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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20241202BHJP
【FI】
H01L21/304 647A
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020122304
(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公開番号】P2022018883
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田原 香奈
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-016599(JP,A)
【文献】国際公開第2020/008965(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に処理液を供給し、前記基板の表面上の処理液を固化または硬化させることによって、処理膜を前記基板の表面に形成する処理膜形成工程と、
前記処理膜に光を照射して、前記処理膜を前記基板の表面上で分裂させる光照射工程と、
前記光照射工程の後、前記基板の表面に処理膜除去液を供給し、前記分裂された前記処理膜を、前記処理膜除去液で前記基板の表面から除去する処理膜除去工程とを含み、
前記処理膜が、固体状態の主鎖と、前記主鎖に結合され、光の照射によって液化するように構成されている側鎖とを有する第1ポリマーを含有し、
前記光照射工程が、前記第1ポリマーの側鎖を液化させることによって前記処理膜を分裂させる工程を含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記処理膜が、光の照射によって分解される第2ポリマーを含有しており、
前記光照射工程が、前記第2ポリマーを分解させることによって前記処理膜を分裂させる工程を含む、請求項に記載の基板処理方法。
【請求項3】
基板の表面に処理液を供給し、前記基板の表面上の処理液を固化または硬化させることによって、処理膜を前記基板の表面に形成する処理膜形成工程と、
前記処理膜に光を照射して、前記処理膜を前記基板の表面上で分裂させる光照射工程と、
前記光照射工程の後、前記基板の表面に処理膜除去液を供給し、前記分裂された前記処理膜を、前記処理膜除去液で前記基板の表面から除去する処理膜除去工程とを含み、
前記処理膜が、光の照射によって分解される第2ポリマーを含有しており、
前記光照射工程が、前記第2ポリマーを分解させることによって前記処理膜を分裂させる工程を含む、基板処理方法。
【請求項4】
前記第2ポリマーが、複数の炭化水素基と、前記炭化水素基同士を連結するC-O結合とを有しており、
前記光照射工程が、光の照射によって前記C-O結合を切断することによって、炭化水素化合物からなる分解物が形成される、請求項2または3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記処理液が、前記第2ポリマーと、光の照射によって前記第2ポリマー同士を架橋させる架橋剤とを含有しており、
前記処理膜形成工程が、前記基板の表面上の処理液に光を照射することによって、前記架橋剤に前記第2ポリマー同士を架橋させて前記第2ポリマーを硬化させる光架橋工程を含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記処理膜形成工程において形成される前記処理膜が、前記基板の表面上に存在する除去対象物を保持しており、
前記光照射工程が、前記処理膜を分裂させることによって、前記除去対象物よりも大きい処理膜片を形成する工程を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記光照射工程の後でかつ前記処理膜除去工程の前に、前記処理膜に光を照射することで、前記処理膜を前記基板の表面から剥離する照射剥離工程をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記処理膜除去工程が、前記処理膜除去液によって、前記処理膜を前記基板の表面から剥離する液体剥離工程を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記光照射工程が、フォトマスクを介して、前記基板の表面に向けて光を照射する工程を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項10】
基板の表面に向けて処理液を供給する処理液供給ユニットと、
前記基板の表面上の処理液を固化または硬化させて前記基板の表面上に処理膜を形成する処理膜形成ユニットと、
前記基板の表面に光を照射する光照射ユニットと、
前記基板上に形成された処理膜を除去する処理膜除去液を前記基板の表面に向けて供給する処理膜除去液供給ユニットと、
前記処理液供給ユニット、前記処理膜形成ユニット、前記光照射ユニットおよび前記処理膜除去液供給ユニットを制御するコントローラとを含み、
前記コントローラが、前記処理液供給ユニットから基板の表面に処理液を供給し、前記処理膜形成ユニットによって前記基板の表面に処理膜を形成する処理膜形成工程と、前記光照射ユニットから前記処理膜に光を照射して、前記処理膜を前記基板の表面上で分裂させる光照射工程と、前記光照射工程の後、前記処理膜除去液供給ユニットから前記基板の表面に処理膜除去液を供給し、前記分裂された前記処理膜を、前記処理膜除去液で前記基板の表面から除去する処理膜除去工程とを実行するようにプログラムされており、
前記処理膜が、固体状態の主鎖と、前記主鎖に結合され、光の照射によって液化するように構成されている側鎖とを有する第1ポリマーを含有し、
前記光照射工程が、前記第1ポリマーの側鎖を液化させることによって前記処理膜を分裂させる工程を含む、基板処理装置。
【請求項11】
基板の表面に向けて処理液を供給する処理液供給ユニットと、
前記基板の表面上の処理液を固化または硬化させて前記基板の表面上に処理膜を形成する処理膜形成ユニットと、
前記基板の表面に光を照射する光照射ユニットと、
前記基板上に形成された処理膜を除去する処理膜除去液を前記基板の表面に向けて供給する処理膜除去液供給ユニットと、
前記処理液供給ユニット、前記処理膜形成ユニット、前記光照射ユニットおよび前記処理膜除去液供給ユニットを制御するコントローラとを含み、
前記コントローラが、前記処理液供給ユニットから基板の表面に処理液を供給し、前記処理膜形成ユニットによって前記基板の表面に処理膜を形成する処理膜形成工程と、前記光照射ユニットから前記処理膜に光を照射して、前記処理膜を前記基板の表面上で分裂させる光照射工程と、前記光照射工程の後、前記処理膜除去液供給ユニットから前記基板の表面に処理膜除去液を供給し、前記分裂された前記処理膜を、前記処理膜除去液で前記基板の表面から除去する処理膜除去工程とを実行するようにプログラムされており、
前記処理膜が、光の照射によって分解される第2ポリマーを含有しており、
前記光照射工程が、前記第2ポリマーを分解させることによって前記処理膜を分裂させる工程を含む、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する基板処理方法および基板処理装置に関する。処理対象になる基板には、たとえば、半導体ウエハ、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板、ならびに、液晶表示装置、プラズマディスプレイおよび有機EL(Electroluminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用の基板等の基板が含まれる。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、基板の表面に存在するパーティクル等の除去対象物を保持する処理膜を基板の表面に形成し、除去対象物を保持している状態の処理膜を剥離して除去する基板処理方法が開示されている。
この基板処理方法では、剥離液に処理膜の一部を溶解させ、残りの部分を固体状態に維持することによって、処理膜に貫通孔が形成される。剥離液の供給を継続することによって、貫通孔を介して基板と処理膜との界面に剥離液が作用し、処理膜が基板から剥離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-212889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の基板処理方法では、剥離液によって処理膜の一部を溶解させて貫通孔を形成しつつも、処理膜の大部分を固体状態に維持する必要がある。そのため、処理膜は、剥離液に対する溶解性が互いに異なる2つの成分(低溶解性成分および高溶解性成分)によって構成されている必要がある。
そこで、この発明の1つの目的は、処理膜除去液によって処理膜を基板の表面から除去する構成において、処理膜に液体を供給することなく処理膜を分裂させることができる基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の一実施形態は、基板の表面に処理液を供給し、前記基板の表面上の処理液を固化または硬化させることによって、処理膜を前記基板の表面に形成する処理膜形成工程と、前記処理膜に光を照射して、前記処理膜を前記基板の表面上で分裂させる光照射工程と、前記光照射工程の後、前記基板の表面に処理膜除去液を供給し、前記分裂された前記処理膜を、前記処理膜除去液で前記基板の表面から除去する処理膜除去工程とを含む、基板処理方法を提供する。
【0006】
この方法によれば、処理膜に処理膜除去液を供給する前に、処理膜に対する光照射によって処理膜が分裂される。分裂された処理膜は、処理膜除去液によって基板の表面から排除される。処理膜除去液の供給前に処理膜を分裂させることができるため、処理膜除去液によって処理膜を分裂させる必要がない。このように、液体を処理膜に供給することなく処理膜を分裂させることができる。
【0007】
この発明の一実施形態では、前記処理膜形成工程において形成される前記処理膜が、前記基板の表面上に存在する除去対象物を保持している。前記光照射工程が、前記処理膜を分裂させることによって、前記除去対象物よりも大きい処理膜片を形成する工程を含む。
この方法によれば、処理膜片が除去対象物よりも大きいので、処理膜が分裂した後においても、処理膜片からの除去対象物の脱落を防ぐことができる。したがって、基板の表面から除去対象物を良好に除去することができる。
【0008】
この発明の一実施形態では、前記基板処理方法が、前記光照射工程の後でかつ前記処理膜除去工程の前に、前記処理膜に光を照射することで、前記処理膜を前記基板の表面から剥離する照射剥離工程をさらに含む。
この方法によれば、光照射は、処理膜を分裂させるだけでなく、処理膜を基板の表面から剥離することもできる。そのため、処理膜除去液によって、処理膜を分裂させる必要も、処理膜を剥離する必要もない。したがって、処理膜を溶解させる性質を殆ど有しない処理膜除去液を用いて、基板の上面から処理膜を除去することができる。これにより、処理液および処理膜除去液の組み合わせの選択性が向上される。
【0009】
この発明の一実施形態では、前記処理膜除去工程が、前記処理膜除去液によって、前記処理膜を前記基板の表面から剥離する液体剥離工程を含む。この方法によれば、光照射によって処理膜が剥離されない場合であっても、処理膜除去液によって基板の表面から剥離することができる。
この発明の一実施形態では、前記処理膜が、固体状態の主鎖と、前記主鎖に結合され、光の照射によって液化するように構成されている側鎖とを有する第1ポリマーを含有する。そして、前記光照射工程が、前記第1ポリマーの側鎖を液化させることによって前記処理膜を分裂させる工程を含む。
【0010】
この方法によれば、光の照射によって第1ポリマーの一部(側鎖)が液化する。そのため、光の照射によって、処理膜の大部分を固体状態に維持しながら処理膜の一部が液化される。したがって、処理膜除去液の供給前に処理膜を分裂させることができる。
この発明の一実施形態では、前記処理膜が、光の照射によって分解される第2ポリマーを含有している。そして、前記光照射工程が、前記第2ポリマーを分解させることによって前記処理膜を分裂させる工程を含む。
【0011】
この方法によれば、光の照射によって第2ポリマーが分解される。そのため、第2ポリマーの存在によって一体となっていた処理膜が第2ポリマーの分解によってその形状を保つことができなくなり分裂される。したがって、処理膜除去液の供給前に処理膜を分裂させることができる。
この発明の一実施形態では、前記第2ポリマーが、複数の炭化水素基と、前記炭化水素基同士を連結するC-O結合とを有している。そして、前記光照射工程が、光の照射によって前記C-O結合を切断することによって、炭化水素化合物からなる分解物が形成される。
【0012】
基板の表面には、疎水性の除去対象物が付着している場合がある。したがって、除去対象物は、処理膜中の第2ポリマーの炭化水素基によって取り囲まれることによって処理膜に保持されている。第2ポリマーの分解後において、炭化水素化合物からなる分解物が形成される構成であれば、第2ポリマーが分解された後においても、除去対象物は、分解物中の炭化水素基に取り囲まれた状態で維持される。そのため、処理膜が分裂された後においても、分裂された処理膜によって除去対象物を強固に保持することができる。
【0013】
この発明の一実施形態では、前記処理液が、前記第2ポリマーと、光の照射によって前記第2ポリマー同士を架橋させる架橋剤とを含有している。そして、前記処理膜形成工程が、前記架橋剤に前記ポリマー同士を架橋させて前記ポリマーを硬化させる光架橋工程を含む。
この方法によれば、架橋剤によって第2ポリマー同士が架橋される。これにより、第2ポリマーを架橋しない場合と比較して、処理膜の硬度を高くすることができる。処理膜の硬度を高くすることによって、処理膜によって除去対象物を強固に保持することができる。そのため、処理膜除去液によって、分裂した処理膜とともに除去対象物を基板外に排除することができる。したがって、基板の表面から除去対象物を良好に除去することができる。
【0014】
この発明の一実施形態では、前記光照射工程が、フォトマスクを介して、前記基板の表面に向けて光を照射する工程を含む。そのため、処理膜はフォトマスクのパターンに応じて露光されるので、処理膜の一部にのみ光を照射することができる。たとえば、基板の表面において露光を避けたい部分が存在する場合や、処理膜を部分的に基板上に残存させたい場合に有用である。この方法とは異なり、処理膜を分裂させるために液体を供給する方法であれば、処理膜の一部のみを分裂させることは困難である。
【0015】
この発明の他の実施形態は、基板の表面に向けて処理液を供給する処理液供給ユニットと、前記基板の表面上の処理液を固化または硬化させて前記基板の表面上に処理膜を形成する処理膜形成ユニットと、前記基板の表面に光を照射する光照射ユニットと、前記基板上に形成された処理膜を除去する処理膜除去液を前記基板の表面に向けて供給する処理膜除去液供給ユニットと、前記処理液供給ユニット、前記処理膜形成ユニット、前記光照射ユニットおよび前記処理膜除去液供給ユニットを制御するコントローラとを含む、基板処理装置を提供する。
【0016】
前記コントローラが、前記処理液供給ユニットから基板の表面に処理液を供給し、前記処理膜形成ユニットによって前記基板の表面に処理膜を形成する処理膜形成工程と、前記光照射ユニットから前記処理膜に光を照射して、前記処理膜を前記基板の表面上で分裂させる光照射工程と、前記光照射工程の後、前記処理膜除去液供給ユニットから前記基板の表面に処理膜除去液を供給し、前記分裂された前記処理膜を、前記処理膜除去液で前記基板の表面から除去する処理膜除去工程とを実行するようにプログラムされている。
【0017】
この装置によれば、前記基板処理方法と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置のレイアウトを示す模式的な平面図である。
図2図2は、前記基板処理装置に備えられる処理ユニットの概略構成を示す模式的な部分断面図である。
図3図3は、処理膜に含有される第1ポリマーの性質について説明するための模式図である。
図4図4は、前記基板処理装置の主要部の電気的構成を示すブロック図である。
図5図5は、前記基板処理装置による基板処理の一例を説明するための流れ図である。
図6A図6Aは、前記基板処理の処理液供給工程(ステップS1)の様子を説明するための模式図である。
図6B図6Bは、前記基板処理の処理膜形成工程(ステップS2)の様子を説明するための模式図である。
図6C図6Cは、前記基板処理の処理膜形成工程(ステップS2)の様子を説明するための模式図である。
図6D図6Dは、前記基板処理の光照射工程(ステップS3)の様子を説明するための模式図である。
図6E図6Eは、前記基板処理の処理膜除去工程(ステップS4)の様子を説明するための模式図である。
図6F図6Fは、前記基板処理の処理膜除去工程(ステップS4)の様子を説明するための模式図である。
図6G図6Gは、前記基板処理の残渣溶解工程(ステップS5)の様子を説明するための模式図である。
図7A図7Aは、前記基板処理中の基板の表面付近の様子を説明するための模式図である。
図7B図7Bは、前記基板処理中の基板の表面付近の様子を説明するための模式図である。
図7C図7Cは、前記基板処理中の基板の表面付近の様子を説明するための模式図である。
図7D図7Dは、前記基板処理中の基板の表面付近の様子を説明するための模式図である。
図8図8は、前記基板処理中の基板の表面付近の様子を説明するための模式図であり、光の照射によって処理膜が基板の表面から剥離する様子を示している。
図9A図9Aは、処理膜に含有される第2ポリマーの一例について説明するための模式図である。
図9B図9Bは、前記第2ポリマーの分解のメカニズムについて説明するための模式図である。
図9C図9Cは、前記第2ポリマーを含有する処理膜が除去対象物を保持する様子について説明するための模式図である。
図10A図10Aは、前記基板処理の変形例における処理膜形成工程(ステップS2)の様子を説明するための模式図である。
図10B図10Bは、前記基板処理の変形例における処理膜形成工程(ステップS2)の様子を説明するための模式図である。
図11図11は、前記処理ユニットに備えられる光照射ユニットの第1変形例について説明するための模式図である。
図12図12は、前記光照射ユニットの第2変形例について説明するための模式図である。
図13図13は、第2実施形態に係る基板処理装置に備えられるウェット処理ユニットの構成について説明するための模式図である。
図14図14は、第2実施形態に係る基板処理装置に備えられるドライ処理ユニットの構成について説明するための模式図である。
図15A図15Aは、第2実施形態に係る基板処理装置による基板処理中の基板の表面付近の様子を説明するための模式図である。
図15B図15Bは、第2実施形態に係る基板処理装置による基板処理中の基板の表面付近の様子を説明するための模式図である。
図15C図15Cは、第2実施形態に係る基板処理装置による基板処理中の基板の表面付近の様子を説明するための模式図である。
図15D図15Dは、第2実施形態に係る基板処理装置による基板処理中の基板の表面付近の様子を説明するための模式図である。
図16図16は、第2実施形態に係る基板処理装置による基板処理中の基板の表面付近の様子を説明するための模式図であり、
図17図17は、第3実施形態に係る基板処理装置の構成について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1は、この発明の一実施形態にかかる基板処理装置1のレイアウトを示す模式的な平面図である。
基板処理装置1は、シリコンウエハ等の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。この実施形態では、基板Wは、円板状の基板である。基板Wとしては、表面にエッチング可能な成分が露出している基板を用いることができる。基板Wとしては、表面にSiO(酸化シリコン)、TiN(窒化チタン)、Cu(銅)、および、Ru(ルテニウム)のうちの少なくともいずれかが露出している基板を用いることが好ましい。基板Wの表面には、上述した物質のうち、1種類の物質のみが露出していてもよいし、上述した物質のうち複数の物質が露出していてもよい。基板Wの表面には、上述した物質以外のエッチング可能な物質が露出していてもよい。
【0020】
基板処理装置1は、基板Wを流体で処理する複数の処理ユニット2と、処理ユニット2で処理される複数枚の基板Wを収容するキャリヤCが載置されるロードポートLPと、ロードポートLPと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する搬送ロボットIRおよびCRと、基板処理装置1を制御するコントローラ3とを含む。
搬送ロボットIRは、キャリヤCと搬送ロボットCRとの間で基板Wを搬送する。搬送ロボットCRは、搬送ロボットIRと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する。複数の処理ユニット2は、たとえば、同様の構成を有している。詳しくは後述するが、処理ユニット2内で基板Wに向けて供給される流体には、処理液、処理膜除去液、残渣溶解液等が含まれる。
【0021】
図2は、処理ユニット2の構成例を説明するための模式図である。
処理ユニット2は、チャンバ4と、スピンチャック5と、処理カップ7と、光照射ユニット8と、第1移動ノズル9と、第2移動ノズル10と、第3移動ノズル11とを含む。
チャンバ4は、スピンチャック5と、処理カップ7と、光照射ユニット8と、第1移動ノズル9と、第2移動ノズル10と、第3移動ノズル11とを収容している。チャンバ4には、搬送ロボットCRによって、基板Wを搬入したり基板Wを搬出したりするための出入口4aが形成されている。チャンバ4には、この出入口4aを開閉するシャッタユニット4bが備えられている。
【0022】
スピンチャック5は、基板Wを水平に保持しながら、回転軸線A1(鉛直軸線)まわりに基板Wを回転させる基板保持回転ユニットの一例である。回転軸線A1は、基板Wの中央部を通る鉛直な直線である。スピンチャック5は、複数のチャックピン20と、スピンベース21と、回転軸22と、スピンモータ23とを含む。
スピンベース21は、水平方向に沿う円板形状を有している。スピンベース21の上面には、基板Wの周縁を把持する複数のチャックピン20が、スピンベース21の周方向に間隔を空けて配置されている。
【0023】
スピンベース21および複数のチャックピン20は、基板Wを水平に保持する基板保持ユニットを構成している。基板保持ユニットは、基板ホルダともいう。
回転軸22は、回転軸線A1に沿って鉛直方向に延びている。回転軸22の上端部は、スピンベース21の下面中央に結合されている。スピンモータ23は、回転軸22に回転力を与える。スピンモータ23によって回転軸22が回転されることにより、スピンベース21が回転される。これにより、基板Wが回転軸線A1のまわりに回転される。スピンモータ23は、回転軸線A1まわりに基板Wを回転させる基板回転ユニットの一例である。
【0024】
光照射ユニット8は、スピンチャック5に保持された基板Wの上面(上側の表面)に上方から対向する対向部材6と、対向面6aに取り付けられた光源としての複数のランプ80とを含む。
対向部材6は、基板Wとほぼ同じ径またはそれ以上の径を有する円板状に形成されている。対向面6aは、スピンチャック5よりも上方でほぼ水平面に沿って配置されている。
【0025】
対向部材6において対向面6aとは反対側には、回転軸60が固定されている。
対向部材6は、対向面6aと基板Wの上面との間の空間内の雰囲気を当該空間の外部の雰囲気から遮断する。そのため、対向部材6は、遮断板ともいう。
複数のランプ80は、対向面6aの全域に等間隔で配置されている。処理ユニット2は、複数のランプ80を通電させたり複数のランプ80への通電を停止したりするように構成されているランプ通電ユニット85をさらに含む。ランプ80は通電されることにより光を発する。各ランプ80から発せられる光は、たとえば、赤外線、紫外線、可視光等が挙げられる。
【0026】
処理ユニット2は、対向部材6を昇降させる対向部材昇降ユニット61と、対向部材6を回転軸線A1まわりに回転させる対向部材回転ユニット62とをさらに含む。
対向部材昇降ユニット61は、下位置から上位置までの任意の位置(高さ)に対向部材6を鉛直方向に位置させることができる。下位置とは、対向部材6の可動範囲において、対向面6aが基板Wに最も近接する位置である。上位置とは、対向部材6の可動範囲において対向面6aが基板Wから最も離間する位置である。対向部材6が上位置に位置するときに、基板Wの搬入および搬出のために搬送ロボットCRがスピンチャック5にアクセスすることができる。
【0027】
対向部材昇降ユニット61は、たとえば、回転軸60を支持する支持部材(図示せず)に結合されたボールねじ機構(図示せず)と、当該ボールねじ機構に駆動力を与える電動モータ(図示せず)とを含む。対向部材昇降ユニット61は、対向部材リフタ(遮断板リフタ)ともいう。対向部材回転ユニット62は、たとえば、回転軸60を回転させるモータ(図示せず)を含む。
【0028】
対向部材昇降ユニット61は、対向部材6とともに複数のランプ80を昇降させる。対向部材昇降ユニット61は、ランプ昇降ユニット(ランプリフタ)の一例である。対向部材回転ユニット62は、対向部材6とともに複数のランプ80を回転させる。対向部材回転ユニット62は、ランプ回転ユニット(ランプモータ)の一例である。
処理カップ7は、スピンチャック5に保持された基板Wから外方に飛散する液体を受け止める複数のガード71と、複数のガード71によって下方に案内された液体を受け止める複数のカップ72と、複数のガード71および複数のカップ72を取り囲む円筒状の外壁部材73とを含む。
【0029】
この実施形態では、2つのガード71(第1ガード71Aおよび第2ガード71B)と、2つのカップ72(第1カップ72Aおよび第2カップ72B)とが設けられている例を示している。
第1カップ72Aおよび第2カップ72Bのそれぞれは、上向きに開放された環状溝の形態を有している。
【0030】
第1ガード71Aは、スピンベース21を取り囲むように配置されている。第2ガード71Bは、第1ガード71Aよりも外側でスピンベース21を取り囲むように配置されている。
第1ガード71Aおよび第2ガード71Bは、それぞれ、ほぼ円筒形状を有している。各ガード71の上端部は、スピンベース21に向かうように内方に傾斜している。
【0031】
第1カップ72Aは、第1ガード71Aによって下方に案内された液体を受け止める。第2カップ72Bは、第1ガード71Aと一体に形成されており、第2ガード71Bによって下方に案内された液体を受け止める。
処理ユニット2は、第1ガード71Aおよび第2ガード71Bを別々に鉛直方向に昇降させるガード昇降ユニット74を含む。ガード昇降ユニット74は、下位置と上位置との間で第1ガード71Aを昇降させる。ガード昇降ユニット74は、下位置と上位置との間で第2ガード71Bを昇降させる。
【0032】
第1ガード71Aおよび第2ガード71Bがともに上位置に位置するとき、基板Wから飛散する液体は、第1ガード71Aによって受けられる。第1ガード71Aが下位置に位置し、第2ガード71Bが上位置に位置するとき、基板Wから飛散する液体は、第2ガード71Bによって受けられる。第1ガード71Aおよび第2ガード71Bがともに下位置に位置するときに、基板Wの搬入および搬出のために搬送ロボットCRがスピンチャック5にアクセスすることが可能である。
【0033】
ガード昇降ユニット74は、たとえば、第1ガード71Aに結合された第1ボールねじ機構(図示せず)と、第1ボールねじ機構に駆動力を与える第1モータ(図示せず)と、第2ガード71Bに結合された第2ボールねじ機構(図示せず)と、第2ボールねじ機構に駆動力を与える第2モータ(図示せず)とを含む。ガード昇降ユニット74は、ガードリフタともいう。
【0034】
第1移動ノズル9は、スピンチャック5に保持された基板Wの上面(上側の表面)に向けて処理液を供給(吐出)する処理液ノズル(処理液供給ユニット)の一例である。
第1移動ノズル9は、第1ノズル移動ユニット35によって、水平方向および鉛直方向に移動される。第1移動ノズル9は、水平方向において、中心位置と、ホーム位置(退避位置)との間で移動することができる。第1移動ノズル9は、中心位置に位置するとき、基板Wの上面の中央領域に対向する。
【0035】
第1移動ノズル9は、ホーム位置に位置するとき、基板Wの上面には対向せず、平面視において、処理カップ7の外方に位置する。第1移動ノズル9は、鉛直方向への移動によって、基板Wの上面に接近したり、基板Wの上面から上方に退避したりできる。
第1ノズル移動ユニット35は、第1移動ノズル9に結合され水平に延びるアーム(図示せず)と、アームに結合され鉛直方向に沿って延びる回動軸(図示せず)と、回動軸を昇降させたり回動させたりする回動軸駆動ユニット(図示せず)とを含んでいてもよい。
【0036】
回動軸駆動ユニットは、鉛直な回動軸線まわりに回動軸を回動させることによってアームを揺動させる。さらに、回動軸駆動ユニットは、回動軸を鉛直方向に沿って昇降することにより、アームを昇降させる。アームの揺動および昇降に応じて、第1移動ノズル9が水平方向および鉛直方向に移動する。
第1移動ノズル9は、処理液を案内する処理液配管40に接続されている。処理液配管40に介装された処理液バルブ50が開かれると、処理液が、第1移動ノズル9から下方に連続流で吐出される。第1移動ノズル9が中央位置に位置するときに処理液バルブ50が開かれると、処理液が基板Wの上面の中央領域に供給される。
【0037】
処理液には、溶質および溶媒が含有されている。処理液は、処理液に含有される溶媒の少なくとも一部が揮発(蒸発)することによって固化または硬化する。処理液は、基板W上で固化または硬化することによって、固形の処理膜を形成する。処理膜は、処理液が固化または硬化する際に、基板W上に存在する除去対象物を内部に取り込み保持する。除去対象物は、たとえば、基板Wの表面に付着するパーティクル等の異物である。
【0038】
ここで、「固化」とは、たとえば、溶媒の揮発に伴い、分子間や原子間に作用する力等によって溶質が固まることを指す。「硬化」とは、たとえば、重合や架橋等の化学的な変化によって、溶質が固まることを指す。したがって、「固化または硬化」とは、様々な要因によって溶質が「固まる」ことを表している。
また、処理膜は、固体成分のみによって構成されている必要はない。処理膜は、全体として一定の形状を保っていれば、固体成分および液体成分の両方によって構成された半固体状であってもよい。すなわち、処理液から溶媒が完全に除去されている必要はなく、処理膜中には溶媒が残っていてもよい。
【0039】
処理液には、溶質として、ポリマーが含有されている。処理液に含有されているポリマーは、たとえば、固体状態の主鎖と、主鎖に結合され、光照射ユニット8からの光の照射によって液化する側鎖とを有する第1ポリマーである。
第1ポリマーの主鎖は、光照射後においても固体状態に維持される。そのため、光照射ユニット8から光が照射される前、処理膜全体が固体状態である。一方、光照射ユニット8から処理膜に光が照射されると、処理膜の一部が液化し、処理膜が分裂される。
【0040】
第1ポリマーとしては、図3に示すように、炭化水素基によって構成された主鎖201と、アゾベンゼン基を有する側鎖202とを分子内に有するポリマー200が挙げられる。アゾベンゼン基は、光が照射されることによってトランス体とシス体とに可逆的に光異性化する。
詳しくは、トランス体のアゾベンゼン基は、紫外光によってシス体に変化し、シス体のアゾベンゼン基は、可視光または熱によってトランス体に変化する。アゾベンゼン基がトランス体であるとき、側鎖202は固体状態である。アゾベンゼン基がシス体であるとき、側鎖は液体状態である。アゾベンゼン基をシス体に変化させる紫外光としては、たとえば、365nmの紫外光が用いられる。アゾベンゼン基をシス体に変化させる紫外光の波長は、365nmに限られない。
【0041】
したがって、処理膜に紫外光が照射される前では、アゾベンゼン基は、トランス体であり、処理膜全体が固体状態に維持されている。一方、処理膜に紫外光が照射されることによって、アゾベンゼン基は、シス体に変化し、処理膜の一部が液化する。これにより、処理膜が分裂される。
第1ポリマーは、図3に示すポリマー200に限られず、固体状態の主鎖と、主鎖に結合され、光の照射によって液化する側鎖とを有していればよい。たとえば、第1ポリマーは、側鎖としてアゾベンゼン誘導体を有していてもよい。
【0042】
再び図2を参照して、第2移動ノズル10は、スピンチャック5に保持された基板Wの上面に向けて純水等の処理膜除去液を連続流で供給(吐出)する処理膜除去液ノズル(処理膜除去液供給ユニット)の一例である。処理膜除去液は、基板W上に形成されている処理膜を、溶解させずに基板W外に押し出して除去するための液体である。
第2移動ノズル10は、第2ノズル移動ユニット36によって、水平方向および鉛直方向に移動される。第2移動ノズル10は、水平方向において、中心位置と、ホーム位置(退避位置)との間で移動することができる。
【0043】
第2移動ノズル10は、中心位置に位置するとき、基板Wの上面の中央領域に対向する。第2移動ノズル10は、ホーム位置に位置するとき、基板Wの上面には対向せず、平面視において、処理カップ7の外方に位置する。第2移動ノズル10は、鉛直方向への移動によって、基板Wの上面に接近したり、基板Wの上面から上方に退避したりできる。
第2ノズル移動ユニット36は、第1ノズル移動ユニット35と同様の構成を有している。すなわち、第2ノズル移動ユニット36は、第2移動ノズル10に結合されて水平に延びるアーム(図示せず)と、アームに結合され鉛直方向に沿って延びる回動軸(図示せず)と、回動軸を昇降させたり回動させたりする回動軸駆動ユニット(図示せず)とを含んでいてもよい。
【0044】
第2移動ノズル10は、第2移動ノズル10に処理膜除去液を案内する処理膜除去液配管41に接続されている。処理膜除去液配管41に介装された処理膜除去液バルブ51が開かれると、処理膜除去液が、第2移動ノズル10の吐出口から下方に連続流で吐出される。第2移動ノズル10が中央位置に位置するときに処理膜除去液バルブ51が開かれると、処理膜除去液が基板Wの上面の中央領域に供給される。
【0045】
第2移動ノズル10から吐出される処理膜除去液は、たとえば、DIW等の純水、炭酸水、電解イオン水、希釈濃度(たとえば、1ppm~100ppm程度)の塩酸水、希釈濃度(たとえば、1ppm~100ppm程度)のアンモニア水、還元水(水素水)等が挙げられる。
第3移動ノズル11は、スピンチャック5に保持された基板Wの上面に向けて有機溶剤等の残渣溶解液を連続流で供給(吐出)する残渣溶解液ノズル(残渣溶解液供給ユニット)の一例である。
【0046】
第3移動ノズル11は、第3ノズル移動ユニット37によって、水平方向および鉛直方向に移動される。第3移動ノズル11は、水平方向において、中心位置と、ホーム位置(退避位置)との間で移動することができる。
第3移動ノズル11は、中心位置に位置するとき、基板Wの上面の中央領域に対向する。第3移動ノズル11は、ホーム位置に位置するとき、基板Wの上面には対向せず、平面視において、処理カップ7の外方に位置する。第3移動ノズル11は、鉛直方向への移動によって、基板Wの上面に接近したり、基板Wの上面から上方に退避したりできる。
【0047】
第3ノズル移動ユニット37は、第1ノズル移動ユニット35と同様の構成を有している。すなわち、第3ノズル移動ユニット37は、第3移動ノズル11に結合されて水平に延びるアーム(図示せず)と、アームに結合され鉛直方向に沿って延びる回動軸(図示せず)と、回動軸を昇降させたり回動させたりする回動軸駆動ユニット(図示せず)とを含んでいてもよい。
【0048】
第3移動ノズル11は、第3移動ノズル11に残渣溶解液を案内する残渣溶解液配管42に接続されている。残渣溶解液配管42に介装された残渣溶解液バルブ52が開かれると、残渣溶解液が、第3移動ノズル11の吐出口から下方に連続流で吐出される。第3移動ノズル11が中央位置に位置するときに残渣溶解液バルブ52が開かれると、残渣溶解液が基板Wの上面の中央領域に供給される。
【0049】
残渣溶解液は、基板Wに処理膜除去液が供給された後に基板W上に僅かに残る処理膜の残渣を溶解して、処理膜の残渣を基板Wの上面から除去するための液体である。そのため、残渣溶解液は、処理膜除去液と相溶性を有することが好ましい。相溶性とは、2種類の液体が互いに溶けて混ざり合う性質のことである。
残渣溶解液は、表面張力が処理膜除去液よりも低い低表面張力液体であることが好ましい。後述する基板処理では、基板W上の処理膜除去液が振り切られることによって、基板Wの上面が乾燥されるのではなく、基板W上の処理膜除去液が残渣溶解液によって置換された後に、基板W上の残渣溶解液が振り切られることによって基板Wの上面が乾燥される。そのため、残渣溶解液が低表面張力液体であれば、基板Wの上面が乾燥される際に基板Wの上面に作用する表面張力を低減することができる。
【0050】
残渣溶解液および低表面張力液体として機能する有機溶剤としては、IPA(イソプピルアルコール)、HFE(ハイドロフルオロエーテル)、メタノール、エタノール、アセトン、PGEE(プロピレングリコールモノエチルエーテル)およびTrans-1,2-ジクロロエチレンのうちの少なくとも1つを含む液等が挙げられる。
残渣溶解液および低表面張力液体として機能する有機溶剤は、単体成分のみからなる必要はなく、他の成分と混合した液体であってもよい。たとえば、IPAとDIWとの混合液であってもよいし、IPAとHFEとの混合液であってもよい。
【0051】
図4は、基板処理装置1の主要部の電気的構成を示すブロック図である。コントローラ3は、マイクロコンピュータを備え、所定の制御プログラムに従って基板処理装置1に備えられた制御対象を制御する。
具体的には、コントローラ3は、プロセッサ(CPU)3Aと、制御プログラムが格納されたメモリ3Bとを含む。コントローラ3は、プロセッサ3Aが制御プログラムを実行することによって、基板処理のための様々な制御を実行するように構成されている。
【0052】
とくに、コントローラ3は、搬送ロボットIR,CR、スピンモータ23、ピン開閉ユニット24、第1ノズル移動ユニット35、第2ノズル移動ユニット36、第3ノズル移動ユニット37、ガード昇降ユニット74、ランプ通電ユニット85、対向部材昇降ユニット61、対向部材回転ユニット62、処理液バルブ50、処理膜除去液バルブ51、残渣溶解液バルブ52を制御するようにプログラムされている。コントローラ3によってバルブが制御されることによって、対応するノズルからの処理流体の吐出の有無や、対応するノズルからの処理流体の吐出流量が制御される。
【0053】
図5は、基板処理装置1による基板処理の一例を説明するための流れ図である。図5は、主として、コントローラ3がプログラムを実行することによって実現される処理が示されている。図6A図6Gは、基板処理の各工程の様子を説明するための模式図である。
基板処理装置1による基板処理では、たとえば、図5に示すように、処理液供給工程(ステップS1)、処理膜形成工程(ステップS2)、光照射工程(ステップS3)、処理膜除去工程(ステップS4)、残渣溶解工程(ステップS5)およびスピンドライ工程(ステップS6)がこの順番で実行される。
【0054】
以下では、主に図2および図5を参照する。図6A図6Gについては適宜参照する。
まず、未処理の基板Wは、搬送ロボットIR,CR(図1参照)によってキャリヤCから処理ユニット2に搬入され、スピンチャック5に渡される。これにより、基板Wは、スピンチャック5によって水平に保持される(基板保持工程)。
基板Wの搬入時には、対向部材6は退避位置に配置され、複数のランプ80の通電は遮断されている。対向部材6の退避位置は、たとえば上位置であり、各移動ノズルが対向部材6と基板Wとの間を通過できる位置であればよい。
【0055】
スピンチャック5による基板Wの保持は、スピンドライ工程(ステップS6)が終了するまで継続される。基板保持工程が開始されてからスピンドライ工程(ステップS6)が終了するまでの間、ガード昇降ユニット74は、少なくとも一つのガード71が上位置に位置するように、第1ガード71Aおよび第2ガード71Bの高さ位置を調整する。基板Wがスピンチャック5に保持された状態で、スピンモータ23が、スピンベース21を回転させる。これにより、水平に保持された基板Wの回転が開始される(基板回転工程)。
【0056】
次に、搬送ロボットCRが処理ユニット2外に退避した後、基板Wの上面に処理液を供給する処理液供給工程(ステップS1)が実行される。具体的には、第1ノズル移動ユニット35が、第1移動ノズル9を処理位置に移動させる。第1移動ノズル9の処理位置は、たとえば、中央位置である。
第1移動ノズル9が処理位置に位置する状態で、処理液バルブ50が開かれる。これにより、図6Aに示すように、回転状態の基板Wの上面の中央領域に向けて、第1移動ノズル9から処理液が供給(吐出)される(処理液供給工程、処理液吐出工程)。基板Wの上面に供給された処理液は、遠心力によって、基板Wの全体に広がる。これにより、基板W上に処理液の液膜101(処理液膜)が形成される(処理液膜形成工程)。
【0057】
第1移動ノズル9からの処理液の供給は、所定時間、たとえば、2秒~4秒の間継続される。処理液供給工程において、基板Wは、所定の処理液回転速度、たとえば、10rpm~1500rpmで回転される。
次に、図6Bおよび図6Cに示す処理膜形成工程(ステップS2)が実行される。処理膜形成工程では、基板W上の処理液が固化または硬化されて、処理膜100(図6Cを参照)が基板Wの上面に形成される。
【0058】
処理膜形成工程では、基板W上の処理液の液膜101の厚さが薄くされる(処理液薄膜化工程、処理液スピンオフ工程)。具体的には、処理液バルブ50が閉じられる。これにより、図6Bに示すように、基板Wに対する処理液の供給が停止される。そして、第1ノズル移動ユニット35によって第1移動ノズル9がホーム位置に移動される。
図6Bに示すように、処理液薄膜化工程では、基板Wの上面への処理液の供給が停止された状態で基板Wが回転するため、基板Wの上面から処理液の一部が排除される。これにより、基板W上の液膜101の厚さが適切な厚さになる。
【0059】
基板Wの回転に起因する遠心力は、基板Wの上面から処理液が排除されるだけでなく、液膜101に接する気体にも作用する。遠心力の作用により、当該気体が基板Wの中心側から周縁側に向かう気流が形成される。この気流により、液膜101に接する気体状態の溶媒が基板Wに接する雰囲気から排除される。そのため、基板W上の処理液からの溶媒の蒸発(揮発)が促進され、図6Cに示すように、処理膜100が形成される(溶媒蒸発工程、処理膜形成工程)。処理膜形成工程において、スピンモータ23は、処理液中の溶媒を蒸発させる蒸発ユニット(蒸発促進ユニット)として機能する。スピンモータ23は、処理膜形成ユニットの一例である。
【0060】
処理膜形成工程では、スピンモータ23が、基板Wの回転速度を所定の処理膜形成速度に変更する。処理膜形成速度は、たとえば、300rpm~1500rpmである。基板Wの回転速度は、300rpm~1500rpmの範囲内で一定に保たれてもよいし、処理膜形成工程の途中で300rpm~1500rpmの範囲内で適宜変更されてもよい。処理膜形成工程は、所定時間、たとえば、30秒間実行される。
【0061】
この基板処理とは異なり、処理膜形成工程では、遠心力による処理液の排除が行われなくてもよく、溶媒の蒸発のみによって処理膜100が形成されてもよい。この場合、処理液の消費量を抑制することができる。
次に、基板W上の処理膜100に対して光を照射する光照射工程(ステップS3)が実行される。
【0062】
具体的には、対向部材昇降ユニット61が、光照射ユニット8を照射位置に配置する。照射位置は、たとえば、光照射ユニット8から発せられる光が基板Wの上面の全体に均等に照射される位置である。そして、ランプ通電ユニット85によって光照射ユニット8の複数のランプ80が通電される。これにより、図6Dに示すように、光照射ユニット8によって、処理膜100の全体に対して光が照射される(光照射工程)。光照射によって処理膜100が基板W上で分裂される(処理膜分裂工程)。処理膜100が分裂されて処理膜100の膜片(処理膜片)が形成される(処理膜片形成工程)。
【0063】
光照射工程では、スピンモータ23が、基板Wの回転速度を所定の処理膜分裂速度に変更する。処理膜分裂速度は、たとえば、300rpmである。光照射は、たとえば、30秒間実行される。
次に、基板Wの上面(厳密には、処理膜100の表面)への処理膜除去液の供給によって、基板Wの上面から処理膜100を除去する処理膜除去工程(ステップS4)が実行される。
【0064】
具体的には、対向部材昇降ユニット61が対向部材6を退避位置に移動させ、ランプ通電ユニット85が複数のランプ80の通電を遮断する。対向部材6が退避位置に位置する状態で、第2ノズル移動ユニット36が第2移動ノズル10を処理位置に移動させる。第2移動ノズル10の処理位置は、たとえば、中央位置である。
第2移動ノズル10が処理位置に位置する状態で、処理膜除去液バルブ51が開かれる。これにより、図6Eに示すように、回転状態の基板Wの上面の中央領域に向けて、第2移動ノズル10から処理膜除去液が供給(吐出)される(処理膜除去液供給工程、処理膜除去液吐出工程)。
【0065】
基板Wの上面に供給された処理膜除去液は、遠心力によって、基板Wの全体に広がる。処理膜100に着液した処理膜除去液は、処理膜100の膜片同士の間の隙間を通って基板Wと処理膜100との間に進入し、処理膜100を基板Wから剥離する(処理膜剥離工程)。図6Fに示すように、処理膜除去液の供給を継続することで、処理膜除去液の流れによって処理膜100が基板Wの上面から押し出されて除去される(処理膜除去工程)。処理膜100は、除去対象物を保持している状態で基板Wの上面から除去される。第2移動ノズル10は、処理膜除去ユニットの一例である。
【0066】
処理膜除去工程(ステップS4)において、基板Wは、所定の除去回転速度、たとえば、800rpmで回転される。処理膜除去液の供給は、たとえば、30秒間実行される。
次に、有機溶剤等の残渣溶解液を供給して、処理膜100の残渣を基板Wの上面から除去する残渣溶解工程(ステップS5)が実行される。
具体的には、処理膜除去液バルブ51が閉じられ、第2ノズル移動ユニット36が第2移動ノズル10を退避位置に移動させる。そして、第3ノズル移動ユニット37が、第3移動ノズル11を処理位置に移動させる。第3移動ノズル11の処理位置は、たとえば、中央位置である。
【0067】
第3移動ノズル11が処理位置に位置する状態で、残渣溶解液バルブ52が開かれる。これにより、図6Gに示すように、回転状態の基板Wの上面の中央領域に向けて、第3移動ノズル11から残渣溶解液が供給(吐出)される(残渣溶解液供給工程、残渣溶解液吐出工程)。
基板Wの上面に供給された残渣溶解液は、遠心力を受けて放射状に広がり、基板Wの上面の全体に行き渡る。処理膜除去液によって基板Wから処理膜が剥離されて基板W上から排除された後においても基板Wの上面に処理膜の残渣が残っていることがある。基板Wの上面に供給された残渣溶解液は、このような残渣を溶解する。遠心力によって、残渣を溶解した残渣溶解液は、基板Wの上面の周縁から排出される。これにより、基板W上の処理膜の残渣が溶解される(残渣溶解工程)。
【0068】
残渣溶解液供給工程において、第4移動ノズル12からの残渣溶解液の吐出は、所定時間、たとえば、30秒間継続される。残渣溶解工程(ステップS5)において、基板Wは、所定の残渣溶解回転速度、たとえば、300rpmで回転される。
次に、基板Wを高速回転させて基板Wの上面を乾燥させるスピンドライ工程(ステップS6)が実行される。具体的には、残渣溶解液バルブ52が閉じられる。これにより、基板Wの上面への残渣溶解液の供給が停止される。そして、第3ノズル移動ユニット37が、第3移動ノズル11をホーム位置に移動させる。
【0069】
そして、スピンモータ23が基板Wの回転を加速し、基板Wを高速回転させる。スピンドライ工程における基板Wは、乾燥速度、たとえば、1500rpmで回転される。スピンドライ工程は、所定時間、たとえば、30秒間の間実行される。それによって、大きな遠心力が基板W上の残渣溶解液に作用し、基板W上の残渣溶解液が基板Wの周囲に振り切られる。
【0070】
そして、スピンモータ23が基板Wの回転を停止させる。ガード昇降ユニット74が第1ガード71Aおよび第2ガード71Bを下位置に移動させる。
搬送ロボットCRが、処理ユニット2に進入して、スピンチャック5のチャックピン20から処理済みの基板Wをすくい取って、処理ユニット2外へと搬出する。その基板Wは、搬送ロボットCRから搬送ロボットIRへと渡され、搬送ロボットIRによって、キャリヤCに収納される。
【0071】
次に、図7A図7Dを用いて、基板処理中の基板Wの上面の様子を詳細に説明する。図7A図7Dは、基板処理中の基板Wの上面付近の様子を説明するための模式図である。図7Bでは、説明の便宜上、光照射ユニット8と基板Wとの大小関係を図2から変更している(後述する図8および図15Bにおいても同様)。
処理膜形成工程(ステップS2)において形成された処理膜100は、図7Aに示すように、基板Wの表層部150に付着しているパーティクル等の除去対象物105を保持している。処理膜100は、主にポリマーによって形成されている。処理膜100は、溶媒の少なくとも一部が蒸発することによって、固体状態になっている。
【0072】
次に、図7Bを参照して、処理膜100に対する光の照射によって処理膜100が分裂される(処理膜分裂工程、光照射工程)。言い換えると、処理膜100にクラックが発生する(クラック発生工程)。処理膜100は、分裂されることによって膜片状となる。すなわち、処理膜100の膜片(処理膜片110)が形成される(処理膜片分裂工程)。
処理膜片110は、除去対象物105よりも大きい。除去対象物105は、略球体であり、その直径は、たとえば、10nmである。処理膜片110が立方体であると仮定した場合、処理膜片110の一辺の長さが20nm以上で、かつ、数μm以下であることが好ましい。
【0073】
次に、図7Cを参照して、処理膜100が分裂された後、基板Wの上面に処理膜除去液が供給される。処理膜100の表面に着液した処理膜除去液は、処理膜片110同士の間の隙間G1を介して、処理膜片110と基板Wとの界面に達する。
基板Wの上面付近まで到達した処理膜除去液は、処理膜片110において基板Wの上面付近の部分を僅かに溶解させる。これにより、図7Cの拡大図に示すように、処理膜除去液が、基板Wの上面付近の固体状態の処理膜片110を徐々に溶解させながら、処理膜片110と基板Wの上面との間の隙間G2に進入していく(除去液進入工程)。これにより、図7Dに示すように、処理膜片110が基板Wの上面から剥離される(液体剥離工程、処理膜剥離工程、膜片剥離工程)。
【0074】
処理膜除去液の供給を継続することによって、処理膜片110は、除去対象物105を保持している状態で、処理膜除去液によって洗い流される。言い換えると、除去対象物105を保持する処理膜片110が基板W外に押し出されて基板Wの上面から排除される(処理膜排除工程、除去対象物排除工程)。これにより、基板Wの上面を良好に洗浄することができる。
【0075】
処理膜片110は、除去対象物105を脱落させることなく塊状態を維持したまま基板Wの上面から剥離されて除去される。基板Wの上面からの処理膜100の除去は、基板Wの遠心力によって促進される。
第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
第1実施形態によれば、処理膜100に処理膜除去液を供給する前に、光照射によって処理膜100が分裂される。処理膜100は、分裂されることによって、処理膜除去液による物理力(エネルギー)を受けやすくなる。そのため、分裂された処理膜100は、処理膜除去液によって基板Wの上面から押し出されて基板Wから排除される。そのため、処理膜除去液の供給前に処理膜100を分裂させることができるため、処理膜除去液によって処理膜100を分裂させる必要がない。このように、液体を処理膜100に供給することなく、すなわちドライ処理によって、処理膜100を分裂させることができる。
【0076】
また第1実施形態によれば、処理膜100を分裂させることによって、除去対象物105よりも大きい処理膜片110が形成される。そのため、処理膜100が分裂した後においても、処理膜片110からの除去対象物105の脱落を防ぐことができる。したがって、基板Wの上面から除去対象物105を良好に除去することができる。
また第1実施形態によれば、処理膜除去液によって、処理膜100が基板Wの上面から剥離される。この方法によれば、光照射によって処理膜100が剥離されない場合であっても、処理膜除去液によって基板面から剥離することができる。
【0077】
また第1実施形態によれば、処理膜100が、固体状態の主鎖201と、主鎖201に結合され、光の照射によって液化するように構成されている側鎖202とを有するポリマー200を含有する(図3を参照)。そのため、光の照射によってポリマー200の一部(側鎖202)が液化して処理膜100が分裂される。そのため、光の照射によって、処理膜100の大部分を固体状態に維持しながら処理膜100の一部が液化される。したがって、処理膜除去液の供給前に処理膜100を分裂させることができる。
【0078】
上述の基板処理(図7A図7D)では、処理膜100は、光の照射によって分裂される。しかしながら、光照射は、処理膜100を分裂させるだけでなく、基板Wの上面から処理膜100を剥離されてもよい。図8は、基板処理中の基板Wの上面付近の様子を説明するための模式図であり、光の照射によって処理膜100が基板Wの上面から剥離する様子を示している。
【0079】
詳しくは、光照射工程(ステップS3)において、図8に示すように、処理膜100を分裂させつつ、処理膜100を基板Wの上面から剥離することも可能である(処理膜分裂工程、照射剥離工程)。この場合、その後の処理膜除去工程(ステップS4)において、処理膜除去液によって、処理膜100を分裂させる必要も、処理膜100を剥離する必要もない。したがって、処理膜100を溶解させる性質を殆ど有しない処理膜除去液を用いて、基板Wの上面から処理膜100を除去することができる。これにより、処理液および処理膜除去液の組み合わせの選択性が向上される。
【0080】
光照射によって処理膜100が既に剥離されているため、基板Wの上面に沿って流れる処理膜除去液が処理膜100を剥離するほどの大きなエネルギーを処理膜100に与える必要がない。そのため、処理膜除去液によって基板Wの上面から処理膜片110を良好に洗い流すことができる。ひいては、処理膜100の残渣を低減することができる。そのため、残渣溶解工程を省略することができる。
【0081】
さらに、処理膜100を除去する際に、処理膜100が処理膜除去液に晒されている時間を短縮することができる。そのため、処理膜除去液として、処理膜100を多少溶解させるIPA等の有機溶剤や、水と有機溶剤との混合液を用いることが可能である。
上述したように、処理膜100の分裂および剥離は、同時に進行してもよいし、上述の内容とは異なり、処理膜100の分裂の後、光の照射を継続することで、処理膜片110が基板Wから剥離されてもよい。
【0082】
上述の実施形態とは異なり、処理液に溶質として含有されるポリマーは、光が照射されることによって分解される第2ポリマーであってもよい。この場合、第2ポリマーの存在によって一体となっていた処理膜100が、第2ポリマーの分解に起因して、その形状を保つことができなくなり分裂される。したがって、処理膜除去液の供給前に処理膜100を分裂させることができる。
【0083】
具体的には、第2ポリマーの分子内の共有結合の一部(たとえば、C-O結合やC-C結合)が切断されることによって第2ポリマーが分解される。第2ポリマーは、ポリイソプレン、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリエチレンテレフタレート等である。
第2ポリマーとしては、これらのポリマー以外にも、たとえば、図9Aに示すように、分子内にC-O結合を有するポリマー250を用いることができる。図9Aは、ポリマー250について説明するための模式図である。ポリマー250において、RおよびRは、炭化水素基である。以下では、RおよびRをまとめて炭化水素基Rと表現することがある。
【0084】
ポリマー250のC-O結合は、紫外光によって切断される。ポリマー250に照射される紫外光の波長は、339nmよりも大きく374nm以下であることが好ましい。そうであれば、C-O結合を選択的に切断することができる。紫外光の波長は、374nmであることが一層好ましい。
図9Bは、ポリマー250の分解のメカニズムについて説明するための模式図である。図9Bに示すように、紫外光でC-O結合が切断されると、ポリマー250内の炭化水素基(RH)がラジカル(R・)に変化する。そしてラジカル(R・)と雰囲気中の酸素とが反応してオキシラジカル(ROO・)が形成される。そして、オキシラジカル(ROO・)が新たな炭化水素基(RH)から水素原子を引き抜き、ラジカル(R・)およびハイドロパーオキサイド(ROOH)が形成される。このように、ポリマー250のC-O結合の切断によって、末端に親水基(-COOH)を有する分解物(R-COOH)が形成されるため、処理膜の親水性が向上される。
【0085】
図9Cは、第2ポリマーを含有する処理膜100が除去対象物105を保持する様子について説明するための模式図である。基板Wの上面に付着している除去対象物105は、疎水性である。そのため、図9Cに示すように、ポリマー250は、基板Wの上面に付着している除去対象物105の周囲を炭化水素基Rで取り囲むことによって除去対象物105を保持している。処理膜100に光が照射されることによって、炭化水素基Rによって除去対象物105を取り囲んだまま、炭化水素基Rよりも外側のみにおいてC-O結合が切断される。たとえば、図9Cに示す切断位置CPでポリマー250が切断される。
【0086】
ポリマー250の分解によって、末端に親水基(-COOH)が結合された炭化水素化合物からなる分解物251が形成される。分解物251が形成された後においても、炭化水素基Rは、基板Wの上面に付着している除去対象物105を取り囲んだ状態を維持する。そのため、除去対象物105よりも大きい処理膜片110を形成することができる。これにより、処理膜片110によって除去対象物105を強固に保持することができる。
【0087】
また、分解物251中の末端には親水基が結合されているため、処理膜片110は、水を含有する処理膜除去液によって洗い流されやすい。
想定される除去対象物105の大きさ(たとえば、10nm)よりも炭化水素基Rが長くなるようにポリマー250を設計しておけば、分解物251によって除去対象物105を強固に保持することができる。
【0088】
照射する光の強度及び時間を調整することにより、切断の対象とする共有結合の切断の度合を制御することができる。
処理液に含有される溶質として第2ポリマーを用いた場合にも、図5に示す基板処理を実行することができる。
光照射ユニット8から発せられる光によって第2ポリマー同士を架橋させる架橋剤が処理液に含有されている場合には、図10Aおよび図10Bに示すように、光照射ユニット8から発せられる光照射によって、処理液の液膜101を硬化させることができる。
【0089】
図10Aおよび図10Bは、基板処理の変形例における処理膜形成工程(ステップS2)の様子を説明するための模式図である。この基板処理では、基板Wへの処理液の供給が停止された後、対向部材6を処理位置に配置し、複数のランプ80を通電させる。これにより、図10Aに示すように液膜101に対して光が照射される。光照射によって、液膜101中の第2ポリマーと架橋剤とが反応して、第2ポリマー同士が架橋される(光架橋工程)。架橋剤としては、たとえば、ピレンやアントラセンを用いることができる。第2ポリマー同士が架橋されることによって、図10Bに示すように、第2ポリマーが硬化され、基板W上の液膜101が固形の処理膜100に変化する。この場合、光照射ユニット8は、処理膜形成ユニットとして機能する。
【0090】
この方法によれば、架橋剤によって第2ポリマー同士を架橋させることで第2ポリマーが硬化される。これにより、第2ポリマーを架橋しない場合と比較して、処理膜100の硬度を高くすることができる。処理膜100の硬度を高くすることによって、処理膜100によって除去対象物105を強固に保持することができる。そのため、処理膜片110とともに除去対象物105を基板W外に排除することができる。したがって、基板Wの上面から除去対象物105を良好に除去することができる。
【0091】
次に、図11および図12を用いて、光照射ユニット8の変形例について説明する。図11は、光照射ユニット8の第1変形例について説明するための模式図である。図12は、光照射ユニット8の第2変形例について説明するための模式図である。
たとえば、図11に示す第1変形例のように、光照射ユニット8は、チャンバ4内に設けられたランプ移動ユニット86によって、照射位置とホーム位置(退避位置)との間で移動するように構成されていてもよい。
【0092】
照射位置は、基板Wの上面に光照射ユニット8が対向する位置である。照射位置は、光照射ユニット8から基板Wの上面への光の照射が可能な位置である。退避位置は、光照射ユニット8から基板Wの上面へ光が照射されない位置である。光照射ユニット8は、照射位置に位置するときに、光照射ユニット8が基板Wの上面に対向する。光照射ユニット8は、ホーム位置に位置するとき、基板Wの上面には対向せず、平面視において、処理カップ7の外方に位置する。
【0093】
図11に示す構成では、光照射ユニット8は、ランプ80と、ランプ80を収容するランプホルダ81とを含む。ランプ移動ユニット86は、ランプホルダ81を支持するアーム87と、アーム87に接続され鉛直に延びる回動軸89と、回動軸89を介してアーム87を移動させるアーム移動ユニット88とを含む。アーム移動ユニット88は、たとえば、アーム87を水平移動させるために回動軸89をその中心軸線(回動軸線A2)まわりに回転させるモータと、回動軸89とともにアーム87を昇降させるボールねじ機構とを含む。
【0094】
第1変形例では、基板Wの上面に対して平行な方向に光照射ユニット8を移動させながら、基板Wの上面に光を照射することができる。
図12に示す第2変形例では、ランプ80は、直線状に延びるアーム87内に配置された棒状である。この場合、図11に示す第1変形例よりも広範囲に光を照射することができる。
【0095】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る基板処理装置1Pが、第1実施形態に係る基板処理装置1と主に異なる点は、基板処理装置1Pが、液体を用いた液処理と、光の照射とを別々の処理ユニットで行うように構成されている点である。
図13は、第2実施形態に係る基板処理装置1Pに備えられるウェット処理ユニット2Wの構成について説明するための模式図である。図14は、第2実施形態に係る基板処理装置1Pに備えられるドライ処理ユニット2Dの構成について説明するための模式図である。図13に示すように、ウェット処理ユニット2Wが第1実施形態に係る処理ユニット2と異なる点は、光照射ユニット8が設けられていない点である。
【0096】
図14を参照して、ドライ処理ユニット2Dは、チャンバ300と、基板保持台301と、光照射ユニット8Pと、マスク載置ユニット302とを含む。
チャンバ300は、基板保持台301と光照射ユニット8Pとを収容している。チャンバ300には、搬送ロボットCRによって、基板Wを搬入したり基板Wを搬出したりするための出入口300aが形成されている。チャンバ300には、この出入口300aを開閉するシャッタユニット300bが備えられている。チャンバ300には、上面に処理膜100が形成された基板Wが搬入される。
【0097】
基板保持台301は、水平なステージ面301a(上面)を有する。基板保持台301は、ステージ面301aに載置される基板Wを保持する。
光照射ユニット8Pは、光発生部310と、光路調整部311と、光走査部312とを含む。光発生部310は、たとえば、半導体レーザー、ガスレーザーのような光源を有し、光ビームLを出射する。光ビームLとしては、たとえば、紫外線が用いられる。
【0098】
光路調整部311は、光発生部310から出射される光を光走査部312に案内する。光路調整部311は、たとえば、反射ミラーを含む。光走査部312は、光路調整部311を介して光発生部310から入射する光ビームLの光路を変化させる。光走査部312は、基板保持台301に保持される基板Wへの光ビームLの入射位置を刻々と変化させる。これにより、基板W上の処理膜100の全体に光が照射される。
【0099】
マスク載置ユニット302は、光走査部312と基板保持台301との間に配置されている。マスク載置ユニット302には、基板Wの上面に形成された凹凸パターンに対応したフォトマスク303が載置される。マスク載置ユニット302にフォトマスク303が載置された状態で光照射ユニット8Pから光が照射されることによって、光走査部312から基板Wへ向かう光ビームLが部分的に遮蔽され、基板W上の処理膜がフォトマスク303からのマスクパターンに応じて露光される。なお、レーザービームのような光ビームLを走査する態様に代えて、より広い断面積を有する光束を出射する光源からの光をフォトマスク303全体に入射させて、処理膜100を一括露光する構成であってもよい。
【0100】
第2実施形態に係る基板処理は、第1実施形態に係る基板処理(図5を参照)と同様である。第2実施形態に係る基板処理では、処理液供給工程(ステップS1)および処理膜形成工程(ステップS2)が、ウェット処理ユニット2W内で行われた後、処理膜100が形成された基板Wがドライ処理ユニット2Dに搬送される。ドライ処理ユニット2D内で光照射工程(ステップS3)が実行された後、基板Wがウェット処理ユニット2Wに搬送される。そして、ウェット処理ユニット2W内で処理膜除去工程(ステップS4)~スピンドライ工程(ステップS6)が実行される。
【0101】
図15A図15Dは、第2実施形態に係る基板処理中の基板Wの上面付近の様子を説明するための模式図である。
図15Aに示すように、第2実施形態に係る基板処理に用いられる基板Wの表層には、微細な凹凸パターン160が形成されていてもよい。凹凸パターン160は、基板Wの表面に形成された微細な凸状の構造体161と、隣接する構造体161の間に形成された凹部(溝)162とを含む。
【0102】
凹凸パターン160の表面、すなわち、構造体161(凸部)および凹部162の表面は、凹凸のあるパターン面165を形成している。パターン面165は、基板Wの表面に含まれる。構造体161の表面161aは、先端面161b(頂部)および側面161cによって構成されており、凹部162の表面は、底面162a(底部)によって構成されている。構造体161が筒状である場合には、その内方に凹部が形成されることになる。
【0103】
構造体161は、絶縁体膜を含んでいてもよいし、導体膜を含んでいてもよい。また、構造体161は、複数の膜を積層した積層膜であってもよい。
処理膜形成工程(ステップS2)において形成された処理膜100は、図15Aに示すように、基板Wの表層部150に付着している除去対象物105を保持している。処理膜100は、主にポリマーによって形成されている。処理膜100は、溶媒の少なくとも一部が蒸発することによって、固体状態になっている。
【0104】
次に、図15Bを参照して、処理膜100には、フォトマスク303を介して、光が照射される。図15Bでは、処理膜100において構造体161の先端面161bに形成されている部分が、フォトマスク303よって遮蔽される。すなわち、処理膜100において構造体161の先端面161bに形成されている部分が、非露光部分100Aである。そのため、処理膜100において構造体161の間に位置する部分のみが露光される。処理膜100において構造体161の間に位置する部分が露光部分100Bである。
【0105】
フォトマスク303を用いた光照射によって、処理膜100の露光部分100Bのみが分裂される(処理膜分裂工程、光照射工程)。処理膜100の露光部分100Bは、分裂されることによって膜片状となる。すなわち、露光部分100Bには、処理膜100の膜片(処理膜片110)が形成される(処理膜片分裂工程)。
次に、図15Cを参照して、処理膜100が分裂された後、基板Wの上面に処理膜除去液が供給される。処理膜100の表面に着液した処理膜除去液は、処理膜片110同士の間の隙間G1を介して、処理膜片110と基板Wとの界面に達する。
【0106】
基板Wの上面付近まで到達した処理膜除去液は、処理膜片110において基板Wの上面付近の部分を僅かに溶解させる。これにより、図15Cの拡大図に示すように、処理膜除去液が、基板Wの上面付近の固体状態の処理膜片110を徐々に溶解させながら、処理膜片110と基板Wの上面との間の隙間G2に進入していく(除去液進入工程)。これにより、図15Dに示すように、処理膜片110が基板Wの上面から剥離される(処理膜剥離工程、膜片剥離工程)。
【0107】
処理膜除去液の供給を継続することによって、処理膜100の露光部分100Bのみが除去される。露光部分100Bは、除去対象物105を保持している状態で、処理膜除去液によって洗い流される。言い換えると、除去対象物105を保持する処理膜片110が基板W外に押し出されて基板Wの上面から排除される(処理膜排除工程、除去対象物排除工程)。これにより、基板Wの上面を良好に洗浄することができる。
【0108】
一方、処理膜100の非露光部分100Aは、光照射によって分裂されていないため、処理膜除去液によって剥離されない。非露光部分100Aは、保護膜として、パターン面165に残存する。そのため、パターン面165において保護膜によって被覆されている部分の酸化を抑制できる。
基板Wの上面において露光を避けたいが、その後の処理を基板Wの上面全体に行う場合も想定し得る。そのような場合には、図16に示すように、フォトマスク303を用いた光照射の後に、処理膜除去液によって、非露光部分100Aおよび露光部分100Bの両方を除去してもよい。
【0109】
第2実施形態とは異なり、処理膜を分裂させるために液体を供給する方法であれば、処理膜の一部のみを分裂させることは困難である。
第2実施形態によれば、光照射工程が、フォトマスク303を介して、基板Wの上面に向けて光を照射する工程を含む。そのため、処理膜100は、フォトマスク303のマスクパターンに応じて露光されるので、処理膜100の一部にのみ光を照射することができる。たとえば、基板Wの上面において露光を避けたい部分が存在する場合や、処理膜100を保護膜として部分的に基板W上に残存させたい場合に有用である。
第2実施形態においても、処理膜100に対する光の照射によって処理膜100の分裂だけでなく処理膜100の剥離が起こってもよい。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0110】
<第3実施形態>
図17は、第3実施形態に係る基板処理装置1Qの構成について説明するための模式図である。第3実施形態に係る基板処理装置1Qが第1実施形態に係る基板処理装置1と主に異なる点は、基板処理装置1Qが、処理膜100の形成と処理膜100の除去とを、別々のチャンバ4A,4B内で行うように構成されている点である。
【0111】
基板処理装置1Qは、処理膜100を形成する膜形成処理ユニット2Aと、処理膜100を除去する膜除去処理ユニット2Bとを含む。
膜形成処理ユニット2Aは、基板Wを水平に保持した状態で基板Wを回転させるスピンチャック5Aと、基板Wの上面に処理液を供給する第1移動ノズル9と、スピンチャック5Aおよび第1移動ノズル9を収容するチャンバ4Aとを含む。スピンチャック5Aは、スピンチャック5と同様の構成である。
【0112】
チャンバ4Aには、搬送ロボットCRによって、基板Wを搬入したり基板Wを搬出したりするための出入口4Aaが形成されている。チャンバ4Aには、この出入口4Aaを開閉するシャッタユニット4Abが備えられている。
膜形成処理ユニット2Aは、チャンバ4Aの出入口4Aaを通過する基板Wに対して光を照射する光照射ユニット8をさらに含む。光照射ユニット8は、たとえば、赤外線、紫外線、可視光等を発するランプ(光源)を含む。光照射ユニット8は、チャンバ4Aの側壁に取り付けられている。
【0113】
膜除去処理ユニット2Bは、基板Wを水平に保持した状態で基板Wを回転させるスピンチャック5Bと、基板Wの上面に剥離液を供給する第2移動ノズル10と、基板Wの上面にリンス液を供給する第3移動ノズル11と、スピンチャック5B、第2移動ノズル10および第3移動ノズル11を収容するチャンバ4Bとを含む。スピンチャック5Bは、スピンチャック5と同様の構成である。
【0114】
チャンバ4Bには、搬送ロボットCRによって、基板Wを搬入したり基板Wを搬出したりするための出入口4Baが形成されている。チャンバ4Bには、この出入口4Baを開閉するシャッタユニット4Bbが備えられている。
第3実施形態に係る基板処理装置1Qによる基板処理では、搬送ロボットCRによって基板Wが膜形成処理ユニット2Aのチャンバ4A内に搬入された後、チャンバ4A内で、図5に示す処理液供給工程(ステップS1)および処理膜形成工程(ステップS2)が実行される。処理液供給工程および処理膜形成工程の実行中、基板Wは、チャンバ4A内のスピンチャック5Aに保持される(第1基板保持工程)。
【0115】
その後、上面に処理液の液膜101が形成された基板Wが、図17に示すように、搬送ロボットCRによって、膜形成処理ユニット2Aのチャンバ4Aから搬出される(搬出工程)。基板Wがチャンバ4Aの出入口4Aaを通過する際、光照射ユニット8によって処理膜100に光が照射されて処理膜100が分裂する。すなわち、搬出工程中に光照射工程(ステップS3)が実行される。基板Wは、処理膜100が分裂された状態で、膜除去処理ユニット2Bのチャンバ4Bに搬入される(搬入工程)。搬送ロボットCRは、搬送ユニットの一例である。
【0116】
そして、チャンバ4B内で、処理膜除去工程(ステップS4)、残渣溶解工程(ステップS5)およびスピンドライ工程(ステップS6)が実行される。つまり、処理膜除去工程(ステップS4)の開始からスピンドライ工程(ステップS6)の終了までの間、基板Wは、チャンバ4B内のスピンチャック5Bに保持される(第2基板保持工程)。
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。さらに、第3実施形態によれば、処理膜100の形成と処理膜100の除去とが別々のチャンバ4A,4B内で行われる構成において、基板Wの搬送中に処理膜100を分裂さることができる(処理膜分裂工程)。そのため、基板処理に要する時間を短縮できる。
図17には図示されていないが、膜形成処理ユニット2Aおよび膜除去処理ユニット2Bには、処理カップ7(図2を参照)が設けられていてもよい。
【0117】
<その他の実施形態>
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、さらに他の形態で実施することができる。
たとえば、処理液には、溶質として、第1ポリマーおよび第2ポリマーの両方が含有されていてもよい。この場合であっても、光照射によって、処理膜を分解することができる。
上述の実施形態において、各処理流体は、移動ノズルから吐出される。しかしながら、各処理流体がスピンチャック5に対する位置が固定された固定ノズルから吐出されるように構成されていてもよい。
【0118】
スピンチャック5は、複数のチャックピン20を基板Wの周端面に接触させる挟持式のチャックに限らず、基板Wの下面をスピンベース21の上面に吸着させることにより基板Wを水平に保持するバキューム式のチャックであってもよい。
上述の実施形態では、光照射によって処理膜100が基板W上で分裂される。しかしながら、光照射によって処理膜100が溶解、溶融、または分解される基板処理が実行されてもよい。
【0119】
この明細書において、「~」または「-」を用いて数値範囲を示した場合、特に限定されて言及されない限り、これらは両方の端点を含み、単位は共通する。
その他、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0120】
1 :基板処理装置
1P :基板処理装置
1Q :基板処理装置
3 :コントローラ
8 :光照射ユニット(処理膜形成ユニット)
8P :光照射ユニット
9 :第1移動ノズル(処理液供給ユニット)
10 :第2移動ノズル(処理膜除去液供給ユニット)
23 :スピンモータ(処理膜形成ユニット)
100 :処理膜
105 :除去対象物
110 :処理膜片
200 :ポリマー(第1ポリマー)
201 :主鎖
202 :側鎖
250 :ポリマー(第2ポリマー)
251 :分解物
303 :フォトマスク
W :基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図16
図17