=O)NRbbSOaa、-NRbbSOaa、-SON(Rbb、-SOaa、-SOORaa、-OSOaa、-S(=O)Raa、-OS(=O)Raa、-Si(Raa、-OSi(Raa、-C(=S)N(Rbb、-C(=O)SRaa、-C(=S)SRaa、-SC(=S)SRaa、-SC(=O)SRaa、-OC(=O)SRaa、-SC(=O)ORaa、-SC(=O)Raa、-P(=O)aa、-OP(=O)aa、-P(=O)(Raa、-OP(=O)(Raa、-OP(=O)(ORcc、-P(=O)N(Rbb、-OP(=O)N(Rbb、-P(=O)(NRbb、-OP(=O)(NRbb、-NRbbP(=O)(ORcc、-NRbbP(=O)(NRbb、-P(Rcc、-P(Rcc、-OP(Rcc、-OP(Rcc、-B(Raa、-B(ORcc、-BRaa(ORcc)、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールが挙げられ、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールの各々は、独立して、0、1、2、3、4、又は5つのRdd基で置換されており、
【0054】
又は、炭素原子上の2個のジェミナル水素が、=O、=S、=NN(Rbb、=NNRbbC(=O)Raa、=NNRbbC(=O)ORaa、=NNRbbS(=O)aa、=NRbb、又は=NORcc基で置き換えられ、
【0055】
aaの各々は、独立して、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールから選択され、又はRaa基の2つが組み合わされて、ヘテロシクリル若しくはヘテロアリール環を形成し、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールの各々は、独立して、0、1、2、3、4、又は5つのRdd基で置換されており、
【0056】
bbの各々は、独立して、水素、-OH、-ORaa、-N(Rcc、-CN、-C(=O)Raa、-C(=O)N(Rcc、-COaa、-SOaa、-C(=NRcc)ORaa、-C(=NRcc)N(Rcc、-SON(Rcc、-SOcc、-SOORcc、-SORaa、-C(=S)N(Rcc、-C(=O)SRcc、-C(=S)SRcc、-P(=O)aa、-P(=O)(Raa、-P(=O)N(Rcc、-P(=O)(NRcc、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールから選択され、又は2つのRbb基が組み合わされて、ヘテロシクリル若しくはヘテロアリール環を形成し、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールの各々は、独立して、0、1、2、3、4、又は5つのRdd基で置換されており、
【0057】
ccの各々は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールから選択され、又は2つのRcc基が組み合わされて、ヘテロシクリル若しくはヘテロアリール環を形成し、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及び
ヘテロアリールの各々は、独立して、0、1、2、3、4、又は5つのRdd基で置換されており、
【0058】
ddの各々は、独立して、ハロゲン、-CN、-NO、-N、-SOH、-SOH、-OH、-ORee、-ON(Rff、-N(Rff、-N(Rff 、-N(ORee)Rff、-SH、-SRee、-SSRee、-C(=O)Ree、-COH、-COee、-OC(=O)Ree、-OCOee、-C(=O)N(Rff、-OC(=O)N(Rff、-NRffC(=O)Ree、-NRffCOee、-NRffC(=O)N(Rff、-C(=NRff)ORee、-OC(=NRff)Ree、-OC(=NRff)ORee、-C(=NRff)N(Rff、-OC(=NRff)N(Rff、-NRffC(=NRff)N(Rff、-NRffSOee、-SON(Rff、-SOee、-SOORee、-OSOee、-S(=O)Ree、-Si(Ree、-OSi(Ree、-C(=S)N(Rff、-C(=O)SRee、-C(=S)SRee、-SC(=S)SRee、-P(=O)ee、-P(=O)(Ree、-OP(=O)(Ree、-OP(=O)(ORee、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールから選択され、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールの各々は、独立して、0、1、2、3、4、又は5つのRgg基で置換されており、又は2つのジェミナルRdd置換基が組み合わされて、=O若しくは=Sを形成してもよく、
【0059】
eeの各々は、独立して、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、及びヘテロアリールから選択され、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールの各々は、独立して、0、1、2、3、4、又は5つのRgg基で置換されており、
【0060】
ffの各々は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールから選択され、又は2つのRff基が組み合わされて、ヘテロシクリル若しくはヘテロアリール環を形成し、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールの各々は、独立して、0、1、2、3、4、又は5つのRgg基で置換されており、
【0061】
ggの各々は、独立して、ハロゲン、-CN、-NO、-N、-SOH、-SOH、-OH、-OC1~6アルキル、-ON(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル) 、-NH(C1~6アルキル) 、-NH(C1~6アルキル)、-NH 、-N(OC1~6アルキル)(C1~6アルキル)、-N(OH)(C1~6アルキル)、-NH(OH)、-SH、-SC1~6アルキル、-SS(C1~6アルキル)、-C(=O)(C1~6アルキル)、-COH、-CO(C1~6アルキル)、-OC(=O)(C1~6アルキル)、-OCO(C1~6アルキル)、-C(=O)NH、-C(=O)N(C1~6アルキル)、-OC(=O)NH(C1~6アルキル)、-NHC(=O)(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)C(=O)(C1~6アルキル)、-NHCO(C1~6アルキル)、-NHC(=O)N(C1~6アルキル)、-NHC(=O)NH(C1~6アルキル)、-NHC(=O)NH、-C(=NH)O(C1~6アルキル)、-OC(=NH)(C1~6アルキル)、-OC(=NH)OC1~6アルキル、-C(=NH)N(C1~6アルキル)、-C(=NH)NH(C1~6アルキル)、-C(=NH)NH、-OC(=NH)N(C1~6アルキル)、-OC(NH)NH(C1~6アルキル)、-OC(NH)NH、-NHC(NH)N(C1~6
ルキル)、-NHC(=NH)NH、-NHSO(C1~6アルキル)、-SON(C1~6アルキル)、-SONH(C1~6アルキル)、-SONH、-SO1~6アルキル、-SOOC1~6アルキル、-OSO1~6アルキル、-SOC1~6アルキル、-Si(C1~6アルキル)、-OSi(C1~6アルキル)、-C(=S)N(C1~6アルキル)、C(=S)NH(C1~6アルキル)、C(=S)NH、-C(=O)S(C1~6アルキル)、-C(=S)SC1~6アルキル、-SC(=S)SC1~6アルキル、-P(=O)(C1~6アルキル)、-P(=O)(C1~6アルキル)、-OP(=O)(C1~6アルキル)、-OP(=O)(OC1~6アルキル)、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cカルボシクリル、C~C10アリール、C~Cヘテロシクリル、C~C10ヘテロアリールから選択され、又は2つのジェミナルRgg置換基が組み合わされて、=O若しくは=Sを形成してもよく、Xは、対イオンである。
【0062】
窒素原子上の例示的な置換基としては、これらに限定されるものではないが、水素、-OH、-ORaa、-N(Rcc、-CN、-C(=O)Raa、-C(=O)N(Rcc、-COaa、-SOaa、-C(=NRbb)ORaa、-C(=NRcc)ORaa、-C(=NRcc)N(Rcc、-SON(Rcc、-SOcc、-SOORcc、-SORaa、-C(=S)N(Rcc、-C(=O)SRcc、-C(=S)SRcc、-P(=O)aa、-P(=O)(Raa、-P(=O)N(Rcc、-P(=O)(NRcc、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールが挙げられ、又は窒素原子に結合した2つのRcc基が組み合わされて、ヘテロシクリル若しくはヘテロアリール環を形成し、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールの各々は、独立して、0、1、2、3、4、又は5つのRdd基で置換されており、Raa、Rbb、Rcc、及びRddは、本明細書で述べる通りである。
【0063】
具体的な実施形態
1つの実施形態では、本開示は、一般式(I)の化合物の製造方法に関し、一般式(II)の化合物を、塩基の存在下で一般式(III)の化合物と反応させることを含み、
【化5】
【0064】
式中、
【0065】
環Aは、C6~10アリール又は5~10員環ヘテロアリールであり、
【0066】
Xは、S又はPであり、
【0067】
は、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C3~7シクロアルキル、及び3~8員環ヘテロシクリルから選択され、
【0068】
は、H、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルから選択され、
【0069】
は、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、-C0~6アルキレン-C3~7シクロアルキル、-C0~6アルキレン-3~8員環ヘテロシクリル、-C0~6アルキレン-C6~10アリール、及び-C0~6アルキレン-5~10員環ヘテロアリールから選択され、これらの基は、無置換であるか、又は独立してm個のR’基で置換され、
【0070】
は、C1~20アルキル、C1~6ハロアルキル、-OR、-NR、C3~7シクロアルキル、3~8員環ヘテロシクリル、C6~10アリール、及び5~10員環ヘテロアリールから選択され、これらの基は、無置換であるか、又は独立してm’個のR’’基で置換され、
【0071】
Rは、H、ハロゲン、-O-C1~6アルキル、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルから選択され、
【0072】
nは、0、1、2、3、4、又は5であり、
【0073】
R’及びR’’は、独立して、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-NRC(O)R、C1~20アルキル、C1~6ハロアルキル、-O-C1~6アルキル、及びフェニルから選択され、
【0074】
mは、1、2、3、4、又は5であり、
【0075】
m’は、1、2、3、4、又は5であり、
【0076】
及びRは、独立して、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C3~7シクロアルキル、3~8員環ヘテロシクリル、C6~10アリール、及び5~10員環ヘテロアリールから選択され、又はR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、3~8員環ヘテロシクリル若しくは5~10員環ヘテロアリールを形成する。
【0077】
環A
【0078】
具体的な実施形態では、環Aは、C6~10アリールであり、別の具体的な実施形態では、環Aは、5~10員環ヘテロアリールであり、別の具体的な実施形態では、環Aは、フェニルであり、別の具体的な実施形態では、環Aは、ナフチルであり、別の具体的な実施形態では、環Aは、5~6員環ヘテロアリールであり、別の具体的な実施形態では、環Aは、チエニルである。
【0079】
【0080】
具体的な実施形態では、Xは、Sであり、別の具体的な実施形態では、Xは、Pである。
【0081】
【0082】
具体的な実施形態では、Rは、Hであり、別の具体的な実施形態では、Rは、C1~6アルキルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、メチルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、C1~6ハロアルキルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、C3~7シクロアルキルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、3~8員環ヘテロシクリルである。
【0083】
【0084】
具体的な実施形態では、Rは、Hであり、別の具体的な実施形態では、Rは、C1~6アルキルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、C1~6ハロアルキルである。
【0085】
【0086】
具体的な実施形態では、Rは、Hであり、別の具体的な実施形態では、Rは、C1~6アルキルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、エチルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、t-ブチルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、C1~6ハロアルキルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、C2~6アルケニルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、C2~6アルキニルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、-C0~6アルキレン-C3~7シクロアルキルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、-C0~6アルキレン-3~8員環ヘテロシクリルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、-C0~6アルキレン-C6~10アリールであり、別の具体的な実施形態では、Rは、-C0~6アルキレン-5~10員環ヘテロアリールであり、別の具体的な実施形態では、Rは、ベンジルである。上記の具体的な実施形態では、基は、無置換である、又は独立してm個のR’基で置換されている。
【0087】
【0088】
具体的な実施形態では、Rは、C1~20アルキルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、C1~12アルキルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、C1~6アルキルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、C1~6ハロアルキルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、-ORであり、別の具体的な実施形態では、Rは、メチルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、-NRであり、別の具体的な実施形態では、Rは、C3~7シクロアルキルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、3~8員環ヘテロシクリルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、C6~10アリールであり、別の具体的な実施形態では、Rは、フェニルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、5~10員環ヘテロアリールである。上記の具体的な実施形態では、基は、無置換である、又は独立してm’個のR’’基で置換されている。
【0089】
R’及びR’’
【0090】
具体的な実施形態では、R’は、ハロゲンであり、別の具体的な実施形態では、R’は、クロロであり、別の具体的な実施形態では、R’は、-NOであり、別の具体的な実施形態では、R’は、-CNであり、別の具体的な実施形態では、R’は、-NRであり、別の具体的な実施形態では、R’は、-NRC(O)Rであり、別の具体的な実施形態では、R’は、C1~20アルキルであり、別の具体的な実施形態では、R’は、C1~12アルキルであり、別の具体的な実施形態では、R’は、C1~6アルキルであり、別の具体的な実施形態では、R’は、メチルであり、別の具体的な実施形態では、R’は、C1~6ハロアルキルであり、別の具体的な実施形態では、R’は、-O-C1~6アルキルであり、別の具体的な実施形態では、R’は、フェニルである。
【0091】
具体的な実施形態では、R’’は、ハロゲンであり、別の具体的な実施形態では、R’’は、クロロであり、別の具体的な実施形態では、R’’は、-NOであり、別の具体的な実施形態では、R’’は、-CNであり、別の具体的な実施形態では、R’’は、-NRであり、別の具体的な実施形態では、R’’は、-NRC(O)Rであり
、別の具体的な実施形態では、R’’は、C1~20アルキルであり、別の具体的な実施形態では、R’’は、C1~12アルキルであり、別の具体的な実施形態では、R’’は、C1~6アルキルであり、別の具体的な実施形態では、R’’は、メチルであり、別の具体的な実施形態では、R’’は、C1~6ハロアルキルであり、別の具体的な実施形態では、R’’は、-O-C1~6アルキルであり、別の具体的な実施形態では、R’’は、フェニルである。
【0092】
上記の具体的な実施形態では、R及びRは、独立して、H、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルから選択される。
【0093】
【0094】
具体的な実施形態では、mは0であり、別の具体的な実施形態では、mは1であり、別の具体的な実施形態では、mは2であり、別の具体的な実施形態では、mは3であり、別の具体的な実施形態では、mは4であり、別の具体的な実施形態では、mは5である。
【0095】
m’
【0096】
具体的な実施形態では、m’は0であり、別の具体的な実施形態では、m’は1であり、別の具体的な実施形態では、m’は2であり、別の具体的な実施形態では、m’は3であり、別の具体的な実施形態では、m’は4であり、別の具体的な実施形態では、m’は5である。
【0097】
【0098】
具体的な実施形態では、Rは、Hであり、別の具体的な実施形態では、Rは、ハロゲンであり、別の具体的な実施形態では、Rは、クロロであり、別の具体的な実施形態では、Rは、-O-C1~6アルキルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、C1~6アルキルであり、別の具体的な実施形態では、Rは、C1~6ハロアルキルである。
【0099】
【0100】
具体的な実施形態では、nは0であり、別の具体的な実施形態では、nは1であり、別の具体的な実施形態では、nは2であり、別の具体的な実施形態では、nは3であり、別の具体的な実施形態では、nは4であり、別の具体的な実施形態では、nは5である。
【0101】
上記の具体的な実施形態のうちのいずれか1つにおけるいずれの技術的ソリューション又はそのいずれの組み合わせも、他の具体的な実施形態におけるいずれの技術的ソリューション又はそのいずれの組み合わせと組み合わされてよい。例えば、Xについてのいずれの技術的ソリューション又はそのいずれの組み合わせも、環A、R~R、R、R’、R’’、m、m’、nなどについてのいずれの技術的ソリューション又はそのいずれの組み合わせと組み合わされてよい。本開示は、そのような技術的ソリューションのすべての組み合わせを含むことを意図しているが、それらはスペースの節約のために本明細書に網羅的に列挙はしていない。
【0102】
より具体的な実施形態では、本開示は、XがSである場合の上記方法を提供する。
【0103】
より具体的な実施形態では、本開示は、Rが、無置換であるか若しくは独立してm’個のR’’基で置換されているC6~10アリール又は5~10員環ヘテロアリールである場合の上記方法を提供する。
【0104】
より具体的な実施形態では、本開示は、Rが、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、2-ブロモフェニル、3-ブロモフェニル、4-ブロモフェニル、2-フルオロフェニル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、2,6-ジクロロフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、3-シアノフェニル、4-シアノフェニル、2-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル、2-メチルフェニル、4-メチルフェニル、4-プロピルフェニル、4-t-ブチルフェニル、2,5-ジメチルフェニル、メシチル、2,4,6-トリイソプロピルフェニル、2-ドデシルフェニル、3-ドデシルフェニル、4-ドデシルフェニル、2-(トリフルオロメチル)フェニル、3-(トリフルオロメチル)フェニル、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル、4-メトキシフェニル、N,N-ジメチルアミノフェニル、4-アセチルアミノフェニル、4-ビフェニル、チエニル、及び5-ブロモチエニルから選択される場合の、別の選択肢として、Rが、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-クロロフェニル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、4-ニトロフェニル、2-メチルフェニル、4-プロピルフェニル、4-t-ブチルフェニル、2,5-ジメチルフェニル、2,4,6-トリイソプロピルフェニル、2-ドデシルフェニル、3-ドデシルフェニル、4-ドデシルフェニル、4-メトキシフェニル、4-アセチルアミノフェニル、4-メチルフェニル、及びメシチルから選択される場合の、なお別の選択肢として、Rが、フェニル、4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、及びメシチルから選択される場合の、上記方法を提供する。
【0105】
より具体的な実施形態では、本開示は、Rが、無置換であるか若しくは独立してm’個のR’’基で置換されているC1~12アルキル、-OR、-NR、C3~7シクロアルキル、又は3~8員環ヘテロシクリルである場合の上記方法を提供する。
【0106】
より具体的な実施形態では、本開示は、Rが、N,N-ジメチルアミノ、メチル、エチル、ブチル、ドデシル、メトキシ、エトキシ、及びシクロプロピルから選択される場合の上記方法を提供する。
【0107】
より具体的な実施形態では、本開示は、環Aが、置換若しくは無置換のフェニル、ナフチル、又はチエニル、別の選択肢として、置換又は無置換のフェニルである場合の上記方法を提供する。
【0108】
より具体的な実施形態では、本開示は、RがH、ハロゲン、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルである場合の、別の選択肢として、RがH又はハロゲンである場合の上記方法を提供する。
【0109】
より具体的な実施形態では、本開示は、
【化6】

が、フェニル、ナフタレン-1-イル、ナフタレン-2-イル、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、2-ブロモフェニル、3-ブロモフェニル、4-ブロモフェニル、2,3-ジクロロフェニル、2,4-ジクロロフェニル、2,5-ジクロロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、2,3,5-トリクロロフェニル、4-イソプロピルフェニル、及び4-t-ブチルフェニルから選択される場合の、好ましくは、
【化7】

が、2-クロロフェニルである場合の上記方法を提供する。
【0110】
より具体的な実施形態では、本開示は、RがメチルなどのC1~6アルキルから選択される場合の上記方法を提供する。
【0111】
より具体的な実施形態では、本開示は、RがHである場合の上記方法を提供する。
【0112】
より具体的な実施形態では、本開示は、Rが、H、-CH、-CHCH、-CH(CH、-C(CH、-CHCHCH、フェニル、又は-CH-フェニルであり、好ましくは、Rが、-CH、-CHCH、-C(CH、又は-CH-フェニルである場合の上記方法を提供する。
【0113】
より具体的な実施形態では、本開示は、塩基が、無機塩基及び有機塩基から選択され、好ましくは、無機塩基が、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、水酸化物、及び水素化物、例えばLiOH、NaOH、KOH、LiCO、NaCO、KCO、CsCO、NaPO、KPO、KHPO、KHPO、及びNaH、から選択され、好ましくは、有機塩基が、NaOMe、KOMe、NaOEt、KOEt、NaOtBu、KOtBu、トリエチルアミン、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)、DIPEA(N,N-ジイソプロピルエチルアミン)、DABCO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、及びDMAP(4-ジメチルアミノピリジン)などのアルカリ金属及びアルカリ土類金属のアルコキシド、並びに有機アミンから選択される場合の、上記方法を提供する。
【0114】
より具体的な実施形態では、本開示は、反応が、水、n-ヘプタン、トルエン、THF(テトラヒドロフラン)、MTBE(メチルtert-ブチルエーテル)、メチルテトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、アセトン、2-ブタノン、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)、DMA(N,N-ジメチルアセトアミド)、NMP(N-メチルピロリドン)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、及びアセトニトリルなどの、水、アルカン、エーテル、エステル、アルコール、ハロゲン化炭化水素、ケトン、アミド、スルホン、スルホキシド、ニトリル、及びこれらの混合物から選択される溶媒の存在下で行われる場合の上記方法を提供する。
【0115】
より具体的な実施形態では、本開示は、反応温度が、室温から溶媒の還流温度まで、別の選択肢として、40~90℃、なお別の選択肢として、50~80℃である場合の上記方法を提供する。
【0116】
より具体的な実施形態では、本開示は、一般式(II)の化合物の、一般式(III)の化合物に対するモル比が、1:(0.7~3)、好ましくは、1:(0.7~1.5)、より好ましくは、1:(1~1.2)、さらに好ましくは、1:1、1:1.05、1:1.1、1:1.15、又は1:1.2である場合の上記方法を提供する。
【0117】
より具体的な実施形態では、本開示は、一般式(II)の化合物の塩基に対するモル比が、1:(1~5)、好ましくは、1:(2~4)、より好ましくは、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9、又は1:3である場合の上記方法を提供する。
【0118】
より具体的な実施形態では、本開示の方法は、工業的スケールで実行される。
【0119】
本開示はまた、上記で述べた方法によって製造される式(I)の化合物も提供し、
【化8】
【0120】
式中、
【0121】
環Aは、C6~10アリール又は5~10員環ヘテロアリールであり、
【0122】
は、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C3~7シクロアルキル、及び3~8員環ヘテロシクリルから選択され、
【0123】
は、H、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルから選択され、
【0124】
は、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、-C0~6アルキレン-C3~7シクロアルキル、-C0~6アルキレン-3~8員環ヘテロシクリル、-C0~6アルキレン-C6~10アリール、及び-C0~6アルキレン-5~10員環ヘテロアリールから選択され、これらの基は、無置換であるか、又は独立してm個のR’基で置換され、
【0125】
Rは、H、ハロゲン、-O-C1~6アルキル、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルから選択され、
【0126】
nは、0、1、2、3、4、又は5であり、
【0127】
R’は、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-NRC(O)R、C1~20アルキル、C1~6ハロアルキル、-O-C1~6アルキル、及びフェニルから選択され、
【0128】
mは、1、2、3、4、又は5であり、
【0129】
及びRは、独立して、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C3~7シクロアルキル、3~8員環ヘテロシクリル、C6~10アリール、及び5~10員環ヘテロアリールから選択され、又はR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、3~8員環ヘテロシクリル若しくは5~10員環ヘテロアリールを形成する。
【実施例
【0130】
本明細書において用いられる材料及び試薬は、市販されている又は本技術分野で一般的に公知の合成法によって製造される。以下の反応スキームは、本開示の化合物のための方
法の実践を例示的に示すものである。
【0131】
一般操作
【0132】
一般式(I)の化合物を製造する反応スキーム及び典型的な操作は、以下の通りである。
【化9】
【0133】
一般式(III)の化合物、塩基、一般式(II)の化合物、及び所望に応じて用いられる溶媒を反応器に投入し、温度を、室温から溶媒の還流温度までに維持する。この混合物を、反応が完了するまで撹拌し、その間に、反応の進行をモニタリングする。反応の完了後、反応溶液を室温まで冷却する。有機相を分離し、精製して、一般式(I)の化合物を得る。
【0134】
一般式(II)の化合物は、市販されている、又は本技術分野で公知の方法によって製造される。例えば、以下の経路が用いられ得る。
【化10】
【0135】
反応器に、一般式(IV)の化合物、一般式(V)の化合物、塩基、及び溶媒を投入する。この混合物を、ある特定の温度で反応が完了するまで撹拌し、その間に、反応の進行をモニタリングする。反応の完了後、有機相を分離する。有機相は、次の反応工程のために直接用いられてよい、又は後で用いるために蒸発乾固されてもよい、又は精留若しくはカラムクロマトグラフィによって精製されてもよい。
【0136】
別の選択肢として、一般式(V)の化合物は、上記で述べたように一般式(IV)の化合物と反応させる前に、酸無水物に変換されてもよい。
【0137】
実施例1
エチル3-(2-クロロフェノキシ)-2-ブテノエートの製造
【化11】
【0138】
(1)アセト酢酸エチル(50.0g、384mmol、1.0当量)、トリエチルアミン(38.8g、384mmol、1当量)、DABCO(17.2g、154mmol、0.4当量)、及び250mLの酢酸イソプロピルを反応器に投入し、続いてp-トルエンスルホニルクロリド(87.8g、460.8mmol、1.2当量)の酢酸イソプロピル(250mL)中の溶液を、0~10℃で1~2時間にわたって滴下した。添加の完了後、この混合物を撹拌しながら10~20℃で3時間にわたって反応させた。反応の完了後、250mLの水を添加して反応を停止した。有機相を分離し、250mLの5%p-トルエンスルホン酸溶液及び250mLの8%炭酸水素ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄して、酢酸イソプロピル中のエチル3-(p-トルエンスルホニルオキシ)-2-ブテノエートの溶液が得られ(収率98.7%(外部標準法))、これを蒸発乾固後に(純度99.2%)又は直接、次の反応に用いた。
【0139】
(2)炭酸カリウム(150g、1.09mol、2.8当量)、350mLの酢酸イソプロピル、及び工程(1)からの酢酸イソプロピル中のエチル3-(p-トルエンスルホニルオキシ)-2-ブテノエートの溶液を反応器に投入した。この混合物を70~80℃に加熱し、続いて2-クロロフェノール(50g、0.389mmol、1.0当量)の酢酸イソプロピル(400mL)中の溶液を、70~80℃で2~3時間にわたって滴下した。添加の完了後、この混合物を撹拌しながら70~80℃でさらに19時間にわたって反応させた。反応混合物を室温まで冷却し、水を添加して反応停止した。有機相を、純度94.9%のエチル3-(2-クロロフェノキシ)-2-ブテノエートの酢酸イソプロピル溶液として分離した。上記エチル3-(2-クロロフェノキシ)-2-ブテノエートの酢酸イソプロピル溶液を濃縮して、2工程にわたる合計収率92.1%で99.7gの粗生成物(85.4%の生成物を含有)を得た。
【0140】
H-NMR(CDCl,400MHz):δ7.46-7.48(m,1H),7.29-7.33(m,1H),7.21-7.23(m,1H),7.10-7.11(m,1H),4.78(s,1H),4.11(q,2H,J=4.2),2.54(s,3H),1.23(t,3H,J=4.2)
【0141】
実施例2~15
対応する化合物を、以下の表の試薬又は基を用いて、実施例1の方法に従って製造した。
【化12】
【表1-1】

【表1-2】
【0142】
注:
IPrOAc:酢酸イソプロピル;DMF:N,N-ジメチルホルムアミド;Bn:ベンジル;DABCO:1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン;n-Hep:n-ヘプタン;Me-THF:2-メチルテトラヒドロフラン
【0143】
実施例6:tert-ブチル3-(2-クロロフェノキシ)-2-ブテノエート、H-NMR(CDCl,400MHz):δ7.36-7.38(m,1H),7.19-7.21(m,1H),7.10-7.11(m,1H),7.01-7.03(m,1H),4.61(s,1H),2.46(s,3H),1.35(s,9H)
【0144】
実施例7:ベンジル3-(2-クロロフェノキシ)-2-ブテノエート、H-NMR(CDCl,400MHz):δ7.33-7.35(m,1H),7.20-7.32(m,6H),7.17-7.21(m,1H),7.00-7.10(m,1H),4.99(s,2H),4.72(s,1H),2.46(s,3H)
【0145】
上記は、特定の好ましい実施形態に関連して本発明をさらに詳細に説明したものであり、本発明の特定の実施形態がこれらの記載に限定されると仮定することはできない。当業者であれば、本開示が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な単純な省略及び置き換えを成すことによって実践されてもよいことは明らかである。