(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】制御弁
(51)【国際特許分類】
F16K 11/085 20060101AFI20241202BHJP
F16K 27/06 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
F16K11/085 Z
F16K27/06 B
(21)【出願番号】P 2023543162
(86)(22)【出願日】2021-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2021120575
(87)【国際公開番号】W WO2022151759
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-07-18
(31)【優先権主張番号】202110065261.1
(32)【優先日】2021-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523037370
【氏名又は名称】杭州奥科美瑞科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フー、 メイヤン
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111828687(CN,A)
【文献】特開平01-206168(JP,A)
【文献】実開昭48-054521(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0011437(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110953378(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109424766(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/085
F16K 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁ボディ部材と弁体部材とを含み、弁室を有し、前記弁体部材は、少なくとも一部が前記弁室に位置し、前記弁体部材は、回動するように駆動可能になっており、前記弁ボディ部材は、前記弁室の周壁または少なくとも周壁の一部である側壁部を含み、前記側壁部は、前記弁室に連通する少なくとも3つの連通孔を有する制御弁において、
前記制御弁は、封止部材を含み、
前記封止部材は、前記側壁部と前記弁体部材との間に位置し、
前記封止部材は、弾性パッドと封止部品とを含み、
前記弾性パッドと前記封止部品とは、一体構造になるように固定接続され、
前記弾性パッドは、前記封止部品と前記側壁部との間に位置し、
前記封止部品は、封止本体部を含み、
前記封止本体部は、接続されたフランジング部及び係合部を含み、
前記係合部は、前記弁体部材と接触するとともに滑り可能に係合され、
前記弾性パッドは、前記連通孔に連通する第1通孔を有し、
前記封止部品は、前記第1通孔を介して前記連通孔に連通する第2通孔を有し、
前記フランジング部は、前記第2通孔を囲んで前記弾性パッドに接続する外返り部を含み、
前記外返り部は、前記係合部における弁体部材と接触する内面と前記弾性パッドにおける側壁部と接触する外面との間に位置することを特徴とする制御弁。
【請求項2】
前記フランジング部は、前記係合部から、前記弾性パッドに近づく方向へ延在し、
前記外返り部は、少なくとも一部が前記側壁部の径方向に沿って延在し、少なくとも一部が前記第1通孔内に入り込んで前記第1通孔の内壁に接着固定され、
前記外返り部の第1通孔に入り込んだ高さが、前記封止部材の厚み方向に沿って第1通孔の高さよりも小さく、
或いは、前記第1通孔は、前記側壁部の径方向に沿って延在する内壁を含み、
前記外返り部は、前記係合部の内面と前記内壁における弁体部材に向かう端部との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の制御弁。
【請求項3】
前記外返り部は、少なくとも一部が前記第1通孔内に入り込み、
前記弾性パッドの押圧変形量は、12%~25%であり、
前記外返り部の第1通孔に入り込んだ高さをa、前記第1通孔の高さをbとして定義すると、前記封止部材の厚み方向に沿って、a≦0.75bであることを特徴とする請求項2に記載の制御弁。
【請求項4】
前記弾性パッドの押圧変形量は、12%~25%であり、
前記外返り部は、前記弁体部材に向かう第1縁を含み、
前記第1縁は、前記第2通孔を囲み、
前記制御弁の横断面において、前記第1縁と前記側壁部の円心を通った円弧の半径をr1、前記弁体部材の円周半径をr2として定義すると、r1>r2であり、
前記外返り部における弁体部材に向かう表面と、前記係合部における弁体部材に向かう表面との間の角度は、90度以上であることを特徴とする請求項1に記載の制御弁。
【請求項5】
前記フランジング部は、さらに接続部を含み、
前記接続部は、前記外返り部と前記係合部との間に接続され、
前記接続部は、前記弁体部材に向かう接続面を有し、
前記接続面は、曲面であり、
前記接続面の直径が、前記外返り部に近づく方向に沿って徐々に増加することを特徴とする請求項1に記載の制御弁。
【請求項6】
前記封止部品は、前記封止本体部に固定接続された2つの位置制限部を含み、一方の前記位置制限部は、前記封止本体部の周方向の一方側に位置し、他方の前記位置制限部は、前記封止本体部の周方向の他方側に位置し、
前記位置制限部は、第1位置制限面を有して前記封止本体部から前記弾性パッドに近づく方向へ突出して設けられ、
前記弁ボディ部材は、前記側壁部に固定接続されて前記弁室内に位置するストッパ部を含み、
前記ストッパ部は、該ストッパ部の周方向に沿う第2位置制限面を有し、
前記第1位置制限面と前記第2位置制限面とは、接触して設けられ、
前記位置制限部の前記係合部から突出する高さが、前記封止部材の厚み方向に沿って、前記弾性パッドの厚み以下であることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の制御弁。
【請求項7】
前記弾性パッドの押圧変形量は、12%~25%であり、
前記位置制限部は、前記係合部の内面と前記第1位置制限面との間に接続された遷移面を有し、
前記遷移面は、前記第1位置制限面に近づく第2縁を含み、
前記制御弁の横断面において、前記第2縁と前記側壁部の円心を通った円弧の半径をr3、前記弁体部材の円周半径をr2として定義すると、r3>r2であることを特徴とする請求項6に記載の制御弁。
【請求項8】
少なくとも一部の数量の前記連通孔は、前記側壁部の周方向に沿って配列され、
前記側壁部は、第1部分と第2部分とを含み、
前記連通孔は、いずれも前記第1部分に位置し、
前記封止部材は、前記
弁体部材と前記第1部分との間に位置し、
前記第2部分の両側に近接した2つの連通孔をそれぞれ、第1連通孔、第2連通孔として定義し、前記側壁部の軸方向に垂直な横断面において、前記第1連通孔の縁、前記第2連通孔の縁、及び前記側壁部の円心により形成された最大中心角をα、前記係合部の内面を弧面、前記係合部に対応する中心角をβ、前記弁体部材の回動公差角度をθとして定義すると、β≧α+2θである、ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の制御弁。
【請求項9】
前記最大中心角は、260度以上、270度以下であり、前記弁体部材の回動公差角度は、±5度であり、前記側壁部の周方向に沿って4つの前記連通孔が配列されており、
前記係合部の内面に対応する中心角は、270度以上、280度以下である、ことを特徴とする請求項8に記載の制御弁。
【請求項10】
前記弾性パッドは、ゴム材料で加工され、
前記弁ボディ部材は、アルミニウム材によって加工され、または、プラスチック材料によって射出加工で形成され、
前記弁体部材は、プラスチック材料によって射出加工で形成され、
前記封止部品は、ポリテトラフルオロエチレンで加工されて形成され、
前記弾性パッドと前記封止部品とは接着によって固定され、
前記弾性パッドにおける前記弁体部材から離れる表面の粗さが、前記封止部品における前記弁体部材に向かう表面の粗さよりも大きいことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年01月18日にて中国特許庁に提出され、出願番号が202110065261.1であり、発明名称が「弁装置」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が援用されることで本出願に結合される。
本発明は、流体制御という分野に関し、具体的には、制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
あるシステムは、流路を制御するように多通路の制御弁を用いる必要があり、例えば、自動車は、現在、一般的には、複数の制御弁を用いて制御する可能性があり、多通路の制御弁において、よりよい封止を実現するために、如何に制御弁を設けるかは、早急に解决しなければならない課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、制御弁を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の制御弁は、弁ボディ部材と弁体部材とを含み、弁室を有し、前記弁体部材は、少なくとも一部が、前記弁室に位置し、前記弁体部材は、回動するように駆動可能になっており、前記弁ボディ部材は、前記弁室の周壁または少なくとも周壁の一部である側壁部を含み、前記側壁部は、前記弁室に連通する少なくとも3つの連通孔を有する制御弁において、前記制御弁は、封止部材を含み、前記封止部材は、前記側壁部と前記弁体部材との間に位置し、前記封止部材は、弾性パッドと封止部品とを含み、前記弾性パッドと前記封止部品とは、一体構造になるように固定接続され、前記弾性パッドは、前記封止部品と前記側壁部との間に位置し、前記封止部品は、封止本体部を含み、前記封止本体部は、接続されたフランジング部及び係合部を含み、前記係合部は、前記弁体部材と接触するとともに滑り可能に係合され、前記弾性パッドは、前記連通孔に連通する第1通孔を有し、前記封止部品は、前記第1通孔を介して前記連通孔に連通する第2通孔を有し、前記フランジング部は、前記第2通孔を囲んで前記弾性パッドに接続する外返り部を含み、前記外返り部は、前記係合部の弁体部材と接触する内面と前記弾性パッドの側壁部と接触する外面との間に位置する。
【0005】
本発明の制御弁によれば、制御弁の封止部材は、一体構造を呈する弾性パッド及び封止部品を含み、弾性パッドと封止部品との間には、良好な封止性を有し、封止部品は、弁体部材と接触し、封止本体部が、互いに接続されたフランジング部及び係合部を含み、フランジング部が、第2通孔を囲んで弾性パッドに接続する外返り部を含み、外返り部が、係合部の内面と弾性パッドの外面との間に位置するように設けることで、弾性パッドと封止部品との間の接触面積が増加され、弾性パッド及び封止部品という両者の間の接着力を向上させ、一方、弁体部材が、第2通孔の位置する領域まで回転する場合、外返り部の縁と衝突することを改善できることにより、回転の詰まり、または、駆動力の増加、または、流体の漏れのリスクを引き起こすことを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の制御弁の局所構造の分解構造図である。
【
図2】本発明の実施形態の封止部材の立体構造図である。
【
図4】本発明の実施形態の弁ボディ部材の局所構造の立体構造図である。
【
図5】本発明の封止部材と弁ボディ部材との組み合わせ構造図である。
【
図6】
図3におけるQ1箇所の局所拡大構造図である。
【
図7】本発明により提供される封止部材と弁体部材との組み合わせ構造図である。
【
図8】本発明により提供される他の封止部材と弁体部材との組み合わせ構造図である。
【
図9】
図5におけるQ2箇所の局所拡大構造図である。
【
図10】本発明の別の制御弁の局所構造の分解構造図である。
【
図16】本発明のもう1つの実施形態の封止部材の立体構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明をより明瞭にさせるために、以下、図面及び具体的な実施例とを用いて本発明をさらに詳しく記載する。
本明細書において、「第1」及び「第2」等のような関係用語は、単に、同じ名称を有する部材の1つを、他の部材と区別するために使用されるもので、必ずしも、これらの部材の間に、この種の実在関係または順位付けが存在することを要求する、あるいは、意味するわけではない。
【0008】
図1~
図3に示すように、制御弁200は、弁ボディ部材10と、弁体部材20と、封止部材40とを含む。
制御弁200は、弁室102を有し、制御弁200は、制御ボックスを含んでもよく、弁体部材20は、駆動ボックス内の駆動部品の動かしによって回動することができ、例えば、駆動部品は、モータまたはモータ及び減速ギヤセットであってもよく、弁ボディ部材10は、固定接続された側壁部12及び蓋(図示しない)を含む。
側壁部12は、弁室102の周壁または少なくとも周壁の一部であり、弁ボディ部材10は、少なくとも3つの連通孔101を有し、少なくとも一部の数量の連通孔101は、側壁部12の周方向に沿って配列され、連通孔101の数量が複数であってもよい。
例えば、本実施例において、連通孔101の数量が8つであってもよく、側壁部12の軸方向に沿って2列の連通孔101が設けられ、各列の連通孔101は、側壁部12の周方向に沿って配列され、いくつかの選択可能な実施例において、連通孔101の数量が、8つよりも大きく、または少なくてもよい。
封止部材40は、側壁部12と弁体部材20との間に位置し、封止部材40、弁体部材20、及び、側壁部12は、同軸に設けられてもよく、封止部材40は、開口401を有し、開口401は、封止部材40の高さ方向に沿って封止部材40を貫通し、かつ、開口401は、封止部材40の内面及び外面を貫通し、封止部材40は、弾性パッド41と封止部品42とを含む。
弾性パッド41と封止部品42とは、一体構造に固定接続され、弾性パッド41は、封止部品42と弁ボディ部材10の側壁部12との間に位置し、封止部品42は、弁体部材20と接触する。
【0009】
弾性パッド41は、ゴム材料で加工され、弁ボディ部材10は、アルミニウム材によって加工され、または、プラスチック材料によって射出加工で形成され、弁体部材20は、プラスチック材料によって射出加工で形成され、封止部品42は、ポリテトラフルオロエチレンで加工されて形成され、弾性パッド41と封止部品42とは、接着によって一体構造に固定形成され、弾性パッド41における弁体部材20から離れる表面の粗さが、封止部品42における弁体部材20に向かう表面の粗さよりも大きく、この場合、弁体部材20と接触する封止部品42の表面が、側壁部12と接触する弾性パッド41の表面よりも滑らかである。
封止部品42の材料がポリテトラフルオロエチレンであるように設けることで、封止部品42は、封止の作用だけでなく、一定の潤滑性能を有することもでき、弁体部材20と封止部材40との間の摩擦力を低減することができ、これにより、制御弁200の駆動力を相対的に低減することができる。
【0010】
図3~
図5に示すように、弾性パッド41は、第1通孔411を有し、封止部品42は、第2通孔421を有し、制御弁200の弁室102は、第2通孔421、第1通孔411を介して弁ボディ部材10の連通孔101に連通し、封止部品42は、封止本体部を含み、第2通孔421は、封止本体部に位置し、封止本体部は、弁体部材20と接触し、封止本体部は、係合部を含む。
係合部は、弁体部材20と接触し、係合部の内面が、弧面S1であり、弧面S1は、弁体部材20と接触し、側壁部12は、互いに接続された第1部分121及び第2部分122を含み、第1部分121及び第2部分122は、ともに、側壁部12の周方向に沿って延在し、第1部分121と第2部分122とは接続して側壁部12を形成し、連通孔101は、第1部分121に位置し、第1部分121の周方向における両側縁と、周方向で最も外側に配列された2つの連通孔101の縁とは、少なくとも一部が重なり、第2部分122の周方向における両側縁は、周方向で最も外側に配列された2つの連通孔101の孔壁を形成し、この場合、封止部材40は、第1部分121と弁体部材20との間に位置している。
図5のように、側壁部12の周方向両側に配列された2つの連通孔101をそれぞれ、第1連通孔101a、第2連通孔101bとして定義し、第1連通孔101a及び第2連通孔101bは、第2部分122の両側に近接した2つの連通孔であり、側壁部12の軸方向に垂直な横断面において、第1連通孔101aの縁、第2連通孔101bの縁、及び、側壁部12の円心により形成された最大
中心角をα、係合部に対応する
中心角をβ、弁体部材20の回動公差角度をθとして定義すると、β≧α+2θである。
任意選択で、弁体部材20の回動公差角度は、±θであると、α+2θ≦β≦α+4θである。
上記設置により、封止部材40が弁体部材20の回動公差範囲内で、制御弁200の封止を実現でき、β角度が小さすぎて弁体部材20に回動公差が生じた場合、弁体部材20と封止部材40との接触が離脱して封止性能に影響を与えることを防止するとともに、β角度が大きすぎる場合、封止部材40の膨張空間に影響を与えることも防止でき、これにより、制御弁200の封止性能を向上させる。
理解するように、封止部材40の弧面S1に対応する
中心角βは、α+4θよりも大きくてもよく、封止性能を実現できればよい。
【0011】
いくつかの実施例において、弁体部材20の回動公差角度は、±5度であってもよく、即ち、駆動部品が弁体部材20の回動駆動を停止する場合、駆動部品の制御精度、または信号伝達の遅延、または、弁体部材20の慣性モーメントの影響により、弁体部材20は、設定角度から5度前まで回動する場合に停止し、または設定角度を超えた後に5度回転し続ける可能性があることにより、弁体部材20に回動公差を生じさせ、弁体部材20の回動の各ストローク範囲内において封止部材40が弁体部材20と接触でき、封止部材40によい封止性能を有させるために、本発明実施例において、
図1及び
図5のように、側壁部12の周方向に沿って4つの連通孔101が配列され、第1連通孔の縁、第2連通孔の縁、及び、側壁部12の円心により形成された最大
中心角αが、260度以上、270度以下であり、弧面S1に対応する
中心角βは、270度以上、280度以下である。
【0012】
図1、
図3、
図6~
図8のように、いくつかの実施例において、封止本体部は、フランジング部と係合部423とを含む。
係合部423は、弁体部材20と接触して滑り可能に係合され、弾性パッド41は、連通孔101に連通する第1通孔411を有し、封止本体部は、第2通孔421を有し、フランジング部は、第2通孔421を囲み、第2通孔421は、第1通孔411を介して連通孔101に連通し、フランジング部は、少なくとも一部が、封止本体部によって形成された収容空間の外側に位置し、フランジング部は、外返り部424と接続部425とを含み、外返り部424は、第2通孔421の外周側に位置して弾性パッド41に接続され、接続部425は、外返り部424と係合部423との間に接続され、外返り部424は、係合部423の弁体部材20と接触する内面と、弾性パッド41の側壁部12と接触する外面との間に位置し、封止本体部によって形成された収容空間とは、側壁部12の軸線と同軸である封止本体部の弧面S1が位置する円周領域を指し、
図8における円形破線が示す半径r2の円周領域のようにする。
上記設置により、弾性パッド41と封止部品42との間の接触面積が増加され、弾性パッド41及び封止部品42という両者の間の接着力を向上させることができ、一方、弁体部材20が第2通孔421の位置する領域まで回転する場合、第2通孔421の縁と衝突することを改善できることにより、回転の詰まり、または、駆動力の増加、または、流体の漏れのリスクを引き起こすことを防止する。
【0013】
図6及び
図7のように、本実施例における封止部材40の構造を示し、フランジング部は、係合部423から突出して弾性パッド41に近づく方向へ延在し、外返り部424は少なくとも一部が、側壁部12の径方向に沿って延在し、かつ、外返り部424は、少なくとも一部が第1通孔411内に入り込んで第1通孔411の内壁に接着固定され、即ち、外返り部424の一端が、接続部425を介して係合部423に接続され、他端が、第1通孔411内に位置して入り込み、そして、外返り部424の第1通孔411に入り込んだ高さをa、第1通孔411の高さをbとして定義し、封止部材40の厚み方向、即ち、封止部材40の径方向に沿って、外返り部424の第1通孔411に入り込んだ高さaが、第1通孔411の高さbよりも小さい。
上記設置により、弾性パッド41が圧縮される場合、封止部品42が側壁部12と接触することを防止でき、弾性パッド41は、多い圧縮空間を有し、さらに、封止部品42にフランジング部を設けることにより、弾性パッド41と封止部品42との間の接触面積が増加され、弾性パッド41及び封止部品42という両者の間の接着力を向上させることができ、また、外返り部424が第1通孔411内に入り込むことにより、封止部品42及び弾性パッド41に対して位置制限の作用を奏することができ、封止部品42及び弾性パッド41が、弁体部材20の回動時に位置ずれることを防止する。
【0014】
封止部材40がよい封止作用を有するために、弾性パッド41と側壁部12との間、及び封止部品42と弁体部材20との間によい封止を有するように、弁体部材20が、封止部材40を押圧して弾性パッド41に変形を発生させる必要があり、任意選択で、制御弁200の組立を完了した後、弾性パッド41の押圧変形量は、12%~25%であってもよく、即ち、押圧後の弾性パッド41の厚みは、弾性パッド41の自然状態での厚みの75%~88%倍であり、これを基にとし、弾性パッド41の押圧圧縮の場合、封止部品42が側壁部12と接触することを防止するために、封止部材40の厚み方向に沿って、外返り部424の第1通孔411に入り込んだ高さaと、第1通孔411の高さbとは、a≦0.75bを満たし、即ち、この場合、外返り部424の係合部423から突出する高さが、弾性パッド41の厚みの0.75倍以下である。
【0015】
図8は、本発明の実施例の他の封止部品の構造を示し、第1通孔411は、側壁部12の径方向に沿って延在する内壁を含む。
外返り部424は、係合部423の内面と、内壁の弁体部材20に向かう端部との間に位置し、外返り部424の弁体部材20に向かう第1表面と係合部の弁体部材20に向かう第2表面との間に夾角がある。
この場合のフランジング部421は、弾性パッド41の第1通孔411内に入り込まなくてもよく、かつ、外返り部424の該第1表面は、斜面として形成され、弁体部材20に対して回転過程において一定のガイド作用を奏することができる。
【0016】
弾性パッド41の押圧変形量が、12%~25%である場合、封止部材40がよい封止性能を有することができ、
図7及び
図8に示すように、外返り部424は、弾性パッド41に近づく第1縁4241を含み、この第1縁4241は、弁体部材20に向かう。
弁体部材20が第1通孔411の位置する領域まで回転する場合、弁体部材20の縁が外返り部424の第1縁4241と接触すると、該第1縁4241は、弁体部材20の回動を阻止しやすく、弁体部材20の回転の詰まり、または、弁体部材20の回転トルクの増大になりやすい。
上記課題を解決するために、いくつかの実施例において、制御弁200の横断面において、該横断面は、制御弁200に垂直な高さ方向に沿って制御弁200を切断し得た断面であり、第1縁4241と側壁部12の円心との間を通った円弧の半径をr1、弁体部材20の円周半径をr2として定義し、r1>r2であり、この場合、弁体部材20は、封止部材40を押圧し、かつ弁体部材20は、回動過程中において、弁体部材20の縁が外返り部424の第1縁4241と接触しなく、第1縁4241が弁体部材20を阻止することを防止し、弁体部材20の回動安定性を向上させることができる。
【0017】
外返り部424の弁体部材20に向かう表面と、係合部423の弁体部材20に向かう表面との間の角度は、90度以上である。
具体的に実施する場合、外返り部424の弁体部材20に向かう表面と、係合部423の弁体部材20に向かう表面との間の角度は、ユーザのニーズに応じて設定されることができ、例えば、該角度は90度、100度、または、120度等であってもよく、封止部材40の封止性能の要求を満たす前提で、例えば、弁体部材20が回動公差の範囲内に封止をよく実現できる前提で、外返り部424の弁体部材20に向かう表面と、係合部423の弁体部材20に向かう表面との間の角度を比較的に大きく設け、封止部材40の製造の難しさを簡単化することができる。
【0018】
図6及び
図7に示すように、封止部品42のフランジング部は、接続部425を含んでもよく、接続部425は、外返り部424と係合部423との間に接続され、接続部425は、弁体部材20に向かう接続面4251を有し、接続面4251は曲面であり、外返り部424に近づく方向に沿って、接続面4251の直径が徐々に増加する。
上記設置により、弁体部材20が回動する過程において、接続部425は、緩衝及び案内の機能を奏することができ、弁体部材20の回動の安定性を向上させる。
【0019】
図5、
図7~
図9に示すように、封止部品42は、封止本体部に固定接続された2つの位置制限部422を含んでもよく、そのうちの1つの位置制限部422は、封止本体部の周方向の一方側に位置し、もう1つの位置制限部422は、封止本体部の周方向の他方側に位置し、位置制限部422は、第1位置制限面4221を有し、位置制限部422は、封止本体部から、弾性パッド41に近づくように突出して設けられ、即ち、位置制限部422は、封止本体部から、弁体部材20から離れた方向へ突出して設けられ、弁ボディ部材10は、さらにストッパ部13を含む。
ストッパ部13は、側壁部12に固定接続されて弁室102内に位置し、ストッパ部13は、ストッパ部13に沿う周方向での第2位置制限面131を有し、第1位置制限面4221と第2位置制限面131とは接触して設けられる。
上記設置により、封止部材40の弾性範囲内において、第1位置制限面4221と第2位置制限面131とは接触し、弁ボディ部材10に対する封止部材40の回動を制限することができる。
封止部材40の厚み方向に沿って、位置制限部422の係合部423から突出する高さが弾性パッド41の厚み以下であり、弾性パッド41に多い膨張空間を有させる。
【0020】
いくつかの実施例において、弾性パッド41の押圧変形量は、12%~25%であり、位置制限部422は、係合部の弧面S1と第1位置制限面4221との間に接続された遷移面4222を有し、遷移面4222は、第1位置制限面4221に近づく第2縁4223を含む。
制御弁200の横断面において、第2縁4223と側壁部12の円心との間を通った円弧の半径をr3、弁体部材20の円周半径をr2として定義し、r3>r2である。
上記設置により、弁体部材20の回転過程において、弁体部材20の縁が第2縁4223と接触することを減少し、第2縁4223が弁体部材20の回動を阻止することで弁体部材20の回転の詰まり、または、弁体部材20の回転トルクの増大を引き起こすという状況を防止し、弁体部材20の回動の安定性を向上させる。
【0021】
図10~
図15は、本発明の別の制御弁であり、この制御弁は、上記に記載された制御弁と構造が類似し、弾性パッド41は、第1凹溝412と、第2凹溝413とを有してもよく、第1凹溝412及び第2凹溝413は、開口が側壁部12に向かい、第1凹溝412は、弾性パッド41の縦方向方向において弾性パッド41の一端から弾性パッド41の他端まで延在してもよく、第1凹溝412の数量が複数であり、本実施例において、第1凹溝412は、第1通孔411の両側位置に分布され、それに、隣り合う両第1通孔411の間に位置する第1凹溝412は、隣り合う両第1通孔411の間の部分の中間部位に位置してもよい。
第1凹溝412は、軸方向に設けられてもよく、第2凹溝413は、周方向に設けられてもよく、他の形式であってもよく、第2凹溝413により、弾性パッド41が力によって圧縮される場合に弾性パッド41のために膨張空間を残すことができる。
本実施例において、第2凹溝413は、弾性パッド41の縦方向方向の少なくとも一側に位置し、第1凹溝412は第2凹溝413に連通する。
【0022】
図12に示すように、弁ボディ部材10は、側壁部12から突出するリブ123を有し、本実施例において、リブ123は、側壁部12から突出して弁室102内に位置する。
リブ123の数量が第1凹溝412に対応し、リブ123は、第1凹溝412内に入り込み、リブ123は、第1凹溝412と締まりばめされる。
リブ123及び第1凹溝412を設けることにより、封止部材40の位置決め装着を実現することで、第1通孔411の位置を連通孔101の位置に対応させて流体を通流可能にすることができるだけでなく、リブ123と第1凹溝412との係合方式により、封止部材40に対する位置制限の作用を奏し、封止部材40が弁体部材の回動時に変位することを防止することができる。
本実施例において、リブ123の側壁部12から突出する高さが、第1凹溝412の深さよりも小さく、リブ123と第1凹溝412の溝底部との間に一定の隙間を有させることができ、このように、弾性パッド41を側壁部12に当接させることができ、それに、リブ123と第1凹溝412の底部との間に残された隙間により、弾性パッドが弾性ひずみを発生する場合に弾性パッドのために膨張空間を残すことができる。
【0023】
図12~
図14に示すように、弁ボディ部材10は、底壁11とボス部124とを含み、底壁11は、側壁部12と一体成形され、ボス部124は、底壁11から突出し、ボス部124は、阻止部125と第1支持部126とを含む。
阻止部125は、第1支持部126から設定距離だけ突出し、第1支持部126は、少なくとも一部がリブ123と阻止部125との間に位置し、阻止部125とリブ123との間に位置制限空間127が形成されている。
封止部材40が弁ボディ部材10内に装入された後、封止部材40の一端が位置制限空間127に収容配置され、封止部材40は、第1欠け部46を有し、第1欠け部46は、封止部材の端面に位置して封止部材40の内部へ延在し、第1支持部126は、第1欠け部46に入り込んで封止部材40に当接する。
ボス部124を設けることにより、封止部材40の端部に対して位置制限の作用を奏し、封止部材40の端部が弁ボディ部材10から分離することを防止することができる。
【0024】
図10~
図13、
図17、
図18を結合すれば、制御弁200は、蓋50を含む。
弁ボディ部材10には、底壁11から突出する第1弁体支持部1101と蓋50の端面から突出する第2弁体支持部1102とが形成されており、弁体部材20の一部が第1弁体支持部1101に入り込み、弁体部材20の他の部分が第2弁体支持部1102に入り込み、弁体部材20は、第1弁体支持部1101及び第2弁体支持部1102に回動可能に支持され、第1弁体支持部1101及び第2弁体支持部1102は、ともに、欠け部とリブ板部とを含むことができ、第2弁体支持部1102で説明すると、第2弁体支持部1102は、欠け部112とリブ板部113とを含み、欠け部112を設けることにより、係合部111内に入ったクーラントにおける不純物を適時に排出させることができ、弁体部材が引っ掛かることを防止することができる。
リブ板部113により、第2弁体支持部1102の強度を向上させ、第2弁体支持部1102の強度に対する欠け部112の影響を減少することができる。
それに、第2弁体支持部1102の高さがボス部124の高さ以上であり、このように、弁体部材の摩擦力を減少でき、同時に、ボス部124は、封止部材40が受圧して変形される時に弁ボディ部材10から離脱しないことを防止できる。
【0025】
蓋50は、さらに、第2支持部51を含み、封止部材40の軸方向における一端面にはいずれも第1欠け部46が設けられ、封止部材40の軸方向における他端面にはいずれも第2欠け部47が設けられ、第1支持部126は、第1欠け部46に入り込んで封止部材40に当接し、第2支持部51は、第2欠け部47に入り込んで封止部材40に当接し、さらに封止部材40を位置制限する。
【0026】
図16~
図18は、本発明のもう1つの実施形態の封止部材及び弁ボディ部材の構造図を示す。
図10~
図15に示す制御弁の構造と類似し、主な区別は、封止部材40に第1凹溝412が設けられておらず、弁ボディ部材10にリブ123が設けられていないことにあり、
図16及び
図17を結合すれば、封止部材40は、弁ボディ部材10の内室に置かれ、封止部材40の位置制限部422は、ストッパ部128の側面と接触し、封止部材40の弾性範囲内において、位置制限部422がストッパ部128の側面と接触することは、弁ボディ部材10に対する封止部材40の回動を制限できる。
【0027】
また、第1欠け部46及び第2欠け部47を設けなくてもよく、第1支持部126及び第2支持部51を対応して設けなく、さらに構造を簡単化し、組立の難しさを低減する。
【0028】
上述のように、本発明の制御弁200によれば、封止部材40は、一体構造を呈する弾性パッド41及び封止部品42を含む。
封止部材40は、開口401を有してもよく、これにより、封止部材40を非閉鎖の構造にさせ、非閉鎖の構造が径方向の外力の作用を受けた時に膨張できることにより、弁体部材20及び封止部材40が押圧過程において大きな膨張空間を有し、閉鎖された円環形の封止部材と比較すれば、本発明の実施例により提供される封止部材40について、設計の難しさ及び加工の難しさを減少することができ、封止部品42の弧面は、弁体部材20と接触し、側壁部12は、側壁部の周方向に沿って延在する第1部分121を含む。
連通孔101は、第1部分121に位置し、前記側壁部の周方向両側に配列された2つの連通孔の縁、及び側壁部の円心により形成された最大中心角α、係合部の弧面S1に対応する中心角β、及び、弁体部材20の回動公差角度θが、β≧α+2θを満たすように設けることで、封止部材40は、弁体部材20の回動公差範囲内で、制御弁200の封止を実現でき、これにより、制御弁200の封止性能を向上させ、普及、適用を便利にさせる。
【0029】
説明しようとするのは、本明細書は、上記の実施形態を参照して本発明を既に詳しく説明したが、当業者が理解するように、当業者は、依然として、本発明に対して補正、結合、または等同交替を行うことができ、本発明の精神及び範囲を離脱しないあらゆる改善はいずれも、本発明の請求項の範囲内に含まれるべきである。