IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

特許7596111画像形成装置、その制御方法、及びプログラム
<>
  • 特許-画像形成装置、その制御方法、及びプログラム 図1
  • 特許-画像形成装置、その制御方法、及びプログラム 図2
  • 特許-画像形成装置、その制御方法、及びプログラム 図3
  • 特許-画像形成装置、その制御方法、及びプログラム 図4
  • 特許-画像形成装置、その制御方法、及びプログラム 図5
  • 特許-画像形成装置、その制御方法、及びプログラム 図6
  • 特許-画像形成装置、その制御方法、及びプログラム 図7
  • 特許-画像形成装置、その制御方法、及びプログラム 図8
  • 特許-画像形成装置、その制御方法、及びプログラム 図9
  • 特許-画像形成装置、その制御方法、及びプログラム 図10
  • 特許-画像形成装置、その制御方法、及びプログラム 図11
  • 特許-画像形成装置、その制御方法、及びプログラム 図12
  • 特許-画像形成装置、その制御方法、及びプログラム 図13
  • 特許-画像形成装置、その制御方法、及びプログラム 図14
  • 特許-画像形成装置、その制御方法、及びプログラム 図15
  • 特許-画像形成装置、その制御方法、及びプログラム 図16
  • 特許-画像形成装置、その制御方法、及びプログラム 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】画像形成装置、その制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20241202BHJP
【FI】
H04N1/60
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020170576
(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公開番号】P2022062512
(43)【公開日】2022-04-20
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】進藤 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】中塩 英良
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-009634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物をスキャンするスキャン手段と、
スキャンにより得られた画像データにおけるある領域が、前記印刷物上においてK単色で印刷された領域であるか、CMY混合で印刷された領域であるかを判定する判定手段と、
前記判定手段で判定された結果に基づいて、印刷パラメータを生成する生成手段と、を有し、
前記ある領域は、前記画像データを構成する画素の画素値におけるR成分、G成分、B成分それぞれの値が等しいグレーの領域であり、
前記判定手段は、前記グレーの領域を構成する画素の彩度を求め、有彩色に相当する彩度を持つ画素の数が一定数以上の場合に、前記グレーの領域はCMY混合で印刷された領域であると判定し、有彩色に相当する彩度を持つ画素の数が一定数未満の場合に、前記グレーの領域はK単色で印刷された領域であると判定する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷パラメータは、印刷対象の入力画像データを構成する画素の画素値をRGB色空間からCMYK色空間に変換する色変換パラメータであり、
前記生成手段は、
前記判定手段にて、前記ある領域がK単色で印刷された領域であると判定された場合、K単色用の前記色変換パラメータを生成し、
前記判定手段にて、前記ある領域がCMY混合で印刷された領域であると判定された場合、CMY混合用の前記色変換パラメータを生成する、
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印刷物は、異なるオブジェクト属性それぞれに対応した複数の前記グレーの領域を含み、
前記判定手段は、前記オブジェクト属性毎に、前記判定を行い、
前記生成手段は、前記オブジェクト属性毎の前記判定の結果に基づいて、前記オブジェクト属性毎に、前記色変換パラメータを生成する、
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記異なるオブジェクト属性には、少なくともイメージ属性、グラフィック属性、テキスト属性が含まれる、ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記オブジェクト属性毎に生成された前記色変換パラメータの組み合わせを登録する登録手段をさらに備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
入力画像データに基づき印刷処理を行う画像形成装置の制御方法であって、
印刷物をスキャンするスキャンステップと、
前記スキャンステップにより得られた画像データにおけるある領域が、前記印刷物上においてK単色で印刷された領域であるか、CMY混合で印刷された領域であるかを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにて判定された結果に基づいて、印刷パラメータを生成する生成ステップと、
を有し、
前記ある領域は、前記画像データを構成する画素の画素値におけるR成分、G成分、B成分それぞれの値が等しいグレーの領域であり、
前記判定ステップでは、前記グレーの領域を構成する画素の彩度を求め、有彩色に相当する彩度を持つ画素の数が一定数以上の場合に、前記グレーの領域はCMY混合で印刷された領域であると判定し、有彩色に相当する彩度を持つ画素の数が一定数未満の場合に、前記グレーの領域はK単色で印刷された領域であると判定する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像形成装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、デジタル画像データを印刷する画像形成装置における色調整技術に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるフルカラー印刷が可能な画像形成装置のリプレースや買い足しを行う際には、リプレース前或いは既存の画像形成装置による印刷物の色味を、リプレース後や買い足した画像形成装置においても継承したいという要望がある。ここで、リプレース前の画像形成装置や既存の画像形成装置といった目標となる側の印刷デバイスを「目標デバイス」と呼び、リプレース後の画像形成装置や買い足した画像形成装置といった調整する側の印刷デバイスを「調整デバイス」と呼ぶこととする。そして、従来より、カラープロファイルを調節することで異なるデバイス間における印刷物の色味を一致させる技術が提案されている。例えば、特許文献1は、調整デバイスとしての安価なカラープリンタの印刷物の色味を目標デバイスとしての大型校正機の印刷物の色味に一致させるカラープルーフシステムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-153667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷対象となる画像内のオブジェクト(文字・図形・写真など)の色が例えばグレーの場合、CMYK(プロセスカラー)で表現することもK単色で表現することも可能である。しかし、CMYKの4色混合とK単色のどちらで表現するか(グレーの色数構成)によって出来上がった印刷物の質感は違ってくる。さらには、目標デバイスにおいて、テキスト、グラフィック、イメージといったオブジェクト属性毎に上記色数構成を変えている可能性もある。つまり、調整デバイスにおいて色味だけでなく質感までを合わせ込むとなると、目標デバイスにおいてある色を表現する際に、どのような色数構成を採用し、それをオブジェクト属性毎に変えているのかどうかといったレベルで見極める必要がある。この点、従来からある、カラープロファイルを調節することで異なるデバイス間における印刷物の色味を一致させる技術では、色味と質感の両方を合わせることまではできなかった。
【0005】
そこで本開示の技術は、異なる印刷デバイス間において、印刷物の色味に加えて質感までを合わせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る画像形成装置は、印刷物をスキャンするスキャン手段と、スキャンにより得られた画像データにおけるある領域が、前記印刷物上においてK単色で印刷された領域であるか、CMY混合で印刷された領域であるかを判定する判定手段と、前記判定手段で判定された結果に基づいて、印刷パラメータを生成する生成手段と、を有し、前記ある領域は、前記画像データを構成する画素の画素値におけるR成分、G成分、B成分それぞれの値が等しいグレーの領域であり、前記判定手段は、前記グレーの領域を構成する画素の彩度を求め、有彩色に相当する彩度を持つ画素の数が一定数以上の場合に、前記グレーの領域はCMY混合で印刷された領域であると判定し、有彩色に相当する彩度を持つ画素の数が一定数未満の場合に、前記グレーの領域はK単色で印刷された領域であると判定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示の技術によれば、異なる印刷デバイス間において、印刷物の色味に加えて質感までを合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】印刷システムの構成の一例を示す図。
図2】プリンタ画像処理部の構成の一例を示す図。
図3】(a)は3次元色空間の立方体を示す図、(b)はRGBをL***に変換するLUTの一例を示す図、(c)はRGBをCMYKに変換するLUTの一例を示す図。
図4】(a)及び(b)は、印刷設定画面の一例を示す図。
図5】実施形態1に係る、色変換LUT作成時の大まかな流れを説明する図。
図6】(a)はプリンタ特性チャートの一例を示す図、(b)はターゲットチャートの一例を示す図。
図7】(a)は4色グレー用色変換LUTの一例を示す図、(b)はK単色グレー用色変換LUTの一例を示す図。
図8】目標デバイスにおけるグレー色数構成に応じた色変換LUTを作成する処理の流れを示すフローチャート。
図9】4色グレー用色変換LUTの作成手順を説明する図。
図10】カラーマッチング方法に関するお気に入り登録処理の流れを示すフローチャート。
図11】お気に入り登録画面の一例を示す図。
図12】調整・メンテナンス画面の一例を示す図。
図13】(a)~(c)は、オブジェクト属性別のターゲットチャートの印刷を指示する印刷ジョブの一例を示す図。
図14】変形例1に係る色変換LUTを作成する処理の流れを示すフローチャート。
図15】パッチ数設定画面の一例を示す図。
図16】属性確認用チャートの一例を示す図
図17】変形例3に係る色変換LUTを作成する処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明を好適な実施例に従って詳細に説明する。なお、以下の実施例において示す構成は一例にすぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
【0010】
[実施形態1]
本実施形態では、目標デバイスで出力した印刷物(カラーチャート)上のグレーパッチをスキャンし、得られた画像データを解析してグレーの色数構成をまず判定する。そして、判定結果に応じて、グレーの色数構成を目標デバイスと同等にした調整デバイス用の色変換パラメータを生成する。そして、調整デバイスにおいて当該色変換パラメータを用いて色変換処理を行って印刷処理を行う態様を説明する。なお、本実施形態の印刷デバイスとしては、用紙上にCMYKの4色のトナー像を重ね合わせた画像を形成する電子写真方式のカラー画像形成装置を想定しているが、インクジェット方式など他の印刷方式による画像形成装置であってもよい。
【0011】
<印刷システムの構成>
図1は、本実施形態に係る、印刷システムの構成の一例を示す図である。画像形成装置100は、ネットワーク140を介してPC(パーソナルコンピュータ)120と接続されている。ネットワーク140は、例えば、LANやWAN等である。
【0012】
PC120には文書作成や表作成を行うアプリケーションの他、プリントドライバがインストールされている。任意のアプリケーションで作成したデジタル画像データをプリントする場合、ユーザは、プリンタドライバでPDL(Page Description Language)データに変換し、PDLデータを含む印刷ジョブをネットワーク140経由で画像形成装置100に送信する。また、PC120にはモニタ130が接続されており、各種アプリケーションで作成したデジタル画像データの表示などを行う。
【0013】
画像形成装置100としては、例えばデジタル複写機や、別途スキャナが用意されているレーザープリンタ、ファクシミリといった装置が該当する。画像形成装置100は、CPU101、ROM102、RAM103、HDD104、表示部105、操作部106、スキャナ部107、スキャナ画像処理部108、ネットワークI/F109、プリンタ画像処理部110、プリンタ部111、システムバス112、モニタ113、コンピュータ114を備えている。以下、画像形成装置100の各部について説明する。
【0014】
CPU101は、装置全体の制御及び演算処理等を行う中央処理装置であり、ROM102に格納されたプログラムに基づき後述する各画像処理を実行する。ROM102は、読み出し専用メモリであり、システム起動プログラムやスキャナ部107およびプリンタ部111の制御を行うプログラム、文字データや文字コード情報等の記憶領域である。RAM103は、ランダムアクセスメモリであり、様々な処理毎にROM102に格納されているプログラムやデータがCPU101によりロードされ実行される際に利用される。また、スキャナ部107やネットワークI/F109から受信した画像ファイルのデータ記憶領域として利用される。HDD104は、例えばハードディスク等から構成されており、CPU101の実行する処理の結果や、プログラム、各情報ファイル、印刷対象画像やチャート画像といった各種データの格納に利用される。また、CPU101が処理を実行する際の作業用領域としても利用される。表示部105は、例えば液晶等によって画面表示を行うものであり、装置の設定状態や、CPU101などの装置各部の処理、エラー状態などの表示に使用される。操作部106は、ユーザが各種処理の実行や設定変更等の各種指示の入力を行う部分である。操作部106を介して入力されたユーザ指示の情報はRAM103に格納され、CPU101の処理実行時に用いられる。スキャナ部107は、不図示の原稿台に載置された原稿に光を照射して反射光をRGBのカラーフィルタを備えたCCDなどで電気信号に変換し、原稿に対応したRGB画像データを得る。またスキャナ部107はこのRGB画像データをスキャナ画像処理部108へと送信する。スキャナ画像処理部108は、スキャナ部107で得られたRGB画像データに対してシェーディング処理などの画像処理を施す。ネットワークI/F109は、画像形成装置100をイントラネットなどのネットワークに接続するためのインタフェースである。このネットワークI/F109を介して、ネットワーク越しのPC120から印刷ジョブが入力される。プリンタ画像処理部110は、スキャナ画像処理部108で画像処理を施したRGB画像データ、あるいはネットワークI/F109を経由して受信した印刷ジョブ内のPDLデータに対して、プリンタ部111に適した画像処理を施す。プリンタ部111は、プリンタ画像処理部110で処理されたシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色から成るCMYK画像データを露光、潜像、現像、転写、定着の各電子写真プロセスによって紙媒体上に画像形成する。システムバス112は、上述の各部を相互接続し、それぞれの間のデータ通路となるものである。
【0015】
<画像処理部の詳細>
図2は、本実施形態に係る、プリンタ画像処理部110の内部構成、すなわち、印刷ジョブ内のPDLデータから印刷データを生成するための画像処理に関わる機能を示すブロック図である。プリンタ画像処理部110は、レンダリング部201、色変換部202、階調補正部(ガンマ補正部)203、量子化部204、色変換LUT作成部205を有する。なお、「LUT」とは、ルックアップテーブルの略であり、色空間内の複数の離散点(後述の格子点に相当)における入力値と出力値とを対応付けて保持している。以下、各機能ブロックについて説明する。
【0016】
レンダリング部201は、PC110から受信した印刷ジョブに含まれるPDLデータをPDLインタプリタで解釈し、印刷用のビットマップデータに変換する。このビットマップデータは、1画素あたり複数の色成分を持つ。ここで複数の色成分とは、本実施形態の場合、sRGB色空間で定義されたR(赤)、G(緑)、B(青)の独立した色成分のことである。ビットマップデータは、画素毎に、1つの色成分につき8ビット(256階調)の値を持つ。すなわち、本実施形態のビットマップデータは各画素がRGB値を持つ画像データ(RGB画像データ)である。また、レンダリングでは、印刷対象の画像データにおける各画素のオブジェクト属性を示す情報(属性情報)も生成される。この属性情報は、各画素がどの種類のオブジェクトに属するかを示し、例えばテキストやグラフィックやイメージといったオブジェクトの種類を識別する値を保持している。
【0017】
色変換部202は、レンダリング部201から入力されたRGB画像データを、各画素がCMYK値を持つ画像データ(CMYK画像データ)に変換する処理(色変換処理)を、色変換LUT206を用いて行う。これにより、モニタ130の色再現域とプリンタ部111の色再現域とを合わせる。RGB色空間で表現される色をCMYK色空間で表現される色に変換する色変換LUT206においては、RGB各8ビットデータ(0~255)の値に応じて、図3(a)に示す3次元色空間の立方体における座標を定めることになる。立方体の8つの頂点座標は、R、G、B、Y、M、C、K、Wをそれぞれ示し、R=G=B(RGB等量のグレー)であれば、KとWを結ぶ立方体の対角線の座標(グレー軸)を指すこととなる。また、色変換LUT206は、入力画像データのRGB値によって規定される16×16×16個の格子点を持ち、この格子点に対応するCMYK値を出力値として格納している。例えば、図3(b)に示す色変換LUTでは、RGB値(255,0,0)に対応する格子点データとしてCMYK値(0,255,255,0)が格納されている。格子点で定義されていないRGB値が入力された場合は、格子点で定義されているRGB値に対応付けられたCMYK値を用いた補間演算によって、入力RGB値に対応するCMYK値を得る。
【0018】
階調補正部203は、色変換処理によって得られたCMYK色空間のビットマップデータに対し、予め用意された階調補正LUT(不図示)を用いて、プリンタ部111の印刷処理において狙いとする出力濃度が得られるように階調補正処理を行う。
【0019】
量子化部204は、階調補正処理後のCMYK各色版のビットマップデータに対し量子化処理(「中間調処理」とも呼ばれる)を行なう。これにより、印刷対象画像内の中間調を面積階調で表現した、N値化(Nは2以上の自然数)された網点パターンによるハーフトーン画像データが得られる。なお、中間調処理は濃度パターン法、組織的ディザ法、誤差拡散法等さまざまな手法が提案されているが、いずれの手法でもよい。得られたハーフトーン画像データは印刷データとして、プリンタ部111に送られる。
【0020】
色変換LUT作成部205は、色変換部202が色変換処理で参照するための色変換LUT206を作成する。色変換LUT作成処理の詳細については後述する。
【0021】
なお、本実施形態では、画像形成装置100内ですべてのプリンタ画像処理を実施する構成としているが、本開示の技術はこのような構成に限定されない。例えば、色変換処理や量子化処理といった一部の処理を、印刷ジョブの送信元であるPC120で実行するようなシステム構成でもよい。或いは、画像形成装置100とPC120とが連携し分散して行なうような構成でもよい。
【0022】
<印刷機能設定>
次に、画像形成装置100における印刷機能設定について説明する。図4(a)は、画像形成装置100の表示部105に表示される機能設定のためのユーザインタフェース画面(以下、「印刷設定画面」と表記。)の一例を示す図である。図4(a)に示す印刷設定画面の「項目一覧」における「設定項目」のフィールドには、オプションとして指定できる機能の項目名として「カラーマッチング方法」が表示されている。ここで、カラーマッチング方法とは、マッチング処理における色域圧縮方法を設定する機能である。色再現範囲(色域)はデバイス毎に異なるため、色域を合わせ込むためのマッチング処理が必要となる。色域の広いディスプレイ等の入力デバイスから、色域の狭いプリンタ等の出力デバイスへと色域を合わせ込む際のマッチング処理では、色域の圧縮を行うことになる。そして、「設定項目」の右側にある「設定内容」のフィールドにおいて、オブジェクト属性毎にマッチングモードが指定できるようになっている。デフォルトで用意されているマッチングモードとしては以下の3種類がある。
色味優先:写真が好ましく見える色味を優先するモード
色差最小:元画像の色をプリンタの色再現範囲内で正確に出力するモード
彩度優先:全体的に鮮やかな発色(彩度)を優先するモード
【0023】
なお、ユーザは、PC120にインストールされたプリンタドライバやアプリケーションによって提供される同様のUI画面を介して、カラーマッチング方法に関する設定を含む様々な機能設定を印刷時に行うことが可能である。
【0024】
<色変換LUTの作成処理の概要>
続いて、色変換LUT作成部205における色変換LUT作成の大まかな流れについて図5を参照して説明する。図5は、デバイス間色合わせを行う際のUI画面(調整・メンテナンス画面)の変遷を示している。以下、図5に沿って色変換LUT作成の概要を説明する。
【0025】
≪調整デバイスの色特性の取得≫
まず、ユーザは、調整デバイスである画像形成装置100の操作部106を用いて、調整・メンテナンス画面の初期画面501を開く。次に、ユーザは、初期画面501を操作してチャート出力画面502の状態にし、プリンタ部111における色特性を取得するための様々な色のパッチで構成されたカラーチャート(以下、「プリンタ特性チャート」と呼ぶ。)の印刷指示を行う。当該印刷指示に基づきプリンタ部111は、予め用意されたプリンタ特性チャートの画像データを用いて印刷処理を行う。図6(a)は、プリンタ特性チャートの一例を示す図である。プリンタ特性チャートは、8bitのRGB信号値(0~255)を均等な間隔でサンプリングした値に対応する複数のパッチ601で構成される。ここで、本実施形態では、グレーの色数構成によって色合わせ精度に差が生じるのを抑制するため、プリンタ特性チャートの画像データに対して2種類の色変換処理をそれぞれ行って別々に印刷出力し、2種類の色特性を取得する。この際の1つ目の色変換処理は、プリンタ特性チャート内のパッチのうちR=G=Bの信号値を持つグレーパッチを、4色グレー用色変換LUT(図7(a)を参照)を用いて色変換する。これにより、グレーをCMYK4色で表現した場合(CMY混合グレー)の色特性の取得を可能にする。もう1つの色変換処理は、R=G=Bの信号値を持つグレーパッチを、K単色グレー用色変換LUT(図7(b)を参照)を用いて色変換する。これにより、グレーをK単色で表現した場合(K単色グレー)の色特性の取得を可能にする。
【0026】
そして、プリンタ部111によって上記2通りのプリンタ特性チャートが印刷されると、ユーザは、UI画面をチャート読取画面503の状態にし、印刷出力された2通りのプリンタ特性チャートそれぞれについて、不図示の原稿台にセットした上で読取指示を行う。当該読取指示に基づきスキャナ部107は、原稿台にセットされたプリンタ特性チャートを光学的に読み取って、RGB色空間で表現されたRGB画像データを生成する。生成されたRGB画像データは、スキャナ画像処理部108に送られる。スキャナ画像処理部108は、2通りのプリンタ特性チャートのRGB画像データそれぞれについて、チャート上の各パッチについて平均RGB値を抽出する処理をまず行う。そして、予め用意されたRGB値をL***値に変換するスキャン色変換用LUT(図3(c)を参照)を用いて、上述した2種類の色特性を取得する。こうして取得した2種類の色特性の情報は、RAM103に格納される。
【0027】
≪目標デバイスの色特性の取得≫
次に、ユーザは、UI画面をチャート読取画面504の状態にし、目標デバイスとなる他の画像形成装置(不図示)で予め印刷出力しておいたカラーチャート(以下、「ターゲットチャート」と呼ぶ。)を不図示の原稿台にセットした上で読取指示を行う。当該読取指示に基づきスキャナ部107は、原稿台にセットされたターゲットチャートを光学的に読み取って、RGB色空間で表現されたRGB画像データを生成する。生成されたRGB画像データはスキャナ画像処理部108に送られ、他の画像形成装置における色特性を取得する処理がなされる。ここで、ターゲットチャートについて説明する。図6(b)は、ターゲットチャートの一例を示す図である。ターゲットチャートには、グレー色数構成を調べるための第1パッチエリア611と通常の色特性を取得するための第2パッチエリア612とで構成される。第1パッチエリア611には、テキスト属性、グラフィック属性、イメージ属性それぞれに対応した、中間調のグレーパッチが配置されている。イメージ属性のパッチはJPEGやTIFF等で定義され、グラフィック属性のパッチは矩形の座標位置、幅、高さを指定した矩形描画で定義され、テキスト属性のパッチはフォントの形状やサイズ等を指定した文字描画で定義されている。第2パッチエリア612には、図6(a)のプリンタ特性チャートと同様、各色に対応する、例えばイメージ属性を付与したパッチが配置される。2つのパッチエリアのうち第2パッチエリア612については、上述したプリンタ特性チャートのときと同様に処理される。すなわち、第2パッチエリア612に対応するRGB画像データから各パッチの平均RGB値を抽出してL***値に変換することで目標デバイスにおける色特性が取得され、RAM103に格納される。一方、第1パッチエリア611に対しては、当該エリア内のオブジェクト属性毎のグレーパッチに対して所定の解析処理が施され、各グレーパッチが4色グレーで表現されているかK単色グレーで表現されているかが判定されることになる。
【0028】
≪グレー色数構成に応じた色変換LUTの作成≫
上述のようにして、調整デバイスにおける色特性と目標デバイスにおける色特性の情報が取得できると、グレー色数構成に応じた色変換LUTが、オブジェクト属性毎に作成される。作成された色変換LUTのデータはRAM103に格納されると共に、UI画面の状態が通知画面505へと遷移し、オブジェクト属性別の色変換LUTの作成が完了した旨のメッセージが表示される。グレー色数構成に応じた色変換LUTを作成する処理の詳細については後述する。
【0029】
以上が、本実施形態に係る、色変換LUT作成部205において色変換LUT206が作成されるまでの大まかな流れである。
【0030】
なお、グレーの色数構成は、テキスト、グラフィック、イメージといったオブジェクト属性毎に切り替えることが一般的に多いことから、本実施形態ではオブジェクト属性毎に色変換LUTを作成するものとしている。しかしながら、オブジェクト属性毎に色変換LUTを作成することは必須ではない。
【0031】
また、プリンタ特性チャートやターゲットチャートの各パッチの色(平均RGB値)は例えば測色器を用いて取得してもよい。また、調整デバイスの色特性は、必ずしも毎回取得する必要はない。例えば、以前の取得から時間経過が短い場合、色合わせ目的による色材の消費を抑制したい場合、色合わせ調整に係る手間を省きたい場合などは、前回取得時の情報を保存しておき再利用してもよい。これを行う際は、例えばUI画面内にスキップボタン(不図示)を設けておき、これが押下された場合に、以前取得してHDD104に格納しておいた色特性(もしくは工場出荷時の初期色特性)の情報を読み出して使用すればよい。
【0032】
また、本実施形態では、調整デバイスについて4色グレー用とK単色グレー用の2通りの色特性を取得しているが、必須ではない。グレーの色数構成を目標デバイスと一致させることで足りるのであれば、4色グレー用の色特性のみを取得するような構成であってもよい。
【0033】
<グレー色数構成に応じた色変換LUT作成処理の詳細>
次に、目標デバイスにおけるグレー色数構成をオブジェクト属性別に取得して、グレー色数構成に応じた色変換LUTを、テキスト属性、グラフィック属性、イメージ属性それぞれについて作成する処理の詳細について説明する。図8は、本実施形態に係る、目標デバイスにおけるグレー色数構成に応じた色変換LUTを作成する処理の流れを示すフローチャートである。図8のフローチャートに示す一連の処理は、CPU101が所定のプログラムをROM102からRAM103にロードし、実行することで実現される。なお、以下の説明において記号「S」は、ステップを意味する。
【0034】
まず、S801では、彩度カウンタが初期化(カウント値Cntに“0”が設定)される。ここで、彩度カウンタは、画素毎に求めたL***値(後述のS803を参照)によって特定される彩度Cが、所定の閾値C_thを超えた回数をカウントするために用いる。
【0035】
S802では、テキスト属性、グラフィック属性、イメージ属性のうち注目するオブジェクト属性が決定され、当該決定されたオブジェクト属性のグレーパッチに対応する部分画像(グレーパッチ画像)が、ターゲットチャートの第1パッチエリアから取得される。
【0036】
S803では、S802で取得されたグレーパッチ画像内の注目する画素についてのL***値が導出される。グレーパッチ画像内の各画素の色はRGB値を持っている。そこで、RGBをL***に変換するスキャン色変換用LUT(図3(c)を参照)を用いて、L***値に変換される。
【0037】
S804では、S803にて導出されたL***値に基づいて、注目画素の色が有彩色であるか否かが判定される。具体的には、L***値におけるa*値とb*値から以下の式(1)を用いて彩度Cを求め、求めた彩度Cが閾値C_thを超えていれば有彩色であると判定する。
【0038】
【数1】
【0039】
ここで、閾値C_thとしては、およそ有彩色であると言い得る程度の彩度値、例えばC_th=20程度に設定すればよい。上記閾値処理の結果、注目画素の色が有彩色であると判定される場合はS805に進む。そして、S805では、上述の彩度カウンタのカウント値Cntがインクリメント(+1)される。一方、上記閾値処理の結果、注目画素の色が有彩色ではない(無彩色である)と判定される場合はS805をスキップしてS806に進む。
【0040】
S806では、S802にて取得したグレーパッチ画像内の全画素について有彩色かどうかの判定処理が完了したか否かが判定される。完了していない場合はS803に戻り、未処理の画素の中から次の注目画素が決定されて同様の処理が繰り返される。一方、完了している場合はS807に進む。
【0041】
S807では、上述した彩度カウンタのカウント値Cntに基づいて、S802にて取得されたグレーパッチ画像が4色グレーで印刷されているかK単色グレーで印刷されているかが判定される。具体的には、現時点のカウント値Cntが予め設定した閾値Cnt_th以上であれば4色グレーで印刷されており、閾値未満であればK単色グレーで印刷されていると判定する。ここで、閾値Cnt_thとしては、グレーパッチ画像を構成する全画素に占める有彩色画素の割合が10~20%程度になる値を設定しておく。例えば、グレーパッチ画像の解像度が600dpiでサイズが1cm×1cmのときの総画素数は55696画素なので、この場合は閾値Cnt_th=5500~11000に設定すればよいことになる。彩度カウンタのカウント値Cntが閾値Cnt_th以上となる場合は、グレーパッチ画像内に彩度が高い画素が一定割合含まれており、グレーの色数構成は4色であると判断できる。一方、カウント値Cntが閾値Cnt_th未満の場合は、グレーパッチ画像内には彩度が高い画素があまり含まれておらず、グレーの色数構成はK単色であると判断できる。上記閾値処理の結果、彩度カウンタのカウント値Cntが閾値以上である場合はS808に進み、閾値未満である場合はS809に進む。
【0042】
S808では、4色グレー用の色変換LUTが作成される。また、S809では、K単色グレー用の色変換LUTが作成される。これら色変換LUTの具体的な作成方法については後述する。
【0043】
そして、S810では、グレー色数構成に応じた色変換LUTの作成が全てのオブジェクト属性について完了したか否かが判定される。完了していない場合はS801に戻って次の注目するオブジェクト属性を決定して処理を続行し、完了していれば本処理を終える。
【0044】
以上が、本実施形態に係る、グレー色数構成に応じた色変換LUT作成処理の内容である。なお、グレー色数構成の判別手法は、グレーパッチ画像を構成する画素の彩度に基づく手法に限定されない。例えば、グレーパッチ画像を構成する画素のRGB値からチャンネル間の差分を求め、求めた差分が所定の閾値以上となる画素の数が一定数以上の場合に4色グレー、一定数未満の場合にK単色グレーと判定することも可能である。さらには、画素単位ではなくグレーパッチ画像全体におけるR成分、G成分、B成分それぞれの平均値/中間値/標準偏差などを求め、それらについてのチャンネル間の差分の大きさに基づき判定してもよい。
【0045】
<色変換LUTの作成方法>
次に、S808及びS809における色変換LUTの作成方法の詳細について説明する。作成手順自体はS808とS809とで共通であるため、以下では、4色グレー用の色変換LUTを作成する場合を例に説明を行うものとする。図9は、4色グレー用色変換LUTの作成手順を説明する図である。以下、図9に沿って説明を行うものとする。
【0046】
まず、調整デバイスの色特性と、目標デバイスの色特性のデータをRAM103から取得する。この際の調整デバイスの色特性は、前述した2種類の色特性のうち、4色グレー用色変換LUTにて色変換されたプリンタ特性チャートの出力結果に基づき得られた色特性である。いま、図9においてテーブル901は目標デバイスの色特性を示し、テーブル902は調整デバイスの色特性を示す。以降の説明において、テーブル901におけるRGB値を「T_RGB」、それに対応するL***値を「T_Lab」と表記し、テーブル902におけるRGB値を「P_RGB」、それに対応するL***値を「P_Lab」と表記するものとする。
【0047】
次に、調整デバイスの色特性におけるP_Labの中から、目標色であるT_RGBに対応したT_Labと一致する値を持つP_Labを探索し、一致したP_Labに対応するP_RGBを逆算によって求める。いま、図9の例では、T_RGBが“204,34,0”、T_Labが“50,50,0”、P_Labが“50,50,40”であり、当該P_Labに対応するP_RGBとして“221,51,0”が求まる。以降の説明において、このような逆算によって求めたP_RGBを「T-P_RGB」と表記する。こうして、目標色の各RGB値に対して上述の逆算処理を実行し、T_RGBとT-P_RGBとの組合せ群を得る。そして、得られた組合せ群から成るテーブルを作成し、色合わせ用変換テーブルとして、RAM103に格納しておく。図9において、テーブル903が、T_RGBとT-P_RGBとの組合せ群をまとめた色合わせ用変換テーブルの一例である。こうして得られた色合わせ用変換テーブル903を参照してT_RGB値をT-P_RGB値に変換してから調整デバイスで色変換処理を行うことで、目標デバイスで再現される色と一致した色を調整デバイスで再現可能になることが分かる。
【0048】
そして、上記色合わせ用変換テーブル903と、注目するオブジェクト属性についての目標デバイスにおけるグレー色数構成に基づき、前述の図7(a)に示す4色グレー用色変換LUTにおける入力RGB値を修正する。例えばイメージ属性についての色変換LUTを作成する場面において目標デバイスではグレーを4色グレーで表現していたとする。この場合、T_RGB(ここでは“204,34,0”)に対応するT-P_RGB(ここでは“221,51,0”)を入力値とした場合の4色グレー用色変換LUT904における対応する出力値(CMYK)を、色合わせ用色変換テーブル903を参照して求める。ここでは、出力値としてCMYK=“0,200,200,30”が求まることになる。そして、4色グレー用変換LUT904において、当該求めた出力CMYK値に対応付けられる入力RGB値を、T_RGBの値(ここでは“204,34,0”)に変更する。こうして、T_RGBとCMYKとが対応付けられた新たな4色グレー用色変換LUT905が得られることになる。グレーがK単色グレーの場合は、調整デバイスについて取得した2種類の色特性のうちもう一方の色特性を示すK単色グレー用色変換LUTを対象として、同様の処理を実施すればよい。こうした修正が施された4色グレー用色変換LUTとK単色グレー用変換LUTは、目標デバイスとの色合わせが済んだ色変換LUT206としてRAM103に格納される。
【0049】
なお、目標デバイスと調整デバイスとでは、再現可能な色の範囲(色域、カラーガマット)が異なる場合もある。目標デバイスの色域が調整対象デバイスの色域を超えている場合にはT_Labを、調整対象デバイスの色域内、かつ、近似色となるP_Labに置換する必要がある。そのための手法は一般にガマットマッピングと呼ばれる。具体的な方法としては、例えば色差最小ガマットマッピングがある。ここでいう色差(ΔE)は、CIE1976Lab表色系に従った下記の式(2)で表される。
【0050】
【数2】
【0051】
上記式(2)において、ΔL=L1-L2、Δa=a1-a2、Δb=b1-b2である。また、色差を求める式としては、上記式(2)以外にもCIE1994色差式やCIE2000色差式等もある。調整デバイスの色域内で、かつ色差最小となるL***値に置換することで、ガマットマッピングは実現できる。
【0052】
以上が、本実施形態に係る色変換LUTの作成処理の内容である。目標デバイスとの色合わせが済んだ4色グレー用色変換LUTとK単色グレー用色変換LUTはHDD104等に保存され、前述の図4(a)に示す印刷設定画面におけるカラーマッチング方法の設定において、オブジェクト属性別に設定可能な選択肢として追加される。ユーザは、グレー再現時の印象(色味)を特定の目標デバイスと一致させたいときは、当該目標デバイスとの色合わせが済んだ色変換LUTを、ドキュメントの印刷時にオブジェクト属性毎に選択して(図4(b)を参照)、印刷指示を行なえばよいことになる。この場合において、印刷指示の都度、オブジェクト属性毎に色変換LUTを選択するのはユーザにとって手間であり、一定以上の知識も必要となる。そこで、上記のようにしてオブジェクト属性毎の色変換LUTを作成した後、ユーザが予め「お気に入り設定」や「デフォルト設定」のような形で保存してもよい。これにより、ユーザの利便性をより高めることができる。以下に、「お気に入り設定」として保存・登録する場合を例に、その具体的な手順について説明する。
【0053】
<お気に入り登録処理>
図10は、カラーマッチング方法に関するお気に入り登録処理の流れを示すフローチャートである。図10のフローチャートに示す一連の処理は、CPU101が所定のプログラムをROM102からRAM103にロードし、実行することで実現される。なお、以下の説明において記号「S」は、ステップを意味する。
【0054】
S1001では、図11に示すような、お気に入り登録処理のためのUI画面(お気に入り登録画面)が表示部105に表示される。次のS1002では、お気に入り登録画面内の設定名フィールド1101の設定値に基づき、ベースとなるお気に入り設定の情報が、操作部106を介して入力されるユーザ指示に基づき、取得される。なお、以下の表1に示すようないくつかの(ここでは標準設定Aと標準設定Bの2つ)お気に入り設定の情報が予め用意されRAM103等に保存されているものとする。そして、ユーザは、プルダウン表示されるリストの中から所望のお気に入り設定の名称を1つ選択して指定するものとする。
【0055】
【表1】
【0056】
なお、図11の例は、“標準設定A”がユーザによって選択された状態であるが、その設定名フィールド1101には、“<編集>”という文字が付記(自動挿入)されている。これは、選択したお気に入り設定の内容(各オブジェクト属性に対するマッチングモード)が、前述の図8のフローによって作成された色変換LUTによって置き換えられる可能性があることを表している。
【0057】
S1003では、お気に入り登録画面内の「項目一覧」における「設定項目」のフィールドには、ユーザがカスタマイズできる機能の項目名(ここでは、「カラーマッチング方法」)が表示される。続くS1004では、S1003にて表示された項目名に対応する設定値が「設定内容」のフィールドに表示される。この場合に表示される設定値は、ユーザが選択したお気に入り設定で規定されるマッチングモードに代えて、前述の図8のフローによって作成された色変換LUTを表す名称が優先的に表示される。なお、例えば後述のように、特定のオブジェクト属性について色変換LUTが作成されなかった場合等には、ユーザ選択に係るお気に入り設定で規定されているマッチングモードが表示されることになる。S1005では、操作部106を介して入力されるユーザ指示に基づき、「設定内容」のフィールド内に表示されている設定値を持つお気に入り設定が保存される。例えばユーザが、図11の表示状態において、お気に入り登録画面内の「OK」ボタン1102を押下したとする。この場合、イメージ、グラフィック、テキストの各オブジェクト属性についてのマッチングモードが、表示中の内容に変更された、新たなお気に入り設定が保存されることになる。この際にユーザは、設定名フィールド1101に新たな名称を入力して保存してもよいし、上書き保存してもよい。また、ユーザは、「設定内容」のフィールド内で任意のオブジェクト属性に対するマッチングモードを、リスト選択にて任意の内容に変更することもできる。また、リスト選択した後に「自動生成設定に戻す」ボタン1404を押下することで、図8のフローで作成された色変LUTを表す名称に戻すことができる。また、「お気に入り設定に戻す」ボタン1104を押下することで、S1002で取得されたユーザ選択に係るお気に入り設定の情報で規定される内容に戻すことができる。また、チェックボックス1105にチェックを入れることで、「OK」ボタン1102の押下によって新たに登録されるお気に入り設定を、カラーマッチング方法におけるデフォルト設定として指定することができる。
【0058】
以上のように、図8のフローで色変換LUTを作成した後、カラーマッチング方法に関するお気に入り設定として登録することで、ユーザは目標デバイスに合わせた印刷を行いたい場合に容易に最適な色変換LUTを指定することが可能となる。なお、ユーザは、PC120にインストールされたプリンタドライバやアプリケーションによって提供される図11と同様のUI画面を介して、上述したお気に入り登録処理に関する設定を行うことも可能である。
【0059】
<変形例1>
上記図8のフローでは、オブジェクト属性別のグレーパッチを含むチャートを目標デバイスで印刷してグレー色数構成を特定し、グレー色数構成を一致させた色変換LUTをオブジェクト属性毎に作成した。しかしながら、オブジェクト属性毎の色変換LUTが常に必要になるとは限らない。そこで、目標デバイスにてオブジェクト属性別に専用チャートを出力し、そのスキャン画像に基づいてオブジェクト属性間で色味が異なるか否かを判定して、必要な色変換LUTだけを作成する態様を変形例1として説明する。
【0060】
まず、本変形例に係る、色変換LUTが作成されるまでの大まかな流れについて図12を参照して説明する。図12は、前述の図5と同様、色変換LUTの作成時に表示部105に表示されるUI画面(調整・メンテナンス画面)の変遷を示している。以下、図5との共通点については説明を省力ないしは簡略化し、以下では差異点を中心に説明を行うものとする。
【0061】
≪調整デバイスの色特性の取得≫
まず、調整デバイスの操作部106を用いて、調整・メンテナンス画面の初期画面1201を開く。ユーザは、初期画面1201を操作してチャート出力画面1202の状態にし、プリンタ部111における色特性を取得するためのプリンタ特性チャートの印刷指示を行う。当該印刷指示に基づきプリンタ部111は、プリンタ特性チャートを印刷する。当該印刷に際しての色変換処理で用いる色変換LUTは、4色グレー用色変換LUTのみでもよいし、K単色グレー用色変換LUTを用いた色変換もさらに行って2種類の色特性を取得しても構わない。
【0062】
そして、プリンタ部111からプリンタ特性チャートが印刷出力されると、ユーザは、UI画面をチャート読取画面1203の状態にし、印刷出力されたプリンタ特性チャートについて読取指示を行う。当該読取指示に基づきスキャナ部107は、不図示の原稿台にセットされたプリンタ特性チャートを光学的に読み取ってRGB画像データを生成する。生成されたRGB画像データはスキャナ画像処理部108に送られ、調整デバイスにおける色特性の情報が取得される。
【0063】
≪目標デバイスの色特性の取得≫
次に、ユーザは、UI画面をチャート読取画面1204~1206の状態に順次変更し、目標デバイスで予め印刷出力しておいた属性別のターゲットチャートについての読取指示を行う。本変形例では、イメージ属性、グラフィック属性、テキスト属性の3種類のオブジェクト属性別に、9×9×9=729色のパッチで構成されるターゲットチャートを使用する。図13の(a)~(c)は、属性別のターゲットチャートの印刷をPC120から指示する際に目標デバイスに入力される印刷ジョブの一例を示している。「ジョブ属性定義部」では、物理ページ1ページ目の記録媒体の種類(例では普通紙)が指定される、ターゲットチャートが複数ページに亘る場合には、物理ページ2ページ目以降も指定されるが、記録媒体はページ共通であることが望ましい。物理ページとは、印刷デバイスのメモリ空間上に形成する画像を示す論理ページの対の概念であり、論理ページの画像を形成する記録媒体のページを意味する。物理ページ1ページは記録媒体1枚と同義である。また、「描画情報定義部」には、各パッチを描画する際のオブジェクト属性が指定される。例えば図13(a)の印刷ジョブの場合は“イメージ”が指定されており、この場合は各パッチがJPEGやTIFF等で構成されることになる。“グラフィック”が指定されている図13(b)の印刷ジョブの場合は、各パッチが矩形描画(指定された座標位置で、矩形の幅や高さを指定し形成される)で構成されることになる。また、“テキスト”が指定されている図13(c)の印刷ジョブの場合は、各パッチが文字描画(フォントの形状、サイズ等を指定し形成される)で構成されることになる。ユーザからの読取指示に基づきスキャナ部107は、属性別に出力された上述の属性別のターゲットチャートを順次読み取って、属性毎のRGB画像データを生成する。生成された属性毎のRGB画像データはスキャナ画像処理部108に送られ、目標デバイスにおける属性毎の色特性の情報が取得される。
【0064】
≪色変換LUTの作成≫
上述のようにして、調整デバイスにおける色特性と目標デバイスにおける属性毎の色特性の情報が取得できると、その必要性に応じて色変換LUTが作成される。作成された色変換LUTのデータはRAM103に格納されると共に、UI画面の状態が通知画面1207へと遷移し、その必要性に応じてX個(この例では最大3個)の色変換LUTの作成が完了した旨のメッセージが表示される。
【0065】
図14は、本変形例に係る色変換LUTを作成する処理の流れを示すフローチャートである。以下、図14のフローに沿って説明する。
【0066】
まず、S1401では、目標デバイスについて取得した属性毎の色特性のうち基準となるイメージ属性の色特性と、調整デバイスについて取得した色特性とを用いて、イメージ属性に対応した色変換LUTが作成される。ここでの色変換LUTの作成方法については、前述のS808やS809の場合と同様であるので説明を省く。
【0067】
次のS1402では、目標デバイスにおけるイメージ属性の色特性とグラフィック属性の色特性とに基づいて両属性間の色差を求め、当該色差が許容範囲を超える程度に大きいかどうかが判定される。具体的には、イメージ属性の色特性におけるL***値とグラフィック属性の色特性におけるL***値の色差をパッチ毎に算出して各パッチの色差の平均色差ΔEを求め、当該平均色差ΔEが予め定めた閾値以下か否かを判定する。平均色差ΔEが閾値を超えている場合はS1403に進み、閾値以下の場合はS1404に進む。
【0068】
S1403では、目標デバイスについて取得した属性毎の色特性のうちグラフィック属性の色特性と、調整デバイスの色特性とを用いて、グラフィック属性に対応した色変換LUTが作成される。そして、S1404では、目標デバイスにおけるイメージ属性の色特性とテキスト属性の色特性とに基づいて両属性間の色差を求め、当該色差が許容範囲を超える程度に大きいかどうかが判定される。具体的には、イメージ属性の色特性におけるL***値とテキスト属性の色特性におけるL***値の色差をパッチ毎に算出して各パッチの色差の平均色差ΔEを求め、当該平均色差ΔEが予め定めた閾値以下か否かを判定する。平均色差ΔEが閾値を超えている場合はS1405に進み、閾値以下の場合は本処理を終了する。
【0069】
S1405では、目標デバイスについて取得した属性毎の色特性のうちテキスト属性の色特性と、調整デバイスの色特性とを用いて、テキスト属性に対応した色変換LUTが作成される。
【0070】
以上が、本変形例に係る色変換LUTの作成の流れである。本変形例の場合、目標デバイスにおいてオブジェクト属性間で色処理の結果である色味が異なるか否か判定し、異なる場合にのみ、目標デバイスの色を再現するための色変換LUTをオブジェクト属性毎に作成することができる。
【0071】
<変形例2>
オブジェクト属性毎に異なるターゲットチャートを用意・印刷する変形例1の手法では、出力されるチャートの枚数も増えることになるので、チャート印刷に伴う時間的・経済的コストの増大に繋がってしまう。この点、例えばイメージについては高精度に色合わせをしたいが、テキストについては主要色のみ色合わせ出来ていれば良いといったケースもある。そこで、ターゲットチャートに形成するパッチ数を、イメージ属性、グラフィック属性、テキスト属性のそれぞれについて予めユーザが設定して、必要最小限のパッチだけをターゲットチャート上に形成するようにしてもよい。図15の(a)~(d)は、ターゲット上のパッチ数を設定するためのUI画面(パッチ数設定画面)の一例を示す図である。ユーザが、図15(a)のメイン画面にて任意のオブジェクト属性を選択すると、図15(b)~(d)に示す属性別のサブ画面に表示が切り替わる。ユーザは、より精度良く色合わせをしたい場合は「多」を選択し、簡易的な色合わせで構わない場合は「少」を選択する。そして、オブジェクト属性毎に設定されたパッチ数に従って、属性別にターゲットチャートの印刷ジョブを生成し、目標デバイスで印刷出力する。なお、ユーザにパッチ数を設定させる構成に代えて、予めオブジェクト属性毎にパッチ数の「多い」或いは「少ない」を定めておく構成でもよい。例えば、イメージは“多い”、グラフィックは“標準”、テキストは“少ない”といった具合である。この場合、ターゲットチャートの印刷に伴う手間を削減することができる。
【0072】
以上のように本変形例によれば、簡易的な色合わせで済ませてもよいオブジェクト属性のターゲットチャートについてはパッチ数が減るため、チャート枚数を削減でき、チャート印刷に伴うコストを抑えることができる。
【0073】
<変形例3>
次に、ターゲットチャート印刷に伴うコストを、異なるアプローチで削減する方法について、変形例3として説明する。本変形例では、基準となる1つのオブジェクト属性(例えばイメージ属性)のターゲットチャートと、オブジェクト属性別に色処理の内容が異なるか否かを判別するための専用チャート(以下、「属性確認用チャート」と呼ぶ。)を最初に印刷出力する。そして、属性確認用チャートを用いて、目標デバイスがオブジェクト属性毎に色処理を切り替えているか否かを判別してその結果をユーザに通知し、色変換LUTの追加作成が必要かどうかをユーザの意思に掛からしめる。
【0074】
ここで、属性確認用チャートについて図16を参照して説明する。図16に示す属性確認用チャート1600は、イメージ属性、グラフィック属性、テキスト属性の3種類のオブジェクト属性べつに領域が分かれている。そして、イメージ属性の領域にはパッチ群1601とパッチ群1602とが含まれる。同様に、グラフィック属性の領域にはパッチ群1603とパッチ群1604とが含まれ、テキスト属性の領域にはパッチ群1605とパッチ群1606とが含まれている。そして、各パッチ群1601~1606にはプライマリ6色が各々配置されており、パッチ群1601、1603、1605は濃度が濃いパッチで構成され、パッチ群1602、1604、1606は濃度が薄いパッチで構成されている。なお、プライマリ6色とは、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルーの6色である。以下の表2は濃度が濃いパッチにおける色値を示し、表3は濃度が薄いパッチにおける色値を示している。
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
このように属性確認用チャートには、濃度の異なるプライマリ6色のパッチ群がオブジェクト属性毎に配置される。このような専用チャートを読み取ってオブジェクト属性間の色差を求めることで、目標デバイスにおいてオブジェクト属性毎に色処理が切り替えられているかどうかを判別することができる。また、色毎に濃淡2種類のパッチを設けることで、オブジェクト属性間で異なるガンマ特性を持つか否かの判別も可能となる。
【0078】
図17は、本変形例に係る色変換LUTを作成する処理の流れを示すフローチャートである。以下、図17のフローに沿って説明する。
【0079】
まず、S1701では、基準となるイメージ属性の色特性と、調整デバイスについて取得した色特性とを用いて、イメージ属性に対応した色変換LUTが作成される。本変形例の場合、この時点ではイメージ属性以外のオブジェクト属性(すなわち、グラフィック属性とテキスト属性)についてはターゲットチャートの印刷を行っておらず色特性が取得されない。この点で変形例1とは異なる。なお、色変換LUTの作成方法については、前述のS808やS809の場合と同様であるので説明を省く。
【0080】
S1702では、上述の属性確認用チャートから得た色特性に基づいて、イメージ属性以外の他のオブジェクト属性のうち注目するオブジェクト属性とイメージ属性との間の色差が予め定めた閾値以下か否かが判定される。この場合において、例えばグラフィック属性を注目する他のオブジェクト属性とした場合には、イメージ属性のパッチ群1601及び1602に含まれる合計12個のパッチと、グラフィック属性のパッチ群1603及び1604に含まれる合計12個のパッチを用いる。具体的には、イメージ属性とグラフィック属性との間で、対応する色のパッチ同士(例えば濃いシアンのパッチ同士)でL***値を比較して色差を算出して、求めた色差が予め定めた閾値以下か否かを判定すればよい。そして、12種類のパッチすべてにおいて色差が閾値以下であればS1707に進み、12種類のパッチの中に1つでも色差が閾値を超えるものがあればS1703に進む。この閾値処理についてはS1402と同様である。判定の結果、色差ΔEが予め定めた閾値を超えている場合はS1703に進み、閾値以下の場合はS1707に進む。
【0081】
S1703では、基準となるイメージ属性と注目する他のオブジェクト属性との間で色味が異なっている旨の警告がユーザに対して通知される。通知の態様としては、例えば表示部105に警告メッセージを表示することが考えられる。続くS1704では、注目する他のオブジェクト属性に適した色変換LUTの作成指示が、不図示のUI画面を介して入力されたか否かが判定される。ユーザによる作成指示の入力があればS1705に進み、なければS1707に進む。
【0082】
S1705では、注目する他のオブジェクト属性のターゲットチャートを目標デバイスから印刷出力してその結果を読み取り、当該注目する他のオブジェクト属性についての色特性が取得される。次に、S1706では、S1705で取得した注目する他のオブジェクト属性の色特性を用いて色変換LUTが作成される。ここでの色変換LUTの作成方法についても、前述のS808やS809の場合と同様であるので説明を省く。
【0083】
S1707では、イメージ属性以外のすべての他のオブジェクト属性について、イメージ属性との間で色差があるかどうかのチェックがなされたかどうかが判定される。未処理の他のオブジェクト属性があればS1702に戻って処理が続行され、すべての他のオブジェクト属性についてチェック済みであれば本処理を終える。
【0084】
以上が、本変形例に係る色変換LUTの作成の流れである。本変形例の場合、基準となるオブジェクト属性以外の他のオブジェクト属性については、必要な場合にのみその色特性を取得するので、使用するターゲットチャートの枚数が抑制され、時間的・経済的コストを削減できる。
【0085】
<変形例4>
なお、上記各変形例を含む上述の実施形態では、RGB値をCMYK値に変換する色変換LUTにて、目標デバイスと調整デバイスとの間での色合わせを実現する例を説明したが、デバイス間の色合わせは他の印刷パラメータを用いても可能である。例えば、調整デバイスで使用するRGB→CMYKの色変換LUTは固定しておき、目標デバイスと同様の色特性が得られるように当該固定の色変換LUTに入力するRGB値を調整するためのRGB→R'G'B'変換用のLUTを作成してもよい。或いは、固定の色変換LUTから出力されたCMYK値を調整するためのCMYK→C'M'Y'K'変換用のLUTを作成してもよい。さらにはLUT形式に代えて関数によって実現してもよい。
【0086】
以上のとおり本実施形態によれば、目標デバイスにおけるグレー色数構成を特定する等してオブジェクト属性毎に色変換LUTを作成する。これにより、調整デバイスにおいて、印刷物の色味に加えて質感までを目標デバイスと一致させることができる。
【0087】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17