(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】電子機器、および制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/65 20230101AFI20241202BHJP
G06F 1/26 20060101ALI20241202BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20241202BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20241202BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20241202BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
H04N23/65 100
G06F1/26 303
G06F1/26 306
G03B17/02
H01M10/44 P
H04N23/63 300
H02J1/00 304E
(21)【出願番号】P 2020162624
(22)【出願日】2020-09-28
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲井 健人
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 毅
(72)【発明者】
【氏名】岩上 卓磨
【審査官】廣田 健介
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-063893(JP,A)
【文献】国際公開第2020/166106(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/40-23/76
G03B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
第1の電源または第2の電源から供給された電力から第1の電圧の電力を生成する第1の電圧変換手段と、
前記第1の電源または前記第2の電源から供給された電力から前記第1の電圧よりも低い第2の電圧の電力を生成する第2の電圧変換手段と、
所定の条件が満たされる第1の場合は、前記第1の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御し、前記第2の電源から供給された電力が第2の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御する制御手段とを有
し、
前記第1の電源は、充電が可能な電池であり、
前記電子機器は、前記電池の電力消費を低減するための所定の設定が可能であり、
前記所定の条件は、前記所定の設定がされていないという条件を含み、
前記制御手段は、前記第2の電源がUSB PD(Power Delivery)規格に準拠しており、かつ、前記所定の条件が満たされていない第2の場合は、前記第2の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段と前記第2の電圧変換手段とに供給されるように制御することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1の場合の方が前記第2の場合よりも低い電圧の電力を前記電子機器に供給するように前記第2の電源を制御することを特徴とする請求項
1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第2の電源が前記電子機器にUSB接続されており、かつ、前記第2の電源がUSB PD規格に準拠していない場合は、前記第2の電源から供給された電力が前記電池に供給されるように制御することを特徴とする請求項1
または2に記載の電子機器。
【請求項4】
電子機器であって、
第1の電源または第2の電源から供給された電力から第1の電圧の電力を生成する第1の電圧変換手段と、
前記第1の電源または前記第2の電源から供給された電力から前記第1の電圧よりも低い第2の電圧の電力を生成する第2の電圧変換手段と、
所定の条件が満たされる第1の場合は、前記第1の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御し、前記第2の電源から供給された電力が第2の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御する制御手段とを有し、
前記所定の条件は、前記第2の電源がUSB PD(Power Delivery)規格のPPS(Programmable Power Supply)に準拠しているという条件を含
み、
前記制御手段は、前記第2の電源がUSB PD規格に準拠しており、かつ、前記所定の条件が満たされていない第2の場合は、前記第2の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段と前記第2の電圧変換手段とに供給されるように制御することを特徴とす
る電子機器。
【請求項5】
電子機器であって、
第1の電源または第2の電源から供給された電力から第1の電圧の電力を生成する第1の電圧変換手段と、
前記第1の電源または前記第2の電源から供給された電力から前記第1の電圧よりも低い第2の電圧の電力を生成する第2の電圧変換手段と、
所定の条件が満たされる第1の場合は、前記第1の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御し、前記第2の電源から供給された電力が第2の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御する制御手段とを有し、
前記電子機器は、消費電力が所定値以上の動作モードである高電力モードを有し、
前記所定の条件は、前記電子機器の動作モードが前記高電力モードであるという条件を含
み、
前記制御手段は、前記第2の電源がUSB PD(Power Delivery)規格に準拠しており、かつ、前記所定の条件が満たされていない第2の場合は、前記第2の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段と前記第2の電圧変換手段とに供給されるように制御することを特徴とす
る電子機器。
【請求項6】
前記高電力モードは、消費電力が前記所定値以上の動画撮影のモードであることを特徴とする請求項
5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1の電源は、充電が可能な電池であり、
前記制御手段は、前記第2の電源が前記電子機器にUSB接続されており、かつ、前記第2の電源がUSB PD規格に準拠していない場合は、前記第2の電源から供給された電力が前記電池に供給されるように制御することを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第1の場合は、第3の電圧の電力が前記第1の電圧変換手段に供給され、前記第3の電圧よりも低い第4の電圧の電力が第2の電圧変換手段に供給されるように制御することを特徴とする請求項1
から7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記制御手段は、前記第2の電源が前記電子機器にUSB接続されていない場合は、前記第1の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段と前記第2の電圧変換手段とに供給されるように制御することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記第1の電圧変換手段は、さらに、前記第1の電圧変換手段に供給される電圧よりも
低い第5の電圧の電力を生成可能であり、
前記第1の電圧変換手段は、前記第1の場合でない場合は、前記第1の電圧変換手段に供給された電力から前記第5の電圧の電力を生成して前記第2の電圧変換手段に出力することを特徴とする請求項1から
9のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項11】
コンデンサ素子およびスイッチ素子を有するスイッチドキャパシタ回路をさらに有し、
前記スイッチドキャパシタ回路は、前記第1の電源または前記第2の電源から前記スイッチドキャパシタ回路に供給された電力の電圧を低下させて前記第2の電圧変換手段に出力することを特徴とする請求項1から
10のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項12】
画像を表示する表示手段をさらに有し、
前記表示手段は、前記第1の場合は、前記電子機器が前記第1の電源から供給された電力を使用していることを示す表示アイテムと、前記電子機器が前記第2の電源から供給された電力を使用していることを示す表示アイテムとを表示することを特徴とする請求項1から
11のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項13】
電子機器の制御方法であって、
第1の電源または第2の電源から供給された電力から第1の電圧の電力を生成することを第1の電圧変換手段に行わせるステップと、
前記第1の電源または前記第2の電源から供給された電力から前記第1の電圧よりも低い第2の電圧の電力を生成することを第2の電圧変換手段に行わせるステップと、
所定の条件が満たされる第1の場合は、前記第1の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御し、前記第2の電源から供給された電力が第2の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御する
制御ステップと
を有
し、
前記第1の電源は、充電が可能な電池であり、
前記電子機器は、前記電池の電力消費を低減するための所定の設定が可能であり、
前記所定の条件は、前記所定の設定がされていないという条件を含み、
前記制御ステップでは、前記第2の電源がUSB PD(Power Delivery)規格に準拠しており、かつ、前記所定の条件が満たされていない第2の場合は、前記第2の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段と前記第2の電圧変換手段とに供給されるように制御することを特徴とする制御方法。
【請求項14】
電子機器の制御方法であって、
第1の電源または第2の電源から供給された電力から第1の電圧の電力を生成することを第1の電圧変換手段に行わせるステップと、
前記第1の電源または前記第2の電源から供給された電力から前記第1の電圧よりも低い第2の電圧の電力を生成することを第2の電圧変換手段に行わせるステップと、
所定の条件が満たされる第1の場合は、前記第1の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御し、前記第2の電源から供給された電力が第2の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御する制御ステップと
を有し、
前記所定の条件は、前記第2の電源がUSB PD(Power Delivery)規格のPPS(Programmable Power Supply)に準拠しているという条件を含み、
前記制御ステップでは、前記第2の電源がUSB PD規格に準拠しており、かつ、前記所定の条件が満たされていない第2の場合は、前記第2の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段と前記第2の電圧変換手段とに供給されるように制御することを特
徴とする制御方法。
【請求項15】
電子機器の制御方法であって、
第1の電源または第2の電源から供給された電力から第1の電圧の電力を生成することを第1の電圧変換手段に行わせるステップと、
前記第1の電源または前記第2の電源から供給された電力から前記第1の電圧よりも低い第2の電圧の電力を生成することを第2の電圧変換手段に行わせるステップと、
所定の条件が満たされる第1の場合は、前記第1の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御し、前記第2の電源から供給された電力が第2の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御する制御ステップと
を有し、
前記電子機器は、消費電力が所定値以上の動作モードである高電力モードを有し、
前記所定の条件は、前記電子機器の動作モードが前記高電力モードであるという条件を含み、
前記制御ステップでは、前記第2の電源がUSB PD(Power Delivery)規格に準拠しており、かつ、前記所定の条件が満たされていない第2の場合は、前記第2の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段と前記第2の電圧変換手段とに供給されるように制御することを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1つの電源から供給される電力から2つの異なる電圧の電力を生成する電子機器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された電子機器では、1つの電源から供給される電力から2つの異なる電圧の電力が生成される。そのため、低電圧の電力と高電圧の電力との電圧の差が大きい場合には、電力変換効率(入力電力に対する出力電力の割合)が悪化することが想定される。電力変換効率が悪化すると、消費電力が増加するため、熱に対する対策が必要になるという課題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、複数の異なる電圧の電力を生成して消費する電子機器の電力変換効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子機器は、第1の電源または第2の電源から供給された電力から第1の電圧の電力を生成する第1の電圧変換手段と、前記第1の電源または前記第2の電源から供給された電力から前記第1の電圧よりも低い第2の電圧の電力を生成する第2の電圧変換手段と、所定の条件が満たされる第1の場合は、前記第1の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御し、前記第2の電源から供給された電力が第2の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御する制御手段とを有し、前記第1の電源は、充電が可能な電池であり、前記電子機器は、前記電
池の電力消費を低減するための所定の設定が可能であり、前記所定の条件は、前記所定の設定がされていないという条件を含み、前記制御手段は、前記第2の電源がUSB PD(Power Delivery)規格に準拠しており、かつ、前記所定の条件が満たされていない第2の場合は、前記第2の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段と前記第2の電圧変換手段とに供給されるように制御する。
本発明に係る電子機器は、第1の電源または第2の電源から供給された電力から第1の電圧の電力を生成する第1の電圧変換手段と、前記第1の電源または前記第2の電源から供給された電力から前記第1の電圧よりも低い第2の電圧の電力を生成する第2の電圧変換手段と、所定の条件が満たされる第1の場合は、前記第1の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御し、前記第2の電源から供給された電力が第2の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御する制御手段とを有し、前記所定の条件は、前記第2の電源がUSB PD(Power Delivery)規格のPPS(Programmable Power Supply)に準拠しているという条件を含み、前記制御手段は、前記第2の電源がUSB PD規格に準拠しており、かつ、前記所定の条件が満たされていない第2の場合は、前記第2の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段と前記第2の電圧変換手段とに供給されるように制御する。
本発明に係る電子機器は、第1の電源または第2の電源から供給された電力から第1の電圧の電力を生成する第1の電圧変換手段と、前記第1の電源または前記第2の電源から供給された電力から前記第1の電圧よりも低い第2の電圧の電力を生成する第2の電圧変換手段と、所定の条件が満たされる第1の場合は、前記第1の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御し、前記第2の電源から供給された電力が第2の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御する制御手段とを有し、前記電子機器は、消費電力が所定値以上の動作モードである高電力モードを有し、前記所定の条件は、前記電子機器の動作モードが前記高電力モードであるという条件を含み、前記制御手段は、前記第2の電源がUSB PD(Power Delivery)規格に準拠しており、かつ、前記所定の条件が満たされていない第2の場合は、前記第2の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段と前記第2の電圧変換手段とに供給されるように制御する。
本発明に係る制御方法は、電子機器の制御方法であって、第1の電源または第2の電源から供給された電力から第1の電圧の電力を生成することを第1の電圧変換手段に行わせるステップと、前記第1の電源または前記第2の電源から供給された電力から前記第1の電圧よりも低い第2の電圧の電力を生成することを第2の電圧変換手段に行わせるステップと、所定の条件が満たされる第1の場合は、前記第1の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御し、前記第2の電源から供給された電力が第2の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御する制御ステップとを有し、前記第1の電源は、充電が可能な電池であり、前記電子機器は、前記電池の電力消費を低減するための所定の設定が可能であり、前記所定の条件は、前記所定の設定がされていないという条件を含み、前記制御ステップでは、前記第2の電源がUSB
PD(Power Delivery)規格に準拠しており、かつ、前記所定の条件が満たされていない第2の場合は、前記第2の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段と前記第2の電圧変換手段とに供給されるように制御する。
本発明に係る制御方法は、電子機器の制御方法であって、第1の電源または第2の電源から供給された電力から第1の電圧の電力を生成することを第1の電圧変換手段に行わせるステップと、前記第1の電源または前記第2の電源から供給された電力から前記第1の電圧よりも低い第2の電圧の電力を生成することを第2の電圧変換手段に行わせるステップと、所定の条件が満たされる第1の場合は、前記第1の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御し、前記第2の電源から供給された電力が第2の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御する制御ステップとを有し、前記所定の条件は、前記第2の電源がUSB PD(Power De
livery)規格のPPS(Programmable Power Supply)に準拠しているという条件を含み、前記制御ステップでは、前記第2の電源がUSB PD規格に準拠しており、かつ、前記所定の条件が満たされていない第2の場合は、前記第2の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段と前記第2の電圧変換手段とに供給されるように制御する。
本発明に係る制御方法は、電子機器の制御方法であって、第1の電源または第2の電源から供給された電力から第1の電圧の電力を生成することを第1の電圧変換手段に行わせるステップと、前記第1の電源または前記第2の電源から供給された電力から前記第1の電圧よりも低い第2の電圧の電力を生成することを第2の電圧変換手段に行わせるステップと、所定の条件が満たされる第1の場合は、前記第1の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御し、前記第2の電源から供給された電力が第2の電圧変換手段に供給されるようにするための処理を制御する制御ステップとを有し、前記電子機器は、消費電力が所定値以上の動作モードである高電力モードを有し、前記所定の条件は、前記電子機器の動作モードが前記高電力モードであるという条件を含み、前記制御ステップでは、前記第2の電源がUSB PD(Power Delivery)規格に準拠しており、かつ、前記所定の条件が満たされていない第2の場合は、前記第2の電源から供給された電力が前記第1の電圧変換手段と前記第2の電圧変換手段とに供給されるように制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の異なる電圧の電力を生成して消費する電子機器の電力変換効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1における電子機器100の構成要素を説明するための図である。
【
図2】実施形態1における電子機器100の外観を説明するための図である。
【
図3】実施形態1におけるLCD160の表示例を説明するための図である。
【
図4】実施形態1における電力制御処理を説明するためのフローチャートである。
【
図5】実施形態1における電力の流れを説明するための図である。
【
図6】実施形態1における電力の流れを説明するための図である。
【
図7】実施形態2における電子機器500の構成要素を説明するための図である。
【
図8】実施形態2における電力制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
[実施形態1]
以下、実施形態1における電子機器100について説明する。電子機器100は、高電圧の電力を供給する電池140と、低電圧の電力を供給する電源150とに接続可能である。電子機器100は、所定の場合には、高電圧の電力を生成する昇圧変換部103aに電池140から供給される電力を供給し、低電圧の電力を生成する降圧変換部104に電源150から供給される電力を供給する。これにより、昇圧変換部103aと降圧変換部104において入力電圧と出力電圧との差を小さくすることができるので、電力変換効率(入力電力に対する出力電力の割合)が向上できる。
【0011】
次に、
図1Aを参照して、実施形態1における電子機器100の構成要素を説明する。電子機器100は、撮像装置(例えば、デジタルカメラ)として動作可能である。ただし、電子機器100は、PC、スマートフォン、またはタブレット端末として動作可能であってもよい。電子機器100は、コネクタ101、電圧回路102、昇圧変換部103a、降圧変換部104、高電圧回路105、低電圧回路106、充電制御部110、制御部130、電池140、電源スイッチ120~125を有する。電子機器100は、ケーブルを介して電源150と接続しており、電源150から電力を取得することができる。
【0012】
コネクタ101は、外部機器である電源150と接続するUSB(Universal
Serial Bus)コネクタである。電子機器100は、コネクタ101を介して電源150から電力の供給を受けることができる。電源150から電子機器100に電力が供給されると、電池140が充電でき、電子機器100全体が動作することができる。以下では、電源150から電力の供給を受けて、電子機器100全体が動作することを「給電動作」と呼ぶ。
【0013】
電圧回路102は、電源150から供給された電力の電圧を変更する電源回路である。電圧回路102は、例えば、スイッチングレギュレート電源回路などを有する。電圧回路102に供給される電力は、電池140の充電に使用される。
【0014】
昇圧変換部103aは、供給された電力の電圧を上昇させることによって、高電圧回路105に出力する電力を生成する電源回路(電圧変換部)である。昇圧変換部103aは、スイッチングレギュレート電源回路などを有する。電源スイッチ120および121がON状態になると、電池140から供給された電力が昇圧変換部103aに供給される。
電源スイッチ125および122がON状態になると、電源150から供給された電力が昇圧変換部103aに供給される。なお、昇圧変換部103aは、様々な電圧の電力を出力するために複数の出力端子を有しており、最適な電圧の電力を高電圧回路105に出力することができる。
【0015】
降圧変換部104は、供給された電力の電圧を低下させることによって、低電圧回路106に出力する電力を生成する電源回路(電圧変換部)である。降圧変換部104は、昇圧変換部103aが出力する電力の電圧よりも低い電圧の電力を出力する。降圧変換部104は、スイッチングレギュレート電源回路を有する。電源スイッチ120および123がON状態になると、電池140から供給された電力が降圧変換部104に供給される。電源スイッチ125および124がON状態になると、電源150から供給された電力が降圧変換部104に供給される。降圧変換部104は、様々な電圧の電力を出力するために複数の出力端子を有しており、最適な電圧の電力を低電圧回路106に出力することができる。
【0016】
高電圧回路105は、電池140の電圧と同程度の電圧か、或いは、電池140の電圧よりも高い電圧の電力を必要とする負荷回路である。高電圧回路105は、例えば、電子機器100のシャッターを駆動するためのモーター回路、レンズを駆動するためのモーター回路、またはLCD160(
図2B参照)のバックライトなどである。
【0017】
低電圧回路106は、電池140の電圧よりも低い電圧の電力を必要とする負荷回路である。低電圧回路106は、例えば、電子機器100の撮像センサー(不図示)、または撮像処理を行う制御部(不図示)などである。
【0018】
充電制御部110は、電池140の電圧(電池電圧)を検出し、検出した電圧に応じて、電圧回路102、および電源スイッチ120を制御する。これによって、電池140に対する定電流充電または定電圧充電が実現される。
【0019】
制御部130は、メモリに格納されているプログラムを実行することにより、電子機器100の各構成要素を制御することができる。制御部130は、電源150と通信して、電源150からの供給電圧を変更する。制御部130は、自身により、或いは、充電制御部110を制御することにより、電源スイッチ120~125のON状態とOFF状態とを切り替える。
【0020】
電池140は、放電および充電が可能な電源である。電池140は、ユーザが電子機器100から取り外し可能な電池である。電池140は、例えば、2つの電池セルを有するリチウムイオン電池である。電池140の電力の電圧の範囲は、例えば、6.0V~8.4Vである。
【0021】
電源スイッチ120~125は、それぞれFET(Field Effect Transistor)などを有する。
【0022】
電源スイッチ120は、電池140を他の構成要素に電気的に接続するための電源スイッチである。電源スイッチ121~124は、電池140および電源150から供給された電力を、昇圧変換部103aまたは降圧変換部104に供給するための電源スイッチである。
【0023】
電源スイッチ125を介して、電子機器100は、電源150から取得した電力を各構成要素に供給する。電源スイッチ125は、過電流または過電圧などの異常状態が検出されると、制御部130によってOFF状態にされる。電源スイッチ125がOFF状態に
されると、電源150から電子機器100の各構成要素への電力の供給が停止するため、電子機器100の各構成要素(回路)を保護することができる。
【0024】
電源150は、電子機器100に電力を供給する。電源150は、USB PD(Power Delivery)に準拠した機器であるとよい。さらに、電源150は、USB PD規格のPPS(Programmable Power Supply)に準拠した機器であるとよい。電源150がUSB PD規格のPPSに準拠していれば、電源150は、制御部130による制御に従って、小さな電圧幅で電子機器100に供給する電力の電圧(供給電圧)を変更できる。
【0025】
なお、説明を簡略化するため、実施形態1では、電源150は、USB電源であるとする。しかし、電源150は、モバイルバッテリーまたはPC(パーソナルコンピュータ)などの電力供給できる機器であれば任意の機器でよい。
【0026】
図1Bは、
図1Aに示す昇圧変換部103aの代わりに、電圧回路103bを用いた電子機器100を説明する図である。
【0027】
電圧回路103bは、高電圧の電力を生成するとともに、それよりも低い電圧の電力を生成可能である。電圧回路103bは、供給された電力の電圧を上げて高電圧回路105に出力するとともに、供給された電力の電圧を下げて降圧変換部104に出力することができる。電圧回路103bと降圧変換部104との2段階で、電池140または電源150から供給された電力の電圧が下がれば、電力変換の効率(入力電力に対する出力電力の割合)が向上する。
【0028】
電池140と電源150のいずれか一方による電力の供給によって、高電圧回路105および低電圧回路106が動作する場合には、
図1Bに示す構成の方が
図1Aに示す構成よりも、電子機器100の全体における電力変換の効率が向上する。
【0029】
一般的に、入力電圧と出力電圧との差が大きいと、電力変換の効率が悪い傾向がある。近年、デジタルカメラなどの電子機器の内部回路の大半は、低電圧回路である。低電圧回路106が必要とする電力は、高電圧回路105が必要とする電力に比べて大きい傾向にある。しかし、高電圧回路105は、構成的に必要な回路である。このため、電子機器100において、高電圧回路105にも電力を供給しつつ、低電圧回路106を高効率に動作させることが求められる。
【0030】
そこで、実施形態1では、高電圧回路105および低電圧回路106への電力の供給元として電池140と電源150が存在し、かつ、所定の条件を満たす場合に、高電圧が必要な高電圧回路105のためには電池140から供給された電力を用いる。電池140として高電圧の電力を有する8.4Vの2セル電池を使用すれば、昇圧変換部103aおよび電圧回路103bは、高電圧回路105に出力する電力を効率よく生成できる。
【0031】
一方、低電圧を必要とする低電圧回路106への電力の供給には、電源150から供給された電力を用いる。電源150は、例えば、USB PD規格のPPSに準拠した電源である。PPSに準拠していれば、電源150は、例えば、20mVステップで、3V~20Vの電圧範囲において電子機器100に供給する電力の電圧を変更できる。ここで、低電圧回路106が必要とする電圧(例えば、3.0V)に近い電力を供給するように制御部130が電源150に要求すれば、降圧変換部104による電圧の変換効率をより向上できる。
【0032】
これによれば、一般的に消費電力が大きい動作モード(例えば、高画質動画またはハイ
フレームレート動画を記録するモード)で電子機器100が動作している場合であっても、電圧変換による消費電力の増大を抑制できる。また、電圧変換に起因する電力消費を抑えることにより、電子機器100の発熱を抑制することができる。例えば、電子機器100の温度が所定温度を超えた場合に動画記録(動画撮影)を停止するような電子機器100の発熱を抑制することができれば、電子機器100による動画記録の時間を長くすることができる。
【0033】
図2Aおよび
図2Bは、電子機器100の外観を説明する図である。コネクタ101、LCD160、複数の操作部200、電池蓋201を電子機器100が有していることが、外部から視認できる。
【0034】
コネクタ101は、電源150に接続される。コネクタ101に接続された電源150から電力が供給されることで、電池140の充電、および電子機器100の給電動作が可能となる。
【0035】
LCD160(Liquid Crystal Display)は、画像を表示する表示部である。LCD160は、電子機器100の背面に設けられる。
【0036】
複数の操作部200は、ユーザによる操作を受け付ける。電子機器100は、操作部200が受け付けた操作に従って自身の動作を制御する。
【0037】
電池蓋201は、開閉可能である。電池蓋201は、閉じられている状態で電池140を覆う。制御部130は、電池蓋201と接触する物理スイッチの押下の有無に従って電池蓋201の開閉を検出できる。制御部130は、電池蓋201の開閉に応じた処理(例えば、電池蓋201が開いていることを通知する旨のLCD160への表示)を実行できる。
【0038】
図3A~
図3Dは、LCD160の表示例を説明する図である。
図3Aは、メニュー画面の一例であり、電池140の電力消費を抑制する「電池省エネ設定」の有効および無効の設定の画面を表している。「電池省エネ設定」の有効および無効、ユーザが操作部200を操作することによって任意に設定可能である。
【0039】
実施形態1に係る電子機器100は、電源150と接続している状態であっても、電池140から供給された電力を高電圧回路105に使用できる。高電圧な電池140から供給された電力を、高電圧の電力を必要とする高電圧回路105に使用すれば、電子機器100の発熱を低減できる。しかし、動画記録時間を長くするよりも、ユーザは電池140の電力消費を低減したい場合がある。実施形態1では、
図3Aに示すメニュー画面で「電池省エネ設定」をユーザが設定(有効に)すると、電子機器100は、電源150と接続していれば、電池140よりも優先して電源150の電力を高電圧回路105および低電圧回路106に使用する。このため、電池140の電力の消費を低減することができる。
【0040】
図3B~
図3Dは、電子機器100が使用している電力の供給元を示すLCD160の表示例を説明する図である。
図3Bは、電子機器100が使用している電力の供給元が電池140である場合のLCD160の表示例を表す。
図3Cは、電子機器100が使用している電力の供給元が電池140と電源150である場合のLCD160の表示例を表す。
図3Dは、電源150を電力の供給元として電池140を充電している場合のLCD160の表示例を表す。
【0041】
電池マーク301は、電子機器100が電池140から供給された電力を使用していることを示す表示アイテムであり、電池140の残量を目盛によって示している。給電マー
ク302は、電子機器100が電源150から供給された電力を使用していることを示す表示アイテムである。充電マーク303は、電源150から供給された電力によって電池140が充電されていることを示す表示アイテムである。
【0042】
以上のような表示(表示アイテム)によって、ユーザは、電池140によって電力が供給されているのか、電源150によって電力が供給されているのかを把握できる。なお、
図3B~
図3Dは表示の一例であり、ユーザが把握できれば、電子機器100が使用している電力の供給元を示す任意の表示がされてよい。
【0043】
図4を参照して、
図1Aに示す電子機器100の電力制御処理(制御方法)を説明する。
図4は、電子機器100の電力制御処理を示すフローチャートである。なお、本フローチャートの処理は、制御部130がプログラムを実行することにより制御される。本フローチャートにおける「昇圧変換部103a」が行う処理を「電圧回路103b」が行うようにして、
図1Bに示す電子機器100が本フローチャートと同様の処理を実行するようにしてもよい。
【0044】
ステップS400において、制御部130は、電子機器100に電池140が接続されているか否かを判定する。電池140が電子機器100に接続されている場合にはステップS401に進む。電池140が電子機器100に接続されていない場合にはステップS420に進む。
【0045】
ステップS401において、制御部130は、電源150がUSB接続(USBを用いた接続)によって電子機器100に接続しているか否かを判定する。電源150がUSB接続されている場合にはステップS402に進む。電源150がUSB接続されていない場合にはステップS418に進む。
【0046】
ステップS402において、制御部130は、電源150がUSB PD規格に準拠しているか否かを判定する。ここで、電源150がUSB PD規格に準拠していれば、ケーブルを介して電源150から電子機器100への電力の供給が可能になる。電源150がUSB PD規格に準拠している場合にはステップS403に進む。電源150がUSB PD規格に準拠していない場合にはステップS414に進む。
【0047】
ステップS403において、制御部130は、電源150がUSB PD規格のPPSに準拠しているか否かを判定する。ここで、電源150がUSB PD規格のPPSに準拠していれば、制御部130は、電源150が電子機器100に供給する電力の電圧を細かく制御することができる。電源150がUSB PD規格のPPSに準拠している場合にはステップS404に進む。電源150がUSB PD規格のPPSに準拠していない場合にはステップS411に進む。
【0048】
ステップS404において、制御部130は、電子機器100の動作モードが、消費電力が所定値以上の動作モード(高電力モード)であるか否かを判定する。例えば、高画質動画またはハイフレームレート動画のようにデータサイズが大きい動画を撮影する動画モードでは、電子機器100の消費電力が大きく、発熱が大きい。このような動画モードでは、電子機器100としての消費電力を下げ、発熱を抑制することが望まれる。ここでは、高電力モードの例として動画モードをあげているが、これに限定する必要はなく、高電力モードは、電力変換効率を改善したいモードである限り任意のモードであってもよい。電子機器100の動作モードが高電力モードである場合にはステップS405に進む。電子機器100の動作モードが高電力モードではない場合にはステップS411に進む。
【0049】
なお、ステップS404では、制御部130は、電子機器100が高電力モードである
か否かを判定しているが、例えば、電子機器100の温度が所定温度以上であるか否かを判定してもよい。この場合には、電子機器100の温度が所定温度以上の場合にはステップS405に進む。電子機器100の温度が所定温度未満の場合にはステップS411に進む。
【0050】
ステップS405において、制御部130は、電子機器100が「電池省エネ設定」に設定されているか否か(「電池省エネ設定」が有効にされているか否か)を判定する。電子機器100が「電池省エネ設定」に設定されている場合にはステップS411に進む。電子機器100が「電池省エネ設定」に設定されていない場合にはステップS406に進む。
【0051】
実施形態1では、電源150がUSB PD規格のPPSに準拠しており、電子機器100の動作モードが高電力モードであり、かつ、電子機器100が「電池省エネ設定」に設定されていないという条件が満たされた場合に、ステップS406に進む。しかし、これに限らず、電源150がUSB PD規格のPPSに準拠していることと、動作モードが高電力モードであることと、「電池省エネ設定」に設定されていないこととのいずれか1つまたは2つの条件が満たされ場合にステップS406に進んでもよい。
【0052】
ステップS406において、制御部130は、電源150とPD通信を行い、降圧変換部104に適した電圧(例えば3V)の電力を出力するように電源150に要求する。ここでは、降圧変換部104に適した電圧が例えば3Vであるとして説明するが、3Vは一例であり、3Vに限定されるものではない。
【0053】
ステップS407において、制御部130は、電池140から供給された電力が昇圧変換部103aに供給され、電源150から供給された電力が降圧変換部104に供給されるように制御する。これによって、制御部130は、高電圧の電力が昇圧変換部103aに供給されて、この電力の電圧よりも低電圧の電力が降圧変換部104に供給されるように制御することができる。ステップS407では、制御部130および充電制御部110が、電圧回路102および電源スイッチ120~125の状態を制御する。この制御によって、電力供給の経路(パス)が決定される。ステップS407では、制御部130は、電圧回路102をOFF状態にして、電源スイッチ120,121,124および125をON状態にして、電源スイッチ122および123をOFF状態にする。
【0054】
図5Aは、ステップS407における処理後の、電圧回路102および電源スイッチ120~125の状態(ON状態またはOFF状態)を説明する図である。電池140から供給された電力が昇圧変換部103aに供給されて、電源150から供給された電力が降圧変換部104に供給される。高電圧の電力が昇圧変換部103aに供給されて、低電圧の電力が降圧変換部104に供給されるため、電子機器100における電圧変換効率を向上することができる。このため、高電力モードにおいても電子機器100の発熱を抑制することができる。電子機器100の発熱を抑制することにより、動画記録時間をより長くすることができる。
【0055】
ステップS408において、制御部130は、給電マーク302、および電池マーク301をLCD160に表示する。
【0056】
ステップS409において、制御部130は、撮影動作、再生動作などを許可する。これにより、制御部130は、ユーザからの指示に従って、撮影動作、再生動作などを電子機器100に行わせることができる。例えば、制御部130は、ユーザからの指示に従って、静止画または動画の撮影、記録された静止画または動画の再生などを電子機器100に行わせる。
【0057】
ステップS410において、制御部130は、電池蓋201が開いているか否かを判定し、USB接続が切断しているか否かを判定する。制御部130は、割り込みまたはポーリングで電池蓋201の状態を監視することができる。例えば、制御部130は、電池蓋201が閉じられた状態において電池蓋201によって押下されるような物理スイッチが押下されているか否かによって、電池蓋201の開閉を検出する。電池蓋201が開いている状態である、または、USB接続が切断している状態である場合にはステップS400に戻る。電池蓋201が閉じた状態であり、USB接続された状態である場合には、ステップS409に戻る。
【0058】
ステップS411において、制御部130は、電源150とPD通信を行い、高電圧の電力と低電圧の電力とを必要とする電子機器100に適した電圧(例えば、9V)の電力を出力するように電源150に要求する。ここでは、電子機器100に適した電圧値は、9Vであるとしているが、この電圧値に限定されるものではない。
【0059】
なお、ステップS406において制御部130が電源150に要求する電力の電圧は、ステップS411において制御部130が電源150に要求する電力の電圧よりも低い。これは、ステップS406の後のステップ407にて電源150の電力が降圧変換部104にのみ供給されるため、昇圧変換部103aを考慮せずに、降圧変換部104に適した低電圧の電力を制御部130が要求できるからである。このように、ステップS406において、ステップS411よりも低い電圧の電力を供給するように制御部130が要求することによって、降圧変換部104による電圧の変換前と変換後とで大きな電圧差が生じないようにすることができる。
【0060】
ステップS412において、制御部130は、昇圧変換部103aおよび降圧変換部104のいずれにも電源150から供給された電力が供給されるように制御する。ここでは、制御部130は、電圧回路102をOFF状態にして、電源スイッチ120,121および123をOFF状態にし、電源スイッチ122,124および125をON状態にする。
【0061】
図5Bは、電圧回路102および電源スイッチ120~125の状態(ON状態またはOFF状態)を示す。昇圧変換部103aおよび降圧変換部104のいずれにも、電源スイッチ120を経由して電源150から供給された電力が供給されている。ステップS412では、電池140の電力が高電圧回路105および低電圧回路106に供給されないため、電池140の電力消費を抑えることができる。
【0062】
ステップS413において、制御部130は、給電マーク302をLCD160に表示する。
【0063】
ステップS414において、制御部130は、電源150から供給された電力を電池140に供給する。制御部130は、電圧回路102をON状態にして、電源スイッチ120および125をON状態にして、電源スイッチ121,122,123および124をOFF状態にする。
図6Aは、電圧回路102および電源スイッチ120~125の状態(ON状態またはOFF状態)を示す。ステップS414では、電源150から高電圧回路105と低電圧回路106とに給電が行われず、電池140に対する給電が行われる。
【0064】
ステップS415において、制御部130は、給電マーク302および充電マーク303をLCD160に表示する。なお、ステップS414において制御部130は、高電圧回路105および低電圧回路106を動作させずに、電池140への給電を行うように電力の流れを制御している。しかし、LCD160(表示部材)を駆動するための電力は、
不図示の電力供給経路を介して、電池140から供給されているものとする。
【0065】
ステップS416において、制御部130は、電源150から供給された電力により電池140の充電を行う。
【0066】
ステップS417において、制御部130は、ステップS410と同様に、電池蓋201の開閉とUSB接続の切断とを判定する。電池蓋201が開いた状態、またはUSE接続が切断された状態である場合にはステップS400に戻る。電池蓋201が閉じた状態であり、USB接続された状態である場合には、ステップS416に戻る。
【0067】
ステップS418において、制御部130は、昇圧変換部103aおよび降圧変換部104に、電池140から供給された電力が供給されるように制御する。制御部130は、電圧回路102をOFF状態にして、電源スイッチ120,121および123をON状態にして、電源スイッチ122,124および125をOFF状態にする。
【0068】
図6Bは、電圧回路102および電源スイッチ120~125の状態(ON状態またはOFF状態)を示す。昇圧変換部103aおよび降圧変換部104には、電源スイッチ120,121および123を経由して電池140から供給された電力が供給される。このため、電源150がUSB接続によって電子機器100に接続されておらず、電池140が電子機器100に接続されている場合には、電池140から供給された電力で電子機器100は動作できる。
【0069】
ステップS419において、制御部130は、電池マーク301をLCD160に表示する。
【0070】
ステップS420において、制御部130は、所定の動作を停止させる。ステップS400において、電池140が電子機器100に接続されていない状態であるため、電子機器100は、電源150からのみ電力を受け取ることができる。ここでは、電池140が電子機器100に接続されていない状態では、電子機器100が所定の動作を停止する例を示しているが、これに限定する必要はない。例えば、電子機器100に電源150が接続されていれば、電子機器100に電池140が接続されていない状態であっても、電子機器100は、電源150から供給される電力を用いて給電動作をしてもよい。
【0071】
ステップS421において、制御部130は、ステップS410およびS417と同様に、電池蓋201の開閉とUSB接続の切断を判定する。電池蓋201が開いた状態、またはUSB接続が切断された状態である場合にはステップS400に戻る。電池蓋201が閉じた状態であり、USB接続された状態である場合には、ステップS420に戻る。
【0072】
電子機器100は、所定の条件が満たされた場合には、高電圧の電力を昇圧変換部103aに供給し、低電圧の電力を降圧変換部104に供給する。このため、実施形態1によれば、電圧を変換する幅を小さくすることができるので、電力変換効率が向上した電子機器100を提供することができる。高画質またはハイフレームレートな動画記録(動画撮影)などを行う動画モードなどの、一般的に消費電力が大きい動作モードにおいても、電圧変換ロス(電圧変換によって生じる電力消費)による電子機器100の消費電力の増大を抑制することができる。電圧変換ロスを抑えることで電子機器100の発熱を抑制することができれば、例えば、電子機器100の動画記録時間をより長くすることができる。
【0073】
[実施形態2]
次に、
図7および
図8を参照して、実施形態2における電子機器500を説明する。
図7は、実施形態2における電子機器500の構成要素を説明する図である。
図7において
、実施形態1と同じ符号の構成要素は、実施形態1と同様の構成要素であるため、それらの説明を省略する。電子機器500は、実施形態1における電子機器100の構成要素に加えてキャパシタ回路501を有する。なお、実施形態2においても、実施形態1と同様に、昇圧変換部103aの代わりに、電圧回路103bが用いられてもよい。この場合には、電圧回路103bが電圧を低下させた電力が、キャパシタ回路501に供給されるとよい。
【0074】
キャパシタ回路501は、電源150から供給された電力の電圧(入力電圧)を整数分の一に変換する(低下させる)回路である。キャパシタ回路501は、例えば、コンデンサ素子およびスイッチ素子を有するスイッチドキャパシタ回路(スイッチドキャパシタ電源回路)である。一般的に、スイッチドキャパシタ回路は、スイッチングレギュレート回路(スイッチングレギュレート電源回路)に比べて高効率に電圧変換できる。実施形態2では、キャパシタ回路501は、入力電圧の1/2倍または1/3倍の電圧の電力を出力できる。このとき、キャパシタ回路501は、入力電流の2倍または3倍の電流の電力を出力できる。
【0075】
ここで、USB規格では、電圧に応じて、流せる電流量が定められている。例えば、USB規格では電流は、20Vの電圧では最大5Aと定められており、20V未満の電圧では最大3Aと定められている。安全上の観点からも、電子機器500と電源150とを接続するケーブルを流れる電流は小さい方がよい。そこで、降圧変換部104が要求する電圧の整数倍の電圧の電力を制御部130が電源150に要求し、キャパシタ回路501が、供給された電力の電圧を整数分の1にして、供給された電力の電流を増加させる。このことで、ケーブルおよびコネクタ101を流れる電流量を小さくすることができる。
【0076】
図8は、実施形態2における電子機器500の電力制御処理を説明するためのフローチャートである。実施形態1と同様の処理を行うステップについては、それらの説明を省略する。ただし、実施形態2では、ステップS405において、電子機器100が「電池省エネ設定」に設定されていれば、ステップS406ではなくステップS601に進む。実施形態2では、ステップS411の処理が終了した後、制御部130は、ステップS603に進む。
【0077】
ステップS601において、制御部130は、ステップS411と同様に、電源150とPD通信を行い、高電圧の電力と低電圧の電力とを必要とする電子機器500に適した電圧(例えば、9V)の電力を出力するように電源150に要求する。
【0078】
ステップS602において、制御部130は、入力電圧の1/3倍の電圧の電力を出力するようにキャパシタ回路501を設定する。その後、制御部130は、ステップS602からステップS407に進む。
【0079】
ステップS603において、制御部130は、ステップS602と同様に、入力電圧の1/3倍の電圧の電力を出力するようにキャパシタ回路501を設定する。その後、制御部130は、ステップS603からステップS412に進む。
【0080】
これによれば、実施形態1におけるステップS406にて要求した電圧と同様に、降圧変換部104に3Vの電力が供給される。USDコネクタ101を9Vの電圧で3Aの電流が流れれば、キャパシタ回路501による電力変換によって、降圧変換部104に3Vで9Aの電力を供給することができる。これにより、低電圧回路106が高い電流(多くの電力)を必要とする場合であっても、高い電流の電力を供給することができる。ここで、電子機器500が電源150に9Vを要求し、電子機器500内部で電圧を1/3倍に変換することは、一例であり、これに限定するものではない。
【0081】
ステップS604において、制御部130は、入力電圧の1/2倍の電圧の電力を出力するようにキャパシタ回路501を設定する。実施形態2では、電池140の電圧範囲を6.0V~8.4Vとしているため、出力電圧の1/2倍の電圧を出力するようにキャパシタ回路501を設定することによって、降圧変換部104に供給される電力の電圧を約3.0~4.2Vにすることができる。
【0082】
実施形態2においても、実施形態1と同様に、所定の条件が満たされた場合には、高電圧の電力を昇圧変換部103aに供給し、低電圧の電力を降圧変換部104に供給する。このため、実施形態1によれば、電圧を変換する幅を小さくすることができるので、電力変換効率が向上した電子機器500を提供することができる。消費電力が大きい動作モード(例えば、高画質またはハイフレームレート動画記録(動画撮影)などを行う動画モード)においても、電圧変換ロスによる電子機器500の消費電力の増大を抑制することができる。電圧変換ロスを抑えることで電子機器500の発熱を抑制することができれば、例えば、電子機器500の動画記録時間をより長くすることができる。さらに、キャパシタ回路501によれば、低電圧かつ高電流の電力を降圧変換部104に供給できる。このため、電源150と電子機器500との間に最大電流量の制限がある場合も、高電流の電力を降圧変換部104および低電圧回路106に供給することができる。キャパシタ回路501によれば、電池140から降圧変換部104に供給される電圧を予め低下させておくこともできるため、電力の電圧変換効率を向上できる。
【0083】
[実施形態3]
上述の実施形態で説明した様々な機能、処理または方法は、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)またはマイクロプロセッサがプログラムを実行することによって実現することもできる。以下、実施形態3では、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、CPUまたはマイクロプロセッサを「コンピュータX」と呼ぶ。実施形態3では、コンピュータXを制御するためのプログラムであって、上述の実施形態で説明した様々な機能、処理または方法を実現するためのプログラムを「プログラムY」と呼ぶ。
【0084】
上述の実施形態で説明した様々な機能、処理または方法は、コンピュータXがプログラムYを実行することによって実現される。この場合において、プログラムYは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してコンピュータXに供給される。実施形態3におけるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、ハードディスク装置、磁気記憶装置、光記憶装置、光磁気記憶装置、メモリカード、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどの少なくとも一つを含む。実施形態3におけるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、non-transitory(非一時的)な記憶媒体である。
【符号の説明】
【0085】
100:電子機器、103a:昇圧変換部(第1の電圧変換手段)、
104:降圧変換部(第2の電圧変換手段)、140:電池(第1の電源)、
150:電源(第2の電源)