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特許7595993信号発生源の位置を推定する推定装置、移動体、地球局、システム、方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】信号発生源の位置を推定する推定装置、移動体、地球局、システム、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20241202BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024073448
(22)【出願日】2024-04-30
【審査請求日】2024-08-05
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2023年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、経済安全保障重要技術育成プログラム/船舶向け通信衛星コンステレーションによる海洋状況把握技術の開発・実証、海洋DX推進・海洋状況把握に向けた超小型衛星コンステレーションシステムの開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】523129697
【氏名又は名称】株式会社アークエッジ・スペース
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 亮平
【審査官】▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-090791(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0004144(US,A1)
【文献】米国特許第5982164(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/00 - G01S 19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号発生源の位置を推定する推定装置であって、
一つの移動体によって複数の受信時間において受信された信号の周波数特性を決定する周波数特性決定装置と、
前記複数の受信時間のうちの2つの受信時間を一組とする受信時間組について、当該受信時間組の2つの受信時間の周波数特性間の相関値と周波数との関係を示す周波数対相関値特性を決定する周波数対相関値特性決定装置と、
受信時間組について、当該受信時間組の2つの受信時間における前記移動体の位置及び速度に基づいて、信号発生源の候補推定位置において想定されるドップラー周波数変化量を算出する想定ドップラー周波数変化量算出装置と、
受信時間組についての周波数対相関値特性及び想定ドップラー周波数変化量に基づいて、当該受信時間組についての候補推定位置と相関値との関係を示す候補推定位置対相関値特性を決定する候補推定位置対相関値特性決定装置と、
一以上の受信時間組についての候補推定位置対相関値特性に基づいて、信号発生源の推定位置を決定する推定位置決定装置と、
を含む、推定装置。
【請求項2】
前記推定位置決定装置は、複数の受信時間組についての推定候補位置対相関値特性に基づいて決定される相関値を引数とする関数によって算出される値が所定値以上の候補推定位置を信号発生源の推定位置として決定する、請求項1に記載の推定装置。
【請求項3】
前記関数は引数の積分値を算出する関数である、請求項2に記載の推定装置。
【請求項4】
前記複数の受信時間組の各組の2つの受信時間の一方は前記複数の受信時間組において共通の受信時間であり、他方は組ごとに異なる受信時間である、請求項1に記載の推定装置。
【請求項5】
前記複数の受信時間組の各組の2つの受信時間のいずれも前記複数の受信時間組において共通の受信時間ではない、請求項1に記載の推定装置。
【請求項6】
前記請求項1に記載の推定装置を含む移動体。
【請求項7】
前記請求項1に記載の推定装置を含む地球局。
【請求項8】
一以上の移動体及び一以上の地球局を含む、信号発生源の位置を推定する推定システムであって、
一つの移動体によって複数の受信時間において受信された信号の周波数特性を決定する周波数特性決定装置と、
前記複数の受信時間のうちの2つの受信時間を一組とする受信時間組について、当該受信時間組の2つの受信時間の周波数特性間の相関値と周波数との関係を示す周波数対相関値特性を決定する周波数対相関値特性決定装置と、
受信時間組について、当該受信時間組の2つの受信時間における前記移動体の位置及び速度に基づいて、信号発生源の候補推定位置において想定されるドップラー周波数変化量を算出する想定ドップラー周波数変化量算出装置と、
受信時間組についての周波数対相関値特性及び想定ドップラー周波数変化量に基づいて、当該受信時間組についての候補推定位置と相関値との関係を示す候補推定位置対相関値特性を決定する候補推定位置対相関値特性決定装置と、
一以上の受信時間組についての候補推定位置対相関値特性に基づいて、信号発生源の推定位置を決定する推定位置決定装置と、
を含む推定システム。
【請求項9】
前記各装置を前記移動体又は前記地球局の一方が備えている、
請求項8に記載の推定システム。
【請求項10】
前記各装置が前記移動体と前記地球局とに分散して設けられている、
請求項8に記載の推定システム。
【請求項11】
信号発生源の位置を推定する方法であって、一以上のコンピュータに、
一つの移動体によって複数の受信時間において受信された信号の周波数特性を決定させ、
前記複数の受信時間のうちの2つの受信時間を一組とする受信時間組について、当該受信時間組の2つの受信時間の周波数特性間の相関値と周波数との関係を示す周波数対相関値特性を決定させ、
受信時間組について、当該受信時間組の2つの受信時間における前記移動体の位置及び速度に基づいて、信号発生源の候補推定位置において想定されるドップラー周波数変化量を算出させ、
受信時間組についての周波数対相関値特性及び想定ドップラー周波数変化量に基づいて、当該受信時間組についての候補推定位置と相関値との関係を示す候補推定位置対相関値特性を決定させ、
一以上の受信時間組についての候補推定位置対相関値特性に基づいて、信号発生源の推定位置を決定させる、
方法。
【請求項12】
請求項11に記載された方法を一以上のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、信号発生源の位置を推定する推定装置、移動体、地球局、システム、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
衛星システムにおいてドップラー周波数を用いて電波の発信源の位置を推定する方式が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1においては、想定されるドップラー変化量、受信時刻遅れ、及び受信時間から、各送信位置での電波を復元し、一致度を計算し、一致度が高い位置を電波の発信源の推定位置とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第11,480,649号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された方法においては、元電波を復元するためにはドップラー効果によるシフト量を正確に算出する必要がある。取得した信号からシフト量を算出する段階で誤差が生じやすく、精度よく発信源の位置を推定することは困難であった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ドップラーシフト量を精度よく算出する必要なく、信号発信源の位置を推定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1.本発明の一実施形態の推定装置は、信号発生源の位置を推定する推定装置であって、一つの移動体によって複数の受信時間において受信された信号の周波数特性を決定する周波数特性決定装置と、前記複数の受信時間のうちの2つの受信時間を一組とする受信時間組について、当該受信時間組の2つの受信時間の周波数特性間の相関値と周波数との関係を示す周波数対相関値特性を決定する周波数対相関値特性決定装置と、受信時間組について、当該受信時間組の2つの受信時間における前記移動体の位置及び速度に基づいて、信号発生源の候補推定位置において想定されるドップラー周波数変化量を算出する想定ドップラー周波数変化量算出装置と、受信時間組についての周波数対相関値特性及び想定ドップラー周波数変化量に基づいて、当該受信時間組についての候補推定位置と相関値との関係を示す候補推定位置対相関値特性を決定する候補推定位置対相関値特性決定装置と、一以上の受信時間組についての候補推定位置対相関値特性に基づいて、信号発生源の推定位置を決定する推定位置決定装置と、を含む。
【0007】
2.1項に記載の推定装置にける推定位置決定装置は、複数の受信時間組についての推定候補位置対相関値特性に基づいて決定される相関値を引数とする関数によって算出される値が所定値以上の候補推定位置を信号発生源の推定位置として決定するようにしてもよい。
【0008】
3.前記関数は引数の積分値を算出する関数である、2項に記載の推定装置。
【0009】
4.1項~3項に記載の推定装置において、前記複数の受信時間組の各組の2つの受信時間の一方は前記複数の受信時間組において共通の受信時間であり、他方は組ごとに異なる受信時間とすることができる。
【0010】
5.1項~3項に記載の推定装置において、前記複数の受信時間組の各組の2つの受信時間のいずれも前記複数の受信時間組において共通の受信時間ではないようにしてもよい。
【0011】
6.本発明の一実施形態における移動体は、1~5項のいずれかに記載の推定装置を含むことができる。
【0012】
7.本発明の一実施形態において地球局は、1~5項のいずれかに記載の推定装置を含むことができる。
【0013】
8.本発明の一実施形態における推定システムは、一以上の移動体及び一以上の地球局を含む、信号発生源の位置を推定する推定システムであって、一つの移動体によって複数の受信時間において受信された信号の周波数特性を決定する周波数特性決定装置と、前記複数の受信時間のうちの2つの受信時間を一組とする受信時間組について、当該受信時間組の2つの受信時間の周波数特性間の相関値と周波数との関係を示す周波数対相関値特性を決定する周波数帯相関値特性決定装置と、受信時間組について、当該受信時間組の2つの受信時間における前記移動体の位置及び速度に基づいて、信号発生源の候補推定位置において想定されるドップラー周波数変化量を算出する想定ドップラー周波数変化量算出装置と、受信時間組についての周波数対相関値特性及び想定ドップラー周波数変化量に基づいて、当該受信時間組についての候補推定位置と相関値との関係を示す候補推定位置対相関値特性を決定する候補推定位置対相関値特性決定装置と、一以上の受信時間組についての候補推定位置対相関値特性に基づいて、信号発生源の推定位置を決定する推定位置決定装置と、を含む。
【0014】
9.8項に記載のシステムにおいて、前記各装置を前記移動体又は前記地球局の一方が備えるようにしてもよい。
【0015】
10.8項に記載のシステムにおいて、前記各装置が前記移動体と前記地球局とに分散して設けられるようにしてもよい。
【0016】
11.本発明の一実施形態における推定方法は、信号発生源の位置を推定する方法であって、一以上のコンピュータに、一つの移動体によって複数の受信時間において受信された信号の周波数特性を決定させ、前記複数の受信時間のうちの2つの受信時間を一組とする受信時間組について、当該受信時間組の2つの受信時間の周波数特性間の相関値と周波数との関係を示す周波数対相関値特性を決定させ、受信時間組について、当該受信時間組の2つの受信時間における前記移動体の位置及び速度に基づいて、信号発生源の候補推定位置において想定されるドップラー周波数変化量を算出させ、受信時間組についての周波数対相関値特性及び想定ドップラー周波数変化量に基づいて、当該受信時間組についての候補推定位置と相関値との関係を示す候補推定位置対相関値特性を決定させ、一以上の受信時間組についての候補推定位置対相関値特性に基づいて、信号発生源の推定位置を決定させる。
【0017】
12.本発明の一実施形態におけるプログラムは、11項に記載の方法を一以上のコンピュータに実行させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施形態によれば、ドップラーシフト量を算出することなく、信号発信源の位置を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る位置推定システムの構成を示す図である。
図2】推定装置を含む移動体及び地球局の詳細構成を示す図である。
図3】推定装置の詳細構成を示す図である。
図4】実施形態における推定装置を含む推定システムの動作フローチャートの一例である。
図5】移動体が受信した受信電波の時間軸波形の一例である。
図6A】実施形態における受信時刻t0における受信信号の周波数特性の一例である。
図6B】実施形態における受信時刻t1における受信信号の周波数特性の一例である。
図7】信号相関処理の概念を説明するための図である。
図8】実施形態における周波数対相関値特性(時刻t0-t1)の一例である。
図9A】実施形態における想定ドップラー周波数変化量特性(時刻t0-t1)の一例である。
図9B】実施形態における想定ドップラー周波数変化量特性(時刻t0-t2)の一例である。
図9C】実施形態における想定ドップラー周波数変化量特性(時刻t0-t3)の一例である。
図10A】実施形態における候補推定位置対相関値特性(時刻t0-t1)の一例である。
図10B】実施形態における候補推定位置対相関値特性(時刻t0-t2)の一例である。
図10C】実施形態における候補推定位置対相関値特性(時刻t0-t3)の一例である。
図11】実施形態における相関値特性の積分値特性の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態に係る信号発生源の位置を推定する推定装置、移動体、地球局、システム、方法、及びプログラムについて、図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る信号発生源の位置を推定する推定システムの構成を示す図である。図1に示す推定システム1は、以下で詳細に説明するとおり、電波等の信号を受信し、受信した信号に基づいて信号発生源の位置を推定するシステムである。推定システム1は、電波監視システムとして用いることができる。
【0022】
推定システム1は、移動体2と、地球局3とを備える。移動体2は、電波等の信号を受信し、当該受信した信号に基づいて移動体2に備えられた推定装置が信号発生源の位置を推定し、推定された位置についての情報を地球局3に送信することができる。移動体2は、例えば、人工衛星、無人航空機を含む航空機等、移動しながら電波等を受信することができるものであればよい。本明細書では、移動体2は、人工衛星である。人工衛星は、衛星軌道上で地球を周回移動することができる。衛星軌道は、例えば、低軌道(LEO:Low Earth Orbit)、中軌道(MEO:Middle Earth Orbit)、静止軌道(GEO:Geostatinary Earth Orbit)とすることができ、これらに特に限定されない。図1においては、移動体2は予め決められた衛星軌道4に沿って移動する。例えば、移動体2は、時間t0のとき位置2t0に位置し、時間t1のとき位置2t1に移動し、時間t2のとき位置2t2に移動する。図1において移動体2は1つのみが示されているが推定システム1は複数の移動体2を含むことができる。
【0023】
推定システム1は、位置が不明である信号発生源5-1、5-2及び5-3の位置を推定することを目的とする。信号発生源は1つであってもよいし、複数であってもよい。推定システム1は複数の移動体2を含んでもよいが、単一の移動体2によって受信された信号に基づいて信号発生源の位置を推定することができる。図1においては緯度経度及び海面からの高度を示す座標系が示されている。
【0024】
移動体2は、受信器20、推定装置21、送信器22、位置情報取得装置23、通信用送受信器25、制御装置26及び記憶装置27を備え、その他の各種機能を実現する構成要素を備えることができる。当該構成要素としては、太陽光パネル、電池等を含む、移動体2に搭載された各機器に電力を供給する電源系サブシステム、移動体2の姿勢を制御する姿勢制御系サブシステム、移動体2を推進する推進系サブシステム、移動体2内の温度範囲を制御する熱制御系サブシステムなどを含むことができる。
【0025】
受信器20は、電波等の信号を受信する装置であり受信アンテナを含む。ここでいう電波は、例えば、3THz以下の周波数を有する電磁波を対象とすることができるが、これに限定されない。例えば、赤外線やその他、ドップラーシフトする波形を有するものであればどのようなものであってもよい。受信器20は、例えば、地球上から到来する電波を受信する。地球上は、本実施形態においては、地上及び/又は海上をいうが、受信器20が受信可能な電波はこれらに限定されない。すなわち、電波発信源は、地上に設置された設備、地上を移動可能な移動体、海上の船舶、地表面又は海表面の上空の飛行体、宇宙空間の宇宙機を含むことができる。ここでは受信器20は、受信したアナログ電波信号を当該電波信号の時間軸波形を示すデジタル信号に変換して出力する。
【0026】
推定装置21は、1以上のコンピュータ及び/又は1以上の処理回路及び記憶装置により構成され、受信した電波等の信号に基づいて信号の発生源の位置を推定する。推定装置21のより詳細な構成を図3に示す。図3に示すように推定装置21は、周波数特性決定装置211、周波数対相関値特性決定装置212、想定ドップラー周波数変化量算出装置213、候補推定位置対相関値特性決定装置214及び推定位置決定装置215を含む。推定装置21における記憶装置に記憶されたプログラムが1以上のコンピュータ及び/処理回路によって実行されることによってこれらの装置が実現されるようにしてもよいし、機能の一部又は全部を実現するための電子回路等を構成することによりハードウェアによってもこれらの機能は実現してもよい。
【0027】
周波数対相関値特性決定装置212は、1つの移動体によって複数の受信時間において受信された信号の周波数特性を決定する。周波数対相関値特性決定装置212は、複数の受信時間のうちの2つの受信時間を一組とする受信時間組について、当該受信時間組の2つの受信時間の周波数特性間の相関値と周波数との関係を示す周波数対相関値特性を決定する。想定ドップラー周波数変化量算出装置213は、受信時間組について、当該受信時間組の2つの受信時間における前記移動体の位置及び速度に基づいて、信号発生源の候補推定位置において想定されるドップラー周波数変化量を算出する。候補推定位置対相関値特性決定装置214は、受信時間組についての周波数対相関値特性及び想定ドップラー周波数変化量に基づいて、当該受信時間組についての候補推定位置と相関値との関係を示す候補推定位置対相関値特性を決定する。推定位置決定装置215は、一以上の受信時間組についての候補推定位置対相関値特性に基づいて、信号発生源の推定位置を決定する。
【0028】
一つの実施形態においては、推定位置決定装置215は、複数の受信時間組についての推定候補位置対相関値特性に基づいて決定される相関値を引数とする関数によって算出される値が所定値以上の候補推定位置を信号発生源の推定位置として決定することができる。複数の候補推定位置を信号発生源の推定位置として決定してもよい。他の実施形態として相関値を引数とする関数によって算出される値が最も高い候補推定位置を信号発生源の推定位置として決定してもよい。推定位置は緯度及び経度によって特定することができるが、その緯度及び経度によって代表される一定の範囲を持った領域とすることができる。
【0029】
相関値を引数とする関数は、引数の積分値を算出する関数とすることができる。相関値を引数とする関数によって算出される値の一例としては、相関値の合計値である。また、各相関値に対して決定された重みづけ係数を乗算した値を積分する関数とすることもできる。関数は、複数の相関値に基づいて当該位置における相関の大きさを示す値を決定する関数であればどのような関数であってもよい。
【0030】
複数の受信時間組の各組の2つの受信時間の一方は前記複数の受信時間組において共通の受信時間であり、他方は組ごとに異なる受信時間とすることができる。さらに、別の実施形態においては、複数の受信時間組の各組の2つの受信時間のいずれも前記複数の受信時間組において共通の受信時間ではない受信時間を用いてもよい。
【0031】
本実施形態においては、推定装置21は信号発生源の候補推定位置において想定されるドップラー周波数変化量を算出する際に用いる自己の位置及び速度を位置情報取得装置23から取得するものとする。ここで速度は移動方向を含むものとする。他の実施形態においては、移動体の予め決定されいてる航路及び時刻に基づいて自己の位置及び速度を決定してもよいし、地球局3等の他の装置から取得するようにしてもよい。
【0032】
推定装置21は推定された位置を送信器22へ出力する。送信器22は推定装置21から入力された信号発生源の推定位置の情報を送信する装置であり、送信アンテナを含む。送信器22は例えば地球局3へ推定位置情報を送信する。推定装置21は送信器22に代えて、制御装置を介して通信用送受信器25から推定位置情報を送信するようにしてもよい。
【0033】
位置情報取得装置23は、移動体2の位置情報及び速度を取得する。位置情報取得装置23は、例えば、全地球測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)からの信号に基づいて移動体2の位置及び速度を算出し、推定装置21へ入力することができる。
【0034】
通信用送受信器25は、地球局3からのコマンド信号を受信し、テレメトリ信号を地球局3に送信する装置であり通信用アンテナを含む。コマンド信号は、移動体2を制御するためのコマンドデータを含んだ信号である。コマンド信号は、制御装置26が各構成を制御するための信号であり、通信用送受信器25から制御装置26に送信される。テレメトリ信号は、移動体2の状態を示すテレメトリデータを含んだ信号である。通信用送受信器25は、受信したコマンド信号を復調し、復調した信号を制御装置26に出力する。通信用送受信器25は、テレメトリ信号を変調し、通信用送受信器25を介して地球局3に送信する。
【0035】
制御装置26は、1以上のコンピュータ及び/又は1以上の処理回路により構成され、移動体2の全体的な制御を行う。例えば、制御装置29は、受信器20、推定装置21、送信器22、位置情報取得装置23、通信用送受信器25、記憶装置27を制御することができる。記憶装置27は、メモリ及び/又はストレージで構成され、移動体2の制御等に必要な情報を記憶する。記憶装置27は、移動体2の制御に必要なプログラムを記憶し、これを1以上のコンピュータ及び/又は1以上の処理回路により実行するによって各装置が実現されるようにしてもよいし、機能の一部又は全部を実現するための電子回路等を構成することによりハードウェアによってもこれらの機能は実現してもよい。
【0036】
地球局3は、移動体2と通信するシステムである。地球局3は、地上に固定して設置しても良いし、地上、海上又は地表面若しくは海表面の上空を移動可能な移動体に配備されていても良い。
【0037】
地球局3は、通信用送受信器30、制御装置31、及び記憶装置32を備える。
【0038】
通信用送受信器30は、コマンド信号を送信し、テレメトリ信号を受信するための空中線を含み、移動体2の制御信号を変調してコマンド信号を生成及び送信する。また、通信用送受信器30は、テレメトリ信号を受信して復調し、その結果を制御装置31に出力する。通信用送受信器30はさらに、移動体2の送信器22から送信された推定位置情報を含む信号を受信することができるものとするが、推定位置情報の信号は他の受信器によって受信するようにしてもよい。
【0039】
制御装置31は、入出力装置、及び、コンピュータ及び/又は処理回路を含んで構成され、移動体2の制御信号を生成する。記憶装置32は、メモリ及び/又はストレージで構成され、地球局3の制御等に必要な情報を記憶する。記憶装置27は、移動体の制御に必要なプログラムを記憶し、これを1以上のコンピュータ及び/又は1以上の処理回路により実行するによって各装置が実現されるようにしてもよいし、機能の一部又は全部を実現するための電子回路等を構成することによりハードウェアによってもこれらの機能は実現してもよい。記憶装置27はさらに、受信された推定位置を格納することができる。これによって、例えば、信号を発信している船舶の位置を特定し、当該船舶について必要な処理を実行することができる。
【0040】
本実施形態においては、推定装置21は移動体2に含まれるものとするが、その一部または全部が地球局3に備えられてもよい。例えば、1つの移動体2によって受信された信号を示す情報を移動体2が送信し、地球局3がこれを受信して、当該地球局3に備えられた推定装置21に入力することで移動体2によって受信された信号に基づく信号発生源の位置を推定することができる。さらに別の実施形態においては、推定装置21は移動体2及び地球局3以外の装置内にその一部または全部が備えられてもよいし、推定装置21を単体として設置し、移動体2が受信した信号を推定装置21が備える通信装置を介して受信し、信号発生源の位置推定を実行してもよい。
【0041】
次に、図4を参照しながら、本実施形態における推定システム1の動作について説明する。まず、単一の移動体である人工衛星2の受信器20が所定の期間、例えば、時刻t0~tNの間、電波信号を受信する(S401)。受信器20は、図5に示すように受信電波を時刻t0、t1、t2、t3、・・・tNと分割し、各分割された時間の時間軸波形をサンプリング周波数fsによってサンプリングし、当該時間軸波形を示すデジタル信号に変換して推定装置21に出力する。
【0042】
推定装置21は入力された時間軸波形を示すデジタル信号に基づいて各時刻t0、t1、t2、t3、・・・tNにおける受信信号の周波数特性を決定する(S402)。本実施形態においては、高速フーリエ変換(FFT)を用いて時間軸波形に基づいて周波数特性を決定するものとしたが、受信信号の周波数特性を求めることができればどのような方法を用いてもかまわない。
【0043】
人工衛星2は移動しながら電波を受信するから、信号発信源の人工衛星2に対する相対的な移動速度によって、信号発生源から送信された信号周波数forgを有する電波信号はドップラー効果の影響を含んだドップラー周波数fd(発信信号周波数forg+ドップラー効果によるシフト量δ)として受信される。本実施形態においては、人工衛星2の移動速度が信号発信源の移動速度に対して十分に大きいものとして、信号発信源は移動していないものとみなす。一例として、時刻t0及び時刻t1における周波数特性を図6A及びBに示す。周波数特性は周波数と振幅の大きさの関係を示すものである。例えば、図6Aは、周波数f1からf2の間で大きな振幅を示す周波数特性を有しており、図6Bは、周波数f3からf4の間で大きな振幅を示す周波数特性を有している。すなわち、時刻t0においてはドップラー周波数が周波数f1からf2の間の信号を受信していたと考えられ、時刻t1においてはドップラー周波数が周波数f3からf4の間の信号を受信していたと考えられる。この場合、同じ信号発信源から信号を受信しているものの、人工衛星2が所定の速度で移動したために、信号発信源から受信される電波が受けるドップラー効果の大きさが変化したことにより、ドップラー周波数が変化した可能性があると考えられる。
【0044】
次に、推定装置21は周波数対相関値特性を決定する(S404)。周波数対相関値特性は、2つの周波数特性間の相関関係を示すものである。周波数対相関値特性の決定方法は、2つの周波数特性間の相関関係を決定できる方法であればどのような方法であってもよい。本実施形態においては、2つの信号の信号相関処理(Cross-Correlation)を決定する方法を用いる。信号の相関処理Cross-correlationとは、二つの信号がどれくらい似ているかを評価する方法である。値が大きいほど、二つの信号がより似通っていることを表す。信号の周波数領域でのCross-correlationは、以下の式(1)で表される。
【0045】
【数1】
【0046】
F* ti:時刻tiに対応する信号の周波数特性(*はエルミート転置)
Ftx:時刻txに対応する信号の周波数特性
【0047】
ここで、F* tiの周波数特性を様々な値uだけ周波数軸においてシフトさせて、以下の式(2)に示すように相関をとることを考える。
【0048】
【数2】
【0049】
前述したとおり、Cross-correlationは、2つの信号が似通っている場合に高い相関値を示す。異なる時間に受信された2つの受信信号が同一の信号発生源から送信されている場合には、その周波数特性は互いに似通っているから高い相関値を示すと考えられる。受信器が移動しながら信号を受信する場合には異なるドップラー周波数にて受信されるから、周波数特性がドップラー周波数変化量だけ周波数軸方向にシフトする。このため図7の(a)に示すように、2つの受信信号が同じ発信源からの信号である場合であっても、2つの信号は重ならないから相関値は小さくなる。本実施形態においては、ドップラー効果の変化によってドップラー周波数が変位した場合に2つの受信信号が似通っているかを判定するために、式(2)に示すとおり、一方の周波数特性をシフトさせながら相関値を決定する。2つの受信信号が同じ発信源からの信号である場合、図7の(b)に示すように、シフトさせた周波数の大きさuが2つの信号のドップラー周波数変化量に対応する周波数であるとき、2つの信号は重なりが大きくなり、大きな相関値となる。ドップラー周波数変化量は、第1の受信信号が経験したドップラー効果の影響を受けた第1のドップラー周波数と第2の受信信号が経験したドップラー効果の影響を受けた第2のドップラー周波数の周波数差を意味する。
【0050】
したがって、上述の式(2)を用いて、2つの受信時間において受信された信号の周波数特性間の相関特性を決定することによって、2つの信号のドップラー周波数変化量を推定することができる。
【0051】
図8は、式(2)を用いて時刻t0及び時刻t1における周波数特性間の周波数対相関値特性を示す。横軸は一方の周波数特性(Fti)がシフトされた周波数uを示し、縦軸は相関値を示す。uがfa、fb、fc及びfdにおいて高い相関値が示されているから、時刻t0及び時刻t1はこれらの周波数に対応するドップラー周波数変化量となる信号を受信したものと推定される。1つの受信器において受信される場合であっても、異なる位置の発信源から発信された信号が経験するドップラー効果は互いに異なる。このため、4つのピークが示される図8の周波数帯相関値特性は、4つの信号発信源から発信された信号が受信された可能性があることを示す。なお、1つ以上のピーク周波数は誤検知の可能性もある。
【0052】
他の実施形態として、2つの周波数特性間の相関関係を決定するために信号相関処理としてCross-Ambiguityを用いてもよい。Cross-Ambiguityにおいては周波数をシフトさせ、相関を計算することに加えて、時間領域の遅延も含めて相関をとり、二つの信号が重なる時間ずれ及び周波数シフトを求めることができる。周波数領域の相関処理ではなく、Cross-Ambiguityを計算したのち、各周波数シフトについて、最も大きな相関を求めることで、Cross-Correlationを使用する場合の処理と同様の処理により推定位置を決定することが可能である。
【0053】
本実施形態においては、複数の受信時間のうちの2つの受信時間を一組とする受信時間組を決定し、決定された各受信時間組の2つの受信時間について、この周波数対相関値特性を決定する処理を実行し、各受信時間組についての周波数対相関値特性を取得する。
【0054】
そして、推定装置21はS406において、各受信時間組について、当該受信時間組の2つの受信時間における、当該信号を受信した移動体2の位置及び速度に基づいて、信号発生源の候補推定位置において想定されるドップラー周波数変化量を算出する。移動体2の位置及び速度は位置情報取得装置23から取得するものとする。1つの受信時間組に含まれる一方の受信時間の受信信号について、信号発生源の推定位置、移動方向及び速度に基づいて想定される第1の想定ドップラー周波数を決定し、他方の受信時間の受信信号についても同様に、信号発生源の推定位置、移動方向及び速度に基づいて想定される第2の想定ドップラー周波数を決定し、第1及び第2の想定ドップラー周波数の差分を決定することによって、当該位置における、当該受信時間組についての想定ドップラー周波数変化量を算出する。候補推定位置は一以上の任意の地点とすることができる。本実施形態においては、地球表面(地面及び海面)における所定領域内の点とし、緯度及び経度によって特定する。
【0055】
図9A~Cに、各緯度及び経度における3つの受信時間組(時刻t0と時刻t1、時刻t0と時刻t2、及び、時刻t0と時刻t3)ごとの想定ドップラー周波数変化量特性を示す図である。線901~905,911~915、921~925によって結ばれる地点は同じ想定ドップラー周波数変化量fd1、fd2、fd3、fd4、fd5が想定される地点であることを意味し、fd5想定ドップラー周波数変化量の等高線を示すものである。図9A~Cは想定ドップラー周波数変化量の緯度経度に対するマップともいえる。等高線で示されていない間の地点については図の簡略化のために何も示さないが、これらの地点においても想定ドップラー周波数変化量は算出されて、各緯度経度に対応付けて推定装置21の記憶装置において記憶される。ここでは、各緯度経度に対する想定ドップラー周波数変化量特性は関数dfj(lat(緯度)、lon(経度))によって表現するものとする。関数dfj(lat(緯度)、lon(経度))によって表現されるドップラー周波数変化量は、各緯度経度に対応付けられてテーブルとして記憶されてもよいし、逐次演算によって算出するようにしてもよい。
【0056】
本実施形態において、各受信時間組に含まれる受信時間の一方は同じ時刻t0で共通としたが、共通の受信時刻を含まないようにしてもよいし、一部重複するようにしてもよい。例えば、受信時間組として、時刻t0と時刻t1、時刻t2と時刻t3、及び時刻t4と時刻t5というように、共通の受信時刻を含まないようにしてもよいし、時刻t0及び時刻t1、時刻t1及び時刻t2、及び時刻t3及び時刻t4というように、一部重複するようにすることもできる。2つの受信時間においてドップラー周波数変化量を決定できるような組であればどのような時間組であってもかまわない。
【0057】
S408において推定装置21は、受信時間組についての周波数対相関値特性及び想定ドップラー周波数変化量に基づいて、当該受信時間組についての候補推定位置と相関値との関係を示す候補推定位置対相関値特性を決定する。さらに推定装置21はS410において、一以上の受信時間組についての候補推定位置対相関値特性に基づいて、信号発生源の推定位置を決定する。本実施形態においては複数の受信時間組についての推定候補位置対相関値特性に基づいて決定される相関値を引数とする関数によって算出される値に基づいて、推定位置を決定する。ここでは相関値を引数とする関数は引数の積分値を算出する関数とし、以下の式(3)によって表すことができる。
【0058】
【数3】
【0059】
corrjは、緯度lat及び経度lonに対する相関値を示す候補推定位置対相関値特性を示す関数である。受信時間組jにおける各緯度lat及び経度lonにおける想定ドップラー周波数変化量を想定ドップラー周波数変化量の関数dfjに基づいて算出し、当該受信時間組jにおける周波数対相関値特性を示す関数corrjに代入することによって、当該緯度及び経度の相関値を決定する。これをN個の受信組に対して実行して、決定された相関値の積分値SumF(lat, lon)を出力する。これを各候補推定位置(緯度、経度)に対して実行する。そして、算出された積分値が大きい位置から信号が発信された可能性が高いと考えられる。ここでNは1以上の自然数であり、N=1であってもよいが、Nが2以上の複数である方が位置の推定精度を高めることができる。推定精度を高めることは、推定位置の領域をより限定することができること、及び、誤検知の確率を低下させることができることを含む。
【0060】
本実施形態においては、複数の受信時間組についての推定候補位置対相関値特性に基づいて決定される相関値の積分値が所定値以上の候補推定位置を信号発生源の推定位置として決定するが、積分値が大きい順に所定数の候補推定位置を推定位置してもよいし、その他の方法によって積分値に基づいて推定位置を決定することができる。
【0061】
図10A~Cに3つの受信時間組について関数corrjによって計算された相関値と緯度経度の関係を表した候補推定位置対相関値特性(マップ)の一例を示す。横軸及び縦軸は緯度経度であり、グレーに着色された部分が相関値が高い領域であることを示している。図10A~Cにおいては簡略化のため相関値が最も高い領域をグレーによって示したが、各緯度経度がそれぞれ相関値を有しており、推定装置21に記憶されている。図11は、この3つの受信時間組における相関値の積分値と緯度経度との関係を示す積分値特性(マップ)であり、位置1101が閾値を超える積分値を示したため、この候補推定位置を推定位置として決定する。
【0062】
1つの受信時間組のみを用いる場合には、例えば、図10Aに示すグレーの領域のいずれかの位置から信号が発信されているとして推定位置を決定することができる。
【0063】
本実施形態においては推定位置を緯度及び経度によって特定するものとしたが、前述の実施形態と同様の方法によって3次元座標系によって特定できることは当業者には明確に理解できる。
【0064】
本実施形態を用いることにより、ドップラーシフト量を算出することなく、信号発生源の位置を推定することが可能となる。信号発生源の推定位置の決定処理に用いる候補推定位置対相関位置特性は1つの受信時間組に基づいて行うことも可能であるが、2又はそれより多い複数の組の受信時間組を用いると推定精度を高めることができる。
【0065】
従来の手法を用いた場合、例えば、図8において最も大きいピークが立つ値をドップラーシフト量として算出し、そのパラメータだけをもとに推定位置を決定する必要がある。しかしながら、図8に示す例のようにピークがいくつも出現する場合、瞬時的な若干の誤差で、大きくドップラーシフト量を誤った値で読みとってしまう可能性がある。すなわち、別の山のピークを読み取ってしまう可能性があり、誤ったピークを読み取ると、位置の推定精度が低下する。本実施形態においては、相関値をそのまま候補推定位置に対応付けるため、瞬間的な値でパラメータを誤った値で読み取って推定精度が低下する、ということはない。いくつかの時間で重ね合わせ、最も重なりが大きい位置が信号発信源である可能性が高い、と推定することができるため、そのような外れ値による影響を受けにくくなる。
【0066】
また、本実施形態においては単一の移動体によって受信された受信信号に基づいて信号発生源の位置の推定が可能である。さらにまた、信号発生源が複数であっても、1つの移動体によって受信された受信信号に基づいて、複数の信号発生源の位置を推定することができる。
【0067】
本発明の他の実施形態では、上記で説明した本発明の実施形態の機能やフローチャートに示す処理を実現するプログラムや該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体とすることもできる。また他の実施形態では、上記で説明した本発明の実施形態の機能やフローチャートに示す処理を実現する方法とすることもできる。また他の実施形態では、上記で説明した本発明の実施形態の機能やフローチャートに示す処理を実現するプログラムをコンピュータに供給することができるサーバとすることもできる。また他の実施形態では、上記で説明した本発明の実施形態の機能やフローチャートに示す処理を実現する仮想マシンとすることもできる。
【0068】
以上に説明した処理又は動作において、あるステップにおいて、そのステップではまだ利用することができないはずのデータを利用しているなどの処理又は動作上の矛盾が生じない限りにおいて、処理又は動作を自由に変更することができる。また以上に説明してきた各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 :推定システム
2 :移動体
3 :地球局
4 :衛星軌道
5 :信号発生源
20 :受信器
21 :推定装置
22 :送信器
23 :位置情報取得装置
25 :通信用送受信器
26 :制御装置
27 :記憶装置
29 :制御装置
30 :通信用送受信器
31 :制御装置
32 :記憶装置
211 :周波数特性決定装置
212 :周波数対相関値特性決定装置
213 :想定ドップラー周波数変化量算出装置
214 :候補推定位置対相関値特性決定装置
215 :推定位置決定装置
【要約】
【課題】信号発生源の位置を推定する推定装置等を提供する。
【解決手段】一の移動体によって複数の受信時間において受信された信号の周波数特性を決定する装置と、複数の受信時間のうちの2つの受信時間を一組とする受信時間組について当該受信時間組の2つの受信時間の周波数特性間の相関値と周波数との関係を示す周波数対相関値特性を決定する装置と、受信時間組について当該受信時間組の2つの受信時間における前記移動体の位置及び速度に基づいて、信号発生源の候補推定位置において想定されるドップラー周波数変化量を算出する装置と、受信時間組についての周波数対相関値特性及び想定ドップラー周波数変化量に基づいて当該受信時間組についての候補推定位置と相関値との関係を示す候補推定位置対相関値特性を決定する装置と、一以上の受信時間組についての候補推定位置対相関値特性に基づいて、信号発生源の推定位置を決定する装置と、を含む、推定装置。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11