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特許7596006情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20241202BHJP
【FI】
G06Q50/06
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2024532335
(86)(22)【出願日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2024012468
【審査請求日】2024-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2023052677
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521402985
【氏名又は名称】株式会社Sustech
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】丹野 裕介
(72)【発明者】
【氏名】大橋 昭文
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-280020(JP,A)
【文献】特開2021-149282(JP,A)
【文献】特開2016-093050(JP,A)
【文献】特開2017-182399(JP,A)
【文献】特開2022-065567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H02J 3/00-5/00
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気象予報データを取得する気象予報取得手段と、
発電設備における発電実績を取得する発電実績取得手段と、
前記発電設備の発電能力及び設置場所を取得する発電能力等取得手段と、
少なくとも最新の前記気象予報データ、並びに前記発電設備の前記発電実績、前記発電能力及び前記設置場所に基づいて、再生可能エネルギーの発電予測値、発電予測最小値、発電予測最大値、及び、前記発電予測最小値から前記発電予測最大値までの幅の大きさの度合である予測確度を算出する発電予測算出手段と、
前記予測確度と予め設定された閾値との比較結果に基づいて、前記発電設備の発電計画における発電量、並びに、電力販売及び購入の入札条件における、入札時期、入札価格、及び、入札量を決定する発電計画等決定手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記発電計画等決定手段は、前記予測確度と予め設定された前記閾値との前記比較結果に加えてさらにインバランス料金及び市場価格に基づいて、前記発電設備の発電計画における前記発電量、並びに、前記電力販売及び購入の前記入札条件における、前記入札時期、前記入札価格、及び、前記入札量を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記発電計画等決定手段は、前記予測確度と予め設定された前記閾値との前記比較結果に代えて、予め設定された複数の入札方針の中からユーザが指定した入札方針に基づいて、前記発電設備の発電計画における前記発電量、並びに、前記電力販売及び購入の前記入札条件における、前記入札時期、前記入札価格、及び、前記入札量を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記発電計画等決定手段は、
前記入札方針の前記ユーザによる指定として、複数回の決定に適用する指定又は個別の決定に適用する指定のうち、前記ユーザにより選択された方を採用して、
採用した当該指定による前記入札方針に基づいて、前記発電設備の発電計画における前記発電量、並びに、前記電力販売及び購入の前記入札条件における、前記入札時期、前記入札価格、及び、前記入札量を決定する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
算出された前記発電予測値及び前記発電予測最小値の時間的な変化を示すグラフを生成するグラフ生成手段と、
生成された前記グラフを表示するための表示データを生成する表示データ生成手段と、
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記グラフ生成手段は、前記発電予測値、前記発電予測最大値、前記発電予測最小値及び前記発電実績のうち少なくとも一つの時間的な変化を示す連続曲線を生成する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記グラフ生成手段は、
前記グラフの軌跡として、連続曲線、階段状、連続線状、又は散布状の何れかの選択を受け付けるグラフ選択手段と、
前記グラフにおける時間的な変化を示す時間単位を、所定の入札単位に応じて変化させる時間単位変更手段と、
を有する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記発電計画等決定手段は、前記予測確度と予め設定された前記閾値との前記比較結果に代えてユーザが設定する設定発電量に基づいて、前記発電設備の発電計画における前記発電量、並びに、前記電力販売及び購入の前記入札条件における、前記入札時期、前記入札価格、及び、前記入札量を決定し、
表示された前記グラフの位置が前記ユーザに指定されると、当該位置に基づいて前記設定発電量を設定する発電量設定手段
をさらに備える請求項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記発電予測値及び前記発電予測最小値が算出された単位時間と、算出された前記発電予測値及び前記発電予測最小値と関連付ける関連付手段と、
前記グラフの表示範囲を、1以上の前記単位時間で指定する表示範囲指定手段と、
前記グラフのうち、指定された前記1以上の単位時間の夫々に関連付けられた前記発電予測値及び前記発電予測最小値を含む部分を、グラフ表示部分として特定するグラフ表示部分特定手段と、
をさらに備え、
前記表示データ生成手段は、前記表示データとして、前記グラフ表示部分を表示するためのデータを生成する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記表示範囲指定手段は、前記グラフの表示範囲を変化させる操作を受け付け、
前記グラフ表示部分特定手段は、前記グラフの表示範囲を変化させる前記操作に連動して、前記グラフ表示部分を変化させ、
前記表示データ生成手段は、前記表示データとして、変化された前記グラフ表示部分を表示するためのデータを生成する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
特定の日時又は特定の予測区間を指定する特定日時等指定手段をさらに備え、
前記表示データ生成手段は、指定された前記特定の日時又は前記特定の予測区間における前記発電予測値、前記発電予測最小値及び前記発電実績のうち少なくとも一つを、前記グラフに重ねて表示するための前記表示データを生成する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記グラフ生成手段は、前記発電予測値及び前記発電予測最小値に加えてさらに、前記発電実績の時間的な変化を示す前記グラフを生成する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記気象予報取得手段は、
少なくとも電力取引の応札締切時期若しくは応札開始時期、並びに前記電力販売及び購入の入札条件の決定に要する時間に基づいて、最新の前記気象予報データを取得する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記発電予測値と前記発電実績とを比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に基いて、前記発電設備の異常の有無を判断する異常判断手段と、
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項15】
情報処理装置が実行する情報処理方法において、
気象予報データを取得する気象予報取得ステップと、
発電設備における発電実績を取得する発電実績取得ステップと、
前記発電設備の発電能力及び設置場所を取得する発電能力等取得ステップと、
少なくとも最新の前記気象予報データ、並びに前記発電設備の前記発電実績、前記発電能力及び前記設置場所に基づいて、再生可能エネルギーの発電予測値、発電予測最小値、発電予測最大値、及び、前記発電予測最小値から前記発電予測最大値までの幅の大きさの度合である予測確度を算出する発電予測算出ステップと、
前記予測確度と予め設定された閾値との比較結果に基づいて、前記発電設備の発電計画における発電量、並びに、電力販売及び購入の入札条件における、入札時期、入札価格、及び、入札量を決定する発電計画等決定ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項16】
コンピュータに、
気象予報データを取得する気象予報取得ステップと、
発電設備における発電実績を取得する発電実績取得ステップと、
前記発電設備の発電能力及び設置場所を取得する発電能力等取得ステップと、
少なくとも最新の前記気象予報データ、並びに前記発電設備の前記発電実績、前記発電能力及び前記設置場所に基づいて、再生可能エネルギーの発電予測値、発電予測最小値、発電予測最大値、及び、前記発電予測最小値から前記発電予測最大値までの幅の大きさの度合である予測確度を算出する発電予測算出ステップと、
前記予測確度と予め設定された閾値との比較結果に基づいて、前記発電設備の発電計画における発電量、並びに、電力販売及び購入の入札条件における、入札時期、入札価格、及び、入札量を決定する発電計画等決定ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力の市場価格と気象予報データを含むデータにより、電力市場での取引検討を支援するシステムに関する技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-4646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力市場での取引検討における入札条件を決定するためのユーザへの提供情報として、発電予測情報等の表示の仕方の改善が近年要求されている。しかしながら、このような要求に十分にこたえられていない状況であった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、天候の変化に応じて変化する発電設備の発電予測幅を活用し、電力取引における収益性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
気象予報データを取得する気象予報取得手段と、
発電設備における発電実績を取得する発電実績取得手段と、
前記発電設備の発電能力及び設置場所を取得する発電能力等取得手段と、
少なくとも最新の前記気象予報データ、並びに前記発電設備の前記発電実績、前記発電能力及び前記設置場所に基づいて、再生可能エネルギーの発電予測値及び発電予測最小値を算出する発電予測算出手段と、
算出された前記発電予測値及び前記発電予測最小値に基づいて、前記発電設備の発電計画並びに電力販売及び購入の入札条件を決定する発電計画等決定手段と、
を備える。
本発明の一態様の上記情報処理装置に対応する情報処理方法及びプログラムも、本発明の一態様の情報処理方及びプログラムとして提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、天候の変化に応じて変化する発電設備の発電予測幅を活用し、電力市場での収益性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る情報処理装置の一実施形態のサーバを含む情報処理システムの構成を示す図である。
図2図1の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図2のハードェア構成を備えるサーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4図3の機能構成を有するサーバの動作の一例を説明するフローチャートである。
図5】所定の太陽光発電所において発電する電力を電力取引市場に売電する際に、図2図3のサーバにおいて予測した、ある日の発電量予測結果のテーブルを示す図である。
図6図5のテーブルの数値を折れ線で表すグラフである。
図7】所定の太陽光発電所において発電する電力を相対で卸供給する際に、図2図3のサーバにおいて予測した、ある日の発電量予測結果の事例を示すテーブルを示す図である。
図8図7のテーブルの数値を折れ線で表すグラフである。
図9】提出方針を決定するためのリスク許容度の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明に係る情報処理装置の一実施形態のサーバを含む情報処理システムの構成を示す図である。
【0010】
図1に示す情報処理システムは、本サービスの提供者により管理されるサーバ1と、ユーザに操作されるユーザ端末2と、電力市場サーバ3とを備える。サーバ1と、ユーザ端末2と、電力市場サーバ3とは、ネットワークNWを介して相互に通信可能に接続されている。なお、ネットワークNWは、その形態は特に限定されず、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、LAN(Local Area Network)、インターネット等を採用することができる。
【0011】
図2は、図1の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0012】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
【0013】
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0014】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0015】
入力部16は、各種釦等で構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。
出力部17は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声を出力する。
記憶部18は、ハードディスクあるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、後述する地図の情報等の各種データを記憶する。
通信部19は、他の装置(例えば、ユーザ端末2)との間で行う通信を制御する。
【0016】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている地図の情報等の各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
なお、ユーザ端末2や電力市場サーバ3のハードウェア構成は、サーバ1のハードウェア構成と基本的に同様とすることができるので、ここでは説明を省略する。
【0017】
図3は、図2のサーバ1の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、サーバ1のCPU11においては、発電計画を立案する上で前提情報となるデータを取得する取得部41、発電予測を算出する算出部42、発電予測値と実績等を比較する比較部43、異常判断部44、表示制御部45、発電販売計画等決定部46、設定部47が機能する。
【0018】
サーバ1の記憶部18の一領域には、気象予報データDB91と、発電実績データDB92と、発電所情報DB93と、発電予測データDB94と、取引データDB95と、ユーザ情報DB96と、が設けられている。
気象予報データDB91には、特定の地点における、特定の時間帯毎の気象予報データ等が記憶されている。具体的には、例えば天候、気温、雲量、風向、風速、日射量等である。
発電実績データDB92には、特定の発電所毎の、特定の時間帯毎の発電実績のデータが記憶されている。具体的には、例えばDC発電量、AC発電量、出力抑制の有無、各種機器の故障の有無や稼働ステータス情報等である。
発電所情報DB93には、特定の発電所毎の、当該発電設備にかかる情報等が記憶されている。具体的には、例えば発電所の所在地の住所、緯度、経度、標高等のほか、発電所のDC容量、AC容量、PCS台数、PCSメーカー、運転開始時期等の情報である。
発電予測データDB94には、特定の発電所毎の、特定の時間帯毎の発電予測結果が記憶されている。具体的には、例えば発電予測値や、想定される予測誤差幅の最大値や最小値、実際の発電実績との予測誤差等の情報である。
取引データDB95には、特定の発電所毎の、特定の時間帯毎の電力取引データ等が記憶されている。具体的には、例えば電力売買価格単価や売買総量、売買総額、スポット市場価格やインバランス価格、電力取引の応札締切時期若しくは応札開始時期、並びに電力販売及び購入の入札条件等の情報である。また、特定の時間帯毎のスポット市場価格やインバランス価格の予測情報が含まれることもある。
ユーザ情報DB96には、ユーザの情報(本サービスの会員又は利用者の氏名、サーバ1が公開する本サービスのWebサイトへのログイン情報(アカウント)等)が記憶されている。
【0019】
取得部41は、気象予報取得部411と、発電実績取得部412と、発電能力取得部413とを有する。
【0020】
気象予報取得部411は、外部の、例えば気象情報公開機関等から気象予報データを取得し気象予報データDB91に記憶する。
気象予報取得部411は、少なくとも電力取引の応札締切時期若しくは応札開始時期、並びに電力販売及び購入の入札条件の決定に要する時間に基づいて、最新の気象予報データを取得する。
ここで、応札締切時期とは、例えば時間前市場の場合はゲートクローズであり、応札開始時期とは、例えば時間前市場の場合は前日17時等である。ここで示した前日17時は一例であり、他の時刻の場合もある。また、今後変更される場合もある。
【0021】
発電実績取得部412は、発電所(発電設備)から発電実績を取得し、当該発電実績を発電実績データDB92に記憶する。
発電実績取得部412は、例えば、発電所毎のDC発電量、AC発電量、出力抑制の有無、各種機器の故障の有無や稼働ステータス情報等を取得する。
【0022】
発電能力取得部413は、発電所(発電設備)から発電能力及び設置場所等の情報を取得し、発電所情報DB93に記憶する。
発電設備の発電能力とは、例えば太陽光発電所等の場合は太陽光パネルの設計容量や劣化度合い等の性能等である。設置場所とは、例えば地球上位置を特定する緯度、経度、高度等の位置情報である。
【0023】
算出部42は、設定部47により設定された予測確度(少なくとも予測確度を用いる他、下記発電予測算出部421が用いるデータも含む)に基づいて、発電予測最小値を算出する。
算出部42は、発電予測算出部421を有する。
発電予測算出部421は、取得部により取得された、少なくとも最新の気象予報データ、並びに発電設備の発電実績、発電能力及び設置場所に基づいて、再生可能エネルギーの発電予測値及び発電予測最小値を算出する。
なお、再生可能エネルギーとは、例えば太陽光発電により発電される電力である。この他、地熱、風力、水力、潮力等の発電も再生可能エネルギーに含まれる。
発電予測算出部421は、さらに、発電予測最小値及び発電予測最大値で規定される発電予測幅を算出する。発電予測幅とは、例えば予測として信頼できる区間等を言う。
発電予測算出部421によって算出された、再生可能エネルギーの発電予測値、発電予測最小値及び発電予測最大値で規定される発電予測幅等の情報は、発電予測データDB94に随時保存される。
【0024】
比較部43は、発電予測算出部421により算出されたまたは発電予測データDB94に保存されている発電予測値と、発電実績データDB92に記憶されている発電実績とを比較する。
発電実績とは、過去数年間に実際に同発電所で発電された発電量と日付と天候等を含む実績データである。
この他、発電実績には、過去の同日における発電量の予測値と実際の発電量との乖離やこれらから求められる予測確度等のデータを含む。
【0025】
異常判断部44は、比較部43の比較結果に基いて、太陽光発電所の異常の有無を判断する。
【0026】
表示制御部45は、表示範囲指定部451、グラフ表示部分特定部452、グラフ生成部453、関連付部454、表示データ生成部455を有する。
【0027】
表示範囲指定部451は、グラフの表示範囲を、1以上の前記単位時間(例えば12:00~15:00の6コマ等)で指定する。
表示範囲指定部451は、グラフの表示範囲を変化させる操作を受け付ける。
【0028】
グラフ表示部分特定部452は、グラフのうち、指定された1以上の単位時間の夫々に関連付けられた発電予測値及び発電予測最小値を含む部分を、グラフ表示部分として特定する。
グラフ表示部分特定部452は、表示範囲指定部451が、グラフの表示範囲を変化させる操作を受け付けると、グラフの表示範囲を変化させる操作に連動して、グラフ表示部分を変化させ、表示データ生成部455は、表示データとして、変化されたグラフ表示部分を表示するためのデータを生成する。
具体的には、例えば算出日時を可変にするためのスライドバー等が画面に配置されており、ユーザの操作によりスライドバーを可変させることで、スライドバー表示に連動して算出日時が変化し、当該算出日時の変化に連動して、発電予測値及び発電予測幅の時間的な変化を示すグラフも連動して変化する。
【0029】
グラフ表示部分特定部452は、特定日時等指定部51を有する。
特定日時等指定部51は、特定の日時又は特定の予測区間を指定する。
具体的には、特定の日時又は特定の予測区間の指定は、上記スライドバーでの操作で行われるが、入力欄や入力枠から直接キー入力して指定してもよい。
【0030】
グラフ生成部453は、発電予測算出部421により算出されたまたは発電予測データDB94に保存されている発電予測値及び発電予測最小値の時間的な変化を示すグラフを生成する。
グラフ生成部453は、発電予測値、発電予測最大値、発電予測最小値及び発電実績値のうち少なくとも1つの時間的な変化を示す連続曲線を生成する。
グラフ生成部453は、発電予測値及び発電予測最小値に加えて、さらに、発電実績データDB92に記憶されている発電実績値を読み出して当該発電実績値の時間的な変化を示すグラフを生成する。
【0031】
グラフ生成部453は、グラフ選択部61と、コマ変更部62とを有する。
グラフ選択部61は、グラフの軌跡として、階段状、連続線状、又は散布状の何れかの選択を受け付ける。
コマ変更部62は、グラフにおける時間的な変化を示す時間単位(例えば30分単位等)を、所定の入札単位(スポット市場での売電や小売電気事業者への卸供給等)に応じて変化させる。
【0032】
関連付部454は、発電予測値及び発電予測最小値が算出された単位時間(例えば10:00~10:30等、30分単位を1コマとする)と、算出された発電予測値及び発電最小値と関連付ける。
【0033】
表示データ生成部455は、グラフ生成部453により生成されたグラフを表示するための表示データを生成する。
表示データ生成部455は、表示データとして、グラフ表示部分を表示するためのデータを生成する。
表示データ生成部455は、表示範囲指定部451により指定された特定の日時又は特定の予測区間における発電予測値、発電予測最小値及び発電実績値のうち少なくとも1つを、グラフに重ねて表示するための表示データを生成する
【0034】
発電販売計画等決定部46は、発電予測算出部421により算出された発電予測値及び発電予測最小値に基づいて、発電設備の発電計画(例えば時期と発電量)並びに電力販売及び購入の入札条件を決定する。なお、入札条件を決定するための入札方針は、例えばユーザ毎のリスク許容度に応じて「入札量を最大化(発電予測幅の上限値と発電予測値の中間値を利用)」、「余剰&不足インバランスを最小化(発電予測値を利用)」、「不足インバランスリスクを軽減(発電予測値と発電予測幅の下限値の中間値を利用)」、「不足インバランスリスクを最小化(発電予測幅の下限値を利用)」等の項目とチェックボックスの対を夫々設けたラジオボタンを画面に配置しておくことで、ユーザは、所望のラジオボタンのチェックボックスにチェックを入れる操作を行うだけで入札方針を指定することができる。具体的な「値」等は、マウスで指定してもよい。
入札条件は、例えば電力販売・購入の価格と量、売買する先等である。入札条件を決定する場合、例えば人の判断を仰ぐことなくシーケンシャルに全自動で決定してもよく、手動で決定するための補助(人に判断させるための判断材料となる情報を提供する支援等)を行ってもよい。全自動で決定することにより、人月工数を削減できる。また、入札精度を向上することができる。
また、入札条件を決定するための発電予測幅を表示することによって、例えば収益性を最大化するための入札方針を検討することができるようになる。さらに、発電予測幅の表示・分析機能により、発電予測の精度向上に寄与することができる。
電力販売及び購入の入札条件とは、例えば入札時期や入札価格、入札量等である。
発電販売計画等決定部46は、発電予測算出部421により算出された発電予測値及び発電予測最小値に加えてさらに、予測確度のほか、取引データDB95に保存されているインバランス料金及び市場価格やその価格予測のデータに基づいて、発電設備の発電計画並びに電力販売及び購入の入札条件を決定する。
発電販売計画等決定部46は、発電予測算出部421により算出された発電予測値及び発電予測幅に基づいて、発電設備の発電計画並びに電力販売及び購入の入札条件を決定する。
発電販売計画等決定部46は、入札方針のユーザによる指定として、複数回の決定に適用する指定又は個別の決定に適用する指定のうち、ユーザにより選択された方を採用して、採用した当該指定による当該入札方針に基づいて、発電設備の発電計画並びに電力販売及び購入の入札条件を決定する。
なお、入札方針は、複数回の決定に適用する指定(例えばデフォルトの方針として指定)又は個別の決定に適用する指定(例えば1回だけの指定)のうち、いずれかを選択できる。
【0035】
発電販売計画等決定部46は、発電量設定部71を有する。
発電量設定部71は、設定発電量に基づいて、発電設備の発電計画並びに電力販売及び購入の入札条件を決定し、表示されたグラフの位置が、例えばマウス等でクリック操作で指定されると、当該位置に基づいて設定発電量を設定する。
【0036】
設定部47は、発電の予測確度に関する閾値を設定する。
発電の予測確度は、発電予測算出部421によって算出される発電予測値に対する発電予測幅の大きさを意味しており、例えば太陽光発電所の場合、雲がないような快晴の日の日中では発電予測幅の大きさは小さくなり発電の予測確度が高くなる。一方で雨の日や雲量の多い日には発電予測幅の大きさは大きくなり発電の予測確度が低くなる。設定部47で設定する発電の予測確度に関する閾値は、ユーザ毎のリスク許容度に応じて設定する値であり、例えば当該値を上回る(発電予測幅の大きさが大きい)場合は発電予測最小値を発電販売計画の決定地として採用する等の形で活用される。
【0037】
以上説明したように、図3に記載の機能的構成を有するサーバ1によれば、気象予報データと発電設備情報に基づいて、太陽光発電所等の再生可能エネルギーの発電予測値及び発電予測幅を算出し、電力販売及び購入の入札条件としての入札時期や入札価格、入札量等を決定することができる。
このように、太陽光発電所における発電予測幅を活用し、特に、ある時間帯における発電量予測幅が所定幅よりも広い場合等は、その時間帯については、予測幅下限値(発電予測最小値)で、太陽光発電所で発電する電力の発電販売計画を提出することで、例えば収益性を最大化するような太陽光発電所の発電計画並びに電力販売及び購入の入札条件を、全自動で決定することができる。
【0038】
続いて、図4を参照して図3の機能構成を有するサーバの動作を説明する。
図4は、図3の機能構成を有するサーバの動作の一例を説明するフローチャートである。
【0039】
ステップS1において、気象予報取得部411は、気象予報データを取得する。
ステップS2において、発電実績取得部412は、発電設備における発電実績を取得する。
ステップS3において、発電能力取得部413は、発電設備の発電能力及び設置場所を取得する。
ステップS4において、発電予測算出部421は、少なくとも最新の気象予報データ、並びに発電設備の発電実績、発電能力及び設置場所に基づいて、再生可能エネルギーの発電予測値及び発電予測最小値を算出する。
ステップS5において、発電販売計画等決定部46は、算出された発電予測値及び発電予測最小値に基づいて、発電設備の発電計画並びに電力販売及び購入の入札条件を決定する。
【0040】
以上のようにサーバ1の動作によれば、太陽光発電所における発電予測幅を活用し、例えば収益性を最大化するような発電設備の発電計画並びに電力販売及び購入の入札条件を、全自動で決定することができる。
【0041】
以下、図5乃至図9を参照して具体的に太陽光発電所の発電量を予測したデータに従いサーバの動作を説明する。
図5は、所定の太陽光発電所において発電する電力をスポット市場に売電する際に、図2図3のサーバにおいて予測した、ある日の発電量予測結果のテーブルを示す図である。
図6は、図5のテーブルの数値を折れ線で表すグラフである。
図7は、所定の太陽光発電所において発電する電力を相対で卸供給する際に、図2図3のサーバにおいて予測した、ある日の発電量予測結果の事例を示すテーブルを示す図である。
図8は、図7のテーブルの数値を折れ線で表すグラフである。
図9は、提出方針を決定するためのリスク許容度の例を示す図である。
【0042】
まず、図5及び図6を参照して、スポット市場に売電する際の発電量予測結果に基づく発電販売計画の提出例を説明する。
【0043】
本実施形態において、発電設備の一例として、例えば太陽光発電所を例にあげて、説明する。太陽光発電所により発電された電力は、全量、系統を通じてスポット市場で売電されるものとする。現行の制度では、スポット市場での売電は、実需給の前日10時が入札の締め切りである。したがって、例えば実需給の前日6時の時点で、実需給当日24時間分の発電量を予測する。スポット市場での取引は、例えば30分1コマ単位で入札されるため、予測対象は、実需給当日の24時間48コマとなる。
24時間48コマという設定は、現行制度に基づく一例であり、今後の制度変更により入札締め切り時刻やコマ単位が変更される可能性がある。
【0044】
サーバ1において、発電量を予測する際に、予測値に加え、発電予測の誤差幅を算出する。
発電予測の誤差幅は、膨大な蓄積データから、発電予測算出部421(AI)が推定する。
この際、発電予測算出部421は、膨大な蓄積データから学習した自身の予測の確度に基づいて発電予測の誤差幅を決定する。このため、同じ日の中でも予測誤差幅の広さは、時間帯によって変化(拡大又は縮小)する。
例えば、曇りの日や天候が不安定な日等は、予測の確度が相対的に落ちやすく、このように天候が不安定な日や時間帯は、予測の誤差幅が自動的に広がる。
例えば、月曜日の朝6時の時点において、翌日火曜日の24時間48コマの発電量について、図5に示すテーブルの数値と図6のグラフとして予測されたものとする。
図6に示すグラフ110は、縦軸が発電量を示し、横軸が30分単位のコマを示している。このグラフ110には、発電予測値として、例えば発電予測の中央値の折れ線111と上限値の折れ線112と下限値の折れ線113が示されている。
【0045】
図5の予測値と図6のグラフから、発電予測算出部421による予測結果を鑑みると、翌日火曜日の予測確度は高いことが推定されているため、発電販売計画等決定部46は、売電のために事前に所定の提出先機関に提出する発電販売計画としては、発電予測値を発電予測の中央値(図6の折れ線111)をそのまま計画値として提出することとした。
【0046】
続いて、図7及び図8を参照して、卸供給の際の発電量予測結果に基づく発電販売計画の提出例を説明する。
【0047】
この例においては、発電設備は、例えば地上野立の太陽光発電所を想定する。発電された電力は、全量、系統を通じて小売電気事業者へ卸供給されるものとする。
小売電気事業者へ卸供給する場合、小売電気事業者との調整の都合上、実需給の前々日17時の時点で、実需給当日24時間分の発電量を予測し、発電販売計画を提出するものとする。
取引は、例えば30分コマ単位で行われるため、予測対象は、実需給当日の24時間48コマとなる。
この場合も、上記と同様に、今後の制度変更により入札締め切り時刻や、コマ単位が変更される可能性もあるため、上記は現行制度に基づく一例である。
【0048】
発電量を予測する際には、発電予測算出部421は、予測値に加え、発電予測の誤差幅を算出する。
予測の誤差幅は、発電予測算出部421が、膨大な過去の蓄積データ(1年を通じて推定した発電量と実際の発電量の対応データ)から推定する自身の予測の確度を基に決定するため、同じ日の中でも予測誤差幅の広さは時間帯によって変化(拡大縮小)する。
例えば、曇りの日や天候が不安定な日等、予測の確度が相対的に落ちやすい日や時間帯については、予測の誤差幅が自動的に広がる。
例えば、火曜日の夕方17時の時点において、翌々日木曜日の24時間48コマの発電量が、図7のテーブルの数値及び図8のグラフのように予測されたものとする。
【0049】
発電予測算出部421による予測結果を鑑みると、翌々日木曜日の予測確度は、特に午後からは雲や雨の影響によって、一時的に低下することが推定されていた。
そこで、発電販売計画等決定部46は、小売電気事業者及び所定の提出先機関に提出する発電販売計画として、図7の破線枠103及び図8の破線枠124で示す12:00~15:00の6コマ分のみ、発電予測幅の下限値(図8の折れ線123)の予測値を提出することとし、それ以外の時間帯については発電予測値の中央値(図8の折れ線121)をそのまま計画値として決定し、提出することとした。
【0050】
続いて、図7及び図9を参照して、スポット市場への売電及び卸供給の際の発電量予測結果に基づく発電販売計画の提出例を説明する。
【0051】
この例においては、発電設備は、例えば建物屋根上の太陽光発電所を想定する。発電された電力は、当該建物内において消費される電力量を除き、全量、系統を通じてスポット市場への売電、及び/又は小売電気事業者へ卸供給されるものとする。
例えば、水曜日の夕方17時の時点において、翌々日金曜日の24時間48コマの発電量について、図7のテーブルの数値及び図9のグラフのように予測されたものとする。また当該日時は、当該建物内で営業する店舗の休業日に該当するため、当該建物内において消費される電力量がない(実際には待機電力分の電力消費は発生するが、少量のためここでは考えないものとする)ものとする。従い、当該金曜日に発電された電力は、全量、系統を通じてスポット市場への売電、及び/又は小売電気事業者へ卸供給されるものとする。
【0052】
発電予測算出部421による予測結果を鑑みると、翌々日金曜日の予測確度は、特に午後からは雲や雨の影響によって、一時的に低下することが推定されていた。
一方で、翌々日金曜日のスポット市場の午後の予測価格は、21円~25円/kWhとその日の平均価格12円/kWhよりは高くなることが発電予測算出部421により予想されており、一方でインバランス価格は7~9円/kWh程度に収まることが発電予測算出部421によって予測されていた。
【0053】
そこで、本来であれば、金曜日午後の予測確度は、雲や雨の影響によって、一時的に低下することが推定されていたが、この場合、発電販売計画等決定部46は、スポット市場の価格予測とインバランス価格の予測を基にリスク(例えば、提出した発電販売計画にたいし実際の発電販売量が不足し、不足インバランス料金を徴収されてしまうリスク等)を一定許容する入札方針をとることとした。
【0054】
具体的には、発電販売計画等決定部46は、図9に示すように、複数の曲線131乃至134(リスク特性)でリスク許容度(リスクの取り方)を設定し、いずれかのリスク許容度で発電計画を提出する方針を決定する。
曲線131は、予測下限値で販売計画を生成するリスク許容度1(不足インバランスにより損失を出すリスクが一番低いが儲けが一番小さい可能性)を示している。曲線132は、予測値と予測下限値の中間値で販売計画を生成するリスク許容度2(不足インバランスにより損失を出すリスクが2番目に低く儲けも2番目に小さい可能性)を示している。曲線133は、予測値で販売計画を生成するリスク許容度3(不足インバランスにより損失を出すリスクが2番目に高く儲けも2番目に大きい可能性)を示している。曲線134は、予測上限値と予測値の中間値で販売計画を生成するリスク許容度4(不足インバランスにより損失を出すリスクが一番高いが儲けも一番大きい可能性)を示している。
【0055】
発電販売計画等決定部46は、午後12:00~15:00の6コマ分のみ発電予測幅の下限値(図9の曲線131)と、予測値の平均値をとった値を発電販売計画として決定し提出することとし、それ以外の時間帯については発電予測値(図9の曲線133)をそのまま計画値として提出することとした。
これにより、発電事業者として売電収入-インバランスコストから計算される最終収益を最大化することができる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態のサーバ1によれば、発電予測幅を活用することで、例えば収益性を最大化するような発電設備の発電計画並びに電力販売及び購入の入札条件を、全自動で決定することができるようになる。これにより、人月工数を削減することができる。また入札精度を向上することができる。
また、入札条件を決定するための発電予測幅の表示によって、例えば収益性を最大化するための入札方針を検討することができるようになる。
さらに、発電予測幅を表示する機能により、発電予測幅を表示して発電予測の分析を支援するにより、発電予測の精度向上に寄与することができる。
【0057】
上述した実施形態では、図6図8に示した上限値、中央値、下限値の折れ線、図9に示した4本の曲線131乃至134で提案方針を決定したが、これのみに限定されず、様々な特性(指標)に基づいて提案方針を決定してもよい。
上記実施形態では、30分を1コマとして時間帯を区分した例をあげて説明したが、これ以外の区分の仕方、例えば1時間を1コマで区切ってもよく、半日間隔や10分間隔等のように区切ってもよい。
【0058】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0059】
また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図3の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が発電予測システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図3の例に限定されない。また、機能ブロック及びデータベースの存在場所も、図3に特に限定されず、任意でよい。例えば、各種処理の実行に必要となる機能ブロック及びデータベースの少なくとも一部を、ユーザ端末等に移譲させてもよい。逆にユーザ端末の機能ブロック及びデータベースをサーバ等に移譲させてもよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0060】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他、汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0061】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザ等に提供される記録媒体等で構成される。
【0062】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0063】
以上を換言すると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
(1)即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば図3のサーバ1)は、
気象予報データを取得する気象予報取得手段(例えば図3の気象予報取得部411)と、
発電設備における発電実績を取得する発電実績取得手段(例えば図3の発電実績取得部412)と、
前記発電設備の発電能力(例えば太陽光パネルの性能)及び設置場所(例えば緯度、経度、高度)を取得する発電能力等取得手段(例えば図3の発電能力取得部413)と、
少なくとも最新の前記気象予報データ、並びに前記発電設備の前記発電実績、前記発電能力及び前記設置場所に基づいて、再生可能エネルギーの発電予測値及び発電予測最小値を算出する発電予測算出手段(例えば図3の発電予測算出部421)と、
算出された前記発電予測値及び前記発電予測最小値に基づいて、前記発電設備の発電計画並びに電力販売及び購入の入札条件(例えば入札時期や入札価格、入札量等)を決定する発電計画等決定手段(例えば図3の発電販売計画等決定部46や、全自動で決定する手段、手動で決定するための補助をする手段)と、
を備える。
これにより、発電予測幅を活用することで、例えば収益性を最大化するような発電設備の発電計画並びに電力販売及び購入の入札条件を、全自動で決定することができるようになる。即ち人月工数を削減することができる。また、入札精度を向上することができる。
また、入札条件を決定するための発電予測幅の表示によって、例えば収益性を最大化するための入札方針を検討することができるようになる。
さらに、発電予測幅の表示・分析機能により、発電予測の精度向上に寄与することができる。
以上の結果、天候の変化に応じて変化する発電設備(例えば太陽光発電所等)の発電予測幅(例えば信頼区間)を活用し、電力市場での収益性を向上することができる。
(2)前記発電予測算出手段(例えば図3の発電予測算出部421)は、さらに、前記発電予測最小値及び発電予測最大値で規定される発電予測幅を算出し、
前記発電計画等決定手段(例えば図3の発電販売計画等決定部46)は、算出された前記発電予測値及び前記発電予測幅に基づいて、前記発電設備の前記発電計画並びに前記電力販売及び購入の入札条件を決定する、
ことができる。
(3)前記発電計画等決定手段(例えば図3の発電販売計画等決定部46)は、前記発電予測値及び前記発電予測最小値に加えてさらに、予測確度、インバランス料金及び市場価格に基づいて、前記発電設備の前記発電計画並びに前記電力販売及び購入の入札条件を決定する、
ことができる。
(4)前記発電計画等決定手段(例えば図3の発電販売計画等決定部46)は、前記発電設備の前記発電計画(例えば時期と発電量)並びに前記電力販売及び購入の入札条件(例えば電力販売・購入の価格と量、売買する先)を決定するための入札方針がユーザによる指定がなされた場合、さらに、当該入札方針に基づいて、前記発電設備の前記発電計画並びに前記電力販売及び購入の入札条件を決定する、
ことができる。
ユーザによる指定とは、例えば「発電予測値」、「発電予測幅の上限値」、「発電予測幅の下限値」等をラジオボタンで指定することや、マウスで「値」を指定することである。
(5)前記発電計画等決定手段(例えば図3の発電販売計画等決定部46)は、
前記入札方針の前記ユーザによる前記指定として、複数回の決定に適用する指定(例えばデフォルトの方針として指定)又は個別の決定に適用する指定(例えば1回だけの指定)のうち、前記ユーザにより選択された方を採用して、
採用した当該指定による当該入札方針に基づいて、前記発電設備の前記発電計画並びに前記電力販売及び購入の入札条件を決定する、
ことができる。
(6)算出された前記発電予測値及び前記発電予測最小値の時間的な変化を示すグラフを生成するグラフ生成手段(例えば図3のグラフ生成部453)と、
生成された前記グラフを表示するための表示データを生成する表示データ生成手段(例えば図3の表示データ生成部455)と、
をさらに備える、
ことができる。
(7)前記グラフ生成手段(例えば図3のグラフ生成部453)は、前記発電予測値、前記発電予測最大値、前記発電予測最小値及び前記発電実績値のうち少なくとも1つの時間的な変化を示す連続曲線を生成する、
ことができる。
(8)前記グラフ生成手段(例えば図3のグラフ生成部453)は、
前記グラフの軌跡として、階段状、連続線状、又は散布状の何れかの選択を受け付けるグラフ選択手段(例えば図3のグラフ選択部61)と、
前記グラフにおける時間的な変化を示す時間単位(例えば30分単位)を、所定の入札単位に応じて変化させる時間単位変更手段(例えば図3のコマ変更部62)と、
を有する、
ことができる。
(9)前記発電計画等決定手段(例えば図3の発電販売計画等決定部46)は、さらに、設定発電量に基づいて、前記発電設備の発電計画並びに電力販売及び購入の入札条件を決定し、
表示された前記グラフの位置が指定(例えばマウスでクリック)されると、当該位置に基づいて前記設定発電量を設定する発電量設定手段(例えば図3の発電量設定部71)、
をさらに備える、
ことができる。
(10)前記発電予測値及び前記発電予測最小値が算出された単位時間(例えば10:00-11:30ので1コマ等)と、算出された前記発電予測値及び前記発電予測最小値と関連付ける関連付手段(例えば図3の関連付部454)と、
前記グラフの表示範囲を、1以上の前記単位時間(例えば10:00~12:00の2コマ等)で指定する表示範囲指定手段(例えば図3の表示範囲指定部451)と、
前記グラフのうち、指定された前記1以上の単位時間の夫々に関連付けられた前記発電予測値及び前記発電予測最小値を含む部分を、グラフ表示部分として特定するグラフ表示部分特定手段(例えば図3のグラフ表示部分特定部452)と、
をさらに備え、
前記表示データ生成手段(例えば図3の表示データ生成部455)は、前記表示データとして、前記グラフ表示部分を表示するためのデータを生成する、
ことができる。
(11)前記表示範囲指定手段(例えば図3の表示範囲指定部451)は、前記グラフの表示範囲を変化させる操作(例えば算出日時を可変にするスライドバーのスライド操作等)を受け付け、
前記グラフ表示部分特定手段(例えば図3のグラフ表示部分特定部452)は、前記グラフの表示範囲を変化させる前記操作に連動して、前記グラフ表示部分を変化させ、
前記表示データ生成手段(例えば図3の表示データ生成部455)は、前記表示データとして、変化された前記グラフ表示部分を表示するためのデータを生成する、
ことができる。
(12)特定の日時又は特定の予測区間を指定する特定日時等指定手段(例えば図3の特定日時等指定部51)をさらに備え、
前記表示データ生成手段(例えば図3の表示データ生成部455)は、指定された前記特定の日時又は前記特定の予測区間における前記発電予測値、前記発電予測最小値及び前記発電実績値のうち少なくとも1つを、前記グラフに重ねて表示するための前記表示データを生成する、
ことができる。
(13)前記グラフ生成手段(例えば図3のグラフ生成部453)は、前記発電予測値及び前記発電予測最小値に加えてさらに、前記発電実績値の時間的な変化を示すグラフを生成する、
ことができる。
(14)気象予報取得手段(例えば図3の気象予報取得部411)は、
少なくとも電力取引の応札締切時期(例えば時間前市場の場合はゲートクローズ(実需給の1時間前))若しくは応札開始時期(例えば時間前市場の場合は前日17時)、並びに前記電力販売及び購入の入札条件の決定に要する時間に基づいて、最新の前記気象予報データを取得する、
ことができる。
(15)発電の予測確度を設定する設定手段(例えば図3の設定部47)と、
設定された前記予測確度に基づいて、前記発電予測最小値を算出する算出手段(例えば図3の2)と、
をさらに備える、
ことができる。
(16)前記発電予測値と前記発電実績とを比較する比較手段(例えば図3の比較部43)と、
前記比較手段の比較結果に基いて、前記発電設備の異常の有無を判断する異常判断手段(例えば図3の異常判断部44)と、
をさらに備える、
ことができる。
(17)本発明が適用される情報処理方法は、
情報処理装置が実行する情報処理方法において、
気象予報データを取得する気象予報取得ステップ(例えば図4のステップS1)と、
発電設備における発電実績を取得する発電実績取得ステップ(例えば図4のステップS2)と、
前記発電設備の発電能力及び設置場所を取得する発電能力等取得ステップ(例えば図4のステップS3)と、
少なくとも最新の前記気象予報データ、並びに前記発電設備の前記発電実績、前記発電能力及び前記設置場所に基づいて、再生可能エネルギーの発電予測値及び発電予測最小値を算出する発電予測算出ステップ(例えば図4のステップS4)と、
算出された前記発電予測値及び前記発電予測最小値に基づいて、前記発電設備の発電計画並びに電力販売及び購入の入札条件を決定する発電計画等決定ステップ(例えば図4のステップS5)と、
を含む、
ことができる。
(18)本発明が適用されるプログラムは、
コンピュータに、
気象予報データを取得する気象予報取得ステップ(例えば図4のステップS1)と、
発電設備における発電実績を取得する発電実績取得ステップ(例えば図4のステップS2)と、
前記発電設備の発電能力及び設置場所を取得する発電能力等取得ステップ(例えば図4のステップS3)と、
少なくとも最新の前記気象予報データ、並びに前記発電設備の前記発電実績、前記発電能力及び前記設置場所に基づいて、再生可能エネルギーの発電予測値及び発電予測最小値を算出する発電予測算出ステップ(例えば図4のステップS4)と、
算出された前記発電予測値及び前記発電予測最小値に基づいて、前記発電設備の発電計画並びに電力販売及び購入の入札条件を決定する発電計画等決定ステップ(例えば図4のステップS5)と、
を含む制御処理を実行させる、
ことができる。
【符号の説明】
【0064】
1:サーバ、2:ユーザ端末、3:電力市場サーバ、11:CPU、12:ROM、13:RAM、14:バス、15:入出力インターフェース、16:入力部、17:出力部、18:記憶部、19:通信部、20:ドライブ、21:リムーバブルメディア、41:取得部、42:算出部、43:比較部、44:異常判断部、45:表示制御部、46:発電販売計画等決定部、47:設定部、51:特定日時等指定部、61:グラフ選択部、62:コマ変更部、71:発電量設定部、91:気象予報DB、92:発電実績DB、93:発電所情報DB、94:発電予測DB、95:取引データDB、96:ユーザ情報DB、411:気象予報取得部、412:発電実績取得部、413:発電能力取得部、421:発電予測算出部、451:表示範囲指定部、452:グラフ表示部分特定部、453:グラフ生成部、454:関連付部、455:表示データ生成部、S:管理者、NW:ネットワーク、U:ユーザ
【要約】
天候の変化に応じて変化する発電設備の発電予測幅を活用し電力市場での収益性を向上すること。
サーバ1は、気象予報取得部411と発電実績取得部412と発電能力取得部413と発電予測算出部421と発電販売計画等決定部46とを備える。気象予報取得部411は、気象予報データを取得する。発電実績取得部412は、発電設備における発電実績を取得する。発電能力取得部413は、発電設備の発電能力及び設置場所を取得する。発電予測算出部421は、少なくとも最新の気象予報データ、並びに発電設備の発電実績、発電能力及び設置場所に基づいて、再生可能エネルギーの発電予測値及び発電予測最小値を算出する。発電販売計画等決定部46は、算出された発電予測値及び発電予測最小値に基づいて、発電設備の発電計画並びに電力販売及び購入の入札条件を決定する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9