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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】充電インレット
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/41 20060101AFI20241202BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
H01R13/41
H01R43/00 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022192205
(22)【出願日】2022-11-30
(65)【公開番号】P2024079328
(43)【公開日】2024-06-11
【審査請求日】2024-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】青木 悠輔
(72)【発明者】
【氏名】池谷 直人
(72)【発明者】
【氏名】山田 徹
(72)【発明者】
【氏名】本堂 秀隆
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-072169(JP,A)
【文献】特開2021-125340(JP,A)
【文献】特開平07-130426(JP,A)
【文献】特開2015-213029(JP,A)
【文献】特開2015-103378(JP,A)
【文献】特開2016-046180(JP,A)
【文献】特開2020-077573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/41
H01R 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子と、前記端子を収容したハウジングと、前記ハウジングに組み付けられた端子ホルダと、を備え、
前記端子は、中実の円柱状に形成された第1接続部と、前記第1接続部と同軸に設けられた第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部の間の中間部と、を備え、
前記中間部の外周にゴム部品及び樹脂製のフランジが設けられており、
前記ゴム部品は、円筒部と、前記円筒部の外周面に形成され、前記円筒部の軸方向に延びた複数のリブと、を備え、
前記フランジは、前記円筒部の前記第2接続部側の端部に隣接配置され、前記円筒部よりも大径の環状に形成されており、
前記ハウジングに、前記ゴム部品が圧入された圧入孔が形成されており、
前記フランジは、前記圧入孔外で前記ハウジングと前記端子ホルダに挟持されている
ことを特徴とする充電インレット。
【請求項2】
前記フランジは、前記端子の何れの部分よりも大径に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の充電インレット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された充電インレットの製造方法であって、
前記端子を切削加工により成形する端子成形工程と、
前記ゴム部品の製造金型に前記端子を配置するインサート成形によって前記ゴム部品を成形するゴム部品成形工程と、
前記フランジの製造金型に前記端子を配置するインサート成形によって前記フランジを成形するフランジ成形工程と、
前記端子の前記ゴム部品及び前記フランジが設けられた部分以外の露出した外表面にめっき処理を施すめっき工程と、
を順次有することを特徴とする充電インレットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電インレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、ハイブリッド自動車等の車体には、搭載したバッテリを充電するためのコネクタが取り付けられている(例えば特許文献1参照)。このようなコネクタは、一般的に「充電インレット」と呼称されている。従来の充電インレットとして図7~10に示されたものがある。
【0003】
図7~9に示す充電インレット501は、不図示の充電プラグと嵌合されるものであり、複数の端子502と、これら端子502を収容したハウジング505と、ハウジング505に組み付けられた端子ホルダ504と、を備えている。
【0004】
端子502は、切削加工により成形されたものであり、図8,10に示すように、中実の円柱状に形成された第1接続部521と、第2接続部522と、第1接続部521と第2接続部522の間の中間部523と、中間部523の外周に環状に形成されたフランジ526と、を備えている。第1接続部521は、充電プラグに備わった端子と嵌合されるものである。第2接続部522は、電線503と接続された部位である。第2接続部522は、第1接続部521と同軸の円柱状に形成されており、電線503が差し込まれた凹部524を備えている。
【0005】
ハウジング505は、複数の端子502を収容したインナーハウジング552と、フード部551と、を備えている。インナーハウジング552には、各端子502毎に、第1収容部553と、第2収容部554と、連通部556と、が形成されている。
【0006】
第1収容部553は、充電インレット501の正面側に開口した空間であり、第1接続部521の前半部を収容している。第2収容部554は、充電インレット501の背面側に開口した空間であり、中間部523、フランジ526、及び第2接続部522を収容している。連通部556は、第1収容部553と第2収容部554とを連通させた空間であり、第1接続部521の後半部を収容している。
【0007】
端子ホルダ504は、第2収容部554の奥面557との間にフランジ526を挟み、端子502がインナーハウジング552から抜け出すことを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2020-77573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した充電インレット501においては、端子502が端子ホルダ504によってハウジング505に固定されるため、充電プラグの端子位置ずれに対応して端子502の径方向の位置調整ができないという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、充電プラグの端子位置ずれに対応してハウジング内で端子の径方向の位置調整が可能な充電インレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の充電インレットは、端子と、前記端子を収容したハウジングと、前記ハウジングに組み付けられた端子ホルダと、を備え、前記端子は、中実の円柱状に形成された第1接続部と、前記第1接続部と同軸に設けられた第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部の間の中間部と、を備え、前記中間部の外周にゴム部品及び樹脂製のフランジが設けられており、前記ゴム部品は、円筒部と、前記円筒部の外周面に形成され、前記円筒部の軸方向に延びた複数のリブと、を備え、前記フランジは、前記円筒部の前記第2接続部側の端部に隣接配置され、前記円筒部よりも大径の環状に形成されており、前記ハウジングに、前記ゴム部品が圧入された圧入孔が形成されており、前記フランジは、前記圧入孔外で前記ハウジングと前記端子ホルダに挟持されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の充電インレットの製造方法は、前記端子を切削加工により成形する端子成形工程と、前記ゴム部品の製造金型に前記端子を配置するインサート成形によって前記ゴム部品を成形するゴム部品成形工程と、前記フランジの製造金型に前記端子を配置するインサート成形によって前記フランジを成形するフランジ成形工程と、前記端子の前記ゴム部品及び前記フランジが設けられた部分以外の露出した外表面にめっき処理を施すめっき工程と、を順次有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、充電プラグの端子位置ずれに対応してハウジング内で端子の径方向の位置調整が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態にかかる充電インレットの正面図である。
図2図1中のA-A線に沿った断面図である。
図3図1の充電インレットの分解図である。
図4図3の端子、ゴム部品、及びフランジの斜視図である。
図5図4の端子、ゴム部品、及びフランジの平面図である。
図6図4の端子、ゴム部品、及びフランジの正面図である。
図7】従来の充電インレットの正面図である。
図8図7中のB-B線に沿った断面図である。
図9図7の充電インレットの分解図である。
図10図9の端子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態にかかる「充電インレット」について、図1~6を参照して説明する。
【0016】
図1~3に示す充電インレット1は、電気自動車、ハイブリッド自動車等の車体に取り付けられたものであり、不図示の充電プラグと嵌合されるものである。充電インレット1は、複数の端子2と、これら端子2を収容したハウジング5と、ハウジング5に組み付けられた端子ホルダ4と、を備えている。
【0017】
端子2は、銅製であり、切削加工により成形されたものである。端子2は、図2,4,5に示すように、中実の円柱状に形成された第1接続部21と、第1接続部21と同軸に設けられた第2接続部22と、第1接続部21と第2接続部22の間の中間部23と、を備えている。
【0018】
第1接続部21は、充電プラグに備わった端子と嵌合される部位である。
【0019】
第2接続部22は、電線3と電気的に接続された部位である。第2接続部22は、円柱状に形成されており、電線3が差し込まれた凹部24を備えている。凹部24は、第1接続部21と反対側に開口している。
【0020】
中間部23の外周には、環状凹溝25が形成されている。また、中間部23の外周には、ゴム部品60及び樹脂製のフランジ62が設けられている。ゴム部品60及びフランジ62は、その製造金型に端子2を配置するインサート成形によって成形されており、端子2に一体化されている。
【0021】
ゴム部品60は、円筒部61と、円筒部61の外周面に形成され、円筒部61の軸方向に延びた複数のリブ63と、を備えている。
【0022】
円筒部61は、中間部23の環状凹溝25よりも第1接続部21側の部分に設けられている。図6に示すように、本例ではリブ63が10本形成されている。これらリブ63は、円筒部61の外周面に等間隔に配置されている。
【0023】
フランジ62は、円筒部61の第2接続部22側の端部に隣接配置され、円筒部61よりも大径の環状に形成されている。また、フランジ62は、端子2の何れの部分よりも大径に形成されている。フランジ62は、環状凹溝25を埋めるように設けられている。フランジ62の外周面は環状凹溝25外に位置している。
【0024】
ハウジング5は、絶縁性の合成樹脂で構成されており、複数の端子2を収容したインナーハウジング52と、インナーハウジング52を囲んだフード部51と、を備えている。インナーハウジング52には、各端子2毎に、第1収容部53と、第2収容部54と、圧入孔55と、連通部56と、が形成されている。
【0025】
第1収容部53は、充電インレット1の正面側に開口した空間であり、第1接続部21の前半部を収容している。
【0026】
第2収容部54は、充電インレット1の背面側に開口した空間であり、中間部23の後半部、フランジ62、及び第2接続部22を収容している。
【0027】
圧入孔55は、第2収容部54の奥面57から凹に形成された空間であり、中間部23の前半部及びゴム部品60が圧入されている。複数のリブ63は、圧入孔55に圧入される際に潰れている。
【0028】
連通部56は、第1収容部53と圧入孔55とを連通させた空間であり、第1接続部21の後半部を収容している。
【0029】
端子ホルダ4は、円筒状の外周壁41と、各端子2毎に設けられ、外周壁41の内側に配置された円筒状の押さえ部42と、各押さえ部42と外周壁41とを繋いだ繋ぎ部43と、を備えている。
【0030】
各押さえ部42は、第2収容部54に配置され、その内側に第2接続部22及び電線3の端部を位置付けており、第2収容部54の奥面57との間にフランジ26を挟んで、端子2がインナーハウジング52から抜け出すことを防止している。
【0031】
このように、端子2は、径方向においても中心軸方向においても、ガタつきなくハウジング5に保持されている。しかし、径方向においては、ゴム部品60が弾性変形することで、多少変位可能となっている。このため、充電プラグの端子位置ずれに対応してインナーハウジング52内で端子2の径方向の位置調整が可能となっており、そのために通電安定性を得ることができる。
【0032】
上記充電インレット1は、端子成形工程と、ゴム部品成形工程と、フランジ成形工程と、めっき工程と、第2接続部22と電線3との接続工程と、端子組み付け工程と、端子ホルダ組み付け工程と、を順次経て製造される。
【0033】
上記端子成形工程では、端子2を切削加工により成形する。従来技術の端子502(図10参照)は、フランジ526の径に対応した母材から切削して成形していたので、切削時の材料の廃棄量が多くなっていた。この点について、本例の端子2は、必要最小限の母材径にて加工が可能となり、銅材料の廃棄量を少なくできるので、低コスト化が可能となる。
【0034】
上記ゴム部品成形工程では、ゴム部品60の製造金型に端子2を配置するインサート成形によってゴム部品60を成形する。このゴム部品成形工程においてゴム部品60は、端子2と一体化される。
【0035】
上記フランジ成形工程では、フランジ62の製造金型に端子2を配置するインサート成形によってフランジ62を成形する。このフランジ成形工程においてフランジ62は、ゴム部品60及び端子2と一体化される。上述したように、フランジ62の一部が環状凹溝25に入り込んでいるので、ゴム部品60及びフランジ62が端子2から外れ難く(剥離し難く)なっている。
【0036】
上記めっき工程では、端子2のゴム部品60及びフランジ62が設けられた部分以外の露出した外表面にめっき処理を施す。従来技術の端子502(図10参照)は、めっきが不要なフランジ526にもめっきが施され、めっき材の使用量が多くなっていた。この点について、本例の端子2は、必要な部位のみにめっきが施されるため、めっき材の使用量を削減でき、低コスト化が可能となる。
【0037】
上記端子組み付け工程では、ゴム部品60及びフランジ62が一体化された端子2をインナーハウジング52に圧入する。圧入する際は、上述したように、リブ63が潰れることで端子2が径方向にガタつきなくハウジング5に保持される。
【0038】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0039】
1 充電インレット
2 端子
4 端子ホルダ
5 ハウジング
21 第1接続部
22 第2接続部
23 中間部
60 ゴム部品
61 円筒部
62 フランジ
63 リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10