(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】フレキシブルプリント回路基板を含むパウチ型電池セル
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20241202BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20241202BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20241202BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20241202BHJP
H01M 50/129 20210101ALI20241202BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20241202BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M10/48 301
H01M50/105
H01M50/119
H01M50/129
H01M50/178
(21)【出願番号】P 2023561832
(86)(22)【出願日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 KR2023004310
(87)【国際公開番号】W WO2023191558
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2023-10-06
(31)【優先権主張番号】10-2022-0041247
(32)【優先日】2022-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ワン・コ
(72)【発明者】
【氏名】ド・ユル・キム
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-037338(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0018816(US,A1)
【文献】韓国公開特許第2021-0143603(KR,A)
【文献】国際公開第2022/145816(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/00-10/39
H01M 50/10-50/198
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルプリント回路基板(FPCB)を含むパウチ型電池セルであって、
前記フレキシブルプリント回路基板は、パウチ型電池ケースが密封される密封部と接する部分において最外側面にメッキが形成されたメッキ部を含む、パウチ型電池セル。
【請求項2】
前記メッキはゴールドメッキまたはニッケルメッキである、請求項1に記載のパウチ型電池セル。
【請求項3】
前記メッキ部のメッキ厚さは3μm~6μmである、請求項1に記載のパウチ型電池セル。
【請求項4】
前記メッキ部の外面と前記密封部との間には熱融着フィルムが付加された、請求項1に記載のパウチ型電池セル。
【請求項5】
前記フレキシブルプリント回路基板の第1端部は前記パウチ型電池セルの内部に位置し、前記フレキシブルプリント回路基板の第2端部は前記パウチ型電池セルの外部に位置する、請求項1に記載のパウチ型電池セル。
【請求項6】
前記第1端部には圧力測定センサーが備えられ、前記第2端部には外部端子が連結されたコネクタが備えられる、請求項5に記載のパウチ型電池セル。
【請求項7】
前記パウチ型電池セルは、外部保護層、金属層、及び内部接着層を含むパウチ型電池ケースの外周辺を熱融着することによって密封される、請求項1に記載のパウチ型電池セル。
【請求項8】
前記フレキシブルプリント回路基板は、伝導層、前記伝導層の一側面に位置し、絶縁物質からなるベース層、及び前記伝導層を保護するためのカバー層を含む、請求項1に記載のパウチ型電池セル。
【請求項9】
前記フレキシブルプリント回路基板は、伝導層、前記伝導層の一側面に位置し、絶縁物質からなるベース層、及び前記伝導層を保護するためのカバー層を含み、
前記ベース層及びカバー層はポリエチレン及びポリイミドのうちの少なくとも1種以上から構成され、
前記内部接着層はポリプロピレン系素材から構成される、請求項7に記載のパウチ型電池セル。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のパウチ型電池セルを単位電池セルとして含む、電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2022年4月1日付け韓国特許出願第2022-0041247号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明はフレキシブルプリント回路基板を含むパウチ型電池セルに関するものである。具体的には、パウチ型電池セルのシーリング部で密封力が向上したフレキシブルプリント回路基板を含むパウチ型電池セルに関するものである。
【背景技術】
【0003】
グローバル炭素排出規制の拡散の趨勢に応じて、化石燃料の使用を代替することができ、エネルギー使用による副産物を画期的に減少させることができるリチウム二次電池が環境に優しいエネルギー源として注目されている。
【0004】
リチウム二次電池は、ラミネートシートからなる電池ケースに電極組立体を収納してなるパウチ型二次電池、金属素材からなる電池ケースに電極組立体を収納してなる角型二次電池及び円筒型二次電池を含み、前記パウチ型二次電池は、形状変形が容易であり、エネルギー密度が高い利点がある。
【0005】
リチウム二次電池は、正常な充電及び放電の過程でもリチウムイオンと電解液の副反応によってガスが発生する。電池セルの内部で発生するガスによって電池セルの内圧が増加する場合、電池セルの爆発が発生することがあり、安全性に影響を与えることがある。
【0006】
したがって、電池セルの内圧を常時確認して安全性を確保する必要がある。
【0007】
これに関連して、特許文献1の圧力測定装置は、パウチ型二次電池の内部から外部に突出するように圧力感知装置が配置され、前記圧力感知装置と連結された外部機器に圧力情報を伝達する圧力伝達装置を含む。
【0008】
特許文献1の圧力感知装置は、ケースの内部に位置し、圧力を測定する測定部、前記ケースの外部に位置し、前記測定部と外部計測器とを連結する連結端子、及び前記測定部と前記連結端子との間に位置し、前記ケースを密封するときに一緒に密封される貫通部を含む。
【0009】
前記貫通部は前記ケースと一緒に密封される部分であり、ケースの密封力を向上させるために少なくとも一部の絶縁フィルムを除去した結合部を備える。前記結合部は、外面が銅のようにケースに容易に溶接または接着される材質からなることができる。
【0010】
一方、最近では、電子製品に適用する基板として、フレキシブルな素材から構成されて自由な形態変形が可能なフレキシブルプリント回路基板(FPCB)を用いて電池セルの内部圧力及び温度の測定などを行うことができる。しかし、前記フレキシブルプリント回路基板は一般的に最外側表面がポリイミドまたはポリエチレンから製造されるが、前記ポリイミドまたはポリエチレンはパウチ型電池ケースの最内層であるポリプロピレンとの熱融着強度が低いためシーリング強度が低いという問題がある。したがって、フレキシブルプリント回路基板をパウチ型電池ケースのシーリング部を貫通するように配置するとき、密封力が低下することを防止することができる技術が必要である。
【0011】
特許文献2は、電極パターンが形成された上部電極層及び下部電極層、及び前記上部電極層と下部電極層との間に配置された弾性層を含み、バッテリー圧力感知センサーがバッテリーに配置された形態を開示している。
【0012】
特許文献2は前記圧力感知センサーがバッテリーの平面の外面上に配置された形態のみを開示しているだけで、パウチ型電池セルにおいてシーリング部を貫通するように配置される形態、及びシーリング強度を向上させるための技術は開示していない。
【0013】
特許文献3は電池セルに接するように配置される電池セル圧力感知用パッドに関するものであり、前記電池セル圧力感知用パッドは、パウチボディー、及び前記パウチボディーの一側から延び、前記パウチボディーと連通する内部空間が形成された導管を含み、前記導管の一側端はパウチボディーと連通し、他側端には圧力センサーが配置される。
【0014】
特許文献3は電池セルの圧力を測定するための技術を開示しているが、前記電池セル圧力感知用パッドを構成する圧力センサーは電池セルに装着される構成ではないので、パウチ型電池セルのシーリング部に安定的に圧力センサーを固定する技術を提供することはできない。
【0015】
したがって、フレキシブルプリント回路基板をパウチ型電池セルのシーリング部を貫通するように配置するとき、安定的にフレキシブルプリント回路基板を固定することができるだけでなく、パウチ型電池セルのシーリング強度を確保することができるとともに、パウチ型電池セルの内部圧力を持続的に確認することで安全性を向上させることができる技術が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】韓国公開特許第2021-0143603号公報
【文献】韓国公開特許第2019-0090340号公報
【文献】韓国公開特許第2021-0110921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は前記のような問題を解決するためのものであり、パウチ型電池セルのシーリング部を通過するようにフレキシブルプリント回路基板が配置されるとき、前記フレキシブルプリント回路基板を安定的に固定することができ、パウチ型電池セルのシーリング強度も確保することができるフレキシブルプリント回路基板を含むパウチ型電池セルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このような目的を達成するための本発明は、フレキシブルプリント回路基板(FPCB)を含むパウチ型電池セルであって、前記フレキシブルプリント回路基板は、パウチ型電池ケースが密封される密封部と接する部分において最外側面にメッキが形成されたメッキ部を含むことができる。
【0019】
前記メッキはゴールドメッキまたはニッケルメッキであり得る。
【0020】
前記メッキ部のメッキ厚さは3μm~6μmであり得る。
【0021】
前記メッキ部の外面と前記密封部との間には熱融着フィルムが付加されることができる。
【0022】
前記フレキシブルプリント回路基板の第1端部は前記パウチ型電池セルの内部に位置し、前記フレキシブルプリント回路基板の第2端部は前記パウチ型電池セルの外部に位置することができる。
【0023】
前記第1端部には圧力測定センサーが備えられ、前記第2端部には外部端子が連結されたコネクタが備えられることができる。
【0024】
前記パウチ型電池セルは、外部保護層、金属層、及び内部接着層を含むパウチ型電池ケースの外周辺を熱融着することによって密封されることができる。
【0025】
前記フレキシブルプリント回路基板は、伝導層、前記伝導層の一側面に位置し、絶縁物質からなるベース層、及び前記伝導層を保護するためのカバー層を含むことができる。
【0026】
前記ベース層及びカバー層はポリエチレン及びポリイミドのうちの少なくとも1種以上から構成され、前記内部接着層はポリプロピレン系素材から構成されることができる。
【0027】
本発明は、前記パウチ型電池セルを単位電池セルとして含む電池パックを提供する。
【発明の効果】
【0028】
以上で説明したように、本発明によるパウチ型電池セルは、フレキシブルプリント回路基板の外面において前記パウチ型電池ケースの密封部と接する部分にメッキ部が設けられ、前記密封部と前記メッキ部との間にシーリング強度の向上のために熱融着フィルムを付け加えるとき、前記熱融着フィルムと前記フレキシブルプリント回路基板との間の接着力を確保することができる。
【0029】
また、フレキシブルプリント回路基板とパウチ型電池セルとの間のシーリング強度も向上するので、シーリング強度の不良による電解液の漏液発生の問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明によるパウチ型電池セルの斜視図である。
【
図2】フレキシブルプリント回路基板の垂直断面図である。
【
図3】メッキ部及び熱融着フィルムが付着されたフレキシブルプリント回路基板の断面写真である。
【
図4】漏液実験を実施したフレキシブルプリント回路基板の断面写真である。
【
図5】比較例で製造されたパウチ型電池セルの平面写真である。
【
図6】浸漬検査を実施したフレキシブルプリント回路基板の平面写真である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができる実施例を詳細に説明する。ただし、本発明の好適な実施例に対する動作原理を詳細に説明するにあたり、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合はその詳細な説明を省略する。
【0032】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を使用する。明細書全般で、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0033】
また、構成要素を限定するか付け加えて具体化する説明は、特別な制限がない限り、すべての発明に適用可能であり、特定の発明に限定されない。
【0034】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって単数で表示したものは、別に言及しない限り、複数の場合も含む。
【0035】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって「または」は、別に言及しない限り、「及び」を含むものである。したがって、「AまたはBを含む」はAを含むか、Bを含むか、またはA及びBの両者を含む3種の場合を意味する。
【0036】
本発明を図面に基づいて詳細な実施例と一緒に説明する。
【0037】
図1は本発明によるパウチ型電池セルの斜視図である。
【0038】
図1を参照すると、本発明によるパウチ型電池セル100は、フレキシブルプリント回路基板210が密封部120を横切るように配置され、フレキシブルプリント回路基板210においてパウチ型電池ケース110が密封される密封部120と接する部分は、最外側面にメッキが形成されたメッキ部240が付加されている。
【0039】
フレキシブルプリント回路基板210は、伝導層、前記伝導層の一側面に位置し、絶縁物質からなるベース層、及び前記伝導層を保護するためのカバー層を含む。
【0040】
前記伝導層は電気伝導性の高い銅からなることができる。前記ベース層は前記伝導層を支持する支持体であるとともに回路方向ではない所で通電することを防止する絶縁体の役割を果たすので、絶縁素材であるポリエチレン及びポリイミドのうちの少なくとも1種以上から構成され得る。前記カバー層は前記伝導層に形成された回路を保護するために覆う役割を果たし、前記ベース層上に熱硬化性接着剤がコーティングされたものであり、前記熱硬化性接着剤は、エポキシ系接着剤を使用することができる。
【0041】
その他に、前記フレキシブルプリント回路基板の伝導層、ベース層及びカバー層は、従来のフレキシブルプリント回路基板を構成する伝導層、ベース層及びカバー層についての説明を同様に適用することができ、その形態は、平面上で直線形、折曲部を含む階段形など、特に制限されない。
【0042】
フレキシブルプリント回路基板は、ベース層の一面に回路層が配置される片面FPCB(single side FPCB)、ベース層の両面に回路層が配置される両面FPCB(double side FPCB)または3個以上の回路層が絶縁性のベース層を間に挟んで積層される多層FPCB(multi-layer FPCB)であり得る。
【0043】
フレキシブルプリント回路基板210の第1端部はパウチ型電池セル100の内部に位置し、前記第1端部には圧力測定センサー220が備えられる。フレキシブルプリント回路基板210の第2端部はパウチ型電池セル100の外部に位置し、前記第2端部には外部端子が連結されるコネクタ230が結合され得る。
【0044】
このように、本発明によるパウチ型電池セル100は、内部圧力を測定することができる圧力測定センサー220がパウチ型電池ケース110の内部に配置されているので、実時間でパウチ型電池セルの内部圧力を測定することができる。よって、パウチ型電池セルの爆発段階に先立って充電を中断させることで、パウチ型電池セルの爆発を防止することができる。
【0045】
パウチ型電池ケース110は、外部保護層111、金属層112、及び内部接着層113を含み、上部ケースの外周辺と下部ケースの外周辺とが重なった状態で熱融着によって密封される。
【0046】
外部保護層111と金属層112との間、及び金属層112と内部接着層113との間には、選択的に相互間の接着のための接着層がさらに含まれることができる。
【0047】
前記外部保護層は外部から電池セルを保護する役割を果たすので、外部環境に対して優れた耐性を有し、所定程度以上の引張強度と耐候性が必要である。このような観点で、外部保護層の高分子樹脂は、引張強度及び耐候性に優れたポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)または延伸ナイロンを含むことができる。
【0048】
前記金属層は、ガス、湿気などの異物の流入及び電解液の流出を防止する機能の他に、パウチ型電池ケースの成形性及び強度を向上させる機能を発揮することができるように、アルミニウム(Al)またはアルミニウム合金を使用することができる。
【0049】
前記内部接着層は、熱融着性を有し、電解液に対する吸湿性が低く、電解液によって膨張するか浸食されることがない高分子樹脂を使用することができ、具体的には、ポリプロピレン樹脂を使用することができ、より具体的には、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)からなることができる。
【0050】
好適な一例で、本発明によるパウチ型電池ケースは、前記外部保護層の厚さが5μm~40μmであり、前記金属層の厚さが20μm~150μmであり、前記内部接着層の厚さが10μm~50μmである構造を有することができる。前記パウチ型電池ケースは、各層の厚さがあまりにも薄い場合は、物質に対する遮断機能及び強度向上を期待しにくく、反対にあまりにも厚ければ、加工性が落ち、シートの厚さ増加を引き起こすので好ましくない。
【0051】
電極組立体101は、スタック型電極組立体、ゼリーロール型電極組立体、スタック/フォルディング型電極組立体、及びラミネーション/スタック型電極組立体を含む。電極組立体101は、一側外周辺から電極リード102が突出した形態として示されているが、これとは違い、2個の電極リードが互いに異なる方向に突出する形態の電極組立体を含むことができる。
【0052】
本発明によるパウチ型電池セル100は、圧力測定センサー220及びコネクタ230を含むフレキシブルプリント回路基板210の第1端部及び第2端部のそれぞれがパウチ型電池ケース110の内側及び外側に位置するように密封部120を貫通して配置されて固定される。
【0053】
フレキシブルプリント回路基板210の最外層は一般的にポリエチレンまたはポリイミドから構成されるが、これはポリプロピレン系樹脂から構成される熱融着フィルム250との熱融着接着力が低い。よって、密封部120においてフレキシブルプリント回路基板210が貫通する部分で密封不良が発生することがあり、この部分を通して電解液が漏液することがある問題がある。
【0054】
したがって、本発明は、金属でメッキされたメッキ部240がポリプロピレン系樹脂から構成される熱融着フィルム250との接着力に優れている点に着目して、フレキシブルプリント回路基板210においてパウチ型電池ケース110の密封部120と接する部分の最外側面にメッキ部240を形成した。よって、メッキ部240で熱融着フィルム250に対する接着力が向上したパウチ型電池セルを提供する。
【0055】
このように、熱融着フィルムに対する接着力を向上させるためのメッキ部において、メッキの種類は、パウチ型電池セルに化学的変化を引き起こさないながらも熱融着フィルムに対する接着力を向上させることができるものであれば、その種類を限定する必要はなく、例えば、ゴールドメッキまたはニッケルメッキであり得る。
【0056】
また、メッキ部240において、メッキの厚さは3μm~6μmであり得る。
【0057】
前記メッキの厚さが3μmより薄い場合は、熱融着フィルムとの接着力を向上させるためにメッキ部を形成した目的を達成しにくく、6μmより厚い場合は、メッキ部の厚さによる段差によってパウチ型電池ケースの密封力が低下することがあるので好ましくない。
【0058】
FPCBの両面のそれぞれに形成されるメッキ部の厚さは互いに異なることができるが、それぞれの面に形成されるメッキ部の厚さは均一に形成され得る。
【0059】
一具体例で、フレキシブルプリント回路基板210とパウチ型電池ケース110との間の結合力を向上させるために、メッキ部240の外面と密封部120との間に熱融着フィルム250を付け加える。熱融着フィルム250はパウチ型電池ケース110の内部接着層と同じ素材であるポリプロピレン系素材からなることができ、フレキシブルプリント回路基板210の外面に熱融着フィルム250を配置することでフレキシブルプリント回路基板210のパウチ型電池ケース110に対する接着力を高めることができる。また、前記熱融着フィルムを配置することで、フレキシブルプリント回路基板の厚さによってパウチ型電池ケースに段差が発生してパウチ型電池ケースの密封力が低下することを防止することができる。
【0060】
圧力測定センサー220として、ピエゾ抵抗技術(piezoresistive technology)を用いたセンサーを使用することができる。具体的には、ハウジングの内部底に圧力測定センサーが備えられ、前記圧力測定センサーの上部にポッティングゲル(potting gel)が収容されており、前記ハウジングの開口を通して入って来るガスが前記ポッティングゲルを押圧する圧力を前記圧力測定センサーが測定することができる。
【0061】
前記圧力測定センサー220にホイートストンブリッジ(wheatstone bridge)の構造を設計することで、前記ポッティングゲルに印加された圧力を電気的信号に変換することができる。
【0062】
パウチ型電池セル100内に配置される圧力測定センサー220は電極組立体101から突出した電極リード102に隣接した位置に配置され得る。
【0063】
電極リードの両側部分はパウチ型電池ケース110の内部において死空間(dead space)として見なされる空間であり、
図1のように圧力測定センサー220を配置してもパウチ型電池セルの外観の変形や全体的な容積増加が発生しない利点がある。
【0064】
また、圧力測定センサー220はパウチ型電池セル100の内部圧力を測定するためのものなので、電極組立体101の膨張による圧力が圧力測定センサーに影響を与えないように、パウチ型電池ケース110の内部の死空間として見なされる電極リード102に隣接した位置、または電極タブ-電極リードの結合部のそばに配置することが好ましい。
【0065】
図2はフレキシブルプリント回路基板の垂直断面図である。
【0066】
図2を参照すると、両側端のそれぞれにコネクタ230及び圧力測定センサー220が結合された2種のフレキシブルプリント回路基板が示されている。
【0067】
図2の(a)のフレキシブルプリント回路基板210は、回路を形成する伝導層212の両面にベース層211が接着されている。ベース層211はポリエチレンまたはポリイミド素材からなることができるが、これらの素材はパウチ型電池ケースの内部接着層との接着力が低いので、フレキシブルプリント回路基板をパウチ型電池ケースのシーリング部に配置して密封すると、密封不良による電解液の漏液が問題となることがある。
【0068】
よって、ベース層211の外面においてパウチ型電池ケースのシーリング部に配置される部分にメッキ部240を形成することによって密封力を向上させることができる。また、メッキ部240の表面に熱融着フィルムをさらに付着させることで、メッキ部240とパウチ型電池ケースとの密封力を一層向上させることができる。
【0069】
図2の(b)のフレキシブルプリント回路基板210は、ベース層211の両面に回路が形成されている伝導層212が接着されており、伝導層212を包むようにカバー層213が付加された両面FPCB(double side FPCB)の形態を示している。しかし、本発明においてフレキシブルプリント回路基板は片面FPCB(single side FPCB)及び多層FPCB(multi-layter FPCB)を含むことができる。
【0070】
フレキシブルプリント回路基板210の左側には外部端子との電気的な連結のためのコネクタ230が結合され、右側には圧力測定センサー220が付着される。圧力測定センサー220は、パウチ型電池セルの内部圧力を測定し、外部機器に通信方式で圧力情報を伝達することができる。
【0071】
図2の(b)のフレキシブルプリント回路基板210において、ベース層211の外面において伝導層212及びカバー層213が形成されなかった部分は、ベース層211が最外側面を構成するようになる。ポリエチレンまたはポリイミド素材からなるベース層211はパウチ型電池ケースの内部接着層との接着力が低いという問題があるので、これを克服するために、ベース層211の外面においてパウチ型電池ケースの密封部に位置する部分にはメッキ部240が形成されている。また、メッキ部240の表面に熱融着フィルムをさらに付着させることで、メッキ部240とパウチ型電池ケースとの密封力を一層向上させることができる。
【0072】
もしくは、パウチ型電池ケースの密封部に位置する部分が伝導層212及びカバー層213である場合は、カバー層213にメッキ部240を形成するかまたはカバー層213を除去して伝導層212が露出されるようにすることができる。このように伝導層212が露出される場合は、伝導層212がパウチ型電池ケースの内部接着層または熱融着フィルムとの接着力に優れるので、メッキ部を形成しなくてもよい。
【0073】
図2の(a)のフレキシブルプリント回路基板210において、メッキ部240のメッキ厚さは3μm~6μmであり得る。前記範囲内で、上面にあるメッキ部の厚さと下面にあるメッキ部の厚さとが互いに異なるように形成されることもできるが、それぞれのメッキ部は均一な厚さを有するように形成されることができる。
【0074】
図2の(b)のフレキシブルプリント回路基板210において、メッキ部240のメッキ厚さは伝導層212に付加されたカバー層213の最大厚さに対応するものとして示されているが、メッキ部240のみがパウチ型電池ケースの密封部に配置される点を考慮すると、メッキ部240の厚さは伝導層及びカバー層の厚さに関係なく形成されることができ、伝導層212に付加されたカバー層213の最大厚さより薄く形成されることができる。
【0075】
パウチ型電池ケースの上部ケースと下部ケースとの間にフレキシブルプリント回路基板210が配置される点を考慮すると、フレキシブルプリント回路基板210とパウチ型電池ケースとが接触する接触面は共に接着力向上の効果が必要である。よって、メッキ部240はベース層211の上面及び下面のそれぞれに形成され得る。
【0076】
このように、本発明は、フレキシブルプリント回路基板のベース層の外面においてパウチ型電池ケースの密封部に配置される部分にメッキ部を形成することで、パウチ型電池ケースの密封部との接着力を向上させることができる。また、フレキシブルプリント回路基板のメッキ部とパウチ型電池ケースとの間に熱融着フィルムを配置することで、フレキシブルプリント回路基板とパウチ型電池ケースとの間の接着力をさらに高めることができるので、電解液の漏液などの問題を防止することができる。
【0077】
以下では、本発明の実施例を参照して説明するが、これは本発明のより容易な理解のためのものであり、本発明の範疇がそれによって限定されるものではない。
【0078】
<実施例>
フレキシブルプリント回路基板とパウチ型電池ケースとの接着力を確認するために、パウチ型電池ケースの内部接着層と同じ素材から構成される熱融着フィルムとフレキシブルプリント回路基板を準備した。
【0079】
フレキシブルプリント回路基板の一部にニッケルメッキを実施してフレキシブルプリント回路基板の両面にメッキ部を形成した。
【0080】
前記メッキ部の外面に熱融着フィルムを付着するために、押圧ジグにメッキ部の形成されたフレキシブルプリント回路基板及び熱融着フィルムを配置し、160℃以上の温度で加熱及び押圧した。
【0081】
<比較例>
メッキ部が形成されていないフレキシブルプリント回路基板に熱融着フィルムを適用せず、パウチ型電池ケースに装着した後、熱融着密封することで、パウチ型電池セルを製造した。
【0082】
<実験例1>
外観検査
前記実施例で製造された、メッキ部に熱融着フィルムが付着されたフレキシブルプリント回路基板を準備して外観検査を実施した。
図3はメッキ部及び熱融着フィルムが付着されたフレキシブルプリント回路基板の断面写真を示している。
【0083】
図3を参照すると、上部には左側断面が、下部には右側断面が示されており、メッキ部240の外面全体で熱融着フィルム250が密着するように付着されたことを確認することができる。
【0084】
熱融着フィルムとパウチ型電池ケースの内部接着層とが同じ素材から構成される点を考慮すると、メッキ部が形成されたフレキシブルプリント回路基板をパウチ型電池ケースのシーリング部に介在して熱融着する場合も優れた接着力を確保することができることを予想することができる。
【0085】
<実験例2>漏液検査
前記実施例で製造された、メッキ部に熱融着フィルムが付着されたフレキシブルプリント回路基板を切断して浸透液に5分間投入し、外面に付いた前記浸透液を拭いた後、顕微鏡で断面を確認した。
【0086】
図4は漏液実験を実施したフレキシブルプリント回路基板の断面写真である。
【0087】
図4を参照すると、上部には左側断面が、下部には右側断面が示されており、メッキ部240及び熱融着フィルム250の内部に浸透液が浸透しなかったことを確認することができるので、メッキ部240と熱融着フィルム250との間の接着状態が安定的に維持されていることが分かる。
【0088】
図5は比較例で製造されたパウチ型電池セルの平面写真である。
【0089】
図5を参照すると、フレキシブルプリント回路基板は、メッキ部が形成されておらず、熱融着フィルムも接着されていない状態であるので、フレキシブルプリント回路基板が貫通するパウチ型電池セルのシーリング部から電解液が漏液したことを確認することができる。
【0090】
フレキシブルプリント回路基板の最外側面に使用されるポリエチレンやポリイミドは、主にポリプロピレンから構成されるパウチ型電池ケースの内部接着層との接着力が低いので、フレキシブルプリント回路基板が貫通する部分でパウチ型電池ケースが密封されない。
【0091】
したがって、電解液の漏液だけでなく、外部物質がパウチ型電池セルの内部に流入し得る問題がある。
【0092】
<実験例3>浸漬検査
水分1,000ppm及び電解液を収容しているパウチを準備した。前記実施例で製造された、メッキ部に熱融着フィルムが付着されたフレキシブルプリント回路基板を前記パウチに入れ、80℃で24時間保管した後、常温で1時間放置した。
【0093】
フレキシブルプリント回路基板に付着された熱融着フィルムを手で掴んで互いに反対方向に引っ張ることで、フレキシブルプリント回路基板と熱融着フィルムとが分離されるか否かを確認した。
【0094】
図6は浸漬検査を実施したフレキシブルプリント回路基板の平面写真である。
【0095】
図6を参照すると、互いに反対方向に引っぱる張力によって熱融着フィルム250が伸ばされてでこぼこに形態変形が発生したが、熱融着フィルム250はフレキシブルプリント回路基板210から分離されず、接着された状態が維持されていることを確認することができる。
【0096】
このように、フレキシブルプリント回路基板にゴールドまたはニッケルでメッキすることで、パウチ型ケースとフレキシブルプリント回路基板との接着力を向上させることができる。
【0097】
本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば前記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形をなすことが可能であろう。
【符号の説明】
【0098】
100 パウチ型電池セル
101 電極組立体
102 電極リード
110 パウチ型電池ケース
111 外部保護層
112 金属層
113 内部接着層
120 密封部
210 フレキシブルプリント回路基板
211 ベース層
212 伝導層
213 カバー層
220 圧力測定センサー
230 コネクタ
240 メッキ部
250 熱融着フィルム