(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】電源装置及びこれを用いた電動車両並びに蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/276 20210101AFI20241202BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20241202BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20241202BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20241202BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20241202BHJP
H01M 50/278 20210101ALI20241202BHJP
H01M 50/282 20210101ALI20241202BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20241202BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20241202BHJP
【FI】
H01M50/276
H01M50/209
H01M50/249
H01M50/262 Z
H01M50/271 Z
H01M50/278
H01M50/282
H01M50/291
H01M50/342 101
(21)【出願番号】P 2021537671
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(86)【国際出願番号】 JP2020028023
(87)【国際公開番号】W WO2021024771
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2019145724
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏行
【審査官】鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/103007(WO,A1)
【文献】特開2012-084447(JP,A)
【文献】国際公開第2013/031613(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/168982(WO,A1)
【文献】特開2012-164598(JP,A)
【文献】特開2015-230200(JP,A)
【文献】国際公開第2013/124966(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/276
H01M 50/209
H01M 50/249
H01M 50/262
H01M 50/271
H01M 50/278
H01M 50/282
H01M 50/291
H01M 50/342
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを有する、一方向に延長された電池集合体と、
前記電池集合体の一方向に延長された一面を覆う絶縁性のカバー部と、
を備える電源装置であって、
前記カバー部は、前記電池集合体の上面側に固定するための固定具を、延長方向に沿って複数形成しており、
前記カバー部は、金属製の芯材を含んで
おり、
前記カバー部が矩形状に形成されており、該矩形状のアスペクト比が5以上である電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記複数の電池セルが、それぞれ外装缶を角型としており、
前記電池集合体が、複数の電池セルを積層した積層体であり、
前記電源装置がさらに、
前記複数の電池セルを積層した前記電池積層体の両側端面を覆う一対のエンドプレートと、
前記複数の電池セルを積層した状態で、該電池セル同士の間に挟着されるセパレータとを備えており、
前記セパレータが、前記カバー部を固定した状態で、前記固定具と対応する位置に、該固定具を受ける受け部を備えてなる電源装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の電源装置であって、
前記電源装置がさらに、前記カバー部と前記電池セルの積層体の上面との間に設けられるホルダ部を備え、
前記ホルダ部が、前記カバー部を固定した状態で、前記固定具と対応する位置に、該固定具を受ける受け部を形成してなる電源装置。
【請求項4】
請求項
2又は3に記載の電源装置であって、
前記複数の電池セルが、それぞれ内部の圧力変化に応じて開弁する安全弁を備えており、
前記電池集合体の上面を、前記複数の電池セルの、前記安全弁を設けた面としてなる電源装置。
【請求項5】
請求項
2~4のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記カバー部が、樹脂製であり、
前記芯材が、板状に形成されてなる電源装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電源装置であって、
前記板状の芯材が、少なくとも一部を前記カバー部から表出させてなる電源装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の電源装置であって、
前記板状の芯材が、その両端部に、前記カバー部から表出させて前記一対のエンドプレートの上面までそれぞれ延在されて固定する表出部を備えてなる電源装置。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記カバー部が、樹脂製であり、
前記芯材が、離間して前記樹脂に埋設された複数の棒状に形成されてなる電源装置。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一に記載の電源装置を備える車両であって、
前記電源装置と、該電源装置から電力供給される走行用のモータと、前記電源装置及び前記モータを搭載してなる車両本体と、前記モータで駆動されて前記車両本体を走行させる車輪とを備える車両。
【請求項10】
請求項1~
8のいずれか一に記載の電源装置を備える蓄電装置であって、
前記電源装置と、該電源装置への充放電を制御する電源コントローラとを備えており、前記電源コントローラでもって、外部からの電力により前記電池セルへの充電を可能とすると共に、該電池セルに対し充電を行うよう制御する蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置及びこれを用いた電動車両並びに蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置は、電動車両の駆動用の電源装置や蓄電用の電源装置等に利用されている。このような電源装置は、充放電可能な複数の電池セルを複数枚積層している。例えば
図15の斜視図に示す電源装置900のように、角型の外装缶の電池セル901を、絶縁性のスペーサ902と交互に積層した電池積層体として、その両側の端面に、それぞれエンドプレート903を配置し、エンドプレート903同士を金属製のバインドバー904で締結している。また電池積層体の上面には、絶縁性の樹脂等でトップカバー905が設けられる。このようなトップカバーは、所定の間隔でネジ906や爪を利用して電池積層体の上面に嵌合されている。
【0003】
近年は高容量化の要求に伴い、電池積層体を構成する電池セルの積層数が増大する傾向にある。この結果、電池積層体の全長が電池セルの数に応じて長くなり、これに従ってトップカバーの長さも長くなる。しかしながら、トップカバーの幅に対して長さが長くなると、縦横のアスペクト比が悪化し、樹脂成型されたトップカバーのうねりや反りが大きくなる。この結果、ネジや爪の位置が変化して、嵌合が行えなくなる問題があった。また、トップカバーにうねりや反りがあると、トップカバーと電池積層体との隙間が形成され、電池セルのいずれかが万一熱暴走した際には、この隙間から空気が入り込み、酸素が燃焼して炎が発生することも考えられる。
【0004】
このような成型の精度低下を回避するために、トップカバーを分割することも考えられるが、この場合は部品点数が増えて組み立て工数が増え、コストが上昇する等問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の一は、電池積層体を覆うトップカバーが長尺になっても、電池積層体に安定的に取り付け可能とした電源装置及びこれを用いた電動車両並びに蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の第1の側面に係る電源装置によれば、複数の電池セルを有する、一方向に延長された電池集合体と、前記電池集合体の一方向に延長された一面を覆う絶縁性のカバー部とを備える電源装置であって、前記カバー部は、前記電池集合体の上面側に固定するための固定具を、延長方向に沿って複数形成しており、前記カバー部は、金属製の芯材を含むことができる。上記構成により、絶縁製のカバー部が延長された細長い形状となっても、金属製の芯材によって反りやうねりを抑制して、固定具を所定の位置に形成することが可能となって電池集合体への固定の信頼性を高めることができる。
【0008】
また、第2の側面に係る電源装置によれば、上記構成に加えて、前記複数の電池セルが、それぞれ外装缶を角型としており、前記電池集合体が、複数の電池セルを積層した積層体であり、前記電源装置がさらに、前記複数の電池セルを積層した前記電池積層体の両側端面を覆う一対のエンドプレートと、前記複数の電池セルを積層した状態で、該電池セル同士の間に挟着されるセパレータとを備えており、前記セパレータが、前記カバー部を固定した状態で、前記固定具と対応する位置に、該固定具を受ける受け部を備えることができる。
【0009】
また、第3の側面に係る電源装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記電源装置がさらに、前記カバー部と前記電池セルの積層体の上面との間に設けられるホルダ部を備え、前記ホルダ部が、前記カバー部を固定した状態で、前記固定具と対応する位置に、該固定具を受ける受け部を形成することができる。
【0010】
さらに、第4の側面に係る電源装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記複数の電池セルが、それぞれ内部の圧力変化に応じて開弁する安全弁を備えており、前記電池集合体の上面を、前記複数の電池セルの、前記安全弁を設けた面とすることができる。上記構成により、万一安全弁が開弁されて高圧のガスが電池積層体の上面から放出されても、カバー部の変形を芯材によって抑制し、安全性の向上が図られる。
【0011】
さらにまた、第5の側面に係る電源装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記カバー部が、樹脂製であり、前記芯材を、板状に形成することができる。上記構成により、芯材が板状であるため、電池集合体の上面一帯を隙間なく覆うことができる。これにより、電池集合体の上面側の強度を増し、電池集合体への信頼性を高めることができる。また、樹脂製のカバー部で絶縁性を確保しつつ、カバー部が延長された細長い形状となっても板状の芯材でカバー部の反りやうねりを抑制することができる。
【0012】
さらにまた、第6の側面に係る電源装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記板状の芯材の、少なくとも一部を前記カバー部から表出させることができる。上記構成により、カバー部から表出された芯材の部分から外部への放熱性を高められる。
【0013】
さらにまた、第7の側面に係る電源装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記板状の芯材が、その両端部に、前記カバー部から表出させて前記一対のエンドプレートの上面までそれぞれ延在されて固定する表出部を備えることができる。上記構成により、カバー部の固定具に加えて、芯材もエンドプレートに固定するため、カバー部が電池積層体側から外れにくくなる。
【0014】
さらにまた、第8の側面に係る電源装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記カバー部が、樹脂製であり、前記芯材を、離間して前記樹脂に埋設された複数の棒状に形成することができる。上記構成により、芯材の体積を低減して、芯材を加えたことによる重量増を抑制できる。
【0015】
さらにまた、第9の側面に係る電源装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記カバー部を、前記芯材にインサート成型することができる。
【0016】
さらにまた、第10の側面に係る電源装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記カバー部が矩形状に形成されており、該矩形状のアスペクト比を5以上とすることができる。
【0017】
本発明の第11の側面に係る車両によれば、上記何れかの電源装置を備える車両であって、前記電源装置と、該電源装置から電力供給される走行用のモータと、前記電源装置及び前記モータを搭載してなる車両本体と、前記モータで駆動されて前記車両本体を走行させる車輪とを備えることができる。
【0018】
本発明の第12の側面に係る蓄電装置によれば、上記何れかの電源装置を備える蓄電装置であって、前記電源装置と、該電源装置への充放電を制御する電源コントローラとを備えており、前記電源コントローラでもって、外部からの電力により前記電池セルへの充電を可能とすると共に、該電池セルに対し充電を行うよう制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態1に係る電源装置を示す斜視図である。
【
図3】
図2の電池セルとセパレータとを示す斜視図である。
【
図4】
図1の電源装置のIV-IV線における部分拡大図付き断面図である。
【
図5】変形例に係る電源装置の一部分解斜視図である。
【
図6】
図2のカバー部のVI-VI線における部分拡大図付き横断面図である。
【
図7】
図1の電源装置のVII-VII線における部分拡大図付き模式縦断面図である。
【
図8】実施形態2係る電源装置の部分拡大図付き模式縦断面図である。
【
図9】実施形態3に係るカバー部の部分拡大図付き横断面図である。
【
図10】実施形態3係る電源装置の部分拡大図付き模式縦断面図である。
【
図11】実施形態4に係るカバー部の部分拡大図付き横断面図である。
【
図12】エンジンとモータで走行するハイブリッド車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
【
図13】モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
【
図14】蓄電用の電源装置に適用する例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに特定されない。また、本明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0021】
実施形態に係る電源装置は、ハイブリッド車や電気自動車などの電動車両に搭載されて走行用モータに電力を供給する電源、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーの発電電力を蓄電する電源、あるいは深夜電力を蓄電する電源など、種々の用途に使用され、とくに大電力、大電流の用途に好適な電源として使用される。以下の例では、電動車両の駆動用の電源装置に適用した実施形態について、説明する。
[実施形態1]
【0022】
本発明の実施形態1に係る電源装置を、
図1~
図4、
図6、
図7に示す。これらの図において、
図1は実施形態1に係る電源装置を示す斜視図、
図2は
図1の電源装置の分解斜視図、
図3は
図2の電池セルとセパレータとを示す斜視図、
図4は
図1の電源装置のIV-IV線における部分拡大図付き断面図、
図6は
図2のカバー部のVI-VI線における横断面図、
図7は
図1の電源装置のVII-VII線における模式縦断面図を、それぞれ示している。これらの図に示す電源装置100は、複数の電池セル1を積層している電池積層体2と、この電池積層体2の積層方向の両端に配置された一対のエンドプレート3と、一対のエンドプレート3に両端が連結されて、電池積層体2を締結する一対の締結部材4と、電池積層体2の上面を覆うカバー部60とを備えている。
(電池セル1)
【0023】
電池セル1は、
図2に示すように、厚さTに比べて幅Wが広い、言い換えると幅よりも薄い角形電池で、厚さ方向に積層されて電池積層体2としている。電池セル1は、例えば、リチウムイオン二次電池とすることができる。また、電池セルは、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等、充電できる全ての二次電池とすることもできる。電池セル1は、密閉構造の外装缶1aに正負の電極板を電解液と共に収容している。外装缶1aは、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属板を角形にプレス成形され、開口部を封口板1bで気密に密閉している。封口板1bは、角型の外装缶1aと同じアルミニウムやアルミニウム合金で、両端部に正負の電極端子11を固定している。さらに、封口板1bは、正負の電極端子11の間に、電池セル1のそれぞれ内部の圧力変化に応じて開弁する安全弁であるガス排出弁13を設けている。
【0024】
複数の電池セル1は、各電池セル1の厚み方向が積層方向となるように積層されて電池積層体2を構成している。この際、積層数を通常よりも多めにすることで、電池積層体2の高出力化を図ることができる。斯かる場合、電池積層体2は積層方向に延長された長尺のものとなる。電池セル1は、正負の電極端子11を設けている端子面10を同一平面に配置して、複数の電池セル1を積層して電池積層体2としている。そして、電池積層体2の上面を、複数の電池セル1のガス排出弁13を設けた面としている。
(セパレータ30)
【0025】
電池積層体2は、
図2及び
図3に示すように、積層している電池セル1の間にセパレータ30を挟着している。また、セパレータ30は、セパレータ30の主面を構成する装着プレート部31と、装着プレート部31の上側周縁に設けられた上周壁32と、装着プレート部31の短辺側の両側部に設けられた縦周壁33を備えている。
【0026】
装着プレート部31は、互いに隣接する電池セル1の間に挟まれる部分となる。この装着プレート31は電池セル1の対向面とほぼ等しい大きさのプレート状としており、このセパレータ12を互いに隣接する電池セル1の間に積層して、隣接する電池セル1同士を絶縁している。また、装着プレート部31は電池セル1の対向面と概ね同様に、幅W方向に長い長辺と短辺を有する矩形状としている。
【0027】
上周壁32は、装着プレート部31の上端に形成され、電池セル1の封口板1bに係止される。この上周壁32の上面には、後述するセパレータ側係止片34を備えている。
【0028】
一方、縦周壁33は、狭着プレート部31と直交するように形成される。縦周壁33は、下側の一端部が、隣接する一方の電池セル1に向かって若干突出し、狭着プレート部31の底辺に沿って一部折り曲げられている。このような形状にすることにより、セパレータ30を自立し易くすると共に、突出部分及び折り曲げられた部分で、隣接する電池セル1の下側角部を保持でき、隣接する電池セル1の狭着をより確実にすることができる。
(電池積層体2)
【0029】
電池積層体2は、隣接する電池セル1の正負の電極端子11に金属製のバスバー14が接続されて、バスバー14でもって複数の電池セル1を直列又は並列に、あるいは直列と並列に接続される。この電池積層体2とバスバーとの間にバスバーホルダを配置してもよい。バスバーホルダを用いることで、複数のバスバーを互いに絶縁し、かつ電池セルの端子面とバスバーとを絶縁しながら、複数のバスバーを電池積層体の上面の定位置に配置できる。
【0030】
バスバー14は、金属板を裁断、加工して所定の形状に製造される。バスバーを構成する金属板には、電気抵抗が小さく、軽量である金属、例えばアルミニウム板や銅板、あるいはこれらの合金が使用できる。ただ、バスバーの金属板は、電気抵抗が小さくて軽量である他の金属やこれらの合金も使用できる。
(端面スペーサ12)
【0031】
電池積層体2は、両端面に端面スペーサ12を挟んでエンドプレート3を配置している。端面スペーサ12は、
図2に示すように、電池積層体2とエンドプレート3との間に配置されてエンドプレート3を電池積層体2から絶縁する。端面スペーサ12は、上述したセパレータ30と同様の材質で構成することができる。
(エンドプレート3)
【0032】
エンドプレート3は、
図2に示すように、電池積層体2の両端に配置されると共に、電池積層体2の両側面に沿って配置される締結部材4を介して締結される。エンドプレート3は、電池積層体2の電池セル1の積層方向における両端であって、端面スペーサ12の外側に配置されて電池積層体2を両端から挟着している。また、エンドプレート3は金属製とすることができる。さらに、各エンドプレート3は、上端部分の剛性を中央部分の剛性よりも強くすることができる。
【0033】
エンドプレート3は、外形を四角形としており、電池積層体2の端面に対向して配置されている。
図2に示すエンドプレート3は、電池セル1の外形とほぼ等しい外形としている。すなわち、図に示すエンドプレート3は、左右方向の幅を電池セル1の幅と等しくすると共に、上下方向の高さを電池セル1の高さと等しくしている。なお、本明細書において、上下方向とは図における上下方向とし、左右方向は、図における左右方向であって、電池の積層方向と直交する水平方向を意味するものとする。
【0034】
このエンドプレートを固定する方法は特に限定されない。例えば、
図1及び
図2に示すエンドプレート3は、エンドプレート3を固定するための貫通孔を複数形成している。また、エンドプレート3は、締結部材4の締結部材側固定部41を固定する留め具19を挿入するための第一貫通孔36を有している。図に示すエンドプレート3は、第一貫通孔36として、複数の貫通孔を開口している。図のエンドプレート3は、両側部であって締結部材側固定部41と対向する位置に、上下に離して複数の第一貫通孔36を設けている。
図2のエンドプレート3は、両側に沿って3個ずつ、全体で6個の第一貫通孔36を設けている。このエンドプレート3は、外周面に配置される締結部材側固定部41を貫通する留め具19が第一貫通孔36に挿入される。第一貫通孔36に挿入された留め具19は、第一貫通孔36に固定されて締結部材側固定部41を定位置に固定する。
(締結部材4)
【0035】
締結部材4は、
図2に示すように、電池積層体2の積層方向に延長されており、両端が電池積層体2の両端面に配置されたエンドプレート3に固定されて、このエンドプレート3を介して電池積層体2を積層方向に締結している。締結部材4は、電池積層体2の側面に沿う所定の幅と所定の厚さを有する金属板で、電池積層体2の両側面に対向して配置されている。この締結部材4には、鉄などの金属板、好ましくは、鋼板が使用できる。金属板からなる締結部材4は、プレス成形等により折曲加工されて所定の形状に形成される。
【0036】
締結部材4は、電池積層体2の側面に沿って配置される締結部材本体部40と、この締結部材本体部40の両端で折曲されて、エンドプレート3の外側面に固定される締結部材側固定部41とを備えている。締結部材本体部40は、電池積層体2と、その両端に配置されるエンドプレート3のほぼ全体を被覆する大きさの矩形状としている。
図1及び
図2に示す締結部材本体部40は、電池積層体2の側面のほぼ全面を隙間なく被覆している。ただ、締結部材本体部40は、1以上の開口部を設けて、電池積層体の側面の一部を表出させることもできる。締結部材4は、両端を一対のエンドプレート3に固定するために、その両端部をエンドプレート3の外側面に沿うように折曲加工して締結部材側固定部41を設けている。
図1及び
図2に示す締結部材側固定部41は、締結部材本体部40及びエンドプレート3の上下方向の高さとほぼ等しくして、エンドプレート3の左右の両側部を被覆している。この締結部材4は、締結部材側固定部41の先端に設けた貫通孔42に挿入される留め具19を介してエンドプレート3に固定される。さらに、締結部材4は、締結部材本体部40の両端部を除く中間部分の上端部に沿って、電池積層体2の上面及び下面を保持する折曲部44を備えている。折曲部44は、電池積層体2を構成する電池セル1の上面及び下面を保持して、各電池セル1の端子面10の位置が上下にずれるのを抑制している。
(カバー部60)
【0037】
電源装置100は、
図1~
図3に示すように電池積層体2の上方であって、電池積層体2の上面を覆うカバー部60を備えている。カバー部60は、長辺と短辺を有する概ね長尺の矩形状である。また、矩形状の長辺と短辺のアスペクト比は、5以上とすることが好ましい。これにより、電池セルの積層数の多い長尺の電池積層体2に対応できる。具体的には、長辺が概ね1m~1m20cm程度、短辺が概ね140mm~170mm程度である。
【0038】
カバー部60は、
図2の分解斜視図に示すように、絶縁性の樹脂で主に構成されたカバー本体部61と、係止爪部62とを備えている。
(係止爪部62)
【0039】
係止爪部62は、カバー部60をセパレータ30に固定するための固定具の一形態である。この係止爪部62の位置及び数は特に限定されない。一例として
図1に示すように、カバー部60は、係止爪部62を延長方向に沿って、両端部の右側に係止爪部62C、左側に62Aをオフセットして備えている。また、中央部分に係止爪部62Bを備えている。延長方向に隣接する係止爪部62は概ね等間隔に設けられる。係止爪部62を等間隔に設けることで、カバー部60をバランスよく電池積層体2側に固定できる。ただ、本発明は係止爪部62を等間隔に設ける態様に限られない。例えば、固定を強化したい箇所に間隔を詰めて設けてもよい。
図1の電源装置においては、手前側の係止爪部62Cの間隔を詰めて設け右側端部の固定の強化を図っている。
【0040】
図4の断面図及び
図6の断面図に示すように、各係止爪部62は、爪状に形成されている。そして、係止爪部62はカバー本体部61から下方に延出している。具体的には、カバー本体部61から後述するセパレータ側係止片34に向かって若干傾斜しつつ下方向に延出する係止爪延出部62aと、係止爪延出部62aの先端側に設けられた係止爪突起部62bを形成している。係止爪突起部62bは、係止爪延出部62aの先端から、セパレータ側係止片34に向かって、斜め上方向に傾斜している係止爪傾斜面62baと、カバー本体部61と概ね平行な係止爪当接面62bbを備えている。
【0041】
この係止爪突起部62bの突出する向きは、対応する受け部(詳細は後述)と係合できれば、特に限定されない。例えば、
図6のカバー部60においては、係止爪部62Aの係止爪突起部62bは右側を向くようにしている。一方、係止爪部62Cの係止爪突起部62bは左側を向くようにしている。さらに、カバー部60の中央部分に設けられる係止爪部62Bの係止爪突起部62bは、
図6の例では右側を向いているが、左右いずれか一方向を向いていればよい。
(セパレータ側係止片34)
【0042】
一方でセパレータ30は、上側周壁32の上面に、カバー部60の係止爪部62を受ける受け部を備えている。セパレータ側係止片34は、係止爪部62を受ける受け部の一態様である。
図3及び
図4に示すように、セパレータ側係止片34は、係止爪部62と係止可能な爪状に形成されている。そして、セパレータ側係止片34は、上側周壁32の上面から上方に延出している。具体的には、上側周壁32の上面に対してほぼ垂直に形成されたセパレータ側延出部34aと、セパレータ側延出部34aの先端側に設けられたセパレータ側突起部34bを形成している。セパレータ側突起部34bはセパレータ側延出部34aの先端から、係止爪部62に向かって、斜め下方向に傾斜しているセパレータ側傾斜面34baと、上側周壁32の上面と概ね平行なセパレータ側当接面34bbを備えている。
【0043】
そして、
図4に示すように、カバー部60を電池積層体2側に取り付ける際、係止爪当接面62bbと、セパレータ側当接面34bbとが当接し、嵌合する。これにより、カバー部60をセパレータ30に固定することができる。このような構成によって、確実にカバー部60を電池積層体2側に固定することが可能となる。カバー部60の機械的安定性が増し、またガス排出時に高圧ガスの圧力でもカバー部50が外れ難くできる。
[変形例]
(ホルダ部50)
【0044】
また、本発明は、カバー部60を電池積層体2側に固定する構造としてセパレータを使用する態様に限定されない。例えば、ホルダ部を設けて、カバー部60をホルダ部に固定してもよい。一例として、変形例1のホルダ部50は、
図5に示すように電池積層体2の上面とカバー部60との間に設けられ、電池積層体2の上面全体を覆っている。ホルダ部50は延長方向に沿って両端側と、中央部分に、上述のカバー部60の係止爪部62を受ける受け部である係止穴51を形成している。つまり、ホルダ部50は、係止爪部62と対応する位置に、この係止爪部62を挿入する係止穴51を開口している。この係止穴51に係止爪部62を挿入し、カバー部側傾斜部62bの先端部分をホルダ部50の下面側に当接させて、カバー部60をホルダ部50に係止している。このような構成によっても、確実にカバー部60をホルダ部50に固定することが可能となる。カバー部60の機械的安定性が増し、またガス排出時に高圧ガスの圧力でもカバー部50が外れ難くできる。
【0045】
このホルダ部50は、バスバーを保持するバスバーホルダとして兼用することで、さらに構成を簡素化できる。また、電池セル1の電圧を検出する電圧検出部等をホルダ部50に設けてもよい。さらにまた、ホルダ部50は電池積層体2が短絡しないように、絶縁性の樹脂で形成されることが好ましい。
【0046】
変形例1においては、ホルダ部50でカバー部60を固定するため、セパレータには、セパレータ側係止片を設ける必要がない。したがって、セパレータは、絶縁材で薄いプレート状またはシート状に製作すればよい。こうすることにより、セパレータの構成を簡素化できる。ただ、セパレータの大きさや形状は特に限定されない。例えば、セパレータは、電池セル1とスペーサの間に冷却気体の流路が形成される形状としてもよい。また、電池セル1の表面を絶縁材で被覆することもできる。例えばPET樹脂等のシュリンクチューブ又はシュリンクフィルムで電池セルの電極部分を除く外装缶1aの表面を熱溶着させてもよい。
(芯材63)
【0047】
さらに、
図6及び
図7に示すように、カバー部60は樹脂製のカバー本体部61に金属製の芯材63をインサート成型している。カバー本体部61の厚さCTは概ね2mm~3mm程度である。芯材63は、カバー部60より若干小さな板状であって、電池積層体2の上面側全体を概ね覆うことができる形状としている。
【0048】
通常、アスペクト比が高い長尺のカバー部に絶縁性を持たせるために樹脂で成形すると、うねりや反りを生じ易い。その結果、係止爪部の位置に狂いが生じることがあり、ホルダ部への固定に支障を来すことがあった。また、このうねったり、反ったりした部分から外部の空気が入り込みやすくなる。そして、万一、電池セル1のガス排出弁13が開弁されて高圧のガスが電池積層体2の上面から放出された場合、外部の空気が電池積層体2側の内部に供給され、より状態が悪化してしまう。そこで、本実施形態においてはカバー部60に芯材63を埋設したことにより、樹脂製のカバー部60が延長された細長い形状となっても、金属製の芯材63によって反りやうねりを抑制して、係止爪部62を所期の位置に形成することが可能となって電池集合体2への固定の信頼性を高めることができる。また、カバー部60の反りやうねりから外部の空気が供給されることの回避を図り、安全性の向上が可能となる。
【0049】
この芯材63は、熱伝導性と剛性に優れた金属板とする。例えば鉄板、ステンレスやハイテン板、アルミ板等とする。また、板状の金属板とする他、網目状や格子状としてもよい。
[実施形態2]
【0050】
上述の実施形態1では、芯材63がカバー本体部61内に埋設された例について説明した。ただ、本発明の芯材は上記態様に限定されない。例えば、芯材の一部を、カバー本体部から表出させてもよい。表出させる部位は、カバー本体の長手方向の端部や、側面とすることができる。一例として、実施形態2に係るカバー部を
図8の縦断面図に示す。この例では、芯材63Bの長手方向の両端部をカバー本体部61から突出させている。カバー部60Bの芯材63Bは、カバー本体部61の長手方向における両端部からそれぞれ表出している一対の表出部64を備えている。各表出部64は、カバー本体部61の端部から下方向に延出する表出片64aと、エンドプレート3の上面3a側で、水平方向に、エンドプレート3の上面3aに沿って延在している表出片64bを備えている。この表出片64bとエンドプレート3の上面3aとをネジ65等でネジ止めすることにより、カバー部60Bを電池積層体2側に固定することができる。これにより、係止爪部62を使用する固定構造に加えて、芯材63Bもエンドプレート3に固定するため、カバー部60Bが電池積層体2側からさらに、外れにくくなる。特に金属製の固定構造としたことで、固定の機械強度が安定する。また、金属製のエンドプレートと金属製の芯体を固定することで、放熱性を高める効果も得られる。
【0051】
なお、芯材63Bをエンドプレート3の上面に固定する場合、係止爪部62を使用する固定構造を省略することもできる。
[実施形態3]
【0052】
また、芯材をカバー本体部から表出させる位置は、カバー本体の周囲方向に限らず、主面側としてもよい。このような例を実施形態3に係るカバー部60Cとして、
図9、
図10に示す。このカバー部60Cは、芯材63Cを、カバー本体部61Cの上面全体から露出させている。芯材63Cをカバー本体部61Cの上面全体から露出させることで、芯材63Cがカバー本体部61Cから表出される部分を大きくすることができる。その結果、カバー部が電池積層体側から外れにくくなる効果に加えて、芯材63Cの表出された部分から外部への放熱性を一層高めることができる。
[実施形態4]
【0053】
さらに、本願発明の金属製の芯材は上述の板状に限られない。例えば、鉄線などの線材や棒状のものを採用しえる。
図11に示す芯材63Dは、複数の線材63Daを所定の間隔を隔ててカバー部60Dの短手方向に埋設している。線材63Daの径は概ね1mm~1.5mm程度である。このようにすることで、芯材の体積を低減して、芯材を加えたことによる重量増を抑制できる。特に燃費を重視する車載用途においては有利となる。また、芯材の表面積を増やすことで、芯材とカバー部本体との密着性を向上させる効果も得られる。
【0054】
一方で、上述の実施形態1~3では、板状の芯材を電池集合体2の上面側に広がって覆うようにしており、実施形態4の芯材のように線材間に隙間を形成していない。このため、万一高圧のガスが放出されても、ガスが隙間を通過して電源装置の外部まで吹き抜けていくことの回避が図られる。
【0055】
以上の電源装置100は、電動車両を走行させるモータに電力を供給する車両用の電源として利用できる。電源装置100を搭載する電動車両としては、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド自動車やプラグインハイブリッド自動車、あるいはモータのみで走行する電気自動車等の電動車両が利用でき、これらの車両の電源として使用される。なお、電動車両を駆動する電力を得るために、上述した電源装置100を直列や並列に多数接続して、さらに必要な制御回路を付加した大容量、高出力の電源装置を構築した例として説明する。
(ハイブリッド車用電源装置)
【0056】
図12は、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド自動車に電源装置100を搭載する例を示す。この図に示す電源装置100を搭載した車両HVは、車両本体91と、この車両本体91を走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、これらのエンジン96及び走行用のモータ93で駆動される車輪97と、モータ93に電力を供給する電源装置100と、電源装置100の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電源装置100の電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、例えば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、電源装置100の電池を充電する。なお、車両HVは、
図12に示すように、電源装置100を充電するための充電プラグ98を備えてもよい。この充電プラグ98を外部電源と接続することで、電源装置100を充電できる。
(電気自動車用電源装置)
【0057】
また、
図13は、モータのみで走行する電気自動車に電源装置100を搭載する例を示す。この図に示す電源装置100を搭載した車両EVは、車両本体91と、この車両本体91を走行させる走行用のモータ93と、このモータ93で駆動される車輪97と、このモータ93に電力を供給する電源装置100と、この電源装置100の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電源装置100の電池を充電する。また車両EVは充電プラグ98を備えており、この充電プラグ98を外部電源と接続して電源装置100を充電できる。
(蓄電装置用の電源装置)
【0058】
さらに、本発明は、電源装置の用途を、車両を走行させるモータの電源には特定しない。実施形態に係る電源装置は、太陽光発電や風力発電等で発電された電力で電池を充電して蓄電する蓄電装置の電源として使用することもできる。
図14は、電源装置100の電池を太陽電池82で充電して蓄電する蓄電装置を示す。
【0059】
図14に示す蓄電装置は、家屋や工場等の建物81の屋根や屋上等に配置された太陽電池82で発電される電力で電源装置100の電池を充電する。この蓄電装置は、太陽電池82を充電用電源として充電回路83で電源装置100の電池を充電した後、DC/ACインバータ85を介して負荷86に電力を供給する。このため、この蓄電装置は、充電モードと放電モードを備えている。図に示す蓄電装置は、DC/ACインバータ85と充電回路83を、それぞれ放電スイッチ87と充電スイッチ84を介して電源装置100と接続している。放電スイッチ87と充電スイッチ84のON/OFFは、蓄電装置の電源コントローラ88によって切り替えられる。充電モードにおいては、電源コントローラ88は充電スイッチ84をONに、放電スイッチ87をOFFに切り替えて、充電回路83から電源装置100への充電を許可する。また、充電が完了し満充電になると、あるいは所定値以上の容量が充電された状態で、電源コントローラ88は充電スイッチ84をOFFに、放電スイッチ87をONにして放電モードに切り替え、電源装置100から負荷86への放電を許可する。また、必要に応じて、充電スイッチ84をONに、放電スイッチ87をONにして、負荷86への電力供給と、電源装置100への充電を同時に行うこともできる。
【0060】
さらに、電源装置は、図示しないが、夜間の深夜電力を利用して電池を充電して蓄電する蓄電装置の電源として使用することもできる。深夜電力で充電される電源装置は、発電所の余剰電力である深夜電力で充電して、電力負荷の大きくなる昼間に電力を出力して、昼間のピーク電力を小さく制限することができる。さらに、電源装置は、太陽電池の出力と深夜電力の両方で充電する電源としても使用できる。この電源装置は、太陽電池で発電される電力と深夜電力の両方を有効に利用して、天候や消費電力を考慮しながら効率よく蓄電できる。
【0061】
以上のような蓄電システムは、コンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電源装置、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電源装置、家庭内用または工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機や道路用の交通表示器などのバックアップ電源用などの用途に好適に利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る電源装置及びこれを備える車両は、ハイブリッド車、燃料電池自動車、電気自動車、電動オートバイ等の電動車両を駆動するモータの電源用等に使用される大電流用の電源として好適に利用できる。例えばEV走行モードとHEV走行モードとを切り替え可能なプラグイン式ハイブリッド電気自動車やハイブリッド式電気自動車、電気自動車等の電源装置が挙げられる。またコンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電源装置、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電源装置、家庭内用、工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機等のバックアップ電源用等の用途にも適宜利用できる。
【符号の説明】
【0063】
100…電源装置、1…電池セル、1a…外装缶、1b…封口板、2…電池積層体、3…エンドプレート、4…締結部材、10…端子面、11…電極端子、12…端面スペーサ、13…ガス排出弁、14…バスバー、19…留め具、30…セパレータ、31…装着プレート部、32…上周壁、33…縦周壁、34…セパレータ側係止片、34a…セパレータ側延出部、34b…セパレータ側突起部;34ba…セパレータ側傾斜面;34bb…セパレータ側、当接面、36…第一貫通孔、40…本体部、41…締結部材側固定部、42…貫通孔、44…折曲部、50…ホルダ部、51…係止穴、60、60B、60C、60D…カバー部、61、61C…カバー本体部、62、62A、62B、62C…係止爪部、62a…係止爪延出部、62b…係止爪突起部;62ba…係止爪傾斜面;62bb…係止爪当接面、63、63B、63C、63D…芯材、63Da…線材、64…表出部、64a、64b…表出片、65…ネジ、81…建物、82…太陽電池、83…充電回路、84…充電スイッチ、85…DC/ACインバータ、86…負荷、87…放電スイッチ、88…電源コントローラ、91…車両本体、93…モータ、94…発電機、95…DC/ACインバータ、96…エンジン、97…車輪、98…充電プラグ、900…電源装置、901…電池セル、902…スペーサ、903…エンドプレート、904…バインドバー、905…トップカバー、906…ネジ、HV…車両、EV…車両、T…電池セルの厚さ、W…電池セルの幅、CT…カバー本体部の厚さ