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特許7596013多孔性支持層を含むバイポーラー全固体電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】多孔性支持層を含むバイポーラー全固体電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20241202BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20241202BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20241202BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20241202BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241202BHJP
   H01M 4/134 20100101ALI20241202BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20241202BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20241202BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20241202BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/0562
H01M4/66 A
H01M10/0565
H01M10/052
H01M4/134
H01M4/38 Z
H01M50/105
H01M50/262 Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023501656
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 KR2021015404
(87)【国際公開番号】W WO2022092883
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】10-2020-0142129
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0147423
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】チョン・ピル・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジ・フン・リュ
(72)【発明者】
【氏名】イン・ヒュク・ソン
(72)【発明者】
【氏名】スク・ウ・イ
【審査官】山本 佳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/078093(WO,A1)
【文献】特表2017-522709(JP,A)
【文献】特開2006-190649(JP,A)
【文献】特開2021-197219(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0243838(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/00 - 10/34
H01M 4/00 - 4/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)正極、固体電解質、及び負極を含む単位セルが2個以上直列に連結され、前記連結された部分の中央に厚さが20μm乃至50μmである第1多孔性支持層が設けられるか、あるいは、
(b)正極、固体電解質、及び第2多孔性支持層を含む単位セルが2個以上直列に連結されたバイポーラー全固体電池であって、
前記第1多孔性支持層及び前記第2多孔性支持層は、圧力が加えられるときに厚さが減少し、前記圧力が解消されるときに厚さが元の厚さに戻り、前記バイポーラー全固体電池内部の応力を調節し、
前記第1多孔性支持層の一面に配置される前記単位セルのうちの一つの単位セルの前記負極は、別途の活物質層のないリチウム金属であり、前記第1多孔性支持層の対向面に配置される前記単位セルのうちの他の単位セルの前記正極は正極集電体であり、
前記第2多孔性支持層の前記固体電解質の対面は、負極としての役割をし、前記正極の対面は、分離膜としての役割をする、バイポーラー全固体電池。
【請求項2】
前記第1多孔性支持層の一面には、前記一つの単位セルの前記負極が配置され、その対向面には、前記他の単位セルの前記正極が配置される、請求項1に記載のバイポーラー全固体電池。
【請求項3】
(b)正極、固体電解質、及び第2多孔性支持層を含む単位セルが2個以上直列に連結されたバイポーラー全固体電池であって、
前記第2多孔性支持層は、圧力が加えられるときに厚さが減少し、前記圧力が解消されるときに厚さが元の厚さに戻り、前記バイポーラー全固体電池内部の応力を調節し、
前記第2多孔性支持層は、リチウム負極又は負極集電体を含み、
前記第2多孔性支持層の前記固体電解質の対面は、負極としての役割をし、前記正極の対面は、分離膜としての役割をする、バイポーラー全固体電池。
【請求項4】
前記負極集電体は金属又は金属酸化物である、請求項に記載のバイポーラー全固体電池。
【請求項5】
前記リチウム負極又は前記負極集電体は別途の活物質層を含まない、請求項に記載のバイポーラー全固体電池。
【請求項6】
前記第1多孔性支持層は、
オレフィン系多孔性基材;及び
ガラス繊維又はポリエチレンを含むグループから選ばれる一つ以上で製造されたシートや不織布;
を少なくとも一つ以上含む、請求項1に記載のバイポーラー全固体電池。
【請求項7】
前記第1多孔性支持層は、
前記オレフィン系多孔性基材、又は前記シートや前記不織布を1層以上で積層した、請求項に記載のバイポーラー全固体電池。
【請求項8】
前記第1多孔性支持層が二つの層以上であって、
前記第1多孔性支持層の各層は、それぞれ互いに異なる素材からなったり、
前記第1多孔性支持層の各層は、全て同一の素材からなる、請求項に記載のバイポーラー全固体電池。
【請求項9】
前記圧力は、充電によって前記正極のリチウムイオンが前記負極に移動しながら前記負極と前記固体電解質との間で堆積したり、前記第2多孔性支持層と前記固体電解質との間で堆積することによって発生する、請求項1に記載のバイポーラー全固体電池。
【請求項10】
前記第1多孔性支持層は、リチウム堆積による厚さ変化による応力を調節する、請求項に記載のバイポーラー全固体電池。
【請求項11】
前記第2多孔性支持層の厚さは、前記堆積したリチウムの厚さより大きい、請求項に記載のバイポーラー全固体電池。
【請求項12】
前記第1多孔性支持層及び前記第2多孔性支持層は、30%乃至90%の気孔度である、請求項1に記載のバイポーラー全固体電池。
【請求項13】
前記正極は、正極集電体、及び前記正極集電体の一面に塗布された正極活物質を含む、請求項1に記載のバイポーラー全固体電池。
【請求項14】
前記正極活物質は前記固体電解質に対面し、前記正極集電体は、前記第1多孔性支持層及び前記第2多孔性支持層に対面する、請求項13に記載のバイポーラー全固体電池。
【請求項15】
前記正極のうち前記第2多孔性支持層と前記固体電解質との間に配置された前記正極は、正極活物質のみで構成され、
このときの最外郭正極は、正極集電体、及び前記正極集電体の前記固体電解質の対面に塗布された正極活物質である、請求項1に記載のバイポーラー全固体電池。
【請求項16】
個以上の前記単位セルは一つのパウチ型電池ケース内に収納される、請求項1に記載のバイポーラー全固体電池。
【請求項17】
個以上の前記単位セルには、充放電時に外部ジグによって圧力が加えられる、請求項1に記載のバイポーラー全固体電池。
【請求項18】
前記正極、前記固体電解質、及び前記第2多孔性支持層を含む前記単位セルが2個以上直列に連結された前記バイポーラー全固体電池は、
最外郭正極、前記最外郭正極に対面する固体電解質及び最外郭負極の間に、
第2多孔性支持層-正極活物質-固体電解質が積層された単位体が一つ以上反復された、請求項1に記載のバイポーラー全固体電池。
【請求項19】
前記正極、前記固体電解質、及び前記第2多孔性支持層を含む前記単位セルが2個以上直列に連結された前記バイポーラー全固体電池は、
最外郭正極、前記最外郭正極に対面する固体電解質及び最外郭負極の間に、
第2多孔性支持層-正極集電体-正極活物質-固体電解質が積層された単位体が一つ以上反復された、請求項1に記載のバイポーラー全固体電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年10月29日付け大韓民国特許出願第2020-0142129号、及び2020年11月06日付け大韓民国特許出願第2020-0147423号に基づいた優先権の利益を主張し、該当の大韓民国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、多孔性支持層を含むバイポーラー全固体電池に関する。具体的には、(a)正極、固体電解質、及び負極を含む単位セルが2個以上直列に連結され、前記連結された部分の中央に第1多孔性支持層が設けられたり、(b)正極、固体電解質、及び第2多孔性支持層を含む単位セルが2個以上直列に連結されたバイポーラー全固体電池に関する。
【背景技術】
【0003】
バイポーラー電池は、ケースの体積を最小化し、電池のエネルギー密度が高く、性能が安定的であり、内部抵抗が低いという長所を有している。このようなバイポーラー電池は、一般に、一つの単位セルとこれと隣接した各単位セルとの間を直列に連結するためのバイポーラー電極層及びバイプレートを含むバイポーラー電極を有している。前記バイプレートには、前記各単位セル間の電流を伝達するのに十分な導電性を有していると共に、電池内で化学的に安定的であり、電極との接触性に優れた素材を使用することができる。このようなバイプレートは、リチウム二次電池に主に使用される高誘電性電解液によって容易に腐食し、腐食したバイプレートは、単位セル間の電解液密封性及び絶縁性を低下させ、内部短絡を誘発し、結局、電池の安全性を低下させるという問題を引き起こす。
【0004】
上記のような問題を解決するために、電解液を使用しないバイポーラー全固体電池が代案として提示されている。バイポーラー全固体電池は、既存の二次電池と異なり、固体電解質を含む固体電解質を有しており、前記固体電解質は、正極と負極との間に配置され、分離膜としての役割をする。
【0005】
全固体電池は、従来の電池に使用されていた液状の電解液の代わりに、固体電解質を使用するので、温度変化による電解液の蒸発又は外部衝撃による漏液がなく、爆発及び火事から安全である。固体電解質と正極又は負極とが接触する部位が限定されており、正極及び負極と固体電解質との間の界面形成が容易でないという短所がある。上記のように正極及び負極と固体電解質との間の接触面が小さい場合、固体電解質を含む単位セルを加圧する方式で界面抵抗を減少させている。
【0006】
一方、前記バイポーラー全固体電池の密度及び容量を高め、寿命を増大させるためには、リチウムを使用して前記バイポーラー全固体電池を製造することができる。リチウムを使用する場合、充放電過程時にリチウムデンドライトが形成され、分離膜(固体電解質)が損傷したり、前記リチウムデンドライトが正極と出合い、単位セル内でショートが発生するようになる。特に、バイポーラー全固体電池を加圧する場合、前記リチウムデンドライトの成長によって前記正極、固体電解質、及び負極が互いに近くなり、固体電解質の損傷又はリチウムデンドライトと正極との間の反応によるショート問題が発生する。
【0007】
図1は、従来技術に係るバイポーラー全固体電池の充放電前の斜視図で、図2は、従来技術に係るバイポーラー全固体電池の充放電後の斜視図である。
【0008】
従来技術に係るバイポーラー全固体電池10は、第1正極活物質111及び第1正極集電体112を含む第1正極110と、第1固体電解質120と、第1負極活物質131、及び第1負極集電体132を含む第1負極130とを含む第1単位セル100;第2正極活物質211及び第2正極集電体212を含む第2正極210と、第2固体電解質220と、第2負極活物質231及び第2負極集電体232を含む第2負極230とを含む第2単位セル200;及び前記第1単位セル100と第2単位セル200とを直列に連結するためのバイポーラー電極300;を含む。
【0009】
このとき、第1正極活物質111、第1負極活物質131、第2正極活物質211、及び第2負極活物質231は、図1及び図2と異なり、前記第1正極集電体112、第1負極集電体132、第2正極集電体212、及び第2負極集電体232の一面にのみ塗布されていたり、別途の電極活物質が塗布されていない形態であってもよい。
【0010】
また、前記構成において、第1固体電解質120と第2固体電解質220との間に第1負極活物質、バイポーラー電極、及び第2正極活物質が配置されたバイポーラー全固体電池も可能であり、これも、下記で説明する同一の問題を有している。
【0011】
前記第1正極110、第1固体電解質120、及び第1負極130と、第2正極210、第2固体電解質220、及び第2負極230との間の界面抵抗を減少させるために、従来技術に係るバイポーラー全固体電池10は、充放電時にジグからのy軸方向の加圧力F1によって加圧される。
【0012】
しかし、前記バイポーラー全固体電池10は、前記第1単位セル100及び第2単位セル200を充放電するときに発生したリチウム層400が前記第1負極130及び/又は第2負極230に挿入され、活物質を膨張させたり、前記第1負極130及び/又は第2負極230にリチウムが堆積し、前記バイポーラー全固体電池10の厚さが増加するようになる。
【0013】
前記バイポーラー全固体電池10の厚さが増加する場合、前記バイポーラー全固体電池10の内部圧力F2が増加し、前記第1単位セル100及び第2単位セル200に加えられる加圧力F1も増加するようになる。通常、加圧力F1がジグによって発生し、前記ジグが一定の位置を占めているが、これは、内部体積が増加するためである。
【0014】
初期充放電によって形成されるリチウム層400が増加するほど、第1固体電解質120及び第2固体電解質220と前記リチウム層400との反応力が大きくなり、前記リチウム層400のリチウム金属が第1固体電解質120及び第2固体電解質220の欠陥を介して内部に流入し、前記バイポーラー全固体電池10の短絡を発生させる可能性が大きくなる。
【0015】
また、前記加圧力F1が大きくなる場合、前記バイポーラー全固体電池10内の第1単位セル100及び第2単位セル200の位置及び形態が変形し得る。バイポーラー全固体電池10の形態や第1単位セル100及び第2単位セル200の位置が変わる場合、前記加圧力F1が第1単位セル100及び第2単位セル200に均一に加えられないので、一部は加圧されないか、一部は過度に加圧され得る。
【0016】
特許文献1は、全固体薄膜積層電池に関するものであって、複数の発電要素を直列に接続する場合に対して言及しているが、これは、本発明のバイポーラー電池と異なり、電極端子を介して前記発電要素を直列に連結しており、前記薄膜積層電池内部の応力は緩和させるが、電池の密度を向上させることはできない。
【0017】
このように密度に比べて優れた性能を有するバイポーラー全固体電池内部の応力を減少させながら、リチウムデンドライトによる固体電解質の損傷を防止する必要があるが、これに対する明確な解決策が提示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】特開2004-273436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、上記のような問題を解決するためのものであって、リチウムデンドライトの形成による固体電解質の損傷、及び前記リチウムデンドライトが正極と接触することによって単位セルのショートが発生することを防止することを目的とする。
【0020】
また、前記バイポーラー全固体電池内部の応力を減少させ、イオン伝導度を向上させ、寿命を向上させながら高密度のバイポーラー全固体電池を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記のような問題を解決するために、本発明は、(a)正極、固体電解質、及び負極を含む単位セルが2個以上直列に連結され、前記連結された部分の中央に第1多孔性支持層が設けられたり、
(b)正極、固体電解質、及び第2多孔性支持層を含む単位セルが2個以上直列に連結されたバイポーラー全固体電池を提供する。
【0022】
前記第1多孔性支持層の一面には、一つの単位セルの負極が配置され、その対向面には他の単位セルの正極が配置されてもよく、前記負極は、リチウム金属又は活物質層のない集電体であってもよい。
【0023】
前記第2多孔性支持層の固体電解質の対面は負極としての役割をし、前記正極の対面は、分離膜として役割をすることができ、前記第2多孔性支持層は、リチウム負極又は負極集電体を含むことができ、前記負極集電体は、金属又は金属酸化物であってもよく、前記リチウム負極又は負極集電体は別途の活物質層を含まなくてもよい。
【0024】
前記第1多孔性支持層は、オレフィン系多孔性基材、及びガラス繊維又はポリエチレンを含むグループから選ばれる一つ以上で製造されたシートや不織布を少なくとも一つ以上含むことができる。
【0025】
前記第1多孔性支持層は、前記オレフィン系多孔性基材、シート又は不織布を1層以上で積層することができ、前記第1多孔性支持層が二つの層以上である場合、前記第1多孔性支持層の各層がそれぞれ互いに異なる素材からなってもよく、前記第1多孔性支持層の各層が全て同一の素材からなってもよい。
【0026】
前記第1多孔性支持層及び前記第2多孔性支持層は、圧力が加えられるときに厚さが減少し、前記圧力が解消されるとき、厚さが元に戻り、前記全固体電池内部の応力を調節することができ、前記圧力は、充電によって正極のリチウムイオンが負極に移動し、前記負極と前記固体電解質との間で堆積したり、前記第2多孔性支持層と前記固体電解質との間で堆積することによって発生し得る。
【0027】
前記第1多孔性支持層は、リチウム堆積による厚さ変化による応力を調節するものであってもよく、前記第2多孔性支持層の厚さは、堆積したリチウムの厚さより大きくてもよい。
【0028】
前記第1多孔性支持層及び第2多孔性支持層は、それぞれの厚さ及び気孔度に比例して前記応力を調節することができ、前記第1多孔性支持層は20μm乃至50μmの厚さであり得る。
【0029】
前記正極は、正極集電体、及び前記正極集電体の一面に塗布された正極活物質を含むことができ、前記正極活物質は前記固体電解質に対面し、前記正極集電体は、前記第1多孔性支持層及び前記第2多孔性支持層に対面し得る。
【0030】
前記第1多孔性支持層の一面に配置される一つの単位セルの負極は、別途の活物質層のないリチウム金属であり、前記第1多孔性支持層の対向面に配置される他の単位セルの正極は正極集電体であり得る。
【0031】
前記正極のうち前記第2多孔性支持層と前記固体電解質との間に配置された正極は、正極活物質のみで構成され、このときの最外郭正極は、正極集電体、及び前記正極集電体の固体電解質の対面に塗布された正極活物質であり得る。
【0032】
前記2個以上の単位セルは、一つのパウチ型電池ケース内に収納されてもよく、前記2個以上の単位セルには、充放電時に外部ジグによって圧力が加えられ得る。
【0033】
正極、固体電解質、及び第2多孔性支持層を含む単位セルが2個以上直列に連結されたバイポーラー全固体電池は、最外郭正極、前記最外郭正極に対面する固体電解質及び最外郭負極の間に、第2多孔性支持層-正極活物質-固体電解質が積層された単位体が一つ以上反復されたものであり得る。
【0034】
正極、固体電解質、及び第2多孔性支持層を含む単位セルが2個以上直列に連結されたバイポーラー全固体電池は、最外郭正極、前記最外郭正極に対面する固体電解質及び最外郭負極の間に、第2多孔性支持層-正極集電体-正極活物質-固体電解質が積層された単位体が一つ以上反復されたものであり得る。
【0035】
本発明は、上記で言及したバイポーラー全固体電池を含むバッテリーモジュール又はバッテリーパックであってもよく、前記バイポーラー全固体電池が装着されたデバイスであってもよい。
【0036】
本発明は、上記のような各構成のうち相反しない構成を一つ又は二つ以上選んで組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0037】
以上で説明したように、本発明に係るバイポーラー全固体電池は、リチウム層の形成によって前記バイポーラー全固体電池内に発生する応力を減少させ、固体電解質が損傷したり、前記正極と前記リチウム層のリチウムデンドライトとが反応することを防止することができ、これを通じてバイポーラー全固体電池内部のセルショートを減少させる。
【0038】
また、前記バイポーラー全固体電池は、負極として負極集電体のみを使用し、正極として、正極集電体及びその一面に塗布された正極活物質を使用し、これらからなる各単位セルを第1多孔性支持層を介して直列に連結することによって、電池の密度に比べて容量及び性能を向上させる。
【0039】
また、前記バイポーラー全固体電池は、負極及び分離膜としての役割をする第2多孔性支持層を有しており、前記第2多孔性支持層が内部応力を解消することによって、安全性が向上しながら、高密度であるバイポーラー全固体電池を得ることができる。
【0040】
さらに、前記バイポーラー全固体電池内部の単位セルに加えられる圧力を一定に維持し、単位セルの損傷を防止し、前記単位セルのイオン伝導度を向上させ、電池の寿命を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】従来技術に係るバイポーラー全固体電池の充放電前の斜視図である。
図2】従来技術に係るバイポーラー全固体電池の充放電後の斜視図である。
図3】本発明の第1例に係るバイポーラー全固体電池の充放電前の斜視図である。
図4】本発明の第1例に係るバイポーラー全固体電池の充放電後の斜視図である。
図5】本発明の実験例2に使用された全固体電池の断面図である。
図6】本発明の第2例に係るバイポーラー全固体電池の充放電前の斜視図である。
図7】本発明の第2例に係るバイポーラー全固体電池の充放電後の斜視図である。
図8】本発明の実験例4に使用された全固体電池の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、添付の図面を参照して、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できる実施例を詳細に説明する。ただし、本発明の好ましい実施例に対する動作原理を詳細に説明するにおいて、関連する公知の機能又は構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を必要以上に不明瞭にし得ると判断される場合は、それについての詳細な説明を省略する。
【0043】
また、図面全体にわたって類似する機能及び作用をする部分に対しては、同一の図面符号を使用する。明細書全体において、一つの部分が他の部分と連結されているとしたとき、これは、直接連結されている場合のみならず、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、一つの構成要素を含むことは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0044】
また、構成要素を限定したり付加して具体化する説明は、特別な制限がない限り、全ての発明に適用可能であり、特定の発明に限定しない。
【0045】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって単数で表示されたものは、別途に言及しない限り、複数の場合も含む。
【0046】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって、「又は」は、別途に言及しない限り、「及び」を含むものである。そのため、「A又はBを含む」は、Aを含むか、Bを含むか、A及びBを含む前記3つの場合を全て意味する。
【0047】
また、全ての数値範囲は、明確に除外するという記載がない限り、両端の値及びその間の全ての中間値を含む。
【0048】
図1乃至図8と関連して言及される活物質、集電体、及び固体電解質は、単純に物質を意味するのではなく、これらで構成された層を意味する。
【0049】
本発明に係るバイポーラー全固体電池は、(a)正極、固体電解質、及び負極を含む単位セルが2個以上直列に連結され、前記連結された部分の中央に第1多孔性支持層が設けられたり、
(b)正極、固体電解質、及び第2多孔性支持層を含む単位セルが2個以上直列に連結されたことを特徴とする。
【0050】
前記第1多孔性支持層の一面には一つの単位セルの負極が配置され、その対向面に他の単位セルの正極が配置されてもよく、前記負極は、リチウム金属又は活物質層のない集電体であってもよい。
【0051】
本発明に係るバイポーラー全固体電池のうち第1例に係る(a)正極、固体電解質、及び負極を含む単位セルが2個以上直列に連結され、前記連結された部分の中央に第1多孔性支持層が設けられたバイポーラー全固体電池に対して図3及び図4を通じて説明する。
【0052】
図3は、本発明の第1例に係るバイポーラー全固体電池1000の充放電前の斜視図で、図4は、本発明の第1例に係るバイポーラー全固体電池1000の充放電後の斜視図である。
【0053】
図3及び図4では、説明の便宜のために、単位セルを第1単位セル1100及び第2単位セル1200として示したが、前記単位セルは、前記第1単位セル1100及び第2単位セル1200を多数含むことができる。
【0054】
本発明に係るバイポーラー全固体電池1000は、第1単位セル1100及び第2単位セル1200を含む。前記第1単位セル1100は、第1正極活物質1111及び第1正極集電体1112を含む第1正極1110と、第1固体電解質1120と、第1負極集電体1132を含む第1負極1130とからなっており、前記第2単位セル1200は、第2正極活物質1211及び第2正極集電体1212を含む第2正極1210と、第2固体電解質1220と、第2負極集電体1232を含む第2負極1230とからなっている。前記第1単位セル1100と第2単位セル1200との間には、前記各単位セルを直列に連結するための第1多孔性支持層1300が配置されている。前記第1多孔性支持層1300の一面には第1単位セル1100の第1負極1130が配置され、前記第1多孔性支持層1300の他面、すなわち、前記第1負極1130の対向面には第2単位セル1200の第2正極1210が配置される。
【0055】
前記第1正極1110は、例えば、第1正極集電体1112に各正極活物質粒子で構成された正極活物質、導電材及びバインダーが混合された正極合剤を塗布することによって第1正極活物質1111を形成する方法で製造することができ、必要によっては、前記正極合剤に充填剤をさらに添加することができる。
【0056】
前記第1正極集電体1112は、一般に3μm乃至500μmの厚さで製造され、当該電池に化学的変化を誘発しないと共に、高い導電性を有するものであれば特に限定されなく、例えば、前記正極集電体1112としては、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、及びアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン又は銀で表面処理したものから選ばれる一つを使用することができ、より詳細には、アルミニウムを使用することができる。集電体は、その表面に微細な凹凸を形成することによって正極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態が可能である。
【0057】
前記第1正極活物質1111内に含まれる正極活物質は、例えば、前記正極活物質粒子の他に、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物や1又はそれ以上の遷移金属に置換された化合物;化学式Li1+xMn2-x(ここで、xは、0乃至0.33である)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(LiCuO);LiV、LiV、V、Cuなどのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-x(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、B又はGaで、x=0.01乃至0.3である)で表現されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-x(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、Zn又はTaで、x=0.01乃至0.1である)又はLiMnMO(ここで、M=Fe、Co、Ni、Cu又はZnである)で表現されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンに置換されたLiMn;ジスルフィド化合物;Fe(MoOなどで構成可能であり、これらのみに限定されることはない。
【0058】
ただし、本発明で使用される正極活物質1111は、第1負極1130にリチウムを堆積させるためにリチウムを含む金属酸化物を使用したり、これを含むことが好ましい。
【0059】
前記導電材は、通常、正極活物質を含む混合物の全体重量を基準にして0.1重量%乃至30重量%で添加される。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発しないと共に、導電性を有するものであれば特に限定されなく、例えば、前記導電材としては、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用され得る。
【0060】
前記第1正極1110に含まれるバインダーは、活物質と導電材などとの結合及び集電体に対する結合を促進する成分であって、通常、正極活物質を含む混合物の全体重量を基準にして0.1重量%乃至30重量%で添加される。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンテルポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などを挙げることができる。
【0061】
前記第1正極1110は、前記第1正極集電体1112の少なくとも一面に第1正極活物質1111が形成されている形態であり得る。このとき、第1正極1110が前記バイポーラー全固体電池1000の最外郭に位置した場合、前記第1正極1110は、第1正極集電体1112の両面に前記第1正極活物質1111が塗布されている形態であり得る。また、前記第1正極1110が前記バイポーラー全固体電池1000の他の単位セルに対面している場合、前記第1正極1110は、前記第1正極集電体1112の一面にのみ前記第1正極活物質1111が塗布されていてもよい。
【0062】
前記第2正極1210は、前記第1正極1110と同一に形成され得る。ただし、前記第2正極1210は、前記バイポーラー全固体電池1000の単位セルと対面し、前記第2正極1210の第2正極集電体1212の一面にのみ前記第2正極活物質1211が形成されている形態のみを有する。
【0063】
前記第1多孔性支持層1300の他面に配置された第2正極1210の第2正極活物質1211は前記第2固体電解質1220に対面し、前記第2正極集電体1212は前記第1多孔性支持層1300に対面し、前記第1多孔性支持層1300が前記バイポーラー全固体電池1000の単位セルを直列に連結できるようにする。
【0064】
前記第1固体電解質1120及び第2固体電解質1220としては、有機固体電解質や無機固体電解質などが使用され得るが、これらのみに限定されるのではない。
【0065】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリエジテーションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、及びイオン性解離基を含む重合体などが使用され得る。
【0066】
前記無機固体電解質としては、硫化物系固体電解質及び酸化物系固体電解質を一例として挙げることができる。
【0067】
酸化物系固体電解質としては、例えば、Li6.25LaZrAl0.2512、LiPO、Li+xPO-xN(LiPON)、LiN、LiI、LiNI、LiN-LiI-LiOH、LiSiO、LiSiO-LiI-LiOH、LiSiS、LiSiO、LiSiO-LiI-LiOHなどのLiの窒化物、ハロゲン化物などが使用され得る。
【0068】
前記硫化物系粒子としては、本発明で特に限定しなく、リチウム電池分野で使用する公知の全ての硫化物系材質が使用可能である。前記硫化物系材質としては、市販のものを購入して使用したり、非晶質硫化物系材質の結晶化工程を経て製造されたものを使用することができる。例えば、前記硫化物系固体電解質としては、結晶系硫化物系固体電解質、非晶質系硫化物系固体電解質、及びこれらのうちいずれか一つ又はこれらの混合物を使用することができる。使用可能な複合化合物の例としては、硫黄-ハロゲン化合物、硫黄-ゲルマニウム化合物、硫黄-シリコン硫化物がある。具体的には、SiS、GeS、Bなどの硫化物が含まれてもよく、LiPO、ハロゲン、ハロゲン化合物などが添加されていてもよい。好ましくは、10-4S/cm以上のリチウムイオン伝導度を具現できる硫化物系電解質を使用することができる。
【0069】
代表的には、LiPSCl(LPSCl)、Thio-LISICON(Li3.25Ge0.250.75)、LiS-P-LiCl、LiS-SiS、LiI-LiS-SiS、LiI-LiS-P、LiI-LiS-P、LiI-LiPO-P、LiS-P、LiPS、Li11、LiI-LiS-B、LiPO-LiS-SiS、LiPO-LiS-SiS、LiPO-LiS-SiS、Li10GeP12、Li9.54Si1.741.4411.7Cl0.3、Li11などを含む
前記第1固体電解質1120及び第2固体電解質1220の前記第1負極1130及び第2負極1230の対面には、リチウムデンドライトの形成を誘導するためのコーティング層があり得る。
【0070】
前記コーティング層は、電気伝導性及びイオン伝導性の向上のために金属を含むことができる。前記金属は、前記第1負極1130又は第2負極1230の性能を向上させながら、リチウムデンドライトが前記コーティング層と前記第1負極集電体1132又は前記コーティング層と前記第2負極集電体1232との間に形成できるようにする金属であれば、その種類に制限がない。このとき、前記金属は、リチウム親和性を有しており、リチウムデンドライトが前記コーティング層と前記第1負極集電体1132又は前記コーティング層と前記第2負極集電体1232との間に形成できるように誘導することができる。
【0071】
このとき、リチウムデンドライトが前記第1固体電解質1120又は第2固体電解質1220方向に成長することを防止するために、前記リチウム親和性の金属は、前記コーティング層の第1負極1130又は第2負極1230の対面に配置され得る。
【0072】
前記コーティング層にリチウム親和性の金属が位置する場合、前記リチウム親和性の金属上でリチウムプレーティングが起こり、リチウム核が形成され、前記リチウム核で成長したリチウムデンドライトは、前記コーティング層でのみ成長するようになる。
【0073】
前記リチウム親和性の金属としては、金属及び金属酸化物のうち少なくともいずれか一つ以上が選ばれ得る。例えば、前記金属は、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)及びマグネシウム(Mg)などに該当し、前記金属酸化物は、非金属として、銅酸化物、亜鉛酸化物、コバルト酸化物などに該当し得る。
【0074】
本発明に係る第1負極1130は、第1負極集電体1132のみからなっていてもよい。
【0075】
前記負極集電体1132は、一般に3μm乃至500μmの厚さで作られる。このような第1負極集電体1132は、当該電池に化学的変化を誘発しないと共に、導電性を有するものであれば特に限定されなく、リチウム金属又は別途の負極活物質層のない集電体であり得る。例えば、前記第1負極集電体1132としては、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使用され得る。また、前記第1負極集電体1132は、第1正極集電体1112と同様に、表面に微細な凹凸を形成することによって負極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で使用され得る。
【0076】
前記第2負極1230は、前記第1負極1130と同一の形態であり得る。
【0077】
前記第1単位セル1100と第2単位セル1200が上記のような形態を有し、これらを直列に連結し、高エネルギー密度を有するバイポーラー全固体電池1000を得ることができる。
【0078】
前記第1単位セル1100と第2単位セル1200との間には、前記各単位セルを直列に連結するために第1多孔性支持層1300が配置されていてもよい。
【0079】
前記第1多孔性支持層1300としては、前記第1単位セル1100と第2単位セル1200とを直列に連結するために電気伝導性及びイオン伝導性を有する物質であればいずれも使用することができる。一例として、前記第1多孔性支持層1300は、オレフィン系多孔性基材、及びガラス繊維又はポリエチレンを含むグループから選ばれる一つ以上で製造されたシートや不織布を少なくとも一つ以上含むことができる。このとき、前記第1多孔性支持層1300は、オレフィン系多孔性基材、又はガラス繊維又はポリエチレンを含むグループから選ばれる一つ以上で製造されたシートであることが好ましい。これは、不織布形態の場合、孔隙率が大きいが、前記第1多孔性支持層1300が一定の強度を有するためには前記不織布を多くの層で積層しなければならないので、同一の厚さを有する場合、多孔性基材又はシートの形態に比べて厚さ変化率が大きくないためである。
【0080】
具体的には、前記第1多孔性支持層1300は、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル)及びこれらの混合物或いは共重合体などの樹脂を含んだり、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアラミド、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレンなどの樹脂を含むことができる。これらのうち、ポリオレフィン系樹脂は、厚さを薄くし、前記バイポーラー全固体電池1000内の体積当たりの容量を高めることができるので好ましい。
【0081】
前記第1多孔性支持層1300は、弾性力を有し、バイポーラー全固体電池1000の内部で発生した応力を解消できる素材からなっていたり、前記第1多孔性支持層1300の気孔を介して前記バイポーラー全固体電池1000の内部で発生した応力を解消することができる。
【0082】
前記第1多孔性支持層は、前記オレフィン系多孔性基材、又はシートや不織布を1層以上で積層したものであり得る。
【0083】
前記第1多孔性支持層を多層で形成する場合、前記第1多孔性支持層が解消できる応力の範囲を増加させることができる。
【0084】
前記第1多孔性支持層が二つの層以上である場合、前記第1多孔性支持層の各層は、それぞれ互いに異なる素材からなってもよく、前記第1多孔性支持層の各層が全て同一の素材からなってもよい。
【0085】
前記第1多孔性支持層1300の気孔直径は、一般に0.01μm乃至10μmで、厚さは、一般に20μm乃至50μmであり得る。このとき、前記第1多孔性支持層1300の気孔度は、30%乃至90%であり得る。
【0086】
前記第1多孔性支持層1300は、リチウム堆積による厚さ変化による応力を調節する。上記のように第1多孔性支持層1300が応力を解消するために、前記第1多孔性支持層1300の弾性範囲は、堆積するリチウムによる変形範囲より大きくなければならない。このような第1多孔性支持層1300の弾性範囲は、第1多孔性支持層1300の厚さ及び気孔度に比例する。
【0087】
すなわち、前記第1多孔性支持層1300の弾性範囲は、下記のように示すことができる。
【0088】
第1多孔性支持層の弾性範囲=第1多孔性支持層の厚さ×第1多孔性支持層の気孔度
このとき、第1多孔性支持層1300として使用された素材自体の弾性力は、ジグの駆動圧より大きくなければならない。
【0089】
前記第1多孔性支持層1300は、前記第1単位セル1100の第1負極集電体1132と前記第2単位セル1200の第2正極集電体1212との間に配置し、前記第1多孔性支持層1300、第1負極集電体1132、及び第2正極集電体1212を前記バイポーラー全固体電池1000のバイポーラー電極として使用することができる。このように前記第1単位セル1100、第2単位セル1200及びバイポーラー電極が互いに一部分を共有することによって、バイポーラー全固体電池1000の密度を向上させることができる。このために、前記第1多孔性支持層1300は、前記第1単位セル1100及び第2単位セル1200に圧着して形成される。
【0090】
前記第1単位セル1100、第2単位セル1200及び前記第1多孔性支持層1300は、ジグによって一定の加圧力F1で加圧され、これは、前記バイポーラー全固体電池1000を使用する場合にも持続される。
【0091】
本発明に係るバイポーラー全固体電池1000には、図4に示すように、充放電後にリチウム層1400が形成される。前記リチウム層1400は、充放電によって前記第1負極1130又は第2負極1230と前記第1固体電解質1120又は第2固体電解質1220との間にリチウムが堆積して形成される。これは、前記第1正極1110又は第2正極1210のリチウムイオンが第1負極1130又は第2負極1230に移動し、前記第1負極1130と第1固体電解質1120又は第2負極1230と第2固体電解質1220との間に堆積するためである。
【0092】
前記リチウム層1400は、定電流/定電圧(CC/CV)の条件で充電され、このときのリチウム二次電池全体に加えられる加圧力F1は、電池内に形成されるリチウムの量、充放電速度及び時間などによって変わり得る。これは、前記リチウム層1400が形成され、内部圧力F2が発生するためである。
【0093】
本発明に係るバイポーラー全固体電池1000においては、前記リチウム層1400によって加えられる内部圧力F2によって発生する応力が前記第1多孔性支持層1300を通じて解消される。前記第1多孔性支持層1300は、前記第1多孔性支持層1300内の気孔の減少、又は前記第1多孔性支持層1300の厚さ減少を含む形態の変形を通じて前記バイポーラー全固体電池1000全体に一定の加圧力F1が加えられるようにする。
【0094】
上記のような第1多孔性支持層1300の気孔の減少又は形態の変形は、前記リチウム層1400の形成及び/又は消滅によって調節される。例えば、前記リチウム層1400が形成され、内部圧力F2が発生する場合、前記第1多孔性支持層1300の気孔は減少し、厚さが減少し得る。また、前記リチウム層1400が消える場合、前記第1多孔性支持層1300は、初期状態に戻り、前記バイポーラー全固体電池の加圧前の厚さmと加圧後の厚さMとを同一に維持させる。
【0095】
前記バイポーラー全固体電池1000は、前記単位セルの使用中にも一定に加圧するために、前記バイポーラー全固体電池1000の単位セル全体を加圧できる電池ケースに前記各単位セルを収納して形成したり、前記各単位セルをパウチ型電池ケースに収納した後、前記バイポーラー全固体電池1000を前記パウチ型電池ケースの外部で加圧することができる。
【0096】
本発明に係るバイポーラー全固体電池のうち第2例に係る(b)正極、固体電解質、及び第2多孔性支持層を含む単位セルが2個以上直列に連結されたバイポーラー全固体電池について図6及び図7を通じて説明する。
【0097】
図6は、本発明の第2例に係るバイポーラー全固体電池2000の充放電前の斜視図で、図7は、本発明の第2例に係るバイポーラー全固体電池2000の充放電後の斜視図である。
【0098】
図6及び図7では、説明の便宜のために、単位セルを第1単位セル2100及び第2単位セル2200として示したが、前記単位セルは、前記第1単位セル2100及び第2単位セル2200を多数含むことができる。
【0099】
本発明の第2例に係るバイポーラー全固体電池2000は、第1単位セル2100及び第2単位セル2200を含む。前記第1単位セル2100は、第1正極活物質2111及び第1正極集電体2112を含む第1正極2110と、第1固体電解質2120と、第2多孔性支持層2140とからなっており、前記第2単位セル2200は、第2正極活物質2211及び第2正極集電体2212を含む第2正極2210と、第2固体電解質2220と、第2多孔性支持層2240とからなっている。前記第1単位セル2100及び第2単位セル2200は、前記第2多孔性支持層2140及び前記第2多孔性支持層2240を介して直列に連結される。
【0100】
このとき、前記第2単位セル2200の第2正極集電体2212は省略され得る。前記第2正極集電体2212が省略される場合、第2多孔性支持層2140と固体電解質2220との間に配置された正極2210は、正極活物質2211のみで構成され、集電体2212が省略されたものである。最外郭正極である第1正極2110も、図面のように、正極集電体2112、及び前記正極集電体2112の固体電解質2120の対面に塗布された正極活物質2111のみの形態であったり、前記正極集電体2112の両面に正極活物質が塗布された形態であり得る。一方、最外郭負極に該当する第2多孔性支持層2240の場合、外面に追加の集電体(図示せず)が付加され得る。
【0101】
また、図6及び図7の変形例として、本発明に係るバイポーラー全固体電池は、前記第1正極、第2正極、及び第2負極を使用することなく、前記固体電解質を挟んで第2多孔性支持層のみを積層した形態であり得る。このとき、前記第2多孔性支持層の一面に正極活物質が塗布されていてもよい。
【0102】
図6及び図7は、最外郭正極2110、最外郭固体電解質2120及び反対面の最外郭負極2240を除いては、第2多孔性支持層-正極集電体-正極活物質-固体電解質を積層した構造を含み、これを反復する構造になり得る。このとき、反復される構造が第2多孔性支持層-正極集電体-正極活物質-固体電解質又は第2多孔性支持層-正極活物質-固体電解質になり得る。図6及び図7は、反復され得る層が1個である最も基本的な形態である。
【0103】
前記第2多孔性支持層2140の一面には、第1単位セル2100の第1固体電解質2120が配置され、前記第2多孔性支持層2140の他面、すなわち、前記第1固体電解質2120の対向面には、第2単位セル2200の第2正極2210が配置される。
【0104】
前記第1正極2110は、第1正極1110と素材及び製造方法が同一で、前記第1正極集電体2112は、第1正極集電体1112と素材及び製造方法が同一で、前記第1正極活物質2111は、第1正極活物質1111と素材及び製造方法が同一である。
【0105】
ただし、本発明で使用される正極活物質2111は、第2多孔性支持層2140の一面にリチウムを堆積させるためにリチウムを含む金属酸化物を使用したり、これを含むことが好ましい。
【0106】
前記第1正極2110は、前記第1正極集電体2112の少なくとも一面に第1正極活物質2111が形成されている形態であり得る。このとき、第1正極2110が前記バイポーラー全固体電池2000の最外郭に位置した場合、前記第1正極2110は、第1正極集電体2112の両面に前記第1正極活物質2111が塗布されている形態であり得る。電池の性能面で、前記正極活物質は、前記正極集電体の両面に塗布されている形態である場合よりも、固体電解質の対面に塗布されている形態である場合がさらに好ましい。
【0107】
前記第1正極2110が他のバイポーラー全固体電池の第2多孔性支持層に対面する場合、前記第1正極2110は、前記第1正極集電体2112の両面のうち第1固体電解質2120に対面する面にのみ前記第1正極活物質2111が塗布されていたり、第1正極活物質2111のみで構成され、他のバイポーラー全固体電池と連続的に積層され得る。
【0108】
前記第2正極2210に使用される材料は、前記第1正極2110と同一に形成され得る。前記第2正極2210は、第2多孔性支持層2140と対面しながら第2正極集電体2212及び前記第2正極活物質2211の順に積層される。前記第2正極2210は、第2正極集電体2212を含むことなく、第2正極活物質2211のみを含むことができる。
【0109】
具体的には、前記第2正極活物質2211は前記第2固体電解質2220に対面し、前記第2正極集電体2212は前記第2多孔性支持層2140に対面し、前記第2多孔性支持層2140が前記バイポーラー全固体電池2000の単位セルを直列に連結できるようにする。前記第2多孔性支持層2140は、負極、分離膜、及び正極としての役割をしたり、負極、集電体、及び正極としての役割をするものである。
【0110】
前記第1固体電解質2120及び第2固体電解質2220は、前記第1固体電解質1120及び第2固体電解質1220と素材及び製造方法が同一である。
【0111】
前記第1固体電解質2120及び第2固体電解質2220の前記第2多孔性支持層2140及び第2多孔性支持層2240の対面には、リチウムデンドライトの形成を誘導するためのコーティング層があり得る。
【0112】
前記コーティング層は、電気伝導性及びイオン伝導性の向上のために金属を含むことができる。前記金属は、前記第2多孔性支持層2140又は第2多孔性支持層2240の負極としての役割をする面の負極性能を向上させながら、リチウムデンドライトが前記コーティング層と前記第2多孔性支持層2140又は前記コーティング層と前記第2多孔性支持層2240との間に形成できるようにする金属であれば、その種類に制限がない。このとき、前記金属は、リチウム親和性を有しており、リチウムデンドライトが前記コーティング層と前記第2多孔性支持層2140又は前記コーティング層と前記第2多孔性支持層2240との間に形成できるように誘導することができる。
【0113】
このとき、リチウムデンドライトが前記第1固体電解質2120又は第2固体電解質2220方向に成長することを防止するために、前記リチウム親和性の金属は、前記第2多孔性支持層2140又は第2多孔性支持層2240の前記第1固体電解質2120又は第2固体電解質2220の対面に配置され得る。
【0114】
前記コーティング層にリチウム親和性の金属が位置する場合、前記リチウム親和性の金属上でリチウムプレーティングが起こり、リチウム核が形成され、前記リチウム核で成長したリチウムデンドライトは、前記コーティング層でのみ成長するようになる。
【0115】
前記リチウム親和性の金属としては、金属及び金属酸化物のうち少なくともいずれか一つ以上が選ばれ得る。例えば、前記金属は、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)及びマグネシウム(Mg)などに該当し、前記金属酸化物は、非金属として、銅酸化物、亜鉛酸化物、コバルト酸化物などに該当し得る。
【0116】
本発明に係る前記第2多孔性支持層2140の第1固体電解質2120の対面は負極としての役割をし、前記第2多孔性支持層2140の第2正極2210の対面は分離膜及び/又は集電体としての役割をすることができる。前記第2正極2210として第2正極活物質2211のみを使用した場合、前記第2多孔性支持層2140の第2正極2210の対面は、分離膜と正極集電体としての役割を同時にすることもできる。
【0117】
前記第2多孔性支持層2140は、リチウム負極又は負極集電体を含むことができる。前記第2多孔性支持層2140に含まれる前記リチウム負極又は負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発しないと共に、高い導電性を有するものであれば特に限定されない。前記負極集電体は、金属又は金属酸化物であり得る。例えば、前記負極集電体としては、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、及び銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀で表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使用され得る。また、前記負極集電体は、第1正極集電体2112と同様に、表面に微細な凹凸を形成することによって前記第2多孔性支持層2140の分離膜としての役割部分との結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で使用され得る。前記リチウム負極又は負極集電体は、レイヤー(層)の形態ではなく、粒子又はコア-シェル形態の粒子として前記第2多孔性支持層2140に含まれ得る。
【0118】
本発明に係る第2多孔性支持層2140のリチウム負極又は負極集電体は、別途の活物質を含まなくてもよい。前記リチウム負極又は負極集電体が別途の活物質を含まないので、前記第2多孔性支持層2140の厚さを薄く形成することができ、電池の密度が向上する。
【0119】
前記第2多孔性支持層2140は、一般に3μm乃至500μmの厚さで形成されていてもよい。このとき、前記第2多孔性支持層2140は、リチウムが堆積して形成されるリチウム層2400より厚くなり得る。
【0120】
前記第2多孔性支持層2140のリチウム負極又は負極集電体は、前記第1固体電解質2120の対面に主に分布されていてもよい。
【0121】
前記第2多孔性支持層2140の前記第2正極2210の対面には、電気伝導性を有する物質が配置されていてもよい。一例として、前記第2多孔性支持層2140の第2正極2210の対面は、オレフィン系多孔性基材、及びガラス繊維又はポリエチレンを含むグループから選ばれる一つ以上で製造されたシートや不織布を少なくとも一つ以上含むことができる。
【0122】
具体的には、前記第2多孔性支持層2140は、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル)及びこれらの混合物或いは共重合体などの樹脂を含んだり、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアラミド、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレンなどの樹脂を含むことができる。これらのうち、ポリオレフィン系樹脂は、厚さを薄くし、前記バイポーラー全固体電池2000内の体積当たりの容量を高めることができるので好ましい。
【0123】
また、前記第2多孔性支持層2140の第2正極2210の対面は、前記言及した第1正極集電体2112の成分と類似する成分を含むことができる。
【0124】
前記第2多孔性支持層2140は、弾性力を有し、バイポーラー全固体電池2000の内部で発生した応力を解消できる素材からなっていたり、前記第2多孔性支持層2140の気孔を介して前記バイポーラー全固体電池2000の内部で発生した応力を解消することができる。前記第2多孔性支持層2140は、金属素材で構成された内部が多孔性であるフォームの形態であり得る。
【0125】
前記第2多孔性支持層2140の気孔直径は、一般に0.01μm乃至10μmで、厚さは、一般に20μm乃至50μmであり得る。
【0126】
前記第2多孔性支持層2140は、前記第1単位セル2100の第1固体電解質2120と前記第2単位セル2200の第2正極集電体2212との間に配置し、前記第2多孔性支持層2140及び第2正極集電体2212が前記バイポーラー全固体電池2000のバイポーラー電極としての役割をすることができる。このようにバイポーラー電極が前記第1単位セル2100及び第2単位セル2200と共に前記第1単位セル2100の一部を構成することによって、バイポーラー全固体電池2000の密度を向上させることができる。第2正極集電体2212がない場合は、さらに多くの密度の向上を達成することができる。
【0127】
前記第2多孔性支持層2140は、前記第1単位セル2100及び第2単位セル2200に圧着して形成される。
【0128】
前記第2多孔性支持層2240は、前記第2多孔性支持層2140と同一の形態であり得る。
【0129】
本発明に係る第1単位セル2100と第2単位セル2200との間には、別途の金属集電体がさらに含まれていてもよい。すなわち、第2多孔性支持層2140と第2正極2210との間に前記金属集電体が含まれ得る。前記金属集電体は、前記第1正極2110から移動したリチウムイオンが第2正極2210に直接移動することを防止するために使用される。このとき、前記金属集電体としては、前記第1正極集電体2112として使用できる物質と同一の種類の物質を使用することができる。一例として、前記金属集電体としては、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、及びアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン又は銀で表面処理したものから選ばれる一つを使用することができる。
【0130】
また、第2単位セル2200の最外郭にも別途の金属集電体がさらに含まれ得る。前記集電体は、金属又は金属酸化物であり得る。例えば、前記集電体としては、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使用され得る。また、前記集電体は、表面に微細な凹凸を形成することによって前記第2多孔性支持層2140との結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で使用され得る。
【0131】
前記第1単位セル2100及び第2単位セル2200は、ジグによって一定の加圧力F1で加圧され、これは、前記バイポーラー全固体電池2000を使用する場合にも持続される。
【0132】
本発明に係るバイポーラー全固体電池2000には、図7に示すように、充放電後にリチウム層2400が形成される。前記リチウム層2400は、充放電によって前記第2多孔性支持層2140又は第2多孔性支持層2240と前記第1固体電解質2120又は第2固体電解質2220との間にリチウムが堆積して形成される。
【0133】
前記リチウム層2400は、定電流/定電圧(CC/CV)の条件で充電され、このときのリチウム二次電池全体に加えられる加圧力F1は、電池内に形成されるリチウムの量、充放電速度及び時間などによって変わり得る。これは、前記リチウム層2400が形成され、内部圧力F2が発生するためである。
【0134】
本発明に係るバイポーラー全固体電池2000においては、前記リチウム層2400によって加えられる内部圧力F2によって発生する応力が前記第2多孔性支持層2140又は第2多孔性支持層2240を通じて解消される。前記第2多孔性支持層2140又は第2多孔性支持層2240は、前記第2多孔性支持層2140又は第2多孔性支持層2240内の気孔が減少したり、前記第2多孔性支持層2140又は第2多孔性支持層2240の形態を変形させ、前記バイポーラー全固体電池2000全体に一定の加圧力F1が加えられるようにする。
【0135】
以下では、本発明に係る実験例と従来技術に係る比較例とを比較した実験例を通じて本発明を説明する。
【0136】
(実験例1)第1多孔性支持層の弾性力実験
全固体電池の駆動時、ジグ圧力及び/又は充電時に堆積するリチウムによる圧力変化に対する第1多孔性支持層の厚さ変化を測定した。このとき、前記第1多孔性支持層としては、気孔度が類似し、厚さが異なる第1多孔性支持層#1と第1多孔性支持層#2、及び気孔度及び厚さが異なる第1多孔性支持層#3を使用した。
【0137】
前記第1多孔性支持層としては、ポリエチレンを使用した。
【0138】
前記第1多孔性支持層は、2.5cm×2.5cmに打ち抜いた後、ジグを用いて前記全固体電池を5MPa、10MPa、15MPa、20MPaで順次加圧し、各段階での厚さ変化を測定した後、これを下記の表1に示した。
【0139】
【表1】
【0140】
第1多孔性支持層は、圧力が大きくなるほど厚さが減少するが、第1多孔性支持層#1のように厚さが薄い超薄膜多孔性支持層の場合は、圧力による厚さ変化が少なく、第1多孔性支持層#3のように厚さが厚く、且つ気孔度が大きい多孔性支持層の場合は、圧力による厚さ変化が大きかった。前記第1多孔性支持層#1乃至第1多孔性支持層#3を対象にして全固体電池の評価時に締結される圧力及び充電時に生じるリチウムによる圧力変化による多孔性支持層の変形をシミュレートし、多孔性支持層を5MPaでそれぞれ1回、2回、3回、5回、10回加圧した後、厚さを測定し、これを表2に示した。
【0141】
このとき、前記第1多孔性支持層#1としては、20MPaで加圧されたものを使用し、第1多孔性支持層#2としては、10MPaで加圧されたものを1枚、2枚、3枚積層したものをそれぞれ使用し、第1多孔性支持層#3として、加圧されていないものと、10MPaで加圧されたものを5MPaでそれぞれ1回、2回、3回、5回、10回加圧した。
【0142】
【表2】
【0143】
本発明で目的とするように、バイポーラー全固体電池内で発生する応力を減少させるためには、圧力による変形範囲が第1多孔性支持層の弾性範囲内でなければならない。前記表2に示すように、本発明に係る第1多孔性支持層は、厚さが薄い薄膜型で、厚さの変化、すなわち、変形範囲の絶対値が低い水準である。特に、第1多孔性支持層#1の場合、超薄膜多孔性支持層であって、理論的に可能な変形範囲が4μm水準である。したがって、厚さが薄い多孔性支持層を使用する場合、多孔性支持層がバイポーラー全固体電池内部の応力を吸収しながらも、その厚さが大きく変化しないことが分かる。
【0144】
ジグの圧力を除外したとしても、充電時、通常、1mAh/cmのリチウムが堆積する場合、前記リチウムは、負極に4μmの厚さの層として堆積する。本発明は、小型又は自動車などに使用される大容量電池に使用する電池に関するものであって、一般に、薄膜電池に比べて電極の容量が大きく、電極の容量の増加によって負極に堆積するリチウムの厚さも厚くなる。よって、バイポーラー全固体電池内部の応力を解消するために、本発明のような変形範囲が少ない第1多孔性支持層を使用するとき、堆積するリチウムの厚さによって複数個の第1多孔性支持層を使用してバイポーラー全固体電池内部の応力を緩和させることができる。前記表2のように、第1多孔性支持層#2を2枚又は3枚を積層した場合にも、第1多孔性支持層#2を1枚積層した場合と同一に作動することが分かる。
【0145】
第1多孔性支持層#3と第1多孔性支持層#3を10MPaで加圧した場合を比較したとき、加圧していない第1多孔性支持層#3は、5MPaで1回加圧した場合、厚さが41μmから38μmに減少し、その後、加圧回数が増加するにつれて厚さが持続的に減少し、小型変形になるが、これを駆動圧力に比べて高い圧力で1次成形した後で使用した場合、すなわち、第1多孔性支持層#3を10MPaで加圧した場合、その後、追加的な加圧が持続されたとしても厚さ変化がないことが分かる。したがって、第1多孔性支持層#2のように薄い第1多孔性支持層を多層積層したり、第1多孔性支持層#3のように厚い第1多孔性支持層を駆動圧力に比べて高い圧力で成形した後で使用する場合、バイポーラー全固体電池内部の応力を減少できることが分かる。
【0146】
(実験例2)厚さ増加率の測定実験
実験例2では、下記のような構成で形成された電池を5回充放電し、厚さ変化率を計算した。前記電池の初期容量は、60℃の条件で充放電して測定し、充電条件はCC/CV(8.5V、0.05C、0.01C電流カットオフ)とし、放電条件はCC条件(6V、0.05C、60℃)として測定した。このとき、厚さ増加率は、充電後の電池の厚さ/充電前の電池の厚さ×100として計算し、これを下記の表3に示した。また、5回充放電した後の容量維持率(retention)を測定し、これを下記の表3に示した。
【0147】
前記容量維持率は、次のように算出した。
【0148】
容量維持率(%)=(5回サイクルでの容量/初期容量)×100
【0149】
(実施例1-1)
正極活物質であるNCM811(LiNi0.8Co0.1Mn0.1)、固体電解質であるアルジロダイト(LiPSCl)、導電材であるカーボン、及びPTFEバインダーを77.5:19.5:1.5:1.5の重量比でアニソールに分散及び撹拌することによって正極スラリーを製造した。前記正極スラリーを15μmの厚さのアルミニウム集電体にドクターブレードを用いて塗布した後、100℃で12時間真空乾燥することによって2mAh/cmの容量を有する正極を製造した。
【0150】
アルジロダイト(LiPSCl)とPTFEバインダーを95:5の重量比で混合することによって固体電解質層を製造した。
【0151】
負極集電体として、11μmの厚さのニッケルを使用した。
【0152】
図5は、実験例2で使用された全固体電池1000の断面図である。
【0153】
実験例2の全固体電池は、第1正極集電体1112の一面に形成された第1正極活物質1111を有している第1正極1110、第1固体電解質層1120、及び第1負極集電体1132のみからなる負極を積層した第1単位セル1100と、第2正極集電体1212の一面に形成された第2正極活物質1211を有している第2正極1210、第2固体電解質層1220、及び第2負極集電体1232のみからなる負極を積層した第2単位セル1200との間に第1多孔性支持層1300を積層して形成される。このとき、第1正極活物質1111は、第1固体電解質層1120に対面するように積層され、これは、第2正極活物質1211の場合にも同一である。このとき、第1正極集電体1112はジグ(JIG)に対面し、第2正極集電体1212は第1多孔性支持層1300に対面するようになる。
【0154】
本発明の実施例1-1で使用された第1多孔性支持層1300としては、前記第1多孔性支持層#2を10MPaで加圧した後のものを3枚積層したものを使用した。
【0155】
(実施例1-2)
前記実施例1-1において、第1多孔性支持層1300として、前記第1多孔性支持層#2を10MPaで加圧した後のものを1枚使用したことを除いては、実施例1-1と同一に製作及び評価した。
【0156】
(実施例1-3)
前記実施例1-1において、容量が3mAh/cmである正極を使用したことを除いては、実施例1-1と同一に製作及び評価した。
【0157】
(比較例1-1)
前記実施例1-1において第1多孔性支持層を適用していないことを除いては、実施例1-1と同一に製作及び評価した。
【0158】
(比較例1-2)
前記実施例1-1において、第1多孔性支持層1300として、前記第1多孔性支持層#1を20MPaで加圧した後のものを1枚使用したことを除いては、実施例1-1と同一に製作及び評価した。
【0159】
(比較例1-3)
前記実施例1-1において、第1多孔性支持層1300として、前記第1多孔性支持層#3を1枚使用したことを除いては、実施例1-1と同一に製作及び評価した。
【0160】
【表3】
【0161】
表3に示すように、本発明の実施例1-1乃至実施例1-3のように、電池駆動圧力より第1多孔性支持層の弾性力がさらに大きい場合、充電時に生じるリチウムによる厚さ変化を第1多孔性支持層が吸収し、全固体電池内の応力を前記第1多孔性支持層が解消することが分かる。このような厚さ変化の解消は、5回充放電後にも持続されることが分かる。理論的に、第1多孔性支持層の変形量の場合、使用しようとする第1多孔性支持層の厚さ及び気孔度で計算することができ、実施例1-3のように、正極の容量が3mAh/cmである場合のように正極の容量が大きくなった場合にも、充放電時の厚さ増加率がほとんどないことを確認することができる。
【0162】
その一方で、第1多孔性支持層が適用されていない比較例1-1の場合は、全固体電池の厚さが増加し、これによって全固体電池内部の抵抗が大きくなり、寿命も実施例1-1乃至実施例1-3より劣悪であることが分かる。また、増加した厚さより変形量が少ない第1多孔性支持層を使用した比較例1-2と、弾性力が低く、駆動時に持続的に厚さが変化する比較例1-3の場合は、第1多孔性支持層を使用したとしてもその効果が微々たるものであることが分かる。したがって、前記第1多孔性支持層の弾性範囲は、堆積するリチウムによる変形範囲より大きくなければならないことが分かる。
【0163】
すなわち、前記全固体電池の容量1mAh/cm当たりに4μmの厚さのリチウムが堆積するので、第1多孔性支持層の厚さ及び気孔度を通じて変形範囲を計算し、これを1層以上で積層して使用することができる。
【0164】
(実験例3)第2多孔性支持層の弾性力実験
全固体電池の多孔性集電体として使用するための第2多孔性支持層として、下記のようにニッケルフォーム(Ni foam)2種(ニッケルフォーム#1、ニッケルフォーム#2)を選定した。前記第2多孔性支持層を2.0cm×2.0cmに打ち抜いた後、5MPa、10MPa、15MPa、25MPa、50MPaで順次加圧し、各段階での厚さ変化を測定した後、これを下記の表4に示した。
【0165】
【表4】
【0166】
前記ニッケルフォーム#1及びニッケルフォーム#2は、圧力が大きくなるほど厚さが漸次減少し、50MPaで加圧した後、ニッケルフォーム#1では厚さ165μm、気孔度48%を有し、ニッケルフォーム#2では厚さ109μm、気孔度83%を有するようになる。
【0167】
全固体電池の評価時に締結される圧力及び充電時に生じるリチウムによる圧力変化による第2多孔性支持層の変形をシミュレートするために、第2多孔性支持層を5MPaで数回加圧し、前記数回加圧された第2多孔性支持層を10MPaで加圧した後、10MPaで加圧された第2多孔性支持層を15MPa及び25MPaの順に加圧した。加圧した後、第2多孔性支持層の厚さを測定し、これを下記の表5及び表6に示した。
【0168】
このとき、前記第2多孔性支持層として、前記ニッケルフォーム#1、50MPaで加圧したニッケルフォーム#1、及び50MPaで加圧したニッケルフォーム#2を使用した。
【0169】
【表5】
【0170】
【表6】
【0171】
何ら処理もしていないニッケルフォーム#1の場合は、5MPaの圧力で第2多孔性支持層を順次加圧するときに厚さが持続的に減少した。このような厚さ減少は、圧力が第2多孔性支持層の弾性力より大きく、組成変形が持続的に起こるために発生する。特に、圧力が10MPaや15MPaに大きくなった場合、変形率が持続的に大きくなった。すなわち、前記第2多孔性支持層を適用して電池を製作する場合、持続的な充放電時、リチウム堆積による圧力増加によって前記第2多孔性支持層の厚さが減少し、リチウム堆積が解消されたときにも、前記第2多孔性支持層の厚さが回復できない。上記のように第2多孔性支持層の厚さが回復できない場合、放電時に堆積したリチウムが正極に移動しながらリチウム層の厚さが減少すると、前記第2多孔性支持層、固体電解質、及び正極の間の接触が減少し、電池内の界面抵抗が増加しながら全固体電池全体の性能が減少する。
【0172】
その一方で、50MPaで加圧したニッケルフォーム#1及びニッケルフォーム#2の場合は、5MPaで数回加圧したときにも厚さの変化がないことが分かる。これは、前記50MPaで加圧したニッケルフォーム#1及びニッケルフォーム#2が既に加圧されることによって変形が完成し、強度が改善されており、変形した第2多孔性支持層の変形のためにさらに大きな圧力が必要であるためである。50MPaで加圧したニッケルフォーム#1及びニッケルフォーム#2の場合は、前記表5及び表6に示すように、25MPaまで変形が起こらないので、全固体電池の駆動時に発生する圧力に十分に耐えられることが分かる。上記のように第2多孔性支持層の変形が起こらない場合、充放電時にも初期厚さ及び初期形態を維持することができ、前記第2多孔性支持層を適用する場合、正極-固体電解質-第2多孔性支持層の間の接触が一定に維持され、電池の性能が低下しない。このとき、前記第2多孔性支持層としては、圧力による変形時、その形態を維持する形態維持力が大きいものを使用することがさらに効果的である。
【0173】
前記言及した第2多孔性支持層は、その他に電池に使用される多様な部品に適用可能であり、その素材も、本明細書の発明の説明に記載していないが、電池に使用され得る素材であればいずれも使用することができる。また、前記第2多孔性支持層は、全固体電池の他に、電解液を使用する電池や、その他に電気を貯蔵するための全ての製品に適用され得る。
【0174】
(実験例4)厚さ増加率の測定実験
実験例4では、下記の構成で形成された全固体電池の充放電を行い、厚さ変化率を計算した。前記初期容量は、60℃の条件で充放電を行って測定し、充電条件はCC/CV(8.5V、0.05C、0.01C電流カットオフ)とし、放電条件はCC条件(6V、0.05C、60℃)として測定した。このとき、厚さ増加率は、充電後、電池の厚さ/充電前の電池厚さ×100として計算し、これを下記の表7に示した。
【0175】
(実施例2-1)
正極活物質であるNCM811(LiNi0.8Co0.1Mn0.1)、固体電解質であるアルジロダイト(LiPSCl)、導電材であるカーボン、及びPTFEバインダーを77.5:19.5:1.5:1.5の重量比でアニソールに分散及び撹拌することによって正極スラリーを製造した。前記正極スラリーを15μmの厚さのアルミニウム集電体にドクターブレードを用いて塗布した後、100℃で12時間真空乾燥することによって4mAh/cmの容量を有する正極を製造し、これを最外郭正極として使用した。
【0176】
アルジロダイト(LiPSCl)とPTFEバインダーを95:5の重量比で混合することによって固体電解質層を製造した。
【0177】
前記実験例3の50MPaで加圧したニッケルフォーム#1を第2多孔性支持層として使用した。
【0178】
前記第2多孔性支持層の一面に対面する正極活物質は、正極活物質であるNCM811(LiNi0.8Co0.1Mn0.1)、固体電解質であるアルジロダイト(LiPSCl)、導電材であるカーボン、及びPTFEバインダーを77.5:19.5:1.5:1.5の重量比でアニソールに分散及び撹拌した正極スラリーを使用して形成された。
【0179】
本発明の実施例2-1では、最外郭負極集電体としてニッケルを使用した。
【0180】
図8は、実験例4に係る使用された全固体電池2000の断面図である。
【0181】
実験例4に係る全固体電池は、第1正極集電体2112の一面に形成された第1正極活物質2111を有している第1正極2110、第1固体電解質2120、及び第2多孔性支持層2140を積層した第1単位セル2100と、第2正極活物質2211、第2固体電解質2220、及び第2負極集電体2232を積層した第2単位セル2200とを積層して形成される。このとき、第1正極活物質2111は、第1固体電解質2120に対面する。前記全固体電池は、ジグ(JIG)によって加圧され、前記第1正極集電体2112と前記第2負極集電体2232は前記ジグ(JIG)に対面するようになる。
【0182】
実施例2-1に係る物質を使用し、図8のような全固体電池を製作した。
【0183】
前記全固体電池に5MPaの力を加えるようにジグを締結した後、充放電を行った。
【0184】
(実施例2-2)
前記実施例2-1において、第2多孔性支持層として、50MPaで加圧したニッケルフォーム#2を適用したことを除いては、実施例2-1と同一に製作及び評価した。
【0185】
(実施例2-3)
前記実施例2-1において、正極の容量が6mAh/cmで、第2多孔性支持層として、50MPaで加圧したニッケルフォーム#2を適用したことを除いては、実施例2-1と同一に製作及び評価した。
【0186】
(比較例2-1)
前記実施例2-1において、第2多孔性支持層として10μmの厚さのニッケルホイルを適用したことを除いては、実施例2-1と同一に製作及び評価した。
【0187】
(比較例2-2)
前記実施例2-1において、正極の容量が6mAh/cmで、第2多孔性支持層として10μmの厚さのニッケルホイルを適用したことを除いては、実施例2-1と同一に製作及び評価した。
【0188】
【表7】
【0189】
表7に示すように、本発明の実施例2-1乃至2-3のように、電池の駆動圧力より第2多孔性支持層の弾性力がさらに大きい場合、充電時に生じるリチウムによる厚さ変化を第2多孔性支持層が吸収し、全固体電池内の応力を前記第2多孔性支持層が解消することが分かる。このような厚さ変化の解消は、5回充放電後にも持続されることが分かる。これによって、第2多孔性支持層の弾性力のみならず、充電時に堆積するリチウムの厚さ増加による応力よりニッケルフォームの変形量が十分であることが分かる。理論的に、第2多孔性支持層の変形量の場合、厚さ及び気孔度で予想が可能であり、実施例2-3のように、正極の容量が6mAh/cmである場合のように正極の容量が大きくなった場合にも、第2多孔性支持層の厚さが109μm、気孔度が83%で、充放電時の厚さ増加率がほとんどないことを確認することができる。
【0190】
その一方で、一般的なニッケルホイルが適用された比較例2-1の場合は、1回充電時にも堆積したリチウムによる厚さ増加を解消する要素がないので、厚さが11.4%増加した。このような厚さ変化率は、充電回数が増加する度に増加する。また、正極の容量が増加した比較例2-2の場合は、上記のような厚さ変化率が15.8%にさらに大きくなり、リチウム堆積による応力を解消できないことを確認することができる。前記結果に基づいて、本発明のように、第2多孔性支持層は、リチウムプレーティング/ストリッピング(plating/stripping)メカニズムで作動する全固体電池の充放電による電池の厚さ変化率を最小化するのに効果的であることが分かる。
【0191】
また、本発明は、前記バイポーラー全固体電池を含む電池モジュール、電池パック及び前記電池パックを含むデバイスを提供するが、上記のような電池モジュール、電池パック及びデバイスは当業界に公知となっているので、本明細書では、それについての具体的な説明を省略する。
【0192】
前記デバイスは、例えば、ノート型パソコン、ネットブック、タブレットPC、携帯電話、MP3、ウェアラブル電子機器、パワーツール(power tool)、電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)、プラグ-インハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)、電気自転車(E-bike)、電気スクーター(E-scooter)、電気ゴルフカート(electric golf cart)、又は電力貯蔵用システムであり得るが、これらのみに限定されないことは当然である。
【0193】
本発明の属した分野で通常の知識を有する者であれば、前記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形が可能であろう。
【符号の説明】
【0194】
10、1000、2000:バイポーラー全固体電池
100、1100、2100:第1単位セル
110、1110、2110:第1正極
111、1111、2111:第1正極活物質
112、1112、2112:第1正極集電体
120、1120、2120:第1固体電解質
130、1130:第1負極
131、1131:第1負極活物質
132、1132:第1負極集電体
2140、2240:第2多孔性支持層
200、1200、2200:第2単位セル
210、1210、2210:第2正極
211、1211、2211:第2正極活物質
212、1212、2212:第2正極集電体
220、1220、2220:第2固体電解質
230、1230:第2負極
231、1231:第2負極活物質
232、1232:第2負極集電体
300:バイポーラー電極
1300:第1多孔性支持層
400、1400、2400:リチウム層
F1:加圧力
F2:内部圧力
m:加圧前の厚さ
M:加圧後の厚さ
JIG:ジグ
【産業上の利用可能性】
【0195】
本発明は、多孔性支持層を含むバイポーラー全固体電池に関するものであって、具体的には、(a)正極、固体電解質、及び負極を含む単位セルが2個以上直列に連結され、前記連結された部分の中央に第1多孔性支持層が設けられたり、(b)正極、固体電解質、及び第2多孔性支持層を含む単位セルが2個以上直列に連結されたバイポーラー全固体電池に関するものであるので、産業上に利用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8