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特許7596099CO2圧力下でのアルカリ工業廃水の最適化した軟化方法
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  • 特許-CO2圧力下でのアルカリ工業廃水の最適化した軟化方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】CO2圧力下でのアルカリ工業廃水の最適化した軟化方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/30 20060101AFI20241202BHJP
   C01F 11/18 20060101ALI20241202BHJP
   B01D 21/00 20060101ALI20241202BHJP
   B01D 21/24 20060101ALI20241202BHJP
   C02F 1/66 20230101ALI20241202BHJP
   C02F 1/58 20230101ALI20241202BHJP
【FI】
B01D21/30 A
C01F11/18 B
B01D21/00 G
B01D21/24 W
C02F1/66 510R
C02F1/66 522B
C02F1/66 530L
C02F1/66 530C
C02F1/66 530P
C02F1/66 540Z
C02F1/58 J
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020150396
(22)【出願日】2020-09-08
(65)【公開番号】P2021053630
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】1909926
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ アルバン
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク ブラス
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ カンポ
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第02809718(FR,A1)
【文献】特開2001-170659(JP,A)
【文献】特表平05-508144(JP,A)
【文献】特表2021-526449(JP,A)
【文献】米国特許第05240600(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0265387(US,A1)
【文献】特表2020-524103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/00 -21/34
C02F 1/58 -1/68
C01F 1/00 -17/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業廃水からカルシウムを全て又は一部除去する目的でカルシウムが含まれた工業廃水を処理する方法であって、以下の方策を講じることを含む、方法:
沈殿槽(12)を備えたゾーンへと処理される廃水(10)を導き、
前記沈殿槽の出口で取り出される部分、該沈殿槽から出る流れの3%~25%の部分、2バール~15バールの圧力で高圧ポンプ(9)の下流で取り出される部分である前記廃水の一部を分流ラインへと分流し(13)、
分流した流れへのCO気体の少なくとも1回の注入(15)を行い、4~6.8に及ぶ範囲内への分流した流れのpHの低下をもたらし、
このようにして処理された分流した流れを初期廃水へと戻してから、前記沈殿槽にて、又は沈殿槽本体へと到達する配置をとる。
【請求項2】
前記分流ラインへ分流される前記廃水の一部が、前記沈殿槽から出る流れの5%~10%の部分であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高圧ポンプの前記圧力が、3バール~10バールであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記高圧ポンプの前記圧力が、8バール~10バールであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記分流した流れの前記pHの低下が、4.5~6に及ぶ範囲内であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
分流した流れへのCOの第1の注入、及び該第1の注入の上流での分流した流れへの第2の注入が行われることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の注入が、前記第1の注における点のデスケーリングを可能にするために、
COの逐次又は不定期注入であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の注入が連続して、又は少なくとも3回/時間に及ぶ頻度で逐次に行われることを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の注入が逐次に行われ、頻度が1日に1回~20回であることを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の注入における前記頻度が1日に1回~4回であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記分流ラインが2つの並行ラインの形で2つに分かれたラインであることを特徴とする、請求項6~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記分流ラインが2つの並行ラインの形で2つに分かれたラインにおいて、第1のラインをメンテナンスする場合に使用するために、第2のラインを予備として残しておくことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高アルカリ性の廃水を中和及び/又は軟化する、すなわち存在するカルシウム塩を完全又は部分的に除去する目的での高アルカリ性の廃水の軟化の分野に関するものである。この課題は、特に鉄鋼産業において見られるが、他の産業にも影響を及ぼす場合があり、一部の採鉱廃水により生じる水性液(aqueous liquors)の処理の場合に特に言及することができる。
【背景技術】
【0002】
例として、COを用いてアルカリ溶液に含まれるカルシウム(例えば、石灰で処理した場合、すなわち消石灰CaOH又は生石灰CaOの添加による)を析出させる原理がよく知られている。
【0003】
この原理では、沈降炭酸カルシウム(「PCC」としても知られている)の粒子は、石灰石の脱炭酸の第一段階、例えば(生石灰CaO及びCOの生成)、それに続く水和(消石灰Ca(OH)が生成する)、最終的にはこのプロセス終わりの炭酸化、すなわち形成されるCaCO粒子の析出により製造される。このプロセスにより、例えば、製紙パルプの分野にて非常に有用であることが判明している高品質粒子(較正済み、精製済み等)を得ることが可能である。
【0004】
溶解アルミニウムを大量に含む水性液でも同じことがいえる。両者の大きな違いは、アルミニウム又はカルシウムを含有する分子の平衡/形態が異なることに起因する。溶解アルミニウムの場合、pHを下げることにより対象物が析出する(水酸化アルミニウムAl(OH)を形成する)傾向があるのに対し、カルシウムの場合、pHを上げることが推奨される(炭酸イオンCO 2-が形成される)。
【発明の概要】
【0005】
このため、本発明の文脈では、大部分が溶解されていることが多い、カルシウム(使用される用語は硬度である)、又はマグネシウムを大量に含む廃水(カルシウムを含有する粒子の懸濁液も観察することができる)の処理に関心を向ける。これらの廃水は、特に鉄鋼産業により生じる可能性がある。
【0006】
炭酸イオンを添加することによりカルシウムを沈降させることが知られており、これらは、どんな形であってもよく、例えば、鉄鋼産業にて従来見られる廃水である十分にアルカリ性の廃水(例えば、pH 12~12.5)にCOを注入することによるものである。このpHでは、吸収されたCOは炭酸イオンの形態であり、カルシウムの存在下では、炭酸カルシウムの形で析出する。最適なpH域は、10~14、好ましくは10.3~12である。
【0007】
水酸化ナトリウムとCOとを混合することにより、炭酸塩を得ることができ、炭酸塩は、用いる用量に応じて、最終pHを上げる場合がある。この目的は、炭酸塩形態に維持させるために、10.3より大きいpH範囲を保ちながら炭酸塩を媒体に付与することである。
【0008】
それにも関わらず、COの直接注入、したがって高アルカリ性の廃水にCOを接触させることは、依然として困難である。これは、注入点においてCOが高濃度の炭酸イオンをもたらすためである。これらの炭酸イオンが、存在するカルシウムイオンと結び付き、注入装置にて析出を起こす。炭酸カルシウムの形成が、その形成中に強く被覆を生じ
(encrusting)、急速に注入システムを塞ぎ、注入システムを完全に遮断するまでその性能品質を低下させる。COの直接付加のこの不利点を克服するため、炭酸水素ナトリウム(HCO )又は炭酸塩の溶液の注入が採用されることが非常に多い。
【0009】
しかしながら、この解決策、すなわち炭酸水素イオン又は炭酸イオンの溶液を得るために、水酸化ナトリウム型のアルカリ溶液にCOを注入することには、下記の不利点がある:
水及び塩基、例えば水酸化ナトリウム(そのコストは高い)の両方が消費され、
廃水に更なる塩分が導入される(例えば、水酸化ナトリウムを使用することにより、ナトリウム塩が生成される)。
【0010】
カルシウムイオン又は同等のイオンが含まれたアルカリ廃水へのCOの直接注入に関して、残念なことに、この操作は、以下の理由から実施困難であることが判明している:
廃水(液体)と気体(CO)との均質化又は混合が簡単ではない、すなわち直ぐにはできない。その結果、廃水と気体との間の界面をなす注入ゾーン(例えば、注入装置又は簡単な穴の空いた管に関わらず)では、大量の析出物が非常に急速に生じ、この析出物が除去困難な遮断を生じることが判明しており、例えば停止、及び強酸を用いた剥離が必要となる。
さらに、形成される粒子は、後の再溶解にかなりの抵抗性があり、再溶解が困難であることが判明している。このため、この粒子により、注入点の下流にて遮断が生じることが多い。
さらに、全く同一のゾーン、全く同一の装置又はパイプラインにて異なる段階が実施されることが多く、各段階に要求される条件が異なるものとなる。
【0011】
このため、まとめると、上記で触れた要素を考慮して、COの注入操作は、実施が非常に困難である場合があり、実際には実質的に不可能であることさえあり、結果として当業者はその適用を断念することになる。
【0012】
本出願企業は、仏国特許出願第1854872号においてこれらの課題に対する非常に有益な解決策を提供している。この出願によると、廃水の一部を、処理済み廃水をこのプロセス又は他の場所に戻すために、処理済み廃水用の存在し得る(possible)(但し、存在するのが一般的である)加速ポンプの上流の沈殿槽の出口で取り出し、次いで大気圧で、ポンプを用いて廃水をゾーン/リアクタへと移動させる。そのゾーンには、通例1バール~3バールにてCOを溶解させることを可能にする再循環ループが備わっている。
【0013】
次いで、COが多く含まれたこの溶液の一部を取り出し、デカンタの上部にて初期廃水と混合する。
【0014】
換言すると、上述の文献には、工業廃水からカルシウム及び/又はマグネシウムを全て又は一部除去する目的で、カルシウム及び/又はマグネシウムが含まれた工業廃水を処理する方法が記載されており、この方法は、以下の方策(measures)を講じることを含む:
炭酸塩の形態でのカルシウム又はマグネシウムの析出を促進し、それによりその除去が促されるように、pHが優先的に10~12に保たれている第1のゾーンへと処理される廃水を導き、
タンクを有する第2のゾーンを利用可能にし、
ゾーン1に位置する媒体の一部がゾーン2へと再循環した後、そこからゾーン1へと媒体が戻る配置をとり、
タンクから液を取り出すとともに、液をタンクへと戻すことを可能にする第2のループ、及び更にはループ内で循環する液にCO気体を注入することを可能にする手段を利用可能にし、
ゾーン1にて形成される固体粒子を分離し、排出する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】カルシウム及び/又はマグネシウムが含まれた工業廃水を処理する従来の方法を示す模式図。
図2】圧力及び初期廃水に含まれる水酸化ナトリウムの濃度を関数としてCOによる廃水の飽和状態にて達成することができるpHを示す図。
図3】本発明の実施に適した工場の一部分を示す模式図。
図4】本発明の別の実施形態における、分流ライン及び2つの注入点を2つの並行ラインの形で二重にすることを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付の図1に、この従来の解決策の主な要素を示している:
1:処理される初期廃水
2:デカンタ(第1のゾーン)
3:第2のゾーンに廃水を送るためのデカンタからの廃水の一部の取り出し
4:ポンプ
5:第2のゾーンのタンク
6:第2のゾーンに備えられた再循環ループ
7:上記ループへのCOの注入
8:デカンタの上部の初期廃水へとCOが含まれた溶液を移動させるためのタンクからのCOが含まれた溶液の取り出し
9:処理済み廃水を(20)部のプロセスに戻すための処理済み廃水用の加速ポンプ。
【0017】
この従来技術の解決策では、カルシウム(2mg/l~300mg/lの濃度範囲が通例であるが、優先的には80mg/l未満の濃度で)を依然として含有する廃水を技術的に許容可能であったとみなすことができ、これは第2の接触ゾーンによるものである。これは、このプロセスでの接触ゾーンが低pH、より正確には5~6.5のpHにあるためである。このpHでは、COの主な形態は、溶解したCO及び炭酸水素イオンである。炭酸イオンの存在は、実質的にゼロであるため、炭酸カルシウムの形成、並びに析出及び遮断のリスクが避けられる。
【0018】
本発明によれば、特に従来技術の解決策を簡略化するために、第2のゾーンにおいて溶解のためのリアクタを用いないという該従来技術の解決策を改善する解決策が提供され、ここでは、COの溶解をインラインで行う提案がなされている。
【0019】
このために、このプロセスで処理された廃水を戻すことを可能にする高圧加速ポンプ(高圧、すなわち通例8バール~10バール)を介して、沈殿槽の出口にて廃水を取り出す/分流する。
【0020】
換言すると、分流した流れ(stream)にCOを注入した直後は、炭酸塩の形成が不可能であるため、パイプラインの閉塞及び注入装置の閉鎖のリスクが大幅に取り除かれた状態である。
【0021】
分流した流れ(flow)における水の高圧(通例8バール~10バール)により、COの溶解を促し、溶解したCOの高い濃度レベルを達成することで、閉塞のリスクが避けられる低pHの状態を達成することが可能になる。
【0022】
添付の図2にて、これを説明することが可能である。この図の曲線1、曲線2及び曲線
3により、圧力及び初期廃水に含まれる水酸化ナトリウムの濃度を関数としてCOによる廃水の飽和状態にて達成することができるpHを示すことが可能である:
曲線1:250mg/lの水酸化ナトリウム溶液(20℃)
曲線2:500mg/lの水酸化ナトリウム溶液(20℃)
曲線3:4000mg/lの水酸化ナトリウム溶液(20℃)
【0023】
ここでは、500mg/lの水酸化ナトリウムを初めに含有している廃水の場合、大気圧で達成することができる最低pHはおよそ5.8である一方、10バールの圧力では、およそ4.8のpHを達成することが可能であるため、閉塞のリスクを減らし、更にはこれまでに形成された炭酸塩の存在し得る沈着物を破壊又は再溶解することを可能にすることが観察される。
【0024】
本発明によれば、上記で触れられた従来技術の解決策とは異なり、「汚染(dirty)」廃水、すなわち依然として高濃度のカルシウムを含有している廃水を回収することはない。これは、高いカルシウム濃度の場合には、急速な閉塞のリスクが多かれ少なかれ存在するためである。
【0025】
低いカルシウム濃度でも、主な注入装置にて緩やかな閉塞が観察される場合があるが、これは第2の注入点を第1の注入点の上流にて用いる本発明の有利な実施形態の1つにより克服することができる。この第2の注入点は、第1の注入点を酸性化することで、必要に応じて閉塞を除くために、COを逐次注入することを可能にする。この第2の注入点は優先的に逐次に、例えば1日に15分使用するため、この第2の注入点の閉塞のリスクは、24時間のうちおよそ15分、すなわちおよそ99%低減する。
【0026】
添付の図3では、本発明の実施に適した工場の部分的な図表示が与えられている:
10:処理される初期廃水
12:沈殿槽
13:沈殿槽からの廃水の一部の取り出し(分流)
9:高圧加速ポンプ
15:取り出された流れを上部の廃水の初期入口へと戻す前における取り出された流れへのCOの1回又は好ましくは複数回の注入。
【0027】
また、本発明は、工業廃水からカルシウムを全て又は一部除去する目的でカルシウムが含まれた工業廃水を処理する方法であって、以下の方策を講じることを含む、方法に関する:
沈殿槽を備えたゾーンへと処理される廃水を導き、
沈殿槽の出口で取り出される部分、沈殿槽から出る流れの3%~25%、好ましくは沈殿槽から出る流れの5%~10%の部分、通例8バール~10バールの圧力で作動する高圧ポンプの下流で取り出される部分である廃水の一部を分流し、
分流した流れへのCO気体の少なくとも1回の注入を行うことで、4~6.8に及ぶ範囲内、好ましくは4.5~6に及ぶ範囲内での分流した流れのpHの低下をもたらし、
このようにして処理された分流した流れを初期廃水へと戻してから、沈殿槽にて、又は沈殿槽本体(proper)へと到達する配置をとる。
【0028】
本発明は、更に有益には、以下の実施形態の1つ以上を採用することができる:
分流した流れに注入されるCOの量は、炭酸塩の形態で、処理される流れの金属、特にカルシウムを析出するための化学量論的要件の80%~100%に寄与することができ、これは処理済みの分流した流れを初期の主な流れに戻した後である。
注入されるCOの最適量は、入口のpHの測定(「処理済みの」分流した流れの再
導入の前又は後の処理される廃水)、又は沈殿槽にて、若しくは沈殿槽の出口の流れにて行われるpH若しくは導電率の測定により調節される。
分流した流れへのCOの注入は、静的ミキサー、若しくは多孔性エレメント、若しくはベンチュリ型のシステム、又はインラインでの気体注入について当業者に既知の他のシステムにより行われる。
分流した流れへのCOの上記(第1の)注入が行われ、分流した流れへの第2の注入点が、例えばCOを逐次に(例えば、1日に15分)又は不定期に(occasionally)注入するため、(第1の)主な注入点を(必要に応じて)デスケーリング(descale)するため、第1の注入点の上流に位置しており、この場合に注入されるCOの流量は、主な注入点にて算出された最小流量と最大流量との間であるのが有益である。
第1の注入が連続して、又は高頻度で、優先的には1時間に数回、例えば少なくとも3回/時間で逐次に行われる。
第2の注入(上流)が逐次に比較的低頻度で、すなわち1日に1回~20回であるが、好ましくは1日に1回~4回で行われる。
【0029】
これは、注入が1日に数時間行われることが通例であることを知った上で、時間とともにシステムの部分的な閉塞のリスクが確かに低くはあるが、存在するためである。主な注入点の上流にCOのための追加の注入点を用いることで、逐次注入(例えば1日に数分、又は更には1週間に1回、又は更には1ヶ月に1回)が可能となり、主な注入点の上流でこのように酸性化された廃水は、主な注入点で起こる可能性のある沈着のリスクを抑えることが可能である。この第2の上流での注入の提案により、アセンブリのメンテナンス頻度を減らすことが可能となり、またそのことが理解される。
【0030】
本発明の別の有益な実施形態によれば、特に工場の完全な利用を可能にするために、分流ライン及び2つの注入点を2つの並行ラインの形で二重にすることが可能である。一方のラインを永続的に使用し、第2のラインは、予備として残しておき、第1のラインをメンテナンスする場合に使用する。
【0031】
添付の図4に、かかる実施形態を示す。
【0032】
工業用途の一例に関して得られた結果を下記に詳細に記載する:
廃水流D(10)に存在するカルシウムを全て(80%~100%)析出するための最小又は化学量論的CO要件の決定:COのX(kg/時間)。
これは、カルシウムを析出させる場合、下記に対応する:
最小CO要件:X=C1×Q/MCa×MCO2/1000(kg/時間)
C1:カルシウム濃度(g/m
Ca:カルシウムのモル質量
CO2:COのモル質量
Q:廃水の流量。
好ましくは沈殿槽の出口で分流される最小廃水流量D’の算出(D’=X/S、式中、Sは、分流ラインに見られる作動条件、すなわち温度及び圧力でのCOの溶解度である)。
【0033】
例として、
廃水の流量Q=2000m/時間
除去されることが望まれるカルシウムの濃度C1 54g/m
時間当たりのCO要件は、X=54/40×44×2000/1000≒120kg/時間である。
沈殿槽の出口での加速ポンプ後の廃水の圧力は、P=8バール(絶対)である。
温度は、T=20℃である。
これらの圧力及び温度条件下でのCOの溶解度は、廃水1m当たり1.7×8=およそ13.6kgのCOを溶解することが可能なものであることが実証される。
【0034】
10m/時間の流量を分流することにより、10×13.6=およそ136kg/時間のCO、すなわち最大要件よりも多い量を溶解するとともに与えることが可能となる。
【0035】
分流したループにおいて常に6.5以下のpHを保つために、8バール(絶対)の圧力で、すなわち最低25kg/時間のCOを注入することが望ましい。
【0036】
このことをまとめると、10m/時間が分流され、そこに最大120kg/時間のCOを注入することで、最大136kg/時間のCOを溶解させることが可能になる。分流した流れを酸性にするためには、25kg/時間の最低量を常に注入する。
図1
図2
図3
図4